JP2004220895A - 発光装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで製造できる故障しにくい発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】絶縁基板上に、カーボンナノチューブ含有膜が塗布されたカソード電極と前記カソード電極と電気的に絶縁されたグリッド電極とが配されている電子放出基板と前記電子放出基板から放出した電子によって励起発光される蛍光体が塗布された発光基板とが真空を介して互いに対向している発光装置において、前記カーボンナノチューブ含有膜の特定の表面領域のカーボンナノチューブは伏せ毛姿勢で、別の特定表面領域は起毛姿勢であることを特徴とする発光装置。
【選択図】図1
【解決手段】絶縁基板上に、カーボンナノチューブ含有膜が塗布されたカソード電極と前記カソード電極と電気的に絶縁されたグリッド電極とが配されている電子放出基板と前記電子放出基板から放出した電子によって励起発光される蛍光体が塗布された発光基板とが真空を介して互いに対向している発光装置において、前記カーボンナノチューブ含有膜の特定の表面領域のカーボンナノチューブは伏せ毛姿勢で、別の特定表面領域は起毛姿勢であることを特徴とする発光装置。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビームで蛍光体を発光させる発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブが先鋭な構造でかつ導電性を有することを利用して、カーボンナノチューブを電子源として活用しようとの試みがいくつかなされている。このカーボンナノチューブを電子源とした白色光源についての提案についていくつか出されている。特開2001−15077「白色光源及びその製造方法」では、
カーボンナノチューブを用いた白色光源及びその製造方法を提供するという目的のために、下部基板100上に形成されてカソードとして用いられる金属膜200と、前記金属膜200上に形成された触媒金属膜300と、前記触媒金属膜300上に垂直配向された電界電子放出用カーボンナノチューブ400と、前記触媒金属膜300上に設けられたスペーサ500と、前記スペーサ500上に前記カーボンナノチューブ400に対向するように蛍光体800が付着されるアノード用透明電極700が付着された透明な上部基板600とを含む。ここで、触媒金属膜300はナノ寸法の相互分離された触媒金属粒子からなり、カーボンナノチューブ400は個々の触媒金属粒子から化学気相蒸着法により基板に垂直配向されて成長する技術を提案している。特開2001−52652「白色光源及びその製造方法」において、カーボンナノチューブを用いた白色光源及びその製造方法を提供することを目的として、下部基板100上に形成されてカソードとして用いられる金属膜200と、前記金属膜200上に形成された伝導性高分子膜パターン400と、前記伝導性高分子膜パターン400内に実質的に立てられた状態で、且つ、その先端部が前記伝導性高分子膜パターン400上に露出されるように結着されて電子を放出するカーボンナノチューブ500と、前記金属膜200上に設けられたスペーサ600と、前記スペーサ600上に前記カーボンナノチューブ500に対向するように蛍光体900が付着される透明電極800が形成された透明な上部基板700とを含む。
本発明によれば、端部の直径が極めて小さいカーボンナノチューブ500を電子電界放出源として用いることにより、低い印加電圧下で大きい放出電流が得られる白色光源に関する技術を提案している。この光源のための電子放出を効率的に行なうためには、カーボンナノチューブが垂直方向に配向していてその先端に電界が集中する構造にすることが重要である。配向させるためには様々な提案がなされている。特開2002−367543「電界放出型表示装置とその製造方法」において、低消費電力化を実現でき、画素間の輝度を揃えて高画質化を実現でき、簡単なゲート電極構造と製造方法によって大型の表示装置を容易に製造することができる電界放出型表示装置とその製造方法を提供することを目的として、ゲートを背面板に画素を区画するため設けられた隔壁の上端部に形成し、冷陰極を背面板と前面板とに対して垂直に配向した状態で背面板に固定してなることにより、電子放出を生じさせるための印加電圧を低く抑え低消費電力化を実現でき、各々の冷陰極間において均一な電子放出を得ることができ画素間の輝度を揃えて高画質化を実現でき、簡単なゲート電極構造によって大型の表示装置を容易に製造する技術が提案されている。この提案では垂直に配向した状態でカーボンナノチューブを固定することを想定している。具体的には、電気泳動現象により前記冷陰極を背面板と前面板とに対して垂直に配向することや、前記溶液に、前記冷陰極材料より比重が大きい金属微粒子を前記冷陰極材料と共に分散してその重量による姿勢制御の効果を利用した技術である。特開2002−255527「カーボンナノチューブ及び該カーボンナノチューブを得るための加工法」においては、簡単な工程、低コストで、きわめて電界集中の高い、電子放出特性にすぐれた開端を有するカーボンナノチューブを得ることを目的として、CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存するカーボンナノチューブを、触媒金属に対向する位置に磁石を配置し、磁石の磁力により触媒金属を吸着して除去し、カーボンナノチューブの先端に複数のエッジを有する開端を形成する技術を提案している。この提案の中では、CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存するカーボンナノチューブを酸素プラズマでアッシングしてカーボンナノチューブの直径を細くし、その後上記触媒金属に対向する位置に磁石を配置し、該磁石の磁力により上記金属を吸着して除去し、上記カーボンナノチューブの先端にエッジを有する開端を形成することを特徴とするカーボンナノチューブの加工法という技術も含まれている。上記触媒金属を除去することにより形成された開端を有するカーボンナノチューブの開端は複数のエッジを有することになり、配向したことによる電界集中効果とさらに微視的な視点では複数のエッジによる局部的な電界集中効果によって電子放出の効率を高めることを狙った技術である。この高効率化のために磁石による触媒金属の引き付けおよびプラズマアッシングという2つの操作を行なう。特開2002−157953「エミッタの製造方法及び該エミッタを用いた電界放出型冷陰極並びに平面画像表示装置」においては、CNT膜を用いながら均一で安定な放出電流を発生させ、良好なエミッション特性を得ることができるエミッタの製造方法を提供するという目的のために、ガラス基板10上に、複数のカーボンナノチューブ(CNT)を含みエミッタ電極を構成するCNT膜を形成し、CNT膜上に絶縁膜を介してゲート電極を形成し、ゲート電極及び絶縁膜に複数のゲート開口を形成し、ゲート開口内のCNTを直立配向させる技術を提案している。この技術はゲート絶縁膜およびゲート電極という構造を形成した後にCNTを直立配向させることを特徴とするものである。この提案の中で、前記直立配向工程が、前記開口内に粘着シートを進入させ、次いで該粘着シートを引き剥がす工程を含むことを特徴とすると述べられている。さらに、前記開口内に粘着シートを進入させ、次いで該粘着シートを引き剥がして前記カバー膜の少なくとも一部を除去する工程を含むことを特徴とすると記述してあり、配向作業時にCNT膜の一部を除去することも含んでいる。CNT膜を構成した基板を水中に浸した後、その水を凍結させてから昇華させ前記CNT膜における直立配向状態のCNTを乾燥させる工程についても提案されている。特開2002−100280「電子放出素子、及びその製造方法」では、配列方向が揃ったエミッタ電極を有し、電子放出特性の均一性に優れた電界放出型の電子放出素子、並びにその製造方法を提供することを目的として、アルミニウム基板の一面側を陽極酸化してなる細孔を備えた表面にカーボンナノチューブなどの微細繊維状物質1に所定の磁界を印加することで、微細繊維状物質を配向させ、細孔12内に誘引する技術を提案している。予め細孔を作っておいてそこにカーボンナノチューブを挿入するという技術の提案である。特開2001−220674「カーボンナノチューブ及びその作製方法、電子放出源」では、簡易な方法により、平滑な基板表面に基板からほぼ垂直に配向されたカーボンナノチューブを得ること。また、その応用製品を得ることを目的として、平滑な表面を有する基板上のFeからなる触媒層を常圧CVD装置に挿入し、アセチレン、エチレンの少なくても一つを用い、基板温度が675〜750℃の常圧CVD法によってカーボンナノチューブを成長させる技術を提案している。CVD成長によって配向したカーボンナノチューブを基板に直接成長させるという提案である。特開2001−195972「冷陰極及びその冷陰極の製造方法」では、配向制御された円筒型電子源を用いた冷陰極及びその製造方法を提供することを目的として、円筒型電子源の固着材料表面に物理的形状を設け、円筒型電子源を含有するペーストに配向制御助材を分散することにより、配向制御された円筒型電子源からなる冷陰極を構成可能となり、カーボンナノチューブを用いる技術を提案している。具体的には、ラビング法、斜め蒸着法、または、ウイスカーで物理的形状を形成し、スクリーン印刷法、または、スピンコート法で電子放出領域を形成することを提案している。特開2001−176431「電界放出表示素子及びその製造方法」において、垂直配向された炭素ナノチューブを用いた電界放出表示素子を提供するという目的のために、下部基板上にカソード電極用の第1金属膜が形成され、炭素ナノチューブが形成されている。第1金属膜上には第1スペーサが設けられ、第1スペーサに支持され炭素ナノチューブの上部にゲート電極として用いられるメッシュ状の第2金属膜が形成されている。第1スペーサ上には第2スペーサが設けられ、第2スペーサ上には表面に透明電極及び蛍光体の付着された上部基板が付着されている構造が簡単であり、製造収率を高めることができ、かつ大面積の製造が可能であり、エミッタ用チップとして垂直方向に配向された炭素ナノチューブを用いるため、低い動作電圧下でも大きい放出電流が得られるという技術を提案している。配向については、前記第1金属膜上に触媒金属粒子を形成した後に化学気相蒸着法により触媒金属粒子上で炭素ナノチューブが形成されていることを特徴とするとしており、化学気相蒸着法、いわゆるCVD法で基板上に直接配向成長させることを提案している。特開2001−167721「電界放出表示素子及びその製造方法」においても同様にCVD法で基板上に直接配向成長させることを提案している。特開2001−126609「電子放出素子及び蛍光発光型表示器」においては、廉価に製造可能で又、低電圧駆動可能で高効率な電子放出能力を有する電子放出素子を提供することを目的として、絶縁基板と、前記絶縁基板上に配設された第1の電極と、前記第1の電極の上方に離間して配設された第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間に配設され、中央部が周辺部よりも厚く形成された金属層と、前記金属層上に形成されカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも一方を含む炭素材料から成るエミッタとを備えて成ることを特徴とする電子放出素子の技術を提案している。特開2000−294119「電子放出源の製造方法、電子放出源及び蛍光発光型表示器」では低電圧で高効率な電子放出を可能にすると共に、電子放出量のバラツキを抑えることを目的として、絶縁基板上にカソード配線を形成し、カソード配線に連結してカソード電極を形成する。その後、ペースト状のカソード電極にカーボンナノチューブを含むカーボン物質を被着する。次に、基板501に被着形成された電界印加電極とカソード電極との間に電界を印加した状態でカソード電極を乾燥させることにより、カーボンナノチューブの多くがカソード電極に対して垂直方向に配向する。その後、ゲート電極等を形成することにより電子放出源が完成する。という技術を提案している。この技術はカーボンナノチューブを含むカーボン物質が乾燥前の可動性のある状態で電界を与えられる事で配向する作用を利用して配向させている。特開2000−294118「電子放出源の製造方法、電子放出源及び蛍光発光型表示器」では、
低電圧駆動で高効率な電子放出を可能にすることを目的として、絶縁基板上にカソード配線を形成し、カソード配線に連結してペースト状のカソード電極を形成する。次に、カソード電極にカーボンナノチューブを含むカーボン物質の粉末を散布して被着させる。カーボンナノチューブ中には、カソード電極に対して垂直な方向やそれに近い方向に傾いて配向したカーボンナノチューブが多数存在する。次に、絶縁基板上に堆積した不要なカーボンナノチューブをエアブローにより除去した後、ゲート電極を形成することにより電子放出源が完成する、という技術を提案している。カーボンナノチューブを含むカーボン物質を粉末状に散布することで垂直およびそれに近い姿勢のカーボンナノチューブの存在確率を高める技術の開示である。特開2000−100317「電界電子放出装置」では、高密度に配向させられたナノチューブをエミッタとして備えた電界電子放出装置を提供することを目的として、炭化珪素単結晶から珪素が抜け出ることによるナノチューブ化を起こさせる技術を提案している。特開2000−90809「電界放出陰極、電子放出素子および電界放出陰極の製造方法」では、低電界動作が可能で、かつ微細構造の電界放出陰極を提供することを目的として、カーボンナノチューブをレジストに懸濁させてレジスト中に分散させ、次いでレジストを導電性基板上にコートし、次いでレジストの懸濁樹脂層表面をカーボンナノチューブを残して選択的にエッチバックすることによりカーボンナノチューブの先端を突出させ、次いでコートされたレジストを硬化してレジストの電気抵抗を減少させる技術を提案している。この提案において、前記有機樹脂を硬化する工程の途中あるいはその前後で、前記有機樹脂のマトリクス層の表面を前記導電性極細物質を残して選択的にエッチバックすることにより、前記導電性極細物質の先端を突出させる技術を開示している。
【0003】
【公知の従来技術】特開2001−15077、特開2001−52652、特開2002−367543、特開2002−255527、特開2002−157953、特開2002−100280、特開2001−220674、特開2001−195972、特開2001−176431、特開2001−167721、特開2001−126609、特開2000−294119、特開2000−294118、特開2000−100317、特開2000−90809
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の発光装置のうち、白熱灯は金属を高温に加熱することで可視光発光をさせているが、電気の良導体である金属を発熱させるには細線形状のフィラメントにしなければならないので、物理的衝撃で破損してしまう可能性がある。細くくびれた部分で抵抗が増してその部分が過熱してフィラメントが蒸発して破損することもしばしば起き、白熱灯は頻繁に交換しなければならない。発光効率も劣っているので消費電力の負担も大きい。蛍光灯は白熱電球よりも発光効率が良い発光装置として使用されているが、この発光効率を得るために水銀蒸気を封入しなければならない。環境意識が高まる中で水銀レスの蛍光灯の研究もなされているがなかなか成果がでてこないのが現状である。蛍光灯が破損して水銀蒸気が拡散することを考えるとスーパーなどの食品展示ボックスや手術室に限らず、児童の勉強机や家庭、学校、駅などの公共の場で蛍光灯を使用していることの危険ポテンシャルは低いとは言えない。このような発光装置の状況を考えると蛍光体を高速加速電子で励起する発光装置、電界放射照明(Field Emission Lamp: FEL)の早期開発が望まれる。しかしながら、従来の技術で示した発光装置では、電子の放出箇所の制御が難しく、電子放出してほしい箇所が伏せ毛姿勢になっていて電子が出にくいということがあり、反対に放電などの異常電子放出を防ぐために電子を放出させたくない部分が起毛していて電子が出て放電破壊を引き起こすことが有り得た。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、本発明の発光装置は、絶縁基板上に、カーボンナノチューブ含有膜が塗布されたカソード電極と前記カソード電極と電気的に絶縁されたグリッド電極とが配されている電子放出基板と前記電子放出基板から放出した電子によって励起発光される蛍光体が塗布された発光基板とが真空を介して互いに対向している特徴に加えて、前記カーボンナノチューブ含有膜の特定の表面領域のカーボンナノチューブは伏せ毛姿勢で、別の特定表面領域は起毛姿勢であることを、
第2に、第1の特徴に加えて、前記直方体カソード電極の辺周辺位置に起毛姿勢の表面領域をもったカーボンナノチューブ含有膜を備えていることを、
第3に、第1または第2の特徴に加えて、前記カーボンナノチューブ含有膜の一部の表面が金属被覆膜で覆われていることを特徴とし、
本発明の発光装置の製造方法は、第4の特徴として、第1から第3のいずれかの特徴に加えて、粘着剤を前記カーボンナノチューブ含有膜に接触後引き剥がすことで前記カーボンナノチューブ含有膜表面を起毛することを特徴とし、
第5に、第4の特徴に加えて、粘着剤を接触させる以前に前記カーボンナノチューブ含有膜を液体中に浸漬後乾燥させる工程を施すことを、
第6に、第4または第5のいずれかの特徴に加えて、前記粘着剤の替わりに粘着テープを用いることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の発光装置において、
第1に、絶縁基板上に、カーボンナノチューブ含有膜が塗布されたカソード電極と前記カソード電極と電気的に絶縁されたグリッド電極とが配されている電子放出基板と前記電子放出基板から放出した電子によって励起発光される蛍光体が塗布された発光基板とが真空を介して互いに対向している特徴に加えて、前記カーボンナノチューブ含有膜の特定の表面領域のカーボンナノチューブは伏せ毛姿勢で、別の特定表面領域は起毛姿勢であるという特徴を備える場合には、前記カーボンナノチューブ含有膜の特定の表面領域のカーボンナノチューブは伏せ毛姿勢で、別の特定表面領域は起毛姿勢である特徴を備える場合には、カーボンナノチューブ含有膜を一度液体に浸漬させてその後乾燥させた場合に表面張力の作用で伏せ毛姿勢にすることと、粘着テープによる接着や磁力や電界などの作用で膜面に対して垂直もしくは垂直に近い姿勢に起毛する作用で起毛姿勢にすることとを領域毎に使い分けて特定の領域を伏せ毛姿勢にしたり起毛姿勢にしたりする。一度全領域を伏せ毛姿勢にしてから特定の領域だけを起毛姿勢にしたり、反対に一度全領域を起毛姿勢にしてから特定の領域だけを伏せ毛姿勢にしたり、もしくはそれぞれの特定領域を起毛、伏せ毛姿勢にするなどの方法が用いられる。
第2に、第1の特徴に加えて、前記直方体カソード電極の辺周辺位置に起毛姿勢の表面領域をもったカーボンナノチューブ含有膜を備えている特徴を備える場合には、カソード電極の辺のうち、上辺およびその周辺領域を選択的に起毛姿勢にする。起毛姿勢の領域は電界集中効果が他よりも促進されるので他の領域よりも低電界で電子を放出する。
第3に、第1または第2の特徴に加えて、前記カーボンナノチューブ含有膜の一部の表面が金属被覆膜で覆われていることを特徴とする場合には、カーボンナノチューブ含有膜表面のうち電子放出をしない領域もしくは電子放出をさせたくない領域もしくは不要な放電を引き起こす原因となりえる領域にアルミニウムやニッケルなどの金属を蒸着やスパッタ法で堆積する、もしくは、銀ペーストをスクリーン印刷で塗布する等の方法で堆積させる。
本発明の発光装置の製造方法のうち、第1から第3のいずれかの特徴に加えて、粘着剤を前記カーボンナノチューブ含有膜に接触後引き剥がすことで前記カーボンナノチューブ含有膜表面を起毛する第4の特徴を備える場合には、カーボンナノチューブ含有膜の上に粘着剤を塗布し、その粘着性を高めるために放置後、この粘着剤を除去する。この除去工程で一部のカーボンナノチューブが引き抜かれ、一部のカーボンナノチューブは引き延ばされて残存する。この残存したカーボンナノチューブは起毛姿勢となる。
第5に、第4の特徴に加えて、粘着剤を接触させる以前に前記カーボンナノチューブ含有膜を液体中に浸漬後乾燥させる工程を施すことを特徴とする場合には、起毛させる以前に表面張力によってカーボンナノチューブを膜と平行方向に伏せた姿勢にする。
第6に、第4または第5の特徴に加えて、前記粘着剤の替わりに粘着テープを用いる特徴を備える場合には、粘着剤を片面に塗布したテープである粘着テープで引き剥がし操作を行なうことで粘着剤の取り残しを軽減する。ローラに巻きつけた粘着テープを用いる場合もある。感光性の基材に粘着剤を塗布した感光性粘着テープを用いて起毛領域だけに選択的に感光性粘着テープを残存させてから引き剥がし操作を行なう場合もある。
【0007】
【実施例】本発明の実施例1を説明する。グリッド電極とカソード電極との間の印加電圧を制御することで電子放出量を制御する電子放出基板の製造方法に関する例である。図1の(1)から(5)までに示す工程手順で製造する。まず、(1)の工程でソーダガラス基板1の上にスクリーン印刷でカソード電極2を印刷する。銀ペーストカソード電極の仮乾燥および本焼成を済ませてから(2)のカーボンナノチューブ含有ペースト3のスクリーン印刷工程を行なう。この工程では100μm幅の銀ペーストカソード配線に対して120μm幅でカーボンナノチューブ含有ペーストを塗布する。このことでスクリーンマスクの目合わせズレがあっても必ずカソード配線の上面はカーボンナノチューブ含有ペーストで覆われていることになる。350℃の低温焼成の後に、一度基板を純水に浸漬してその後自然乾燥することでカーボンナノチューブ含有ペースト膜表面を伏せ毛姿勢にしておいて、(3)の起毛処理工程に移る。粘着テープ200を図のようにカソード配線に上辺中心に一度貼り付ける。この貼り付け作業によってガラス基板上に付着していたカーボンナノチューブ含有ペースト膜は基板との密着性が悪いので粘着テープに根こそぎ吸い付けられてしまう。面が適度に粗い銀ペースト表面上の上記ペースト膜は密着性が良いので根こそぎ吸い付けられることはない。(4)は粘着テープを剥離した後の様子を描いている。上辺部分に起毛姿勢カーボンナノチューブ11が発生する。その後に予め開口を設けて曲げ加工を施しておいたグリッド電極を設置する。
【0008】本発明の実施例2を説明する。図2に工程フローを示す。図1と類似の構造の製造方法であるが、カーボンナノチューブ含有ペースト膜3の上面を金属被服膜12が覆っている点で異なる構造の製造方法の例である。(1)は図1と同じ工程である。(2)はこのフローではメタルマスクを介したスプレー塗布で行っており、カーボンナノチューブ含有ペースト膜3の膜厚は1μmである。(3)の工程での粘着テープは感光性の粘着テープを使用している。電子放出基板の全面に感光性粘着テープ201を貼り付けた後、カソード配線の中心の60μmの領域の感光性粘着テープを露光現像工程を経て除去する。目合わせが精密に行われた場合にはカソード配線の上辺からそれぞれ20μmの領域が感光性粘着テープで覆われていることになる。ネガ型の感光性粘着テープを用いて電子放出基板の背面から露光すればこのカソード電極が遮光マスクとして作用するのでマスクを省くことと、目ずれをなくすことの両方の効用が得られる。露光時間や現像時間を調整することで露光現像後の感光性粘着テープの残存面積を調整できる。この現像工程で電子放出基板6は溶液中に浸漬するので露出部分は伏せ毛になる。この後、(4)の工程でアルミニウムを金属被服膜12として100nm蒸着する。その後(5)の工程で感光性粘着テープを引き剥がして起毛させるとともに、カソード電極の中央付近にだけ金属被服膜12を残存させる。その後(6)の工程でグリッド電極を設置する。
【0009】
【発明の効果】
本発明の発光装置を用いると、電子放出面と電子を放出しない面とをそれぞれ起毛面と伏せ毛面という二種類の面を作る事で容易に制御できる。電子を低電圧で放出させたい面に対しては粘着テープを当てて引き剥がすといった低コストな方法で簡単に行なうことができ、無駄な電子放出をすると放電破壊するような部分に対しては溶液を浸透させた後に蒸発させる際の表面張力によって伏せ毛にすることで簡単に電子放出の抑制が行なえる。本発明によって、発光特性に優れた発光装置を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1の製造フロー図
【図2】本発明実施例2の製造フロー図
【符号の説明】1はソーダガラス基板、2はカソード電極、3はカーボンナノチューブ含有ペースト膜、4はグリッド電極、5は開口、6は電子放出基板、7は蛍光体、8は発光基板、9はITO電極、10はアルミニウム極薄膜、11は起毛姿勢カーボンナノチューブ、12は金属被服膜、100は電子、200は粘着テープ、201は感光性粘着テープである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビームで蛍光体を発光させる発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブが先鋭な構造でかつ導電性を有することを利用して、カーボンナノチューブを電子源として活用しようとの試みがいくつかなされている。このカーボンナノチューブを電子源とした白色光源についての提案についていくつか出されている。特開2001−15077「白色光源及びその製造方法」では、
カーボンナノチューブを用いた白色光源及びその製造方法を提供するという目的のために、下部基板100上に形成されてカソードとして用いられる金属膜200と、前記金属膜200上に形成された触媒金属膜300と、前記触媒金属膜300上に垂直配向された電界電子放出用カーボンナノチューブ400と、前記触媒金属膜300上に設けられたスペーサ500と、前記スペーサ500上に前記カーボンナノチューブ400に対向するように蛍光体800が付着されるアノード用透明電極700が付着された透明な上部基板600とを含む。ここで、触媒金属膜300はナノ寸法の相互分離された触媒金属粒子からなり、カーボンナノチューブ400は個々の触媒金属粒子から化学気相蒸着法により基板に垂直配向されて成長する技術を提案している。特開2001−52652「白色光源及びその製造方法」において、カーボンナノチューブを用いた白色光源及びその製造方法を提供することを目的として、下部基板100上に形成されてカソードとして用いられる金属膜200と、前記金属膜200上に形成された伝導性高分子膜パターン400と、前記伝導性高分子膜パターン400内に実質的に立てられた状態で、且つ、その先端部が前記伝導性高分子膜パターン400上に露出されるように結着されて電子を放出するカーボンナノチューブ500と、前記金属膜200上に設けられたスペーサ600と、前記スペーサ600上に前記カーボンナノチューブ500に対向するように蛍光体900が付着される透明電極800が形成された透明な上部基板700とを含む。
本発明によれば、端部の直径が極めて小さいカーボンナノチューブ500を電子電界放出源として用いることにより、低い印加電圧下で大きい放出電流が得られる白色光源に関する技術を提案している。この光源のための電子放出を効率的に行なうためには、カーボンナノチューブが垂直方向に配向していてその先端に電界が集中する構造にすることが重要である。配向させるためには様々な提案がなされている。特開2002−367543「電界放出型表示装置とその製造方法」において、低消費電力化を実現でき、画素間の輝度を揃えて高画質化を実現でき、簡単なゲート電極構造と製造方法によって大型の表示装置を容易に製造することができる電界放出型表示装置とその製造方法を提供することを目的として、ゲートを背面板に画素を区画するため設けられた隔壁の上端部に形成し、冷陰極を背面板と前面板とに対して垂直に配向した状態で背面板に固定してなることにより、電子放出を生じさせるための印加電圧を低く抑え低消費電力化を実現でき、各々の冷陰極間において均一な電子放出を得ることができ画素間の輝度を揃えて高画質化を実現でき、簡単なゲート電極構造によって大型の表示装置を容易に製造する技術が提案されている。この提案では垂直に配向した状態でカーボンナノチューブを固定することを想定している。具体的には、電気泳動現象により前記冷陰極を背面板と前面板とに対して垂直に配向することや、前記溶液に、前記冷陰極材料より比重が大きい金属微粒子を前記冷陰極材料と共に分散してその重量による姿勢制御の効果を利用した技術である。特開2002−255527「カーボンナノチューブ及び該カーボンナノチューブを得るための加工法」においては、簡単な工程、低コストで、きわめて電界集中の高い、電子放出特性にすぐれた開端を有するカーボンナノチューブを得ることを目的として、CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存するカーボンナノチューブを、触媒金属に対向する位置に磁石を配置し、磁石の磁力により触媒金属を吸着して除去し、カーボンナノチューブの先端に複数のエッジを有する開端を形成する技術を提案している。この提案の中では、CVD法により基板に垂直配向されて製造された、先端に触媒金属が残存するカーボンナノチューブを酸素プラズマでアッシングしてカーボンナノチューブの直径を細くし、その後上記触媒金属に対向する位置に磁石を配置し、該磁石の磁力により上記金属を吸着して除去し、上記カーボンナノチューブの先端にエッジを有する開端を形成することを特徴とするカーボンナノチューブの加工法という技術も含まれている。上記触媒金属を除去することにより形成された開端を有するカーボンナノチューブの開端は複数のエッジを有することになり、配向したことによる電界集中効果とさらに微視的な視点では複数のエッジによる局部的な電界集中効果によって電子放出の効率を高めることを狙った技術である。この高効率化のために磁石による触媒金属の引き付けおよびプラズマアッシングという2つの操作を行なう。特開2002−157953「エミッタの製造方法及び該エミッタを用いた電界放出型冷陰極並びに平面画像表示装置」においては、CNT膜を用いながら均一で安定な放出電流を発生させ、良好なエミッション特性を得ることができるエミッタの製造方法を提供するという目的のために、ガラス基板10上に、複数のカーボンナノチューブ(CNT)を含みエミッタ電極を構成するCNT膜を形成し、CNT膜上に絶縁膜を介してゲート電極を形成し、ゲート電極及び絶縁膜に複数のゲート開口を形成し、ゲート開口内のCNTを直立配向させる技術を提案している。この技術はゲート絶縁膜およびゲート電極という構造を形成した後にCNTを直立配向させることを特徴とするものである。この提案の中で、前記直立配向工程が、前記開口内に粘着シートを進入させ、次いで該粘着シートを引き剥がす工程を含むことを特徴とすると述べられている。さらに、前記開口内に粘着シートを進入させ、次いで該粘着シートを引き剥がして前記カバー膜の少なくとも一部を除去する工程を含むことを特徴とすると記述してあり、配向作業時にCNT膜の一部を除去することも含んでいる。CNT膜を構成した基板を水中に浸した後、その水を凍結させてから昇華させ前記CNT膜における直立配向状態のCNTを乾燥させる工程についても提案されている。特開2002−100280「電子放出素子、及びその製造方法」では、配列方向が揃ったエミッタ電極を有し、電子放出特性の均一性に優れた電界放出型の電子放出素子、並びにその製造方法を提供することを目的として、アルミニウム基板の一面側を陽極酸化してなる細孔を備えた表面にカーボンナノチューブなどの微細繊維状物質1に所定の磁界を印加することで、微細繊維状物質を配向させ、細孔12内に誘引する技術を提案している。予め細孔を作っておいてそこにカーボンナノチューブを挿入するという技術の提案である。特開2001−220674「カーボンナノチューブ及びその作製方法、電子放出源」では、簡易な方法により、平滑な基板表面に基板からほぼ垂直に配向されたカーボンナノチューブを得ること。また、その応用製品を得ることを目的として、平滑な表面を有する基板上のFeからなる触媒層を常圧CVD装置に挿入し、アセチレン、エチレンの少なくても一つを用い、基板温度が675〜750℃の常圧CVD法によってカーボンナノチューブを成長させる技術を提案している。CVD成長によって配向したカーボンナノチューブを基板に直接成長させるという提案である。特開2001−195972「冷陰極及びその冷陰極の製造方法」では、配向制御された円筒型電子源を用いた冷陰極及びその製造方法を提供することを目的として、円筒型電子源の固着材料表面に物理的形状を設け、円筒型電子源を含有するペーストに配向制御助材を分散することにより、配向制御された円筒型電子源からなる冷陰極を構成可能となり、カーボンナノチューブを用いる技術を提案している。具体的には、ラビング法、斜め蒸着法、または、ウイスカーで物理的形状を形成し、スクリーン印刷法、または、スピンコート法で電子放出領域を形成することを提案している。特開2001−176431「電界放出表示素子及びその製造方法」において、垂直配向された炭素ナノチューブを用いた電界放出表示素子を提供するという目的のために、下部基板上にカソード電極用の第1金属膜が形成され、炭素ナノチューブが形成されている。第1金属膜上には第1スペーサが設けられ、第1スペーサに支持され炭素ナノチューブの上部にゲート電極として用いられるメッシュ状の第2金属膜が形成されている。第1スペーサ上には第2スペーサが設けられ、第2スペーサ上には表面に透明電極及び蛍光体の付着された上部基板が付着されている構造が簡単であり、製造収率を高めることができ、かつ大面積の製造が可能であり、エミッタ用チップとして垂直方向に配向された炭素ナノチューブを用いるため、低い動作電圧下でも大きい放出電流が得られるという技術を提案している。配向については、前記第1金属膜上に触媒金属粒子を形成した後に化学気相蒸着法により触媒金属粒子上で炭素ナノチューブが形成されていることを特徴とするとしており、化学気相蒸着法、いわゆるCVD法で基板上に直接配向成長させることを提案している。特開2001−167721「電界放出表示素子及びその製造方法」においても同様にCVD法で基板上に直接配向成長させることを提案している。特開2001−126609「電子放出素子及び蛍光発光型表示器」においては、廉価に製造可能で又、低電圧駆動可能で高効率な電子放出能力を有する電子放出素子を提供することを目的として、絶縁基板と、前記絶縁基板上に配設された第1の電極と、前記第1の電極の上方に離間して配設された第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間に配設され、中央部が周辺部よりも厚く形成された金属層と、前記金属層上に形成されカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも一方を含む炭素材料から成るエミッタとを備えて成ることを特徴とする電子放出素子の技術を提案している。特開2000−294119「電子放出源の製造方法、電子放出源及び蛍光発光型表示器」では低電圧で高効率な電子放出を可能にすると共に、電子放出量のバラツキを抑えることを目的として、絶縁基板上にカソード配線を形成し、カソード配線に連結してカソード電極を形成する。その後、ペースト状のカソード電極にカーボンナノチューブを含むカーボン物質を被着する。次に、基板501に被着形成された電界印加電極とカソード電極との間に電界を印加した状態でカソード電極を乾燥させることにより、カーボンナノチューブの多くがカソード電極に対して垂直方向に配向する。その後、ゲート電極等を形成することにより電子放出源が完成する。という技術を提案している。この技術はカーボンナノチューブを含むカーボン物質が乾燥前の可動性のある状態で電界を与えられる事で配向する作用を利用して配向させている。特開2000−294118「電子放出源の製造方法、電子放出源及び蛍光発光型表示器」では、
低電圧駆動で高効率な電子放出を可能にすることを目的として、絶縁基板上にカソード配線を形成し、カソード配線に連結してペースト状のカソード電極を形成する。次に、カソード電極にカーボンナノチューブを含むカーボン物質の粉末を散布して被着させる。カーボンナノチューブ中には、カソード電極に対して垂直な方向やそれに近い方向に傾いて配向したカーボンナノチューブが多数存在する。次に、絶縁基板上に堆積した不要なカーボンナノチューブをエアブローにより除去した後、ゲート電極を形成することにより電子放出源が完成する、という技術を提案している。カーボンナノチューブを含むカーボン物質を粉末状に散布することで垂直およびそれに近い姿勢のカーボンナノチューブの存在確率を高める技術の開示である。特開2000−100317「電界電子放出装置」では、高密度に配向させられたナノチューブをエミッタとして備えた電界電子放出装置を提供することを目的として、炭化珪素単結晶から珪素が抜け出ることによるナノチューブ化を起こさせる技術を提案している。特開2000−90809「電界放出陰極、電子放出素子および電界放出陰極の製造方法」では、低電界動作が可能で、かつ微細構造の電界放出陰極を提供することを目的として、カーボンナノチューブをレジストに懸濁させてレジスト中に分散させ、次いでレジストを導電性基板上にコートし、次いでレジストの懸濁樹脂層表面をカーボンナノチューブを残して選択的にエッチバックすることによりカーボンナノチューブの先端を突出させ、次いでコートされたレジストを硬化してレジストの電気抵抗を減少させる技術を提案している。この提案において、前記有機樹脂を硬化する工程の途中あるいはその前後で、前記有機樹脂のマトリクス層の表面を前記導電性極細物質を残して選択的にエッチバックすることにより、前記導電性極細物質の先端を突出させる技術を開示している。
【0003】
【公知の従来技術】特開2001−15077、特開2001−52652、特開2002−367543、特開2002−255527、特開2002−157953、特開2002−100280、特開2001−220674、特開2001−195972、特開2001−176431、特開2001−167721、特開2001−126609、特開2000−294119、特開2000−294118、特開2000−100317、特開2000−90809
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の発光装置のうち、白熱灯は金属を高温に加熱することで可視光発光をさせているが、電気の良導体である金属を発熱させるには細線形状のフィラメントにしなければならないので、物理的衝撃で破損してしまう可能性がある。細くくびれた部分で抵抗が増してその部分が過熱してフィラメントが蒸発して破損することもしばしば起き、白熱灯は頻繁に交換しなければならない。発光効率も劣っているので消費電力の負担も大きい。蛍光灯は白熱電球よりも発光効率が良い発光装置として使用されているが、この発光効率を得るために水銀蒸気を封入しなければならない。環境意識が高まる中で水銀レスの蛍光灯の研究もなされているがなかなか成果がでてこないのが現状である。蛍光灯が破損して水銀蒸気が拡散することを考えるとスーパーなどの食品展示ボックスや手術室に限らず、児童の勉強机や家庭、学校、駅などの公共の場で蛍光灯を使用していることの危険ポテンシャルは低いとは言えない。このような発光装置の状況を考えると蛍光体を高速加速電子で励起する発光装置、電界放射照明(Field Emission Lamp: FEL)の早期開発が望まれる。しかしながら、従来の技術で示した発光装置では、電子の放出箇所の制御が難しく、電子放出してほしい箇所が伏せ毛姿勢になっていて電子が出にくいということがあり、反対に放電などの異常電子放出を防ぐために電子を放出させたくない部分が起毛していて電子が出て放電破壊を引き起こすことが有り得た。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、本発明の発光装置は、絶縁基板上に、カーボンナノチューブ含有膜が塗布されたカソード電極と前記カソード電極と電気的に絶縁されたグリッド電極とが配されている電子放出基板と前記電子放出基板から放出した電子によって励起発光される蛍光体が塗布された発光基板とが真空を介して互いに対向している特徴に加えて、前記カーボンナノチューブ含有膜の特定の表面領域のカーボンナノチューブは伏せ毛姿勢で、別の特定表面領域は起毛姿勢であることを、
第2に、第1の特徴に加えて、前記直方体カソード電極の辺周辺位置に起毛姿勢の表面領域をもったカーボンナノチューブ含有膜を備えていることを、
第3に、第1または第2の特徴に加えて、前記カーボンナノチューブ含有膜の一部の表面が金属被覆膜で覆われていることを特徴とし、
本発明の発光装置の製造方法は、第4の特徴として、第1から第3のいずれかの特徴に加えて、粘着剤を前記カーボンナノチューブ含有膜に接触後引き剥がすことで前記カーボンナノチューブ含有膜表面を起毛することを特徴とし、
第5に、第4の特徴に加えて、粘着剤を接触させる以前に前記カーボンナノチューブ含有膜を液体中に浸漬後乾燥させる工程を施すことを、
第6に、第4または第5のいずれかの特徴に加えて、前記粘着剤の替わりに粘着テープを用いることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の発光装置において、
第1に、絶縁基板上に、カーボンナノチューブ含有膜が塗布されたカソード電極と前記カソード電極と電気的に絶縁されたグリッド電極とが配されている電子放出基板と前記電子放出基板から放出した電子によって励起発光される蛍光体が塗布された発光基板とが真空を介して互いに対向している特徴に加えて、前記カーボンナノチューブ含有膜の特定の表面領域のカーボンナノチューブは伏せ毛姿勢で、別の特定表面領域は起毛姿勢であるという特徴を備える場合には、前記カーボンナノチューブ含有膜の特定の表面領域のカーボンナノチューブは伏せ毛姿勢で、別の特定表面領域は起毛姿勢である特徴を備える場合には、カーボンナノチューブ含有膜を一度液体に浸漬させてその後乾燥させた場合に表面張力の作用で伏せ毛姿勢にすることと、粘着テープによる接着や磁力や電界などの作用で膜面に対して垂直もしくは垂直に近い姿勢に起毛する作用で起毛姿勢にすることとを領域毎に使い分けて特定の領域を伏せ毛姿勢にしたり起毛姿勢にしたりする。一度全領域を伏せ毛姿勢にしてから特定の領域だけを起毛姿勢にしたり、反対に一度全領域を起毛姿勢にしてから特定の領域だけを伏せ毛姿勢にしたり、もしくはそれぞれの特定領域を起毛、伏せ毛姿勢にするなどの方法が用いられる。
第2に、第1の特徴に加えて、前記直方体カソード電極の辺周辺位置に起毛姿勢の表面領域をもったカーボンナノチューブ含有膜を備えている特徴を備える場合には、カソード電極の辺のうち、上辺およびその周辺領域を選択的に起毛姿勢にする。起毛姿勢の領域は電界集中効果が他よりも促進されるので他の領域よりも低電界で電子を放出する。
第3に、第1または第2の特徴に加えて、前記カーボンナノチューブ含有膜の一部の表面が金属被覆膜で覆われていることを特徴とする場合には、カーボンナノチューブ含有膜表面のうち電子放出をしない領域もしくは電子放出をさせたくない領域もしくは不要な放電を引き起こす原因となりえる領域にアルミニウムやニッケルなどの金属を蒸着やスパッタ法で堆積する、もしくは、銀ペーストをスクリーン印刷で塗布する等の方法で堆積させる。
本発明の発光装置の製造方法のうち、第1から第3のいずれかの特徴に加えて、粘着剤を前記カーボンナノチューブ含有膜に接触後引き剥がすことで前記カーボンナノチューブ含有膜表面を起毛する第4の特徴を備える場合には、カーボンナノチューブ含有膜の上に粘着剤を塗布し、その粘着性を高めるために放置後、この粘着剤を除去する。この除去工程で一部のカーボンナノチューブが引き抜かれ、一部のカーボンナノチューブは引き延ばされて残存する。この残存したカーボンナノチューブは起毛姿勢となる。
第5に、第4の特徴に加えて、粘着剤を接触させる以前に前記カーボンナノチューブ含有膜を液体中に浸漬後乾燥させる工程を施すことを特徴とする場合には、起毛させる以前に表面張力によってカーボンナノチューブを膜と平行方向に伏せた姿勢にする。
第6に、第4または第5の特徴に加えて、前記粘着剤の替わりに粘着テープを用いる特徴を備える場合には、粘着剤を片面に塗布したテープである粘着テープで引き剥がし操作を行なうことで粘着剤の取り残しを軽減する。ローラに巻きつけた粘着テープを用いる場合もある。感光性の基材に粘着剤を塗布した感光性粘着テープを用いて起毛領域だけに選択的に感光性粘着テープを残存させてから引き剥がし操作を行なう場合もある。
【0007】
【実施例】本発明の実施例1を説明する。グリッド電極とカソード電極との間の印加電圧を制御することで電子放出量を制御する電子放出基板の製造方法に関する例である。図1の(1)から(5)までに示す工程手順で製造する。まず、(1)の工程でソーダガラス基板1の上にスクリーン印刷でカソード電極2を印刷する。銀ペーストカソード電極の仮乾燥および本焼成を済ませてから(2)のカーボンナノチューブ含有ペースト3のスクリーン印刷工程を行なう。この工程では100μm幅の銀ペーストカソード配線に対して120μm幅でカーボンナノチューブ含有ペーストを塗布する。このことでスクリーンマスクの目合わせズレがあっても必ずカソード配線の上面はカーボンナノチューブ含有ペーストで覆われていることになる。350℃の低温焼成の後に、一度基板を純水に浸漬してその後自然乾燥することでカーボンナノチューブ含有ペースト膜表面を伏せ毛姿勢にしておいて、(3)の起毛処理工程に移る。粘着テープ200を図のようにカソード配線に上辺中心に一度貼り付ける。この貼り付け作業によってガラス基板上に付着していたカーボンナノチューブ含有ペースト膜は基板との密着性が悪いので粘着テープに根こそぎ吸い付けられてしまう。面が適度に粗い銀ペースト表面上の上記ペースト膜は密着性が良いので根こそぎ吸い付けられることはない。(4)は粘着テープを剥離した後の様子を描いている。上辺部分に起毛姿勢カーボンナノチューブ11が発生する。その後に予め開口を設けて曲げ加工を施しておいたグリッド電極を設置する。
【0008】本発明の実施例2を説明する。図2に工程フローを示す。図1と類似の構造の製造方法であるが、カーボンナノチューブ含有ペースト膜3の上面を金属被服膜12が覆っている点で異なる構造の製造方法の例である。(1)は図1と同じ工程である。(2)はこのフローではメタルマスクを介したスプレー塗布で行っており、カーボンナノチューブ含有ペースト膜3の膜厚は1μmである。(3)の工程での粘着テープは感光性の粘着テープを使用している。電子放出基板の全面に感光性粘着テープ201を貼り付けた後、カソード配線の中心の60μmの領域の感光性粘着テープを露光現像工程を経て除去する。目合わせが精密に行われた場合にはカソード配線の上辺からそれぞれ20μmの領域が感光性粘着テープで覆われていることになる。ネガ型の感光性粘着テープを用いて電子放出基板の背面から露光すればこのカソード電極が遮光マスクとして作用するのでマスクを省くことと、目ずれをなくすことの両方の効用が得られる。露光時間や現像時間を調整することで露光現像後の感光性粘着テープの残存面積を調整できる。この現像工程で電子放出基板6は溶液中に浸漬するので露出部分は伏せ毛になる。この後、(4)の工程でアルミニウムを金属被服膜12として100nm蒸着する。その後(5)の工程で感光性粘着テープを引き剥がして起毛させるとともに、カソード電極の中央付近にだけ金属被服膜12を残存させる。その後(6)の工程でグリッド電極を設置する。
【0009】
【発明の効果】
本発明の発光装置を用いると、電子放出面と電子を放出しない面とをそれぞれ起毛面と伏せ毛面という二種類の面を作る事で容易に制御できる。電子を低電圧で放出させたい面に対しては粘着テープを当てて引き剥がすといった低コストな方法で簡単に行なうことができ、無駄な電子放出をすると放電破壊するような部分に対しては溶液を浸透させた後に蒸発させる際の表面張力によって伏せ毛にすることで簡単に電子放出の抑制が行なえる。本発明によって、発光特性に優れた発光装置を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1の製造フロー図
【図2】本発明実施例2の製造フロー図
【符号の説明】1はソーダガラス基板、2はカソード電極、3はカーボンナノチューブ含有ペースト膜、4はグリッド電極、5は開口、6は電子放出基板、7は蛍光体、8は発光基板、9はITO電極、10はアルミニウム極薄膜、11は起毛姿勢カーボンナノチューブ、12は金属被服膜、100は電子、200は粘着テープ、201は感光性粘着テープである。
Claims (6)
- 絶縁基板上に、カーボンナノチューブ含有膜が塗布されたカソード電極と前記カソード電極と電気的に絶縁されたグリッド電極とが配されている電子放出基板と前記電子放出基板から放出した電子によって励起発光される蛍光体が塗布された発光基板とが真空を介して互いに対向している発光装置において、前記カーボンナノチューブ含有膜の特定の表面領域のカーボンナノチューブは伏せ毛姿勢で、別の特定表面領域は起毛姿勢であることを特徴とする発光装置。
- 請求項1の発光装置において、前記直方体カソード電極の辺周辺位置に起毛姿勢の表面領域をもったカーボンナノチューブ含有膜を備えていることを特徴とする発光装置。
- 請求項1または2の発光装置において、前記カーボンナノチューブ含有膜の一部の表面が金属被覆膜で覆われていることを特徴とする発光装置。
- 請求項1から3のいずれかの発光装置において、粘着剤を前記カーボンナノチューブ含有膜に接触後引き剥がすことで前記カーボンナノチューブ含有膜表面を起毛することを特徴とする発光装置の製造方法。
- 請求項4の発光装置の製造方法において、粘着剤を接触させる以前に前記カーボンナノチューブ含有膜を液体中に浸漬後乾燥させる工程を施すことを特徴とする発光装置の製造方法。
- 請求項4または5の発光装置の製造方法において、前記粘着剤の替わりに粘着テープを用いることを特徴とする発光装置の製造方法。
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