JP2004214502A - 電気回路形成用フィルム、電気回路及び電気回路の製造方法 - Google Patents

電気回路形成用フィルム、電気回路及び電気回路の製造方法 Download PDF

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三智代 寺竹
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Abstract

【課題】電気回路を形成しようとする基体の材質あるいは表面形態による各種制限を低減あるいは解消することのできる、電気回路の製造技術を提供する。
【解決手段】ベースフィルム4と、剥離可能にこのベースフィルム4上に付与され得ようとする電気回路パターンに対応する平面形態を有する導電体層8と、この導電体層に積層された接着層10、とを備える、電気回路形成用フィルム2を形成する。このフィルム2によると、導電体層8に付随しして接着層10を付与することにより、基体に対し、基体の材質や表面形態に起因する制限を回避して容易に電気回路を形成することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気回路の製造技術に関し、特に、電気回路を形成するのに用いるフィルム、電気回路及び電気回路の製造方法に導電ペースト及び導電ペーストを用いた電気回路、並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の他、電気部品などにおける電気回路を形成する方法として、導電ペーストを直接所定パターンに塗布あるいは印刷して回路を形成する方法、あるいは面状の導電体層を形成後、その後エッチングしてパターニングして回路を形成する方法などが一般的である。また、接着性を有する基板上に転写により導電体層を付与して回路を形成する方法もある。
【0003】
導電ペーストを直接塗布あるいは印刷する方法として導電性に優れた電気回路を形成することができる導電ペーストや導電性に優れた電気回路を提供しようとする技術が知られている(例えば、特許文献1及び2等)。また、これらの文献には、導電ペーストを接着性を有する基板に転写することも記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−64331号公報(特許請求の範囲、第4ページ右欄)
【特許文献2】
特開平9−92026号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
導電ペーストを直接塗布又は印刷する方法によれば、塗布ないし印刷時におけるパターン制御が非常に重要である。したがって、電気回路を付与しようとする基板などの各種基体の表面形態が凹凸やあるいは曲面などの三次元形状を有している場合などは、曲面印刷用機械や特殊な治具を必要とする場合がある。さらに、導電ペーストは、通常、溶剤を含んでおり、熱可塑性の基体に対してはその基体の耐溶剤性を考慮する必要があった。例えば、耐溶剤性の低いポリカーボネート樹脂製基体には、専用の導電ペーストを調製する必要があり、汎用性のある導電ペーストを使用できなかった。さらに、導電ペーストの性能確保には、その焼成ないし乾燥工程が必要であるが熱可塑性の基板に対しては、基板の耐熱性を考慮して導電ペーストを調製せねばならず、また、焼成などの工程における基体の熱収縮や熱変形などの恐れも否定できない。
さらに、また、エッチングによるパターニングの場合には、工程が複雑化するとともに、エッチング廃液の処理の問題が派生する。
また、接着性を有する基体に回路を転写する方法によれば、回路以外の部位に接着剤が存在するため、転写工程前後のハンドリングなどの問題に加え、特に、透明な基体においては、意匠性が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、電気回路を形成しようとする基体の材質あるいは表面形態による各種制限を低減あるいは解消することのできる、電気回路の製造技術を提供することを目的とする。すなわち、上記制限を低減あるいは解消できる、電気回路形成用フィルム、電気回路、及び電気回路の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、転写により導電体層を付与して回路を形成する方法について検討するとともに、導電体層の転移形態について種々検討した結果、基体に転移させようとする導電体層自体に接着性を付与するか、あるいは当該導電体層に付随しして接着層を付与することにより、上記した課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
【0008】
(1)電気回路形成用フィルムであって、
ベースフィルムと、
剥離可能にこのベースフィルム上に付与され、得ようとする電気回路パターンに対応する平面形態を有する導電体層と、
この導電体層に積層された接着層、
とを備える、フィルム。
(2)前記接着層は、前記得ようとする電気回路のパターンに対応する平面形態を備えている、(1)記載のフィルム。
(3)前記導電体層は、熱可塑性合成樹脂を含む、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4)電気回路形成用フィルムであって、
ベースフィルムと、
剥離可能にこのベースフィルム上に付与され、得ようとする電気回路パターンに対応する平面形態を有し、接着性を有する導電体層と、
とを備える、フィルム。
(5)前記導電体層は、印刷あるいは塗布により付与されている、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム。
(6)電気回路であって、
基体と、
所定の回路のパターンを構成する導電体層と、
前記回路パターンに沿って前記基体と前記導電体層との間に介在される接着層、
とを備える、電気回路。
(7)前記導電体層は、熱可塑性樹脂を含有する、(6)記載の電気回路。
(8)前記基体は、表面に凹凸あるいは曲面を有する、(6)又は(7)記載の電気回路。
(9)電気回路の製造方法であって、
(1)又は(4)に記載のフィルムを基体表面に向けた状態で重ね、少なくとも加圧により、前記導電体層を前記基体表面に転移させる工程、
を備える、方法。
(10)前記導電体層転移工程において、前記フィルムと前記基体とを加熱及び加圧して成形する、(9)記載の方法。
(11)前記導電体層は熱可塑性樹脂を含有しており、
前記導電体層転移工程に先だって、前記フィルムを加熱して、前記基体の三次元表面形状に対応する形状に予め成形する工程、を備える、(9)又は(10)に記載の方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の電気回路形成用フィルムは、ベースフィルム上に形成される、得ようとする電気回路パターンに対応した平面形態を有する導電体層自体が接着性を備えているか、あるいは当該導電体層に付随して接着層を備えている。以下、当該電気回路形成用フィルム、当該フィルムを用いた電気回路の製造方法、電気回路について説明する。
【0010】
(電気回路形成用フィルム)
本フィルムは、ベースフィルムと、このベースフィルム上に付与される導電体層、とを備えている。また、導電体層上には、接着層が積層されている場合がある。
図1に、典型例として、ベースフィルム4上に接着層8と導電体層10とを備えた本フィルム2を示す。以下、このフィルム2を例示して本フィルムの実施形態について説明するが、図示されるフィルム2に本発明のフィルムが限定される趣旨ではない。
【0011】
(ベースフィルム)
ベースフィルム4としては、特に限定しないで各種材質のフィルムを使用することができる。ベースフィルム4は、導電体層を基体側に転移させることから、剥離性を有するか、あるいは、表面に剥離層を付与されていることが好ましい。ベースフィルム4には、導電体層を付与することができ、かつ、基体に転移させることができる限り特に限定しないで各種材質のフィルムを使用することができる。一般的には、熱可塑性樹脂などの樹脂製フィルムを好ましく使用できる。熱可塑性合成樹脂製ベースフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどを使用することができる。また、例えば紙などのセルロース系材料のフィルム(シート)も用いることができる。ベースフィルム4上に導電体ペーストを供給して導電体層を形成する際、導電体ペーストの乾燥ないし焼成工程を実施しようとする観点からは、ベースフィルム4は、導電ペーストの軟化温度を超える軟化温度を有していればよい。
【0012】
ベースフィルム4の厚みは、導電体層形成のために付与する導電体ペーストの焼成(乾燥)工程における形態を維持できる程度であることが好ましく、通常、10μm〜500μm程度とすることができる。
【0013】
(導電体層)
ベースフィルム4上に直接あるいは剥離層を介して付与された導電体層8は、導電粉、バインダーなどを主体として含有している。
導電粉の材質は特に限定しないが、Au、Ag、Cu、Ni等の金属紛およびそれらの合金粉や、カーボン、グラファイト等をそれぞれ単独またはブレンドして用いることができる。特に、Ag及びAg合金が導電性、耐酸化性等の点からより好ましい。
【0014】
バインダーとしては、熱可塑性合成樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂を使用すると、導電体層8に熱可塑性を付与することができる。このため、例えば、ベースフィルム(好ましくは熱可塑性樹脂製)4に導電体層8を付与時あるいは付与後において、ベースフィルム4と導電体層8とを加熱することにより、これらを所望の形状に成形することができる。したがって、基体が三次元表面形状を有する場合に、本フィルム2を予備成形して、三次元形状に導電体層に容易に追従させることができるようになる。
【0015】
熱可塑性樹脂としては、特に限定しないで各種熱可塑性合成樹脂を使用できる。
また、熱可塑性合成樹脂は、印刷時及び貯蔵時におけるゲル化を回避するためには、溶剤との相溶性等を考慮することにより回避することができる。
【0016】
熱可塑性合成樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、エチルセルロース、PVB(ポリビニルブチラール)等を使用することができる。好ましくは、比抵抗値、乾燥後の膜厚、作業性などの観点からフェノキシ樹脂である。
【0017】
導電体層8は、得ようとする電気回路のパターンに対応した平面形態を有している。なお、「ベースフィルム上における導電体層が得ようとする電気回路のパターンに対応した平面形態を有している」とは、得ようとする電気回路パターンの鏡像に相当する平面形態を有していることを意味している。本フィルム2における導電体層8は、基体表面に転移させるものであるからである。
なお、導電体層8は、前記回路パターンの少なくとも一部に対応する平面形態を備えていれば足りる。
このような導電体層8は、実質的には、ライン状(直線状の他、1箇所以上の屈曲部位のあるライン、曲線部位を含むラインなどを含む)の導電層が複数本配列されるパターン、複数のライン状導電層が交差するようなパターンなど、多様なパターンの平面形態をとることができる。
【0018】
導電体層8が熱可塑性合成樹脂を含有している場合には、導電体層8は熱可塑性を備えている。したがって、加熱による可塑化させるとともに密着性を発揮させることができる。これにより、導電体層8自体に接着性を付与することができる。この場合には、導電体層8上に接着層を備えていなくとも、導電体層8の基体への転移性を確保することができる。
【0019】
(接着層)
導電体層8には接着層10が積層されていることが好ましい。これにより、導電体層8が容易に基体へ転移されるようになり、また、導電体層8の電気特性も容易に確保することができる。
接着層10は、導電体層8上に積層されているが、導電体層8の基体への転移性と接着性を確保できる限り各種形態を採ることができる。したがって、必ずしも、導電体層8の表面の全ての領域に対して付与されている必要はなく、その一部であってもよい。接着層10が、導電体層8の表面に部分的に付与されている形態としては、連続するライン状の導電体層8上において断続的にドット状あるいはストリーク状の多数個の接着層10が形成されている場合、あるいは連続するライン状の導電体層上の一部に連続状に接着層が形成されている場合などがある。本明細書においては、接着層10が、連続的であっても断続的であっても、導電体層8に沿って形成されている場合には、得ようとする電気回路のパターンに対応する平面形態を備えているということができる。
なお、接着層10が導電体層8のパターニング領域を超えて形成されていることを排除しないが、好ましくは、接着層10は、導電体層8の表面の領域(特に幅)内にその全体が含まれている。
【0020】
接着層10に含まれる接着成分としては、特に限定しないで、所望の接着性を確保することができる接着剤や粘着剤を選択して使用することができる。また、感圧接着剤を用いることにより、加圧のみでの転移・接着が可能となる。
接着成分としては、例えば、転写性を考慮すると、塩化ビニール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂などを使用することができる。
【0021】
なお、本フィルム2には、転移前の導電体層あるいは接着層を保護するために、保護フィルムを備えていることが好ましい。
【0022】
(電気回路形成用フィルムの製造)
図2には、本フィルム2の製造工程の一例を示している。
本フィルム2は、ベースフィルム4上に導電体層8、あるいは導電体層8と接着層10とを形成することによって得ることができる。
導電体層8は、上記したとおりの導電粉とバインダーとに加えて、溶剤を含有する導電ペーストをベースフィルム上に供給し、乾燥することにより形成することができる。
【0023】
導電ペースト中にはさらに、分散助剤、レベリング剤、チキソトロピック剤、シランカップリング剤等を添加できる。分散助剤としては、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセタト)アルミニウムのようなアルミニウムキレート化合物;脂肪族多価カルボン酸エステル;不飽和脂肪酸アミン塩;ソルビタンモノオレエートのような界面活性剤;及びポリエステルアミン塩、ポリアミドのような高分子化合物などが例示される。また、好ましいシランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシしラン、3−クロロプロピルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが例示され、樹脂や導電粉の種類に応じて選択される。
【0024】
本発明の導電ペーストは、らいかい機、ニーダー、3本ロール、ビーズミル、ボールミルのような混合手段を用いて、配合成分を均一に混合して調製することができる。
【0025】
得られた導電ペーストをベースフィルム上に供給するには、特に制限はなく、公知の方法を採用できる。
特定の平面形態に導電ペーストを供給するには、例えば、導電ペーストをスクリーン印刷等各種の印刷手段を用いることができる。また、ディスペンサー塗布など、塗布することによっても特定の平面形態を形成できる場合がある。さらに、一定領域に対して全体的に導電ペーストを付与した後、部分的にペーストを除去することにより、回路パターンに対応する平面形態をパターンニングすることもできる。本発明においては、好ましくは、印刷あるいは塗布により、直接、ベースフィルム上に回路パターンに対応する平面形態を描画することが好ましい。
【0026】
導電ペーストをベースフィルムに付与後、導電ペースト中の溶剤を留去するには、導電ペーストを加熱して乾燥することが好ましい。乾燥条件は、溶剤の沸点や基板の耐熱性を考慮し、加熱・加圧時にパターンが乱れないように設定すればよい。例えば、乾燥温度は、ベースフィルムがポリエチレンテレフタレート製である場合には、120℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以下である。なお、乾燥時間等によっては、120℃を超える温度で乾燥する場合もある。溶剤の留去により、導電ペーストは、流動性を失い、固形化される。また、導電ペーストのゲル化が回避されていると、乾燥も良好にかつ過度に時間を要することなく実施できる。この結果、好ましい導電性を有する導体を得ることができる。乾燥工程の実施により、導電体層8を得ることができる。
【0027】
次いで、接着層10を形成する工程について説明する。なお、接着層形成工程は、必要に応じ省略することができる。
接着層10は、上記した各種接着成分を含む接着剤を、導電体層8上に積層して形成する。接着剤10の供給手段は、導電ペーストと同様各種形態を採用することができる。好ましくは、スクリーン印刷などの各種印刷手段や塗布手段を用いる。
接着剤を所望の形態で導電体層8上に供給した後、乾燥工程を実施することにより、接着層10を得ることができる。乾燥工程は、特に限定しないで、接着剤の種類に応じ、さらに導電体層8とベースフィルムの耐熱性の範囲内で設定することができる。
【0028】
(本フィルムの使用:電気回路の製造)
次に、本フィルム2を用いて電気回路を製造する方法について説明する。電気回路は、本フィルム2を基体50に適用して、基体にベースフィルム上の導電体層(接着層を備える場合には接着層も同時に)を転移させることによって得ることができる。なお、本明細書において、基体50とは、電気回路を形成する対象とする有形物であり、いわゆる基板の他、電気回路を要する製品の一部など、特にその使用形態や形状を問わないで、電気回路を備え得る有形物を包含する。したがって、基体50には、一般の基板のように、平板状のものの他、表面に凹凸や曲面などのような三次元表面形状を有する物体も包含される。
【0029】
基体50の材料としては、特に制限はない。一般的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ガラス等の各種基体および積層板を使用できる。
特に、本発明においては、基体50上に、本フィルム2から転移により導電体層8を形成するため、従来とは異なり基体50の耐溶剤性などについての制限が解消あるいは低減される。
また、導電体層8は、ベースフィルム4上に既に形成されており、基体50上に乾燥などの工程を実施する必要がないため、基体50の耐熱性についての制限が解消ないし低減されている。特に、基体50が熱可塑性樹脂製の場合には、耐熱性に要請が低減ないし解消されることにより、当該基体50に対する熱負荷に付随する問題(熱収縮・変形など)が低減ないし解消されるとともに、多様な熱可塑性樹脂製基体に対して電気回路を容易に製造できるようになる。
さらに、導電体層8に接着層10を備えている場合には、接着成分を選択することにより、多様な材質の基体50の表面に電気回路を容易に形成することができる。
【0030】
(転移工程)
本フィルム2の導電体層8を基体50へ転移させるには、ベースフィルム4上の導電体層8側を基体50表面に相対させ重ねた状態で、少なくとも加圧する。加圧のみによってあるいは加圧を主体として導電体層を転移させることは、特に、接着層10が感圧接着成分を含有している場合において有効である。
導電体層8あるいは接着層10は、通常は、加熱によって接着性を発揮するため、加圧と同時にあるいは加圧に先だって、少なくとも接着性を発揮させようとする層を加熱する。好ましくは、本フィルム2と基体50とを重ねた状態で、両者を同時に加熱及び加圧する。
かかる転移工程は、図3に例示するように、対向状に配置される所定の温度に加熱されたローラー(熱ラミネートロール)70間に、積層状態の本フィルム2と基体50とを、所定圧がかかるように通過させることによって実施することができる。
【0031】
転移工程において、加熱、加圧などの条件は、使用する本フィルム2の構成部分(ベースフィルム4、導電体層8、接着層10など)の他、適用する基体50の種類に応じて、設定することができる。
【0032】
導電体層8に熱可塑性樹脂を含有している場合、導電体層8中の熱可塑性合成樹脂が軟化するように加熱することが好ましい。軟化により、導電粉同士の接触面積を向上させることができ、導電体層8の抵抗値を低下させることができる。なお、加熱温度は、当該熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度を考慮した温度することが好ましい。すなわち、加熱温度を、使用する熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度を超える温度とすることが好ましい。加熱温度がガラス転移温度より低すぎると加圧しても抵抗値が下がらないからである。
また、加熱温度が高いほど、加熱・加圧工程の実施によって、抵抗値を低下させることができるが、加熱温度の上限は、加圧時にパターンが変形しない程度とすることが好ましい。また、基体50の耐熱性との関係を考慮する必要がある。したがって、加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上であって、パターン変形や基体50の耐熱温度を考慮した温度以下での加熱・加圧工程を実施することによって、低く抵抗値を得ることができる。なお、本発明者らによれば、乾燥時間の長短にかかわらず、本工程、すなわち、熱可塑性合成樹脂の熱軟化および加圧工程の実施によって、低くかつ安定した抵抗値が得られることがわかっている。
【0033】
熱可塑性合成樹脂の軟化により、固形の導電体層8中に分散状態で固定化されていた導電粉が移動可能な状態となる。導電ペーストは、加熱に次いであるいは同時に加圧される。加圧により、軟化した導電ペーストは圧縮され、導電ペースト中の導電粉の距離が近くなり、これにより、接触率が向上する。
【0034】
さらに、熱可塑性合成樹脂の加熱による軟化状態を利用して加圧、圧縮することにより、加熱加圧の条件調整が容易でかつ一定の軟化、圧縮状態を容易に得ることができる。このため、最終的に得られる製品の品質も安定したものとなる。また、熱可塑性合成樹脂を用いているために、加熱・加圧後は、放冷あるいは冷却することにより固化するため、熱硬化性樹脂を用いたときのように熱硬化工程のための加熱及び時間を要しない。
さらに、加熱・加圧をすることによって、その前段階の本フィルム2における導電ペーストの乾燥工程を短縮することができる。
【0035】
(基体が三次元表面形状を有する場合)
本フィルム2を用いることにより、基体が凹凸や曲面などの三次元表面形状を有する場合にも、当該基体表面にも容易に電気回路を形成することができる。
導電体層8は、当該基体表面に対する追従性を備えているなど、可塑性を有している場合には、転移工程の実施により、容易に、曲面や凹凸などの三次元表面形状に追従させることができる。
また、導電体層8が、熱により軟化して基体表面への追従性を発揮しうる場合には、加熱を伴う転移工程の実施により、より一層容易に曲面や凹凸のある基体表面に追従させて電気回路を形成することができる。特に、導電体層8が熱可塑性樹脂を含有し熱可塑性を有している場合には、加熱を伴う転写工程により、追従性よく基体表面に導電体層を転移させることができるとともに、良好な導電特性を得ることができる。
【0036】
例えば、図4に示すように、曲面を有する基体52の表面に対して、接着層10を有する本フィルム2を適用して、少なくとも加圧することにより、当該基体52の表面の曲面に沿って導電体層8を転移させることができる。この結果、曲面状の電気回路62を得ることができる。なお、接着層10は必須ではなく、加熱により、導電体層8の接着性により当該基体52の表面に電気回路62を形成することもでできる。
また、図5に示すように凹凸を有する基体54の表面に対して、本フィルム2を適用して、凹凸状の電気回路64を形成することもできる。
このように、本フィルム2によれば、導電体層8を容易に三次元形状に追従させ密着させることができ、容易に三次元形状の電気回路を形成することができる。
【0037】
導電体層8が成形性を有している場合には、予め、本フィルム2を、基体表面の三次元表面形状におおよそ沿うように予備成形しておくことができる。予備成形には、導電体層8が熱可塑性樹脂を含有して、熱可塑性を有していることが好ましい。なお、導電体層が熱硬化性樹脂を含有している場合であっても、接着剤層を有していれば、予備成形後においても、基体に接着一体化することができる。また、予備成形を熱硬化性樹脂が完全には硬化しない範囲で行うことにより、その後の転移工程での基体への追従性を容易に確保することができる。
なお、予備成形を適用するにあたっては、ベースフィルム4は熱可塑性樹脂製であることが好ましい。
【0038】
予備成形工程は、好ましくは、本フィルム2の製造工程の最終の加熱工程(通常は、乾燥工程)に付随して実施する。例えば、接着層10を形成しない場合には導電体層8の形成工程内あるいは当該工程後、接着層10を形成する場合には接着層10の形成工程内あるいは当該工程後に、行うことができる。予備成形工程は、加熱により可塑化して形状を付与することができる。
予備成形工程を実施することにより、本フィルム2に所定の形状が付与される。すなわち、ベースフィルム4、導電体層8及び接着層(存在する場合)10にそれぞれ基体の三次元表面形状に容易に追従しうる形状が付与される。なお、予備成形工程の実施にあたっては、導電体層8あるいは接着層10を保護するために、保護フィルムを装着した状態で行うことが好ましい。
予備成形した本フィルム2を基体表面に適用するには、再度加熱を伴う転移工程を実施することもできるが、感圧接着成分を含有する接着層10の場合には、加圧のみで接着層10を利用して導電体層8を転移させることもできる。また、他の接着層10の場合であっても、当該接着層10が接着性を発揮させるのに足りる熱を付与すれば、容易に基体表面に導電体層8を転移させることができる。
【0039】
また、基体が成形性を備えている場合には、成形性を有する導電体層8を有する本フィルム2を用いることにより、基体の成形と同時にその基体表面に電気回路を形成することができる。なお、この場合においても、本フィルムを、予め、付与しようとする基体の三次元表面形状に予備成形しておくことができる。
基体の成形工程と導電体層8の転移工程とを同時に実施するには、基体の成形条件と導電体層8の転写条件とを適合させればよい。成形及び転写工程の実施により、基体に三次元形状を付与できるとともに、その基体表面に電気回路を形成することができる。
【0040】
転移工程を実施後は、ベースフィルム4を剥離することにより、導電体層8を露出させることができる。これにより所定のパターンの導電体層8が基体表面に形成される。必要に応じて、さらに加工が施され、電気回路が完成する。
【0041】
得られた電気回路は、図2に下段に示すように、基体50と、所定の回路パターンを構成する導電体層8を備えている。また、接着層10を備える場合には、さらに、回路パターンに沿って前記基体50と前記導電体層8との間に介在される接着層10とを備えている。
特に、接着層10を備える場合には、接着層10が導電体層8を形成した領域において一面に付与されておらず、回路パターンに沿って形成されているため、接着層10が回路パターンの外観を低下させることがなく、良好な意匠性を付与することができる。また、無駄な接着成分の使用が排除されている。
また、熱可塑性樹脂を含有する導電体層8は、良好な導電性を有している。すなわち、導電ペーストの乾燥工程および/または導電体層8の転移工程において、熱可塑性樹脂が軟化することにより、導電粉同士の接触が増加されているからである。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
導電ペースト(藤倉化成製、商品名:FA−333)をベースフィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)上に、図2(a)に示すように、パターン状に印刷し、次いで大気中で100℃で60分間乾燥し、導電体層を形成した。
この後、塩化ビニル−酢酸ビニル系接着剤インキ(帝国インキ製、商品名:IMB−002バインダー)を導電体層のパターンと同一のパターンを導電体層に印刷し、大気中で85℃で30分間乾燥させて接着層を形成した。この結果、図1及び図2(b)に示す構造の電気回路形成用フィルムを形成した。
【0043】
このフィルムの導電体層側を基体であるポリカーボネート製フィルム(厚さ:0.5mm)に向けて重ね、150℃に加熱した熱ラミネート機を用いて、圧力2MPaで加熱加圧し、ポリカーボネートフィルム上に導電体層を接着層とともに転移させ、電気回路を得た。
電気回路を形成したポリカーボネートフィルムの特性を評価したところ、シート抵抗は、2.70×10−2Ω/□であり、転移前と同等の抵抗値であった。また、導電体層の接着状態は良好であった。
【0044】
(実施例2)
導電ペースト(藤倉化成製、商品名:FA−333)をベースフィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)上に、図2に示すように、パターン状に印刷し、次いで大気中で100℃で15分間乾燥し、導電体層を形成した。
この後、塩化ビニル−酢酸ビニル系接着剤インキ(帝国インキ製、商品名:IMB−002バインダー)を導電体層のパターンと同一のパターンを導電体層に印刷し、大気中で85℃で30分間乾燥させて接着層を形成した。この結果、図1及び図2(b)に示す構造の電気回路形成用フィルムを形成した。
【0045】
このフィルムの導電体層側を基体であるポリカーボネート製フィルム(厚さ:0.5mm)に向けて重ね、150℃に加熱した熱ラミネート機を用いて、圧力2MPaで加熱加圧し、ポリカーボネートフィルム上に導電体層を接着層とともに転移させ、電気回路を得た。
電気回路を形成したポリカーボネートフィルムの特性を評価したところ、シート抵抗は、2.27×10−2Ω/□であり、転移前と同等の抵抗値であった。また、導電体層の接着状態は良好であった。
【0046】
以上、実施例に具体的に説明したように、本発明のフィルムによれば、シート抵抗値を維持あるいは低下させつつ、好ましい導電特性の電気回路を製造することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、電気回路を形成しようとする基体の材質あるいは表面形態による各種制限を低減あるいは解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気回路形成用フィルムの平面図(a)と断面図(b)とを示す図である。
【図2】図1に示す電気回路形成用フィルムの製造工程の一例を示す図である。
【図3】図1に示す電気回路形成用フィルムを用いて電気回路を形成する工程の一例を示す図である。
【図4】図1に示す電気回路形成用フィルムを用いて電気回路を形成する工程の他の例を示す図である。
【図5】図1に示す電気回路形成用フィルムを用いて電気回路を形成する工程の他の例を示す図である。
【符号の説明】
2 電気回路形成用フィルム
4 ベースフィルム
8 導電体層
10 接着層
50、52、54 基体
60、62、64 電気回路

Claims (11)

  1. 電気回路形成用フィルムであって、
    ベースフィルムと、
    剥離可能にこのベースフィルム上に付与され、得ようとする電気回路パターンに対応する平面形態を有する導電体層と、
    この導電体層に積層された接着層、
    とを備える、フィルム。
  2. 前記接着層は、前記得ようとする電気回路のパターンに対応する平面形態を備えている、請求項1記載のフィルム。
  3. 前記導電体層は、熱可塑性合成樹脂を含む、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 電気回路形成用フィルムであって、
    ベースフィルムと、
    剥離可能にこのベースフィルム上に付与され、得ようとする電気回路パターンに対応する平面形態を有し、接着性を有する導電体層と、
    とを備える、フィルム。
  5. 前記導電体層は、印刷あるいは塗布により付与されている、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 電気回路であって、
    基体と、
    所定の回路のパターンを構成する導電体層と、
    前記回路パターンに沿って前記基体と前記導電体層との間に介在される接着層、
    とを備える、電気回路。
  7. 前記導電体層は、熱可塑性樹脂を含有する、請求項6記載の電気回路。
  8. 前記基体は、表面に凹凸あるいは曲面を有する、請求項6又は7記載の電気回路。
  9. 電気回路の製造方法であって、
    請求項1又は4に記載のフィルムを基体表面に向けた状態で重ね、少なくとも加圧により、前記導電体層を前記基体表面に転移させる工程、
    を備える、方法。
  10. 前記導電体層転移工程において、前記フィルムと前記基体とを加熱及び加圧して成形する、請求項9記載の方法。
  11. 前記導電体層は熱可塑性樹脂を含有しており、
    前記導電体層転移工程に先だって、前記フィルムを加熱して、前記基体の三次元表面形状に対応する形状に予め成形する工程、を備える、請求項9又は10に記載の方法。
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