JP2004209530A - 鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との接合方法 - Google Patents

鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄系金属とタングステン又はタングステン合金という接合が著しく困難な材料を強固に接合する方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】鉄系金属と、タングステン又はタングステン合金との二つの部材を、二つの部材間に少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金からなる膜状体を介在させた状態でパルス通電により接合することを特徴とする、鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との接合方法を提供するものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型で高性能なフライホイールなどの製造に好適に利用しうる鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との接合方法に関する。さらに本発明は、ダイキャスト型など耐熱性を要する箇所の溶損対策に耐熱タングステン合金を部分的に接合し金型寿命を延長するのにも有効に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
フライホイールは一般に鉄系金属から製造されるが、このようなフライホイールの回転周辺部にタングステン合金等を接合した、小型で高性能なフライホイールが要望されている。
【0003】
しかしながら、鉄系金属とタングステン合金等とは接合が大変困難である。
例えば、タングステンの溶融点は3400℃、タングステンを主成分とする合金類の溶融点は、一般には2500〜3000℃である。これに対して、鉄、ステンレス鋼(SUS)、ダイス鋼(SKD)、ハイス鋼(高速度工具鋼)、一般鋼などの如き鉄系金属の溶融点は、1300〜1500℃付近である。
このように溶融点が2倍程度乃至それ以上も開きがある材料の接合に関しては、従来の方法では接合が不可能に近い。
このため、溶接や蝋付けに代わる新たな接合法として注目を浴びているパルス通電法(例えば、特許文献1参照)によってもこれらを接合することは極めて困難である。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−179459公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような要望に応えたものであって、鉄系金属とタングステン又はタングステン合金という接合が著しく困難な材料を強固に接合する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、本発明者は、鉄系金属と、タングステン又はタングステン合金との二つの部材を、二つの部材間に少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金からなる膜状体を介在させた状態でパルス通電により接合することによって、これらの間に強固な接合が得られることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1に係る本発明は、鉄系金属と、タングステン又はタングステン合金との二つの部材を、二つの部材間に少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金からなる膜状体を介在させた状態でパルス通電により接合することを特徴とする、鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との接合方法を提供するものである。
【0008】
請求項2に係る本発明は、接合すべき二つの部材の接合面を、膜状体を介在させた状態で互いに突き合わせ、突き合わせられた接合面を密着させるように加圧した状態で、接合すべき二つの部材の任意な方向に一対の電極をあて、接合すべき二つの部材のみに通電させることにより電流密度を上げ、接合界面間にデューティー比が86〜99.9%のパルス大電流を流すことによって、通電衝撃による接合界面の液相での原子間微小溶融をさせた後に、接合すべき二つの部材の固溶化温度以上、或いは溶融点の40%以上からなる固溶化温度帯域にて、1乃至複数回にわたる相互拡散接合処理を行うことを特徴とする、請求項1記載の方法を提供するものである。
【0009】
請求項3に係る本発明は、突き合わせられた接合面近傍を外部から強制的に加熱しながら通電させることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す。
請求項1に係る本発明は、鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との接合方法に関し、鉄系金属と、タングステン又はタングステン合金との二つの部材を、二つの部材間に少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金からなる膜状体を介在させた状態でパルス通電により接合することを特徴とするものである。
【0011】
請求項1に係る発明においては、鉄系金属と、タングステン又はタングステン合金との二つの部材を、二つの部材間に少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金からなる膜状体を介在させた状態でパルス通電により接合する。
【0012】
鉄系金属としては、鉄の他、ステンレス鋼(SUS)、ダイス鋼(SKD)、ハイス鋼(高速度工具鋼)、一般鋼などが含まれる。
一方、タングステン合金とは、タングステン(溶融点3400℃)を主成分とする合金類を総称するものである。このタングステン合金(溶融点2500〜3000℃)としては、タングステンを主成分とした高比重耐熱特殊焼結合金(Ni4%、Mo4%、Fe2%を含む、残りはタングステン)が好適なものとして挙げられる。
【0013】
請求項1に係る発明においては、上記した如き鉄系金属と、タングステン又はタングステン合金という二つの部材を、二つの部材間に少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金からなる膜状体を介在させた状態でパルス通電により接合することが必要である。
【0014】
ここでチタン合金とは、チタン(溶融点1680℃)を主成分とする合金類を総称するものである。チタン合金(溶融点は、代表的なTi−6Al−4V合金で1540〜1650℃)には幅広い用途があるため、種々の成分を含有したチタン合金が開発されているが、請求項1に係る本発明においては、このようなチタン合金として、少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するものを用い、前記二つの部材間に膜状体の形で介在させた状態でパルス通電により接合することが必要である。
【0015】
チタン合金に含まれるバナジウムとクロムは、先に述べた鉄系金属及びタングステン、タングステン合金と非常になじみが良く、このような少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金を挟んで鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との二つの部材をパルス通電により接合すると、鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との溶融点には大きな差があるものの、大変良い接合強度の結果が出ることが分かった。
即ち、チタン合金に含まれるバナジウムとクロムは、タングステン又はタングステン合金と接合界面付近で拡散融合し、接合強度が強固になることが分かった。また、チタン合金に含まれるバナジウムとクロムは、鉄系金属と接合界面付近で拡散融合し、接合強度が強固になることが分かった。
【0016】
ここで少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金としては、例えばバナジウム(V)、クロム(Cr)、さらにアルミニウム(Al)が各々3〜15%含有されているチタン合金が挙げられ、代表的にはTi−13V−11Cr−3Al合金(Vが13%、Crが11%であり、さらにAlが3%、Fe、O、N、Hが微量、残りはTi;溶融点1500〜1650℃)が挙げられる。例えば、このTi−13V−11Cr−3Al合金は1172N/mmの引張強度を有しており、少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金は純チタン(引張強度約490N/mm)と比べて著しく引張強度に優れている。また、このチタン合金は、鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との膨張率の差による変形の不具合を解消するのにも役立つ。このチタン合金の膨張率は前記接合両母材の膨張率の中間に位置し、緩衝材の機能も併せ持つ。
【0017】
少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金からなる膜状体の厚みは特に制限はなく、厚さが1mmを超える厚膜であっても良いし、或いは厚さが1mm以下の薄膜であっても良い。
このような膜状体は、例えばメッキ法、スパッタ蒸着法、プラズマ溶射法などにより一方の接合面に形成させることもできるし、或いは文字通り膜状体の形で二つの部材の間に挟んでも良い。
膜状体、特に薄膜の形成方法としては、スパッタ蒸着法、プラズマ溶射法、メッキ法など特に制限されないが、膜厚制御が容易であり、均一な薄膜を形成することのできるスパッタ蒸着法によることが最も望ましい。例えば、単結晶材の接合は、接合面に極薄の薄膜をスパッタ蒸着をして接合すると良い結果が得られる。
【0018】
請求項1に係る発明においては、上記した如き鉄系金属と、タングステン又はタングステン合金との二つの部材を、二つの部材間に少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金からなる膜状体を介在させた状態でパルス通電により接合する。
ここで接合すべき部材は2本に限られず、3本以上の部材を同時に接合することもできる。棒状の部材の場合には、直列に複数本突き合わせた状態で加圧すれば、同時に複数の接合面を接合することができる。また、このように直列に接合した部材を複数組平行に配列して、これらを同時に加圧・通電すれば、より多数の接合を同時に行うことができる。
【0019】
請求項1に係る本発明においては、必要に応じて、上記した如き接合部材について、接合面の両面又は片面に任意な形状の加工溝を施し、接合によって、直線、曲線を含む流体の通路、細穴、スリット、溜まり場等を形成することもできる。
請求項1に係る本発明は、例えば鉄系金属からなるフライホイールの回転周辺部にタングステン合金を接合した、小型で高性能なフライホイールなどの製造に応用することができる。
【0020】
接合すべき部材の形状は特に制限はなく、例えばバルク状(固体)でも良いし、必要に応じて1mm以下程度の薄膜状でも良いし、パイプ状、波板状などであっても良い。本発明は、これら各種形状の部材について、同一形状のもの同士、或いは異なる形状のもの同士の相互の接合に利用することができる。
なお、接合面は、平坦であっても良いし、両接合面間に隙間が形成されないようにすれば曲面であっても良い。
さらに接合面を、第1の部材の接合面と第2の部材の接合面が相互に密着するように、相補的な接合面形状に加工しておくこともできる。例えば、一方の接合部材の接合面が凸曲面の場合には、これと密着するような凹曲面を他方の接合部材の接合面形状として採用することもできる。
【0021】
なお、接合面の面粗度は鏡面に近い方が変形も少なく、圧力も少なくてよいが、コストと時間を要するため、接合温度(一般に900〜980℃)での両母材の持つ固有の降伏点圧力に近づけ、かつ変形させない圧力範囲で、接合をより完全にすることもできる。異種の金属材料を接合する場合、圧力はいずれか低い降伏点圧力を有する方の圧力に合わせることが好ましい。
接合面の両面又は片面に鏡面乃至平滑化処理を施す方法としては、研磨、バフ仕上げ等公知の方法が挙げられる。例えば、接合部材が鉄系金属の場合には、研磨処理により接合面の面粗度をRa=0.3以上の鏡面に仕上げておくことが望ましい。
【0022】
なお、接合面の両面又は片面に、スパッタ、洗浄液等による清浄化を施し、接合界面の異物、酸化膜、不動態被膜等を除去して接合を行っても良い。
また、細穴、スリット、溜まり場等を内蔵させる接合部材の接合面や加工溝などに窒化処理、コーティング等の表面処理又は表面改質を行った後、接合し、接合部材の硬度、防錆効果を上げても良い。
【0023】
請求項1に係る本発明におけるパルス通電による接合方法は、常法により行うこともできるが、以下の如き方法で行うことにより効率よく接合することができる。そのような方法を提供するのが請求項2に係る本発明である。
【0024】
即ち、請求項2に係る本発明は、接合すべき二つの部材の接合面を、膜状体を介在させた状態で互いに突き合わせ、突き合わせられた接合面を密着させるように加圧した状態で、接合すべき二つの部材の任意な方向に一対の電極をあて、接合すべき二つの部材のみに通電させることにより電流密度を上げ、接合界面間にデューティー比が86〜99.9%のパルス大電流を流すことによって、通電衝撃による接合界面の液相での原子間微小溶融をさせた後に、接合すべき二つの部材の固溶化温度以上、或いは溶融点の40%以上からなる固溶化温度帯域にて、1乃至複数回にわたる相互拡散接合処理を行うことを特徴とする、請求項1記載の方法である。
【0025】
請求項2に係る本発明においては、上記のようにして接合面の両面又は片面を処理しておいた後、接合すべき二つの部材の接合面を、膜状体を介在させた状態で互いに突き合わせる。
次に、このようにして互いに突き合わせられた接合面を密着させるように加圧し、この加圧した状態で、接合すべき二つの部材の任意な方向に一対の電極をあて、接合すべき二つの部材のみに通電させる。
【0026】
接合面に対する加圧力は、二つの部材の持つ固有の硬度、耐圧力等により様々に異なるが、一般には1〜700MPaの範囲内、好ましくは10〜200MPaの範囲内とすれば良い。加圧方向は1軸方向のみでなく、直交する方向や斜め方向など、多軸方向から加えることもできる。
【0027】
この加圧した状態で、接合すべき二つの部材の任意な方向に一対の電極をあて、接合すべき二つの部材のみに通電させる。
電極方向と接合界面加圧方向とは、異なっていても良いし、同じであっても良い。
接合部材と接する電極の形状は、接合部材の形状に合わせ、円盤状でも、通電可能なローラー状でも良いし、さらには彫り込んだものであっても良い。接合部材を挟む電極は、カーボン材が良い。
【0028】
ここで「接合すべき部材のみに通電させる。」とは、接合すべき部材と、両接合部材の間に介在させる膜状体との他には通電するようなものを使用しないということであり、換言すると放電プラズマ焼結法で一般に用いられている、接合部材を取り囲むカーボン型を使用しないということである。
電極間に接合部材以外の接合部材を取り囲む通電可能なカーボン型を使用しないことによって、通電可能なカーボン型を使用することによる電流密度の低下を防ぎ、また、接合部材側帯部の直接温度制御を可能にして効率の良い接合をし、併せて、これまでカーボン型の中で円盤又は円柱状のみしかできなかった接合部材の形状的制約を排除し、任意な形状の接合が可能となり、飛躍的に接合範囲を拡大した。
【0029】
このとき請求項2に係る本発明においては、特に大型の部材を接合するときには、請求項3に記載したように、突き合わせられた接合面近傍を外部から強制的に加熱しながら通電させることが好ましい。これにより大型の部材を短時間に効率良く接合することができる。
このような外部から強制的に加熱する手段としては特に制限はないが、マイクロ波誘導加熱、ミリ波誘導加熱、サブミリ波誘導加熱などの誘導加熱方式が最も好ましい。この他に高周波加熱等が挙げられ、これらの1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
外部から強制的に加熱する際の加熱時間は、接合部材の熱容量により異なるが、一般的には60分以下とすれば良い。
また、接合部の輻射熱の放出を防止するため接合部材の発熱部周辺を取り囲むように反射板を併用してもよい。
【0030】
請求項2に係る本発明においては、上記したように接合部材を取り囲むカーボン型を使用せず、接合すべき部材のみに通電させることにより、電流密度を上げ、接合界面間にデューティー比が86〜99.9%のパルス大電流を流すことによって、通電衝撃による液相での接合界面の原子間微小溶融をさせる。
【0031】
ここで請求項2に係る本発明においては、デューティー比、つまりパルスのONとOFFの比(ON/ON+OFF)が86〜99.9%、好ましくは90〜99.9%、より好ましくは90〜99%のパルス大電流を流すことが必要である。この範囲外のパルス電流であると、短時間に通電衝撃による接合界面の液相での原子間微小溶融をさせることができない。このようなデューティー比のパルス電流はこれまでプラズマ焼結接合において用いられていないものと認められる。
【0032】
また、接合部材の質量、材質により異なるが、パルス電流としては、100〜50000A、好ましくは300〜30000Aの範囲のものが用いられ、電圧は100V以下である。
【0033】
このようなパルス大電流を流し、必要に応じて外部から強制的に加熱しながら通電させると、温度が上昇し、接合すべき部材の固溶化温度以上、或いは溶融点の40%以上(好ましくは溶融点の60%以上、90%未満であり、より好ましくは溶融点の65%以上、90%未満)からなる固溶化温度帯域まで達する。接合部材の質量、熱容量により異なるが、この固溶化温度帯域に達したときの温度(ピーク温度)、例えば鉄鋼材料などでは870℃、特に1000℃を超えた温度を、0.5〜60分間程度保持することにより、パルス大電流の通電衝撃による接合界面の液相での原子間微小溶融をさせ、第一段階での接合を行う。このような液相状態での原子間微小溶融は、これまで全く行われていない。なお、この際には真空雰囲気としておくことが望ましいが、接合すべき部材によっては大気中でも可能である。或いはアルゴンガス等の不活性ガス下において行っても良い。なお、ここでいう固溶化温度とは、用いる金属の中でも固溶化温度が最も低い金属の固溶化温度を指す。
【0034】
請求項2に係る本発明においては、このようにして通電衝撃による接合界面の液相での原子間微小溶融をさせた後に、引き続いて接合すべき部材の固溶化温度以上、或いは溶融点の40%以上からなる固溶化温度帯域にて、1乃至複数回にわたる相互拡散接合処理を行う。このような相互拡散接合処理を行うことにより、完全にかつ短時間で接合することができる。特に接合部材の材質によっては、1回の相互拡散接合処理では完全に接合しない場合も考えられることから、1回だけでなく、それ以上の複数回にわたる相互拡散接合処理を行うことが好ましい。
これまでは焼結後にいわゆる焼き戻し処理などを行うことにより、固相状態で接合することは行われてきたが、これと請求項2に係る本発明で行う相互拡散接合処理とは全く異なる。請求項2に係る本発明のようなパルス通電における相互拡散接合処理はこれまで他に見られない。
【0035】
このような相互拡散接合処理は、鉄鋼材料においては固溶化温度以上の固溶化温度帯域で行うことができ、それ以外の材料については溶融点の40%以上、好ましくは溶融点の60%以上、90%未満であり、より好ましくは溶融点の65%以上、90%未満からなる固溶化温度帯域で行うことができる。接合すべき材料により異なるが、一般的には、870℃より高い温度帯域で、好ましくは1000℃を超えた温度であり、また前記原子間微小溶融時の温度と同程度、或いはこれより若干高い温度である。
【0036】
なお、この固溶化温度帯域でいう温度とは、あくまで接合面近傍表面、つまり接合面側帯表面を、例えば赤外線パイロスコープ、放射温度計、熱電対等を用いて測ったときの温度を指している。接合界面の温度は、実際には測定できないのが現状である。接合界面は、実際には極めて微小範囲であり、極めて短時間に溶融点以上の温度を繰り返し、微小局部においては材料成分の高温高圧蒸気状態を繰り返して塑性流動を促していると推測される。
固溶化温度帯域でいう温度は、異材質の場合には、いずれか低い方の固溶化温度或いは溶融点を基準としている。
【0037】
この相互拡散接合処理を行う際には、パルス電流は流さない。また、加圧は特に必要ないが、前工程からの加圧をそのまま引き続いて行っても良い。相互拡散接合処理を行う際には、固溶化温度帯域に達したときの温度(ピーク温度)を30〜120分間程度、好ましくは45〜90分間程度保持することが望ましい。これにより極めて強固かつ短時間に接合することができる。
【0038】
請求項2に係る本発明では、上記したように通電衝撃による接合界面の液相での原子間微小溶融をさせた後に、引き続いて接合すべき部材の固溶化温度以上、或いは溶融点の40%以上からなる固溶化温度帯域にて相互拡散接合処理すること、つまり一旦液相状態として原子間微小溶融をさせた後に、相互拡散接合処理すること、が必要である。
このような液相状態とした後の相互拡散接合処理は、あくまでパルス通電における液相状態とした後の相互拡散接合処理を指しており、従来公知の液相拡散接合とは異なっている。従来公知の液相拡散接合は、接合面間に低融点部材をインサートして行う場合に生ずる現象を指しており、明らかにここでいう液相状態とした後の相互拡散接合処理とは異なっているが、そのような液相状態での拡散がパルス通電においても生ずることが分かった。なお、この「液相状態とした後の相互拡散接合処理」は、溶融させて液相状態とした後に相互拡散させる点で、溶融させてはおらず固相状態で拡散させる「固相拡散」とは明確に異なる。
【0039】
このようなパルス通電における液相状態とした後の相互拡散接合処理によれば、ねじり試験等において、母材と同等の特性を有するものと認められるほどの強固な接合が得られ、接合すべき部材を極めて強固かつ確実に短時間で、しかも低コストで接合することができる。
【0040】
なお、接合時の圧力と温度と面粗度は密接な関係があり、トライアングルな関係にある。パルス通電接合温度は、母材の溶融点の40%以上であって溶融点未満で、圧力は接合母材固有の降伏点圧力の40%以上であって降伏点圧力未満の間で圧力調整すると良い結果が得られる。
例えば、母材がS45C(炭素鋼)同士で接合時温度1000℃(接合部側面温度)とした場合、S45Cの1000℃において歪み変形が起こる降伏点圧力は約25MPaである。
また、SUS304(ステンレス鋼)においては、1000℃において歪み変形が起こる降伏点圧力は約39MPaである。
このように金属、非鉄金属、単結晶材料、各種合金、セラミック等、接合母材によって様々に降伏点圧力値が異なる。この降伏点圧力を超えると、母材は圧力に負けて変形(歪み)を起こし始める。
従って、この降伏点圧力未満の圧力で、面粗度が粗い場合には、できる限り、この降伏点圧力に近い範囲で接合すると、接合面が粗くても、接合強度は強固になる。
一方、面粗度が非常に良い鏡面の接合面であれば、それより少ない圧力で接合できる。勿論、これは他の条件を同一とした場合である。母材の溶融点に近い温度で接合を行えば、降伏点圧力は下がる。
【0041】
接合界面が母材全体の温度を超えて、原子間微小溶融を繰り返し、徐々に接合部表面の先端微小局部が塑性流動変形を起こし、両母材間の空洞を埋めて行き、両母材は隙間なく接合の状態になるのであるが、空洞を埋める分だけ寸法変化が起こるため、精度を高めるためには、接合面はできるだけ鏡面に近い方が精度的に有利である。しかし、接合面を限りなく鏡面にすることは、実際には限界があり、かつ大変なコストがかかり、実用面で問題がある。よって、通常の工作機械など切削加工面で同じ強度を持つ接合ができれば、産業界にとっても非常に有効な接合方法となることは明らかである。
なお、異種材料同士の接合の場合には、どちらか降伏点圧力の低い値に合わせる。
いずれの場合でも、拡散接合処理をすると、完全に接合状態となる。
【0042】
本発明は以上の如きものである。このようにして本発明によれば、極めて強固かつ短時間に接合することができる。なお、接合完成後、所望の公知各種熱処理を施すこともできる。
【0043】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0044】
実施例1
(1)接合界面の液相での原子間微小溶融
鉄系金属(SCM435;クロムモリブデン鋼)からなる縦10mm、横10mm、高さ10mmの直方体状の試験片Aを用意した。
一方、タングステン合金[タングステンを主成分とした高比重耐熱特殊焼結合金(Ni4%、Mo4%、Fe2%を含む、残りはタングステン)]からなる縦10mm、横10mm、高さ10mmの直方体状の試験片Bを用意した。
試験片A、Bの各接合面を♯1500研磨した後、両接合面の間にチタン合金(Ti−13V−11Cr−3Al)からなる縦10mm、横10mm、厚さ1.0mmの膜状体を挟んだ後に、互いに突き合わせ、該接合面を密着させるように30MPaの圧力で加圧した状態で、接合すべき試験片の両端に一対の電極をあて、接合すべき試験片のみに通電させることにより電流密度を上げ、接合界面間にデューティー比が98%(パルス比98:2)のパルス大電流を流すことによって、通電衝撃による接合界面の液相での原子間微小溶融をさせた。このときの接合部温度(接合側帯部表面温度)は980℃であり、保持時間は5分間であり、ピーク電流は400Aであった。
(2)液相での原子間微小溶融後の相互拡散接合処理
上記(1)において、液相での原子間微小溶融させた後の試験片について、この試験片を950℃の温度で60分間保持することにより、相互拡散接合処理した。
(3)ねじり破壊試験
このようにして得られた接合試験片について、図1に示すようにして接合面をねじるようにレンチを用いてねじり破壊試験を行った。
その結果、レンチで両接合片が大変形してねじれても接合部から剥離破断しなかった。従って、接合強度は、両接合片並みであると認められた。
【0045】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明の方法によれば、鉄系金属とタングステン又はタングステン合金という接合が著しく困難な材料を、接合両材を溶かすことなく、強固に接合することができる。すなわち、ねじり試験等において母材と同等の特性を有するものと認められるほどの強固な接合が得られる、パルス通電による部材の接合方法が提供される。
さらに、請求項1に係る本発明の方法によれば、接合すべき部材を極めて強固かつ確実に短時間で、しかも低コストで接合することができる。
【0046】
このように請求項1に係る本発明の方法によれば、強固な接合が得られることから、各種部材の接合に広く利用することができる。特に、接合面の両面又は片面に任意な形状の加工溝を施しておきさえすれば、本発明の方法による接合によって、直線、曲線を含む流体の通路、細穴、スリット、溜まり場等の複雑な形状を有する機械部品を容易に形成することができる。
【0047】
従って、本発明の接合技術は、小型で高性能なフライホイールなどの製造用途をはじめとして各種用途に幅広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で行ったねじり破壊試験の模様を示す説明図である。
【符号の説明】
1 接合試験片
2 レンチ

Claims (3)

  1. 鉄系金属と、タングステン又はタングステン合金との二つの部材を、二つの部材間に少なくともチタンとバナジウムとクロムとを含有するチタン合金からなる膜状体を介在させた状態でパルス通電により接合することを特徴とする、鉄系金属とタングステン又はタングステン合金との接合方法。
  2. 接合すべき二つの部材の接合面を、前記膜状体を介在させた状態で互いに突き合わせ、突き合わせられた接合面を密着させるように加圧した状態で、接合すべき二つの部材の任意な方向に一対の電極をあて、接合すべき二つの部材のみに通電させることにより電流密度を上げ、接合界面間にデューティー比が86〜99.9%のパルス大電流を流すことによって、通電衝撃による接合界面の液相での原子間微小溶融をさせた後に、接合すべき二つの部材の固溶化温度以上、或いは溶融点の40%以上からなる固溶化温度帯域にて、1乃至複数回にわたる相互拡散接合処理を行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 突き合わせられた接合面近傍を外部から強制的に加熱しながら通電させることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
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