JP2004205431A - 質量分析用標準物質 - Google Patents
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Abstract
【課題】質量分析用標準物質に関し、特にエレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法において、精密質量測定を行う際に好適な質量分析用標準物質の開発が求められていた。
【解決手段】単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする質量分析用標準物質、単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を含むことを特徴とする質量分析用標準物質キット、及び、質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、請求項1記載の質量分析用標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正する工程を含むことを特徴とする質量電荷比の精密化方法等。
【選択図】 なし
【解決手段】単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする質量分析用標準物質、単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を含むことを特徴とする質量分析用標準物質キット、及び、質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、請求項1記載の質量分析用標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正する工程を含むことを特徴とする質量電荷比の精密化方法等。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析用標準物質に関し、特にエレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法において、精密質量測定を行う際に好適な質量分析用標準物質に関する。
【0002】
【従来の技術】
質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値の校正を行うには、質量電荷比(m/z)が既知の物質を適宜選択して質量分析用標準物質として用いる。例えば、質量電荷比(m/z)を小数点4桁まで求める精密質量測定においては、質量を測定しようとする試料と質量分析用標準物質とを混合して質量分析を行った際に、当該試料由来のイオンピークの両側の位置に前記質量分析用標準物質由来のイオンピークが出現するように、通常2種類の質量分析用標準物質を選ぶ。ところが、エレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法(以下、ESI−MSと記すこともある。)において、例えば、イオン化効率の異なる2種類の物質を混合してなる質量分析用標準物質をイオン化すると、一方の質量分析用標準物質のイオンのみしか観測されない場合が多いことから、それぞれの質量電荷比(m/z)とイオン化効率との両者を考慮して2種類の質量分析用標準物質を選択する必要があり、さらに、十分な精度で測定(即ち、質量電荷比を精密化)するためには、当該質量分析用標準物質中での各質量分析用標準物質の混合割合を調整しなければならないという煩雑な作業も必要となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、質量分析用標準物質に関し、特にエレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法において、精密質量測定を行う際に好適な質量分析用標準物質の開発が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような状況下、本発明者らは、鋭意検討した結果、単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物が精密質量測定を行う際に好適な質量分析用標準物質であることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
(1)単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする質量分析用標準物質(以下、本発明標準物質と記すこともある。);
(2)単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を含むことを特徴とする質量分析用標準物質キット(以下、本発明キットと記すこともある。);
(3)質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、質量分析用標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正するための、前記質量分析用標準物質としての単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物の使用(以下、本発明使用と記すこともある。);
(4)質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、請求項1記載の質量分析用標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正する工程を含むことを特徴とする質量電荷比の精密化方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
等を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明標準物質において、例えば、単糖としては、グルコース、フルクトース等の炭素数6個からなる糖(以下、六炭糖と記すこともある。)、アラビノース、キシロース等の炭素数5個からなる糖(以下、五炭糖と記すこともある。)等を挙げることができる。また、例えば、オリゴ糖としては、マルトース、マルトトリオース、トレハロース、スクロース、マルトペンタオース等の六炭糖を構成成分の基本単位とするようなオリゴ糖のほか、アラビノオリゴ糖、キシロオリゴ糖等の五炭糖を構成成分の基本単位とするようなオリゴ糖等が挙げられる。さらにまた、上記のようなホモオリゴ糖だけでなく、ビアシノースやイソプリメベロース等の五炭糖と六炭糖とを構成成分の基本単位として含むようなヘテロオリゴ糖等も挙げることができる。
本発明標準物質としては、このような単糖又はオリゴ糖以外に、これらの混合物も挙げることができる。
本発明標準物質は、公知な化学的又は生化学的方法等により合成することもできるし、また市販品として容易に入手することもできる。
【0006】
本発明標準物質を質量分析用標準物質として使用するには、通常、本発明標準物質を溶媒に溶解した状態(以下、本発明標準物質溶液と記すこともある。)で利用する。
用いられる溶媒としては、例えば、質量分析計で移動相溶液として使用されるような溶媒が適しており、メタノール等の極性有機溶媒、これらの混合液、又はかかる溶媒や混合液と水との混合溶液等、或いはこれら溶媒に0%(v/v)〜数%(v/v)の酢酸、蟻酸等の有機酸や酢酸アンモニウム等の揮発性塩が混合されたもの等を挙げることができる。
本発明標準物質溶液における本発明標準物質の濃度としては、質量分析計での流量にもよるが、例えば、マイクロリットルオーダーの流量であれば、約1pmoL/μL〜約1nmoL/μL程度を挙げることができる。更に質量分析計での流量が大きい場合には、より高濃度の溶液でも使用することができる。
また別に移動相を用いる場合も、メタノール等の極性有機溶媒、これらの混合液、又はかかる溶媒や混合液と水との混合溶液等、或いはこれら溶媒に0%(v/v)〜数%(v/v)の酢酸、蟻酸等の有機酸や酢酸アンモニウム等の揮発性塩が混合されたもの等を挙げることができる。
【0007】
本発明標準物質溶液を、例えば、ESI(+及び−)−MSに供すると、それぞれ1量体の擬分子イオンピーク及び2量体の擬分子イオン、また試料溶液や移動相溶液等に添加された塩等が付加した擬分子イオン等がイオンピークとして検出される。例えば、マルトースやグルコースを、移動相溶液として0.02%(v/v)酢酸−メタノールを用いてESI(−)−MSに供すると、1量体の擬分子イオン及び2量体の擬分子イオンと同時に、これら擬分子イオンに酢酸(C2H4O2、分子量60)が付加した擬分子イオンがイオンピークとして検出される。これら擬イオンのイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を質量校正の際に用いる。
代表的な本発明標準物質をESI−MSに供した際に検出されるイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の具体例を表1に示す。
【0008】
【表1】
【0009】
本発明標準物質を内部標準物質として使用する場合には、例えば、試料由来のイオンピークを挟むように両側に本発明標準物質由来のイオンピーク(例えば、表1参照)が出現するように、通常1種類の本発明標準物質を選択すればよい。選択された本発明標準物質の溶液と試料の溶液との両者を、同時に又は相前後して質量分析計に導入し、質量スペクトルを得る。
また、本発明標準物質を外部標準物質として使用する場合には、例えば、測定しようとする試料由来のイオンピークの両側の位置に、本発明標準物質由来のイオンピークが複数出現するように、通常1種類の本発明標準物質を選択すればよい。選択された本発明標準物質の溶液と試料の溶液との両者を、それぞれ別々に質量分析計に導入し、質量スペクトルを得る。
前記いずれの場合においても、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、本発明標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正することにより、当該試料由来のイオンピーク位置に相当する精密な質量電荷比(m/z)を求める。
尚、本発明標準物質は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上の本発明標準物質を混合して用いてもよい。
【0010】
質量分析計としては、例えば、エレクトロスプレーイオン化法のインターフェイスを装備する質量分析計(具体的には、サーモクエスト社製LCQ、マイクロマス社製 Q-TOF、サイエックス社製 API−III、アプライドバイオシステムズ社製 Mariner等)や、大気圧化学イオン化法(APCI)、高速原子衝撃法(FAB)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)等の各法のインターフェイスを装備する質量分析計等を挙げることができる。
【0011】
本発明標準物質は、質量分析計を用いた質量測定、特にエレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法において、(1)明確でかつ強度比がほぼ一定な2つ以上のイオンピークを出現させること、(2)フラグメントの出現が少なくかつその強度が低いためにメインピークが探しやすいこと等の優れた性質が存在している。また、質量電荷比(m/z)が1000以下の領域において、質量電荷比(m/z)が凡そ162マスユニット(amu)毎異なる質量分析用標準物質を調製・入手することができることから、試料の分子量に応じてその測定値の校正に適した分子量の質量分析用標準物質を容易に選択することができる。さらにまた、本発明標準物質の溶液は、室温下でも安定であるため取り扱いやすく、長期保存も可能である。従って、例えば、さまざまな質量電荷比(m/z)を提供する本発明標準物質を組み合わせ、固体状態又は溶媒に溶解した状態でセットにして準備しておけば、質量分析用標準物質キットとして極めて有用である。
【0012】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
実施例1(内部標準物質としての本発明標準物質の使用)
試料(この場合には、本発明標準物質としては用いていない。)として、マルトース(C12H12O6、分子量342.1162)濃度が50pmoL/μLである水−メタノール溶液2μL(水:メタノール=1:1)をESI(-)-MS(測定条件は下記参照)に供した。内部標準物質として、グルコース濃度が50pmoL/μLである水−メタノール溶液 2μL(水:メタノール=1:1)を用いた。尚、移動相溶液には、0.02%(v/v)の酢酸が添加されたメタノールを用いた。
得られた質量スペクトルを図1に示す。試料の1量体の擬分子イオンピークが質量電荷比(m/z)=341に検出された。さらにこの擬分子イオンピークに酢酸が付加した擬分子イオンピークがm/z=401に出現した。また、内部標準物質の1量体に酢酸が付加した擬分子イオンが質量電荷比(m/z)=239に、また2量体の擬分子イオンピークが質量電荷比(m/z)=359に検出された。
このようにして検出された、内部標準物質の1量体に酢酸が付加した擬分子イオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と2量体の擬分子イオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値との両者と、当該内部標準物質の1量体に酢酸が付加した擬分子イオンの質量電荷比(m/z)の理論値 239.07669と2量体の擬分子イオンの質量電荷比(m/z)の理論値 359.11895との両者との差異(前者:1.5ppm及び後者:0.6ppm)に基づき校正することにより、当該試料の1価イオンの質量電荷比(m/z)を精密に求めた。このようにして求められた質量電荷比(m/z)は、341.10891及び401.12927であった。さらに、精密化された質量電荷比(m/z)から、当該試料の組成式は、C12H21O11及びC14H25O13であることが確認された。
[ESI(-)-MSでの測定条件]
PEバイオシステムズ社製Mariner型質量分析計
イオン化:ESI(−)
スプレーチップ電圧:3.5kV
ノズルポテンシャル:110V
溶出液:メタノール
流速:8μl/min
【0014】
実施例2(外部標準物質としての本発明標準物質の使用)
試料(この場合には、外部標準物質としても用いている。)として、スクロース濃度が50pmol/μLであるメタノール溶液2μLをESI(-)-MS(測定条件は下記参照)に供した。
得られた質量スペクトルを図2に示す。質量電荷比(m/z)100〜1000の範囲内に4本のイオンピーク(相当するイオンの質量電荷比(m/z)の理論値;341.1083、439.0757、683.2245、781.1919)が検出された。
[ESI(-)-MSでの測定条件]
PEバイオシステムズ社製Mariner型質量分析計
イオン化:ESI(−)
スプレーチップ電圧:3.5kV
ノズルポテンシャル:110V
溶出液:メタノール
流速:8μl/min
【0015】
【発明の効果】
本発明により、質量分析用標準物質に関し、特にエレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法において、精密質量測定を行う際に好適な質量分析用標準物質が提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、エレクトロスプレーイオン化法を利用した質量測定において、内部標準物質としてグルコースを用いて、マルトースの質量電荷比(m/z)及びマルトースに酢酸が付加した擬分子イオンの質量電荷比(m/z)の精密質量測定を行なったときの質量スペクトルである。当該内部標準物質(グルコース)由来の擬分子イオンピークを*で示す。
【図2】図2は、エレクトロスプレーイオン化法を利用した質量測定において、試料(外部標準物質)としてスクロースの質量電荷比(m/z)の精密質量測定を行なったときの質量スペクトルである。当該試料(スクロース)由来の各種の擬分子イオン(質量電荷比(m/z)の低い値から高い値への順に、1量体イオン[M−H]−、1量体に硫酸が付加したイオン[M+H2SO4−H]−、2量体イオン[2M−H]−、2量体に硫酸が付加したイオン[2M+H2SO4−H]−)ピークが検出されている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析用標準物質に関し、特にエレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法において、精密質量測定を行う際に好適な質量分析用標準物質に関する。
【0002】
【従来の技術】
質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値の校正を行うには、質量電荷比(m/z)が既知の物質を適宜選択して質量分析用標準物質として用いる。例えば、質量電荷比(m/z)を小数点4桁まで求める精密質量測定においては、質量を測定しようとする試料と質量分析用標準物質とを混合して質量分析を行った際に、当該試料由来のイオンピークの両側の位置に前記質量分析用標準物質由来のイオンピークが出現するように、通常2種類の質量分析用標準物質を選ぶ。ところが、エレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法(以下、ESI−MSと記すこともある。)において、例えば、イオン化効率の異なる2種類の物質を混合してなる質量分析用標準物質をイオン化すると、一方の質量分析用標準物質のイオンのみしか観測されない場合が多いことから、それぞれの質量電荷比(m/z)とイオン化効率との両者を考慮して2種類の質量分析用標準物質を選択する必要があり、さらに、十分な精度で測定(即ち、質量電荷比を精密化)するためには、当該質量分析用標準物質中での各質量分析用標準物質の混合割合を調整しなければならないという煩雑な作業も必要となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、質量分析用標準物質に関し、特にエレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法において、精密質量測定を行う際に好適な質量分析用標準物質の開発が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような状況下、本発明者らは、鋭意検討した結果、単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物が精密質量測定を行う際に好適な質量分析用標準物質であることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
(1)単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする質量分析用標準物質(以下、本発明標準物質と記すこともある。);
(2)単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を含むことを特徴とする質量分析用標準物質キット(以下、本発明キットと記すこともある。);
(3)質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、質量分析用標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正するための、前記質量分析用標準物質としての単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物の使用(以下、本発明使用と記すこともある。);
(4)質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、請求項1記載の質量分析用標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正する工程を含むことを特徴とする質量電荷比の精密化方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
等を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明標準物質において、例えば、単糖としては、グルコース、フルクトース等の炭素数6個からなる糖(以下、六炭糖と記すこともある。)、アラビノース、キシロース等の炭素数5個からなる糖(以下、五炭糖と記すこともある。)等を挙げることができる。また、例えば、オリゴ糖としては、マルトース、マルトトリオース、トレハロース、スクロース、マルトペンタオース等の六炭糖を構成成分の基本単位とするようなオリゴ糖のほか、アラビノオリゴ糖、キシロオリゴ糖等の五炭糖を構成成分の基本単位とするようなオリゴ糖等が挙げられる。さらにまた、上記のようなホモオリゴ糖だけでなく、ビアシノースやイソプリメベロース等の五炭糖と六炭糖とを構成成分の基本単位として含むようなヘテロオリゴ糖等も挙げることができる。
本発明標準物質としては、このような単糖又はオリゴ糖以外に、これらの混合物も挙げることができる。
本発明標準物質は、公知な化学的又は生化学的方法等により合成することもできるし、また市販品として容易に入手することもできる。
【0006】
本発明標準物質を質量分析用標準物質として使用するには、通常、本発明標準物質を溶媒に溶解した状態(以下、本発明標準物質溶液と記すこともある。)で利用する。
用いられる溶媒としては、例えば、質量分析計で移動相溶液として使用されるような溶媒が適しており、メタノール等の極性有機溶媒、これらの混合液、又はかかる溶媒や混合液と水との混合溶液等、或いはこれら溶媒に0%(v/v)〜数%(v/v)の酢酸、蟻酸等の有機酸や酢酸アンモニウム等の揮発性塩が混合されたもの等を挙げることができる。
本発明標準物質溶液における本発明標準物質の濃度としては、質量分析計での流量にもよるが、例えば、マイクロリットルオーダーの流量であれば、約1pmoL/μL〜約1nmoL/μL程度を挙げることができる。更に質量分析計での流量が大きい場合には、より高濃度の溶液でも使用することができる。
また別に移動相を用いる場合も、メタノール等の極性有機溶媒、これらの混合液、又はかかる溶媒や混合液と水との混合溶液等、或いはこれら溶媒に0%(v/v)〜数%(v/v)の酢酸、蟻酸等の有機酸や酢酸アンモニウム等の揮発性塩が混合されたもの等を挙げることができる。
【0007】
本発明標準物質溶液を、例えば、ESI(+及び−)−MSに供すると、それぞれ1量体の擬分子イオンピーク及び2量体の擬分子イオン、また試料溶液や移動相溶液等に添加された塩等が付加した擬分子イオン等がイオンピークとして検出される。例えば、マルトースやグルコースを、移動相溶液として0.02%(v/v)酢酸−メタノールを用いてESI(−)−MSに供すると、1量体の擬分子イオン及び2量体の擬分子イオンと同時に、これら擬分子イオンに酢酸(C2H4O2、分子量60)が付加した擬分子イオンがイオンピークとして検出される。これら擬イオンのイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を質量校正の際に用いる。
代表的な本発明標準物質をESI−MSに供した際に検出されるイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の具体例を表1に示す。
【0008】
【表1】
【0009】
本発明標準物質を内部標準物質として使用する場合には、例えば、試料由来のイオンピークを挟むように両側に本発明標準物質由来のイオンピーク(例えば、表1参照)が出現するように、通常1種類の本発明標準物質を選択すればよい。選択された本発明標準物質の溶液と試料の溶液との両者を、同時に又は相前後して質量分析計に導入し、質量スペクトルを得る。
また、本発明標準物質を外部標準物質として使用する場合には、例えば、測定しようとする試料由来のイオンピークの両側の位置に、本発明標準物質由来のイオンピークが複数出現するように、通常1種類の本発明標準物質を選択すればよい。選択された本発明標準物質の溶液と試料の溶液との両者を、それぞれ別々に質量分析計に導入し、質量スペクトルを得る。
前記いずれの場合においても、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、本発明標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正することにより、当該試料由来のイオンピーク位置に相当する精密な質量電荷比(m/z)を求める。
尚、本発明標準物質は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上の本発明標準物質を混合して用いてもよい。
【0010】
質量分析計としては、例えば、エレクトロスプレーイオン化法のインターフェイスを装備する質量分析計(具体的には、サーモクエスト社製LCQ、マイクロマス社製 Q-TOF、サイエックス社製 API−III、アプライドバイオシステムズ社製 Mariner等)や、大気圧化学イオン化法(APCI)、高速原子衝撃法(FAB)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)等の各法のインターフェイスを装備する質量分析計等を挙げることができる。
【0011】
本発明標準物質は、質量分析計を用いた質量測定、特にエレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法において、(1)明確でかつ強度比がほぼ一定な2つ以上のイオンピークを出現させること、(2)フラグメントの出現が少なくかつその強度が低いためにメインピークが探しやすいこと等の優れた性質が存在している。また、質量電荷比(m/z)が1000以下の領域において、質量電荷比(m/z)が凡そ162マスユニット(amu)毎異なる質量分析用標準物質を調製・入手することができることから、試料の分子量に応じてその測定値の校正に適した分子量の質量分析用標準物質を容易に選択することができる。さらにまた、本発明標準物質の溶液は、室温下でも安定であるため取り扱いやすく、長期保存も可能である。従って、例えば、さまざまな質量電荷比(m/z)を提供する本発明標準物質を組み合わせ、固体状態又は溶媒に溶解した状態でセットにして準備しておけば、質量分析用標準物質キットとして極めて有用である。
【0012】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
実施例1(内部標準物質としての本発明標準物質の使用)
試料(この場合には、本発明標準物質としては用いていない。)として、マルトース(C12H12O6、分子量342.1162)濃度が50pmoL/μLである水−メタノール溶液2μL(水:メタノール=1:1)をESI(-)-MS(測定条件は下記参照)に供した。内部標準物質として、グルコース濃度が50pmoL/μLである水−メタノール溶液 2μL(水:メタノール=1:1)を用いた。尚、移動相溶液には、0.02%(v/v)の酢酸が添加されたメタノールを用いた。
得られた質量スペクトルを図1に示す。試料の1量体の擬分子イオンピークが質量電荷比(m/z)=341に検出された。さらにこの擬分子イオンピークに酢酸が付加した擬分子イオンピークがm/z=401に出現した。また、内部標準物質の1量体に酢酸が付加した擬分子イオンが質量電荷比(m/z)=239に、また2量体の擬分子イオンピークが質量電荷比(m/z)=359に検出された。
このようにして検出された、内部標準物質の1量体に酢酸が付加した擬分子イオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と2量体の擬分子イオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値との両者と、当該内部標準物質の1量体に酢酸が付加した擬分子イオンの質量電荷比(m/z)の理論値 239.07669と2量体の擬分子イオンの質量電荷比(m/z)の理論値 359.11895との両者との差異(前者:1.5ppm及び後者:0.6ppm)に基づき校正することにより、当該試料の1価イオンの質量電荷比(m/z)を精密に求めた。このようにして求められた質量電荷比(m/z)は、341.10891及び401.12927であった。さらに、精密化された質量電荷比(m/z)から、当該試料の組成式は、C12H21O11及びC14H25O13であることが確認された。
[ESI(-)-MSでの測定条件]
PEバイオシステムズ社製Mariner型質量分析計
イオン化:ESI(−)
スプレーチップ電圧:3.5kV
ノズルポテンシャル:110V
溶出液:メタノール
流速:8μl/min
【0014】
実施例2(外部標準物質としての本発明標準物質の使用)
試料(この場合には、外部標準物質としても用いている。)として、スクロース濃度が50pmol/μLであるメタノール溶液2μLをESI(-)-MS(測定条件は下記参照)に供した。
得られた質量スペクトルを図2に示す。質量電荷比(m/z)100〜1000の範囲内に4本のイオンピーク(相当するイオンの質量電荷比(m/z)の理論値;341.1083、439.0757、683.2245、781.1919)が検出された。
[ESI(-)-MSでの測定条件]
PEバイオシステムズ社製Mariner型質量分析計
イオン化:ESI(−)
スプレーチップ電圧:3.5kV
ノズルポテンシャル:110V
溶出液:メタノール
流速:8μl/min
【0015】
【発明の効果】
本発明により、質量分析用標準物質に関し、特にエレクトロスプレーイオン化法を利用した質量分析法において、精密質量測定を行う際に好適な質量分析用標準物質が提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、エレクトロスプレーイオン化法を利用した質量測定において、内部標準物質としてグルコースを用いて、マルトースの質量電荷比(m/z)及びマルトースに酢酸が付加した擬分子イオンの質量電荷比(m/z)の精密質量測定を行なったときの質量スペクトルである。当該内部標準物質(グルコース)由来の擬分子イオンピークを*で示す。
【図2】図2は、エレクトロスプレーイオン化法を利用した質量測定において、試料(外部標準物質)としてスクロースの質量電荷比(m/z)の精密質量測定を行なったときの質量スペクトルである。当該試料(スクロース)由来の各種の擬分子イオン(質量電荷比(m/z)の低い値から高い値への順に、1量体イオン[M−H]−、1量体に硫酸が付加したイオン[M+H2SO4−H]−、2量体イオン[2M−H]−、2量体に硫酸が付加したイオン[2M+H2SO4−H]−)ピークが検出されている。
Claims (4)
- 単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする質量分析用標準物質。
- 単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物を含むことを特徴とする質量分析用標準物質キット。
- 質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、質量分析用標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正するための、前記質量分析用標準物質としての単糖又はオリゴ糖或いはこれらの混合物の使用。
- 質量分析計を用いた質量測定において、試料由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値を、請求項1記載の質量分析用標準物質由来のイオンピーク位置に相当する質量電荷比(m/z)の測定値と理論値との差異に基づき校正する工程を含むことを特徴とする質量電荷比の精密化方法。
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