JP2004205414A - 核酸マイクロアレイ、その作製方法及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バックグランドのノイズを効率的に低減させた、基板表面にDNA鎖を固定化したハイブリダイゼーション用基板を提供し、さらにこの基板を用いた相補性試験方法を提供すること。
【解決手段】プローブ核酸のスポットを少なくとも1個基板表面に固定化し、かつ少なくとも前記スポットの周辺の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されているハイブリダイゼーション用基板。基板表面にプローブ核酸のスポットを少なくとも1個固定化する工程、及び、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液で基板表面をリンスする工程を含む上記ハイブリダイゼーション用基板の製造方法。上記基板のプローブ核酸のスポットを固定化した表面にターゲット核酸を接触させ、前記ターゲット核酸と前記プローブ核酸との相補性を試験する方法。
【選択図】図1
【解決手段】プローブ核酸のスポットを少なくとも1個基板表面に固定化し、かつ少なくとも前記スポットの周辺の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されているハイブリダイゼーション用基板。基板表面にプローブ核酸のスポットを少なくとも1個固定化する工程、及び、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液で基板表面をリンスする工程を含む上記ハイブリダイゼーション用基板の製造方法。上記基板のプローブ核酸のスポットを固定化した表面にターゲット核酸を接触させ、前記ターゲット核酸と前記プローブ核酸との相補性を試験する方法。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリダイゼーション用基板、及びこの基板を使用する相補性試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決すべき課題】
遺伝子診断や病原菌の特定、あるいは一塩基多型の検出等、ある種の核酸(標的核酸)を検出する目的で核酸プローブが用いられる。核酸プローブは標的核酸と混合され、核酸プローブと標的核酸とのハイブリダイズの有無を、例えば、核酸プローブが有する、蛍光標識等の標識を用いて検知する。
上記核酸プローブとしては、DNA合成機により容易に合成できるという理由から、DNAプローブが主に使用されている。また、標的核酸とハイブリダイズした核酸プローブを検知しやすいという観点から、蛍光標識を用いることが多いが、蛍光標識以外に、RIなどが用いられる場合もある。
そして、近年、多数の核酸プローブを基材に固定したDNAチップやDNAマイクロアレーが実用されるようになり、標的核酸の検出に使用されている。
【0003】
DNAチップやDNAマイクロアレーの作製においては、基板にDNAの集団を島状に(スポットとして)点在させて固定化する必要がある。DNAの固定化には、例えば、チオールを一本鎖DNAに接合させ、チオール化した一本鎖DNAを、例えば、金属基板に固定化する方法が取られている。そして、固定化されたDNAに被検体であるターゲットDNAを作用させ、ハイブリダイゼーションの有無を検出する。ハイブリダイゼーションの有無の検出には、例えば、表面プラズモン法や蛍光法が用いられる。ターゲットDNAとハイブリダイズした固定化DNAのスポットを表面プラズモンや蛍光を測定することにより、検出する。
【0004】
より多くの検体を一度に試験するためには、DNAチップやDNAマイクロアレーの集積度を上げる必要が有り、そのためには、固定化DNAのスポットのサイズを小さくし、かつ密度を高めていく必要がある。一方、集積度を上げると、スポットから得られる表面プラズモンや蛍光の強度は低下し、SN比が低下し、一定以上の集積度になると検出不能になる。また、従来のサイズのスポットにおいてもシグナルの強度を高めるために、種々の工夫をすることで、測定可能な状態を作り出している。
【0005】
SN比の向上を目的として、DNAを固定化したスポットの周辺の基板表面をブロッキングする方法が幾つか提案されている。
例えば、化学修飾法と呼ばれる方法がある(非特許文献1)。
化学修飾法では、コハク酸を修飾剤として用いる。しかし、コハク酸を用いて基板表面を処理する際に使用できる溶媒が限られ、かつ加熱処理も必要である。
従って、化学修飾法を利用できる範囲は限られている。
【0006】
別の方法として、生体物質前処理法が知られている(非特許文献1)。
非特許文献1に記載の方法は、ブロッキング剤としてBSA(牛血清アルブミン)や鮭精子DNAを用いた例が記載されている。また、特許文献1には、合成ヌクレオチドをブロッキング剤として用いた例が記載されている。
しかし、これらのブロッキング剤を用いた例では、ブロッキング剤の基板への吸着効率が一定でないため、却ってバックグランドのノイズを高めてしまっていた。
【0007】
【非特許文献1】
HYPERLINK "http://www.schott.com/health/english/products/coatedsubstrates/download/cdna"http://www.schott.com/health/english/products/coatedsubstrates/download/cdna#microarray#protocol.pdf
【特許文献1】
特開平5-199898号公報
【0008】
そこで本発明の目的は、バックグランドのノイズを効率的に低減させた、基板表面にDNA鎖を固定化したハイブリダイゼーション用基板を提供し、さらにこの基板を用いた相補性試験方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は以下のとおりである。
(1)プローブ核酸のスポットを少なくとも1個基板表面に固定化し、かつ少なくとも前記スポットの周辺の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されているハイブリダイゼーション用基板。
(2)前記スポット以外の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されている(1)に記載の基板。
(3)核酸の単分子膜が、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を基板表面に反応させることにより形成されたものである(1)または(2)に記載の基板。
(4)プローブ核酸がDNA、RNAまたはPNAである(1)〜(3)のいずれかに記載の基板。
(5)核酸の単分子膜がDNA、RNAまたはPNAの単分子膜である(1)〜(4)のいずれかに記載の基板。
(6)単分子膜を構成する核酸の長さが5〜100merの範囲である(1)〜(5)のいずれかに記載の基板。
(7)基板表面が金属、ガラスまたはシリコンである(1)〜(6)のいずれかに記載の基板。
(8)基板表面にプローブ核酸のスポットを少なくとも1個固定化する工程、及び、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液で基板表面をリンスする工程を含む(1)〜(7)のいずれかに記載のハイブリダイゼーション用基板の製造方法。
(9)(1)〜(7)のいずれかに記載の基板のプローブ核酸のスポットを固定化した表面にターゲット核酸を接触させ、前記ターゲット核酸と前記プローブ核酸との相補性を試験する方法。
(10)プローブ核酸のスポットを固定化した表面へのターゲット核酸の接触を、2価金属イオンの存在下で行う(9)に記載の方法。
(11)2価金属イオンがマグネシウムイオンである(10)に記載の方法。
(12)ターゲット核酸と前記プローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無を表面プラズモン共鳴法または水晶振動子法により検出する(9)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)ターゲット核酸が蛍光標識を有する核酸であり、前記プローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無を蛍光により検出する(9)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(14)塩基のミスマッチを含むターゲット核酸を検出するための(9)〜(13)のいずれかに記載の方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
[基板]
本発明のハイブリダイゼーション用基板では、プローブ核酸のスポットを少なくとも1個基板表面に固定化し、かつ少なくとも前記スポットの周辺の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されている。
本発明のハイブリダイゼーション用基板においてプローブ核酸のスポットには、特に制限はない。例えば、アフィメトリクス型のDNAマイクロアレーに固定された一本鎖DNAスポットやスタンフォード型のDNAマイクロアレーに固定された一本鎖DNAスポットであっても良い。プローブ核酸のスポットについては後述する。
【0011】
本発明のハイブリダイゼーション用基板は、スポットの周辺の基板表面、好ましくは、スポットが固定化された以外の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されている。
核酸の単分子膜は、例えば、DNA、RNAまたはPNAの単分子膜であることができる。単分子膜を構成する核酸の長さは、プローブ核酸の長さよりも短く、かつ二本鎖の熱的安定性を考慮して適宜決定することができるが、例えば、5〜100merの範囲であることができ、好ましくは10〜50merの範囲、より好ましくは10〜20merの範囲である。
より具体的には、プローブ核酸の長さが40merであり、かつプローブ核酸のプローブとして働く核酸領域が20merである場合、単分子膜を構成する核酸の長さは、例えば、10〜20merの範囲であることが適当である。
【0012】
核酸の単分子膜は、例えば、一端に基板表面と反応性を示す基を有する核酸鎖を基板表面に反応させることにより形成されたものであることができる。また、基板表面は、例えば、金属、ガラスまたはシリコンであることができ、これらの基板を用いることで核酸鎖を基板表面に反応させることができる。
より具体的には、基板は、例えば、金属基板または金属被覆を有する基板であることができ、また、上記基板は、ガラス基板またはシリコン基板であることもできる。
【0013】
基板表面への単分子膜を構成する核酸の被覆の密度は、核酸のモル数から計算することができ、例えば、5000−8000億個/cm2(理論計算)の範囲とすることができる。
【0014】
例えば、単分子膜を構成する核酸がDNAの場合、DNA鎖の基板表面への固定化は、基板が金属基板または金属被覆を有する基板である場合、基板の金属表面にDNA鎖を硫黄原子を介して固定化させることができる。金属基板としては、例えば、金、銀、クロム、ガリウム、ニッケル、オネジウム等の金属製の基板を挙げることができる。また、金属被覆を有する基板としては、ガラス、マイカ(雲母)等の基板の表面に、金、銀、クロム、ガリウム、ニッケル、オネジウム等の金属被覆を設けた基板を挙げることができる。
基板の金属表面へのDNA鎖の硫黄原子を介しての固定化については基板の製造方法において詳述する。
【0015】
また、DNA鎖の基板表面への固定化は、例えば、基板がガラス基板またはシリコン基板である場合、基板の表面に前記DNA鎖が硫黄原子を介して固定化させることができる。ガラス基板としては、一般的なスライドガラス等のガラス基板を挙げることができる。また、シリコン基板は、シリコンウエハ等であることができる。
基板の表面へのDNA鎖の硫黄原子を介しての固定化については基板の製造方法において詳述する。
【0016】
スポットを構成するプローブ核酸には特に制限はないが、例えば、少なくとも一部が基板表面に固定されており、かつ少なくとも一部が一本鎖である主幹鎖核酸、及び前記主幹鎖核酸の一本鎖部分の少なくとも一部に部分的にハイブリダイズしている少なくとも1つのプローブ用一本鎖核酸を含む樹状核酸鎖であることができる。この樹状核酸鎖は、1つの主幹鎖核酸と1つまたは2つ以上のプローブ用一本鎖核酸とからなり、プローブ用一本鎖核酸の一部は、主幹鎖核酸の一本鎖部分にハイブリダイズしている。
【0017】
また、スポットを構成するプローブ核酸は、例えば、少なくとも一部が基板表面に固定されており、かつ少なくとも一部が一本鎖である主幹鎖核酸、前記主幹鎖核酸の一本鎖の少なくとも一部に部分的にハイブリダイズしている一本鎖である少なくとも1つの副幹鎖核酸、並びに前記主幹鎖核酸の一本鎖の少なくとも一部に部分的にハイブリダイズしている少なくとも1つのプローブ用一本鎖核酸及び/又は前記副幹鎖核酸の少なくとも一部に部分的にハイブリダイズしている少なくとも1つのプローブ用一本鎖核酸を含む樹状核酸鎖であることもできる。この樹状核酸鎖は、1つの主幹鎖核酸と1つまたは2つ以上の副幹鎖核酸と1つまたは2つ以上のプローブ用一本鎖核酸とからなり、副幹鎖核酸の一部は、主幹鎖核酸の一本鎖部分にハイブリダイズしており、プローブ用一本鎖核酸の一部は、主幹鎖核酸の一本鎖部分または副幹鎖核酸にハイブリダイズしている。
【0018】
上記樹状核酸鎖はともに、樹状核酸鎖を構成する1つの主幹鎖核酸を有し、かつ主幹鎖核酸は少なくとも一部が基板表面に固定されており、かつ少なくとも一部が一本鎖である。
以下に、主幹鎖核酸についてさらに説明する。
主幹鎖核酸は少なくとも一部が基板表面に固定されており、例えば、一端が基板表面に固定され、他端が基板表面から遊離しているものである場合、両端がともに基板表面に固定され、途中が基板表面から遊離しているものである場合、途中が基板表面に固定され、両方の末端が基板表面から遊離しているものである場合、のいずれかであることができる。但し、一端が基板表面に固定され、他端が基板表面から遊離しているものであることが、製造のし易さという観点では好ましい。
【0019】
一端が基板表面に固定され、他端が基板表面から遊離している主幹鎖核酸は、基板表面に固定されている部分は二本鎖であり、基板表面から遊離している部分が一本鎖である核酸であることができる。主幹鎖核酸は、例えば、DNA、RNA、PNA等であることができる。さらに、主幹鎖核酸の一本鎖は、プローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせるための配列部分を少なくとも一カ所有する。プローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせるための配列部分の数は、特に制限はないが、1つの樹状核酸鎖におけるプローブ領域の所望の数に応じて適宜決定できる。また、プローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせるための配列部分の数は、ハイブリダイズさせる領域の塩基数(長さ)と準備できる主幹鎖核酸塩基数(長さ)等を考慮することでも適宜決定できる。プローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせるための配列部分は、プローブ用一本鎖核酸のハイブリダイズ領域と相補性であれば特に制限はなく、ハイブリダイズの安定性という観点からは、塩基数が10〜30の間であることが適当であり、10〜20であることが好ましく、15であることが特に好ましい。但し、この範囲に限定する意図ではない。
【0020】
主幹鎖核酸の一本鎖は、基板表面から遊離している部分の途中または先端に、プローブ領域を有することもできる。
主幹鎖核酸が、一端が基板表面に固定され、他端が基板表面から遊離しているものである場合、及び途中が基板表面に固定され、両方の末端が基板表面から遊離しているものである場合には、基板表面から遊離している部分の先端に、プローブ領域を有することもできる。両端がともに基板表面に固定され、途中が基板表面から遊離しているものである場合には、基板表面から遊離している部分の途中(基板表面に固定された両端からほぼ等距離(等塩基数)の位置)に、プローブ領域を有することもできる。
主幹鎖核酸の一本鎖が有するプローブ領域の配列及び塩基数は、本発明の基板の使用用途に応じて適宜決定することができる。
【0021】
主幹鎖核酸の構造や基板表面への固定化方法は、特に限定は無い。例えば、アフィメトリクス型のDNAマイクロアレーに固定された一本鎖DNAやスタンフォード型のDNAマイクロアレーに固定された一本鎖DNAであっても良い。
この固定化された一本鎖DNAに対して、相補的塩基配列部分を持つ、少なくとも1つの一本鎖副幹鎖DNAを、固体基板上で固定化一本鎖DNAハイブリダイゼーションさせることにより、樹状DNAを作製することが可能である。
【0022】
あるいは、主幹鎖核酸は、例えば、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖であって、二重鎖部分側が基板表面に固定化されている物であることができる。このDNA鎖は、一方の鎖が他方の鎖よりも長く、ある部分は二重鎖であり、残りの部分が一重鎖であり、二重鎖部分から始まり、途中から最後まで一重鎖部分である。主幹鎖核酸はDNA鎖でなく、例えば、二重鎖部分及び一重鎖部分のいずれかの一本鎖がRNAであってもよい。また、二重鎖部のみからなる鎖のいずれかの一本鎖がRNAであってもよい。
また、主幹鎖核酸は、例えば、両端にそれぞれ二重鎖部分を有し、中間部分に一重鎖部分を有するDNA鎖であって、両端の二重鎖部分が基板表面に固定化されている物であることもできる。
【0023】
二重鎖部分の塩基数及び一重鎖部分の塩基数には特に制限や限定はないが、二重鎖部分の塩基数は、例えば、二重鎖部分の安定性という観点から10〜80の範囲とすることができ、一重鎖部分の塩基数は、ハイブリダイズさせるプローブ用一本鎖核酸や副幹鎖核酸の数やハイブリダイズさせるための領域の長さを考慮して適宜決定でき、例えば、20〜90の範囲であることができる。但し、これより長いものであっても製造可能であり、利用できる。
上記のようなDNA鎖は、長さが異なる2本の一本鎖であって、短鎖の一本鎖DNAは、塩基配列が、長鎖の一本鎖DNAのいずれかの端からの塩基配列と、相補的である、2本の一本鎖をハイブリダイズすることで作製することができる。
【0024】
上記二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖は、二重鎖部分側で基板表面に固定化されている。このような構造を有することで、基板表面寄りには、二重鎖部分があるが、基板表面から離れた場所では、DNA鎖は一重鎖部分となり、一重鎖部分の周囲にはある程度の空間が生じ、一重鎖部分をハイブリダイズ用の配列として利用し易くなり、かつ基板表面に近い場所では二重鎖部分を密に存在させて、DNA鎖の横倒れを防止できるという利点がある。
尚、前述のように、単分子膜を構成する核酸は、上記二重鎖部分と同等またはそれ以下の長さを有することが、一重鎖部分のターゲット核酸とのハイブリダイズを阻害しないという観点から、好ましい。
【0025】
DNA鎖スポットの基板表面への固定化は、単分子膜の場合と同様に、例えば、基板が金属基板または金属被覆を有する基板である場合、基板の金属表面にDNA鎖が硫黄原子を介して固定化させることができる。金属基板としては、例えば、金、銀、クロム、ガリウム、ニッケル、オネジウム等の金属製の基板を挙げることができる。また、金属被覆を有する基板としては、ガラス、マイカ(雲母)等の基板の表面に、金、銀、クロム、ガリウム、ニッケル、オネジウム等の金属被覆を設けた基板を挙げることができる。
基板の金属表面へのDNA鎖の硫黄原子を介しての固定化については基板の製造方法において詳述する。
【0026】
また、DNA鎖スポットの基板表面への固定化は、例えば、基板がガラス基板またはシリコン基板である場合、基板の表面に前記DNA鎖が硫黄原子を介して固定化させることができる。ガラス基板としては、一般的なスライドガラス等のガラス基板を挙げることができる。また、シリコン基板は、シリコンウエハ等であることができる。
基板の表面へのDNA鎖スポットの硫黄原子を介しての固定化については基板の製造方法において詳述する。
【0027】
上記DNA鎖スポットは、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖に加えて、二重鎖部分のみを有するDNA鎖が前記基板の表面にさらに固定化されているものであることもできる。DNA鎖スポット内に二重鎖部分のみを有するDNA鎖をさらに固定化することで、基板表面から離れた場所での一重鎖部分の周囲にある空間がより広がり、一重鎖部分をハイブリダイズ用の配列としてより利用し易くなるとともに、基板表面に近い場所では二重鎖部分をさらに密に存在させて、DNA鎖の横倒れを防止できるという利点がある。
【0028】
上記基板は、例えば、金属基板または金属被覆を有する基板であることができ、その場合、DNA鎖スポットとして、基板の金属表面には、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖に加えて、二重鎖部分のみを有するDNA鎖も硫黄原子を介して固定化される。また、上記基板は、ガラス基板またはシリコン基板であることもでき、その場合にも、DNA鎖スポットとして、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖に加えて、二重鎖部分のみを有するDNA鎖が硫黄原子を介して固定化される。
【0029】
上記のように二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖に加えて、二重鎖部分のみを有するDNA鎖も、DNA鎖スポットとして、基板表面に固定化する場合、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖と二重鎖部分のみを有するDNA鎖との固定化数の割合は、ハイブリダイズ用の配列である一重鎖部分の密度(密集度)を考慮して適宜決定できるが、例えば、99:1〜1:99の範囲、好ましくは99:1〜25:75の範囲であることが適当である。
【0030】
[基板の製造方法]
上記本発明の基板は、例えば、基板表面にプローブ核酸のスポットを少なくとも1個固定化する工程、及び、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液で基板表面をリンスする工程を含む方法により製造することができる。
【0031】
(基板表面にプローブ核酸のスポットを複数個固定化する工程)
例えば、基板が、金属基板または金属被覆を有する基板の場合、これら基板の金属表面に、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖を接触させて、前記DNA鎖スポットを前記金属表面に固定化させることができる。二重鎖部分及び一重鎖部分を有する二本鎖DNAは、前述のように、長さが異なる2本の一本鎖であって、短鎖の一本鎖DNAは、塩基配列が、長鎖の一本鎖DNAのいずれかの端からの塩基配列と、相補的である、2本の一本鎖をハイブリダイズすることで作製することができる。そして、例えば、短鎖の一本鎖DNAの5'端にチオール基を導入し、この短鎖の一本鎖DNAの配列と3'端側が相補的配列である長鎖の一本鎖DNAとをハイブリダイズさせれば、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖が得られる。一本鎖DNAの5'端へのチオール基の導入は、例えば、公知のC6合成方法を用いて行うことができる。(例えば、化学と生物実験ライン22、丹羽峰雄著、"DNAの化学合成"38〜43頁、廣川書店参照)また、短鎖の一本鎖DNAの配列と3'端側が相補的配列である長鎖の一本鎖DNAとのハイブリダイズも通常の方法と条件で適宜行うことができる。
【0032】
基板の金属表面へのDNA鎖スポットの形成は、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖を金属表面と接触させることが行うことができる。チオール基を有するDNA鎖の金属表面への固定化は例えば、J.Am.Chem.Soc.1998,120,9787-9792に記載され、公知の方法である。
【0033】
さらに、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖及び末端にチオール基を有する二重鎖部分のみからなるDNA鎖の所定割合の混合物を金属基板または金属被覆を有する基板の金属表面に、上記と同様に接触させることで、所定の割合で二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖及び二重鎖部分のみからなるDNA鎖スポットを金属表面に形成することもできる。
【0034】
基板は、基板がガラス基板またはシリコン基板の場合、例えば、これらの基板の表面をヘテロ2官能性架橋剤で表面処理し、表面処理した表面に、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖を接触させて、前記DNA鎖スポットを前記表面に形成させることもできる。二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖は上記の方法で製造することができる。
【0035】
上記のように、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖の二重鎖部分の末端にチオール基を導入するが、チオール基を導入する鎖は、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖の短鎖であっても、長鎖であっても良い。但し、二重鎖部分のみを構成する短鎖にチオール基を導入することが好ましい。何故なら、ハイブリダイゼーションに関与することになる一重鎖部分を有する長鎖を、短鎖とハイブリダイゼーションさせる以外の処理することなく、使用できるという利点があるからである。
【0036】
この固定化方法は、例えば、Nucleic Acids Research, 1996, Vol.24, No.15,3031-3039に記載されている。
上記ヘテロ2官能性架橋剤は、スクシンイミジル4−[マレイミドフェニル]ブチレート(SMPB)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、N−(γ−マレイミドブチロキシ)スクシンイミドエステル(GMBS)、m−マレイミドプロピオニックアシド−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MPS)及びN−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤であることができる。
【0037】
さらに、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖及び末端にチオール基を有する二重鎖部分のみからなるDNA鎖を所定割合で含む混合物を、ヘテロ2官能性架橋剤を表面処理したガラス基板またはシリコン基板の表面に接触させることで、前記2種のDNA鎖を所定割合で含むスポットを表面に形成させることができる。
【0038】
上記基板の金属表面に、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖、または二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖及び末端にチオール基を有する二重鎖部分のみからなるDNA鎖を所定割合で含む混合物を接触させて、前記DNA鎖スポットを前記金属表面に形成する方法においては、前記DNA鎖の金属表面への接触を、2価金属イオンの存在下で行うことが好ましい。2価金属イオンの存在下で行うことで、二重鎖部分の安定性が増加し、さらに二重鎖部分が凝集し、基板上で安定に存在するという利点がある。
また、2価金属イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、コバルトイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオン等を挙げることができる。これら2価金属イオンの濃度は、例えば、1〜1000mMの範囲とすることが適当である。
【0039】
同様に、上記ヘテロ2官能性架橋剤で表面処理した基板表面に、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖、または二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖及び末端にチオール基を有する二重鎖部分のみからなるDNA鎖を所定割合で含む混合物を接触させて、前記DNA鎖スポットを前記表面に形成させる方法においても、前記DNA鎖の表面への接触を、上記と同様の2価金属イオンの存在下で行うことが、上記と同様の理由で好ましい。
【0040】
DNA鎖スポットの形成は、公知のスポッティング法を用いて行うことができる。スポッティング法としては、例えば、マイクロアレイヤー法、インクジェット法、スポッター等を用いた手動法を挙げることができる。
【0041】
本発明の基板は、1つのスポットに複数のプローブ核酸が固定化され、さらにそのようなスポットが、1つの基板表面に複数形成されているものであることができる。1つのスポットの大きさや1つのスポットにおけるプローブ酸鎖の数(密度)は、基板の用途等を考慮して適宜決定できる。また、1つの基板に設けられるスポットの数も適宜決定できる。
【0042】
樹状核酸鎖のスポットを基板表面に形成した基板は、例えば、
(1)基板表面に主幹鎖核酸を固定化した基板を用意し、この基板の主幹鎖核酸にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせる方法、
(2)主幹鎖核酸にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせて樹状核酸鎖を用意し、この樹状核酸鎖を基板表面に固定化する方法や
(1)基板表面に主幹鎖核酸を固定化した基板を用意し、この基板の主幹鎖核酸に副幹鎖核酸をハイブリダイズさせ、さらにこの副幹鎖核酸(必要により、主幹鎖核酸)にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせる方法、
(2)主幹鎖核酸に副幹鎖核酸をハイブリダイズさせて樹状核酸鎖前駆体を用意し、この樹状核酸鎖前駆体を基板表面に固定化し、さらにこの樹状核酸鎖前駆体(副幹鎖核酸部分及び、必要により、主幹鎖核酸部分)にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせる方法、
(3)主幹鎖核酸に副幹鎖核酸をハイブリダイズさせさせて樹状核酸鎖前駆体を用意し、この樹状核酸鎖前駆体にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせて樹状核酸鎖を用意し、この樹状核酸鎖を基板表面に固定化する方法
で形成することができる。
主幹鎖核酸、副幹鎖核酸及びプローブ用一本鎖核酸は、いずれもそれぞれ公知の方法で入手することができる。例えば、公知の核酸合成方法を用いることや、天然物から切り出してくることもできる。
【0043】
(一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液で基板表面をリンスする工程)
本発明の製造方法では、上記で得られたプローブ核酸のスポットを形成した基板の表面を、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液でリンスする。
一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖は、例えば、基板表面と反応性の基として、チオール基を有するDNA鎖を挙げることができる。DNA鎖の5'端へのチオール基の導入は、例えば、公知のC6合成方法を用いて行うことができる。(例えば、化学と生物実験ライン22、丹羽峰雄著、"DNAの化学合成"38〜43頁、廣川書店参照)
さらに、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖としては、上記チオール基を有するDNA鎖以外に、例えば、アミノ基を有するDNA鎖、ビオチン、アビチン、ストレプトアビジンを有するDNA鎖等を挙げることもできる。
【0044】
一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液でのリンスは、例えば、核酸鎖がチオール基を有するDNA鎖である場合、0.1〜1000マイクロモルの範囲の濃度のチオール基を有するDNA鎖を含有する液(例えば、MgCl2含有水溶液)に、スポットを有する基板表面を3時間浸漬することでリンスして行うことができる。尚、DNA単分子膜形成には、マグネシウム等の2価金属イオンを共存させることが好ましい。リンス終了後、基板は余剰のDNAを、例えば、純水で洗浄することができる。
【0045】
[相補性を試験する方法]
本発明の相補性試験方法は、上記本発明の基板のプローブ核酸のスポットを固定化した表面にターゲット核酸を接触させ、ターゲット核酸とプローブ核酸との相補性を試験することを含む。より具体的には、プローブ核酸とハイブリダイズしたターゲット核酸の存在を適当な手段で検出して、相補性を試験する。
【0046】
ターゲット核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無の検出は、公知の方法を適宜使用できるが、例えば、表面プラズモン共鳴法または水晶振動子法により検出する方法を挙げることができる。
表面プラズモン共鳴法は、基板表面にレーザ光を照射し、基板表面で生じる表面プラズモン共鳴を測定することで基板表面に存在する膜等の厚みを測定する方法であり、ターゲット核酸とハイブリダイゼーションした核酸鎖の存在の有無を膜厚の違いとして認識し、ハイブリダイゼーションの有無を検出する。
表面プラズモン共鳴法では、ターゲット核酸や基板に固定する核酸鎖に標識を付す必要がなく、簡便にハイブリダイゼーションの有無を検出することができる。
【0047】
水晶振動子法は、水晶振動子の電極への物質の付着による振動数の減少から付着物の質量を求める方法である(例えば、Chem. Rev.,1992,92,1355-1379参照)。
【0048】
ターゲット核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無の検出は、例えば、ターゲット核酸が蛍光標識を有するDNAであり、プローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無を蛍光により検出することによっても行うことができる。蛍光標識を有するDNA及びハイブリダイゼーションの有無を蛍光により検出する方法も公知であり、本発明では、それら公知の技術をそのまま使用することができる。
【0049】
本発明の相補性試験方法では、塩基のミスマッチを含むターゲット核酸を検出することもできる。即ち、本発明の相補性試験方法では、完全相補的なターゲット核酸は、ハイブリダイゼーションをするが、一塩基ミスマッチを含むターゲット核酸は、ハイブリダイゼーションをせず、その結果、一塩基ミスマッチを含むターゲット核酸を検出することもできる。
【0050】
本発明の相補性試験方法では、基板表面へのターゲット核酸の接触を、2価金属イオンの存在下で行うことがハイブリダイゼーション後の二重鎖部分の安定性という観点から好ましい。2価金属イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、コバルトイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオン等を挙げることができる。これら2価金属イオンの濃度は、例えば、1〜1000mMの範囲とすることが適当である。
【0051】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに説明する。
実施例1
以下の4種類のDNAオリゴマーを用意した。
20merSH:
5'-ATgCATgCATTAgCATgCTA-3' (配列番号1)
5'末端チオール化
50merP:
5'-TggAgAACTgATCgACACAgTTTTTTTTTTTAgCATgCTAATgCATgCAT-3' (配列番号2)
(5'末端から20塩基がプローブ用領域、10塩基(TTTTTTTTTT)がスペーサ、20塩基が20merSHとのハイブリダイズ領域)
20merM:
5'-CTgTgTCgATCAgTTCTCCA-3' (配列番号3)
【0052】
[チオール化したDNAオリゴマーの合成]
5'末端チオール化した20merSHは公知のC6合成方法を用いて合成した。(例えば、化学と生物実験ライン22、丹羽峰雄著、"DNAの化学合成"38〜43頁、廣川書店参照)
【0053】
[プローブDNAの調製方法]
上記50merPと20merSHとを1:1の割合でパッファー溶液に溶解させ、この溶液を95℃まで過熱し、次いで室温まで放冷して一部をハイブリダイズさせた後、エタノールを加えてDNAを沈殿させた。得られたDNAを凍結乾燥することにより溶媒を除去して、図2に示すプローブDNA(樹状DNA)を得た。得られたDNAの構造は、電気泳動法により確認した。
【0054】
[チオール化した二重鎖DNAオリゴマーの金表面への固定化]
図2に示すように、上記プローブDNA及び20mer/20merSH複合体を用い、以下の条件でチオール化した二重鎖DNAオリゴマーの金基板表面への固定化を行った。固定化のためのリンス工程は、上記20mer/20merSH水溶液にプローブDNAを有する基板を3時間浸漬して行った。得られた基板の断面説明図を図1に示す。
バッファーの種類:MgCl2(H2O)6を20mMの濃度に調整し、この溶液を120℃で20分間滅菌した後、溶媒として使用した。
チオール化した二重鎖DNAオリゴマー濃度:0.75OD(約3.0マイクロツ求j。
温度:20℃
後処理: 溶媒(純水)で基板表面をリンスして過剰のDNAを洗い流した。
【0055】
[ハイブリダイゼーション実験]
上記で得られたプローブDNAを固定化した基板にターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせた。
プローブ DNA のプローブ部位へ相補的に相互作用が期待される5'-CTGTGTCGATCAGTTCTCCA-3'(20merM)(配列番号3)をターゲットDNAとして用いた。
さらに塩基の互変異性構造(塩基のミスマッチング)の検出実験のために、20merMと1つだけ塩基配列が異なる 5'-CTGTGTCAATCAGTTCTCCA-3'(20merS)(配列番号4)をコントロールDNAとして用いた。
ハイブリダイゼーションのためにDNAを溶解させる溶媒としては20mMのMgCl2水溶液を用いた。ハイブリダイゼーションの温度は20℃とし、2時間行った。
【0056】
[DNA単分子膜の評価の具体的方法]
金属固体基板上へ吸着およびターゲットDNAと基板に固定化したプローブDNAとの相互作用(ハイブリダイゼーション)は表面プラズモン共鳴によりその場観察を行なった。
また、DNA単分子膜の評価は原子間力顕微鏡(AFM: NanoScopeIII, DigitalInstruments、大気中においてタッピングモードで測定)光電子分光法(XPS: ESCALAB 250system, Thermo VG Scientific)、反射赤外分光法(IR-RAS: Infinity60AR, Mattson 入射角80度)により行なった。これらの測定から均一な単分子膜の形成が確認された。
【0057】
[DNA固定化の確認]
上記プローブDNAの金基板表面への固定化の状況を、表面プラズモン共鳴によりその場観察し、結果を図2及び3に示す。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、バックグランドのノイズを効率的に低減させた、基板表面にDNA鎖を固定化したハイブリダイゼーション用基板を提供し、さらにこの基板を用いた相補性試験方法を提供することができる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDNA単分子膜でブロッキングされた基板の断面説明図。
【図2】実施例で得られた基板にターゲットDNA 5'-CTGTGTCGATCAGTTCTCCA-3'(20merM)をハイブリダイズさせた状況を表面プラズモン共鳴によりその場観察した結果。
【図3】実施例で得られた基板にターゲットDNA 5'-CTGTGTCGATCAGTTCTCCA-3'(20merM)をハイブリダイズさせたスポットとバックグランド(DNA単分子膜)の表面プラズモン共鳴の強度。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリダイゼーション用基板、及びこの基板を使用する相補性試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決すべき課題】
遺伝子診断や病原菌の特定、あるいは一塩基多型の検出等、ある種の核酸(標的核酸)を検出する目的で核酸プローブが用いられる。核酸プローブは標的核酸と混合され、核酸プローブと標的核酸とのハイブリダイズの有無を、例えば、核酸プローブが有する、蛍光標識等の標識を用いて検知する。
上記核酸プローブとしては、DNA合成機により容易に合成できるという理由から、DNAプローブが主に使用されている。また、標的核酸とハイブリダイズした核酸プローブを検知しやすいという観点から、蛍光標識を用いることが多いが、蛍光標識以外に、RIなどが用いられる場合もある。
そして、近年、多数の核酸プローブを基材に固定したDNAチップやDNAマイクロアレーが実用されるようになり、標的核酸の検出に使用されている。
【0003】
DNAチップやDNAマイクロアレーの作製においては、基板にDNAの集団を島状に(スポットとして)点在させて固定化する必要がある。DNAの固定化には、例えば、チオールを一本鎖DNAに接合させ、チオール化した一本鎖DNAを、例えば、金属基板に固定化する方法が取られている。そして、固定化されたDNAに被検体であるターゲットDNAを作用させ、ハイブリダイゼーションの有無を検出する。ハイブリダイゼーションの有無の検出には、例えば、表面プラズモン法や蛍光法が用いられる。ターゲットDNAとハイブリダイズした固定化DNAのスポットを表面プラズモンや蛍光を測定することにより、検出する。
【0004】
より多くの検体を一度に試験するためには、DNAチップやDNAマイクロアレーの集積度を上げる必要が有り、そのためには、固定化DNAのスポットのサイズを小さくし、かつ密度を高めていく必要がある。一方、集積度を上げると、スポットから得られる表面プラズモンや蛍光の強度は低下し、SN比が低下し、一定以上の集積度になると検出不能になる。また、従来のサイズのスポットにおいてもシグナルの強度を高めるために、種々の工夫をすることで、測定可能な状態を作り出している。
【0005】
SN比の向上を目的として、DNAを固定化したスポットの周辺の基板表面をブロッキングする方法が幾つか提案されている。
例えば、化学修飾法と呼ばれる方法がある(非特許文献1)。
化学修飾法では、コハク酸を修飾剤として用いる。しかし、コハク酸を用いて基板表面を処理する際に使用できる溶媒が限られ、かつ加熱処理も必要である。
従って、化学修飾法を利用できる範囲は限られている。
【0006】
別の方法として、生体物質前処理法が知られている(非特許文献1)。
非特許文献1に記載の方法は、ブロッキング剤としてBSA(牛血清アルブミン)や鮭精子DNAを用いた例が記載されている。また、特許文献1には、合成ヌクレオチドをブロッキング剤として用いた例が記載されている。
しかし、これらのブロッキング剤を用いた例では、ブロッキング剤の基板への吸着効率が一定でないため、却ってバックグランドのノイズを高めてしまっていた。
【0007】
【非特許文献1】
HYPERLINK "http://www.schott.com/health/english/products/coatedsubstrates/download/cdna"http://www.schott.com/health/english/products/coatedsubstrates/download/cdna#microarray#protocol.pdf
【特許文献1】
特開平5-199898号公報
【0008】
そこで本発明の目的は、バックグランドのノイズを効率的に低減させた、基板表面にDNA鎖を固定化したハイブリダイゼーション用基板を提供し、さらにこの基板を用いた相補性試験方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は以下のとおりである。
(1)プローブ核酸のスポットを少なくとも1個基板表面に固定化し、かつ少なくとも前記スポットの周辺の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されているハイブリダイゼーション用基板。
(2)前記スポット以外の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されている(1)に記載の基板。
(3)核酸の単分子膜が、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を基板表面に反応させることにより形成されたものである(1)または(2)に記載の基板。
(4)プローブ核酸がDNA、RNAまたはPNAである(1)〜(3)のいずれかに記載の基板。
(5)核酸の単分子膜がDNA、RNAまたはPNAの単分子膜である(1)〜(4)のいずれかに記載の基板。
(6)単分子膜を構成する核酸の長さが5〜100merの範囲である(1)〜(5)のいずれかに記載の基板。
(7)基板表面が金属、ガラスまたはシリコンである(1)〜(6)のいずれかに記載の基板。
(8)基板表面にプローブ核酸のスポットを少なくとも1個固定化する工程、及び、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液で基板表面をリンスする工程を含む(1)〜(7)のいずれかに記載のハイブリダイゼーション用基板の製造方法。
(9)(1)〜(7)のいずれかに記載の基板のプローブ核酸のスポットを固定化した表面にターゲット核酸を接触させ、前記ターゲット核酸と前記プローブ核酸との相補性を試験する方法。
(10)プローブ核酸のスポットを固定化した表面へのターゲット核酸の接触を、2価金属イオンの存在下で行う(9)に記載の方法。
(11)2価金属イオンがマグネシウムイオンである(10)に記載の方法。
(12)ターゲット核酸と前記プローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無を表面プラズモン共鳴法または水晶振動子法により検出する(9)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)ターゲット核酸が蛍光標識を有する核酸であり、前記プローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無を蛍光により検出する(9)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(14)塩基のミスマッチを含むターゲット核酸を検出するための(9)〜(13)のいずれかに記載の方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
[基板]
本発明のハイブリダイゼーション用基板では、プローブ核酸のスポットを少なくとも1個基板表面に固定化し、かつ少なくとも前記スポットの周辺の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されている。
本発明のハイブリダイゼーション用基板においてプローブ核酸のスポットには、特に制限はない。例えば、アフィメトリクス型のDNAマイクロアレーに固定された一本鎖DNAスポットやスタンフォード型のDNAマイクロアレーに固定された一本鎖DNAスポットであっても良い。プローブ核酸のスポットについては後述する。
【0011】
本発明のハイブリダイゼーション用基板は、スポットの周辺の基板表面、好ましくは、スポットが固定化された以外の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されている。
核酸の単分子膜は、例えば、DNA、RNAまたはPNAの単分子膜であることができる。単分子膜を構成する核酸の長さは、プローブ核酸の長さよりも短く、かつ二本鎖の熱的安定性を考慮して適宜決定することができるが、例えば、5〜100merの範囲であることができ、好ましくは10〜50merの範囲、より好ましくは10〜20merの範囲である。
より具体的には、プローブ核酸の長さが40merであり、かつプローブ核酸のプローブとして働く核酸領域が20merである場合、単分子膜を構成する核酸の長さは、例えば、10〜20merの範囲であることが適当である。
【0012】
核酸の単分子膜は、例えば、一端に基板表面と反応性を示す基を有する核酸鎖を基板表面に反応させることにより形成されたものであることができる。また、基板表面は、例えば、金属、ガラスまたはシリコンであることができ、これらの基板を用いることで核酸鎖を基板表面に反応させることができる。
より具体的には、基板は、例えば、金属基板または金属被覆を有する基板であることができ、また、上記基板は、ガラス基板またはシリコン基板であることもできる。
【0013】
基板表面への単分子膜を構成する核酸の被覆の密度は、核酸のモル数から計算することができ、例えば、5000−8000億個/cm2(理論計算)の範囲とすることができる。
【0014】
例えば、単分子膜を構成する核酸がDNAの場合、DNA鎖の基板表面への固定化は、基板が金属基板または金属被覆を有する基板である場合、基板の金属表面にDNA鎖を硫黄原子を介して固定化させることができる。金属基板としては、例えば、金、銀、クロム、ガリウム、ニッケル、オネジウム等の金属製の基板を挙げることができる。また、金属被覆を有する基板としては、ガラス、マイカ(雲母)等の基板の表面に、金、銀、クロム、ガリウム、ニッケル、オネジウム等の金属被覆を設けた基板を挙げることができる。
基板の金属表面へのDNA鎖の硫黄原子を介しての固定化については基板の製造方法において詳述する。
【0015】
また、DNA鎖の基板表面への固定化は、例えば、基板がガラス基板またはシリコン基板である場合、基板の表面に前記DNA鎖が硫黄原子を介して固定化させることができる。ガラス基板としては、一般的なスライドガラス等のガラス基板を挙げることができる。また、シリコン基板は、シリコンウエハ等であることができる。
基板の表面へのDNA鎖の硫黄原子を介しての固定化については基板の製造方法において詳述する。
【0016】
スポットを構成するプローブ核酸には特に制限はないが、例えば、少なくとも一部が基板表面に固定されており、かつ少なくとも一部が一本鎖である主幹鎖核酸、及び前記主幹鎖核酸の一本鎖部分の少なくとも一部に部分的にハイブリダイズしている少なくとも1つのプローブ用一本鎖核酸を含む樹状核酸鎖であることができる。この樹状核酸鎖は、1つの主幹鎖核酸と1つまたは2つ以上のプローブ用一本鎖核酸とからなり、プローブ用一本鎖核酸の一部は、主幹鎖核酸の一本鎖部分にハイブリダイズしている。
【0017】
また、スポットを構成するプローブ核酸は、例えば、少なくとも一部が基板表面に固定されており、かつ少なくとも一部が一本鎖である主幹鎖核酸、前記主幹鎖核酸の一本鎖の少なくとも一部に部分的にハイブリダイズしている一本鎖である少なくとも1つの副幹鎖核酸、並びに前記主幹鎖核酸の一本鎖の少なくとも一部に部分的にハイブリダイズしている少なくとも1つのプローブ用一本鎖核酸及び/又は前記副幹鎖核酸の少なくとも一部に部分的にハイブリダイズしている少なくとも1つのプローブ用一本鎖核酸を含む樹状核酸鎖であることもできる。この樹状核酸鎖は、1つの主幹鎖核酸と1つまたは2つ以上の副幹鎖核酸と1つまたは2つ以上のプローブ用一本鎖核酸とからなり、副幹鎖核酸の一部は、主幹鎖核酸の一本鎖部分にハイブリダイズしており、プローブ用一本鎖核酸の一部は、主幹鎖核酸の一本鎖部分または副幹鎖核酸にハイブリダイズしている。
【0018】
上記樹状核酸鎖はともに、樹状核酸鎖を構成する1つの主幹鎖核酸を有し、かつ主幹鎖核酸は少なくとも一部が基板表面に固定されており、かつ少なくとも一部が一本鎖である。
以下に、主幹鎖核酸についてさらに説明する。
主幹鎖核酸は少なくとも一部が基板表面に固定されており、例えば、一端が基板表面に固定され、他端が基板表面から遊離しているものである場合、両端がともに基板表面に固定され、途中が基板表面から遊離しているものである場合、途中が基板表面に固定され、両方の末端が基板表面から遊離しているものである場合、のいずれかであることができる。但し、一端が基板表面に固定され、他端が基板表面から遊離しているものであることが、製造のし易さという観点では好ましい。
【0019】
一端が基板表面に固定され、他端が基板表面から遊離している主幹鎖核酸は、基板表面に固定されている部分は二本鎖であり、基板表面から遊離している部分が一本鎖である核酸であることができる。主幹鎖核酸は、例えば、DNA、RNA、PNA等であることができる。さらに、主幹鎖核酸の一本鎖は、プローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせるための配列部分を少なくとも一カ所有する。プローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせるための配列部分の数は、特に制限はないが、1つの樹状核酸鎖におけるプローブ領域の所望の数に応じて適宜決定できる。また、プローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせるための配列部分の数は、ハイブリダイズさせる領域の塩基数(長さ)と準備できる主幹鎖核酸塩基数(長さ)等を考慮することでも適宜決定できる。プローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせるための配列部分は、プローブ用一本鎖核酸のハイブリダイズ領域と相補性であれば特に制限はなく、ハイブリダイズの安定性という観点からは、塩基数が10〜30の間であることが適当であり、10〜20であることが好ましく、15であることが特に好ましい。但し、この範囲に限定する意図ではない。
【0020】
主幹鎖核酸の一本鎖は、基板表面から遊離している部分の途中または先端に、プローブ領域を有することもできる。
主幹鎖核酸が、一端が基板表面に固定され、他端が基板表面から遊離しているものである場合、及び途中が基板表面に固定され、両方の末端が基板表面から遊離しているものである場合には、基板表面から遊離している部分の先端に、プローブ領域を有することもできる。両端がともに基板表面に固定され、途中が基板表面から遊離しているものである場合には、基板表面から遊離している部分の途中(基板表面に固定された両端からほぼ等距離(等塩基数)の位置)に、プローブ領域を有することもできる。
主幹鎖核酸の一本鎖が有するプローブ領域の配列及び塩基数は、本発明の基板の使用用途に応じて適宜決定することができる。
【0021】
主幹鎖核酸の構造や基板表面への固定化方法は、特に限定は無い。例えば、アフィメトリクス型のDNAマイクロアレーに固定された一本鎖DNAやスタンフォード型のDNAマイクロアレーに固定された一本鎖DNAであっても良い。
この固定化された一本鎖DNAに対して、相補的塩基配列部分を持つ、少なくとも1つの一本鎖副幹鎖DNAを、固体基板上で固定化一本鎖DNAハイブリダイゼーションさせることにより、樹状DNAを作製することが可能である。
【0022】
あるいは、主幹鎖核酸は、例えば、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖であって、二重鎖部分側が基板表面に固定化されている物であることができる。このDNA鎖は、一方の鎖が他方の鎖よりも長く、ある部分は二重鎖であり、残りの部分が一重鎖であり、二重鎖部分から始まり、途中から最後まで一重鎖部分である。主幹鎖核酸はDNA鎖でなく、例えば、二重鎖部分及び一重鎖部分のいずれかの一本鎖がRNAであってもよい。また、二重鎖部のみからなる鎖のいずれかの一本鎖がRNAであってもよい。
また、主幹鎖核酸は、例えば、両端にそれぞれ二重鎖部分を有し、中間部分に一重鎖部分を有するDNA鎖であって、両端の二重鎖部分が基板表面に固定化されている物であることもできる。
【0023】
二重鎖部分の塩基数及び一重鎖部分の塩基数には特に制限や限定はないが、二重鎖部分の塩基数は、例えば、二重鎖部分の安定性という観点から10〜80の範囲とすることができ、一重鎖部分の塩基数は、ハイブリダイズさせるプローブ用一本鎖核酸や副幹鎖核酸の数やハイブリダイズさせるための領域の長さを考慮して適宜決定でき、例えば、20〜90の範囲であることができる。但し、これより長いものであっても製造可能であり、利用できる。
上記のようなDNA鎖は、長さが異なる2本の一本鎖であって、短鎖の一本鎖DNAは、塩基配列が、長鎖の一本鎖DNAのいずれかの端からの塩基配列と、相補的である、2本の一本鎖をハイブリダイズすることで作製することができる。
【0024】
上記二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖は、二重鎖部分側で基板表面に固定化されている。このような構造を有することで、基板表面寄りには、二重鎖部分があるが、基板表面から離れた場所では、DNA鎖は一重鎖部分となり、一重鎖部分の周囲にはある程度の空間が生じ、一重鎖部分をハイブリダイズ用の配列として利用し易くなり、かつ基板表面に近い場所では二重鎖部分を密に存在させて、DNA鎖の横倒れを防止できるという利点がある。
尚、前述のように、単分子膜を構成する核酸は、上記二重鎖部分と同等またはそれ以下の長さを有することが、一重鎖部分のターゲット核酸とのハイブリダイズを阻害しないという観点から、好ましい。
【0025】
DNA鎖スポットの基板表面への固定化は、単分子膜の場合と同様に、例えば、基板が金属基板または金属被覆を有する基板である場合、基板の金属表面にDNA鎖が硫黄原子を介して固定化させることができる。金属基板としては、例えば、金、銀、クロム、ガリウム、ニッケル、オネジウム等の金属製の基板を挙げることができる。また、金属被覆を有する基板としては、ガラス、マイカ(雲母)等の基板の表面に、金、銀、クロム、ガリウム、ニッケル、オネジウム等の金属被覆を設けた基板を挙げることができる。
基板の金属表面へのDNA鎖の硫黄原子を介しての固定化については基板の製造方法において詳述する。
【0026】
また、DNA鎖スポットの基板表面への固定化は、例えば、基板がガラス基板またはシリコン基板である場合、基板の表面に前記DNA鎖が硫黄原子を介して固定化させることができる。ガラス基板としては、一般的なスライドガラス等のガラス基板を挙げることができる。また、シリコン基板は、シリコンウエハ等であることができる。
基板の表面へのDNA鎖スポットの硫黄原子を介しての固定化については基板の製造方法において詳述する。
【0027】
上記DNA鎖スポットは、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖に加えて、二重鎖部分のみを有するDNA鎖が前記基板の表面にさらに固定化されているものであることもできる。DNA鎖スポット内に二重鎖部分のみを有するDNA鎖をさらに固定化することで、基板表面から離れた場所での一重鎖部分の周囲にある空間がより広がり、一重鎖部分をハイブリダイズ用の配列としてより利用し易くなるとともに、基板表面に近い場所では二重鎖部分をさらに密に存在させて、DNA鎖の横倒れを防止できるという利点がある。
【0028】
上記基板は、例えば、金属基板または金属被覆を有する基板であることができ、その場合、DNA鎖スポットとして、基板の金属表面には、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖に加えて、二重鎖部分のみを有するDNA鎖も硫黄原子を介して固定化される。また、上記基板は、ガラス基板またはシリコン基板であることもでき、その場合にも、DNA鎖スポットとして、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖に加えて、二重鎖部分のみを有するDNA鎖が硫黄原子を介して固定化される。
【0029】
上記のように二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖に加えて、二重鎖部分のみを有するDNA鎖も、DNA鎖スポットとして、基板表面に固定化する場合、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖と二重鎖部分のみを有するDNA鎖との固定化数の割合は、ハイブリダイズ用の配列である一重鎖部分の密度(密集度)を考慮して適宜決定できるが、例えば、99:1〜1:99の範囲、好ましくは99:1〜25:75の範囲であることが適当である。
【0030】
[基板の製造方法]
上記本発明の基板は、例えば、基板表面にプローブ核酸のスポットを少なくとも1個固定化する工程、及び、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液で基板表面をリンスする工程を含む方法により製造することができる。
【0031】
(基板表面にプローブ核酸のスポットを複数個固定化する工程)
例えば、基板が、金属基板または金属被覆を有する基板の場合、これら基板の金属表面に、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖を接触させて、前記DNA鎖スポットを前記金属表面に固定化させることができる。二重鎖部分及び一重鎖部分を有する二本鎖DNAは、前述のように、長さが異なる2本の一本鎖であって、短鎖の一本鎖DNAは、塩基配列が、長鎖の一本鎖DNAのいずれかの端からの塩基配列と、相補的である、2本の一本鎖をハイブリダイズすることで作製することができる。そして、例えば、短鎖の一本鎖DNAの5'端にチオール基を導入し、この短鎖の一本鎖DNAの配列と3'端側が相補的配列である長鎖の一本鎖DNAとをハイブリダイズさせれば、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖が得られる。一本鎖DNAの5'端へのチオール基の導入は、例えば、公知のC6合成方法を用いて行うことができる。(例えば、化学と生物実験ライン22、丹羽峰雄著、"DNAの化学合成"38〜43頁、廣川書店参照)また、短鎖の一本鎖DNAの配列と3'端側が相補的配列である長鎖の一本鎖DNAとのハイブリダイズも通常の方法と条件で適宜行うことができる。
【0032】
基板の金属表面へのDNA鎖スポットの形成は、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖を金属表面と接触させることが行うことができる。チオール基を有するDNA鎖の金属表面への固定化は例えば、J.Am.Chem.Soc.1998,120,9787-9792に記載され、公知の方法である。
【0033】
さらに、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖及び末端にチオール基を有する二重鎖部分のみからなるDNA鎖の所定割合の混合物を金属基板または金属被覆を有する基板の金属表面に、上記と同様に接触させることで、所定の割合で二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖及び二重鎖部分のみからなるDNA鎖スポットを金属表面に形成することもできる。
【0034】
基板は、基板がガラス基板またはシリコン基板の場合、例えば、これらの基板の表面をヘテロ2官能性架橋剤で表面処理し、表面処理した表面に、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖を接触させて、前記DNA鎖スポットを前記表面に形成させることもできる。二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖は上記の方法で製造することができる。
【0035】
上記のように、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖の二重鎖部分の末端にチオール基を導入するが、チオール基を導入する鎖は、二重鎖部分及び一重鎖部分を有するDNA鎖の短鎖であっても、長鎖であっても良い。但し、二重鎖部分のみを構成する短鎖にチオール基を導入することが好ましい。何故なら、ハイブリダイゼーションに関与することになる一重鎖部分を有する長鎖を、短鎖とハイブリダイゼーションさせる以外の処理することなく、使用できるという利点があるからである。
【0036】
この固定化方法は、例えば、Nucleic Acids Research, 1996, Vol.24, No.15,3031-3039に記載されている。
上記ヘテロ2官能性架橋剤は、スクシンイミジル4−[マレイミドフェニル]ブチレート(SMPB)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、N−(γ−マレイミドブチロキシ)スクシンイミドエステル(GMBS)、m−マレイミドプロピオニックアシド−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MPS)及びN−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤であることができる。
【0037】
さらに、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖及び末端にチオール基を有する二重鎖部分のみからなるDNA鎖を所定割合で含む混合物を、ヘテロ2官能性架橋剤を表面処理したガラス基板またはシリコン基板の表面に接触させることで、前記2種のDNA鎖を所定割合で含むスポットを表面に形成させることができる。
【0038】
上記基板の金属表面に、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖、または二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖及び末端にチオール基を有する二重鎖部分のみからなるDNA鎖を所定割合で含む混合物を接触させて、前記DNA鎖スポットを前記金属表面に形成する方法においては、前記DNA鎖の金属表面への接触を、2価金属イオンの存在下で行うことが好ましい。2価金属イオンの存在下で行うことで、二重鎖部分の安定性が増加し、さらに二重鎖部分が凝集し、基板上で安定に存在するという利点がある。
また、2価金属イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、コバルトイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオン等を挙げることができる。これら2価金属イオンの濃度は、例えば、1〜1000mMの範囲とすることが適当である。
【0039】
同様に、上記ヘテロ2官能性架橋剤で表面処理した基板表面に、二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖、または二重鎖部分及び一重鎖部分を有し、かつ前記二重鎖部分の末端にチオール基を有するDNA鎖及び末端にチオール基を有する二重鎖部分のみからなるDNA鎖を所定割合で含む混合物を接触させて、前記DNA鎖スポットを前記表面に形成させる方法においても、前記DNA鎖の表面への接触を、上記と同様の2価金属イオンの存在下で行うことが、上記と同様の理由で好ましい。
【0040】
DNA鎖スポットの形成は、公知のスポッティング法を用いて行うことができる。スポッティング法としては、例えば、マイクロアレイヤー法、インクジェット法、スポッター等を用いた手動法を挙げることができる。
【0041】
本発明の基板は、1つのスポットに複数のプローブ核酸が固定化され、さらにそのようなスポットが、1つの基板表面に複数形成されているものであることができる。1つのスポットの大きさや1つのスポットにおけるプローブ酸鎖の数(密度)は、基板の用途等を考慮して適宜決定できる。また、1つの基板に設けられるスポットの数も適宜決定できる。
【0042】
樹状核酸鎖のスポットを基板表面に形成した基板は、例えば、
(1)基板表面に主幹鎖核酸を固定化した基板を用意し、この基板の主幹鎖核酸にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせる方法、
(2)主幹鎖核酸にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせて樹状核酸鎖を用意し、この樹状核酸鎖を基板表面に固定化する方法や
(1)基板表面に主幹鎖核酸を固定化した基板を用意し、この基板の主幹鎖核酸に副幹鎖核酸をハイブリダイズさせ、さらにこの副幹鎖核酸(必要により、主幹鎖核酸)にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせる方法、
(2)主幹鎖核酸に副幹鎖核酸をハイブリダイズさせて樹状核酸鎖前駆体を用意し、この樹状核酸鎖前駆体を基板表面に固定化し、さらにこの樹状核酸鎖前駆体(副幹鎖核酸部分及び、必要により、主幹鎖核酸部分)にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせる方法、
(3)主幹鎖核酸に副幹鎖核酸をハイブリダイズさせさせて樹状核酸鎖前駆体を用意し、この樹状核酸鎖前駆体にプローブ用一本鎖核酸をハイブリダイズさせて樹状核酸鎖を用意し、この樹状核酸鎖を基板表面に固定化する方法
で形成することができる。
主幹鎖核酸、副幹鎖核酸及びプローブ用一本鎖核酸は、いずれもそれぞれ公知の方法で入手することができる。例えば、公知の核酸合成方法を用いることや、天然物から切り出してくることもできる。
【0043】
(一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液で基板表面をリンスする工程)
本発明の製造方法では、上記で得られたプローブ核酸のスポットを形成した基板の表面を、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液でリンスする。
一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖は、例えば、基板表面と反応性の基として、チオール基を有するDNA鎖を挙げることができる。DNA鎖の5'端へのチオール基の導入は、例えば、公知のC6合成方法を用いて行うことができる。(例えば、化学と生物実験ライン22、丹羽峰雄著、"DNAの化学合成"38〜43頁、廣川書店参照)
さらに、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖としては、上記チオール基を有するDNA鎖以外に、例えば、アミノ基を有するDNA鎖、ビオチン、アビチン、ストレプトアビジンを有するDNA鎖等を挙げることもできる。
【0044】
一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液でのリンスは、例えば、核酸鎖がチオール基を有するDNA鎖である場合、0.1〜1000マイクロモルの範囲の濃度のチオール基を有するDNA鎖を含有する液(例えば、MgCl2含有水溶液)に、スポットを有する基板表面を3時間浸漬することでリンスして行うことができる。尚、DNA単分子膜形成には、マグネシウム等の2価金属イオンを共存させることが好ましい。リンス終了後、基板は余剰のDNAを、例えば、純水で洗浄することができる。
【0045】
[相補性を試験する方法]
本発明の相補性試験方法は、上記本発明の基板のプローブ核酸のスポットを固定化した表面にターゲット核酸を接触させ、ターゲット核酸とプローブ核酸との相補性を試験することを含む。より具体的には、プローブ核酸とハイブリダイズしたターゲット核酸の存在を適当な手段で検出して、相補性を試験する。
【0046】
ターゲット核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無の検出は、公知の方法を適宜使用できるが、例えば、表面プラズモン共鳴法または水晶振動子法により検出する方法を挙げることができる。
表面プラズモン共鳴法は、基板表面にレーザ光を照射し、基板表面で生じる表面プラズモン共鳴を測定することで基板表面に存在する膜等の厚みを測定する方法であり、ターゲット核酸とハイブリダイゼーションした核酸鎖の存在の有無を膜厚の違いとして認識し、ハイブリダイゼーションの有無を検出する。
表面プラズモン共鳴法では、ターゲット核酸や基板に固定する核酸鎖に標識を付す必要がなく、簡便にハイブリダイゼーションの有無を検出することができる。
【0047】
水晶振動子法は、水晶振動子の電極への物質の付着による振動数の減少から付着物の質量を求める方法である(例えば、Chem. Rev.,1992,92,1355-1379参照)。
【0048】
ターゲット核酸とプローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無の検出は、例えば、ターゲット核酸が蛍光標識を有するDNAであり、プローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無を蛍光により検出することによっても行うことができる。蛍光標識を有するDNA及びハイブリダイゼーションの有無を蛍光により検出する方法も公知であり、本発明では、それら公知の技術をそのまま使用することができる。
【0049】
本発明の相補性試験方法では、塩基のミスマッチを含むターゲット核酸を検出することもできる。即ち、本発明の相補性試験方法では、完全相補的なターゲット核酸は、ハイブリダイゼーションをするが、一塩基ミスマッチを含むターゲット核酸は、ハイブリダイゼーションをせず、その結果、一塩基ミスマッチを含むターゲット核酸を検出することもできる。
【0050】
本発明の相補性試験方法では、基板表面へのターゲット核酸の接触を、2価金属イオンの存在下で行うことがハイブリダイゼーション後の二重鎖部分の安定性という観点から好ましい。2価金属イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、コバルトイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオン等を挙げることができる。これら2価金属イオンの濃度は、例えば、1〜1000mMの範囲とすることが適当である。
【0051】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに説明する。
実施例1
以下の4種類のDNAオリゴマーを用意した。
20merSH:
5'-ATgCATgCATTAgCATgCTA-3' (配列番号1)
5'末端チオール化
50merP:
5'-TggAgAACTgATCgACACAgTTTTTTTTTTTAgCATgCTAATgCATgCAT-3' (配列番号2)
(5'末端から20塩基がプローブ用領域、10塩基(TTTTTTTTTT)がスペーサ、20塩基が20merSHとのハイブリダイズ領域)
20merM:
5'-CTgTgTCgATCAgTTCTCCA-3' (配列番号3)
【0052】
[チオール化したDNAオリゴマーの合成]
5'末端チオール化した20merSHは公知のC6合成方法を用いて合成した。(例えば、化学と生物実験ライン22、丹羽峰雄著、"DNAの化学合成"38〜43頁、廣川書店参照)
【0053】
[プローブDNAの調製方法]
上記50merPと20merSHとを1:1の割合でパッファー溶液に溶解させ、この溶液を95℃まで過熱し、次いで室温まで放冷して一部をハイブリダイズさせた後、エタノールを加えてDNAを沈殿させた。得られたDNAを凍結乾燥することにより溶媒を除去して、図2に示すプローブDNA(樹状DNA)を得た。得られたDNAの構造は、電気泳動法により確認した。
【0054】
[チオール化した二重鎖DNAオリゴマーの金表面への固定化]
図2に示すように、上記プローブDNA及び20mer/20merSH複合体を用い、以下の条件でチオール化した二重鎖DNAオリゴマーの金基板表面への固定化を行った。固定化のためのリンス工程は、上記20mer/20merSH水溶液にプローブDNAを有する基板を3時間浸漬して行った。得られた基板の断面説明図を図1に示す。
バッファーの種類:MgCl2(H2O)6を20mMの濃度に調整し、この溶液を120℃で20分間滅菌した後、溶媒として使用した。
チオール化した二重鎖DNAオリゴマー濃度:0.75OD(約3.0マイクロツ求j。
温度:20℃
後処理: 溶媒(純水)で基板表面をリンスして過剰のDNAを洗い流した。
【0055】
[ハイブリダイゼーション実験]
上記で得られたプローブDNAを固定化した基板にターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせた。
プローブ DNA のプローブ部位へ相補的に相互作用が期待される5'-CTGTGTCGATCAGTTCTCCA-3'(20merM)(配列番号3)をターゲットDNAとして用いた。
さらに塩基の互変異性構造(塩基のミスマッチング)の検出実験のために、20merMと1つだけ塩基配列が異なる 5'-CTGTGTCAATCAGTTCTCCA-3'(20merS)(配列番号4)をコントロールDNAとして用いた。
ハイブリダイゼーションのためにDNAを溶解させる溶媒としては20mMのMgCl2水溶液を用いた。ハイブリダイゼーションの温度は20℃とし、2時間行った。
【0056】
[DNA単分子膜の評価の具体的方法]
金属固体基板上へ吸着およびターゲットDNAと基板に固定化したプローブDNAとの相互作用(ハイブリダイゼーション)は表面プラズモン共鳴によりその場観察を行なった。
また、DNA単分子膜の評価は原子間力顕微鏡(AFM: NanoScopeIII, DigitalInstruments、大気中においてタッピングモードで測定)光電子分光法(XPS: ESCALAB 250system, Thermo VG Scientific)、反射赤外分光法(IR-RAS: Infinity60AR, Mattson 入射角80度)により行なった。これらの測定から均一な単分子膜の形成が確認された。
【0057】
[DNA固定化の確認]
上記プローブDNAの金基板表面への固定化の状況を、表面プラズモン共鳴によりその場観察し、結果を図2及び3に示す。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、バックグランドのノイズを効率的に低減させた、基板表面にDNA鎖を固定化したハイブリダイゼーション用基板を提供し、さらにこの基板を用いた相補性試験方法を提供することができる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDNA単分子膜でブロッキングされた基板の断面説明図。
【図2】実施例で得られた基板にターゲットDNA 5'-CTGTGTCGATCAGTTCTCCA-3'(20merM)をハイブリダイズさせた状況を表面プラズモン共鳴によりその場観察した結果。
【図3】実施例で得られた基板にターゲットDNA 5'-CTGTGTCGATCAGTTCTCCA-3'(20merM)をハイブリダイズさせたスポットとバックグランド(DNA単分子膜)の表面プラズモン共鳴の強度。
Claims (14)
- プローブ核酸のスポットを少なくとも1個基板表面に固定化し、かつ少なくとも前記スポットの周辺の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されているハイブリダイゼーション用基板。
- 前記スポット以外の基板表面が核酸の単分子膜で被覆されている請求項1に記載の基板。
- 核酸の単分子膜が、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を基板表面に反応させることにより形成されたものである請求項1または2に記載の基板。
- プローブ核酸がDNA、RNAまたはPNAである請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板。
- 核酸の単分子膜がDNA、RNAまたはPNAの単分子膜である請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板。
- 単分子膜を構成する核酸の長さが5〜100merの範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板。
- 基板表面が金属、ガラスまたはシリコンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の基板。
- 基板表面にプローブ核酸のスポットを少なくとも1個固定化する工程、及び、一端に基板表面と反応性の基を有する核酸鎖を含む液で基板表面をリンスする工程を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーション用基板の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の基板のプローブ核酸のスポットを固定化した表面にターゲット核酸を接触させ、前記ターゲット核酸と前記プローブ核酸との相補性を試験する方法。
- プローブ核酸のスポットを固定化した表面へのターゲット核酸の接触を、2価金属イオンの存在下で行う請求項9に記載の方法。
- 2価金属イオンがマグネシウムイオンである請求項10に記載の方法。
- ターゲット核酸と前記プローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無を表面プラズモン共鳴法または水晶振動子法により検出する請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
- ターゲット核酸が蛍光標識を有する核酸であり、前記プローブ核酸とのハイブリダイゼーションの有無を蛍光により検出する請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 塩基のミスマッチを含むターゲット核酸を検出するための請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
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