JP2004197027A - オレフィン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】無機充填材を含有するオレフィン系樹脂組成物において、柔軟性、耐久性が改良されたオレフィン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】下記成分(イ)〜(ホ)を含有し、成分(イ)〜(ホ)の合計量を100重量%として、成分(イ)の含有量が0.1〜30重量%、成分(ロ)の含有量が1〜37.9重量%、成分(ハ)の含有量が1〜10重量%、成分(ニ)の含有量が1〜8重量%、成分(ホ)の含有量が60〜90重量%であるオレフィン系樹脂組成物。
(イ)下記要件(a)および(b)を充足する非晶性オレフィン系重合体
(a)α−オレフィン単量体単位の含有量が30モル%以上であること。(ただし、非晶性オレフィン系重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%とする。)
(b)135℃のテトラリン溶液中での極限粘度[η]が0.5〜10dl/gであること。
(ロ)エチレン系樹脂
(ハ)粘着付与樹脂
(ニ)オイル
(ホ)無機充填材
【選択図】 なし
【解決手段】下記成分(イ)〜(ホ)を含有し、成分(イ)〜(ホ)の合計量を100重量%として、成分(イ)の含有量が0.1〜30重量%、成分(ロ)の含有量が1〜37.9重量%、成分(ハ)の含有量が1〜10重量%、成分(ニ)の含有量が1〜8重量%、成分(ホ)の含有量が60〜90重量%であるオレフィン系樹脂組成物。
(イ)下記要件(a)および(b)を充足する非晶性オレフィン系重合体
(a)α−オレフィン単量体単位の含有量が30モル%以上であること。(ただし、非晶性オレフィン系重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%とする。)
(b)135℃のテトラリン溶液中での極限粘度[η]が0.5〜10dl/gであること。
(ロ)エチレン系樹脂
(ハ)粘着付与樹脂
(ニ)オイル
(ホ)無機充填材
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性、柔軟性に優れた無機充填材含有オレフィン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
床タイル、カーペットバッキング、壁紙などの建装材、難燃性電線被覆材などの難燃性、重量感が要求される材料には、従来、塩化ビニル樹脂と無機充填材の組成物が用いられてきた。しかしながら、近年の環境問題への関心の高まりから、塩化ビニル樹脂と無機充填材との組成物に代えて、オレフィン系樹脂と無機充填材との組成物を用いる検討がなされている(例えば、特許文献1参照。)。昨今では、カレンダー加工やシーティングなどの加工性に優れる組成物として、例えば、無機充填材と、結晶性のエチレン−α−オレフィン共重合体との組成物が提案されている(例えば特許文献2、特許文献3参照。)。また、耐磨耗性、接着性に優れる組成物として、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体と無機充填材との組成物が提案されている(例えば特許文献4参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2586368号明細書
【特許文献2】
特開平10−17724号公報
【特許文献3】
特開10−314005号公報
【特許文献4】
特開2000−119452号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の組成物では、耐久性、柔軟性において、十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、無機充填材を含有するオレフィン系樹脂組成物において、耐久性、柔軟性に優れたオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第一は、下記成分(イ)〜(ホ)を含有し、成分(イ)〜(ホ)の合計量を100重量%として、成分(イ)の含有量が0.1〜30重量%であり、成分(ロ)の含有量が1〜37.9重量%であり、成分(ハ)の含有量が1〜10重量%であり、成分(ニ)の含有量が1〜8重量%であり、成分(ホ)の含有量が60〜90重量%であるオレフィン系樹脂組成物に係るものである。
(イ)下記要件(a)および(b)を充足する非晶性オレフィン系重合体
(a)α−オレフィン単量体単位の含有量が30モル%以上であること。(ただし、非晶性オレフィン系重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%とする。)
(b)135℃のテトラリン溶液中での極限粘度[η]が0.5〜10dl/gであること。
(ロ)エチレン系樹脂
(ハ)粘着付与樹脂
(ニ)オイル
(ホ)無機充填材
また、本発明の第二は、上記樹脂組成物からなる建装材に係るものである。
更に、本発明の第三は、上記樹脂組成物からなる電線に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における成分(イ)の非晶性オレフィン系重合体は、示差走査熱量測定(DSC)による結晶化曲線および融解曲線において、−100℃〜200℃の範囲に、融解熱量が1J/g以上の融解ピークおよび結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピークのいずれも有しない重合体である。−100℃〜200℃の範囲に、該融解ピークまたは該結晶化ピークを有すると、樹脂組成物の柔軟性、耐久性が悪化することがある。
【0007】
非晶性オレフィン系重合体は、該重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%として、炭素数が3以上のα−オレフィン含有量が30モル%以上であり、好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上である。α−オレフィン含有量が少ないと、樹脂組成物の柔軟性が悪化することがある。該α−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が例示され、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等であり、さらに好ましくはプロピレン、1−ブテンである。
【0008】
また、非晶性オレフィン系重合体は前記α−オレフィン以外の単量体から誘導される繰り返し単位を含有していてもよく、該単量体としては、エチレン、ポリエン化合物、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物等があげられる。該単量体単位の含有量は、非晶性オレフィン系重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%として、70モル%以下である。
【0009】
上記ポリエン化合物としては、共役ポリエン化合物、非共役ポリエン化合物などをあげることができる。共役ポリエン化合物としては、脂肪族共役ポリエン化合物および脂環族共役ポリエン化合物などがあげられ、これらは、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基などを有していてもよい。
【0010】
上記環状オレフィンとしては、たとえば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテン等が挙げられる。
【0011】
上記ビニル芳香族化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0012】
非晶性オレフィン系重合体の好ましい具体例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体であり、これら重合体は1種または2種以上用いられる。これらのなかではプロピレン−1−ブテン共重合体が特に好ましい。また、上記重合体の中では、各重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%として、各重合体中のプロピレン単位含有量が30モル%以上の重合体がより好ましい。
【0013】
非晶性オレフィン系重合体の135℃テトラリン溶液での極限粘度[η]は0.5〜10dl/gであり、好ましくは0.7〜7dl/gである。[η]が小さすぎると、組成物の柔軟性が低下することがあり、また、大きすぎると溶融混練時の加工性が悪化する。
【0014】
非晶性オレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。ここで、オレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0015】
非晶性オレフィン重合体は、樹脂組成物の柔軟性をより高める観点から、好ましくはシングルサイト触媒を用いて製造される。かかるシングルサイト触媒の例としては、たとえば特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平10−508055号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報などに記載のメタロセン触媒;特開平10−316710号公報、特開平11−100394号公報、特開平11−80228号公報、特開平11−80227号公報、特表平10−513489号公報、特開平10−338706号公報、特開表11−71420号公報などに記載の非メタロセンの錯体触媒を例示することができる。これらの中でも、入手容易性の観点から、メタロセン触媒が好ましく、その中でも好適なメタロセン触媒の例としては、シクロペンタジエン形アニオン骨格を少なくとも1個有し、C1対称構造を有する周期表第3族〜第12族の遷移金属錯体が好ましい。また、メタロセン触媒を用いた製造方法の特に好ましい例として、欧州特許出願公開第1211287号明細書の方法を例示することができる。
【0016】
以上のような重合用触媒、製造方法によって得られた非晶性オレフィン系重合体は、成形加工時にそのまま用いてもよいし、あるいは成形加工時の取り扱い性をより容易にするために、結晶性オレフィン系樹脂を5〜20重量%程度をあらかじめ混合し、押出機を用いて混連し、ペレタイザーにて数mm角ザイズのペレットにペレット化して用いることもできる。
【0017】
本発明の成分(ロ)は、エチレン系樹脂である。該エチレン系樹脂は、エチレン単位を主成分とする樹脂であり、例えばエチレンの単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチレン系不飽和エステル共重合体等が挙げられる。また、共役ジエンや非共役ジエンのような多不飽和化合物とエチレンとα−オレフィンとの共重合体も挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。エチレン系樹脂の中でも、エチレンと1種類以上のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。該α−オレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンが好ましく、具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、ノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
【0018】
エチレン系樹脂のGPCで測定される重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比は、樹脂組成物の強度をより高める観点から、好ましくは1.8〜3.5であり、より好ましくは1.8〜2.5であり、最も好ましくは1.8〜2.2である。
【0019】
エチレン系樹脂の密度は、好ましくは870〜900kg/m3であり、より好ましくは875〜895kg/m3である。ここで言う密度とは、JIS K6760−1981に規定された方法により、アニール無しで測定される。
【0020】
エチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1〜200g/10分であり、より好ましくは5〜50g/10分であり、更に好ましくは10〜30g/10分である。ここで言うメルトフローレートとは、JIS K6760−1981に規定された方法によって、荷重21.18N、測定温度190℃の条件で測定した値である。
【0021】
エチレン系樹脂は、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン錯体や非メタロセン錯体などの錯体系触媒を用いた、溶液重合法・スラリー重合法・高圧イオン重合法・気相重合法、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法・溶液重合法等により製造される。中でもエチレン−α−オレフィン共重合体としては、チーグラー・ナッタ系触媒や錯体系触媒を用いて、溶液重合法・スラリー重合法・高圧イオン重合法・気相重合法によって製造されるものが好ましく、特にメタロセン触媒の存在下に製造されるものが好ましい。該メタロセン触媒は、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を有する遷移金属化合物を含む触媒であり、該遷移金属化合物は、通常、一般式MLaXn-a(式中、Mは元素の周期律表の第4族又はランタナイド系列の遷移金属原子である。aは0<a≦nなる整数であり、nは遷移金属原子Mの原子価を表す。Lはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基又はヘテロ原子を含有する基であり、少なくとも一つはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基である。複数のLは互いに架橋していてもよい。Xはハロゲン原子、水素又は炭素原子数1〜20の炭化水素基である。)で表され、単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。さらに、該メタロセン触媒はこの遷移金属化合物に、アルモキサン化合物を含む有機アルミニウム化合物;及び/またはトリチルボレート、アニリニウムボレート等のイオン性化合物;及び/またはSiO2やAl2O3等の無機担体、ポリエチレンやポリスチレン等の有機ポリマー担体を含む粒子状担体を組み合わせて用いられる。
【0022】
本発明の成分(ハ)は、粘着付与樹脂である。粘着付与樹脂の具体例としては、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、合成石油樹脂、クマロン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、スチレン系樹脂及びイソプレン系樹脂からなる群から選ばれ得る少なくとも一種をあげることができる。本発明に用いられるロジン系樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、部分及び完全水添ロジン、これら各種ロジンのエステル化物(グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、エチレングリコールエステル、メチルエステルなど)、不均化物、フマール化物、ライム化物あるいはこれらを適宜組み合わせたロジン誘導体があげられる。ポリテルペン系樹脂としては、環状テルペン(α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンなど)の単独重合体あるいは共重合体;及び上記の各種のテルペンとフェノール系化合物(フェノール、ビスフェノールなど)との共重合体であるα−ピネン−フェノール樹脂、ジペンテン−フェノール樹脂、テルペン−ビスフェノール樹脂などのテルペン−フェノール系樹脂;更には上記各種テルペンと芳香族モノマーとの共重合体である芳香族変性テルペン樹脂があげられる。合成石油樹脂としては、ナフサ分解油(C5留分、C6〜C11留分、その他オレフィン系留分など)の単独重合体あるいは共重合体及びこれら重合体の水添物である脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、脂肪族−脂環族共重合樹脂などがあげられる。更に、上記の各種のナフサ分解油と前記の各種テルペンとの共重合体やその水添物である共重合系石油樹脂などもあげられる。ここでナフサ分解油のC5留分としては、イソプレン;シクロペンタジエン;1,3−ペンタジエン;2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテンなどのメチルブテン類;1−ペンテン、2−ペンテンなどのペンテン類;ジシクロペンタジエンなどが好ましく、C6〜C11留分としてはインデン;スチレン;o−、m−、p−ビニルトルエン、α−、β−メチルスチレンなどのメチルスチレン類;メチルインデン;エチルインデン;ビニルキシレン;プロペニルベンゼンなどが好ましく、その他オレフィン系留分としてはブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ブタジエン、オクタジエンなどが好ましい。フェノール系樹脂としては、アルキルフェノール樹脂、アルキルフェノールとアセチレンとの縮合によるアルキルフェノール−アセチレン樹脂、及びこれらの変性物があげられる。ここで、これらフェノール系樹脂としては、フェノールを酸触媒でメチロール化したノボラック型樹脂、アルカリ触媒でメチロール化したレゾール型樹脂のいずれであってもよい。キシレン系樹脂としては、m−キシレンとホルムアルデヒドから成るキシレン−ホルムアルデヒド樹脂、これに第3成分を添加、反応させた変性樹脂などがあげられる。スチレン系樹脂としては、ポリスチレンの低分子量品、α−メチルスチレンとビニルトルエンとの共重合樹脂、スチレンとアクリロニトリルとインデンとの共重合樹脂などがあげられる。イソプレン系樹脂としては、イソプレンの二量化物であるC10脂環式化合物とC10鎖状化合物を共重合して得られる樹脂などがあげられる。上記各種粘着性付与樹脂のなかで、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、合成石油樹脂が好ましく、これらのなかで、脂肪族及び/又は脂環族構造を有するものがより好ましい。ここで脂肪族及び/又は脂環族構造を有する粘着性付与樹脂として特に好ましいものとして、ロジン系樹脂では部分及び完全水添ロジンとそれらの誘導体、ポリテルペン系樹脂では環状テルペンの単独重合体あるいは共重合体、合成石油樹脂では脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、脂肪族−脂環族共重合樹脂、ナフサ分解油と各種テルペンとの共重合体の水添物があげられる。これらの粘着性付与樹脂は単独で、あるいは2種以上を混合して用いられる。
【0023】
本発明の成分(ニ)は、オイルである。成分(ニ)に用いられるオイルとしては特に制限はなく、たとえば通常のゴムに用いられるパラフィン油、ナフテン油、アロマ油などの鉱物油;ナシ油などの植物油などがあげられる。
【0024】
本発明の成分(ホ)は、無機充填材である。本発明で使用する無機充填材としては、通常用いられる無機充填材が使用でき、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸カルシウム等が挙げられる。また、ウォラストナイト等の繊維型フィラーでもよい。これらの中でも炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムの中から選ばれる少なくとも1種の無機充填材が好ましく、その中でも、難燃性の壁紙、電線用としては水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが、床材用としては炭酸カルシウムがより好ましい。なお、無機充填剤の表面を、樹脂成分への分散性、機械的強度の向上、耐摩耗性、耐炭酸ガス白化性、耐湿性、耐油性、耐化学薬品性、加工性等を付与するために脂肪酸またはその金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤およびアルミニウムカップリング剤から選ばれた少なくとも一種の表面処理剤で処理したものを使用することができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、上記の成分(イ)〜(ホ)の合計量を100重量%として、成分(イ)0.1〜30重量%、成分(ロ)1〜37.9重量%、成分(ハ)1〜10重量%、成分(ニ)1〜8重量%、成分(ホ)60〜90重量%を含有するものであり、好ましくは、成分(イ)0.5〜10重量%、成分(ロ)5〜30.5重量%、成分(ハ)2〜5重量%、成分(ニ)2〜5重量%、成分(ホ)65〜80重量%を含有する樹脂組成物である。成分(イ)の含有量が過少であると得られる組成物の耐久性、柔軟性が劣ることがあり、成分(イ)の含有量が過多であると得られる組成物の流動性が劣ることがある。成分(ロ)の含有量が過少であると得られる組成物の加工性が劣ることがあり、成分(ロ)の含有量が過多であると得られる組成物の柔軟性が劣ることがある。成分(ハ)の含有量が過少であると得られる組成物の耐久性、風合いが劣ることがあり、成分(ハ)の含有量が過多であると得られる組成物がべたつくことがある。成分(ニ)の含有量が過少であると得られる組成物の耐久性が劣ることがあり、成分(ニ)の含有量が過多であると得られる組成物がべたつくことがある。成分(ホ)の含有量が過少であると得られる組成物の重量感、難燃性が劣ることがあり、成分(ホ)の含有量が過多であると得られる組成物の柔軟性が劣ることがある。
【0026】
本発明の樹脂組成物のさらなる物性向上を計るため、必要に応じて2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(IRGANOX 1010)やn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(IRGANOX 1076)で代表されるフェノール系安定剤;ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトおよびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどで代表されるホスファイト系安定剤;高級脂肪酸アミドや高級脂肪酸エステルで代表される滑剤;炭素数8〜22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステルなどの帯電防止剤、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩で代表される加工性改良剤などが添加される。
【0027】
種々の目的に応じて配合する、安定剤、滑剤、帯電防止剤、加工性改良剤等の添加剤は、あらかじめ溶融混練したのち、積層体加工に供してもよいし、個々にドライブレンドまたは一種以上のマスターバッチにしてドライブレンド後、積層体加工に供してもよく、いずれの方法を用いてもよい。
【0028】
本発明の樹脂組成物は、公知の成形方法により、単層シート、多層積層体、発泡体などに成形され、内装材や床材などの建装材、電線などの用途として用いられる。
【0029】
本発明の組成物を用いた内装材としては、壁紙、天井材などがあげられる。該壁紙は、カレンダー成形法、押出し成型法等により、本発明の組成物と難燃紙等とを貼り合わせることにより作成できる。この際、組成物を発泡させることでさらに良好な風合いを持つ壁紙を作成することができる。さらに耐傷つき性、汚れ防止性などが要求される場合には、表面コート処理や表層に他の樹脂を積層することが好ましい。
【0030】
本発明の樹脂組成物を用いた床材としては、床タイル、長尺床シート、タイルカーペット、自動車用カーペット、巾木材などがあげられる。床タイルや長尺床シートなどにおいて、表面に耐傷つき性、汚れ防止性などが要求される場合には、表面コートや表層に他の樹脂を積層することが好ましい。また、タイルカーペットや自動車用カーペットなどは、本発明の樹脂組成物とカーペットとを貼合することにより製造することが出来る。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、物性の評価は、以下の方法により行った。
(1)重合体の単量体組成
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、13C−NMRスペクトルのプロピレン由来メチル炭素スペクトル強度と1−ブテン由来メチル炭素スペクトル強度の比からプロピレンと1−ブテンの組成比を算出し、次に、1H−NMRスペクトルのメチン+メチレン由来水素スペクトル強度とメチル由来水素スペクトル強度の比からエチレン、プロピレンおよび1−ブテンの組成比を算出した。
(2)融解・結晶化ピークの有無
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製DSC RDC220)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持する。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温する。この(ii)で観察されるピークが結晶化ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の結晶化ピークの有無を確認する。
(iii)上記の降温完了後、5分間、保持した後、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する。この(iii)で観察されるピークが融解ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の融解ピークの有無を確認する。
(3)極限粘度[η]
135℃において、ウベローデ粘度計を用いて行った。テトラリン単位体積あたりのオレフィン重合体の濃度cが、0.6、1.0、1.5mg/mlであるオレフィン重合体のテトラリン溶液を調整し、135℃における極限粘度を測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、得られた3回の値の平均値をその濃度での比粘度(ηsp)とし、ηsp/cのcをゼロ外挿した値を極限粘度[η]として求めた。
(4)分子量分布測定
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法を用い、下記の条件により測定を行った。
(5)密度(d)
JIS K6760(1981)に規定された方法に従った。
(6)メルトフローレート(MFR)
JIS K6760(1981)に規定された方法に従った。荷重21.18N、温度は190℃である。
(7)曲げ剛性率
厚みが1mmのプレス成形シートから試験片を切り出し、ASTM D747に規定された方法に従い曲げ剛性率を測定した。
(8)引張破断伸び
JIS K6251(1993)に規定された方法に従い、ダンベル形状3号形により引張破断伸びを測定した。本値が大きいほど、耐久性に優れる。
【0032】
実施例に使用した材料は、以下のとおりである。
(1)非晶性オレフィン系重合体
下記の方法により製造した重合体を用いた。
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、プロピレンと1−ブテンとを、分子量調節として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、本発明のプロピレン共重合体に当たるプロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを24.00Kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81Kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出した。
重合器の下部から、重合触媒の成分として、下式で表されるジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄をし、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は7.10Kg/時間であった。
得られたプロピレン−1−ブテン共重合体の物性評価結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
(2)エチレン系樹脂
住友化学工業株式会社製エクセレンFX CX5501(エチレン−ブテン共重合体、ブテン−1単位含有量=20重量%、MFR(190℃)=30g/10分、d=880kg/m3)
(3)無機充填材
三共精粉株式会社製 炭酸カルシウム エスカロン200
(4)粘着付与樹脂
ヤスハラケミカル株式会社製 クリアロンP135
(6)オイル
出光興産社製 ダイアナPW90
(7)オレフィン系重合体
宇部レキセン株式会社製 宇部タックUT2385(非シングルサイト触媒で重合したプロピレン系共重合体。融解ピーク=139.4℃、融解熱量=24J/g、結晶化ピーク=62.6℃、結晶化熱量=19.6J/g、プロピレン単位含有量=94モル%、エチレン単位含有量=6モル%、[η]=0.4dl/g)
【0035】
実施例および比較例
表2、3に示した樹脂組成の混合物をラボプラストミル(東洋精機(株)製、30C150(R100H))を用い、150℃、60回転/分、10分間の条件で混練した。得られた混合物の物性評価結果を表2、3に示した。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明により、無機充填材を含有するオレフィン系樹脂組成物において、耐久性、柔軟性に優れたオレフィン系樹脂組成物を提供することができた。本発明のオレフィン系樹脂組成物は、難燃性、重量感、風合いなどにも優れうるため、床タイル、カーペットバッキング、ノンハロ難燃電線などの用途に好適に使用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性、柔軟性に優れた無機充填材含有オレフィン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
床タイル、カーペットバッキング、壁紙などの建装材、難燃性電線被覆材などの難燃性、重量感が要求される材料には、従来、塩化ビニル樹脂と無機充填材の組成物が用いられてきた。しかしながら、近年の環境問題への関心の高まりから、塩化ビニル樹脂と無機充填材との組成物に代えて、オレフィン系樹脂と無機充填材との組成物を用いる検討がなされている(例えば、特許文献1参照。)。昨今では、カレンダー加工やシーティングなどの加工性に優れる組成物として、例えば、無機充填材と、結晶性のエチレン−α−オレフィン共重合体との組成物が提案されている(例えば特許文献2、特許文献3参照。)。また、耐磨耗性、接着性に優れる組成物として、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体と無機充填材との組成物が提案されている(例えば特許文献4参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2586368号明細書
【特許文献2】
特開平10−17724号公報
【特許文献3】
特開10−314005号公報
【特許文献4】
特開2000−119452号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の組成物では、耐久性、柔軟性において、十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、無機充填材を含有するオレフィン系樹脂組成物において、耐久性、柔軟性に優れたオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第一は、下記成分(イ)〜(ホ)を含有し、成分(イ)〜(ホ)の合計量を100重量%として、成分(イ)の含有量が0.1〜30重量%であり、成分(ロ)の含有量が1〜37.9重量%であり、成分(ハ)の含有量が1〜10重量%であり、成分(ニ)の含有量が1〜8重量%であり、成分(ホ)の含有量が60〜90重量%であるオレフィン系樹脂組成物に係るものである。
(イ)下記要件(a)および(b)を充足する非晶性オレフィン系重合体
(a)α−オレフィン単量体単位の含有量が30モル%以上であること。(ただし、非晶性オレフィン系重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%とする。)
(b)135℃のテトラリン溶液中での極限粘度[η]が0.5〜10dl/gであること。
(ロ)エチレン系樹脂
(ハ)粘着付与樹脂
(ニ)オイル
(ホ)無機充填材
また、本発明の第二は、上記樹脂組成物からなる建装材に係るものである。
更に、本発明の第三は、上記樹脂組成物からなる電線に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における成分(イ)の非晶性オレフィン系重合体は、示差走査熱量測定(DSC)による結晶化曲線および融解曲線において、−100℃〜200℃の範囲に、融解熱量が1J/g以上の融解ピークおよび結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピークのいずれも有しない重合体である。−100℃〜200℃の範囲に、該融解ピークまたは該結晶化ピークを有すると、樹脂組成物の柔軟性、耐久性が悪化することがある。
【0007】
非晶性オレフィン系重合体は、該重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%として、炭素数が3以上のα−オレフィン含有量が30モル%以上であり、好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上である。α−オレフィン含有量が少ないと、樹脂組成物の柔軟性が悪化することがある。該α−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が例示され、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等であり、さらに好ましくはプロピレン、1−ブテンである。
【0008】
また、非晶性オレフィン系重合体は前記α−オレフィン以外の単量体から誘導される繰り返し単位を含有していてもよく、該単量体としては、エチレン、ポリエン化合物、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物等があげられる。該単量体単位の含有量は、非晶性オレフィン系重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%として、70モル%以下である。
【0009】
上記ポリエン化合物としては、共役ポリエン化合物、非共役ポリエン化合物などをあげることができる。共役ポリエン化合物としては、脂肪族共役ポリエン化合物および脂環族共役ポリエン化合物などがあげられ、これらは、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基などを有していてもよい。
【0010】
上記環状オレフィンとしては、たとえば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテン等が挙げられる。
【0011】
上記ビニル芳香族化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0012】
非晶性オレフィン系重合体の好ましい具体例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体であり、これら重合体は1種または2種以上用いられる。これらのなかではプロピレン−1−ブテン共重合体が特に好ましい。また、上記重合体の中では、各重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%として、各重合体中のプロピレン単位含有量が30モル%以上の重合体がより好ましい。
【0013】
非晶性オレフィン系重合体の135℃テトラリン溶液での極限粘度[η]は0.5〜10dl/gであり、好ましくは0.7〜7dl/gである。[η]が小さすぎると、組成物の柔軟性が低下することがあり、また、大きすぎると溶融混練時の加工性が悪化する。
【0014】
非晶性オレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。ここで、オレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0015】
非晶性オレフィン重合体は、樹脂組成物の柔軟性をより高める観点から、好ましくはシングルサイト触媒を用いて製造される。かかるシングルサイト触媒の例としては、たとえば特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平10−508055号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報などに記載のメタロセン触媒;特開平10−316710号公報、特開平11−100394号公報、特開平11−80228号公報、特開平11−80227号公報、特表平10−513489号公報、特開平10−338706号公報、特開表11−71420号公報などに記載の非メタロセンの錯体触媒を例示することができる。これらの中でも、入手容易性の観点から、メタロセン触媒が好ましく、その中でも好適なメタロセン触媒の例としては、シクロペンタジエン形アニオン骨格を少なくとも1個有し、C1対称構造を有する周期表第3族〜第12族の遷移金属錯体が好ましい。また、メタロセン触媒を用いた製造方法の特に好ましい例として、欧州特許出願公開第1211287号明細書の方法を例示することができる。
【0016】
以上のような重合用触媒、製造方法によって得られた非晶性オレフィン系重合体は、成形加工時にそのまま用いてもよいし、あるいは成形加工時の取り扱い性をより容易にするために、結晶性オレフィン系樹脂を5〜20重量%程度をあらかじめ混合し、押出機を用いて混連し、ペレタイザーにて数mm角ザイズのペレットにペレット化して用いることもできる。
【0017】
本発明の成分(ロ)は、エチレン系樹脂である。該エチレン系樹脂は、エチレン単位を主成分とする樹脂であり、例えばエチレンの単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチレン系不飽和エステル共重合体等が挙げられる。また、共役ジエンや非共役ジエンのような多不飽和化合物とエチレンとα−オレフィンとの共重合体も挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。エチレン系樹脂の中でも、エチレンと1種類以上のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。該α−オレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンが好ましく、具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、ノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
【0018】
エチレン系樹脂のGPCで測定される重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比は、樹脂組成物の強度をより高める観点から、好ましくは1.8〜3.5であり、より好ましくは1.8〜2.5であり、最も好ましくは1.8〜2.2である。
【0019】
エチレン系樹脂の密度は、好ましくは870〜900kg/m3であり、より好ましくは875〜895kg/m3である。ここで言う密度とは、JIS K6760−1981に規定された方法により、アニール無しで測定される。
【0020】
エチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1〜200g/10分であり、より好ましくは5〜50g/10分であり、更に好ましくは10〜30g/10分である。ここで言うメルトフローレートとは、JIS K6760−1981に規定された方法によって、荷重21.18N、測定温度190℃の条件で測定した値である。
【0021】
エチレン系樹脂は、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン錯体や非メタロセン錯体などの錯体系触媒を用いた、溶液重合法・スラリー重合法・高圧イオン重合法・気相重合法、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法・溶液重合法等により製造される。中でもエチレン−α−オレフィン共重合体としては、チーグラー・ナッタ系触媒や錯体系触媒を用いて、溶液重合法・スラリー重合法・高圧イオン重合法・気相重合法によって製造されるものが好ましく、特にメタロセン触媒の存在下に製造されるものが好ましい。該メタロセン触媒は、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を有する遷移金属化合物を含む触媒であり、該遷移金属化合物は、通常、一般式MLaXn-a(式中、Mは元素の周期律表の第4族又はランタナイド系列の遷移金属原子である。aは0<a≦nなる整数であり、nは遷移金属原子Mの原子価を表す。Lはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基又はヘテロ原子を含有する基であり、少なくとも一つはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基である。複数のLは互いに架橋していてもよい。Xはハロゲン原子、水素又は炭素原子数1〜20の炭化水素基である。)で表され、単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。さらに、該メタロセン触媒はこの遷移金属化合物に、アルモキサン化合物を含む有機アルミニウム化合物;及び/またはトリチルボレート、アニリニウムボレート等のイオン性化合物;及び/またはSiO2やAl2O3等の無機担体、ポリエチレンやポリスチレン等の有機ポリマー担体を含む粒子状担体を組み合わせて用いられる。
【0022】
本発明の成分(ハ)は、粘着付与樹脂である。粘着付与樹脂の具体例としては、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、合成石油樹脂、クマロン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、スチレン系樹脂及びイソプレン系樹脂からなる群から選ばれ得る少なくとも一種をあげることができる。本発明に用いられるロジン系樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、部分及び完全水添ロジン、これら各種ロジンのエステル化物(グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、エチレングリコールエステル、メチルエステルなど)、不均化物、フマール化物、ライム化物あるいはこれらを適宜組み合わせたロジン誘導体があげられる。ポリテルペン系樹脂としては、環状テルペン(α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンなど)の単独重合体あるいは共重合体;及び上記の各種のテルペンとフェノール系化合物(フェノール、ビスフェノールなど)との共重合体であるα−ピネン−フェノール樹脂、ジペンテン−フェノール樹脂、テルペン−ビスフェノール樹脂などのテルペン−フェノール系樹脂;更には上記各種テルペンと芳香族モノマーとの共重合体である芳香族変性テルペン樹脂があげられる。合成石油樹脂としては、ナフサ分解油(C5留分、C6〜C11留分、その他オレフィン系留分など)の単独重合体あるいは共重合体及びこれら重合体の水添物である脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、脂肪族−脂環族共重合樹脂などがあげられる。更に、上記の各種のナフサ分解油と前記の各種テルペンとの共重合体やその水添物である共重合系石油樹脂などもあげられる。ここでナフサ分解油のC5留分としては、イソプレン;シクロペンタジエン;1,3−ペンタジエン;2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテンなどのメチルブテン類;1−ペンテン、2−ペンテンなどのペンテン類;ジシクロペンタジエンなどが好ましく、C6〜C11留分としてはインデン;スチレン;o−、m−、p−ビニルトルエン、α−、β−メチルスチレンなどのメチルスチレン類;メチルインデン;エチルインデン;ビニルキシレン;プロペニルベンゼンなどが好ましく、その他オレフィン系留分としてはブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ブタジエン、オクタジエンなどが好ましい。フェノール系樹脂としては、アルキルフェノール樹脂、アルキルフェノールとアセチレンとの縮合によるアルキルフェノール−アセチレン樹脂、及びこれらの変性物があげられる。ここで、これらフェノール系樹脂としては、フェノールを酸触媒でメチロール化したノボラック型樹脂、アルカリ触媒でメチロール化したレゾール型樹脂のいずれであってもよい。キシレン系樹脂としては、m−キシレンとホルムアルデヒドから成るキシレン−ホルムアルデヒド樹脂、これに第3成分を添加、反応させた変性樹脂などがあげられる。スチレン系樹脂としては、ポリスチレンの低分子量品、α−メチルスチレンとビニルトルエンとの共重合樹脂、スチレンとアクリロニトリルとインデンとの共重合樹脂などがあげられる。イソプレン系樹脂としては、イソプレンの二量化物であるC10脂環式化合物とC10鎖状化合物を共重合して得られる樹脂などがあげられる。上記各種粘着性付与樹脂のなかで、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、合成石油樹脂が好ましく、これらのなかで、脂肪族及び/又は脂環族構造を有するものがより好ましい。ここで脂肪族及び/又は脂環族構造を有する粘着性付与樹脂として特に好ましいものとして、ロジン系樹脂では部分及び完全水添ロジンとそれらの誘導体、ポリテルペン系樹脂では環状テルペンの単独重合体あるいは共重合体、合成石油樹脂では脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、脂肪族−脂環族共重合樹脂、ナフサ分解油と各種テルペンとの共重合体の水添物があげられる。これらの粘着性付与樹脂は単独で、あるいは2種以上を混合して用いられる。
【0023】
本発明の成分(ニ)は、オイルである。成分(ニ)に用いられるオイルとしては特に制限はなく、たとえば通常のゴムに用いられるパラフィン油、ナフテン油、アロマ油などの鉱物油;ナシ油などの植物油などがあげられる。
【0024】
本発明の成分(ホ)は、無機充填材である。本発明で使用する無機充填材としては、通常用いられる無機充填材が使用でき、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸カルシウム等が挙げられる。また、ウォラストナイト等の繊維型フィラーでもよい。これらの中でも炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムの中から選ばれる少なくとも1種の無機充填材が好ましく、その中でも、難燃性の壁紙、電線用としては水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが、床材用としては炭酸カルシウムがより好ましい。なお、無機充填剤の表面を、樹脂成分への分散性、機械的強度の向上、耐摩耗性、耐炭酸ガス白化性、耐湿性、耐油性、耐化学薬品性、加工性等を付与するために脂肪酸またはその金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤およびアルミニウムカップリング剤から選ばれた少なくとも一種の表面処理剤で処理したものを使用することができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、上記の成分(イ)〜(ホ)の合計量を100重量%として、成分(イ)0.1〜30重量%、成分(ロ)1〜37.9重量%、成分(ハ)1〜10重量%、成分(ニ)1〜8重量%、成分(ホ)60〜90重量%を含有するものであり、好ましくは、成分(イ)0.5〜10重量%、成分(ロ)5〜30.5重量%、成分(ハ)2〜5重量%、成分(ニ)2〜5重量%、成分(ホ)65〜80重量%を含有する樹脂組成物である。成分(イ)の含有量が過少であると得られる組成物の耐久性、柔軟性が劣ることがあり、成分(イ)の含有量が過多であると得られる組成物の流動性が劣ることがある。成分(ロ)の含有量が過少であると得られる組成物の加工性が劣ることがあり、成分(ロ)の含有量が過多であると得られる組成物の柔軟性が劣ることがある。成分(ハ)の含有量が過少であると得られる組成物の耐久性、風合いが劣ることがあり、成分(ハ)の含有量が過多であると得られる組成物がべたつくことがある。成分(ニ)の含有量が過少であると得られる組成物の耐久性が劣ることがあり、成分(ニ)の含有量が過多であると得られる組成物がべたつくことがある。成分(ホ)の含有量が過少であると得られる組成物の重量感、難燃性が劣ることがあり、成分(ホ)の含有量が過多であると得られる組成物の柔軟性が劣ることがある。
【0026】
本発明の樹脂組成物のさらなる物性向上を計るため、必要に応じて2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(IRGANOX 1010)やn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(IRGANOX 1076)で代表されるフェノール系安定剤;ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトおよびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどで代表されるホスファイト系安定剤;高級脂肪酸アミドや高級脂肪酸エステルで代表される滑剤;炭素数8〜22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステルなどの帯電防止剤、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩で代表される加工性改良剤などが添加される。
【0027】
種々の目的に応じて配合する、安定剤、滑剤、帯電防止剤、加工性改良剤等の添加剤は、あらかじめ溶融混練したのち、積層体加工に供してもよいし、個々にドライブレンドまたは一種以上のマスターバッチにしてドライブレンド後、積層体加工に供してもよく、いずれの方法を用いてもよい。
【0028】
本発明の樹脂組成物は、公知の成形方法により、単層シート、多層積層体、発泡体などに成形され、内装材や床材などの建装材、電線などの用途として用いられる。
【0029】
本発明の組成物を用いた内装材としては、壁紙、天井材などがあげられる。該壁紙は、カレンダー成形法、押出し成型法等により、本発明の組成物と難燃紙等とを貼り合わせることにより作成できる。この際、組成物を発泡させることでさらに良好な風合いを持つ壁紙を作成することができる。さらに耐傷つき性、汚れ防止性などが要求される場合には、表面コート処理や表層に他の樹脂を積層することが好ましい。
【0030】
本発明の樹脂組成物を用いた床材としては、床タイル、長尺床シート、タイルカーペット、自動車用カーペット、巾木材などがあげられる。床タイルや長尺床シートなどにおいて、表面に耐傷つき性、汚れ防止性などが要求される場合には、表面コートや表層に他の樹脂を積層することが好ましい。また、タイルカーペットや自動車用カーペットなどは、本発明の樹脂組成物とカーペットとを貼合することにより製造することが出来る。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、物性の評価は、以下の方法により行った。
(1)重合体の単量体組成
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、13C−NMRスペクトルのプロピレン由来メチル炭素スペクトル強度と1−ブテン由来メチル炭素スペクトル強度の比からプロピレンと1−ブテンの組成比を算出し、次に、1H−NMRスペクトルのメチン+メチレン由来水素スペクトル強度とメチル由来水素スペクトル強度の比からエチレン、プロピレンおよび1−ブテンの組成比を算出した。
(2)融解・結晶化ピークの有無
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製DSC RDC220)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持する。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温する。この(ii)で観察されるピークが結晶化ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の結晶化ピークの有無を確認する。
(iii)上記の降温完了後、5分間、保持した後、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する。この(iii)で観察されるピークが融解ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の融解ピークの有無を確認する。
(3)極限粘度[η]
135℃において、ウベローデ粘度計を用いて行った。テトラリン単位体積あたりのオレフィン重合体の濃度cが、0.6、1.0、1.5mg/mlであるオレフィン重合体のテトラリン溶液を調整し、135℃における極限粘度を測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、得られた3回の値の平均値をその濃度での比粘度(ηsp)とし、ηsp/cのcをゼロ外挿した値を極限粘度[η]として求めた。
(4)分子量分布測定
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法を用い、下記の条件により測定を行った。
(5)密度(d)
JIS K6760(1981)に規定された方法に従った。
(6)メルトフローレート(MFR)
JIS K6760(1981)に規定された方法に従った。荷重21.18N、温度は190℃である。
(7)曲げ剛性率
厚みが1mmのプレス成形シートから試験片を切り出し、ASTM D747に規定された方法に従い曲げ剛性率を測定した。
(8)引張破断伸び
JIS K6251(1993)に規定された方法に従い、ダンベル形状3号形により引張破断伸びを測定した。本値が大きいほど、耐久性に優れる。
【0032】
実施例に使用した材料は、以下のとおりである。
(1)非晶性オレフィン系重合体
下記の方法により製造した重合体を用いた。
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、プロピレンと1−ブテンとを、分子量調節として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、本発明のプロピレン共重合体に当たるプロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを24.00Kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81Kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出した。
重合器の下部から、重合触媒の成分として、下式で表されるジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄をし、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は7.10Kg/時間であった。
得られたプロピレン−1−ブテン共重合体の物性評価結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
(2)エチレン系樹脂
住友化学工業株式会社製エクセレンFX CX5501(エチレン−ブテン共重合体、ブテン−1単位含有量=20重量%、MFR(190℃)=30g/10分、d=880kg/m3)
(3)無機充填材
三共精粉株式会社製 炭酸カルシウム エスカロン200
(4)粘着付与樹脂
ヤスハラケミカル株式会社製 クリアロンP135
(6)オイル
出光興産社製 ダイアナPW90
(7)オレフィン系重合体
宇部レキセン株式会社製 宇部タックUT2385(非シングルサイト触媒で重合したプロピレン系共重合体。融解ピーク=139.4℃、融解熱量=24J/g、結晶化ピーク=62.6℃、結晶化熱量=19.6J/g、プロピレン単位含有量=94モル%、エチレン単位含有量=6モル%、[η]=0.4dl/g)
【0035】
実施例および比較例
表2、3に示した樹脂組成の混合物をラボプラストミル(東洋精機(株)製、30C150(R100H))を用い、150℃、60回転/分、10分間の条件で混練した。得られた混合物の物性評価結果を表2、3に示した。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明により、無機充填材を含有するオレフィン系樹脂組成物において、耐久性、柔軟性に優れたオレフィン系樹脂組成物を提供することができた。本発明のオレフィン系樹脂組成物は、難燃性、重量感、風合いなどにも優れうるため、床タイル、カーペットバッキング、ノンハロ難燃電線などの用途に好適に使用できる。
Claims (5)
- 下記成分(イ)〜(ホ)を含有し、成分(イ)〜(ホ)の合計量を100重量%として、成分(イ)の含有量が0.1〜30重量%であり、成分(ロ)の含有量が1〜37.9重量%であり、成分(ハ)の含有量が1〜10重量%であり、成分(ニ)の含有量が1〜8重量%であり、成分(ホ)の含有量が60〜90重量%であるオレフィン系樹脂組成物。
(イ)下記要件(a)および(b)を充足する非晶性オレフィン系重合体
(a)α−オレフィン単量体単位の含有量が30モル%以上であること。(ただし、非晶性オレフィン系重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%とする。)
(b)135℃のテトラリン溶液中での極限粘度[η]が0.5〜10dl/gであること。
(ロ)エチレン系樹脂
(ハ)粘着付与樹脂
(ニ)オイル
(ホ)無機充填材 - 成分(ロ)のエチレン系樹脂が、メタロセン触媒で製造されてなり、密度が870〜900kg/m3のエチレン−α−オレフィン共重合体である請求項1に記載のオレフィン系樹脂組成物。
- 成分(ホ)の無機充填材が炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機充填材である請求項1または2に記載のオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン系樹脂組成物からなる建装材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン系樹脂組成物からなる電線。
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