JP2004193169A - 多層配線基板 - Google Patents

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Genshitarou Kawamura
原子太郎 川村
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Abstract

【課題】絶縁層を間に介在させて互いに上下に対向して配置された配線導体層により高周波信号を伝送する高周波伝送部を有する多層配線基板において、高周波信号が減衰することを防止する。
【解決手段】絶縁層3を間に介在させて互いに上下に対向して配置された、高周波用導体層5とその少なくとも下面に配置された密着金属層4とから成る配線導体層2により高周波信号を伝送する高周波伝送部を有し、高周波伝送部における配線導体層2の互いに対向した表面について、高周波用導体層5の高周波信号に対する表皮効果による表面抵抗に対して、この表面抵抗に互いに対向した表面側に配置された密着金属層4の影響を含んだ表面部抵抗を1.5倍以下の大きさとした多層配線基板である。伝送損失αに大きく影響する導体損失が低減することとなるので、高速伝送特性に優れた多層配線基板を提供することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波デジタル信号を伝送するために適した信号配線用の配線導体層を有する多層配線基板に関し、特に、高周波デジタル信号の伝送を高速化することを可能にした優れた導体配線特性を有する多層配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルシステムに対する高密度化・高速化に伴い、これに使用される半導体部品に対して高密度化・高速化の要求がなされるばかりでなく、半導体部品が搭載される配線基板に対しても高密度化・高速化の要求がなされている。このため、きわめて細線な配線パターンを有し、GHz帯域の高周波信号の伝送に対応できる多層配線基板が求められている。
【0003】
このような多層配線基板に対する高集積化の要求から、従来多用されていた多層プリント配線基板やセラミック多層配線基板に代わり、ビルドアップ方式の多層配線基板が注目されている。
【0004】
このビルドアップ方式の多層配線基板における配線導体層の形成方法は、以下に述べるような方法を用いている。
【0005】
まず、有機樹脂から成る絶縁層の上面に対し酸化剤等によって粗化処理を行なう。次に、下地導体層の銅層を無電解めっき法によって形成した後、フォトレジストを塗布するとともにこれに露光・現像を施すことによって下地導体層のうち上層の主導体層を形成する部分に所定形状の窓部を形成し、次に、露出させた下地導体層を電極として主導体層となる電解銅めっき皮膜を所望の厚みに形成する。これによって上層の主導体層の部分に相当する露出した下地導体層上に電解銅めっき皮膜から成る主導体層が形成され、その他の部分はフォトレジストに覆われているために電解銅めっき皮膜が形成されず、上層の主導体層に相当する部分にのみ配線導体層が形成される。このようにして所定の厚さの配線導体層を形成した後、フォトレジストを剥離除去し、次に、主導体層の電解銅めっき皮膜をエッチングレジストとして先に電解銅めっき用電極として使用した下地導体層を主導体層のパターンにエッチングすることによって、略矩形形状の断面を持った配線導体層が形成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−247784号公報
【特許文献2】
特開2001−210959号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして配線導体層が形成される多層配線基板において、配線導体層に高周波デジタル信号を通そうとすると、以下のような問題が発生する。
【0008】
配線導体層に高周波信号が供給されている状態では、配線導体層の表面にしか電流が流れず、電流が流れる有効断面積が少なくなって抵抗が大きくなり信号が減衰する。これは表皮効果(Skin effect)と呼ばれている。
【0009】
先に述べたビルドアップ方式の多層配線基板の配線導体層の形成においては、絶縁層と配線導体層とを接着するために、酸化剤等によって粗化処理を行なった絶縁層の上面に配線導体層を形成しており、表皮効果によって高周波信号が集中する配線導体層の表面に凹凸が発生することにより電流経路が長くなって、高周波信号が供給された状態で発生する配線導体層の導電率が見かけ上低下するという問題点がある。これは、高周波信号の減衰を大きくし、信号伝送を高速に行なうことができない原因となっている。
【0010】
また、粗化処理を行なった絶縁層と配線導体層との表面の凹凸を利用したアンカー効果による接着は、物理的接着であるため化学結合による接着に比べ接着強度の耐環境信頼性が劣っているという問題点がある。
【0011】
このような配線導体層と絶縁層との接着に起因する高周波信号の減衰を防止し接着強度の耐環境信頼性を向上するためには、表面の凹凸を利用することなく平滑な表面状態で絶縁層との接着を良好とし、かつ耐環境信頼性に優れる化学的結合により絶縁層との接着を良好とするために、密着金属層と言われる導体層を、高周波信号の伝送に主として寄与する高周波用導体層と絶縁層との間に配置した配線導体層の構造とすることが適切である。
【0012】
先に述べた表皮効果により配線導体層の表面に発生する抵抗を表面抵抗(Surface resistivity)と言い、Rsで表すとすると次式のように示される。Rs=√(π×f×μ/σ)
ここで、fは周波数(正弦波としての周波数、以下同様)、μは配線導体層の透磁率、σは配線導体層の導電率である。密着金属層を高周波用導体層と絶縁層との間に配置した先述の配線導体層の構造においては、ここでの配線導体層には高周波用導体層が該当する。
【0013】
以下、このRsを、高周波用導体層の表皮効果による表面抵抗と呼ぶこととする。なお、高周波信号の周波数fが10GHzでは、導体が銅の場合にはこのRsは26mΩとなる。
【0014】
さらに、表皮効果による表面抵抗に密着金属層の影響を含んだ表面部抵抗Rseffは、密着金属層の影響を含んだ実効的な導電率をσeffで表すとすると、次式のように表される。
Rseff=√(π×f×μ/σeff)=K×Rs
ただしKは、高周波用導体層の表皮効果による表面抵抗に対する、表皮効果による表面抵抗に絶縁層との接着を良好となすための密着金属層の影響を含んだ表面部抵抗の比率を示す係数である。
【0015】
また、配線導体層の幅が20μm位の特性インピーダンスが50Ωのストリップ線路においては、この高周波信号の減衰は伝送損失α(単位はdB/cm)で示され、次式のように表すことができる。
α=A×K×Rs+0.273×√εr/c×tanδ×f
ただし、Aは絶縁層の比誘電率・絶縁層の厚み・配線導体層の幅・配線導体層の厚み等に依存し、およそ30から40位となる係数であり、εrは絶縁層の比誘電率、cは光速度、tanδは絶縁層の誘電正接である。
【0016】
なお、上式において第1項は導体損失を、また第2項は誘電体損失を示しており、一般に導体損失の方が誘電体損失より大きいことより、先述の係数Kの増加は伝送損失αに大きく影響することが分かる。
【0017】
先に述べたように、近年のデジタルシステムの高速化に対応するためにGHz帯のデジタル信号を伝送できる多層配線基板が要求されており、周波数においては、GHzデジタル信号の5倍高調波まで考えると、正弦波として少なくとも5GHzにおいて、伝送損失αは1dB/cm以下を満たす必要がある。
【0018】
本発明の目的は、配線導体層と絶縁層との接着を良好となすための密着金属層に起因する高周波信号の減衰を防止するとともに、接着強度の耐環境信頼性の向上を図り、高速伝送特性に優れる高周波伝送部を有した、耐環境信頼性に優れた多層配線基板を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の多層配線基板は、絶縁層を間に介在させて互いに上下に対向して配置された、高周波用導体層とこの高周波用導体層の少なくとも下面に配置された密着金属層とから成る配線導体層により高周波信号を伝送する高周波伝送部を有し、この高周波伝送部における前記配線導体層の互いに対向した表面について、前記高周波用導体層の前記高周波信号に対する表皮効果による表面抵抗に対して、この表面抵抗に前記互いに対向した表面側に配置された前記密着金属層の影響を含んだ表面部抵抗を1.5倍以下の大きさとしたことを特徴とするものである。
【0020】
本発明の多層配線基板によれば、絶縁層を間に介在させて互いに上下に対向して配置された、高周波用導体層とこの高周波用導体層の少なくとも下面に配置された密着金属層とから成る配線導体層により高周波信号を伝送する高周波伝送部を有し、この高周波伝送部における配線導体層の互いに対向した表面について、高周波用導体層の高周波信号に対する表皮効果による表面抵抗に対して、この表面抵抗に互いに対向した表面側に配置された密着金属層の影響を含んだ表面部抵抗を1.5倍以下の大きさとしたことから、伝送損失αに大きく影響する導体損失が低減することとなるので、正弦波5GHzの高周波信号において伝送損失αを1dB/cm以下とすることができ、GHz帯域のデジタル信号の伝送に良好に対応できる高速伝送特性に優れた多層配線基板を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の多層配線基板を詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の多層配線基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2はその多層配線基板における高周波伝送部について、密着金属層の影響を含んだ配線導体層の表面部抵抗を測定するための領域を示す要部拡大断面図である。
【0023】
これらの図において、1は基板、2は配線導体層、3は絶縁層、4は配線導体層2の一部としての密着金属層、5は配線導体層2の一部としての高周波用導体層、6は絶縁層3の一部としての絶縁性接着剤層、7は絶縁層3の一部としての絶縁フィルム層、10は多層配線部、11は高周波信号が供給された状態で発生する抵抗を測定するための領域、12は貫通孔、13は貫通導体である。
【0024】
基板1は、その上面に配線導体層2と絶縁層3とを多層に積層した多層配線部10が配設されており、この多層配線部10を支持する支持部材として機能する。基板1は、酸化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体等の酸化物系セラミックス、あるいは表面に酸化物膜を有する窒化アルミニウム質焼結体,炭化珪素質焼結体等の非酸化物系セラミックス、さらにはガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ樹脂やガラス繊維から成る基材にビスマレイミドトリアジン樹脂を含浸させたもの等の電気絶縁材料で形成されている。
【0025】
例えば、酸化アルミニウム質焼結体で形成されている場合には、アルミナ,シリカ,カルシア,マグネシア等の原料粉末に適当な有機溶剤,溶媒を添加混合して泥漿状となすとともに、これにドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、しかる後、このセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し、所定形状となすとともに高温(約1600℃)で焼成することによって、あるいはアルミナ等の原料粉末に適当な有機溶剤,溶媒を添加混合して原料粉末を調整するとともに、この原料粉末をプレス成形機によって所定形状に成形し、最後にこの成形体を高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。また、ガラスエポキシ樹脂から成る場合は、例えばガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって製作される。
【0026】
また、基板1には、その上面に、複数の配線導体層2と絶縁層3とが多層に積層され、高周波信号を伝送する高周波伝送部として機能する多層配線部10が配設されている。
【0027】
多層配線部10の絶縁層3は絶縁フィルム層7と絶縁性接着剤層6とから構成され、絶縁フィルム層7はポリイミド樹脂,ポリフェニレンサルファイド樹脂,全芳香族ポリエステル樹脂,フッ素樹脂等から成る。また、絶縁性接着剤層6はポリアミドイミド樹脂,ポリイミドシロキサン樹脂,ビスマレイミドトリアジン樹脂,エポキシ樹脂等から成る。
【0028】
絶縁層3は、まず12.5〜50μm程度の絶縁フィルムに絶縁性接着剤をドクターブレード法等を用いて乾燥厚みで5〜20μm程度に塗布し乾燥させたものを準備し、この絶縁フィルムを基板1や下層の絶縁層3の上面に間に絶縁性接着剤が配されるように積み重ね、これを加熱プレス装置を用いて加熱加圧し接着することによって形成される。
【0029】
絶縁層3には所定位置に絶縁フィルム層7および絶縁性接着剤層6を貫通する貫通孔12が形成されており、この貫通孔12内には貫通導体13が被着形成されることにより絶縁層3を挟んで上下に位置する配線導体層2の各々を電気的に接続する接続路が形成される。
【0030】
貫通孔12は、例えばレーザを使い絶縁フィルム層7および絶縁性接着剤層6の一部を除去することにより形成される。特に、貫通孔12の開口径が小さな場合は、貫通孔12の内壁面の角度をコントロールすることが容易で貫通孔12の内壁面が滑らかに加工される紫外線レーザで形成することが望ましい。
【0031】
各絶縁層3の上面および貫通孔12内に配設される配線導体層2は、クロム,モリブデン,チタン等の密着金属層4としての金属材料および高周波伝送部において主として高周波信号の伝送に寄与する部分となる高周波信号伝送用の導体層としての銅等から成る高周波用導体層5とで構成される。
【0032】
また、密着金属層4は、絶縁層3上に配線導体層2を形成する際にその絶縁層3との接着を良好なものとなすために、少なくとも高周波用導体層5の下面に配置されるが、その配線導体層2の上にさらに絶縁層3を積層する際にこの絶縁層3との接着も良好なものとなす目的で、高周波用導体層5の上面にも配置しておいてもよい。この場合は、後述する高周波伝送部においては、互いに上下に対向して配置された配線導体層2の互いに対向した表面において、両方の表面に、すなわち下側の配線導体層2の高周波用導体層5の上面および上側の配線導体層2の高周波用導体層5の下面に密着金属層4が配置されることとなる。
【0033】
ここで、絶縁層3の表面については、先に述べた表面の凹凸による高周波信号の減衰を抑制するために、算術平均粗さ(Ra)は0.2μm以下、表面積は垂直投影面積の1.3倍以下とするのがよい。このような平滑な絶縁層3の上面であっても、配線導体層2は絶縁層3との接着をなす密着金属層4によって絶縁層3に化学的に結合し安定な接着が得られる。
【0034】
さらに、配線導体層2は、配線導体の集積度を向上させるためライン&スペースを30μm以下、好ましくは10μm程度とするのがよく、高導電率を有する銅を高周波用導体層5として用いて、その銅層を微細配線パターンの加工が可能な電解めっきによるセミアディティブ法を用いて形成するのがよい。
【0035】
これには例えば、以下のようにすればよい。まず広面積に絶縁層2との良好な接着を得るための密着金属層4としてのクロム,モリブデン,チタン等の金属材料と高周波用導体層5の下部層としての銅とを順にスパッタリング法等により被着することによって下地となる導体層を形成する。次に、この上に配線導体のパターンの開口を有するフォトレジストを形成し、このフォトレジストをマスクにして電解硫酸銅めっきにて選択銅めっきを行ない、フォトレジストの開口部に高周波用導体層5の上部層を形成する。そして、フォトレジストを剥離後、前記下地と成る導体層の不要部分を高周波用導体層5の上部層をマスクとして順次ウェットエッチングによって除去する。この手法によれば、10μm以下のライン&スペースを有する微細な配線パターンの加工も可能である。
【0036】
このとき、高周波用導体層5の高周波信号に対する表皮効果による表面抵抗に対して、この表面抵抗に密着金属層4の影響を含んだ表面部抵抗を、1.5倍以下の大きさにすることが重要である。
【0037】
これには、絶縁層3との接着を良好となす密着金属層4について、その厚みおよび導電率をそれぞれ、t(単位:μm)およびσ(単位:S/m)、高周波信号の周波数をf(単位:GHz)とすると、高周波用導体層5として銅を用いる場合には、これらの間に次の関係式を満たすように形成すればよい。
σ≧−1.54×10×f1.28×t+1.36×10×f1.15×t−7.64×10×f0.90×t+4.58×10×f0.49×t
例えば、f=5GHz、t=0.1μmのときには、σ≧7.5×10S/m、f=10.7GHz、t=0.07μmのときには、σ≧7.7×10S/mとなる。
【0038】
密着金属層4としては、与えられた周波数fにおいてこの関係式を満たし、所望の厚みtに対しては導電率σができるだけ大きい方がよく、与えられた導電率σに対しては厚みtはできるだけ薄い方がよい。
【0039】
また、好ましくは、高周波用導体層5としての銅よりも仕事関数が小さく、マイグレーション等の電気化学的反応のギブス自由エネルギー変化を小さくできる金属材料が良い。
【0040】
特に、クロムは、チタンに比べると導電率が小さく、またモリブデンに比べると仕事関数が小さくて、絶縁層3との接着を良好となす密着金属層4として最適である。
【0041】
密着金属層4の厚みについては、高周波用導体層5として銅を用いる場合には、できるだけ薄い方が導体損失を低減することとなるので高周波伝送特性は良好になるものの、薄過ぎると被着工程や被着面の段差に起因する厚みの不均一性から接着の機能を良好に果たさず、膜剥がれを招いたり、後の加熱工程において高周波用導体層5が密着金属層4に拡散して接着を阻害したりするため、おおむね0.025μm以上とすることが好ましい。
【0042】
また、密着金属層4としてクロムを用いる場合は、その厚みを厚くし過ぎるとクロムから成る密着金属層4に残留する内部応力により絶縁層3にクラックが発生する場合があることから、おおむね0.20μm以下とすることが好ましい。
【0043】
配線導体層2の厚みは、配線導体層2を覆って絶縁層3を形成した際の絶縁層3の平坦性を良好なものとするために、10μm以下とするのがよい。微細配線加工の容易さからはできるだけ薄い方がよいが、GHz帯域の伝送損失を考えると、高周波信号の周波数が5GHzでは3μm、8GHzでは6μmの厚みがあればよい。
【0044】
配線導体層2上にさらに絶縁層3を形成する際は、前述のように絶縁フィルムを下層の絶縁層3の上面に間に絶縁性接着剤が配されるように積み重ね、これを加熱プレス装置を用いて加熱加圧し接着すればよい。なお、配線導体層2の上面が平滑な状態でも配線導体層2と絶縁性接着剤層6との接着性を高めるためには、配線導体層2の上面に対してカップリング剤等により化学処理を施しておくことが好適であり、なかでも、チタネート系カップリング剤が最適である。また、この配線導体層2の上面に下面側と同様に密着金属層4を形成し配置してもよい。
【0045】
以下に、表面抵抗に密着金属層4の影響を含んだ表面部抵抗の測定に関する配線導体層2の作製方法の一例を説明する。
【0046】
基板1の所望の領域11に、下層に配線導体層2を有さない、概ね5cm角の領域を確保し、絶縁フィルム層7と絶縁性接着剤層6とから構成された絶縁層3を前述の方法で形成する。
【0047】
この上に、広面積に密着金属層4としてのクロム,モリブデン,チタン等の金属材料と高周波用導体層5の下部層としての銅を順にスパッタリング法等により被着することによって形成した後、その上に電解硫酸銅めっきにて高周波用導体層5の上部層を形成する。これを、前述の手順と同時に行なう際は、フォトレジストのパターンの開口を所望の形状に形成しておけばよい。
【0048】
配線導体層2上にさらに絶縁層3を形成する際は、前述のように絶縁フィルムを下層の絶縁層3の上面に間に絶縁性接着剤が配されるように積み重ね、これを加熱プレス装置を用いて加熱加圧し接着する。
【0049】
かくして、表面抵抗に密着金属層4の影響を含んだ表面部抵抗を測定するための領域11を備えた多層配線基板を得ることができる。
【0050】
この領域11を備えた多層配線部10を有する多層配線基板の、高周波信号が供給された状態で発生する、表面抵抗に密着金属層4の影響を含んだ表面部抵抗を測定する方法を以下に示す。
【0051】
領域11を備えた多層配線部10を有する多層配線基板を2枚準備し、絶縁層3との接着を良好となす密着金属層4が互いに向かい合うようにしてサファイアから成る誘電体円柱と基板1の領域11とが短絡するように挟み込み、共振器を構成する。
【0052】
これに対して、同軸ケーブルの先端に形成されたループアンテナにより励振と検波とを行ない、共振器の共振周波数と無負荷Qとを測定し、これを用いて配線導体層2の実効的な導電率σeffを算出して、配線導体層2の抵抗Rseffを求める。
【0053】
このようにして、特に、密着金属層4としてクロムを、高周波用導体層5として銅を用いた場合について、表面抵抗に密着金属層4の影響を含んだ表面部抵抗と伝送損失、さらに接着強度の耐環境信頼性を確認した。
【0054】
クロムの厚みを0.07μmとしたときに、高周波信号の周波数10.7GHzにおいて導電率は2.7×10S/mとなり、表面抵抗に絶縁層との接着をなす導体の影響を含んだ表面部抵抗Rseffは10.7GHzで29.7mΩとなって、先述の係数Kの値として1.1を得た。また、このとき、導体損失エネルギーのおよそ3割が密着金属層4において発生していることになり、配線導体層2のうち主として銅から成る高周波用導体層5が高周波信号の伝送に寄与していることが分かる。ここで得られた密着金属層4としてのクロムの導電率は、バルク導体が示すクロムの導電率に比べ大きな値となっており、これは詳細なメカニズムは分かっていないが、密着金属層4としてのクロムの厚みが高周波信号が供給された状態で発生する表皮の深さ(Skin depth)(周波数10.7GHzにおいては、クロムの場合1.8μm)以下になったときに現れる実効的な値と考えられる。
【0055】
伝送損失αは、配線導体層2の幅が21μmの特性インピーダンス50Ωのストリップ線路構造で、高周波信号の周波数5GHzにおいて0.7dB/cm、10GHzにおいて1.1dB/cmの極めて良好な結果を得た。
【0056】
さらに、接着強度の耐環境信頼性については、1mm角パターンの垂直引っ張り試験で、高温放置試験(150℃,1000h)、高温高湿試験(85℃85%,1000h)、温度サイクル試験(−55℃⇔125℃,1000サイクル)、PCT(110℃85%,1.1atm,300h)の各試験後でいずれも3mN/cmとなり、良好な接着強度が得られた。
【0057】
このように、絶縁層を間に介在させて互いに上下に対向して配置された、高周波用導体層と該高周波用導体層の少なくとも下面に配置された密着金属層とから成る配線導体層により高周波信号を伝送する高周波伝送部を有し、この高周波伝送部における配線導体層の互いに対向した表面について、高周波用導体層の高周波信号に対する表皮効果による表面抵抗に対して、この表面抵抗に互いに対向した表面側に配置された密着金属層の影響を含んだ表面部抵抗を1.5倍以下の大きさにすることは、伝送損失αに大きく影響する導体損失を低減し、正弦波5GHzの高周波信号において伝送損失αを1dB/cm以下とするGHz帯域のデジタル信号の伝送特性を得るうえで必要であり、高周波用導体層の表皮効果による表面抵抗に対して、密着金属層の影響を含んだ表面部抵抗が1.5倍以下(K=1.1)とすることによって、GHz帯域のデジタル信号の伝送に対応できる優れた伝送特性を有する多層配線基板を提供できることが確認できた。
【0058】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良を施すことは何ら差し支えない。
【0059】
例えば、絶縁層3の最上層の上面に形成される配線導体層2には、銅から成る高周波用導体層5の上に、めっき法によりニッケル層,金層を形成してもよい。また、絶縁層3としてセラミックス等を用いてもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明の多層配線基板によれば、絶縁層を間に介在させて互いに上下に対向して配置された、高周波用導体層とこの高周波用導体層の少なくとも下面に配置された密着金属層とから成る配線導体層により高周波信号を伝送する高周波伝送部を有し、この高周波伝送部における配線導体層の互いに対向した表面について、高周波用導体層の高周波信号に対する表皮効果による表面抵抗に対して、この表面抵抗に互いに対向した表面側に配置された密着金属層の影響を含んだ表面部抵抗を1.5倍以下の大きさとしたことから、伝送損失αに大きく影響する導体損失が低減することとなるので、正弦波5GHzの高周波信号において伝送損失αを1dB/cm以下とすることができ、GHz帯域のデジタル信号の伝送に良好に対応できる高速伝送特性に優れた多層配線基板を提供することができた。
【0061】
以上により、本発明によれば、配線導体層と絶縁層との接着を良好となすための密着金属層に起因する高周波信号の減衰を防止するとともに、接着強度の耐環境信頼性の向上を図り、高速伝送特性に優れる高周波伝送部を有した、耐環境信頼性に優れた多層配線基板を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す多層配線基板における高周波伝送部について、密着金属層の影響を含んだ配線導体層の表面部抵抗を測定するための領域を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・・基板
2・・・・配線導体層
3・・・・絶縁層
4・・・・密着金属層
5・・・・高周波用導体層
6・・・・絶縁性接着剤層
7・・・・絶縁フィルム層
10・・・・多層配線部
11・・・・高周波信号が供給された状態で発生する抵抗を測定するための領域
12・・・・貫通孔
13・・・・貫通導体

Claims (1)

  1. 絶縁層を間に介在させて互いに上下に対向して配置された、高周波用導体層と該高周波用導体層の少なくとも下面に配置された密着金属層とから成る配線導体層により高周波信号を伝送する高周波伝送部を有し、該高周波伝送部における前記配線導体層の互いに対向した表面について、前記高周波用導体層の前記高周波信号に対する表皮効果による表面抵抗に対して、該表面抵抗に前記互いに対向した表面側に配置された前記密着金属層の影響を含んだ表面部抵抗を1.5倍以下の大きさとしたことを特徴とする多層配線基板。
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