JP2004192922A - ケーブル用止水テープ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄くても優れた止水性能を有し、かつケーブルを細径化し、ケーブルの外被樹脂の使用量を低減し、パッド1巻当たりの巻き量を長くすることで、ケーブルの軽量化、細径化、コストの低減が可能な性能安定性に優れたケーブル用止水テープを提供する。
【解決手段】下記の(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方を架橋して形成される高吸水性樹脂層1を不織布又は織物からなる基材2の表面又は内部に担持する。
(a)(メタ)アクリル酸を含有するモノマー成分の一部のカルボキシル基を塩基性化合物で中和し、この中和されたモノマー成分を重合することで得られるポリマー。
(b)(メタ)アクリル酸を含有するモノマー成分を重合し、一部のカルボキシル基を塩基性化合物で中和することで得られるポリマー。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信ケーブル(光ファイバーケーブル等)や電力ケーブル等に使用される薄手の止水テープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、通信ケーブル(光ファイバーケーブル等)や電力ケーブル等には外部から浸入してくる水の走水を防止するために、止水テープを使用することは公知である。ケーブル用止水テープはケーブルの外被下に配置され、外被が劣化あるいは破損し水がケーブル内に浸入してくると直ちに吸水、膨潤して、水の浸入箇所付近のみにて止水し、水がケーブル内の長手方向や内部方向に走水するのを防止し、ケーブルの水による事故を未然に防ぐという優れた機能を持つものである。
【0003】
このようなケーブル用止水テープとしては次のようなものが提案されている。
【0004】
(1)2枚の不織布基材間に、吸水性樹脂粉末と低融点の熱接着性樹脂粉末を混合した吸水性樹脂層を散布し介在させたサンドイッチ型止水テープ(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
(2)ポリエステル長繊維不織布の片面又は両面に、吸水性樹脂粉末と樹脂バインダーの吸水性樹脂組成物を塗布した塗布型止水テープ(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
(3)特定粒径の吸水性樹脂粉末とゴム系バインダーの吸水性樹脂組成物を不織布基材の片面に塗布し、カバー材と共に高圧カレンダーで圧縮した圧縮型止水テープ(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−301418号公報
【特許文献2】
実開昭61−129228号公報
【特許文献3】
特開平3−31390号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなケーブル用止水テープは一般的に厚さが厚く、薄手のものを製造しようとすると、単位面積当たりの吸水性樹脂粉末の量が少なくなって止水性能が低下する恐れがあった。
【0009】
また、吸水性樹脂粉末を基材ではさみこんでいるだけであったり、樹脂バインダーで基材に固定化していても吸水性樹脂粉末が不均一に固定化されていたり、その固定が十分ではなく、テープ状にスリットする際、あるいはケーブルに巻きつける際に吸水性樹脂粉末が基材から脱落してしまい、安定な性能が得られないものである。更には、吸水性樹脂粉末を基材に固定化する際に使用する樹脂バインダーは、有機溶剤系のものであり環境にも良くない。
【0010】
今後の光ファイバーの適用領域の拡大に伴い、光ファイバーケーブルの多心化・高密度化の検討が進められている。この検討に際しては、光ファイバーの特徴を生かした細径で軽量な光ファイバーケーブルが望まれている。特に、光ファイバーケーブル外径については当然ケーブル管路径以下にする必要がある。また、光ファイバーケーブル重量についても、軽いほうが布設稼動を少なくでき、布設しやすいという利点がある。このように、光ファイバーケーブルの多心化,高密度化においては、光ファイバーケーブルの細径化・軽量化は最も重要な検討項目である。光ファイバーケーブルの細径,軽量化には、防水特性を維持しつつ、厚さの薄い止水テープを用いたほうが有利であり、薄型止水テープの開発が望まれている。このことは光ファイバー以外の電力ケーブル等についても同様である。
【0011】
更に,止水テープをケーブルに巻きつけるテーピング機は、テープを取付ける容積が限定されている。テープパッドを使いきる毎に取替えなければならず、テープの厚さが薄いとパッド1巻当たりの長さが長くなり、テープパッドの取り替え回数が減るため、テープの1パッド当たりの長さは長ければ長い程、ケーブルの生産性の面から有効である。
【0012】
更に、従来の止水テープは吸水性樹脂粉末の基材への固定が不十分であるため、止水シートをテープ状にスリットする際、止水テープをケーブルに巻きつける際に、吸水性樹脂粉末が基材より脱落してしまい、止水テープの性能の低下、粉塵による作業環境の悪化が問題となっている。また吸水性樹脂粉末を基材に固定化する際に、有機溶剤系バインダーを使用するため環境に悪い。
【0013】
以上の状況下、ケーブルの軽量化、細径化、コストの低減が可能な性能安定性に優れた薄手の止水テープが切望されていた。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄くても優れた止水性能を有し、かつケーブルを細径化し、ケーブルの外被樹脂の使用量を低減し、パッド1巻当たりの巻き量を長くすることで、ケーブルの軽量化、細径化、コストの低減が可能な性能安定性に優れたケーブル用止水テープ及びその製造方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るケーブル用止水テープ3は、下記の(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方を架橋して形成される高吸水性樹脂層1を不織布又は織物からなる基材2の表面又は内部に担持して成ることを特徴とするものである。
(a)(メタ)アクリル酸を含有するモノマー成分の一部のカルボキシル基を塩基性化合物で中和し、この中和されたモノマー成分を重合することで得られるポリマー。
(b)(メタ)アクリル酸を含有するモノマー成分を重合し、一部のカルボキシル基を塩基性化合物で中和することで得られるポリマー。
【0016】
また、本発明の請求項2に係るケーブル用止水テープ3は、請求項1に加えて、塩基性化合物としてグリシンを用いて成ることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項3に係るケーブル用止水テープ3は、請求項1又は2に加えて、高吸水性樹脂層1にシリカを含有させて成ることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項4に係るケーブル用止水テープ3は、請求項1乃至3のいずれかに加えて、基材2としてスパンボンド法長繊維ポリエステル不織布を用いて成ることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項5に係るケーブル用止水テープ3は、請求項1乃至3のいずれかに加えて、基材2として湿式不織布を用いて成ることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項6に係るケーブル用止水テープ3は、請求項1乃至5のいずれかに加えて、基材2として透水防止処理されたものを用いて成ることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の請求項7に係るケーブル用止水テープ3は、請求項1乃至6のいずれかに加えて、高吸水性樹脂層1を基材2の表面に連続皮膜として形成して成ることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の請求項8に係るケーブル用止水テープ3は、請求項1乃至7のいずれかに加えて、高吸水性樹脂層1に微細な割れを形成して成ることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の請求項9に係るケーブル用止水テープ3の製造方法は、請求項1乃至8のいずれかに記載のケーブル用止水テープを製造するにあたって、上記(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方及び熱反応性架橋剤を配合して処理液を調製し、この処理液を不織布又は織物からなる基材2に担持させた後、加熱することにより上記のポリマーを架橋して基材2の表面又は内部に高吸水性樹脂層1を形成することを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の請求項10に係るケーブル用止水テープ3の製造方法は、請求項9に加えて、ポリビニルアルコールの存在下でポリマーを架橋することを特徴とするものである。
【0025】
本発明の請求項11に係るケーブル用止水テープ3の製造方法は、請求項9又は10に加えて、処理液を基材2に担持させる方法がコーティング法であることを特徴とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
本発明のケーブル用止水テープ3は、上記(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一つを架橋して(メタ)アクリル酸塩系樹脂を形成すると共にこの(メタ)アクリル酸塩系樹脂を高吸水性樹脂層1として合成繊維の不織布又は織物からなる基材2の表面又は内部に担持したものである。ここで、基材2の表面に高吸水性樹脂層1を担持する場合は、図1(a)に示すように、基材2の表層部分に高吸水性樹脂層1の一部が含浸していても良い。また、基材2の内部に高吸水性樹脂層1を担持する場合は、図1(b)に示すように、基材2の全体に高吸水性樹脂層1((メタ)アクリル酸塩系樹脂)の全部が含浸しているものである。尚、本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味するものであり、アクリル酸とメタクリル酸の両方あるいは一方を含有するものである。
【0028】
本発明で用いる(メタ)アクリル酸を含有するモノマー成分は、(メタ)アクリル酸とこれに共重合可能な他のモノマーを含有して構成される。
【0029】
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の直鎖、分岐あるいは脂環式アルキル(メタ)アクリレート類、並びにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールもしくはその誘導体のモノ(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、N−置換マレイミド類、ビニルピロリドン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルエーテル類、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。これら他のモノマーはモノマー成分中で50モル%以下であることが好ましく、これを超えると高吸水性樹脂層1の吸水性が不足する可能性がある。
【0030】
本発明で用いる塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属塩に代表される無機塩基性化合物、トリエタノールアミン等の有機塩基性化合物をそれぞれ単独で用いたり併用したりすることができるが、有機塩基性化合物の場合、高温時に黄変、揮発する可能性があるのであまり好ましくはない。しかしながら、塩基性化合物としてグリシンを用いることはより好ましい。グリシンは酸性溶液下では塩基性化合物として作用することが知られている。無機塩基性化合物単独で中和(部分中和)し得られる(メタ)アクリル酸塩系樹脂は、非常に硬くなってしまい、加工時にカーリングを起こしやすく、場合によっては連続加工が困難になることがあるのに対し、グリシンを用いることで、(メタ)アクリル酸塩系樹脂に適度な柔軟性を付与することができ、加工時のカーリングを防止できる。また、トリエタノールアミン等のように高温時に黄変、揮発することもない。グリシンの使用は単独又は無機塩基性化合物等の他の塩基性化合物との併用のどちらでも良いが(請求項2)、併用する場合は上記の効果を得やすくするために、配合する塩基性化合物の全量に対して5重量%以上のグリシンを使用するのが好ましい。
【0031】
ここで言う加工時のカーリングとは、後述の処理液((メタ)アクリル酸塩系樹脂溶液)を基材に塗布し、乾燥する工程で、樹脂の収縮等により幅方向に基材が巻き上がってしまう現象を言う。
【0032】
モノマー成分の重合に使用する溶媒は、作業環境や自然環境得の配慮から、水単独又は水と少量の水溶性有機溶剤の混媒であることが好ましい。但し、水溶性有機溶剤は、モノマー中のカルボキシル基が反応可能な官能基を有する場合には当該官能基に対しても不活性でなければならない。水溶性有機溶剤としては、例えばエタノール、2−プロパノール等のアルコール類、並びにエチルセロソルブ、ブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、並びにセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、並びにジアルキルグリコールエーテル類等が挙げられ、これらは単独で又は混合して用いることができる。
【0033】
そして、上記(a)に記載のポリマー((メタ)アクリル酸塩系樹脂)を含有するポリマー溶液を調製するにあたっては、まず、溶媒にモノマー成分との塩基性化合物を配合してモノマー成分中の一部のカルボキシル基を塩基性化合物で中和(部分中和)する。この際、モノマー成分中のカルボキシル基10%〜95%化学当量が中和されるようにモノマー成分と塩基性化合物の配合量を設定する。この中和度が10%化学当量未満であれば、後述する高吸水性樹脂層1の吸水性が不十分となる恐れがあり、また中和度が95%化学当量を超えると、架橋に寄与するカルボキシル基の量が少なくなって、吸水時に高吸水性樹脂層1から(メタ)アクリル酸塩系樹脂が溶出する恐れがある。更に好ましい中和度は、40〜90%化学当量である。次に上記溶液に重合開始剤を配合してモノマー成分を重合してポリマー溶液を得る。
【0034】
一方、上記(b)に記載のポリマー((メタ)アクリル酸塩系樹脂)を含有するポリマー溶液を調製するにあたっては、溶媒にモノマー成分、重合開始剤を配合してモノマー成分を重合し、その後、塩基性化合物を配合してポリマー成分中の一部のカルボキシル基を塩基性化合物で中和(部分中和)する。この際、ポリマー成分中のカルボキシル基の中和度は上記と同様である。
【0035】
本発明では、上記(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一つ及び熱反応性架橋剤を配合して処理液を調製する(請求項9)。
【0036】
処理液を調製するにあたって配合される熱反応性架橋剤は、(メタ)アクリル酸塩系樹脂(上記(a)(b)に記載のポリマー)中に存在する官能基と反応可能な官能基を分子内に少なくとも2個以上有するものであって、例えば、ポリオールポリグリシジルエーテル等の水溶性エポキシ化合物類、並びにエチレンジアミン等の水溶性アミン類、並びにエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の水溶性多価アルコール類等が挙げられる。本発明では上記の熱反応性架橋剤をそれぞれ単独で用いたり併用したりすることができる。特に、ポリオールポリグリシジルエーテル等が良好な混合性及び加熱架橋性を有するので好適である。熱反応性架橋剤の配合量は、(メタ)アクリル酸樹脂溶液(処理液)中の官能基の化学当量、熱反応性架橋剤の官能基の化学当量によっても異なるが、(メタ)アクリル酸塩系樹脂溶液中の固形分(上記(a)(b)に記載のポリマー)に対して0.01〜20.0重量%であることが好ましい。熱反応性架橋剤の配合量が0.01重量%より少ないと、加熱架橋後、吸水時に高吸水性樹脂層1から(メタ)アクリル酸塩系樹脂が溶出する恐れがあり、また、熱反応性架橋剤の配合量が20.0重量%より多いと、加熱架橋後の高吸水性樹脂層1の吸水性能が低下する恐れがある。
【0037】
また、上記処理液に架橋触媒、防腐剤、消泡剤、浸透剤、活性剤、フィラー等を必要に応じて配合しても良い。
【0038】
特に、シリカを上記処理液に配合することは、得られるケーブル用止水テープの吸湿によるブロッキングを防止することができるので好ましい。また、シリカ自体に吸水性があるため、高吸水性樹脂層1の吸水能力を低下させることもない。更に、シリカの細孔が高吸水性樹脂層1の内部に水を拡散するため、高吸水性樹脂層1の吸水、膨潤速度が速くなり、止水効果を高める効果がある(請求項3)。上記のシリカは、基材2に担持させた高吸水性樹脂層1の全量に対して1〜50重量%含有させるのが好ましい。
【0039】
本発明では、上記の処理液を不織布又は織物からなる基材2に担持させる。担持させる不織布又は織物は合成繊維であるのが好ましい。天然繊維、化学繊維、半合成繊維は微生物によって分解される可能性があり、止水テープ3としての性能が長期間維持できない恐れがあり、また、機械的強度が低く、止水テープ3をケーブルに巻きつける際、テープが切れてしまう恐れがあるため好ましくない。合成繊維の材質としては特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アラミド等が挙げられるが、特に機械的強度、熱安定性、抗菌性(微生物に分解されない)、価格面から、ポリエステルが好ましい。使用する不織布又は織物は、最低25N/cm以上の縦方向の強度が得られるもので、本発明の止水テープの趣旨から、目付25〜70g/m、厚さ0.04〜0.23mmのものが好ましい。基材2の強度が25N/cm以下では、加工時の強度及びケーブルへの巻き強度が得られない。また、基材2の目付が25g/m以下では、強度が得られず、加工時にカールが起こりやすくなり、70g/m以上では、強度もあり、カールもなくなるが、厚さが厚くなり、価格的な面から好ましくない。また、厚さが、0.04mm以下では、加工時、樹脂の裏抜けが起こり、カールも発生しやすくなり、0.23mm以上では、薄手という本発明の止水テープの特徴を生かせないことになる。このような条件を満たすものであれば特に限定しない。また、強度を出すために、樹脂加工されたものでも良い。
【0040】
このような基材2の中でも、スパンボンド法長繊維ポリエステル不織布や湿式不織布がより好ましい。
【0041】
スパンボンド法長繊維ポリエステル不織布は、機械的強度に優れているため、他の不織布等より薄いものでケーブル用止水テープとして必要な強度を得ることができる。このことはケーブルを細径化、軽量化し、パッド1巻当たりの巻き量を長くすることができる等、非常に有効である。また、耐湿度寸法安定性、耐熱収縮性に優れているので、加工適正及び製品としての安定性に優れ、価格面でも優れている(請求項4)。
【0042】
また、湿式不織布は均一性に優れ、強度のバラツキが少ない。その結果、目付、厚さを下げることができる。このことはケーブルを細径化、軽量化し、パット1巻当たりの巻き量を長くすることができる等、非常に有効である。また、均一な塗布面を有するため、高吸水性樹脂層1を連続皮膜として存在させるのに有効である(請求項5)。
【0043】
また、上記の基材2としては、透水防止処理されているものがより好ましい。透水防止処理は、ケーブルに亀裂が生じた場合、海水及び地下水のケーブル内への進入を防ぐ効果がある。また、処理液をコーティング加工する際、樹脂の裏抜けも防止できる。樹脂の裏抜けは、ガイドロールに処理液が、付着し、連続加工を困難にしてしまう。また、透水防止処理は、基材2への処理液の入り込みを少なくし、表面の高吸水性樹脂層1を厚くすることにより、吸水時の吸水高さを高くし、止水効果を高めることにも有効である。吸水高さとは、後述の方法(図2参照)により実施した試験時におけるダイヤルゲージの値である。透水防止剤としては、ワックス系、コハク酸系、石油系、ケテンダイマー系、シリコン系、樹脂系等、透水防止に効果があるものであれば特に限定せず、これらの透水防止剤を上記の不織布や織布に含浸したりコーティングしたりして透水防止処理が施された基材を得ることができる(請求項6)。
【0044】
そして、本発明では上記の処理液を基材2に担持させる。処理液を基材2に担持させる方法としては、一般的な方法で良く、例えば、バーコート、ブレードコート、コンマコート、コンマリバースコート、ナイフコート、逆ナイフコート、リバースロールコート、エアーナイフコート、カーテンコート、ダイコート、ロールコート、ファウンティンコート法等の各種コート法やパディング法の他、シルク印刷、パッド印刷等の各種印刷法等が好適に用いられる。上記の中でもコーティング法は、基材2上に均一な高吸水性樹脂層1を形成し、基材2の厚さ方向への処理液の入り込み量を適度に調節できる点で優れており、この入り込み量を調節することによって、吸水時に基材2からの高吸水性樹脂層1のはがれやすさを調節することができる。上記のような基材2への処理液の入り込み量は、処理液の粘度などによって調節することができ、この粘度の調節は処理液の濃度(水の配合量)を調整するなどして行うことができる。また、高吸水性樹脂層1を基材2の表面付近に形成することができ、吸水時の吸水高さを高くし、止水効果を高めることにも有効である(請求項11)。基材2に対して処理液を担持させる量は、処理液の組成や目的とする止水性能などに応じて適宜設定可能であるが、例えば、乾燥後の基材2に担持される樹脂量が10〜50g/mとなるように、基材2に対して処理液を担持させることができる。従って、例えば、25%水溶液の処理液を基材2に担持させる場合、基材2に対して処理液を担持させる量は40〜200g/mとすることができる。
【0045】
次に、上記処理液を担持させた基材2に加熱処理を施して(メタ)アクリル酸塩系樹脂を架橋させることによって、基材2の表面又は内部に(メタ)アクリル酸塩系樹脂からなる高吸水性樹脂層1を形成して高吸水性シートを製造する。加熱処理の方法は特に限定されず一般的な方法で良い。尚、上記加熱処理は処理液の乾燥工程と併せて行ってもよい。また、加熱処理の際の条件は、処理液の組成や担持させた量などに応じて適宜設定可能であるが、例えば、100〜180℃で1〜30分とすることができる。
【0046】
上記のように形成される高吸水性樹脂層1は、基材2の表面に連続皮膜として存在することが好ましい。高吸水性樹脂層1が基材2の表面に連続皮膜として存在することで、高吸水樹脂((メタ)アクリル酸塩系樹脂)が吸水、膨潤し、止水効果を発揮する前でも、その連続皮膜が水の浸入を防止することができる。そのため初期止水効果も高く、基材2の繊維間の空間を水が浸透していくことがないので、より高い止水効果を得ることができる(請求項7)。本発明のような水溶性樹脂(液状になっているもの)をコーティング法で加工し、乾燥することで、連続皮膜を得ることができる。また、コーティング法以外の加工方法でも連続皮膜を形成することは可能である。
【0047】
また、上記のように形成される高吸水性樹脂層1に、更に微細な割れを形成することがより好ましい。微細な割れを形成する方法としては、高吸水性樹脂層1を担持した基材2にエンボス加工やコルゲート加工を施すことが挙げられる。この結果、割れを通じて水が高吸水性樹脂層1の内部に拡散され、吸水速度が速くなり、吸水能力が増大する。また、高吸水性樹脂層1が基材2の表面に連続皮膜として存在する場合、連続皮膜に微細な割れを作ることにより、コート面(処理液をコーティングした基材2の表面)における張力を分散し、高吸水性シートのカーリングを軽減させる効果もある。但し、ここで言う「割れ」は高吸水性樹脂層(連続皮膜)1の表層部分のみに設けた微細な割れで、水が高吸水性樹脂層1を通過してしまうようなものではない(請求項8)。
【0048】
そして、上記の高吸水性シートをテープ状にスリットすることによって、本発明のケーブル用止水テープ3を得ることができる。また、基材2に処理液を担持させる前に基材2をテープ状にスリットし、この後、テープ状の基材2に処理液を担持させて上記と同様にして高吸水性樹脂層1を形成することによって、本発明のケーブル用止水テープ3を製造しても良い。
【0049】
このように製造された本発明の止水テープ3は従来のものと比較して、止水性能が同じであれば厚みを薄くすることができ、また、厚みが薄くても止水性能に優れ、しかも、高吸水性樹脂層1が直接基材2に十分接着して脱落等の問題が生じないものである。すなわち、本発明の止水テープ3では吸水性のないバインダーを使用していないが、従来の止水テープでは基材に吸水性樹脂粉末をバインダーで保持しているために、単位面積当たりの吸水性樹脂の量がバインダーの量だけ本発明の止水テープ3よりも少なくなる。従って、同等の止水性能の止水テープを得る場合、従来のものよりも本発明の方が厚みを薄くすることができるものである。また、本発明では、吸水性のないバインダーを使用していないので、従来の止水テープに比べて、単位面積当たりの吸水性樹脂の量をバインダーの量だけ多くすることができ、止水性能に優れるものである。
【0050】
そして、この結果、本発明のケーブル用止水テープ3では、ケーブルの細径化ができ、ケーブルの外被樹脂の使用量を低減し、ケーブルの軽量化、細径化、コストの低減が可能となるものである。また、パッド1巻当たりの巻き量を長くすることができるためケーブルの生産性が向上し、更にコストの低減が可能となるものである。更に、従来の止水テープのようにテープ状にスリットする際、止水テープをケーブルに巻きつける際に、高吸水性樹脂層1の吸水性樹脂が基材2より脱落してしまうことがなく、止水テープの性能の低下、粉塵による作業環境の悪化を改善できるものである。その上、有機溶剤系バインダーを使用しないため環境にも優しいものである。
【0051】
本発明では、処理液を基材2に担持させた後、加熱することにより上記の(a)(b)に記載のポリマーを架橋して基材2の表面又は内部に高吸水性樹脂層1を形成するにあたって、ポリビニルアルコールの存在下で上記の(a)(b)に記載のポリマーを架橋することができる。このようにして形成される高吸水性樹脂層1は、ポリビニルアルコールと(メタ)アクリル酸塩系樹脂を含有するので、(メタ)アクリル酸塩系樹脂のみの高吸水性樹脂層よりも強度、柔軟性を高くすることができる。また、ポリビニルアルコールと(メタ)アクリル酸塩系樹脂を架橋させることによって、高吸水性樹脂層の強度、柔軟性をさらに高くして安定させることができるものである。
【0052】
ポリビニルアルコールの配合量は処理液中の固型分に対して0.1〜30重量%に設定するのが好ましく、1〜15重量%に設定するのがさらに好ましい。また、上記のポリビニルアルコールとしては、(メタ)アクリル酸塩系樹脂を架橋するための熱反応性架橋剤と反応可能な官能基と、(メタ)アクリル酸塩系樹脂のカルボキシル基と反応可能な官能基との一方あるいは両方を分子内に有するものであることが好ましい。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。尚、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を付設した容量1リットルの5つ口丸底フラスコに、水189g、2−プロパノール27g、アクリル酸108g、過硫酸アンモニウム0.045gを仕込み撹拌し、ついで窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。その後、昇温し重合を開始させ、温度90℃で3時間保持し重合を完結させた。そして60℃まで冷却し、25%濃度の水酸化ナトリウム水溶液180gで徐々に中和した。これを冷却し、アクリル酸塩系樹脂水溶液Aを得た。この樹脂の中和度は75%化学当量である。
【0055】
このアクリル酸塩系樹脂水溶液Aを10%濃度に調整し、架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(官能基当量200)をアクリル酸塩系樹脂水溶液Aの固型分に対して1%添加し、充分に撹拌して処理液aを調整した。
【0056】
この処理液aを基材2である強度33N/cmのポリエステル短繊維不織布(目付45g/m、厚み0.17mm)に樹脂付着量が35g/mになるように含浸法で塗布し、乾燥、架橋させ、高吸水性シートを得た。
【0057】
(実施例2)
基材2として強度50N/cmのスパンボンド法長繊維ポリエステル不織布(目付45g/m、厚さ0.13mm)を使用した以外は実施例1と同様にして、高吸水性シートを得た。
【0058】
(実施例3)
実施例1と同様にして、アクリル酸塩系樹脂水溶液Aを得、このアクリル酸塩系樹脂水溶液Aを25%濃度に調整し、架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(官能基当量200)をアクリル酸塩系樹脂水溶液Aの固型分に対して1%添加し、充分に撹拌して処理液bを調整した。
【0059】
この処理液bを実施例2で使用した強度50N/cmのスパンボンド法長繊維ポリエステル不織布(目付45g/m、厚さ0.13mm)の基材2に樹脂付着量が35g/mになるようにロールリバースコート法で塗布し、乾燥、架橋させ、高吸水性シートを得た。この高吸水性シートの高吸水性樹脂層1は連続皮膜として存在していた。
【0060】
(実施例4)
基材2として強度50N/cmの湿式不織布(目付40g/m、厚さ0.07mm)を用いた以外は実施例3と同様にして高吸水性シートを得た。この高吸水性シートの高吸水性樹脂層は連続皮膜として存在していた。
【0061】
(実施例5)
基材2としてケテンダイマー系樹脂で透水防止処理を施した強度50N/cmスパンボンド法長繊維ポリエステル不織布(目付45g/m、厚さ0.13mm)を用いた以外は実施例3と同様にして高吸水性シートを得た。この高吸水性シートの高吸水性樹脂層1は連続皮膜として存在していた。
【0062】
(実施例6)
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を付設した容量1リットルの5つ口丸底フラスコに、水189g、2−プロパノール27g、アクリル酸108g、過硫酸アンモニウム0.045gを仕込み撹拌し、ついで窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。その後、昇温し重合を開始させ、温度90℃で3時間保持し重合を完結させた。そして60℃まで冷却し、25%濃度の水酸化ナトリウム水溶液144g、25%濃度のグリシン水溶液67.5gで徐々に中和した。これを冷却し、アクリル酸塩系樹脂水溶液Bを得た。この樹脂の中和度は75%化学当量である。
【0063】
このアクリル酸塩系樹脂水溶液Bを25%濃度に調整し、架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(官能基当量200)をアクリル酸塩系樹脂水溶液Bの固型分に対して1%添加し、充分に撹拌して処理液cを調整した。
【0064】
この処理液cを実施例5で使用したケテンダイマー系樹脂で透水防止処理を施した強度50N/cmスパンボンド法長繊維ポリエステル不織布(目付45g/m、厚さ0.13mm)の基材2に樹脂付着量が35g/mになるようにロールリバースコート法で塗布し、乾燥、架橋させ、高吸水性シートを得た。この高吸水性シートの高吸水性樹脂層1は連続皮膜として存在していた。
【0065】
(実施例7)
実施例6に記載の処理液cに更にシリカ(水澤化学製 Mizukasil P−78D)をアクリル酸塩系樹脂水溶液Bの固型分に対して10%配合し、充分に撹拌して処理液dを調整した。
【0066】
以下、この処理液dを用いた以外は実施例6と同様にして高吸水性シートを得た。この高吸水性シートの高吸水性樹脂層1は連続皮膜として存在していた。
【0067】
(実施例8)
実施例7と同様にして高吸水性シートを得、このシートに更にエンボス加工を施した高吸水性シートを得た。
【0068】
(実施例9)
実施例7に記載の処理液dに更にPVA(日本合成化学工業株式会社製、ゴーセファイマーZ−200(アセトアセチル基変性))を処理液dの固型分に対して5%配合し、充分攪拌して処理液eを調製した。(但し、PVAの配合は、あらかじめ水に溶解した10%水溶液の状態で、PVAの固型分が処理液dの5%になるように配合した。)
以下、この処理液eを用いた以外は実施例8と同様にして高吸水性シートを得た。この高吸水性シートの高吸水性樹脂層1は連続皮膜として存在していた。
【0069】
(比較例)
実施例1記載の処理液aを乾燥、架橋して得られた樹脂を微粉砕し、平均粒子系300μmの粉末高吸水性樹脂Cを得た。この樹脂C100gをトルエンを溶媒とした30%濃度のアクリル樹脂(バインダー)100gに分散し、処理液fを得た。
【0070】
この処理液fを強度33N/cmポリエステル短繊維不織布(目付45g/m、厚み0.17mm)の基材2に樹脂付着量が45.5g/m(高吸水性樹脂Cの付着量が35g/m)になるように含浸法で塗布し、乾燥させ、高吸水性シートを得た。
【0071】
そして、上記実施例1〜9及び比較例で得られた高吸水性シートをテープ状にスリットすることで止水テープを得た。
【0072】
このようにして得られた実施例1〜9及び比較例の止水テープを用いて、下記の試験を実施した。その結果は、表1に示す。
【0073】
(試験1)吸水高さ
止水テープより、84mmφの試料を採取し、85mmφのワイパー紙((株)クレシア製、キムワイプS−200)2枚の間に挟み込む。次に、図2に示すように、この試験片10を吸水面(高吸水性樹脂層1側の面)が上になるようにして容器11の下部に入れ、孔のあいた上蓋12(直径2.8mm×140個の小孔が表面全体に規則的に分布しているもので質量83gのもの)を試験片10の上に載せる。更に、ダイヤルゲージ13(測定力1.4N)を上蓋12の突起14の上にセットする。そして、ダイヤルゲージ13のゼロ調整を行い、容器11に人工海水[八洲薬品(株)製]57ミリリットルを注ぐ。10秒後及び60秒後のダイヤルゲージ13の値を読む。
【0074】
10秒後の吸水高さは、樹脂の膨潤速度の指標として測定している。
【0075】
(試験2)走水距離
図3(a)に示すように、直径3mm、長さ2mのステンレス棒15を2本あわせ、これに幅20mmにスリットした高吸水性シート(止水テープ3)を、樹脂加工面を内側にして、重なり幅5mmで巻き付ける。さらに、この上に、水が漏れないように、ビニールテープ16を巻いて模擬ケーブル17を作成する。次に、この模擬ケーブル17の先端にL字管18を取り付け、この先に、内径10mm、長さ1.2mのガラス管19を垂直に取り付ける。このガラス管19の先端から、高さ1mまで人口海水を、送入し、止水するまでの距離を測定する。
【0076】
(試験3)パット1巻きの長さ
幅20mmにスリットした高吸水性シート(止水テープ)を内径52mm、肉厚7mm(外径66mm)の紙管に巻き付け、パットの外径が600mmになる時の長さを測定した。
【0077】
(試験4)厚さ
JIS B7503に規定するダイヤルゲージ(最小目盛0.01mm)を用いて、テープの長手方向に5点測定し、その平均値を求めた。
【0078】
(試験5)加工時のカーリング
実施例及び比較例に記載の処理液を基材2に塗布し、乾燥(架橋)させる工程でのシートのカーリングについて評価した。ここで言う加工時のカーリングとは、処理液を基材2に塗布し、乾燥する工程で、樹脂の収縮等により幅方向に基材2が巻き上がってしまう現象を言う。この試験の評価は以下の通りである。
○:カーリングは見られない
△:カーリングは見られるが、連続加工可能
×:カーリングがきつく、連続加工不可能
上記試験1〜5の結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
Figure 2004192922
【0080】
(注)比較例の目付けについては、90.5g/mになるよう樹脂を45.5g/m付着させたが、樹脂脱落が多く見られ、試験時にはその目付けが85g/mに減っていた。尚、実施例1〜9では高吸水性樹脂層1の高吸水性樹脂の脱落は見られなかった。
【0081】
表1に示すように、実施例1〜9は比較例に比べると、海水に対して吸水高さ、走水距離において、優れた性能を示した。特に、実施例8では、最初の10秒における吸水高さが、高く、止水効果が高いことがわかる。また、実施例1〜8は、比較例に比べると、30%以上多く、パッドに巻くことを可能にしている。
【0082】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1の発明は、上記の(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方を架橋して形成される高吸水性樹脂層を不織布又は織物からなる基材の表面又は内部に担持するので、バインダーを使用しないで高吸水性樹脂層を基材に担持することによって、単位面積当たりの吸水性樹脂の量を多くすることができ、薄くても優れた止水性能を有するものである。そして、このように本発明は止水性能に優れて薄手のものとなるために、ケーブルを細径化し、ケーブルの外被樹脂の使用量を低減し、パッド1巻当たりの巻き量を長くすることができ、ケーブルの軽量化、細径化、コストの低減が可能な性能安定性に優れたケーブル用止水テープとなるものである。
【0083】
本発明の請求項2の発明は、塩基性化合物としてグリシンを用いるので、上記(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方からなる(メタ)アクリル酸塩系樹脂に適度な柔軟性を付与することができ、加工時のカーリングを防止することができるものである。
【0084】
本発明の請求項3の発明は、高吸水性樹脂層にシリカを含有させるので、吸湿によるブロッキングを防止することができると共にシリカの吸水性により止水効果を高めることができ、使用感及び止水性能を向上させることができるものである。
【0085】
本発明の請求項4の発明は、基材としてスパンボンド法長繊維ポリエステル不織布を用いるので、他の不織布等より薄いものでケーブル用止水テープとして必要な強度を得ることができ、さらにケーブルを細径化、軽量化し、パッド1巻当たりの巻き量を長くすることができるものであり、しかも、耐湿度寸法安定性、耐熱収縮性に優れているので、加工適正及び安定性に優れたケーブル用止水テープとなるものである。
【0086】
本発明の請求項5の発明は、基材として湿式不織布を用いるので、均一性に優れ、強度のバラツキが少ない基材とすることができ、目付、厚さを下げることができるものであり、これにより、ケーブルを細径化、軽量化し、パッド1巻当たりの巻き量を長くすることができるものである。また、均一な塗布面を有するため、高吸水性樹脂層を連続皮膜として存在させるのに有効である。
【0087】
本発明の請求項6の発明は、基材として透水防止処理されたものを用いるので、ケーブルに亀裂が生じた場合、海水及び地下水のケーブル内への進入を防ぐことができるものであり、また、処理液をコーティング加工する際、樹脂の裏抜けも防止することができるものであり、さらに、基材への処理液の入り込みを少なくし、表面の高吸水性樹脂層を厚くすることにより、吸水時の吸水高さを高くし、止水効果を高めることにも有効である。
【0088】
本発明の請求項7の発明は、高吸水性樹脂層を基材の表面に連続皮膜として形成するので、上記(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方からなる高吸水樹脂が吸水、膨潤し、止水効果を発揮する前でも、その連続皮膜が水の浸入を防止することができ、そのため、初期止水効果も高く、基材の繊維間の空間を水が浸透していくことがないので、より高い止水効果を得ることができるものである。
【0089】
本発明の請求項8の発明は、高吸水性樹脂層に微細な割れを形成するので、割れを通じて水を高吸水性樹脂層の内部に拡散することができ、吸水速度が速くなり、吸水能力が増大することができるものである。
【0090】
本発明の請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載のケーブル用止水テープを製造するにあたって、上記(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方及び熱反応性架橋剤を配合して処理液を調製し、この処理液を不織布又は織物からなる基材に担持させた後、加熱することにより上記のポリマーを架橋して基材の表面又は内部に高吸水性樹脂層を形成するので、水溶性の樹脂をコートし、その後、架橋するという方法により軽くかつ厚みが薄いケーブル用テープを提供することができるものである。その結果、ケーブルに巻きつけるときの、高吸水樹脂の粉落ちもなく、ケーブルの軽量化、細径化を可能にする。また、性能においても、水の流入のより早い時期に、樹脂のより高い吸水高さ(膨潤高さ)が得られるため、優れた止水効果を得ることができるものである。
【0091】
本発明の請求項10の発明は、ポリビニルアルコールの存在下でポリマーを架橋するので、上記(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方からなる(メタ)アクリル酸塩系樹脂のみの高吸水性樹脂層よりも強度、柔軟性を高くすることができ、基材からの高吸水性樹脂層の脱落がさらに発生しにくくなるものである。
【0092】
本発明の請求項11の発明は、処理液を基材に担持させる方法がコーティング法であるので、基材上に均一な高吸水性樹脂層を形成し、基材の厚さ方向への処理液の入り込み量を適度に調節することができ、この入り込み量を調節することによって、吸水時に基材からの高吸水性樹脂層のはがれやすさを調節することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、(a)(b)は断面図である。
【図2】試験1の方法を示す断面図である。
【図3】(a)は試験2で使用する模擬ケーブルの断面図、(b)は試験2の方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 高吸水性樹脂層
2 基材
3 ケーブル用止水テープ

Claims (11)

  1. 下記の(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方を架橋して形成される高吸水性樹脂層を不織布又は織物からなる基材の表面又は内部に担持して成ることを特徴とするケーブル用止水テープ。
    (a)(メタ)アクリル酸を含有するモノマー成分の一部のカルボキシル基を塩基性化合物で中和し、この中和されたモノマー成分を重合することで得られるポリマー。
    (b)(メタ)アクリル酸を含有するモノマー成分を重合し、一部のカルボキシル基を塩基性化合物で中和することで得られるポリマー。
  2. 塩基性化合物としてグリシンを用いて成ることを特徴とする請求項1に記載のケーブル用止水テープ。
  3. 高吸水性樹脂層にシリカを含有させて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル用止水テープ。
  4. 基材としてスパンボンド法長繊維ポリエステル不織布を用いて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブル用止水テープ。
  5. 基材として湿式不織布を用いて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブル用止水テープ。
  6. 基材として透水防止処理されたものを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のケーブル用止水テープ。
  7. 高吸水性樹脂層を基材の表面に連続皮膜として形成して成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のケーブル用止水テープ。
  8. 高吸水性樹脂層に微細な割れを形成して成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のケーブル用止水テープ。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のケーブル用止水テープを製造するにあたって、上記(a)に記載のポリマーと(b)に記載のポリマーの少なくとも一方及び熱反応性架橋剤を配合して処理液を調製し、この処理液を不織布又は織物からなる基材に担持させた後、加熱することにより上記のポリマーを架橋して基材の表面又は内部に高吸水性樹脂層を形成することを特徴とするケーブル用止水テープの製造方法。
  10. ポリビニルアルコールの存在下でポリマーを架橋することを特徴とする請求項9に記載のケーブル用止水テープの製造方法。
  11. 処理液を基材に担持させる方法がコーティング法であることを特徴とする請求項9又は10に記載のケーブル用止水テープの製造方法。
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