JP2004189564A - 軽量気泡コンクリートパネルの表面仕上げ方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に意匠付与および表面保護の目的で、防水性能を有する緻密層を軽量気泡コンクリート表面に形成する。
【解決手段】軽量気泡コンクリートパネル表面に、ノニオン系界面活性剤で分散させたアクリルラテックスを含むモルタル組成物を塗布した後、表面を平滑に切削する。
【選択図】 なし
【解決手段】軽量気泡コンクリートパネル表面に、ノニオン系界面活性剤で分散させたアクリルラテックスを含むモルタル組成物を塗布した後、表面を平滑に切削する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、表面に意匠付与および表面保護の目的で、防水性能を有する緻密層を形成する軽量気泡コンクリート(ALC)の表面仕上げ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで軽量気泡コンクリート表面にモルタル組成物スラリーを塗布してから研磨し、平滑面を形成させる事は外装塗装前の下地処理として行われる事はあった。(特許文献1:特開平11−278962)
しかし、その目的は軽量気泡コンクリートの表面の窪みや、凹凸を修正し、その後の塗装面の仕上がりを良好とする為のものであった。その為、補修材を窪みに塗布するだけではなく、全面に塗って補修し、研磨する事で、その後の塗装では均一な塗膜面が得られるが、しかしながら窪みの補修のみを行うべきところを全面補修するのであり、補修の観点から見れば効率が悪いと思われる。
また、特開平11−278962の実施例からも分かる様に、補修材を塗る前には軽量気泡コンクリート面へのプライマー塗布が必要であり、また、補修材と上塗り塗料の間にもプライマーが必要である。
【0003】
一方、軽量気泡コンクリートは塗装仕上げする事が一般的であり、この塗装仕上げへの要求性能は以下の通りである。すなわち、軽量気泡コンクリート表面は他の窯業建築部材と比較して凹凸が大きい為、窪みを埋めて平滑化すること、軽量気泡コンクリート基材と密着すること、水を吸い込みやすい軽量気泡コンクリート表面に防水処理を施す事、意匠付けを行うことである。通常、これらの効果を満たす塗装仕上げを行うには4層構成以上の塗膜層を要する事が一般的である。
そして、軽量気泡コンクリート表面に塗装を行う場合には、プライマー液を事前に塗布する必要があった。(特許文献2:特開昭52−66542)
【0004】
【特許文献1】
特開平11−278962
【特許文献2】
特開昭52−66542
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来から行われている軽量気泡コンクリートパネルの仕上げは、下地処理の工程を怠ると、軽量気泡コンクリート基材との付着性や防水性が劣るなどの問題が発生するおそれがある。しかしながら、手間と経費がかかるALCの下地処理工程を簡素化、さらには省略させたいという要望は強い。
したがって、本発明はこれらの問題を解決し、ノンプライマーでも、何ら問題なく塗装仕上げが可能な軽量気泡コンクリートパネルの仕上げ方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明はポルトランドセメント100重量部、骨材140〜1000重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス10〜40重量部(固形分換算)からなるモルタル組成物を表面に塗布することを特徴とする軽量気泡コンクリートパネルの表面仕上げ方法である。
【0007】
ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックスを含むモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布した後、好ましくは表面を平滑に切削することで、意匠的にも、密着性でも、防水性能も良好な軽量気泡コンクリート仕上げ済みパネルを得る事が出来る。本発明では1層で構成でき、これまでずっと必要とされてきたプライマー液の塗布が不要である。
このモルタル組成物は、ポルトランドセメント100重量部と骨材140〜1000重量部の混合粉体原料と、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス10〜40重量部(固形分換算)に適量の水を加えて、混練して得られ、意匠の面から必要であれば着色顔料0.1〜20重量部を入れても良い。骨材としてはシリカ粉体、炭酸カルシウム、軽量気泡コンクリート粉体、硅砂等が用いられるが、特に、これらに限定されるものではない。仕上がりの風合いから軽量気泡コンクリート粉末の使用が好ましい。
【0008】
骨材の粒径は、コテ塗りや万能ガン吹きの作業性から最大粒径1.2mm以下のものが好ましく、1.2mmより大きい場合には、コテ塗りの際にひっかき傷の原因になりやすく、また万能ガン吹きの際には仕上げ材表面に粒が露出して表面の仕上がりを著しく低下させる。
混合粉体原料中の骨材量が140重量部より少ない場合には、硬化、乾燥収縮が大きいため仕上げ材表面に亀裂が発生しやすく、1000重量部より多い場合には、ALC並みの強度が得られない。
【0009】
ここで用いるアクリルラテックスは、ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスであり、同じアクリルラテックスでも、例えばカルボン酸などを官能基に持つアニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスを用いると、セメントの中のカルシウムイオンが減少し、硬化遅延を起こし、亀裂等が発生する。
ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックス量は、固形分で40重量部より多い場合には、作業性や、加工性が悪く、セメントの水和に支障が生じ、硬化時間が著しく長くなってしまう。また、硬化収縮による亀裂が発生しやすい。固形分10重量部より少ないと軽量気泡コンクリートとの付着性が著しく低下し、また、十分な防水性能が得られない。
アクリルラテックスの量は、ポルトランドセメント100重量部に対して35重量部以下が好ましく、全固形分に対して5重量%以上の添加量が好ましい。ポルトランドセメントに対して35重量部を越えるとセメントの水和に支障を生じ、硬化形成時間が著しく長くなってしまう。全固形分に対して5重量%を下回ると、防水性能、軽量気泡コンクリートとの付着性能が低下してしまう。
【0010】
また、表面切削後の表面粗さに関しては、JIS B0601−1994に定義される算術平均粗さRaで10μm以下が好ましく、これよりも粗いと、ザラツキ感が分かり、意匠的に好ましくない。1μmを下回るRaとするにはモルタル組成物の骨材や原材料の粒径を1μm未満とする必要があり、一般的な原材料では微粉化が必要となってきてしまう為、工程の煩雑さ、経済性から好ましくない。また、モルタル組成物の粘度を抑える為に水添加を多くする必要が生じ、養生硬化の遅延を招いてしまう。
【0011】
当該アクリルラテックスを含むモルタル組成物は、軽量気泡コンクリート面への付着は良好であり、防水性能も良好であり、耐候性も優れているので、そのままで外装材としても使用可能であり、その際にはモルタル組成物に着色顔料を混入して発色させても良い。また、着色する為に塗装を行う場合でも、一般的な塗料であれば、モルタル組成物と塗膜との間でも、プライマー無しで付着する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
【0013】
【実施例及び比較例】
軽量気泡コンクリートパネルの、面積の大きい一面に対して表1に掲げるモルタル組成物を万能ガンを用いて吹き付ける。この時、モルタル組成物は玉吹き状に塗着し、凹凸が生じる。この凹凸面を平滑切削加工を行う。
ALCパネルとの付着性、仕上げ材自体の防水性能(透水度)、硬化後の表面状態、表面平滑切削後の状態について比較試験を実施した。ノニオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしては旭化成(株)「ポリトロンA1600」を、アニオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしては旭化成(株)「ポリトロンA1210」を、カチオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしてはフジワラ化学(株)「カチオントレーヌ」を使用した。骨材としては軽量気泡コンクリート破砕物を用いた。
【0014】
ALCパネルとの付着性は、仕上げ材を面積が600×600mmのALC表面へ、塗布量が1kg/m2になるように万能ガンで吹きつけ塗装を行い、常温にて24時間放置させた後、JISK5400に準じた付着試験を実施した。付着強度は0.7N/mm2以上が好ましく、破壊状況はALC基材からの破壊が最適である。
表1中結果欄の「◎」は「付着強度が0.7N/mm2以上で破壊状況はALC基材からの破壊で、極めて良好」を、「○」は「付着強度が0.7N/mm2未満であるが破壊状況はALC基材からの破壊で、良好」を、「△」は「付着強度が0.7N/mm2未満で破壊状況の一部に仕上げ材とALC基材の界面剥離が見られる場合で、やや劣る」を、「×」は「破壊状況が仕上げ材とALC基材の界面剥離で、劣る」をそれぞれ示す。
【0015】
仕上げ材自体の防水度は、仕上げ材を面積が600×600mmのALC表面に塗布量が1kg/m2になるように万能ガンで吹きつけ塗装を行い、常温にて24時間放置させた後、JISK5400に準じた透水度測定を実施した。
硬化後の表面状態は、仕上げ材を面積が600×600mmのALC表面に塗布量が1kg/m2になるように万能ガンで吹きつけ塗装を行い、常温にて24時間放置させた後、仕上げ材表面に何らかの異常がないかを目視にて評価した。
表面平滑切削後の状態については、硬化後の凹凸面を菊川鉄工所製ダイヤモンドグラインダ(直径240mm、切削幅800mmのローラー刃物を4段装着した仕様)を用いて、平滑に切削後、触指にて評価した。良好は手で触れた時に凹凸を感じないレベルである。
【0016】
(実施例1)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分10重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の5%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化後に表面平滑切削した。結果を表1に示す。
【0017】
(実施例2)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分35重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の18%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化後に表面平滑切削した。結果を表1に示す。
【0018】
(比較例1)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分5重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の4%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化後に表面平滑切削した。結果を表1に示す。
【0019】
(比較例2)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分40重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の20%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化させたところ、48時間の自然養生では硬化せず、サンプル評価に到らなかった。結果を表1に示す。
【0020】
(比較例3)
ポルトランドセメント100重量部に対してカチオン系界面活性剤を用いて分散したアクリルラテックスを、固形分10重量部となる様に加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の5%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布した。モルタル組成物の水気が引き、硬化が開始した時に亀裂が入り、硬化終了時には表面には無数の亀裂が形成されてしまった。結果を表1に示す。
【0021】
(比較例4)
ポルトランドセメント100重量部に対してアニオン系界面活性剤を用いて分散したアクリルラテックスを、固形分10重量部となる様に加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の5%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布した。この場合も、モルタル組成物の水気が引き、硬化が開始した時に亀裂が入り、硬化終了時には表面には無数の亀裂が形成されてしまった。結果を表1に示す。
【0022】
(比較例5)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分10重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の5%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化後に表面平滑切削した。この時、切削時間を変える事で表面粗さを5〜15μmに段階的に変えてサンプルを作成した。表面粗さが5μmから10μmまでは手で触れて凹凸を感じなかったが、10μmを越えると手にざらつき感が感じられた。また、10μmを越えるものに光を入射角45度で当てると凹凸が分かり、光沢が著しく低下した。すなわち10μmを越えると日に当てた時に、表面の粗さが分かる様になった。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、事前のプライマー塗布の工程を省略することが出来る。そして耐候性、防水性を有し、外観良好な表面仕上げ済みパネルを得る事が出来る。
【発明の属する技術分野】
この発明は、表面に意匠付与および表面保護の目的で、防水性能を有する緻密層を形成する軽量気泡コンクリート(ALC)の表面仕上げ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで軽量気泡コンクリート表面にモルタル組成物スラリーを塗布してから研磨し、平滑面を形成させる事は外装塗装前の下地処理として行われる事はあった。(特許文献1:特開平11−278962)
しかし、その目的は軽量気泡コンクリートの表面の窪みや、凹凸を修正し、その後の塗装面の仕上がりを良好とする為のものであった。その為、補修材を窪みに塗布するだけではなく、全面に塗って補修し、研磨する事で、その後の塗装では均一な塗膜面が得られるが、しかしながら窪みの補修のみを行うべきところを全面補修するのであり、補修の観点から見れば効率が悪いと思われる。
また、特開平11−278962の実施例からも分かる様に、補修材を塗る前には軽量気泡コンクリート面へのプライマー塗布が必要であり、また、補修材と上塗り塗料の間にもプライマーが必要である。
【0003】
一方、軽量気泡コンクリートは塗装仕上げする事が一般的であり、この塗装仕上げへの要求性能は以下の通りである。すなわち、軽量気泡コンクリート表面は他の窯業建築部材と比較して凹凸が大きい為、窪みを埋めて平滑化すること、軽量気泡コンクリート基材と密着すること、水を吸い込みやすい軽量気泡コンクリート表面に防水処理を施す事、意匠付けを行うことである。通常、これらの効果を満たす塗装仕上げを行うには4層構成以上の塗膜層を要する事が一般的である。
そして、軽量気泡コンクリート表面に塗装を行う場合には、プライマー液を事前に塗布する必要があった。(特許文献2:特開昭52−66542)
【0004】
【特許文献1】
特開平11−278962
【特許文献2】
特開昭52−66542
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来から行われている軽量気泡コンクリートパネルの仕上げは、下地処理の工程を怠ると、軽量気泡コンクリート基材との付着性や防水性が劣るなどの問題が発生するおそれがある。しかしながら、手間と経費がかかるALCの下地処理工程を簡素化、さらには省略させたいという要望は強い。
したがって、本発明はこれらの問題を解決し、ノンプライマーでも、何ら問題なく塗装仕上げが可能な軽量気泡コンクリートパネルの仕上げ方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明はポルトランドセメント100重量部、骨材140〜1000重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス10〜40重量部(固形分換算)からなるモルタル組成物を表面に塗布することを特徴とする軽量気泡コンクリートパネルの表面仕上げ方法である。
【0007】
ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックスを含むモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布した後、好ましくは表面を平滑に切削することで、意匠的にも、密着性でも、防水性能も良好な軽量気泡コンクリート仕上げ済みパネルを得る事が出来る。本発明では1層で構成でき、これまでずっと必要とされてきたプライマー液の塗布が不要である。
このモルタル組成物は、ポルトランドセメント100重量部と骨材140〜1000重量部の混合粉体原料と、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス10〜40重量部(固形分換算)に適量の水を加えて、混練して得られ、意匠の面から必要であれば着色顔料0.1〜20重量部を入れても良い。骨材としてはシリカ粉体、炭酸カルシウム、軽量気泡コンクリート粉体、硅砂等が用いられるが、特に、これらに限定されるものではない。仕上がりの風合いから軽量気泡コンクリート粉末の使用が好ましい。
【0008】
骨材の粒径は、コテ塗りや万能ガン吹きの作業性から最大粒径1.2mm以下のものが好ましく、1.2mmより大きい場合には、コテ塗りの際にひっかき傷の原因になりやすく、また万能ガン吹きの際には仕上げ材表面に粒が露出して表面の仕上がりを著しく低下させる。
混合粉体原料中の骨材量が140重量部より少ない場合には、硬化、乾燥収縮が大きいため仕上げ材表面に亀裂が発生しやすく、1000重量部より多い場合には、ALC並みの強度が得られない。
【0009】
ここで用いるアクリルラテックスは、ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスであり、同じアクリルラテックスでも、例えばカルボン酸などを官能基に持つアニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスを用いると、セメントの中のカルシウムイオンが減少し、硬化遅延を起こし、亀裂等が発生する。
ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックス量は、固形分で40重量部より多い場合には、作業性や、加工性が悪く、セメントの水和に支障が生じ、硬化時間が著しく長くなってしまう。また、硬化収縮による亀裂が発生しやすい。固形分10重量部より少ないと軽量気泡コンクリートとの付着性が著しく低下し、また、十分な防水性能が得られない。
アクリルラテックスの量は、ポルトランドセメント100重量部に対して35重量部以下が好ましく、全固形分に対して5重量%以上の添加量が好ましい。ポルトランドセメントに対して35重量部を越えるとセメントの水和に支障を生じ、硬化形成時間が著しく長くなってしまう。全固形分に対して5重量%を下回ると、防水性能、軽量気泡コンクリートとの付着性能が低下してしまう。
【0010】
また、表面切削後の表面粗さに関しては、JIS B0601−1994に定義される算術平均粗さRaで10μm以下が好ましく、これよりも粗いと、ザラツキ感が分かり、意匠的に好ましくない。1μmを下回るRaとするにはモルタル組成物の骨材や原材料の粒径を1μm未満とする必要があり、一般的な原材料では微粉化が必要となってきてしまう為、工程の煩雑さ、経済性から好ましくない。また、モルタル組成物の粘度を抑える為に水添加を多くする必要が生じ、養生硬化の遅延を招いてしまう。
【0011】
当該アクリルラテックスを含むモルタル組成物は、軽量気泡コンクリート面への付着は良好であり、防水性能も良好であり、耐候性も優れているので、そのままで外装材としても使用可能であり、その際にはモルタル組成物に着色顔料を混入して発色させても良い。また、着色する為に塗装を行う場合でも、一般的な塗料であれば、モルタル組成物と塗膜との間でも、プライマー無しで付着する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
【0013】
【実施例及び比較例】
軽量気泡コンクリートパネルの、面積の大きい一面に対して表1に掲げるモルタル組成物を万能ガンを用いて吹き付ける。この時、モルタル組成物は玉吹き状に塗着し、凹凸が生じる。この凹凸面を平滑切削加工を行う。
ALCパネルとの付着性、仕上げ材自体の防水性能(透水度)、硬化後の表面状態、表面平滑切削後の状態について比較試験を実施した。ノニオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしては旭化成(株)「ポリトロンA1600」を、アニオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしては旭化成(株)「ポリトロンA1210」を、カチオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしてはフジワラ化学(株)「カチオントレーヌ」を使用した。骨材としては軽量気泡コンクリート破砕物を用いた。
【0014】
ALCパネルとの付着性は、仕上げ材を面積が600×600mmのALC表面へ、塗布量が1kg/m2になるように万能ガンで吹きつけ塗装を行い、常温にて24時間放置させた後、JISK5400に準じた付着試験を実施した。付着強度は0.7N/mm2以上が好ましく、破壊状況はALC基材からの破壊が最適である。
表1中結果欄の「◎」は「付着強度が0.7N/mm2以上で破壊状況はALC基材からの破壊で、極めて良好」を、「○」は「付着強度が0.7N/mm2未満であるが破壊状況はALC基材からの破壊で、良好」を、「△」は「付着強度が0.7N/mm2未満で破壊状況の一部に仕上げ材とALC基材の界面剥離が見られる場合で、やや劣る」を、「×」は「破壊状況が仕上げ材とALC基材の界面剥離で、劣る」をそれぞれ示す。
【0015】
仕上げ材自体の防水度は、仕上げ材を面積が600×600mmのALC表面に塗布量が1kg/m2になるように万能ガンで吹きつけ塗装を行い、常温にて24時間放置させた後、JISK5400に準じた透水度測定を実施した。
硬化後の表面状態は、仕上げ材を面積が600×600mmのALC表面に塗布量が1kg/m2になるように万能ガンで吹きつけ塗装を行い、常温にて24時間放置させた後、仕上げ材表面に何らかの異常がないかを目視にて評価した。
表面平滑切削後の状態については、硬化後の凹凸面を菊川鉄工所製ダイヤモンドグラインダ(直径240mm、切削幅800mmのローラー刃物を4段装着した仕様)を用いて、平滑に切削後、触指にて評価した。良好は手で触れた時に凹凸を感じないレベルである。
【0016】
(実施例1)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分10重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の5%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化後に表面平滑切削した。結果を表1に示す。
【0017】
(実施例2)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分35重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の18%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化後に表面平滑切削した。結果を表1に示す。
【0018】
(比較例1)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分5重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の4%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化後に表面平滑切削した。結果を表1に示す。
【0019】
(比較例2)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分40重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の20%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化させたところ、48時間の自然養生では硬化せず、サンプル評価に到らなかった。結果を表1に示す。
【0020】
(比較例3)
ポルトランドセメント100重量部に対してカチオン系界面活性剤を用いて分散したアクリルラテックスを、固形分10重量部となる様に加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の5%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布した。モルタル組成物の水気が引き、硬化が開始した時に亀裂が入り、硬化終了時には表面には無数の亀裂が形成されてしまった。結果を表1に示す。
【0021】
(比較例4)
ポルトランドセメント100重量部に対してアニオン系界面活性剤を用いて分散したアクリルラテックスを、固形分10重量部となる様に加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の5%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布した。この場合も、モルタル組成物の水気が引き、硬化が開始した時に亀裂が入り、硬化終了時には表面には無数の亀裂が形成されてしまった。結果を表1に示す。
【0022】
(比較例5)
ポルトランドセメント100重量部に対して、ノニオン系界面活性剤で分散したアクリルラテックスエマルジョンを固形分10重量部として加え、更に骨材を加えてアクリルラテックスが全固形分の5%となる様に調整したモルタル組成物を軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布し、硬化後に表面平滑切削した。この時、切削時間を変える事で表面粗さを5〜15μmに段階的に変えてサンプルを作成した。表面粗さが5μmから10μmまでは手で触れて凹凸を感じなかったが、10μmを越えると手にざらつき感が感じられた。また、10μmを越えるものに光を入射角45度で当てると凹凸が分かり、光沢が著しく低下した。すなわち10μmを越えると日に当てた時に、表面の粗さが分かる様になった。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、事前のプライマー塗布の工程を省略することが出来る。そして耐候性、防水性を有し、外観良好な表面仕上げ済みパネルを得る事が出来る。
Claims (2)
- ポルトランドセメント100重量部、骨材140〜1000重量部の混合粉体原料と、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス10〜40重量部(固形分換算)からなるモルタル組成物を表面に塗布することを特徴とする軽量気泡コンクリートパネルの表面仕上げ方法。
- 請求項1記載の仕上げを行った後、切削により平滑化することを特徴とする軽量気泡コンクリートパネルの表面仕上げ方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002361713A JP2004189564A (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 軽量気泡コンクリートパネルの表面仕上げ方法 |
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JP2002361713A JP2004189564A (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 軽量気泡コンクリートパネルの表面仕上げ方法 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002361713A Pending JP2004189564A (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 軽量気泡コンクリートパネルの表面仕上げ方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004189564A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008201631A (ja) * | 2007-02-21 | 2008-09-04 | Taiheiyo Cement Corp | セメント質硬化体 |
-
2002
- 2002-12-13 JP JP2002361713A patent/JP2004189564A/ja active Pending
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JP2008201631A (ja) * | 2007-02-21 | 2008-09-04 | Taiheiyo Cement Corp | セメント質硬化体 |
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