JP2004160631A - 桜皮研磨機 - Google Patents
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Abstract
【課 題】自動研削が行えることによって過剰在庫を無くし、作業者の労力的負担と研削に係るランニングコストを大幅に軽減し、また必要以上の仕入れを抑制するなど、桜皮の厚さが一定でなくとも桜皮研削ができる桜皮等の樹皮を専用とする荒削り及び仕上研削用の研磨機の提供を目的とする。
【解決手段】研磨機本体が桜皮を載置させ左右移動するベッド部を有し、機械中央部には上下に駆動ロールによって構成されるベルト案内機構に無端サンディングベルトを掛け渡して、該ベルトを回転させ前後方向に走行させてなる研削ヘッド部と、決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できるサンダー昇降機構とを配設し、機械本体に連結した制御部により駆動制御する研磨機。
【選択図】 図1
【解決手段】研磨機本体が桜皮を載置させ左右移動するベッド部を有し、機械中央部には上下に駆動ロールによって構成されるベルト案内機構に無端サンディングベルトを掛け渡して、該ベルトを回転させ前後方向に走行させてなる研削ヘッド部と、決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できるサンダー昇降機構とを配設し、機械本体に連結した制御部により駆動制御する研磨機。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無端サンディングベルトによって、桜皮材の荒削り及び仕上研削用の研磨を施すための樹皮研磨機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として桜皮を貼着した樺細工製品、即ち桜の樹皮を薄く削って得た桜皮を木板或いは合板の台材に貼り付ける細工品は、茶筒や小物入れ又は花台等を始めとして家財道具とされる装飾細工品として種々の形を呈するものが多く存在しているものであり、特にこの種のものは樺細工とする伝統的工芸品として一般に知られている。
【0003】そこで、樺細工品に使用する桜皮は山桜の樹皮をある一定の長さに剥ぎ取り、乾燥させた樹皮を用いるもので、剥ぎ取られた桜皮は厚さが種々混在する他、厚みは5mm前後に達する。樺細工品として貼れる状態は0.2mm位までの厚さが必要で有り、山桜原皮は薄皮状にするため必ず研削工程を必要としていた。しかしこれまでの木材品研削加工機を見るに、単面削りにおける公知技術は無端サンディングベルトを使用するものとして特開平3−111165「ワイドベルトサンダー機」や特公平7−10029「木工用ベルトサンダー機」などがあり、これらに加えロールブラシサンダーを使用したものとして従来技術をより改良するものとしては、特開平8−118228「木工の仕上げ方法と木工用研磨装置」や特公平7−98307「木工用仕上研削機」などがある。
【0004】この種の木工用ベルトサンダー機にあっては、送材装置の上方に、駆動ロールを含む複数のロールによって構成されるベルト案内機構に無端サンディングベルトを掛け渡して、該ベルトを前後方向に走行させてなる研削ヘッドを配設したものが一般的である。
【0005】然しながら図12に示すように、桜皮などの樹皮は剥ぎとられた時点での厚みは8mmから15mm程の厚みに取られ、一品々の厚みが統一されていないことに加え桜皮独特の皮目となる節などが隆起していることから、一枚の厚みが均等になっていないことにある。つまり、前述における従来機ではベルトコンベアから送致した木材を流し込むことで、サンドペーパー等によって削ぎ取られたものが、桜皮などの樹皮では乾燥後に大半のものが反りと歪みがあり、コンベア方式による機械挿入型の研磨は到底使用できないものである。また、従来技術における研磨機はある程度平坦な木材に対する研削に対するものであったことから、樹皮用には到底使用できるものではなかった。このように従来技術の研磨機はいずれにおいても、木材単板に対する上面研削であり、桜皮などの樹皮に対する自動型研磨機は存在しなかったものである。
【0006】そこで従来による樹皮を削るための機械的な作業といえば、卓上型に取付けたモーター駆動による回転ドラムに貼着したサンドペーパーに、送り込んだ桜皮と回転ドラムを挟むように、足踏みによって上下動するテーブルに手動で樹皮を送り込み、回転方向に沿って奥に引っ張られるのに対して手動で手前に引き抜くことによって、前記回転ドラムに貼着したサンドペーパーと接触させ研削する装置(図示せず)を利用していたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述する従来の手動型研磨機械には次のような大きな欠点がある。即ち、厚く歪んだ山桜原皮は歪みが多く、しかも節目等の隆起物が皮表面にあり手動式による前記技術では研削が困難なため、より加工に適した原皮を作業者が選定し加工しようとするため、無駄な選定時間と加工に適さないと判断された未利用の原皮が在庫として残り、そのため利用されないまま次々と過剰在庫となっているものであった。特に、これまで仕入れた桜皮原皮の約1/3が使用したくない、あるいは使用できないものとして取り扱われ在庫となっていたものである。このことによって必要以上の山桜原皮を仕入れすることにもなり、樺細工加工業者にとってもっともコスト高となる原因の一つにあげられた。
【0008】また、前記の従来技術に記す通り手動により強制的にサンドペーパーと桜皮を接触させて引き抜くため、これまで荒削り研磨及び仕上げ研磨までの労力的負担及び加工時間は莫大なものであり、このことがコストを高めている大きな要因でもあった。
【0009】本発明はこれら従来の製造技術に於ける問題点に鑑み、上述する種々の問題点を解決するべく、自動研削が行えることによって過剰在庫を無くし、作業者の労力的負担と研削に係るランニングコストを大幅に軽減し、また必要以上の仕入れを抑制するなど上述欠点を全て除去した、桜皮の厚さが一定でなくとも桜皮研削ができる桜皮等の樹皮を専用とする、荒削り及び仕上研削用の研磨機の提供を目的とするものである。
【0010】
【発明が解決するための手段】
前記の問題点を解決すべく種々研究の結果、上記目的は本発明によって有効に達成することができる。
【0011】すなわち本発明は、下地材に山桜原皮を貼着して樺細工品と成る桜皮の研磨機において、当該研磨機本体は該桜皮を載置させ左右移動するベッド部を有し、機械中央部には上下に駆動ロールによって構成されるベルト案内機構に無端サンディングベルトを掛け渡して、該ベルトを回転させ前後方向に走行させてなる研削ヘッド部と、決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できるサンダー昇降機構とを配設し、機械本体に連結した制御部により駆動制御する研磨機であって、ワーク取付け用ベッドは原皮をエアーによる吸引吸着して成るバキュームパットで構成し、かつ、該ベッドは走行モーターによって左右にワークが研削ヘッドを中心に移動する構成であり、前記研削ヘッド部は、原皮研削時に削られた粉塵吸収用のブロアーと連結する集塵ダクトを設け、サンダーモーターによって無端サンディングベルトが回転し、かつ、ヘッド部が前後方向に移動し、決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できる機構で下降しながら研削し、研磨限度数値または研削指定量に達成した後ワーク取付け用ベッドはワーク取付け位置に戻り、ワークが着脱交換できる状態で研削ヘッドが原点復帰し集塵およびベルト回転停止され、一連の研削作業が簡易自動化された桜皮研磨機より構成されている。
【0012】また、請求項2記載の如く、前記サンダー昇降機構が、ハンドルと連結しベッド部が左右移動時に上下動ローラーに伝達されるラチェット歯の切り込み量によって決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できる機構で下降しながら研削できる。
【0013】更に、前記ワーク取付け用ベッドが研削ヘッドを中心に研削移動する際の速度調整が自在であると共に、粒度ナンバーに応じたサンドペーパーに対応する無端サンディングベルト回転速度が調整自在であり、装置駆動スイッチと連動して研削ヘッド部とワーク取付け用ベッドに連結する粉塵吸収用の集塵ブロアーが自動で作動する。
【0014】なお典型的には、前記走行用ベッド部及び研削ヘッド部に使用される駆動モーターがサーボモーターであって、連結する制御盤から数値制御によって任意の操作制御ができることを特徴とした、桜皮研磨機を提供することにより上述の問題点を解決している。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明における桜皮研磨機の構成と使用実施例を図1乃至り図11の添付図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の一部内部を表す正面図で図2は同実施例の一部内部を表す側面図である。図1及び図2より、1は研削ヘッド部であって、その下部にはワークWいわゆる桜皮原皮をセットするための取着載置台となるバキュームパレット部2が走行スライド部4に配設され、当該走行スライド部4はベッド本体3上面に摺動するよう嵌合され配設されている。また、駆動は大きく分けて上下サンダードラム1a、1bと連動してサンダーペーパー10を回転させるサンダーモーター1cと、ベッド本体3上面を摺動させる走行スライド部4の走行駆動用の走行モーター4aから構成されている。図2に示すように、本体後方にはエアー・モーター系制御盤51ユニットを備えているものであるが、作業効率を考慮して操作制御盤50は機械本体から独立して、作業者の操作しやすい場所に設置することでよい。また、当然のことながらスイングアーム式の移動回転操作盤として機械本体に配設することでもよく、制御ユニット及び操作盤については本発明において特に限定しなければならない技術ではない。
【0016】図1及び図2は全体の構成図を示していることから、以下、部分詳細を添付図面に従って詳述する。図3は、同実施例におけるワークベッド・テーブル部の部分正面図を表す。同図に示すように、ベッド本体3上面にはベッド本体3のスライド摺動面3aをスライドする走行部スライド4が嵌合されており、当該走行部スライド4上部にはバキュームパレット部2が固着載置され、バキュームパレット部2にはワークWを吸引吸着する多数孔の吸引ホール2bから構成されたバキュームパット2aを一体形成させており、バキュームパット2aから連結するバキュームダクト2cを経て、バキュームブロアー2d(リングブロアー)が吸引作動しバキュームパット部2装置内に配設した空気室(図示せず)の圧力制御によって、ワークWが吸引吸着され固定される。また、ベッド本体3の側面部両端には、走行スライド部4の左右移動のオーバーワークを検出する位置検出センサー3bが取り付けられており、スライド量の移動制限及び調整が可能となる。
【0017】図4及び図5を参照しワークWの着脱状態を説明すると、図4はバキュームパレット部にワークWを吸着前の状態斜視図を示し、図5はバキュームパレット部にワークWを吸着させた状態斜視図を示す。これらの図に示すように、バキュームパット2aから連結するバキュームブロアー2dの作動がない状態では、被吸着ワークW1は歪曲した状態であるが、バキュームブロアー2dの作動によりエアー吸引2cの矢印方向に示すように、下部面に向かって吸引されることにより吸着ワークW2のようにバキュームパット2aに張り付いたように吸引固着される。
【0018】次に図6は本発明の主要駆動部断面図を示し、図7及び図8を参照し駆動される部位を追って説明すると、上下ドラムシャフト(軸)1d、1eを支軸として無端サンディングベルト(以下、サンダーペーパー10と呼ぶ)を掛渡す部分となる上下サンダードラム1a、1bが、サンダーモーター1cより連動シャフト1fから伝達され回転される。また、サンダーペーパー10がワークWを圧接しながら研磨する際に、均等な研磨を得るためいわゆる研磨ムラを防止するよう研削ヘッド部には、ドラムが前後に均等移動するための前後運動であるオシュレーション機構5を施している。オシュレーション機構5によって、サンダーペーパー10が上下サンダードラム1a、1bと共にバキュームパット2a上面に吸着させたワークWに研磨ムラがでないように、パレット上面の範囲までを前後移動させるため、ワークWはバキュームパット2a内に収まっていることで均等研磨が得られる。またこれによって、サンダーペーパー10が均等に消耗し、ある一箇所のみが過渡の消耗や目詰まりを起こすことなどが防止される。
【0019】ワークWの研磨する下降伝達は、手動でワークWに達するまでの操作であればサンダー昇降ハンドル6を回してワークWとサンダーペーパー10が接触するまで回転動作を与える。このときのハンドル上下動はリンクギヤ6b(ベベルギヤ)から伝達され回転される。ハンドルロックノブ6aは解除で、サンダー昇降ハンドル6の回転を有効にし、施錠でハンドル制御を無効にする。このときサンダー昇降ハンドル6を手動から自動運転に切り替えたときの切り込み下降動作は、図8に示すように、走行スライド部4に配設したローラー上下動板4bの左右移動に合わせ、上下動ローラー部8の上下動ローラー8aが上下する度に、ラチェット歯8bに連動して設定された歯数分の切込み量をヘッド上下軸8cに伝達し、研削ヘッド部1が下降して研磨限度数値または研削指定量まで動作する。本発明の実施においてはラチェット1歯あたり0.03mm切り込み量について行ったものであるが、ラチェット歯8bを変えることにより任意の研磨量を得ることができる。
【0020】ベッド本体3上面にはベッド本体3のスライド摺動面3aをスライドする走行部スライド4の左右移動走行は、走行モーター4aから連動伝達された走行用ラック&ピニオン部7によってスムーズな移動が可能となる。
【0021】図9及び図10は、本発明の駆動部を除く外観正面図と外観側面図を示す。この図で判るように、機械本体の駆動部分については上述した図が主要部であり、本体外観は、架台30、ベッド31、ヘッド支柱32、ヘッドカバー33、集塵ダクト20、エアー・モーター系制御盤51の構成からなっており、極めて簡便な装置の提供ができるものである。
【0022】この他、本発明の桜皮研磨機では、樹皮の研磨であることから大量の粉塵が発生するため、研削ヘッド部に固着した集塵ダクト20と連結する集塵ブロアー21の運転により、より効率的な集塵がヘッド部から回収される。勿論ながら、集塵ダクト20に連結される集塵ブロアー21は分離して単独でスイッチを入れることでもよい。
【0023】また、「制御系」について送り速度はインバーター可変によるギヤードモーターを使用しているが、請求項4記載の通り、サーボモーター機構を使用することや、シーケンサ制御からCPU制御装置にした数値演算制御(NC)化とすることは、基本設計から応用することで可能であることから、機械動作を同一としたCPU演算装置によるNC型機械に置き換えることも全て本発明に包含される。
【0024】本発明による実際の研磨作業の自動運転手順を以下に具体的に詳述する。基本的に剥ぎ取られた桜皮原皮は約1〜2mmの厚みのものが使用される。そこで、原皮裁断寸法はベッド部のバキュームパットのパレット寸法にもよるが、本実施においてはパレット寸法が700mm×500mmであることから、ワークサイズは600mm×400mm状にカットされたものを用いた。採取された桜皮原皮は当初湾曲状に歪んでいることから、延ばし工程としてホットプレスにより圧熱50℃で、面圧150kg/cm2で約1分間あたりプレスして圧延を行ったものを使用する。このことによって、バキュームパットのパレット部に取り付ける際にエアーによる吸引吸着は安定される。
【0025】次の運転段階において、0.3mmの状態まで研磨したものを荒削りとしており、当初荒削りにするにはサンドペーパーの粒度ナンバーは#80(番)を用いる。樺細工品として使用される、いわゆる貼れる状態のものは、荒削り後に再度研磨した仕上げ品とされる厚さ0.2mm以下のものが使用されるもので、光沢、色合い等の加減にもよるがサンドペーパーの粒度ナンバーは#120(番)を用いる。
【0026】本実施の手順において荒削りの工程での手順から説明すると、無端サンディングベルトであるサンダーペーパーサイズは420mm×2,000mmを使用しているもので、粒度ナンバーは#80(番)のサンダーペーパーを取り付ける。試験用実機においては、420mm×2,000mmの無端サンディングベルトを使用したものであるが、機械本体のベッド容量及び研削物の大きさに対応した当該無端サンディングベルトを使用することはここでは、特に限定するものではない。図11に示すように制御盤にある電源ランプS1が点灯していることにより、制御盤上の各スイッチ操作が可能状態であることを示し、同制御盤内のサンダーペーパー張りスイッチS2を使用して、サンダーペーパーの緩締動作を行う。始めにサンダーペーパー張りスイッチS2を「切り」に入れることで、上下サンダードラムが緩み無端サンダーペーパーを掛渡して嵌着される。
【0027】前記サンダーペーパー張りスイッチS2を「入り」して、各サンダードラムが上下方向に移動してペーパーが張られる。サンダーペーパーの交換時には、サンダードラムに取着させた時に前回使用していたペーパーの位置と手前奥側の位置とが任意取り付けによって変更されていることから、サンダーペーパーのよじれ具合及び位置を調整するためのサンダー微調整を下記の手順で行う必要がある。調整方法は、▲1▼サンダーペーパー回転スイッチS5を入れてサンダーを回転させ、サンダーペーパーが手前、奥に均等移動するよう前後動であるオシュレーション機構の調整として調整ノブを解除して、調整ボルトを合わせて微調整する。調整完了後に調整ノブをロックする。▲2▼サンダーペーパーの高さ(0mm)を設定する。▲3▼高さ(0mm)の設定はバキュームパット前進/後退スイッチS6でバキュームパットをサンダーの下まで移動させる。▲4▼サンダー昇降ハンドルを反時計方向に回しサンダーを降下させ、サンダーとバキュームパットの間を“0”にする。▲5▼非常停止スイッチS11を押下し、自動停止スイッチS7と自動開始スイッチS3を同時に押下する。▲6▼自動開始ランプが1秒点火、1秒滅火を繰り返し終了する。
【0028】次に、上記サンダー調整が終了した後、実際の研磨用調整を行う。研磨する厚さを厚さ設定スイッチS1で設定を行う。この場合、荒削りとする場合は厚さ設定スイッチS1の数値を0.3mmに設定する。設定終了後サンダー昇降ハンドルを回し、サンダーを適切な高さにする。この状態で、機械側設定が終了しており、自動運転にするため、非常停止スイッチS11は周囲の安全を確認し、解除する。非常停止スイッチS11が解除されない限り、自動運転の以降は当然ながら行われない。
【0029】次に、前述したようにホットプレスによって圧延された材料を、バキュームパットにセットし、自動開始スイッチS3を押下する。この時、自動開始ランプが点火し自動運転中であることが認識できる。前記自動開始スイッチS3の押下により、バキューム用ブロアーが吸引作動しバキュームパット装置内に配設した空気室の圧力制御によって、桜皮が吸引吸着されるとともにサンダー回転及び集塵ブロアーがON状態になる。前期S3の押下2秒後にバキュームパットが前進/後退を始め、研削状態に入る。ベッド面をスライド走行して研削を開始した後に、設定した厚さまで研磨すると、自動でブロアーバキュームパッドが停止する。この時に、自動開始ランプは滅火する。また、このとき本発明の装置の特徴として、サンダーペーパーの回転方向に合わせ、研磨限度数値または研削指定量に達成した場合であっても、ワーク取付け用ベッドはワーク取付け位置に戻り、ワークが着脱交換できる状態で研削ヘッドが原点復帰される。
【0030】前記動作は、最終数値に達成したことによって移動開始位置に戻らず取り付け位置と逆方向で終了した場合、ペーパーの回転方向側に送り込んだ状態では研磨終了した材料の上に大量の削り粉体が残るかたちになり、バキュームパット上に落とすことにもなり、次の取り付けに支障をきたすものであるほか、取り付け位置が原点に復帰しない場合に、常に取り掛かりと作業位置が行ったり来たりと作業効率の妨げにもなるもので、ワーク原点復帰は以上の不具合を全て解消されるものである。
【0031】その他の動作としては、非常停止スイッチを押下することにより、サンダー回転、ブロアー、バキュームパットが停止する。また、自動運転中に、自動停止スイッチS7を押下することにより、1サイクル研磨後、ブロアー、バキュームパットが停止する。この時の状態として、研磨未であれば、自動開始ランプが1秒点火、1秒滅火を繰り返し、自動開始スイッチS3スイッチ押下で研磨が開始される。なお、研磨完であれば自動開始ランプが滅火し、研磨作業終了であることが視認できる。また、本発明においては勿論ながら自動運転に加え、手動割り込みによる運転も可能である。
【0032】上記手順は、荒削りにおける手順を述べたものであるが、一度荒削りを行った後に連続で仕上げ研磨を行う場合は、サンダーペーパーを交換し研磨設定値を0.2mm程度までに調整し、かつ、サンダー調整を行えばよく、仕上げ削りと荒削りの手順上は何等変わるものではない。また、本発明の装置を2台併用することで、一人の作業者で荒削りと仕上げ削りを同時に行うことができ、一度に荒から仕上げまで完成することから効率のよい作業ができることにもなる。
【0033】実施の結果、粒度ナンバー#80(番)による0.3mmまでの荒削りは従来の手動型で1日190枚に対して、本発明の研磨機によれば、1日300枚を超え、粒度ナンバー#120(番)による0.2mmまでの仕上げ削りは従来の手動型で1日550枚であるところ、1日1,000枚を超える結果が得られた。なお、ペーパーの交換頻度も減り、しかも作業者が嫌う不揃いな厚みも関係なく余分な在庫が一掃された。更に、作業者の労力低下や辛苦は自動機械であるが故に、解消されたものである。またサンダーモーターの回転数とスライド走行モーターの送り、1歯当りの送り込み量の調整によって、商品としてのベストな色合いは視感と触感で簡易に調整ができたものである。
【0034】
【発明の効果】
以上の如く、本発明による桜皮研磨機を使用することにより、研磨が困難であった厚く歪んだ山桜原皮が簡便に研磨でき、特に厚く歪んだものは未利用の原皮として在庫が過剰となっていたものが、一掃され全て製品として利用できる。そこで未利用の原皮を利用可能とすることで在庫減少に伴い、仕入れする原皮数量を抑制することができ、かつ、これまで在庫原皮を既存の商品に使用することにより、コストを下げた商品提供が可能となる。更には、その原皮を利用した新商品開発にも一層手掛けることが可能となる。
【0035】特に、これまで手動で行っていた研磨から、作業者は労力的負担と作業時間の大幅な削減を行うことができるため、よりコストダウンにつながる。また、視感と触感で桜皮のベストな色合わせができる。
このように本発明によれば、山桜原皮の入荷数量を適正な仕入れ数とすることで過剰在庫が抑制され、かつ、桜皮の有効利用による市場性の向上は勿論のこと、樺細工業界の市場性の向上を計ることができることにより、生産業界との相乗作用により、産業上に極めて有意義かつ多大な効果を生ぜしめるものである。
【図面の簡単な説明】
【図 1】本発明の実施例における概観内部正面図である。
【図 2】同実施例の概観内部側面図。
【図 3】同実施例におけるワークベッド・テーブル部の正面図。
【図 4】本発明のバキュームパレット部に材料を吸着前の状態斜視図。
【図 5】上図におけるバキュームパレット部に材料を吸着させた状態斜視図。
【図 6】本発明の主要駆動部断面図。
【図 7】同実施例におけるサンダーヘッド部の部分正面図。
【図 8】同実施例における上下動駆動部の部分正面図。
【図 9】本発明の駆動部を除く外観正面図。
【図10】本発明の駆動部を除く外観側面図。
【図11】本発明の操作制御盤の一実施例を表す正面図。
【図12】採取した状態の桜皮原皮を表す斜視図。
【符号の説明】
1: 研削ヘッド部
2: バキュームパレット部
3: ベッド本体
4: 走行スライド部
5: オシュレーション機構
6: サンダー昇降ハンドル
7: 走行用ラック&ピニオン部
8: 上下動ローラー部
10: サンダーペーパー
20: 集塵ダクト 21: 集塵用ブロアー
30: 架台 31: ベッド 32: ヘッド支柱 33: ヘッドカバー
50: 操作制御盤
51: エアー・モーター系制御盤
【発明の属する技術分野】
本発明は無端サンディングベルトによって、桜皮材の荒削り及び仕上研削用の研磨を施すための樹皮研磨機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として桜皮を貼着した樺細工製品、即ち桜の樹皮を薄く削って得た桜皮を木板或いは合板の台材に貼り付ける細工品は、茶筒や小物入れ又は花台等を始めとして家財道具とされる装飾細工品として種々の形を呈するものが多く存在しているものであり、特にこの種のものは樺細工とする伝統的工芸品として一般に知られている。
【0003】そこで、樺細工品に使用する桜皮は山桜の樹皮をある一定の長さに剥ぎ取り、乾燥させた樹皮を用いるもので、剥ぎ取られた桜皮は厚さが種々混在する他、厚みは5mm前後に達する。樺細工品として貼れる状態は0.2mm位までの厚さが必要で有り、山桜原皮は薄皮状にするため必ず研削工程を必要としていた。しかしこれまでの木材品研削加工機を見るに、単面削りにおける公知技術は無端サンディングベルトを使用するものとして特開平3−111165「ワイドベルトサンダー機」や特公平7−10029「木工用ベルトサンダー機」などがあり、これらに加えロールブラシサンダーを使用したものとして従来技術をより改良するものとしては、特開平8−118228「木工の仕上げ方法と木工用研磨装置」や特公平7−98307「木工用仕上研削機」などがある。
【0004】この種の木工用ベルトサンダー機にあっては、送材装置の上方に、駆動ロールを含む複数のロールによって構成されるベルト案内機構に無端サンディングベルトを掛け渡して、該ベルトを前後方向に走行させてなる研削ヘッドを配設したものが一般的である。
【0005】然しながら図12に示すように、桜皮などの樹皮は剥ぎとられた時点での厚みは8mmから15mm程の厚みに取られ、一品々の厚みが統一されていないことに加え桜皮独特の皮目となる節などが隆起していることから、一枚の厚みが均等になっていないことにある。つまり、前述における従来機ではベルトコンベアから送致した木材を流し込むことで、サンドペーパー等によって削ぎ取られたものが、桜皮などの樹皮では乾燥後に大半のものが反りと歪みがあり、コンベア方式による機械挿入型の研磨は到底使用できないものである。また、従来技術における研磨機はある程度平坦な木材に対する研削に対するものであったことから、樹皮用には到底使用できるものではなかった。このように従来技術の研磨機はいずれにおいても、木材単板に対する上面研削であり、桜皮などの樹皮に対する自動型研磨機は存在しなかったものである。
【0006】そこで従来による樹皮を削るための機械的な作業といえば、卓上型に取付けたモーター駆動による回転ドラムに貼着したサンドペーパーに、送り込んだ桜皮と回転ドラムを挟むように、足踏みによって上下動するテーブルに手動で樹皮を送り込み、回転方向に沿って奥に引っ張られるのに対して手動で手前に引き抜くことによって、前記回転ドラムに貼着したサンドペーパーと接触させ研削する装置(図示せず)を利用していたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述する従来の手動型研磨機械には次のような大きな欠点がある。即ち、厚く歪んだ山桜原皮は歪みが多く、しかも節目等の隆起物が皮表面にあり手動式による前記技術では研削が困難なため、より加工に適した原皮を作業者が選定し加工しようとするため、無駄な選定時間と加工に適さないと判断された未利用の原皮が在庫として残り、そのため利用されないまま次々と過剰在庫となっているものであった。特に、これまで仕入れた桜皮原皮の約1/3が使用したくない、あるいは使用できないものとして取り扱われ在庫となっていたものである。このことによって必要以上の山桜原皮を仕入れすることにもなり、樺細工加工業者にとってもっともコスト高となる原因の一つにあげられた。
【0008】また、前記の従来技術に記す通り手動により強制的にサンドペーパーと桜皮を接触させて引き抜くため、これまで荒削り研磨及び仕上げ研磨までの労力的負担及び加工時間は莫大なものであり、このことがコストを高めている大きな要因でもあった。
【0009】本発明はこれら従来の製造技術に於ける問題点に鑑み、上述する種々の問題点を解決するべく、自動研削が行えることによって過剰在庫を無くし、作業者の労力的負担と研削に係るランニングコストを大幅に軽減し、また必要以上の仕入れを抑制するなど上述欠点を全て除去した、桜皮の厚さが一定でなくとも桜皮研削ができる桜皮等の樹皮を専用とする、荒削り及び仕上研削用の研磨機の提供を目的とするものである。
【0010】
【発明が解決するための手段】
前記の問題点を解決すべく種々研究の結果、上記目的は本発明によって有効に達成することができる。
【0011】すなわち本発明は、下地材に山桜原皮を貼着して樺細工品と成る桜皮の研磨機において、当該研磨機本体は該桜皮を載置させ左右移動するベッド部を有し、機械中央部には上下に駆動ロールによって構成されるベルト案内機構に無端サンディングベルトを掛け渡して、該ベルトを回転させ前後方向に走行させてなる研削ヘッド部と、決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できるサンダー昇降機構とを配設し、機械本体に連結した制御部により駆動制御する研磨機であって、ワーク取付け用ベッドは原皮をエアーによる吸引吸着して成るバキュームパットで構成し、かつ、該ベッドは走行モーターによって左右にワークが研削ヘッドを中心に移動する構成であり、前記研削ヘッド部は、原皮研削時に削られた粉塵吸収用のブロアーと連結する集塵ダクトを設け、サンダーモーターによって無端サンディングベルトが回転し、かつ、ヘッド部が前後方向に移動し、決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できる機構で下降しながら研削し、研磨限度数値または研削指定量に達成した後ワーク取付け用ベッドはワーク取付け位置に戻り、ワークが着脱交換できる状態で研削ヘッドが原点復帰し集塵およびベルト回転停止され、一連の研削作業が簡易自動化された桜皮研磨機より構成されている。
【0012】また、請求項2記載の如く、前記サンダー昇降機構が、ハンドルと連結しベッド部が左右移動時に上下動ローラーに伝達されるラチェット歯の切り込み量によって決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できる機構で下降しながら研削できる。
【0013】更に、前記ワーク取付け用ベッドが研削ヘッドを中心に研削移動する際の速度調整が自在であると共に、粒度ナンバーに応じたサンドペーパーに対応する無端サンディングベルト回転速度が調整自在であり、装置駆動スイッチと連動して研削ヘッド部とワーク取付け用ベッドに連結する粉塵吸収用の集塵ブロアーが自動で作動する。
【0014】なお典型的には、前記走行用ベッド部及び研削ヘッド部に使用される駆動モーターがサーボモーターであって、連結する制御盤から数値制御によって任意の操作制御ができることを特徴とした、桜皮研磨機を提供することにより上述の問題点を解決している。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明における桜皮研磨機の構成と使用実施例を図1乃至り図11の添付図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の一部内部を表す正面図で図2は同実施例の一部内部を表す側面図である。図1及び図2より、1は研削ヘッド部であって、その下部にはワークWいわゆる桜皮原皮をセットするための取着載置台となるバキュームパレット部2が走行スライド部4に配設され、当該走行スライド部4はベッド本体3上面に摺動するよう嵌合され配設されている。また、駆動は大きく分けて上下サンダードラム1a、1bと連動してサンダーペーパー10を回転させるサンダーモーター1cと、ベッド本体3上面を摺動させる走行スライド部4の走行駆動用の走行モーター4aから構成されている。図2に示すように、本体後方にはエアー・モーター系制御盤51ユニットを備えているものであるが、作業効率を考慮して操作制御盤50は機械本体から独立して、作業者の操作しやすい場所に設置することでよい。また、当然のことながらスイングアーム式の移動回転操作盤として機械本体に配設することでもよく、制御ユニット及び操作盤については本発明において特に限定しなければならない技術ではない。
【0016】図1及び図2は全体の構成図を示していることから、以下、部分詳細を添付図面に従って詳述する。図3は、同実施例におけるワークベッド・テーブル部の部分正面図を表す。同図に示すように、ベッド本体3上面にはベッド本体3のスライド摺動面3aをスライドする走行部スライド4が嵌合されており、当該走行部スライド4上部にはバキュームパレット部2が固着載置され、バキュームパレット部2にはワークWを吸引吸着する多数孔の吸引ホール2bから構成されたバキュームパット2aを一体形成させており、バキュームパット2aから連結するバキュームダクト2cを経て、バキュームブロアー2d(リングブロアー)が吸引作動しバキュームパット部2装置内に配設した空気室(図示せず)の圧力制御によって、ワークWが吸引吸着され固定される。また、ベッド本体3の側面部両端には、走行スライド部4の左右移動のオーバーワークを検出する位置検出センサー3bが取り付けられており、スライド量の移動制限及び調整が可能となる。
【0017】図4及び図5を参照しワークWの着脱状態を説明すると、図4はバキュームパレット部にワークWを吸着前の状態斜視図を示し、図5はバキュームパレット部にワークWを吸着させた状態斜視図を示す。これらの図に示すように、バキュームパット2aから連結するバキュームブロアー2dの作動がない状態では、被吸着ワークW1は歪曲した状態であるが、バキュームブロアー2dの作動によりエアー吸引2cの矢印方向に示すように、下部面に向かって吸引されることにより吸着ワークW2のようにバキュームパット2aに張り付いたように吸引固着される。
【0018】次に図6は本発明の主要駆動部断面図を示し、図7及び図8を参照し駆動される部位を追って説明すると、上下ドラムシャフト(軸)1d、1eを支軸として無端サンディングベルト(以下、サンダーペーパー10と呼ぶ)を掛渡す部分となる上下サンダードラム1a、1bが、サンダーモーター1cより連動シャフト1fから伝達され回転される。また、サンダーペーパー10がワークWを圧接しながら研磨する際に、均等な研磨を得るためいわゆる研磨ムラを防止するよう研削ヘッド部には、ドラムが前後に均等移動するための前後運動であるオシュレーション機構5を施している。オシュレーション機構5によって、サンダーペーパー10が上下サンダードラム1a、1bと共にバキュームパット2a上面に吸着させたワークWに研磨ムラがでないように、パレット上面の範囲までを前後移動させるため、ワークWはバキュームパット2a内に収まっていることで均等研磨が得られる。またこれによって、サンダーペーパー10が均等に消耗し、ある一箇所のみが過渡の消耗や目詰まりを起こすことなどが防止される。
【0019】ワークWの研磨する下降伝達は、手動でワークWに達するまでの操作であればサンダー昇降ハンドル6を回してワークWとサンダーペーパー10が接触するまで回転動作を与える。このときのハンドル上下動はリンクギヤ6b(ベベルギヤ)から伝達され回転される。ハンドルロックノブ6aは解除で、サンダー昇降ハンドル6の回転を有効にし、施錠でハンドル制御を無効にする。このときサンダー昇降ハンドル6を手動から自動運転に切り替えたときの切り込み下降動作は、図8に示すように、走行スライド部4に配設したローラー上下動板4bの左右移動に合わせ、上下動ローラー部8の上下動ローラー8aが上下する度に、ラチェット歯8bに連動して設定された歯数分の切込み量をヘッド上下軸8cに伝達し、研削ヘッド部1が下降して研磨限度数値または研削指定量まで動作する。本発明の実施においてはラチェット1歯あたり0.03mm切り込み量について行ったものであるが、ラチェット歯8bを変えることにより任意の研磨量を得ることができる。
【0020】ベッド本体3上面にはベッド本体3のスライド摺動面3aをスライドする走行部スライド4の左右移動走行は、走行モーター4aから連動伝達された走行用ラック&ピニオン部7によってスムーズな移動が可能となる。
【0021】図9及び図10は、本発明の駆動部を除く外観正面図と外観側面図を示す。この図で判るように、機械本体の駆動部分については上述した図が主要部であり、本体外観は、架台30、ベッド31、ヘッド支柱32、ヘッドカバー33、集塵ダクト20、エアー・モーター系制御盤51の構成からなっており、極めて簡便な装置の提供ができるものである。
【0022】この他、本発明の桜皮研磨機では、樹皮の研磨であることから大量の粉塵が発生するため、研削ヘッド部に固着した集塵ダクト20と連結する集塵ブロアー21の運転により、より効率的な集塵がヘッド部から回収される。勿論ながら、集塵ダクト20に連結される集塵ブロアー21は分離して単独でスイッチを入れることでもよい。
【0023】また、「制御系」について送り速度はインバーター可変によるギヤードモーターを使用しているが、請求項4記載の通り、サーボモーター機構を使用することや、シーケンサ制御からCPU制御装置にした数値演算制御(NC)化とすることは、基本設計から応用することで可能であることから、機械動作を同一としたCPU演算装置によるNC型機械に置き換えることも全て本発明に包含される。
【0024】本発明による実際の研磨作業の自動運転手順を以下に具体的に詳述する。基本的に剥ぎ取られた桜皮原皮は約1〜2mmの厚みのものが使用される。そこで、原皮裁断寸法はベッド部のバキュームパットのパレット寸法にもよるが、本実施においてはパレット寸法が700mm×500mmであることから、ワークサイズは600mm×400mm状にカットされたものを用いた。採取された桜皮原皮は当初湾曲状に歪んでいることから、延ばし工程としてホットプレスにより圧熱50℃で、面圧150kg/cm2で約1分間あたりプレスして圧延を行ったものを使用する。このことによって、バキュームパットのパレット部に取り付ける際にエアーによる吸引吸着は安定される。
【0025】次の運転段階において、0.3mmの状態まで研磨したものを荒削りとしており、当初荒削りにするにはサンドペーパーの粒度ナンバーは#80(番)を用いる。樺細工品として使用される、いわゆる貼れる状態のものは、荒削り後に再度研磨した仕上げ品とされる厚さ0.2mm以下のものが使用されるもので、光沢、色合い等の加減にもよるがサンドペーパーの粒度ナンバーは#120(番)を用いる。
【0026】本実施の手順において荒削りの工程での手順から説明すると、無端サンディングベルトであるサンダーペーパーサイズは420mm×2,000mmを使用しているもので、粒度ナンバーは#80(番)のサンダーペーパーを取り付ける。試験用実機においては、420mm×2,000mmの無端サンディングベルトを使用したものであるが、機械本体のベッド容量及び研削物の大きさに対応した当該無端サンディングベルトを使用することはここでは、特に限定するものではない。図11に示すように制御盤にある電源ランプS1が点灯していることにより、制御盤上の各スイッチ操作が可能状態であることを示し、同制御盤内のサンダーペーパー張りスイッチS2を使用して、サンダーペーパーの緩締動作を行う。始めにサンダーペーパー張りスイッチS2を「切り」に入れることで、上下サンダードラムが緩み無端サンダーペーパーを掛渡して嵌着される。
【0027】前記サンダーペーパー張りスイッチS2を「入り」して、各サンダードラムが上下方向に移動してペーパーが張られる。サンダーペーパーの交換時には、サンダードラムに取着させた時に前回使用していたペーパーの位置と手前奥側の位置とが任意取り付けによって変更されていることから、サンダーペーパーのよじれ具合及び位置を調整するためのサンダー微調整を下記の手順で行う必要がある。調整方法は、▲1▼サンダーペーパー回転スイッチS5を入れてサンダーを回転させ、サンダーペーパーが手前、奥に均等移動するよう前後動であるオシュレーション機構の調整として調整ノブを解除して、調整ボルトを合わせて微調整する。調整完了後に調整ノブをロックする。▲2▼サンダーペーパーの高さ(0mm)を設定する。▲3▼高さ(0mm)の設定はバキュームパット前進/後退スイッチS6でバキュームパットをサンダーの下まで移動させる。▲4▼サンダー昇降ハンドルを反時計方向に回しサンダーを降下させ、サンダーとバキュームパットの間を“0”にする。▲5▼非常停止スイッチS11を押下し、自動停止スイッチS7と自動開始スイッチS3を同時に押下する。▲6▼自動開始ランプが1秒点火、1秒滅火を繰り返し終了する。
【0028】次に、上記サンダー調整が終了した後、実際の研磨用調整を行う。研磨する厚さを厚さ設定スイッチS1で設定を行う。この場合、荒削りとする場合は厚さ設定スイッチS1の数値を0.3mmに設定する。設定終了後サンダー昇降ハンドルを回し、サンダーを適切な高さにする。この状態で、機械側設定が終了しており、自動運転にするため、非常停止スイッチS11は周囲の安全を確認し、解除する。非常停止スイッチS11が解除されない限り、自動運転の以降は当然ながら行われない。
【0029】次に、前述したようにホットプレスによって圧延された材料を、バキュームパットにセットし、自動開始スイッチS3を押下する。この時、自動開始ランプが点火し自動運転中であることが認識できる。前記自動開始スイッチS3の押下により、バキューム用ブロアーが吸引作動しバキュームパット装置内に配設した空気室の圧力制御によって、桜皮が吸引吸着されるとともにサンダー回転及び集塵ブロアーがON状態になる。前期S3の押下2秒後にバキュームパットが前進/後退を始め、研削状態に入る。ベッド面をスライド走行して研削を開始した後に、設定した厚さまで研磨すると、自動でブロアーバキュームパッドが停止する。この時に、自動開始ランプは滅火する。また、このとき本発明の装置の特徴として、サンダーペーパーの回転方向に合わせ、研磨限度数値または研削指定量に達成した場合であっても、ワーク取付け用ベッドはワーク取付け位置に戻り、ワークが着脱交換できる状態で研削ヘッドが原点復帰される。
【0030】前記動作は、最終数値に達成したことによって移動開始位置に戻らず取り付け位置と逆方向で終了した場合、ペーパーの回転方向側に送り込んだ状態では研磨終了した材料の上に大量の削り粉体が残るかたちになり、バキュームパット上に落とすことにもなり、次の取り付けに支障をきたすものであるほか、取り付け位置が原点に復帰しない場合に、常に取り掛かりと作業位置が行ったり来たりと作業効率の妨げにもなるもので、ワーク原点復帰は以上の不具合を全て解消されるものである。
【0031】その他の動作としては、非常停止スイッチを押下することにより、サンダー回転、ブロアー、バキュームパットが停止する。また、自動運転中に、自動停止スイッチS7を押下することにより、1サイクル研磨後、ブロアー、バキュームパットが停止する。この時の状態として、研磨未であれば、自動開始ランプが1秒点火、1秒滅火を繰り返し、自動開始スイッチS3スイッチ押下で研磨が開始される。なお、研磨完であれば自動開始ランプが滅火し、研磨作業終了であることが視認できる。また、本発明においては勿論ながら自動運転に加え、手動割り込みによる運転も可能である。
【0032】上記手順は、荒削りにおける手順を述べたものであるが、一度荒削りを行った後に連続で仕上げ研磨を行う場合は、サンダーペーパーを交換し研磨設定値を0.2mm程度までに調整し、かつ、サンダー調整を行えばよく、仕上げ削りと荒削りの手順上は何等変わるものではない。また、本発明の装置を2台併用することで、一人の作業者で荒削りと仕上げ削りを同時に行うことができ、一度に荒から仕上げまで完成することから効率のよい作業ができることにもなる。
【0033】実施の結果、粒度ナンバー#80(番)による0.3mmまでの荒削りは従来の手動型で1日190枚に対して、本発明の研磨機によれば、1日300枚を超え、粒度ナンバー#120(番)による0.2mmまでの仕上げ削りは従来の手動型で1日550枚であるところ、1日1,000枚を超える結果が得られた。なお、ペーパーの交換頻度も減り、しかも作業者が嫌う不揃いな厚みも関係なく余分な在庫が一掃された。更に、作業者の労力低下や辛苦は自動機械であるが故に、解消されたものである。またサンダーモーターの回転数とスライド走行モーターの送り、1歯当りの送り込み量の調整によって、商品としてのベストな色合いは視感と触感で簡易に調整ができたものである。
【0034】
【発明の効果】
以上の如く、本発明による桜皮研磨機を使用することにより、研磨が困難であった厚く歪んだ山桜原皮が簡便に研磨でき、特に厚く歪んだものは未利用の原皮として在庫が過剰となっていたものが、一掃され全て製品として利用できる。そこで未利用の原皮を利用可能とすることで在庫減少に伴い、仕入れする原皮数量を抑制することができ、かつ、これまで在庫原皮を既存の商品に使用することにより、コストを下げた商品提供が可能となる。更には、その原皮を利用した新商品開発にも一層手掛けることが可能となる。
【0035】特に、これまで手動で行っていた研磨から、作業者は労力的負担と作業時間の大幅な削減を行うことができるため、よりコストダウンにつながる。また、視感と触感で桜皮のベストな色合わせができる。
このように本発明によれば、山桜原皮の入荷数量を適正な仕入れ数とすることで過剰在庫が抑制され、かつ、桜皮の有効利用による市場性の向上は勿論のこと、樺細工業界の市場性の向上を計ることができることにより、生産業界との相乗作用により、産業上に極めて有意義かつ多大な効果を生ぜしめるものである。
【図面の簡単な説明】
【図 1】本発明の実施例における概観内部正面図である。
【図 2】同実施例の概観内部側面図。
【図 3】同実施例におけるワークベッド・テーブル部の正面図。
【図 4】本発明のバキュームパレット部に材料を吸着前の状態斜視図。
【図 5】上図におけるバキュームパレット部に材料を吸着させた状態斜視図。
【図 6】本発明の主要駆動部断面図。
【図 7】同実施例におけるサンダーヘッド部の部分正面図。
【図 8】同実施例における上下動駆動部の部分正面図。
【図 9】本発明の駆動部を除く外観正面図。
【図10】本発明の駆動部を除く外観側面図。
【図11】本発明の操作制御盤の一実施例を表す正面図。
【図12】採取した状態の桜皮原皮を表す斜視図。
【符号の説明】
1: 研削ヘッド部
2: バキュームパレット部
3: ベッド本体
4: 走行スライド部
5: オシュレーション機構
6: サンダー昇降ハンドル
7: 走行用ラック&ピニオン部
8: 上下動ローラー部
10: サンダーペーパー
20: 集塵ダクト 21: 集塵用ブロアー
30: 架台 31: ベッド 32: ヘッド支柱 33: ヘッドカバー
50: 操作制御盤
51: エアー・モーター系制御盤
Claims (4)
- 下地材に山桜原皮を貼着して樺細工品と成る桜皮の研磨機において、当該研磨機本体は該桜皮を載置させ左右移動するベッド部を有し、機械中央部には上下に駆動ロールによって構成されるベルト案内機構に無端サンディングベルトを掛け渡して、該ベルトを回転させ前後方向に走行させてなる研削ヘッド部と、決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できるサンダー昇降機構とを配設し、機械本体に連結した制御部により駆動制御する研磨機であって、ワーク取付け用ベッドは原皮をエアーによる吸引吸着して成るバキュームパットで構成し、かつ、該ベッドは走行モーターによって左右にワークが研削ヘッドを中心に移動する構成であり、前記研削ヘッド部は、原皮研削時に削られた粉塵吸収用のブロアーと連結する集塵ダクトを設け、サンダーモーターによって無端サンディングベルトが回転し、かつ、ヘッド部が前後方向に移動し、決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できる機構で下降しながら研削し、研磨限度数値または研削指定量に達成した後ワーク取付け用ベッドはワーク取付け位置に戻り、ワークが着脱交換できる状態で研削ヘッドが原点復帰し集塵およびベルト回転停止され、一連の研削作業が簡易自動化されたことを特徴とする桜皮研磨機。
- 前記サンダー昇降機構が、ハンドルと連結しベッド部が左右移動時に上下動ローラーに伝達されるラチェット歯の切り込み量によって決められた数値に達するまでワークを研磨するように、下降切り込み量が任意に設定できる機構で下降しながら研削したことを特徴とする、請求項1記載の桜皮研磨機。
- 前記ワーク取付け用ベッドが研削ヘッドを中心に研削移動する際の速度調整が自在であると共に、粒度ナンバーに応じたサンドペーパーに対応する無端サンディングベルト回転速度が調整自在であり、装置駆動スイッチと連動して研削ヘッド部とワーク取付け用ベッドに連結する粉塵吸収用の集塵ブロアーが自動で作動することを特徴とする、請求項1記載の桜皮研磨機。
- 前記走行用ベッド部及び研削ヘッド部に使用される駆動モーターがサーボモーターであって、連結する制御盤から数値制御によって任意の操作制御ができることを特徴とする、請求項1乃至り請求項3記載の桜皮研磨機。
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