JP2004153094A - ステージ装置及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】露光時間を短縮できるとともに、振動等の不具合の発生を抑えつつ所望の露光精度で露光処理できるステージ装置及び露光装置を提供する。
【解決手段】マスクMを支持するマスクステージMSTは、粗動ステージ16と、微動ステージ18と、粗動ステージ16を所定方向に移動するリニアモータと、微動ステージ18を粗動ステージ16上で所定方向に移動するリニアモータとを備えている。リニアモータのそれぞれは、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれの絶対速度分布を互いに異なるように移動する。
【選択図】 図3
【解決手段】マスクMを支持するマスクステージMSTは、粗動ステージ16と、微動ステージ18と、粗動ステージ16を所定方向に移動するリニアモータと、微動ステージ18を粗動ステージ16上で所定方向に移動するリニアモータとを備えている。リニアモータのそれぞれは、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれの絶対速度分布を互いに異なるように移動する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1部材及び第2部材を有するステージ装置、及びこのステージ装置に保持されたマスクと基板とを用いてマスクのパターンを基板に露光する露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスや液晶表示デバイス等の電子デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光基板上に転写する、いわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、パターンを有するマスクを載置して2次元移動するマスクステージと感光基板を載置して2次元移動する基板ステージとを有し、マスク上に形成されたパターンをマスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して感光基板に投影露光するものである。露光装置としては、感光基板上にマスクのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、マスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に感光基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。このうち、1つのチップパターンが大型の半導体デバイスや液晶表示デバイスなどを製造する際には露光領域の大型化の要求から走査型露光装置が主に用いられている。露光装置では、マスクステージ及び基板ステージの位置を例えばレーザ干渉計により検出しつつこの検出結果に基づいてステージそれぞれの位置調整を行いながら露光処理が行われる(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−163354号公報
【0004】
走査型露光装置におけるマスクステージには、走査方向に所定ストロークで移動する粗動ステージ(コースステージ)と、マスクを支持しつつ粗動ステージ上を微小移動する微動ステージ(ファインステージ)とを有しているものがある。このうち、粗動ステージは、例えば投影光学系の投影倍率が1/N倍である場合、基板ステージの走査速度Uに対してN×Uの走査速度で移動する。一方、微動ステージは、基板ステージの位置に応じて、すなわち、基板ステージ側のレーザ干渉計の検出結果に基づいて、基板ステージ上の感光基板に対するマスクの位置を最適化するために粗動ステージ上で微動する。
【0005】
このように、微動ステージは粗動ステージ上を大きく移動せずに微動する構成であり、走査露光中における粗動ステージの絶対速度及び絶対加速度と微動ステージの絶対速度及び絶対加速度とはほぼ同じ値である。換言すれば、粗動ステージに対する微動ステージの相対速度及び相対加速度はほぼ0である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のステージ装置及び露光装置には、以下のような問題が存在する。
スループット向上の観点から露光時間の短縮化が求められている。走査露光を行う際、マスクステージ及び基板ステージは、加速区間、定常区間、及び減速区間の順に移動し、感光基板に対する露光光の照射はステージの移動速度が一定である定常区間で行われ、加速区間及び減速区間は露光処理に寄与しない。したがって、ステージの加速区間及び減速区間を可能な限り短縮することがスループット向上の観点から望ましい。ところが、粗動ステージの加速区間(加速時間)を短縮するために加速度を上昇させると、粗動ステージは重量が大きい部材であるため、加速度を上昇させたことにより振動を発生するおそれがある。振動の発生は露光精度の低下を招くため好ましくない。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、露光時間を短縮できるとともに、振動等の不具合の発生を抑えつつ所望の露光精度で露光処理できるステージ装置及び露光装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明は、実施の形態に示す図1〜図8に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のステージ装置(MST、PST)は、第1面(16a)を有する第1部材(16)と、第1面(16a)に対向する第2面(18a)を有する第2部材(18)とを有するステージ装置において、第1部材(16)を所定方向(Y)に所定区間移動する第1移動装置(15)と、第2部材(18)を第1部材(16)の第1面(16a)上で所定方向(Y)に移動する第2移動装置(60)とを備え、第1移動装置(15)及び第2移動装置(60)のそれぞれは、第1部材(16)及び第2部材(18)のそれぞれの絶対速度分布を互いに異なるように移動することを特徴とする。
本発明の露光装置(EX)は、マスクステージ(MST)に支持されたマスク(M)のパターンを基板ステージ(PST)に支持された基板(P)に露光する露光装置において、マスクステージ(MST)と基板ステージ(PST)との少なくとも一方には、上記記載のステージ装置が用いられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、所定方向に移動する第1部材上において、第2部材を所定方向に移動するようにし、これら第1部材及び第2部材の絶対速度分布を互いに異なるように設定することにより、重量が大きい第1部材の加速度を低く設定しても、移動する第2部材に支持されたマスクあるいは基板は所定の加速区間で目標速度に達することができる。したがって、重量が大きい第1部材の加速度上昇に起因する振動の発生を抑えて所望の露光精度を得ることができる。また、第1部材及び第2部材のそれぞれを移動することにより、目標速度に達するまでの加速区間を短縮化することができるので、露光時間の短縮化を実現し、スループットを向上できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のステージ装置及び露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。ここで、本実施形態における露光装置EXは、マスクMと感光基板Pとを同期移動しつつ、マスクMに形成されているパターンを投影光学系PLを介して感光基板P上に転写する所謂スキャニングステッパである。また、以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内における前記同期移動方向(走査方向)をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向と垂直な方向(非走査方向)をX軸方向とする。更に、X軸回り、Y軸回り、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθX方向、θY方向、及びθZ方向とする。
【0011】
図1において、露光装置EXは、光源を有し、マスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、マスクMを保持して移動するマスクステージMST及びこのマスクステージMSTを支持するマスク定盤3を有するステージ装置4と、感光基板Pを保持して移動する基板ステージPST及びこの基板ステージPSTを保持する基板定盤6を有するステージ装置7と、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する投影光学系PLと、ステージ装置4及び投影光学系PLを支持するリアクションフレーム8と、露光装置EXの動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。リアクションフレーム8は床面に水平に載置されたベースプレート10上に設置されており、このリアクションフレーム8の上部側及び下部側には、内側に向けて突出する段部8aおよび8bがそれぞれ形成されている。
【0012】
照明光学系ILは、リアクションフレーム8の上面に固定された支持コラム9により支持される。なお、照明光学系ILより射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2 レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)などが用いられる。
【0013】
ステージ装置4のうち、マスク定盤3は、各コーナーにおいてリアクションフレーム8の段部8aに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持されており、その中央部にはマスクMのパターン像が通過する開口3aが形成されている。マスク定盤3上には、マスクステージMSTが該マスク定盤3に沿って2次元方向(XY方向)に移動可能に支持されている。マスクステージMSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング14が固定されており、これらのエアベアリング14によりマスクステージMSTがマスク定盤3上に所定のクリアランスを介して浮上支持されている。また、マスクステージMSTの中央部には、マスク定盤3の開口3aと連通し、マスクMのパターン像が通過する開口Kが形成されている。
【0014】
開口K及び開口3aを通過したマスクMのパターン像は投影光学系PLに入射する。投影光学系PLは複数の光学素子により構成され、これら光学素子は鏡筒で支持されている。投影光学系PLは、例えば1/4又は1/5の投影倍率を有する縮小系である。なお、投影光学系PLとしては等倍系あるいは拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLの鏡筒の外周にはこの鏡筒に一体化されたフランジ23が設けられている。そして、投影光学系PLは、リアクションフレーム8の段部8bに防振ユニット24を介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤25にフランジ23を係合させている。
【0015】
ステージ装置7は、基板ステージPSTと、基板ステージPSTをXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持する基板定盤6と、基板ステージPSTをX軸方向に移動自在に支持するXガイドステージXGと、XガイドステージXGに埋設され、基板ステージPSTをXガイドステージXGに案内させつつX軸方向に移動するリニアモータ(不図示)と、XガイドステージXGをY軸方向に移動するリニアモータ33とを有している。基板ステージPSTの底面には、非接触ベアリングである複数のエアベアリング28が固定されており、これらのエアベアリング28により基板ステージPSTが基板定盤6上に所定のクリアランスを介して浮上支持されている。また、基板ステージPST上には感光基板Pを保持する基板ホルダ(ホルダ部)41が設けられている。基板定盤6は、ベースプレート10の上方に防振ユニット29を介してほぼ水平に支持されている。
【0016】
XガイドステージXGはX軸方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には電機子ユニットからなる可動子36,36がそれぞれ設けられている。これらの可動子36,36に対応する磁石ユニットを有する固定子37,37はベースプレート10に突設された支持部32、32に設けられている。そして、これら可動子36及び固定子37によりムービングコイル型のリニアモータ33、33が構成され、可動子36が固定子37との間の電磁気的相互作用により駆動されることで、XガイドステージXGはY軸方向に移動するとともに、リニアモータ33、33の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。すなわち、このリニアモータ33によりXガイドステージXGとほぼ一体的に基板ステージPSTがY軸方向及びθZ方向に移動する。更に、基板ステージPSTはXガイドステージXGに埋設された前記リニアモータによりX軸方向に移動する。
【0017】
基板ステージPSTの+X側の側縁にはY軸方向に沿って延設されたX移動鏡43が設けられ、X移動鏡43に対向する位置にはレーザ干渉計44が設けられている。レーザ干渉計44は、X移動鏡43の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡42とに向けてそれぞれレーザ光(検知光)を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいて、X移動鏡43と参照鏡42との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのX軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。同様に、図1には図示されていないが、基板ステージPST上の+Y側の側縁にはX軸方向に沿って延設されたY移動鏡が設けられ、Y移動鏡に対向する位置にはYレーザ干渉計が設けられており、Yレーザ干渉計は、Y移動鏡の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡(不図示)とに向けてそれぞれレーザ光(検知光)を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいて、Y移動鏡と参照鏡との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのY軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。レーザ干渉計の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは前記検出結果に基づいて基板ステージPSTの位置を前記リニアモータを介して制御する。
【0018】
次に、図2及び図3を参照しながら、マスクステージMSTについて説明する。図2は粗動ステージ及び微動ステージを備えたマスクステージMSTの斜視図であり、図3は図2の要部拡大図である。
図2及び図3に示すように、マスクステージMSTは、粗動ステージ(第1部材)16と、この粗動ステージ16の上面(第1面)16aに対向する下面(第2面)18aを有する微動ステージ(第2部材)18とを備えている。粗動ステージ16の大きさは微動ステージ18より大きく、粗動ステージ16の重量は微動ステージ18より重い。また、粗動ステージ16の制御応答周波数は微動ステージ18より低い。マスクMは、微動ステージ18に設けられたバキュームチャックを有するホルダ部55を介してこの微動ステージ18に吸着保持される。微動ステージ18の中央部及び粗動ステージ16の中央部には開口Kが形成されており、マスクMのパターン像を通過可能としている。このうち、粗動ステージ16の開口Ka及び微動ステージ18の開口KbそれぞれのX軸方向における大きさ(幅)はほぼ同じに設定されている。一方、粗動ステージ16の開口KaのY軸方向(走査方向)における大きさは、微動ステージ18の開口Kbより大きく(長く)形成されている。
【0019】
図2に示すように、粗動ステージ16には一対のYリニアモータ(第1移動装置)15,15が接続されており、粗動ステージ16はマスク定盤3上をこれらYリニアモータ15、15によりY軸方向(所定方向)に所定ストローク(所定区間)移動する。各Yリニアモータ15は、マスク定盤3上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング19により浮上支持され、Y軸方向に延びる固定子20と、この固定子20に対応して設けられ、連結部材22を介して粗動ステージ16に固定された可動子21とを備えている。
【0020】
粗動ステージ16は、マスク定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド51、51により案内されつつYリニアモータ15によりY軸方向に移動する。また、粗動ステージ16は、これらYガイド51、51に対して不図示のエアベアリングにより非接触で支持されている。粗動ステージ16及びYガイド51,51は、例えば金属やアルミナセラミックスにより構成されている。
【0021】
図3に示すように、微動ステージ18には一対のYリニアモータ(第2移動装置)60,60が接続されており、微動ステージ18は粗動ステージ16の上面16aをこれらYリニアモータ60,60によりY軸方向(所定方向)に移動する。各Yリニアモータ60は、粗動ステージ16上に支持されY軸方向に延びる固定子61と、この固定子61に対応して設けられ、連結部材63を介して微動ステージ18に固定された可動子62とを備えている。微動ステージ18はセラミックス、特にコージェライト系のセラミックスにより構成されている。
【0022】
微動ステージ18の下面18aには、Y軸方向に延びるように一対の凹部64、64が形成されている。一方、粗動ステージ16の上面16aには、Y軸方向に延びる一対のYガイド(ガイド部)65,65が設けられている。凹部64のそれぞれとYガイド65のそれぞれとは係合しており、これら凹部64とYガイド65との間には非接触ベアリングであるエアベアリング(不図示)が設けられている。微動ステージ18は前記エアベアリングにより所定のクリアランスを介して粗動ステージ16に対して非接触で支持されており、制御装置CONTは、Yリニアモータ60を用いて微動ステージ18をYガイド65で案内しつつY軸方向に移動する。ここで、凹部64のX軸方向における大きさ(幅)は、Yガイド65のX軸方向における大きさ(幅)より大きく形成されており、凹部64とYガイド65との間には隙間が形成されている。したがって、微動ステージ18は前記隙間分、粗動ステージ16に対してX軸方向に微小移動可能となっている。なお、微動ステージ18を粗動ステージ16に対して浮上支持する際、エアベアリングは凹部64とYガイド65との間に設ける他に、粗動ステージ16の上面16aと微動ステージ18の下面18aとの間に設ける構成としてもよい。
【0023】
図3に示すように、微動ステージ18のX軸方向両側には、微動ステージ18のX軸方向における移動装置としての一対のEIコア70,70が設けられている。このEIコア70は、微動ステージ18のX軸方向両側に固定されたE型コア71と、E型コア71に対向し、粗動ステージ16の上面16aにY軸方向に延びるように設けられているI型コア72とを備えている。制御装置CONTが所定の制御量でEIコア70を駆動することにより、微動ステージ18は粗動ステージ16に対して浮上した状態でX軸方向に微小移動する。ここで、E型コア71は、Y軸方向に離間して2つずつ、合計4つ設けられており、制御装置CONTは、これら各E型コア71の駆動量を制御することにより微動ステージ18をθZ方向にも微小移動する。
【0024】
微動ステージ18は、不図示ではあるが、+X側の側縁においてY軸方向に延びるように設けられたX移動鏡と、−Y側の側縁に設けられたY移動鏡とを備えている。また、微動ステージ18上のX移動鏡及びY移動鏡のそれぞれに対向する位置にはレーザ干渉計が設けられている。そして、前記移動鏡に対してレーザ干渉計より測長ビームを照射して各移動鏡との距離を計測することにより、マスクステージMST(微動ステージ18)のX軸方向及びY軸方向における位置が高精度に検出される。ここで、Y移動鏡をX軸方向に離間して2つ設け、これら2つのY移動鏡それぞれの位置検出を行うことにより、マスクステージMST(微動ステージ18)のθZ方向における位置も検出できる。レーザ干渉計により検出したマスクステージMST(微動ステージ18)の位置情報は制御装置CONTに出力され、制御装置はこのレーザ干渉計の検出結果に基づいて、マスクステージMSTを所定の位置に移動するようにYリニアモータ60及びEIコア70、更にYリニアモータ15を駆動する。
【0025】
そして、制御装置CONTは、粗動ステージ16をY軸方向に移動するYアクチュエータ15と、微動ステージ18を粗動ステージ16上でY軸方向に移動するYアクチュエータ60とをそれぞれ独立して駆動制御することにより、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれを、絶対速度分布が互いに異なるように移動する。
【0026】
次に、上述した露光装置EXを用いてマスクMのパターンを感光基板Pに露光する方法について説明する。
マスクMを粗動ステージ16及び微動ステージ18を用いてY軸方向に走査しつつ露光処理する際、制御装置CONTは、マスクMに対する露光光ELの照射を、マスクMの絶対移動速度が一定である区間において行う。ここで、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれは、加速区間、整定区間、定常区間、減速区間の順に移動する。加速区間とは、目標値(目標速度)まで加速される区間であり、整定区間とは、移動速度が目標値に対して所定範囲(例えば±2%)に達し、安定するまでの区間であり、定常区間とは、移動速度が定常状態となり、所定の精度を有する露光処理を行うことができる区間であり、減速区間とは、移動が減速される区間である。
【0027】
図4は、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布の一例を示すグラフ図である。図4において、横軸は時間であり、縦軸は絶対速度である。絶対速度は、例えばマスク定盤3やベースプレート10に対する速度である。破線で示す線L1は粗動ステージ16の絶対速度分布を示しており、実線で示す線L2は微動ステージ18の絶対速度分布を示している。ここで、マスクMは微動ステージ18に保持されて移動するため、微動ステージ18の絶対速度分布とマスクMの絶対速度分布とは一致する。すなわち、実線で示す線L2はマスクMの絶対速度分布でもある。
【0028】
図4に示すように、制御装置CONTは、Yリニアモータ15及びYリニアモータ60のそれぞれを制御して、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれを互いに異なる絶対速度分布で移動する。粗動ステージ16は、加速区間A1、整定区間B1、定常区間C1、及び減速区間D1の順に移動する。一方、微動ステージ18は、加速区間A2、整定区間B2、定常区間C2、及び減速区間D2の順に移動する。ここで、制御装置CONTは、粗動ステージ16の加速度を微動ステージ18の加速度より小さく設定し、移動する(図4中、加速区間の線L1、L2それぞれの傾きを参照)。
【0029】
そして、制御装置CONTは、マスクM(微動ステージ18)の絶対速度が一定である区間(すなわち微動ステージ18の定常区間)C2に、マスクMに対する露光光ELの照射区間である予め設定された露光処理区間(設定区間)Eが含まれるように、粗動ステージ16及び微動ステージ18の駆動制御を行う。ここで、前記露光処理区間EはマスクMのパターン形成領域に応じて設定される一定の値である。制御装置CONTは、マスクMの定常区間C2が露光処理区間Eを含むように、整定区間B1、B2を考慮して粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの加速区間終了点を設定する。図4に示す例では、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの加速区間終了点は同じ時点に設定されている。そして、マスクMの絶対速度が一定速度Vである区間C2でマスクMを露光光ELで照明しつつ走査露光を行った後、制御装置CONTは、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれの減速区間開始点を同じ時点に設定し、マスクMの移動を減速する。
【0030】
以上説明したように、走査露光を行う際、粗動ステージ16とともに微動ステージ18を走査方向に移動させ、これら粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布を互いに異なるように設定したことにより、重量が大きく振動発生の原因となりやすい粗動ステージ16の加速度を小さくしても、微動ステージ18を移動することによって、露光処理区間Eに達するまでに、マスクMの絶対速度を目標走査速度Vに達成させることができる。したがって、重量が大きい粗動ステージ16の急激な移動(すなわち加速度)に起因する振動発生を抑えて、露光処理区間EではマスクMの絶対速度を確実に一定速度Vにすることができ、所望の露光精度を得ることができる。そして、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれを移動することにより、粗動ステージ16の加速度を低く抑えたままマスクMの加速区間A2の短縮化を実現することができる。したがって、露光時間の短縮化を実現しスループットを向上できる。
【0031】
図5は、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布の他の例を示すグラフ図である。図5において、粗動ステージ16の加速区間A1は図4の例に比べて長く設定されており、粗動ステージ16の加速区間終了点は、微動ステージ18の整定区間B2に設定されている。こうすることにより、微動ステージ18の絶対速度を目標速度Vにする際、微動ステージ18が粗動ステージ16上を移動する距離を短くすることができる。ここで、図5に示す露光処理区間Eには、粗動ステージ16の整定区間B1は含まれず、露光処理区間Eにおいて粗動ステージ16の定常区間C1が露光処理区間Eに含まれる。
【0032】
図6は、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布の他の例を示すグラフ図である。図6において、粗動ステージ16の加速区間A1は図4及び図5の例に比べて更に長く設定されており、粗動ステージ16の加速区間終了点は、微動ステージ18の定常区間C2に設定されている。こうすることにより、粗動ステージ16の加速度を低く設定でき、振動の発生を抑えることができる。ここで、露光処理区間Eに粗動ステージ16の加速区間A1が含まれるが、微動ステージ18を微小移動して位置制御することにより、露光処理区間Eを微動ステージ18の定常区間C2とすることができる。
【0033】
図7は、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布の他の例を示すグラフ図である。図7に示すように、粗動ステージ16の加速区間A1は図4、図5、及び図6の例に比べて更に長く設定されており、露光処理区間Eの一部の区間Fにおいて、粗動ステージ16の絶対速度が微動ステージ18の絶対速度より大きく設定されている。すなわち、区間F以外において、微動ステージ18が粗動ステージ16に対して走査方向前方側に移動していたのが、区間Fでは、微動ステージ18が粗動ステージ16に対して走査方向後方側に移動する(換言すれば、微動ステージ18が粗動ステージ16に対して逆方向に移動する)。こうすることにより、粗動ステージ16の加速度を更に低く設定できる。また、粗動ステージ16上における微動ステージ18の移動距離を、図4〜図6を用いて説明した他の例に比べて最も短く設定できる。したがって、例えばYリニアモータ60の固定子61やYガイド65を短く設定でき、装置をコンパクト化できる。
【0034】
図4から図7までの速度分布では、加速カーブは直線で示されているが、実際の速度関数は、3次式以上(例:V=at3+bt2+ct+d)の高次関数で表され、加速から一定速度への加速度の変化量は連続的にゼロになるような関数が与えられ、一定速度時点で加速度ゼロになるような関数設定により、滑らかに一定速度へ移行できる関数を採用している。減速の場合も同様である。粗動ステージは微動ステージに比べて、より滑らかに動くような速度関数が設定されるため、粗動ステージによる加速から一定速に移る時の振動の影響は極めて小さくすることができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、本発明のステージ装置をマスクステージMSTに適用した例について説明したが、基板ステージPSTに適用することももちろん可能である。更に、所定方向に移動する第1部材上を該所定方向に移動する第2部材を備えた全てのステージ装置に適用可能である。
【0036】
上記実施形態において、微動ステージ18はエアベアリングで浮上支持されることにより、粗動ステージ16に対してほぼ摩擦のない状態で2次元移動可能となっているが、例えば、微動ステージ18の下面18aにボール状摺動部を設け、このボール状摺動部により微動ステージ18が粗動ステージ16上でほぼ摩擦のない状態で2次元移動可能な構成としてもよい。ここで、ボール状摺動部は、微動ステージ18の下面に設けられた半球状の凹部と、この凹部に回転自在に配置されているボール部とを有している。微動ステージ18は、粗動ステージ16の上面16aにボール状摺動部を介して支持されていることにより、微動ステージ18が粗動ステージ16上を移動する際、前記ボール部が前記凹部に保持されながら粗動ステージ16上を転がるので、粗動ステージ16と微動ステージ18との間には摩擦がほぼ生じない。
【0037】
なお、上記実施形態の露光装置EXの用途としては半導体製造用の露光装置や、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
【0038】
投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(マスクも反射型タイプのものを用いる)、また、電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればいい。なお、電子線が通過する光路は真空状態にすることはいうまでもない。
【0039】
基板ステージPSTやマスクステージPSMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
【0040】
ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0041】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0042】
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0043】
以上のように、本実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0044】
半導体デバイスは、図8に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板(ウエハ、ガラスプレート)を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりマスクMのパターンを感光基板Pに露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、所定方向に移動する第1部材とともに第2部材も所定方向に移動するようにし、これら第1部材及び第2部材の絶対速度分布を互いに異なるように設定したので、重量が大きい第1部材の加速度を低く設定しても、移動する第2部材に支持されたマスクあるいは基板は所定の加速区間で目標速度に達することができる。したがって、重量が大きい第1部材の加速度上昇に起因する振動発生を抑えて所望の露光精度を得ることができるととともに、加速区間の短縮化、すなわち露光時間の短縮化を実現しスループットを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明のステージ装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図3の要部拡大図である。
【図4】ステージ装置の移動速度分布の一例を示す図である。
【図5】ステージ装置の移動速度分布の一例を示す図である。
【図6】ステージ装置の移動速度分布の一例を示す図である。
【図7】ステージ装置の移動速度分布の一例を示す図である。
【図8】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
4 ステージ装置
7 ステージ装置
15 Yリニアモータ(第1移動装置)
16 粗動ステージ(第1部材)
16a 上面(第1面)
18 微動ステージ(第2部材)
18a 下面(第2面)
55 ホルダ部
60 Yリニアモータ(第2移動装置)
65 Yガイド(ガイド部)
EX 露光装置
MST マスクステージ(ステージ装置)
PST 基板ステージ(ステージ装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1部材及び第2部材を有するステージ装置、及びこのステージ装置に保持されたマスクと基板とを用いてマスクのパターンを基板に露光する露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスや液晶表示デバイス等の電子デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光基板上に転写する、いわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、パターンを有するマスクを載置して2次元移動するマスクステージと感光基板を載置して2次元移動する基板ステージとを有し、マスク上に形成されたパターンをマスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して感光基板に投影露光するものである。露光装置としては、感光基板上にマスクのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、マスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に感光基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。このうち、1つのチップパターンが大型の半導体デバイスや液晶表示デバイスなどを製造する際には露光領域の大型化の要求から走査型露光装置が主に用いられている。露光装置では、マスクステージ及び基板ステージの位置を例えばレーザ干渉計により検出しつつこの検出結果に基づいてステージそれぞれの位置調整を行いながら露光処理が行われる(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−163354号公報
【0004】
走査型露光装置におけるマスクステージには、走査方向に所定ストロークで移動する粗動ステージ(コースステージ)と、マスクを支持しつつ粗動ステージ上を微小移動する微動ステージ(ファインステージ)とを有しているものがある。このうち、粗動ステージは、例えば投影光学系の投影倍率が1/N倍である場合、基板ステージの走査速度Uに対してN×Uの走査速度で移動する。一方、微動ステージは、基板ステージの位置に応じて、すなわち、基板ステージ側のレーザ干渉計の検出結果に基づいて、基板ステージ上の感光基板に対するマスクの位置を最適化するために粗動ステージ上で微動する。
【0005】
このように、微動ステージは粗動ステージ上を大きく移動せずに微動する構成であり、走査露光中における粗動ステージの絶対速度及び絶対加速度と微動ステージの絶対速度及び絶対加速度とはほぼ同じ値である。換言すれば、粗動ステージに対する微動ステージの相対速度及び相対加速度はほぼ0である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のステージ装置及び露光装置には、以下のような問題が存在する。
スループット向上の観点から露光時間の短縮化が求められている。走査露光を行う際、マスクステージ及び基板ステージは、加速区間、定常区間、及び減速区間の順に移動し、感光基板に対する露光光の照射はステージの移動速度が一定である定常区間で行われ、加速区間及び減速区間は露光処理に寄与しない。したがって、ステージの加速区間及び減速区間を可能な限り短縮することがスループット向上の観点から望ましい。ところが、粗動ステージの加速区間(加速時間)を短縮するために加速度を上昇させると、粗動ステージは重量が大きい部材であるため、加速度を上昇させたことにより振動を発生するおそれがある。振動の発生は露光精度の低下を招くため好ましくない。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、露光時間を短縮できるとともに、振動等の不具合の発生を抑えつつ所望の露光精度で露光処理できるステージ装置及び露光装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明は、実施の形態に示す図1〜図8に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のステージ装置(MST、PST)は、第1面(16a)を有する第1部材(16)と、第1面(16a)に対向する第2面(18a)を有する第2部材(18)とを有するステージ装置において、第1部材(16)を所定方向(Y)に所定区間移動する第1移動装置(15)と、第2部材(18)を第1部材(16)の第1面(16a)上で所定方向(Y)に移動する第2移動装置(60)とを備え、第1移動装置(15)及び第2移動装置(60)のそれぞれは、第1部材(16)及び第2部材(18)のそれぞれの絶対速度分布を互いに異なるように移動することを特徴とする。
本発明の露光装置(EX)は、マスクステージ(MST)に支持されたマスク(M)のパターンを基板ステージ(PST)に支持された基板(P)に露光する露光装置において、マスクステージ(MST)と基板ステージ(PST)との少なくとも一方には、上記記載のステージ装置が用いられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、所定方向に移動する第1部材上において、第2部材を所定方向に移動するようにし、これら第1部材及び第2部材の絶対速度分布を互いに異なるように設定することにより、重量が大きい第1部材の加速度を低く設定しても、移動する第2部材に支持されたマスクあるいは基板は所定の加速区間で目標速度に達することができる。したがって、重量が大きい第1部材の加速度上昇に起因する振動の発生を抑えて所望の露光精度を得ることができる。また、第1部材及び第2部材のそれぞれを移動することにより、目標速度に達するまでの加速区間を短縮化することができるので、露光時間の短縮化を実現し、スループットを向上できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のステージ装置及び露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。ここで、本実施形態における露光装置EXは、マスクMと感光基板Pとを同期移動しつつ、マスクMに形成されているパターンを投影光学系PLを介して感光基板P上に転写する所謂スキャニングステッパである。また、以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内における前記同期移動方向(走査方向)をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向と垂直な方向(非走査方向)をX軸方向とする。更に、X軸回り、Y軸回り、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθX方向、θY方向、及びθZ方向とする。
【0011】
図1において、露光装置EXは、光源を有し、マスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、マスクMを保持して移動するマスクステージMST及びこのマスクステージMSTを支持するマスク定盤3を有するステージ装置4と、感光基板Pを保持して移動する基板ステージPST及びこの基板ステージPSTを保持する基板定盤6を有するステージ装置7と、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する投影光学系PLと、ステージ装置4及び投影光学系PLを支持するリアクションフレーム8と、露光装置EXの動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。リアクションフレーム8は床面に水平に載置されたベースプレート10上に設置されており、このリアクションフレーム8の上部側及び下部側には、内側に向けて突出する段部8aおよび8bがそれぞれ形成されている。
【0012】
照明光学系ILは、リアクションフレーム8の上面に固定された支持コラム9により支持される。なお、照明光学系ILより射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2 レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)などが用いられる。
【0013】
ステージ装置4のうち、マスク定盤3は、各コーナーにおいてリアクションフレーム8の段部8aに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持されており、その中央部にはマスクMのパターン像が通過する開口3aが形成されている。マスク定盤3上には、マスクステージMSTが該マスク定盤3に沿って2次元方向(XY方向)に移動可能に支持されている。マスクステージMSTの底面には非接触ベアリングである複数のエアベアリング14が固定されており、これらのエアベアリング14によりマスクステージMSTがマスク定盤3上に所定のクリアランスを介して浮上支持されている。また、マスクステージMSTの中央部には、マスク定盤3の開口3aと連通し、マスクMのパターン像が通過する開口Kが形成されている。
【0014】
開口K及び開口3aを通過したマスクMのパターン像は投影光学系PLに入射する。投影光学系PLは複数の光学素子により構成され、これら光学素子は鏡筒で支持されている。投影光学系PLは、例えば1/4又は1/5の投影倍率を有する縮小系である。なお、投影光学系PLとしては等倍系あるいは拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLの鏡筒の外周にはこの鏡筒に一体化されたフランジ23が設けられている。そして、投影光学系PLは、リアクションフレーム8の段部8bに防振ユニット24を介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤25にフランジ23を係合させている。
【0015】
ステージ装置7は、基板ステージPSTと、基板ステージPSTをXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持する基板定盤6と、基板ステージPSTをX軸方向に移動自在に支持するXガイドステージXGと、XガイドステージXGに埋設され、基板ステージPSTをXガイドステージXGに案内させつつX軸方向に移動するリニアモータ(不図示)と、XガイドステージXGをY軸方向に移動するリニアモータ33とを有している。基板ステージPSTの底面には、非接触ベアリングである複数のエアベアリング28が固定されており、これらのエアベアリング28により基板ステージPSTが基板定盤6上に所定のクリアランスを介して浮上支持されている。また、基板ステージPST上には感光基板Pを保持する基板ホルダ(ホルダ部)41が設けられている。基板定盤6は、ベースプレート10の上方に防振ユニット29を介してほぼ水平に支持されている。
【0016】
XガイドステージXGはX軸方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には電機子ユニットからなる可動子36,36がそれぞれ設けられている。これらの可動子36,36に対応する磁石ユニットを有する固定子37,37はベースプレート10に突設された支持部32、32に設けられている。そして、これら可動子36及び固定子37によりムービングコイル型のリニアモータ33、33が構成され、可動子36が固定子37との間の電磁気的相互作用により駆動されることで、XガイドステージXGはY軸方向に移動するとともに、リニアモータ33、33の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。すなわち、このリニアモータ33によりXガイドステージXGとほぼ一体的に基板ステージPSTがY軸方向及びθZ方向に移動する。更に、基板ステージPSTはXガイドステージXGに埋設された前記リニアモータによりX軸方向に移動する。
【0017】
基板ステージPSTの+X側の側縁にはY軸方向に沿って延設されたX移動鏡43が設けられ、X移動鏡43に対向する位置にはレーザ干渉計44が設けられている。レーザ干渉計44は、X移動鏡43の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡42とに向けてそれぞれレーザ光(検知光)を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいて、X移動鏡43と参照鏡42との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのX軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。同様に、図1には図示されていないが、基板ステージPST上の+Y側の側縁にはX軸方向に沿って延設されたY移動鏡が設けられ、Y移動鏡に対向する位置にはYレーザ干渉計が設けられており、Yレーザ干渉計は、Y移動鏡の反射面と投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡(不図示)とに向けてそれぞれレーザ光(検知光)を照射するとともに、その反射光と入射光との干渉に基づいて、Y移動鏡と参照鏡との相対変位を計測することにより、基板ステージPST、ひいては感光基板PのY軸方向における位置を所定の分解能でリアルタイムに検出する。レーザ干渉計の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは前記検出結果に基づいて基板ステージPSTの位置を前記リニアモータを介して制御する。
【0018】
次に、図2及び図3を参照しながら、マスクステージMSTについて説明する。図2は粗動ステージ及び微動ステージを備えたマスクステージMSTの斜視図であり、図3は図2の要部拡大図である。
図2及び図3に示すように、マスクステージMSTは、粗動ステージ(第1部材)16と、この粗動ステージ16の上面(第1面)16aに対向する下面(第2面)18aを有する微動ステージ(第2部材)18とを備えている。粗動ステージ16の大きさは微動ステージ18より大きく、粗動ステージ16の重量は微動ステージ18より重い。また、粗動ステージ16の制御応答周波数は微動ステージ18より低い。マスクMは、微動ステージ18に設けられたバキュームチャックを有するホルダ部55を介してこの微動ステージ18に吸着保持される。微動ステージ18の中央部及び粗動ステージ16の中央部には開口Kが形成されており、マスクMのパターン像を通過可能としている。このうち、粗動ステージ16の開口Ka及び微動ステージ18の開口KbそれぞれのX軸方向における大きさ(幅)はほぼ同じに設定されている。一方、粗動ステージ16の開口KaのY軸方向(走査方向)における大きさは、微動ステージ18の開口Kbより大きく(長く)形成されている。
【0019】
図2に示すように、粗動ステージ16には一対のYリニアモータ(第1移動装置)15,15が接続されており、粗動ステージ16はマスク定盤3上をこれらYリニアモータ15、15によりY軸方向(所定方向)に所定ストローク(所定区間)移動する。各Yリニアモータ15は、マスク定盤3上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング19により浮上支持され、Y軸方向に延びる固定子20と、この固定子20に対応して設けられ、連結部材22を介して粗動ステージ16に固定された可動子21とを備えている。
【0020】
粗動ステージ16は、マスク定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド51、51により案内されつつYリニアモータ15によりY軸方向に移動する。また、粗動ステージ16は、これらYガイド51、51に対して不図示のエアベアリングにより非接触で支持されている。粗動ステージ16及びYガイド51,51は、例えば金属やアルミナセラミックスにより構成されている。
【0021】
図3に示すように、微動ステージ18には一対のYリニアモータ(第2移動装置)60,60が接続されており、微動ステージ18は粗動ステージ16の上面16aをこれらYリニアモータ60,60によりY軸方向(所定方向)に移動する。各Yリニアモータ60は、粗動ステージ16上に支持されY軸方向に延びる固定子61と、この固定子61に対応して設けられ、連結部材63を介して微動ステージ18に固定された可動子62とを備えている。微動ステージ18はセラミックス、特にコージェライト系のセラミックスにより構成されている。
【0022】
微動ステージ18の下面18aには、Y軸方向に延びるように一対の凹部64、64が形成されている。一方、粗動ステージ16の上面16aには、Y軸方向に延びる一対のYガイド(ガイド部)65,65が設けられている。凹部64のそれぞれとYガイド65のそれぞれとは係合しており、これら凹部64とYガイド65との間には非接触ベアリングであるエアベアリング(不図示)が設けられている。微動ステージ18は前記エアベアリングにより所定のクリアランスを介して粗動ステージ16に対して非接触で支持されており、制御装置CONTは、Yリニアモータ60を用いて微動ステージ18をYガイド65で案内しつつY軸方向に移動する。ここで、凹部64のX軸方向における大きさ(幅)は、Yガイド65のX軸方向における大きさ(幅)より大きく形成されており、凹部64とYガイド65との間には隙間が形成されている。したがって、微動ステージ18は前記隙間分、粗動ステージ16に対してX軸方向に微小移動可能となっている。なお、微動ステージ18を粗動ステージ16に対して浮上支持する際、エアベアリングは凹部64とYガイド65との間に設ける他に、粗動ステージ16の上面16aと微動ステージ18の下面18aとの間に設ける構成としてもよい。
【0023】
図3に示すように、微動ステージ18のX軸方向両側には、微動ステージ18のX軸方向における移動装置としての一対のEIコア70,70が設けられている。このEIコア70は、微動ステージ18のX軸方向両側に固定されたE型コア71と、E型コア71に対向し、粗動ステージ16の上面16aにY軸方向に延びるように設けられているI型コア72とを備えている。制御装置CONTが所定の制御量でEIコア70を駆動することにより、微動ステージ18は粗動ステージ16に対して浮上した状態でX軸方向に微小移動する。ここで、E型コア71は、Y軸方向に離間して2つずつ、合計4つ設けられており、制御装置CONTは、これら各E型コア71の駆動量を制御することにより微動ステージ18をθZ方向にも微小移動する。
【0024】
微動ステージ18は、不図示ではあるが、+X側の側縁においてY軸方向に延びるように設けられたX移動鏡と、−Y側の側縁に設けられたY移動鏡とを備えている。また、微動ステージ18上のX移動鏡及びY移動鏡のそれぞれに対向する位置にはレーザ干渉計が設けられている。そして、前記移動鏡に対してレーザ干渉計より測長ビームを照射して各移動鏡との距離を計測することにより、マスクステージMST(微動ステージ18)のX軸方向及びY軸方向における位置が高精度に検出される。ここで、Y移動鏡をX軸方向に離間して2つ設け、これら2つのY移動鏡それぞれの位置検出を行うことにより、マスクステージMST(微動ステージ18)のθZ方向における位置も検出できる。レーザ干渉計により検出したマスクステージMST(微動ステージ18)の位置情報は制御装置CONTに出力され、制御装置はこのレーザ干渉計の検出結果に基づいて、マスクステージMSTを所定の位置に移動するようにYリニアモータ60及びEIコア70、更にYリニアモータ15を駆動する。
【0025】
そして、制御装置CONTは、粗動ステージ16をY軸方向に移動するYアクチュエータ15と、微動ステージ18を粗動ステージ16上でY軸方向に移動するYアクチュエータ60とをそれぞれ独立して駆動制御することにより、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれを、絶対速度分布が互いに異なるように移動する。
【0026】
次に、上述した露光装置EXを用いてマスクMのパターンを感光基板Pに露光する方法について説明する。
マスクMを粗動ステージ16及び微動ステージ18を用いてY軸方向に走査しつつ露光処理する際、制御装置CONTは、マスクMに対する露光光ELの照射を、マスクMの絶対移動速度が一定である区間において行う。ここで、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれは、加速区間、整定区間、定常区間、減速区間の順に移動する。加速区間とは、目標値(目標速度)まで加速される区間であり、整定区間とは、移動速度が目標値に対して所定範囲(例えば±2%)に達し、安定するまでの区間であり、定常区間とは、移動速度が定常状態となり、所定の精度を有する露光処理を行うことができる区間であり、減速区間とは、移動が減速される区間である。
【0027】
図4は、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布の一例を示すグラフ図である。図4において、横軸は時間であり、縦軸は絶対速度である。絶対速度は、例えばマスク定盤3やベースプレート10に対する速度である。破線で示す線L1は粗動ステージ16の絶対速度分布を示しており、実線で示す線L2は微動ステージ18の絶対速度分布を示している。ここで、マスクMは微動ステージ18に保持されて移動するため、微動ステージ18の絶対速度分布とマスクMの絶対速度分布とは一致する。すなわち、実線で示す線L2はマスクMの絶対速度分布でもある。
【0028】
図4に示すように、制御装置CONTは、Yリニアモータ15及びYリニアモータ60のそれぞれを制御して、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれを互いに異なる絶対速度分布で移動する。粗動ステージ16は、加速区間A1、整定区間B1、定常区間C1、及び減速区間D1の順に移動する。一方、微動ステージ18は、加速区間A2、整定区間B2、定常区間C2、及び減速区間D2の順に移動する。ここで、制御装置CONTは、粗動ステージ16の加速度を微動ステージ18の加速度より小さく設定し、移動する(図4中、加速区間の線L1、L2それぞれの傾きを参照)。
【0029】
そして、制御装置CONTは、マスクM(微動ステージ18)の絶対速度が一定である区間(すなわち微動ステージ18の定常区間)C2に、マスクMに対する露光光ELの照射区間である予め設定された露光処理区間(設定区間)Eが含まれるように、粗動ステージ16及び微動ステージ18の駆動制御を行う。ここで、前記露光処理区間EはマスクMのパターン形成領域に応じて設定される一定の値である。制御装置CONTは、マスクMの定常区間C2が露光処理区間Eを含むように、整定区間B1、B2を考慮して粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの加速区間終了点を設定する。図4に示す例では、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの加速区間終了点は同じ時点に設定されている。そして、マスクMの絶対速度が一定速度Vである区間C2でマスクMを露光光ELで照明しつつ走査露光を行った後、制御装置CONTは、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれの減速区間開始点を同じ時点に設定し、マスクMの移動を減速する。
【0030】
以上説明したように、走査露光を行う際、粗動ステージ16とともに微動ステージ18を走査方向に移動させ、これら粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布を互いに異なるように設定したことにより、重量が大きく振動発生の原因となりやすい粗動ステージ16の加速度を小さくしても、微動ステージ18を移動することによって、露光処理区間Eに達するまでに、マスクMの絶対速度を目標走査速度Vに達成させることができる。したがって、重量が大きい粗動ステージ16の急激な移動(すなわち加速度)に起因する振動発生を抑えて、露光処理区間EではマスクMの絶対速度を確実に一定速度Vにすることができ、所望の露光精度を得ることができる。そして、粗動ステージ16及び微動ステージ18のそれぞれを移動することにより、粗動ステージ16の加速度を低く抑えたままマスクMの加速区間A2の短縮化を実現することができる。したがって、露光時間の短縮化を実現しスループットを向上できる。
【0031】
図5は、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布の他の例を示すグラフ図である。図5において、粗動ステージ16の加速区間A1は図4の例に比べて長く設定されており、粗動ステージ16の加速区間終了点は、微動ステージ18の整定区間B2に設定されている。こうすることにより、微動ステージ18の絶対速度を目標速度Vにする際、微動ステージ18が粗動ステージ16上を移動する距離を短くすることができる。ここで、図5に示す露光処理区間Eには、粗動ステージ16の整定区間B1は含まれず、露光処理区間Eにおいて粗動ステージ16の定常区間C1が露光処理区間Eに含まれる。
【0032】
図6は、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布の他の例を示すグラフ図である。図6において、粗動ステージ16の加速区間A1は図4及び図5の例に比べて更に長く設定されており、粗動ステージ16の加速区間終了点は、微動ステージ18の定常区間C2に設定されている。こうすることにより、粗動ステージ16の加速度を低く設定でき、振動の発生を抑えることができる。ここで、露光処理区間Eに粗動ステージ16の加速区間A1が含まれるが、微動ステージ18を微小移動して位置制御することにより、露光処理区間Eを微動ステージ18の定常区間C2とすることができる。
【0033】
図7は、粗動ステージ16及び微動ステージ18それぞれの絶対速度分布の他の例を示すグラフ図である。図7に示すように、粗動ステージ16の加速区間A1は図4、図5、及び図6の例に比べて更に長く設定されており、露光処理区間Eの一部の区間Fにおいて、粗動ステージ16の絶対速度が微動ステージ18の絶対速度より大きく設定されている。すなわち、区間F以外において、微動ステージ18が粗動ステージ16に対して走査方向前方側に移動していたのが、区間Fでは、微動ステージ18が粗動ステージ16に対して走査方向後方側に移動する(換言すれば、微動ステージ18が粗動ステージ16に対して逆方向に移動する)。こうすることにより、粗動ステージ16の加速度を更に低く設定できる。また、粗動ステージ16上における微動ステージ18の移動距離を、図4〜図6を用いて説明した他の例に比べて最も短く設定できる。したがって、例えばYリニアモータ60の固定子61やYガイド65を短く設定でき、装置をコンパクト化できる。
【0034】
図4から図7までの速度分布では、加速カーブは直線で示されているが、実際の速度関数は、3次式以上(例:V=at3+bt2+ct+d)の高次関数で表され、加速から一定速度への加速度の変化量は連続的にゼロになるような関数が与えられ、一定速度時点で加速度ゼロになるような関数設定により、滑らかに一定速度へ移行できる関数を採用している。減速の場合も同様である。粗動ステージは微動ステージに比べて、より滑らかに動くような速度関数が設定されるため、粗動ステージによる加速から一定速に移る時の振動の影響は極めて小さくすることができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、本発明のステージ装置をマスクステージMSTに適用した例について説明したが、基板ステージPSTに適用することももちろん可能である。更に、所定方向に移動する第1部材上を該所定方向に移動する第2部材を備えた全てのステージ装置に適用可能である。
【0036】
上記実施形態において、微動ステージ18はエアベアリングで浮上支持されることにより、粗動ステージ16に対してほぼ摩擦のない状態で2次元移動可能となっているが、例えば、微動ステージ18の下面18aにボール状摺動部を設け、このボール状摺動部により微動ステージ18が粗動ステージ16上でほぼ摩擦のない状態で2次元移動可能な構成としてもよい。ここで、ボール状摺動部は、微動ステージ18の下面に設けられた半球状の凹部と、この凹部に回転自在に配置されているボール部とを有している。微動ステージ18は、粗動ステージ16の上面16aにボール状摺動部を介して支持されていることにより、微動ステージ18が粗動ステージ16上を移動する際、前記ボール部が前記凹部に保持されながら粗動ステージ16上を転がるので、粗動ステージ16と微動ステージ18との間には摩擦がほぼ生じない。
【0037】
なお、上記実施形態の露光装置EXの用途としては半導体製造用の露光装置や、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
【0038】
投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(マスクも反射型タイプのものを用いる)、また、電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればいい。なお、電子線が通過する光路は真空状態にすることはいうまでもない。
【0039】
基板ステージPSTやマスクステージPSMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
【0040】
ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0041】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0042】
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0043】
以上のように、本実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0044】
半導体デバイスは、図8に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板(ウエハ、ガラスプレート)を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりマスクMのパターンを感光基板Pに露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、所定方向に移動する第1部材とともに第2部材も所定方向に移動するようにし、これら第1部材及び第2部材の絶対速度分布を互いに異なるように設定したので、重量が大きい第1部材の加速度を低く設定しても、移動する第2部材に支持されたマスクあるいは基板は所定の加速区間で目標速度に達することができる。したがって、重量が大きい第1部材の加速度上昇に起因する振動発生を抑えて所望の露光精度を得ることができるととともに、加速区間の短縮化、すなわち露光時間の短縮化を実現しスループットを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステージ装置を備えた露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明のステージ装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図3の要部拡大図である。
【図4】ステージ装置の移動速度分布の一例を示す図である。
【図5】ステージ装置の移動速度分布の一例を示す図である。
【図6】ステージ装置の移動速度分布の一例を示す図である。
【図7】ステージ装置の移動速度分布の一例を示す図である。
【図8】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
4 ステージ装置
7 ステージ装置
15 Yリニアモータ(第1移動装置)
16 粗動ステージ(第1部材)
16a 上面(第1面)
18 微動ステージ(第2部材)
18a 下面(第2面)
55 ホルダ部
60 Yリニアモータ(第2移動装置)
65 Yガイド(ガイド部)
EX 露光装置
MST マスクステージ(ステージ装置)
PST 基板ステージ(ステージ装置)
Claims (9)
- 第1面を有する第1部材と、前記第1面に対向する第2面を有する第2部材とを有するステージ装置において、
前記第1部材を所定方向に所定区間移動する第1移動装置と、
前記第2部材を前記第1部材の前記第1面上で前記所定方向に移動する第2移動装置とを備え、
前記第1移動装置及び前記第2移動装置のそれぞれは、前記第1部材及び前記第2部材のそれぞれの絶対速度分布を互いに異なるように移動することを特徴とするステージ装置。 - 前記所定区間における前記第1部材の加速度は前記第2部材より小さく設定されていることを特徴とする請求項1記載のステージ装置。
- 前記第2移動装置は、予め設定された設定区間における前記第2部材の絶対移動速度を一定にすることを特徴とする請求項1又は2記載のステージ装置。
- 前記第1部材及び前記第2部材のそれぞれが、加速区間、整定区間、定常区間、減速区間の順に移動する際、前記第2部材の整定区間又は定常区間に、前記第1部材の加速区間終了点が設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のステージ装置。
- 前記所定区間のうち一部の区間において、前記第1部材の絶対移動速度が前記第2部材の絶対移動速度より大きく設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のステージ装置。
- マスクステージに支持されたマスクのパターンを基板ステージに支持された基板に露光する露光装置において、
前記マスクステージと前記基板ステージとの少なくとも一方には、請求項1〜請求項5のいずれか一項記載のステージ装置が用いられていることを特徴とする露光装置。 - 前記第2部材は、前記マスク又は前記基板を保持するホルダ部を有することを特徴とする請求項6記載の露光装置。
- 前記第1部材は、前記所定方向に移動する前記第2部材を案内するガイド部を有することを特徴とする請求項6又は7記載の露光装置。
- 前記第2部材は、前記所定方向と交わる方向に移動可能であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載の露光装置。
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US7280182B2 (en) | 2003-04-09 | 2007-10-09 | Asml Netherlands B.V. | Lithographic apparatus, device manufacturing method and computer program |
CN100465793C (zh) * | 2005-03-18 | 2009-03-04 | 乐金显示有限公司 | 接近型曝光装置 |
US7916277B2 (en) * | 2005-05-30 | 2011-03-29 | Lg Display Co., Ltd. | Exposing apparatus having substrate chuck of good flatness |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002317771A patent/JP2004153094A/ja not_active Withdrawn
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