JP2004151360A - 静電潜像現像用磁性トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】低温での定着性及び耐オフセット性に優れていると共に、適切に磁性粉が結着樹脂中に分散され、良好な画質を得ることのできる静電潜像現像用磁性トナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂と該結着樹脂中に分散された磁性粉とからなり、粉砕法により得られた静電潜像現像用磁性トナーにおいて、前記結着樹脂は、10重量%以下のテトラヒドロフラン不溶分を含有しており、且つ該トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布は、最大ピークと、最大ピークよりも高分子量領域に存在する少なくとも1個の小ピークとを有し、該最大ピークの重量平均分子量は3,000乃至15,000の範囲にあり、且つ該最大ピークの全ピーク当りの面積比は95%以上であり、該小ピークの重量平均分子量は50,000乃至800,000の範囲にある。
【選択図】 なし。
【解決手段】結着樹脂と該結着樹脂中に分散された磁性粉とからなり、粉砕法により得られた静電潜像現像用磁性トナーにおいて、前記結着樹脂は、10重量%以下のテトラヒドロフラン不溶分を含有しており、且つ該トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布は、最大ピークと、最大ピークよりも高分子量領域に存在する少なくとも1個の小ピークとを有し、該最大ピークの重量平均分子量は3,000乃至15,000の範囲にあり、且つ該最大ピークの全ピーク当りの面積比は95%以上であり、該小ピークの重量平均分子量は50,000乃至800,000の範囲にある。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ等の画像形成装置で採用されている電子写真法、静電記録法、静電印刷法等の現像プロセスにおいて用いられる静電潜像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
乾式電子写真法において、静電潜像を可視像化するための一成分系磁性現像剤として用いられる磁性トナーは、一般に、熱可塑性結着樹脂、電荷制御剤、磁性粉体、及びその他の添加剤を予備混合後、溶融混練、粉砕、分級の工程を経て、所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。
【0003】
このような粉砕法により製造されるトナーの結着樹脂は、製造工程で種々の外的な圧力を受けている。特に磁性粉を含有する磁性トナーでは、磁性粉が結着樹脂中に適切に分散している必要があるが、磁性粉は結着樹脂に比べて比重が重く、溶融することがない。従って、磁性粉を結着樹脂中に適切に分散させるためには、大きな負荷をかけて、例えば高速剪断力下で、混練を行う必要が生じる。
磁性粉の分散が悪い場合には、画像濃度の耐久性が悪く、またカブリ裕度の小さなトナーとなってしまう。そのため、粉砕法におけるトナーにおいては、溶融混練の際に大きな負荷をかけて混練を行うことで、磁性粉を適切に分散させているのである。
【0004】
一方、画像形成速度の高速化や装置の長寿命化などの要求と共に省電力化の要求も高まっており、熱ロール定着方式の定着装置を用いる場合にその定着温度が低下する傾向にある。そのため、より低温で良好な定着性を有するトナーが必要とされている。このような低温定着トナーにおいては、結着樹脂の設計が非常に重要で、低温での良好な定着性を得るために分子量分布における最大ピークの分子量を限界まで下げる傾向がある。
また高温オフセット防止のために、結着樹脂中には高分子量成分やゲル成分が含まれているが、これらの成分は定着性に悪影響を及ぼす。従って、高温オフセット防止用成分の含有量を可能な限り減量することや、ゲル成分に特徴を持たせることで、低温での定着性に悪影響をおよぼさずに耐オフセット性に優れたトナーを得ている。
【0005】
しかるに、磁性トナーに関しては、上記のような樹脂設計で低温定着性を持たせることが極めて困難である。先に述べたように、磁性トナーは、磁性粉を良好に分散させるために、大きな負荷を掛けての混練によって製造される。即ち、混練に際しての大きな負荷によって、結着樹脂中に含まれる高分子量成分およびゲル成分の分子鎖が切断してしまい、この結果、耐オフセット性の悪いトナーとなってしまうのである。また高分子量成分およびゲル成分の切断により発生する中分子量成分および高分子量成分がトナー中に多量に存在してしまうため、定着性の悪化も生じてしまう。このように、高温オフセット防止の目的のために結着樹脂に含有させる高分子量成分およびゲル成分は、粉砕法により製造される磁性トナーに関しては、逆に耐オフセット性を悪くし、かつ定着性を悪化させる原因となってしまう。
【0006】
また、高分子量成分およびゲル成分の切断を防ぐ目的で、トナー化の際の溶融混練を可能な限り負荷が掛からないように行うと、磁性粉の分散が非常に悪くなり、かぶり裕度が低下し、画像濃度低下が起こるなど、種々の画像不良が発生する。この時には磁性粉の分散だけでなく、ワックスや荷電制御剤等の他の添加剤の分散をも悪化させ、更なる画像不良の原因となる。それに加え、分散性によりその性能が大きく変動するワックスが本来の性能を発揮できない場合も十分に起こりえる。その場合には、画像不良に加えて、オフセットマージンの低下や低温での定着性の低下などの問題も発生してしまう。
【0007】
このような磁性トナーに関しては既に幾つもの提案がされており、画質や粉砕性の改善に結着樹脂がテトラヒドロフラン不溶分を含むことが有用であるとしている。
例えば、テトラヒドロフラン不溶分を5〜80重量%含有する結着樹脂からなる磁性トナーが提案されている(特許文献1及び2参照)。
また、テトラヒドロフラン不溶分5〜70重量%含有する結着樹脂からなる磁性トナーが提案されている(特許文献3参照)。
さらに、テトラヒドロフラン不溶分10〜60重量%含有する結着樹脂からなる磁性トナーも提案されている(特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】
特公平7−120071号公報
【特許文献2】
特許第2675829号公報
【特許文献3】
特許第2814117号公報
【特許文献4】
特許第2854339号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1及び2では、テトラヒドロフラン(THF)不溶分の効果によって樹脂中に磁性粉が均一に分散し良質な画像が得られるとしているが、THF不溶分が大きく影響する低温定着性および耐オフセット性については、全く記載されていない。
特許文献3では、THF不溶分は粉砕性や耐オフセット性に有効であることが記載されているが、定着性への影響が明確に示されておらず、またこれだけ多量のTHF不溶分を含有するにもかかわらず、混練による分子鎖の切断については全く教示されていない。
特許文献4では、トナーの経時的劣化を防ぐことができるとしているが、ここでもTHF不溶分の定着性への影響については何ら記載されていない。
【0010】
従って本発明の目的は、低温での定着性及び耐オフセット性に優れていると共に、適切に磁性粉が結着樹脂中に分散され、良好な画質を得ることのできる静電潜像現像用磁性トナーを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、原料結着樹脂として、一定量のテトラヒドロフラン不溶分を含有するものを使用し、トナー化後に該結着樹脂が一定の分子量分布を有するものとすることにより、磁性粉が適切に分散され、且つ低温定着性や耐オフセット性に優れた磁性トナーが得られることを見出した。
【0012】
本発明によれば、結着樹脂と該結着樹脂中に分散された磁性粉とからなり、粉砕法により得られた静電潜像現像用磁性トナーにおいて、
前記結着樹脂は、10重量%以下のテトラヒドロフラン不溶分を含有しており、且つ該トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布は、最大ピークと、最大ピークよりも高分子量領域に存在する少なくとも1個の小ピークとを有し、該最大ピークの重量平均分子量は3,000乃至15,000の範囲にあり、且つ該最大ピークの全ピーク当りの面積比は95%以上であり、該小ピークの重量平均分子量は50,000乃至800,000の範囲にあることを特徴とする静電潜像現像用磁性トナーが提供される。
【0013】
本発明においては、
1.トナー化前の原料結着樹脂は、5乃至35重量%のテトラヒドロフラン不溶分を含有し、該原料結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、最大ピークの重量平均分子量は3,000乃至15,000の範囲にあり、全ピーク当りの最大ピークの面積比が95%以上であること、
2.前記磁性粉を、トナー当り35乃至60重量%の量で含有していること、
が好ましい。
【0014】
本発明の磁性トナーでは、磁性粉の分散のために製造時(結着樹脂と磁性粉との溶融混練時)に大きな負荷を掛けても、結着樹脂が含有するテトラヒドロフラン不溶分の分子鎖が切断して発生する高分子量成分が、低温での定着性に悪影響を及ぼすことなく効果的に耐オフセット性を発揮することができ、また磁性粉が適切に分散しているため、かぶりに代表されるような画像不良等の発生が有効に防止され、良質の画像を形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[原料結着樹脂]
本発明において、磁性トナーの製造に用いる結着樹脂としては、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を、5乃至35重量%、特に10乃至30重量%の量で含有しているものが使用される。即ち、THF不溶分がこの範囲内であれば、大きな負荷を掛けながら、該樹脂と磁性粉とを溶融混練する際に、THF不溶分の分子鎖の切断により、定着性に影響することのない程度の量で耐オフセット性に有効な中分子量成分および高分子量成分が発生する。これにより、低温定着性に優れ、かつ効果的にオフセットを防止することができるトナーを得ることができることとなる。
【0016】
THF不溶分が上記範囲よりも少ない場合には、トナー化の際の分子鎖の切断により発生する中分子量成分および高分子量成分が少量となり、低温定着性に及ぼす影響は小さくなるものの、オフセットを防止することはできない。
また、THF不溶分を上記範囲よりも多量に含む場合には、定着性に悪影響を及ぼすため、低温定着性が悪くなってしまう。また粉砕性の悪化ため、生産性の低下も起きる。それに加え、通常の混練機では溶融不良やせん断力不足を生じ、磁性粉やその他の添加剤の分散不良が発生してしまう。
尚、テトラヒドロフラン(THF)不溶分とは、テトラヒドロフラン溶媒に対して不溶性の成分の重量割合であり、ソックスレー抽出法により測定することができる。
【0017】
また本発明において、原料結着樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、最大ピークでの重量平均分子量が3,000乃至15,000、好ましくは4,000乃至11,000の範囲内にあることが良い。最大ピークでの重量平均分子量がこのような範囲内にあれば、例えば160℃以下という低温においてもトナーを容易に定着させることができる。
最大ピークでの重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、溶融粘度の低下などにより耐オフセット性が悪くなり、また感光体への付着等が発生し、さらにはトナーとしての耐熱保存性も悪化してしまう。また上記範囲よりも大きいと、溶融粘度の上昇などのため、低温で十分に定着することができなくなってしまう。尚、結着樹脂の重量平均分子量は、分子量測定装置(GPC)を用いて、カラムからの溶出時間を測定し、標準ポリスチレン樹脂を用いて予め作成しておいた検量線と照らし合わせることにより、求めることができる。
【0018】
原料結着樹脂のTHF可溶分の分子量分布において、最大ピークは、全ピーク当り95%以上、特に97%以上の面積比を持つことが好ましい。最大ピークの面積が小さいと、トナー化に際しての分子鎖の切断により発生する中分子量成分や高分子量成分の影響により、定着性が悪くなってしまうおそれがある。
【0019】
上述した原料結着樹脂の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂が使用される。
【0020】
本発明においては、上記の熱可塑性樹脂の中でも、スチレン系樹脂及びポリエステル系樹脂が特に好適である。
【0021】
スチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。共重合モノマーとしては、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。これら共重合モノマーは、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合させることができる。
【0022】
また、ポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られるものであれば使用することができる。
【0023】
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が例示される。
【0024】
多価カルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸等の2価カルボン酸;n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等の2価カルボン酸のアルキルもしくはアルケニルエステル;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が例示される。また、上記2価或いは3価以上のカルボン酸の無水物も使用することができる。
【0025】
上述した原料結着樹脂の軟化点は、110乃至150℃、好ましくは120乃至140℃の範囲にあるのがよい。
また、ガラス転移点(Tg)は、55乃至70℃の範囲であることが好ましい。原料結着樹脂のガラス転移点が、55℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する傾向があり、ガラス転移点が70℃を超えると、トナーの定着性が乏しくなる傾向がある。
尚、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。
【0026】
本発明において、上述した原料結着樹脂は、既に述べた通り、所定の分子量分布を示すTHF可溶分に加えて、一定量(5乃至35重量%、特に10乃至30重量%)のTHF不溶分を含有している。
このTHF不溶分は、分子量測定が不能なゲル成分であり、このようなゲル成分量(THF不溶分量)を上記範囲内に調整するために、必要により、架橋剤や熱硬化性樹脂を前述した熱可塑性樹脂と組み合わせで使用することにより、一部架橋構造を導入することもできる。
【0027】
上記のような架橋剤としては、用いる熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能性カルボン酸エステル、その他、ジビニルエーテルなどのビニル基を2個或いは3個以上有するビニル化合物などを例示することができる。
【0028】
また、熱硬化性樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂や、シアネート樹脂を、1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0029】
また、本発明においては、以下に述べる磁性粉の分散性を向上させるために、上述した結着樹脂の中でも、ヒドキロキシ(水酸)基、カルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ(エポキシ)基から選択される少なくとも一つの官能基を分子内に有しているものが好適に使用することができる。なお、これらの官能基を有しているか否かは、FT−IR装置を用いて確認することができ、さらに滴定法を用いて官能基を定量することができる。
【0030】
[磁性粉]
本発明において磁性粉としては、公知のものを使用することができる。例えば、フェライト、マグネタイトを初めとする鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属、もしくは合金またはこれらの元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、または二酸化クロム等を挙げることができる。
これらの磁性粉は、平均粒子径が0.1乃至1μm、特に0.1乃至0.5μmの範囲内の微粉末の形で、上述した結着樹脂中に均一に分散される。また、磁性粉は、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施して使用することもできる。
また磁性粉は、トナー中に35乃至60重量%、特に40乃至60重量%の量で含有されていることが好ましい。上記範囲よりも多量に磁性粉を用いると、画像濃度の耐久性が悪くなり、また、定着性が極度に低下する傾向があり、上記範囲よりも少量では、画像濃度耐久性におけるカブリが悪くなってしまう。
【0031】
[その他の配合剤]
本発明の磁性トナーにおいては、定着性やオフセット性を向上させるために、上記の磁性粉とともに、ワックス類を結着樹脂中に分散配合することが好適である。
このようなワックス類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等を使用することが好ましい。また、これらワックスは2種以上を併用しても構わない。かかるワックスを添加することにより、オフセット性や像スミアリングをより効率的に防止することができる。
なお、フィッシャートロプシュワックスは、一酸化炭素の接触水素化反応であるフィッシャートロプシュ反応を利用して製造される合成ワックスであり、イソ(iso)構造分子や側鎖が少ない直鎖炭化水素化合物である。また、フィッシャートロプシュワックスの中でも、重量平均分子量が500〜5,000の値であり、かつ100乃至120℃の範囲内にDSCによる吸熱ボトムピークを有するものがより好ましい。このようなフィッシャートロプシュワックスとしては、サゾール社から入手できるサゾールワックスC1(H1の結晶化による高分子量グレード、吸熱ボトムピーク:106.5℃)、サゾールワックスC105(C1の分留法による精製品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)、サゾールワックスSPRAY105(C105の微粒子品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)等が挙げられる。
【0032】
上述したワックス類は、特に制限されるものではないが、一般に、トナー中に(トナー全体量を100重量%とする)、1乃至5重量%の量で配合されていることが好ましい。ワックス類の添加量が1重量%未満では、オフセット性や像スミアリング等を効率的に防止することができない傾向があり、一方、5重量%を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向がある。
【0033】
本発明の磁性トナーにおいては、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を著しく向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得るために、必要により、電荷制御剤が配合される。即ち、磁性トナーを正帯電させて現像に供する場合には、正帯電性の電荷制御剤を添加し、負帯電させて現像に供する場合には、負帯電性の電荷制御剤を添加することができる。
【0034】
このような電荷制御剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンなどのアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEWおよびアジンディープブラック3RLなどのアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体などのニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZなどのニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を例示することができ、これらは、1種単独でも2種以上を併用して使用することもできる。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、正帯電性トナーとしての使用には最適である。
【0035】
また、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマーなども正帯電性電荷制御剤として使用することができる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有するスチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる観点から、最適である。この場合において、上記スチレン−アクリル系樹脂あるいはアクリル系樹脂自体における好ましいアクリル系コモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート;ジメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
【0036】
上記の例示から理解されるように、既に述べた結着樹脂の一部は、正帯電性電荷制御剤としての機能も有しており、したがって、このような結着樹脂を用いた場合には、結着樹脂とは別個に正帯電性電荷制御剤を配合する必要は特にない。また、正帯電性電荷制御剤としての機能を有している結着樹脂を用いた場合には、その磁性トナーは、通常、正帯電性のトナーとして使用するのがよい。
【0037】
負帯電性を示す電荷制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としてはアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシヤリーブチルサリチル酸クロム等があり、特にアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体またはサリチル酸系金属塩が好ましい。
【0038】
上述した正帯電性或いは負帯電性の電荷制御剤は、正帯電性電荷制御剤としての機能を有している結着樹脂を用いた場合を除き、一般に、1.5乃至15重量%、好ましくは2.0乃至8.0重量%、最も好ましくは3.0乃至7.0重量%の量でトナー中に含まれているのがよい(即ち、トナーの全体量を100重量%とする)。電荷制御剤の添加量が上記範囲よりも少量であると、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となる傾向があり、該トナーを用いて静電潜像の現像を行って画像形成を行ったとき、画像濃度が低くなったり、画像濃度の耐久性が低下する傾向がある。また、電荷制御剤の分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなる等の傾向がある。一方、電荷制御剤が上記範囲よりも多量に使用されると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
【0039】
更に本発明の磁性トナーにおいては、公知のものと同様、色調を調整するために、カーボンブラックの如き顔料やアシッドバイオレットの如き染料も可能である。
【0040】
[磁性トナー]
本発明の磁性トナーは、前述した原料結着樹脂と磁性粉、及び必要により配合されるワックス類、電荷制御剤等とを混合し、押出機等の混練機を用いて溶融混練した後、これを冷却し、粉砕及び分級することにより得られる。
上記工程での溶融混練は、結着樹脂に配合される各種成分、特に磁性粉が均一に分散されるように、高負荷、例えば高い剪断力をかけながら行われる。この結果、原料結着樹脂中に含まれるTHF不溶分(ゲル分)の分子鎖の切断を生じる。従って、得られる磁性トナー中の結着樹脂のTHF不溶分量は、原料結着樹脂に比して低減し、本発明の磁性トナーでの結着樹脂のTHF不溶分は10重量%
以下、特に5重量%以下と少量の範囲に抑制されている。
【0041】
本発明では、トナー中の結着樹脂のTHF不溶分が少量(勿論ゼロであってもよい)に抑制されていることにより、THF不溶分の低温定着性に対する悪影響が有効に回避されている。即ち、THF不溶分や、以下に述べるTHF不溶分の分子鎖の切断により生じる高分子量成分は、定着性を悪化させる成分であるため、THF不溶分が上記範囲よりも多いと、定着性を著しく悪化させることになってしまう。また結着樹脂中に含まれるTHF不溶分とTHF可溶分の相溶が著しく悪くなり、樹脂強度の低下を招くことでも定着性を悪化させてしまう。
【0042】
さらに本発明の磁性トナーでは、トナーのTHF可溶分(結着樹脂の一部以外にワックス類や一部の電荷制御剤などの低分子量成分を含むことがある)の分子量分布は、原料結着樹脂と同様の最大ピーク(その重量平均分子量は、3,000乃至15,000、特に4,000乃至11,000)を有している。また、トナーを製造するに際して、上述した溶融混練時でのTHF不溶分の分子鎖の切断が生じているため、該トナーのTHF可溶分の分子量分布では、上記の最大ピークよりも高分子量領域側に少なくとも1個の小ピークが生成している。この小ピークの重量平均分子量は、50,000乃至800,000の範囲、特に80,000乃至500,000の範囲にある。即ち、このような小ピークの高分子量成分の生成により、定着性に影響することなく効率的に耐オフセット性を発揮することができる。例えば、小ピークの重量平均分子量が、上記範囲よりも高いと、上記最大ピークを示す成分との相溶性が低下し、樹脂強度が弱くなり、定着性が悪化してしまう。また、小ピークの重量平均分子量が上記範囲よりも低いと、オフセットを効率よく防ぐことができないものとなる。
尚、小ピークでの重量平均分子量の調整は、磁性粉の均一分散性が損なわれない範囲で、溶融混練条件を適宜調整することにより行うことができる。例えば押出機内での滞留時間を長くしたり、スクリュー回転速度を速くすれば、THF不溶分の分子鎖の切断が促進され、小ピークでの分子量分布は低分子量側にシフトし、逆の場合には高分子量側にシフトする。また、シリンダ温度を低くして負荷をあげれば、小ピークは低分子量側にシフトし、シリンダ温度を高くすると高分子量側にシフトする。
【0043】
本発明の磁性トナーにおいて、上述した分子量分布における最大ピークの面積比(全ピーク当りの面積比率)は95%以上であるべきである。即ち、この面積比率が上記範囲よりも小さいと、低温定着性に寄与する成分量が少ないこととなり、低温定着性が損なわれてしまう。
また、最大ピークよりも高分子量側の小ピークは、トータルでの重量平均分子量が前述した範囲内にある限り、複数存在していてもよい。
【0044】
上記の磁性トナーは、一般に、その平均粒径が5乃至10μm程度に分級及び粒度調整されているのがよい。
かかる磁性トナーは、必要により、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタン等の微粒子(通常、平均粒径が1.0μm以下)を外添して、一成分系磁性現像剤として、感光体表面に形成された静電潜像の現像に使用される。
上記の微粒子外添剤は、トナーの表面処理によって、流動性、保存安定性、クリーニング性等を向上させるために使用されるものであり、通常、磁性トナー当り、0.2乃至10.0重量%の量で使用される。また、これら微粒子の外添は、磁性トナーと乾式で攪拌混合することにより行われるが、この攪拌混合は、微粒子がトナー中に埋め込まれないように、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーなどを用いて行うのがよい。
【0045】
本発明の磁性トナーを用いて調製された一成分系磁性現像剤は、摩擦帯電により該現像剤中の磁性トナーを正または負極性に摩擦帯電せしめた状態で、マグネット内蔵現像スリーブ上に供給して、該現像剤の磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを静電潜像が形成されている感光体表面に摺擦せしめ、或いは磁気ブラシと感光体表面とを非接触で、該静電潜像の現像が行われる。磁気ブラシを感光体表面に摺擦して現像を行う場合には、感光体と現像スリーブとの間にバイアス電界を印加し、また磁気ブラシと感光体表面とが非接触で現像を行う場合には、現像スリーブと感光体との間に振動電界(交番電界)を印加するのがよい。
このような現像により感光体表面に形成されたトナー像は、所定の用紙に転写され、定着ローラによる加熱によって用紙表面に定着される。
【0046】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0047】
実施例1
結着樹脂として、10重量%のTHF不溶分含み、且つそのTHF可溶分の分子量分布において、最大ピークの重量平均分子量が6000であり、最大ピークの面積比が97%であるスチレン−アクリル樹脂を使用し、下記処方で、該結着樹脂を磁性粉、ポリエチレンワックス、正帯電性電荷制御剤と混合し、2軸押出機にて溶融混練した後、これを冷却し、粉砕、分級して平均粒径7μmの磁性トナー粉体を得た。
【0048】
【0049】
尚、結着樹脂中のTHF不溶分の測定は、6時間かけてのソックスレー抽出により行い、抽出されたTHF可溶分の分子量分布の測定は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により行った。
また、二軸押出機での溶融混練は、シリンダ温度120℃、押出機内滞留時間2分、スクリュー回転数150rpmの条件で行った。
【0050】
上記で得られた磁性トナーについて、THF不溶分を上記と同様にして算出し、磁性粉を差し引いて、結着樹脂中のTHF不溶分量を算出し、その結果を表1に示した。
また、上記で抽出されたTHF可溶分について、その分子量分布を上記と同様に測定したところ、最大ピークよりも高分子量側に1個の小ピークが生成していた。さらに、最大ピークの重量平均分子量及び面積比、並びに小ピークの重量平均分子量を表1に示した。
【0051】
上記で得られた磁性トナー粉体に、酸化チタンを2重量%、シリカを0.5重量%、ヘンシェルミキサーにより外添し、磁性トナー粉末の表面に付着させて磁性一成分正帯電現像剤を調製した。
この現像剤を用い、α−Si感光体搭載京セラ製ページプリンタ(FS−3800)を用い、初期画像特性、耐久性を評価し、併せて帯電量を測定し、その結果を表2に示した。
これらの評価方法は、以下の通りである。
【0052】
(1)帯電特性
上記磁性トナー4重量部とフェライトキャリア100重量部を混合して、通常環境にて、60分間摩擦帯電させた時の帯電量(μC/g)を初期帯電量とした。また、上記ページプリンタを用いて、上記現像剤により画像形成を行い、10万枚連続通紙を行った時のトナーの帯電量を耐久後の帯電量とした。
上記の初期帯電量及び耐久後の帯電量は、それぞれ東芝ケミカル社製ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて測定した。
【0053】
(2)画像特性
通常環境(20℃、65%RH)にて初期時に上記ページプリンタにより画像評価パターンを印字して初期画像とし、その後、10万枚連続通紙を行い、再度画像評価パターンを印字して耐久画像とし、それぞれソリッド画像をマクベス反射濃度計を用いて測定し、同時にカブリを目視観察することにより画像特性評価を行った。
○:カブリは見られない
△:ややカブリを生じている
×:カブリがひどい
【0054】
(3)定着特性
上記ページプリンタの定着温度を制御させることで、定着率およびオフセット性の評価を行なった。
ここで最低定着温度は、定着率が95%を越える際の定着ローラーの温度をいう。
尚、定着率とは綿布で包んだ黄銅製分銅で1kgの荷重をかけ、印字した定着評価パターンのソリッド画像を10往復擦り、擦る前後での画像濃度をマクベス反射濃度計にて測定したときの濃度比率である。
また表2においては、上記京セラ製ページプリンタ(FS−3800)において定着温度を160℃と設定した場合での定着性評価を行った。
○:定着率が95%以上
△:定着率が90%以上〜95%未満
×:定着率が90%未満
またオフセット性の評価は目視にて行い、高温オフセットが発生する最低温度をオフセット発生温度とした。
【0055】
実施例2〜実施例4、比較例1〜4
表1に示す量のTHF不溶分を含有し、且つTHF可溶分の分子量分布において最大ピークの重量平均分子量が表1に示す通りとなっているスチレン−アクリル系樹脂を結着樹脂として用いた以外は、実施例1と全く同様の評価を行い、その結果を表1及び2に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、結着樹脂がテトラヒドロフラン不溶分を適切な量含み、該不溶分がトナー化の際に切断されることで10重量%以下になることにより、磁性粉等が適切に分散し、かぶり等の画像不良のなく、耐オフセット性に優れた、低温での良好な定着が可能な静電潜像現像用磁性トナーとすることができるという優れた効果を得ることが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ等の画像形成装置で採用されている電子写真法、静電記録法、静電印刷法等の現像プロセスにおいて用いられる静電潜像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
乾式電子写真法において、静電潜像を可視像化するための一成分系磁性現像剤として用いられる磁性トナーは、一般に、熱可塑性結着樹脂、電荷制御剤、磁性粉体、及びその他の添加剤を予備混合後、溶融混練、粉砕、分級の工程を経て、所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。
【0003】
このような粉砕法により製造されるトナーの結着樹脂は、製造工程で種々の外的な圧力を受けている。特に磁性粉を含有する磁性トナーでは、磁性粉が結着樹脂中に適切に分散している必要があるが、磁性粉は結着樹脂に比べて比重が重く、溶融することがない。従って、磁性粉を結着樹脂中に適切に分散させるためには、大きな負荷をかけて、例えば高速剪断力下で、混練を行う必要が生じる。
磁性粉の分散が悪い場合には、画像濃度の耐久性が悪く、またカブリ裕度の小さなトナーとなってしまう。そのため、粉砕法におけるトナーにおいては、溶融混練の際に大きな負荷をかけて混練を行うことで、磁性粉を適切に分散させているのである。
【0004】
一方、画像形成速度の高速化や装置の長寿命化などの要求と共に省電力化の要求も高まっており、熱ロール定着方式の定着装置を用いる場合にその定着温度が低下する傾向にある。そのため、より低温で良好な定着性を有するトナーが必要とされている。このような低温定着トナーにおいては、結着樹脂の設計が非常に重要で、低温での良好な定着性を得るために分子量分布における最大ピークの分子量を限界まで下げる傾向がある。
また高温オフセット防止のために、結着樹脂中には高分子量成分やゲル成分が含まれているが、これらの成分は定着性に悪影響を及ぼす。従って、高温オフセット防止用成分の含有量を可能な限り減量することや、ゲル成分に特徴を持たせることで、低温での定着性に悪影響をおよぼさずに耐オフセット性に優れたトナーを得ている。
【0005】
しかるに、磁性トナーに関しては、上記のような樹脂設計で低温定着性を持たせることが極めて困難である。先に述べたように、磁性トナーは、磁性粉を良好に分散させるために、大きな負荷を掛けての混練によって製造される。即ち、混練に際しての大きな負荷によって、結着樹脂中に含まれる高分子量成分およびゲル成分の分子鎖が切断してしまい、この結果、耐オフセット性の悪いトナーとなってしまうのである。また高分子量成分およびゲル成分の切断により発生する中分子量成分および高分子量成分がトナー中に多量に存在してしまうため、定着性の悪化も生じてしまう。このように、高温オフセット防止の目的のために結着樹脂に含有させる高分子量成分およびゲル成分は、粉砕法により製造される磁性トナーに関しては、逆に耐オフセット性を悪くし、かつ定着性を悪化させる原因となってしまう。
【0006】
また、高分子量成分およびゲル成分の切断を防ぐ目的で、トナー化の際の溶融混練を可能な限り負荷が掛からないように行うと、磁性粉の分散が非常に悪くなり、かぶり裕度が低下し、画像濃度低下が起こるなど、種々の画像不良が発生する。この時には磁性粉の分散だけでなく、ワックスや荷電制御剤等の他の添加剤の分散をも悪化させ、更なる画像不良の原因となる。それに加え、分散性によりその性能が大きく変動するワックスが本来の性能を発揮できない場合も十分に起こりえる。その場合には、画像不良に加えて、オフセットマージンの低下や低温での定着性の低下などの問題も発生してしまう。
【0007】
このような磁性トナーに関しては既に幾つもの提案がされており、画質や粉砕性の改善に結着樹脂がテトラヒドロフラン不溶分を含むことが有用であるとしている。
例えば、テトラヒドロフラン不溶分を5〜80重量%含有する結着樹脂からなる磁性トナーが提案されている(特許文献1及び2参照)。
また、テトラヒドロフラン不溶分5〜70重量%含有する結着樹脂からなる磁性トナーが提案されている(特許文献3参照)。
さらに、テトラヒドロフラン不溶分10〜60重量%含有する結着樹脂からなる磁性トナーも提案されている(特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】
特公平7−120071号公報
【特許文献2】
特許第2675829号公報
【特許文献3】
特許第2814117号公報
【特許文献4】
特許第2854339号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1及び2では、テトラヒドロフラン(THF)不溶分の効果によって樹脂中に磁性粉が均一に分散し良質な画像が得られるとしているが、THF不溶分が大きく影響する低温定着性および耐オフセット性については、全く記載されていない。
特許文献3では、THF不溶分は粉砕性や耐オフセット性に有効であることが記載されているが、定着性への影響が明確に示されておらず、またこれだけ多量のTHF不溶分を含有するにもかかわらず、混練による分子鎖の切断については全く教示されていない。
特許文献4では、トナーの経時的劣化を防ぐことができるとしているが、ここでもTHF不溶分の定着性への影響については何ら記載されていない。
【0010】
従って本発明の目的は、低温での定着性及び耐オフセット性に優れていると共に、適切に磁性粉が結着樹脂中に分散され、良好な画質を得ることのできる静電潜像現像用磁性トナーを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、原料結着樹脂として、一定量のテトラヒドロフラン不溶分を含有するものを使用し、トナー化後に該結着樹脂が一定の分子量分布を有するものとすることにより、磁性粉が適切に分散され、且つ低温定着性や耐オフセット性に優れた磁性トナーが得られることを見出した。
【0012】
本発明によれば、結着樹脂と該結着樹脂中に分散された磁性粉とからなり、粉砕法により得られた静電潜像現像用磁性トナーにおいて、
前記結着樹脂は、10重量%以下のテトラヒドロフラン不溶分を含有しており、且つ該トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布は、最大ピークと、最大ピークよりも高分子量領域に存在する少なくとも1個の小ピークとを有し、該最大ピークの重量平均分子量は3,000乃至15,000の範囲にあり、且つ該最大ピークの全ピーク当りの面積比は95%以上であり、該小ピークの重量平均分子量は50,000乃至800,000の範囲にあることを特徴とする静電潜像現像用磁性トナーが提供される。
【0013】
本発明においては、
1.トナー化前の原料結着樹脂は、5乃至35重量%のテトラヒドロフラン不溶分を含有し、該原料結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、最大ピークの重量平均分子量は3,000乃至15,000の範囲にあり、全ピーク当りの最大ピークの面積比が95%以上であること、
2.前記磁性粉を、トナー当り35乃至60重量%の量で含有していること、
が好ましい。
【0014】
本発明の磁性トナーでは、磁性粉の分散のために製造時(結着樹脂と磁性粉との溶融混練時)に大きな負荷を掛けても、結着樹脂が含有するテトラヒドロフラン不溶分の分子鎖が切断して発生する高分子量成分が、低温での定着性に悪影響を及ぼすことなく効果的に耐オフセット性を発揮することができ、また磁性粉が適切に分散しているため、かぶりに代表されるような画像不良等の発生が有効に防止され、良質の画像を形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[原料結着樹脂]
本発明において、磁性トナーの製造に用いる結着樹脂としては、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を、5乃至35重量%、特に10乃至30重量%の量で含有しているものが使用される。即ち、THF不溶分がこの範囲内であれば、大きな負荷を掛けながら、該樹脂と磁性粉とを溶融混練する際に、THF不溶分の分子鎖の切断により、定着性に影響することのない程度の量で耐オフセット性に有効な中分子量成分および高分子量成分が発生する。これにより、低温定着性に優れ、かつ効果的にオフセットを防止することができるトナーを得ることができることとなる。
【0016】
THF不溶分が上記範囲よりも少ない場合には、トナー化の際の分子鎖の切断により発生する中分子量成分および高分子量成分が少量となり、低温定着性に及ぼす影響は小さくなるものの、オフセットを防止することはできない。
また、THF不溶分を上記範囲よりも多量に含む場合には、定着性に悪影響を及ぼすため、低温定着性が悪くなってしまう。また粉砕性の悪化ため、生産性の低下も起きる。それに加え、通常の混練機では溶融不良やせん断力不足を生じ、磁性粉やその他の添加剤の分散不良が発生してしまう。
尚、テトラヒドロフラン(THF)不溶分とは、テトラヒドロフラン溶媒に対して不溶性の成分の重量割合であり、ソックスレー抽出法により測定することができる。
【0017】
また本発明において、原料結着樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、最大ピークでの重量平均分子量が3,000乃至15,000、好ましくは4,000乃至11,000の範囲内にあることが良い。最大ピークでの重量平均分子量がこのような範囲内にあれば、例えば160℃以下という低温においてもトナーを容易に定着させることができる。
最大ピークでの重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、溶融粘度の低下などにより耐オフセット性が悪くなり、また感光体への付着等が発生し、さらにはトナーとしての耐熱保存性も悪化してしまう。また上記範囲よりも大きいと、溶融粘度の上昇などのため、低温で十分に定着することができなくなってしまう。尚、結着樹脂の重量平均分子量は、分子量測定装置(GPC)を用いて、カラムからの溶出時間を測定し、標準ポリスチレン樹脂を用いて予め作成しておいた検量線と照らし合わせることにより、求めることができる。
【0018】
原料結着樹脂のTHF可溶分の分子量分布において、最大ピークは、全ピーク当り95%以上、特に97%以上の面積比を持つことが好ましい。最大ピークの面積が小さいと、トナー化に際しての分子鎖の切断により発生する中分子量成分や高分子量成分の影響により、定着性が悪くなってしまうおそれがある。
【0019】
上述した原料結着樹脂の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂が使用される。
【0020】
本発明においては、上記の熱可塑性樹脂の中でも、スチレン系樹脂及びポリエステル系樹脂が特に好適である。
【0021】
スチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。共重合モノマーとしては、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。これら共重合モノマーは、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合させることができる。
【0022】
また、ポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られるものであれば使用することができる。
【0023】
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が例示される。
【0024】
多価カルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸等の2価カルボン酸;n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等の2価カルボン酸のアルキルもしくはアルケニルエステル;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が例示される。また、上記2価或いは3価以上のカルボン酸の無水物も使用することができる。
【0025】
上述した原料結着樹脂の軟化点は、110乃至150℃、好ましくは120乃至140℃の範囲にあるのがよい。
また、ガラス転移点(Tg)は、55乃至70℃の範囲であることが好ましい。原料結着樹脂のガラス転移点が、55℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する傾向があり、ガラス転移点が70℃を超えると、トナーの定着性が乏しくなる傾向がある。
尚、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。
【0026】
本発明において、上述した原料結着樹脂は、既に述べた通り、所定の分子量分布を示すTHF可溶分に加えて、一定量(5乃至35重量%、特に10乃至30重量%)のTHF不溶分を含有している。
このTHF不溶分は、分子量測定が不能なゲル成分であり、このようなゲル成分量(THF不溶分量)を上記範囲内に調整するために、必要により、架橋剤や熱硬化性樹脂を前述した熱可塑性樹脂と組み合わせで使用することにより、一部架橋構造を導入することもできる。
【0027】
上記のような架橋剤としては、用いる熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能性カルボン酸エステル、その他、ジビニルエーテルなどのビニル基を2個或いは3個以上有するビニル化合物などを例示することができる。
【0028】
また、熱硬化性樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂や、シアネート樹脂を、1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0029】
また、本発明においては、以下に述べる磁性粉の分散性を向上させるために、上述した結着樹脂の中でも、ヒドキロキシ(水酸)基、カルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ(エポキシ)基から選択される少なくとも一つの官能基を分子内に有しているものが好適に使用することができる。なお、これらの官能基を有しているか否かは、FT−IR装置を用いて確認することができ、さらに滴定法を用いて官能基を定量することができる。
【0030】
[磁性粉]
本発明において磁性粉としては、公知のものを使用することができる。例えば、フェライト、マグネタイトを初めとする鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属、もしくは合金またはこれらの元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、または二酸化クロム等を挙げることができる。
これらの磁性粉は、平均粒子径が0.1乃至1μm、特に0.1乃至0.5μmの範囲内の微粉末の形で、上述した結着樹脂中に均一に分散される。また、磁性粉は、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施して使用することもできる。
また磁性粉は、トナー中に35乃至60重量%、特に40乃至60重量%の量で含有されていることが好ましい。上記範囲よりも多量に磁性粉を用いると、画像濃度の耐久性が悪くなり、また、定着性が極度に低下する傾向があり、上記範囲よりも少量では、画像濃度耐久性におけるカブリが悪くなってしまう。
【0031】
[その他の配合剤]
本発明の磁性トナーにおいては、定着性やオフセット性を向上させるために、上記の磁性粉とともに、ワックス類を結着樹脂中に分散配合することが好適である。
このようなワックス類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等を使用することが好ましい。また、これらワックスは2種以上を併用しても構わない。かかるワックスを添加することにより、オフセット性や像スミアリングをより効率的に防止することができる。
なお、フィッシャートロプシュワックスは、一酸化炭素の接触水素化反応であるフィッシャートロプシュ反応を利用して製造される合成ワックスであり、イソ(iso)構造分子や側鎖が少ない直鎖炭化水素化合物である。また、フィッシャートロプシュワックスの中でも、重量平均分子量が500〜5,000の値であり、かつ100乃至120℃の範囲内にDSCによる吸熱ボトムピークを有するものがより好ましい。このようなフィッシャートロプシュワックスとしては、サゾール社から入手できるサゾールワックスC1(H1の結晶化による高分子量グレード、吸熱ボトムピーク:106.5℃)、サゾールワックスC105(C1の分留法による精製品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)、サゾールワックスSPRAY105(C105の微粒子品、吸熱ボトムピーク:102.1℃)等が挙げられる。
【0032】
上述したワックス類は、特に制限されるものではないが、一般に、トナー中に(トナー全体量を100重量%とする)、1乃至5重量%の量で配合されていることが好ましい。ワックス類の添加量が1重量%未満では、オフセット性や像スミアリング等を効率的に防止することができない傾向があり、一方、5重量%を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向がある。
【0033】
本発明の磁性トナーにおいては、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を著しく向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得るために、必要により、電荷制御剤が配合される。即ち、磁性トナーを正帯電させて現像に供する場合には、正帯電性の電荷制御剤を添加し、負帯電させて現像に供する場合には、負帯電性の電荷制御剤を添加することができる。
【0034】
このような電荷制御剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンなどのアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEWおよびアジンディープブラック3RLなどのアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体などのニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZなどのニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を例示することができ、これらは、1種単独でも2種以上を併用して使用することもできる。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、正帯電性トナーとしての使用には最適である。
【0035】
また、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマーなども正帯電性電荷制御剤として使用することができる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有するスチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる観点から、最適である。この場合において、上記スチレン−アクリル系樹脂あるいはアクリル系樹脂自体における好ましいアクリル系コモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート;ジメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
【0036】
上記の例示から理解されるように、既に述べた結着樹脂の一部は、正帯電性電荷制御剤としての機能も有しており、したがって、このような結着樹脂を用いた場合には、結着樹脂とは別個に正帯電性電荷制御剤を配合する必要は特にない。また、正帯電性電荷制御剤としての機能を有している結着樹脂を用いた場合には、その磁性トナーは、通常、正帯電性のトナーとして使用するのがよい。
【0037】
負帯電性を示す電荷制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としてはアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシヤリーブチルサリチル酸クロム等があり、特にアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体またはサリチル酸系金属塩が好ましい。
【0038】
上述した正帯電性或いは負帯電性の電荷制御剤は、正帯電性電荷制御剤としての機能を有している結着樹脂を用いた場合を除き、一般に、1.5乃至15重量%、好ましくは2.0乃至8.0重量%、最も好ましくは3.0乃至7.0重量%の量でトナー中に含まれているのがよい(即ち、トナーの全体量を100重量%とする)。電荷制御剤の添加量が上記範囲よりも少量であると、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となる傾向があり、該トナーを用いて静電潜像の現像を行って画像形成を行ったとき、画像濃度が低くなったり、画像濃度の耐久性が低下する傾向がある。また、電荷制御剤の分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなる等の傾向がある。一方、電荷制御剤が上記範囲よりも多量に使用されると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
【0039】
更に本発明の磁性トナーにおいては、公知のものと同様、色調を調整するために、カーボンブラックの如き顔料やアシッドバイオレットの如き染料も可能である。
【0040】
[磁性トナー]
本発明の磁性トナーは、前述した原料結着樹脂と磁性粉、及び必要により配合されるワックス類、電荷制御剤等とを混合し、押出機等の混練機を用いて溶融混練した後、これを冷却し、粉砕及び分級することにより得られる。
上記工程での溶融混練は、結着樹脂に配合される各種成分、特に磁性粉が均一に分散されるように、高負荷、例えば高い剪断力をかけながら行われる。この結果、原料結着樹脂中に含まれるTHF不溶分(ゲル分)の分子鎖の切断を生じる。従って、得られる磁性トナー中の結着樹脂のTHF不溶分量は、原料結着樹脂に比して低減し、本発明の磁性トナーでの結着樹脂のTHF不溶分は10重量%
以下、特に5重量%以下と少量の範囲に抑制されている。
【0041】
本発明では、トナー中の結着樹脂のTHF不溶分が少量(勿論ゼロであってもよい)に抑制されていることにより、THF不溶分の低温定着性に対する悪影響が有効に回避されている。即ち、THF不溶分や、以下に述べるTHF不溶分の分子鎖の切断により生じる高分子量成分は、定着性を悪化させる成分であるため、THF不溶分が上記範囲よりも多いと、定着性を著しく悪化させることになってしまう。また結着樹脂中に含まれるTHF不溶分とTHF可溶分の相溶が著しく悪くなり、樹脂強度の低下を招くことでも定着性を悪化させてしまう。
【0042】
さらに本発明の磁性トナーでは、トナーのTHF可溶分(結着樹脂の一部以外にワックス類や一部の電荷制御剤などの低分子量成分を含むことがある)の分子量分布は、原料結着樹脂と同様の最大ピーク(その重量平均分子量は、3,000乃至15,000、特に4,000乃至11,000)を有している。また、トナーを製造するに際して、上述した溶融混練時でのTHF不溶分の分子鎖の切断が生じているため、該トナーのTHF可溶分の分子量分布では、上記の最大ピークよりも高分子量領域側に少なくとも1個の小ピークが生成している。この小ピークの重量平均分子量は、50,000乃至800,000の範囲、特に80,000乃至500,000の範囲にある。即ち、このような小ピークの高分子量成分の生成により、定着性に影響することなく効率的に耐オフセット性を発揮することができる。例えば、小ピークの重量平均分子量が、上記範囲よりも高いと、上記最大ピークを示す成分との相溶性が低下し、樹脂強度が弱くなり、定着性が悪化してしまう。また、小ピークの重量平均分子量が上記範囲よりも低いと、オフセットを効率よく防ぐことができないものとなる。
尚、小ピークでの重量平均分子量の調整は、磁性粉の均一分散性が損なわれない範囲で、溶融混練条件を適宜調整することにより行うことができる。例えば押出機内での滞留時間を長くしたり、スクリュー回転速度を速くすれば、THF不溶分の分子鎖の切断が促進され、小ピークでの分子量分布は低分子量側にシフトし、逆の場合には高分子量側にシフトする。また、シリンダ温度を低くして負荷をあげれば、小ピークは低分子量側にシフトし、シリンダ温度を高くすると高分子量側にシフトする。
【0043】
本発明の磁性トナーにおいて、上述した分子量分布における最大ピークの面積比(全ピーク当りの面積比率)は95%以上であるべきである。即ち、この面積比率が上記範囲よりも小さいと、低温定着性に寄与する成分量が少ないこととなり、低温定着性が損なわれてしまう。
また、最大ピークよりも高分子量側の小ピークは、トータルでの重量平均分子量が前述した範囲内にある限り、複数存在していてもよい。
【0044】
上記の磁性トナーは、一般に、その平均粒径が5乃至10μm程度に分級及び粒度調整されているのがよい。
かかる磁性トナーは、必要により、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタン等の微粒子(通常、平均粒径が1.0μm以下)を外添して、一成分系磁性現像剤として、感光体表面に形成された静電潜像の現像に使用される。
上記の微粒子外添剤は、トナーの表面処理によって、流動性、保存安定性、クリーニング性等を向上させるために使用されるものであり、通常、磁性トナー当り、0.2乃至10.0重量%の量で使用される。また、これら微粒子の外添は、磁性トナーと乾式で攪拌混合することにより行われるが、この攪拌混合は、微粒子がトナー中に埋め込まれないように、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーなどを用いて行うのがよい。
【0045】
本発明の磁性トナーを用いて調製された一成分系磁性現像剤は、摩擦帯電により該現像剤中の磁性トナーを正または負極性に摩擦帯電せしめた状態で、マグネット内蔵現像スリーブ上に供給して、該現像剤の磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを静電潜像が形成されている感光体表面に摺擦せしめ、或いは磁気ブラシと感光体表面とを非接触で、該静電潜像の現像が行われる。磁気ブラシを感光体表面に摺擦して現像を行う場合には、感光体と現像スリーブとの間にバイアス電界を印加し、また磁気ブラシと感光体表面とが非接触で現像を行う場合には、現像スリーブと感光体との間に振動電界(交番電界)を印加するのがよい。
このような現像により感光体表面に形成されたトナー像は、所定の用紙に転写され、定着ローラによる加熱によって用紙表面に定着される。
【0046】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0047】
実施例1
結着樹脂として、10重量%のTHF不溶分含み、且つそのTHF可溶分の分子量分布において、最大ピークの重量平均分子量が6000であり、最大ピークの面積比が97%であるスチレン−アクリル樹脂を使用し、下記処方で、該結着樹脂を磁性粉、ポリエチレンワックス、正帯電性電荷制御剤と混合し、2軸押出機にて溶融混練した後、これを冷却し、粉砕、分級して平均粒径7μmの磁性トナー粉体を得た。
【0048】
【0049】
尚、結着樹脂中のTHF不溶分の測定は、6時間かけてのソックスレー抽出により行い、抽出されたTHF可溶分の分子量分布の測定は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により行った。
また、二軸押出機での溶融混練は、シリンダ温度120℃、押出機内滞留時間2分、スクリュー回転数150rpmの条件で行った。
【0050】
上記で得られた磁性トナーについて、THF不溶分を上記と同様にして算出し、磁性粉を差し引いて、結着樹脂中のTHF不溶分量を算出し、その結果を表1に示した。
また、上記で抽出されたTHF可溶分について、その分子量分布を上記と同様に測定したところ、最大ピークよりも高分子量側に1個の小ピークが生成していた。さらに、最大ピークの重量平均分子量及び面積比、並びに小ピークの重量平均分子量を表1に示した。
【0051】
上記で得られた磁性トナー粉体に、酸化チタンを2重量%、シリカを0.5重量%、ヘンシェルミキサーにより外添し、磁性トナー粉末の表面に付着させて磁性一成分正帯電現像剤を調製した。
この現像剤を用い、α−Si感光体搭載京セラ製ページプリンタ(FS−3800)を用い、初期画像特性、耐久性を評価し、併せて帯電量を測定し、その結果を表2に示した。
これらの評価方法は、以下の通りである。
【0052】
(1)帯電特性
上記磁性トナー4重量部とフェライトキャリア100重量部を混合して、通常環境にて、60分間摩擦帯電させた時の帯電量(μC/g)を初期帯電量とした。また、上記ページプリンタを用いて、上記現像剤により画像形成を行い、10万枚連続通紙を行った時のトナーの帯電量を耐久後の帯電量とした。
上記の初期帯電量及び耐久後の帯電量は、それぞれ東芝ケミカル社製ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて測定した。
【0053】
(2)画像特性
通常環境(20℃、65%RH)にて初期時に上記ページプリンタにより画像評価パターンを印字して初期画像とし、その後、10万枚連続通紙を行い、再度画像評価パターンを印字して耐久画像とし、それぞれソリッド画像をマクベス反射濃度計を用いて測定し、同時にカブリを目視観察することにより画像特性評価を行った。
○:カブリは見られない
△:ややカブリを生じている
×:カブリがひどい
【0054】
(3)定着特性
上記ページプリンタの定着温度を制御させることで、定着率およびオフセット性の評価を行なった。
ここで最低定着温度は、定着率が95%を越える際の定着ローラーの温度をいう。
尚、定着率とは綿布で包んだ黄銅製分銅で1kgの荷重をかけ、印字した定着評価パターンのソリッド画像を10往復擦り、擦る前後での画像濃度をマクベス反射濃度計にて測定したときの濃度比率である。
また表2においては、上記京セラ製ページプリンタ(FS−3800)において定着温度を160℃と設定した場合での定着性評価を行った。
○:定着率が95%以上
△:定着率が90%以上〜95%未満
×:定着率が90%未満
またオフセット性の評価は目視にて行い、高温オフセットが発生する最低温度をオフセット発生温度とした。
【0055】
実施例2〜実施例4、比較例1〜4
表1に示す量のTHF不溶分を含有し、且つTHF可溶分の分子量分布において最大ピークの重量平均分子量が表1に示す通りとなっているスチレン−アクリル系樹脂を結着樹脂として用いた以外は、実施例1と全く同様の評価を行い、その結果を表1及び2に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、結着樹脂がテトラヒドロフラン不溶分を適切な量含み、該不溶分がトナー化の際に切断されることで10重量%以下になることにより、磁性粉等が適切に分散し、かぶり等の画像不良のなく、耐オフセット性に優れた、低温での良好な定着が可能な静電潜像現像用磁性トナーとすることができるという優れた効果を得ることが出来る。
Claims (3)
- 結着樹脂と該結着樹脂中に分散された磁性粉とからなり、粉砕法により得られた静電潜像現像用磁性トナーにおいて、
前記結着樹脂は、10重量%以下のテトラヒドロフラン不溶分を含有しており、且つ該トナーのテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布は、最大ピークと、最大ピークよりも高分子量領域に存在する少なくとも1個の小ピークとを有し、該最大ピークの重量平均分子量は3,000乃至15,000の範囲にあり、且つ該最大ピークの全ピーク当りの面積比は95%以上であり、該小ピークの重量平均分子量は50,000乃至800,000の範囲にあることを特徴とする静電潜像現像用磁性トナー。 - トナー化前の原料結着樹脂は、5乃至35重量%のテトラヒドロフラン不溶分を含有し、該原料結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、最大ピークの重量平均分子量は3,000乃至15,000の範囲にあり、全ピーク当りの最大ピークの面積比が95%以上である請求項1に記載の静電潜像現像用磁性トナー。
- 前記磁性粉を、トナー当り35乃至60重量%の量で含有している請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
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