JP2004142322A - 平版印刷版用原版 - Google Patents

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熊田 学
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Abstract

【課題】デジタル信号に基づいた赤外線走査露光による画像記録が可能で、機上現像可能な、高感度で高耐刷性の平版印刷版用原版を提供する。
【解決手段】親水性支持体上に、熱反応性基を有する親油性化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層を有する平版印刷版用原版であって、該マイクロカプセルが、平均粒径0.01μm〜2μm、かつスパン値0.4〜1.5の特性を有することを特徴とする平版印刷版用原版。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像不要のコンピュータ・ツウ・プレートシステム用の平版印刷版用原版に関する。より詳しくは、デジタル信号に基づいた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、画像記録したものは従来のような液体による現像工程を経ることなしに、そのまま印刷機に装着して印刷することが可能な平版印刷版用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツウ・プレートシステム用刷版については、多数の研究がなされている。その中で、一層の工程合理化と廃液処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理することなしにそのまま印刷機に装着して印刷できる平版印刷版用原版が研究され、種々の方法が提案されている。
【0003】
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷版用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷版用原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷版用原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。このような機上現像に適した平版印刷版用原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
【0004】
例えば、親水性支持体上に、赤外線吸収剤を含有する親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体の微粒子を分散させた感光層を有する平版印刷版用原版を赤外線レーザー露光すると、熱可塑性疎水性重合体微粒子が熱融着して画像を形成し、そのまま印刷機シリンダー上に版を取り付け、湿し水及び/又はインキを供給することにより、機上現像(未露光部の除去)ができることが知られている。この平版印刷版用原版は感光域が赤外領域であることにより、明室での取り扱い性も有している。
【0005】
このような平版印刷版用原版において、粒径分布が2以上のピークを有する高分子重合体微粒子を用いることによって現像性及びインキ着肉性を両立させることができることが知られている(特許文献1:特開2000−141933号公報参照。)。
【0006】
しかし、上記のような高分子重合体微粒子の熱融着を利用した平版印刷版用原版は、微粒子が融着して形成される皮膜の強度が不充分であるため、耐刷性が低い問題があった。耐刷性を改良する方法として、高分子重合体微粒子の代わりに熱反応性基を有する親油性化合物を含むマイクロカプセルを用いることが知られている(例えば、特許文献2:特開2001−277740号公報、特許文献3:特開2002−29162号公報参照)。この方式では、赤外線露光による発熱でマイクロカプセルが壊れ、マイクロカプセル外に放出された熱反応性基を有する親油性化合物が反応し、共有結合でできた強固な画像を形成するため耐刷性の向上が得られる。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−141933号公報
【特許文献2】
特開2001−277740号公報
【特許文献3】
特開2002−29162号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の熱反応性基を有する親油性化合物反応を含むマイクロカプセルを用いることによって耐刷性は向上してきたが、より露光量の少ない条件で十分な耐刷性が得られることがさらに求められた。本発明の目的は、この課題を解決することである。すなわち、機上現像可能な、高感度で高耐刷性の平版印刷版用原版を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成の手段で達成される。
親水性支持体上に、熱反応性基を有する親油性化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層を有する平版印刷版用原版であって、該マイクロカプセルが、平均粒径0.01μm〜2μm、かつスパン値0.4〜1.5の特性を有することを特徴とする平版印刷版用原版。
【0010】
本発明者は、マイクロカプセルを感熱層中に高密度に充填することによって、露光部を効率よく反応硬化させることができ、課題の高感度、高耐刷を実現できると考え、そのための手段を検討した結果、上記のごとき広い粒径分布を有するマイクロカプセルが有効であることを見出した。本発明は、この発見に基づいている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
【0012】
[感熱層]
本発明の平版印刷版用原版の感熱層は、熱反応性基を有する親油性化合物を内包するマイクロカプセルを含有する。そのマイクロカプセルの粒度分布を規定することで、感熱層中のマイクロカプセル粒子を密に充填させることができ、露光部を有効に硬化させることができる。感熱層中のマイクロカプセル粒子を密に充填させるため、本発明では、平均粒径0.01μm〜2μm、かつスパン値0.4〜1.5の特性を有するマイクロカプセルを用いることを特徴としている。
【0013】
本発明では、上記平均粒径にはメジアン径(50%累積径d50 )を、粒径分布にはスパン値(δ)を採用している。これらの値は、例えば、特表平9−511517号公報、特開平11−302289号公報、特表2000−513991号公報などに記載のように、粒径分布(または粒度分布)を表すためによく用いられる指標であって、スパン値(δ)とは、下記の式で示すように、10%積算径d10と90%積算径d90との差をメジアン径d50で割った値であり、分布の広がりの目安となる。
【0014】
【数1】
Figure 2004142322
【0015】
本発明においては、平均粒径は0.01μm〜2.0μmが好ましいが、その中でも0.05μm〜1.5μmが更に好ましく、0.10μm〜1.0μmが特に好ましい。また、スパン値は0.4〜1.5が好ましいが、その中でも0.5〜1.2が更に好ましく、0.6〜0.9が特に好ましい。この範囲内において高感度で、高耐刷の平版印刷版用原版が得られる。
【0016】
なお、マイクロカプセルの粒径分布は、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気的検知体法、画像解析法など、一般的に使われている各種測定法により容易に求めることができる。
【0017】
本発明の熱反応性基を有する親油性化合物(以下では、単に熱反応性化合物とも呼ぶ)を内包するマイクロカプセルは、熱反応性基を介してマイクロカプセル同士で反応できる構造としてもよいし、感熱層内に添加された親水性樹脂又は他の添加物として含有される低分子化合物と反応できる構造としてもよい。また2種類以上のマイクロカプセルに、互いに熱反応するような熱反応性基をそれぞれ持たせてマイクロカプセル同士を反応させることのできる構造としてもよい。
【0018】
本発明の熱反応性化合物を内包するマイクロカプセルは、マイクロカプセル内に熱反応性化合物を含有するマイクロカプセルの他に、熱反応性化合物をマイクロカプセルの外壁に導入したもの、及び、熱反応性をマイクロカプセル内に含有させると同時にマイクロカプセルの外壁に該化合物を導入したものも包含する。
【0019】
上記の熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でも良いが、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基など)、縮合反応を行うカルボキシル基及びそれら反応相手であるヒドロキシル基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及びそれら反応相手であるアミノ基又はヒドロキシル基などを好適なものとして挙げることができる。以下、熱反応性官能基を有する親油性化合物についてより詳しく説明する。
【0020】
ラジカル重合性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などを少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物を好適なものとして挙げられる。このような化合物群は当該産業分野において、光重合性又は熱重合性組成物用のモノマー又は架橋剤として広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定せずに用いることができる。化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体、オリゴマー、重合体もしくは共重合体、又はこれらの混合物である。
【0021】
本発明に好適なラジカル重合性不飽和基を有する化合物としては、特開2001−277740号公報に重合性不飽和基を有する化合物として記載の化合物が挙げられる。代表的な化合物例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレートとキシリレンジイソシアナートとの付加体、アリルメタクリレートの共重合体(例えば、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体など)などが挙げられる。しかし、これらの例に限定されない。
【0022】
本発明に好適なビニルオキシ基を有する化合物として、特開2002−29162号公報に記載の化合物が挙げられる。具体例としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,2−ビス(ビニルオキシメトキシ)ベンゼン、1,2−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3,5−トリス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ビフェニル、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルエーテル、4,4´−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルメタン、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ナフタレン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フラン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}チオフェン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}イミダゾール、2,2−ビス[4−{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フェニル]プロパン、2,2−ビス{4−(ビニルオキシメチルオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(ビニルオキシ)フェニル}プロパンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明に好適なエポキシ基を有する化合物としては、2個以上エポキシ基を有する化合物が好ましく、多価アルコールや多価フェノールなどとエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル化合物又はそのプレポリマー、更に、アクリル酸グリシジルもしくはメタクリ酸グリシジルの重合体又は共重合体等を挙げることができる。
【0024】
好適な具体例としては、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。また、ビスフェノール類もしくはポリフェノール類又はそれらの水素添加物のポリグリシジルエーテル、例えば水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビフェニル型ビスフェノールのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等も好適なものとして挙げられる。更に、メタクリ酸メチル/メタクリ酸グリシジル共重合体、メタクリ酸エチル/メタクリ酸グリシジル共重合体等も好適なものとして挙げられる。
【0025】
上記化合物の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート1001(分子量約900、エポキシ当量450〜500)、エピコート1002(分子量約1600、エポキシ当量600〜700)、エピコート1004(約1060、エポキシ当量875〜975)、エピコート1007(分子量約2900、エポキシ当量2000)、エピコート1009(分子量約3750、エポキシ当量3000)、エピコート1010(分子量約5500、エポキシ当量4000)、エピコート1100L(エポキシ当量4000)、エピコートYX31575(エポキシ当量1200)、住友化学(株)製のスミエポキシESCN−195XHN、ESCN−195XL、ESCN−195XF等を挙げることができる。
【0026】
本発明に好適なイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、シクロヘキシルジイソシアナート、又は、これらをアルコールもしくはアミンでブロックした化合物を挙げることができる。
【0027】
本発明に好適なアミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
【0028】
本発明に好適なヒドロキシル基を有する化合物としては、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類などを挙げることができる。
【0029】
本発明に好適なカルボキシル基を有する化合物としては、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、アジピン酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられる。
【0030】
本発明に好適な酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0031】
上記熱反応性基を有する親油性化合物をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号明細書、米国特許第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、英国特許第990443号明細書、米国特許第3287154号明細書、特公昭38−19574号公報、特公昭42−446号公報、特公昭42−711号公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号明細書、米国特許第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号明細書、米国特許第4087376号明細書、米国特許第4089802号明細書にみられる尿素−ホルムアルデヒド系又は 尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号公報、特公昭51−9079号公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号明細書、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号明細書、英国特許第967074号明細書にみられる電解分散冷却法などがある。本発明の平均粒径及び粒径分布が得られれば、いずれの方法であってもかまわない。
【0032】
界面重縮合法では、乳化時の温度、時間、温度、油相粘度、油相/水相比率、界面活性剤添加量が平均粒径及び粒径分布に影響するので、これらの条件を選択して本発明の平均粒径及び粒径分布を得ることができる。本発明の平均粒径及び粒径分布を得るには、例えば、油相と水相を合わせて100g程度の量をエクセルホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて乳化する場合には、乳化速度が4000〜15000rpm、乳化時間は3〜20分、乳化温度は10〜30℃であることが好ましい。これより乳化時間が短いと乳化が不十分であり、これより乳化時間が長い場合や乳化温度が高い場合は、乳化中に油相中の溶剤が揮発しやすくなり、所望の平均粒径及び粒径分布が得にくくなる。
【0033】
また、用いる素材によって乳化条件は多少変わるものの、油相粘度を低下させるか、油相/水相比率を増大させることによって分布幅が狭まり、界面活性剤量を増やすことによって平均粒径が小さくなる傾向であることを利用して、乳化条件を調整することができる。
【0034】
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。
【0035】
上記マイクロカプセル化法において、必要に応じて、マイクロカプセル液の保護コロイドが用いられる。保護コロイドとしては、天然又は合成の親水性ポリマー、例えば、ゼラチン、アラビアガム、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、でんぷん、ポリビニルアルコール等が用いられる。保護コロイドを用いる場合のその使用量は、マイクロカプセル分散液固形分の5〜20質量%が好ましい。これらの保護コロイドは、平版印刷版用原版の機上現像性を促進する作用を有する。
【0036】
本発明のマイクロカプセルは、その合成時に、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤を分散媒中に添加することができる。この溶剤によって、内包された化合物のマイクロカプセル外への拡散が促進される。このような溶剤としては、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚及び内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。
【0037】
具体的化合物としては、メタノール、エタノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどがあるが、これらに限られない。またこれらの溶剤を2種以上用いても良い。
【0038】
マイクロカプセル分散液には溶解しないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、塗布液の5〜95質量%が有効であり好ましい範囲は、10〜90質量%、より好ましい範囲は15〜85質量%である。
【0039】
上記マイクロカプセルの感熱層への添加量は、感熱層固形分の50質量%以上が好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と同時に、良好な感度及び耐刷性が得られる。
【0040】
本発明の感熱層には親水性バインダーを添加できる。親水性バインダーが含有されることによって、機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強度も上がる。本発明に用いる親水性バインダーとしては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシメチル基などの親水基を有するものが好ましい。
【0041】
具体的な親水性バインダーとして、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそれらのNa塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
感熱層中に親水性ポリマーは、2〜40質量%含まれることが好ましく、3〜30質量%含まれることがさらに好ましい。
【0042】
本発明の感熱層には、上記の他に、光を吸収して発熱する光熱変換剤、マイクロカプセルが含有する熱反応性基の反応を促進する反応促進剤、さらに無機微粒子、焼き出し用染料、着色剤、重合性モノマー、重合禁止剤、酸素透過抑制剤、可塑剤、界面活性剤など、種々の目的の化合物を添加することができる。以下これらについて説明する。
【0043】
本発明の感熱層に用いられる光熱変換剤としては、赤外線、中でも近赤外線(波長700〜2000nm)を吸収する物質であればよく、種々の公知の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子が挙げられる。特に、波長700〜1300nmを吸収する物質が好適である。
【0044】
例えば、熊谷洋二郎、「新イメージング材料、2.近赤外線吸収色素」、日本印刷学会誌、社団法人日本印刷学会、38卷35〜40頁(2001)、日本顔料技術協会編、「最新顔料便覧」、1977年刊、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)、米国特許第4756993号明細書、米国特許第4973572号明細書、特開平10−268512号公報、特開平11−235883号公報、特公平5−13514号公報、特公平5−19702号公報、特開2001−347765号公報、特開2001−301350号公報、特開2002−137562号公報等に記載の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子が好適に用いられる。顔料及び金属微粒子は、必要に応じて、公知の表面処理を施したものを用いることができる。
【0045】
染料又は色素の種類としては、シアニン色素、ポリメチン色素、アゾメチン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム及びチオピリリウム塩系染料、ジチオール金属錯体、フタロシアニン色素等が挙げられる。特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、フタロシアニン色素が挙げられる。
【0046】
顔料の種類としては、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。中でもカーボンブラックが好適である。
【0047】
金属微粒子としてはAg、Au、Cu、Sb、Ge及びPbの微粒子が好ましく、Ag、Au及びCuの微粒子がより好ましい。
【0048】
上記の中でも、特開2001−301350号公報、特開2002−137562号公報等に記載のシアニン色素及びフタロシアニン色素が特に好適である。
【0049】
光熱変換剤の感熱層への添加は、感熱層塗布液への直接添加でも、マイクロカプセル中に含有させた形での添加でも良い。感熱層塗布液への直接添加には、水溶性の光熱変換剤が好ましく、マイクロカプセル中に含有させる場合は、親油性の光熱変換剤が好ましい。
【0050】
光熱変換剤の添加割合は、感熱層固形分の1〜50質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。これらの範囲内で良好な感度が得られる。
【0051】
本発明の感熱層に用いられる反応促進剤としては、公知の酸前駆体、酸発生剤、熱ラジカル発生剤と呼ばれる化合物が挙げられる。例えば、光カチオン重合の光開始剤、焼き出し画像形成用の酸発生剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤、光ラジカル重合の光開始剤、等が挙げられる。
【0052】
より具体的には、特開2001−301350号公報、特開2002−29162号公報、特開2002−46361号公報、特開2002−137562号公報などに記載のロフィンダイマー、トリハロメチル置換ヘテロ化合物、過酸化物、アゾ化合物、イミノスルホナート化合物、ジスルホン化合物、アシルホスフィン化合物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、及びオニウム塩(例えば、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩など)などを挙げることができる。また、これらの酸を発生する基又は化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物を用いることもできる。
【0053】
なかでもより好適なものとして、トリハロメチル置換−s−トリアジン化合物、ジスルホン化合物、イミノスルフォネート化合物、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩などが挙げられる。
【0054】
上記反応促進剤は2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、反応促進剤の感熱層への添加は、感熱層塗布液への直接添加でも、マイクロカプセル中に含有させた形での添加でもよい。感熱層中の反応促進剤の含有量は、感熱層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。この範囲内で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始又は促進効果が得られる。
【0055】
本発明の感熱層には無機微粒子を添加してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物などが好適な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用いることができる。
【0056】
無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μmのものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。粒径が上記範囲内で、マイクロカプセルや光熱変換剤の金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、感熱層の膜強度の保持に有用である。
【0057】
このような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微粒子の感熱層への含有量は、感熱層の全固形分の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
【0058】
本発明の感熱層には、画像露光後、画像部と非画像部とを識別可能にするため、酸で変色する焼き出し用染料を上記酸発生剤と組み合わせて含有させることができる。
【0059】
本発明の酸によって変色する化合物としては、例えばジフェニルメタン、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
【0060】
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボステアリルアミノ−4−p−ジヒドロオキシエチルアミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p’,p”−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
【0061】
酸によって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ、感熱層固形分に対して0.01〜10質量%の割合である。
【0062】
本発明の感熱層には、耐刷力を一層向上させるために多官能モノマーを感熱層マトリックス中に添加することができる。この多官能モノマーとしては、マイクロカプセル中に入れられるモノマーとして例示したものを用いることができる。特に好ましいモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレートを挙げることができる。
【0063】
また、本発明の感熱層には、画像形成後、画像部と非画像部の区別をつきやすくするため、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。前記の酸で変色する染料が有色の場合には、着色剤を兼ねることができるが、別に添加することもできる。フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料を好適に用いることができる。
【0064】
また、本発明においてエチレン性不飽和化合物を用いる場合は、感熱層塗布液の調製中又は保存中におけるエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01〜5質量%が好ましい。
【0065】
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加量は、感熱層固形分の約0.1〜約10質量%が好ましい。
【0066】
さらに、本発明の感熱層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0067】
本発明の感熱層は、必要な上記各成分を溶剤に溶かして塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0068】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/mが好ましい。この範囲より塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
【0069】
本発明にかかわる感熱層塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、感熱層全固形分の0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0070】
[オーバーコート層]
本発明の平版印刷版用原版は、保存時の親油性物質による汚染や取り扱い時の手指の接触による指紋跡汚染等から親水性の感熱層表面を保護するため、感熱層上に、特開2001−162961号公報、特開2002−19318号公報に記載の水溶性樹脂を含有するオーバーコート層を設けることができる。
【0071】
オーバーコート層に用いられる水溶性樹脂の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、等を挙げることができる。目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0072】
上記のオーバーコート層には、感度を向上させるため光熱変換剤を含有させることができる。好ましい光熱変換剤として、感熱層に用いられる前記赤外線吸収色素中の水溶性の赤外線吸収色素が挙げられる。
【0073】
その他、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。
【0074】
さらに、上記オーバーコート層には、積み重ね保存時のプレート間のくっつきを防止するため、特開2001−341448号公報記載のフッ素原子及びケイ素原子のうちいずれかを有する化合物を含有することができる。
【0075】
本発明のオーバーコート層の厚みは、0.1〜4.0μmが好ましく、更に好ましい範囲は0.1〜1.0μmである。この範囲内で、印刷機上でのオーバーコート層の除去性を損なうことなく、親油性物質による感熱層の汚染を防止できる。
【0076】
[支持体]
本発明の平版印刷版用原版において前記感熱層を塗布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
【0077】
該アルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにはアルミニウム又はアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であっても良い。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板は、従来から公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができる。
【0078】
本発明で用いられる上記の基板の厚みは0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0079】
アルミニウム板を使用するに先立ち、表面の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び感熱層との接着性の確保が容易になる。
【0080】
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸などの酸を含む電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に記載されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。
【0081】
上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m、特に1.5〜4.0g/mであることが好ましい。
【0082】
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。上記親水化処理のための好適な親水性化合物としては、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をもつ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸塩、フッ化ジルコニウムカリウム及びリン酸塩・無機フッ素化合物の混合物などを挙げることができる。
【0083】
本発明の支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが好ましい。親水層としては、特開2001−199175号公報に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
【0084】
本発明においては、感熱層を塗布する前に、必要に応じて、特開2001−322365号公報に記載の、例えばホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層、又は例えばカルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリアクリル酸などの含有する有機下塗層を設けることができる。また、この下塗層には、前記赤外線吸収色素を含有させてもよい。
【0085】
[製版及び印刷]
本発明の平版印刷版用原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザー等の固体高出力赤外線レーザーによる露光が好適である。
【0086】
画像露光された本発明の平版印刷版用原版は、それ以上の処理なしに印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。また、これらの平版印刷版用原版は、特許第2938398号明細書に記載されているように、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水及び/又はインクをつけて機上現像することも可能である。また、これらの平版印刷版用原版は、水又は適当な水溶液を現像液とする現像をした後、印刷に用いることもできる。
【0087】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0088】
[支持体の製造例]
99.5質量%以上のアルミニウムと、Fe 0.30質量%、Si 0.10質量%、Ti0.02質量%、Cu 0.013質量%を含むJIS A1050合金の溶湯に清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。 次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
【0089】
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。次いで、支持体と感熱層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dmを与えることで電解砂目立てを行った。その後10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20質量%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dmの直流で電解処理を行うことで2.5g/mの陽極酸化皮膜を作成した。この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5質量%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/mであった。以上のように作製した支持体の中心線表面粗さRaは0.25μmであった。
【0090】
[マイクロカプセルの合成例]
油相成分として、ビニルオキシ化合物(下記構造)4.5g、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N、マイクロカプセル壁材)5g、ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン製芳香族イソシアナートオリゴマー、マイクロカプセル壁材)3.75g、赤外線吸収色素(下記構造)1.5g、パイオニンA41C(竹本油脂(株)製アニオン界面活性剤)0.1gを酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205((株)クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製エクセルオートホモジナイザー)を用いて、油相成分及び水相成分を表1に挙げた条件で乳化した。その後テトラエチレンペンタミン(5官能アミン、マイクロカプセル壁架橋剤)0.38gを水26gに溶解したものを添加し、水冷しながら30分さらに65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液MC(1)〜MC(5)の固形分濃度、平均粒径及びスパン値は表1のとおりであった。なお、平均粒径の測定には、LA−920(堀場製作所(株)製)を用いた。
【0091】
【化1】
Figure 2004142322
【0092】
【表1】
Figure 2004142322
【0093】
実施例1〜3及び比較例1〜2
上記製造例で得た支持体上に、合成例のマイクロカプセルMC(1)〜(5)を表2に示したように含有する下記の組成よりなる感熱層塗布液を調整した後、バー塗布し、オーブンで100℃、60秒の条件で乾燥し、感熱層の乾燥塗布量1.0g/mの平版印刷版用原版を作製した。
【0094】
Figure 2004142322
【0095】
【化2】
Figure 2004142322
【0096】
このようにして得られた平版印刷版用原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VXにて、版面エネルギー200mJ/cm及び300mJ/cm、解像度2400dpiの条件で露光した後、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、さらに紙を供給して印刷を行った。
その結果、全ての印刷用原版について問題なく機上現像することができ、印刷可能であった。各プレートで得られた印刷枚数を表2に記載した。
【0097】
【表2】
Figure 2004142322
【0098】
比較例1、2では、明らかに耐刷枚数が低く、露光量を下げると耐刷性が大きく低下する。以上の結果より、本発明の平版印刷版用原版は高感度で高耐刷であることが明らかである。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、デジタル信号に基づいた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、高感度で高耐刷の平版印刷版用原版を提供できる。

Claims (1)

  1. 親水性支持体上に、熱反応性基を有する親油性化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層を有する平版印刷版用原版であって、該マイクロカプセルが、平均粒径0.01μm〜2μm、かつスパン値0.4〜1.5の特性を有することを特徴とする平版印刷版用原版。
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