JP2004142042A - ブラシ状砥石 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブラシ状砥石1は、多数本の線状砥材2の基端側をアルミニウム製、ステンレス製といった金属製の円筒状のホルダ4に挿入、接着剤で固定して線状砥材2の束3を構成したもので、線状砥材2の束3の先端部30は、外周縁が束3の軸線Lに対して所定の角度、例えば、30°〜60°の角度をなす斜面31になっている。また、ホルダ4の開口縁40は、全周にわたって内側にカシメ加工が施されており、ホルダ4の開口縁40は、内側に曲がっている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バリ取り並びに研磨加工用のブラシ状砥石に関するものである。さらに詳しくは、手持ちの研磨装置に用いられる小型のブラシ状砥石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属などの成形品、プレス品、機械加工品のバリ取りや研磨を行うためのブラシ状砥石としては、従来、図3に示すように、砥粒入りナイロンフィラメントなどの線状砥材2Aの基端側を円筒状のホルダ4Aに保持させて線状砥材2Aの束3Aにしたものが一般的であり、このようなブラシ状砥石1Aは、通常、据え置き型の研磨装置において、ワークの表面に対して軸線Lが垂直に立った姿勢で使用される。このため、ブラシ状砥石1Aにおいて、先端部30Aは、軸線Lに対して垂直な平坦面になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブラシ状砥石1Aについては、据え置き型の研磨装置に取り付けられるものは多々、案出されているが、ペンタイプの手持ち式の研磨装置に適した小型のブラシ状砥石については、それ自身の構造上の問題、あるいは使用上の問題を考慮したものが提供されるにいたっていないという問題点がある。
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、手持ち式の研磨装置で用いるのに適したブラシ状砥石を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、無機長繊維の集合糸に樹脂を含浸、固化させてなる多数本の線状砥材の基端側を筒状のホルダに挿入、固定して線状砥材の束を構成したブラシ状砥石において、前記ホルダの開口縁は、全周にわたって内側にカシメ加工が施されていることを特徴とする。
【0006】
据え置きタイプの研磨装置に用いられるブラシ状砥石において、ホルダは、径が大きいので、その内側に線状砥材の束を強固に固定することができるが、手持ち式の研磨装置では、ホルダの径が小さいので、その内側に線状砥材の束を固定するにも様々な制約がある。このため、従来は、線状砥材をホルダに強固に固定することが難しいが、本発明では、ホルダ内で線状砥材の基端側を接着剤で固定するとともに、ホルダの開口縁に対して、その全周にわたってカシメ加工を施し、開口縁を内側に曲げている。従って、本発明によれば、ホルダの径が小さくても、開口縁のアンカー効果によって、線状砥材の束を強固に固定することができ、線状砥材がホルダから脱落することがない。また、線状砥材を均等にカシメるため、線状砥材の折れを防止できる。さらに、線状砥材全体が軸線を中心に均等に揃うため、回転時のブレを防止できる。
【0007】
本発明において、前記線状砥材の束の先端部は、外周縁が当該束の軸線に対して所定の角度をなす斜面になっていることが好ましい。
【0008】
本発明の別の形態では、無機長繊維の集合糸に樹脂を含浸、固化させてなる多数本の線状砥材の基端側を筒状のホルダに挿入、固定して線状砥材の束を構成したブラシ状砥石において、前記線状砥材の束の先端部は、外周縁が当該束の軸線に対して所定の角度をなす斜面になっていることを特徴とする。
【0009】
手持ち式の研磨装置は、通常、作業者がペンのように掴むので、ブラシ状砥石の軸線がワークに対して傾いた状態となるが、本発明では、線状砥材の束の先端部は、外周縁が束の軸線に対して所定の角度をなす斜面になっているため、この先端面でワークを研磨することができる。
【0010】
本発明において、前記線状砥材の束の先端部に形成されている前記斜面は、当該束の軸線に対して30°から60°の角度をなしていることが好ましい。作業者が手持ち式の研磨装置をペンのように掴んだ状態で、ブラシ状砥石の軸線は、ワークに対して30°から60°傾いた状態となるので、このような角度に対応させて、線状砥材の束の先端部周縁の斜面を軸線に対して30°から60°、傾けておけば、作業者は、楽に研磨作業を行うことができ、使い勝手がよい。また、ワークへの接触面積が大きくなるため、ワークへの当たりが柔らかく、ワークの形状を損なうこともない。さらに、研削力のある線状砥材の先端部の面積が広くなっているので、研削能力が向上するという効果もある。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1(A)、(B)はそれぞれ、本発明を適用したブラシ状砥石の正面図、およびこのブラシ状砥石のホルダの開口縁付近を拡大して示す断面図である。図2(A)〜(C)はそれぞれ、本発明を適用したブラシ状砥石の製造方法を示す説明図である。
【0013】
図1(A)、(B)に示すように、本形態のブラシ状砥石1は、多数本の線状砥材2の基端側を、例えば、S45C、SUS303といった5φの金属製の円筒状のホルダ4に挿入、接着固定して線状砥材2の束3を構成したもので、ホルダ4の上端部からは、手持ち式の研磨装置10との連結部となる駆動用連結軸41が延びている。線状砥材2は、アルミナ長繊維などといった無機長繊維の集合糸にバインダー樹脂を含浸、硬化させてなるものであり、その毛先は約20mmになっている。
【0014】
本形態において、線状砥材2の束3の先端部30は、外周縁が束3の軸線Lに対して所定の角度、例えば、30°〜60°の角度をなす斜面31になっており、最先端部分は、極めて狭い端面、あるいは尖った形状になっている。
【0015】
また、本形態において、ホルダ4の開口縁40は、全周にわたって内側にカシメ加工が施されており、ホルダ4の開口縁40は、内側に曲がっている。
【0016】
このような構成のブラシ状砥石1は、駆動用連結軸41を介して、手持ち式の研磨装置10に連結され、その軸線L周りに、例えば12,000〜20,000rpmで回転駆動される。なお、回転運動に限らず、往復動作、オシレーション動作、揺動、これらの動作を組合わせた動きを行わせることもある。さらに、ブラシ状砥石1を軸線Lの方向に上下移動させる動きを組み合わせることもある。
【0017】
ここで、小型のブラシ状砥石1では、ホルダ4の径が小さいので、その内側に線状砥材2の束3を固定するにも様々な制約があるが、本形態では、ホルダ4内で線状砥材2の基端側を接着剤で固定するとともに、ホルダ4の開口縁40に対して、その全周にわたってカシメ加工を施し、開口縁40を内側に曲げている。従って、本形態によれば、ホルダ4の径が小さくても線状砥材2の束3を強固に固定することができ、線状砥材2がホルダ4から脱落することがない。
【0018】
また、砥粒含有ナイロンフィラメントなどの場合には、基端側を折り曲げて太くしてからホルダ4に埋め込むことができ、かつ、折り曲げておけば砥粒含有ナイロンフィラメントが抜けることを防止できるが、無機長繊維を用いた線状砥材2では折り曲げると折れてしまうので、砥粒含有ナイロンフィラメントなどのように基端側を折り曲げることができない。しかるに本形態によれば、ホルダ4内で線状砥材2の基端側を接着剤で固定するとともに、ホルダ4の開口縁40に対して、その全周にわたってカシメ加工を施し、開口縁40を内側に曲げているので、線状砥材2を保持する力が大きいため、線状砥材2がホルダ4から脱落することがない。また、線状砥材2を均等にカシメるため、線状砥材2の折れを防止できる。さらに、線状砥材2全体が軸線を中心に均等に揃うため、回転時のブレを防止できる。
【0019】
また、本形態では、手持ち式の研磨装置10は、通常、作業者がペンのように掴んで、金型の放電痕の除去、金型への機械加工後の仕上げ、機械加工後のエッジ部の微細なバリ取り、微細穴加工後のバリ取り、表面研磨(加工痕の除去、錆の除去、スケールの除去)に用いられ、その際、ブラシ状砥石1の軸線Lがワークに対して傾いた状態となるが、本形態では、このような使用態様に合わせて、線状砥材2の束3の先端部30において、その外周縁を軸線Lに対して30°から60°の角度θをなす斜面31としている。従って、作業者が手持ち式の研磨装置10をペンのように掴んだ状態で、ブラシ状砥石1の軸線Lがワークに対して30°から60°傾いた状態となると、線状砥材2の束3の先端部30周縁に形成した斜面31が、ちょうど、ワークW表面に沿った状態となる。それ故、作業者は、手先を無理な姿勢にしなくても、ワークW表面に対する研磨作業を行うことができ、使い勝手がよい。
【0020】
さらに、線状砥材2の束3の先端部30において、その外周縁が斜面31となっているので、ワークへの接触面積が大きいため、ワークへの当たりが柔らかく、ワークの形状を損なうこともない。
【0021】
さらにまた、線状砥材2の束3の先端部30において、その外周縁が斜面31となっているので、研削力のある線状砥材2の先端部30の面積が広くなっているので、研削能力が向上するという効果もある。
【0022】
このような構成のブラシ状砥石1を製造するには、まず、図2(A)に示すように、同じ長さ寸法に切断された多数本の線状砥材2と、金属製のホルダ4とを準備する。ここで、ホルダ4は、まだカシメ加工されていないので、その胴部は、ストレートの円筒形状を有している。
【0023】
次に、線状砥材2を束3にしてその基端側に対して、例えばシリコン樹脂系の接着剤を含浸する一方、ホルダ4の内部にも、例えばシリコン樹脂系の接着剤を滴下する。
【0024】
次に、図2(B)に示すように、線状砥材2の束3の基端側をホルダ4に差し込んで、この状態で接着剤を硬化させる。
【0025】
ここで、接着剤が硬化する前、図2(C)に示すように、ホルダ4の開口縁40に対して、その全周にわたってカシメ加工を施し、開口縁40を内側に曲げ、アンカー効果を発揮させる。
【0026】
このようにしてブラシ状砥石1を製造した後、所定の検査などを行った後、出荷し、それを購入したユーザーは、線状砥材2の束3の先端部30を研磨し、その外周縁に対して束3の軸線Lに対して、例えば、30°〜60°の角度をなす斜面31を形成する。あるいは、ブラシ状砥石1のメーカーにおいて、線状砥材2の束3の先端部30を研磨し、その外周縁に対して斜面31を形成した後、出荷する。
【0027】
なお、上記形態では、ブラシ状砥石1として、アルミナ長繊維などといった無機長繊維の集合糸にバインダー樹脂を含浸、硬化させた線状砥材2を用いた例を説明したが、その他の無機長繊維の集合糸にバインダー樹脂を含浸、硬化させた線状砥材2を用いる場合に本発明を適用してもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、ホルダ内で線状砥材の基端側を接着剤で固定するとともに、ホルダの開口縁に対して、その全周にわたってカシメ加工を施し、開口縁を内側に曲げている。従って、本発明によれば、ホルダの径が小さくても、開口縁のアンカー効果によって、線状砥材の束を強固に固定することができ、線状砥材がホルダから脱落することがない。また、線状砥材を均等にカシメるため、線状砥材の折れを防止できる。さらに、線状砥材全体が軸線を中心に均等に揃うため、回転時のブレを防止できる。
【0029】
また、本発明の別の形態では、線状砥材の束の先端部は、外周縁が束の軸線に対して所定の角度をなす斜面になっているため、手持ち式の研磨装置に用いたとき、この斜面でワークを研磨することができ、使い勝手がよい。また、ワークへの接触面積が大きくなるため、ワークへの当たりが柔らかく、ワークの形状を損なうこともない。さらに、研削力のある線状砥材の先端部の面積が広くなっているので、研削能力が向上するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ、本発明を適用したブラシ状砥石の正面図、およびこのブラシ状砥石のホルダの開口縁付近を拡大して示す断面図である。
【図2】(A)〜(C)はそれぞれ、本発明を適用したブラシ状砥石の製造方法を示す説明図である。
【図3】従来のブラシ状砥石の説明図である。
【符号の説明】
1 ブラシ状砥石
2 線状砥材
3 束
4 ホルダ
10 手持ち式の研磨装置
31 斜面
40 ホルダの開口縁
41 駆動用連結軸
Claims (4)
- 無機長繊維の集合糸に樹脂を含浸、固化させてなる多数本の線状砥材の基端側を筒状のホルダに挿入、固定して線状砥材の束を構成したブラシ状砥石において、
前記ホルダの開口縁は、全周にわたって内側にカシメ加工が施されていることを特徴とするブラシ状砥石。 - 請求項1において、前記線状砥材の束の先端部は、外周縁が当該束の軸線に対して所定の角度をなす斜面になっていることを特徴とするブラシ状砥石。
- 無機長繊維の集合糸に樹脂を含浸、固化させてなる多数本の線状砥材の基端側を筒状のホルダに挿入、固定して線状砥材の束を構成したブラシ状砥石において、
前記線状砥材の束の先端部は、外周縁が当該束の軸線に対して所定の角度をなす斜面になっていることを特徴とするブラシ状砥石。 - 請求項2または3において、前記線状砥材の束の先端部に形成されている前記斜面は、当該束の軸線に対して30°から60°の角度をなしていることを特徴とするブラシ状砥石。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002310597A JP2004142042A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | ブラシ状砥石 |
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-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002310597A patent/JP2004142042A/ja active Pending
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