JP2004140031A - 電子回路モジュール - Google Patents

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Wataru Tanaka
田中 渉
Tsutomu Shiomi
塩見 務
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

【課題】筐体の内部に、発熱電子部品を含む電子部品を搭載した回路基板を収容した電子回路モジュールにおいて、制振性及び放熱性を維持しつつ小型軽量化を可能とする。
【解決手段】マグネシウムを主成分とする材料で筐体(筐体ベース2及び筐体カバー4)を形成し、筐体(特に、筐体ベース2)の外面に、マグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜5を設け、発熱電子部品であるトランス32やFET35等から発生される熱を、熱放射膜5による放射により放出する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筐体内に電子回路を収容した電子回路モジュール、特に、外部からの振動の影響を受けやすい場所で使用され、かつ内部に発熱電子部品を収容した電子回路モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧放電ランプ(HIDランプ)等の照明装置にはランプ点灯用の電子回路(インバータ)等が備えられており、電子回路を保護するために筐体の内部に収容してモジュール化されている。ランプ点灯用の電子回路モジュールには、連続変換回路用FET(電界効果トランジスタ)やトランス等の発熱量の多い発熱電子部品の他に、マイクロコンピュータ等のように比較的熱に弱い電子部品も搭載されている。また、電子回路モジュールの小型軽量化にともない、電子部品の実装密度が高くなり、電子部品間の距離が近接する傾向にあることから、発熱電子部品からの熱を効率良く放出するための放熱対策が必要である。
【0003】
一方、照明装置はさまざまな用途に使用されるため、電子回路モジュールが比較的環境条件の悪い場所に設置される場合も少なくない。例えば、自動車の前照灯の場合、ランプ点灯用の電子回路モジュールも自動車の前部近傍に設置されることになるが、走行中の振動等の影響を直接受けることになる。従って、このような環境条件の悪い場所で使用される電子回路モジュールでは、放熱対策の他に制振対策を施す必要がある。
【0004】
従来の電子回路モジュールの筐体としては、鉄板等の金属板をプレスで所定形状に成形した板金部品やアルミニウム合金等の溶融金属を金型で成形したダイキャスト部品等が用いられている。また、電子部品で発生する熱を効率良く筐体に伝達するために及び/又は外部からの振動を吸収するために、筐体と回路基板及びその上に搭載された電子部品との間の隙間に熱伝導性の高い充填剤及び/又は減衰特性の高い充填剤を充填することも行われている。
【0005】
なお、従来技術として、特許文献1には、ノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器において、電子部品からの熱を効率良く筐体外部に放出するために、筐体を金属部材とこの金属部材と一体成形された樹脂部材とで構成し、金属部材の外側面に熱放射率を向上させるための処理を施すことが示されている。しかしながら、特許文献1では、筐体の材料による振動吸収特性については言及していない。
【0006】
特許文献2には、マグネシウム合金を射出成形した筐体に発熱体を直接的に接触させて熱を筐体に伝達し、外部に放熱することが示されている。特許文献2は携帯電子機器に関するものであり、外部からの振動を抑制することに関しては言及していない。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−44269号公報 (段落0016から段落0019)
【特許文献2】
特開2000−253115号公報 (請求項1、図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のように、筐体を板金加工で成形する場合、加工方法による制限から形状の自由度が低く、部品の複合化を図ることが困難である。また、金属とはいえ、薄板を加工しているため、必ずしも充分な剛性が得られるとは限らず、また振動に対しても大きな減衰特性(振動吸収性)は望めない。
【0009】
一方、筐体をダイキャスト成形する場合、ダイキャスト成形時における溶融したアルミニウム合金の流動性の低さから、肉厚を薄くすることが困難であり、小型化及び軽量化を図ることは困難であった。また、肉厚を薄くできたとしても、剛性が低下し、また振動に対して大きな減衰特性は望めない。
【0010】
そのため、十分な強度及び振動吸収性を得るためには、筐体自体をある程度大きくせざるを得ず、電子回路モジュールの小型化及び軽量化の要請に反する結果となっていた。また、筐体内部に充填剤を充填する場合には、充填剤の分だけコスト及び重量が増加し、コストダウン及び軽量化の要請に反するものとなっていた。
【0011】
本発明は、上記従来例の課題を解決するためになされたものであり、電子部品から発生される熱を効率良く筐体外部に放出すると共に、外部からの振動の影響を低減し、長期的な信頼性を維持しつつ、小型軽量化が可能な電子回路モジュールを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の電子回路モジュールは、筐体の内部に、発熱電子部品を含む電子部品を搭載した回路基板を収容した電子回路モジュールであって、前記筐体はマグネシウムを主成分とする材料で形成され、前記筐体の外面のうち、少なくとも前記発熱電子部品の近傍の部分に、前記マグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜が設けられている。
【0013】
このような構成によれば、マグネシウム合金の優れた振動吸収性により、外部から加えられた振動を筐体で吸収することができ、内部に収容された電子回路を振動の影響から保護することができる。また、マグネシウム合金は成形性に優れているので、従来の鉄板の板金加工やアルミニウム合金のダイキャスト加工では成形できなかった複雑な形状に成形することができる。そのため、例えば(自己)発熱電子部品の近傍に筐体側壁やリブ等を配置することができ、電子部品から発生される熱を筐体に伝達しやすくすると共に、筐体を小型化することが可能である。また、マグネシウム合金は軽量であるため、筐体を軽量化することも可能である。
【0014】
また、マグネシウム合金の振動吸収性により、充填剤により振動を吸収する割合が低下するので、充填剤の充填量を低減することができ、また場合によっては充填剤を不要とすることも可能である。その結果、重量低減及びコストダウンが可能である。
【0015】
さらに、筐体の外面に設けられたマグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜により、発熱電子部品から発生され筐体に伝えられた熱を、筐体表面から効率良く放出することができる。その結果、熱に弱い電子部品を発熱電子部品の熱から保護することができ、電子回路の安定した動作を長期的に維持することができる。
【0016】
また、前記熱放射膜の膜厚が60μm以上であることが好ましい。このように、膜厚を60μm以上とすることにより、筐体の肉厚を例えば従来技術による筐体の肉厚の2/3程度に薄くした場合であっても、十分な放熱効果を得ることができる。
【0017】
また、前記筐体の外面のうち、少なくとも前記発熱電子部品の近傍の部分に、表面積を増加させるための構造体を形成し、少なくとも前記表面積を増加させるための構造体の部分に、前記マグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜が設けられていることが好ましい。このように、表面積を増加させるための構造体を形成することにより、発熱電子部品の近傍において局部的に筐体の表面積が増加し、それに伴って熱放射膜の面積又は熱放射率の高い材料の量が増加するため、発熱電子部品から発生された熱を効果的に放射することができ、筐体内部の温度上昇を低減し、電子回路の長期的な信頼性を維持することができる。
【0018】
上記の場合、さらに前記熱放射膜の膜厚が40μm以上であることが好ましい。このように、膜厚を40μm以上とすることにより、上記前記表面積を増加させるための構造体による効果とあいまって、筐体の肉厚を例えば従来技術による筐体の肉厚の1/2程度に薄くした場合であっても、十分な放熱効果を得ることができる。
【0019】
また、前記電子回路は放電点灯装置であることが好ましい。このように、トランスやFET等の発熱電子部品を多数含む放電点灯装置を上記のようにモジュール化することにより、発熱部品からの熱を効率良く放出することができ、放電点灯装置の長寿命化を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態として、例えば自動車の前照灯のランプ点灯用電子回路(インバータ)モジュールの構成を図1に示す。
【0021】
ランプ点灯用電子回路モジュール1は、マグネシウムを主成分とする材料で形成された筐体ベース2と、筐体ベース2の内部に収容される電子部品を搭載した回路基板3と、筐体カバー4と、回路基板3上に搭載された電子部品31〜37等で構成されている。
【0022】
筐体ベース2の底部には、回路基板3の裏面と筐体ベース2の接触によるショートを防止するための絶縁板21が設けられている。回路基板3上には、外部電源からの電力ケーブルが接続され、電力を受けるための入力用カプラ31と、ランプ点灯用電子回路を構成するトランス32、パワーモジュール33、ハイブリッドIC34、FET(電界効果トランジスタ)35、FET35を固定するための固定クリップ36、ランプ(図示せず)に対して点灯用の電力を供給するためのケーブルが接続される出力用カプラ37等が設けられている。
【0023】
入力用カプラ31及び出力用カプラ37は、それぞれねじ11により回路基板3に固定される。また、回路基板3は、ねじ12により筐体2に固定される。筐体カバー4は、回路基板3を筐体ベース2に固定し、さらに必要に応じて筐体ベース2と回路基板3及びその上の電子部品31〜37との隙間に充填剤を充填した後、ねじ13により筐体ベース2に固定される。なお、入力用カプラ31及び出力用カプラ37のうち少なくとも結合部分は、筐体ベース2の側壁に設けられた切り欠き部22及び23から筐体ベース2の外側に突出するように取り付けられる。
【0024】
筐体ベース2及び筐体カバー4は、マグネシウムを主成分とする材料、例えばAZ91D、AZ91B、AM60B等のマグネシウム合金で形成されている。筐体ベース2及び筐体カバー4の加工方法としては、ダイキャスト、射出成形(チクソモールディングを含む)、鋳造等を用いることができ、比較的複雑な形状であっても所望する形状に成形することが可能である。
【0025】
マグネシウム合金の密度は、合金の種類によって若干異なるが、約1.8であり、例えばダイキャスト用アルミニウム合金ADC10〜12の密度約2.7に比べてはるかに軽量である。従って、筐体各部の肉厚を同じにする場合、マグネシウム合金製の筐体の重量は、アルミニウム合金製の筐体の重量の2/3程度である。従って、筐体ベース2及び筐体カバー4の材料としてマグネシウム合金を用いることにより、筐体全体の軽量化が可能となる。
【0026】
また、マグネシウム合金は、軽量でありながら十分な強度を有し、さらに成形性に優れ、寸法精度を高くすることが可能である。そのため、筐体ベース2の内側に薄肉のリブ構造を適宜配置することにより、一定の強度を維持しつつ筐体ベース2の各部の肉厚を薄くすることができる。その結果、筐体全体の小型化及び著しい軽量化が可能となる。さらに、高密度に実装された電子部品31〜37の隙間にリブ構造を配置することができ、このリブ構造を利用して回路基板3を筐体ベース2に固定することができる。
【0027】
また、マグネシウム合金は、表1に示すように、鋳鉄やアルミニウム展伸材(356−T6)等の他の材料と比較して、高い振動吸収性(減衰能)を有している。この振動吸収性(SDC)は、被験材料に振動を加えたとき、振動の1サイクルで失われるエネルギー損失率(%)を示しており、初期の振動エネルギーをA、1サイクル後のエネルギーをAとして、
SDC=100×(A −A )/A
により求められる。
【0028】
【表1】
Figure 2004140031
【0029】
上記表1から、マグネシウム合金は、鋳鉄の約2〜3倍、アルミニウム展伸材(356−T6)の約30〜40倍の振動吸収性を有していることがわかる。このように、マグネシウム合金は振動吸収性に優れているため、マグネシウム合金で筐体ベース2及び筐体カバー4を形成することにより、外部から筐体に加えられた振動を抑制し、内部の電子回路に伝わる振動を低減することができる。筐体自体により外部から加えられた振動を抑制することができるので、充填剤を用いることなく電子部品を外部からの振動から保護することができる。また、充填剤を併用する場合、充填剤として振動吸収性の低い軽いものを使用することが可能であるし、また充填剤の充填量を少なくすることも可能である。
【0030】
筐体ベース2の外面には、筐体ベース2の材料であるマグネシウム合金よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜5が塗装又は印刷により設けられている。マグネシウム合金よりも熱放射率の高い材料としては、所定の耐熱性及び密着性等を有するものであればよく、特に限定されない。例えば、メラミン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料等を使用することができる。塗料の塗布方法(熱放射膜の形成方法)は特に限定されないが、スプレー法、浸漬法、静電塗装法等を用いることができる。
【0031】
なお、熱放射膜5は、筐体ベース2と筐体カバー4で構成される筐体の外面のうち、少なくとも発熱電子部品の近傍の部分、すなわち発熱電子部品からの熱の輻射を直接受ける部分に設けられていればよく、必ずしも筐体の外面全体に設けられている必要はない。逆に、発熱電子部品が回路基板3上に分散配置されている場合は、熱放射膜5を筐体の外面全体に設けることが好ましい。その際、筐体カバー4の外面にも熱放射膜を形成すればよい。
【0032】
次に、筐体ベース2の具体的形状を図2及び図3に示す。図2は、筐体ベース2の外面、特に側面22のほぼ全体を平面とした例を示す。また、図3は、筐体ベース2の側面22に放熱フィン23を設けた例を示す。放熱フィン23は、トランス32やFET35等の発熱電子部品の近傍に設けることがより好ましい。
【0033】
本発明者らは、マグネシウム合金の射出成形(チクソモールディング)により形成した図2及び図3に示す形状の筐体ベース2を複数用意し、それぞれの外面に膜厚を変化させて塗料による熱放射膜を形成した。また、アルミニウム合金をダイキャスト成形した従来技術による筐体ベース(図2に示す形状のもの)を用意した。そして、各筐体ベース2の内側に電子部品31〜37を搭載した回路基板3を固定し、電子回路モジュール(インバータ)1を組み立てた。温度測定のために筐体カバー4を取り外した状態の電子回路モジュール1を用いて、実際にHIDランプを点灯し、回路基板3上の発熱電子部品であるトランス32及びFET35の温度を測定した。
【0034】
実験方法を図4に示す。電子回路モジュール1を床面から浮かした状態で保持し、入力用カプラ31(図1参照)に安定化電源51を接続し、出力用カプラ37にイグナイタ52を接続し、イグナイタ52の先にHIDランプ53を接続した。また、トランス32及びFET35にそれぞれ熱電対等の温度センサ(図示せず)を取り付け、温度測定器54に接続した。さらに、電子回路モジュール1を防風ケース55で覆った。なお、電子回路モジュール1の筐体内部には充填剤は充填しておらず、常温常湿環境下で実験を行った。電源電圧は14Vであった。
【0035】
各電子回路モジュール1の詳細及び実験結果を表2に示す。なお、測定温度はHIDランプを点灯し、トランス32及びFET35の温度が平衡状態になったときのものである。また、表2における温度差の各値は、各電子回路モジュール1のトランス32及びFET35の温度を、比較例2に示す従来技術による電子回路モジュール1のトランス32及びFET35の温度との比較した結果である。
【0036】
【表2】
Figure 2004140031
【0037】
表2における「モデル」項目のAは、図2に示すように筐体ベース2の側壁22に放熱フィン23が設けられていないものを示し、図3に示すような筐体ベース2の側壁22に放熱フィン23が設けられたものを示す。また、「主肉厚」は筐体ベース2の側壁及び底面の主要部分の肉厚を示す。「基材」の項目は、筐体ベース2の材料及び加工方法を示したものである。「化成処理」の項目は、成形された筐体ベース2の表面処理方法を示す。「塗装」の項目は、各筐体ベース2の外面に塗布される塗料の種類、塗布方法、焼付け条件及び膜厚を示す。そして、「温度差」は、上記のように従来技術による比較例2との比較結果であり、「FET」の項目の値は、FTE35の温度が従来技術の場合と比較して上昇又は下降した温度を示している。また、「トランス」の項目の値は、トランス32の温度が従来技術の場合と比較して上昇又は下降した温度を示している。
【0038】
次に、表2に示す実験結果を評価する。比較例1と比較例2を比較すると、マグネシウム合金の熱放射率は0.04〜0.06であり、またアルミニウム合金の熱放射率も0.04〜0.06であり、両者はほぼ同じであると考えられる。同様に、ポリエステル系粉体塗料の熱放射率は0.87〜0.95であり、アクリル系液体塗料の熱放射率は0.83〜0.91であり、両者はほぼ同じであると考えられる。しかしながら、比較例1では、比較例2に対してFET及びトランスのいずれについても温度が上昇している。この差は、筐体ベースの主肉厚の差及び熱放射膜(塗料)の膜厚の差によるものと考えられる。
【0039】
すなわち、熱放射は、物質が熱エネルギーを赤外線等の電磁波に変換して放出する現象であり、物質の熱放射率だけでなく、エネルギー変換を行う物質の量が影響していると考えられる。比較例1のマグネシウム合金製の筐体ベースの肉厚は1.2mmであり、比較例2のアルミニウム合金製の筐体ベースの肉厚は1.8mmである。両者の筐体ベースの表面積がほぼ同じであるとすると、比較例2のアルミニウム合金製の筐体ベースの方が比較例1のマグネシウム合金製の筐体ベースの約1.5倍の量(体積)の材料を使用していることになる。一方、比較例1の塗料の膜厚は48μmであり、比較例2の塗料の膜厚は25μmである。従って、比較例1の方が比較例2よりも約2倍の量の塗料を使用していることになる。
【0040】
次に、比較例1について、塗料の熱放射率は筐体ベースの材料の熱放射率に対して約15〜24倍と圧倒的に高い反面、塗料の膜厚は筐体ベースの主肉厚の1/25と圧倒的に小さい。比較例2についても同様である。従って、比較例1と比較例2の比較結果から、筐体ベースの表面に設けた熱放射膜(塗料)の熱放射により効率良く熱が放射されているものの、比較例1の筐体ベースの主肉厚が薄くなった分だけ、筐体ベース自体からの熱の放射が少なくなり、比較例2に比べて、内部のFETやトランスの温度が上昇したと考えられる。
【0041】
次に、実施例1と上記比較例1とを比較すると、両者の違いは筐体ベースの表面に設けた熱放射膜(塗料)の膜厚だけである。すなわち、熱放射性膜(塗料)の膜厚を48μmから63μmに増加しただけで、内部のFETやトランスの温度が下降したと考えられる。従って、筐体(筐体ベース2及び筐体カバー4)の外面にマグネシウム合金よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜を一定の厚さ以上に塗布することが非常に有効であることがわかる。
【0042】
また、上記比較例1と比較例2の比較結果及び実施例1と比較例1の比較結果から、マグネシウム合金製の筐体ベースの主肉厚を1.2mmよりも厚くすれば、熱放射膜(塗料)の膜厚を60μm以下にしても同様の結果が得られることは容易に予測される。
【0043】
次に、実施例1と実施例2とを比較すると、実施例2の筐体ベースは、図3に示すように、筐体ベースの側壁に放熱フィンが形成されたものである点、主肉厚が0.9mmとさらに薄くなっている点及び筐体ベースの外面に塗布された熱放射膜(塗料)の膜厚が45μmと薄くなっている点が異なる。
【0044】
上記比較例1と比較例2及び実施例1と比較例1の比較結果から、実施例2の筐体ベースの主肉厚及び熱放射膜(塗料)の膜厚がそれぞれ実施例1のものよりも薄くなっていることから、FETやトランスの温度が上昇することが予想される。しかしながら、実際には、実施例1と実施例2ではFETやトランスの温度はほぼ同じであり、同様の効果が得られている。これは、放熱フィンの存在によるものと考えられる。まず、放熱フィンの存在により、局部的に筐体ベースの表面積が増加し、それに伴って筐体ベースの材料や塗料が偏在し、放熱フィン部分からの熱の放射量が増加していると考えられる。さらに、放熱フィンはFETやトランス等の発熱電子部品の近傍に設けられているため、FETやトランス等から発生した熱が筐体内部に拡散される前に効率良く放射され、FETやトランスの温度がさほど上昇しないと考えられる。
【0045】
次に、実施例2と比較例3とを比較する。両者の違いは、筐体ベースの外面に塗布された熱放射膜(塗料)の膜厚だけである。熱放射膜(塗料)の膜圧を45μmから30μmに薄くするだけで、FET及びトランスの温度がかなり上昇していることがわかる。このことからも、筐体(筐体ベース2及び筐体カバー4)の外面にマグネシウム合金よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜を一定の厚さ以上に塗布することが非常に有効であることがわかる。なお、実施例2では、塗料の膜厚を45μmとしたが、塗料の膜厚をさらに厚くすることにより、より高い放熱性が得られることは容易に予測される。
【0046】
なお、表2中の比較例4は、アルミニウム合金のダイキャスト成形により、マグネシウム合金の射出成形による筐体ベースと同様の薄肉の筐体ベースを成形しようと試みた結果、成形できなかったことを示している。
【0047】
以上のように、筐体を構成する筐体ベース2及び筐体カバー4を、それぞれマグネシウム合金を用いて成形することにより、マグネシウム合金の有する優れた成形性により、加工方法による形状の制限が少なく、筐体を複雑な形状に成形することも可能である。そのため、筐体を小型化することが可能である。また、マグネシウム合金は軽量である上に機械的強度が高いので、筐体各部の肉厚を薄くすることができ、著しい軽量化を図ることができる。
【0048】
さらに、マグネシウム合金は振動吸収性に優れるため、外部から加えられる振動を筐体自体で減衰させることが可能である。そのため、従来振動を吸収するために充填していた充填剤の量を減少させ、あるいは充填剤を不要とすることも可能である。
【0049】
さらに、筐体(筐体ベース2及び必要に応じて筐体カバー4)の外面に、マグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜5を設けたので、FETやトランジスタ等の発熱電子部品から発生し筐体に伝えられた熱を筐体表面から効率良く放出することができる。そのため、回路基板上3に搭載されている熱に弱い電子部品(例えばハイブリッドIC34等)を発熱電子部品(トランス32やFET35等)の熱から保護することができ、電子部品の熱による劣化が少なくなり、電子回路の長期的な信頼性を確保することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態では、筐体(特に筐体ベース2)の外面の全体にマグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜5を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、筐体の外面のうち、少なくとも少なくとも発熱電子部品の近傍の部分に、マグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜を設ければ、同様の効果が得られる。
【0051】
また、上記実施の形態では、電子回路モジュールの一例として、自動車の前照灯のランプ点灯用電子回路モジュールについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電子部品を搭載した回路基板を筐体と内部に収容した全ての電子回路モジュールに適用することができる。また、回路基板を筐体ベースにねじ止めする構成を示したが、回路基板の固定方法はこれに限定されず、その他の方法で固定することができることは言うまでもない。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、マグネシウムを主成分とする材料で筐体を形成し、筐体の外面のうち、少なくとも発熱電子部品の近傍の部分に、マグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜を設けることにより、充填剤の使用量を低減しつつ又は充填剤を用いることなく外部からの振動の影響を低減し、かつ発熱電子部品から発生する熱を効果的に放射することができ、長期的な信頼性を維持しつつ、小型軽量化が可能な電子回路モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子回路モジュールの構成を示す斜視図。
【図2】上記実施の形態における筐体ベースの一構成例を示す斜視図。
【図3】上記実施の形態における筐体ベースの他の構成例を示す斜視図。
【図4】本発明の効果を測定するための実験方法を示す斜視図。
【符号の説明】
1 電子回路モジュール
2 筐体ベース
3 回路基板
4 筐体カバー
5 熱放射膜
22 筐体ベースの側面
23 放熱フィン
31〜37 電子部品

Claims (5)

  1. 筐体の内部に、発熱電子部品を含む電子部品を搭載した回路基板を収容した電子回路モジュールであって、
    前記筐体はマグネシウムを主成分とする材料で形成され、
    前記筐体の外面のうち、少なくとも前記発熱電子部品の近傍の部分に、前記マグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜が設けられていることを特徴とする電子回路モジュール。
  2. 前記熱放射膜の膜厚が60μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子回路モジュール。
  3. 前記筐体の外面のうち、少なくとも前記発熱電子部品の近傍の部分に、表面積を増加させるための構造体を形成し、少なくとも前記表面積を増加させるための構造体の部分に、前記マグネシウムを主成分とする材料よりも熱放射率の高い材料による熱放射膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子回路モジュール。
  4. 前記熱放射膜の膜厚が40μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子回路モジュール。
  5. 前記電子回路は放電点灯装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子回路モジュール。
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