JP2004130998A - 車両用空調装置 - Google Patents
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- F24F2120/10—Occupancy
Abstract
【課題】車両用空調装置において、乗員にとって快適な空調状態を提供できるようにする。
【解決手段】制御装置4では、非接触温度センサ50によって、車室内の運転者の表面を構成する検出領域の温度を非接触で検出する。検出領域の所定温度分布が乱れたとき、非接触温度センサ50により検出された温度に基づき、フェイス100、アームレスト吹出口100f、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのうち、温度分布の乱れた領域の近傍に配置される吹出口からの空調風の風量割合または吹出温度を制御して、複数領域の所定温度分布の乱れを解消することができる
【選択図】 図2
【解決手段】制御装置4では、非接触温度センサ50によって、車室内の運転者の表面を構成する検出領域の温度を非接触で検出する。検出領域の所定温度分布が乱れたとき、非接触温度センサ50により検出された温度に基づき、フェイス100、アームレスト吹出口100f、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのうち、温度分布の乱れた領域の近傍に配置される吹出口からの空調風の風量割合または吹出温度を制御して、複数領域の所定温度分布の乱れを解消することができる
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触温度センサを用いて、車室内の空調状態を制御する車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の空調装置としては、運転者の上半身の一カ所の温度を赤外線センサにより検出し、この検出された温度に基づき、空調吹出口から運転者に向け吹き出される空調空気の吹出温度または風量を制御するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−172926号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車室内への日射方向が様々に変わるといった状況になると、上述のように、上半身の一カ所の温度検出だけでは、運転者およびその周辺の温度状態を適切に検出できない。したがって、車室内の空調状態を適切に制御できず、運転者の快適感を維持させることができないという問題がある。
【0005】
また、空調ゾーン毎の吹出温度を独立に制御可能な空調装置の場合に、運転者側の空調ゾーンが、助手席側の空調ゾーンからの影響を受けたり、或いは、風が当たるのを嫌う助手席者が風量を下げたりする場合にも、上半身の一カ所の温度検出だけでは、運転者およびその周辺の温度状態を適切に検出できない。
【0006】
本発明は、車両用空調装置において、乗員にとって快適な空調状態を提供できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、車室内の複数領域の温度を非接触で検出する非接触温度センサ(50)と、非接触温度センサにより検出された複数領域の温度に基づき、複数領域が所定温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明では、車室内の複数領域の温度を非接触で検出する非接触温度センサ(50)と、非接触温度センサにより検出された複数領域の温度に基づき、複数領域が乗員の設定した指示に基づく温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)と、を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、空調ゾーン毎の吹出温度を独立に制御可能な空調装置の場合において第1の空調ゾーンがそれに隣接する第2の空調ゾーンからの影響を受けたり、風が当たるのを嫌う乗員が風量を下げたり、日射方向が変化したりすると、複数領域の所定温度分布が乱れる。
【0010】
これに対して、請求項1、2に記載の発明によれば、複数領域の所定温度分布が乱れた場合に、複数の吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御するので、所定温度分布の乱れを解消することができるので、乗員にとって快適な空調状態を提供できる。
【0011】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、複数領域が乗員の設定した指示に基づく温度分布となるように複数の吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する。これにより、例えば、乗員の設定した風速感、顔の温感、足の温感に基づいて、複数領域を温度分布にすることができるので、乗員の設定で、目的の空調空間を実現できる。
【0012】
具体的には、請求項3に記載の発明のように、制御手段が、複数領域のうち温度分布の乱れた領域の近傍に配置される吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御するようにしてもよい。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、車室内の在席の空調ゾーンの温度を非接触で検出する非接触温度センサ(50)と、非接触温度センサにより検出された在席の空調ゾーンの温度に基づき、在席の空調ゾーンが所定の温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)からそれぞれ吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)と、を有することを特徴とする。
【0014】
ここで、在席の空調ゾーンとは、乗員の在席している座席側の空調ゾーンのことである。
【0015】
ここで、請求項4によれば、在席の空調ゾーンの所定の温度分布が乱れたとき、複数の吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御して、温度分布の乱れを解消させることができるので、乗員にとって快適な空調状態を提供できる。
【0016】
具体的には、請求項5に記載の発明のように、非接触温度センサは、空調ゾーンの温度を複数領域に区分けして非接触で検出するものであり、制御手段が、複数領域のうち温度分布の乱れた領域の近傍に配置された吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御するようにしてもよい。
【0017】
また、請求項6に記載の発明では、複数の吹出口から吹き出す風速感の高低の設定を乗員の操作により受けるようになっており、乗員により低い風速感が設定される程、複数の吹出口のうち開口面積の広い吹出口の風量割合が増加するようになっていることを特徴とする。
【0018】
これにより、乗員により低い風速感が設定される程、複数の吹出口のうち開口面積の広い吹出口の風量割合が増加するので、乗員が低い風速感を感じるようになる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、複数の吹出口から吹き出す風速感の高低の設定を乗員の操作により受けるようになっており、乗員により低い風速感が設定される程、複数の吹出口のうち乗員から遠い吹出口の風量割合が増加するようになっていることを特徴とする。
【0020】
この場合にも、乗員により低い風速感が設定される程、複数の吹出口のうち乗員から遠い吹出口の風量割合が増加するので、乗員が低い風速感を感じるようになる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、空調風の風量割合または吹出温度を制御する過渡期には、空調風の風量割合または吹出温度を制御する定常期に比べて、複数の吹出口のうち空調風の通風経路の短い吹出口が選択されてこの選択された吹出口から制御された空調風が吹き出されるようになっていることを特徴とする。
【0022】
これにより、過度期には、通風経路の短い吹出口が選択されるので、通風経路による熱損失の少ない吹出口が選択することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明では、車両用空調装置のコンピュータに、非接触温度センサ(50)により車室内の複数領域の温度を検出して、この検出された複数領域の温度に基づき、複数領域が所定温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)として機能させるためのプログラム。
【0024】
請求項10に記載の発明では、車両用空調装置のコンピュータに、非接触温度センサ(50)により車室内の複数領域の温度を検出して、この検出された複数領域の温度に基づき、複数領域が乗員の設定した指示に基づく温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)として機能させるためのプログラム。
【0025】
請求項11に記載の発明では、車両用空調装置のコンピュータに、非接触温度センサ(50)により車室内の在席の空調ゾーンの温度を非接触で検出し、この検出された空調ゾーンの温度に基づき、在席の空調ゾーンが所定の温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)として機能させるためのプログラム。
【0026】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1、図2に、本発明の車両用空調装置の第1実施形態を示す。図1は車両用空調装置が適用された車室内を示す図である。
【0028】
車両用空調装置は、運転席、助手席、右側後部座席、左側後部座席に対応する天井吹出口100e、101e、102e、103e、サイドウインドウ吹出口100d、101d、102d、103d、フェイス吹出口100、101、102a、103aを備えている。フェイス吹出口100としては、サイドグリル吹出口100a、センタグリル吹出口100bから構成され、フェイス吹出口101としては、サイドグリル吹出口101a、センタグリル吹出口101bから構成されている。
【0029】
さらに、運転席、助手席に対応してフット吹出口100c、101c、アームレスト吹出口100f、101fが設けられている。このような各吹出口から吹き出される空調風の温度、風量が座席毎に独立に制御されるようになっている。
【0030】
ここで、運転席、助手席に対する車両用空調装置としてそれぞれ同様に構成されたものを用いているため、以下、車両用空調装置において運転席に対応する空調制御について図2を用いて説明する。図2は車両用空調装置に概略構成を示す図である。なお、右側及び左側の後部座席に対する車両用空調装置の説明は省略する。
【0031】
車両用空調装置は、車室に向かって送風空気を送るための空調ユニット1を備えている。また、車両用空調装置には、空調ユニット1の上流において、吸込口に内気と外気とを切り替えて導入する内外気切替箱(内外気切替手段)を有する送風機3が取り付けられている。この送風機3は、空調ユニット1のダクト2内に車室へ向かう空気流を生じさせるもので、後述する制御装置4によって送風量が制御される。
【0032】
また、空調ユニット1のダクト2は、メイン通路5とこのメイン通路5から分岐された通路6、7、76とを備える。通路7は、メイン通路5からフット吹出口100cに送風を通過させる。フット吹出口100cは、インストルメントパネルにて下側後方に開口されて、乗員の足元に送風を吹き出す。
【0033】
通路6には、通路6a、6bが分岐されており、通路6aは、メイン通路5からの送風をフェイス吹出口100(100a、100b)に通過させるものである。フェイス吹出口100は、インストルメントパネルの下側に開口されて乗員の上半身に送風を吹き出す。通路6bは、メイン通路5からの送風をアームレスト吹出口100fに通過させる。アームレスト吹出口100fは、アームレストに開口されて、運転者の上半身に対してその左側から送風を吹き出す。
【0034】
通路76には、通路76a、76bが分岐されており、通路76aは、メイン通路5からの送風を天井面吹出口100eに通過させるものである。天井面吹出口100eは、天井から運転席の上半身に向けて送風を吹き出す。通路76bは、メイン通路5からの送風をサイドウインドウ吹出口100dに通過させるものである。サイドウインドウ吹出口100dは、Bピラーに開口されて運転者の上半身対してその右側から送風を吹き出す。
【0035】
なお、Bピラーは、前側サイドウインドシールドおよび後側サイドウインドシールドの間に配設されて屋根を支える柱である。
【0036】
そして、メイン通路5の上流には、通路内を通過する空気を冷却するエバポレータ8(冷却手段)が設けられている。このエバポレータ8は、冷凍サイクルの構成部品で、冷凍サイクルが後述する制御装置4に制御されることによって、エバポレータ8が作動する。
【0037】
エバポレータ8の下流のメイン通路5内には、通路内を通過する空気を加熱するヒータコア9(加熱手段)が設けられている。ヒータコア9は、図示しない車両走行用エンジンの冷却水(温水)の供給を受けて、メイン通路5内を通過する空気を加熱する。また、メイン通路5には、ヒータコア9による空気の加熱量を調節する加熱量調節手段10が設けられている。
【0038】
加熱量調節手段10は、ヒータコア9をバイパスするようにメイン通路5内に設けられた加熱調節用バイパス通路11と、ヒータコア9を通過する空気量と加熱調節用バイパス通路11を通過する空気量とを調節するエアミックスダンパ12(A/Mドア)とからなる。このエアミックスダンパ12は、アクチュエータ13(例えば、サーボモータ)によって開度が制御され、このアクチュエータ13は後述する制御装置4によって制御される。
【0039】
また、ダクト2は、エバポレータ8を通過した冷風を、加熱量調節手段10をバイパスして直接、通路76内へ導くための冷風バイパス通路14を備える。この冷風バイパス通路14の上流には、冷風バイパス通路14の開閉を行うとともに、開度調節を行うバイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)が設けられている。このバイパス開閉ダンパ15は、アクチュエータ16(例えば、サーボモータ)によって駆動され、このアクチュエータ16は後述する制御装置4によって制御される。
【0040】
ここで、通路76には、冷風バイパス通路14を通過する送風とメイン通路5を通過する送風とが混合されて流れ込むことになる。このことにより、通路76に流れ込む送風空気の温度としては、空気の温度は、加熱量調節手段10、冷風バイパス通路14、およびバイパス開閉ダンパ15等によって調節されようになっている。
【0041】
さらに、通路6と通路7との分岐する部分には、通路6、76を閉じて通路7を開く、通路7を閉じて通路6、76を開く、あるいは、通路6、7、76の全てを開くための通路開閉ダンパ17(通路開閉手段)が設けられている。この通路開閉ダンパ17は、アクチュエータ18(例えば、サーボモータ)によって駆動され、このアクチュエータ18は、後述する制御装置4によって制御される。
【0042】
また、通路6のうち通路6aと通路6bとの分岐する部分には、通路6aを通過する空気量と通路6bを通過する空気量とを調整する空気量調整ダンパ120が設けられている。空気量調整ダンパ120は、アクチュエータ121によって駆動され、このアクチュエータ18は、後述する制御装置4によって制御される。さらに、通路6のうち空気量調整ダンパ120の上流側には、補助ヒータ(具体的にはPCTヒータ)61aおよび補助冷却装置(具体的にはペルチェ素子)62aが備えられている。
【0043】
ここで、補助ヒータ61aは、その放熱フィンにより通路6内を通過する送風を加熱するものであり、補助冷却装置62aは、通路6内を通過する送風から吸熱して通路6の外に廃熱するものである。補助ヒータ61aおよび補助冷却装置62aは、制御装置4によって制御される。
【0044】
さらに、通路7内には、補助ヒータ(具体的にはPCTヒータ)61bおよび補助冷却装置(具体的にはペルチェ素子)62bが備えられており、補助ヒータ61bは、その放熱フィンによって通路7内を通過する送風を加熱するものであり、補助冷却装置62bは、通路7内を通過する送風から吸熱して通路7の外に廃熱するものである。補助ヒータ61bおよび補助冷却装置62bは、制御装置4によって制御される。
【0045】
そして、通路76のうち通路76aと通路76bとの分岐する部分には、通路76aを通過する空気量と通路76bを通過する空気量とを調整する空気量調整ダンパ123が設けられている。空気量調整ダンパ123は、アクチュエータ122によって駆動され、このアクチュエータ122は、後述する制御装置4によって制御される。さらに、通路76のうち空気量調整ダンパ122の上流側には、補助ヒータ(具体的にはPCTヒータ)61cが備えられている。補助ヒータ61cは、その放熱フィンにより通路6内を通過する送風を加熱する。補助ヒータ61cは制御装置4によって制御される。
【0046】
また、制御装置4は、コンピュータを搭載するもので、乗員の操作状態や各種センサの入力値に応じて、車両用空調装置の各電気部品を通電制御する。この制御装置4は、乗員の操作を受ける操作パネル(図示しない)を備える。この操作パネルには、オートエアコンスイッチ(図示しない)、各種モード切替スイッチ(図示しない)の他に、車室内の温度を設定する温度設定器19を備える。
【0047】
また、車両用空調装置は、各種センサとして、車室外の温度を検出する外気センサ21、車室内に進入する日射量を検出する日射センサ22、エバポレータ8を通過した温度を検出するエバ後センサ23、ヒータコア9の冷却水温を検出する水温センサ24を備える。
【0048】
車両用空調装置は、非接触温度センサ50(例えば、サーモパイル型検出素子)を備えており、非接触温度センサ50は、図3に示すように、車室内にてルームミラーの近傍に配置されたもので、図4に示すごとく、運転者に向けて配置されている。
【0049】
ここで、非接触温度センサ50は、複数の赤外線センサエレメントFrDr1乃至FrDr16を2次元的に配列して構成されており、非接触温度センサ50は、運転者およびその周囲の表面を構成する複数領域の温度を赤外線センサエレメント毎に検出する。具体的には、非接触温度センサ50は、運転者およびその周囲の表面から入射される赤外線に対応する起電力を赤外線センサエレメント毎に発生することになる。
【0050】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を図5、図8乃至10のフローチャートに従って説明する。
【0051】
制御装置4は、電源が投入されると、メモリに記憶された制御プログラム(コンピュータプログラム)をスタートして、図5、図8乃至10に示すフローチャートに従って空調制御処理を実行する。
【0052】
ここで、空調制御処理としては、図5に示す基本制御処理と、図8乃至10に示す温度分布補正処理とから構成されるもので、基本制御処理および温度分布補正処理は、交互に実行されるものである。
【0053】
先ず、基本制御処理について説明すると、制御装置4は、非接触温度センサ50より検出された運転者の表面温度、具体的には、赤外線センサエレメントFrDr2、3、4、6、7、8、10、11、14、15のそれぞれにより検出された検出表面温度を取得する。検出表面温度の取得は、一定期間(例えば、250msec)毎に行われる。そして、それぞれの検出表面温度を平均化して平均温度(以下、乗員まわり温度TIR(1)という)を求める(S210)。
【0054】
次に、この求められた今回の乗員まわり温度TIR(1)と、過去の5回のS210の処理で取得された5個の乗員まわり温度TIR(1)とを平均して平均乗員まわり温度TIR(16)を求める(S230)。
【0055】
そして、平均乗員まわり温度TIR(16)、温度設定器19の設定温度TSET、外気センサ21の検出温度信号TAMdispを基に、必要吹出温度TAOを次の数式1により算出する。なお、Kset(=7.0)は設定温度係数で、Kir(=5.1)はIR係数、Kam(=1.0)は外気温係数で、C(=−45)は補正常数である。
【0056】
【数1】
TAO=Kset・TSET−KIR・TIR(16)−Kam・TAMdisp+C
次に、制御装置4は、必要吹出温度TAOに基づき、送風機3のブロアレベル(送風量)を決定する。具体的には、TAOが中間領域では、一定の送風量とし、TAOが中間領域より低くなるほど送風量が増加し、さらにTAOが中間領域より高くなるほど送風量が増加するようになっている。そして、このように決定された送風量を発生させるように送風機3を制御することになる。なお、目的送風量としては、乗員によるマニュアル操作によっても設定されるようになっている。
【0057】
次に、制御装置4は、必要吹出温度TAO、エバ後センサ23の検出温度Te、水温センサ24の検出温度Twを次の数式2に代入して、エアミックスダンパ12の開度SWの目標値を決定する。そして、この決定された開度SWBの目標値にエアミックスダンパ12の開度を近づけるようにアクチュエータ15を制御する。
【0058】
【数2】
SW={TAO−Te)/(Tw−Te)}×100(%)
次に、制御装置4は、平均乗員まわり温度TIR16、日射センサ22の検出日射量Ts、温度設定器19による設定温度Tsetに基づき、バイパス開閉ダンパ15(冷B/Pドア:冷風バイパスドア)の開度SWBnを求める。
【0059】
先ず、図6に示すように、制御ハンチングを抑制するようにヒステリシスを有する特性に基づき、バイパス開閉ダンパ15(冷B/Pドア:冷風バイパスドア)を開けるか、閉じるかを決定する。そして、バイパス開閉ダンパ15の開度SWBnとしては、設定温度Tsetと平均乗員まわり温度TIR16との温度差(Tset−TIR16)に基づき決定されるものである。
【0060】
具体的には、図7に示すように、温度差(Tset−TIR16)が所定値b1未満ならば、開度SWBnが100%の比率で開ける。そして温度差(Tset−TIR16)が、所定値b1からその所定値b1より大きい所定値b2に近づくにつれて、開度SWBnが徐々に小さくなる。また、温度差(Tset−TIR16)が、所定値b2より大きくなると、開度SWBnが閉じる。このように決定された開度SWBnにバイパス開閉ダンパ15の開度を近づけるようにアクチュエータ16を制御する。
【0061】
次に、制御装置4が、必要吹出温度TAOに基づき、バイレベルモード、フェイスモード、フットモードのうち1つのモードを吹出モードとして自動的に設定する。具体的には、必要吹出温度TAOが高くなる程、フェイスモード、バイレベルモード、フットモードの順に切り替わるようになっている。
【0062】
ここで、バイレベルモード時には、アクチュエータ18により通路開閉ダンパ17を制御して、通路7および通路6、76の全てを開ける。この場合の概略的作動を説明すると、送風機3から送風される送風空気がエバポレータ8により冷却されると、この冷却された送風空気が、バイパス開閉ダンパ15によって、冷風バイパス通路14に流れ込む送風空気と、メイン通路5に流れ込む送風空気とに分流される。
【0063】
これに伴い、メイン通路5に流れ込んだ送風空気が、エアミックスダンパ12によって、加熱調節用バイパス通路11に流れ込む送風空気と、ヒータコア9に流れ込む送風空気とに分流される。当該送風空気が、ヒータコア9によって過熱されて、この過熱された送風空気が、加熱調節用バイパス通路11を通過する送風空気とともに混合する。すると、この混合された送風空気が、通路6、7、76に流れ込む。
【0064】
ここで、通路6内においては、送風空気が補助ヒータ61aおよび補助冷却装置62aによって温度調節される。そして、この送風空気が、空気量調整ダンパ120によって通路6aに流れ込む送風空気と、通路6bに流れ込む送風空気とに分流される。通路6aに流れ込む送風空気は、フェイス吹出口100から吹き出され、通路6bに流れ込む送風空気はアームレスト吹出口100fから吹き出される。
【0065】
また、通路7内においては、送風空気が補助ヒータ61bおよび補助冷却装置62bによって温度調節される。そして、この送風空気がフット吹出口100cから吹き出される。
【0066】
さらに、通路76においては、冷風バイパス通路14を通過した送風空気と、メイン通路5から流れ込む送風空気とが混合され、この混合される送風空気が、補助ヒータ61cによって温度調節される。そして、この送風空気が、空気量調整ダンパ123によって通路76aに流れ込む送風空気と、通路76bに流れ込む送風空気とに分流される。そして、通路76aに流れ込む送風空気は、天井面吹出口100eから吹き出され、通路76bに流れ込む送風空気はサイドウインドウ吹出口100dから吹き出される。
【0067】
ここで、バイレベルモード時ではなく、フェイスモード時には、アクチュエータ18により通路開閉ダンパ17を制御して、通路7を閉じて通路6、76を開ける。
【0068】
これに伴い、バイレベルモード時と同様、送風空気が、天井面吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100d、フェイス吹出口100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出される。しかし、通路7が閉じられるので、メイン通路5から通路7内に送風空気が流れ込まなくなり、フット吹出口100cから送風空気が吹き出されなくなる。
【0069】
さらに、フットモード時には、アクチュエータ16によりバイパス開閉ダンパ15を制御して、冷風バイパス通路14を閉じ、更に、アクチュエータ18により通路開閉ダンパ17を制御して、通路7を開けて通路6、76を閉じる。
【0070】
これに伴い、メイン通路5から通路7内に流れ込んだ送風空気が補助ヒータ61bおよび補助冷却装置62bによって温度調節されて、この温度調節された送風空気がフット吹出口100cから吹き出される。しかし、通路6、14が閉じられるので、天井面吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100d、フェイス吹出口100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから送風空気が吹き出されなくなる。
【0071】
次に、制御装置4による温度分布補正処理について、図8乃至図10を用いて説明する。先ず、非接触温度センサ50の各検出領域(複数領域)が所定温度分布となるように設定する(図8中S300)。
【0072】
具体的には、赤外線センサエレメントFrDr2、6の検出領域の平均目標温度を23±1.5℃、赤外線センサエレメントFrDr3、7の検出領域の平均目標温度を23±1.5℃、赤外線センサエレメントFrDr4、8の検出領域の平均目標温度を23±1.5℃、赤外線センサエレメントFrDr10、11、14、15の検出領域の平均目標温度を25±1.5℃とする。
【0073】
次に、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を70%、30%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を50%、50%となるようする。(S310)。
【0074】
次に、赤外線センサエレメントFrDr10、11、14、15のそれぞれの検出温度の平均値を求めと、この平均値と、図8中符号500に示すように制御ハンチングを抑制するためのヒステリシスを有する温度特性とに基づき、赤外線センサエレメントFrDr2、3、4、6、7、8、10、11、14、15に形成される所定温度分布(以下、単に、所定温度分布という)が乱れているか否かを判定する。
【0075】
例えば、上記それぞれの検出温度の平均値が中間領域(23.5℃〜26.5℃)にあるとき、当該所定温度分布が乱れていないとして、S340(1)に進む。また、上記それぞれの検出温度の平均値が中間領域より大きい場合或いは中間領域より小さい場合には、当該所定温度分布が乱れているとして、S330(0)に進む。
【0076】
この場合、赤外線センサエレメントFrDr10、11、14、15のそれぞれの検出温度の平均値と平均目標温度(例えば25℃)との温度差(平均値−平均目標温度)を求める。そして、この温度差(平均値−平均目標温度)に基づき、アクチュエータ13によりエアミックスダンパ12の開度SWを補正する。
【0077】
具体的には、図8中の符号501に示す特性に示すように、温度差(平均値−平均目標温度)が大きくなるにつれて、開度SWを「目標値+20%」から「目標値−20%」に近づくように補正する。「目標値」とは、上述の数式2で求められた開度の値で、「20%」とは、上述の数式2で求められた開度SWの目標値を100%とする開度の比率である。
【0078】
このような開度SWの補正は、所定期間(例えば、250msec)毎に行われる。このようにして、赤外線センサエレメントFrDr10、11、14、15のそれぞれの検出領域に近傍に配置されるフェイス吹出口100から吹き出す送風温度が調整されて、FrDr10、11、14、15のそれぞれの検出温度を、目標平均値に近づけるようになる。
【0079】
次に、S340に進んで、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値を求めると、この平均値と図8中符号502に示すように制御ハンチングを抑制するためのヒステリシスを有する温度特性とに基づき、所定温度分布が乱れた否かを判定する。
【0080】
例えば、赤外線センサエレメントFrDr2、6の検出温度が目的平均温度より低くて所定温度分布が乱れているとして、S370(0)に進んだとき、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を40%、60%となるようする。
【0081】
このことにより、FrDr2、6のそれぞれの検出領域の近傍において配置されたサイドウインドウ吹出口100dから吹き出される風量割合を増やすことになる。
【0082】
次に、S380に進むと、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値と、目的平均温度(23℃)とに基づき、補助ヒータ61cを制御する(S380)。
【0083】
具体的には、平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)が、図9中の符号504に示すように、「−5」から「0」に近づく程、補助ヒータ61cに流す電流を所定量「+Ca」から所定量「0」に減少させることになる。
【0084】
このように補助ヒータ61cを制御することにより、通路76を通過する送風を加熱するための熱量を増減する。これに伴い、FrDr2、6のそれぞれの検出領域に近傍に配置されるサイドウインドウ吹出口100dから吹き出す送風温度が上げられることになる。このため、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度が、それぞれ平均目標温度に近づけることができる。その後、S390に進む。
【0085】
また、上述したS340において、赤外線センサエレメントFrDr2、6の検出温度が目的平均温度より高くて所定温度分布が乱れているとして、S350に進んだときには、上述したS370と同様、配風比設定[天井面吹出口40%、サイドウインドウ吹出口60%]の処理を行う。これにより、FrDr2、6の検出領域の近傍に配置されるサイドウインドウ吹出口100dから吹き出す送風割合が増える。
【0086】
次に、S360に進んで、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値と、目的平均温度(23℃)とに基づき、アクチュエータ16によって、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを補正する。具体的には、平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)が図8中の符号503に示すように、「0」から「+5」に近づく程、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを増加させることになる。
【0087】
例えば、図8中の符号503では、温度差(平均値−目的平均温度)が「0」から「+5」に近づく程、開度SWBnの目標値(これは、上述のごとくTAOに基づき求められた値)から「目標値+20%」に増加させている。「20%」は、上述のごとく求められた目標値を100%とする開度の比率である。
【0088】
このようにバイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを調整すると、エバポレータ8から冷風バイパス通路14を通して通路76に流れ込む送風空気(冷風空気)が増加する。これに伴い、通路76内を流れる送風空気の温度が低下するので、赤外線センサエレメントFrDr2、6の検出領域の近傍に配置されるサイドウインドウ吹出口100dから吹き出される送風温度が下げられる。これに伴い、FrDr2、6のそれぞれの検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0089】
その後、S390に進と、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と、図9中符号505に示すように制御ハンチングを抑制するためのヒステリシスを有する温度特性とに基づき、所定温度分布が乱れたか否かを判定する。
【0090】
例えば、FrDr3、7の検出領域の温度が平均目標温度より低くて所定温度分布が乱れているとして、S400(0)に進んだ場合には、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を60%、40%となるようする。これにより、FrDr3、7の検出領域の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す風量割合を増やすことになる。
【0091】
次に、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と、目的平均温度(23℃)とに基づき、図9中の符号503に示すように、補助ヒータ61cを制御する(S420)。これに伴い、通路76内を通過する送風空気が過熱され、赤外線センサエレメントFrDr3、7の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出される送風温度が上昇して、FrDr3、7の検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。その後、S430に進む。
【0092】
また、上述したS390において、FrDr3、7の検出領域の温度が目標平均温度より高くて所定温度分布が乱れているとして、S410(2)に進んだ場合には、S400の処理と同様、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を60%、40%となるようする。
【0093】
次に、S421に進むと、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)と、図9中の符号503に示す特性とに基づき、S360の処理と同様、アクチュエータ16によって、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを補正することができる。このことにより、FrDr3、7の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す送風温度が調整されて、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0094】
次に、S430に進むと、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と、図10中符号506に示す制御ハンチングを抑制するためのヒステリシスを有する温度特性とに基づき、所定温度分布が乱れたか否かを判定する。
【0095】
例えば、FrDr4、8の検出温度が目標平均温度より低くて所定温度分布が乱れているとして、S450(0)に進んだ場合には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス吹出口100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を40%、60%となるようする。これにより、FrDr4、8の近傍に配置されるアームレスト吹出口100fから送風割合が増える。
【0096】
次に、S460に進むと、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と、目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、S380の場合と同様、図10中の符号504に示すように、補助ヒータ61aを制御する。これに伴い、FrDr4、8の近傍に配置されたアームレスト吹出口100fから吹き出される送風温度が調整されて、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0097】
また、上述したS430において、FrDr4、8の検出温度が目標平均温度より高くて所定温度分布が乱れているとして、S440(2)に進むときには、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、フェイス吹出口100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を40%、60%となるようする。
【0098】
次に、S470に進むと、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)とに基づき、補助冷却装置61aに流す電流値を制御する。具体的には、図10中の符号504に示す特性図とに基づき、温度差(平均値−目的平均温度)が「−5」から「0」に近づくほど、補助冷却装置61aに流す電流を所定値「+Cb0」から「0」に近づける。このことにより、温度差が「−5」から「0」に近づくほど、通路6を通過する送風空気から吸熱する熱量を減らすことになる。
【0099】
このようにして、通路6を通過する送風空気から吸熱するため、FrDr4、8の近傍に配置されるアームレスト吹出口100fから吹き出される送風温度が低下して、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけるようにすることができる。
【0100】
以下、本実施形態の特徴につき述べる。すなわち、制御装置4では、非接触温度センサ50によって、車室内の運転者の上半身を複数領域に区分けして表面温度を非接触で検出する。そして、非接触温度センサ50により検出された各領域の温度に基づき、フェイス100、アームレスト吹出口100f、フット吹出口100c、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのうち、所定温度分布の乱れた領域の近傍に配置される吹出口からの空調風の風量割合または吹出温度を制御できる。これに伴い、複数領域の所定温度分布の乱れを解消することができる。
【0101】
さらに、本実施形態では、乗員の設定した指示に基づく所定温度分布となるように、フェイス100、アームレスト吹出口100f、フット吹出口100c、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御している。これにより、例えば、乗員の設定した風速感、顔の温感に基づいて、温度分布を設定することができるので、乗員の設定で、目的の空調空間を実現できる。
【0102】
(第2実施形態)
本第2実施形態では、上記第1実施形態に対して、乗員の「風速感」の好みに合わせて、補助ヒータ(PCTヒータ)、補助冷却装置(ペルチェ素子)、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の制御処理を変えるようにする。
【0103】
本実施形態の制御装置4は、図8乃至図11に示すフローチャートに代わる図11乃至図13に示すフローチャートに従って、温度分布補正処理を実行する。なお、図11乃至図13において、図8乃至図11中の符号と同一符号のステップは、同一処理を示している。次に、本実施形態の温度分布補正処理について具体的に説明する。
【0104】
先ず、所定温度分布の設定処理(S300)を実行すると、S310aに移行して、配風比の初期設定処理を実行する。ここで、乗員、具体的には運転者に対して、風速感(これは、風が体に当たる感覚を意味する。)を、「嫌うか」、「好きか」、あるいは、「気にしない」をマニュアル操作により選ばせる。例えば、風速感を「嫌う」と選択した場合には、運転者に対して低い風速感になるようにする。
【0105】
具体的には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を70%、30%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を80%、20%となるようする。
【0106】
また、風速感を「気にしない」と選択した場合には、中間の風速感となるにするために、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を50%、50%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を70%、30%となるようする。
【0107】
さらに、風速感を「好き」と選択した場合には、高い風速感となるにするために、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を30%、70%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を50%、50%となるようする。
【0108】
このようにして、低い方の風速感に設定する程、フェイス100、アームレスト吹出口100fのうち、乗員から遠い位置に配置されるフェイス100からの風量割合を増やし、乗員から近い位置に配置されるアームレスト吹出口100fからの風量割合を減らす。さらに、低い方の風速感に設定する程、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのうち、広い吹出口面積(開口面積)を有する天井吹出口100eからの風量割合を多くし、狭い吹出口面積を有するサイドウインドウ吹出口100dからの風量割合を小さくする。このようにして、乗員が低い風速感を希望すると、空調風による低い風速感を感じるようになる。
【0109】
次に、温度分布乱れ判定処理(S320)、開度SWの補正処理(S330)、温度分布乱れ判定処理(S340)を処理後、この判定処理(S340)からS350aに移行した場合、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定比率(例えば10%)減らし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を所定比率(例えば10%)増やす。
【0110】
次に、S360aに進んで、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、アクチュエータ16によって、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを補正する。具体的には、図8中の符号503aに示す特性(温度差−開度SWBn補正量)に従って、温度差が大きくなるにつれて、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを増加させる。
【0111】
ここで、風速感を「気にしない」或いは「好き」と選択したときには、上記第1実施形態と同様に、符号503aにて実線で示す特性(実線)に従って、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを補正する。また、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、温度差に対する開度SWBn補正量の勾配が急である特性(鎖線)を用いて、開度SWBnを補正する。これにより、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、サイドウインドウ吹出口100d(これは、送風感の強い吹出口である)からの吹出割合の増加が早く終える。
【0112】
また、温度分布乱れ判定処理(S340)の処理後にS370aに移行した場合には、S350aと同様、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定比率(例えば10%)減らし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を所定比率(例えば10%)増やす。
【0113】
次に、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、符号503aに示すように、補助ヒータ61cを制御する(S380a)。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr2、6の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す送風温度が上昇して、FrDr3、7の検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0114】
ここで、風速感を「嫌い」と選択したときの温度差に対する開度SWBn補正量の特性(鎖線)は、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合の温度差に対する開度SWBn補正量の特性(実線)に比べて、急である。これにより、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、サイドウインドウ吹出口100d(これは、送風感の強い吹出口である)からの吹出割合の増加が早く終える。
【0115】
次に、温度分布乱れ判定処理(S390)を処理後に、S400aに移行した場合には、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定比率(例えば10%)増やし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を所定比率(例えば10%)減らす。
【0116】
これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、符号504aに示すように、補助ヒータ61cを制御する(S420a)。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr2、6の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す送風温度が上昇して、FrDr3、7の検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0117】
ここで、風速感を「嫌い」と選択したときの温度差に対する補助ヒータ61aへの通電電流の特性(鎖線)は、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合の温度差に対する補助ヒータ61aへの通電電流の特性(実線)に比べて、急である。これにより、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、天井吹出口100e(これは、送風感の強い吹出口である)からの吹出割合の増加が早く終える。
【0118】
また、温度分布乱れ判定処理(S390)の処理後にS370aに移行した場合には、S410aと同様、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定比率(例えば10%)増やし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を所定比率(例えば10%)減らす。
【0119】
次に、S421aに進むと、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度との温度差(平均値−目的平均温度)を基に、符号504aに示す特性(実線、鎖線)に従って、アクチュエータ16によって、バイパス開閉ダンパ15の開度SWBnを補正する。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr3、7の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す送風温度が低下する。
【0120】
ここで、S360aと同様、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、天井吹出口100eからの吹出割合の増加が早く終えるように、バイパス開閉ダンパ15の開度SWBnをアクチュエータ16により補正する。
【0121】
次に、温度分布乱れ判定処理(S430)の処理後に、S450aに進む場合には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス吹出口100からの風量割合を初期値から所定値(例えば10%)減らし、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を初期値から所定値(例えば10%)増やす。
【0122】
次に、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、符号504aに示すように、補助ヒータ61cを制御する(S420a)。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr4、8の近傍に配置されるアームレスト吹出口100fから吹き出す送風温度が低下する。
【0123】
ここで、風速感を「嫌い」と選択したときには、S380aと同様に、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、アームレスト吹出口100fからの吹出割合の増加が早く終えるように、ヒータ61aへの通電電流を制御する。
【0124】
次に、上述した温度分布乱れ判定処理(S430)の処理後に、S440aに進む場合には、S450aの処理と同様に、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御する。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度との温度差(平均値−目的平均温度)とに基づき、補助冷却装置61aに流す電流値(通電電流)を制御する。このようにして、FrDr4、8の近傍に配置されるアームレスト吹出口100fから吹き出す送風温度が低下する、
ここで、風速感を「嫌い」と選択したときの温度差に対する補助冷却装置61aへの通電電流の特性(鎖線)は、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合の温度差に対する補助冷却装置61aへの通電電流の特性(実線)に比べて、急である。これにより、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、アームレスト吹出口100fからの吹出割合の増加が早く終える。
【0125】
(第3実施形態)
本第3実施形態においては、助手席に乗員が不在のとき助手席側のセンタグリル吹出口101aからの送風を利用して運転席側の所定温度分布の乱れを解消するようにする。
【0126】
本実施形態での制御装置4は、図11乃至図13に示すフローチャートに代わる図14乃至図16に示すフローチャートに従って、温度分布補正処理を実行する。なお、図14乃至図16において、図8乃至図13中の符号と同一符号のステップは、同一処理を示している。
【0127】
本実施形態において、助手席側のセンタグリル吹出口101aには、この吹出口101aから吹き出される送風方向を変更可能に支持されるスイングルーバ(風向板)が設けられている。スイングルーバは、アクチュエータにより周期的にスイング動作して送風方向を助手席側から運転席側に亘り周期的に変更する。スイングルーバの具体的な構成は、特開2002−46446号公報と同様であるため、省略する。また、本実施形態では、制御装置4により、当該アクチュエータとともに、助手席側の空調装置を制御可能になっている。なお、助手席側の空調装置は、図2に示す構成と同様である。
【0128】
次に、上記構成による本実施形態の温度分布補正処理について具体的に説明する。
【0129】
先ず、所定温度分布の設定処理(S300)を実行すると、S310bに移行して、配風比の初期設定処理を実行する。ここで、運転者に対して、風速感を、「嫌うか」、「やや嫌う」「好きか」、あるいは、「気にしない」をマニュアル操作により選ばせる。
【0130】
例えば、風速感を「嫌う」、「好きか」、あるいは、「気にしない」と選択した場合には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を、S300の場合と同様の初期値となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を、上記第2実施形態で述べたS310aの処理の場合と同様の初期値となるようする。
【0131】
また、風速感を「やや嫌う」と選択した場合には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を60%、40%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を90%、10%となるようする。
【0132】
ここで、風速感を「嫌う」と選択した場合には、スイングルーバによって助手席側のセンタグリル吹出口101aからの送風方向が運転席側を向いている時間割合を「30%」とする。「30%」は、スイングルーバのスイング動作の一周期を100%とする比率である。また、風速感を「やや嫌う」と選択した場合には、スイングルーバによって助手席側のセンタグリル吹出口101aからの送風方向が運転席側を向いている時間割合を「20%」とする。
【0133】
さらに、赤外線センサエレメントFrDr2、3、4、6、7、8、10、11、14、15により検出されたそれぞれの検出表面温度の平均値に基づき、空調制御が過度期であるか或いは定常期であるかを図14中の符号600に示す特性に基づき判定する。具体的には、上記それぞれの検出表面温度の平均値が中間領域(18.0℃乃至32.0℃)内であるときには、定常期と判定し一方、上記平均値が中間領域より高い場合、あるいは低い場合には、過度期であると判定する。
【0134】
ここで、空調制御が過度期であると判定したときには、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100から吹き出す風量割合を初期値から所定値(10%)減らし、アームレスト吹出口100fから吹き出す風量割合を初期値から所定値(10%)増やす。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定値(10%)減らし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を初期値から増やす。
【0135】
このようにして、空調制御が過度期のときには、フェイス100およびアームレスト吹出口100fのうち通風経路の短いアームレスト吹出口100fから吹き出す風量割合を増やす。このとき、天井吹出口100eおよびサイドウインドウ吹出口100dのうち通風経路の短いサイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を増やす。このことにより、通風路による熱ロスを低減することができるので、目的とする空調状態に到達するまでの時間を短くすることができる。
【0136】
その後、上記第2実施形態と同様、温度分布乱れ判定処理(S320)、開度SWの補正処理(S330)、温度分布乱れ判定処理(S340)、配風比設定処理(S350a)、冷風バイパス開度補正処理(S360a)、配風比設定処理(図15中S370a)、補助ヒータ制御処理(図15中380a)、温度分布乱れ判定処理(図15中S390)、配風比設定処理(図15中S400a)、補助ヒータ制御処理(図15中420a)、配風比設定処理(図15中S410a)、冷風バイパス開度補正処理(図15中421a)を処理後、S600Aに移行する。
【0137】
ここで、風速感を「やや嫌う」あるいは「嫌う」と選択している場合には、図17に示す温度分布乱れ判定処理(S430)に移行する。そして、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値に基づき、FrDr4、8の検出領域の温度分布が乱れと判定したとき、赤外線センサエレメントFrDr4、8と平均目標温度との温度差(平均値−平均目標温度)に基づき、助手席側のアクチュエータ15によりエアミックスダンパ12の開度SWを補正する。
【0138】
具体的には、図17中の符号501に示す特性に示すように、温度差(平均値−平均目標温度)が大きくなるにつれて、助手席側のアクチュエータ15によりエアミックスダンパ12の開度SWを、増やす。このような開度SWを補正するので、助手席側のセンタグリル吹出口101aから吹き出される送風温度が調整され、この調整された送風が助手席側のセンタグリル吹出口101aから運転者に吹き出される。したがって、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度を、目標平均値に近づけるようになる。
【0139】
なお、図16中S600において、風速感を「気にしない」あるいは「好き」と選択している場合には、図16に示す温度分布乱れ判定処理(S430)、配風比設定処理(S440a)、補助ヒータ制御処理(S460)、配風比設定処理(S400a)、補助冷却処理(S460a)を処理する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用空調装置を示す図である。
【図2】図1の車両用空調装置の構成を示す図である。
【図3】図1の非接触温度センサの配置を示す図である。
【図4】図1の非接触温度センサの検出範囲を示す図である。
【図5】図1に示す制御装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示す制御装置の作動を説明するための図である。
【図7】図1に示す制御装置の作動を説明する為の図である。
【図8】図1に示す制御装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1に示す制御装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1に示す制御装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図12】上記第2実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図13】上記第2実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。上記第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図15】上記第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図16】上記第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図17】上記第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
50…非接触温度センサ50、100…フェイス、
アームレスト吹出口…100f、100c…フット吹出口、
100e…天井吹出口、100d…サイドウインドウ吹出口。
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触温度センサを用いて、車室内の空調状態を制御する車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の空調装置としては、運転者の上半身の一カ所の温度を赤外線センサにより検出し、この検出された温度に基づき、空調吹出口から運転者に向け吹き出される空調空気の吹出温度または風量を制御するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−172926号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車室内への日射方向が様々に変わるといった状況になると、上述のように、上半身の一カ所の温度検出だけでは、運転者およびその周辺の温度状態を適切に検出できない。したがって、車室内の空調状態を適切に制御できず、運転者の快適感を維持させることができないという問題がある。
【0005】
また、空調ゾーン毎の吹出温度を独立に制御可能な空調装置の場合に、運転者側の空調ゾーンが、助手席側の空調ゾーンからの影響を受けたり、或いは、風が当たるのを嫌う助手席者が風量を下げたりする場合にも、上半身の一カ所の温度検出だけでは、運転者およびその周辺の温度状態を適切に検出できない。
【0006】
本発明は、車両用空調装置において、乗員にとって快適な空調状態を提供できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、車室内の複数領域の温度を非接触で検出する非接触温度センサ(50)と、非接触温度センサにより検出された複数領域の温度に基づき、複数領域が所定温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明では、車室内の複数領域の温度を非接触で検出する非接触温度センサ(50)と、非接触温度センサにより検出された複数領域の温度に基づき、複数領域が乗員の設定した指示に基づく温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)と、を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、空調ゾーン毎の吹出温度を独立に制御可能な空調装置の場合において第1の空調ゾーンがそれに隣接する第2の空調ゾーンからの影響を受けたり、風が当たるのを嫌う乗員が風量を下げたり、日射方向が変化したりすると、複数領域の所定温度分布が乱れる。
【0010】
これに対して、請求項1、2に記載の発明によれば、複数領域の所定温度分布が乱れた場合に、複数の吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御するので、所定温度分布の乱れを解消することができるので、乗員にとって快適な空調状態を提供できる。
【0011】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、複数領域が乗員の設定した指示に基づく温度分布となるように複数の吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する。これにより、例えば、乗員の設定した風速感、顔の温感、足の温感に基づいて、複数領域を温度分布にすることができるので、乗員の設定で、目的の空調空間を実現できる。
【0012】
具体的には、請求項3に記載の発明のように、制御手段が、複数領域のうち温度分布の乱れた領域の近傍に配置される吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御するようにしてもよい。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、車室内の在席の空調ゾーンの温度を非接触で検出する非接触温度センサ(50)と、非接触温度センサにより検出された在席の空調ゾーンの温度に基づき、在席の空調ゾーンが所定の温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)からそれぞれ吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)と、を有することを特徴とする。
【0014】
ここで、在席の空調ゾーンとは、乗員の在席している座席側の空調ゾーンのことである。
【0015】
ここで、請求項4によれば、在席の空調ゾーンの所定の温度分布が乱れたとき、複数の吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御して、温度分布の乱れを解消させることができるので、乗員にとって快適な空調状態を提供できる。
【0016】
具体的には、請求項5に記載の発明のように、非接触温度センサは、空調ゾーンの温度を複数領域に区分けして非接触で検出するものであり、制御手段が、複数領域のうち温度分布の乱れた領域の近傍に配置された吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御するようにしてもよい。
【0017】
また、請求項6に記載の発明では、複数の吹出口から吹き出す風速感の高低の設定を乗員の操作により受けるようになっており、乗員により低い風速感が設定される程、複数の吹出口のうち開口面積の広い吹出口の風量割合が増加するようになっていることを特徴とする。
【0018】
これにより、乗員により低い風速感が設定される程、複数の吹出口のうち開口面積の広い吹出口の風量割合が増加するので、乗員が低い風速感を感じるようになる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、複数の吹出口から吹き出す風速感の高低の設定を乗員の操作により受けるようになっており、乗員により低い風速感が設定される程、複数の吹出口のうち乗員から遠い吹出口の風量割合が増加するようになっていることを特徴とする。
【0020】
この場合にも、乗員により低い風速感が設定される程、複数の吹出口のうち乗員から遠い吹出口の風量割合が増加するので、乗員が低い風速感を感じるようになる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、空調風の風量割合または吹出温度を制御する過渡期には、空調風の風量割合または吹出温度を制御する定常期に比べて、複数の吹出口のうち空調風の通風経路の短い吹出口が選択されてこの選択された吹出口から制御された空調風が吹き出されるようになっていることを特徴とする。
【0022】
これにより、過度期には、通風経路の短い吹出口が選択されるので、通風経路による熱損失の少ない吹出口が選択することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明では、車両用空調装置のコンピュータに、非接触温度センサ(50)により車室内の複数領域の温度を検出して、この検出された複数領域の温度に基づき、複数領域が所定温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)として機能させるためのプログラム。
【0024】
請求項10に記載の発明では、車両用空調装置のコンピュータに、非接触温度センサ(50)により車室内の複数領域の温度を検出して、この検出された複数領域の温度に基づき、複数領域が乗員の設定した指示に基づく温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)として機能させるためのプログラム。
【0025】
請求項11に記載の発明では、車両用空調装置のコンピュータに、非接触温度センサ(50)により車室内の在席の空調ゾーンの温度を非接触で検出し、この検出された空調ゾーンの温度に基づき、在席の空調ゾーンが所定の温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)として機能させるためのプログラム。
【0026】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1、図2に、本発明の車両用空調装置の第1実施形態を示す。図1は車両用空調装置が適用された車室内を示す図である。
【0028】
車両用空調装置は、運転席、助手席、右側後部座席、左側後部座席に対応する天井吹出口100e、101e、102e、103e、サイドウインドウ吹出口100d、101d、102d、103d、フェイス吹出口100、101、102a、103aを備えている。フェイス吹出口100としては、サイドグリル吹出口100a、センタグリル吹出口100bから構成され、フェイス吹出口101としては、サイドグリル吹出口101a、センタグリル吹出口101bから構成されている。
【0029】
さらに、運転席、助手席に対応してフット吹出口100c、101c、アームレスト吹出口100f、101fが設けられている。このような各吹出口から吹き出される空調風の温度、風量が座席毎に独立に制御されるようになっている。
【0030】
ここで、運転席、助手席に対する車両用空調装置としてそれぞれ同様に構成されたものを用いているため、以下、車両用空調装置において運転席に対応する空調制御について図2を用いて説明する。図2は車両用空調装置に概略構成を示す図である。なお、右側及び左側の後部座席に対する車両用空調装置の説明は省略する。
【0031】
車両用空調装置は、車室に向かって送風空気を送るための空調ユニット1を備えている。また、車両用空調装置には、空調ユニット1の上流において、吸込口に内気と外気とを切り替えて導入する内外気切替箱(内外気切替手段)を有する送風機3が取り付けられている。この送風機3は、空調ユニット1のダクト2内に車室へ向かう空気流を生じさせるもので、後述する制御装置4によって送風量が制御される。
【0032】
また、空調ユニット1のダクト2は、メイン通路5とこのメイン通路5から分岐された通路6、7、76とを備える。通路7は、メイン通路5からフット吹出口100cに送風を通過させる。フット吹出口100cは、インストルメントパネルにて下側後方に開口されて、乗員の足元に送風を吹き出す。
【0033】
通路6には、通路6a、6bが分岐されており、通路6aは、メイン通路5からの送風をフェイス吹出口100(100a、100b)に通過させるものである。フェイス吹出口100は、インストルメントパネルの下側に開口されて乗員の上半身に送風を吹き出す。通路6bは、メイン通路5からの送風をアームレスト吹出口100fに通過させる。アームレスト吹出口100fは、アームレストに開口されて、運転者の上半身に対してその左側から送風を吹き出す。
【0034】
通路76には、通路76a、76bが分岐されており、通路76aは、メイン通路5からの送風を天井面吹出口100eに通過させるものである。天井面吹出口100eは、天井から運転席の上半身に向けて送風を吹き出す。通路76bは、メイン通路5からの送風をサイドウインドウ吹出口100dに通過させるものである。サイドウインドウ吹出口100dは、Bピラーに開口されて運転者の上半身対してその右側から送風を吹き出す。
【0035】
なお、Bピラーは、前側サイドウインドシールドおよび後側サイドウインドシールドの間に配設されて屋根を支える柱である。
【0036】
そして、メイン通路5の上流には、通路内を通過する空気を冷却するエバポレータ8(冷却手段)が設けられている。このエバポレータ8は、冷凍サイクルの構成部品で、冷凍サイクルが後述する制御装置4に制御されることによって、エバポレータ8が作動する。
【0037】
エバポレータ8の下流のメイン通路5内には、通路内を通過する空気を加熱するヒータコア9(加熱手段)が設けられている。ヒータコア9は、図示しない車両走行用エンジンの冷却水(温水)の供給を受けて、メイン通路5内を通過する空気を加熱する。また、メイン通路5には、ヒータコア9による空気の加熱量を調節する加熱量調節手段10が設けられている。
【0038】
加熱量調節手段10は、ヒータコア9をバイパスするようにメイン通路5内に設けられた加熱調節用バイパス通路11と、ヒータコア9を通過する空気量と加熱調節用バイパス通路11を通過する空気量とを調節するエアミックスダンパ12(A/Mドア)とからなる。このエアミックスダンパ12は、アクチュエータ13(例えば、サーボモータ)によって開度が制御され、このアクチュエータ13は後述する制御装置4によって制御される。
【0039】
また、ダクト2は、エバポレータ8を通過した冷風を、加熱量調節手段10をバイパスして直接、通路76内へ導くための冷風バイパス通路14を備える。この冷風バイパス通路14の上流には、冷風バイパス通路14の開閉を行うとともに、開度調節を行うバイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)が設けられている。このバイパス開閉ダンパ15は、アクチュエータ16(例えば、サーボモータ)によって駆動され、このアクチュエータ16は後述する制御装置4によって制御される。
【0040】
ここで、通路76には、冷風バイパス通路14を通過する送風とメイン通路5を通過する送風とが混合されて流れ込むことになる。このことにより、通路76に流れ込む送風空気の温度としては、空気の温度は、加熱量調節手段10、冷風バイパス通路14、およびバイパス開閉ダンパ15等によって調節されようになっている。
【0041】
さらに、通路6と通路7との分岐する部分には、通路6、76を閉じて通路7を開く、通路7を閉じて通路6、76を開く、あるいは、通路6、7、76の全てを開くための通路開閉ダンパ17(通路開閉手段)が設けられている。この通路開閉ダンパ17は、アクチュエータ18(例えば、サーボモータ)によって駆動され、このアクチュエータ18は、後述する制御装置4によって制御される。
【0042】
また、通路6のうち通路6aと通路6bとの分岐する部分には、通路6aを通過する空気量と通路6bを通過する空気量とを調整する空気量調整ダンパ120が設けられている。空気量調整ダンパ120は、アクチュエータ121によって駆動され、このアクチュエータ18は、後述する制御装置4によって制御される。さらに、通路6のうち空気量調整ダンパ120の上流側には、補助ヒータ(具体的にはPCTヒータ)61aおよび補助冷却装置(具体的にはペルチェ素子)62aが備えられている。
【0043】
ここで、補助ヒータ61aは、その放熱フィンにより通路6内を通過する送風を加熱するものであり、補助冷却装置62aは、通路6内を通過する送風から吸熱して通路6の外に廃熱するものである。補助ヒータ61aおよび補助冷却装置62aは、制御装置4によって制御される。
【0044】
さらに、通路7内には、補助ヒータ(具体的にはPCTヒータ)61bおよび補助冷却装置(具体的にはペルチェ素子)62bが備えられており、補助ヒータ61bは、その放熱フィンによって通路7内を通過する送風を加熱するものであり、補助冷却装置62bは、通路7内を通過する送風から吸熱して通路7の外に廃熱するものである。補助ヒータ61bおよび補助冷却装置62bは、制御装置4によって制御される。
【0045】
そして、通路76のうち通路76aと通路76bとの分岐する部分には、通路76aを通過する空気量と通路76bを通過する空気量とを調整する空気量調整ダンパ123が設けられている。空気量調整ダンパ123は、アクチュエータ122によって駆動され、このアクチュエータ122は、後述する制御装置4によって制御される。さらに、通路76のうち空気量調整ダンパ122の上流側には、補助ヒータ(具体的にはPCTヒータ)61cが備えられている。補助ヒータ61cは、その放熱フィンにより通路6内を通過する送風を加熱する。補助ヒータ61cは制御装置4によって制御される。
【0046】
また、制御装置4は、コンピュータを搭載するもので、乗員の操作状態や各種センサの入力値に応じて、車両用空調装置の各電気部品を通電制御する。この制御装置4は、乗員の操作を受ける操作パネル(図示しない)を備える。この操作パネルには、オートエアコンスイッチ(図示しない)、各種モード切替スイッチ(図示しない)の他に、車室内の温度を設定する温度設定器19を備える。
【0047】
また、車両用空調装置は、各種センサとして、車室外の温度を検出する外気センサ21、車室内に進入する日射量を検出する日射センサ22、エバポレータ8を通過した温度を検出するエバ後センサ23、ヒータコア9の冷却水温を検出する水温センサ24を備える。
【0048】
車両用空調装置は、非接触温度センサ50(例えば、サーモパイル型検出素子)を備えており、非接触温度センサ50は、図3に示すように、車室内にてルームミラーの近傍に配置されたもので、図4に示すごとく、運転者に向けて配置されている。
【0049】
ここで、非接触温度センサ50は、複数の赤外線センサエレメントFrDr1乃至FrDr16を2次元的に配列して構成されており、非接触温度センサ50は、運転者およびその周囲の表面を構成する複数領域の温度を赤外線センサエレメント毎に検出する。具体的には、非接触温度センサ50は、運転者およびその周囲の表面から入射される赤外線に対応する起電力を赤外線センサエレメント毎に発生することになる。
【0050】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を図5、図8乃至10のフローチャートに従って説明する。
【0051】
制御装置4は、電源が投入されると、メモリに記憶された制御プログラム(コンピュータプログラム)をスタートして、図5、図8乃至10に示すフローチャートに従って空調制御処理を実行する。
【0052】
ここで、空調制御処理としては、図5に示す基本制御処理と、図8乃至10に示す温度分布補正処理とから構成されるもので、基本制御処理および温度分布補正処理は、交互に実行されるものである。
【0053】
先ず、基本制御処理について説明すると、制御装置4は、非接触温度センサ50より検出された運転者の表面温度、具体的には、赤外線センサエレメントFrDr2、3、4、6、7、8、10、11、14、15のそれぞれにより検出された検出表面温度を取得する。検出表面温度の取得は、一定期間(例えば、250msec)毎に行われる。そして、それぞれの検出表面温度を平均化して平均温度(以下、乗員まわり温度TIR(1)という)を求める(S210)。
【0054】
次に、この求められた今回の乗員まわり温度TIR(1)と、過去の5回のS210の処理で取得された5個の乗員まわり温度TIR(1)とを平均して平均乗員まわり温度TIR(16)を求める(S230)。
【0055】
そして、平均乗員まわり温度TIR(16)、温度設定器19の設定温度TSET、外気センサ21の検出温度信号TAMdispを基に、必要吹出温度TAOを次の数式1により算出する。なお、Kset(=7.0)は設定温度係数で、Kir(=5.1)はIR係数、Kam(=1.0)は外気温係数で、C(=−45)は補正常数である。
【0056】
【数1】
TAO=Kset・TSET−KIR・TIR(16)−Kam・TAMdisp+C
次に、制御装置4は、必要吹出温度TAOに基づき、送風機3のブロアレベル(送風量)を決定する。具体的には、TAOが中間領域では、一定の送風量とし、TAOが中間領域より低くなるほど送風量が増加し、さらにTAOが中間領域より高くなるほど送風量が増加するようになっている。そして、このように決定された送風量を発生させるように送風機3を制御することになる。なお、目的送風量としては、乗員によるマニュアル操作によっても設定されるようになっている。
【0057】
次に、制御装置4は、必要吹出温度TAO、エバ後センサ23の検出温度Te、水温センサ24の検出温度Twを次の数式2に代入して、エアミックスダンパ12の開度SWの目標値を決定する。そして、この決定された開度SWBの目標値にエアミックスダンパ12の開度を近づけるようにアクチュエータ15を制御する。
【0058】
【数2】
SW={TAO−Te)/(Tw−Te)}×100(%)
次に、制御装置4は、平均乗員まわり温度TIR16、日射センサ22の検出日射量Ts、温度設定器19による設定温度Tsetに基づき、バイパス開閉ダンパ15(冷B/Pドア:冷風バイパスドア)の開度SWBnを求める。
【0059】
先ず、図6に示すように、制御ハンチングを抑制するようにヒステリシスを有する特性に基づき、バイパス開閉ダンパ15(冷B/Pドア:冷風バイパスドア)を開けるか、閉じるかを決定する。そして、バイパス開閉ダンパ15の開度SWBnとしては、設定温度Tsetと平均乗員まわり温度TIR16との温度差(Tset−TIR16)に基づき決定されるものである。
【0060】
具体的には、図7に示すように、温度差(Tset−TIR16)が所定値b1未満ならば、開度SWBnが100%の比率で開ける。そして温度差(Tset−TIR16)が、所定値b1からその所定値b1より大きい所定値b2に近づくにつれて、開度SWBnが徐々に小さくなる。また、温度差(Tset−TIR16)が、所定値b2より大きくなると、開度SWBnが閉じる。このように決定された開度SWBnにバイパス開閉ダンパ15の開度を近づけるようにアクチュエータ16を制御する。
【0061】
次に、制御装置4が、必要吹出温度TAOに基づき、バイレベルモード、フェイスモード、フットモードのうち1つのモードを吹出モードとして自動的に設定する。具体的には、必要吹出温度TAOが高くなる程、フェイスモード、バイレベルモード、フットモードの順に切り替わるようになっている。
【0062】
ここで、バイレベルモード時には、アクチュエータ18により通路開閉ダンパ17を制御して、通路7および通路6、76の全てを開ける。この場合の概略的作動を説明すると、送風機3から送風される送風空気がエバポレータ8により冷却されると、この冷却された送風空気が、バイパス開閉ダンパ15によって、冷風バイパス通路14に流れ込む送風空気と、メイン通路5に流れ込む送風空気とに分流される。
【0063】
これに伴い、メイン通路5に流れ込んだ送風空気が、エアミックスダンパ12によって、加熱調節用バイパス通路11に流れ込む送風空気と、ヒータコア9に流れ込む送風空気とに分流される。当該送風空気が、ヒータコア9によって過熱されて、この過熱された送風空気が、加熱調節用バイパス通路11を通過する送風空気とともに混合する。すると、この混合された送風空気が、通路6、7、76に流れ込む。
【0064】
ここで、通路6内においては、送風空気が補助ヒータ61aおよび補助冷却装置62aによって温度調節される。そして、この送風空気が、空気量調整ダンパ120によって通路6aに流れ込む送風空気と、通路6bに流れ込む送風空気とに分流される。通路6aに流れ込む送風空気は、フェイス吹出口100から吹き出され、通路6bに流れ込む送風空気はアームレスト吹出口100fから吹き出される。
【0065】
また、通路7内においては、送風空気が補助ヒータ61bおよび補助冷却装置62bによって温度調節される。そして、この送風空気がフット吹出口100cから吹き出される。
【0066】
さらに、通路76においては、冷風バイパス通路14を通過した送風空気と、メイン通路5から流れ込む送風空気とが混合され、この混合される送風空気が、補助ヒータ61cによって温度調節される。そして、この送風空気が、空気量調整ダンパ123によって通路76aに流れ込む送風空気と、通路76bに流れ込む送風空気とに分流される。そして、通路76aに流れ込む送風空気は、天井面吹出口100eから吹き出され、通路76bに流れ込む送風空気はサイドウインドウ吹出口100dから吹き出される。
【0067】
ここで、バイレベルモード時ではなく、フェイスモード時には、アクチュエータ18により通路開閉ダンパ17を制御して、通路7を閉じて通路6、76を開ける。
【0068】
これに伴い、バイレベルモード時と同様、送風空気が、天井面吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100d、フェイス吹出口100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出される。しかし、通路7が閉じられるので、メイン通路5から通路7内に送風空気が流れ込まなくなり、フット吹出口100cから送風空気が吹き出されなくなる。
【0069】
さらに、フットモード時には、アクチュエータ16によりバイパス開閉ダンパ15を制御して、冷風バイパス通路14を閉じ、更に、アクチュエータ18により通路開閉ダンパ17を制御して、通路7を開けて通路6、76を閉じる。
【0070】
これに伴い、メイン通路5から通路7内に流れ込んだ送風空気が補助ヒータ61bおよび補助冷却装置62bによって温度調節されて、この温度調節された送風空気がフット吹出口100cから吹き出される。しかし、通路6、14が閉じられるので、天井面吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100d、フェイス吹出口100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから送風空気が吹き出されなくなる。
【0071】
次に、制御装置4による温度分布補正処理について、図8乃至図10を用いて説明する。先ず、非接触温度センサ50の各検出領域(複数領域)が所定温度分布となるように設定する(図8中S300)。
【0072】
具体的には、赤外線センサエレメントFrDr2、6の検出領域の平均目標温度を23±1.5℃、赤外線センサエレメントFrDr3、7の検出領域の平均目標温度を23±1.5℃、赤外線センサエレメントFrDr4、8の検出領域の平均目標温度を23±1.5℃、赤外線センサエレメントFrDr10、11、14、15の検出領域の平均目標温度を25±1.5℃とする。
【0073】
次に、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を70%、30%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を50%、50%となるようする。(S310)。
【0074】
次に、赤外線センサエレメントFrDr10、11、14、15のそれぞれの検出温度の平均値を求めと、この平均値と、図8中符号500に示すように制御ハンチングを抑制するためのヒステリシスを有する温度特性とに基づき、赤外線センサエレメントFrDr2、3、4、6、7、8、10、11、14、15に形成される所定温度分布(以下、単に、所定温度分布という)が乱れているか否かを判定する。
【0075】
例えば、上記それぞれの検出温度の平均値が中間領域(23.5℃〜26.5℃)にあるとき、当該所定温度分布が乱れていないとして、S340(1)に進む。また、上記それぞれの検出温度の平均値が中間領域より大きい場合或いは中間領域より小さい場合には、当該所定温度分布が乱れているとして、S330(0)に進む。
【0076】
この場合、赤外線センサエレメントFrDr10、11、14、15のそれぞれの検出温度の平均値と平均目標温度(例えば25℃)との温度差(平均値−平均目標温度)を求める。そして、この温度差(平均値−平均目標温度)に基づき、アクチュエータ13によりエアミックスダンパ12の開度SWを補正する。
【0077】
具体的には、図8中の符号501に示す特性に示すように、温度差(平均値−平均目標温度)が大きくなるにつれて、開度SWを「目標値+20%」から「目標値−20%」に近づくように補正する。「目標値」とは、上述の数式2で求められた開度の値で、「20%」とは、上述の数式2で求められた開度SWの目標値を100%とする開度の比率である。
【0078】
このような開度SWの補正は、所定期間(例えば、250msec)毎に行われる。このようにして、赤外線センサエレメントFrDr10、11、14、15のそれぞれの検出領域に近傍に配置されるフェイス吹出口100から吹き出す送風温度が調整されて、FrDr10、11、14、15のそれぞれの検出温度を、目標平均値に近づけるようになる。
【0079】
次に、S340に進んで、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値を求めると、この平均値と図8中符号502に示すように制御ハンチングを抑制するためのヒステリシスを有する温度特性とに基づき、所定温度分布が乱れた否かを判定する。
【0080】
例えば、赤外線センサエレメントFrDr2、6の検出温度が目的平均温度より低くて所定温度分布が乱れているとして、S370(0)に進んだとき、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を40%、60%となるようする。
【0081】
このことにより、FrDr2、6のそれぞれの検出領域の近傍において配置されたサイドウインドウ吹出口100dから吹き出される風量割合を増やすことになる。
【0082】
次に、S380に進むと、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値と、目的平均温度(23℃)とに基づき、補助ヒータ61cを制御する(S380)。
【0083】
具体的には、平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)が、図9中の符号504に示すように、「−5」から「0」に近づく程、補助ヒータ61cに流す電流を所定量「+Ca」から所定量「0」に減少させることになる。
【0084】
このように補助ヒータ61cを制御することにより、通路76を通過する送風を加熱するための熱量を増減する。これに伴い、FrDr2、6のそれぞれの検出領域に近傍に配置されるサイドウインドウ吹出口100dから吹き出す送風温度が上げられることになる。このため、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度が、それぞれ平均目標温度に近づけることができる。その後、S390に進む。
【0085】
また、上述したS340において、赤外線センサエレメントFrDr2、6の検出温度が目的平均温度より高くて所定温度分布が乱れているとして、S350に進んだときには、上述したS370と同様、配風比設定[天井面吹出口40%、サイドウインドウ吹出口60%]の処理を行う。これにより、FrDr2、6の検出領域の近傍に配置されるサイドウインドウ吹出口100dから吹き出す送風割合が増える。
【0086】
次に、S360に進んで、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値と、目的平均温度(23℃)とに基づき、アクチュエータ16によって、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを補正する。具体的には、平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)が図8中の符号503に示すように、「0」から「+5」に近づく程、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを増加させることになる。
【0087】
例えば、図8中の符号503では、温度差(平均値−目的平均温度)が「0」から「+5」に近づく程、開度SWBnの目標値(これは、上述のごとくTAOに基づき求められた値)から「目標値+20%」に増加させている。「20%」は、上述のごとく求められた目標値を100%とする開度の比率である。
【0088】
このようにバイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを調整すると、エバポレータ8から冷風バイパス通路14を通して通路76に流れ込む送風空気(冷風空気)が増加する。これに伴い、通路76内を流れる送風空気の温度が低下するので、赤外線センサエレメントFrDr2、6の検出領域の近傍に配置されるサイドウインドウ吹出口100dから吹き出される送風温度が下げられる。これに伴い、FrDr2、6のそれぞれの検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0089】
その後、S390に進と、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と、図9中符号505に示すように制御ハンチングを抑制するためのヒステリシスを有する温度特性とに基づき、所定温度分布が乱れたか否かを判定する。
【0090】
例えば、FrDr3、7の検出領域の温度が平均目標温度より低くて所定温度分布が乱れているとして、S400(0)に進んだ場合には、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を60%、40%となるようする。これにより、FrDr3、7の検出領域の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す風量割合を増やすことになる。
【0091】
次に、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と、目的平均温度(23℃)とに基づき、図9中の符号503に示すように、補助ヒータ61cを制御する(S420)。これに伴い、通路76内を通過する送風空気が過熱され、赤外線センサエレメントFrDr3、7の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出される送風温度が上昇して、FrDr3、7の検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。その後、S430に進む。
【0092】
また、上述したS390において、FrDr3、7の検出領域の温度が目標平均温度より高くて所定温度分布が乱れているとして、S410(2)に進んだ場合には、S400の処理と同様、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を60%、40%となるようする。
【0093】
次に、S421に進むと、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)と、図9中の符号503に示す特性とに基づき、S360の処理と同様、アクチュエータ16によって、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを補正することができる。このことにより、FrDr3、7の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す送風温度が調整されて、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0094】
次に、S430に進むと、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と、図10中符号506に示す制御ハンチングを抑制するためのヒステリシスを有する温度特性とに基づき、所定温度分布が乱れたか否かを判定する。
【0095】
例えば、FrDr4、8の検出温度が目標平均温度より低くて所定温度分布が乱れているとして、S450(0)に進んだ場合には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス吹出口100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を40%、60%となるようする。これにより、FrDr4、8の近傍に配置されるアームレスト吹出口100fから送風割合が増える。
【0096】
次に、S460に進むと、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と、目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、S380の場合と同様、図10中の符号504に示すように、補助ヒータ61aを制御する。これに伴い、FrDr4、8の近傍に配置されたアームレスト吹出口100fから吹き出される送風温度が調整されて、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0097】
また、上述したS430において、FrDr4、8の検出温度が目標平均温度より高くて所定温度分布が乱れているとして、S440(2)に進むときには、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、フェイス吹出口100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を40%、60%となるようする。
【0098】
次に、S470に進むと、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)とに基づき、補助冷却装置61aに流す電流値を制御する。具体的には、図10中の符号504に示す特性図とに基づき、温度差(平均値−目的平均温度)が「−5」から「0」に近づくほど、補助冷却装置61aに流す電流を所定値「+Cb0」から「0」に近づける。このことにより、温度差が「−5」から「0」に近づくほど、通路6を通過する送風空気から吸熱する熱量を減らすことになる。
【0099】
このようにして、通路6を通過する送風空気から吸熱するため、FrDr4、8の近傍に配置されるアームレスト吹出口100fから吹き出される送風温度が低下して、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけるようにすることができる。
【0100】
以下、本実施形態の特徴につき述べる。すなわち、制御装置4では、非接触温度センサ50によって、車室内の運転者の上半身を複数領域に区分けして表面温度を非接触で検出する。そして、非接触温度センサ50により検出された各領域の温度に基づき、フェイス100、アームレスト吹出口100f、フット吹出口100c、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのうち、所定温度分布の乱れた領域の近傍に配置される吹出口からの空調風の風量割合または吹出温度を制御できる。これに伴い、複数領域の所定温度分布の乱れを解消することができる。
【0101】
さらに、本実施形態では、乗員の設定した指示に基づく所定温度分布となるように、フェイス100、アームレスト吹出口100f、フット吹出口100c、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御している。これにより、例えば、乗員の設定した風速感、顔の温感に基づいて、温度分布を設定することができるので、乗員の設定で、目的の空調空間を実現できる。
【0102】
(第2実施形態)
本第2実施形態では、上記第1実施形態に対して、乗員の「風速感」の好みに合わせて、補助ヒータ(PCTヒータ)、補助冷却装置(ペルチェ素子)、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の制御処理を変えるようにする。
【0103】
本実施形態の制御装置4は、図8乃至図11に示すフローチャートに代わる図11乃至図13に示すフローチャートに従って、温度分布補正処理を実行する。なお、図11乃至図13において、図8乃至図11中の符号と同一符号のステップは、同一処理を示している。次に、本実施形態の温度分布補正処理について具体的に説明する。
【0104】
先ず、所定温度分布の設定処理(S300)を実行すると、S310aに移行して、配風比の初期設定処理を実行する。ここで、乗員、具体的には運転者に対して、風速感(これは、風が体に当たる感覚を意味する。)を、「嫌うか」、「好きか」、あるいは、「気にしない」をマニュアル操作により選ばせる。例えば、風速感を「嫌う」と選択した場合には、運転者に対して低い風速感になるようにする。
【0105】
具体的には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を70%、30%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を80%、20%となるようする。
【0106】
また、風速感を「気にしない」と選択した場合には、中間の風速感となるにするために、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を50%、50%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を70%、30%となるようする。
【0107】
さらに、風速感を「好き」と選択した場合には、高い風速感となるにするために、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を30%、70%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を50%、50%となるようする。
【0108】
このようにして、低い方の風速感に設定する程、フェイス100、アームレスト吹出口100fのうち、乗員から遠い位置に配置されるフェイス100からの風量割合を増やし、乗員から近い位置に配置されるアームレスト吹出口100fからの風量割合を減らす。さらに、低い方の風速感に設定する程、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのうち、広い吹出口面積(開口面積)を有する天井吹出口100eからの風量割合を多くし、狭い吹出口面積を有するサイドウインドウ吹出口100dからの風量割合を小さくする。このようにして、乗員が低い風速感を希望すると、空調風による低い風速感を感じるようになる。
【0109】
次に、温度分布乱れ判定処理(S320)、開度SWの補正処理(S330)、温度分布乱れ判定処理(S340)を処理後、この判定処理(S340)からS350aに移行した場合、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定比率(例えば10%)減らし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を所定比率(例えば10%)増やす。
【0110】
次に、S360aに進んで、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、アクチュエータ16によって、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを補正する。具体的には、図8中の符号503aに示す特性(温度差−開度SWBn補正量)に従って、温度差が大きくなるにつれて、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを増加させる。
【0111】
ここで、風速感を「気にしない」或いは「好き」と選択したときには、上記第1実施形態と同様に、符号503aにて実線で示す特性(実線)に従って、バイパス開閉ダンパ15(冷風バイパスドア)の開度SWBnを補正する。また、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、温度差に対する開度SWBn補正量の勾配が急である特性(鎖線)を用いて、開度SWBnを補正する。これにより、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、サイドウインドウ吹出口100d(これは、送風感の強い吹出口である)からの吹出割合の増加が早く終える。
【0112】
また、温度分布乱れ判定処理(S340)の処理後にS370aに移行した場合には、S350aと同様、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定比率(例えば10%)減らし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を所定比率(例えば10%)増やす。
【0113】
次に、赤外線センサエレメントFrDr2、6のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、符号503aに示すように、補助ヒータ61cを制御する(S380a)。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr2、6の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す送風温度が上昇して、FrDr3、7の検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0114】
ここで、風速感を「嫌い」と選択したときの温度差に対する開度SWBn補正量の特性(鎖線)は、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合の温度差に対する開度SWBn補正量の特性(実線)に比べて、急である。これにより、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、サイドウインドウ吹出口100d(これは、送風感の強い吹出口である)からの吹出割合の増加が早く終える。
【0115】
次に、温度分布乱れ判定処理(S390)を処理後に、S400aに移行した場合には、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定比率(例えば10%)増やし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を所定比率(例えば10%)減らす。
【0116】
これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、符号504aに示すように、補助ヒータ61cを制御する(S420a)。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr2、6の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す送風温度が上昇して、FrDr3、7の検出温度が、それぞれ目標平均温度に近づけることができる。
【0117】
ここで、風速感を「嫌い」と選択したときの温度差に対する補助ヒータ61aへの通電電流の特性(鎖線)は、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合の温度差に対する補助ヒータ61aへの通電電流の特性(実線)に比べて、急である。これにより、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、天井吹出口100e(これは、送風感の強い吹出口である)からの吹出割合の増加が早く終える。
【0118】
また、温度分布乱れ判定処理(S390)の処理後にS370aに移行した場合には、S410aと同様、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定比率(例えば10%)増やし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を所定比率(例えば10%)減らす。
【0119】
次に、S421aに進むと、赤外線センサエレメントFrDr3、7のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度との温度差(平均値−目的平均温度)を基に、符号504aに示す特性(実線、鎖線)に従って、アクチュエータ16によって、バイパス開閉ダンパ15の開度SWBnを補正する。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr3、7の近傍に配置される天井吹出口100eから吹き出す送風温度が低下する。
【0120】
ここで、S360aと同様、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、天井吹出口100eからの吹出割合の増加が早く終えるように、バイパス開閉ダンパ15の開度SWBnをアクチュエータ16により補正する。
【0121】
次に、温度分布乱れ判定処理(S430)の処理後に、S450aに進む場合には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス吹出口100からの風量割合を初期値から所定値(例えば10%)減らし、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を初期値から所定値(例えば10%)増やす。
【0122】
次に、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度(23℃)との温度差(平均値−目的平均温度)に基づき、符号504aに示すように、補助ヒータ61cを制御する(S420a)。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr4、8の近傍に配置されるアームレスト吹出口100fから吹き出す送風温度が低下する。
【0123】
ここで、風速感を「嫌い」と選択したときには、S380aと同様に、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、アームレスト吹出口100fからの吹出割合の増加が早く終えるように、ヒータ61aへの通電電流を制御する。
【0124】
次に、上述した温度分布乱れ判定処理(S430)の処理後に、S440aに進む場合には、S450aの処理と同様に、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御する。これに伴い、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値と目的平均温度との温度差(平均値−目的平均温度)とに基づき、補助冷却装置61aに流す電流値(通電電流)を制御する。このようにして、FrDr4、8の近傍に配置されるアームレスト吹出口100fから吹き出す送風温度が低下する、
ここで、風速感を「嫌い」と選択したときの温度差に対する補助冷却装置61aへの通電電流の特性(鎖線)は、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合の温度差に対する補助冷却装置61aへの通電電流の特性(実線)に比べて、急である。これにより、風速感を「嫌い」と選択したときには、「気にしない」或いは「好き」と選択した場合に比べて、アームレスト吹出口100fからの吹出割合の増加が早く終える。
【0125】
(第3実施形態)
本第3実施形態においては、助手席に乗員が不在のとき助手席側のセンタグリル吹出口101aからの送風を利用して運転席側の所定温度分布の乱れを解消するようにする。
【0126】
本実施形態での制御装置4は、図11乃至図13に示すフローチャートに代わる図14乃至図16に示すフローチャートに従って、温度分布補正処理を実行する。なお、図14乃至図16において、図8乃至図13中の符号と同一符号のステップは、同一処理を示している。
【0127】
本実施形態において、助手席側のセンタグリル吹出口101aには、この吹出口101aから吹き出される送風方向を変更可能に支持されるスイングルーバ(風向板)が設けられている。スイングルーバは、アクチュエータにより周期的にスイング動作して送風方向を助手席側から運転席側に亘り周期的に変更する。スイングルーバの具体的な構成は、特開2002−46446号公報と同様であるため、省略する。また、本実施形態では、制御装置4により、当該アクチュエータとともに、助手席側の空調装置を制御可能になっている。なお、助手席側の空調装置は、図2に示す構成と同様である。
【0128】
次に、上記構成による本実施形態の温度分布補正処理について具体的に説明する。
【0129】
先ず、所定温度分布の設定処理(S300)を実行すると、S310bに移行して、配風比の初期設定処理を実行する。ここで、運転者に対して、風速感を、「嫌うか」、「やや嫌う」「好きか」、あるいは、「気にしない」をマニュアル操作により選ばせる。
【0130】
例えば、風速感を「嫌う」、「好きか」、あるいは、「気にしない」と選択した場合には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合を、S300の場合と同様の初期値となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合を、上記第2実施形態で述べたS310aの処理の場合と同様の初期値となるようする。
【0131】
また、風速感を「やや嫌う」と選択した場合には、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100、アームレスト吹出口100fのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を60%、40%となるようする。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100e、サイドウインドウ吹出口100dのそれぞれから吹き出す風量割合の初期値を90%、10%となるようする。
【0132】
ここで、風速感を「嫌う」と選択した場合には、スイングルーバによって助手席側のセンタグリル吹出口101aからの送風方向が運転席側を向いている時間割合を「30%」とする。「30%」は、スイングルーバのスイング動作の一周期を100%とする比率である。また、風速感を「やや嫌う」と選択した場合には、スイングルーバによって助手席側のセンタグリル吹出口101aからの送風方向が運転席側を向いている時間割合を「20%」とする。
【0133】
さらに、赤外線センサエレメントFrDr2、3、4、6、7、8、10、11、14、15により検出されたそれぞれの検出表面温度の平均値に基づき、空調制御が過度期であるか或いは定常期であるかを図14中の符号600に示す特性に基づき判定する。具体的には、上記それぞれの検出表面温度の平均値が中間領域(18.0℃乃至32.0℃)内であるときには、定常期と判定し一方、上記平均値が中間領域より高い場合、あるいは低い場合には、過度期であると判定する。
【0134】
ここで、空調制御が過度期であると判定したときには、アクチュエータ121により空気量調整ダンパ120を制御して、フェイス100から吹き出す風量割合を初期値から所定値(10%)減らし、アームレスト吹出口100fから吹き出す風量割合を初期値から所定値(10%)増やす。さらに、アクチュエータ122により空気量調整ダンパ123を制御して、天井吹出口100eから吹き出す風量割合を初期値から所定値(10%)減らし、サイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を初期値から増やす。
【0135】
このようにして、空調制御が過度期のときには、フェイス100およびアームレスト吹出口100fのうち通風経路の短いアームレスト吹出口100fから吹き出す風量割合を増やす。このとき、天井吹出口100eおよびサイドウインドウ吹出口100dのうち通風経路の短いサイドウインドウ吹出口100dから吹き出す風量割合を増やす。このことにより、通風路による熱ロスを低減することができるので、目的とする空調状態に到達するまでの時間を短くすることができる。
【0136】
その後、上記第2実施形態と同様、温度分布乱れ判定処理(S320)、開度SWの補正処理(S330)、温度分布乱れ判定処理(S340)、配風比設定処理(S350a)、冷風バイパス開度補正処理(S360a)、配風比設定処理(図15中S370a)、補助ヒータ制御処理(図15中380a)、温度分布乱れ判定処理(図15中S390)、配風比設定処理(図15中S400a)、補助ヒータ制御処理(図15中420a)、配風比設定処理(図15中S410a)、冷風バイパス開度補正処理(図15中421a)を処理後、S600Aに移行する。
【0137】
ここで、風速感を「やや嫌う」あるいは「嫌う」と選択している場合には、図17に示す温度分布乱れ判定処理(S430)に移行する。そして、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度の平均値に基づき、FrDr4、8の検出領域の温度分布が乱れと判定したとき、赤外線センサエレメントFrDr4、8と平均目標温度との温度差(平均値−平均目標温度)に基づき、助手席側のアクチュエータ15によりエアミックスダンパ12の開度SWを補正する。
【0138】
具体的には、図17中の符号501に示す特性に示すように、温度差(平均値−平均目標温度)が大きくなるにつれて、助手席側のアクチュエータ15によりエアミックスダンパ12の開度SWを、増やす。このような開度SWを補正するので、助手席側のセンタグリル吹出口101aから吹き出される送風温度が調整され、この調整された送風が助手席側のセンタグリル吹出口101aから運転者に吹き出される。したがって、赤外線センサエレメントFrDr4、8のそれぞれの検出温度を、目標平均値に近づけるようになる。
【0139】
なお、図16中S600において、風速感を「気にしない」あるいは「好き」と選択している場合には、図16に示す温度分布乱れ判定処理(S430)、配風比設定処理(S440a)、補助ヒータ制御処理(S460)、配風比設定処理(S400a)、補助冷却処理(S460a)を処理する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用空調装置を示す図である。
【図2】図1の車両用空調装置の構成を示す図である。
【図3】図1の非接触温度センサの配置を示す図である。
【図4】図1の非接触温度センサの検出範囲を示す図である。
【図5】図1に示す制御装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示す制御装置の作動を説明するための図である。
【図7】図1に示す制御装置の作動を説明する為の図である。
【図8】図1に示す制御装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1に示す制御装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1に示す制御装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図12】上記第2実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図13】上記第2実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。上記第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図15】上記第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図16】上記第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【図17】上記第3実施形態の車両用空調装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
50…非接触温度センサ50、100…フェイス、
アームレスト吹出口…100f、100c…フット吹出口、
100e…天井吹出口、100d…サイドウインドウ吹出口。
Claims (11)
- 車室内の複数領域の温度を非接触で検出する非接触温度センサ(50)と、
前記非接触温度センサにより検出された複数領域の温度に基づき、前記複数領域が所定温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)と、を有することを特徴とする車両用空調装置。 - 車室内の複数領域の温度を非接触で検出する非接触温度センサ(50)と、
前記非接触温度センサにより検出された複数領域の温度に基づき、前記複数領域が乗員の設定した指示に基づく温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)と、を有することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記制御手段が、前記複数領域のうち温度分布の乱れた領域の近傍に配置される吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
- 車室内の在席の空調ゾーンの温度を非接触で検出する非接触温度センサ(50)と、
前記非接触温度センサにより検出された在席の空調ゾーンの温度に基づき、前記在席の空調ゾーンが所定の温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)からそれぞれ吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)と、を有することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記非接触温度センサは、前記空調ゾーンの温度を複数領域に区分けして非接触で検出するものであり、
前記制御手段が、前記複数領域のうち温度分布の乱れた領域の近傍に配置された吹出口から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御することを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。 - 前記複数の吹出口から吹き出す風速感の高低の設定を乗員の操作により受けるようになっており、
乗員により低い風速感が設定される程、前記複数の吹出口のうち開口面積の広い吹出口の風量割合が増加するようになっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 - 前記複数の吹出口から吹き出す風速感の高低の設定を乗員の操作により受けるようになっており、
乗員により低い風速感が設定される程、前記複数の吹出口のうち乗員から遠い吹出口の風量割合が増加するようになっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 - 前記空調風の風量割合または吹出温度を制御する過渡期には、前記空調風の風量割合または吹出温度を制御する定常期に比べて、前記複数の吹出口のうち前記空調風の通風経路の短い吹出口が選択されてこの選択された吹出口から前記制御された空調風が吹き出されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
- 車両用空調装置のコンピュータに、
非接触温度センサ(50)により車室内の複数領域の温度を検出して、この検出された複数領域の温度に基づき、前記複数領域が所定温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)として機能させるためのプログラム。 - 車両用空調装置のコンピュータに、
非接触温度センサ(50)により車室内の複数領域の温度を検出して、この検出された複数領域の温度に基づき、前記複数領域が乗員の設定した指示に基づく温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)として機能させるためのプログラム。 - 車両用空調装置のコンピュータに、
非接触温度センサ(50)により車室内の在席の空調ゾーンの温度を非接触で検出し、この検出された空調ゾーンの温度に基づき、前記在席の空調ゾーンが所定の温度分布となるように、複数の吹出口(100a乃至100f)から吹き出される空調風の風量割合または吹出温度を制御する制御手段(4)として機能させるためのプログラム。
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