JP2004123903A - 無機顔料用分散剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルシウムイオン80mg/L存在下でのクレー分散能が35〜45%、マグネシウムイオン21mg/L存在下でのクレー分散能が50〜59%であり、カルシウムイオン捕捉能が290〜370mgCaCO3/gであるアクリル酸とマレイン酸との共重合体の塩を含有する無機顔料用分散剤、及びこの無機顔料用分散剤を含有する顔料分散組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機顔料を水等に分散させてスラリーを得る際に好適に用いられる無機顔料用分散剤及びそれを含有する顔料分散組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機顔料を水系媒体中に分散し、スラリー化するに際しては、ポリカルボン酸塩系分散剤が使用されている。例えば、炭酸カルシウム等の無機顔料をポリカルボン酸塩系分散剤により水に分散して得られるスラリーは、紙の表面に塗布する事により、該表面に平滑性や光沢性を付与することができる。上記のスラリーは、均一にかつ容易に塗布することができるように、或いは、他の無機顔料との混合を行いやすいように、高濃度でかつ低粘度であることが望ましい。
【0003】
さらに、近年、上記のスラリーは、紙の表面への高速塗工化を実現するため、高剪断下での粘度の低下が要望されている。また、スラリー塗布後の平滑性や光沢性をさらに向上させるため、使用される炭酸カルシウム等の無機顔料はさらに微粒に、またそのスラリーはさらに高濃度になってきている。しかしながら、微粒化された顔料の高濃度スラリーは、従来のポリカルボン酸塩系分散剤では低粘度化が困難となってきた。例えば、特許文献1では、無機顔料用分散剤として、重量平均分子量が45000〜85000であり、20重量%水溶液の25℃における粘度が25〜50mPa・sであるアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩が開示されているが、このような分散剤では、平均粒径0.5μm以下の軽質炭酸カルシウムを固形分70重量%以上のスラリーとして低粘度化することは困難であり、また、上記スラリーの高剪断下粘度も満足できるレベルには至っていない。
【0004】
一方、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオン捕捉能が高い分散剤は、水中にカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンが多く含まれていると、無機顔料の分散性が低下する傾向にある。特許文献2及び特許文献3では、上記の金属イオンの影響を受けにくいアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩が開示されている。しかしながら、特許文献2に開示されている共重合体は、洗剤組成物としての評価指標であるクレー分散能が60%以上(マグネシウムイオン存在下)であり、また、特許文献3に開示されている共重合体では、クレー分散能が50%以上(カルシウムイオン存在下)であるが、これらのクレー分散性を有する共重合体では、微粒化された顔料の高濃度スラリーを低粘度化することは不可能であった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−327946号公報
【特許文献2】
特許第3112454号公報
【特許文献3】
特開2000−53729号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、微粒化された顔料の高濃度スラリーにおいても低粘度化が可能であり、また、低粘度化スラリーの長期分散安定性にも優れ、さらに、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持することが可能な無機顔料用分散剤及びそれを含有する顔料分散組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カルシウムイオン80mg/L存在下でのクレー分散能が35〜45%、マグネシウムイオン21mg/L存在下でのクレー分散能が50〜59%であり、カルシウムイオン捕捉能が290〜370mgCaCO3/gであるアクリル酸とマレイン酸との共重合体の塩(以下、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩という)を含有する無機顔料用分散剤、及びこの無機顔料用分散剤を含有する顔料分散組成物、特に塗工紙用顔料分散組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩は、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化し、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、カルシウムイオン80mg/L存在下でのクレー分散能が35〜45%、好ましくは40〜45%であり、マグネシウムイオン21mg/L存在下でのクレー分散能が50〜59%、好ましくは51〜56%であり、カルシウムイオン捕捉能が290〜370mgCaCO3/g、好ましくは300〜360mgCaCO3/g、更に好ましくは310〜350mgCaCO3/gである。
【0009】
尚、本発明でいう「クレー分散能」及び「カルシウムイオン捕捉能」は、実施例に記載された測定法により測定されるものであり、無機顔料用分散剤の特性の指標として用いられる値である。
【0010】
本発明の分散剤は、クレー分散能及びカルシウムイオン捕捉能が、上記特定の範囲内にあるアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩を含有することにより、微粒化された顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化し、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持することができる。このような格別顕著に優れた効果を発現する理由は定かではないが、微粒化された顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化する観点においては、おそらく無機顔料に対する分散剤の吸着力と無機顔料に吸着した分散剤による斥力(静電気的及び/又は立体的)が共に優れていることに基づくものと考えられ、更に、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点においては、おそらく無機顔料に吸着した分散剤による立体的斥力が優れていることに基づくものと考えられる。
【0011】
従って、本発明の分散剤は、クレー分散能及びカルシウムイオン捕捉能によって、適切に規定される。また、クレー分散能及びカルシウムイオン捕捉能が、本発明の範囲外であるアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩を含有する分散剤では吸着力と斥力(静電気的及び/又は立体的)を共に満足することができないため、本発明の効果が得られなくなる。
【0012】
本発明のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩は、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化し、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、アクリル酸/マレイン酸(モル比)が74/26〜91/9であることが好ましく、重量平均分子量(Mw)が25000〜60000であることが好ましい。
【0013】
また、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化する観点において、アクリル酸/マレイン酸(モル比)は74/26〜87/13がより好ましく、重量平均分子量(Mw)は30000〜55000がより好ましく、35000〜50000が特に好ましく、40000〜50000が最も好ましい。さらに、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、アクリル酸/マレイン酸(モル比)は80/20〜91/9がより好ましく、重量平均分子量(Mw)は25000〜55000がより好ましく、25000〜50000が特に好ましい。
【0014】
よって、本発明のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩は、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化し、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、最も良好なアクリル酸/マレイン酸(モル比)は80/20〜87/13であり、重量平均分子量(Mw)は40000〜50000である。
【0015】
尚、ここで重量平均分子量(Mw)は、実施例に記載された測定法により測定された値である。
【0016】
本発明のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩は、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化し、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、数平均分子量(Mn)が20000〜40000であることが好ましく、重量平均分子量と数平均分子量との比、Mw/Mnが3以下であることが好ましい。また、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化する観点において、数平均分子量(Mn)は25000〜35000がより好ましく、27000〜35000が特に好ましく、Mw/Mnは1.25〜3がより好ましく、1.25〜2.5が特に好ましい。さらに、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、数平均分子量(Mn)は20000〜35000がより好ましい。
【0017】
よって、本発明のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩は、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化し、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、最も良好な数平均分子量(Mn)は27000〜35000であり、Mw/Mnは1.25〜2.5である。
【0018】
顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化し、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、本発明のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩の20重量%水溶液の、20℃における粘度が9〜24mPa・sであることが好ましい。
【0019】
また、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化する観点において、上記の粘度は、13〜20mPa・sがより好ましく、13.8〜18.5mPa・sが特に好ましい。さらに、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、9〜18.5mPa・sがより好ましい。
【0020】
よって、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化し、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持する観点から、最も良好な粘度は、13.8〜18.5mPa・sである。
【0021】
尚、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩の20重量%水溶液の、20℃における粘度は、実施例に記載された測定法により測定された値である。
【0022】
本発明のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0023】
塩を構成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。4級アンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化トリエチルメチルアンモニウム等が挙げられる。有機アミンとしては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。
【0024】
これらの中で好ましいものは、顔料の高濃度スラリーを低粘度化し、低粘度化スラリーを長期分散安定化する観点において、アルカリ金属塩であり、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。また、アンモニウム塩は電子材料等の灰分の残存を嫌う用途への使用に好ましい。
【0025】
本発明のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩の中和度は、特に規定されないが、通常50〜99%が好ましく、70〜99%が更に好ましい。
【0026】
本発明の分散剤中のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩の含有量は、顔料の高濃度スラリーを低粘度化できる範疇において、97〜100重量%が好ましく、98〜100%がより好ましく、99〜100%が特に好ましい。これ以外に未反応のアクリル酸、マレイン酸等を含有していてもよい。
【0027】
本発明のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩の製造法は特に限定されないが、例えば以下に示す方法で製造することができる。
【0028】
マレイン酸又はマレイン酸無水物及びイオン交換水をマレイン酸の濃度が37重量%以上となるように反応容器に仕込み、75℃に加熱後、NaOH水溶液をマレイン酸の仕込量の2倍のモル数で仕込み、マレイン酸のNa塩とする。次に約100℃まで加熱した後、この温度でアクリル酸水溶液をアクリル酸/マレイン酸(モル比)が74/26〜91/9となるように、また過酸化水素水溶液を過酸化水素がアクリル酸とマレイン酸の全仕込みモル数に対して17〜50モル%となるように、それぞれを3〜5時間かけて滴下し重合反応を行う。滴下終了後、100℃で1〜10時間熟成する。反応終了後、約60℃に冷却し、pHが8〜9となるようにNaOH水溶液を仕込み、アクリル酸−マレイン酸共重合体のNa塩とする。
【0029】
尚、本発明のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩は、マレイン酸をフマル酸に代えて製造してもよい。
【0030】
本発明において対象となる無機顔料は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、クレー、ベントナイト、サチンホワイト、亜鉛華、ベンガラ、フェライト、酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウム、タルク、ホワイトカーボン、セメント、石膏、カーボンブラック、チタン酸塩、珪酸塩等が挙げられ、炭酸カルシウムや、チタン酸バリウム等のチタン酸塩が好ましい。
【0031】
具体的には、本発明の分散剤は、軽質炭酸カルシウム製造工程用、炭酸カルシウム湿式粉砕用、紙コーティング塗料用、フェライト製造工程用又はチタン酸バリウム等の電子材料用の分散剤として有効である。また、アルミナ等のセラミック用顔料に対しても有効である。
【0032】
本発明の分散剤は、塗工紙用、電子材料用又はセラミック用等の顔料分散組成物を得る際に有効に用いることができ、特に塗工紙用として用いることが好ましい。顔料分散組成物は、本発明の分散剤を用いて無機顔料の粉体、粉体の原鉱石又は粗粒子等を水系媒体中に分散させることにより得ることができる。水系媒体としは水、あるいは水と、エチルアルコール、エチレングリコール等の水溶性有機溶媒との混合溶液が挙げられ、好ましくは水である。
【0033】
顔料分散組成物中の顔料の含有量は、特に規定されないが、65〜85重量%が好ましい。また、顔料分散組成物中の本発明の分散剤の含有量は特に規定されないが、無機顔料に対して通常0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がさらに好ましく、0.05〜3重量%が特に好ましい。
【0034】
本発明の分散剤を使用して、顔料分散組成物を得る方法としては、通常のスラリー化方法が用いられる。例えば分散剤を溶解した水溶液に顔料を添加して撹拌、混合する方法、顔料に水と分散剤を加えて撹拌、混合する方法等が挙げられる。撹拌、混合する方法としては、例えば高速ディスパー、ホモミキサー、ボールミル等一般に用いられる撹拌装置を使用することができる。
【0035】
また、顔料の鉱石又は粗粒子を粉砕と同時にスラリー化する場合には、顔料の鉱石又は粗粒子に水と分散剤を添加して、粉砕と同時にスラリー化する方法等が挙げられる。粉砕と同時にスラリー化する方法としてはビーズミル等一般に用いられる湿式粉砕機を使用することが出来る。
【0036】
【実施例】
以下の例において、無機顔料用分散剤の物性は以下の方法で測定した。
【0037】
<重量平均分子量>
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定した。
カラム:TSK PWXL+G4000PWXL+G2500PWXL(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器:RI又はUV(210nm)
溶離液:0.2mol/L リン酸緩衝液/アセトニトリル(9/1)
流速:1.0mL/min
注入量:0.1mL
標準:ポリエチレングリコール
<粘度>
株式会社東京計器のBL型粘度測定装置を用いて、分散剤の20重量%水溶液20mLをBLアダプター内にセットし、20℃の恒温槽で1時間静置した後、30rpm又は15rpmで測定した。以下BL粘度という。
【0038】
<クレー分散能>
下記の手順で行った。尚、塩化カルシウム・2水和物を用いた方法がカルシウムイオン80mg/L存在下でのクレー分散能を、また塩化マグネシウム・6水和物を用いた方法がマグネシウムイオン21mg/L存在下でのクレー分散能を示す。
▲1▼ グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g及び1N−NaOH水溶液60mLにイオン交換水を加えて600gとしたグリシン緩衝液を調製する。
▲2▼ 塩化カルシウム・2水和物0.3268g又は塩化マグネシウム・6水和物0.1937gと、▲1▼の調製液60gにイオン交換水を加えて1000gとし、分散液を調製する。
▲3▼ 0.1重量%(固形分換算)無機顔料用分散剤水溶液を20g調製する。
▲4▼ 試験管にJIS試験用粉体1,8種(関東ローム,微粒:日本粉体工業技術協会)のクレー0.3gを入れ、▲2▼の調製液27gと▲3▼の調製液3gを添加する。
▲5▼ 試験管をパラフィルムで密封した後、試験管を振り、試験管の底に塊がなくなったのを確認してから、試験管を上下に20回振る。
▲6▼ ▲5▼の試験管を直射日光のあたらない所に20時間静置する。
▲7▼ 20時間後、分散液の上澄み5mLをホールピペットで20mLのスクリュー管に採取する。
▲8▼ UV分光器で透過率(T%)を測定する(波長380nm、1cmセル)。100からT%の値を差し引いた値をクレー分散能(濁度)とする。
【0039】
<カルシウムイオン捕捉能>
▲1▼ カルシウムイオン標準水溶液を調製する。
【0040】
0.01mol/Lカルシウムイオン水溶液:塩化カルシウム二水和物1.4701gをイオン交換水1kgに溶解したもの
0.001mol/Lカルシウムイオン水溶液:上記0.01mol/Lカルシウムイオン水溶液100gにイオン交換水を加えて1kgにしたもの
0.0001mol/Lカルシウムイオン水溶液:上記0.001mol/Lカルシウムイオン水溶液10gにイオン交換水を加えて100gにしたもの
▲2▼ 100mLビーカーに無機顔料用分散剤を固形分換算で10mg及び0.001mol/Lのカルシウムイオン水溶液50gを加える。
▲3▼ ▲1▼の各水溶液50gと▲2▼の水溶液をマグネチックスターラーで撹拌する。
▲4▼ ▲3▼の各水溶液にpHが9〜11になるように4.8重量%NaOH水溶液を加える。
▲5▼ ▲4▼の各水溶液に、4M−KCl水溶液を1mL加える。
▲6▼ オリオン社製イオンアナライザーEA920を用いて、オリオン社製カルシウムイオン電極93−20によりカルシウムイオン量を測定する。
▲7▼ 検量線から無機顔料用分散剤により捕捉されたカルシウムイオン量を測定し、分散剤の固形分1g当たりの捕捉量を炭酸カルシウム換算のmg数で表し、その値をカルシウムイオン捕捉能とする。
【0041】
製造例1
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に〔(A)マレイン酸無水物49.0g〕及び〔(B)イオン交換水54.3g〕を仕込み、75℃に加熱後、〔(C)30重量%NaOH水溶液133.3g〕を滴下し、〔(D)マレイン酸のNa塩水溶液〕とした。次に窒素気流下で100℃まで加熱した後、この温度を維持しながら、〔(E)80重量%アクリル酸水溶液225.3g〕及び〔(F)35重量%過酸化水素水溶液109.3g〕をそれぞれ別の滴下ロートから〔(G)3時間〕かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、100℃で〔(H)7時間〕熟成し重合反応を完結させた。反応終了後、冷却し、約60℃を保持しながらpHが8〜9となるように〔(I)30重量%NaOH水溶液〕で中和して、〔(J)アクリル酸−マレイン酸共重合体のナトリウム塩〕を得た。これを分散剤1という。
【0042】
製造例2〜10
製造例1の(A)〜(J)を表1の通り変更し、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩を製造した。これらをそれぞれ分散剤2〜10という。
【0043】
比較製造例1〜3
製造例1の(A)〜(J)を表1の通り変更し、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩を製造した。これらをそれぞれ比較分散剤1〜3という。
【0044】
【表1】
【0045】
表中、MAはマレイン酸、AAはアクリル酸を示し、%は重量%である。
【0046】
比較製造例4
製造例1と同様の反応容器にイオン交換水を124.9g仕込み、94℃に加熱後、80重量%アクリル酸水溶液380.5g、49重量%NaOH水溶液249.6g、35重量%過酸化水素水溶液123.5g、及び30%過硫酸ナトリウム水溶液41.5gをそれぞれ別の滴下ロートから4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、100℃で7時間熟成し重合反応を完結させた。反応終了後、冷却し、約60℃を保持しながらpHが8〜9となるように49重量%NaOH水溶液で中和し、ポリアクリル酸のナトリウム塩を得た。これを比較分散剤4という。
【0047】
製造例1〜10及び比較製造例1〜4で得られた分散剤1〜10及び比較分散剤1〜4のアクリル酸/マレイン酸(モル比)、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Mw/Mn、BL粘度、カルシウムイオン又はマグネシウムイオン存在下でのクレー分散能、及びカルシウムイオン捕捉能をまとめて表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
実施例1
ディスポビーカー500mLに平均粒径が0.45μmの紡錘形状カルサイト系軽質炭酸カルシウムのケーキ(含水率28重量%)243.06g、イオン交換水1.11g及び分散剤1〜10又は比較分散剤1〜4(イオン交換水で希釈し固形分30重量%に調整したもの)5.83gを仕込み、混練後、特殊機化工業株式会社製のホモディスパーで撹拌(2500rpm×2分間)し、軽質炭酸カルシウムの一次分散スラリーを調製した。次いで、このスラリーに1mmガラスビーズを全仕込量の1.5倍の割合で仕込み、さらにホモディスパーで約25℃に保冷しながら撹拌(7600rpm×15分間)し、二次分散スラリーを調製した。
【0050】
ガラスビーズを濾別した後、株式会社東京計器製のB型粘度測定装置を用いて二次分散スラリーのB粘度(25℃)をローターの回転速度60rpmで1分後に測定した。また、この二次分散スラリーを250mLのポリビンで25℃にて30日間静置し後、30〜40回程度振とうし、その後、同様に上記の条件でB粘度を測定した。さらに、熊谷理機工業株式会社製の高剪断粘度測定装置を用いて30日静置後の二次分散スラリーのH粘度(25℃)をE−Bobにて4400rpm、SweepTime5秒の条件で測定した。これらの結果を表3に示す。
【0051】
尚、二次分散スラリーは、B粘度(初日及び30日後)が300mPa・s以下であり、H粘度(30日後)が100mPa・s以下であるものが良好である。
【0052】
【表3】
【0053】
実施例2
ディスポビーカー500mLに平均粒径が0.5μmの紡錘形状カルサイト系軽質炭酸カルシウムのケーキ(含水率28重量%)243.06g、イオン交換水2.27g及び分散剤1〜10又は比較分散剤1〜4(イオン交換水で希釈し固形分30重量%に調整したもの)4.67gを仕込み、混練後、特殊機化工業株式会社製のホモディスパーで撹拌(2500rpm×2分間)し、軽質炭酸カルシウムの一次分散スラリーを調製した。次いで、このスラリーに1mmガラスビーズを全仕込量の1.5倍の割合で仕込み、さらにホモディスパーで約25℃に保冷しながら撹拌(7600rpm×15分間)し、二次分散スラリーを調製した。
【0054】
二次分散スラリーのB粘度(初日及び30日後)及びH粘度(30日後)を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表4に示す。
【0055】
尚、二次分散スラリーは、B粘度(初日及び30日後)が300mPa・s以下であり、H粘度(30日後)が100mPa・s以下であるものが良好である。
【0056】
【表4】
【0057】
実施例3
ディスポビーカー300mLに平均粒径が0.5μmのチタン酸バリウム148g、イオン交換水49.04g及び分散剤1〜10又は比較分散剤1〜4(イオン交換水で希釈し固形分30重量%に調整したもの)2.96gを仕込んだ後、特殊機化工業株式会社製のホモディスパーで撹拌(2000rpm×2分間)し74重量%のスラリーを調製した。得られたスラリーを株式会社東京計器製のB型粘度測定装置を用いて25℃におけるB粘度をローターの回転速度60rpmで1分後に測定した。また、このスラリーを250mLのポリビンで25℃にて30日間静置し後、30〜40回程度振とうし、その後、同様に上記の条件でB粘度を測定した。これらの結果を表5に示す。
【0058】
尚、スラリーは、B粘度(初日及び30日後)が150mPa・s以下であるものが良好である。
【0059】
【表5】
【0060】
【発明の効果】
本発明の無機顔料用分散剤は、従来の無機顔料用分散剤に比較して、微粒化された顔料の高濃度スラリーにおいても低粘度化が可能であり、また、低粘度化スラリーの長期分散安定性にも優れ、さらに、高剪断下におけるスラリーの粘度を小さく維持することが可能である。
Claims (7)
- カルシウムイオン80mg/L存在下でのクレー分散能が35〜45%、マグネシウムイオン21mg/L存在下でのクレー分散能が50〜59%であり、カルシウムイオン捕捉能が290〜370mgCaCO3/gであるアクリル酸とマレイン酸との共重合体の塩(以下、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩という)を含有する無機顔料用分散剤。
- アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩の、アクリル酸/マレイン酸(モル比)が74/26〜91/9であり、重量平均分子量(Mw)が25000〜60000である請求項1記載の無機顔料用分散剤。
- アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩の数平均分子量(Mn)が20000〜40000であり、Mw/Mn≦3である請求項1又は2記載の無機顔料用分散剤。
- アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩の20重量%水溶液の、20℃における粘度が9〜24mPa・sである請求項1〜3いずれか記載の無機顔料用分散剤。
- 無機顔料が炭酸カルシウム及びチタン酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4いずれか記載の無機顔料用分散剤。
- 請求項1〜5いずれか記載の無機顔料用分散剤を含有する顔料分散組成物。
- 塗工紙用である請求項6記載の顔料分散組成物。
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