JP2004123426A - 金属水酸化物微粒子の製造方法および該微粒子から得られた金属酸化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】サイズのそろった金属水酸化物微粒子を連続的に製造する。
【解決手段】金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液とをそれぞれのノズルから混合室に噴出して混合反応させるとともに混合反応液を前記混合室の径よりも小さな口径の排出口から排出することで金属水酸化物微粒子を製造する方法であって、前記金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方を、直進流として前記混合室に噴出し、該直進流が前記混合室の径よりも小さな口径のノズルから前記混合室に噴出されて形成される渦粘性が最大になる以前の位置に、他方の液を前記直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出する金属水酸化物微粒子の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液とをそれぞれのノズルから混合室に噴出して混合反応させるとともに混合反応液を前記混合室の径よりも小さな口径の排出口から排出することで金属水酸化物微粒子を製造する方法であって、前記金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方を、直進流として前記混合室に噴出し、該直進流が前記混合室の径よりも小さな口径のノズルから前記混合室に噴出されて形成される渦粘性が最大になる以前の位置に、他方の液を前記直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出する金属水酸化物微粒子の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属粒子の製造方法に関し、特にナノ領域の金属水酸化物微粒子の製造方法および該微粒子含有分散物の製造方法に関するものである。さらに、該水酸化物を酸化することにより得られる金属酸化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属水酸化物微粒子は、たとえば、気相中に高温で蒸発させた金属の蒸気を供給し、ガス分子との衝突により急冷させて微粒子を形成する気相法、金属イオンを溶解した水溶液のpHあるいはアニオンを制御して金属水酸化物を取り出した後に、乾燥または焼成を行う溶液法、その他ゾルゲル法、逆ミセル法、ホットソープ法などの液相法により合成できる。
【0003】
これらの方法のなかで液相法は比較的安価に大量合成できる長所を有する。液相法は通常の場合、攪拌器を備えた反応容器内に金属カチオン溶液と水酸化物イオンを含む溶液とを添加して行われ、初期の添加によって核形成が起こり、その後の添加によって結晶成長が起こる。例えばハロゲン化銀粒子形成で用いられる様々な方法がある(例えば、特許文献1〜5参照。)。しかし、このような方法で核形成を行う場合、いずれの攪拌方法を用いても、反応容器内を液が循環するために核形成と核成長が並行して起こり、単分散な核を生成することが困難である。
【0004】
また、機械的攪拌を伴わずに混合を行うため、添加液の循環が存在しない方法もある(例えば、特許文献6〜7参照。)。しかし、これらの方法では、強力な攪拌が存在しないために混合力が不十分である。また、パイプ中で2液を混合する方法も開示されている(例えば、特許文献8〜9参照。)。しかし、この場合にも添加液の循環は生じないが、添加液は一定方向に流れるいわゆるプラグフロウ(plug flow)であるため、混合は高速流に伴う乱流の発生に頼らざるを得ない。従って、プラグフロウで十分な乱流を発生するためには非常に高速な流れを持続する必要があり、その実施には困難を伴うものである。
機械的攪拌を伴わずに十分な混合力を保つために、添加液を直線状の噴流としてその運動エネルギーによって混合を行う方法がある。例えば、そのような噴流の運動エネルギーを利用するハロゲン化銀写真乳剤の製造方法も開示されている(例えば、特許文献10参照)。しかし、該特許文献10に開示されている方法はシングルジェット法による製造方法であり、用いられている運動エネルギーでは反応容器全体の混合を行うには不十分なため、機械的攪拌が併用されている。
【0005】
また、二種類の水溶液の少なくとも一方を高い流速を持つ直線状の噴流とし、前記二種類の溶液を短時間内に混合してハロゲン化銀粒子を連続的に生成する方法も知られている(例えば、特許文献11〜12参照。)。しかし、これらの方法では、高い流速を利用しても、ミクロな混合にとっては不十分であり、さらなる改良が望まれていた。
【0006】
また、反応の結果得られた分散液中には、金属水酸化物微粒子とともに副生成物である塩や分解生成物などが溶解しており、通常それらの副生成物を除去することが必要である。塩や分解生成物を除去するには、例えば、限外濾過法、電気透析法、遠心分離法などが用いられる。しかし、ナノ領域の微粒子を含有する分散液を処理する場合、前二つの方法では濾過膜や透析膜が目詰まりし易く実用的でなく、後者の方法ではバッチ処理にならざるを得ず非効率であった。
【特許文献1】
特開平7−219092号公報
【特許文献2】
特開平8−171156号公報
【特許文献3】
特開平4−283741号公報
【特許文献4】
特公平8−22739号公報
【特許文献5】
米国特許第3,782,954号明細書
【特許文献6】
特開平4−139440号公報
【特許文献7】
特表平6−507255号公報
【特許文献8】
米国特許第5,104,786号明細書
【特許文献9】
特開平11−38539号公報
【特許文献10】
特開平8−334848号公報
【特許文献11】
特開2000−338620号公報
【特許文献12】
特開2001−290231号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、微粒子でサイズのそろった、単分散な金属水酸化物微粒子を連続的に合成する方法を提供することを目的とする。また、この微粒子を結晶成長させることにより、より大サイズの単分散粒子を形成する方法やコア/シェル型の微粒子を形成する方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、金属水酸化物とともに生成する塩や分解生成物などの溶解物を連続的に除去しうる方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は以下の手段によって達成される。
すなわち、本発明は、
(1)金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液とをそれぞれのノズルから混合室に噴出して混合反応させるとともに混合反応液を前記混合室の径よりも小さな口径の排出口から排出することにより金属水酸化物微粒子を製造する方法であって、前記金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方を直進流として前記直進流が前記混合室の径よりも小さな口径のノズルから前記混合室に噴出し、前記直進流が前記混合室に噴出されて形成される渦粘性が最大になる以前の位置に、他方の液を前記直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出することを特徴とする金属水酸化物微粒子の製造方法、
(2)金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液とをそれぞれのノズルから混合室に噴出して混合反応させるとともに混合反応液を前記混合室の径よりも小さな口径の排出口から排出することにより金属水酸化物微粒子を製造する方法であって、前記金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方を直進流として前記混合室の径よりも小さな口径のノズルから前記混合室に噴出し、前記直進流が前記混合室に噴出した際の最大速度を有する方向において、前記直進流の速度Vzが下記式1で表される領域の位置に、他方の液を前記直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出することを特徴とする金属水酸化物微粒子の製造方法、
【0009】
【数2】
【0010】
ここで、Vz0は直進流が混合室へ噴出した際の最大速度を示す方向におけるノズル出口での直進流の速度を表す。
(3)前記直進流は糸線状であることを特徴とする(1)または(2)項記載の金属水酸化物微粒子の製造方法、
(4)前記直進流の噴出時の流速に対して、前記他方の流の噴出時の流速が同等以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の金属水酸化物微粒子の製造方法、
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法により製造された金属水酸化物微粒子が分散された微粒子分散液を有する混合器および/または反応容器の外に、多段の限外濾過装置を設置し、前記微粒子分散液に溶解している塩を連続的に除去することを特徴とする金属水酸化物微粒子含有分散物の製造方法、及び、
(6)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法で製造された金属水酸化物を酸化して得られたことを特徴とする金属酸化物
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
流体の流れには大きく異なる2つの流動様式がある。一つは層流で、各部の流体粒子が流れの方向には前後の順序をくずすことなく、また流れの方向に垂直に隣接する粒子は相互に位置を入れかえることはなく整然と流れる場合である。他の一つは乱流で、各部の流体粒子は前後あるいは横方向に不規則に運動する場合である。流れが層流から乱流に遷移するのはレイノルズ数が一定の値に達したときである。
物質は、乱流において、いわゆる流れ(以降、平均流という)と平均流とは方向の異なる渦(以降、渦流という)の二つの要因によって混合される。微小領域において高い攪拌効率を得るためには、渦流による混合を行う必要がある。従来技術の欄で述べた、たとえば特許文献8に開示されているような従来法を用い、渦流を発生させる場合、レイノルズ数が数万の装置を用いたとしても混合が十分であるとはいえなかった。しかし、本発明者らは、流速を短時間に減少させることで、流体の運動エネルギーを平均流から渦流へと変換することができ、攪拌混合効率が大きく高められることを見いだした。
【0012】
流体の運動が乱流の場合には、見かけ上粘度の値が非常に大きくなる。この見かけ上の粘度が「渦粘性」である。平均流から渦流への変化は渦粘性として評価することができる。そこで、本発明では大きな渦粘性が発生する場に反応すべき複数の溶液を導入することを特徴とするものである。
【0013】
噴流が渦粘性を発生する場合、噴流の速度は大きいほど減速時の渦流発生も大きくでき、混合に有利である。一方、従来の方法では、大きな噴流速度を発生させるためには高圧を発生させる必要があり、製造上の負担が大きいといった問題があった。しかし、本発明では、噴流の減速領域、すなわち混合室への噴出速度が比較的小さい場合にも高い混合効率が得られるものである。そのため、製造上の負荷が大きく低減することが可能となるものである。
【0014】
本発明で、「他方の液を直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出する」とは、直交流が直進流に対して完全に直交しなくても、直交する速度ベクトル成分を主成分とするものであればよいことを意味する。
また、本発明では直進流は噴流として噴出されるものである。
また、本発明において、粒子が単分散であるとは、粒子サイズの変動係数が好ましくは20%未満、より好ましくは15%未満であることをいう。
【0015】
本発明は、従来の静的混合装置のように、金属イオンを含む溶液の高速乱流と水酸化物イオンを含む溶液の高速乱流とをT字管やY字管のような非常に狭い配管の交点で衝突させて、その衝突場において瞬時に混合反応させるものではなく、乱流場での混合性評価として知られている渦粘性に着目し、静的混合装置内で水酸化物イオンを含む溶液(又は金属イオンを含む溶液)の例えば糸線状の直進流と、金属イオンを含む溶液(又は水酸化物イオンを含む溶液)を直交流として混合室に添加し、直進流により形成される渦粘性を利用することで、両液を瞬時に混合反応させるようにしたものである。
【0016】
即ち、本発明に用いられる静的混合装置は、筒状の混合室が形成された混合器に、混合室の筒径よりも小さな口径の第1ノズルと第2ノズルを形成し、小径なノズルからそれよりも大径な混合室に液を噴出することで渦粘性が形成されるようにすると共に、排出口の口径を絞って混合室に圧力が付与されるようにすることで、混合室にキャビテーションによる気液界面が形成されにくくなるように構成したものである。
【0017】
更に、金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方の液を第1ノズルから噴出した直進流により渦粘性を形成する際に、第1ノズルから少し離れた噴出距離の位置で渦粘性が最大になり、この最大渦粘性の位置で両液の混合効率が最大になることに着目し、他方の液である直交流を渦粘性が最大になる以前の位置から混合室に噴出されるように第1ノズルと第2ノズルの位置関係を規定した。渦粘性が最大になる位置は、流動解析ソフトとして既に日本で市販されている数値解析ソフト(例えば、アールフロー社製、R−Flow(商品名))を用いて予めシミュレーションを行い、渦粘性が出現する領域を把握し、この中心ポイントを把握し、このポイントより直進流の噴射ノズル側に第2のノズルである直交流を添加する位置を決定することができる。
【0018】
また、混合室において渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルからの直進流の最大速度が1/10に減少する位置に略相当するので、直進流が最大流速の1/10以下に減少する以前に直交流を噴出するように第2ノズルを位置決めしてもよい。そのことにより、直進流の速度が1/10以下に減少する以前の位置に、他方の液を噴出して、両液を混合することができる。
【0019】
本発明でいう、直進流の速度が1/10以下に減少する以前の位置に、他方の液を噴出して、両液を混合するとは、該直進流が噴出した際の最大速度を有する方向(以下、Z方向ともいう)において、直進流の速度Vzが下記式1で表される領域の位置に、他方の液の噴出口が設置され、他方の液を直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出することを意味する。
【0020】
【数3】
【0021】
ここで、Vz0は直進流が混合室へ噴出した際の最大速度を示す方向におけるノズル出口での直進流の速度を表す。
【0022】
前記他方の液の噴出口は、前記直進流の速度Vzが(1/4)Vz0<Vz<Vz0表させるされる領域の位置に設置されていることが好ましく、(1/2)Vz0<Vz<Vz0で表される領域の位置に設置されていることがさらに好ましい。
なお、求めようとする位置のVzは、例えば、有限差分法を用いた数値流体解析により計算することができる。また、ここで、「混合室」は、直進流が減速する領域であり、「減速領域」とも呼ばれるものである。
【0023】
更に、渦粘性を利用して直交流と直進流とを効率良く混合するには、直交流の噴出時の噴出流速を直進流の噴出時の噴出流速に対し同等以下にして高速な直進流に同伴される同伴流に直交流が巻き込まれるようにすることが好ましい。
【0024】
以下添付図面にしたがって、本発明にかかる金属水酸化物微粒子の製造方法およびそれに用いられる装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0025】
図1は、本発明に用いられる静的混合装置12の構造を示した概念図である。図1に示すように、静的混合装置12は、金属イオンを含む溶液Xと水酸化物イオンを含む溶液Yとを混合して反応させる筒状の混合室20が形成された混合器22の一端側開口に、水酸化物イオンを含む溶液Yを混合室20に導入する第一の導管24が接続されるとともに、他端側開口に混合室20で混合反応された混合反応液40の排出管26が接続される。また、混合器22の側面側で第1の導管24の出口近傍に、金属イオンを含む溶液Xを混合室20に導入する第2の導管28が接続される。尚、本実施の形態では、第1の導管24から水酸化物イオンを含む溶液Yを導入し、第2の導管28から金属イオンを含む溶液Xを導入するようにしたが、両液を逆にしてもよい。また、排出管26の接続位置は、混合器22の他端側近傍であれば、混合器22の側面部に接続してもよい。
【0026】
第1の導管24と第2の導管28の先端内部には、それぞれ第1のオリフィス30と第2のオリフィス32が形成され、これにより、第1の導管24と第2の導管28には乱流の液体を噴射する第1ノズル34と第2ノズル36が形成される。また、Lは混合室20の長さ、D1 は混合室20の径、D2 は第1ノズル34の口径(オリフィス径)、D3 は第2ノズル36の口径(オリフィス径)、D4 は排出管26の口径をそれぞれ示すものである。また、Zは第1ノズル34から噴出する溶液の最大速度を示す方向である。
第1ノズル34から噴出する溶液の速度は10m/sec以上360m/sec以下が好ましく、10m/sec以上100m/sec以下が特に好ましい。
【0027】
ブロック状のオリフィス材23に、第1及び第2のオリフィス30、32を穿設加工する方法としては、金属、セラミックス、ガラス等のオリフィス材23に100μm程度の噴出孔を精密に開ける加工方法として公知のマイクロ切削加工、マイクロ研削加工、噴射加工、マイクロ放電加工、LIGA法、レーザー加工、SPM加工等を好適に使用できる。
【0028】
オリフィス材23の材質としては、加工性が良く、硬度がダイヤモンドに近い材質のものが好ましい。従って、ダイヤモンド以外の材質としては、種々の金属や金属合金に焼入れ、窒化処理、焼結処理等の硬化処理したものを好適に使用することができる。また、セラミックスも硬度が高く、ダイヤモンドよりも加工性が優れているので好適に使用できる。尚、本実施の形態では、第1ノズル34及び第2ノズル36の絞り構造としてオリフィスの例で説明するが、乱流の液体を噴射する機能を有するものであれば、オリフィスに限らず他の方法を用いることができる。
【0029】
また、第1の導管24と第2の導管28には、図示しない加圧手段が設けられ、水酸化物イオンを含む溶液Yと金属イオンを含む溶液Xとが第1及び第2ノズル34、36に加圧供給される。液体に高圧力をかける加圧手段としては、種々の手段が知られており何れの手段も使用可能であるが、比較的入手し易く安価な手段としてはプランジャーポンプや増圧ポンプのような往復ポンプを使用することが好ましい。また、往復ポンプほど高圧を発生することはできないが、ロータリポンプの中にも高圧発生型のものがあるので、このようなポンプを使用することもできる。
【0030】
そして、第1ノズル34から水酸化物イオンを含む溶液Yが乱流の直進流Aとして混合室20に噴出され、第2ノズル36から金属イオンを含む溶液Xが直進流Aに対してほぼ直交する直交流Bとして混合室20に噴出されて2つの溶液が混合して反応し、金属水酸化物微粒子を含む混合反応液40が形成される。この場合、直交流Bが直進流Aに対して90の角度で完全に直交しなくても、直交する速度ベクトル成分を主成分とするものであればよい。また、図1では直交流Bを噴出する第2ノズル36を混合器22の上側に配置しているが、混合器22の下側に配置しても側方側に配置してもよく、要は直交流Bが直進流Aに対してほぼ直交するように噴出できればよい。
【0031】
図2は、かかる混合反応を模式的に示したものである。乱流の高速な直進流Aに同伴される同伴流に、直進流Aに対してほぼ直交方向から噴出される直交流Bを巻き込むことにより、乱流の直進流Aと直交流Bとが混ざり合って発生する大きな渦粘性を利用することで高性能な混合効率を得るものである。ここで、斜線で示すCは渦粘性を模式的に示すものである。また、Pは渦粘性Cの略中心部を示すものである。
【0032】
また、静的混合装置12の上記した混合室20、第1及び第2ノズル34、36、排出管26は次の関係を有するように形成される。即ち、混合室20に渦粘性が形成されることが必要である。渦粘性を形成するために直進流Aを減速する。そのために混合室20の径D1 が第1ノズル34の口径D2 よりも大径に形成される。直進流Aの作る渦粘性は混合効率を良くする上で重要であり、第1ノズル34の口径D2 に対する混合室20の径D1 の寸法比は、1.1倍〜1000倍の範囲が好ましく、更に好ましくは1.1倍〜100倍の範囲である。
【0033】
また、直交流Bが直進流Aに巻き込まれ易くするためには、直交流Bの噴出流速は直進流Aの噴出流速の同等以下であることが好ましく、具体的には直進流Aの噴出流速に対する直交流Bの噴出流速の流速比は、0.01倍〜0.4倍、更に好ましくは0.01倍〜0.1倍がよい。なお、直進流Aの噴出流速は、前記の第1ノズル34から噴出する溶液の速度と同じである。
【0034】
直交流Bの噴出口となる導入ノズル(第2ノズル)の位置は非常に重要である。直進流Aが小径な第1ノズル34からそれよりも大径な混合室20に噴出されることにより形成される渦粘性Cが最大になる以前の位置で直交流Bを混合室20に噴出させることが必要であり、第1ノズル34と渦粘性Cの最大位置との間に第2ノズル36を配置することが必要である。従って、渦粘性Cが最大になる位置を知る必要があるが、渦粘性Cが最大になる混合室20の位置は、流動解析ソフトとして既に日本で市販されて流動解析ソフトとして良く知られているアールフロー社製の数値解析ソフト、R−Flowを用いて予めシミュレーションを行うことによって把握することができる。この場合、図2から分かるように、渦粘性Cが最大になる位置はピンポイントではなく領域を有するので、渦粘性Cの最大位置を渦粘性Cの略中心部であるポイントPとすればよい。従って、ポイントP以前に第2ノズル36を位置決めすればよいが、より好ましくは渦粘性Cの形成初期の段階で直交流Bを噴出できるように第2ノズル位置を位置決めするのが好ましい。また、直交流Bの導入ノズルは複数であってもよい。
【0035】
ちなみに、渦粘性Cを形成する混合室20がない場合や第1ノズル34と第2ノズル36の位置関係が適切でない場合には、直進流Aは途中から添加された直交流Bを伴って混合される以前に混合場から持ち出されるか、完全に混合するためには非常に長い混合場が必要になり、最初に混合されたものと最後に混合されたものの時間間隔が長くなり、金属水酸化物微粒子の粒子サイズ分布が大きくなる。
【0036】
また、上記の数値解析ソフトで解析すると、渦粘性Cが出現する領域Pは直進流Aの流速と関係があり、直進流Aの最大流速(通常は第1ノズル位置での流速)が1/10に減少する以前の位置に略相当する。従って、直進流Aの最大流速が1/10に減少する位置を計算して、そのポイント以前に直交流Bを噴出できるように第2ノズル36を位置決めすれば、ポイントPを計算する必要もない。高い渦粘性は高速流体が減速する際に発生するのであるから、減速が終了する以前に混合を行う必要があるものである。
【0037】
すなわち直進流Aが混合室に噴出した際の最大速度を有する方向(Z方向)において、該直進流Aの速度Vzが下記式1で表される領域の位置に、直交流Bの噴出口である第2ノズル36が設置されているものである。
【0038】
【数4】
【0039】
ここで、Vz0は直進流が混合室へ噴出した際の最大速度を示す方向におけるノズル出口での直進流の速度を表す。
【0040】
また、最大の渦粘性Cを混合室20に形成するために必要な混合室20の長さL(図1参照)を確保する必要があるが、あまり長すぎると混合反応液40が混合室20で滞留や逆流が生じ易くなり、金属水酸化物微粒子の粒子サイズの微粒子化や単分散性に悪影響を及ぼす。従って、混合室20の長さLは第1ノズル34から渦粘性Cの最大位置であるポイントPまでの距離の2倍〜5倍が好ましく、更に好ましくは2倍〜3倍がよい。
【0041】
更に、小径な第1ノズル34や第2ノズル36からそれよりも大径な混合室20に高速流で液体が噴出されると、キャビテーションを起こし易く、このキャビテーションにより混合室20に気液界面が形成されて混合効率を低下させる。従って、渦粘性Cを利用して混合効率を上げるためには、混合室20に気液界面が形成されないようにすることが必要である。従って、図1のように、排出管26の口径D4 を第3のオリフィス38で絞って混合室20の筒径D1 よりも小さくし、混合室20の圧力を上げた状態で混合することが必要である。これにより、キャビテーションを解消できるので、混合効率が一層向上する。尚、排出管26内の混合に寄与しない部分での滞留時間を極力短くする為、混合室20内の出口を絞ると共に、少なくとも混合室20の径D1 よりも小さな内径の排出管26を極力短くして成長用タンク(図示せず)に接続するとよい。
排出管26の口径D4 に対する混合室20の径D1 の寸法比は、1.4〜10倍の範囲が好ましく、更に好ましくは2〜5倍の範囲である。
【0042】
また、第1ノズル34及び第2ノズル36から混合室20へ噴出される噴出流形状は第1及び第2ノズル34,36に設けた第1及び第2のオリフィス30,32により規制され、この噴出流形状は混合性能に影響する。従って、混合反応の目的に応じて、糸線状、円錐状、スリット状、扇状等の噴出流形状を形成する第1のオリフィス30を適宜使用することが好ましい。例えば、ミリ秒オーダーの非常に反応速度の速い反応の場合には、瞬時にできるだけ狭い範囲で渦粘性Cが最大になるように直進流Aと直交流Bを噴出させることが必要であり、糸線状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス30が好ましい。また、反応速度が比較的遅い場合には、できるだけ広い範囲で渦粘性Cが最大になるように直進流Aと直交流Bを噴出させて、直進流Aが作る同伴界面積を増やす方がよく、この場合には薄膜な噴出流形状を形成する第1のオリフィス30が好ましい。また、ミリ秒オーダーの非常に反応速度と比較的遅い反応速度との中間的な反応速度の場合には、円錐状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス30が好ましい。
【0043】
図3〜図6は糸線状、円錐状、スリット状、扇状の各噴出流形状を形成するためのオリフィスを図示したものであり、それぞれの図における(a)はオリフィス先端側から見た図、(b)はオリフィスの縦断面図、(c)はオリフィスの横断面図である。
【0044】
図3は、糸線状の直進流Aを混合室20に噴出するための第1のオリフィス30であり真っ直ぐな糸線状に形成される。図4は、円錐状の直進流Aを混合室20に噴出するための第1のオリフィス30であり先端部が開いたラッパ管状に形成される。図5は、薄膜の直進流Aを混合室20に噴出するための第1のオリフィス30であり矩形なスリット状に形成される。図6は、扇状な薄膜の直進流Aを混合室20に噴出するための第1のオリフィス30であり、先端部が扇状に拡径して形成される。
【0045】
尚、図5に示したスリット状の第1のオリフィス30のように、管路の断面が円形でない場合のレイノルズ数に関しては『化学工学通論』(疋田晴夫著、朝倉書店)に、次のように取り扱えることが示されている。すなわち、Sを「断面積」、lpを「流体が接触している固体壁周辺の長さ」としたとき、相当直径Deは、De=4S/lpで定義される。スリット状のオリフィスは閉溝構造であることから、短辺をa、長辺をbとすれば、lp=2(a+b)で示される。従って、相当直径Deは、以下の式(2)で示される。
【0046】
【数5】
【0047】
本発明で表現する乱流を計算する場合、円相当直径として式(2)で計算されたDeが使用される。
【0048】
次に、上記の如く構成した静的混合装置12を用いて金属水酸化物微粒子を形成する方法を説明する。
まず、第1ノズル34から水酸化物イオンを含む溶液Yを乱流の直進流Aとして混合室20に噴出し、該直進流Aが小径な第1ノズル34から大径な混合室20に噴出されることで形成される渦粘性Cが最大になる以前の位置に、又は直進流Aの最大流速が1/10以下に減少する以前の位置に、第2ノズル36から金属イオンを含む溶液Xを直進流Aに対してほぼ直交する直交流Bとして噴出して直進流Aに同伴させることにより2つの溶液を瞬時に混合して反応させ、混合反応液40を排出管26から排出する。
【0049】
かかる渦粘性Cを利用した混合反応において、混合室20での混合反応性を向上させるためには2つの方法がある。
【0050】
1つ目の方法は、直進流Aを糸線状の高速流で噴射して、瞬時にできるだけ狭い範囲で渦粘性Cが最大になるようにする方法である。この為には、直進流Aを噴出する第1ノズル34の第1のオリフィス30として、図3の糸線状の噴出流を形成する第1のオリフィス30を用いるとよい。
【0051】
混合という観点では、直進流Aは高速流の方が良いが、この反応生成物を所望の粒子サイズ、サイズ分布に制御する為には高速流により発生する液液摩擦による摩擦熱の反応への影響を考慮しなくてはならない。このような対策として、予め反応液の温度を低くして使用する、又は、添加配管、オリフィス部、混合室部、排出部を二重構造にし冷却して使用する、或いは、その両方を行うなどが効果的である。また、高速流は噴出する流量に応じて加えられる噴出圧力と第1のオリフィス30の内径とで決定されるので、より高速流を作るためには、第1のオリフィス30の内径をできる限り小さくし、液体に加える圧力を上げなくてはならない。従って、高速流になればなるほど第1のオリフィス30の磨耗が問題になるが、耐久性の良いダイヤモンド等を使用することで対応可能である。
【0052】
2つ目の方法は、直進流Aを薄膜状の噴出流形状とし、直進流Aが作る同伴界面積を増やす方法である。この為には、直進流Aの噴出する第1ノズル34の第1のオリフィス30として、図5及び図6に示したスリット状や扇状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス30を用いるとよい。この場合、直交流Bが直進流Aの薄膜を破らないように直交流Bの噴出流速を調整することが必要である。また、より好ましくは、第2ノズル36の第2のオリフィス32も図5や図6のようにして、直交流Bも直進流Aと同様にスリット状や扇状の薄膜な噴出流形状にするとよい。
【0053】
この2つ目の方法は、より大きな渦粘性領域を確保することができるので、直進流Aの噴出流速を糸線状の噴出流形状の場合より小さくしても良好な混合性能を得ることができる。従って、第1及び第2のオリフィス30,32の磨耗性が改善され、加工性の良い金属、金属処理品、セラミックスなどでオリフィスを製作することが可能になると共に、直進流の流速を小さくすることで、摩擦熱の発生を抑制することができるので、より微粒子の金属水酸化物微粒子を形成することが可能となる。
【0054】
このように、本発明に用いられる静的混合装置12は、従来にない発想のもとに構成されたもので、この静的混合装置12を使用することにより次の効果を得ることができる。
【0055】
▲1▼静的混合装置を渦粘性を発生させる構造にすることにより、静的混合における最適な混合反応状態を得ることができるので、微粒子で単分散性の良い金属水酸化物微粒子を形成することができる。
【0056】
▲2▼渦粘性を利用して混合反応させることで、水酸化物イオンを含む溶液Yや金属イオンを含む溶液Xの噴出流速を遅くしても良好な混合性能を得ることができるので、噴出圧力を下げることができる。これにより、装置の製作のし易さ、安定性及び保全性を向上できる。特に、第1及び第2のオリフィス30,32の材質として、ダイヤモンド以外の低価で加工性の良いものに変えることが可能になる。
【0057】
▲3▼少なくとも直進流を薄膜状にして噴出することにより、水酸化物イオンを含む溶液Yと金属イオンを含む溶液Xの高濃度での混合反応が可能になる。これにより、工業的に採算がとれる高濃度レベルで金属水酸化物微粒子の種粒子を形成したり、種粒子を成長させたりすることが可能となる。
【0058】
本発明の微粒子とは、同体積の球体の直径に換算した値Dsが1nm以上100μm以下が好ましく、1nm以上1μm以下が特に好ましい。
【0059】
本発明において、金属水酸化物微粒子を形成する金属としては、Ib族(Cu、Ag、Au)、IIa族(Mg、Ca、Srなど)、IIb族(Zn、Cd、Hg)、IIIa族(Sc、Y、Euなど)、ホウ素を除くIIIb族(Al、Ga、In、Tl)、IVa族(Ti、Zrなど)、炭素とケイ素を除くIVb族(Ge、Sn、Pb)、Va族(V、Nb、Taなど)、窒素とリンを除くVb族(As、Sb、Bi)、VIa族(Cr、Mo、Wなど)、VIIa族(Mn、Tc、Reなど)、VIII族(Fe、Ru、Co、Ni、Pdなど)の各元素が挙げられる。
本発明において用いられる金属イオンを含む溶液としては、水またはアルコールなどの適当な有機溶媒に上記のような金属の塩を溶解させた金属塩溶液を用いることができる。金属塩溶液は単独でも複数の混合物でもよい。
【0060】
また、本発明において、金属酸化物は前述のように金属イオンを含む溶液に水酸化物イオンを含む溶液を混合することにより金属水酸化物微粒子を形成させ、従来用いられている方法により焼成し、金属水酸化物微粒子を酸化させることにより得られる。
【0061】
本発明において用いられる水酸化物イオンを含む溶液とは特に制限するものではないが、アルカリ金属塩(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム)、アルカリ土類金属塩(例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム)、アンモニア、ヒドラジン、有機塩類(例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、グアニジン類、アミジン類)等の水溶液があげられる。
【0062】
金属イオンを含む溶液の金属イオン濃度または水酸化物イオンを含む溶液の水酸化物イオン濃度は、任意に設定できるがサイズ制御および生産性の観点から0.05モル/リットル以上5モル/リットル以下が好ましく、0.1モル/リットル以上1モル/リットル以下がさらに好ましい。また溶液の温度は5℃以上75℃以下が好ましい。
本発明において接触界面における金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液の流量は好ましくは0.05〜1000ml/分、より好ましくは0.1〜100ml/分とする。また金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液の流量は等しくても異なっていてもよい。
【0063】
本発明に用いられる金属イオンを含む溶液または水酸化物イオンを含む溶液の少なくとも一方に、金属水酸化物微粒子表面に吸着する、吸着性化合物(分散剤)を含有することが望ましい。吸着性化合物により粒子表面を表面修飾した状態で溶媒中に分散することにより安定な微粒子分散液(コロイド分散液)が得られる。この場合の吸着性化合物の使用量は分散性を十分に高める程度であればよく特に制限はない。
吸着性化合物としては、−SH、−CN、−NH2 、−SO2 OH、−SOOH、−OPO(OH)2 、−COOH含有化合物などが有効であり、これらのうち−SH、−NH2 または−COOH含有化合物が好ましい。親水性コロイドの場合には、親水性基(例えば、−SO3 Mや−COOM〔Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム分子等を表わす〕)を有する吸着性化合物を使用するのが好ましい。また、アニオン性界面活性剤(例えば、エアロゾルOTやドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)や親水性高分子(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン等)も使用することができる。
なお、微粒子の表面が吸着性化合物や親水性高分子などで表面修飾していることは、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)などの高分解能の透過型電子顕微鏡(TEM)で粒子間に一定の間隔があること、および化学分析により確認できる。
【0064】
本発明において、微粒子含有分散液の分散溶媒としては、水、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2ージクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する化合物の分散性を考慮して単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。コロイド分散溶媒は、前記金属イオンを含む溶液の溶媒と同じであっても異なっていてもよい。異なる場合は脱塩処理時に溶媒置換することにより実施できる。
【0065】
上記静的混合器で合成された金属水酸化物微粒子を別の反応容器に導入し、結晶成長させることによって、より大きいサイズの粒子を得ることができる。この結晶成長による、より大きなサイズの粒子の製造方法は、特に制限がなく、常法によることができる。この場合の反応容器としては、同様の静的混合器でもよいし、特開平7−219092号公報、同8−171156号公報、同4−283741号公報、特公平8−22739号公報、米国特許第3,782,954号明細書などに記載されているような撹拌混合による混合器も可能である。この反応容器中にはさらに金属イオンを含む溶液または水酸化物イオンを含む溶液を添加してもよい。
【0066】
また、上記静的混合器で合成された金属水酸化物微粒子を別の反応容器に導入し、この中に別の金属イオンを含む溶液および水酸化物イオンを含む溶液を添加して反応させることにより、該金属水酸化物微粒子をコア(核)に、別の金属をシェル(殻)としたコア/シェル型微粒子を得ることができる。この場合、コアとなる金属、シェルとなる金属はそれぞれ単独でもよいし、複合金属でもよい。また、該金属水酸化物微粒子をコア(核)にして、金属化合物(この場合の金属はコアと同じでも異なっていてもよい)をシェルにした微粒子であってもよい。これらの場合の反応容器も、同様の静的混合器でもよいし、上記のように撹拌混合器でもよい。このコア/シェル型微粒子を製造する方法は、特に制限がなく、常法によることができる。
【0067】
本発明の方法に用いられる微粒子分散液中の微粒子の濃度は、特に制限するものではなく、また、得られた液は濃縮常法により濃縮できるが、最初の製造時で濃度は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1〜20質量%である。また、微粒子成長処理後は、好ましくは0.1質量%である。また、導電材料や記録材料などの塗布液として用いる場合は、各用途によって異なるが好ましくは微粒子0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。しかしこれに制限されるものではない。
本発明の金属水酸化物微粒子含有分散物は、混合器(例えば上記静的混合器)および/または反応容器の外に、多段の限外濾過装置を設置し、該混合器および/または反応容器中の微粒子分散液中に溶解している塩などを連続的に除去することで製造することができる。
【0068】
多段の限外濾過装置とは、例えばザルトリウスAG社製のVivaFlow 50(商品名)のような細いチューブ状の限外ろ過膜を複数直列および/または並列に組合わせたものであり、これに分散媒を添加しながら金属水酸化物微粒子を含有するコロイド分散液を通すことにより効率的に脱塩および濃縮できる。限外ろ過膜を通すコロイド分散液の流量は、コロイド溶液の濃度、分散剤の種類などにより適宜設定できるが、限外ろ過膜1経路当たり、10ml〜1000mlが好ましく、100ml〜500mlがより好ましい。限外ろ過後のコロイド分散液の伝導度は1mS/cm以下であることが望ましい。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
実施例1
(水酸化インジウム微粒子の調製)
塩化インジウム111gおよび平均分子量3000のポリビニルピロリドン100gを水5000mlに溶解して、塩化インジウム水溶液を調製した。また、水酸化リチウム1水和物65gを水5000mlに溶解して、水酸化リチウム水溶液を調製した。
両水溶液を0℃に保ち、図1に示した静的混合装置に導入して水酸化物微粒子を調製した。すなわち、図1の第1ノズル34より0℃において塩化インジウム水溶液(溶液Y)を混合室20に直進流Aとして噴出した。混合室20噴出時における溶液Yの流速は360m/secとした。第1ノズル34の口径D2 は0.13mmである。第2ノズル36からは0℃に保った水酸化リチウム水溶液(溶液X)を直交流Bとして噴出した。第2ノズル36の口径D3 は1.3mmであり、溶液Xの噴出速度は3.6m/secであった。減速領域は直径4.0mm(D1 )の円筒形状を有した混合室20であり、排出口D4 は直径2.0mmである。第2ノズル36の位置(中心)は、直進流の噴出時の最大速度の方向(Z方向)に第1ノズル先端から2mmの位置とした。また、混合室の長さLは12mmであった。
有限差分法を用いた数値流体解析(アールフロウ社製、解析コードR−Flowを使用)により、第1ノズル34から噴出された直進流が第2ノズル36の位置まで進行した場合の噴出時の最大速度の方向における速度(Z方向の成分)を計算した。その結果は、ほぼ300m/secであった。また、溶液Yが形成する渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルの先端からZ方向におよそ5〜10mmの位置と計算された。
得られた水酸化インジウム微粒子を、冷却可能な透過電子顕微鏡を用いた顕微鏡写真により観察した結果、平均粒子サイズ4nmで変動係数12%であった。
【0071】
比較例1
(水酸化インジウム微粒子の調製)
図7に示す静的混合装置を用いた以外は実施例1と同様に水酸化インジウム微粒子を調製した。図7の静的混合装置は、混合室を延長し溶液Yを導入する第2ノズル36の中心が第1ノズル34の先端からZ方向に15mmの位置に設置されている点以外は、図1の静的混合装置と同様の構造である。図7に示す符号は、図1で説明したものと同じものを示す。
数値流体解析の結果、第1ノズル34から噴出された直進流が第2ノズル32の位置まで進行した場合の噴出時の最大速度の方向における速度(Z方向の成分)は、ほぼ5m/secであった。また、溶液Yが形成する渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルの先端からZ方向におよそ5〜10mmの位置と計算された。
排出された混合反応液に含まれる水酸化インジウム微粒子を、冷却可能な透過電子顕微鏡を用いた顕微鏡写真により観察した結果、平均粒子サイズ5nmで変動係数18%であった。
【0072】
実施例2
(水酸化インジウム微粒子の調製)
第1ノズル34より噴出される溶液Yの速度を36m/sec、第2ノズル36より噴出される溶液Xの速度を0.36m/secとした以外は実施例1と同様にして水酸化インジウム微粒子を調製した。
数値流体解析の結果、第1ノズル34から噴出された直進流が第2ノズル36の位置まで進行した場合の噴出時の最大速度の方向における速度(Z方向の成分)は、ほぼ33m/secであった。また、溶液Yが形成する渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルの先端からZ方向に7〜9mmの位置と計算された。
実施例1と同様に冷却可能な透過電子顕微鏡を用いた顕微鏡写真により、得られた水酸化インジウム微粒子を観察した結果、平均粒子サイズ5nmで変動係数15%であった。
【0073】
比較例2
(水酸化インジウム微粒子の調製)
図7に示す静的混合装置を用いた以外は実施例2と同様に水酸化インジウム微粒子を調製した。
数値流体解析の結果、第1ノズル34から噴出された直進流が第2ノズル36の位置まで進行した場合の噴出時の最大速度の方向における速度(Z方向の成分)は、ほぼ0.1m/secであった。また、溶液Yが形成する渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルの先端からZ方向に7〜9mmの位置と計算された。
実施例2と同様に得られた水酸化インジウム微粒子を観察した結果、平均粒子サイズ7nmで変動係数25%であった。
【0074】
実施例1,2及び比較例1,2の結果より、実施例の変動係数は比較例に対して33〜40%改善され、本発明にかかる製造方法で形成した水酸化インジウム微粒子は単分散であった。また、該効果は特に直進流の速度が低い場合にも有効であることがわかった。
【0075】
実施例3
(酸化インジウムの生成)
実施例1で得られた水酸化インジウムを含む混合反応液を多段限外濾過による脱塩と濃縮を行い、水酸化インジウム微粒子を10質量%含み、伝導度28μS/cmの微粒子コロイド分散物を得た。限外濾過にはザルトリウスAG社製のVivaFlow50を用いた。該微粒子コロイド分散物をガラス基盤上にスピンコートし、80℃で30分乾燥した後、電気炉で450℃、20分間焼成した。焼成後のサンプルをX線回折測定した結果、酸化インジウムの生成が確認された。
【0076】
【発明の効果】
本発明の方法により、粒子サイズ分布の狭い、単分散性の優れた微粒子コロイドが得られる。また、多段の限外濾過装置と組み合わせることにより、微粒子含有分散液の脱塩や分解物の除去を簡便に行うことができる。半導体の酸化物導電体(たとえば透明電極)として、金属水酸化物の微粒子が塗布などにより使用することが試みられているが、サイズをそろえた微粒子を用いると導電性が向上することが知られている。本発明の方法により得られる微粒子は単分散性が高く、その要求に適合するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属水酸化物微粒子の製造方法に用いられる静的混合装置の概念図である。
【図2】静的混合装置の混合室に形成された渦粘性を説明する模式図である。
【図3】糸線状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図である。
【図4】円錐状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図である。
【図5】薄膜状でスリット状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図である。
【図6】薄膜状で扇状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図である。
【図7】比較例の金属水酸化物微粒子の製造方法に用いられる静的混合装置の概念図である。
【符号の説明】
12 静的混合装置
20 混合室
22 混合器
24 第1の導管
26 排出管
28 第2の導管
30 第1のオリフィス
32 第2のオリフィス
34 第1ノズル
36 第2ノズル
38 第3のオリフィス
40 反応混合液
【発明の属する技術分野】
本発明は金属粒子の製造方法に関し、特にナノ領域の金属水酸化物微粒子の製造方法および該微粒子含有分散物の製造方法に関するものである。さらに、該水酸化物を酸化することにより得られる金属酸化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属水酸化物微粒子は、たとえば、気相中に高温で蒸発させた金属の蒸気を供給し、ガス分子との衝突により急冷させて微粒子を形成する気相法、金属イオンを溶解した水溶液のpHあるいはアニオンを制御して金属水酸化物を取り出した後に、乾燥または焼成を行う溶液法、その他ゾルゲル法、逆ミセル法、ホットソープ法などの液相法により合成できる。
【0003】
これらの方法のなかで液相法は比較的安価に大量合成できる長所を有する。液相法は通常の場合、攪拌器を備えた反応容器内に金属カチオン溶液と水酸化物イオンを含む溶液とを添加して行われ、初期の添加によって核形成が起こり、その後の添加によって結晶成長が起こる。例えばハロゲン化銀粒子形成で用いられる様々な方法がある(例えば、特許文献1〜5参照。)。しかし、このような方法で核形成を行う場合、いずれの攪拌方法を用いても、反応容器内を液が循環するために核形成と核成長が並行して起こり、単分散な核を生成することが困難である。
【0004】
また、機械的攪拌を伴わずに混合を行うため、添加液の循環が存在しない方法もある(例えば、特許文献6〜7参照。)。しかし、これらの方法では、強力な攪拌が存在しないために混合力が不十分である。また、パイプ中で2液を混合する方法も開示されている(例えば、特許文献8〜9参照。)。しかし、この場合にも添加液の循環は生じないが、添加液は一定方向に流れるいわゆるプラグフロウ(plug flow)であるため、混合は高速流に伴う乱流の発生に頼らざるを得ない。従って、プラグフロウで十分な乱流を発生するためには非常に高速な流れを持続する必要があり、その実施には困難を伴うものである。
機械的攪拌を伴わずに十分な混合力を保つために、添加液を直線状の噴流としてその運動エネルギーによって混合を行う方法がある。例えば、そのような噴流の運動エネルギーを利用するハロゲン化銀写真乳剤の製造方法も開示されている(例えば、特許文献10参照)。しかし、該特許文献10に開示されている方法はシングルジェット法による製造方法であり、用いられている運動エネルギーでは反応容器全体の混合を行うには不十分なため、機械的攪拌が併用されている。
【0005】
また、二種類の水溶液の少なくとも一方を高い流速を持つ直線状の噴流とし、前記二種類の溶液を短時間内に混合してハロゲン化銀粒子を連続的に生成する方法も知られている(例えば、特許文献11〜12参照。)。しかし、これらの方法では、高い流速を利用しても、ミクロな混合にとっては不十分であり、さらなる改良が望まれていた。
【0006】
また、反応の結果得られた分散液中には、金属水酸化物微粒子とともに副生成物である塩や分解生成物などが溶解しており、通常それらの副生成物を除去することが必要である。塩や分解生成物を除去するには、例えば、限外濾過法、電気透析法、遠心分離法などが用いられる。しかし、ナノ領域の微粒子を含有する分散液を処理する場合、前二つの方法では濾過膜や透析膜が目詰まりし易く実用的でなく、後者の方法ではバッチ処理にならざるを得ず非効率であった。
【特許文献1】
特開平7−219092号公報
【特許文献2】
特開平8−171156号公報
【特許文献3】
特開平4−283741号公報
【特許文献4】
特公平8−22739号公報
【特許文献5】
米国特許第3,782,954号明細書
【特許文献6】
特開平4−139440号公報
【特許文献7】
特表平6−507255号公報
【特許文献8】
米国特許第5,104,786号明細書
【特許文献9】
特開平11−38539号公報
【特許文献10】
特開平8−334848号公報
【特許文献11】
特開2000−338620号公報
【特許文献12】
特開2001−290231号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、微粒子でサイズのそろった、単分散な金属水酸化物微粒子を連続的に合成する方法を提供することを目的とする。また、この微粒子を結晶成長させることにより、より大サイズの単分散粒子を形成する方法やコア/シェル型の微粒子を形成する方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、金属水酸化物とともに生成する塩や分解生成物などの溶解物を連続的に除去しうる方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は以下の手段によって達成される。
すなわち、本発明は、
(1)金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液とをそれぞれのノズルから混合室に噴出して混合反応させるとともに混合反応液を前記混合室の径よりも小さな口径の排出口から排出することにより金属水酸化物微粒子を製造する方法であって、前記金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方を直進流として前記直進流が前記混合室の径よりも小さな口径のノズルから前記混合室に噴出し、前記直進流が前記混合室に噴出されて形成される渦粘性が最大になる以前の位置に、他方の液を前記直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出することを特徴とする金属水酸化物微粒子の製造方法、
(2)金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液とをそれぞれのノズルから混合室に噴出して混合反応させるとともに混合反応液を前記混合室の径よりも小さな口径の排出口から排出することにより金属水酸化物微粒子を製造する方法であって、前記金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方を直進流として前記混合室の径よりも小さな口径のノズルから前記混合室に噴出し、前記直進流が前記混合室に噴出した際の最大速度を有する方向において、前記直進流の速度Vzが下記式1で表される領域の位置に、他方の液を前記直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出することを特徴とする金属水酸化物微粒子の製造方法、
【0009】
【数2】
【0010】
ここで、Vz0は直進流が混合室へ噴出した際の最大速度を示す方向におけるノズル出口での直進流の速度を表す。
(3)前記直進流は糸線状であることを特徴とする(1)または(2)項記載の金属水酸化物微粒子の製造方法、
(4)前記直進流の噴出時の流速に対して、前記他方の流の噴出時の流速が同等以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の金属水酸化物微粒子の製造方法、
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法により製造された金属水酸化物微粒子が分散された微粒子分散液を有する混合器および/または反応容器の外に、多段の限外濾過装置を設置し、前記微粒子分散液に溶解している塩を連続的に除去することを特徴とする金属水酸化物微粒子含有分散物の製造方法、及び、
(6)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法で製造された金属水酸化物を酸化して得られたことを特徴とする金属酸化物
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
流体の流れには大きく異なる2つの流動様式がある。一つは層流で、各部の流体粒子が流れの方向には前後の順序をくずすことなく、また流れの方向に垂直に隣接する粒子は相互に位置を入れかえることはなく整然と流れる場合である。他の一つは乱流で、各部の流体粒子は前後あるいは横方向に不規則に運動する場合である。流れが層流から乱流に遷移するのはレイノルズ数が一定の値に達したときである。
物質は、乱流において、いわゆる流れ(以降、平均流という)と平均流とは方向の異なる渦(以降、渦流という)の二つの要因によって混合される。微小領域において高い攪拌効率を得るためには、渦流による混合を行う必要がある。従来技術の欄で述べた、たとえば特許文献8に開示されているような従来法を用い、渦流を発生させる場合、レイノルズ数が数万の装置を用いたとしても混合が十分であるとはいえなかった。しかし、本発明者らは、流速を短時間に減少させることで、流体の運動エネルギーを平均流から渦流へと変換することができ、攪拌混合効率が大きく高められることを見いだした。
【0012】
流体の運動が乱流の場合には、見かけ上粘度の値が非常に大きくなる。この見かけ上の粘度が「渦粘性」である。平均流から渦流への変化は渦粘性として評価することができる。そこで、本発明では大きな渦粘性が発生する場に反応すべき複数の溶液を導入することを特徴とするものである。
【0013】
噴流が渦粘性を発生する場合、噴流の速度は大きいほど減速時の渦流発生も大きくでき、混合に有利である。一方、従来の方法では、大きな噴流速度を発生させるためには高圧を発生させる必要があり、製造上の負担が大きいといった問題があった。しかし、本発明では、噴流の減速領域、すなわち混合室への噴出速度が比較的小さい場合にも高い混合効率が得られるものである。そのため、製造上の負荷が大きく低減することが可能となるものである。
【0014】
本発明で、「他方の液を直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出する」とは、直交流が直進流に対して完全に直交しなくても、直交する速度ベクトル成分を主成分とするものであればよいことを意味する。
また、本発明では直進流は噴流として噴出されるものである。
また、本発明において、粒子が単分散であるとは、粒子サイズの変動係数が好ましくは20%未満、より好ましくは15%未満であることをいう。
【0015】
本発明は、従来の静的混合装置のように、金属イオンを含む溶液の高速乱流と水酸化物イオンを含む溶液の高速乱流とをT字管やY字管のような非常に狭い配管の交点で衝突させて、その衝突場において瞬時に混合反応させるものではなく、乱流場での混合性評価として知られている渦粘性に着目し、静的混合装置内で水酸化物イオンを含む溶液(又は金属イオンを含む溶液)の例えば糸線状の直進流と、金属イオンを含む溶液(又は水酸化物イオンを含む溶液)を直交流として混合室に添加し、直進流により形成される渦粘性を利用することで、両液を瞬時に混合反応させるようにしたものである。
【0016】
即ち、本発明に用いられる静的混合装置は、筒状の混合室が形成された混合器に、混合室の筒径よりも小さな口径の第1ノズルと第2ノズルを形成し、小径なノズルからそれよりも大径な混合室に液を噴出することで渦粘性が形成されるようにすると共に、排出口の口径を絞って混合室に圧力が付与されるようにすることで、混合室にキャビテーションによる気液界面が形成されにくくなるように構成したものである。
【0017】
更に、金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方の液を第1ノズルから噴出した直進流により渦粘性を形成する際に、第1ノズルから少し離れた噴出距離の位置で渦粘性が最大になり、この最大渦粘性の位置で両液の混合効率が最大になることに着目し、他方の液である直交流を渦粘性が最大になる以前の位置から混合室に噴出されるように第1ノズルと第2ノズルの位置関係を規定した。渦粘性が最大になる位置は、流動解析ソフトとして既に日本で市販されている数値解析ソフト(例えば、アールフロー社製、R−Flow(商品名))を用いて予めシミュレーションを行い、渦粘性が出現する領域を把握し、この中心ポイントを把握し、このポイントより直進流の噴射ノズル側に第2のノズルである直交流を添加する位置を決定することができる。
【0018】
また、混合室において渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルからの直進流の最大速度が1/10に減少する位置に略相当するので、直進流が最大流速の1/10以下に減少する以前に直交流を噴出するように第2ノズルを位置決めしてもよい。そのことにより、直進流の速度が1/10以下に減少する以前の位置に、他方の液を噴出して、両液を混合することができる。
【0019】
本発明でいう、直進流の速度が1/10以下に減少する以前の位置に、他方の液を噴出して、両液を混合するとは、該直進流が噴出した際の最大速度を有する方向(以下、Z方向ともいう)において、直進流の速度Vzが下記式1で表される領域の位置に、他方の液の噴出口が設置され、他方の液を直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出することを意味する。
【0020】
【数3】
【0021】
ここで、Vz0は直進流が混合室へ噴出した際の最大速度を示す方向におけるノズル出口での直進流の速度を表す。
【0022】
前記他方の液の噴出口は、前記直進流の速度Vzが(1/4)Vz0<Vz<Vz0表させるされる領域の位置に設置されていることが好ましく、(1/2)Vz0<Vz<Vz0で表される領域の位置に設置されていることがさらに好ましい。
なお、求めようとする位置のVzは、例えば、有限差分法を用いた数値流体解析により計算することができる。また、ここで、「混合室」は、直進流が減速する領域であり、「減速領域」とも呼ばれるものである。
【0023】
更に、渦粘性を利用して直交流と直進流とを効率良く混合するには、直交流の噴出時の噴出流速を直進流の噴出時の噴出流速に対し同等以下にして高速な直進流に同伴される同伴流に直交流が巻き込まれるようにすることが好ましい。
【0024】
以下添付図面にしたがって、本発明にかかる金属水酸化物微粒子の製造方法およびそれに用いられる装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0025】
図1は、本発明に用いられる静的混合装置12の構造を示した概念図である。図1に示すように、静的混合装置12は、金属イオンを含む溶液Xと水酸化物イオンを含む溶液Yとを混合して反応させる筒状の混合室20が形成された混合器22の一端側開口に、水酸化物イオンを含む溶液Yを混合室20に導入する第一の導管24が接続されるとともに、他端側開口に混合室20で混合反応された混合反応液40の排出管26が接続される。また、混合器22の側面側で第1の導管24の出口近傍に、金属イオンを含む溶液Xを混合室20に導入する第2の導管28が接続される。尚、本実施の形態では、第1の導管24から水酸化物イオンを含む溶液Yを導入し、第2の導管28から金属イオンを含む溶液Xを導入するようにしたが、両液を逆にしてもよい。また、排出管26の接続位置は、混合器22の他端側近傍であれば、混合器22の側面部に接続してもよい。
【0026】
第1の導管24と第2の導管28の先端内部には、それぞれ第1のオリフィス30と第2のオリフィス32が形成され、これにより、第1の導管24と第2の導管28には乱流の液体を噴射する第1ノズル34と第2ノズル36が形成される。また、Lは混合室20の長さ、D1 は混合室20の径、D2 は第1ノズル34の口径(オリフィス径)、D3 は第2ノズル36の口径(オリフィス径)、D4 は排出管26の口径をそれぞれ示すものである。また、Zは第1ノズル34から噴出する溶液の最大速度を示す方向である。
第1ノズル34から噴出する溶液の速度は10m/sec以上360m/sec以下が好ましく、10m/sec以上100m/sec以下が特に好ましい。
【0027】
ブロック状のオリフィス材23に、第1及び第2のオリフィス30、32を穿設加工する方法としては、金属、セラミックス、ガラス等のオリフィス材23に100μm程度の噴出孔を精密に開ける加工方法として公知のマイクロ切削加工、マイクロ研削加工、噴射加工、マイクロ放電加工、LIGA法、レーザー加工、SPM加工等を好適に使用できる。
【0028】
オリフィス材23の材質としては、加工性が良く、硬度がダイヤモンドに近い材質のものが好ましい。従って、ダイヤモンド以外の材質としては、種々の金属や金属合金に焼入れ、窒化処理、焼結処理等の硬化処理したものを好適に使用することができる。また、セラミックスも硬度が高く、ダイヤモンドよりも加工性が優れているので好適に使用できる。尚、本実施の形態では、第1ノズル34及び第2ノズル36の絞り構造としてオリフィスの例で説明するが、乱流の液体を噴射する機能を有するものであれば、オリフィスに限らず他の方法を用いることができる。
【0029】
また、第1の導管24と第2の導管28には、図示しない加圧手段が設けられ、水酸化物イオンを含む溶液Yと金属イオンを含む溶液Xとが第1及び第2ノズル34、36に加圧供給される。液体に高圧力をかける加圧手段としては、種々の手段が知られており何れの手段も使用可能であるが、比較的入手し易く安価な手段としてはプランジャーポンプや増圧ポンプのような往復ポンプを使用することが好ましい。また、往復ポンプほど高圧を発生することはできないが、ロータリポンプの中にも高圧発生型のものがあるので、このようなポンプを使用することもできる。
【0030】
そして、第1ノズル34から水酸化物イオンを含む溶液Yが乱流の直進流Aとして混合室20に噴出され、第2ノズル36から金属イオンを含む溶液Xが直進流Aに対してほぼ直交する直交流Bとして混合室20に噴出されて2つの溶液が混合して反応し、金属水酸化物微粒子を含む混合反応液40が形成される。この場合、直交流Bが直進流Aに対して90の角度で完全に直交しなくても、直交する速度ベクトル成分を主成分とするものであればよい。また、図1では直交流Bを噴出する第2ノズル36を混合器22の上側に配置しているが、混合器22の下側に配置しても側方側に配置してもよく、要は直交流Bが直進流Aに対してほぼ直交するように噴出できればよい。
【0031】
図2は、かかる混合反応を模式的に示したものである。乱流の高速な直進流Aに同伴される同伴流に、直進流Aに対してほぼ直交方向から噴出される直交流Bを巻き込むことにより、乱流の直進流Aと直交流Bとが混ざり合って発生する大きな渦粘性を利用することで高性能な混合効率を得るものである。ここで、斜線で示すCは渦粘性を模式的に示すものである。また、Pは渦粘性Cの略中心部を示すものである。
【0032】
また、静的混合装置12の上記した混合室20、第1及び第2ノズル34、36、排出管26は次の関係を有するように形成される。即ち、混合室20に渦粘性が形成されることが必要である。渦粘性を形成するために直進流Aを減速する。そのために混合室20の径D1 が第1ノズル34の口径D2 よりも大径に形成される。直進流Aの作る渦粘性は混合効率を良くする上で重要であり、第1ノズル34の口径D2 に対する混合室20の径D1 の寸法比は、1.1倍〜1000倍の範囲が好ましく、更に好ましくは1.1倍〜100倍の範囲である。
【0033】
また、直交流Bが直進流Aに巻き込まれ易くするためには、直交流Bの噴出流速は直進流Aの噴出流速の同等以下であることが好ましく、具体的には直進流Aの噴出流速に対する直交流Bの噴出流速の流速比は、0.01倍〜0.4倍、更に好ましくは0.01倍〜0.1倍がよい。なお、直進流Aの噴出流速は、前記の第1ノズル34から噴出する溶液の速度と同じである。
【0034】
直交流Bの噴出口となる導入ノズル(第2ノズル)の位置は非常に重要である。直進流Aが小径な第1ノズル34からそれよりも大径な混合室20に噴出されることにより形成される渦粘性Cが最大になる以前の位置で直交流Bを混合室20に噴出させることが必要であり、第1ノズル34と渦粘性Cの最大位置との間に第2ノズル36を配置することが必要である。従って、渦粘性Cが最大になる位置を知る必要があるが、渦粘性Cが最大になる混合室20の位置は、流動解析ソフトとして既に日本で市販されて流動解析ソフトとして良く知られているアールフロー社製の数値解析ソフト、R−Flowを用いて予めシミュレーションを行うことによって把握することができる。この場合、図2から分かるように、渦粘性Cが最大になる位置はピンポイントではなく領域を有するので、渦粘性Cの最大位置を渦粘性Cの略中心部であるポイントPとすればよい。従って、ポイントP以前に第2ノズル36を位置決めすればよいが、より好ましくは渦粘性Cの形成初期の段階で直交流Bを噴出できるように第2ノズル位置を位置決めするのが好ましい。また、直交流Bの導入ノズルは複数であってもよい。
【0035】
ちなみに、渦粘性Cを形成する混合室20がない場合や第1ノズル34と第2ノズル36の位置関係が適切でない場合には、直進流Aは途中から添加された直交流Bを伴って混合される以前に混合場から持ち出されるか、完全に混合するためには非常に長い混合場が必要になり、最初に混合されたものと最後に混合されたものの時間間隔が長くなり、金属水酸化物微粒子の粒子サイズ分布が大きくなる。
【0036】
また、上記の数値解析ソフトで解析すると、渦粘性Cが出現する領域Pは直進流Aの流速と関係があり、直進流Aの最大流速(通常は第1ノズル位置での流速)が1/10に減少する以前の位置に略相当する。従って、直進流Aの最大流速が1/10に減少する位置を計算して、そのポイント以前に直交流Bを噴出できるように第2ノズル36を位置決めすれば、ポイントPを計算する必要もない。高い渦粘性は高速流体が減速する際に発生するのであるから、減速が終了する以前に混合を行う必要があるものである。
【0037】
すなわち直進流Aが混合室に噴出した際の最大速度を有する方向(Z方向)において、該直進流Aの速度Vzが下記式1で表される領域の位置に、直交流Bの噴出口である第2ノズル36が設置されているものである。
【0038】
【数4】
【0039】
ここで、Vz0は直進流が混合室へ噴出した際の最大速度を示す方向におけるノズル出口での直進流の速度を表す。
【0040】
また、最大の渦粘性Cを混合室20に形成するために必要な混合室20の長さL(図1参照)を確保する必要があるが、あまり長すぎると混合反応液40が混合室20で滞留や逆流が生じ易くなり、金属水酸化物微粒子の粒子サイズの微粒子化や単分散性に悪影響を及ぼす。従って、混合室20の長さLは第1ノズル34から渦粘性Cの最大位置であるポイントPまでの距離の2倍〜5倍が好ましく、更に好ましくは2倍〜3倍がよい。
【0041】
更に、小径な第1ノズル34や第2ノズル36からそれよりも大径な混合室20に高速流で液体が噴出されると、キャビテーションを起こし易く、このキャビテーションにより混合室20に気液界面が形成されて混合効率を低下させる。従って、渦粘性Cを利用して混合効率を上げるためには、混合室20に気液界面が形成されないようにすることが必要である。従って、図1のように、排出管26の口径D4 を第3のオリフィス38で絞って混合室20の筒径D1 よりも小さくし、混合室20の圧力を上げた状態で混合することが必要である。これにより、キャビテーションを解消できるので、混合効率が一層向上する。尚、排出管26内の混合に寄与しない部分での滞留時間を極力短くする為、混合室20内の出口を絞ると共に、少なくとも混合室20の径D1 よりも小さな内径の排出管26を極力短くして成長用タンク(図示せず)に接続するとよい。
排出管26の口径D4 に対する混合室20の径D1 の寸法比は、1.4〜10倍の範囲が好ましく、更に好ましくは2〜5倍の範囲である。
【0042】
また、第1ノズル34及び第2ノズル36から混合室20へ噴出される噴出流形状は第1及び第2ノズル34,36に設けた第1及び第2のオリフィス30,32により規制され、この噴出流形状は混合性能に影響する。従って、混合反応の目的に応じて、糸線状、円錐状、スリット状、扇状等の噴出流形状を形成する第1のオリフィス30を適宜使用することが好ましい。例えば、ミリ秒オーダーの非常に反応速度の速い反応の場合には、瞬時にできるだけ狭い範囲で渦粘性Cが最大になるように直進流Aと直交流Bを噴出させることが必要であり、糸線状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス30が好ましい。また、反応速度が比較的遅い場合には、できるだけ広い範囲で渦粘性Cが最大になるように直進流Aと直交流Bを噴出させて、直進流Aが作る同伴界面積を増やす方がよく、この場合には薄膜な噴出流形状を形成する第1のオリフィス30が好ましい。また、ミリ秒オーダーの非常に反応速度と比較的遅い反応速度との中間的な反応速度の場合には、円錐状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス30が好ましい。
【0043】
図3〜図6は糸線状、円錐状、スリット状、扇状の各噴出流形状を形成するためのオリフィスを図示したものであり、それぞれの図における(a)はオリフィス先端側から見た図、(b)はオリフィスの縦断面図、(c)はオリフィスの横断面図である。
【0044】
図3は、糸線状の直進流Aを混合室20に噴出するための第1のオリフィス30であり真っ直ぐな糸線状に形成される。図4は、円錐状の直進流Aを混合室20に噴出するための第1のオリフィス30であり先端部が開いたラッパ管状に形成される。図5は、薄膜の直進流Aを混合室20に噴出するための第1のオリフィス30であり矩形なスリット状に形成される。図6は、扇状な薄膜の直進流Aを混合室20に噴出するための第1のオリフィス30であり、先端部が扇状に拡径して形成される。
【0045】
尚、図5に示したスリット状の第1のオリフィス30のように、管路の断面が円形でない場合のレイノルズ数に関しては『化学工学通論』(疋田晴夫著、朝倉書店)に、次のように取り扱えることが示されている。すなわち、Sを「断面積」、lpを「流体が接触している固体壁周辺の長さ」としたとき、相当直径Deは、De=4S/lpで定義される。スリット状のオリフィスは閉溝構造であることから、短辺をa、長辺をbとすれば、lp=2(a+b)で示される。従って、相当直径Deは、以下の式(2)で示される。
【0046】
【数5】
【0047】
本発明で表現する乱流を計算する場合、円相当直径として式(2)で計算されたDeが使用される。
【0048】
次に、上記の如く構成した静的混合装置12を用いて金属水酸化物微粒子を形成する方法を説明する。
まず、第1ノズル34から水酸化物イオンを含む溶液Yを乱流の直進流Aとして混合室20に噴出し、該直進流Aが小径な第1ノズル34から大径な混合室20に噴出されることで形成される渦粘性Cが最大になる以前の位置に、又は直進流Aの最大流速が1/10以下に減少する以前の位置に、第2ノズル36から金属イオンを含む溶液Xを直進流Aに対してほぼ直交する直交流Bとして噴出して直進流Aに同伴させることにより2つの溶液を瞬時に混合して反応させ、混合反応液40を排出管26から排出する。
【0049】
かかる渦粘性Cを利用した混合反応において、混合室20での混合反応性を向上させるためには2つの方法がある。
【0050】
1つ目の方法は、直進流Aを糸線状の高速流で噴射して、瞬時にできるだけ狭い範囲で渦粘性Cが最大になるようにする方法である。この為には、直進流Aを噴出する第1ノズル34の第1のオリフィス30として、図3の糸線状の噴出流を形成する第1のオリフィス30を用いるとよい。
【0051】
混合という観点では、直進流Aは高速流の方が良いが、この反応生成物を所望の粒子サイズ、サイズ分布に制御する為には高速流により発生する液液摩擦による摩擦熱の反応への影響を考慮しなくてはならない。このような対策として、予め反応液の温度を低くして使用する、又は、添加配管、オリフィス部、混合室部、排出部を二重構造にし冷却して使用する、或いは、その両方を行うなどが効果的である。また、高速流は噴出する流量に応じて加えられる噴出圧力と第1のオリフィス30の内径とで決定されるので、より高速流を作るためには、第1のオリフィス30の内径をできる限り小さくし、液体に加える圧力を上げなくてはならない。従って、高速流になればなるほど第1のオリフィス30の磨耗が問題になるが、耐久性の良いダイヤモンド等を使用することで対応可能である。
【0052】
2つ目の方法は、直進流Aを薄膜状の噴出流形状とし、直進流Aが作る同伴界面積を増やす方法である。この為には、直進流Aの噴出する第1ノズル34の第1のオリフィス30として、図5及び図6に示したスリット状や扇状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス30を用いるとよい。この場合、直交流Bが直進流Aの薄膜を破らないように直交流Bの噴出流速を調整することが必要である。また、より好ましくは、第2ノズル36の第2のオリフィス32も図5や図6のようにして、直交流Bも直進流Aと同様にスリット状や扇状の薄膜な噴出流形状にするとよい。
【0053】
この2つ目の方法は、より大きな渦粘性領域を確保することができるので、直進流Aの噴出流速を糸線状の噴出流形状の場合より小さくしても良好な混合性能を得ることができる。従って、第1及び第2のオリフィス30,32の磨耗性が改善され、加工性の良い金属、金属処理品、セラミックスなどでオリフィスを製作することが可能になると共に、直進流の流速を小さくすることで、摩擦熱の発生を抑制することができるので、より微粒子の金属水酸化物微粒子を形成することが可能となる。
【0054】
このように、本発明に用いられる静的混合装置12は、従来にない発想のもとに構成されたもので、この静的混合装置12を使用することにより次の効果を得ることができる。
【0055】
▲1▼静的混合装置を渦粘性を発生させる構造にすることにより、静的混合における最適な混合反応状態を得ることができるので、微粒子で単分散性の良い金属水酸化物微粒子を形成することができる。
【0056】
▲2▼渦粘性を利用して混合反応させることで、水酸化物イオンを含む溶液Yや金属イオンを含む溶液Xの噴出流速を遅くしても良好な混合性能を得ることができるので、噴出圧力を下げることができる。これにより、装置の製作のし易さ、安定性及び保全性を向上できる。特に、第1及び第2のオリフィス30,32の材質として、ダイヤモンド以外の低価で加工性の良いものに変えることが可能になる。
【0057】
▲3▼少なくとも直進流を薄膜状にして噴出することにより、水酸化物イオンを含む溶液Yと金属イオンを含む溶液Xの高濃度での混合反応が可能になる。これにより、工業的に採算がとれる高濃度レベルで金属水酸化物微粒子の種粒子を形成したり、種粒子を成長させたりすることが可能となる。
【0058】
本発明の微粒子とは、同体積の球体の直径に換算した値Dsが1nm以上100μm以下が好ましく、1nm以上1μm以下が特に好ましい。
【0059】
本発明において、金属水酸化物微粒子を形成する金属としては、Ib族(Cu、Ag、Au)、IIa族(Mg、Ca、Srなど)、IIb族(Zn、Cd、Hg)、IIIa族(Sc、Y、Euなど)、ホウ素を除くIIIb族(Al、Ga、In、Tl)、IVa族(Ti、Zrなど)、炭素とケイ素を除くIVb族(Ge、Sn、Pb)、Va族(V、Nb、Taなど)、窒素とリンを除くVb族(As、Sb、Bi)、VIa族(Cr、Mo、Wなど)、VIIa族(Mn、Tc、Reなど)、VIII族(Fe、Ru、Co、Ni、Pdなど)の各元素が挙げられる。
本発明において用いられる金属イオンを含む溶液としては、水またはアルコールなどの適当な有機溶媒に上記のような金属の塩を溶解させた金属塩溶液を用いることができる。金属塩溶液は単独でも複数の混合物でもよい。
【0060】
また、本発明において、金属酸化物は前述のように金属イオンを含む溶液に水酸化物イオンを含む溶液を混合することにより金属水酸化物微粒子を形成させ、従来用いられている方法により焼成し、金属水酸化物微粒子を酸化させることにより得られる。
【0061】
本発明において用いられる水酸化物イオンを含む溶液とは特に制限するものではないが、アルカリ金属塩(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム)、アルカリ土類金属塩(例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム)、アンモニア、ヒドラジン、有機塩類(例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、グアニジン類、アミジン類)等の水溶液があげられる。
【0062】
金属イオンを含む溶液の金属イオン濃度または水酸化物イオンを含む溶液の水酸化物イオン濃度は、任意に設定できるがサイズ制御および生産性の観点から0.05モル/リットル以上5モル/リットル以下が好ましく、0.1モル/リットル以上1モル/リットル以下がさらに好ましい。また溶液の温度は5℃以上75℃以下が好ましい。
本発明において接触界面における金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液の流量は好ましくは0.05〜1000ml/分、より好ましくは0.1〜100ml/分とする。また金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液の流量は等しくても異なっていてもよい。
【0063】
本発明に用いられる金属イオンを含む溶液または水酸化物イオンを含む溶液の少なくとも一方に、金属水酸化物微粒子表面に吸着する、吸着性化合物(分散剤)を含有することが望ましい。吸着性化合物により粒子表面を表面修飾した状態で溶媒中に分散することにより安定な微粒子分散液(コロイド分散液)が得られる。この場合の吸着性化合物の使用量は分散性を十分に高める程度であればよく特に制限はない。
吸着性化合物としては、−SH、−CN、−NH2 、−SO2 OH、−SOOH、−OPO(OH)2 、−COOH含有化合物などが有効であり、これらのうち−SH、−NH2 または−COOH含有化合物が好ましい。親水性コロイドの場合には、親水性基(例えば、−SO3 Mや−COOM〔Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム分子等を表わす〕)を有する吸着性化合物を使用するのが好ましい。また、アニオン性界面活性剤(例えば、エアロゾルOTやドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)や親水性高分子(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン等)も使用することができる。
なお、微粒子の表面が吸着性化合物や親水性高分子などで表面修飾していることは、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)などの高分解能の透過型電子顕微鏡(TEM)で粒子間に一定の間隔があること、および化学分析により確認できる。
【0064】
本発明において、微粒子含有分散液の分散溶媒としては、水、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2ージクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する化合物の分散性を考慮して単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。コロイド分散溶媒は、前記金属イオンを含む溶液の溶媒と同じであっても異なっていてもよい。異なる場合は脱塩処理時に溶媒置換することにより実施できる。
【0065】
上記静的混合器で合成された金属水酸化物微粒子を別の反応容器に導入し、結晶成長させることによって、より大きいサイズの粒子を得ることができる。この結晶成長による、より大きなサイズの粒子の製造方法は、特に制限がなく、常法によることができる。この場合の反応容器としては、同様の静的混合器でもよいし、特開平7−219092号公報、同8−171156号公報、同4−283741号公報、特公平8−22739号公報、米国特許第3,782,954号明細書などに記載されているような撹拌混合による混合器も可能である。この反応容器中にはさらに金属イオンを含む溶液または水酸化物イオンを含む溶液を添加してもよい。
【0066】
また、上記静的混合器で合成された金属水酸化物微粒子を別の反応容器に導入し、この中に別の金属イオンを含む溶液および水酸化物イオンを含む溶液を添加して反応させることにより、該金属水酸化物微粒子をコア(核)に、別の金属をシェル(殻)としたコア/シェル型微粒子を得ることができる。この場合、コアとなる金属、シェルとなる金属はそれぞれ単独でもよいし、複合金属でもよい。また、該金属水酸化物微粒子をコア(核)にして、金属化合物(この場合の金属はコアと同じでも異なっていてもよい)をシェルにした微粒子であってもよい。これらの場合の反応容器も、同様の静的混合器でもよいし、上記のように撹拌混合器でもよい。このコア/シェル型微粒子を製造する方法は、特に制限がなく、常法によることができる。
【0067】
本発明の方法に用いられる微粒子分散液中の微粒子の濃度は、特に制限するものではなく、また、得られた液は濃縮常法により濃縮できるが、最初の製造時で濃度は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1〜20質量%である。また、微粒子成長処理後は、好ましくは0.1質量%である。また、導電材料や記録材料などの塗布液として用いる場合は、各用途によって異なるが好ましくは微粒子0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。しかしこれに制限されるものではない。
本発明の金属水酸化物微粒子含有分散物は、混合器(例えば上記静的混合器)および/または反応容器の外に、多段の限外濾過装置を設置し、該混合器および/または反応容器中の微粒子分散液中に溶解している塩などを連続的に除去することで製造することができる。
【0068】
多段の限外濾過装置とは、例えばザルトリウスAG社製のVivaFlow 50(商品名)のような細いチューブ状の限外ろ過膜を複数直列および/または並列に組合わせたものであり、これに分散媒を添加しながら金属水酸化物微粒子を含有するコロイド分散液を通すことにより効率的に脱塩および濃縮できる。限外ろ過膜を通すコロイド分散液の流量は、コロイド溶液の濃度、分散剤の種類などにより適宜設定できるが、限外ろ過膜1経路当たり、10ml〜1000mlが好ましく、100ml〜500mlがより好ましい。限外ろ過後のコロイド分散液の伝導度は1mS/cm以下であることが望ましい。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
実施例1
(水酸化インジウム微粒子の調製)
塩化インジウム111gおよび平均分子量3000のポリビニルピロリドン100gを水5000mlに溶解して、塩化インジウム水溶液を調製した。また、水酸化リチウム1水和物65gを水5000mlに溶解して、水酸化リチウム水溶液を調製した。
両水溶液を0℃に保ち、図1に示した静的混合装置に導入して水酸化物微粒子を調製した。すなわち、図1の第1ノズル34より0℃において塩化インジウム水溶液(溶液Y)を混合室20に直進流Aとして噴出した。混合室20噴出時における溶液Yの流速は360m/secとした。第1ノズル34の口径D2 は0.13mmである。第2ノズル36からは0℃に保った水酸化リチウム水溶液(溶液X)を直交流Bとして噴出した。第2ノズル36の口径D3 は1.3mmであり、溶液Xの噴出速度は3.6m/secであった。減速領域は直径4.0mm(D1 )の円筒形状を有した混合室20であり、排出口D4 は直径2.0mmである。第2ノズル36の位置(中心)は、直進流の噴出時の最大速度の方向(Z方向)に第1ノズル先端から2mmの位置とした。また、混合室の長さLは12mmであった。
有限差分法を用いた数値流体解析(アールフロウ社製、解析コードR−Flowを使用)により、第1ノズル34から噴出された直進流が第2ノズル36の位置まで進行した場合の噴出時の最大速度の方向における速度(Z方向の成分)を計算した。その結果は、ほぼ300m/secであった。また、溶液Yが形成する渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルの先端からZ方向におよそ5〜10mmの位置と計算された。
得られた水酸化インジウム微粒子を、冷却可能な透過電子顕微鏡を用いた顕微鏡写真により観察した結果、平均粒子サイズ4nmで変動係数12%であった。
【0071】
比較例1
(水酸化インジウム微粒子の調製)
図7に示す静的混合装置を用いた以外は実施例1と同様に水酸化インジウム微粒子を調製した。図7の静的混合装置は、混合室を延長し溶液Yを導入する第2ノズル36の中心が第1ノズル34の先端からZ方向に15mmの位置に設置されている点以外は、図1の静的混合装置と同様の構造である。図7に示す符号は、図1で説明したものと同じものを示す。
数値流体解析の結果、第1ノズル34から噴出された直進流が第2ノズル32の位置まで進行した場合の噴出時の最大速度の方向における速度(Z方向の成分)は、ほぼ5m/secであった。また、溶液Yが形成する渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルの先端からZ方向におよそ5〜10mmの位置と計算された。
排出された混合反応液に含まれる水酸化インジウム微粒子を、冷却可能な透過電子顕微鏡を用いた顕微鏡写真により観察した結果、平均粒子サイズ5nmで変動係数18%であった。
【0072】
実施例2
(水酸化インジウム微粒子の調製)
第1ノズル34より噴出される溶液Yの速度を36m/sec、第2ノズル36より噴出される溶液Xの速度を0.36m/secとした以外は実施例1と同様にして水酸化インジウム微粒子を調製した。
数値流体解析の結果、第1ノズル34から噴出された直進流が第2ノズル36の位置まで進行した場合の噴出時の最大速度の方向における速度(Z方向の成分)は、ほぼ33m/secであった。また、溶液Yが形成する渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルの先端からZ方向に7〜9mmの位置と計算された。
実施例1と同様に冷却可能な透過電子顕微鏡を用いた顕微鏡写真により、得られた水酸化インジウム微粒子を観察した結果、平均粒子サイズ5nmで変動係数15%であった。
【0073】
比較例2
(水酸化インジウム微粒子の調製)
図7に示す静的混合装置を用いた以外は実施例2と同様に水酸化インジウム微粒子を調製した。
数値流体解析の結果、第1ノズル34から噴出された直進流が第2ノズル36の位置まで進行した場合の噴出時の最大速度の方向における速度(Z方向の成分)は、ほぼ0.1m/secであった。また、溶液Yが形成する渦粘性が最大になる位置は、第1ノズルの先端からZ方向に7〜9mmの位置と計算された。
実施例2と同様に得られた水酸化インジウム微粒子を観察した結果、平均粒子サイズ7nmで変動係数25%であった。
【0074】
実施例1,2及び比較例1,2の結果より、実施例の変動係数は比較例に対して33〜40%改善され、本発明にかかる製造方法で形成した水酸化インジウム微粒子は単分散であった。また、該効果は特に直進流の速度が低い場合にも有効であることがわかった。
【0075】
実施例3
(酸化インジウムの生成)
実施例1で得られた水酸化インジウムを含む混合反応液を多段限外濾過による脱塩と濃縮を行い、水酸化インジウム微粒子を10質量%含み、伝導度28μS/cmの微粒子コロイド分散物を得た。限外濾過にはザルトリウスAG社製のVivaFlow50を用いた。該微粒子コロイド分散物をガラス基盤上にスピンコートし、80℃で30分乾燥した後、電気炉で450℃、20分間焼成した。焼成後のサンプルをX線回折測定した結果、酸化インジウムの生成が確認された。
【0076】
【発明の効果】
本発明の方法により、粒子サイズ分布の狭い、単分散性の優れた微粒子コロイドが得られる。また、多段の限外濾過装置と組み合わせることにより、微粒子含有分散液の脱塩や分解物の除去を簡便に行うことができる。半導体の酸化物導電体(たとえば透明電極)として、金属水酸化物の微粒子が塗布などにより使用することが試みられているが、サイズをそろえた微粒子を用いると導電性が向上することが知られている。本発明の方法により得られる微粒子は単分散性が高く、その要求に適合するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属水酸化物微粒子の製造方法に用いられる静的混合装置の概念図である。
【図2】静的混合装置の混合室に形成された渦粘性を説明する模式図である。
【図3】糸線状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図である。
【図4】円錐状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図である。
【図5】薄膜状でスリット状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図である。
【図6】薄膜状で扇状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図である。
【図7】比較例の金属水酸化物微粒子の製造方法に用いられる静的混合装置の概念図である。
【符号の説明】
12 静的混合装置
20 混合室
22 混合器
24 第1の導管
26 排出管
28 第2の導管
30 第1のオリフィス
32 第2のオリフィス
34 第1ノズル
36 第2ノズル
38 第3のオリフィス
40 反応混合液
Claims (6)
- 金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液とをそれぞれのノズルから混合室に噴出して混合反応させるとともに混合反応液を前記混合室の径よりも小さな口径の排出口から排出することにより金属水酸化物微粒子を製造する方法であって、前記金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方を直進流として前記混合室の径よりも小さな口径のノズルから前記混合室に噴出し、前記直進流が前記混合室に噴出されて形成される渦粘性が最大になる以前の位置に、他方の液を前記直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出することを特徴とする金属水酸化物微粒子の製造方法。
- 金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液とをそれぞれのノズルから混合室に噴出して混合反応させるとともに混合反応液を前記混合室の径よりも小さな口径の排出口から排出することにより金属水酸化物微粒子を製造する方法であって、前記金属イオンを含む溶液と水酸化物イオンを含む溶液のうちの一方を直進流として前記混合室の径よりも小さな口径のノズルから前記混合室に噴出し、前記直進流が前記混合室に噴出した際の最大速度を示す方向において、前記直進流の速度Vzが下記式1で表される領域の位置に、他方の液を前記直進流に対してほぼ直交する直交流として噴出することを特徴とする金属水酸化物微粒子の製造方法。
- 前記直進流は糸線状であることを特徴とする請求項1または2記載の金属水酸化物微粒子の製造方法。
- 前記直進流の噴出時の流速に対して、前記他方の流の噴出時の流速が同等以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属水酸化物微粒子の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された金属水酸化物微粒子が分散された微粒子分散液を有する混合器および/または反応容器の外に、多段の限外濾過装置を設置し、前記微粒子分散液に溶解している塩を連続的に除去することを特徴とする金属水酸化物微粒子含有分散物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で製造された金属水酸化物微粒子を酸化して得られたことを特徴とする金属酸化物。
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