JP2004109212A - 現像ローラ及び現像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナー劣化とそれに伴うトナー付着を、適切なパラメータによって管理することで抑制し、出力画像の安定化を実現。
【解決手段】良導電性芯金と弾性体を有する現像ローラにおいて、該現像ローラの表面光沢度が入射角75°で測定したとき5〜100であるとともに、光沢度のむらが500%以内、アスカーC硬度が20〜60°であることを特徴とする現像ローラ。
【選択図】 図1
【解決手段】良導電性芯金と弾性体を有する現像ローラにおいて、該現像ローラの表面光沢度が入射角75°で測定したとき5〜100であるとともに、光沢度のむらが500%以内、アスカーC硬度が20〜60°であることを特徴とする現像ローラ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像ローラ及び該現像ローラを使用した電子写真プロセスカートリッジ、並びに該現像ローラを使用した電子写真画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ・複写機等の電子写真装置における潜像の現像方式の1つとして接触現像方式が知られており、公知例としては導電性弾性体ローラを使用した非磁性一成分接触現像方法(例えば、特開昭52−125340号公報ほか)等が存在する。
【0003】
一般に現像工程では、製品の初期において良好な現像特性を有するだけでなく、多数枚の出力を行った後や過酷な環境に長期間放置された後にも安定した現像を行うことが必要とされている。トナー担持ローラが画像形成体に非接触の磁性ローラであり且つトナーも磁性トナーである場合には、磁界内で磁性体に働く力を利用してトナーをトナー担持ローラ上に均一に担持させる必要があり、この場合トナーの力学的変形や構造破壊といった劣化は起こり難く、上記目的は充分達成可能である。
【0004】
ところが特に現像ローラを使用した非磁性一成分接触現像工程においては、接触式であるがゆえにトナーの劣化は非常に顕著である。この工程においては図1に示すように画像形成体に接する形で現像ローラが配置されているが、さらに現像ローラにはトナー供給用ローラと層厚規制部材が対向して接触しており、トナーは現像ローラとトナー供給用ローラ及び現像ローラと層厚規制部材との間をすり抜ける形で通過していき、画像形成体上に付着することになる。こうして該画像形成体上に形成された潜像は可視化されることになる。
【0005】
非磁性一成分接触現像工程においては、トナーは層厚規制部材によって摩擦されることで帯電し殆どそのままの位置で現像ローラ表面に担持されて画像形成体上に供給される。このため、画像形成体との接触部は一定の面積に安定化させねばならず、現像ローラは導電性を有した弾性体である必要がある。
【0006】
さらに該現像ローラは表面が均一な帯電性とトナー付着性を有している必要があり、またトナー付着時の層厚規制部材や画像形成体との摩擦力が一定に制御されていなければならない。これらの要求特性を満足させる為に、弾性体の画像形成体に対する汚染防止と兼ね合わせ、弾性体の表面には樹脂等からなる1層以上の表面層が形成されることもある。
【0007】
画像形成体へのトナーの付着が均一になされるためには、その表面性は極めて均一であり摩擦力が一定であって、帯電性も非常に良好でなければならない。今まで帯電性に関しては良好な帯電性を付与し得る諸々の樹脂成分が考えられ加えられてきており、また同時に表面の平滑性についても配慮がなされてきた。
【0008】
しかしながら実際にローラの品質を判定する方法となると帯電性と表面平滑性の管理のみでは現像ローラの微妙な状態変化までは捉え切れていないのが現状であり、上記2つの項目のみに注目していたのでは説明しきれない、カブリやゴースト等の画像不良も確認されている。
【0009】
以上のことを踏まえ特許第3204191号においては、表面特性の総合的な管理により画像品質を確実に管理する方法が提案されている。ここでは、JIS−A硬度25〜55・抵抗値103〜1010Ω・cm且つDIN67 530による光沢度10〜120で現像ローラを設計することにより濃度低下や地かぶり等のない高品位な画像が確実に得ることができるとしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例の範囲内であっても、大容量カートリッジ等で使用されるような5000枚をこえる枚数に至ってまでの画像品質が維持しきれていないものも存在している。非磁性一成分接触現像工程において現像ローラの表面に担持されたトナーは、層厚規制部材に直接摩擦されるために劣化が特に著しく、初期に良質な画像が得られるように設計されていても多数枚の出力を行った後で当初の画質を維持できるとは限らない。トナーの変形・破壊による劣化は、現像ローラ表面におけるトナー付着・溶融等をも引き起こす。
【0011】
仮に層厚規制部材と現像ローラ表面との間に挟まれたトナーにかかる圧力が大きければ、トナーの変形とそれによる付着・溶融等はより顕著になり、ローラ表面でのトナー帯電特性が劣化する。従って地かぶりやゴーストといった初期とは異なった画像上の不良が起こり易くなる。
【0012】
また一方、上記従来例の硬度範囲内であっても現像ローラが表面層を有する場合、該現像ローラが長期間層厚規制部材と同一個所で接した変形が保持され、セット跡と呼ばれる画像不良も確認されている。
【0013】
従って本発明の目的は、何千枚もの出力を行ってもトナーを著しく劣化させず、従って地かぶり・ゴースト等のトナー劣化起因の画像不良が発生しない良好な画像が得られ、且つセット跡も生じないような現像ローラを提供することである。
【0014】
また画像形成装置本体に着脱可能な、上記現像ローラを用いた画像形成装置用カートリッジ及び、上記現像ローラと画像形成体のいずれも本体に直接装着することでかぶりの改良を図った画像形成装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に検討を行った結果、以下の発明によって本目的が達成されることが判明した。即ち、良導電性芯金と少なくとも両導電性弾性体を含んだ単層もしくは多層構成のローラにおいて、屈折率が可視波長全域にわたって一定値1.567であるガラス表面における入射角75°での表面光沢度を100%としたとき該現像ローラの表面光沢度が5〜100%であるとともに、弾性層においてはアスカーC硬度が20〜60°であるようにする。この条件でトナーの劣化は抑制され、現像ローラ表面におけるトナー付着性が抑制されることでローラの表面が長期にわたって安定した状態で保持され、画像上の地かぶり・ゴースト等が抑制されるとともに、セット跡も生じないような高品質な画像が長期にわたって安定的に供給できるようになった。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明者らは、主に画像形成装置における出力画像が画像形成装置のみならずトナーの状態に大きく依存すること及び、層厚規制部材との長期間の接触部が画像不良として現れるのにローラの変形量以外にも大きく影響を及ぼす特性が存在することに着目して本発明を得るに至った。画像形成装置内において、現像ローラ及びそれに接する各部材はトナーへのストレスが最小になるように設計されなければならない。この際現像ローラの変形が画像に及ぼす影響が問題となるが、画像への影響は変形が直接影響するのではなく変形からの回復性まで含めた接触部の状態が効いてくることを考慮する必要がある。接触面積を広く保ち、現像ローラ表面が接触部から離れると速やかに変形から回復する性能を求めた結果、硬度は従来一般に言われる高硬度よりも低硬度の方がむしろ好ましいという結論に至った。以下、これについて詳述する。
【0017】
本発明で得られたローラは、図1のような構造をしている。良導電性芯金1と、該軸1の外周に形成された導電剤と高分子弾性体との混合物材料からなる導電性弾性体層2とを有する現像ローラであって、該導電性弾性体層2の外周部には弾性体からのドラム汚染防止、帯電特性の改善あるいはトナー付着防止のために1層以上の表面層3が存在しても良い。
【0018】
上記現像ローラの良導電性芯金3では、炭素鋼合金表面に5μm厚さの工業ニッケルメッキを施した円柱を用いる。導電性芯金を構成する材料としては他にも、例えば鉄・アルミニウム・チタン・銅及びニッケル等の金属やこれらの金属を含むステンレス・ジュラルミン・真鍮及び青銅等の合金、更にカーボンブラックや炭素繊維をプラスチックで固めた複合材料等の剛直で導電性を示す公知の材料を使用することもできる。又該芯金は単なる円柱ではない、中心部分を空洞とした円筒形状とすることもできる。
【0019】
本発明における現像ローラの製造にあたっては、先ず上記導電性の軸の外周に導電性弾性体層を成形する。導電性弾性体層には低硬度及び低圧縮永久歪を得るためにシリコーンゴムを使用するのが望ましい。
導電性弾性層の成形では、シリコーンゴムの主剤を相溶させ、これに適当な量の導電剤を添加して同じシリコーンゴムである硬化剤を加えて混練を行い、芯金を組込んだ成形機に注入して加熱する等公知の方法で成形される。
【0020】
上記シリコーンゴムの分子量は特に制限が無く、低分子量(オリゴマー)から高分子量まで含有される。このようなゴムは、メーカーから入手して使用することができる。
【0021】
ゴムには、低硬度及び低圧縮永久歪の特徴を阻害しない範囲内であれば、通常使用される各種の配合剤を添加することができる。これらの配合物は、必要に応じて基層材料を製造する過程において添加してもよい。例えば、ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、(メタ)アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリレートゴム、エピクロルヒドリンゴム等である。
【0022】
添加される補強充填剤及び増量剤としては、例えば、導電性のカーボンブラック、導電性のフィラー、導電性可塑剤、KSCN、LiClO4、NaClO4、4級アンモニウム塩等のイオン伝導物質、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、石英微粉末、ケイソウ土、カーボンブラック、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤を挙げることができる。これらの充填剤の表面は有機珪素化合物、例えば、ポリジオルガノシロキサン等で処理して疎水化してもよい。
【0023】
可塑剤としては、例えばポリジメチルシロキサンオイル・ジフェニルシランジオール・トリメチルシラノール・フタル酸誘導体・アジピン酸誘導体等を用いることができる。また軟化剤としては、例えば潤滑油・プロセスオイル・コールタール・ヒマシ油が使用可能である。その他老化防止剤として、例えばフェニレンジアミン類・フォスフェート類・キノリン類・クレゾール類・フェノール類・ジチオカルバメート金属塩類等が、耐熱剤としては酸化鉄・酸化セリウム・水酸化カリウム・ナフテン酸鉄・ナフテン酸カリウム等が使用でき、その他にも加工助剤、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤等を添加できる。
【0024】
また導電剤としては、例えばアルミニウム・パラジウム・鉄・銅・銀等の金属系の粉体や繊維を用いることができ、またカーボンブラック・金属粉や酸化チタン・酸化スズ・酸化亜鉛等の金属酸化物や、硫化銅・硫化亜鉛等の金属化合物粉を用いても良い。さらには適当な粒子の表面を酸化スズ・酸化アンチモン・酸化インジウム・酸化モリブデンや、亜鉛・アルミニウム・金・銀・銅・クロム・コバルト・鉄・鉛・白金・ロジウムを電解処理・スプレー塗工・混合振とうにより付着させた粉体も使用可能であり、またアセチレンブラック・ケッチェンブラック・PAN系カーボンブラック・ピッチ系カーボンブラック等のカーボン粉も使用可能な候補として挙げられる。
【0025】
導電剤として特に好ましいのはカーボンブラックである。少量の添加で電気抵抗率を低下させることができ、ゴム組成物の硬度を大きくすることなく導電性を付与することができる。カーボンブラックの銘柄としては、例えばケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD(ともに「ケッチェンブラックインターナショナル」製)等を挙げることができる。
【0026】
導電剤の濃度は適度に調整する必要がある。例えば2〜50重量%がよい。更に好ましくは5〜30重量%である。導電材料が少ないとゴム組成物の電気抵抗率の変動が大きい。電気抵抗率の調整が難しいし、均一分散も困難になる等、導電性の制御が難しくなる。また、多すぎるとゴムが硬くなってしまい好ましくない。
【0027】
以上のようにして形成された導電性弾性体基層の表面には更に表層を形成しても良い。表層を形成する材料としては、各種のポリアミド・フッ素樹脂・水素添加スチレン−ブチレン樹脂・ウレタン樹脂・シリコーン樹脂・ポリエステル樹脂・フェノール樹脂・イミド樹脂・オレフィン樹脂等が挙げられる。上記表層をポリアミド樹脂から形成すると、このポリアミド樹脂は摩擦によりトナーを帯電する能力が大きい。また基層が充分な導電性を有しているので、摩擦帯電付与性も良好である。従って、充分な現像濃度が得られる。
【0028】
現像ローラの表層の形成材料であるポリアミドには、メトキシメチル化ポリアミドのほかに、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン、これらのポリアミドからなるコポリマーが使用される。このポリアミドの好ましい数平均分子量は5,000〜50,000であるが、より好ましくは10,000〜25,000である。数平均分子量が小さすぎると表層の経時安定性(特に耐湿性)に劣り、大きすぎると溶剤への溶解性に問題が生ずる。このような溶剤可溶性ポリアミドを表層形成材料として使用することにより、ポリアミド樹脂の溶解性を損なうことなく現像ローラの最外層へポリアミド溶液をコーティングすることを容易にし、且つトナーに充分な摩擦帯電電荷を付与することができる。
【0029】
これらの表層を構成する材料は、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを利用した分散装置かボールミルを用いた分散装置のような従来公知の分散装置を使用して分散させる。得られた表層形成用の塗料は、スプレー塗工法、ディッピング法等により導電性弾性体の表面に塗工される。表層の厚みとしては、5〜500μmが良く、特に10〜30μmが好ましい。厚みが少なすぎると基層中の低分子量成分の染み出しにより感光体を汚染する恐れがあるし、厚すぎると現像ローラが硬くなり、融着やセット跡の回復性悪化の原因となり好ましくない。
【0030】
上記の如くして形成する表層中には質量平均粒径が1〜10μmの微粒子を分散しても良く、これにより現像ローラ表面がトナーの搬送をし易くし、充分な量のトナーを現像領域に供給することができる。このような目的に使用する微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリル酸メチル微粒子、シリコーンゴム微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリスチレン微粒子、アミノ樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子等のプラスチックピグメントが挙げられるが、特にポリメチルメタクリル酸メチル微粒子及びシリコーンゴム微粒子が好ましい。これらの微粒子は前記表層の約20〜200重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0031】
次に上記の現像ローラを有する電子写真プロセスカートリッジについて説明する。
電子写真プロセスカートリッジは図2の如くであり、ドラム状の画像形成体4、現像ローラ5、一次帯電ローラ6、現像剤供給ローラ7、トナー層厚規制部材8と、撹拌羽9及びトナー10が一つのカートリッジの中にまとめて組上げられており、電子写真装置に着脱することで交換可能な部品となっている。撹拌羽で現像剤供給ローラに送られたトナーは、現像ローラとトナー層厚規制部材との間をすり抜けることで摩擦帯電し、現像ローラ表面に均一にコートされて画像形成体4との接触部で画像形成体表面へと運ばれ、現像される。図示しない記録メディアにトナーが転写された後、感光体表面は一次帯電ローラで再び均一に帯電される。
【0032】
より詳細に現像プロセスを追って行くと次のようになる。
図2で現像ローラ5の表面に担持されたトナー10は、現像ローラ5が矢印の方向に回転するに伴い、画像形成体4上に移されていく。画像形成体はレーザー光11によって表面に潜像が形成されているのでトナーの付着によって潜像は現像され、一方で現像に使用されずに現像ローラ表面に残ったトナーは表面に担持されたまま現像容器12に戻る。
【0033】
現像容器の内部では現像剤供給ローラ7が現像ローラ表面に残ったトナーをその表面から取り除くとともに、取り除いた後の表面に新しいトナーを供給する。現像ローラ表面に供給された新しいトナーは、トナー層厚規制部材8によって摩擦帯電されるとともにコート厚さを均一に整えられ、現像領域に搬送されていく。この繰り返しによって現像ローラは常に新しいトナーを均一にコートして静電潜像を現像する。
【0034】
現像されたトナー像は画像形成体4の回転によって転写領域に運ばれ、転写ローラ13で記録メディア14に転写される。その後未定着のトナー像は定着ローラ15と加圧ローラ17の間を通り、圧力と熱で記録メディアに定着され、定着像16となる。
転写工程で転写されずに画像形成体上に残ったトナーは、画像形成体の回転に伴い清掃用の弾性ブレード18で画像形成体から取り除かれる。表面が清掃された画像形成体は一次帯電ローラ11で帯電され、再び露光、現像される、という工程を繰り返す。
【0035】
以上のように電子写真プロセスカートリッジの内部で現像に供されずに循環していくトナーは、繰り返し圧力を受け続けることで次第に変形が進んでゆく。この変形により現像ローラ表面との接触面積が大きくなることや転がりにくくなること、さらには外添剤のトナーからの分離といった要因により、摩擦による均一帯電は阻害される。このことはトナーのローラへの付着を促進すると共に、地かぶり・反転トナーによるかぶり・ゴースト等の画像欠陥が多数枚の画像出力を経るに従って著しくなっていくことの原因となる。
【0036】
トナーが圧力を受ける部位としては撹拌羽、容器の内壁、現像ローラと現像剤供給ローラとの間、現像ローラとトナー層厚規制部材との間、現像ローラと画像形成体との間が挙げられ、このうち一番影響が著しいのは最後の2者である。撹拌羽においてはトナーが攪拌されるだけであるが、現像ローラとトナー層厚規制部材との間、及び現像ローラと画像形成体との間では硬い部材の間でトナーが圧力を受け、それが現像に使われなければそのまま現像容器に回収される。
【0037】
以上の弊害が起こらないようにするためにはまず、ローラ硬度はなるべく低く抑えられなければならない。従って芯金外周の弾性体のアスカーC硬度が20°〜60°であることが好ましい。このアスカーC硬度が20°を下回ると現像ローラとトナー層厚規制部材が長期間接触することで生じた現像ローラの圧縮永久歪みが画像に影響するため好ましくない。20°以上であれば、圧縮永久歪みが生じていても現像ローラの回転のため歪みが矯正され、また画像形成体と現像ローラとの接触部に幅があるため、ローラ構成に配慮すれば画像には影響してこない。
ここで、「アスカーC硬度」とは日本ゴム協会標準規格SRIS0101に準拠した硬度測定法で得られる硬度のことであり、高分子計器(株)社製のアスカーC型スプリング式ゴム硬度計を用いて測定される。常温常湿(23℃、55%RH)の環境中に12時間以上放置したローラに対して、上記硬度計を10Nの力で当接させてから30秒後の値を測定値としてあり、JIS−A硬度と比較すれば低硬度側でより敏感であることから、今回の目的にはより合致した測定データが得られるものである。
【0038】
さらに、表面光沢度が入射角75°で測定して5〜100%であることが望ましい。現像ローラ表面は円筒状でありそのままでは正確な測定値は期待できないため、ローラから表面部を切り出し、平滑な板に固定して充分な平面性を確保した上で測定する。測定には例えば熊谷理機工業(株)社製の変角式グロスメーターを用い、異なる位置における光沢度を10点以上測定して平均したものをそのローラの値とする。この値が5〜100%であればトナー付着性は抑制され、トナーの劣化とそれによる画像の劣化が抑えられた現像ローラとなる。さらに、むらに関しても上記光沢度のむらが500%以内であるとトナーのコートにむらが生じず、均一な画像が得られる。
【0039】
光沢度を測定する際の入射角は75°が最も望ましい。通常測定可能な入射角は20°・45°・60°・75°85°である。対象となる現像ローラはカーボンの利用により光沢度が低いものが多いので、一般的には入射角が大きい方が反射率も大きくて良いとされる。しかしながら本件では測定対象がローラであるので解体を必須とすることから、入射角が大きすぎると測定準備の際に生ずるむらを拾ってしまい、測定値の信頼性が低くなる。
【0040】
以下、実施例・比較例を示して発明の効果をより明らかにするが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0041】
[実施例1]導電性弾性体としては、シリコーンゴムの主剤と硬化剤を等量ずつ加えて混練を行なう。芯金を組込んで110℃で予備加熱を行っている成形機に注入して加硫後冷却、再度加熱を行なって二次加硫をさせ、脱型することにより成形する。
【0042】
表面層としては、エステル系ポリウレタン樹脂をMEKに溶解させ、これにケッチェンブラックを適量加えて混合させる。ボールミルにて12時間分散回転させた後、溶液に上記弾性体を浸漬させ、引き上げることで塗工した。
【0043】
[実施例2]上記実施例1の構成におけるケッチェンブラックを増量し、塗工を行なった。
【0044】
[実施例3]上記実施例2の構成にウレタン粒子を加えて再度分散回転させ、塗工を行なった。
【0045】
[比較例1]上記実施例3の構成におけるケッチェンブラックをさらに増量し、塗工を行なった。
【0046】
[比較例2]上記実施例1の構成にウレタン粒子を多量に加えて再度分散回転させ、塗工を行なった。
【0047】
[比較例3]上記実施例1の構成におけるケッチェンブラックを少量に抑え、ウレタン粒子を加えた後で再度分散回転させ、塗工を行なった。
【0048】
得られた現像ローラについては以下の測定を行った。結果をローラの耐久評価の結果と共に表1にまとめる。
(1) アスカーC硬度
主剤と硬化剤を混合して6mm厚のシート状にしたものを、高分子計器(株)社製のアスカーC型スプリング式ゴム硬度計を用いて測定した。
(2) 光沢度
熊谷理機工業(株)社製の変角式グロスメーターを用いて異なる位置における光沢度を10点測定し、平均値をとってそのローラの値とした。
(3) ローラ抵抗
両端にそれぞれ500gずつの荷重をかけてφ30のSUSの円筒に接触させ、円筒をローラが1秒間に1回転するような回転数で回転させる。この装置全体にDC100Vを印加し、そのときの基準抵抗10kΩにかかる電圧からローラ抵抗を算出した。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
表1に示したとおり、アスカーC硬度で弾性体の硬度を調整し、表面光沢度でローラの表面性を調整した現像ローラは、非磁性一成分現像装置における図1の如き電子写真プロセスカートリッジに組込まれることでトナー劣化の影響の少ない画像形成装置を形成することができる。または、現像ローラを直接画像形成装置に装着することで同様の性能となる。この現像ローラで初期の画像が良好になるように電気特性・形状等を調整することにより、5000枚の画像出力を行っても地かぶり・ゴースト・トナー融着の起こらない、高品質な画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における現像ローラの一例を示す断面図。
【図2】本発明における現像ローラを利用した電子写真プロセスカートリッジを示す概念図。
【符号の説明】
1:良導電性芯金
2:導電性弾性体層
3:表面層
4:画像形成体
5:現像ローラ
6:帯電ローラ
7:現像剤供給ローラ
8:トナー層厚規制部剤
9:攪拌羽
10:トナー
11:レーザー光
12:現像容器
13: 転写ローラ
14:記録メディア
15:定着ローラ
16:定着像
17:加圧ローラ
18:弾性ブレード
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像ローラ及び該現像ローラを使用した電子写真プロセスカートリッジ、並びに該現像ローラを使用した電子写真画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ・複写機等の電子写真装置における潜像の現像方式の1つとして接触現像方式が知られており、公知例としては導電性弾性体ローラを使用した非磁性一成分接触現像方法(例えば、特開昭52−125340号公報ほか)等が存在する。
【0003】
一般に現像工程では、製品の初期において良好な現像特性を有するだけでなく、多数枚の出力を行った後や過酷な環境に長期間放置された後にも安定した現像を行うことが必要とされている。トナー担持ローラが画像形成体に非接触の磁性ローラであり且つトナーも磁性トナーである場合には、磁界内で磁性体に働く力を利用してトナーをトナー担持ローラ上に均一に担持させる必要があり、この場合トナーの力学的変形や構造破壊といった劣化は起こり難く、上記目的は充分達成可能である。
【0004】
ところが特に現像ローラを使用した非磁性一成分接触現像工程においては、接触式であるがゆえにトナーの劣化は非常に顕著である。この工程においては図1に示すように画像形成体に接する形で現像ローラが配置されているが、さらに現像ローラにはトナー供給用ローラと層厚規制部材が対向して接触しており、トナーは現像ローラとトナー供給用ローラ及び現像ローラと層厚規制部材との間をすり抜ける形で通過していき、画像形成体上に付着することになる。こうして該画像形成体上に形成された潜像は可視化されることになる。
【0005】
非磁性一成分接触現像工程においては、トナーは層厚規制部材によって摩擦されることで帯電し殆どそのままの位置で現像ローラ表面に担持されて画像形成体上に供給される。このため、画像形成体との接触部は一定の面積に安定化させねばならず、現像ローラは導電性を有した弾性体である必要がある。
【0006】
さらに該現像ローラは表面が均一な帯電性とトナー付着性を有している必要があり、またトナー付着時の層厚規制部材や画像形成体との摩擦力が一定に制御されていなければならない。これらの要求特性を満足させる為に、弾性体の画像形成体に対する汚染防止と兼ね合わせ、弾性体の表面には樹脂等からなる1層以上の表面層が形成されることもある。
【0007】
画像形成体へのトナーの付着が均一になされるためには、その表面性は極めて均一であり摩擦力が一定であって、帯電性も非常に良好でなければならない。今まで帯電性に関しては良好な帯電性を付与し得る諸々の樹脂成分が考えられ加えられてきており、また同時に表面の平滑性についても配慮がなされてきた。
【0008】
しかしながら実際にローラの品質を判定する方法となると帯電性と表面平滑性の管理のみでは現像ローラの微妙な状態変化までは捉え切れていないのが現状であり、上記2つの項目のみに注目していたのでは説明しきれない、カブリやゴースト等の画像不良も確認されている。
【0009】
以上のことを踏まえ特許第3204191号においては、表面特性の総合的な管理により画像品質を確実に管理する方法が提案されている。ここでは、JIS−A硬度25〜55・抵抗値103〜1010Ω・cm且つDIN67 530による光沢度10〜120で現像ローラを設計することにより濃度低下や地かぶり等のない高品位な画像が確実に得ることができるとしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例の範囲内であっても、大容量カートリッジ等で使用されるような5000枚をこえる枚数に至ってまでの画像品質が維持しきれていないものも存在している。非磁性一成分接触現像工程において現像ローラの表面に担持されたトナーは、層厚規制部材に直接摩擦されるために劣化が特に著しく、初期に良質な画像が得られるように設計されていても多数枚の出力を行った後で当初の画質を維持できるとは限らない。トナーの変形・破壊による劣化は、現像ローラ表面におけるトナー付着・溶融等をも引き起こす。
【0011】
仮に層厚規制部材と現像ローラ表面との間に挟まれたトナーにかかる圧力が大きければ、トナーの変形とそれによる付着・溶融等はより顕著になり、ローラ表面でのトナー帯電特性が劣化する。従って地かぶりやゴーストといった初期とは異なった画像上の不良が起こり易くなる。
【0012】
また一方、上記従来例の硬度範囲内であっても現像ローラが表面層を有する場合、該現像ローラが長期間層厚規制部材と同一個所で接した変形が保持され、セット跡と呼ばれる画像不良も確認されている。
【0013】
従って本発明の目的は、何千枚もの出力を行ってもトナーを著しく劣化させず、従って地かぶり・ゴースト等のトナー劣化起因の画像不良が発生しない良好な画像が得られ、且つセット跡も生じないような現像ローラを提供することである。
【0014】
また画像形成装置本体に着脱可能な、上記現像ローラを用いた画像形成装置用カートリッジ及び、上記現像ローラと画像形成体のいずれも本体に直接装着することでかぶりの改良を図った画像形成装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に検討を行った結果、以下の発明によって本目的が達成されることが判明した。即ち、良導電性芯金と少なくとも両導電性弾性体を含んだ単層もしくは多層構成のローラにおいて、屈折率が可視波長全域にわたって一定値1.567であるガラス表面における入射角75°での表面光沢度を100%としたとき該現像ローラの表面光沢度が5〜100%であるとともに、弾性層においてはアスカーC硬度が20〜60°であるようにする。この条件でトナーの劣化は抑制され、現像ローラ表面におけるトナー付着性が抑制されることでローラの表面が長期にわたって安定した状態で保持され、画像上の地かぶり・ゴースト等が抑制されるとともに、セット跡も生じないような高品質な画像が長期にわたって安定的に供給できるようになった。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明者らは、主に画像形成装置における出力画像が画像形成装置のみならずトナーの状態に大きく依存すること及び、層厚規制部材との長期間の接触部が画像不良として現れるのにローラの変形量以外にも大きく影響を及ぼす特性が存在することに着目して本発明を得るに至った。画像形成装置内において、現像ローラ及びそれに接する各部材はトナーへのストレスが最小になるように設計されなければならない。この際現像ローラの変形が画像に及ぼす影響が問題となるが、画像への影響は変形が直接影響するのではなく変形からの回復性まで含めた接触部の状態が効いてくることを考慮する必要がある。接触面積を広く保ち、現像ローラ表面が接触部から離れると速やかに変形から回復する性能を求めた結果、硬度は従来一般に言われる高硬度よりも低硬度の方がむしろ好ましいという結論に至った。以下、これについて詳述する。
【0017】
本発明で得られたローラは、図1のような構造をしている。良導電性芯金1と、該軸1の外周に形成された導電剤と高分子弾性体との混合物材料からなる導電性弾性体層2とを有する現像ローラであって、該導電性弾性体層2の外周部には弾性体からのドラム汚染防止、帯電特性の改善あるいはトナー付着防止のために1層以上の表面層3が存在しても良い。
【0018】
上記現像ローラの良導電性芯金3では、炭素鋼合金表面に5μm厚さの工業ニッケルメッキを施した円柱を用いる。導電性芯金を構成する材料としては他にも、例えば鉄・アルミニウム・チタン・銅及びニッケル等の金属やこれらの金属を含むステンレス・ジュラルミン・真鍮及び青銅等の合金、更にカーボンブラックや炭素繊維をプラスチックで固めた複合材料等の剛直で導電性を示す公知の材料を使用することもできる。又該芯金は単なる円柱ではない、中心部分を空洞とした円筒形状とすることもできる。
【0019】
本発明における現像ローラの製造にあたっては、先ず上記導電性の軸の外周に導電性弾性体層を成形する。導電性弾性体層には低硬度及び低圧縮永久歪を得るためにシリコーンゴムを使用するのが望ましい。
導電性弾性層の成形では、シリコーンゴムの主剤を相溶させ、これに適当な量の導電剤を添加して同じシリコーンゴムである硬化剤を加えて混練を行い、芯金を組込んだ成形機に注入して加熱する等公知の方法で成形される。
【0020】
上記シリコーンゴムの分子量は特に制限が無く、低分子量(オリゴマー)から高分子量まで含有される。このようなゴムは、メーカーから入手して使用することができる。
【0021】
ゴムには、低硬度及び低圧縮永久歪の特徴を阻害しない範囲内であれば、通常使用される各種の配合剤を添加することができる。これらの配合物は、必要に応じて基層材料を製造する過程において添加してもよい。例えば、ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、(メタ)アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリレートゴム、エピクロルヒドリンゴム等である。
【0022】
添加される補強充填剤及び増量剤としては、例えば、導電性のカーボンブラック、導電性のフィラー、導電性可塑剤、KSCN、LiClO4、NaClO4、4級アンモニウム塩等のイオン伝導物質、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、石英微粉末、ケイソウ土、カーボンブラック、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤を挙げることができる。これらの充填剤の表面は有機珪素化合物、例えば、ポリジオルガノシロキサン等で処理して疎水化してもよい。
【0023】
可塑剤としては、例えばポリジメチルシロキサンオイル・ジフェニルシランジオール・トリメチルシラノール・フタル酸誘導体・アジピン酸誘導体等を用いることができる。また軟化剤としては、例えば潤滑油・プロセスオイル・コールタール・ヒマシ油が使用可能である。その他老化防止剤として、例えばフェニレンジアミン類・フォスフェート類・キノリン類・クレゾール類・フェノール類・ジチオカルバメート金属塩類等が、耐熱剤としては酸化鉄・酸化セリウム・水酸化カリウム・ナフテン酸鉄・ナフテン酸カリウム等が使用でき、その他にも加工助剤、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤等を添加できる。
【0024】
また導電剤としては、例えばアルミニウム・パラジウム・鉄・銅・銀等の金属系の粉体や繊維を用いることができ、またカーボンブラック・金属粉や酸化チタン・酸化スズ・酸化亜鉛等の金属酸化物や、硫化銅・硫化亜鉛等の金属化合物粉を用いても良い。さらには適当な粒子の表面を酸化スズ・酸化アンチモン・酸化インジウム・酸化モリブデンや、亜鉛・アルミニウム・金・銀・銅・クロム・コバルト・鉄・鉛・白金・ロジウムを電解処理・スプレー塗工・混合振とうにより付着させた粉体も使用可能であり、またアセチレンブラック・ケッチェンブラック・PAN系カーボンブラック・ピッチ系カーボンブラック等のカーボン粉も使用可能な候補として挙げられる。
【0025】
導電剤として特に好ましいのはカーボンブラックである。少量の添加で電気抵抗率を低下させることができ、ゴム組成物の硬度を大きくすることなく導電性を付与することができる。カーボンブラックの銘柄としては、例えばケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD(ともに「ケッチェンブラックインターナショナル」製)等を挙げることができる。
【0026】
導電剤の濃度は適度に調整する必要がある。例えば2〜50重量%がよい。更に好ましくは5〜30重量%である。導電材料が少ないとゴム組成物の電気抵抗率の変動が大きい。電気抵抗率の調整が難しいし、均一分散も困難になる等、導電性の制御が難しくなる。また、多すぎるとゴムが硬くなってしまい好ましくない。
【0027】
以上のようにして形成された導電性弾性体基層の表面には更に表層を形成しても良い。表層を形成する材料としては、各種のポリアミド・フッ素樹脂・水素添加スチレン−ブチレン樹脂・ウレタン樹脂・シリコーン樹脂・ポリエステル樹脂・フェノール樹脂・イミド樹脂・オレフィン樹脂等が挙げられる。上記表層をポリアミド樹脂から形成すると、このポリアミド樹脂は摩擦によりトナーを帯電する能力が大きい。また基層が充分な導電性を有しているので、摩擦帯電付与性も良好である。従って、充分な現像濃度が得られる。
【0028】
現像ローラの表層の形成材料であるポリアミドには、メトキシメチル化ポリアミドのほかに、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン、これらのポリアミドからなるコポリマーが使用される。このポリアミドの好ましい数平均分子量は5,000〜50,000であるが、より好ましくは10,000〜25,000である。数平均分子量が小さすぎると表層の経時安定性(特に耐湿性)に劣り、大きすぎると溶剤への溶解性に問題が生ずる。このような溶剤可溶性ポリアミドを表層形成材料として使用することにより、ポリアミド樹脂の溶解性を損なうことなく現像ローラの最外層へポリアミド溶液をコーティングすることを容易にし、且つトナーに充分な摩擦帯電電荷を付与することができる。
【0029】
これらの表層を構成する材料は、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを利用した分散装置かボールミルを用いた分散装置のような従来公知の分散装置を使用して分散させる。得られた表層形成用の塗料は、スプレー塗工法、ディッピング法等により導電性弾性体の表面に塗工される。表層の厚みとしては、5〜500μmが良く、特に10〜30μmが好ましい。厚みが少なすぎると基層中の低分子量成分の染み出しにより感光体を汚染する恐れがあるし、厚すぎると現像ローラが硬くなり、融着やセット跡の回復性悪化の原因となり好ましくない。
【0030】
上記の如くして形成する表層中には質量平均粒径が1〜10μmの微粒子を分散しても良く、これにより現像ローラ表面がトナーの搬送をし易くし、充分な量のトナーを現像領域に供給することができる。このような目的に使用する微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリル酸メチル微粒子、シリコーンゴム微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリスチレン微粒子、アミノ樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子等のプラスチックピグメントが挙げられるが、特にポリメチルメタクリル酸メチル微粒子及びシリコーンゴム微粒子が好ましい。これらの微粒子は前記表層の約20〜200重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0031】
次に上記の現像ローラを有する電子写真プロセスカートリッジについて説明する。
電子写真プロセスカートリッジは図2の如くであり、ドラム状の画像形成体4、現像ローラ5、一次帯電ローラ6、現像剤供給ローラ7、トナー層厚規制部材8と、撹拌羽9及びトナー10が一つのカートリッジの中にまとめて組上げられており、電子写真装置に着脱することで交換可能な部品となっている。撹拌羽で現像剤供給ローラに送られたトナーは、現像ローラとトナー層厚規制部材との間をすり抜けることで摩擦帯電し、現像ローラ表面に均一にコートされて画像形成体4との接触部で画像形成体表面へと運ばれ、現像される。図示しない記録メディアにトナーが転写された後、感光体表面は一次帯電ローラで再び均一に帯電される。
【0032】
より詳細に現像プロセスを追って行くと次のようになる。
図2で現像ローラ5の表面に担持されたトナー10は、現像ローラ5が矢印の方向に回転するに伴い、画像形成体4上に移されていく。画像形成体はレーザー光11によって表面に潜像が形成されているのでトナーの付着によって潜像は現像され、一方で現像に使用されずに現像ローラ表面に残ったトナーは表面に担持されたまま現像容器12に戻る。
【0033】
現像容器の内部では現像剤供給ローラ7が現像ローラ表面に残ったトナーをその表面から取り除くとともに、取り除いた後の表面に新しいトナーを供給する。現像ローラ表面に供給された新しいトナーは、トナー層厚規制部材8によって摩擦帯電されるとともにコート厚さを均一に整えられ、現像領域に搬送されていく。この繰り返しによって現像ローラは常に新しいトナーを均一にコートして静電潜像を現像する。
【0034】
現像されたトナー像は画像形成体4の回転によって転写領域に運ばれ、転写ローラ13で記録メディア14に転写される。その後未定着のトナー像は定着ローラ15と加圧ローラ17の間を通り、圧力と熱で記録メディアに定着され、定着像16となる。
転写工程で転写されずに画像形成体上に残ったトナーは、画像形成体の回転に伴い清掃用の弾性ブレード18で画像形成体から取り除かれる。表面が清掃された画像形成体は一次帯電ローラ11で帯電され、再び露光、現像される、という工程を繰り返す。
【0035】
以上のように電子写真プロセスカートリッジの内部で現像に供されずに循環していくトナーは、繰り返し圧力を受け続けることで次第に変形が進んでゆく。この変形により現像ローラ表面との接触面積が大きくなることや転がりにくくなること、さらには外添剤のトナーからの分離といった要因により、摩擦による均一帯電は阻害される。このことはトナーのローラへの付着を促進すると共に、地かぶり・反転トナーによるかぶり・ゴースト等の画像欠陥が多数枚の画像出力を経るに従って著しくなっていくことの原因となる。
【0036】
トナーが圧力を受ける部位としては撹拌羽、容器の内壁、現像ローラと現像剤供給ローラとの間、現像ローラとトナー層厚規制部材との間、現像ローラと画像形成体との間が挙げられ、このうち一番影響が著しいのは最後の2者である。撹拌羽においてはトナーが攪拌されるだけであるが、現像ローラとトナー層厚規制部材との間、及び現像ローラと画像形成体との間では硬い部材の間でトナーが圧力を受け、それが現像に使われなければそのまま現像容器に回収される。
【0037】
以上の弊害が起こらないようにするためにはまず、ローラ硬度はなるべく低く抑えられなければならない。従って芯金外周の弾性体のアスカーC硬度が20°〜60°であることが好ましい。このアスカーC硬度が20°を下回ると現像ローラとトナー層厚規制部材が長期間接触することで生じた現像ローラの圧縮永久歪みが画像に影響するため好ましくない。20°以上であれば、圧縮永久歪みが生じていても現像ローラの回転のため歪みが矯正され、また画像形成体と現像ローラとの接触部に幅があるため、ローラ構成に配慮すれば画像には影響してこない。
ここで、「アスカーC硬度」とは日本ゴム協会標準規格SRIS0101に準拠した硬度測定法で得られる硬度のことであり、高分子計器(株)社製のアスカーC型スプリング式ゴム硬度計を用いて測定される。常温常湿(23℃、55%RH)の環境中に12時間以上放置したローラに対して、上記硬度計を10Nの力で当接させてから30秒後の値を測定値としてあり、JIS−A硬度と比較すれば低硬度側でより敏感であることから、今回の目的にはより合致した測定データが得られるものである。
【0038】
さらに、表面光沢度が入射角75°で測定して5〜100%であることが望ましい。現像ローラ表面は円筒状でありそのままでは正確な測定値は期待できないため、ローラから表面部を切り出し、平滑な板に固定して充分な平面性を確保した上で測定する。測定には例えば熊谷理機工業(株)社製の変角式グロスメーターを用い、異なる位置における光沢度を10点以上測定して平均したものをそのローラの値とする。この値が5〜100%であればトナー付着性は抑制され、トナーの劣化とそれによる画像の劣化が抑えられた現像ローラとなる。さらに、むらに関しても上記光沢度のむらが500%以内であるとトナーのコートにむらが生じず、均一な画像が得られる。
【0039】
光沢度を測定する際の入射角は75°が最も望ましい。通常測定可能な入射角は20°・45°・60°・75°85°である。対象となる現像ローラはカーボンの利用により光沢度が低いものが多いので、一般的には入射角が大きい方が反射率も大きくて良いとされる。しかしながら本件では測定対象がローラであるので解体を必須とすることから、入射角が大きすぎると測定準備の際に生ずるむらを拾ってしまい、測定値の信頼性が低くなる。
【0040】
以下、実施例・比較例を示して発明の効果をより明らかにするが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0041】
[実施例1]導電性弾性体としては、シリコーンゴムの主剤と硬化剤を等量ずつ加えて混練を行なう。芯金を組込んで110℃で予備加熱を行っている成形機に注入して加硫後冷却、再度加熱を行なって二次加硫をさせ、脱型することにより成形する。
【0042】
表面層としては、エステル系ポリウレタン樹脂をMEKに溶解させ、これにケッチェンブラックを適量加えて混合させる。ボールミルにて12時間分散回転させた後、溶液に上記弾性体を浸漬させ、引き上げることで塗工した。
【0043】
[実施例2]上記実施例1の構成におけるケッチェンブラックを増量し、塗工を行なった。
【0044】
[実施例3]上記実施例2の構成にウレタン粒子を加えて再度分散回転させ、塗工を行なった。
【0045】
[比較例1]上記実施例3の構成におけるケッチェンブラックをさらに増量し、塗工を行なった。
【0046】
[比較例2]上記実施例1の構成にウレタン粒子を多量に加えて再度分散回転させ、塗工を行なった。
【0047】
[比較例3]上記実施例1の構成におけるケッチェンブラックを少量に抑え、ウレタン粒子を加えた後で再度分散回転させ、塗工を行なった。
【0048】
得られた現像ローラについては以下の測定を行った。結果をローラの耐久評価の結果と共に表1にまとめる。
(1) アスカーC硬度
主剤と硬化剤を混合して6mm厚のシート状にしたものを、高分子計器(株)社製のアスカーC型スプリング式ゴム硬度計を用いて測定した。
(2) 光沢度
熊谷理機工業(株)社製の変角式グロスメーターを用いて異なる位置における光沢度を10点測定し、平均値をとってそのローラの値とした。
(3) ローラ抵抗
両端にそれぞれ500gずつの荷重をかけてφ30のSUSの円筒に接触させ、円筒をローラが1秒間に1回転するような回転数で回転させる。この装置全体にDC100Vを印加し、そのときの基準抵抗10kΩにかかる電圧からローラ抵抗を算出した。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
表1に示したとおり、アスカーC硬度で弾性体の硬度を調整し、表面光沢度でローラの表面性を調整した現像ローラは、非磁性一成分現像装置における図1の如き電子写真プロセスカートリッジに組込まれることでトナー劣化の影響の少ない画像形成装置を形成することができる。または、現像ローラを直接画像形成装置に装着することで同様の性能となる。この現像ローラで初期の画像が良好になるように電気特性・形状等を調整することにより、5000枚の画像出力を行っても地かぶり・ゴースト・トナー融着の起こらない、高品質な画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における現像ローラの一例を示す断面図。
【図2】本発明における現像ローラを利用した電子写真プロセスカートリッジを示す概念図。
【符号の説明】
1:良導電性芯金
2:導電性弾性体層
3:表面層
4:画像形成体
5:現像ローラ
6:帯電ローラ
7:現像剤供給ローラ
8:トナー層厚規制部剤
9:攪拌羽
10:トナー
11:レーザー光
12:現像容器
13: 転写ローラ
14:記録メディア
15:定着ローラ
16:定着像
17:加圧ローラ
18:弾性ブレード
Claims (5)
- 電子写真に用いられる現像装置のうち、画像形成体に接触して表面に現像剤を供給することにより該画像形成体上に可視画像を形成することを目的とするトナー担持ローラ(以下、現像ローラと称する)において、該現像ローラが中心に良導電性芯金を有する導電性弾性層を含んだ単層もしくは多層構成のローラであって、屈折率が可視波長全域にわたって一定値1.567であるガラス表面における入射角75°での表面光沢度を100%としたとき、該現像ローラの表面光沢度が5〜100であるとともに芯金外周がアスカーC硬度20〜60°の弾性層であることを特徴とする現像ローラ。
- 上記現像ローラにおいて、表面全体における光沢度のムラが500%以内であることを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
- 上記現像ローラにおいて、該導電性弾性層がシリコーンゴムを主体とすることを特徴とする請求項1または2記載の現像ローラ。
- 現像ローラ外周面に担持したトナーを画像形成体表面に接触・付着させることで画像を形成し紙に転写することを特徴とする、画像形成装置本体に着脱可能な画像形成装置用カートリッジにおいて、請求項1から3までのいずれか1項に記載の現像ローラを用いたことを特徴とする画像形成装置用カートリッジ。
- 現像ローラと画像形成体のいずれも本体に直接装着し、現像ローラ外周面に担持したトナーを画像形成体表面に接触・付着させることで画像を形成し紙に転写することを特徴とする画像形成装置において、請求項1から4までのいずれか1項に記載の現像ローラを用いたことを特徴とする画像形成装置。
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JP2008003458A (ja) * | 2006-06-26 | 2008-01-10 | Shin Etsu Polymer Co Ltd | 半導電性ローラ及び画像形成装置 |
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2002
- 2002-09-13 JP JP2002268596A patent/JP2004109212A/ja active Pending
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