JP2004105181A - 水中油型乳化組成物の製造方法およびこれにより製造される水中油型乳化組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水中油型乳化組成物に少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加した上で均質化工程を行った後、加熱工程を行う。これによって、粘度を低下させて、製造時の背圧を十分に低下することができるので、均質化工程や加熱工程等、製造過程における各種処理を効率的に行うことができる。本発明を好適に利用できる分野としては、ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスの製造分野を挙げることができる。
【選択図】 図1
Description
半澤 啓二編「アイスクリーム・ハンドブック」株式会社 光琳書院、昭和47年4月25日、p.16−18
本発明にかかる水中油型乳化組成物は、水性の液体(分散媒)中に油性の液体(分散質)が小粒子となって分散している状態のエマルジョンが含まれていればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは、水中油型のエマルジョンに他の成分が加えられた組成物となっている。すなわち、本発明にかかる水中油型乳化組成物は、水中油型エマルジョンそのものか、あるいは水中油型エマルジョンと他の成分とを含み、これら成分が全体として均質に存在し、実質的に、一つの物質として把握されるものである。
上記ソフトクリームおよびアイスクリームは「アイスクリーム類」に包括される。すなわち、本実施の形態では、一定の乳脂肪分・乳固形分を含む狭義のアイスクリームだけでなく、乳脂肪以外の油脂の含有が認められるアイスミルクや乳脂肪分を含まないラクトアイス等を含む、アイスクリーム様の冷菓を上記アイスクリーム類とすれば、ソフトクリームは、フリーザーで凍結させただけで硬化(−30〜−40℃での凍結工程)をしない半凍結のアイスクリームを指し、狭義のアイスクリームすなわちハードアイスクリームは、ソフトクリームに対する概念で、硬化させるまで凍結させたアイスクリームを指すものとする。
上記ミックスの原料のうち、乳・乳製品はよく用いられる原料であり、最終的に得られるアイスクリーム類の性質に大きな影響を与える。例えば、アイスクリームでは、乳脂肪がクリームの骨格成分となり、組成を滑らかにし、風味を与えるなどの役割を有している。また、タンパク質、乳糖、ミネラル等の無脂乳固形分は、好ましい風味を与え、さらに凍結点を調整する働きがある。また、固形分はオーバーラン(ミックスに空気を吹き込んで増加した量)に影響を与える。オーバーランが適切でないと、口に入れたときに冷たすぎたり、食感が悪くなったりする。
本発明にかかるミックスは、水中油型の乳化組成物となっていればよく、物性も基本的には特に限定されるものではない。ただし、本発明にかかる乳化組成物は、その一例であるミックスに限らず流動性を有しておればよいが、特に、前述した(1)「均質化工程の後に殺菌工程を実施する製造ライン」で粘度が高くなるものを好ましい対象とすることができる。
そこで、本発明にかかる乳化組成物の製造方法では、均質化工程前の乳化組成物(本実施の形態では、後述するプレミックス)に対して、少なくともポリグリセリンエステルおよび有機酸モノグリセライドの少なくとも一方を添加することで、ミックスの製造時における背圧(後述)を低下させるようになっている。すなわち、前述したように、ポリグリセリンエステルと有機酸モノグリセライドとは、「背圧降下剤」として機能する。
本発明にかかる乳化組成物の製造方法では、均質化工程の後に、少なくとも1回以上の加熱工程が実施され、上記均質化工程にて、乳化組成物に少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加する。
調合工程では、乳、乳製品、油脂、糖類、安定剤、乳化剤、香料、その他の原料を混合してミックスの前駆混合物を調製する。この工程で得られる前駆混合物は均質化・殺菌前であるので、完成したミックスと区別するため、説明の便宜上、「プレミックス」と称する。つまり、本実施の形態では、殺菌工程を受けた後のものを完成したミックスとし、上記プレミックスは、最終的に殺菌工程(加熱工程)を受ける前のミックスを指すものとする。したがって、均質化工程を受ける前のミックスだけでなく、均質化工程を受けた後で殺菌工程を受ける前のミックスもプレミックスと称する。
均質化工程では、上記調合工程で調合されたプレミックスに含まれる乳脂肪や油脂類(説明の便宜上、まとめて油分と称する)を粉砕して均質化する。調合工程で調合されたプレミックス中の油分をそのまま静置しておくと、比重差による油分の分離および凝集が生じる等、乳化破壊が起きる。これは、プレミックス中において、上記油分からなる球の直径が1〜15μmの範囲内と大きく、かつ不均一な状態となっているためである。それゆえ、流通、消費過程における油分の分離・凝集を防止するために、乳化組成物を製造する際には、油分を粉砕して、その直径を1〜2μmの範囲内以下に微細化・均質化する必要が生じる。
殺菌工程では、上記均質化工程で均質化されたプレミックスを加熱殺菌する。プレミックスに使用される原料には、かび、酵母、細菌等のさまざまな微生物が含まれており、その中には病原性のものが含まれている可能性もある。さらに、これら原料中には各種酵素が含まれており、これをそのままにしておくと完成後のミックスの成分が変質する可能性がある。そこで、ミックスを製造する際には、上記微生物を殺菌するとともに酵素を失活させるために加熱による殺菌工程が実施される。
冷却工程では、加熱殺菌された後のミックス(乳化組成物)を可能な限り迅速に冷却する。この冷却工程は品質維持のためには重要である。すなわち、急速な冷却は、長時間の高温によるミックスの変質および乳化破壊を回避するとともに、最終的に製造されるアイスクリーム類のテクスチャーを向上させることができる。また、衛生面においても、微生物の発育・繁殖を抑制することになる。冷却の温度は常温未満が好ましいが、特に限定されるものではない。
ここで、図2に示すように、冷却用プレート式熱交換機16の前段の配管10には圧力計15が設けられている。この圧力計15により計測される圧力は、直下流の冷却用プレート式熱交換機16を流れるミックス(乳化組成物)の圧力を示し、さらには、配管10を流れるミックスに加えられる全体的な圧力を示すことになる。
はこれに限定されるものではない。
乳製品として脱脂粉乳を、甘味料として水飴および砂糖を、油脂類として植物性油脂を、安定剤としてローカストビーンガムおよびグアーガムを、背圧降下剤以外の乳化剤としてソルビタン脂肪酸エステルおよびモノグリセリン脂肪酸エステルを、背圧降下剤としてジグリセリンエステルを用い、これら成分を表1に示す組成となるように調合工程で調合し、プレミックスを得た。このプレミックスの全固形分は43.39重量%であり、脂肪分は10.36重量%であった。
表1に示すように、背圧降下剤であるジグリセリンエステルを加えない以外は実施例と同様にして調合工程で調合し、プレミックスを得た。このプレミックスの全固形分は42.87重量%であり、脂肪分は10.36重量%であった。
11 ミキサー(調合手段)
12 ホモジナイザー(均質化手段)
13 殺菌用プレート式熱交換機(加熱手段・殺菌手段)
14 ホールディングチューブ(殺菌手段)
15 圧力計
16 冷却用プレート式熱交換機(冷却手段)
17 充填機(充填手段)
Claims (8)
- 均質化工程の後に1回以上の加熱工程が実施される水中油型乳化組成物の製造方法において、
水中油型乳化組成物に少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加した上で、上記均質化工程を行うことを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法。 - 上記ポリグリセリンエステルのグリセリンが2量体であることを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- 上記有機酸モノグリセライドがコハク酸モノグリセライドおよび/またはクエン酸モノグリセライドであることを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- 上記ポリグリセリンエステルの添加量が0.01〜2.0重量%の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- 上記有機酸モノグリセライドの添加量が0.01〜2.0重量%の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- 上記加熱工程が殺菌のために実施されるとともに、その加熱手法がLTLT、HTSTまたはUHTであることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
- 請求項1ないし6の何れか1項に記載の製造方法により製造される水中油型乳化組成物。
- ソフトクリームミックスまたはアイスクリームミックスであることを特徴とする請求項7に記載の水中油型乳化組成物。
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-
2003
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