JP2004105181A - 水中油型乳化組成物の製造方法およびこれにより製造される水中油型乳化組成物 - Google Patents

水中油型乳化組成物の製造方法およびこれにより製造される水中油型乳化組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 粘度の大きい水中油型乳化組成物であっても、効率的に均質化処理することが可能な水中油型乳化組成物の製造方法と、これにより製造される水中油型乳化組成物とを提供する。
【解決手段】 水中油型乳化組成物に少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加した上で均質化工程を行った後、加熱工程を行う。これによって、粘度を低下させて、製造時の背圧を十分に低下することができるので、均質化工程や加熱工程等、製造過程における各種処理を効率的に行うことができる。本発明を好適に利用できる分野としては、ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスの製造分野を挙げることができる。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、水中油型の乳化組成物を効率的に製造することができる水中油型乳化組成物の製造方法と、この製造方法により製造される水中油型乳化組成物とに関するものである。
 乳化では、互いに溶け合わない2つの液体を混合・振盪等することにより、一方の液体が他方の液体中に小粒子(液滴)となって分散している。この乳化現象は工業的に非常に重要で、食品、医薬品、化粧品、塗料、合成樹脂、接着剤、皮革等の広い産業分野で応用されている。
 乳化において、小粒子となっている一方の液体を分散質といい、分散質を分散させている他方の液体を分散媒というが、この分散質と分散媒との関係から乳化の状態には2つの型が存在する。
 一方の型は、油中水(water-in-oil:W/O)型であり、油性の液体(分散媒)中に水性の液体(分散質)が小粒子となって分散している状態である。他方の型は、水中油型(oil-in-water:O/W)であり、水性の液体(分散媒)中に油性の液体(分散質)が小粒子となって分散している状態であり、上記油中水型の逆の状態となっている。
 ここで、市乳(飲用に供する目的で市場に販売される牛乳)等の乳、あるいは乳製品の乳化状態はバター等を除いてほとんど水中油型となっている。これら乳や乳製品では、製造過程において、均質化工程と殺菌工程との実施が重要となっている。
 市乳や乳製品の製造方法では、上記均質化工程と殺菌工程とを実施する順序は特に限定されるものではないが、従来では、(1)「均質化工程の後に殺菌工程を実施する製造ライン」が一般的である(例えば非特許文献1参照)。また、近年では、(2)「殺菌工程の後に均質化工程を実施する製造ライン」も知られている。
半澤 啓二編「アイスクリーム・ハンドブック」株式会社 光琳書院、昭和47年4月25日、p.16−18
 しかしながら、上記従来の製造ラインでは、ある種の乳製品を効率的に製造するには不十分であるという問題点を有している。
 具体的には、例えば、乳製品のうちでもソフトクリームミックスやアイスクリームミックス等は、牛乳等に比較してさらに各種の成分を添加した乳化組成物となっているので、糖・脂肪分等の固形分が高く、一般に乳化安定性を保ちにくく、また粘性が高くなる傾向にある。
 そこで、上記(1)「均質化工程の後に殺菌工程を実施する製造ライン」で、上記の乳製品を製造する場合、水中油型の乳化状態が不安定となるために、乳製品そのものの粘度が上昇する。これに伴って、配管内の圧力(背圧)も過剰に高くなり、その結果、アイスクリームミックス等の乳化組成物に対する各種処理を効率的に実施することが困難となる。
 一方、上記(2)「殺菌工程の後に均質化工程を実施する製造ライン」で、上記の乳製品を製造する場合、加熱処理を受けて不安定化した乳化組成物を均質化工程によって安定化させるために、製造過程中の乳製品の粘度が低下し、製造ラインにかかる背圧も低下する。そのために粘度の高い乳製品であっても均質化処理を実施することは可能である。
 ここで、殺菌工程後に均質化工程を行うためには、均質化処理を実施する均質機を無菌化しなければならない。ところが、(2)の製造ラインで使用する無菌化可能な均質機は非常に高価である。そのため、設備投資が増大することに加えて、無菌化維持のために厳重な管理が必要になる等、製造ラインのメンテナンスも煩雑化する。
 本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、粘度の大きい水中油型乳化組成物であっても、効率的に製造することが可能な水中油型乳化組成物の製造方法と、これにより製造される水中油型乳化組成物とを提供することにある。
 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、均質化工程に供する水中油型乳化組成物に、ポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加することで、水中油型乳化組成物の製造時における背圧を十分に低下できることを独自に見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明にかかる水中油型乳化組成物の製造方法は、均質化工程の後に1回以上の加熱工程が実施される水中油型乳化組成物の製造方法において、水中油型乳化組成物に少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加した上で、上記均質化工程を行うことを特徴としている。
 上記製造方法においては、上記ポリグリセリンエステルのグリセリンが2量体であることが好ましく、上記有機酸モノグリセライドがコハク酸モノグリセライドおよび/またはクエン酸モノグリセライドであることが好ましい。さらに、上記ポリグリセリンエステルおよび上記有機酸モノグリセライドの添加量はそれぞれ0.01〜2.0重量%の範囲内であることが好ましい。
 また、上記加熱工程が殺菌のために実施されるとともに、その加熱手法がLTLT、HTSTまたはUHTであることが好ましい。
 本発明にかかる水中油型乳化組成物は、上記製造方法により製造されるものであって、好ましい例としては、ソフトクリームミックスまたはアイスクリームミックスを挙げることができる。
 上記方法および上記構成によれば、ポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加することで、水中油型乳化組成物の粘度を十分に低下させることができるため、水中油型乳化組成物の製造時における背圧も十分に低下することが可能となる。それゆえ、乳化組成物の粘度が高い場合であっても、高コストでメンテナンスにも煩雑さが伴う製造ラインを用いなくても、前述の工程(1)の製造ラインにより均質化工程を良好に行うことができる。その結果、高品質な乳化組成物を低コストで効率的に製造することができる。
 本発明の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
 本発明にかかる水中油型乳化組成物の製造方法は、水中油型乳化組成物に少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加した上で、上記均質化工程を行う方法であり、本発明にかかる水中油型乳化組成物は、上記製造方法によって製造されるものである。
 <水中油型乳化組成物>
 本発明にかかる水中油型乳化組成物は、水性の液体(分散媒)中に油性の液体(分散質)が小粒子となって分散している状態のエマルジョンが含まれていればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは、水中油型のエマルジョンに他の成分が加えられた組成物となっている。すなわち、本発明にかかる水中油型乳化組成物は、水中油型エマルジョンそのものか、あるいは水中油型エマルジョンと他の成分とを含み、これら成分が全体として均質に存在し、実質的に、一つの物質として把握されるものである。
 具体的な水中油型乳化組成物としては特に限定されるものではなく、食品、医薬品、化粧品、塗料等を挙げることができる。また、水中油型乳化組成物に含まれる他の成分も特に限定されるものではなく、固体、液体、気体の何れであってもよい。他の成分として固体が含まれている場合はスラリー状であってもよい。また、他の成分の量や種類も特に限定されるものではなく、水中油型乳化組成物の用途に応じて適宜設定すればよい。なお、以下の説明では、便宜上、「水中油型乳化組成物」を適宜「乳化組成物」と略す。
 本実施の形態では、上記乳化組成物の代表的な例として、乳製品、特に、ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスを挙げて本発明を説明する。ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスは、それぞれソフトクリームおよびアイスクリームの原料である。
 <ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックス>
 上記ソフトクリームおよびアイスクリームは「アイスクリーム類」に包括される。すなわち、本実施の形態では、一定の乳脂肪分・乳固形分を含む狭義のアイスクリームだけでなく、乳脂肪以外の油脂の含有が認められるアイスミルクや乳脂肪分を含まないラクトアイス等を含む、アイスクリーム様の冷菓を上記アイスクリーム類とすれば、ソフトクリームは、フリーザーで凍結させただけで硬化(−30〜−40℃での凍結工程)をしない半凍結のアイスクリームを指し、狭義のアイスクリームすなわちハードアイスクリームは、ソフトクリームに対する概念で、硬化させるまで凍結させたアイスクリームを指すものとする。
 なお、以下の説明では、狭義のアイスクリームを、便宜上、ソフトクリームに対する意味で「ハードクリーム」と称するものとする。また、ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスを、便宜上、まとめて単にミックスと称する場合がある。
 アイスクリームミックスは、乳、乳製品、甘味料、油脂類、安定剤、乳化剤、香料、その他の原料を混合した乳化組成物で、これを撹拌しながら半凍結または凍結させることでアイスクリーム類が得られる。なお、以下の説明や特許請求の範囲等において、単にアイスクリームミックスと称する場合は、ハードクリームのミックスを指すものとする。
 ソフトクリームミックスは、アイスクリームミックスの一種であるため、上記の原料を混合した乳化組成物であるが、ソフトクリームは半凍結であるため、水の大半が氷結晶となっているが残りの水は未凍結のままであるため軟らかく、温度も通常−3〜−7℃の範囲内という特性を有する。それゆえ、ソフトクリームミックスでは、得られるソフトクリームの保形性・触感がなめらかとなる。
 <ミックスの各成分>
 上記ミックスの原料のうち、乳・乳製品はよく用いられる原料であり、最終的に得られるアイスクリーム類の性質に大きな影響を与える。例えば、アイスクリームでは、乳脂肪がクリームの骨格成分となり、組成を滑らかにし、風味を与えるなどの役割を有している。また、タンパク質、乳糖、ミネラル等の無脂乳固形分は、好ましい風味を与え、さらに凍結点を調整する働きがある。また、固形分はオーバーラン(ミックスに空気を吹き込んで増加した量)に影響を与える。オーバーランが適切でないと、口に入れたときに冷たすぎたり、食感が悪くなったりする。
 それゆえ、乳・乳製品については、最終的に製造されるアイスクリーム類の種類に応じて、上記のような成分の機能や特性を考慮して、適切な量や種類を用いればよい。乳の具体的な種類としては、牛乳や脱脂乳(スキムミルク)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、乳製品の具体的な種類としては、例えば、脱脂粉乳、調製粉乳、クリーム、練乳、発酵乳等が挙げられるが特に限定されるものではない。ミックス中における上記乳、乳製品の含有率は特に限定されるものではないが、1〜20重量%の範囲内であることが好ましく、3〜18重量%の範囲内がより好ましい。また風味原料として卵黄が使用されることもある。
 上記原料のうち、甘味料は、少なくともアイスクリーム類に甘味を与えるものであればよい。甘味料の具体的な種類としては、砂糖(ショ糖・スクロース)、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)、トレハロース、水飴、異性化糖等の糖類;ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール等の糖アルコール類;アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、ステビオサイド、ソーマチン、グリチルリチン、サッカリン、ジヒドロカルコン等の非糖質甘味料;等が挙げられるが特に限定されるものではない。
 上記甘味料は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。中でも、特に、砂糖は、アイスクリーム類に上質の甘味を与えるので、ミックスの甘味料としては好ましく用いられる。ミックス中における上記甘味料の含有率は特に限定されるものではないが、ショ糖甘味換算で7〜30重量%の範囲内であることが好ましく、7〜20重量%の範囲内がより好ましい。
 上記原料のうち、油脂類は、最終的に製造されるアイスクリーム類の種類に応じて、クリームの骨格成分として用いられる。油脂類の具体的な種類としては、例えば、ヤシ、パーム、大豆、ナタネ等の植物性油脂;ラード、ヘッド、魚油等の動物性脂肪;等を挙げることができる。もちろん乳脂肪(バター、クリーム)も使用可能である。これら油脂類は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いても良い。また、ミックス中におけるこれら油脂類の含有率は特に限定されるものではないが、1〜30重量%の範囲内であることが好ましく、3〜20重量%の範囲内がより好ましい。
 上記原料のうち、安定剤は、ミックスの粘度を高め、製造過程や保管流通時に成分が分離することを防ぐとともに、ドライネスを向上させ、また、クリームの氷晶の大きさを調節し、クリームの保形性や食感を改良することにも用いられる。もちろんオーバーランにも影響を与える。安定剤の具体的な種類としては、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース、ペクチン、デンプン、アラビヤゴム等の植物性安定剤;ゼラチン、カゼイン等の動物性安定剤;カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の合成安定剤;等が挙げられるが特に限定されるものではない。
 これら安定剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いても良い。ミックス中における上記安定剤の含有率は特に限定されるものではないが、0.01〜5重量%の範囲内であることが好ましく、0.01〜2重量%の範囲内がより好ましい。
 上記原料のうち、乳化剤は、脂肪を分散させる機能がある。脂肪の分散なしでは殺菌工程や均質化工程を良好に実施することができなくなるため、分散は非常に重要となる。乳化剤はオーバーランやドライネスや食感にも影響を与える。上記乳化剤の具体的な種類としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルが挙げられるが特に限定されるものではない。
 中でも、本発明では、上記グリセリン脂肪酸エステルのうち、ポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを必須成分として用いる。これら乳化剤は、他の乳化剤とは異なり、ミックスの製造時における背圧(後述)を大きく低下させる「背圧降下剤」として機能する。
 ミックス中における上記乳化剤の含有率は特に限定されるものではないが、「背圧降下剤」であるポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを除く乳化剤の含有率は、0.01〜5重量%の範囲内であることが好ましく、0.01〜2重量%の範囲内がより好ましい。
 上記原料のうち、香料は、最終的に製造されるアイスクリーム類に芳香を与えるものであれば特に限定されるものではない。例えばプレーンアイスクリームでは、バニラエッセンスがよく用いられる。本発明にかかる製造方法の一例としては、後述するように、ミックスに対してシロップを混合してから最終的なミックスとするようになっている例が挙げられるので、この場合、香料はシロップ中に含まれていればよい。
 上記原料のうち、その他原料についても特に限定されるものではなく、アイスクリーム類を製造する分野で従来公知の各種成分を用いればよい。
 上記香料、その他の原料の含有率は特に限定されるものではなく、その機能を発揮できる程度の量であればよい。
 <乳化組成物(ミックス)の物性>
 本発明にかかるミックスは、水中油型の乳化組成物となっていればよく、物性も基本的には特に限定されるものではない。ただし、本発明にかかる乳化組成物は、その一例であるミックスに限らず流動性を有しておればよいが、特に、前述した(1)「均質化工程の後に殺菌工程を実施する製造ライン」で粘度が高くなるものを好ましい対象とすることができる。
 例えば、本実施の形態では、後述する製造方法で得られたミックスをそのまま最終的なミックスとすることもできるし、固形分を含んだシロップを充填前に混合して最終的なミックスとすることもできる。後者のミックスでは、後段におけるシロップの混合を前提とするために、通常のミックスよりも濃度が高い(水分が少ない)配合となっている。具体的には、通常のミックスでは固形分が約25〜35%の範囲内であるのに対し、本発明にかかるミックスでは40%を超えている。
 一般に、乳化組成物の安定性はその組成によって大きく変化し、全固形分および脂肪分の少なくとも一方が高いほど、乳化の安定性が低下しやすく、粘度が上昇する傾向にある。
 ここで、従来の製造方法では、図3に示すように、前記(1)「均質化工程の後に殺菌工程を実施する製造ライン」か、または図4に示すように、前記(2)「殺菌工程の後に均質化工程を実施する製造ライン」が用いられている。上記のように乳化組成物(ミックス)の粘度が高ければ、上記(1)の製造ラインでは、その製造過程において、粘度上昇の程度に応じて非常に高い程度にまで背圧(後述)が高くなる。その結果、上記(1)の製造ラインを用いる従来の製造方法では、ミックス(乳化組成物)の製造を効率的に行うことが困難となっている。
 一方、上記(2)の製造ラインでは、均質化工程と殺菌工程とが(1)の製造ラインと逆になっている。乳化組成物の粘度は、組成が同じであっても種々の要因によって変化する。例えば、加熱により乳化力が減退する現象はよく知られている。そこで、上記(1)の製造ラインで粘度が高く効率的な均質化処理が困難となるのであれば、殺菌工程と均質化工程とを入れ替えて(2)の製造ラインとすればよいことになる。
 このとき、(2)の製造ラインでは、後段の均質化工程で無菌状態を維持できなければ、前段で殺菌した意味が無くなってしまうため、均質化装置を無菌化する必要が生じる。均質化装置の無菌化は技術の向上により、十分可能となっているものの、そのような均質化装置は非常に高価となり、メンテナンスも煩雑になるため、コスト等の観点から導入することが困難である場合も多い。
 <背圧降下剤>
 そこで、本発明にかかる乳化組成物の製造方法では、均質化工程前の乳化組成物(本実施の形態では、後述するプレミックス)に対して、少なくともポリグリセリンエステルおよび有機酸モノグリセライドの少なくとも一方を添加することで、ミックスの製造時における背圧(後述)を低下させるようになっている。すなわち、前述したように、ポリグリセリンエステルと有機酸モノグリセライドとは、「背圧降下剤」として機能する。
 上記ポリグリセリンエステルの具体的な種類は特に限定されるものではないが、例えば、グリセリンが2量体のもの、すなわちジグリセリンエステルを好ましく用いることができる。また、エステルを形成する脂肪酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸等を好ましく用いることができる。
 乳化組成物に対する上記ポリグリセリンエステルの添加量は、少なくとも0.01〜2.0重量%の範囲内であればよく、0.01重量%〜1.0重量%の範囲内が好ましく、0.01重量%〜0.5重量%の範囲内がさらに好ましい。0.01重量%未満の場合には、製造時に背圧を十分に低下させることができなくなる。一方、2.0重量%を超えれば、ミックスの風味が悪くなるため好ましくない。
 また、上記有機酸モノグリセライドとしては、乳酸モノグリセライド、酒石酸モノグリセライド、酢酸モノグリセライド、コハク酸モノグリセライド、クエン酸モノグリセライド等があるが特に限定されるものではない。中でも、好ましくは、クエン酸モノグリセライド、コハク酸モノグリセライドが挙げられる。
 乳化組成物に対する有機酸モノグリセライドの添加量は、少なくとも0.01〜2.0重量%の範囲内であればよく、0.01重量%〜1.0重量%の範囲内が好ましく、0.01重量%〜0.5重量%の範囲内がさらに好ましい。0.01重量%未満の場合には、製造時に背圧を十分に低下させることができなくなる。一方、2.0重量%を超えれば、ミックスの風味が悪くなるため好ましくない。
 上記ポリグリセリンエステルおよび有機酸モノグリセライドの添加方法は特に限定されるものではなく、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、これらは均質化工程を実施する時点で、乳化組成物に含まれていればよい。本実施の形態では、後述するミックスの製造方法において、均質化工程の前段である調合工程でこれら背圧降下剤を加えて、後述するプレミックスを調合すればよい。
 <乳化組成物の製造方法>
 本発明にかかる乳化組成物の製造方法では、均質化工程の後に、少なくとも1回以上の加熱工程が実施され、上記均質化工程にて、乳化組成物に少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加する。
 本実施の形態では、上述したように乳化組成物として、ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスを例に挙げて説明するので、本発明にかかる製造方法も、ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスの製造方法に準じて説明する。
 ソフトクリームおよびハードクリームはアイスクリーム類に含まれるため、ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスの製造方法は、何れも同じ工程を経る。例えば、ソフトクリームミックスの具体例として、図1に示すように、調合工程、均質化工程、殺菌工程、冷却工程がこの順で実施される。このような製造方法を実施する製造装置の一例としては、図2に示すように、配管10、ミキサー11、ホモジナイザー12、殺菌用プレート式熱交換機13、ホールディングチューブ14、圧力計15、冷却用プレート式熱交換機16、充填機17を備えている構成を挙げることができる。
 本発明にかかる乳化組成物の製造方法は、図3に示すように、基本的には、従来の製造方法のうち、前記(1)「均質化工程の後に殺菌工程を実施する製造ライン」と同様の方法であるが、後述するように、均質化工程において背圧降下剤が加えられるようになっている点が大きく異なる。なお、図3および図4からも明らかなように、従来の製造方法のうち、前記(2)「殺菌工程の後に均質化工程を実施する製造ライン」は、均質化工程と殺菌工程との順序が異なるのみで、前記(1)の製造ラインと同様である。
 <調合工程>
 調合工程では、乳、乳製品、油脂、糖類、安定剤、乳化剤、香料、その他の原料を混合してミックスの前駆混合物を調製する。この工程で得られる前駆混合物は均質化・殺菌前であるので、完成したミックスと区別するため、説明の便宜上、「プレミックス」と称する。つまり、本実施の形態では、殺菌工程を受けた後のものを完成したミックスとし、上記プレミックスは、最終的に殺菌工程(加熱工程)を受ける前のミックスを指すものとする。したがって、均質化工程を受ける前のミックスだけでなく、均質化工程を受けた後で殺菌工程を受ける前のミックスもプレミックスと称する。
 プレミックスの調合に用いられる調合装置は特に限定されるものではなく、図2に示すように、従来公知のミキサー11、たとえば、ファウドラー型のプロペラ付きタンクミキサー等が用いられる。この調合工程では、上記ミキサー11でプレミックスを調合する段階で、原材料の均一な溶解、混合のために予温加熱することが好ましい。予温加熱の温度は特に限定されるものではないが、一般的には、50〜80℃の範囲内が好ましい。
 なお、この調合工程にて、プレミックスに背圧降下剤としてのポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加すればよい。
 また、この調合工程は、製造される乳化組成物の種類等に応じて適宜調合条件を設定したり、調合用の装置を選択したりすればよい。また、製造する乳化組成物の種類によっては、すでに調合されている乳化組成物に上記背圧降下剤としてのポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加するだけでもよい。
 <均質化工程>
 均質化工程では、上記調合工程で調合されたプレミックスに含まれる乳脂肪や油脂類(説明の便宜上、まとめて油分と称する)を粉砕して均質化する。調合工程で調合されたプレミックス中の油分をそのまま静置しておくと、比重差による油分の分離および凝集が生じる等、乳化破壊が起きる。これは、プレミックス中において、上記油分からなる球の直径が1〜15μmの範囲内と大きく、かつ不均一な状態となっているためである。それゆえ、流通、消費過程における油分の分離・凝集を防止するために、乳化組成物を製造する際には、油分を粉砕して、その直径を1〜2μmの範囲内以下に微細化・均質化する必要が生じる。
 均質化工程で用いられる均質化装置(均質機)は特に限定されるものではなく、図2に示すようなホモジナイザー12や、ホモミキサー、コロイドミル等の従来公知の均質機を用いることができる。中でもホモジナイザー12が一般的に用いられる。ホモジナイザー12は、例えば、2枚のディスクの間で形成されるクリアランスにプレミックスを流す構成を有している。この構成では、ディスクの壁により、プレミックスに対して剪断力と衝突とが与えられるとともに、クリアランスを通過したプレミックスに加えられる圧力が急激に低下すること等によって、脂肪球が均質化される。
 ここで、後述する<製造時の背圧>にて説明するように、製造過程上、ミックスの乳化状態が不安定となると、ミックスそのものの粘度が上昇し、ミックスの製造を効率的に進めることが困難となる場合がある。そこで、本発明では、例えば、プレミックス(乳化組成物)に、少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライド(背圧降下剤)を添加する。これによって、ミックス(乳化組成物)の粘度を低下させることができるので、後述する背圧を低くすることが可能となり、製造過程における各種処理を効率的に実施することが可能になる。
 <殺菌工程>
 殺菌工程では、上記均質化工程で均質化されたプレミックスを加熱殺菌する。プレミックスに使用される原料には、かび、酵母、細菌等のさまざまな微生物が含まれており、その中には病原性のものが含まれている可能性もある。さらに、これら原料中には各種酵素が含まれており、これをそのままにしておくと完成後のミックスの成分が変質する可能性がある。そこで、ミックスを製造する際には、上記微生物を殺菌するとともに酵素を失活させるために加熱による殺菌工程が実施される。
 殺菌工程で実施される殺菌方法は、乳化組成物中に含まれる微生物を、有効に死滅させる方法であればよく、特に限定されるものではない。具体的な殺菌方法としては、回分式および連続式の間接加熱法が好ましく用いられる。
 回分式では、タンクに乳化組成物(ミックス)を蓄積し、タンクを一定時間加熱して内部の乳化組成物を加熱殺菌する。具体的な殺菌条件としては、63℃で30分、75℃で15分、80℃で15分等の条件が挙げられるが特に限定されるものではない。タンクを加熱する方法も特に限定されるものではないが、例えば、タンクの外壁に熱水を噴霧する方法、タンク内を循環する熱交換コイルに熱水を送り込む方法、タンクの浸水部分に熱水または蒸気を循環する方法、タンク外壁を取り巻く熱水コイルに熱水を高速で流す方法等が挙げられる。
 連続式では、乳化組成物(ミックス)を配管やパネル内に一定温度で一定時間保持して連続的に加熱殺菌する。具体的な殺菌条件としては、一例を挙げると、LTLT、HTST、UHTが挙げられる。LTLT(low temperature long time heating method:低温長時間殺菌)は、65℃以上で30分以上加熱する。HTST(high temperature short time heating method:高温短時間殺菌法)は、72℃以上で15秒以上加熱する。UHT(ultra high temperature heating method:超高温瞬間殺菌法)は、120℃〜150℃で1〜2秒加熱する。
 連続式に用いられる加熱装置は特に限定されるものではなく従来公知の構成を好適に用いることができる。例えば、本実施の形態では、図2に示す例では、プレート式熱交換機13を用いている。なお、後段の冷却工程でもプレート式熱交換機16を用いることができるので、殺菌工程に用いるプレート式熱交換機13を、説明の便宜上、殺菌用プレート熱交換機13と称する。
 ミックスの製造方法では、上記回分式でも連続式でも何れの方法が用いられても良いが、製造効率や得られるミックスの品質を高める観点から、図2に示すように、殺菌用プレート熱交換機13等を用いた連続式がより好ましい。連続式の場合、連続的にミックスに加熱処理できることに加え、急速な熱交換により短時間で確実に殺菌できること、短時間の殺菌によりミックス中の各成分の熱分解やり熱変性を低減できること等の利点がある。
 また、図2に示すように、殺菌用プレート熱交換機13の下流側にはホールディングチューブ14が設けられていることが好ましい。このホールディングチューブ14は、高温に加熱されたミックスを一定時間流すことによって、ミックス温度を保持して所定の殺菌処理を行う配管である。
 なお、本実施の形態では、ミックスの製造方法を例に挙げているため、乳化組成物に加熱処理を行う本工程を殺菌工程と称しているが、製造される乳化組成物が、殺菌工程を必要とする食品や化粧品、医薬品等でない場合には、本工程は、必ずしも殺菌の目的で実施されるものではない。例えば、加熱によって乳化組成物中の成分の少なくとも一部を熱分解させたり熱変性させたりする目的でなされてもよい。したがって、本発明では、乳化組成物を加熱する本工程を包括的に「加熱工程」と称し、製造される乳化組成物が食品・化粧品・医薬品等殺菌が必要なものである場合には、上記加熱工程は殺菌のために実施される「殺菌工程」と称するものとする。
 <冷却工程>
 冷却工程では、加熱殺菌された後のミックス(乳化組成物)を可能な限り迅速に冷却する。この冷却工程は品質維持のためには重要である。すなわち、急速な冷却は、長時間の高温によるミックスの変質および乳化破壊を回避するとともに、最終的に製造されるアイスクリーム類のテクスチャーを向上させることができる。また、衛生面においても、微生物の発育・繁殖を抑制することになる。冷却の温度は常温未満が好ましいが、特に限定されるものではない。
 冷却工程の具体的な手法は特に限定されるものではないが、図1に示すように、予冷段階と本冷段階の2段階を経ることが好ましい。通常、加熱殺菌されたミックスを1段階で急激に低温まで冷却することは困難であるので、最初に予冷段階である程度冷却してから、本冷段階で所望の温度に冷却する。このような段階を経れば、効率的かつ確実にミックスを所望の温度に冷却することができる。
 乳化組成物が、上記ミックスではない場合でも、加熱工程の後には予冷工程を実施することが特に好ましい。これによって、高温の乳化組成物を迅速に冷却することになるので、高温の維持による成分の熱分解や熱変性が必要以上に進行するような事態を回避することができる。
 なお、冷却工程すなわち予冷段階や本冷段階における具体的な冷却温度については特に限定されるものではなく、乳化組成物の種類等に応じて適宜設定すればよい。また、冷却工程は2段階に限定されるものではなく、乳化組成物の種類や、殺菌温度と冷却温度と差分を考慮して、1段階に設定して冷却してもよいし、3段階以上の他段階に設定して冷却してもよい。
 冷却装置についても特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いればよい。例えば、本実施の形態では、図2に示すように、予冷段階をホールディングチューブ14によって行い、本冷段階を、殺菌工程(加熱工程)と同様に、プレート式熱交換機16を用いて行うようになっている。なお、前述したように、殺菌工程でも殺菌用プレート式熱交換機13を用いることができるので、冷却工程に用いるプレート式熱交換機16も、説明の便宜上、冷却用プレート熱交換機16と称する。
 <製造時の背圧>
 ここで、図2に示すように、冷却用プレート式熱交換機16の前段の配管10には圧力計15が設けられている。この圧力計15により計測される圧力は、直下流の冷却用プレート式熱交換機16を流れるミックス(乳化組成物)の圧力を示し、さらには、配管10を流れるミックスに加えられる全体的な圧力を示すことになる。
 ここで、冷却工程では、殺菌工程(加熱工程)で加熱されたミックスを所望の温度まで迅速に冷却するため、この冷却に伴ってミックスの粘度が上昇する。図示しないが、ポンプにより、ミックスは配管10内を定量的に流れるよう加圧されている。これに対して、冷却用プレート式熱交換機16内の配管では、ミックスの流動性が低下するので、冷却用プレート式熱交換機16の直上流の圧力計15では、計測される圧力が上昇する。
 本発明では、上記圧力計15で計測されるような、配管10を流れるミックスに加えられる全体的な圧力を「背圧」と称する。この背圧が過剰に高くなると、単に冷却工程の実施が困難となるだけでなく、上流側の均質化工程や殺菌(加熱)工程等、ミックスの製造に関わる各種処理を効率的に実施することが困難となる。
 そこで、本発明では、ミックス(乳化組成物)に対して、少なくとも前記均質化工程の前段、例えば調合工程において、プレミックス(乳化組成物)に、少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライド(背圧降下剤)を添加する。これによって、ミックス(乳化組成物)の粘度を低下させることができるので、背圧を低くすることが可能となり、製造過程における各種処理を効率的に実施することが可能になる。
 なお、前述したように、本実施の形態では、上記冷却工程の後に得られたミックスをそのまま最終的なミックスとすることもできるし、固形分を含んだシロップを混合して最終的なミックスとすることもできる。したがって、完成したミックスの利用の仕方については特に限定されるものではない。
 本発明にかかる乳化組成物の製造方法では、上記背圧降下剤を加えた乳化組成物を均質化する上記均質化工程と、その後に実施される加熱工程(殺菌工程)が含まれていればよいが、乳化組成物の種類や用途などに応じてその他の工程が含まれていても良い。
 例えば、ソフトクリームの例では、ソフトクリームミックスを製造した後で、冷却工程後のミックスを所定の容器に充填する充填工程等が含まれていてもよい。充填の方法や条件、さらにはミックスを充填する容器の種類等については特に限定されるものではなく、ミックスの種類や用途等に応じて、従来公知のものを適宜用いることができる。
 また、ハードクリームの例では、アイスクリームミックスを製造した後で、冷却工程の後に、フリージングによる硬化工程等が含まれていてもよい。
 さらに、製造される乳化組成物の種類によっては、上記殺菌を目的とする加熱工程を複数回実施したり、さらに他の目的の加熱工程を行ったりしても良い。
 本発明にかかる水中油型乳化組成物は、上記の製造方法により製造されるものである。それゆえ、乳化組成物の粘度が高い場合であっても、高コストでメンテナンスにも煩雑さが伴う前記(2)の製造ラインを用いなくても、従来のより旧式な前記(1)の製造ラインを用いて、乳化組成物を製造することができる。その結果、高品質な乳化組成物を低コストで効率的に製造することができる。
 以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明
はこれに限定されるものではない。
 〔実施例〕
 乳製品として脱脂粉乳を、甘味料として水飴および砂糖を、油脂類として植物性油脂を、安定剤としてローカストビーンガムおよびグアーガムを、背圧降下剤以外の乳化剤としてソルビタン脂肪酸エステルおよびモノグリセリン脂肪酸エステルを、背圧降下剤としてジグリセリンエステルを用い、これら成分を表1に示す組成となるように調合工程で調合し、プレミックスを得た。このプレミックスの全固形分は43.39重量%であり、脂肪分は10.36重量%であった。
 その後、前述したように、均質化工程、殺菌工程、冷却工程を実施し(図1参照)、本発明にかかる乳化組成物としてのソフトクリームミックスを製造した。このときのプレミックスの粘度/温度と、均質化工程における背圧を表1に示す。
 〔比較例〕
 表1に示すように、背圧降下剤であるジグリセリンエステルを加えない以外は実施例と同様にして調合工程で調合し、プレミックスを得た。このプレミックスの全固形分は42.87重量%であり、脂肪分は10.36重量%であった。
 その後、実施例と同様にして、均質化工程、殺菌工程、冷却工程を実施し(図3参照)、比較乳化組成物としてのソフトクリームミックスを製造した。このときのプレミックスの粘度/温度と、均質化工程における背圧を表1に示す。
Figure 2004105181
 表1から明らかなように、ジグリセリンエステルを加えることで、同一温度(9.8℃)においても、プレミックスの粘度を大幅に低下することが可能となり、背圧も十分低下させることが可能となった。
 以上のように、本発明にかかる水中油型乳化組成物およびその製造方法では、均質化工程前の乳化組成物に対して、ポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加する。これによって、水中油型乳化組成物の粘度を十分に低下させることができるため、水中油型乳化組成物の製造時における背圧を十分に低下することができる。それゆえ、均質化工程や加熱工程等、水中油型乳化組成物の製造過程における各種処理を効率的に行うことができる。
 その結果、本発明は、前記実施の形態で述べたように、ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスの製造に好適に用いることができるため、特に冷菓を製造する産業分野に利用することができる。さらに、本発明は、上記ソフトクリームミックスおよびアイスクリームミックスの製造だけでなく、水中油型乳化組成物を製造する他の分野、例えば、冷菓以外の他の食品、医薬品、化粧品、塗料等を製造する分野に広く利用することが可能であるという効果を奏する。
本発明にかかる水中油型乳化組成物の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明にかかる水中油型乳化組成物の製造装置の一例を示す模式図である。 図1に対応する従来の水中油型乳化組成物の製造方法の一例を示す工程図である。 図1および図3に対応する従来の水中油型乳化組成物の製造方法の他の例を示す工程図である。
符号の説明
 10  配管
 11  ミキサー(調合手段)
 12  ホモジナイザー(均質化手段)
 13  殺菌用プレート式熱交換機(加熱手段・殺菌手段)
 14  ホールディングチューブ(殺菌手段)
 15  圧力計
 16  冷却用プレート式熱交換機(冷却手段)
 17  充填機(充填手段)

Claims (8)

  1.  均質化工程の後に1回以上の加熱工程が実施される水中油型乳化組成物の製造方法において、
     水中油型乳化組成物に少なくともポリグリセリンエステルおよび/または有機酸モノグリセライドを添加した上で、上記均質化工程を行うことを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法。
  2.  上記ポリグリセリンエステルのグリセリンが2量体であることを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
  3.  上記有機酸モノグリセライドがコハク酸モノグリセライドおよび/またはクエン酸モノグリセライドであることを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
  4.  上記ポリグリセリンエステルの添加量が0.01〜2.0重量%の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
  5.  上記有機酸モノグリセライドの添加量が0.01〜2.0重量%の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
  6.  上記加熱工程が殺菌のために実施されるとともに、その加熱手法がLTLT、HTSTまたはUHTであることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
  7.  請求項1ないし6の何れか1項に記載の製造方法により製造される水中油型乳化組成物。
  8.  ソフトクリームミックスまたはアイスクリームミックスであることを特徴とする請求項7に記載の水中油型乳化組成物。
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