JP2004103981A - 固体電解コンデンサの製造方法及びこの方法によって製造される固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のチップ型固体電解コンデンサの製造方法は、並列する一対のサイドフレーム部材11から陽極端子用部材12及び陰極端子用部材13が対向するようにそれぞれ延出するとともに、陽極端子用部材12は、陰極端子用部材13側が低くなるように段状に形成されており、垂直方向に沿った貫通孔21,22が、陽極端子用部材12と、陰極端子用部材13の高段部とに形成されている製造用フレーム1をメッキ処理する工程と、陽極端子用部材12上面にコンデンサ素子31の陽極引出線32を接合し、陰極端子用部材13の低段部上面にコンデンサ素子31の下面を接合する工程と、貫通孔21,22に樹脂が入らないように外装樹脂部34を形成する工程と、貫通孔21,22を分断する垂直断面で、陽極端子用部材12及び陰極端子用部材13を切断する工程とを含む。
【選択図】 図2
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、コンデンサ素子が樹脂層で外装された固体電解コンデンサ製造方法及び該方法によって製造される固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
チップ型固体電解コンデンサは、陽極リード線の一端が埋設された焼結体ブロックの表面に、絶縁層、電解質層及び陰極層が形成されたコンデンサ素子を具えている。一般的なチップ型固体電解コンデンサは、陽極リード線及び陰極層にそれぞれ薄板状の端子を接合し、樹脂モールドによりコンデンサ素子の周囲に外装樹脂部を形成した後、端子の先端部が外装樹脂部の下面に配置されるようにこれら端子を屈曲して作成されている。しかしながら、チップ型固体電解コンデンサの小型化や低ESR化に対する要求が強まるにつれて、このようなチップ型固体電解コンデンサでは構造的な限界が見えてきた。
【0003】
さらなる小型化や低ESR化を図るために考え出されたものの中に、特開2001−44077号等に開示されたチップ型固体電解コンデンサがある。このタイプの固体電解コンデンサでは、陽極端子が陽極引出線から垂下しており、陰極端子がコンデンサ素子の下面(さらには側面)と接合している。従来の固体電解コンデンサのように端子が側方へ引き出されていないので、コンデンサの小型化を図ることができ、端子の長さが短くなるので低ESR化も図られる。
【0004】
特開2001−44077号に記載された固体電解コンデンサの製造方法の概要を図9を用いて説明する。まず、図9(a)に示すように、陽極引出線(32)が金属リボン(7)に固定されているコンデンサ素子(31)に、メッキ処理されたL字状の陰極端子(36)を導電性接着剤を用いて接着する。陰極端子(36)の外表面は、外装樹脂部(34)の形成の際に樹脂が直接付着しないように絶縁物(36a)でマスキングされている。次に、図9(b)に示すように、粉体塗装機を用いてコンデンサ素子(31)を覆うように外装樹脂部(34)を形成する。外装樹脂部(34)は、陰極端子(36)の外面を覆わないように形成する。そして、図9(c)に示すように、絶縁物(36a)を陰極端子(36)の外面から除去する。最後に、図9(d)に示すように、メッキ処理されたL字型の陽極端子(35)を陽極引出線(32)及び外装樹脂部(34)に接合した後に、陽極引出線(32)を切断して固体電解コンデンサを金属リボン(7)から分離する。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−6978号公報
【特許文献2】
特開2001−44077号公報
【特許文献3】
特開2001−110676号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような固体電解コンデンサの製造方法は、陰極端子(35)を絶縁物(36a)でマスキングする工程と、外装樹脂部(34)を形成した後に該絶縁物(36a)を除去する工程とを含んでいるので煩雑である。また、粉体塗装機を用いて外装樹脂部(34)を形成するよりは、従来より一般的に行われているように樹脂モールドにより外装樹脂部(34)を形成する方が、簡便に外装樹脂部(34)を形成できる。よって、従来の製造方法に近い方法で、上記のような電極の引出及び折曲のないタイプの固体電解コンデンサを簡便に製造できることが望まれている。
【0007】
しかしながら、従来方法に近い方法で上記のような固体電解コンデンサを製造する場合には、以下の問題がある。製造工程において使用される製造用フレーム(1)は、例えば、図10(a)に示すように、陽極端子用部材(12)と陰極端子用部材(13)が対向するように内側に突出すると共に、これら端子用部材(12)(13)の対が製造用フレーム(1)の長手方向に複数配設されたものである。製造用フレーム(1)をメッキ処理してメッキ層(23)を表面に形成した後に、コンデンサ素子(31)の陽極引出線(32)を陽極端子用部材(12)に接合し、コンデンサ素子(31)の下面を陰極端子用部材(13)に接合する。そして、図10(b)に示すように、樹脂モールドによりコンデンサ素子(31)を覆う外装樹脂部(34)を形成する。
【0008】
次に、固体電解コンデンサ(3)を製造用フレーム(1)から分離するために、図10(c)に示すように、陽極端子用部材(12)及び陰極端子用部材(13)を切断する。すると、切断面、すなわち陽極端子(35)及び陰極端子の側面部はメッキ層(23)で覆われていないから(側面部の縁部にメッキ層(23)が形成されるだけである)、切断工程後、これら垂直面にメッキ処理工程を行う必要がある。その理由は、固定電解コンデンサが基板に実装されると、陽極端子(35)及び陰極端子(36)の側面部にも半田が付着するが、半田との接合強度を高めるには、これら側面部もメッキ層で覆われている必要があるからである。しかしながら、固体電解コンデンサの製造工程において、メッキ処理工程が2度も行われるのは不効率であり、また、分離後のメッキ処理は、固体電解コンデンサの1つ1つに対して個別に行うことなるので極めて煩雑である。ゆえに、固体電解コンデンサの製造工程におけるメッキ処理は、製造フレーム(1)に対するメッキ処理のみであるのが好ましい。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するものであり、電極の引出及び折曲のないタイプの固体電解コンデンサを製造する工程において、メッキ処理を簡略化する固体電解コンデンサの製造方法を提供する。さらに、本発明は、該方法によって製造され、基板への半田付けを安全且つ迅速に行える固体電解コンデンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、並列する一対のサイドフレーム部材の一方から陽極端子用部材が突出し、他方から陰極端子用部材が前記陽極端子用部材に対向するように突出すると共に、前記陰極端子用部材は、先端側が低くなるように段状に形成され、貫通孔が、前記陽極端子用部材、及び前記陰極端子用部材の高段部に夫々形成されている製造用フレームをメッキ処理する工程と、メッキ処理後の前記製造用フレームの前記陽極端子用部材上面にコンデンサ素子の陽極引出線を接合し、前記陰極端子用部材の低段部上面に前記コンデンサ素子の下面を接合する工程と、前記貫通孔を残して、前記コンデンサ素子の周囲に外装樹脂部を形成する工程と、前記陽極端子用部材に形成された貫通孔を通る垂直面と、前記陰極端子用部材に形成された貫通孔を通る垂直面とで製造用フレームを切断して、固体電解コンデンサを取り出す工程とを含み、前記製造用フレームをメッキ処理する工程では、少なくともこれら垂直面より内側の領域にメッキ層が形成される。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、上記製造方法において、貫通孔の代わりに、陽極端子用部材の下面、及び前記陰極端子用部材の高段部下面に凹部を形成したものである。
【0011】
本発明の固体電解コンデンサは、焼結体ブロックから陽極引出線が突出しているコンデンサ素子と、前記陽極引出線に接合された略直方体状の陽極端子と、前記焼結体ブロックに接合された略L字状の陰極端子と、コンデンサ素子を覆う外装樹脂部とを具え、前記陽極端子は前記陽極引出線に対して垂直に配置され、基板への実装面と、前記実装面と繋がる第1側面とにおいて前記外装樹脂部から露出しており、前記陰極端子は前記焼結体ブロックの表面に沿って配置され、前記実装面と、前記実装面と垂直であり且つ前記第1側面と対向する第2側面とにおいて前記外装樹脂部から露出しており、前記第1側面から露出した前記陽極端子の側面部、及び前記第2側面から露出した前記陰極端子の側面部には、表面がメッキ層で覆われていると共に、前記実装面側に開いた、又は前記実装面側とその反対側に開いた窪みが形成されている。
【0012】
【作用及び効果】
本発明の固体電解コンデンサの製造方法では、陽極端子用部材及び陰極端子用部材の夫々に貫通孔又は凹部が形成された製造用フレームを使用している。このような製造用フレームにメッキ処理を施してコンデンサ素子を接合し、コンデンサ素子を覆う外装樹脂部を形成した後に、貫通孔又は凹部を通る垂直面で製造用フレーム、すなわち陽極端子用部材及び陰極端子用部材を切断する。これによって固体電解コンデンサが製造用フレームから分離される。
【0013】
陽極端子用部材及び陰極端子用部材が切断されると、製造用フレームから分離されたこれら部材の部分は、夫々固体電解コンデンサの陽極端子及び陰極端子になる。メッキ処理では、少なくとも前記垂直面より内側でメッキ層が形成されており、貫通孔又は凹部を通る垂直面で陽極端子用部材及び陰極端子用部材を切断しているので、陽極端子及び陰極端子の側面部における貫通孔又は凹部の内面を構成していた領域はメッキ層で覆われている。よって、固体電解コンデンサを製造用フレームから切り出した後に、電極に対してメッキ処理を行う必要がなく、従来の固体電解コンデンサの製造方法に近い工程で、電極の引出及び折曲のないタイプのチップ型固体電解コンデンサを製造することができる。また、貫通孔又は凹部を残して、すなわち、貫通孔又は凹部に樹脂が入らないように外装樹脂部を形成しているから、該領域を絶縁層等によって保護する必要はなく、陽極端子用部材及び陰極端子用部材を切断すれば固体電解コンデンサが完成する。
【0014】
本発明の固体電解コンデンサは、上記製造方法によって製造されるものであり、陽極端子及び陰極端子の側面部に窪みが形成されている。これら窪みは、実装面側に、又は実装面側に加えてその反対側にも開いており、固体電解コンデンサを実装基板に半田を用いて装着する場合、半田は、実装面側から窪みの底面に至って該底面と接合する。半田付けの際に、融けた半田の流動範囲が窪みによって制限されるので、半田が外装樹脂部へはみ出ることが防止される。よって、本発明の固体電解コンデンサによれば、半田のはみ出しを気にすることなく、基板への装着を安全且つ迅速に行える。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施例によるチップ型固体電解コンデンサの製造工程を図を用いて説明する。従来方法における構成要素と、同一又は類似の構成要素には同じ符号を使用する。
図1を用いて、製造用フレーム(1)を作成する工程について説明する。まず、図1(a)に示すように、金属製の薄板(例えば、厚さ0.3mm程度の銅板)に段加工を施して、該薄板上面の略中央に長手方向に沿って帯状の段部を形成する。なお、図では薄板の一部分を示している。次に、薄板にプレス加工(打抜き加工)を施して、図1(b)に示すような製造用フレーム(1)を作成する。製造フレーム(1)は、長手方向に沿って延びる一対のサイドフレーム部材(11)(11)を有しており、これらサイドフレーム部材(11)の一方からは陽極端子用部材(12)が、内側に向けて突出しており、また、該陽極端子用部材(12)と対向するように、陰極端子用部材(13)が、他方のサイドフレーム部材(11)から内側に向けて突出している。端子用部材(12)(13)の対は、製造用フレーム(1)の長手方向に複数形成されている。製造用フレーム(1)の長手方向における陰極端子用部材(13)の幅は、陽極端子用部材(12)の幅と同じ程度にされている。図1(b)は、製造用フレーム(1)の一部を示しており、同図では示されていないがサイドフレーム部材(11)(11)は両端部において連結されている。なお、両サイドフレーム部材(11)(11)の連結箇所は両端に限られず、端子用部材(12)(13)対の間の任意の箇所に設けてもよい。
【0016】
陽極端子用部材(12)は直方体状に形成されており、その先端付近に貫通孔(21)が垂直方向に形成されている。陰極端子用部材(13)は、垂直方向の厚さが異なる段状に形成され、陰極端子用部材(13)の先端側が先述の段加工部位に当たる低段部になっている。陰極端子用部材(13)の高段部には、低段部付近に貫通孔(22)が垂直に形成されている。本実施例では、これら貫通孔(21)(22)を角孔としている。
【0017】
図1(b)に示すような製造用フレーム(1)が作成されると、電解メッキ処理を行って、該製造用フレーム(1)の表面にメッキ層(23)を形成する。本実施例では、製造用フレーム(1)のほぼ表面に亘ってメッキ層(23)を形成しており(例えば、メッキ処理の際に製造用フレーム(1)を支持する部材が当接する部分には形成されない)、上記貫通孔(21)(22)の内面にもメッキ層(23)が生成される。メッキ層(23)は、例えばNi/Pd/Auによって形成される。なお、本発明の目的から、少なくとも、陽極端子用部材(12)及び陰極端子用部材(13)を夫々切断する垂直面(後述するA−A、B−B)よりも内側の領域において、陽極端子用部材(12)及び陰極端子用部材(13)にメッキ層(23)が形成されていればよい。
【0018】
製造用フレーム(1)の電解メッキ処理後に、図2(a)に示すように、コンデンサ素子(31)を製造用フレーム(1)に接合する。コンデンサ素子(31)は、タンタル等の弁金属焼結体のブロック(33)を基礎にして作成されており、陽極引出線(32)は、該焼結体ブロック(33)に埋設され、その表面から突出している。図示は省略するが、焼結体ブロック(33)の表面には、陽極酸化によって誘電体酸化被膜が形成されており、誘電体酸化被膜上には、電解重合又は化学重合によってポリピロール等の導電性高分子による固体電解質層が形成されている。固体電解質層上には、カーボン層及び銀ペイント層からなる陰極層が形成されている。
【0019】
陽極引出線(32)の先端部は、電気溶接等によって陽極電極用部材(12)の先端部上面に接合される。陽極引出線(31)の先端端面は、貫通孔(21)の陽極引出線(32)側に位置する内面(21a)よりも内側に位置するのが好ましい。焼結体ブロック(33)の下面、及び陽極引出線(32)と反対側に位置する側面は、陽極端子用部材(12)の低段部上面、及び該低段部上面と高段部上面を繋ぐ垂直面とそれぞれ接合される。製造用フレーム(1)への焼結体ブロック(33)の接合には導電性接着剤が用いられる。
【0020】
次に、樹脂モールドによって、製造用フレーム(1)に接合された各コンデンサ素子(31)毎に外装樹脂部(34)を形成する。図3は、トランスファモールドを用いて外装樹脂部(34)を形成する模様を示すコンデンサ素子(31)周辺の垂直断面図である。コンデンサ素子(31)が接合された製造用フレーム(1)を下側金型(51)に装着し、上側金型(52)を下側金型(51)上に載置すると、コンデンサ素子(31)の周囲に内部空間(53)が形成される。そして、この内部空間(53)に溶融したエポキシ樹脂を注入し、該エポキシ樹脂が硬化するとコンデンサ素子(31)を覆う外装樹脂部(34)が形成される。金型(51)(52)は、陽極端子用部材(12)の貫通孔(21)内、及び陰極端子用部材(13)の貫通孔(22)内に樹脂が入り込まないように構成される。実施例では、これら貫通孔(21)(22)は、上側金型(52)及び下側金型(51)の面部によって塞がれているが、必ずしもこのような構成にする必要はなく、樹脂モールドの際に、内部空間(53)と貫通孔(21)(22)とに通じる空間が存在しなければ十分である。
【0021】
図2(b)は、製造用フレーム(1)に接合された各コンデンサ素子(31)を覆う外装樹脂部(34)が形成された状態を示す斜視図である。外装樹脂部(34)の外面は、略直方体状に形成されており、サイドフレーム(11)(11)側の両側面は、貫通孔(21)(22)よりも内側に位置している。つまり、貫通孔(21)(22)を残して外装樹脂部(34)が形成されている。外装樹脂部(34)を形成した後は、貫通孔(21)を通る垂直平面A−A、及び貫通孔(22)を通る垂直平面B−Bにて、陽極端子用部材(12)及び陰極端子用部材(13)をそれぞれ切断して、固体電解コンデンサ(3)を製造用フレーム(1)から分離する。
【0022】
図2(c)は、取り出された固体電解コンデンサ(3)の斜視図である。図4は、基板(8)に実装された固体電解コンデンサ(3)の垂直断面図である。垂直断面が直方形状である陽極端子(35)が、コンデンサ素子(31)の陽極引出線(32)の下側に接合しており、垂直断面がL字状である陰極端子(36)が、焼結体ブロック(33)の下面及び側面と接合している。陽極端子(35)は、貫通孔(21)内面の一部を含む陽極端子用部材(12)の先端部によって構成され、陰極端子(36)は、貫通孔(22)内面の一部を含む陰極端子用部材(13)の先端部によって構成されている。外装樹脂部(34)は、コンデンサ素子(31)を覆うように形成されており、固体電解コンデンサ(3)は全体として略直方体状に形成されている。固体電解コンデンサ(3)の下面が、実装時に基板(8)側に位置する実装面となっており、該実装面では、陽極端子(35)及び陰極端子(36)の下面部が外装樹脂部(34)から露出している。また、実装面に垂直な固体電解コンデンサ(3)の側面では、陽極端子(35)の側面部が外装樹脂部(34)から露出しており、該側面と対向する側面では、陰極端子(36)の側面部が外装樹脂部(34)から露出している。
【0023】
陽極端子(35)及び陰極端子(36)の側面部には、上方及び下方に(実装面側に)開いた窪み(37)(38)が夫々形成されている。これら窪み(37)(38)は、平面部と、該平面部の両側に夫々形成された凸部(39)の内面とで構成されている。固体電解コンデンサ(3)の分離に伴って形成された切断面である凸部側面(39a)を除いて、陽極端子(35)及び陰極端子(36)はメッキ層(23)で覆われている(凸部側面(39a)はメッキ層(23)で縁取られているだけである)。固体電解コンデンサ(3)は半田(9)を用いて基板(8)に接合され、半田(9)は、陽極端子(35)の下面、及び陰極端子(36)の下面と基板(8)の間に層状に介在し、さらに、固体電解コンデンサ(3)の側方において山状になる。半田(9)の山状の部分は、窪み(37)(38)の平面部と接合するが、これら平面部はメッキ層(23)にて覆われているので、半田(9)と平面部(37)(38)とは高強度で接合する。平面部の両側に凸部(39)が形成されているので、半田付けの際に融けた半田(9)の流動が規制され、半田(9)が外装樹脂部(34)へはみ出る事態が防止されている。
【0024】
次に、本発明の第2実施例について説明する。図5(a)に示すように、金属製の薄板を切削及びプレス加工又はエッチング加工して、第1実施例と同様な製造用フレーム(1)を作成する。しかしながら、第2実施例における製造用フレーム(1)には、第1実施例のような貫通孔(21)(22)を形成せず、これらの代わりに、陽極端子用部材(12)及び陰極端子用部材(13)の下面に直方体状の凹部(24)(25)を形成する。凹部(24)(25)は、例えばエッチング処理によって形成される。図5(b)は、製造用フレーム(1)を裏返した状態の斜視図である。製造用フレーム(1)に凹部(24)(25)を形成した後、第1実施例と同様に該製造用フレーム(1)にメッキ処理を行ってメッキ層(23)を形成する。凹部(24)(25)内面にもメッキ層(23)は形成される。そして、図5(c)に示すように、製造用フレーム(1)にコンデンサ素子(3)を接合する。なお、製造用フレーム(1)にメッキ層(23)を形成する範囲であるが、少なくとも後述する垂直面(C−C、D−D)よりも内側の領域において、陽極端子用部材(12)及び陰極端子用部材(13)にメッキ層(23)が形成されていればよい。
【0025】
次に、図6(a)に示すように、樹脂モールドによってコンデンサ素子(3)を覆う外装樹脂部(34)を形成する。第1実施例では、各コンデンサ素子(3)ごとに個別に外装樹脂部(34)を形成したが、第2実施例では、全てのコンデンサ素子(3)を覆うに外装樹脂部(34)を形成している。勿論、第2実施例でも、各コンデンサ素子(3)ごとに外装樹脂部(34)を形成してもよい。
【0026】
図7は、外装樹脂部(34)を形成する模様を示す断面図である。コンデンサ素子(31)が接合された製造用フレーム(1)を下側金型(51)に装着し、枠状に形成された上側金型(52)を該下側金型(51)上に載置する。上側金型(52)は、全てのコンデンサ素子(31)を囲うように配置される。これら金型(51)(52)によってコンデンサ素子(31)の周囲に形成された内部空間(53)は上方に開いており、該内部空間(53)に上方からエポキシ樹脂を流し込むことにより、外装樹脂部(34)をコンデンサ素子(31)の周囲に形成する。
【0027】
図6(a)のように外装樹脂部(34)を形成した後、凹部(24)を通る垂直平面C−C、及び凹部(25)を通る垂直平面D−Dにて、陽極端子用部材(12)及び陰極端子用部材(13)を夫々切断する。本実施例では、これら凹部(24)(25)上方において端子用部材(12)(13)の上にも外装樹脂部(34)が形成されているので、この際に該樹脂層(34)の一部も切り取られる。その後、各コンデンサ素子(31)間で外装樹脂部(34)を垂直平面で切断することにより、図6(b)に示すように固体電解コンデンサ(3)が完成する。
【0028】
図8は、本実施例で製造された固体電解コンデンサ(3)が基板(8)に実装された状態を示す垂直断面図である。第2実施例によって製造された固体電解コンデンサ(3)は、陽極端子(35)及び陰極端子(36)の側面部を除いて、第1実施例によって製造されたものと同じ構成をしている。陽極端子(35)及び陰極端子(36)の側面部には、下方に開いた窪み(40)(41)がそれぞれ形成されている。これら窪みは、凹部(24)(25)が分断されることによって形成されたものであり、凹部(24)(25)の内面にメッキ層(23)を形成したので、窪みを構成する各面にもメッキ層(23)が形成されている。よって、半田(9)を用いて固体電解コンデンサ(3)を基板(8)に接合すると、該コンデンサ(3)の側方に形成される半田(9)の山状の部分は、陽極端子(35)及び陰極端子(36)の窪み(40)(41)の底面と高強度で接合する。また、窪み(40)(41)は、半田付けの際に、融けた半田(9)の流動を規制して、半田(9)が外装樹脂部(34)にはみ出さないようにする働きをする。窪み(40)(41)を囲む面部(42)(43)は、陽極端子用部材(12)又は陰極端子用部材(13)の切断面であり、メッキ層(23)に覆われていない(これら面部(42)(43)はメッキ層(23)で縁取られているだけである)。
【0029】
第1実施例では、貫通孔(21)(22)を角孔としたが、本発明の実施において、製造された固体電解コンデンサ(3)陽極端子(35)及び陰極端子(36)と、半田(9)の山状部分との接触面積が十分に確保できれば、貫通孔(21)(22)の形状は特に限定されない。第2実施例における凹部(24)(25)についても同様である。
【0030】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る製造用フレームを作成する工程を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例の工程を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例において外装樹脂部を形成する模様を示す、コンデンサ素子周辺の垂直断面図である。
【図4】本発明の第1実施例によって製造されたチップ型固体電解コンデンサが基板に実装された状態を示す垂直断面図である。
【図5】本発明の第2実施例の工程を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例の工程を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施例において外装樹脂部を形成する模様を示す、コンデンサ素子周辺の垂直断面図である。
【図8】本発明の第2実施例によって製造されたチップ型固体電解コンデンサ基板に実装された状態を示す垂直断面図である。
【図9】従来のチップ型固体電解コンデンサの製造方法を示す側面図である。
【図10】従来のチップ型固体電解コンデンサの製造方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
(1) 製造用フレーム
(3) 固体電解コンデンサ
(8) 基板
(11) サイドフレーム部材
(12) 陽極端子用部材
(13) 陰極端子用部材
(21) 貫通孔
(22) 貫通孔
(23) メッキ層
(24) 凹部
(25) 凹部
(31) コンデンサ素子
(32) 陽極引出線
(33) 焼結体ブロック
(34) 外装樹脂部
(35) 陽極端子
(36) 陰極端子
(37) 窪み
(38) 窪み
(40) 窪み
(41) 窪み
Claims (3)
- 並列する一対のサイドフレーム部材(11)(11)の一方から陽極端子用部材(12)が突出し、他方から陰極端子用部材(13)が前記陽極端子用部材(12)に対向するように突出すると共に、前記陰極端子用部材(13)は、先端側が低くなるように段状に形成され、貫通孔(21)(22)が、前記陽極端子用部材(12)、及び前記陰極端子用部材(13)の高段部に夫々形成されている製造用フレーム(1)をメッキ処理する工程と、
メッキ処理後の前記製造用フレーム(1)の前記陽極端子用部材(12)上面にコンデンサ素子(31)の陽極引出線(32)を接合し、前記陰極端子用部材(13)の低段部上面に前記コンデンサ素子(31)の下面を接合する工程と、
前記貫通孔(21)(22)を残して、前記コンデンサ素子(31)の周囲に外装樹脂部(34)を形成する工程と、
前記陽極端子用部材(12)に形成された貫通孔(21)を通る垂直面と、前記陰極端子用部材(13)に形成された貫通孔(22)を通る垂直面とで製造用フレーム(1)を切断して、固体電解コンデンサ(3)を取り出す工程とを含み、
前記製造用フレーム(1)をメッキ処理する工程では、少なくとも前記陽極及び陰極端子用部材(12)(13)におけるこれら垂直面より内側の領域に、メッキ層(23)が形成される固体電解コンデンサの製造方法。 - 並列する一対のサイドフレーム部材(11)(11)の一方から陽極端子用部材(12)が突出し、他方から陰極端子用部材(13)が前記陽極端子用部材(12)に対向するように突出すると共に、前記陰極端子用部材(13)は、前記陰極端子用部材(13)側が低くなるように段状に形成され、前記陽極端子用部材(12)の下面、及び前記陰極端子用部材(13)の高段部下面に夫々凹部(24)(25)が形成されている製造用フレーム(1)をメッキ処理する工程と、
メッキ処理後の前記製造用フレーム(1)の前記陽極端子用部材(12)上面にコンデンサ素子(31)の陽極引出線(32)を接合し、前記陰極端子用部材(13)の低段部上面に前記コンデンサ素子(31)の下面を接合する工程と、
前記凹部(24)(25)を残して、前記コンデンサ素子(31)の周囲に外装樹脂部(34)を形成する工程と、
前記陽極端子用部材(12)に形成された凹部(24)を通る垂直面と、前記陰極端子用部材(13)に形成された凹部(25)を通る垂直面とで製造用フレーム(1)を切断して、固体電解コンデンサ(3)を取り出す工程とを含み、
前記製造用フレーム(1)をメッキ処理する工程では、少なくともこれら垂直面より内側の領域にメッキ層(23)が形成される固体電解コンデンサの製造方法。 - 焼結体ブロック(33)から陽極引出線(32)が突出しているコンデンサ素子(31)と、前記陽極引出線(32)に接合された略直方体状の陽極端子(35)と、前記焼結体ブロック(33)に接合された略L字状の陰極端子(36)と、コンデンサ素子(31)を覆う外装樹脂部(34)とを具え、
前記陽極端子(35)は前記陽極引出線(32)に対して垂直に配置され、基板(8)への実装面と、前記実装面と繋がる第1側面とにおいて前記外装樹脂部(34)から露出しており、
前記陰極端子(36)は前記焼結体ブロック(33)の表面に沿って配置され、前記実装面と、前記実装面と垂直であり且つ前記第1側面と対向する第2側面とにおいて前記外装樹脂部(34)から露出しており、
前記第1側面から露出した前記陽極端子(35)の側面部、及び前記第2側面から露出した前記陰極端子(36)の側面部には、表面がメッキ層(23)で覆われていると共に、前記実装面側に開いた、又は前記実装面側とその反対側に開いた窪み(37)(38)(40)(41)が形成されている固体電解コンデンサ。
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