JP2004102053A - 電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の液晶装置1は、額縁状の遮光膜50が配置されたカラーフィルタ基板20と、カラーフィルタ基板20に対向配置され、該額縁状の遮光膜50と対向する位置に識別手段が施されたダミーパターン12を有する対向基板10と、電気光学物質としての液晶110とを具備する構成をとる。これによって、略同様の大きさで異なる種類の液晶装置に対しても、カラーフィルタ基板20に設けられた額縁状の遮光膜50に対向した対向基板10に識別手段を施したダミーパターンを設けることによって、新たにスペースを設けずに背面をみるだけで容易に識別することが可能となる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気光学パネルの一例としての液晶装置は、液晶表示パネルとこれを駆動する駆動回路とを備える。
【0003】
液晶装置の製造工程において、異なるユーザーから要求された略同じ大きさの液晶表示パネルが複数ある場合等に、夫々の液晶表示パネルの識別が困難であり、製造上、作業性が劣ってしまうという問題があった(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
そこで、例えば、2枚の基板からなるCOG方式の液晶表示パネル等では、液晶表示パネルの張り出し領域に実装された駆動用ICに近隣する空き領域を利用し、数字または記号等の識別用目印を形成していた。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−211436(第3頁、
【図3】)
【特許文献2】
特開平9−258196(第3頁、
【図1】)
【特許文献3】
特開平9−258250(第3頁、
【図1】)
【特許文献4】
特開平10−311984(第4頁、
【図1】)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶表示パネルが高度精密化するにつれて、液晶表示パネルに実装された配線数が増大し、駆動用ICの近隣する空き領域が減少するといった問題が生じている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、同じ基板サイズでも識別が容易な電気光学パネル、電気光学パネルの製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学パネルは、額縁状の遮光膜が配置された第1基板と、前記第1基板に対向配置され、前記遮光膜と対向する位置に識別手段を有する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板により挟持された電気光学物質とを具備することを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、第1基板上に配置された額縁状の遮光膜に対向し、表示面から該額縁状の遮光膜によって見ることができない第2基板上の対向領域に識別手段を施し、この識別手段は表示面の反対側の裏面から確認することができるので、新たなスペースを設けずに同じサイズの異なる電気光学パネルも容易に識別することが可能となる。
【0009】
本発明の一の形態によれば、前記識別手段は反射性部材からなることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、電気光学パネルの裏面から識別手段を確認した際に、額縁状の遮光膜の色に影響されずに反射するので、識別することができる。
【0011】
本発明の一の形態によれば、前記反射性部材は、反射性金属であることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、反射部材の中でも反射性金属が好ましい。
【0013】
本発明の一の形態によれば、前記第2基板は第1領域と該第1領域を囲む第2領域とを有し、前記第2基板上には、前記第1領域上に配置された配線と、前記第2領域上に配置された前記配線に電気的に接続し前記配線に対し信号を入力するための引き回し配線とが配置され、前記識別手段は、前記第2領域であって、前記引き回し配線が配置されない領域に配置されていることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、第1領域を囲う第2領域の中でも引き回し配線が配置されない空き領域に識別手段を施すので、スペースを有効活用して識別することができる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、前記配線は反射性金属を有し、前記識別手段は前記反射性金属と同層の反射性金属を有することを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、配線に用いている反射性金属と同層の識別手段を設けるので、合理的に識別手段を施した電気光学パネルが製造できる。
【0017】
本発明の一の形態によれば、前記反射性金属はアルミニウムを含む金属であることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、アルミニウムを含む金属は反射性を有するので、識別手段として非常に好ましい。
【0019】
本発明の一の形態によれば、前記反射性金属は銀、パラジウム及び銅を有する合金であることを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、パラジウム及び銅を有する合金は反射性を有するので、識別手段として非常に好ましい。
【0021】
本発明の電気光学パネルは、第1基板と、前記第1基板上に配置された反射電極と、前記反射電極を含む前記第1基板上に配置された着色層と、前記第1基板上に前記着色層を囲むように配置された額縁状の遮光膜と、前記第1基板上に前記遮光膜に対応し、前記遮光膜と前記第1基板との間に配置された識別手段と、前記第1基板により支持される電気光学物質とを具備することを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、額縁状の遮光膜と基板との間に識別手段を設けることによって、1枚の基板のスペースを有効活用して識別することができる。
【0023】
本発明の一の形態によれば、前記識別手段は、前記反射電極と同一層からなることを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、反射電極を利用して識別手段を施すことができるので、新たな材料を設ける必要がない。
【0025】
本発明の電気光学パネルの製造方法は、第1基板に額縁状の遮光膜が配置する工程と、前記第1基板に対向配置される第2基板に前記遮光膜と対向する位置に識別手段を形成する工程と、前記第1基板及び前記第2基板に電気光学物質を挟持する工程とを具備することを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、合理的に額縁状の遮光膜に対向する位置を利用して識別手段を施すことができる。
【0027】
本発明の電気光学パネルの製造方法は、第1基板に反射電極を配置する工程と、前記第1基板上に着色層を配置する工程と、前記第1基板上に前記着色層を囲むように額縁状の遮光膜を配置する工程と、前記第1基板上に前記遮光膜に対応し、前記遮光膜と前記第1基板との間に識別手段を配置する工程と、前記第1基板に電気光学物質を支持する工程とを具備することを特徴とする。
【0028】
このような構成によれば、合理的に1枚の基板の額縁状の遮光膜に対向する位置を利用して識別手段を施すことができる。
【0029】
本発明の電子機器は、上述に記載の電気光学パネルを搭載することを特徴とする。
【0030】
このような構成によれば、間違った電気光学パネルを電子機器に搭載することはないので、電気光学パネルの間違いによる不具合を解消することができる。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0031】
(第1実施形態)
以下に第1実施形態に係る電気光学パネルとしての液晶装置、これに組み込まれる電気光学パネルとしての液晶表示パネル、更にこれに組み込まれる両基板の構造及び両基板の製造方法について説明する。
【0032】
まず、液晶装置、液晶表示パネル及びカラーフィルタ基板の構造について図1〜図3を用いて説明する。図1は、液晶装置の概略斜視図である。図2は、液晶装置の断面図である。図3は、液晶装置に設けられるTFD、データ線及び画素電極の構造を説明する図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)の線A−A’における断面図、図3(c)は概略斜視図である。なお、本実施形態において、図示及び説明をわかりやすくするために、各種配線や電極、着色層の数を実際の構造よりも少なくしており、また図面間においても適宜それらの数を異ならせている。
【0033】
本実施形態においては、液晶装置として、TFD素子を用いたアクティブマトリクス型の透過型液晶装置に適用した場合を例にあげて説明する。
【0034】
図1に示すように、液晶装置1は、相互に対向するカラーフィルタ基板20及び対向基板10がシール材30によって、貼りあわせるとともに、両基板10、20とシール材30によって囲まれた領域に液晶(図1においては図示が省略されている。)が封入された構成となっている。シール材30は、カラーフィルタ基板20の額縁に沿って略矩形の枠状に形成されるが、液晶を封入するために一部が開口している。なお、カラーフィルタ基板20及び対向基板10の外側表面に入射光を偏光させる偏光板や、干渉色を補償するための位相差板等が適宜貼着されるが、本発明とは直接の関係がないため、ここでは図示を省略する。
【0035】
カラーフィルタ基板20及び対向基板10は、ガラスや石英、プラスチック等の光透過性の板状部材である。観察側に位置するカラーフィルタ基板20の内側(液晶側)表面には複数の走査線24が形成されている。図に示されるように、複数の走査線24は、上下半分に分け左右に引き回されている。一方、背面側に位置する対向基板10の内側の表面には複数のデータ線11が形成されている。ここで、データ線11と直交するようにダミーパターン12が設けられている。このダミーパターン12を設けることによって、走査線24の引き回し部分のない領域とある領域でのセルギャップのばらつきを抑えることができる。また、このダミーパターン12には、識別手段が施されている。
【0036】
対向基板10は、シール材30の外周縁から一方の側に張り出された領域(以下、単に「張り出し領域」と表記する。)10aを有する。この張り出し領域10aに、駆動用のドライバIC40がCOG技術を用いて実装されている。このドライバIC40は、接着材中に導電粒子を分散させた異方性導電膜(以下、ACF(Anisotropic Conductive Film)と表記する。)を介して対向基板10に接合されている。また、張り出し領域10aのうち対向基板10の縁端部近傍には、複数のパッド17が形成されるとともに、各パッド17が形成された部分の近傍にはフレキシブル基板(図示略)の一端が接合されている。このフレキシブル基板の他端には、例えば回路基板等の外部機器が接合されている。
【0037】
かかる構成の下、ドライバIC40は、外部機器からフレキシブル基板及びパッド17を介して入力された信号に応じて、データ線11にはデータ信号を、走査線24には走査信号を、生成して出力する。
【0038】
次に、シール材30の内周縁によって囲まれた領域(以下、表示領域と表記する。)内の構成を説明する。
【0039】
図2は、液晶装置1の断面図である。
【0040】
図2に示すように、液晶装置1は、液晶表示パネル2と、液晶表示パネル2を挟むように設けられた第1の偏光板18a及び第2の偏光板18bと図示しないバックライトと、張り出し領域10aに実装されたドライバIC40(図示せず)と、このドライバIC40とACFを介して電気的に接続する配線基板(図示せず)とを有している。
【0041】
液晶表示パネル2は、カラーフィルタ基板20と、これに対向する対向基板10と、これら一対の基板20及び10を貼り合わせる基板周縁部に設けられたシール材30と、一対の基板20及び10とシール材30とにより形成された空間内に挟持された液晶110とを有している。一対の基板20及び10の間隙はスペーサ111によって保持されている。
【0042】
バックライトは、対向基板10に隣接して配置され、光源(図示せず)と、光源から光が入射される導光板と、拡散シート、プリズムシート、反射シートとを有している。拡散シートは、液晶表示パネル2の表示画面内における光の輝度をより均一化させるためのものである。プリズムシートは、出射光の配向角を調整し、正面の輝度を向上させるためのものである。導光板は、導光板に対応して配置された液晶表示パネル2に対し、光源部から出射された光を液晶表示パネル2の面内に均一に照射するためのものであり、アクリル樹脂やポリカーボネートなどから形成される。
【0043】
図1及び図2に示すように、走査線24は、ITO(Indium Tin Oxide)膜からなり、カラーフィルタ基板20の対向基板10と対向する面上にストライプ状に形成されている。一方、データ線11は、ITO膜からなり、対向基板10のカラーフィルタ基板20と対向する面上に、走査線24と直交してストライプ状に形成されている。また、データ線11と同様に、対向基板10上にダミーパターン12が形成されている。更に、対向基板10上には、データ線11に電気的に接続する複数のスイッチング素子としてのTFD素子28と、各TFD素子28に電気的に接続した画素電極25(後述する)とが形成されている。
【0044】
図2に示すように、液晶表示パネル2を構成するカラーフィルタ基板20は、第1基板9bと、第1基板9b上に額縁状に配置された額縁状の遮光膜50及びこの額縁状の遮光膜50と同層からなる各絵素を区画する格子状遮光膜52と、格子状遮光膜52の隙間を埋めるように配置された着色層160と、着色層及び遮光膜を覆うように配置されたオーバーコート層13と、オーバーコート層13上に配置された走査線24と、走査線24及びオーバーコート層13を覆うように配置されたポリイミドなどからなる配向膜16bとを有している。走査線24はストライプ状に形成された着色層160とほぼ直交するように配置されている。
【0045】
一方、図1及び図2に示すように、液晶表示パネル2を構成する対向基板10は、第2基板9aと、第2基板9a上に配置された走査線24とほぼ直交するように配置されたデータ線11と、データ線11に電気的に接続する複数のスイッチング素子としてのTFD素子28と、各TFD素子28に電気的に接続した画素電極25と、これらデータ線11、TFD素子28、及び画素電極25を覆うように配置されたポリイミドなどからなる配向膜16aとを有している。更に、対向基板10の張り出し部10aには、走査線24が延在した配線とデータ線11とACFを介して電気的に接続するドライバIC40とが実装され、ドライバIC40とフレキシブル基板とを電気的に接続するためのパッド17が配置されている。また、上述データ線11とダミーパターンとはそれぞれ同じ構造を有している。
【0046】
ここで、TFD、データ線及び画素電極の構造について図3を用いて説明する。
【0047】
図3は、基板9a上に配置されるTFD、データ線及び画素電極の構造を説明する図である。
【0048】
TFD素子28は、図3(a)、(b)、(c)に示すように、基板9aの表面に成膜された下地層上に形成されたTFD素子28a及びTFD素子28bからなる2つのTFD素子28によって、いわゆるBack−to−Back構造として構成されている。このため、TFD素子28は、電流−電圧の非線形特性が正負双方向にわたって対称化されている。下地層は、例えば厚さ50〜200nm程度の酸化タンタル(Ta2O5)によって構成されている。
【0049】
TFD素子28a及びTFD素子28bは、第1金属層32と、この第1金属層32の表面に形成された絶縁膜33と、絶縁膜33の表面に互いに離間して形成された第2金属層34a、34bとによって構成されている。第1金属層32は、例えば、厚さ100〜500nm、ここでは200nm程度の反射性の金属としてTa単体膜、Ta合金膜、タンタルタングステン(TaW)などによって形成される。これによって、液晶表示パネル2の裏面から識別手段を確認した際に、額縁状の遮光膜50の色に影響されずに反射し、識別することができる。
【0050】
絶縁膜33は、例えば、陽極酸化法によって第1金属層32の表面を酸化することによって形成された厚さが10〜35nmの酸化タンタル(Ta2O5)である。第2金属層34a、34bは、例えばクロム(Cr)などといった金属膜によって50〜300nm程度の厚さに形成されている。第2金属層34aは、そのままデータ線11の第3層41cとなり、他方の第2金属層34bは、ITO(Indium Tin Oxide)などといった透明導電材からなる画素電極25(125)に接続されている。データ線11は、第1金属層32と同時に形成された第1層41aと、絶縁膜33と同一工程で形成された第2層41bと、第3層41cとが積層した構造となっている。
【0051】
液晶装置1では、対向する走査線24と、画素電極25、これらに挟持される液晶110とにより絵素が形成される。そして、各絵素に印加する電圧を選択的に変化させることによって液晶110の光学特性を変化させ、バックライトから照射される光は各画素のこの液晶110を透過することによって変調される。
【0052】
図4は、対向基板上に設けられたダミーパターンとカラーフィルタ基板に設けられた額縁状の遮光膜との位置関係を模式的に示した平面図であり、図5は、このダミーパターンに識別手段を施した例を示した平面図である。
【0053】
カラーフィルタ基板20の内側表面に設けられた額縁状の遮光膜50は、図1及び図4に示すように、対向基板10上に設けられたダミーパターン12及び走査線24の引き回し部分は、観察側から隠れる位置に設けられている。これによって、観察側からダミーパターン12及び走査線24の引き回し部分は見えない構成をとる。反対に、背面側から見た場合において、ダミーパターン12は、反射性の金属部分である第1層41aが反射して見える。つまり、図5に示すように、ダミーパターン12の識別手段は、ダミーパターン12の反射性部材で形成される第1層12aに、記号として例えば図に示すような数字の732等の文字を刳り抜いた構成をとる。前述したように、ダミーパターン12は、額縁状の遮光膜50によって、観察面からは識別手段を見ることはできないが、背面側からは、ダミーパターン12上の刳り貫かれた記号が反射するので、背面を見るだけで容易に識別することが可能となる。
【0054】
本発明の液晶装置1は、額縁状の遮光膜50が配置されたカラーフィルタ基板20と、カラーフィルタ基板20に対向配置され、該額縁状の遮光膜50と対向する位置に識別手段が施されたダミーパターン12を有する対向基板10と、電気光学物質としての液晶110とを具備する構成をとる。これによって、略同様の大きさで異なる種類の液晶装置に対しても、カラーフィルタ基板20に設けられた額縁状の遮光膜50に対向した対向基板10に識別手段を施したダミーパターンを設けることによって、新たにスペースを設けずに背面をみるだけで容易に識別することが可能となる。
<液晶装置の製造方法>
まず、対向基板10の製造方法について図6及び図7を用いて説明する。データ線、画素電極、TFD素子及びダミーパターンの製造方法について説明する。図6及び図7において、断面図の左にダミーパターン、右に対向基板の製造方法を示している。また、平面図は、対向基板の製造方法を示している。
【0055】
まず、図6において、下地層形成工程(a)では、対向基板及びダミーパターンの基材としての矩形状の透明基板7の表面にTa酸化物、例えば、Ta2O5を一様な厚さに成膜して下地層61を形成する。
【0056】
次に、第1金属層形成工程(b)において、例えば、下地層61上にTaWをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜し、さらにフォトリソグラフィ技術を用いてデータ線11の第1層11a、第1金属層32及びダミーパターン12の第1層12aを同時に形成する。また、データ線11の第1層11aと第1金属層32とはブリッジ部69でつながっている。
【0057】
ここで、ダミーパターン12の第1層12aを形成する際に、フォトリソグラフィ技術において、ダミーパターン12の第1層12aに識別手段である記号が予め記憶されたマスクを用いてパターニングを行う。これによって、前述の図5に示したような記号を形成することができる。
【0058】
次に、絶縁層形成工程(c)において、データ線11の第1層11a及びダミーパターン12の第1層12aを陽極として陽極酸化処理を行い、データ線11の第1層11aの表面、第1金属層32の表面及びダミーパターン12の第1層12aの表面を絶縁膜である陽極酸化膜を一様な厚さで形成する。これにより、データ線11の第2層11bとなる絶縁膜、第1のTFD素子28a及び第2のTFD素子28bの絶縁膜33及びダミーパターン12の第2層12bとなる絶縁膜が形成される。
【0059】
次に、図7の第2金属層形成工程(d)において、Crをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、データ線11の第3層11c、第1のTFD素子28aの第2金属層34a、第2のTFD素子28bの第2金属層34b及びダミーパターン12の第3層12cを形成する。
【0060】
次に、下地層除去工程(e)において、画素電極25の形成予定領域の下地層61を除去し、ブリッジ部69を透明基板7から除去する。以上により、TFD素子28が形成される。次に、電極形成工程(f)において、画素電極25を形成するためのITOをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜し、さらに、フォトリソグラフィ技術により、1画素分の大きさに相当する所定形状の画素電極25をその一部が第2金属層34bと重なるように形成する。なお、(e)(f)においては、ダミーパターン12の工程がないので、図示を省略する。
【0061】
これらの一連の工程により、TFD素子28、データ線11、画素電極25及びダミーパターン12が形成される。
【0062】
この後、図示を省略するが、対向基板10の表面にポリイミドなどの膜を形成し、この膜にラビング処理などの配向処理を施して、配向膜を形成する。これにより対向基板10が完成する。
【0063】
次に、カラーフィルタ基板20の製造方法について説明する。
【0064】
まず、矩形状の透明基板上に、Crをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、額縁状の遮光膜50及びマトリクス状遮光膜51を形成する。額縁状の遮光膜50及びマトリクス状遮光膜51は、連接している。
【0065】
次に、例えばフォトリソグラフィ技術を利用して、マトリクス状遮光膜51の開口部に対応した位置にR、G、Bからなるカラーフィルタを形成する。カラーフィルタ材料としては、例えば顔料が分散されたアクリル樹脂を用いることができ、カラーフィルタの厚みは例えば0.5〜2μm程度である。
【0066】
次に、スピンコートなどによりカラーフィルタを覆うように、厚さ1〜4μmのアクリル樹脂からなるオーバーコート層を形成する。
【0067】
次に、オーバーコート層上にITOをスパッタリングなどによって一様な厚さで成膜し、さらに、フォトリソグラフィ技術により、複数の帯状の走査線24を形成する。
【0068】
この後、カラーフィルタ基板20の表面にポリイミドなどの膜を形成し、この膜にラビング処理などの配向処理を施して、配向膜を形成する。これによりカラーフィルタ基板20が完成する。
【0069】
上述のように製造された対向基板10及びカラーフィルタ基板20の一方の基板にシール材30を形成し、両基板をデータ線及び走査線が交差し対向するように重ね合わせ、シール材30により接着固定する。その後、液晶注入口から、両基板及びシール材により形成された領域に、液晶を注入する。注入後、液晶注入口を封止材により封止する。次に、対向基板10及びカラーフィルタ基板20を挟むように、それぞれの基板に隣接して一対の偏光板を配置し、液晶セルを形成する。その後、この液晶セルをバックライトとともに筐体に組み込むことより、液晶装置1が完成する。
【0070】
本実施形態においては、図4に示すようにダミーパターン12に識別手段を設けたが、例えば図8に示すように額縁状の遮光膜50が形成されている領域であれば、例えば上部に同様にダミーパターン12を設け、そのダミーパターン12上に識別手段を設けてもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)素子を用いているが、TFT(ThinFilm Transistor:薄膜トランジスタ)素子を設けて液晶を駆動する液晶装置に適用することもできる。
【0072】
(第2実施形態)
図9は、本発明に係る液晶装置の第2実施形態を示している。この第2実施形態は、単純マトリクス方式の液晶装置に本発明を適用した場合の実施形態である。また、図10は、図9における液晶装置の断面構造を示している。また、図11は、図9に示す引回し配線に識別手段が施された平面図を示している。なお、上記の各図においては、構造を分かり易く示すために、各構成要素の膜厚や寸法の比率等は実際のものとは異なっている。
【0073】
図9において、本実施形態に係る液晶装置200は、矩形状である対向基板210と、同じく矩形状であるカラーフィルタ基板220とが、それらの周辺において額縁状のシール材230によって互いに貼り合わされることにより、互いに対向して配置されている。
【0074】
シール材230の一部は各基板210、220の一辺側で開口し、液晶注入口(図示せず)となり、各基板210、220とシール材230とに囲まれた間隙に液晶110が封入され、液晶注入口は封止材によって封止されている。
【0075】
図9において、対向基板210は、カラーフィルタ基板220よりも張り出す張り出し領域210aがあり、この張り出し領域210aに駆動用IC207が実装され、この駆動用IC207によって対向基板210及びカラーフィルタ基板220の両方の電極が駆動される。また、額縁状の遮光膜250は、有効表示領域の周囲を遮光している。
【0076】
図9において、対向基板210上に、図中Y方向に延在する複数の直線状のセグメント電極240が互いに平行に形成され、カラーフィルタ基板220上には、セグメント電極240と直交するように図中X方向に延在する複数の直線状のコモン電極270が互いに平行に形成され、ストライプ状に形成されている。
【0077】
複数のコモン電極270のうち、図9のコモン電極270の上側半分については、左端から引き回されている。コモン電極270の下側半分については、右端から引き回されている。このように引き回されたコモン電極270及びセグメント電極240は、駆動用IC207の出力端子に接続されている。
【0078】
図10において、対向基板210の下面側、すなわち観察側の裏面側に照明装置(図示せず)がバックライトとして配置されている。また、カラーフィルタ基板220の液晶側表面にカラーフィルタ260が形成されている。このカラーフィルタ260はR、G、Bの各色素層260r、260g、260bをストライプ配列で並べることによって形成されている。なお、色素層の配列は、ストライプ配列以外に、例えば、デルタ配列や、モザイク配列等とすることもできる。各色素層260r、260g、260bの間はブラックマスク252によって区画されている。このブラックマスク252は、例えば樹脂ブラックや比較的反射率の低いクロム等といった遮光性の金属によって形成される。
【0079】
各色素層260r、260g、260bは各セグメント電極240の延在方向に対応して配置されており、図10に示すR、G、Bの3個の表示ドットによって1つの画素が構成されている。対向基板210の液晶側表面には、例えば反射性導電膜としてのAPC(Ag−Pd−Cu合金、すなわち銀・パラジウム・銅合金)膜218と金属酸化物膜としてのITO膜219とから成る積層構造が形成され、この積層構造によってセグメント電極240が構成されている。ここで、APC膜218は、電極を構成すると共に反射膜として機能するようになっている。
【0080】
引回し配線270aも、セグメント電極240と同様に、APC膜218とITO膜219との積層膜によって構成されている。図11に示すように、この引き回し配線270aのどちらか一方の反射性導電膜としてのAPC膜218には、識別手段として例えば数字等の記号が施され、さらに、この上に通常通りに透明のITO膜219が形成されている。ITO膜219のエッジ部分はAPC膜218の外側へ張り出している。このため、ITO膜219は単にAPC膜218の上面だけに積層されるだけでなく、APC膜218の側面も覆うように形成されている。
【0081】
図11に示すように、本実施形態の液晶装置200は、額縁状の遮光膜250の対向する位置に、新たなダミーパターンを設けず、引き回し配線270aのITO膜219の内部にあるAPC膜218にのみ識別手段を施すので、液晶装置200の裏面から略同じ大きさの異なる液晶装置200の識別を容易にできる。
【0082】
また、上記においては、反射性導電膜として、APC膜を用いたが、Cr、Al、Agから選ばれる元素の単体膜、又はCr、Al、Agから選ばれる元素を主成分として含む合金膜を用いても良い。
【0083】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の変形例を以下で説明する。
【0084】
図12は、第2実施形態に係る液晶装置の断面構造の変形例を示し、液晶装置の平面構造及び識別手段の平面構造は第2実施形態と同様とするので図示を省略する。
【0085】
また、図10と異なる部分である配線構造についてのみ説明し、上述と同様の部分は説明を省略する。
【0086】
対向基板210の液晶側表面には、例えばITOによって下地膜219bが形成され、その下地膜219bの上に、反射性導電膜としてのAPC(Ag−Pd−Cu合金、すなわち銀・パラジウム・銅合金)膜218と金属酸化物膜としてのITO膜219aとから成る積層構造が形成され、この積層構造によってセグメント電極240が構成されている。
【0087】
コモン電極270と引回し配線270aは、セグメント電極240と同様に、下地膜219bとAPC膜218とITO膜219aの積層膜によって構成されている。図11に示すように、この引き回し配線270aのどちらか一方の反射性導電膜としてのAPC膜218には、識別手段として例えば数字等の記号が施され、さらに、この上に通常通りに透明のITO膜219が形成されている。ITO膜219aのエッジ部分はAPC膜218の外側へ張り出しており、そのエッジ部分の底面が下地膜219bの上面に接触している。このため、ITO膜219aは単にAPC膜218の上面だけに積層されるだけでなく、APC膜218の側面も覆うように形成されている。
【0088】
図11に示すように、本実施形態の変形例の液晶装置200は、額縁状の遮光膜250の対向する位置に、新たなダミーパターンを設けず、引き回し配線270aの下地膜219bとITO膜219aの内部にあるAPC膜218にのみ識別手段を施すので、液晶装置200の裏面から略同じ大きさの異なる液晶装置200の識別を容易にできる。
【0089】
(第3実施形態)
図13は、本発明に係る液晶装置の第3実施形態の断面図を示している。この第3実施形態は、第2実施形態と同様に、単純マトリクス方式の液晶装置に本発明を適用した場合の実施形態である。第3実施形態は、第2実施形態とセグメント電極及びコモン電極にAPC膜を有さない点及びカラーフィルタ基板側に反射板を有する点で異なる。なお、図においては、構造を分かり易く示すために、各構成要素の膜厚や寸法の比率等は実際のものとは異なっている。
【0090】
図13において、本実施形態に係る液晶装置200は、矩形状である対向基板210と、同じく矩形状であるカラーフィルタ基板220とが、それらの周辺において額縁状のシール材230によって互いに貼り合わされることにより、互いに対向して配置されている。
【0091】
カラーフィルタ基板220は、液晶側表面にカラーフィルタ260が形成され、カラーフィルタ260と第1基板209bとの間には反射板290が設けられている。この反射板290には、額縁状の遮光膜250で遮光されている遮光領域290aがあり、この遮光領域290aに識別手段が施されている。なお、この識別手段は、前述した識別手段と同様に刳り貫かれた構成をとる。これによって、カラーフィルタ基板20上の額縁状の遮光膜50と第1基板209bとの間にある反射板290の遮光領域290aに識別手段を設けることによって、新たに識別用の材料を設けるのではなく、1枚の基板を有効活用して、容易に識別することができる。
【0092】
(変形例)
また、上述した実施形態では、電気光学装置として、液晶装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、エレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(フィールドエミッションディスプレイ)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管、液晶シャッター等を用いた小型テレビ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた装置などの各種の電気光学装置に適用できる。
【0093】
<電子機器>
さらに、本発明の液晶装置1を電子機器に搭載した例を以下に記す。
【0094】
(携帯電話機)
図14は、本実施形態の全体構成を示す概略構成図である。ここに示す電子機器は、上記と同様の液晶装置200と、これを制御する制御手段1200とを有する。ここでは、液晶装置200を、パネル構造体200Aと、駆動用IC等で構成される駆動回路200Bとに概念的に分けて描いてある。また、制御手段1200は、表示情報出力源1210と、表示情報処理回路1220と、電源回路1230と、タイミングジェネレータ1240とを有する。
【0095】
表示情報出力源1210は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ1240によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路1220に供給するように構成されている。
【0096】
表示情報処理回路1220は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路200Bへ供給する。駆動回路200Bは、走査線駆動回路、データ線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路1230は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0097】
また、本発明に係る電子機器としては、携帯電話機、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタンツ)、パーソナルコンピュータ、携帯型のパーソナルコンピュータ、テレビジョンビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、車載用モニタ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機などがあげられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として本発明に係る液晶装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶装置の概略斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る液晶装置の概略断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る液晶装置に設けられるTFD、データ線及び画素電極の構造を説明する図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)の線A−A’における概略断面図、(c)は概略斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る対向基板上に設けられたダミーパターンとカラーフィルタ基板に設けられた額縁状の遮光膜との位置関係を模式的に示した概略平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るダミーパターンに識別手段を施した例を示した概略平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るデータ線、画素電極、TFD素子及びダミーパターンの製造方法の概略断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るデータ線、画素電極、TFD素子及びダミーパターンの製造方法の概略断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態の他の例に係る対向基板上に設けられたダミーパターンとカラーフィルタ基板に設けられた額縁状の遮光膜との位置関係を模式的に示した概略平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る液晶装置の概略平面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る液晶装置の概略断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る液晶装置の引回し配線に識別手段が施された概略平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の変形例に係る液晶装置の概略断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の他の例に係る液晶装置の概略断面図である。
【図14】本発明に係る電子機器の全体構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…液晶装置
2…液晶表示パネル
10…対向基板
20…カラーフィルタ基板
50…額縁状の遮光膜
110…液晶
160…着色層
200…液晶装置
250…額縁状の遮光膜
260…カラーフィルタ
270…引き回し配線
Claims (12)
- 額縁状の遮光膜が配置された第1基板と、
前記第1基板に対向配置され、前記遮光膜と対向する位置に識別手段を有する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板により挟持された電気光学物質と
を具備することを特徴とする電気光学装置。 - 前記識別手段は反射性部材からなることを特徴とする請求項1記載の電気光学装置。
- 前記反射性部材は、反射性金属であることを特徴とする請求項2記載の電気光学装置。
- 前記第2基板は第1領域と該第1領域を囲む第2領域とを有し、
前記第2基板上には、前記第1領域上に配置された配線と、前記第2領域上に配置された前記配線に電気的に接続し前記配線に対し信号を入力するための引き回し配線とが配置され、
前記識別手段は、前記第2領域であって、前記引き回し配線が配置されない領域に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3いずれか一項に記載の電気光学装置。 - 前記配線は反射性金属を有し、前記識別手段は前記反射性金属と同層の反射性金属を有することを特徴とする請求項4記載の電気光学装置。
- 前記反射性金属はアルミニウムを含む金属であることを特徴とする請求項3または請求項5記載の電気光学装置。
- 前記反射性金属は銀、パラジウム及び銅を有する合金であることを特徴とする請求項3または請求項5記載の電気光学装置。
- 第1基板と、
前記第1基板上に配置された反射電極と、
前記反射電極を含む前記第1基板上に配置された着色層と、
前記第1基板上に前記着色層を囲むように配置された額縁状の遮光膜と、
前記第1基板上に前記遮光膜に対応し、前記遮光膜と前記第1基板との間に配置された識別手段と、
前記第1基板により支持される電気光学物質と
を具備することを特徴とする電気光学装置。 - 前記識別手段は、前記反射電極と同一層からなることを特徴とする請求項8記載の電気光学装置。
- 第1基板に額縁状の遮光膜が配置する工程と、
前記第1基板に対向配置される第2基板に前記遮光膜と対向する位置に識別手段を形成する工程と、
前記第1基板及び前記第2基板に電気光学物質を挟持する工程と
を具備することを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 第1基板に反射電極を配置する工程と、
前記第1基板上に着色層を配置する工程と、
前記第1基板上に前記着色層を囲むように額縁状の遮光膜を配置する工程と、
前記第1基板上に前記遮光膜に対応し、前記遮光膜と前記第1基板との間に識別手段を配置する工程と、
前記第1基板に電気光学物質を支持する工程と
を具備することを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の電気光学装置を搭載することを特徴とする電子機器。
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