JP2004101313A - 健康管理装置および放射線管理システム - Google Patents
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- Y02E30/30—Nuclear fission reactors
Abstract
【課題】原子力施設内の作業中の作業員の健康管理を行なう。
【解決手段】放射線検出器2と生理的変数測定部10を具備して、測定により得られた放射線量、生理的変数(心拍数、血圧等)について記憶媒体5に記憶された許容範囲と比較判断して警報を発生させる。これにより、作業員の放射線被ばく線量と体調を監視する。
【選択図】 図1
【解決手段】放射線検出器2と生理的変数測定部10を具備して、測定により得られた放射線量、生理的変数(心拍数、血圧等)について記憶媒体5に記憶された許容範囲と比較判断して警報を発生させる。これにより、作業員の放射線被ばく線量と体調を監視する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力施設内で作業を行なう作業員の健康状態を監視する健康管理装置および放射線管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電プラントなどの原子力施設内において作業を行なう場合は、作業員は原子力施設用の作業服を着用するとともに、必ず個人被ばく線量計を装着する。そして、この個人被ばく線量計によって作業中の放射線量を測定記録し、月、週、日毎の累積放射線被ばく線量が許容範囲内になるように放射線被ばく管理が徹底して行われている。
【0003】
個人被ばく線量計により収集された放射線被ばく線量データは集計され、集計された累積放射線被ばく線量により原子力施設内への入退域管理が行われるとともに、集計されたデータは個人被ばく線量計に記憶され、個人被ばく線量計が測定値の演算と記憶された累積放射線被ばく線量の比較を行ない必要に応じて警報を発する。
【0004】
また、原子力施設での作業開始前には、作業員の健康診断を行ない、作業員の健康管理についても行なっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作業員の健康診断は、作業前にしか行なうことができず、作業中に体調を崩した作業員を発見することは困難である。このように、作業中の作業員の健康管理は、作業員からの自己申告に頼らざるを得ない状況にあった。さらに、作業員は十分な医学的知識を有しているとは限らないので、作業員からの自己申告では作業中の作業員の健康管理が十分とは言えなかった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、原子力施設内で作業中の作業員の健康管理が行なえる十分な健康管理装置および放射線管理システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の健康管理装置においては、請求項1記載の発明では、放射線被ばく線量を測定する第1の手段と、作業員の生理的変数を測定する第2の手段と、前記放射線被ばく線量と前記生理的変数と累積放射線被ばく線量許容範囲データと生理的変数許容範囲データを記憶する記憶手段と、前記累積放射線被ばく線量許容範囲データに基づく累積放射線被ばく線量許容範囲と前記放射線被ばく線量の累積値および前記生理的変数許容範囲データに基づく生理的変数許容範囲と前記生理的変数をそれぞれ比較する演算手段と、演算手段での比較結果が前記累積放射線被ばく線量許容範囲外または前記生理的変数許容範囲外であった場合に警報を発生する警報手段とを有することを特徴とする。
【0008】
上記請求項1記載の健康管理装置においては、原子力施設内で作業を行なう作業員の健康に関連する放射線被ばく線量と生理的変数を原子力施設内での作業中において監視し、作業員の体調の変化を作業員本人が対処できる体調の期間において作業員本人に対して警告することができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明では、請求項1に記載の健康管理装置において、前記生理的変数は心拍数、体温、血圧のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0010】
上記請求項2記載の健康管理装置においては、作業員の作業中の心拍数と体温を測定することにより、作業員本人の体調を作業中において確実に監視することができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の健康管理装置において、前記記憶手段は、作業工程に関する作業計画データと、この作業計画の作業工程毎に前記生理的変数許容範囲データが記憶されていることを特徴とする。
【0012】
上記請求項3記載の健康管理装置においては、作業内容による必然的な体調の変化を考慮して作業員本人の健康状態を評価して、より正確に作業員本人の健康を管理することができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載した健康管理装置と、この健康管理装置の記憶手段からデータを読み出す手段と、この読み出す手段により読み出したデータを作業員毎に測定した時刻、放射線被ばく線量、生理的変数を作業員履歴データとして累積して記憶する記憶手段と、前記作業員履歴データに基づき作業員毎に累積放射線被ばく線量許容範囲データおよび生理的変数許容範囲データを算出する演算手段と、前記累積放射線被ばく線量許容範囲データと前記生理的変数許容範囲データを前記健康管理装置の記憶手段に記憶させる手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
上記請求項4記載の放射線管理システムにおいては、各々の作業員に適した累積放射線被ばく線量データおよび生理的変数データを設定することができ、結果として各々の作業員に適した健康管理を行なうことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る健康管理装置およびこの健康管理装置を用いた放射線管理システムの第1の実施の形態について、図1および図3を参照して説明する。
【0016】
本実施の形態の健康管理装置は、健康管理装置本体1と、イヤホンを兼ねた生理的変数測定部10と、マイクロホン20および表示装置30とから構成されている。
【0017】
図1に示すように、健康管理装置本体1は、放射線を検出する放射線検出器2と、放射線検出器2からの信号を増幅する増幅器3と、増幅器3からの信号を演算する演算部4と、演算部4からの情報を記憶したり、演算部4が読み出して用いるデータを記憶する記憶媒体5とを有している。記憶媒体5は、電力が供給されなくても記憶を保持することができる不揮発型の記憶手段で、健康管理装置1に着脱可能な構造となっている。
【0018】
さらに、健康管理装置本体1は、アンテナ6aと、アンテナ6aを介して演算部4の情報を表示装置30や図3に示す原子力施設の入退域管理装置47などと無線通信する通信部6を有する。さらに、健康管理装置本体1は、信号コネクタ7aと、信号コネクタ7aを介して生理的変数測定部10から入力した信号を処理して演算部4に送ったり、演算部4からの情報により信号コネクタ7aを介してイヤホン部13から警告音を発生させたりする入出力部7を内蔵する。なお、入出力部7と通信部6は接続されており、マイクロホン20から信号コネクタ7aを介して入出力部7へ入力された音声信号を、通信部6からアンテナ6aを介して無線発信したり、逆に、アンテナ6aから入力した音声の無線信号を通信部6により音声信号に変換し、入出力部7から信号コネクタ7aを介してイヤホン部13から音を出力することができる。
【0019】
また、健康管理装置本体1は、電源部8と充電池9を有し、充電池9に蓄積された電気エネルギーを電源部8から電気エネルギーとして健康管理装置本体1の各部に供給する。充電池9への電気エネルギーの充電は、健康管理装置本体1に設けられた充電コネクタ9aを介して行われる。健康管理装置本体1を保管するホルダーに、充電コネクタ9aと嵌め合い充電を行なうコネクタを備え、充電池9に充電が完了した場合にそのことを表示するランプなども備える構成とすることが望ましい。このような構成とすることにより、作業者が健康管理装置本体を取外し、ホルダーに保管している間に充電池9の充電を完了することができ、次に作業者が健康管理装置本体1を装着する時に充電池9の充電が完了していることも確認できる。
【0020】
図1に模式的に拡大断面を示した生理的変数測定部10は、鼓膜または外耳道からの赤外線輻射を測定する赤外線センサ11と、外耳内の圧力変化を測定する圧力変換器12と、音を発生するイヤホン部13とを内蔵している。生理的変数測定部10は、耳に装着でき、さらに、柔軟な膜状の突起14により作業者の外耳道内と作業者がいる室内とが隔離できる形状となっている。
【0021】
図2に示されている表示装置30は、健康管理装置本体1からの無線信号を受信するアンテナ30aと、情報を表示する表示部30bと、表示装置30に指示を入力するための複数の入力ボタン30cと、作業員の腕に装着するためのバンド部30dとを備えている。また、表示装置30内部には、表示部30bへの表示および入力ボタン30cからの信号を受け取る入出力部32と、アンテナ30aを介して無線通信を行なう通信部33と、通信部33および入出力部32の情報を処理する演算部31とを内蔵している。さらに、各手段への電力を供給する電源部34および電池35を内蔵している。なお、表示装置30の好適な態様として図2(a)には、作業員の腕に取付けられる構造としたものを示しているが、胸に保持する形または首に下げる形にしても良いのはもちろんである。
【0022】
健康管理装置本体1と表示装置30は無線通信を行なうことができるため、作業者の生理的情報を測定する健康管理装置本体1を作業服の中に装着しても、表示装置30を作業服の外に装着することができるため、表示装置30の表示の確認および操作が容易に行なうことができる。また、健康管理装置本体1と表示装置30をつなぐ電線などがないため、作業服の放射線遮蔽を損なったり、作業者の作業性を損なうこともない。
【0023】
このように構成された本実施の形態において、記憶媒体5には、作業員の作業場所への入域前に、図3に示すような原子力施設内の作業全般を管理しているメインコンピュータを有する中央制御装置40から必要なデータが転送され記憶される。この時、メインコンピュータからのデータ転送は、健康管理装置の通信部6を介して無線通信により行なうこともできるが、転送速度を速くするため、記憶媒体5を健康管理装置本体1から取外し、メインコンピュータの記憶媒体5への読み書きを行なう装置に記憶媒体5を取付けて行なうことが適している。メインコンピュータには、作業員が履行する作業の工程、作業内容、場所、必要な機材や手順に関する作業計画データ41と、各作業員を認識させるためのID情報、各作業員の過去の作業履歴情報や放射線被ばく線量および生理的変数の測定値に関する健康管理情報を含む作業員履歴データ42と、累積放射線被ばく線量および生理的変数の健康管理上の許容値として上限値、下限値の少なくとも1つを規定する許容範囲データ43が保存されている。また、演算部44により、作業計画データ41、作業員履歴データ42および許容範囲データ43から、当日の作業計画や、累積放射線被ばく線量許容範囲や、生理的変数許容範囲などの必要データを読み出しあるいは算出して、入出力部45によりメインコンピュータの記憶媒体5への読み書きを行なう装置に取付けられた記憶媒体5上への書込み、読み出しによって、作業員の作業場所への入域前に作業員の健康管理装置に記憶させる。データが記憶された記憶媒体5は、健康管理装置本体1に取付けられる。
【0024】
また、健康管理装置本体1の充電池9への充電も、作業員の作業場所への入域前に完了される。
【0025】
次に、作業員は、作業服に着替えるとともに健康管理装置を装着する。作業員の入退域管理を行なう入退域管理装置47と健康管理装置が通信部6を介して無線交信を行ない、入退域管理装置47が入域条件に適合することを確認すると、作業員の入域を許可する。この時に、入退域管理装置47により無線で健康管理装置に放射線被ばく線量と生理的変数の測定を開始させる構成とすると、作業員が健康管理装置を作動し忘れることが無くて良い。
【0026】
また、当日の作業時間中健康管理装置が作動できるだけの電気エネルギーが充電池9に蓄積されていることもこの時に確認される。
【0027】
入域した後は、放射線検出器2は放射線を常に検出し、その信号は増幅器3により増幅されて演算部4に送られ、放射線被ばく線量に演算される。また、生理的変数測定部10の赤外線センサ11は、鼓膜または外耳道が発生する赤外線輻射を測定する。測定された信号は、入出力部7において演算部4で処理できるデータ形式に変換されて演算部4に送られる。演算部4は、測定された赤外線輻射データより体温を演算する。
【0028】
また、生理的変数測定部10により外耳道が密閉されているので、作業員の脈拍に伴ない外耳道内の圧力が変化する。この外耳道内の圧力変化を圧力変換器12が電気信号に変換して入出力部7に信号として送り、入出力部7が演算部4で処理できる情報に変換して演算部4に送る。演算部4は、送られてきた情報を心拍数や血圧値に演算する。
【0029】
このように、健康管理装置は、入域後は常に放射線被ばく線量の測定と生理的変数の測定を継続して行なう。さらに、演算部4は、測定された放射線被ばく線量から累積放射線被ばく線量を演算し、記憶媒体5に記憶された累積放射線被ばく線量許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0030】
また、演算部4は、生理的変数についても記憶媒体5に記憶された生理的変数許容範囲内にあるかどうかを判定する。
【0031】
演算部4は、累積放射線被ばく線量または生理的変数が、それぞれに予め定められた許容範囲の外にあると判定すると、健康管理装置本体1の入出力部7から信号コネクタ7aを介してイヤホン部13に信号を送り、イヤホン部13から警告音を発生し作業員に警報する。この時、通信部6からもアンテナ6aを介して警報の無線信号が発信され、作業監督者や放射線管理員が、例えばそれぞれの手元の受信器により警報を知ることができる。
【0032】
また、測定された放射線被ばく線量および生理的変数は、測定された時刻とともに記憶媒体5に記憶される。
【0033】
なお、生理的変数は相互に関連しているので、作業員の健康状態を正しく評価するために、生理的変数の許容範囲は、生理的変数の数の次元を持った空間の範囲として設定される。つまり、各生理的変数それぞれに独立に許容範囲があるのではなく、生理的変数相互の変化によりそれぞれの許容範囲も変化する。
【0034】
また、生理的変数は作業内容により変化するので、作業内容毎に生理的変数許容範囲が設定され記憶媒体5に記憶されている。この構成は、例えば中央制御装置40が作業計画データ41中から、該当する作業内容とこの作業内容に対応する生理的変数許容範囲を読み出すことにより実現される。
【0035】
また、作業の進行が作業計画通りに進まないことも起こりえる。そこで、記憶媒体5に記憶された作業計画の作業内容での許容範囲外の生理的変数が測定された場合に、健康管理装置は、作業計画データ41から読み出され記憶媒体5に記憶された作業計画に基づき、現在の作業工程において許容範囲外である生理変数値がその前後の作業工程においては許容範囲内であるかを演算部4で判定する。判定結果は、表示装置30の表示部30bに表示される。なお、判定結果により警告音を変えることが望ましい。警告音の発生が作業進行の変更による可能性があれば、作業員は、作業の進行の変化を表示装置30の入力ボタン30cにより、現在行なっている作業工程に作業内容を修正する。演算部4は、修正された作業内容による許容範囲で再度判定を行なう。このようにして、作業工程進行に伴う作業内容の変更に対処して許容判定を行なう。なお、作業員は作業計画からの進行の変更を警報発生前に修正することもできる。
【0036】
記憶媒体5には、各時刻での放射線被ばく線量、生理的変数とともに、前述の修正された作業進行についても記憶される。これにより、実際に行なわれた作業内容による放射線被ばく線量、生理的変数の変化が確実に記録蓄積されるので、中央制御装置40のメインコンピュータはこれら新たな蓄積データに基づき各作業員に合わせた作業内容毎の生理的変数の許容範囲を演算することが可能となる。また、作業員履歴データ42として蓄積された各作業員の生理的変数の長期的な変化についても、メインコンピュータの演算部44で評価することができるため、作業員のより詳細な健康診断が可能となる。
【0037】
また、累積放射線被ばく線量の許容範囲は、万人に対して十分に安全な値が設定されている。しかし、作業員個々の健康状態は千差万別であるため、ごくまれに、許容範囲内の累積放射線被ばく線量によりわずかな体調の変調を起こす作業員がいないとも限らない。本実施の形態の健康管理装置においては、作業員履歴データ42として放射線被ばく線量と生理的変数の変化を関連して記録することができるため、この蓄積データに基づき体調変調を起こす可能性のある作業員に対してさらに厳しい累積放射線被ばく線量許容範囲を設定したり、各作業員に対して生理的変数の変化により、累積放射線被ばく線量許容範囲をより厳しく設定することが可能となる。このことにより、作業員が作業中あるいは作業後に体調を崩す確率をより一層下げることができるため、更なる作業員の安全を確保することができる。
【0038】
また、作業員は、表示装置30の入力ボタン30cを操作することにより、現在の放射線被ばく線量およびその累積値や生理的変数の情報を表示部30bに表示させることができる。このため、作業員は健康状態について自己管理しながら作業を進めることが可能となり、より安全にかつ安心して作業を履行することができる。
【0039】
また、外部の音はマイクロホン20により集音され、入出力部7を介してイヤホン部13により発音される。このため、生理的変数測定部10を耳に装着していても、作業員は外部の音を常に聞くことができる。
【0040】
また、マイクロホン20で集音された音は、通信部6によりアンテナ6aから無線発信することもでき、アンテナ6aに受信した音声の無線信号はイヤホン部13から発音させることができるため、本実施の形態の健康管理装置を用いて作業員は無線通話することができる。このため、作業員は、他の作業員や作業監督者および放射線管理員との通話が容易となり、作業状況連絡や点検中の機器の挙動などに関する情報連絡を円滑に行なうことができる。なお、この通話の開始や終了は、作業員が、表示装置30の入力ボタン30cを操作して行なう。
【0041】
原子力施設内での作業が終了すると、作業員が入退域管理装置47を通過する時に、健康管理装置と入退域管理装置47が無線交信を行ない、退域手続が行なわれる。また、この時、健康管理装置の放射線被ばく線量測定および生理的変数の測定の停止処理も行われる。
【0042】
記憶媒体5に作業中に新たに蓄積されたデータは、記憶媒体5にデータを記憶させた時と同様な操作により中央制御装置40のメインコンピュータに転送される。なお、この時に、次回の作業用のデータの記憶媒体5への記憶作業を行なっても良い。
【0043】
本実施の形態によれば、作業中の作業員の放射線被ばく線量および生理的変数を測定および監視することができるので、作業員の十分な健康管理を行なうことができる。また、作業中のわずかな体調の変調を作業員や作業監督者に事前に警報することができるため、作業員が体調を崩すような状態に至ることが防げる。
【0044】
本実施の形態では、記憶媒体5を取外し可能としたが、記憶媒体5が健康管理装置本体1に組み込まれ取外しできない構造とすることもできる。この場合は、メインコンピュータによる記憶媒体5へのデータの記憶および読み出しは、通信部6を介して無線通信で行なったり、または、信号コネクタ7aあるいは専用の通信コネクタを新たに設置して、いずれかのコネクタを介して有線通信で行なうこともできる。この時、記憶媒体5は不揮発型でなくても良い。
【0045】
また、本実施の形態では、記憶媒体5へのデータの記憶を入域前に、記憶媒体5からのデータの読み出しを退域後に行なう構成としているが、メインコンピュータが入退域管理装置47を介して、入域時の入退域管理装置47との無線交信によりデータの記憶を、退域時の入退域管理装置47との無線交信によりデータの読み出しを行なう構成としても良い。
【0046】
また、生理的変数測定部30は耳に装着する形状以外に、感温センサを皮膚に貼り付けて体温を測定したり、指カフを用いて心拍数および血圧を測定するなどの他の測定手法に変えても良い。この時、耳に装着する測定手段と併用しても良い。また、呼吸数、酸素消費量、脳波、発汗などの生理的変数を測定する構成としても良い。
【0047】
また、本実施の形態の累積放射線被ばく線量許容範囲または生理的変数許容範囲は、許容範囲を求める手順として記憶媒体5に記憶され、健康管理装置の演算部3により都度求められる構成としても良い。
【0048】
また、作業者の入域中に健康管理装置から放射線被ばく線量および生理的変数の測定結果や作業内容について無線で中央制御装置40にデータを送信し、中央制御装置40において作業員履歴データ42に健康管理装置から送信されたデータを累積して保存すると共に、作業員履歴データ42等のデータに基づき演算部44により累積放射線被ばく線量許容範囲または生理的変数許容範囲等について演算を行ないその値について健康管理装置に無線でデータを送信する構成としても良い。
【0049】
また、本実施の形態において、マイクロホン20、通信部6およびアンテナ6a、表示装置30について、その一部または全部を設置しない構成としても良い。
【0050】
このときは、警報は作業員のみに発せられるので、作業員は自ら対処しなけばならない。しかしながら、警報は、作業員が対処できる体調の変化で発せられるため、作業員自ら十分に対処できる。このためこの場合も、作業員の健康管理を十分に行なうことができる。
【0051】
また、健康管理装置本体1に表示部および入力ボタンを設置し、表示装置30の機能の一部または全部を健康管理装置本体1に担持させても良い。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、作業中の作業員の放射線被ばく線量および生理的変数を測定しかつ挙動の監視を行なうことにより、各作業員の健康管理を即時性をもって的確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る健康管理装置の本体およびイヤホン部の構成を示す概略図。
【図2】(a)は図1の健康管理装置の表示装置の一例を示す斜視図、(b)は同表示装置の機能ブロック図。
【図3】図1の健康管理装置と情報を授受する中央制御装置のブロック図。
【符号の説明】
1… 健康管理装置本体
2… 放射線検出器
3… 増幅器
4… 演算部
5… 記憶媒体
6… 通信部
7… 入出力部
8… 電源部
9… 充電池
10… 生理的変数測定部
20… マイクロホン
30… 表示装置
40… 中央制御装置
47… 入域管理装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力施設内で作業を行なう作業員の健康状態を監視する健康管理装置および放射線管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電プラントなどの原子力施設内において作業を行なう場合は、作業員は原子力施設用の作業服を着用するとともに、必ず個人被ばく線量計を装着する。そして、この個人被ばく線量計によって作業中の放射線量を測定記録し、月、週、日毎の累積放射線被ばく線量が許容範囲内になるように放射線被ばく管理が徹底して行われている。
【0003】
個人被ばく線量計により収集された放射線被ばく線量データは集計され、集計された累積放射線被ばく線量により原子力施設内への入退域管理が行われるとともに、集計されたデータは個人被ばく線量計に記憶され、個人被ばく線量計が測定値の演算と記憶された累積放射線被ばく線量の比較を行ない必要に応じて警報を発する。
【0004】
また、原子力施設での作業開始前には、作業員の健康診断を行ない、作業員の健康管理についても行なっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作業員の健康診断は、作業前にしか行なうことができず、作業中に体調を崩した作業員を発見することは困難である。このように、作業中の作業員の健康管理は、作業員からの自己申告に頼らざるを得ない状況にあった。さらに、作業員は十分な医学的知識を有しているとは限らないので、作業員からの自己申告では作業中の作業員の健康管理が十分とは言えなかった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、原子力施設内で作業中の作業員の健康管理が行なえる十分な健康管理装置および放射線管理システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の健康管理装置においては、請求項1記載の発明では、放射線被ばく線量を測定する第1の手段と、作業員の生理的変数を測定する第2の手段と、前記放射線被ばく線量と前記生理的変数と累積放射線被ばく線量許容範囲データと生理的変数許容範囲データを記憶する記憶手段と、前記累積放射線被ばく線量許容範囲データに基づく累積放射線被ばく線量許容範囲と前記放射線被ばく線量の累積値および前記生理的変数許容範囲データに基づく生理的変数許容範囲と前記生理的変数をそれぞれ比較する演算手段と、演算手段での比較結果が前記累積放射線被ばく線量許容範囲外または前記生理的変数許容範囲外であった場合に警報を発生する警報手段とを有することを特徴とする。
【0008】
上記請求項1記載の健康管理装置においては、原子力施設内で作業を行なう作業員の健康に関連する放射線被ばく線量と生理的変数を原子力施設内での作業中において監視し、作業員の体調の変化を作業員本人が対処できる体調の期間において作業員本人に対して警告することができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明では、請求項1に記載の健康管理装置において、前記生理的変数は心拍数、体温、血圧のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0010】
上記請求項2記載の健康管理装置においては、作業員の作業中の心拍数と体温を測定することにより、作業員本人の体調を作業中において確実に監視することができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の健康管理装置において、前記記憶手段は、作業工程に関する作業計画データと、この作業計画の作業工程毎に前記生理的変数許容範囲データが記憶されていることを特徴とする。
【0012】
上記請求項3記載の健康管理装置においては、作業内容による必然的な体調の変化を考慮して作業員本人の健康状態を評価して、より正確に作業員本人の健康を管理することができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載した健康管理装置と、この健康管理装置の記憶手段からデータを読み出す手段と、この読み出す手段により読み出したデータを作業員毎に測定した時刻、放射線被ばく線量、生理的変数を作業員履歴データとして累積して記憶する記憶手段と、前記作業員履歴データに基づき作業員毎に累積放射線被ばく線量許容範囲データおよび生理的変数許容範囲データを算出する演算手段と、前記累積放射線被ばく線量許容範囲データと前記生理的変数許容範囲データを前記健康管理装置の記憶手段に記憶させる手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
上記請求項4記載の放射線管理システムにおいては、各々の作業員に適した累積放射線被ばく線量データおよび生理的変数データを設定することができ、結果として各々の作業員に適した健康管理を行なうことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る健康管理装置およびこの健康管理装置を用いた放射線管理システムの第1の実施の形態について、図1および図3を参照して説明する。
【0016】
本実施の形態の健康管理装置は、健康管理装置本体1と、イヤホンを兼ねた生理的変数測定部10と、マイクロホン20および表示装置30とから構成されている。
【0017】
図1に示すように、健康管理装置本体1は、放射線を検出する放射線検出器2と、放射線検出器2からの信号を増幅する増幅器3と、増幅器3からの信号を演算する演算部4と、演算部4からの情報を記憶したり、演算部4が読み出して用いるデータを記憶する記憶媒体5とを有している。記憶媒体5は、電力が供給されなくても記憶を保持することができる不揮発型の記憶手段で、健康管理装置1に着脱可能な構造となっている。
【0018】
さらに、健康管理装置本体1は、アンテナ6aと、アンテナ6aを介して演算部4の情報を表示装置30や図3に示す原子力施設の入退域管理装置47などと無線通信する通信部6を有する。さらに、健康管理装置本体1は、信号コネクタ7aと、信号コネクタ7aを介して生理的変数測定部10から入力した信号を処理して演算部4に送ったり、演算部4からの情報により信号コネクタ7aを介してイヤホン部13から警告音を発生させたりする入出力部7を内蔵する。なお、入出力部7と通信部6は接続されており、マイクロホン20から信号コネクタ7aを介して入出力部7へ入力された音声信号を、通信部6からアンテナ6aを介して無線発信したり、逆に、アンテナ6aから入力した音声の無線信号を通信部6により音声信号に変換し、入出力部7から信号コネクタ7aを介してイヤホン部13から音を出力することができる。
【0019】
また、健康管理装置本体1は、電源部8と充電池9を有し、充電池9に蓄積された電気エネルギーを電源部8から電気エネルギーとして健康管理装置本体1の各部に供給する。充電池9への電気エネルギーの充電は、健康管理装置本体1に設けられた充電コネクタ9aを介して行われる。健康管理装置本体1を保管するホルダーに、充電コネクタ9aと嵌め合い充電を行なうコネクタを備え、充電池9に充電が完了した場合にそのことを表示するランプなども備える構成とすることが望ましい。このような構成とすることにより、作業者が健康管理装置本体を取外し、ホルダーに保管している間に充電池9の充電を完了することができ、次に作業者が健康管理装置本体1を装着する時に充電池9の充電が完了していることも確認できる。
【0020】
図1に模式的に拡大断面を示した生理的変数測定部10は、鼓膜または外耳道からの赤外線輻射を測定する赤外線センサ11と、外耳内の圧力変化を測定する圧力変換器12と、音を発生するイヤホン部13とを内蔵している。生理的変数測定部10は、耳に装着でき、さらに、柔軟な膜状の突起14により作業者の外耳道内と作業者がいる室内とが隔離できる形状となっている。
【0021】
図2に示されている表示装置30は、健康管理装置本体1からの無線信号を受信するアンテナ30aと、情報を表示する表示部30bと、表示装置30に指示を入力するための複数の入力ボタン30cと、作業員の腕に装着するためのバンド部30dとを備えている。また、表示装置30内部には、表示部30bへの表示および入力ボタン30cからの信号を受け取る入出力部32と、アンテナ30aを介して無線通信を行なう通信部33と、通信部33および入出力部32の情報を処理する演算部31とを内蔵している。さらに、各手段への電力を供給する電源部34および電池35を内蔵している。なお、表示装置30の好適な態様として図2(a)には、作業員の腕に取付けられる構造としたものを示しているが、胸に保持する形または首に下げる形にしても良いのはもちろんである。
【0022】
健康管理装置本体1と表示装置30は無線通信を行なうことができるため、作業者の生理的情報を測定する健康管理装置本体1を作業服の中に装着しても、表示装置30を作業服の外に装着することができるため、表示装置30の表示の確認および操作が容易に行なうことができる。また、健康管理装置本体1と表示装置30をつなぐ電線などがないため、作業服の放射線遮蔽を損なったり、作業者の作業性を損なうこともない。
【0023】
このように構成された本実施の形態において、記憶媒体5には、作業員の作業場所への入域前に、図3に示すような原子力施設内の作業全般を管理しているメインコンピュータを有する中央制御装置40から必要なデータが転送され記憶される。この時、メインコンピュータからのデータ転送は、健康管理装置の通信部6を介して無線通信により行なうこともできるが、転送速度を速くするため、記憶媒体5を健康管理装置本体1から取外し、メインコンピュータの記憶媒体5への読み書きを行なう装置に記憶媒体5を取付けて行なうことが適している。メインコンピュータには、作業員が履行する作業の工程、作業内容、場所、必要な機材や手順に関する作業計画データ41と、各作業員を認識させるためのID情報、各作業員の過去の作業履歴情報や放射線被ばく線量および生理的変数の測定値に関する健康管理情報を含む作業員履歴データ42と、累積放射線被ばく線量および生理的変数の健康管理上の許容値として上限値、下限値の少なくとも1つを規定する許容範囲データ43が保存されている。また、演算部44により、作業計画データ41、作業員履歴データ42および許容範囲データ43から、当日の作業計画や、累積放射線被ばく線量許容範囲や、生理的変数許容範囲などの必要データを読み出しあるいは算出して、入出力部45によりメインコンピュータの記憶媒体5への読み書きを行なう装置に取付けられた記憶媒体5上への書込み、読み出しによって、作業員の作業場所への入域前に作業員の健康管理装置に記憶させる。データが記憶された記憶媒体5は、健康管理装置本体1に取付けられる。
【0024】
また、健康管理装置本体1の充電池9への充電も、作業員の作業場所への入域前に完了される。
【0025】
次に、作業員は、作業服に着替えるとともに健康管理装置を装着する。作業員の入退域管理を行なう入退域管理装置47と健康管理装置が通信部6を介して無線交信を行ない、入退域管理装置47が入域条件に適合することを確認すると、作業員の入域を許可する。この時に、入退域管理装置47により無線で健康管理装置に放射線被ばく線量と生理的変数の測定を開始させる構成とすると、作業員が健康管理装置を作動し忘れることが無くて良い。
【0026】
また、当日の作業時間中健康管理装置が作動できるだけの電気エネルギーが充電池9に蓄積されていることもこの時に確認される。
【0027】
入域した後は、放射線検出器2は放射線を常に検出し、その信号は増幅器3により増幅されて演算部4に送られ、放射線被ばく線量に演算される。また、生理的変数測定部10の赤外線センサ11は、鼓膜または外耳道が発生する赤外線輻射を測定する。測定された信号は、入出力部7において演算部4で処理できるデータ形式に変換されて演算部4に送られる。演算部4は、測定された赤外線輻射データより体温を演算する。
【0028】
また、生理的変数測定部10により外耳道が密閉されているので、作業員の脈拍に伴ない外耳道内の圧力が変化する。この外耳道内の圧力変化を圧力変換器12が電気信号に変換して入出力部7に信号として送り、入出力部7が演算部4で処理できる情報に変換して演算部4に送る。演算部4は、送られてきた情報を心拍数や血圧値に演算する。
【0029】
このように、健康管理装置は、入域後は常に放射線被ばく線量の測定と生理的変数の測定を継続して行なう。さらに、演算部4は、測定された放射線被ばく線量から累積放射線被ばく線量を演算し、記憶媒体5に記憶された累積放射線被ばく線量許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0030】
また、演算部4は、生理的変数についても記憶媒体5に記憶された生理的変数許容範囲内にあるかどうかを判定する。
【0031】
演算部4は、累積放射線被ばく線量または生理的変数が、それぞれに予め定められた許容範囲の外にあると判定すると、健康管理装置本体1の入出力部7から信号コネクタ7aを介してイヤホン部13に信号を送り、イヤホン部13から警告音を発生し作業員に警報する。この時、通信部6からもアンテナ6aを介して警報の無線信号が発信され、作業監督者や放射線管理員が、例えばそれぞれの手元の受信器により警報を知ることができる。
【0032】
また、測定された放射線被ばく線量および生理的変数は、測定された時刻とともに記憶媒体5に記憶される。
【0033】
なお、生理的変数は相互に関連しているので、作業員の健康状態を正しく評価するために、生理的変数の許容範囲は、生理的変数の数の次元を持った空間の範囲として設定される。つまり、各生理的変数それぞれに独立に許容範囲があるのではなく、生理的変数相互の変化によりそれぞれの許容範囲も変化する。
【0034】
また、生理的変数は作業内容により変化するので、作業内容毎に生理的変数許容範囲が設定され記憶媒体5に記憶されている。この構成は、例えば中央制御装置40が作業計画データ41中から、該当する作業内容とこの作業内容に対応する生理的変数許容範囲を読み出すことにより実現される。
【0035】
また、作業の進行が作業計画通りに進まないことも起こりえる。そこで、記憶媒体5に記憶された作業計画の作業内容での許容範囲外の生理的変数が測定された場合に、健康管理装置は、作業計画データ41から読み出され記憶媒体5に記憶された作業計画に基づき、現在の作業工程において許容範囲外である生理変数値がその前後の作業工程においては許容範囲内であるかを演算部4で判定する。判定結果は、表示装置30の表示部30bに表示される。なお、判定結果により警告音を変えることが望ましい。警告音の発生が作業進行の変更による可能性があれば、作業員は、作業の進行の変化を表示装置30の入力ボタン30cにより、現在行なっている作業工程に作業内容を修正する。演算部4は、修正された作業内容による許容範囲で再度判定を行なう。このようにして、作業工程進行に伴う作業内容の変更に対処して許容判定を行なう。なお、作業員は作業計画からの進行の変更を警報発生前に修正することもできる。
【0036】
記憶媒体5には、各時刻での放射線被ばく線量、生理的変数とともに、前述の修正された作業進行についても記憶される。これにより、実際に行なわれた作業内容による放射線被ばく線量、生理的変数の変化が確実に記録蓄積されるので、中央制御装置40のメインコンピュータはこれら新たな蓄積データに基づき各作業員に合わせた作業内容毎の生理的変数の許容範囲を演算することが可能となる。また、作業員履歴データ42として蓄積された各作業員の生理的変数の長期的な変化についても、メインコンピュータの演算部44で評価することができるため、作業員のより詳細な健康診断が可能となる。
【0037】
また、累積放射線被ばく線量の許容範囲は、万人に対して十分に安全な値が設定されている。しかし、作業員個々の健康状態は千差万別であるため、ごくまれに、許容範囲内の累積放射線被ばく線量によりわずかな体調の変調を起こす作業員がいないとも限らない。本実施の形態の健康管理装置においては、作業員履歴データ42として放射線被ばく線量と生理的変数の変化を関連して記録することができるため、この蓄積データに基づき体調変調を起こす可能性のある作業員に対してさらに厳しい累積放射線被ばく線量許容範囲を設定したり、各作業員に対して生理的変数の変化により、累積放射線被ばく線量許容範囲をより厳しく設定することが可能となる。このことにより、作業員が作業中あるいは作業後に体調を崩す確率をより一層下げることができるため、更なる作業員の安全を確保することができる。
【0038】
また、作業員は、表示装置30の入力ボタン30cを操作することにより、現在の放射線被ばく線量およびその累積値や生理的変数の情報を表示部30bに表示させることができる。このため、作業員は健康状態について自己管理しながら作業を進めることが可能となり、より安全にかつ安心して作業を履行することができる。
【0039】
また、外部の音はマイクロホン20により集音され、入出力部7を介してイヤホン部13により発音される。このため、生理的変数測定部10を耳に装着していても、作業員は外部の音を常に聞くことができる。
【0040】
また、マイクロホン20で集音された音は、通信部6によりアンテナ6aから無線発信することもでき、アンテナ6aに受信した音声の無線信号はイヤホン部13から発音させることができるため、本実施の形態の健康管理装置を用いて作業員は無線通話することができる。このため、作業員は、他の作業員や作業監督者および放射線管理員との通話が容易となり、作業状況連絡や点検中の機器の挙動などに関する情報連絡を円滑に行なうことができる。なお、この通話の開始や終了は、作業員が、表示装置30の入力ボタン30cを操作して行なう。
【0041】
原子力施設内での作業が終了すると、作業員が入退域管理装置47を通過する時に、健康管理装置と入退域管理装置47が無線交信を行ない、退域手続が行なわれる。また、この時、健康管理装置の放射線被ばく線量測定および生理的変数の測定の停止処理も行われる。
【0042】
記憶媒体5に作業中に新たに蓄積されたデータは、記憶媒体5にデータを記憶させた時と同様な操作により中央制御装置40のメインコンピュータに転送される。なお、この時に、次回の作業用のデータの記憶媒体5への記憶作業を行なっても良い。
【0043】
本実施の形態によれば、作業中の作業員の放射線被ばく線量および生理的変数を測定および監視することができるので、作業員の十分な健康管理を行なうことができる。また、作業中のわずかな体調の変調を作業員や作業監督者に事前に警報することができるため、作業員が体調を崩すような状態に至ることが防げる。
【0044】
本実施の形態では、記憶媒体5を取外し可能としたが、記憶媒体5が健康管理装置本体1に組み込まれ取外しできない構造とすることもできる。この場合は、メインコンピュータによる記憶媒体5へのデータの記憶および読み出しは、通信部6を介して無線通信で行なったり、または、信号コネクタ7aあるいは専用の通信コネクタを新たに設置して、いずれかのコネクタを介して有線通信で行なうこともできる。この時、記憶媒体5は不揮発型でなくても良い。
【0045】
また、本実施の形態では、記憶媒体5へのデータの記憶を入域前に、記憶媒体5からのデータの読み出しを退域後に行なう構成としているが、メインコンピュータが入退域管理装置47を介して、入域時の入退域管理装置47との無線交信によりデータの記憶を、退域時の入退域管理装置47との無線交信によりデータの読み出しを行なう構成としても良い。
【0046】
また、生理的変数測定部30は耳に装着する形状以外に、感温センサを皮膚に貼り付けて体温を測定したり、指カフを用いて心拍数および血圧を測定するなどの他の測定手法に変えても良い。この時、耳に装着する測定手段と併用しても良い。また、呼吸数、酸素消費量、脳波、発汗などの生理的変数を測定する構成としても良い。
【0047】
また、本実施の形態の累積放射線被ばく線量許容範囲または生理的変数許容範囲は、許容範囲を求める手順として記憶媒体5に記憶され、健康管理装置の演算部3により都度求められる構成としても良い。
【0048】
また、作業者の入域中に健康管理装置から放射線被ばく線量および生理的変数の測定結果や作業内容について無線で中央制御装置40にデータを送信し、中央制御装置40において作業員履歴データ42に健康管理装置から送信されたデータを累積して保存すると共に、作業員履歴データ42等のデータに基づき演算部44により累積放射線被ばく線量許容範囲または生理的変数許容範囲等について演算を行ないその値について健康管理装置に無線でデータを送信する構成としても良い。
【0049】
また、本実施の形態において、マイクロホン20、通信部6およびアンテナ6a、表示装置30について、その一部または全部を設置しない構成としても良い。
【0050】
このときは、警報は作業員のみに発せられるので、作業員は自ら対処しなけばならない。しかしながら、警報は、作業員が対処できる体調の変化で発せられるため、作業員自ら十分に対処できる。このためこの場合も、作業員の健康管理を十分に行なうことができる。
【0051】
また、健康管理装置本体1に表示部および入力ボタンを設置し、表示装置30の機能の一部または全部を健康管理装置本体1に担持させても良い。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、作業中の作業員の放射線被ばく線量および生理的変数を測定しかつ挙動の監視を行なうことにより、各作業員の健康管理を即時性をもって的確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る健康管理装置の本体およびイヤホン部の構成を示す概略図。
【図2】(a)は図1の健康管理装置の表示装置の一例を示す斜視図、(b)は同表示装置の機能ブロック図。
【図3】図1の健康管理装置と情報を授受する中央制御装置のブロック図。
【符号の説明】
1… 健康管理装置本体
2… 放射線検出器
3… 増幅器
4… 演算部
5… 記憶媒体
6… 通信部
7… 入出力部
8… 電源部
9… 充電池
10… 生理的変数測定部
20… マイクロホン
30… 表示装置
40… 中央制御装置
47… 入域管理装置
Claims (4)
- 放射線被ばく線量を測定する第1の手段と、作業員の生理的変数を測定する第2の手段と、前記放射線被ばく線量と前記生理的変数と累積放射線被ばく線量許容範囲データと生理的変数許容範囲データを記憶する記憶手段と、前記累積放射線被ばく線量許容範囲データに基づく累積放射線被ばく線量許容範囲と前記放射線被ばく線量の累積値および前記生理的変数許容範囲データに基づく生理的変数許容範囲と前記生理的変数をそれぞれ比較する演算手段と、演算手段での比較結果が前記累積放射線被ばく線量許容範囲外または前記生理的変数許容範囲外であった場合に警報を発生する警報手段とを有することを特徴とする健康管理装置。
- 前記生理的変数は心拍数、体温、血圧のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の健康管理装置。
- 前記記憶手段は、作業工程に関する作業計画データと、この作業計画の作業工程毎に前記生理的変数許容範囲データが記憶されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の健康管理装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載した健康管理装置と、この健康管理装置の記憶手段からデータを読み出す手段と、この読み出す手段により読み出したデータを作業員毎に測定した時刻、放射線被ばく線量、生理的変数を作業員履歴データとして累積して記憶する記憶手段と、前記作業員履歴データに基づき作業員毎に累積放射線被ばく線量許容範囲データおよび生理的変数許容範囲データを算出する演算手段と、前記累積放射線被ばく線量許容範囲データと前記生理的変数許容範囲データを前記健康管理装置の記憶手段に記憶させる手段とを具備することを特徴とする放射線管理システム。
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