JP2004101213A - 光学系のmtfを測定する装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】省スペース化、迅速な測定、並びに、コストダウンを実現する光学系(即ち、被検レンズ)のMTFを測定する装置及び方法を提供する。
【解決手段】光源と、測定基準となるチャートと、前記光源を前記チャートに照明する第1の光学部材と、前記チャートを仮想的に所定の距離から発光したようにさせる第2の光学部材と、前記光学系を所定の配置にする支持装置と、前記光学系を経た光を反射する反射鏡と、前記チャートの像を前記光学系と共に結像させる第3の光学部材と、当該第3の光学部材によって形成された前記像を検出する検出手段と、前記検出手段から得られた前記像の情報から前記光学系のMTFを算出し、かつ、出力する演算出力装置とを有することを特徴とした測定装置を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】光源と、測定基準となるチャートと、前記光源を前記チャートに照明する第1の光学部材と、前記チャートを仮想的に所定の距離から発光したようにさせる第2の光学部材と、前記光学系を所定の配置にする支持装置と、前記光学系を経た光を反射する反射鏡と、前記チャートの像を前記光学系と共に結像させる第3の光学部材と、当該第3の光学部材によって形成された前記像を検出する検出手段と、前記検出手段から得られた前記像の情報から前記光学系のMTFを算出し、かつ、出力する演算出力装置とを有することを特徴とした測定装置を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
物体を結像させる光学系の光学性能中でとりわけ重要な解像性能の評価として、その光学系による物体または像面での空間周波数成分の劣化度を示すOTF(Optical Transfer Function)またはそのOTFの位相成分を除いたMTF(Modulation Transfer Function)がある。本発明はこのOTF、MTF測定の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から結像レンズのOTFやMTFを測定する方法や装置は多々提案されている。例えば、米国特許第4,110,046号は、図5に示すように、テストレンズ(又は被検レンズ)12を解析装置10についているマウントに取付け、物体位置に設けた光源14からの光がテストレンズ12を介して透過した光を解析装置10で検出し、信号処理装置16にてテストレンズ12のMTFを測定する。
【0003】
また、例えば、本出願人による特開平7−5073は、結像レンズ(又は被検レンズ)の像面からチャートをその結像レンズを介して投影する投光部と、物体側に受光部を設けて更に受光部が所定平面内で移動可能な機構とを追加することによってMTFの測定の自動化を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの装置や方法は、被検レンズの物体面に光源や基準のチャートを配置して被検レンズの結像面に解析装置を配置するか、被検レンズの結像面にチャートを配置して物体面に受光部を配置している。これらの装置や方法は、このように、被検レンズの実際の物体距離に投光部か受光部を配置するために、距離が長く、かつ、被検レンズの画角が大きければ更なる幅や高さが必要となるため、測定装置の大型化を招く。また、測定の主要部分である投光部又は受光部を被検レンズの画角に応じて精度よく長距離移動させるために測定時間が長くなり、その機構や広い空間を有する暗室を必要とするため装置価格とその付帯設備を必要とする結果、測定装置のコストアップを招く。
【0005】
高品質のレンズ生産にはMTFの測定が必須であり、レンズの多機能化に伴う、高倍ズームや防振機能などの測定項目の増加に伴って、工場の省スペース・迅速な測定、低価格な測定装置が要求されている。
【0006】
そこで、本発明は、省スペース化、迅速な測定、並びに、コストダウンを実現する光学系(即ち、被検レンズ)のMTFを測定する装置及び方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面としての光学系のMTFを測定する装置は、測定基準となるチャートと、光源からの光を前記チャートに照明する第1の光学部材と、前記チャートを仮想的に所定の距離から発光したようにさせる第2の光学部材と、前記光学系を所定の配置にする支持装置と、前記光学系を経た光を反射する反射鏡と、前記チャートの像を前記光学系と共に結像させる第3の光学部材と、前記チャートの像を検出する検出手段と、前記検出手段から得られた前記像の情報から前記光学系のMTFを算出し、かつ、出力する演算出力装置とを有することを特徴とする。
【0008】
前記反射鏡は、前記光学系の物体位置又は結像位置にほぼ曲率中心を有してもよい。前記第2の部材は前記第3の光学部材の少なくとも一部を兼ねてもよい。前記光源と前記チャートと前記第1の光学部材と前記第2の光学部材と前記第3の光学部材と前記検出手段とを含む測定装置本体と、前記支持装置と、前記反射鏡とは、相対的に並行移動及び回転可能に構成されていてもよい。前記検出手段は光量も検出し、前記光学系の透過率も測定してもよい。
【0009】
前記チャートは、微細な形状や十字状のスリットを含んでもよい。前記検出手段は2次元撮像素子を有してもよい。この場合、前記2次元撮像素子の画素は、前記スリットの方位に対して非平行に配列されていることが好ましい。
【0010】
前記第2の光学部材から発する光束を第1の直線偏光とし、前記反射鏡からの戻り光束を該直線偏光と直交する第2の直線偏光とし、前記第3の光学部材は前記第2の直線偏光のみを結像させてもよい。
【0011】
前記第2及び/又は第3の光学部材は結像レンズとしてのズームレンズを有してもよい。
【0012】
前記測定装置によってMTFが測定された前記光学系も本発明の一側面を構成する。
【0013】
本発明の別の側面としての上述の測定装置を使用して前記光学系のMTFを測定する方法は、前記測定装置の測定条件及び位置、前記光学系の位置及び測定条件、前記反射鏡の条件と位置を設定する第1のステップと、前記測定装置と前記光学系と前記反射鏡を光学的に調整する第2のステップと、前記光学系のMTFを測定する第3のステップと、測定された前記MTFを出力する第4のステップとを有することを特徴とする。
【0014】
前記第1のステップにおいて設定された条件を変化させて前記第2乃至第4のステップを繰り返してもよい。変化される前記条件は、前記測定装置の測定条件及び/又は位置、前記光学系の位置及び/又は条件、及び、前記反射鏡の条件及び/又は位置である。
【0015】
前記方法によってMTFが測定された前記光学系も本発明の一側面を構成する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、被検レンズTLのMTFを測定する本発明の一実施形態のMTF測定装置100について添付図面を使って説明する。ここで、図1は、MTF測定装置100の概略的な光路図である。MTF測定装置100は、光源112を含んだ第1の光学部材102と、第2の光学部材104と、第3の光学部材106と、チャート124と、光学系としての被検レンズTLを支持する支持装置140と、反射鏡150と、検出手段160と、MTF演算出力装置170とを有する。
【0017】
第1の光学部材102は、光源112、楕円鏡114、拡散板116、遮光板118、集光レンズ120、色フィルター122を含み、光源112の光エネルギーを後述のチャート面に有効照明する機能を有する。
【0018】
光源112、例えば、ハロゲンランプや水銀ランプは、楕円鏡114の1焦点に配置され、楕円鏡114のもう1つの焦点に光源112を結像させる。結像位置には光が漏れないように遮光板118が配置されている。これはクリティカル照明と呼ばれる照明方法であるが、光源の強度分布や配光特性をそのまま伝えることになる。そのためそれらを平均化するために光源112と遮光板118との間には、拡散板116が配置され、実際の物体からの光に極力近づけている。集光レンズ120と色フィルター122は、スリットを設けているチャート124を、所定の分光特性をもつ光で照明する。このように、第1の光学部材102は擬似結像位置を照明するものである。
【0019】
チャート124は、MTF測定のための擬似結像位置となる。具体的には微小な線幅を透過させ、その他は吸収または反射させるものである。後述する図2(a)のような十字または矩形な形状を有する。チャート124は、第1の光学部材102が形成した2次光源の近傍に設けられ、2次光源からの光の一部を透過し、一部を遮光する機能を有する。
【0020】
第2の光学部材104は、ハーフミラー126と、結像レンズ128と、絞り130とを含み、チャート124を仮想的に所定の距離から発光したようにする機能を有する。チャート124をハーフミラー126と結像レンズ128と絞り130で、所定の距離に所定の光束径でチャート124を経た光束を結像させる。図1の例では被検レンズTLの結像面132にチャート124を結像させている。この場合のチャート結像倍率βは、近似的に、β=s2/s1となる。但し、s1は、チャート124から結像レンズ128までの距離、s2は結像レンズ128から結像面132までの距離である。絞り130は被検レンズTLに有効な光束になるように設定される。第2の光学部材104から射出される光束が被検レンズTLの所望な結像位置になるように、被検レンズTLを配置する。
【0021】
被検レンズTLは支持装置140に搭載され、支持装置140は被検レンズTLを所定の姿勢に配置する。被検レンズTLを射出した光束は、被検レンズTLの物体位置にチャート124のスリットを結像する。
【0022】
被検レンズTLの物体位置には、当該物体位置にほぼ曲率中心を有する反射鏡150が配置される。図1に示す例では、反射鏡150はその物体位置に曲率中心をもつ凸面鏡から構成されている。被検レンズTLの物体位置が無限縁の場合には凸面鏡の代わりに平面鏡を、また、その物体位置が反射鏡よりも左側にある場合には凹面鏡を配置する。また、別の実施形態では反射鏡150は平面鏡から構成される。反射鏡150の表面は使用波長で反射するよう膜が形成されている。
【0023】
第3の光学部材106は、絞り130と、結像レンズ128と、ハーフミラー126とを含み、チャート124の像を被検レンズTLと共に結像させる機能を有する。本実施形態では、第2の光学部材104は第3の光学部材を兼ねており、部品点数の削減とそれによる測定装置のコストダウンを図ることができる。反射鏡150によって反射された光束は、反射されて被検レンズTLを通り、絞り130と結像レンズ128も通過し、ハーフミラー126で反射する。別の実施形態においては、別のハーフミラーを第2の光学部材104と被検レンズTLの間に配置し、第2の光学部材104及び第3の光学部材106に共に結像レンズを設けてもよい。結像レンズ128と被検レンズTL、及び、第3の光学部材106に配置される図示しない結像レンズの性能と位置からチャート124の総合倍率が決まるため、総合倍率がより自由に変更可能となる。
【0024】
チャート124と共役な位置には、第3の光学部材106によって形成された像を検出する検出手段としての2次元撮像素子160が配置され、チャート124のスリットの結像状態を検出する。
【0025】
2次元撮像装置160はMTF演算出力装置170に接続される。MTF演算出力装置170は、2次元撮像装置160が検出した結像状態をMTF値に変換する演算部と、MTF値を記録、表示、並びに、紙にプリントアウトなどする出力部を含む。
【0026】
以上のように、本実施形態のMTF測定装置100は、従来のように同じような複雑な投光、受光の光学ユニットが2体ある代わりに、第1の光学部材102とチャート124と第2の光学部材104と第3の光学部材106そして検出手段160からなるMTF測定装置本体101が一体化され、残りは単純な構成の反射鏡150から構成されるため、光源112や検出手段160などに電気を供給するケーブルはMTF測定装置本体101のみに接続となることや精密な光学調整されるユニットもその本体101のみで取り扱いが非常に容易になっている。
【0027】
また、MTF測定の重要なパラメータである被検レンズTLの物体距離や画角位置を変化させるには、MTF測定装置本体101と被検レンズTL又は支持装置140と反射鏡150を相対的に並行移動や回転を行なうことで可能になる。そのためには MTF測定装置本体101と被検レンズTL又は支持装置140と反射鏡に並行移動や回転できる図示しない機構を設け、MTF測定装置本体101の検出手段160などを使い各光学軸を所定に光学調整する。また、本実施形態は、従来の被検レンズの1回透過での測定に対して、本発明は2回透過するため、2倍高感度で測定できる特徴がある。
【0028】
図2は、2次元撮像素子160で検出する場合の2種類のチャート124を示す。図2(a)は、チャート124が十字状のスリット125aを有し、微小な線幅を有する十字状のスリット125aでMTFの直交するy−z方位のMTFを同時に測定可能にする場合を示している。これによりMTFのデフォーカス特性から非点収差測定ができる。図2(a)は、2次元撮像素子上での十字スリット125aを模式的に示しており、実際には十字スリット125aの像は被検レンズTLにより像劣化を起こすため十字スリットの端は不明瞭になる。
【0029】
Y−Zに配列されている小さな黒色矩形Pは2次元撮像素子の画素を示している。その画素P配列と十字スリット125aの端の方位を非平行に構成することによって、画素Pとその端の方位との相対差による測定誤差を軽減することができる。十字スリット125aのy方向の像は上下の斜線部Pyで検出し、各yの高さに応じて十字スリットの端とのzの相対差を補正して、積算してz方向のMTFを測定する。y方向のMTFは十字スリット125aのz方向の像は左右の斜線部Pzで検出し、z方向同様にy方向のMTFを測定する。
【0030】
図2(b)は、直交した矩形チャート125b及び125cをお互いに像が干渉しない範囲で離し、図2(a)と同様に、y−z方位のMTFを測定可能にした状態を示している。図2(a)と同様に、斜線部Py’及びPz’が2次元撮像素子160での検出部分である。矩形のスリット125b及び125cの方位は、1つであれば、それと直交方位の1つのMTFが測定でき、それを多数配置すれば、多くの方位のMTFが同時に測定できる。ただしその分、お互いの像が干渉しないようチャートを大きくする。
【0031】
本発明は、前述の2次元撮像素子160の代わりに、従来よく使われている単スリットとその結像面での単スリット走査による光量検出方式によるMTF測定も使用することができる。そのためには チャート124として細い矩形のスリットを設け、2次元撮像素子160の代わりに走査可能な細い矩形スリットとその背後に透過光量を検出可能なホトマルやシリコンセンサーを配置する。
【0032】
実際のMTF測定では、他の手段でベストフォーカス位置を設定することは難しく、具体的には反射鏡を光軸方向に微動させ、2次元撮像素子上のチャート像を相対的にデフォーカスしMTFを測定し、一番良好なMTFを示すデフォーカス位置をベストフォーカス位置としている。本実施形態は一枚の反射鏡150のみを移動させることで、簡単にデフォーカスを達成できる。別の実施実施形態においては、反射鏡150の代わりにMTF測定装置本体101や被検レンズTLを移動させてデフォーカスを行なう。
【0033】
以下、図4を参照して、本発明の別の実施形態のMTF測定装置100Aについて説明する。ここで、図4は、MTF測定装置100Aの概略的な光路図であり、図1と同一の部材は同一の参照番号を付している。
【0034】
MTF測定装置100においては、反射鏡150は被検レンズTLの物体位置にほぼ曲率中心を有するように配置されるが、MTF測定装置100Aにおいては、反射鏡150Aは被検レンズTLの結像位置にほぼ曲率中心を有するように配置される。図4の例では、第2の光学部材104は、無限遠にチャート124を結像させているが、被検レンズTLの物体距離に合わせて結像させる。被検レンズTLからでた光束は、被検レンズTLの結像位置にチャート124のスリットを結像する。図2(a)及び図2(b)に示すスリット125a乃至125cの形状と2次元撮像素子160の画素配列は図1に示すMTF測定装置100Aにそのまま適用することができる。
【0035】
図1の更に別の実施形態を以下列記する。
(1) 第1の光学部材102として、直接光源を屈折系のみで、チャート124を照明することもできる。光源112の発散量を有効に使用しないが、自然な配光分布を提供できる利点がある。
(2) 反射鏡150としてコリメータレンズ及び平面鏡で反射させることもできる。また被検レンズTLが、結像レンズ128の一部となっており理想的にその結像位置近傍の波面が球面波にならない場合は、反射鏡150として非球面を使い、元の光路に戻すようにすることでその被検レンズTLのMTF測定ができる。
(3) 図1に示す実施形態は被検レンズTLを光束が2回透過させるため、光束が1回透過する際に、被検レンズTLの表面反射が2次元撮像素子160に入る可能性がある。これを防ぐために、図1のハーフミラー126を偏光ビームスプリッターとし、被検レンズTLに入る光を直線偏光にして、次に被検レンズTLと凹面鏡としての反射鏡150の間に1/4波長板を所定の方位に設け円偏光にして、反射鏡150で反射させ、再度1/4波長板を透過すると1回目の透過光と直交した直線偏光となるように構成する。この結果、被検レンズTLの1回目の透過の際に発生する表面反射は、入射偏光と同じ方位なので偏光ビームスプリッターにより、2次元撮像素子160には入射せず、光源の方に戻り、表面反射は除去できる。
(4) 2次元撮像素子160の全画素の光量を検出すれば、被検レンズTLの透過率も同時に測定できる。更に透過率のわかっている被検レンズで校正しておき、かつ光源の変動をモニターすることで容易に透過率測定ができる。
(5) 拡散板116の代わりに光ファイバーにすることで、その光ファイバーでの拡散特性を利用することができる。
(6) 焦点距離やFナンバーなどの異なる多種の被検レンズTLやズームレンズの被検レンズTLを検査するために、被検レンズTLへの入射光束、チャートの線幅や測定感度などの最適化を行なう。そのためには結像レンズ、チャート、結像レンズや絞りを交換できるようにする。また結像レンズをズームレンズにすれば交換せずに、そのズームレンズの焦点距離、Fナンバー、物体距離を変えることで、焦点距離やFナンバーなどの異なる多種の被検レンズやズームレンズの被検レンズを容易に測定できるようになる。
【0036】
以下、図3を参照して本発明の被検レンズのMTFを測定する方法について説明する。ここで、図3は、本発明の測定方法の一例を示すフローチャートである。かかる測定方法は測定装置100及び100Aのいずれも使用することができる。
【0037】
まず、MTF測定装置の電源等を点灯する(ステップ1002)。これは特に光源などのように点灯直後では不安定な場合は事前に点灯しておくことが好ましい。
【0038】
次に、MTF測定条件である各種の拡散板116、色フィルター122、チャート124、結像レンズ128、絞り130、そしてそのチャート124の結像位置(被検レンズからみると結像位置に相当する)などを設定する(ステップ1004)。
【0039】
次に、被検レンズTLの測定条件であるズーム比、物体距離、Fナンバー、像面位置、画角とそのMTF測定機との相対位置などを設定する(ステップ1006)。次に、反射鏡150の条件及び/又は位置などを設定する(ステップ1008)。なお、これらMTF測定条件や被検レンズTLの測定条件や反射鏡150の位置の設定は独立で行なえるので、順番は任意である。
【0040】
次に、チャート124の像が2次元撮像素子160の所定の位置に正しく結像されるように、MTF測定装置本体101(即ち、第1光学部材102、チャート124、第2光学部材104、第3光学部材106及び2次元撮像素子160で構成されているユニット)、被検レンズTL、反射鏡150の相対位置を調整する。この時、2次元撮像素子160の画像を見ながら行なうことで可能であるが、別の代替手段たとえばハーフミラー126の上部から戻り光のチャート124上または2次元撮像素子160上を目視で見ながらでも良い。
【0041】
次に、MTFを測定する(ステップ1012)。具体的には2次元撮像素子160からの画像信号を処理し、演算してMTF値を算出する。更に、各種条件を変え、MTFを測定し、その各種条件とそのときのMTF値を数値、表あるいは図で出力する(ステップ1014)。最後に被検レンズTLを取り外したり、各電源を切るなど行い、完了となる。
【0042】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、物体位置や画角位置は反射鏡又は第2光学部材によって任意の物体距離に、かつ、MTF測定装置本体101と反射鏡150と被検レンズTLとの相対位置や角度により任意に設定できるため、大きなスペースが不要になる。また、MTF測定装置100は、移動量も少なく、操作が簡単で被検レンズTLのMTFを迅速に測定することができる。またチャート124の投光と受光をMTF測定装置本体101として一体化できるため、装置の小型化と低価格化を図ることができる。また被検レンズTLを2回透過するため、高感度かつ信頼性良く、被検レンズTLのMTFを測定することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、省スペース化、迅速な測定、並びに、コストダウンを実現する光学系(即ち、被検レンズ)のMTFを測定する装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のMTF測定装置の単純化された光路図である。
【図2】図1に示すMTF測定装置に使用される2次元撮像素子上のチャートの像の位置と2次元撮像素子に使用される画素配列を説明するための図である。
【図3】本発明による測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の別の実施形態のMTF測定装置の単純化された光路図である。
【図5】従来のMTF測定装置を説明するための外観斜視図である。
【符号の説明】
100、100A MTF測定装置
101 MTF測定装置本体
102 第1の光学部材
104 第2の光学部材
106 第3の光学部材
124 チャート
140 支持装置
150、150A 反射鏡
160 2次元撮像素子
170 MTF演算出力装置
【発明の属する技術分野】
物体を結像させる光学系の光学性能中でとりわけ重要な解像性能の評価として、その光学系による物体または像面での空間周波数成分の劣化度を示すOTF(Optical Transfer Function)またはそのOTFの位相成分を除いたMTF(Modulation Transfer Function)がある。本発明はこのOTF、MTF測定の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から結像レンズのOTFやMTFを測定する方法や装置は多々提案されている。例えば、米国特許第4,110,046号は、図5に示すように、テストレンズ(又は被検レンズ)12を解析装置10についているマウントに取付け、物体位置に設けた光源14からの光がテストレンズ12を介して透過した光を解析装置10で検出し、信号処理装置16にてテストレンズ12のMTFを測定する。
【0003】
また、例えば、本出願人による特開平7−5073は、結像レンズ(又は被検レンズ)の像面からチャートをその結像レンズを介して投影する投光部と、物体側に受光部を設けて更に受光部が所定平面内で移動可能な機構とを追加することによってMTFの測定の自動化を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの装置や方法は、被検レンズの物体面に光源や基準のチャートを配置して被検レンズの結像面に解析装置を配置するか、被検レンズの結像面にチャートを配置して物体面に受光部を配置している。これらの装置や方法は、このように、被検レンズの実際の物体距離に投光部か受光部を配置するために、距離が長く、かつ、被検レンズの画角が大きければ更なる幅や高さが必要となるため、測定装置の大型化を招く。また、測定の主要部分である投光部又は受光部を被検レンズの画角に応じて精度よく長距離移動させるために測定時間が長くなり、その機構や広い空間を有する暗室を必要とするため装置価格とその付帯設備を必要とする結果、測定装置のコストアップを招く。
【0005】
高品質のレンズ生産にはMTFの測定が必須であり、レンズの多機能化に伴う、高倍ズームや防振機能などの測定項目の増加に伴って、工場の省スペース・迅速な測定、低価格な測定装置が要求されている。
【0006】
そこで、本発明は、省スペース化、迅速な測定、並びに、コストダウンを実現する光学系(即ち、被検レンズ)のMTFを測定する装置及び方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面としての光学系のMTFを測定する装置は、測定基準となるチャートと、光源からの光を前記チャートに照明する第1の光学部材と、前記チャートを仮想的に所定の距離から発光したようにさせる第2の光学部材と、前記光学系を所定の配置にする支持装置と、前記光学系を経た光を反射する反射鏡と、前記チャートの像を前記光学系と共に結像させる第3の光学部材と、前記チャートの像を検出する検出手段と、前記検出手段から得られた前記像の情報から前記光学系のMTFを算出し、かつ、出力する演算出力装置とを有することを特徴とする。
【0008】
前記反射鏡は、前記光学系の物体位置又は結像位置にほぼ曲率中心を有してもよい。前記第2の部材は前記第3の光学部材の少なくとも一部を兼ねてもよい。前記光源と前記チャートと前記第1の光学部材と前記第2の光学部材と前記第3の光学部材と前記検出手段とを含む測定装置本体と、前記支持装置と、前記反射鏡とは、相対的に並行移動及び回転可能に構成されていてもよい。前記検出手段は光量も検出し、前記光学系の透過率も測定してもよい。
【0009】
前記チャートは、微細な形状や十字状のスリットを含んでもよい。前記検出手段は2次元撮像素子を有してもよい。この場合、前記2次元撮像素子の画素は、前記スリットの方位に対して非平行に配列されていることが好ましい。
【0010】
前記第2の光学部材から発する光束を第1の直線偏光とし、前記反射鏡からの戻り光束を該直線偏光と直交する第2の直線偏光とし、前記第3の光学部材は前記第2の直線偏光のみを結像させてもよい。
【0011】
前記第2及び/又は第3の光学部材は結像レンズとしてのズームレンズを有してもよい。
【0012】
前記測定装置によってMTFが測定された前記光学系も本発明の一側面を構成する。
【0013】
本発明の別の側面としての上述の測定装置を使用して前記光学系のMTFを測定する方法は、前記測定装置の測定条件及び位置、前記光学系の位置及び測定条件、前記反射鏡の条件と位置を設定する第1のステップと、前記測定装置と前記光学系と前記反射鏡を光学的に調整する第2のステップと、前記光学系のMTFを測定する第3のステップと、測定された前記MTFを出力する第4のステップとを有することを特徴とする。
【0014】
前記第1のステップにおいて設定された条件を変化させて前記第2乃至第4のステップを繰り返してもよい。変化される前記条件は、前記測定装置の測定条件及び/又は位置、前記光学系の位置及び/又は条件、及び、前記反射鏡の条件及び/又は位置である。
【0015】
前記方法によってMTFが測定された前記光学系も本発明の一側面を構成する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、被検レンズTLのMTFを測定する本発明の一実施形態のMTF測定装置100について添付図面を使って説明する。ここで、図1は、MTF測定装置100の概略的な光路図である。MTF測定装置100は、光源112を含んだ第1の光学部材102と、第2の光学部材104と、第3の光学部材106と、チャート124と、光学系としての被検レンズTLを支持する支持装置140と、反射鏡150と、検出手段160と、MTF演算出力装置170とを有する。
【0017】
第1の光学部材102は、光源112、楕円鏡114、拡散板116、遮光板118、集光レンズ120、色フィルター122を含み、光源112の光エネルギーを後述のチャート面に有効照明する機能を有する。
【0018】
光源112、例えば、ハロゲンランプや水銀ランプは、楕円鏡114の1焦点に配置され、楕円鏡114のもう1つの焦点に光源112を結像させる。結像位置には光が漏れないように遮光板118が配置されている。これはクリティカル照明と呼ばれる照明方法であるが、光源の強度分布や配光特性をそのまま伝えることになる。そのためそれらを平均化するために光源112と遮光板118との間には、拡散板116が配置され、実際の物体からの光に極力近づけている。集光レンズ120と色フィルター122は、スリットを設けているチャート124を、所定の分光特性をもつ光で照明する。このように、第1の光学部材102は擬似結像位置を照明するものである。
【0019】
チャート124は、MTF測定のための擬似結像位置となる。具体的には微小な線幅を透過させ、その他は吸収または反射させるものである。後述する図2(a)のような十字または矩形な形状を有する。チャート124は、第1の光学部材102が形成した2次光源の近傍に設けられ、2次光源からの光の一部を透過し、一部を遮光する機能を有する。
【0020】
第2の光学部材104は、ハーフミラー126と、結像レンズ128と、絞り130とを含み、チャート124を仮想的に所定の距離から発光したようにする機能を有する。チャート124をハーフミラー126と結像レンズ128と絞り130で、所定の距離に所定の光束径でチャート124を経た光束を結像させる。図1の例では被検レンズTLの結像面132にチャート124を結像させている。この場合のチャート結像倍率βは、近似的に、β=s2/s1となる。但し、s1は、チャート124から結像レンズ128までの距離、s2は結像レンズ128から結像面132までの距離である。絞り130は被検レンズTLに有効な光束になるように設定される。第2の光学部材104から射出される光束が被検レンズTLの所望な結像位置になるように、被検レンズTLを配置する。
【0021】
被検レンズTLは支持装置140に搭載され、支持装置140は被検レンズTLを所定の姿勢に配置する。被検レンズTLを射出した光束は、被検レンズTLの物体位置にチャート124のスリットを結像する。
【0022】
被検レンズTLの物体位置には、当該物体位置にほぼ曲率中心を有する反射鏡150が配置される。図1に示す例では、反射鏡150はその物体位置に曲率中心をもつ凸面鏡から構成されている。被検レンズTLの物体位置が無限縁の場合には凸面鏡の代わりに平面鏡を、また、その物体位置が反射鏡よりも左側にある場合には凹面鏡を配置する。また、別の実施形態では反射鏡150は平面鏡から構成される。反射鏡150の表面は使用波長で反射するよう膜が形成されている。
【0023】
第3の光学部材106は、絞り130と、結像レンズ128と、ハーフミラー126とを含み、チャート124の像を被検レンズTLと共に結像させる機能を有する。本実施形態では、第2の光学部材104は第3の光学部材を兼ねており、部品点数の削減とそれによる測定装置のコストダウンを図ることができる。反射鏡150によって反射された光束は、反射されて被検レンズTLを通り、絞り130と結像レンズ128も通過し、ハーフミラー126で反射する。別の実施形態においては、別のハーフミラーを第2の光学部材104と被検レンズTLの間に配置し、第2の光学部材104及び第3の光学部材106に共に結像レンズを設けてもよい。結像レンズ128と被検レンズTL、及び、第3の光学部材106に配置される図示しない結像レンズの性能と位置からチャート124の総合倍率が決まるため、総合倍率がより自由に変更可能となる。
【0024】
チャート124と共役な位置には、第3の光学部材106によって形成された像を検出する検出手段としての2次元撮像素子160が配置され、チャート124のスリットの結像状態を検出する。
【0025】
2次元撮像装置160はMTF演算出力装置170に接続される。MTF演算出力装置170は、2次元撮像装置160が検出した結像状態をMTF値に変換する演算部と、MTF値を記録、表示、並びに、紙にプリントアウトなどする出力部を含む。
【0026】
以上のように、本実施形態のMTF測定装置100は、従来のように同じような複雑な投光、受光の光学ユニットが2体ある代わりに、第1の光学部材102とチャート124と第2の光学部材104と第3の光学部材106そして検出手段160からなるMTF測定装置本体101が一体化され、残りは単純な構成の反射鏡150から構成されるため、光源112や検出手段160などに電気を供給するケーブルはMTF測定装置本体101のみに接続となることや精密な光学調整されるユニットもその本体101のみで取り扱いが非常に容易になっている。
【0027】
また、MTF測定の重要なパラメータである被検レンズTLの物体距離や画角位置を変化させるには、MTF測定装置本体101と被検レンズTL又は支持装置140と反射鏡150を相対的に並行移動や回転を行なうことで可能になる。そのためには MTF測定装置本体101と被検レンズTL又は支持装置140と反射鏡に並行移動や回転できる図示しない機構を設け、MTF測定装置本体101の検出手段160などを使い各光学軸を所定に光学調整する。また、本実施形態は、従来の被検レンズの1回透過での測定に対して、本発明は2回透過するため、2倍高感度で測定できる特徴がある。
【0028】
図2は、2次元撮像素子160で検出する場合の2種類のチャート124を示す。図2(a)は、チャート124が十字状のスリット125aを有し、微小な線幅を有する十字状のスリット125aでMTFの直交するy−z方位のMTFを同時に測定可能にする場合を示している。これによりMTFのデフォーカス特性から非点収差測定ができる。図2(a)は、2次元撮像素子上での十字スリット125aを模式的に示しており、実際には十字スリット125aの像は被検レンズTLにより像劣化を起こすため十字スリットの端は不明瞭になる。
【0029】
Y−Zに配列されている小さな黒色矩形Pは2次元撮像素子の画素を示している。その画素P配列と十字スリット125aの端の方位を非平行に構成することによって、画素Pとその端の方位との相対差による測定誤差を軽減することができる。十字スリット125aのy方向の像は上下の斜線部Pyで検出し、各yの高さに応じて十字スリットの端とのzの相対差を補正して、積算してz方向のMTFを測定する。y方向のMTFは十字スリット125aのz方向の像は左右の斜線部Pzで検出し、z方向同様にy方向のMTFを測定する。
【0030】
図2(b)は、直交した矩形チャート125b及び125cをお互いに像が干渉しない範囲で離し、図2(a)と同様に、y−z方位のMTFを測定可能にした状態を示している。図2(a)と同様に、斜線部Py’及びPz’が2次元撮像素子160での検出部分である。矩形のスリット125b及び125cの方位は、1つであれば、それと直交方位の1つのMTFが測定でき、それを多数配置すれば、多くの方位のMTFが同時に測定できる。ただしその分、お互いの像が干渉しないようチャートを大きくする。
【0031】
本発明は、前述の2次元撮像素子160の代わりに、従来よく使われている単スリットとその結像面での単スリット走査による光量検出方式によるMTF測定も使用することができる。そのためには チャート124として細い矩形のスリットを設け、2次元撮像素子160の代わりに走査可能な細い矩形スリットとその背後に透過光量を検出可能なホトマルやシリコンセンサーを配置する。
【0032】
実際のMTF測定では、他の手段でベストフォーカス位置を設定することは難しく、具体的には反射鏡を光軸方向に微動させ、2次元撮像素子上のチャート像を相対的にデフォーカスしMTFを測定し、一番良好なMTFを示すデフォーカス位置をベストフォーカス位置としている。本実施形態は一枚の反射鏡150のみを移動させることで、簡単にデフォーカスを達成できる。別の実施実施形態においては、反射鏡150の代わりにMTF測定装置本体101や被検レンズTLを移動させてデフォーカスを行なう。
【0033】
以下、図4を参照して、本発明の別の実施形態のMTF測定装置100Aについて説明する。ここで、図4は、MTF測定装置100Aの概略的な光路図であり、図1と同一の部材は同一の参照番号を付している。
【0034】
MTF測定装置100においては、反射鏡150は被検レンズTLの物体位置にほぼ曲率中心を有するように配置されるが、MTF測定装置100Aにおいては、反射鏡150Aは被検レンズTLの結像位置にほぼ曲率中心を有するように配置される。図4の例では、第2の光学部材104は、無限遠にチャート124を結像させているが、被検レンズTLの物体距離に合わせて結像させる。被検レンズTLからでた光束は、被検レンズTLの結像位置にチャート124のスリットを結像する。図2(a)及び図2(b)に示すスリット125a乃至125cの形状と2次元撮像素子160の画素配列は図1に示すMTF測定装置100Aにそのまま適用することができる。
【0035】
図1の更に別の実施形態を以下列記する。
(1) 第1の光学部材102として、直接光源を屈折系のみで、チャート124を照明することもできる。光源112の発散量を有効に使用しないが、自然な配光分布を提供できる利点がある。
(2) 反射鏡150としてコリメータレンズ及び平面鏡で反射させることもできる。また被検レンズTLが、結像レンズ128の一部となっており理想的にその結像位置近傍の波面が球面波にならない場合は、反射鏡150として非球面を使い、元の光路に戻すようにすることでその被検レンズTLのMTF測定ができる。
(3) 図1に示す実施形態は被検レンズTLを光束が2回透過させるため、光束が1回透過する際に、被検レンズTLの表面反射が2次元撮像素子160に入る可能性がある。これを防ぐために、図1のハーフミラー126を偏光ビームスプリッターとし、被検レンズTLに入る光を直線偏光にして、次に被検レンズTLと凹面鏡としての反射鏡150の間に1/4波長板を所定の方位に設け円偏光にして、反射鏡150で反射させ、再度1/4波長板を透過すると1回目の透過光と直交した直線偏光となるように構成する。この結果、被検レンズTLの1回目の透過の際に発生する表面反射は、入射偏光と同じ方位なので偏光ビームスプリッターにより、2次元撮像素子160には入射せず、光源の方に戻り、表面反射は除去できる。
(4) 2次元撮像素子160の全画素の光量を検出すれば、被検レンズTLの透過率も同時に測定できる。更に透過率のわかっている被検レンズで校正しておき、かつ光源の変動をモニターすることで容易に透過率測定ができる。
(5) 拡散板116の代わりに光ファイバーにすることで、その光ファイバーでの拡散特性を利用することができる。
(6) 焦点距離やFナンバーなどの異なる多種の被検レンズTLやズームレンズの被検レンズTLを検査するために、被検レンズTLへの入射光束、チャートの線幅や測定感度などの最適化を行なう。そのためには結像レンズ、チャート、結像レンズや絞りを交換できるようにする。また結像レンズをズームレンズにすれば交換せずに、そのズームレンズの焦点距離、Fナンバー、物体距離を変えることで、焦点距離やFナンバーなどの異なる多種の被検レンズやズームレンズの被検レンズを容易に測定できるようになる。
【0036】
以下、図3を参照して本発明の被検レンズのMTFを測定する方法について説明する。ここで、図3は、本発明の測定方法の一例を示すフローチャートである。かかる測定方法は測定装置100及び100Aのいずれも使用することができる。
【0037】
まず、MTF測定装置の電源等を点灯する(ステップ1002)。これは特に光源などのように点灯直後では不安定な場合は事前に点灯しておくことが好ましい。
【0038】
次に、MTF測定条件である各種の拡散板116、色フィルター122、チャート124、結像レンズ128、絞り130、そしてそのチャート124の結像位置(被検レンズからみると結像位置に相当する)などを設定する(ステップ1004)。
【0039】
次に、被検レンズTLの測定条件であるズーム比、物体距離、Fナンバー、像面位置、画角とそのMTF測定機との相対位置などを設定する(ステップ1006)。次に、反射鏡150の条件及び/又は位置などを設定する(ステップ1008)。なお、これらMTF測定条件や被検レンズTLの測定条件や反射鏡150の位置の設定は独立で行なえるので、順番は任意である。
【0040】
次に、チャート124の像が2次元撮像素子160の所定の位置に正しく結像されるように、MTF測定装置本体101(即ち、第1光学部材102、チャート124、第2光学部材104、第3光学部材106及び2次元撮像素子160で構成されているユニット)、被検レンズTL、反射鏡150の相対位置を調整する。この時、2次元撮像素子160の画像を見ながら行なうことで可能であるが、別の代替手段たとえばハーフミラー126の上部から戻り光のチャート124上または2次元撮像素子160上を目視で見ながらでも良い。
【0041】
次に、MTFを測定する(ステップ1012)。具体的には2次元撮像素子160からの画像信号を処理し、演算してMTF値を算出する。更に、各種条件を変え、MTFを測定し、その各種条件とそのときのMTF値を数値、表あるいは図で出力する(ステップ1014)。最後に被検レンズTLを取り外したり、各電源を切るなど行い、完了となる。
【0042】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、物体位置や画角位置は反射鏡又は第2光学部材によって任意の物体距離に、かつ、MTF測定装置本体101と反射鏡150と被検レンズTLとの相対位置や角度により任意に設定できるため、大きなスペースが不要になる。また、MTF測定装置100は、移動量も少なく、操作が簡単で被検レンズTLのMTFを迅速に測定することができる。またチャート124の投光と受光をMTF測定装置本体101として一体化できるため、装置の小型化と低価格化を図ることができる。また被検レンズTLを2回透過するため、高感度かつ信頼性良く、被検レンズTLのMTFを測定することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、省スペース化、迅速な測定、並びに、コストダウンを実現する光学系(即ち、被検レンズ)のMTFを測定する装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のMTF測定装置の単純化された光路図である。
【図2】図1に示すMTF測定装置に使用される2次元撮像素子上のチャートの像の位置と2次元撮像素子に使用される画素配列を説明するための図である。
【図3】本発明による測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の別の実施形態のMTF測定装置の単純化された光路図である。
【図5】従来のMTF測定装置を説明するための外観斜視図である。
【符号の説明】
100、100A MTF測定装置
101 MTF測定装置本体
102 第1の光学部材
104 第2の光学部材
106 第3の光学部材
124 チャート
140 支持装置
150、150A 反射鏡
160 2次元撮像素子
170 MTF演算出力装置
Claims (20)
- 光学系のMTFを測定する装置であって、
測定基準となるチャートと、光源からの光を前記チャートに照明する第1の光学部材と、
前記チャートを仮想的に所定の距離から発光したようにさせる第2の光学部材と、
前記光学系を所定の配置にする支持装置と、
前記光学系を経た光を反射する反射鏡と、
前記チャートの像を前記光学系と共に結像させる第3の光学部材と、
前記チャートの像を検出する検出手段と、
前記検出手段から得られた前記像の情報から前記光学系のMTFを算出し、かつ、出力する演算出力装置とを有することを特徴とした測定装置。 - 前記反射鏡は、前記光学系の物体位置にほぼ曲率中心を有することを特徴とする請求項1記載の測定装置。
- 前記反射鏡は、前記光学系の結像位置にほぼ曲率中心を有することを特徴とする請求項1記載の測定装置。
- 前記第2の部材は前記第3の光学部材の少なくとも一部を兼ねることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の測定装置。
- 前記光源と前記チャートと前記第1の光学部材と前記第2の光学部材と前記第3の光学部材と前記検出手段とを含む測定装置本体と、前記支持装置と、前記反射鏡とは、相対的に並行移動及び回転可能に構成されていることを特徴とした請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の測定装置。
- 前記検出手段は光量も検出し、前記光学系の透過率も測定することを特徴とした請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の測定装置。
- 前記チャートは、微細なスリットを含むことを特徴とした請求項1乃至6記載のうちいずれか一項記載の測定装置。
- 前記チャートは、十字状のスリットを含むことを特徴とした請求項1乃至6記載のうちいずれか一項記載の測定装置。
- 前記検出手段は2次元撮像素子を有することを特徴とした請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の測定装置。
- 前記検出手段は2次元撮像素子を有し、前記2次元撮像素子の画素は、前記スリットの方位に対して非平行に配列されていることを特徴とした請求項7又は8記載の測定装置。
- 前記第2の光学部材から発する光束を第1の直線偏光とし、前記反射鏡からの戻り光束を該直線偏光と直交する第2の直線偏光とし、前記第3の光学部材は前記第2の直線偏光のみを結像させる請求項1乃至10のうちいずれか一項記載の測定装置。
- 前記第2の光学部材は結像レンズとしてのズームレンズを有する請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の測定装置。
- 前記第3の光学部材は結像レンズとしてのズームレンズを有する請求項1乃至12のうちいずれか一項記載の測定装置。
- 請求項1乃至13のうちいずれか一項記載の前記測定装置によってMTFが測定された前記光学系。
- 請求項1乃至13のうちいずれか一項記載の測定装置を使用して前記光学系のMTFを測定する方法であって、
前記測定装置の測定条件及び位置、前記光学系の位置及び測定条件、前記反射鏡の条件と位置を設定する第1のステップと、
前記測定装置と前記光学系と前記反射鏡を光学的に調整する第2のステップと、
前記光学系のMTFを測定する第3のステップと、
測定された前記MTFを出力する第4のステップとを有することを特徴とする方法。 - 前記第1のステップにおいて設定された条件を変化させて前記第2乃至第4のステップを繰り返すことを特徴とした請求項15記載の方法。
- 変化される前記条件は、前記測定装置の測定条件及び/又は位置であることを特徴とした請求項16記載の方法。
- 変化される前記条件は前記光学系の位置及び/又は条件であることを特徴とした請求項16記載の方法。
- 変化される前記条件は前記反射鏡の条件及び/又は位置であることを特徴とした請求項16記載の方法。
- 請求項15乃至19のうちいずれか一項記載の方法によって測定された光学系。
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