JP2004098006A - 複合半透膜及びその製造方法 - Google Patents

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Naoki Kurata
倉田 直記
Tomoumi Obara
小原 知海
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Abstract

【課題】優れた透水性と実用的な塩阻止性を併せ持つ複合半透膜を短時間の簡易処理により製造するための方法、及びその製造方法によって得られる複合半透膜を提供すること。
【解決手段】ポリアミド系樹脂を含む薄膜と、これを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜を、酸化剤水溶液と接触させ、その後にアルカリ性水溶液と接触させる工程を含む複合半透膜の製造方法。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状混合物の成分を選択的に分離するための複合半透膜、及びその製造方法に関し、詳しくは、多孔性支持体上にポリアミドを主成分とする薄膜を備え、優れた透水性と実用的な塩阻止性を有する複合半透膜及びその製造方法に関する。
【0002】
かかる複合半透膜は、超純水の製造、かん水または海水の脱塩などに好適であり、また染色排水や電着塗料排水などの公害発生原因である汚れなどから、その中に含まれる汚染源あるいは有効物質を除去・回収し、排水のクローズ化に寄与することができる。また、食品用途などで有効成分の濃縮などにも用いることができる。
【0003】
【従来の技術】
上記の如き用途に使用される半透膜としては、相分離法等により非対称構造が同一素材で形成された非対称膜と、多孔性支持体上に選択分離性を有する薄膜を異なる素材で形成してなる複合半透膜とが知られている。
【0004】
現在、後者の半透膜として、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミドからなる薄膜が、多孔性支持体上に形成されたものが多く提案されている(例えば、特開昭55−147106号、特開昭62−121603号、特開昭63−218208号、特開平2−187135号公報など)。また、多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミドからなる薄膜が多孔性支持体上に形成されたものも提案されている(例えば特開昭61−42308号公報など)。
【0005】
また、上記複合半透膜の水透過性をさらに向上させるための添加剤が提案されており、水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムなど、界面反応にて生成するハロゲン化水素を除去しうる物質や、公知のアシル化触媒、また界面反応時の反応場の界面張力を減少させる化合物などが知られている(例えば特開昭63−12310号、特開平6−47260号、特開平8−224452号公報など)。
【0006】
しかし、これらの半透膜は、造水プラントなどをはじめ各種水処理におけるより安定した運転性や簡易な操作性および膜寿命の長期化による低コストの追求から、各種の酸化剤、特に塩素による洗浄に耐えうる耐久性が求められるが、いずれも長期的に耐え得るだけのレベルの耐久性を有しているとはいえない。このため、より高い耐久性を持つ半透膜が望まれている。
【0007】
この目的に対して、本出願人は先に、ポリアミド系樹脂を含む薄膜と、これを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜を酸化剤水溶液と接触させる複合半透膜の製造方法について出願済みである(本願出願時に未公開)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この複合半透膜の製造方法では、透水性を向上させるのに長時間を要し、十分な透水性を短時間で得る観点より改善の余地があった。そこで、本発明の目的は、優れた透水性と実用的な塩阻止性を併せ持つ複合半透膜を短時間の簡易処理により製造するための複合半透膜の製造方法、及びその製造方法によって得られる複合半透膜を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、アミド結合の窒素原子の置換基中に芳香環を有することにより、かかる置換基がアルキル基のものや未置換のものよりも高い塩阻止率を有し得ることを見いだし、更にこれを酸化剤水溶液と接触させ、その後にアルカリ性水溶液と接触させることにより、各種溶質の阻止性能を低下させることなく透水性を飛躍的に向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の複合半透膜の製造方法は、下記の一般式(I)及び/又は(II)で表される構成単位を有するポリアミド系樹脂を含む薄膜と、これを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜を、酸化剤水溶液と接触させ、その後にアルカリ性水溶液と接触させる接触工程を含むことを特徴とする。
【0011】
【化3】
Figure 2004098006
(但し、R11は炭素数2〜10の−O−、−S−、又は−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基)を含んでいてもよいアルキレン基を示し、R12およびR13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または水素原子であり、かつR12またはR13の少なくともどちらか一方は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。R14は2価の有機基を示す。)
【化4】
Figure 2004098006
(但し、R21は炭素数2〜10の−O−、−S−、又は−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基)を含んでいてもよいアルキレン基を示し、R22およびR23はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または水素原子であり、かつR22またはR23の少なくともどちらか一方は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。R24は3価の有機基を示す。)
上記において、前記接触工程は、複合半透膜を酸化剤水溶液及びアルカリ性水溶液に常圧で順次浸漬することによって行うこと、あるいは複合半透膜に酸化剤水溶液及びアルカリ性水溶液を圧力を付与して順次透過させることによって行うことが好ましい。
【0012】
また、前記酸化剤水溶液が次亜塩素酸ナトリウム水溶液であり、前記アルカリ性水溶液が水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。さらに、前記酸化剤水溶液のpHが2〜5であることが好ましい。
【0013】
一方、本発明の複合半透膜は、上記いずれかに記載の製造方法によって製造された複合半透膜である。
【0014】
[作用効果]
本発明の複合半透膜の製造方法によると、アミド結合の窒素原子の置換基中に芳香環を有することにより、実用的な透水性、塩阻止性を併せ持つことができ、さらに、これを酸化剤水溶液と接触させ、その後にアルカリ性水溶液に接触させることで、実施例の結果が示すように、各種溶質の阻止性能を低下させることなく透水性を飛躍的に向上できる。前記接触工程を行うことにより、このような顕著な効果が発現する理由は定かではないが、酸性の酸化剤水溶液によるアミド結合の切断によって生成したカルボン酸が、アルカリ処理によりカルボン酸ナトリウム塩になることにより膜の親水性が増加したこと、又はアミド結合の切断により生成した膜中のオリゴマーがアルカリ水溶液に溶解することで膜内のモルホルジーが変化し、膜の透水性が増加したことなどに起因していると考えられる。
【0015】
一方、本発明の複合半透膜によると、上記の如き製造方法により、優れた透水性と実用的な塩阻止性を併せ持つことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の複合半透膜の製造方法は、特定の複合半透膜を酸化剤水溶液と接触させ、その後にアルカリ性水溶液と接触させる接触工程を含むことを特徴とする。まず、当該複合半透膜について説明する。
【0017】
本発明における複合半透膜は、下記の一般式(I)及び/又は(II)で表される構成単位を有するポリアミド系樹脂を含む薄膜と、これを支持する多孔性支持膜とからなる。このポリアミド系樹脂は、例えばジアミン成分と、2価以上の多官能酸ハロゲン化物との縮合反応によって得ることができる。
【0018】
一般式(I)〜(II)におけるR11、及びR21、は、炭素数2〜10の−O−、−S−、又は−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基(炭素数1〜4))を含んでいてもよいアルキレン基を示す。具体的には、−C H −、−C H −、−C H −、−C H10−、−C H12−、−C H14−、−C H16−、−C H18−、−C1020−、−CH OCH −、−CH OCH OCH −、−C H OCH −、−C H OC H −、−CH SCH −、−CH SCH SCH −、−C H SCH −、−C H SC H −、−C H NHC H −、−C H N(CH )C H −などがあげられる。なかでも、耐久性をさらに向上させること、膜形成時の反応性、成膜の塩阻止性などの観点から、複素原子を含まないアルキレン基が好ましい。
【0019】
また、R12、R13、R22、及びR23、はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または水素原子である。但しR12またはR13の少なくともどちらか一方は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であり、これはR22、又はR23についても同様である。具体的には、H、−C H 、−CH C H 、−C H OH、−C H CH 、−C H NO 、−C H Clなどがあげられ、成膜の透水性や塩阻止性などの観点から、−C H が好ましい。
【0020】
一方、一般式(I)〜(II)におけるR14、及びR24、は、2価又は3価の有機基であり、上記定義により R12HNR11NR13H で表されるジアミン成分と縮合反応により本発明の薄膜を形成する2価以上の多官能酸ハロゲン化物の残基に相当するものである。当該多官能酸ハロゲン化物としては、特に限定されるものではなく、例えばプロパントリカルボン酸クロライド、ブタントリカルボン酸クロライド、ペンタントリカルボン酸クロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド、シクロプロパントリカルボン酸クロライド、シクロブタンテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタントリカルボン酸クロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、シクロヘキサントリカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタンジカルボン酸クロライド、シクロブタンジカルボン酸クロライド、シクロヘキサンジカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸クロライドなどがあげられる。但し、反応性、成膜の塩阻止性、透水性などの観点から、多官能芳香族酸ハロゲン化物であることが好ましく、このような多官能芳香族酸ハロゲン化物としては、トリメシン酸クロライド、トリメリット酸クロライド、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、ピロメリト酸クロライド、ビフェニルジカルボン酸クロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸クロライドなどがあげられる。
【0021】
一方、本発明におけるポリアミド系樹脂は、架橋構造を有することが好ましく、その場合、3価以上の多官能酸ハロゲン化物を使用することが好ましい。3価以上の多官能酸ハロゲン化物を使用する場合、架橋部分では一般式(II)で表される構成単位となるが、未架橋部分が存在する場合には、一般式(I)で表される構成単位となり、R14はカルボキシル基やその塩などが残存する2価の有機基となる。
【0022】
上記薄膜を形成するポリアミド系樹脂は、単独重合体でもよいが、上記の如き構成単位の複数や他の構成単位を含む共重合体や、単独重合体を複数混合したブレンド体でもよい。例えば、一般式(I)で表される構成単位、及び一般式(II)で表される構成単位を有するポリアミド系樹脂が挙げられる。上記の他の構成単位としては、主鎖に芳香環を含むジアミン成分や側鎖に芳香環を含まないジアミン成分、その他ポリアミド系半透膜に使用されるジアミン成分などが挙げられる。
【0023】
本発明におけるポリアミド系樹脂には、一般式(I)及び/又は(II)で表される構成単位を50モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上含むことがより好ましい。50モル%未満であると、アミド結合の窒素原子の置換基中の芳香環の効果が小さくなり、実用的な透水性、塩阻止性を同時に満足しにくくなる傾向がある。
【0024】
本発明における薄膜(分離活性層)の厚みは、薄膜の製法等にもよるが、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。当該厚みが薄い方が透過流束の面で優れるが、薄くなりすぎると薄膜の機械的強度が低下して欠陥が生じ易く、塩阻止性能に悪影響を及ぼす傾向があるからである。
【0025】
本発明において上記薄膜を支持する多孔性支持膜は、薄膜を支持しうるものであれば特に限定されず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ボリフッ化ビニリデンなど種々のものをあげることができるが、特に化学的、機械的、熱的に安定である点からポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる多孔性支持膜が好ましく用いられる。かかる多孔性支持膜は、通常約25〜125μm、好ましくは約40〜75μmの厚みを有するが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0026】
また、多孔性支持膜は、対称構造でも非対称構造でもよいが、薄膜の支持機能と通液性を両立させる上で、非対称構造が好ましい。なお、多孔性支持膜の薄膜形成側面の平均孔径は、1〜1000nmが好ましい。
【0027】
本発明における薄膜を多孔質支持膜上に形成させる際に、その方法については何ら制限なく、あらゆる公知の手法を用いることができる。例えば、界面縮合法、相分離法、薄膜塗布法などが挙げられる。中でも、多孔質支持膜上にジアミン成分を含有した水溶液を塗布した後に、かかる多孔質支持膜を多官能酸ハロゲン化物を含有した非水溶性溶液に接触させることにより多孔質支持膜上に薄膜を形成させる界面縮合法が好ましい。かかる界面縮合法の条件等の詳細は、特開昭58−24303号公報、特開平1−180208号公報等に記載されており、それらの公知技術を適宜採用することができる。
【0028】
また、その反応場に、製膜を容易にし、あるいは得られる複合半透膜の性能を向上させるための目的で、各種の試薬を存在させることが可能である。これらの試薬として、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの重合体、ソルビトール、グリセリンなどのような多価アルコール、特開平2−187135号公報に記載のテトラアルキルアンモニウムハライドやトリアルキルアンモニウムと有機酸の塩などのアミン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、縮重合反応にて生成するハロゲン化水素を除去しうる水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トリエチルアミン、カンファースルホン酸、あるいは公知のアシル化触媒、また、特開平8−224452号公報に記載の溶解度パラメーターが8〜14(cal/cm )1/2 の化合物などがあげられる。
【0029】
本発明の製造方法は、以上のような複合半透膜を、酸化剤水溶液と接触させ、その後にアルカリ性水溶液と接触させる接触工程を含むものである。用いられる酸化剤は、通常に酸化作用を有する物質であり、また一般的に水溶液として用いるものであれば何ら制限されるものではなく、たとえば過マンガン酸、過マンガン酸塩、クロム酸、クロム酸塩,硝酸、硝酸塩、過酸化水素などの過酸化物、硫酸、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩などがあげられる。上記酸化剤としてはコストや取り扱いなどの面から次亜塩素酸塩、特に次亜塩素酸ナリウムが好ましい。
【0030】
また、アルカリ性水溶液の溶質は、一般的に水溶液として用いるものであれば何ら制限されるものではなく、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属、水酸化バリウムなどの水酸化アルカリ土類金属、炭酸ナトリウムなどの炭酸アルカリ金属塩、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ土類金属塩、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸水素アルカリ金属塩などが挙げられる。
【0031】
本発明において、複合膜に酸化剤水溶液及びアルカリ性水溶液を接触させる方法としては浸漬、加圧通水、噴霧、塗布、シャワーなどあらゆる方法が例示されるが、かかる接触による十分な効果を付与せしめるためには常圧浸漬または、加圧通水が好ましい。
【0032】
常圧浸漬または加圧通水法での酸化剤水溶液の接触をおこなう際、かかる水溶液中の酸化剤濃度は求める効果に鑑みて定めることが可能である。たとえば酸化剤に次亜塩素酸ナトリウムを用いる場合、その濃度は遊離塩素濃度1mg/L〜10%、好ましくは10mg/L〜1%とすることができる。遊離塩素濃度が1mg/L未満であると、求める効果を得るために要する時間がかかりすぎ製造上実用的ではない。または製造上許容される時間内に求める効果を得ることができない。遊離塩素濃度が10%を越えると複合膜の塩阻止性能が低下するなどの膜の劣化が生じるので好ましくない。
【0033】
また、酸化剤水溶液のpHは求める効果に鑑みて定めることが可能であるが、pH2〜5とすることが好ましく、さらに好ましくはpH3〜5である。pHが5を超えると、求める効果を得るために要する時間がかかりすぎ製造上実用的ではない。または製造上許容される時間内に求める効果を得ることができない。pHが2未満であると複合膜の塩阻止性能が低下するなどの膜の劣化が生じるので好ましくない。酸化剤水溶液のpHの調整は、通常用いられる手段を特に制限なく採用することができ、例えば、塩酸や水酸化ナトリウム水溶液を酸化剤水溶液に添加しつつpH測定器を用いて測定することにより調製することができる。
【0034】
酸化剤水溶液の接触を行う際、接触温度も短時間の接触で透過流束を増加させる効果に鑑みて定められる。たとえば酸化剤に次亜塩素酸ナトリウムを用いる場合、その濃度は5℃〜60℃、好ましくは25℃〜60℃とすることができる。接触温度が5℃未満であると、求める効果を得るために要する時間がかかりすぎ製造上実用的ではない。または製造上許容される時間内に求める効果を得ることができない。接触温度が60℃を超えると複合膜の塩阻止性能が低下するなどの膜の劣化が生じるので好ましくない。
【0035】
酸化剤水溶液の接触をおこなう際、接触時間は求める効果を得ることができ、かつ製造上の制約が許容する範囲であれば何ら制限されず、任意の時間を設定することができる。
【0036】
加圧通水法で酸化剤水溶液の接触をおこなう際、かかる水溶液を複合膜に供する圧力については複合膜および圧力付与のための部材や設備の物理的強度の許容する範囲においては何ら制限はなく、たとえば0.01MPa〜10MPaの範囲でおこなうことが可能である。
【0037】
酸化剤水溶液の接触後、常圧浸漬または加圧通水法でのアルカリ性水溶液の接触をおこなう際、かかる水溶液の溶質濃度は求める効果に鑑みて定めることが可能である。たとえば溶質に水酸化ナトリウムを用いる場合、その濃度は1mg/L〜10重量%、好ましくは100mg/L〜0.1重量%とすることができる。濃度が1mg/L未満であると、求める効果を得るために要する時間がかかりすぎ製造上実用的ではない。または製造上許容される時間内に求める効果を得ることができない。濃度が10重量%を越えると複合膜の塩阻止性能が低下するなどの膜の劣化が生じるので好ましくない。
【0038】
アルカリ性水溶液の接触をおこなう際の接触温度、接触時間、及び加圧通水法での圧力は、前記記載の酸化剤水溶液の接触を行う場合と同様である。
【0039】
かかる処理、すなわち常圧浸漬および加圧通水をおこなう際に複合膜はその形状になんら制限を受けるものではない。すなわち平膜状、あるいはスパイラルエレメント状など、考えられるあらゆる膜形状において処理を施すことが可能である。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0041】
実施例1
N−フェニルエチレンジアミン3重量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.15重量%、トリエチルアミン3重量%、カンファースルホン酸6重量%を含有した水溶液を多孔性ポリスルホン支持膜(薄膜形成側平均孔径20nm、非対称膜)に接触させた後、余分の水溶液を除去した。ついでかかる支持膜の表面にトリメシン酸クロライド0.2重量%を含有するイソオクタン溶液を接触させて界面縮重合反応をおこなわせ、その後120℃の熱風乾燥機中で3分間保持させ、多孔性支持膜上に重合体薄膜(厚み1μm)を形成せしめることにより複合半透膜を得た。
【0042】
このようにして得られた複合半透膜を遊離塩素濃度1000mg/L、塩酸によりpH3に調整した次亜塩素酸ナトリウム水溶液に5時間常温常圧で浸漬させた後、0.1重量%、pH12の水酸化ナトリウム水溶液に5時間常温常圧で浸漬させ、その後かかる水溶液から取り出し、0.15%食塩水を原水として、25℃、pH7、1.5MPaの圧力で試験をおこなった。その結果、食塩の阻止率は91.24%、透過流束は1.90m /(m ・日)であった。
【0043】
実施例2
水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間を1時間とした以外は実施例1と同様の方法により複合半透膜を作製した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行ったところ食塩の阻止率は93.16%、透過流束は0.73m /(m ・日)であった。
【0044】
実施例3
次亜塩素酸ナトリウム水溶液への浸漬時間を1時間とした以外は実施例1と同様の方法により複合半透膜を作製した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行ったところ食塩の阻止率は92.33%、透過流束は0.71m /(m ・日)であった。
【0045】
実施例4
次亜塩素酸ナトリウム水溶液への浸漬時間を3時間とした以外は実施例1と同様の方法により複合半透膜を作製した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行ったところ食塩の阻止率は93. 26%、透過流束は0.92m /(m ・日)であった。
【0046】
実施例5
次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHを5に調整して浸漬した以外は実施例1と同様の方法により複合半透膜を作製した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行ったところ食塩の阻止率は89.83%、透過流束は0.42m /(m ・日)であった。
【0047】
比較例1
実施例1において,次亜塩素酸ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液に浸漬をおこなわずにテストをおこなった。その結果、食塩の阻止率は93.00%、透過流束は0.20m /(m ・日)であった。
【0048】
比較例2
水酸化ナトリウム水溶液への浸漬を行わなかった以外は実施例1と同様の方法により複合半透膜を作製した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行ったところ食塩の阻止率は78.35%、透過流束は0.13m /(m ・日)であった。
【0049】
比較例3
次亜塩素酸ナトリウム水溶液への浸漬を行わなかった以外は実施例1と同様の方法により複合半透膜を作製した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行ったところ食塩の阻止率は91.00%、透過流束は0.20m /(m ・日)であった。
【0050】
以上の結果より、複合半透膜を酸化剤水溶液と接触させ、その後にアルカリ性水溶液と接触させることにより、塩阻止率を著しく低下させることなく透過流束を増大させることができた。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(I)及び/又は(II)で表される構成単位を有するポリアミド系樹脂を含む薄膜と、これを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜を、酸化剤水溶液と接触させ、その後にアルカリ性水溶液と接触させる接触工程を含む複合半透膜の製造方法。
    Figure 2004098006
    (但し、R11は炭素数2〜10の−O−、−S−、又は−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基)を含んでいてもよいアルキレン基を示し、R12およびR13はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または水素原子であり、かつR12またはR13の少なくともどちらか一方は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。R14は2価の有機基を示す。)
    Figure 2004098006
    (但し、R21は炭素数2〜10の−O−、−S−、又は−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基)を含んでいてもよいアルキレン基を示し、R22およびR23はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または水素原子であり、かつR22またはR23の少なくともどちらか一方は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。R24は3価の有機基を示す。)
  2. 前記接触工程が、複合半透膜を酸化剤水溶液及びアルカリ性水溶液に常圧で順次浸漬することによって行うものである請求項1に記載の複合半透膜の製造方法。
  3. 前記接触工程が、複合半透膜に酸化剤水溶液及びアルカリ性水溶液を圧力を付与して順次透過させることによって行うものである請求項1に記載の複合半透膜の製造方法。
  4. 前記酸化剤水溶液が次亜塩素酸ナトリウム水溶液であり、前記アルカリ性水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である請求項1〜3いずれかに記載の複合半透膜の製造方法。
  5. 前記酸化剤水溶液のpHが2〜5である請求項1〜4いずれかに記載の複合半透膜の製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の製造方法によって製造された複合半透膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017023957A (ja) * 2015-07-24 2017-02-02 日東電工株式会社 複合分離膜及び分離膜エレメント
CN110339731A (zh) * 2019-07-02 2019-10-18 昆明理工大学 一种铬(vi)离子印迹复合膜的制备方法及其应用

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