JP2004093409A - 燃料カートリッジ及びそれを用いた携帯機器並びに残量検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に携帯機器に搭載される燃料電池システムにおいて、発電用燃料の残量の検出を、常に、且つ簡易に行えるようにすること。
【解決手段】モジュール化され、携帯機器DVCと着脱自在に形成された燃料パック10Aは、発電用燃料FLが封入された燃料タンク11の内周面に沿って、相互に近接し、且つ平行に配設された2本の導体21a、21bからなる導体組21を備えている。そして、導体21a、21bの間の電気抵抗値を測定し、この電気抵抗値を、導体21a、21bが発電用燃料FLと接触する部分の長さLに変換することで、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を算出する。
【選択図】 図3
【解決手段】モジュール化され、携帯機器DVCと着脱自在に形成された燃料パック10Aは、発電用燃料FLが封入された燃料タンク11の内周面に沿って、相互に近接し、且つ平行に配設された2本の導体21a、21bからなる導体組21を備えている。そして、導体21a、21bの間の電気抵抗値を測定し、この電気抵抗値を、導体21a、21bが発電用燃料FLと接触する部分の長さLに変換することで、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を算出する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料カートリッジ及びそれを備えた携帯機器並びに残量検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、民生用や産業用のあらゆる分野において、様々な化学電池が使用されている。例えば、アルカリ乾電池やマンガン乾電池等の一次電池は、時計やカメラ、玩具、携帯型の音響機器等に多用されており、我が国に限らず、世界的な観点からも最も生産量が多く、安価且つ入手が容易という特徴を有している。
【0003】
一方、ニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池は、近年普及が著しい携帯電話機や携帯情報端末(PDA)、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の携帯機器に多用されており、繰り返し充放電ができることから経済性に優れた特徴を有している。また、二次電池のうち、鉛蓄電池は、車両や船舶の起動用電源、或いは、産業設備や医療設備における非常用電源等として利用されている。
【0004】
ところで、近年、環境問題やエネルギー問題への関心の高まりに従い、上述したような化学電池の使用後に生じる廃棄物に関する問題やエネルギー変換効率の問題がクローズアップされている。
【0005】
特に、一次電池においては、上述したように、製品価格が安価で入手が容易な上、電源として利用する機器も多く、しかも、基本的に一度放電されると電池容量を回復することができない、一回限りの利用(いわゆる、使い捨て)しかできないため、年間の廃棄量が数百万トンに上っている。ここで、化学電池全体では、リサイクルにより回収される比率は、概ね20%程度に過ぎず、残りの80%程度が自然界に投棄、又は、埋め立て処理されている、とする統計資料もあり、このような未回収の電池に含まれる水銀やインジウム等の重金属による環境破壊や、自然環境の悪化が懸念されている。
【0006】
また、エネルギー資源の利用効率の観点から上記化学電池を検証すると、一次電池においては、放電可能エネルギーの概ね300倍のエネルギーを使用して生産されているため、エネルギー利用効率が1%にも満たない。これに対して、繰り返し充放電が可能で経済性に優れた二次電池であっても、家庭用電源(コンセント)等から充電を行う場合、発電所における発電効率や送電線損失等により、エネルギー利用効率が概ね12%程度にまで低下してしまうため、必ずしもエネルギー資源の有効利用が図られているとは限らなかった。
【0007】
そこで、近年、環境への影響(負担)が少なく、且つ、例えば、30〜40%程度の極めて高いエネルギー利用効率を実現することができる燃料電池をはじめとする各種の新たな電源システムや発電システム(以下、「電源システム」と総称する)が注目され、車両用の駆動電源や事業用の電源システム、家庭用のコジェネレーションシステム等への適用を目的として、或いは、上述したような化学電池の代替えを目的として、実用化のための研究、開発が盛んに行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、今後、燃料電池等のエネルギー利用効率が高い電源システムを小型軽量化して、可搬型又は携帯型のポータブル電源、例えば、上述した化学電池の代替え(互換品)として適用するためには、次に示すような問題点を有している。
【0009】
即ち、例えば、上述した燃料電池を有する電源システム(以下、燃料電池システムとする)にあっては、発電用の燃料(発電用燃料)を用いて、電力を発生(発電)させるため、係る燃料の残量を常に把握し、燃料の残量が少なくなったら、現在使用中の燃料カートリッジを、燃料が充填された新たな燃料カートリッジに交換する等、燃料電池システムの燃料の残量を速やかに回復(増加)させる必要がある。
【0010】
このため、燃料電池システムには、現在の燃料の残量を常に把握すべく、燃料の残量を検出するための残量検出手段が設けられることが通常である。だが、この従来の残量検出手段は、燃料カートリッジの向きがさほど変化しない場合に対応しているに過ぎず、例えば、傾けられたり、或いは、逆さま(上下逆)になったり、といった場合にも対応できるものではなかった。
【0011】
即ち、係る燃料電池システムが携帯機器に搭載される場合、携帯機器は手で持ちながら扱われることが多いため、その向きは頻繁に変化する、つまり、携帯機器に装着された燃料カートリッジの向きも、頻繁に変化する。このため、従来の残量検出手段では、上記燃料カートリッジの向きが、残量検出手段による残量の検出に適した所定の向きとなっているときしか、正確な燃料の残量を検出できず、燃料の残量を常に正確に把握することは困難であった。そのため、燃料カートリッジの交換等を適時に行うことが出来ず、携帯機器が予期しない時に動作停止してしまう、といった事態が起こる可能性があった。
【0012】
また、残量検出手段としては、例えば、光源と受光器との間に燃料が入ることで、光源から発せられる光路の変化を検出する光センサ方式、超音波の反射時間の変化を検出する超音波方式、電極間に燃料が入ることで変化する静電容量を検出する静電容量方式等、の方式を利用したものもあるが、何れも、携帯機器用の燃料電池システムに相応しく小型、且つ安価に構成することは、容易ではなかった。
【0013】
そこで、本発明は、特に携帯機器に搭載される燃料電池システムにおいて、発電用燃料の残量の検出を、常に、且つ簡易に行えるようにすることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
燃料電池に供給する所定の燃料を保持する燃料カートリッジであって、
柱形状の燃料容器と、
前記燃料容器の側面に沿って、前記燃料容器の内部に所定の間隔で隔設され、前記燃料に接触するように配置された複数本の導体と、を備え、
前記導体の、前記燃料に接触する部分の長さが前記燃料の残量に応じて変化するように構成されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の燃料カートリッジにおいて、前記導体は、所定の間隔で平行に設けられた2本の導体を一組とする、少なくとも一組の導体組からなることを特徴としている。
そして、請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の燃料カートリッジにおいて、前記導体組は三組以上設けられ、前記燃料容器の内周面に沿って隔設されていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、
所定の燃料を保持する燃料容器と、前記燃料容器の内部に所定の間隔で隔設され、前記燃料に接触し、前記燃料に接触する部分の長さが該燃料の残量に応じて変化するように配置された複数本の導体と、を備える燃料カートリッジと、該燃料カートリッジを収納する収納部と、前記燃料カートリッジから供給される前記燃料を用いて発電する燃料電池システムと、を備え、該燃料電池システムにより発電した電力によって駆動する携帯機器であって、
前記各導体間の電気抵抗値を測定する抵抗測定手段と、
前記抵抗測定手段によって測定された電気抵抗値に基づいて、前記燃料容器内に蓄えられた燃料の残量を算出する残量算出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0017】
そして、請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の携帯機器において、前記燃料カートリッジにおける前記導体は、所定の間隔で平行に設けられた2本の導体を一組とする、少なくとも一組の導体組からなることを特徴としている。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の携帯機器において、前記導体組は三組以上設けられ、前記燃料容器の内周面に沿って隔設されていることを特徴としている。
【0019】
尚ここで、「携帯機器」とは、例えば、携帯情報端末(PDA)、携帯電話機といった携帯型の電子機器の他、ノート型パソコンやデジタルカメラといった可搬型の電子機器の意である。
【0020】
この請求項1から6に記載の発明によれば、燃料カートリッジが有する燃料容器に封入される燃料が、例えば、液体燃料又は液化燃料等の流動性を有する燃料である場合、燃料容器内の燃料の残量に応じて、燃料容器に内部に設けられた各導体が当該燃料と接触している部分の長さが変化する。即ち、燃料容器内の燃料を、上記導体間の導電路とみなすと、二本の導体間の電気抵抗値は、燃料容器内の燃料の残量に応じて、変化することになる。
【0021】
従って、二本の導体間の配設距離、燃料容器の底面積等、燃料カートリッジの形成条件を考慮し、各導体が燃料と接触している部分の長さと、二本の導体間の電気抵抗値と、の関係を予め求めておくことで、当該関係に従って、測定された導体間の電気抵抗値を、燃料容器内の残量に換算することができる。
【0022】
また、この請求項4に記載の携帯機器において、前記残量算出手段は、請求項7に記載の発明のように、前記抵抗測定手段によって測定された前記各導体間の電気抵抗値から、前記各導体の配設位置に基づいた算出方法で残量を算出するように構成しても良い。
【0023】
この請求項7に記載の発明によれば、各導体間の電気抵抗値に加えて、配設位置にも基づいて、燃料容器内の残量を算出することができる。
従って、例えば、複数組の導体組が燃料容器の内周面に沿って隔設された場合にあっては、燃料カートリッジが傾けられたとき、各導体組毎に、当該導体組を構成する導体が燃料容器内の燃料と接触する部分の長さが異なる、即ち、測定される電気抵抗値が異なる。そして、例えば、各導体組毎に得られた、導体が燃料に接触する部分の長さの平均値を算出し、この算出値を燃料容器内の燃料の液面の高さとみなすことで、燃料容器内の残量を算出することができる。
【0024】
また、請求項8に記載の発明のように、請求項4〜7の何れかに記載の携帯機器において、
前記抵抗測定手段は、前記電気抵抗値の測定を間欠的に複数回実行し、
前記残量算出手段は、前記抵抗測定手段によって測定された複数の電気抵抗値の内、所定の変動範囲内に含まれる電気抵抗値の平均値又は最小値に基づいて、残量を算出するように構成しても良い。
【0025】
この請求項8に記載の発明によれば、携帯機器においては、例えば、手持ちでの使用中や利用者によって持ち運ばれる場合、燃料容器が揺れたり、頻繁に向きが変わったりすることがあり、この間に、残量算出のため、電気抵抗値の測定を行った場合、測定毎に異なる測定結果となってしまう。これに対して、電気抵抗値の測定を間欠的に複数回実行し、これらの測定値の平均値又は最小値を採用することで、揺れ等により生じる測定誤差を考慮し、より正確な残量を算出することができる。
【0026】
また、複数の測定値の内、所定の変動範囲内の値のみを採用することで、例えば、携帯機器の向きが急激に変わったとき、測定される電気抵抗値も大きく変わるが、このように大きく変わる値を除外し、より正確な残量を算出することができる。
【0027】
また、請求項9に記載の発明のように、請求項4〜8の何れかに記載の携帯機器において、
前記燃料容器内に蓄えられた燃料の残量を記憶する残量記憶手段と、
前記燃料電池による燃料使用量に基づいて、前記燃料容器内の残量の予測を随時行い、前記残量記憶手段に記憶された残量を更新する残量予測手段と、
前記残量算出手段によって算出された残量に基づいて、前記残量記憶手段に記憶された残量を補正する残量補正手段と、
前記残量記憶手段に記憶された残量が所定の下限値に達した場合に、所定の報知を行う報知手段と、
を更に備えて構成しても良い。
【0028】
また、請求項12に記載の発明は、
所定の燃料を保持する燃料容器と、該燃料容器の内部に隔設され、前記燃料に接触し、該燃料に接触する部分の長さが該燃料の残量に応じて変化するように配置された複数本の導体と、を備える燃料カートリッジと、該燃料カートリッジから供給される前記燃料を用いて発電する燃料電池システムと、を備える携帯機器における、前記燃料容器内の残量を検出する残量検出方法であって、
前記燃料電池システムによる燃料使用量に基づいて、前記燃料容器内の残量の予測を随時行い、残量記憶手段に残量を記憶更新するステップと、
前記各導体間の電気抵抗値を測定するステップと、
前記測定された電気抵抗値に基づいて、前記燃料容器内の残量を算出するステップと、
前記算出された残量に基づいて、前記残量記憶手段に記憶された残量を補正するステップと、
前記残量記憶手段に記憶された残量が所定の下限値に達した場合、所定の報知を行うステップと、
を含むことを特徴としている。
【0029】
この請求項9又は12に記載の発明によれば、例えば、燃料電池システムによる発電動作の実行中は、随時、燃料電池システムに対して供給された燃料量を監視し、この供給量から燃料タンク内の燃料の残量を予測しつつ、一方、一定時間毎に、上記導体間の電気抵抗値を測定し、燃料容器内の燃料の残量を算出し、上記予測による残量値を補正することができる。
【0030】
更に、予測又は算出された残量が、所定の下限値に達した場合には、所定の報知を行うことができるので、例えば、燃料容器内の燃料の残量が少なくなった場合には、その旨を報知し、新たな燃料カートリッジへの交換を促すことができ、燃料不足による携帯機器の予期しない動作停止といった事態を防止することが可能となる。
また、請求項13に記載の発明のように、請求項12に記載の残量検出方法において、
前記携帯機器の傾斜角度を検出するステップと、
前記残量を算出するステップにより算出された残量の値を、前記傾斜角度を検出するステップにより検出された傾斜角度に基づいて補正するステップと、
を更に含むようにしてもよい。
【0031】
この請求項13に記載の発明によれば、当該携帯機器の傾斜角度を検出して、その傾斜角度に基づいて、算出された燃料の残量を補正することによって、残量値を更に正確に求めることができる。
【0032】
また、請求項10に記載の発明のように、請求項4〜9の何れかに記載の携帯機器において、
前記携帯機器の所定方向の傾斜の有無、又は所定方向の傾斜角度を検出する傾斜検出手段を更に備え、
前記抵抗測定手段は、前記傾斜検出手段による検出結果に基づいて、前記電気抵抗値の測定を行うか否かを決定するように構成しても良い。
【0033】
この請求項10に記載の発明によれば、検出された携帯機器の傾斜の有無、又は傾斜角度から、例えば、現在の携帯機器の向きが電気抵抗値の測定に適しているか否かを判断し、適していると判断した場合のみ、電気抵抗値の測定を行うようにすることができる。
【0034】
また、請求項11に記載の発明のように、請求項4〜9の何れかに記載の携帯機器において、
所定方向の傾斜の有無、又は所定方向の傾斜角度を検出する傾斜検出手段を更に備え、
前記残量算出手段は、前記抵抗測定手段によって測定された電気抵抗値、および前記傾斜検出手段による検出結果に基づいて、前記燃料容器内の残量を算出するように構成しても良い。
【0035】
この請求項11に記載の発明によれば、各導体間の電気抵抗値に加えて、検出された携帯機器の傾斜の有無、又は傾斜角度にも基づいて、燃料容器内の燃料の残量を算出することができる。即ち、例えば、携帯機器(若しくは、燃料容器)の傾斜角度と、各導体が燃料容器内の燃料と接触する部分の長さと、二本の導体間の電気抵抗値と、の関係を予め求めておくことで、携帯機器が傾けられた場合であっても、当該関係に従って、測定された二本の導体間の電気抵抗値を、燃料容器内の残量に換算することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムの実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る燃料電池システム1、及び当該燃料電池システム1を搭載した携帯機器(同図においては、携帯情報端末が示されている。)DVCの平面図(同図(a))、正面図(同図(b))、及び側面図(同図(c))の概略図を示している。
【0038】
本第1の実施の形態に係る燃料電池システム1は、同図に示すように、例えばその一部がモジュール化して形成される。そして、燃料カートリッジを形成する燃料パック10Aが、携帯機器DVCに対して任意に装着可能(矢印P参照)に構成される。なお、燃料電池システム1のその他の構成要素(不図示)は、携帯機器DVCに内蔵されるようにしてもよい。
【0039】
具体的には、携帯機器DVCには、燃料パック10Aを収納するため、燃料パック10Aの形状と略一致する形状の収納部5が設けられている。そして、収納部5に収納された燃料パック10Aは、例えば収納部5上部に設けられた収納蓋6が閉じられることで、後述する発電モジュール30Aと結合され、燃料パック10Aに封入されている発電用燃料FLが、発電モジュール30Aに対して供給される。
【0040】
また、燃料電池システム1に適用される燃料パック10Aは、燃料パック10A以外の構成要素(即ち、発電モジュール30A)に対して着脱自在に構成されているため、燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLがなくなったときや少なくなったときには、収納部5に収納されている燃料パック10Aを取り外して、新たな燃料パック10Aに交換することができるようになっている。
【0041】
図2は、燃料電池システム1の構成例を示すブロック図である。ここで、燃料電池システム1においては、発電モジュール30Aを構成する発電部31として、燃料改質方式を採用した固体高分子型の燃料電池31dを有しているものとして説明する。
【0042】
燃料電池システム1は、同図に示すように、大別して、発電用燃料FLが封入された燃料パック10Aと、該燃料パック10Aに着脱自在に結合され、燃料パック10Aから供給される発電用燃料FLに基づいて所定の電力(電気エネルギー)を発生(発電)する発電モジュール30Aと、を備えて構成される。
以下、各構成について具体的に説明する。
【0043】
〔燃料パック〕
燃料パック10Aは、その組成に水素を含有する液体燃料、若しくは液化燃料からなる発電用燃料FLが充填、封入された密閉性の高い燃料容器である燃料タンク11と、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を検出する残量センサ12と、を備えて構成される。
【0044】
ここで、燃料タンク11内の発電用燃料FLは、発電モジュール30Aの後述する出力制御部34aの制御によって、後述する発電部31が所定電圧を有する電力を発生するために必要な量の発電用燃料FLが、ポンプ35を介して、随時発電部31へ供給される。
【0045】
また、燃料電池システム1に用いられる発電用燃料FLとしては、メタノールやエタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、常温、常圧下で気体であるジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の炭化水素からなる液化燃料を適用することができる。
【0046】
次に、燃料パック10Aの具体的な構成と、他の構成要素との相互関係について説明する。
図3は、燃料パック10Aの概略図であり、燃料パック10Aの平面図(同図(a))、及び側断面図(同図(b))を示している。
【0047】
燃料パック10Aは、同図に示すように、例えば、略円柱形状をなして形成される。
また、燃料パック10Aは、発電部31に供給される、例えば、メタノール等の液体燃料、若しくは液化燃料である発電用燃料FLが充填、封入された燃料容器である燃料タンク11を備え、燃料タンク11の底面には、燃料タンク11内の発電用燃料FLをポンプ35に供給するための送出口11aが設けられている。
【0048】
ここで、送出口11aには、燃料パック10Aが発電モジュール30Aに結合された状態でのみ、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの供給が可能となるように、制御弁が設けられている。これにより、燃料パック10Aが発電モジュール30Aから分離された状態においては、燃料タンク11内の発電用燃料FLは、燃料パック10Aの外部に漏出することはない。
【0049】
また、燃料パック10Aにおいて、残量センサ12は、燃料タンク11内の所定位置に配設された略棒状体の導体21a、21bからなる導体組21を有して構成され、この導体21a、21bの間の電気抵抗値が測定されることで、燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLの残量が検出される。
【0050】
具体的には、導体21a、21bは、間隔Dをおいて平行に、且つ相互に近接して、燃料タンク11の内周面に沿って配設され、更に、それぞれの一端は、燃料タンク11の上面に到達し、一方、それぞれの他端は、燃料パック10Aの底面に露出して配設されている。
【0051】
そして、燃料パック10Aが、携帯機器DVCの上述した収納部5に収納されると、燃料パック10Aの底面に露出されている導体21a、21bそれぞれの他端が、収納部5の内面に設けられた、発電モジュール30Aの後述する抵抗測定回路38に接続されている受電端子(不図示)と接触する。これにより、導体21a、21bは、抵抗測定回路38と電気的に結合され、後述するように、抵抗測定回路38によって、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rが測定され、これに基づき、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量が算出される。
【0052】
尚ここで、導体21a、21bは、例えば、カーボン等の良導体で形成されるが、例えば金等により形成される印刷パターンにより、燃料タンク11の内周面に形成されることとしても良い。
【0053】
図4は、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量がそれぞれ異なる場合における、導体21a、21bと、発電用燃料FLの残量と、の関係を示す模式図である。
【0054】
同図(a)は、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量が、燃料タンク11の容積の約80%に相当する場合を示しており、導体21a、21bは、それぞれ、燃料タンク11の底面から長さL1(>0)の部分が、発電用燃料FLと接触している。
【0055】
また、同図(b)は、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量が、燃料タンク11の容積の約30%に相当する場合を示しており、導体21a、21bは、それぞれ、燃料タンク11の底面から長さL2(但し、0<L2<L1、である。)の部分が、発電用燃料FLと接触している。
【0056】
ここで、導体21a、21bにおいては、発電用燃料FLとして用いられる液体の種類にもよるが、導体21a、21bの間に存在する発電用燃料FLを、導体21a、21bの間の導電路としてみたとき、発電用燃料FLと接触している導体21a、21bの部分の長さLが長い程、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rは小さくなる。
【0057】
即ち、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rは、それぞれが発電用燃料FLと接触している部分の長さLに応じて変化する。具体的には、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量が減少するに伴い、導体21a、21bそれぞれが発電用燃料FLと接触する部分の長さLが短くなるため、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rは、次第に大きくなる。
【0058】
また、導体21a、21bが、発電用燃料FLと接触している部分の長さLと、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rと、の関係は、発電用燃料FLとして用いられる液体燃料の種類(具体的には、導電率)、導体21a、21bの材質や形状(長さや直径等の寸法)等の形成条件に依存する。
【0059】
このため、上記形成条件に基づき、予め、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rと、導体21a、21bが発電用燃料FLと接触している部分の長さLと、を対応付けた変換テーブル(若しくは、変換式)を求め、この変換テーブル(若しくは、変換式)に従って、測定した導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを、導体21a、21bが発電用燃料FLと接触している部分の長さL、即ち、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面の高さHに変換することができる。
【0060】
そして、算出した液面の高さHに、燃料タンク11の底面積Sを乗じることで、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を、次の式(1)に示すように算出することができる。
(発電量燃料FLの残量)=S×L ・・・(1)
【0061】
このように、残量センサ12は、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面の高さH、即ち、導体21a、21bそれぞれが発電用燃料FLと接触する部分の長さLに応じて、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rが変化することを利用して、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量を検出している。なお、図3においては、導体21a、21bは燃料タンク11の長手方向に沿って設けられるようにしたが、本発明はこれに限るものではなく、要するに、各導体が発電用燃料FLと接触する部分の長さが発電用燃料FLの残量に応じて変化するように配置されていればよいものである。
【0062】
従って、例えば、燃料タンク11の長手方向が携帯機器DVCの左右方向に沿って装着されるような場合には、各導体は燃料タンクの長手方向に直交する向き、つまり燃料タンクの円周方向に沿って設けられるようにしてもよい。
【0063】
〔発電モジュール〕
次に、発電モジュール30Aについて説明する。
本実施の形態に係る発電モジュール30Aは、図2に示すように、主に、燃料パック10Aから供給される発電用燃料FLを用いて、電気化学反応や燃料反応等により、燃料電池システム1に接続された負荷(当該燃料電池システム1の供給電源で動作する携帯機器DVCを意味している。)に駆動電源(電圧/電流)となる電気エネルギーを発生し、出力する発電部31と、発電部31において発生された電力(発電電力)を一旦保持した後、一定電圧の電力を断続的に出力する、例えば電気二重層コンデンサ等からなる電力保持部32と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、電力保持部32から出力される電力の電圧成分を、燃料電池システム1が接続される負荷の駆動に適した所定電圧に変換して、供給電力として負荷に供給するDC/DCコンバータ33と、負荷の駆動状態に応じて、発電モジュール30Aの各構成要素を制御する発電制御部34と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、発電部31への発電用燃料FLの供給、遮断を行うポンプ35と、発電部31による発生電力を供給され、発電制御部34からの制御信号に基づいて、発電部31の後述する気化器31a、改質器31b、CO除去器31Cを適切に加熱させるための駆動用電力をヒータ31eに供給するドライバ36と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、発電部31による発生電力の、電力保持部32へ供給、遮断を制御する制御回路37と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、燃料パック10Aにおける上記導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定するための抵抗測定回路38と、当該燃料電池システム1が搭載された携帯機器DVCの傾斜を検出する傾斜センサ39と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、所定の報知を行う報知手段40と、を有して構成される。
【0064】
〔発電部〕
発電部31は、発電制御部34の後述する出力制御部34aからの制御信号に基づいて、燃料パック10Aからポンプ35を介して発電用燃料FLが供給され、該発電用燃料FLが有する物理的又は化学的エネルギー等を用いて電力を発生(発電)する構成を有している。
【0065】
具体的には、発電部31は、例えば、メタノール(CH3OH)及び水(H2O)を発電用燃料FLとして水素ガス(H2)を発生する場合にあっては、図2に示すように、蒸発過程を介して、燃料パック10Aから供給される発電用燃料FLをヒータ31eで加熱して気化する気化器31aと、気化器31aで気化された発電用燃料FLを、水蒸気改質反応過程を介して、水素(H2)と副生成物の二酸化炭素(CO2)との混合ガスに変換する改質器31bと、この混合ガスに微量の副生成物として含まれる一酸化炭素ガス(CO)を二酸化炭素ガスに変換し、除去するCO除去器31Cと、改質器31b及びCO除去器31Cにおいて生成された高濃度の水素ガスにより、負荷への供給電力、及び発電モジュール30A内部の各部の動作電力となる所定の電力を発生(発電)する、燃料改質方式を採用した高分子型の燃料電池31dと、を有している。
【0066】
気化器31aは、燃料パック10Aからポンプ35を介して供給された発電用燃料FLであるメタノール及び水に対して、ドライバ36から供給される電力により制御されたヒータ31eで概ね沸点程度の温度条件の雰囲気を設定することにより、メタノール及び水を気化させ、改質器31bへ送出する。また、気化器31aは、能率よく発電用燃料FLを気化するため、ヒータ31eや改質器31b、若しくはCO除去器31C等における反応熱を能率よく導入する構造と、この熱を外部に漏らさない断熱構造とを有する。
【0067】
改質器31bは、燃料パック10Aから気化器31aを介して導入された発電用燃料FLを、水素ガス(H2)に変換する。具体的には、上記気化されて導入されたメタノール及び水に対して、ヒータ31eで概ね300℃の温度条件の雰囲気を設定することにより、次の式(2)の化学反応に示すように、水素と二酸化炭素との混合ガスへと変換する。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 ・・・(2)
【0068】
また、改質器31bは、導入されたメタノール及び水を改質するための、例えば、進行方向に直行する断面の縦、横の長さが500[μm]以下の細い流路からなるマイクロリアクタであり、式(2)に示した化学反応を能率よく進行させるための周知の触媒が流路の表面に担持されている。また、式(2)に示した化学反応は吸熱反応であるので、改質器31bは、この反応を効率良く進行させるため、ヒータ31e若しくはCO除去器31Cから効率良く熱を導入する構造と、この熱を外部に漏らさない断熱構造とを有する。
【0069】
CO除去器31Cは、改質器31bで生成された水素と二酸化炭素とを主成分とする混合ガスに含まれる微量の副生成物のうち、燃料電池31dの発電特性に悪影響を及ぼす一酸化炭素ガスを除去するため、この一酸化炭素ガスを、次の式(3)に示す化学反応で水素ガスと二酸化炭素ガスとに変換する。また、CO除去器31Cの内部には、式(3)に示す化学反応を効率良く進行させるための周知の触媒が担持されている。また、式(3)に示す化学反応は発熱反応であるので、CO除去器31Cには、この反応熱を排出するための図示しない放熱手段を設置することとしても良い。
CO+H2O→H2+CO2 ・・・(3)
【0070】
尚、式(3)に示す化学反応に要する水(H2)には、燃料パック10Aから発電用燃料FLとして供給される水の内、改質器31bで反応し残った水が充当されるが、この水が混合ガス中の一酸化炭素ガスに対して充分な量でない場合には、不足した分の水をCO除去器31Cに供給する構造を付加しても良い。
【0071】
更に、CO除去器31Cは、式(4)で示す化学反応により、一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスへ変換する。これにより、上記混合ガスから、式(3)に示す化学反応で除去し切れなかった一酸化炭素ガスを除去して、上記混合ガス中の一酸化炭素ガスの濃度を、燃料電池31dの発電特性に悪影響が及ばない範囲まで低めることができる。
2CO+O2→2CO2 ・・・(4)
【0072】
また、CO除去器31Cの内部には、改質器31bから導入された混合ガスに含有されている水素ガスを消費することなく、一酸化炭素ガスのみを選択的に式(4)に示す化学反応で酸化するための周知の触媒が担持されている。
【0073】
燃料電池31dは、水素−酸素燃料電池であり、大別して、例えば白金や白金−ルテニウム合金等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる燃料極(カソード)と、白金等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる空気極(アノード)と、燃料極と空気極との間に介挿されたフィルム状の周知のイオン導電膜(交換膜)と、を有して構成される。ここで、燃料電極には、上述した改質器31b及びCO除去器31Cにより抽出された(濃度が高められた)水素ガス(H2)が供給され、一方、空気極には、大気中の酸素ガス(O2)が供給されることにより、電気化学反応が進行して発電が行われ、負荷に対して所定の駆動電源(電圧/電流)となる電気エネルギーが供給される。
【0074】
具体的には、燃料極に水素ガスが供給されると、次の式(5)に示す化学反応のように、上記触媒により電子(e−)が分離した水素イオン(プロトン:H+)が発生し、イオン導電膜を介して空気極に透過するとともに、燃料極を構成する炭素電極により電子(e−)が取り出されて負荷へ供給される。
3H2→6H++6e− ・・・(5)
【0075】
一方、空気極に空気が供給されると、次の式(6)に示す化学反応のように、上記触媒により負荷を経由した電子(e−)と、イオン導電膜を透過した水素イオン(H+)と空気中の酸素ガスが反応して水(3H2O)が生成される。
6H+3/2O2+6e−→3H2O ・・・(6)
【0076】
このような一連の電気化学反応式(式(5)、式(6))は、概ね60〜80℃という比較的低温の環境下で進行し、電力以外の副生成物は、基本的に水(H2O)のみとなる。
【0077】
尚、上述したような電気化学反応式(式(5)、式(6))により負荷に供給される駆動電源(電圧/電流)は、燃料電池31dの燃料極に供給される水素ガスの量に依存する。従って、出力制御部34aによってポンプ35を制御し、燃料極に供給される水素ガスの量を制御することにより、発電部31によって発生される電力(発生電力)の電気エネルギーを、任意に調節することができる。
【0078】
このように、本実施の形態に係る発電部31によれば、先ず、燃料パック10Aからポンプ35を介して発電部31に供給された発電用燃料FLは、気化器31aで気化された後、改質器31bで水素と二酸化炭素の混合ガスに変換される。次に、この混合ガスに不純物として微量に含まれる一酸化炭素ガスが、CO除去器31Cで二酸化炭素ガスに変換、除去され、高濃度の水素ガスとして燃料電池31dに供給される。
【0079】
〔抵抗測定回路〕
抵抗測定回路38は、例えば、電圧電流法やブリッジ法等により電気抵抗値を測定する、公知の電気抵抗測定回路であり、燃料パック10Aと結合された場合、燃料パック10Aの上述した導体21a、21bそれぞれの他端(燃料パック10Aの底面に露出されている端である。)と、上述した受電端子を介して電気的に接続される。そして、発電制御部34の後述する残量算出部34bからの制御信号に基づいて、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定する。
【0080】
また、抵抗測定回路38は、残量算出部34から入力される1回の制御信号(測定指示信号 )に対して、次のような処理を行う。すなわち、間欠的(例えば、0.1秒毎)に複数回、電気抵抗値Rの測定を実行する。そして、得られた電気抵抗値Rの内、最大値と最小値とを除く電気抵抗値Rの平均値を測定結果とする。最大値と最小値とを除くことにより、特異な電気抵抗値を除くことができ、また、平均値を測定結果とすることにより、より精度のよい測定結果とすることができる。
【0081】
尚、最大値と最小値とを除くのではなく、測定した電気抵抗値Rの内、中央値(メジアン)周辺の数個の値から平均値を求める等の変動範囲を設定することとしても良い。また、平均値ではなく、変動範囲内の最小値を測定結果として、安全度を優先させた測定結果としてもよい。
【0082】
〔傾斜センサ〕
傾斜センサ39は、例えば、内部にx方向、y方向にそれぞれ振れる2つの振子を備えて構成され、この振子の動きにより、燃料電池システム1が搭載された携帯機器DVCの傾斜を検知し、傾斜の有無を傾斜検出信号として、残量算出部34bへ出力するものであってもよいし、更に、検知した傾斜角度の信号を傾斜検出信号として、残量算出部34bへ出力するものであってもよい。
尚ここで、携帯機器DVCの傾斜及び傾斜角度とは、以下を意味している。
【0083】
図5は、燃料電池システム1が搭載された携帯機器DVCの概略側面図である。
同図(a)は、携帯機器DVCが傾斜していない場合を示しており、携帯機器DVCが鉛直方向(図中、一点鎖線で示している。)と平行に配置され、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの液面が、燃料タンク11の底面と平行となっている。この状態を、携帯機器DVCが「縦」に配置されたとし、傾斜無し、あるいは傾斜角度が「0[度]」であるとする。
【0084】
同図(b)、(c)は、それぞれ、携帯機器DVCが傾斜している場合を示しており、携帯機器DVCが鉛直方向に対して角度をなして配置され、このとき、傾斜有りとし、携帯機器DVCが鉛直方向となす角度を、傾斜角度とする。
即ち、同図(b)においては、携帯機器DVCの傾斜角度は、「α」(但し、0[度]<α<90[度])であり、同図[c]においては、携帯機器DVCの傾斜角度は、「β」(但し、90[度]<α<180[度])である。
また、同図においては、図面に平行な方向(x方向)に対する傾斜角度であるが、傾斜センサ39は、同様にして、図面と垂直な方向(y方向)に対する傾斜角度も検知する。
【0085】
〔発電制御部〕
発電制御部34は、燃料電池システム1に接続される負荷の駆動状態に基づいて、発電部31の動作状態(発電動作、停止動作)を制御する出力制御部34aと、傾斜センサ39からの傾斜検出信号に基づいて、残量センサ12の動作状態(検知動作、停止動作)を制御するとともに、傾斜センサ39からの残量検知信号に基づいて、燃料パック10Aに封入されている発電用燃料FLの残量を算出する残量算出部34bと、を有している。
【0086】
出力制御部34aは、負荷の駆動状態に応じて、発電制御信号をポンプ35へ出力し、ポンプ35の動作状態(供給動作、停止動作)を制御することで、燃料パック10Aから発電部31への供給、遮断を制御する。あるいは、更に、その供給量を制御することにより、発電部31による発生電力を調整するようにしてもよい。
【0087】
具体的には、発電部31が駆動していない状態で、負荷を起動する指令を検出した場合(即ち、携帯機器DVCの電源がONとされた場合)には、ポンプ35の供給動作を開始させ、発電部31への発電用燃料FLの供給を開始させることで、発電部31を駆動させる。
【0088】
また、発電部31が駆動している状態で、負荷を停止する指令を検出した場合(即ち、携帯機器DVCの電源がOFFとされた場合)には、電力保持部32に保持されている電力(保持電力)が一定エネルギー以上であることを確認した後、ポンプ35の供給動作を停止させ、発電部31への発電用燃料FLの供給を停止させることで、発電部31を待機状態に移行、或いは停止させる。
【0089】
一方、発電部31が駆動している状態で、負荷の駆動状態の変動を検出した場合には、負荷に供給される電気エネルギーが負荷の駆動状態に適した値とするため、発電部31における電気エネルギーの発生量(発電量)を調整するよう、ポンプ35の供給動作を制御する。
【0090】
残量算出部34bは、傾斜センサ39からの傾斜検出信号に基づいて、抵抗測定回路38の動作状態(検知動作、停止動作)を制御し、抵抗測定回路38によって測定された、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rに基づいて、燃料パック10Aに封入されている発電用燃料FLの残量を算出し、その算出した残量を、報知手段40によって携帯機器DVC外部に報知させる。尚、残量センサ34bは、残量を記憶するメモリ等の記憶手段(不図示)を有して構成される。
【0091】
具体的には、残量算出部34bは、出力制御部34aによりポンプ35が駆動され、燃料パック10Aに封入されている発電用燃料FLが発電部31へ供給される毎に、ポンプ35による発電用燃料FLの供給量から、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を算出して、記憶・保持している残量を更新するとともに、算出した予測残量値を、報知手段40により、携帯機器DVC外部へ報知させる。
【0092】
また、残量算出部34bは、所定の計測タイミングが到来する毎に、傾斜センサ39からの傾斜検出信号に基づいて、当該携帯機器DVCの傾斜を判定する。つまり、傾斜センサ39によって傾斜無しと検知されているか、検出された傾斜角度が、所定の角度範囲(例えば、+15度以内)内であれば、携帯機器DVCはほぼ「縦」に配置されているとみなし、残量センサ12による発電用燃料FLの残量の計測が可能であると判断する。一方、傾斜有りと検知されているか、上記検出された傾斜角度が、上記所定の角度範囲外であれば、携帯機器DVCは「縦」に配置されておらず、残量センサ12による発電用燃料FLの残量の計測は不可能であると判断する。この場合には、携帯機器DVCを「縦」に配置させるよう利用者に促す旨の報知を、報知手段40によって行わせる。
【0093】
そして、残量算出部34bは、傾斜センサ39からの傾斜検出信号より、携帯機器DVCが傾斜しておらず、ほぼ「縦」に配置されたとみなされた場合、抵抗測定回路38に対して、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rの測定を行わせるための制御信号を出力する。次いで、抵抗測定回路38から得られる導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを、上記所定の変換テーブル(若しくは、変換式)に従って、導体21a、21bの、発電用燃料FLと接触している部分の長さ、即ち、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの液面の高さHに変換し、式(1)に示したように、燃料タンク11の底面積Sに、この発電用燃料FLの液面の高さHを乗じて、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を算出して、記憶・保持している残量を更新するとともに、算出した実測残量値を、報知手段により、携帯機器DVC外部へ報知させる。
【0094】
尚ここで、所定の計測タイミングとは、負荷を駆動する指令が検出された(即ち、電源がONとされた)とき、若しくは、負荷の駆動中、所定時間毎(例えば、30分毎)に到来する測定時刻である。
【0095】
〔報知手段〕
報知手段40は、例えば、LED等の発光手段、LCDやTFT等の表示パネルを有する表示手段、スピーカ等の音声出力手段、振動発生手段、等の内から、少なくとも1つを備えて構成される。
【0096】
即ち、報知手段40が、上記表示手段を備える場合にあっては、例えば、残量算出部34bによって算出、保持されている発電用燃料FLの残量(予測残量値、若しくは実測残量値)を、燃料タンク11の容積に対する割合(%)でデジタル表示したり、段階的な表示をしたりすることができる。
【0097】
また、残量算出部34bによって、携帯機器DVCが「縦」に配置されていないと判断された際に、『機器を縦にして下さい』といったように、携帯機器DVCを「縦」に配置させる旨のメッセージを、表示出力することができるし、また、残量算出部34bにより算出された残量(予測残量値、若しくは実測残量値)が所定の残量下限値を下回った際に、『燃料パックを交換して下さい』といったように、封入された発電用燃料FLの残量が少なくなった、若しくはなくなった燃料パック10Aを、新たな燃料パック10Aに交換させる旨のメッセージを、表示出力することができる。
【0098】
一方、報知手段40が、上記音声出力手段を備える場合にあっても同様に、上記メッセージを、音声出力によって報知することができる。
【0099】
〔処理の流れ〕
次に、本第1の実施の形態に係る燃料電池システム1の動作を説明する。
図6は、本第1の実施の形態に係る燃料電池システム1の動作を示すフローチャートである。
【0100】
同図に示すように、例えば、利用者によって携帯機器DVCの電源が投入(ON)され、負荷を起動する指令を検出すると(ステップS11)、出力制御部34aは、DC/DCコンバータ33を制御し、電力保持部32に保持されている保持電力により、負荷に対して、当該負荷を起動させるための起動電力を供給させるとともに、ドライバ36、及びポンプ35を動作させ、発電部31を駆動させる。
【0101】
それとともに、残量算出部34bは、抵抗測定回路38を動作させて、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを計測させ、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量(初期残量値)を算出し、算出した初期残量値を、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの現在の残量値として、報知手段40より携帯機器DVC外部へ報知させる(ステップS12)。
【0102】
尚ここで、算出した初期残量値が所定の残量下限値を下回っている場合には(ステップS13:NO)、残量算出部34bは、燃料パック10Aの交換を利用者に促す旨のメッセージを、報知手段40より携帯機器DVC外部へ報知させる(ステップS19)。そして、新たな燃料パック10Aに交換された、即ち新たな燃料パック10Aが発電モジュール30Aに結合されたことを確認すると(ステップS20)、ステップS12へ移行し、再度、当該新たな燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLの残量(初期残量値)を算出する(ステップS12)。
【0103】
一方、発電部31の駆動中において、残量算出部34bは、ポンプ35の動作によって、燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLが発電部31に供給される毎に、その供給量から、燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLの残量(予測残量値)を算出し、算出した予測残量値を、報知手段40によって、携帯機器DVC外部へ報知させる(ステップS14)。
【0104】
それとともに、残量算出部34bは、所定時間経過毎に(ステップS15:YES)、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量(実測残量値)を算出する。
【0105】
具体的には、傾斜センサ39によって検出された携帯機器DVCの傾斜の有無、若しくは傾斜角度に基づき、図5を参照して説明したように、携帯機器DVCがほぼ「縦」に配置されているか否かを判断する(ステップS16)。判断の結果、「縦」に配置されていない場合には(ステップS16:NO)、携帯機器DVCを「縦」に配置させるよう促すメッセージの報知を、報知手段40に行わせる(ステップS18)。
【0106】
携帯機器DVCが、ほぼ「縦」に配置されたことを確認すると(ステップS16:YES)、残量算出部34bは、抵抗測定回路38を動作させ、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定させる。そして、図4を参照して説明したように、抵抗測定回路38によって測定された電気抵抗値Rに基づき、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量(実測残量値)を算出し、算出した実測残量値を、報知手段40によって、携帯機器DVC外部へ報知させる(ステップS17)。
【0107】
その後、ステップS13へ移行し、算出した実測残量値について、上述した予測残量値と同様に、所定の残量下限値を下回っている場合には(ステップS13:NO)、燃料パック10Aの交換を促すメッセージを報知手段40により報知させ(ステップS19)、新たな燃料パック10Aに交換されたことを確認した後(ステップS20)、ステップS12へ移行する。また、上記算出した実測残量値が、所定の残量下限値を上回っている場合には(ステップS13:YES)、上述したステップS14〜S18の処理を、携帯機器DVCの電源が遮断(OFF)されるまで、同様に繰り返す。
【0108】
即ち、発電部31の駆動中、例えば利用者によって、携帯機器DVCの電源が遮断(OFF)され、負荷を停止する指令を検出すると、出力制御部34aは、電力保持部32に保持されている電力(保持電力)が一定エネルギー以上であることを確認した後、ポンプ35の供給動作を停止させ、発電部31の発電動作を停止させる。
【0109】
また、発電部31が停止中に、携帯機器DVCの電源が遮断(OFF)され、負荷を停止する指令を検出すると、出力制御部34aは、電力保持部32bの保持電力が上記一定エネルギー以上であるかを確認し、以下である場合には、発電部31を起動させ、電力保持部32の保持電力が一定エネルギーとなった後、発電部31を停止させる。
このように、本第1の実施の形態に係る燃料電池システム1は動作する。
【0110】
以上のように構成することで、二個の導体21a、22bからなる導体組21を、燃料タンク11内の所定の位置に配設し、この導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定することで、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を、容易に検出することができる。
【0111】
更に、傾斜センサ39を備えることで、携帯機器DVCが、上記電気抵抗値Rの測定に適した向きに配置されているか否かを判断し、適していないと判断した場合には、報知手段40によりその旨を報知させることで、携帯機器DVCを、電気抵抗値Rの測定に適した向きに配置させることが可能となる。
【0112】
〔第2の実施の形態〕
続いて、第2の実施の形態に係る燃料電池システムについて、説明する。尚、以下において、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に付いては同符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0113】
図7は、本第2の実施の形態に係る燃料電池システム2の構成例を示すブロック図である。
燃料電池システム2は、同図に示すように、大別して、燃料パック10B、発電モジュール30B、を備えて構成され、図2に示す第1の実施の形態に係る燃料電池システム1と、次の点で異なる。
【0114】
即ち、燃料パック10Bは、3つの残量センサ12(以下、それぞれを残量センサ12a、12b、12c、と表記する。)を備え、発電モジュール30Bは、傾斜センサ39を備えず、3つの抵抗測定回路38(以下、それぞれを、抵抗測定回路38a、38b、38c、と表記する。)、を備えて構成される。
【0115】
〔燃料パック〕
図8は、燃料パック10Bの適用形態の一例を示す概略図であり、燃料パック10Bの側断面図平面図(同図(a))、及び(同図(b))を示している。
【0116】
同図に示すように、燃料パック10Bにおいて、残量センサ12aは、導体22a、22bからなる導体組22を、残量センサ12bは、導体23a、23bからなる導体組23を、残量センサ12cは、導体24a、24bからなる導体組24を、それぞれ有している。
【0117】
導体22a、22bは、間隔Dをおいて平行に、且つ相互に近接して、燃料タンク11の内周面に沿って配設され、更に、それぞれの一端は、燃料タンク11の上面に到達し、一方、それぞれの他端は、燃料パック10Bの底面に露出して配設されている。
【0118】
そして、燃料パック10Bが、携帯機器DVCの上述した収納部5に収納されると、燃料パック10Bの底面に露出されている抵抗22a、22bそれぞれの他端が、収納部5の内面に設けられた受電端子(不図示)と接触する。これにより、導体22a、22bは、抵抗測定回路38aと電気的に結合され、抵抗測定回路38aによって、導体22a、22bの間の電気抵抗値Rが測定される。
【0119】
また、導体23a、23bは、間隔Dをおいて平行に、且つ相互に近接して、燃料タンク11の内周面に沿って配設され、更に、それぞれの一端は、燃料タンク11の上面に到達し、一方、それぞれの他端は、燃料パック10Bの底面に露出して配設されている。
【0120】
そして、燃料パック10Bが、携帯機器DVCの上述した収納部5に収納されると、燃料パック10Bの底面に露出されている導体23a、23bそれぞれの他端が、収納部5の内面に設けられた受電端子(不図示)と接触する。これにより、導体23a、23bは、抵抗測定回路38bと電気的に結合され、抵抗測定回路38bによって、導体23a、23bの間の電気抵抗値Rが測定される。
【0121】
また、導体24a、24bは、間隔Dをおいて平行に、且つ相互に近接して、燃料タンク11の内周面に沿って配設され、更に、それぞれの一端は、燃料タンク11の上面に到達し、一方、それぞれの他端は、燃料パック10Bの底面に露出して配設されている。
【0122】
そして、燃料パック10Bが、携帯機器DVCの上述した収納部5に収納されると、燃料パック10Bの底面に露出されている導体24a、24bそれぞれの他端が、収納部5の内面に設けられた受電端子(不図示)と接触する。これにより、導体24a、24bは、抵抗測定回路38cと電気的に結合され、抵抗測定回路38cによって、導体24a、24bの間の電気抵抗値Rが測定される。
【0123】
また、導体組22、23、24は、同図に示すように、燃料タンク11の内周面に沿って、等間隔に配置されている。即ち、燃料パック10Bを上面からみた場合、導体組22は、隣り合う導体組24から、燃料タンク11の内周面に沿って時計回り方向に120度回転した位置に、導体組23は、隣り合う導体組22から、燃料タンク11の内周面に沿って計回り方向に120度回転した位置に、導体組24は、隣り合う導体組23から、燃料タンク11の内周面に沿って時計回り方向に120度回転した位置に、それぞれ配設されている。
【0124】
図9は、燃料パック10Bの概略側断面である。
同図(a)は、燃料パック10Bが「縦」に配置されている場合を示している。即ち、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面は、燃料タンク11の底面と平行となっており、導体22a、22b、23a、23b、24a、24bそれぞれが、燃料タンク11内の発電用燃料FLと接触している部分の長さは、何れも等しく、燃料タンク11の底面からの液面の高さLとなっている。
【0125】
同図(b)は、燃料パック10Bが傾けられた場合を示している。即ち、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面は、燃料タンク11の底面とは平行となっておらず、導体22a、22b、23a、23b、24a、24bそれぞれが、燃料タンク11内の発電用燃料FLと接触している部分の長さは、何れも異なっている。
【0126】
具体的には、導体22a、22bは、燃料タンク11の底面から長さLa(<L)の部分が、発電用燃料FLと接触し、導体23a、23bは、燃料タンク11の底面から長さLb(>La)の部分が、発電用燃料FLと接触し、導体24a、24bは、燃料タンク11の底面から長さLc(>Lb)の部分が、発電用燃料FLと接触している。
【0127】
尚ここで、各導体が発電用燃料FLの接触している部分の長さは、実際にはそれぞれ異なるが、上述のように、導体22aと22b、23aと23b、24aと24bは、それぞれ、間隔Dをおいて近接して配設されている。このため、その差は僅かであるので、導体組22、23、24毎に、これを構成する各導体が発電用燃料FLと接触する部分の長さは、ほぼ等しいものとして扱っている。
【0128】
そして、当該燃料パック10Bを、例えば同図(a)に示すように「縦」に配置したと仮定した場合に、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面の高さHは、次の式(7)に従って、近似的に算出される。
(液面の高さH)=(La+Lb+Lc)/3 ・・・(7)
【0129】
そして、このように算出された液面の高さHに、式(1)に示した算出式を適用し、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を、算出することができる。
【0130】
尚、導体22a、22b、23a、23b、24a、24bそれぞれが、発電用燃料FLと接触する部分の長さLa、Lb、Lcは、上述のように、抵抗測定回路38a、38b、38cにより測定された電気抵抗値Rから、上記所定の変換テーブル(若しくは、変換式)に従って求められる。
【0131】
〔発電モジュール〕
発電モジュール30Bは、図7に示すように、抵抗測定回路38a、38b、38cを備えて構成される。
【0132】
抵抗測定回路38aは、燃料パック10Bが発電モジュール30Bに結合されると、導体22a、22bと電気的に結合され、導体22a、23aの間の電気抵抗値Rを測定する。抵抗測定回路38bは、燃料パック10Bが発電モジュール30Bに結合されると、導体23a、23bと電気的に結合され、導体23a、23bの間の電気抵抗値Rを測定する。また、抵抗測定回路38cは、燃料パック10Bが発電モジュール30Bに結合されると、導体24a、24bと電気的に結合され、導体24a、24bの間の電気抵抗値Rを測定する。
【0133】
残量算出部34bは、抵抗測定回路38a、38b、38cそれぞれから得られる電気抵抗値R毎に、上記所定の変換テーブル(若しくは、変換式)に従い、導体組22、23、24それぞれが有する導体が、発電用燃料FLと接触している部分の長さLを求める。そして、式(7)に従い、これら求めた3つの長さLの平均値を演算することで、携帯機器DVC(燃料パック10B)を「縦」にした場合になるであろう、発電用燃料FLの液面の高さHを近似的に算出する。次いで、式(1)に従い、算出した液面の高さHに、燃料タンク11の底面積Sを乗じることで、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量(実測残量値)を算出する。
【0134】
以上のように構成することで、三組の導体組22、23、24を、それぞれ、燃料タンク11の内周面に沿って等間隔に配設し、各導体組を構成する二個の導体間の電気抵抗値Rを測定することで、携帯機器DVCが傾斜している場合であっても、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を、容易に算出することができる。
【0135】
また、携帯機器DVCが傾斜している場合であっても、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を算出できるので、図2に示した傾斜センサ39が不要となり、より簡易に燃料電池システム2を構成することができる。
但し、傾斜角度が大きくなって、導体22a、22b、23a、23b、24a、24bの何れかが、発電用燃料FLと接触しなくなった場合、上記の方式によって液面の高さを算出することができず、測定不能となる。その場合、例えば、報知手段40により、携帯機器DVCを「縦」に配置させるよう促すメッセージの報知を行わせる等の処理を行う。
【0136】
〔変形例〕
尚、本発明の適用は、上記第1、第2の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第1、第2の実施の形態において適用される燃料パック10A、10Bは、何れも、発電モジュール30A、30Bに対して着脱自在に構成されることとしたが、燃料パック10A、10Bと発電モジュール30A、30Bとは、一体となって構成されるものとしても良い。
【0137】
このとき、燃料タンク11に封入された発電用燃料FLが少なくなった、若しくはなくなった場合には、携帯機器DVCに内蔵された燃料タンク11に、発電用燃料FLを補充することとしても良い。
【0138】
また、第1の実施の形態において、携帯機器DVCがほぼ「縦」に配置されたと判断した後、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定することとしたが、傾斜センサ39が傾斜角度を検知する機能を有している場合、同センサから得られた傾斜角度に応じて、電気抵抗値Rから算出した燃料タンク内の発電用燃料FLの液面の高さHを、適切に補正することとしても良い。
【0139】
また、第2の実施の形態において、燃料タンク11内に、三組の導体組を配設する場合について説明したが、これに限らず、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量について得たい精度に応じて、任意の組数の導体組を配設することとしても良い。
更には、上記においては、2本の導体を一組とした導体組を複数用いるようにしたが、本発明はこのような構成に限るものではなく、例えば、複数本の導体を燃料容器の側面に沿って、互いに等間隔に配置して、各導体間の電気抵抗値を順次測定するようにしてもよい。
【0140】
また、第2の実施の形態において、導体組22、23、24それぞれの電気抵抗値Rの平均値を求め、液面の高さHを近似的に算出することとして説明したが、各導体組それぞれの電気抵抗値Rに応じた係数を乗算した上で平均値を求めるようにしてもよい。具体的には、例えば、最も大きな電気抵抗値Rには大きな係数を乗算し、最も小さな電気抵抗値Rには小さな係数を乗算する等した上で平均値を算出することにより、より精度のよい近似計算を行うこととしてもよい。
【0141】
また、第2の実施の形態では、三つの導体組を燃料タンク11の内周面に沿って120度の間隔で均等に配設することとして説明したが、偏った配設位置に設置してもよい。例えば、携帯機器DVCの正面(操作面・表示面)側に一組の導体組を配設し、携帯機器DVCの裏面側に他の2つの導体組を配設するようにしてもよい。即ち、携帯機器DVCの使用角度を考慮した配設位置とすることで、より精度のよい燃料の残量検出を行うことができる。尚、この場合には、各燃料体組の電気抵抗値Rの平均ではなく、それぞれの燃料体組の配設位置に基づいた算出方法となる。
【0142】
また、燃料パック11の形状を円柱形状として図示・説明したが、角柱形状にしてもよいことは勿論である。
【0143】
【発明の効果】
本発明によれば、導体組を構成する二本の導体間の電気抵抗値を測定することで、燃料カートリッジが有する燃料容器内の発電用燃料の残量を、容易に算出することができる。また、三組以上の上記導体組を、上記燃料容器の内周面に沿って等間隔に配設することで、この配設位置を考慮した所定演算(例えば、各導体組を構成する導体が燃料と接触する部分の長さの平均値を求める等)により、燃料カートリッジが内蔵又は装着された携帯機器が傾斜している場合であっても、燃料タンク内の燃料の残量を容易に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る燃料電池システムの適用形態の一例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る燃料電池システムの構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の燃料パックの適用形態の一例を示す図である。
【図4】燃料パック内の発電用燃料の残量が異なる場合における、導体と発電用燃料との関係を示す模式図である。
【図5】図1の携帯機器の概略側面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る燃料電池システムの構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の燃料パックの適用形態の一例を示す図である。
【図9】図8の燃料パックの概略側断面図である。
【符号の説明】
1、2 燃料電池システム
10A、10B 燃料パック
11 燃料タンク
12(12a、12b、12c) 残量センサ
21a、21b 導体
22a、22b、23a、23b、24a、24b 導体
30A、30B 発電モジュール
31 発電部
31a 気化器
31b 改質器
31c CO除去器
31d 燃料電池
31e ヒータ
32 電力保持部
33 DC/DCコンバータ
34 発電制御部
34a 出力制御部
34b 残量算出部
35 ポンプ
36 ドライバ
37 制御回路
38(38a、38b、38c) 抵抗測定回路
39 傾斜センサ
40 報知手段
FL 発電用燃料
DVC 携帯機器
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料カートリッジ及びそれを備えた携帯機器並びに残量検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、民生用や産業用のあらゆる分野において、様々な化学電池が使用されている。例えば、アルカリ乾電池やマンガン乾電池等の一次電池は、時計やカメラ、玩具、携帯型の音響機器等に多用されており、我が国に限らず、世界的な観点からも最も生産量が多く、安価且つ入手が容易という特徴を有している。
【0003】
一方、ニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池は、近年普及が著しい携帯電話機や携帯情報端末(PDA)、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の携帯機器に多用されており、繰り返し充放電ができることから経済性に優れた特徴を有している。また、二次電池のうち、鉛蓄電池は、車両や船舶の起動用電源、或いは、産業設備や医療設備における非常用電源等として利用されている。
【0004】
ところで、近年、環境問題やエネルギー問題への関心の高まりに従い、上述したような化学電池の使用後に生じる廃棄物に関する問題やエネルギー変換効率の問題がクローズアップされている。
【0005】
特に、一次電池においては、上述したように、製品価格が安価で入手が容易な上、電源として利用する機器も多く、しかも、基本的に一度放電されると電池容量を回復することができない、一回限りの利用(いわゆる、使い捨て)しかできないため、年間の廃棄量が数百万トンに上っている。ここで、化学電池全体では、リサイクルにより回収される比率は、概ね20%程度に過ぎず、残りの80%程度が自然界に投棄、又は、埋め立て処理されている、とする統計資料もあり、このような未回収の電池に含まれる水銀やインジウム等の重金属による環境破壊や、自然環境の悪化が懸念されている。
【0006】
また、エネルギー資源の利用効率の観点から上記化学電池を検証すると、一次電池においては、放電可能エネルギーの概ね300倍のエネルギーを使用して生産されているため、エネルギー利用効率が1%にも満たない。これに対して、繰り返し充放電が可能で経済性に優れた二次電池であっても、家庭用電源(コンセント)等から充電を行う場合、発電所における発電効率や送電線損失等により、エネルギー利用効率が概ね12%程度にまで低下してしまうため、必ずしもエネルギー資源の有効利用が図られているとは限らなかった。
【0007】
そこで、近年、環境への影響(負担)が少なく、且つ、例えば、30〜40%程度の極めて高いエネルギー利用効率を実現することができる燃料電池をはじめとする各種の新たな電源システムや発電システム(以下、「電源システム」と総称する)が注目され、車両用の駆動電源や事業用の電源システム、家庭用のコジェネレーションシステム等への適用を目的として、或いは、上述したような化学電池の代替えを目的として、実用化のための研究、開発が盛んに行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、今後、燃料電池等のエネルギー利用効率が高い電源システムを小型軽量化して、可搬型又は携帯型のポータブル電源、例えば、上述した化学電池の代替え(互換品)として適用するためには、次に示すような問題点を有している。
【0009】
即ち、例えば、上述した燃料電池を有する電源システム(以下、燃料電池システムとする)にあっては、発電用の燃料(発電用燃料)を用いて、電力を発生(発電)させるため、係る燃料の残量を常に把握し、燃料の残量が少なくなったら、現在使用中の燃料カートリッジを、燃料が充填された新たな燃料カートリッジに交換する等、燃料電池システムの燃料の残量を速やかに回復(増加)させる必要がある。
【0010】
このため、燃料電池システムには、現在の燃料の残量を常に把握すべく、燃料の残量を検出するための残量検出手段が設けられることが通常である。だが、この従来の残量検出手段は、燃料カートリッジの向きがさほど変化しない場合に対応しているに過ぎず、例えば、傾けられたり、或いは、逆さま(上下逆)になったり、といった場合にも対応できるものではなかった。
【0011】
即ち、係る燃料電池システムが携帯機器に搭載される場合、携帯機器は手で持ちながら扱われることが多いため、その向きは頻繁に変化する、つまり、携帯機器に装着された燃料カートリッジの向きも、頻繁に変化する。このため、従来の残量検出手段では、上記燃料カートリッジの向きが、残量検出手段による残量の検出に適した所定の向きとなっているときしか、正確な燃料の残量を検出できず、燃料の残量を常に正確に把握することは困難であった。そのため、燃料カートリッジの交換等を適時に行うことが出来ず、携帯機器が予期しない時に動作停止してしまう、といった事態が起こる可能性があった。
【0012】
また、残量検出手段としては、例えば、光源と受光器との間に燃料が入ることで、光源から発せられる光路の変化を検出する光センサ方式、超音波の反射時間の変化を検出する超音波方式、電極間に燃料が入ることで変化する静電容量を検出する静電容量方式等、の方式を利用したものもあるが、何れも、携帯機器用の燃料電池システムに相応しく小型、且つ安価に構成することは、容易ではなかった。
【0013】
そこで、本発明は、特に携帯機器に搭載される燃料電池システムにおいて、発電用燃料の残量の検出を、常に、且つ簡易に行えるようにすることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
燃料電池に供給する所定の燃料を保持する燃料カートリッジであって、
柱形状の燃料容器と、
前記燃料容器の側面に沿って、前記燃料容器の内部に所定の間隔で隔設され、前記燃料に接触するように配置された複数本の導体と、を備え、
前記導体の、前記燃料に接触する部分の長さが前記燃料の残量に応じて変化するように構成されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の燃料カートリッジにおいて、前記導体は、所定の間隔で平行に設けられた2本の導体を一組とする、少なくとも一組の導体組からなることを特徴としている。
そして、請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の燃料カートリッジにおいて、前記導体組は三組以上設けられ、前記燃料容器の内周面に沿って隔設されていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、
所定の燃料を保持する燃料容器と、前記燃料容器の内部に所定の間隔で隔設され、前記燃料に接触し、前記燃料に接触する部分の長さが該燃料の残量に応じて変化するように配置された複数本の導体と、を備える燃料カートリッジと、該燃料カートリッジを収納する収納部と、前記燃料カートリッジから供給される前記燃料を用いて発電する燃料電池システムと、を備え、該燃料電池システムにより発電した電力によって駆動する携帯機器であって、
前記各導体間の電気抵抗値を測定する抵抗測定手段と、
前記抵抗測定手段によって測定された電気抵抗値に基づいて、前記燃料容器内に蓄えられた燃料の残量を算出する残量算出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0017】
そして、請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の携帯機器において、前記燃料カートリッジにおける前記導体は、所定の間隔で平行に設けられた2本の導体を一組とする、少なくとも一組の導体組からなることを特徴としている。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の携帯機器において、前記導体組は三組以上設けられ、前記燃料容器の内周面に沿って隔設されていることを特徴としている。
【0019】
尚ここで、「携帯機器」とは、例えば、携帯情報端末(PDA)、携帯電話機といった携帯型の電子機器の他、ノート型パソコンやデジタルカメラといった可搬型の電子機器の意である。
【0020】
この請求項1から6に記載の発明によれば、燃料カートリッジが有する燃料容器に封入される燃料が、例えば、液体燃料又は液化燃料等の流動性を有する燃料である場合、燃料容器内の燃料の残量に応じて、燃料容器に内部に設けられた各導体が当該燃料と接触している部分の長さが変化する。即ち、燃料容器内の燃料を、上記導体間の導電路とみなすと、二本の導体間の電気抵抗値は、燃料容器内の燃料の残量に応じて、変化することになる。
【0021】
従って、二本の導体間の配設距離、燃料容器の底面積等、燃料カートリッジの形成条件を考慮し、各導体が燃料と接触している部分の長さと、二本の導体間の電気抵抗値と、の関係を予め求めておくことで、当該関係に従って、測定された導体間の電気抵抗値を、燃料容器内の残量に換算することができる。
【0022】
また、この請求項4に記載の携帯機器において、前記残量算出手段は、請求項7に記載の発明のように、前記抵抗測定手段によって測定された前記各導体間の電気抵抗値から、前記各導体の配設位置に基づいた算出方法で残量を算出するように構成しても良い。
【0023】
この請求項7に記載の発明によれば、各導体間の電気抵抗値に加えて、配設位置にも基づいて、燃料容器内の残量を算出することができる。
従って、例えば、複数組の導体組が燃料容器の内周面に沿って隔設された場合にあっては、燃料カートリッジが傾けられたとき、各導体組毎に、当該導体組を構成する導体が燃料容器内の燃料と接触する部分の長さが異なる、即ち、測定される電気抵抗値が異なる。そして、例えば、各導体組毎に得られた、導体が燃料に接触する部分の長さの平均値を算出し、この算出値を燃料容器内の燃料の液面の高さとみなすことで、燃料容器内の残量を算出することができる。
【0024】
また、請求項8に記載の発明のように、請求項4〜7の何れかに記載の携帯機器において、
前記抵抗測定手段は、前記電気抵抗値の測定を間欠的に複数回実行し、
前記残量算出手段は、前記抵抗測定手段によって測定された複数の電気抵抗値の内、所定の変動範囲内に含まれる電気抵抗値の平均値又は最小値に基づいて、残量を算出するように構成しても良い。
【0025】
この請求項8に記載の発明によれば、携帯機器においては、例えば、手持ちでの使用中や利用者によって持ち運ばれる場合、燃料容器が揺れたり、頻繁に向きが変わったりすることがあり、この間に、残量算出のため、電気抵抗値の測定を行った場合、測定毎に異なる測定結果となってしまう。これに対して、電気抵抗値の測定を間欠的に複数回実行し、これらの測定値の平均値又は最小値を採用することで、揺れ等により生じる測定誤差を考慮し、より正確な残量を算出することができる。
【0026】
また、複数の測定値の内、所定の変動範囲内の値のみを採用することで、例えば、携帯機器の向きが急激に変わったとき、測定される電気抵抗値も大きく変わるが、このように大きく変わる値を除外し、より正確な残量を算出することができる。
【0027】
また、請求項9に記載の発明のように、請求項4〜8の何れかに記載の携帯機器において、
前記燃料容器内に蓄えられた燃料の残量を記憶する残量記憶手段と、
前記燃料電池による燃料使用量に基づいて、前記燃料容器内の残量の予測を随時行い、前記残量記憶手段に記憶された残量を更新する残量予測手段と、
前記残量算出手段によって算出された残量に基づいて、前記残量記憶手段に記憶された残量を補正する残量補正手段と、
前記残量記憶手段に記憶された残量が所定の下限値に達した場合に、所定の報知を行う報知手段と、
を更に備えて構成しても良い。
【0028】
また、請求項12に記載の発明は、
所定の燃料を保持する燃料容器と、該燃料容器の内部に隔設され、前記燃料に接触し、該燃料に接触する部分の長さが該燃料の残量に応じて変化するように配置された複数本の導体と、を備える燃料カートリッジと、該燃料カートリッジから供給される前記燃料を用いて発電する燃料電池システムと、を備える携帯機器における、前記燃料容器内の残量を検出する残量検出方法であって、
前記燃料電池システムによる燃料使用量に基づいて、前記燃料容器内の残量の予測を随時行い、残量記憶手段に残量を記憶更新するステップと、
前記各導体間の電気抵抗値を測定するステップと、
前記測定された電気抵抗値に基づいて、前記燃料容器内の残量を算出するステップと、
前記算出された残量に基づいて、前記残量記憶手段に記憶された残量を補正するステップと、
前記残量記憶手段に記憶された残量が所定の下限値に達した場合、所定の報知を行うステップと、
を含むことを特徴としている。
【0029】
この請求項9又は12に記載の発明によれば、例えば、燃料電池システムによる発電動作の実行中は、随時、燃料電池システムに対して供給された燃料量を監視し、この供給量から燃料タンク内の燃料の残量を予測しつつ、一方、一定時間毎に、上記導体間の電気抵抗値を測定し、燃料容器内の燃料の残量を算出し、上記予測による残量値を補正することができる。
【0030】
更に、予測又は算出された残量が、所定の下限値に達した場合には、所定の報知を行うことができるので、例えば、燃料容器内の燃料の残量が少なくなった場合には、その旨を報知し、新たな燃料カートリッジへの交換を促すことができ、燃料不足による携帯機器の予期しない動作停止といった事態を防止することが可能となる。
また、請求項13に記載の発明のように、請求項12に記載の残量検出方法において、
前記携帯機器の傾斜角度を検出するステップと、
前記残量を算出するステップにより算出された残量の値を、前記傾斜角度を検出するステップにより検出された傾斜角度に基づいて補正するステップと、
を更に含むようにしてもよい。
【0031】
この請求項13に記載の発明によれば、当該携帯機器の傾斜角度を検出して、その傾斜角度に基づいて、算出された燃料の残量を補正することによって、残量値を更に正確に求めることができる。
【0032】
また、請求項10に記載の発明のように、請求項4〜9の何れかに記載の携帯機器において、
前記携帯機器の所定方向の傾斜の有無、又は所定方向の傾斜角度を検出する傾斜検出手段を更に備え、
前記抵抗測定手段は、前記傾斜検出手段による検出結果に基づいて、前記電気抵抗値の測定を行うか否かを決定するように構成しても良い。
【0033】
この請求項10に記載の発明によれば、検出された携帯機器の傾斜の有無、又は傾斜角度から、例えば、現在の携帯機器の向きが電気抵抗値の測定に適しているか否かを判断し、適していると判断した場合のみ、電気抵抗値の測定を行うようにすることができる。
【0034】
また、請求項11に記載の発明のように、請求項4〜9の何れかに記載の携帯機器において、
所定方向の傾斜の有無、又は所定方向の傾斜角度を検出する傾斜検出手段を更に備え、
前記残量算出手段は、前記抵抗測定手段によって測定された電気抵抗値、および前記傾斜検出手段による検出結果に基づいて、前記燃料容器内の残量を算出するように構成しても良い。
【0035】
この請求項11に記載の発明によれば、各導体間の電気抵抗値に加えて、検出された携帯機器の傾斜の有無、又は傾斜角度にも基づいて、燃料容器内の燃料の残量を算出することができる。即ち、例えば、携帯機器(若しくは、燃料容器)の傾斜角度と、各導体が燃料容器内の燃料と接触する部分の長さと、二本の導体間の電気抵抗値と、の関係を予め求めておくことで、携帯機器が傾けられた場合であっても、当該関係に従って、測定された二本の導体間の電気抵抗値を、燃料容器内の残量に換算することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムの実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る燃料電池システム1、及び当該燃料電池システム1を搭載した携帯機器(同図においては、携帯情報端末が示されている。)DVCの平面図(同図(a))、正面図(同図(b))、及び側面図(同図(c))の概略図を示している。
【0038】
本第1の実施の形態に係る燃料電池システム1は、同図に示すように、例えばその一部がモジュール化して形成される。そして、燃料カートリッジを形成する燃料パック10Aが、携帯機器DVCに対して任意に装着可能(矢印P参照)に構成される。なお、燃料電池システム1のその他の構成要素(不図示)は、携帯機器DVCに内蔵されるようにしてもよい。
【0039】
具体的には、携帯機器DVCには、燃料パック10Aを収納するため、燃料パック10Aの形状と略一致する形状の収納部5が設けられている。そして、収納部5に収納された燃料パック10Aは、例えば収納部5上部に設けられた収納蓋6が閉じられることで、後述する発電モジュール30Aと結合され、燃料パック10Aに封入されている発電用燃料FLが、発電モジュール30Aに対して供給される。
【0040】
また、燃料電池システム1に適用される燃料パック10Aは、燃料パック10A以外の構成要素(即ち、発電モジュール30A)に対して着脱自在に構成されているため、燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLがなくなったときや少なくなったときには、収納部5に収納されている燃料パック10Aを取り外して、新たな燃料パック10Aに交換することができるようになっている。
【0041】
図2は、燃料電池システム1の構成例を示すブロック図である。ここで、燃料電池システム1においては、発電モジュール30Aを構成する発電部31として、燃料改質方式を採用した固体高分子型の燃料電池31dを有しているものとして説明する。
【0042】
燃料電池システム1は、同図に示すように、大別して、発電用燃料FLが封入された燃料パック10Aと、該燃料パック10Aに着脱自在に結合され、燃料パック10Aから供給される発電用燃料FLに基づいて所定の電力(電気エネルギー)を発生(発電)する発電モジュール30Aと、を備えて構成される。
以下、各構成について具体的に説明する。
【0043】
〔燃料パック〕
燃料パック10Aは、その組成に水素を含有する液体燃料、若しくは液化燃料からなる発電用燃料FLが充填、封入された密閉性の高い燃料容器である燃料タンク11と、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を検出する残量センサ12と、を備えて構成される。
【0044】
ここで、燃料タンク11内の発電用燃料FLは、発電モジュール30Aの後述する出力制御部34aの制御によって、後述する発電部31が所定電圧を有する電力を発生するために必要な量の発電用燃料FLが、ポンプ35を介して、随時発電部31へ供給される。
【0045】
また、燃料電池システム1に用いられる発電用燃料FLとしては、メタノールやエタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、常温、常圧下で気体であるジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の炭化水素からなる液化燃料を適用することができる。
【0046】
次に、燃料パック10Aの具体的な構成と、他の構成要素との相互関係について説明する。
図3は、燃料パック10Aの概略図であり、燃料パック10Aの平面図(同図(a))、及び側断面図(同図(b))を示している。
【0047】
燃料パック10Aは、同図に示すように、例えば、略円柱形状をなして形成される。
また、燃料パック10Aは、発電部31に供給される、例えば、メタノール等の液体燃料、若しくは液化燃料である発電用燃料FLが充填、封入された燃料容器である燃料タンク11を備え、燃料タンク11の底面には、燃料タンク11内の発電用燃料FLをポンプ35に供給するための送出口11aが設けられている。
【0048】
ここで、送出口11aには、燃料パック10Aが発電モジュール30Aに結合された状態でのみ、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの供給が可能となるように、制御弁が設けられている。これにより、燃料パック10Aが発電モジュール30Aから分離された状態においては、燃料タンク11内の発電用燃料FLは、燃料パック10Aの外部に漏出することはない。
【0049】
また、燃料パック10Aにおいて、残量センサ12は、燃料タンク11内の所定位置に配設された略棒状体の導体21a、21bからなる導体組21を有して構成され、この導体21a、21bの間の電気抵抗値が測定されることで、燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLの残量が検出される。
【0050】
具体的には、導体21a、21bは、間隔Dをおいて平行に、且つ相互に近接して、燃料タンク11の内周面に沿って配設され、更に、それぞれの一端は、燃料タンク11の上面に到達し、一方、それぞれの他端は、燃料パック10Aの底面に露出して配設されている。
【0051】
そして、燃料パック10Aが、携帯機器DVCの上述した収納部5に収納されると、燃料パック10Aの底面に露出されている導体21a、21bそれぞれの他端が、収納部5の内面に設けられた、発電モジュール30Aの後述する抵抗測定回路38に接続されている受電端子(不図示)と接触する。これにより、導体21a、21bは、抵抗測定回路38と電気的に結合され、後述するように、抵抗測定回路38によって、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rが測定され、これに基づき、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量が算出される。
【0052】
尚ここで、導体21a、21bは、例えば、カーボン等の良導体で形成されるが、例えば金等により形成される印刷パターンにより、燃料タンク11の内周面に形成されることとしても良い。
【0053】
図4は、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量がそれぞれ異なる場合における、導体21a、21bと、発電用燃料FLの残量と、の関係を示す模式図である。
【0054】
同図(a)は、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量が、燃料タンク11の容積の約80%に相当する場合を示しており、導体21a、21bは、それぞれ、燃料タンク11の底面から長さL1(>0)の部分が、発電用燃料FLと接触している。
【0055】
また、同図(b)は、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量が、燃料タンク11の容積の約30%に相当する場合を示しており、導体21a、21bは、それぞれ、燃料タンク11の底面から長さL2(但し、0<L2<L1、である。)の部分が、発電用燃料FLと接触している。
【0056】
ここで、導体21a、21bにおいては、発電用燃料FLとして用いられる液体の種類にもよるが、導体21a、21bの間に存在する発電用燃料FLを、導体21a、21bの間の導電路としてみたとき、発電用燃料FLと接触している導体21a、21bの部分の長さLが長い程、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rは小さくなる。
【0057】
即ち、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rは、それぞれが発電用燃料FLと接触している部分の長さLに応じて変化する。具体的には、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量が減少するに伴い、導体21a、21bそれぞれが発電用燃料FLと接触する部分の長さLが短くなるため、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rは、次第に大きくなる。
【0058】
また、導体21a、21bが、発電用燃料FLと接触している部分の長さLと、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rと、の関係は、発電用燃料FLとして用いられる液体燃料の種類(具体的には、導電率)、導体21a、21bの材質や形状(長さや直径等の寸法)等の形成条件に依存する。
【0059】
このため、上記形成条件に基づき、予め、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rと、導体21a、21bが発電用燃料FLと接触している部分の長さLと、を対応付けた変換テーブル(若しくは、変換式)を求め、この変換テーブル(若しくは、変換式)に従って、測定した導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを、導体21a、21bが発電用燃料FLと接触している部分の長さL、即ち、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面の高さHに変換することができる。
【0060】
そして、算出した液面の高さHに、燃料タンク11の底面積Sを乗じることで、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を、次の式(1)に示すように算出することができる。
(発電量燃料FLの残量)=S×L ・・・(1)
【0061】
このように、残量センサ12は、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面の高さH、即ち、導体21a、21bそれぞれが発電用燃料FLと接触する部分の長さLに応じて、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rが変化することを利用して、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量を検出している。なお、図3においては、導体21a、21bは燃料タンク11の長手方向に沿って設けられるようにしたが、本発明はこれに限るものではなく、要するに、各導体が発電用燃料FLと接触する部分の長さが発電用燃料FLの残量に応じて変化するように配置されていればよいものである。
【0062】
従って、例えば、燃料タンク11の長手方向が携帯機器DVCの左右方向に沿って装着されるような場合には、各導体は燃料タンクの長手方向に直交する向き、つまり燃料タンクの円周方向に沿って設けられるようにしてもよい。
【0063】
〔発電モジュール〕
次に、発電モジュール30Aについて説明する。
本実施の形態に係る発電モジュール30Aは、図2に示すように、主に、燃料パック10Aから供給される発電用燃料FLを用いて、電気化学反応や燃料反応等により、燃料電池システム1に接続された負荷(当該燃料電池システム1の供給電源で動作する携帯機器DVCを意味している。)に駆動電源(電圧/電流)となる電気エネルギーを発生し、出力する発電部31と、発電部31において発生された電力(発電電力)を一旦保持した後、一定電圧の電力を断続的に出力する、例えば電気二重層コンデンサ等からなる電力保持部32と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、電力保持部32から出力される電力の電圧成分を、燃料電池システム1が接続される負荷の駆動に適した所定電圧に変換して、供給電力として負荷に供給するDC/DCコンバータ33と、負荷の駆動状態に応じて、発電モジュール30Aの各構成要素を制御する発電制御部34と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、発電部31への発電用燃料FLの供給、遮断を行うポンプ35と、発電部31による発生電力を供給され、発電制御部34からの制御信号に基づいて、発電部31の後述する気化器31a、改質器31b、CO除去器31Cを適切に加熱させるための駆動用電力をヒータ31eに供給するドライバ36と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、発電部31による発生電力の、電力保持部32へ供給、遮断を制御する制御回路37と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、燃料パック10Aにおける上記導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定するための抵抗測定回路38と、当該燃料電池システム1が搭載された携帯機器DVCの傾斜を検出する傾斜センサ39と、発電制御部34からの制御信号に基づいて、所定の報知を行う報知手段40と、を有して構成される。
【0064】
〔発電部〕
発電部31は、発電制御部34の後述する出力制御部34aからの制御信号に基づいて、燃料パック10Aからポンプ35を介して発電用燃料FLが供給され、該発電用燃料FLが有する物理的又は化学的エネルギー等を用いて電力を発生(発電)する構成を有している。
【0065】
具体的には、発電部31は、例えば、メタノール(CH3OH)及び水(H2O)を発電用燃料FLとして水素ガス(H2)を発生する場合にあっては、図2に示すように、蒸発過程を介して、燃料パック10Aから供給される発電用燃料FLをヒータ31eで加熱して気化する気化器31aと、気化器31aで気化された発電用燃料FLを、水蒸気改質反応過程を介して、水素(H2)と副生成物の二酸化炭素(CO2)との混合ガスに変換する改質器31bと、この混合ガスに微量の副生成物として含まれる一酸化炭素ガス(CO)を二酸化炭素ガスに変換し、除去するCO除去器31Cと、改質器31b及びCO除去器31Cにおいて生成された高濃度の水素ガスにより、負荷への供給電力、及び発電モジュール30A内部の各部の動作電力となる所定の電力を発生(発電)する、燃料改質方式を採用した高分子型の燃料電池31dと、を有している。
【0066】
気化器31aは、燃料パック10Aからポンプ35を介して供給された発電用燃料FLであるメタノール及び水に対して、ドライバ36から供給される電力により制御されたヒータ31eで概ね沸点程度の温度条件の雰囲気を設定することにより、メタノール及び水を気化させ、改質器31bへ送出する。また、気化器31aは、能率よく発電用燃料FLを気化するため、ヒータ31eや改質器31b、若しくはCO除去器31C等における反応熱を能率よく導入する構造と、この熱を外部に漏らさない断熱構造とを有する。
【0067】
改質器31bは、燃料パック10Aから気化器31aを介して導入された発電用燃料FLを、水素ガス(H2)に変換する。具体的には、上記気化されて導入されたメタノール及び水に対して、ヒータ31eで概ね300℃の温度条件の雰囲気を設定することにより、次の式(2)の化学反応に示すように、水素と二酸化炭素との混合ガスへと変換する。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 ・・・(2)
【0068】
また、改質器31bは、導入されたメタノール及び水を改質するための、例えば、進行方向に直行する断面の縦、横の長さが500[μm]以下の細い流路からなるマイクロリアクタであり、式(2)に示した化学反応を能率よく進行させるための周知の触媒が流路の表面に担持されている。また、式(2)に示した化学反応は吸熱反応であるので、改質器31bは、この反応を効率良く進行させるため、ヒータ31e若しくはCO除去器31Cから効率良く熱を導入する構造と、この熱を外部に漏らさない断熱構造とを有する。
【0069】
CO除去器31Cは、改質器31bで生成された水素と二酸化炭素とを主成分とする混合ガスに含まれる微量の副生成物のうち、燃料電池31dの発電特性に悪影響を及ぼす一酸化炭素ガスを除去するため、この一酸化炭素ガスを、次の式(3)に示す化学反応で水素ガスと二酸化炭素ガスとに変換する。また、CO除去器31Cの内部には、式(3)に示す化学反応を効率良く進行させるための周知の触媒が担持されている。また、式(3)に示す化学反応は発熱反応であるので、CO除去器31Cには、この反応熱を排出するための図示しない放熱手段を設置することとしても良い。
CO+H2O→H2+CO2 ・・・(3)
【0070】
尚、式(3)に示す化学反応に要する水(H2)には、燃料パック10Aから発電用燃料FLとして供給される水の内、改質器31bで反応し残った水が充当されるが、この水が混合ガス中の一酸化炭素ガスに対して充分な量でない場合には、不足した分の水をCO除去器31Cに供給する構造を付加しても良い。
【0071】
更に、CO除去器31Cは、式(4)で示す化学反応により、一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスへ変換する。これにより、上記混合ガスから、式(3)に示す化学反応で除去し切れなかった一酸化炭素ガスを除去して、上記混合ガス中の一酸化炭素ガスの濃度を、燃料電池31dの発電特性に悪影響が及ばない範囲まで低めることができる。
2CO+O2→2CO2 ・・・(4)
【0072】
また、CO除去器31Cの内部には、改質器31bから導入された混合ガスに含有されている水素ガスを消費することなく、一酸化炭素ガスのみを選択的に式(4)に示す化学反応で酸化するための周知の触媒が担持されている。
【0073】
燃料電池31dは、水素−酸素燃料電池であり、大別して、例えば白金や白金−ルテニウム合金等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる燃料極(カソード)と、白金等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる空気極(アノード)と、燃料極と空気極との間に介挿されたフィルム状の周知のイオン導電膜(交換膜)と、を有して構成される。ここで、燃料電極には、上述した改質器31b及びCO除去器31Cにより抽出された(濃度が高められた)水素ガス(H2)が供給され、一方、空気極には、大気中の酸素ガス(O2)が供給されることにより、電気化学反応が進行して発電が行われ、負荷に対して所定の駆動電源(電圧/電流)となる電気エネルギーが供給される。
【0074】
具体的には、燃料極に水素ガスが供給されると、次の式(5)に示す化学反応のように、上記触媒により電子(e−)が分離した水素イオン(プロトン:H+)が発生し、イオン導電膜を介して空気極に透過するとともに、燃料極を構成する炭素電極により電子(e−)が取り出されて負荷へ供給される。
3H2→6H++6e− ・・・(5)
【0075】
一方、空気極に空気が供給されると、次の式(6)に示す化学反応のように、上記触媒により負荷を経由した電子(e−)と、イオン導電膜を透過した水素イオン(H+)と空気中の酸素ガスが反応して水(3H2O)が生成される。
6H+3/2O2+6e−→3H2O ・・・(6)
【0076】
このような一連の電気化学反応式(式(5)、式(6))は、概ね60〜80℃という比較的低温の環境下で進行し、電力以外の副生成物は、基本的に水(H2O)のみとなる。
【0077】
尚、上述したような電気化学反応式(式(5)、式(6))により負荷に供給される駆動電源(電圧/電流)は、燃料電池31dの燃料極に供給される水素ガスの量に依存する。従って、出力制御部34aによってポンプ35を制御し、燃料極に供給される水素ガスの量を制御することにより、発電部31によって発生される電力(発生電力)の電気エネルギーを、任意に調節することができる。
【0078】
このように、本実施の形態に係る発電部31によれば、先ず、燃料パック10Aからポンプ35を介して発電部31に供給された発電用燃料FLは、気化器31aで気化された後、改質器31bで水素と二酸化炭素の混合ガスに変換される。次に、この混合ガスに不純物として微量に含まれる一酸化炭素ガスが、CO除去器31Cで二酸化炭素ガスに変換、除去され、高濃度の水素ガスとして燃料電池31dに供給される。
【0079】
〔抵抗測定回路〕
抵抗測定回路38は、例えば、電圧電流法やブリッジ法等により電気抵抗値を測定する、公知の電気抵抗測定回路であり、燃料パック10Aと結合された場合、燃料パック10Aの上述した導体21a、21bそれぞれの他端(燃料パック10Aの底面に露出されている端である。)と、上述した受電端子を介して電気的に接続される。そして、発電制御部34の後述する残量算出部34bからの制御信号に基づいて、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定する。
【0080】
また、抵抗測定回路38は、残量算出部34から入力される1回の制御信号(測定指示信号 )に対して、次のような処理を行う。すなわち、間欠的(例えば、0.1秒毎)に複数回、電気抵抗値Rの測定を実行する。そして、得られた電気抵抗値Rの内、最大値と最小値とを除く電気抵抗値Rの平均値を測定結果とする。最大値と最小値とを除くことにより、特異な電気抵抗値を除くことができ、また、平均値を測定結果とすることにより、より精度のよい測定結果とすることができる。
【0081】
尚、最大値と最小値とを除くのではなく、測定した電気抵抗値Rの内、中央値(メジアン)周辺の数個の値から平均値を求める等の変動範囲を設定することとしても良い。また、平均値ではなく、変動範囲内の最小値を測定結果として、安全度を優先させた測定結果としてもよい。
【0082】
〔傾斜センサ〕
傾斜センサ39は、例えば、内部にx方向、y方向にそれぞれ振れる2つの振子を備えて構成され、この振子の動きにより、燃料電池システム1が搭載された携帯機器DVCの傾斜を検知し、傾斜の有無を傾斜検出信号として、残量算出部34bへ出力するものであってもよいし、更に、検知した傾斜角度の信号を傾斜検出信号として、残量算出部34bへ出力するものであってもよい。
尚ここで、携帯機器DVCの傾斜及び傾斜角度とは、以下を意味している。
【0083】
図5は、燃料電池システム1が搭載された携帯機器DVCの概略側面図である。
同図(a)は、携帯機器DVCが傾斜していない場合を示しており、携帯機器DVCが鉛直方向(図中、一点鎖線で示している。)と平行に配置され、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの液面が、燃料タンク11の底面と平行となっている。この状態を、携帯機器DVCが「縦」に配置されたとし、傾斜無し、あるいは傾斜角度が「0[度]」であるとする。
【0084】
同図(b)、(c)は、それぞれ、携帯機器DVCが傾斜している場合を示しており、携帯機器DVCが鉛直方向に対して角度をなして配置され、このとき、傾斜有りとし、携帯機器DVCが鉛直方向となす角度を、傾斜角度とする。
即ち、同図(b)においては、携帯機器DVCの傾斜角度は、「α」(但し、0[度]<α<90[度])であり、同図[c]においては、携帯機器DVCの傾斜角度は、「β」(但し、90[度]<α<180[度])である。
また、同図においては、図面に平行な方向(x方向)に対する傾斜角度であるが、傾斜センサ39は、同様にして、図面と垂直な方向(y方向)に対する傾斜角度も検知する。
【0085】
〔発電制御部〕
発電制御部34は、燃料電池システム1に接続される負荷の駆動状態に基づいて、発電部31の動作状態(発電動作、停止動作)を制御する出力制御部34aと、傾斜センサ39からの傾斜検出信号に基づいて、残量センサ12の動作状態(検知動作、停止動作)を制御するとともに、傾斜センサ39からの残量検知信号に基づいて、燃料パック10Aに封入されている発電用燃料FLの残量を算出する残量算出部34bと、を有している。
【0086】
出力制御部34aは、負荷の駆動状態に応じて、発電制御信号をポンプ35へ出力し、ポンプ35の動作状態(供給動作、停止動作)を制御することで、燃料パック10Aから発電部31への供給、遮断を制御する。あるいは、更に、その供給量を制御することにより、発電部31による発生電力を調整するようにしてもよい。
【0087】
具体的には、発電部31が駆動していない状態で、負荷を起動する指令を検出した場合(即ち、携帯機器DVCの電源がONとされた場合)には、ポンプ35の供給動作を開始させ、発電部31への発電用燃料FLの供給を開始させることで、発電部31を駆動させる。
【0088】
また、発電部31が駆動している状態で、負荷を停止する指令を検出した場合(即ち、携帯機器DVCの電源がOFFとされた場合)には、電力保持部32に保持されている電力(保持電力)が一定エネルギー以上であることを確認した後、ポンプ35の供給動作を停止させ、発電部31への発電用燃料FLの供給を停止させることで、発電部31を待機状態に移行、或いは停止させる。
【0089】
一方、発電部31が駆動している状態で、負荷の駆動状態の変動を検出した場合には、負荷に供給される電気エネルギーが負荷の駆動状態に適した値とするため、発電部31における電気エネルギーの発生量(発電量)を調整するよう、ポンプ35の供給動作を制御する。
【0090】
残量算出部34bは、傾斜センサ39からの傾斜検出信号に基づいて、抵抗測定回路38の動作状態(検知動作、停止動作)を制御し、抵抗測定回路38によって測定された、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rに基づいて、燃料パック10Aに封入されている発電用燃料FLの残量を算出し、その算出した残量を、報知手段40によって携帯機器DVC外部に報知させる。尚、残量センサ34bは、残量を記憶するメモリ等の記憶手段(不図示)を有して構成される。
【0091】
具体的には、残量算出部34bは、出力制御部34aによりポンプ35が駆動され、燃料パック10Aに封入されている発電用燃料FLが発電部31へ供給される毎に、ポンプ35による発電用燃料FLの供給量から、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を算出して、記憶・保持している残量を更新するとともに、算出した予測残量値を、報知手段40により、携帯機器DVC外部へ報知させる。
【0092】
また、残量算出部34bは、所定の計測タイミングが到来する毎に、傾斜センサ39からの傾斜検出信号に基づいて、当該携帯機器DVCの傾斜を判定する。つまり、傾斜センサ39によって傾斜無しと検知されているか、検出された傾斜角度が、所定の角度範囲(例えば、+15度以内)内であれば、携帯機器DVCはほぼ「縦」に配置されているとみなし、残量センサ12による発電用燃料FLの残量の計測が可能であると判断する。一方、傾斜有りと検知されているか、上記検出された傾斜角度が、上記所定の角度範囲外であれば、携帯機器DVCは「縦」に配置されておらず、残量センサ12による発電用燃料FLの残量の計測は不可能であると判断する。この場合には、携帯機器DVCを「縦」に配置させるよう利用者に促す旨の報知を、報知手段40によって行わせる。
【0093】
そして、残量算出部34bは、傾斜センサ39からの傾斜検出信号より、携帯機器DVCが傾斜しておらず、ほぼ「縦」に配置されたとみなされた場合、抵抗測定回路38に対して、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rの測定を行わせるための制御信号を出力する。次いで、抵抗測定回路38から得られる導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを、上記所定の変換テーブル(若しくは、変換式)に従って、導体21a、21bの、発電用燃料FLと接触している部分の長さ、即ち、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの液面の高さHに変換し、式(1)に示したように、燃料タンク11の底面積Sに、この発電用燃料FLの液面の高さHを乗じて、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を算出して、記憶・保持している残量を更新するとともに、算出した実測残量値を、報知手段により、携帯機器DVC外部へ報知させる。
【0094】
尚ここで、所定の計測タイミングとは、負荷を駆動する指令が検出された(即ち、電源がONとされた)とき、若しくは、負荷の駆動中、所定時間毎(例えば、30分毎)に到来する測定時刻である。
【0095】
〔報知手段〕
報知手段40は、例えば、LED等の発光手段、LCDやTFT等の表示パネルを有する表示手段、スピーカ等の音声出力手段、振動発生手段、等の内から、少なくとも1つを備えて構成される。
【0096】
即ち、報知手段40が、上記表示手段を備える場合にあっては、例えば、残量算出部34bによって算出、保持されている発電用燃料FLの残量(予測残量値、若しくは実測残量値)を、燃料タンク11の容積に対する割合(%)でデジタル表示したり、段階的な表示をしたりすることができる。
【0097】
また、残量算出部34bによって、携帯機器DVCが「縦」に配置されていないと判断された際に、『機器を縦にして下さい』といったように、携帯機器DVCを「縦」に配置させる旨のメッセージを、表示出力することができるし、また、残量算出部34bにより算出された残量(予測残量値、若しくは実測残量値)が所定の残量下限値を下回った際に、『燃料パックを交換して下さい』といったように、封入された発電用燃料FLの残量が少なくなった、若しくはなくなった燃料パック10Aを、新たな燃料パック10Aに交換させる旨のメッセージを、表示出力することができる。
【0098】
一方、報知手段40が、上記音声出力手段を備える場合にあっても同様に、上記メッセージを、音声出力によって報知することができる。
【0099】
〔処理の流れ〕
次に、本第1の実施の形態に係る燃料電池システム1の動作を説明する。
図6は、本第1の実施の形態に係る燃料電池システム1の動作を示すフローチャートである。
【0100】
同図に示すように、例えば、利用者によって携帯機器DVCの電源が投入(ON)され、負荷を起動する指令を検出すると(ステップS11)、出力制御部34aは、DC/DCコンバータ33を制御し、電力保持部32に保持されている保持電力により、負荷に対して、当該負荷を起動させるための起動電力を供給させるとともに、ドライバ36、及びポンプ35を動作させ、発電部31を駆動させる。
【0101】
それとともに、残量算出部34bは、抵抗測定回路38を動作させて、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを計測させ、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの残量(初期残量値)を算出し、算出した初期残量値を、燃料タンク11に封入されている発電用燃料FLの現在の残量値として、報知手段40より携帯機器DVC外部へ報知させる(ステップS12)。
【0102】
尚ここで、算出した初期残量値が所定の残量下限値を下回っている場合には(ステップS13:NO)、残量算出部34bは、燃料パック10Aの交換を利用者に促す旨のメッセージを、報知手段40より携帯機器DVC外部へ報知させる(ステップS19)。そして、新たな燃料パック10Aに交換された、即ち新たな燃料パック10Aが発電モジュール30Aに結合されたことを確認すると(ステップS20)、ステップS12へ移行し、再度、当該新たな燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLの残量(初期残量値)を算出する(ステップS12)。
【0103】
一方、発電部31の駆動中において、残量算出部34bは、ポンプ35の動作によって、燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLが発電部31に供給される毎に、その供給量から、燃料パック10Aに封入された発電用燃料FLの残量(予測残量値)を算出し、算出した予測残量値を、報知手段40によって、携帯機器DVC外部へ報知させる(ステップS14)。
【0104】
それとともに、残量算出部34bは、所定時間経過毎に(ステップS15:YES)、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量(実測残量値)を算出する。
【0105】
具体的には、傾斜センサ39によって検出された携帯機器DVCの傾斜の有無、若しくは傾斜角度に基づき、図5を参照して説明したように、携帯機器DVCがほぼ「縦」に配置されているか否かを判断する(ステップS16)。判断の結果、「縦」に配置されていない場合には(ステップS16:NO)、携帯機器DVCを「縦」に配置させるよう促すメッセージの報知を、報知手段40に行わせる(ステップS18)。
【0106】
携帯機器DVCが、ほぼ「縦」に配置されたことを確認すると(ステップS16:YES)、残量算出部34bは、抵抗測定回路38を動作させ、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定させる。そして、図4を参照して説明したように、抵抗測定回路38によって測定された電気抵抗値Rに基づき、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量(実測残量値)を算出し、算出した実測残量値を、報知手段40によって、携帯機器DVC外部へ報知させる(ステップS17)。
【0107】
その後、ステップS13へ移行し、算出した実測残量値について、上述した予測残量値と同様に、所定の残量下限値を下回っている場合には(ステップS13:NO)、燃料パック10Aの交換を促すメッセージを報知手段40により報知させ(ステップS19)、新たな燃料パック10Aに交換されたことを確認した後(ステップS20)、ステップS12へ移行する。また、上記算出した実測残量値が、所定の残量下限値を上回っている場合には(ステップS13:YES)、上述したステップS14〜S18の処理を、携帯機器DVCの電源が遮断(OFF)されるまで、同様に繰り返す。
【0108】
即ち、発電部31の駆動中、例えば利用者によって、携帯機器DVCの電源が遮断(OFF)され、負荷を停止する指令を検出すると、出力制御部34aは、電力保持部32に保持されている電力(保持電力)が一定エネルギー以上であることを確認した後、ポンプ35の供給動作を停止させ、発電部31の発電動作を停止させる。
【0109】
また、発電部31が停止中に、携帯機器DVCの電源が遮断(OFF)され、負荷を停止する指令を検出すると、出力制御部34aは、電力保持部32bの保持電力が上記一定エネルギー以上であるかを確認し、以下である場合には、発電部31を起動させ、電力保持部32の保持電力が一定エネルギーとなった後、発電部31を停止させる。
このように、本第1の実施の形態に係る燃料電池システム1は動作する。
【0110】
以上のように構成することで、二個の導体21a、22bからなる導体組21を、燃料タンク11内の所定の位置に配設し、この導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定することで、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を、容易に検出することができる。
【0111】
更に、傾斜センサ39を備えることで、携帯機器DVCが、上記電気抵抗値Rの測定に適した向きに配置されているか否かを判断し、適していないと判断した場合には、報知手段40によりその旨を報知させることで、携帯機器DVCを、電気抵抗値Rの測定に適した向きに配置させることが可能となる。
【0112】
〔第2の実施の形態〕
続いて、第2の実施の形態に係る燃料電池システムについて、説明する。尚、以下において、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に付いては同符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0113】
図7は、本第2の実施の形態に係る燃料電池システム2の構成例を示すブロック図である。
燃料電池システム2は、同図に示すように、大別して、燃料パック10B、発電モジュール30B、を備えて構成され、図2に示す第1の実施の形態に係る燃料電池システム1と、次の点で異なる。
【0114】
即ち、燃料パック10Bは、3つの残量センサ12(以下、それぞれを残量センサ12a、12b、12c、と表記する。)を備え、発電モジュール30Bは、傾斜センサ39を備えず、3つの抵抗測定回路38(以下、それぞれを、抵抗測定回路38a、38b、38c、と表記する。)、を備えて構成される。
【0115】
〔燃料パック〕
図8は、燃料パック10Bの適用形態の一例を示す概略図であり、燃料パック10Bの側断面図平面図(同図(a))、及び(同図(b))を示している。
【0116】
同図に示すように、燃料パック10Bにおいて、残量センサ12aは、導体22a、22bからなる導体組22を、残量センサ12bは、導体23a、23bからなる導体組23を、残量センサ12cは、導体24a、24bからなる導体組24を、それぞれ有している。
【0117】
導体22a、22bは、間隔Dをおいて平行に、且つ相互に近接して、燃料タンク11の内周面に沿って配設され、更に、それぞれの一端は、燃料タンク11の上面に到達し、一方、それぞれの他端は、燃料パック10Bの底面に露出して配設されている。
【0118】
そして、燃料パック10Bが、携帯機器DVCの上述した収納部5に収納されると、燃料パック10Bの底面に露出されている抵抗22a、22bそれぞれの他端が、収納部5の内面に設けられた受電端子(不図示)と接触する。これにより、導体22a、22bは、抵抗測定回路38aと電気的に結合され、抵抗測定回路38aによって、導体22a、22bの間の電気抵抗値Rが測定される。
【0119】
また、導体23a、23bは、間隔Dをおいて平行に、且つ相互に近接して、燃料タンク11の内周面に沿って配設され、更に、それぞれの一端は、燃料タンク11の上面に到達し、一方、それぞれの他端は、燃料パック10Bの底面に露出して配設されている。
【0120】
そして、燃料パック10Bが、携帯機器DVCの上述した収納部5に収納されると、燃料パック10Bの底面に露出されている導体23a、23bそれぞれの他端が、収納部5の内面に設けられた受電端子(不図示)と接触する。これにより、導体23a、23bは、抵抗測定回路38bと電気的に結合され、抵抗測定回路38bによって、導体23a、23bの間の電気抵抗値Rが測定される。
【0121】
また、導体24a、24bは、間隔Dをおいて平行に、且つ相互に近接して、燃料タンク11の内周面に沿って配設され、更に、それぞれの一端は、燃料タンク11の上面に到達し、一方、それぞれの他端は、燃料パック10Bの底面に露出して配設されている。
【0122】
そして、燃料パック10Bが、携帯機器DVCの上述した収納部5に収納されると、燃料パック10Bの底面に露出されている導体24a、24bそれぞれの他端が、収納部5の内面に設けられた受電端子(不図示)と接触する。これにより、導体24a、24bは、抵抗測定回路38cと電気的に結合され、抵抗測定回路38cによって、導体24a、24bの間の電気抵抗値Rが測定される。
【0123】
また、導体組22、23、24は、同図に示すように、燃料タンク11の内周面に沿って、等間隔に配置されている。即ち、燃料パック10Bを上面からみた場合、導体組22は、隣り合う導体組24から、燃料タンク11の内周面に沿って時計回り方向に120度回転した位置に、導体組23は、隣り合う導体組22から、燃料タンク11の内周面に沿って計回り方向に120度回転した位置に、導体組24は、隣り合う導体組23から、燃料タンク11の内周面に沿って時計回り方向に120度回転した位置に、それぞれ配設されている。
【0124】
図9は、燃料パック10Bの概略側断面である。
同図(a)は、燃料パック10Bが「縦」に配置されている場合を示している。即ち、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面は、燃料タンク11の底面と平行となっており、導体22a、22b、23a、23b、24a、24bそれぞれが、燃料タンク11内の発電用燃料FLと接触している部分の長さは、何れも等しく、燃料タンク11の底面からの液面の高さLとなっている。
【0125】
同図(b)は、燃料パック10Bが傾けられた場合を示している。即ち、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面は、燃料タンク11の底面とは平行となっておらず、導体22a、22b、23a、23b、24a、24bそれぞれが、燃料タンク11内の発電用燃料FLと接触している部分の長さは、何れも異なっている。
【0126】
具体的には、導体22a、22bは、燃料タンク11の底面から長さLa(<L)の部分が、発電用燃料FLと接触し、導体23a、23bは、燃料タンク11の底面から長さLb(>La)の部分が、発電用燃料FLと接触し、導体24a、24bは、燃料タンク11の底面から長さLc(>Lb)の部分が、発電用燃料FLと接触している。
【0127】
尚ここで、各導体が発電用燃料FLの接触している部分の長さは、実際にはそれぞれ異なるが、上述のように、導体22aと22b、23aと23b、24aと24bは、それぞれ、間隔Dをおいて近接して配設されている。このため、その差は僅かであるので、導体組22、23、24毎に、これを構成する各導体が発電用燃料FLと接触する部分の長さは、ほぼ等しいものとして扱っている。
【0128】
そして、当該燃料パック10Bを、例えば同図(a)に示すように「縦」に配置したと仮定した場合に、燃料タンク11内の発電用燃料FLの液面の高さHは、次の式(7)に従って、近似的に算出される。
(液面の高さH)=(La+Lb+Lc)/3 ・・・(7)
【0129】
そして、このように算出された液面の高さHに、式(1)に示した算出式を適用し、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を、算出することができる。
【0130】
尚、導体22a、22b、23a、23b、24a、24bそれぞれが、発電用燃料FLと接触する部分の長さLa、Lb、Lcは、上述のように、抵抗測定回路38a、38b、38cにより測定された電気抵抗値Rから、上記所定の変換テーブル(若しくは、変換式)に従って求められる。
【0131】
〔発電モジュール〕
発電モジュール30Bは、図7に示すように、抵抗測定回路38a、38b、38cを備えて構成される。
【0132】
抵抗測定回路38aは、燃料パック10Bが発電モジュール30Bに結合されると、導体22a、22bと電気的に結合され、導体22a、23aの間の電気抵抗値Rを測定する。抵抗測定回路38bは、燃料パック10Bが発電モジュール30Bに結合されると、導体23a、23bと電気的に結合され、導体23a、23bの間の電気抵抗値Rを測定する。また、抵抗測定回路38cは、燃料パック10Bが発電モジュール30Bに結合されると、導体24a、24bと電気的に結合され、導体24a、24bの間の電気抵抗値Rを測定する。
【0133】
残量算出部34bは、抵抗測定回路38a、38b、38cそれぞれから得られる電気抵抗値R毎に、上記所定の変換テーブル(若しくは、変換式)に従い、導体組22、23、24それぞれが有する導体が、発電用燃料FLと接触している部分の長さLを求める。そして、式(7)に従い、これら求めた3つの長さLの平均値を演算することで、携帯機器DVC(燃料パック10B)を「縦」にした場合になるであろう、発電用燃料FLの液面の高さHを近似的に算出する。次いで、式(1)に従い、算出した液面の高さHに、燃料タンク11の底面積Sを乗じることで、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量(実測残量値)を算出する。
【0134】
以上のように構成することで、三組の導体組22、23、24を、それぞれ、燃料タンク11の内周面に沿って等間隔に配設し、各導体組を構成する二個の導体間の電気抵抗値Rを測定することで、携帯機器DVCが傾斜している場合であっても、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を、容易に算出することができる。
【0135】
また、携帯機器DVCが傾斜している場合であっても、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量を算出できるので、図2に示した傾斜センサ39が不要となり、より簡易に燃料電池システム2を構成することができる。
但し、傾斜角度が大きくなって、導体22a、22b、23a、23b、24a、24bの何れかが、発電用燃料FLと接触しなくなった場合、上記の方式によって液面の高さを算出することができず、測定不能となる。その場合、例えば、報知手段40により、携帯機器DVCを「縦」に配置させるよう促すメッセージの報知を行わせる等の処理を行う。
【0136】
〔変形例〕
尚、本発明の適用は、上記第1、第2の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第1、第2の実施の形態において適用される燃料パック10A、10Bは、何れも、発電モジュール30A、30Bに対して着脱自在に構成されることとしたが、燃料パック10A、10Bと発電モジュール30A、30Bとは、一体となって構成されるものとしても良い。
【0137】
このとき、燃料タンク11に封入された発電用燃料FLが少なくなった、若しくはなくなった場合には、携帯機器DVCに内蔵された燃料タンク11に、発電用燃料FLを補充することとしても良い。
【0138】
また、第1の実施の形態において、携帯機器DVCがほぼ「縦」に配置されたと判断した後、導体21a、21bの間の電気抵抗値Rを測定することとしたが、傾斜センサ39が傾斜角度を検知する機能を有している場合、同センサから得られた傾斜角度に応じて、電気抵抗値Rから算出した燃料タンク内の発電用燃料FLの液面の高さHを、適切に補正することとしても良い。
【0139】
また、第2の実施の形態において、燃料タンク11内に、三組の導体組を配設する場合について説明したが、これに限らず、燃料タンク11内の発電用燃料FLの残量について得たい精度に応じて、任意の組数の導体組を配設することとしても良い。
更には、上記においては、2本の導体を一組とした導体組を複数用いるようにしたが、本発明はこのような構成に限るものではなく、例えば、複数本の導体を燃料容器の側面に沿って、互いに等間隔に配置して、各導体間の電気抵抗値を順次測定するようにしてもよい。
【0140】
また、第2の実施の形態において、導体組22、23、24それぞれの電気抵抗値Rの平均値を求め、液面の高さHを近似的に算出することとして説明したが、各導体組それぞれの電気抵抗値Rに応じた係数を乗算した上で平均値を求めるようにしてもよい。具体的には、例えば、最も大きな電気抵抗値Rには大きな係数を乗算し、最も小さな電気抵抗値Rには小さな係数を乗算する等した上で平均値を算出することにより、より精度のよい近似計算を行うこととしてもよい。
【0141】
また、第2の実施の形態では、三つの導体組を燃料タンク11の内周面に沿って120度の間隔で均等に配設することとして説明したが、偏った配設位置に設置してもよい。例えば、携帯機器DVCの正面(操作面・表示面)側に一組の導体組を配設し、携帯機器DVCの裏面側に他の2つの導体組を配設するようにしてもよい。即ち、携帯機器DVCの使用角度を考慮した配設位置とすることで、より精度のよい燃料の残量検出を行うことができる。尚、この場合には、各燃料体組の電気抵抗値Rの平均ではなく、それぞれの燃料体組の配設位置に基づいた算出方法となる。
【0142】
また、燃料パック11の形状を円柱形状として図示・説明したが、角柱形状にしてもよいことは勿論である。
【0143】
【発明の効果】
本発明によれば、導体組を構成する二本の導体間の電気抵抗値を測定することで、燃料カートリッジが有する燃料容器内の発電用燃料の残量を、容易に算出することができる。また、三組以上の上記導体組を、上記燃料容器の内周面に沿って等間隔に配設することで、この配設位置を考慮した所定演算(例えば、各導体組を構成する導体が燃料と接触する部分の長さの平均値を求める等)により、燃料カートリッジが内蔵又は装着された携帯機器が傾斜している場合であっても、燃料タンク内の燃料の残量を容易に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る燃料電池システムの適用形態の一例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る燃料電池システムの構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の燃料パックの適用形態の一例を示す図である。
【図4】燃料パック内の発電用燃料の残量が異なる場合における、導体と発電用燃料との関係を示す模式図である。
【図5】図1の携帯機器の概略側面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る燃料電池システムの構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の燃料パックの適用形態の一例を示す図である。
【図9】図8の燃料パックの概略側断面図である。
【符号の説明】
1、2 燃料電池システム
10A、10B 燃料パック
11 燃料タンク
12(12a、12b、12c) 残量センサ
21a、21b 導体
22a、22b、23a、23b、24a、24b 導体
30A、30B 発電モジュール
31 発電部
31a 気化器
31b 改質器
31c CO除去器
31d 燃料電池
31e ヒータ
32 電力保持部
33 DC/DCコンバータ
34 発電制御部
34a 出力制御部
34b 残量算出部
35 ポンプ
36 ドライバ
37 制御回路
38(38a、38b、38c) 抵抗測定回路
39 傾斜センサ
40 報知手段
FL 発電用燃料
DVC 携帯機器
Claims (13)
- 燃料電池に供給する所定の燃料を保持する燃料カートリッジであって、
柱形状の燃料容器と、
前記燃料容器の側面に沿って、前記燃料容器の内部に所定の間隔で隔設され、前記燃料に接触するように配置された複数本の導体と、を備え、
前記導体の、前記燃料に接触する部分の長さが前記燃料の残量に応じて変化するように構成されていることを特徴とする燃料カートリッジ。 - 前記導体は、所定の間隔で平行に設けられた2本の導体を一組とする、少なくとも一組の導体組からなることを特徴とする請求項1に記載の燃料カートリッジ。
- 前記導体組は三組以上設けられ、前記燃料容器の内周面に沿って隔設されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料カートリッジ。
- 所定の燃料を保持する燃料容器と、前記燃料容器の内部に所定の間隔で隔設され、前記燃料に接触し、該燃料に接触する部分の長さが前記燃料の残量に応じて変化するように配置された複数本の導体と、を備える燃料カートリッジと、
該燃料カートリッジを収納する収納部と、
前記燃料カートリッジから供給される前記燃料を用いて発電する燃料電池システムと、を備え、
該燃料電池システムにより発電した電力によって駆動する携帯機器であって、
前記各導体間の電気抵抗値を測定する抵抗測定手段と、
前記抵抗測定手段によって測定された電気抵抗値に基づいて、前記燃料容器内に蓄えられた燃料の残量を算出する残量算出手段と、
を備えることを特徴とする携帯機器。 - 前記燃料カートリッジにおける前記導体は、所定の間隔で平行に設けられた2本の導体を一組とする、少なくとも一組の導体組からなることを特徴とする請求項4に記載の携帯機器。
- 前記導体組は三組以上設けられ、前記燃料容器の内周面に沿って隔設されていることを特徴とする請求項5に記載の携帯機器。
- 前記残量算出手段は、前記抵抗測定手段によって測定された前記各導体間の電気抵抗値から、前記各導体の配設位置に基づいた算出方法で残量を算出することを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載の携帯機器。
- 前記抵抗測定手段は、前記電気抵抗値の測定を間欠的に複数回実行し、
前記残量算出手段は、前記抵抗測定手段によって測定された複数の電気抵抗値の内、所定の変動範囲内に含まれる電気抵抗値の平均値又は最小値に基づいて、残量を算出することを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の携帯機器。 - 前記燃料容器内に蓄えられた燃料の残量を記憶する残量記憶手段と、
前記燃料電池による燃料使用量に基づいて、前記燃料容器内の残量の予測を随時行い、前記残量記憶手段に記憶された残量を更新する残量予測手段と、
前記残量算出手段によって算出された残量に基づいて、前記残量記憶手段に記憶された残量を補正する残量補正手段と、
前記残量記憶手段に記憶された残量が所定の下限値に達した場合に、所定の報知を行う報知手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項4〜8の何れかに記載の携帯機器。 - 前記携帯機器の所定方向の傾斜の有無、又は所定方向の傾斜角度を検出する傾斜検出手段を更に備え、
前記抵抗測定手段は、前記傾斜検出手段による検出結果に基づいて、前記電気抵抗値の測定を行うか否かを決定することを特徴する請求項4〜9の何れかに記載の携帯機器。 - 所定方向の傾斜の有無、又は所定方向の傾斜角度を検出する傾斜検出手段を更に備え、
前記残量算出手段は、前記抵抗測定手段によって測定された電気抵抗値、及び前記傾斜検出手段による検出結果に基づいて、残量を算出することを特徴とする請求項4〜9の何れかに記載の携帯機器。 - 所定の燃料を保持する燃料容器と、該燃料容器の内部に隔設され、前記燃料に接触し、該燃料に接触する部分の長さが該燃料の残量に応じて変化するように配置された複数本の導体と、を備える燃料カートリッジと、該燃料カートリッジから供給される前記燃料を用いて発電する燃料電池システムと、を備える携帯機器における、前記燃料容器内の燃料の残量を検出する残量検出方法であって、
前記燃料電池システムによる燃料使用量に基づいて、前記燃料容器内の残量の予測を随時行い、残量記憶手段に残量を記憶更新するステップと、
前記各導体間の電気抵抗値を測定するステップと、
前記測定された電気抵抗値に基づいて、前記燃料容器内の残量を算出するステップと、
前記算出された残量に基づいて、前記残量記憶手段に記憶された残量を補正するステップと、
前記残量記憶手段に記憶された残量が所定の下限値に達した場合、所定の報知を行うステップと、
を含むことを特徴とする残量検出方法。 - 前記携帯機器の傾斜角度を検出するステップと、
前記残量を算出するステップにより算出された残量の値を、前記傾斜角度を検出するステップにより検出された傾斜角度に基づいて補正するステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の残量検出方法。
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