JP2004092294A - さく孔方法及びそれに使用するさく孔装置および工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】粘土層やシルト層等、従来のさく孔装置ではさく孔が困難な地盤のさく孔に使用するに適したさく孔方法及びその装置を提供する。
【解決手段】先端部に繰粉が流入して後方へ送られる繰粉流入口が設けられたビットをさく岩機に連結されたさく孔ロッドの先端部に装着し、該さく孔ロッドの外側に、先端部が前記ビットの頭部に係合して該ビットと共に回転するパイプを外嵌して設け、前記ビットに回転と打撃と推力を付与しつつさく孔を行うとともに、該さく孔によって発生した繰粉を前記ビットの頭部から吐出される高圧流体によって前記ビットの繰粉流入口から前記パイプ内に流入させ、該パイプ内を通して後方へ流動させて、該パイプの後端部から外部へ排出する。
【選択図】 図2
【解決手段】先端部に繰粉が流入して後方へ送られる繰粉流入口が設けられたビットをさく岩機に連結されたさく孔ロッドの先端部に装着し、該さく孔ロッドの外側に、先端部が前記ビットの頭部に係合して該ビットと共に回転するパイプを外嵌して設け、前記ビットに回転と打撃と推力を付与しつつさく孔を行うとともに、該さく孔によって発生した繰粉を前記ビットの頭部から吐出される高圧流体によって前記ビットの繰粉流入口から前記パイプ内に流入させ、該パイプ内を通して後方へ流動させて、該パイプの後端部から外部へ排出する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘土層やシルト層等、従来のさく孔装置ではさく孔が困難な地盤のさく孔に使用するに適したさく孔方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来地盤のさく孔に使用された方法は、さく岩機に連結したさく孔ロッドの先端部にロックビット(以下「ビット」と略称する)を装着し、該ビットにさく岩機の回転力と打撃力と推力を付与しつつさく孔する方法である。さく孔中は、さく孔ロッドの芯部に設けられているフラッシングホール(水孔)を通してさく岩機から高圧流体(エアおよび/又は水)がビットに供給され、該ビット先端部に設けた吐出口(ブローホール)から吐出される。さく孔によって発生した繰粉(さく孔屑、スライム)は、この高圧流体によって後方へ押し流され、さく孔された穴の外側へ排出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のさく孔方法は、さく孔の対象となる地盤が岩盤である場合は、うまくさく孔することができるが、粘土やシルト層の場合は粘性が高いため、スライムとなった繰粉がビットの吐出口やさく孔された穴内に詰まって、さく孔不能となるという問題点があった。このため、粘性の高い地盤のさく孔に際しては、さく孔された穴内に付着しているスライムを頻繁に清掃したり、ビットを回収して詰まっている吐出口を掃除したりする必要があり、本来のさく孔に必要な時間以外に多大の時間がかかっていた。また、さく孔後にビットとロッドを抜き取ると、当該さく孔された穴の内壁が崩落するという問題点もあった。
【0004】
上記のさく孔法以外に、インナーロッドと中空のアウターロッドの二重管を用いてさく孔する方法もあるが、この二重管式さく孔法は、重量の大きいアウターロッド、インナーロッドの継ぎ足しや撤去作業が重労働となるという問題があるほか、特別に足場を必要としたり、ロッドの着脱時間が長く非能率的である等の問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、上記従来のさく孔法を改良し、粘性の高い土質においても、スライムの詰りが生じにくく、さく孔された穴の内壁が崩れにくく、能率的にさく孔することのできるさく孔方法とそれに使用するに適したさく孔装置や工具を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、請求項1にかかるさく孔方法は、先端部に繰粉が流入して後方へ送られる繰粉流入口が設けられたビットをさく岩機に連結されたさく孔ロッドの先端部に装着し、該さく孔ロッドの外側に、先端部が前記ビットの頭部に係合して該ビットと共に回転するパイプを外嵌して設け、前記ビットに回転と打撃と推力を付与しつつさく孔を行うとともに、該さく孔によって発生した繰粉を前記ビットの頭部から吐出される高圧流体によって前記ビットの繰粉流入口から前記パイプ内に流入させ、該パイプ内を通して後方へ流動させて、該パイプの後端部から外部へ排出することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2にかかるさく孔装置は、大径の頭部と該頭部よりも小径の胴部とを備え、前記頭部の先端部には繰粉が流入して後方へ送出される繰粉流入口が設けられたビットと、該ビットの胴部に接続されるさく孔ロッドと、該さく孔ロッドの外周部に外嵌されるパイプとを備え、前記パイプの先端部は、ビットの頭部に自由回転不能に係合していることを特徴としている。このさく孔装置の前記パイプの後端部には、請求項3に記載されているように、該パイプ内を通して送られてくる繰粉が外部へ流出する繰粉流出口を設けておくのが好ましく、請求項4に記載されているように、パイプの後端部をカップリングスリーブを介してさく岩機のシャンクロッドに接続するのが好ましい。
【0008】
つぎに、請求項5にかかるビットは、先端部に刃体が設けられた大径の頭部と、該頭部の後側に一体に設けられた小径の胴部とを備え、該胴部にはさく孔ロッドが螺合するねじ部が設けられ、前記頭部にはさく孔によって発生する繰粉が流入して該頭部の後方へ送出される繰粉流入口が設けられいることを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項6にかかるカップリングスリーブは、先端部にビットが装着されるさく孔ロッドに外嵌されるパイプの後端部が接続される中空のカップリングスリーブであって、前記パイプの後端部が嵌合する嵌合部と、該嵌合部に嵌合されたパイプの後方への移動を規制する大径のパイプ押えとを備え、その中空部の前部には前記さく孔ロッドが螺着されるねじ穴部が設けられ、後部にはさく岩機のシャンクロッドが螺着されるねじ穴部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に表された本発明の実施形態に基づいて、具体的に説明する。
【0011】
図1以下の各図は、本発明にかかるさく孔装置を例示するもので、このさく孔装置1は、ビット2と、該ビットが装着されるさく孔ロッド3と、該さく孔ロッドの外側に間隔をおいて外嵌されるパイプ5を備えている。
【0012】
ビット2は、大径の頭部10と、該頭部と一体で該頭部よりも小径の中空の胴部11とを備え、該胴部11の内部にはさく孔ロッドを螺着するための雌ねじ部11aが設けられている。この胴部11の中空部であるねじ穴12の底部には、前記頭部の芯部に設けられた芯穴13が連通しており、該芯穴13から複数(図示例では、1個のセンターホール14aと2個のサイドホール14b,14bの計3個)の水孔(ブローホール)14,…が分岐している。これら水孔はビットの前面に開口して吐出口となっている。
【0013】
ビット2の頭部10の前面には、4個の断面山形のカッティングウエッジ13,…が設けられ、その頂部に超硬合金の切刃15,…がX状に設けられている。これら切刃15の間隔部には外周側が低くなる溝状凹部16,…が形成されており、この溝状凹部16には、それぞれ概略繭形の開口20,…が設けられている。開口20は、繰粉の流入口であり、頭部10を前後に貫通しており、その後端部は前記胴部11の外周部に臨んでいる。
【0014】
頭部10の後部には、頭部後端面部から陥入する計4個の湾状の係合凹部22,…が等間隔で設けられている。この係合凹部22は、パイプ5が自由回転不能に係合する係合部となっている。なお、頭部10の外周部には、従来のビットにおけるような繰粉溝は設けられていないので、その外周面は正面視で完全な円形を呈している。
【0015】
パイプ5の先端部には、前記ビット10の凹部22,…に係合する凸部23a,…を備えた係合部材23が溶接されている。これら凸部23a,…がビットの凹部22,…に係合することにより、該パイプ5がビット2に自由回転不能に取り付けられる。なお、ビットの頭部10の外径はパイプ5の外径よりも僅かに(片側数mm程度)大きく、係合部材23の外径はビットの頭部10の外径とほぼ等しいので、該係合部材23とパイプ5の外周面との間には僅かな段差が生じている。
【0016】
一方、パイプ5の後端部付近には、該パイプ内を通って送られてきた繰粉(スライム)を外部に排出するための、内外に連通する排出穴25,…が設けられている。図示例では、この排出穴25は円形であり、パイプの円周方向に沿って等間隔で4個所に形成されている。
【0017】
パイプ5の後端部は、カップリングスリーブ30を介してさく岩機のシャンクロッドSに接続されている。カップリングスリーブ30は、前後に貫通する通孔が設けられた中空円筒状であり、その前端部には前記パイプ5の後端部に内嵌する嵌合部31が設けられ、該嵌合部31の後端部には、カラー状に張出する大径のパイプ押え32が設けられている。図示例では、嵌合部31に嵌合したパイプ5の後端面とパイプ押え32との間にリング状のスぺーサ35が介装されている。このスぺーサ35はウレタンフォーム等の緩衝性材料で作られたリングであり、振動、騒音を防止するためのものであるが、場合によってはこれを設けておかなくてもよい。
【0018】
カップリングスリーブ30の中空部には、前後中央部に設けられた環状の凸条部37を挟んで両側に雌ねじ部38,39が設けられている。前側の雌ねじ部38はさく孔ロッド3が螺着されるねじ部であり、後側の雌ねじ部39はさく岩機のシャンクロッドSが螺着されるねじ部である。カップリングスリーブ30に螺着されたシャンクロッドSの先端面とさく孔ロッド3の後端面とは互いに当接している。なお、さく孔ロッド3の先端部は、前記ビット2の胴部11のねじ穴に螺着される。
【0019】
次に、このさく孔装置1を用いるさく孔方法について説明する。さく孔に際しては、上記の通り、先端部にビット2を取り付け、外周部にパイプ5を嵌合したさく孔ロッド3をさく岩機Dに取り付けられているシャンクロッドSにカップリングスリーブ30を介して接続する。この時、パイプ5の先端部の係合部材をビットの頭部10に係合させ、パイプ5の後端部とパイプ押え32との間には緩衝用のスぺーサ35を介在させておく。
【0020】
この状態で、ビット2を地盤に押し付け、さく岩機を作動させて、その回転と打撃と推力をさく孔ロッド3を介してビット2に伝達する。さく孔中は、さく孔ロッド3の芯部に設けられている水孔(フラッシングホール)3aを通して、さく岩機からエア、水等の高圧流体が供給され、この高圧流体はビットの頭部前面の吐出口14から噴出される。これによりさく孔が行われるが、ビット2とパイプ5とは相対的に回転不能となっているので、パイプ5もビット2およびさく孔ロッド3と共に回転する。
【0021】
ビット2の頭部前面には、山形のカッティングウエッジ13,…が設けられ、その頂部にそれぞれ刃体15が設けられているので、地盤はこの刃体によって切削され、これによって発生する繰粉Kは高圧流体の圧力によりビットの開口22,…に流入して、ビットの胴部外周部へ送り出される。この繰粉はさく孔ロッド3とパイプ5の内面との間隔部を通って後方へ送られ、パイプの後端部に設けられている排出口から外部へ排出される。
【0022】
このように、掘削によって生じる繰粉がビット2の頭部に設けた開口22からパイプ5内に流入し、該パイプの内部を通って後方へ送られるので、繰粉の排出が順調に行われる。開口22の面積は大きいので、繰粉による詰りは生じにくい。また、さく孔された穴の内面部にはパイプ5の外周面が存在するので、穴壁が崩落しない。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、粘性の高い土質においても、スライムの詰りが生じにくく、さく孔された穴の内壁が崩れにくく、能率的にさく孔することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のさく孔装置におけるビットの正面図である。
【図2】さく孔装置の前部の一部断面側面図(紙面の上半分は断面図)である。
【図3】その後部の一部断面側面図(紙面の上半分は断面図)である。
【図4】さく孔法の説明図である。
【符号の説明】
1 さく孔装置
2 ビット
3 さく孔ロッド
5 パイプ
10 ビット頭部
11 ビット胴部
20 開口(繰粉流入口)
22 凹部(係合部)
30 カップリングスリーブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘土層やシルト層等、従来のさく孔装置ではさく孔が困難な地盤のさく孔に使用するに適したさく孔方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来地盤のさく孔に使用された方法は、さく岩機に連結したさく孔ロッドの先端部にロックビット(以下「ビット」と略称する)を装着し、該ビットにさく岩機の回転力と打撃力と推力を付与しつつさく孔する方法である。さく孔中は、さく孔ロッドの芯部に設けられているフラッシングホール(水孔)を通してさく岩機から高圧流体(エアおよび/又は水)がビットに供給され、該ビット先端部に設けた吐出口(ブローホール)から吐出される。さく孔によって発生した繰粉(さく孔屑、スライム)は、この高圧流体によって後方へ押し流され、さく孔された穴の外側へ排出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のさく孔方法は、さく孔の対象となる地盤が岩盤である場合は、うまくさく孔することができるが、粘土やシルト層の場合は粘性が高いため、スライムとなった繰粉がビットの吐出口やさく孔された穴内に詰まって、さく孔不能となるという問題点があった。このため、粘性の高い地盤のさく孔に際しては、さく孔された穴内に付着しているスライムを頻繁に清掃したり、ビットを回収して詰まっている吐出口を掃除したりする必要があり、本来のさく孔に必要な時間以外に多大の時間がかかっていた。また、さく孔後にビットとロッドを抜き取ると、当該さく孔された穴の内壁が崩落するという問題点もあった。
【0004】
上記のさく孔法以外に、インナーロッドと中空のアウターロッドの二重管を用いてさく孔する方法もあるが、この二重管式さく孔法は、重量の大きいアウターロッド、インナーロッドの継ぎ足しや撤去作業が重労働となるという問題があるほか、特別に足場を必要としたり、ロッドの着脱時間が長く非能率的である等の問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、上記従来のさく孔法を改良し、粘性の高い土質においても、スライムの詰りが生じにくく、さく孔された穴の内壁が崩れにくく、能率的にさく孔することのできるさく孔方法とそれに使用するに適したさく孔装置や工具を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、請求項1にかかるさく孔方法は、先端部に繰粉が流入して後方へ送られる繰粉流入口が設けられたビットをさく岩機に連結されたさく孔ロッドの先端部に装着し、該さく孔ロッドの外側に、先端部が前記ビットの頭部に係合して該ビットと共に回転するパイプを外嵌して設け、前記ビットに回転と打撃と推力を付与しつつさく孔を行うとともに、該さく孔によって発生した繰粉を前記ビットの頭部から吐出される高圧流体によって前記ビットの繰粉流入口から前記パイプ内に流入させ、該パイプ内を通して後方へ流動させて、該パイプの後端部から外部へ排出することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2にかかるさく孔装置は、大径の頭部と該頭部よりも小径の胴部とを備え、前記頭部の先端部には繰粉が流入して後方へ送出される繰粉流入口が設けられたビットと、該ビットの胴部に接続されるさく孔ロッドと、該さく孔ロッドの外周部に外嵌されるパイプとを備え、前記パイプの先端部は、ビットの頭部に自由回転不能に係合していることを特徴としている。このさく孔装置の前記パイプの後端部には、請求項3に記載されているように、該パイプ内を通して送られてくる繰粉が外部へ流出する繰粉流出口を設けておくのが好ましく、請求項4に記載されているように、パイプの後端部をカップリングスリーブを介してさく岩機のシャンクロッドに接続するのが好ましい。
【0008】
つぎに、請求項5にかかるビットは、先端部に刃体が設けられた大径の頭部と、該頭部の後側に一体に設けられた小径の胴部とを備え、該胴部にはさく孔ロッドが螺合するねじ部が設けられ、前記頭部にはさく孔によって発生する繰粉が流入して該頭部の後方へ送出される繰粉流入口が設けられいることを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項6にかかるカップリングスリーブは、先端部にビットが装着されるさく孔ロッドに外嵌されるパイプの後端部が接続される中空のカップリングスリーブであって、前記パイプの後端部が嵌合する嵌合部と、該嵌合部に嵌合されたパイプの後方への移動を規制する大径のパイプ押えとを備え、その中空部の前部には前記さく孔ロッドが螺着されるねじ穴部が設けられ、後部にはさく岩機のシャンクロッドが螺着されるねじ穴部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に表された本発明の実施形態に基づいて、具体的に説明する。
【0011】
図1以下の各図は、本発明にかかるさく孔装置を例示するもので、このさく孔装置1は、ビット2と、該ビットが装着されるさく孔ロッド3と、該さく孔ロッドの外側に間隔をおいて外嵌されるパイプ5を備えている。
【0012】
ビット2は、大径の頭部10と、該頭部と一体で該頭部よりも小径の中空の胴部11とを備え、該胴部11の内部にはさく孔ロッドを螺着するための雌ねじ部11aが設けられている。この胴部11の中空部であるねじ穴12の底部には、前記頭部の芯部に設けられた芯穴13が連通しており、該芯穴13から複数(図示例では、1個のセンターホール14aと2個のサイドホール14b,14bの計3個)の水孔(ブローホール)14,…が分岐している。これら水孔はビットの前面に開口して吐出口となっている。
【0013】
ビット2の頭部10の前面には、4個の断面山形のカッティングウエッジ13,…が設けられ、その頂部に超硬合金の切刃15,…がX状に設けられている。これら切刃15の間隔部には外周側が低くなる溝状凹部16,…が形成されており、この溝状凹部16には、それぞれ概略繭形の開口20,…が設けられている。開口20は、繰粉の流入口であり、頭部10を前後に貫通しており、その後端部は前記胴部11の外周部に臨んでいる。
【0014】
頭部10の後部には、頭部後端面部から陥入する計4個の湾状の係合凹部22,…が等間隔で設けられている。この係合凹部22は、パイプ5が自由回転不能に係合する係合部となっている。なお、頭部10の外周部には、従来のビットにおけるような繰粉溝は設けられていないので、その外周面は正面視で完全な円形を呈している。
【0015】
パイプ5の先端部には、前記ビット10の凹部22,…に係合する凸部23a,…を備えた係合部材23が溶接されている。これら凸部23a,…がビットの凹部22,…に係合することにより、該パイプ5がビット2に自由回転不能に取り付けられる。なお、ビットの頭部10の外径はパイプ5の外径よりも僅かに(片側数mm程度)大きく、係合部材23の外径はビットの頭部10の外径とほぼ等しいので、該係合部材23とパイプ5の外周面との間には僅かな段差が生じている。
【0016】
一方、パイプ5の後端部付近には、該パイプ内を通って送られてきた繰粉(スライム)を外部に排出するための、内外に連通する排出穴25,…が設けられている。図示例では、この排出穴25は円形であり、パイプの円周方向に沿って等間隔で4個所に形成されている。
【0017】
パイプ5の後端部は、カップリングスリーブ30を介してさく岩機のシャンクロッドSに接続されている。カップリングスリーブ30は、前後に貫通する通孔が設けられた中空円筒状であり、その前端部には前記パイプ5の後端部に内嵌する嵌合部31が設けられ、該嵌合部31の後端部には、カラー状に張出する大径のパイプ押え32が設けられている。図示例では、嵌合部31に嵌合したパイプ5の後端面とパイプ押え32との間にリング状のスぺーサ35が介装されている。このスぺーサ35はウレタンフォーム等の緩衝性材料で作られたリングであり、振動、騒音を防止するためのものであるが、場合によってはこれを設けておかなくてもよい。
【0018】
カップリングスリーブ30の中空部には、前後中央部に設けられた環状の凸条部37を挟んで両側に雌ねじ部38,39が設けられている。前側の雌ねじ部38はさく孔ロッド3が螺着されるねじ部であり、後側の雌ねじ部39はさく岩機のシャンクロッドSが螺着されるねじ部である。カップリングスリーブ30に螺着されたシャンクロッドSの先端面とさく孔ロッド3の後端面とは互いに当接している。なお、さく孔ロッド3の先端部は、前記ビット2の胴部11のねじ穴に螺着される。
【0019】
次に、このさく孔装置1を用いるさく孔方法について説明する。さく孔に際しては、上記の通り、先端部にビット2を取り付け、外周部にパイプ5を嵌合したさく孔ロッド3をさく岩機Dに取り付けられているシャンクロッドSにカップリングスリーブ30を介して接続する。この時、パイプ5の先端部の係合部材をビットの頭部10に係合させ、パイプ5の後端部とパイプ押え32との間には緩衝用のスぺーサ35を介在させておく。
【0020】
この状態で、ビット2を地盤に押し付け、さく岩機を作動させて、その回転と打撃と推力をさく孔ロッド3を介してビット2に伝達する。さく孔中は、さく孔ロッド3の芯部に設けられている水孔(フラッシングホール)3aを通して、さく岩機からエア、水等の高圧流体が供給され、この高圧流体はビットの頭部前面の吐出口14から噴出される。これによりさく孔が行われるが、ビット2とパイプ5とは相対的に回転不能となっているので、パイプ5もビット2およびさく孔ロッド3と共に回転する。
【0021】
ビット2の頭部前面には、山形のカッティングウエッジ13,…が設けられ、その頂部にそれぞれ刃体15が設けられているので、地盤はこの刃体によって切削され、これによって発生する繰粉Kは高圧流体の圧力によりビットの開口22,…に流入して、ビットの胴部外周部へ送り出される。この繰粉はさく孔ロッド3とパイプ5の内面との間隔部を通って後方へ送られ、パイプの後端部に設けられている排出口から外部へ排出される。
【0022】
このように、掘削によって生じる繰粉がビット2の頭部に設けた開口22からパイプ5内に流入し、該パイプの内部を通って後方へ送られるので、繰粉の排出が順調に行われる。開口22の面積は大きいので、繰粉による詰りは生じにくい。また、さく孔された穴の内面部にはパイプ5の外周面が存在するので、穴壁が崩落しない。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、粘性の高い土質においても、スライムの詰りが生じにくく、さく孔された穴の内壁が崩れにくく、能率的にさく孔することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のさく孔装置におけるビットの正面図である。
【図2】さく孔装置の前部の一部断面側面図(紙面の上半分は断面図)である。
【図3】その後部の一部断面側面図(紙面の上半分は断面図)である。
【図4】さく孔法の説明図である。
【符号の説明】
1 さく孔装置
2 ビット
3 さく孔ロッド
5 パイプ
10 ビット頭部
11 ビット胴部
20 開口(繰粉流入口)
22 凹部(係合部)
30 カップリングスリーブ
Claims (6)
- 先端部に繰粉が流入して後方へ送られる繰粉流入口が設けられたビットをさく岩機に連結されたさく孔ロッドの先端部に装着し、該さく孔ロッドの外側に、先端部が前記ビットの頭部に係合して該ビットと共に回転するパイプを外嵌して設け、前記ビットに回転と打撃と推力を付与しつつさく孔を行うとともに、該さく孔によって発生した繰粉を前記ビットの頭部から吐出される高圧流体によって前記ビットの繰粉流入口から前記パイプ内に流入させ、該パイプ内を通して後方へ流動させて、該パイプの後端部から外部へ排出することを特徴とするさく孔方法。
- 大径の頭部と該頭部よりも小径の胴部とを備え、前記頭部の先端部には繰粉が流入して後方へ送出される繰粉流入口が設けられたビットと、該ビットの胴部に接続されるさく孔ロッドと、該さく孔ロッドの外周部に外嵌されるパイプとを備え、前記パイプの先端部は、ビットの頭部に自由回転不能に係合していることを特徴とするさく孔装置。
- パイプの後端部に該パイプ内を通して送られてくる繰粉が外部へ流出する繰粉流出口を設けている請求項2に記載のさく孔装置。
- 前記パイプの後端部がさく岩機のシャンクロッドにカップリングスリーブを介して接続される請求項2又は3に記載のさく孔装置。
- 先端部に刃体が設けられた大径の頭部と、該頭部の後側に一体に設けられた小径の胴部とを備え、該胴部にはさく孔ロッドが螺合するねじ部が設けられ、前記頭部にはさく孔によって発生する繰粉が流入して該頭部の後方へ送出される繰粉流入口が設けられいることを特徴とするビット。
- 先端部にビットが装着されるさく孔ロッドに外嵌されるパイプの後端部が接続される中空のカップリングスリーブであって、前記パイプの後端部が嵌合する嵌合部と、該嵌合部に嵌合されたパイプの後方への移動を規制する大径のパイプ押えとを備え、その中空部の前部には前記さく孔ロッドが螺着されるねじ穴部が設けられ、後部にはさく岩機のシャンクロッドが螺着されるねじ穴部が設けられていることを特徴とするカップリングスリーブ。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2002-09-03 JP JP2002257635A patent/JP2004092294A/ja active Pending
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