JP2004092092A - トンネル拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備 - Google Patents

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真下 英人
Toshiaki Ishimura
石村 利明
Junichiro Nakamori
中森 純一郎
Hideyuki Horiuchi
堀内 秀行
Yasumasa Fujiwara
藤原 康政
Yasuki Asanuma
浅沼 廉樹
Yuichi Suzuki
鈴木 裕一
Tatsuya Noma
野間 達也
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Fujita Corp
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Abstract

【課題】既設トンネルaの拡幅工事において、一般車両f等の通行を確保するプロテクタ1と、工事用の重機dとの間のスペースを利用して、重量物Wを切羽側と坑口側との間で容易に運搬するための装置を提供する。
【解決手段】既設トンネルa内に設置されるプロテクタ1の一側上部に、該プロテクタ1による通路10と平行な方向へ延びる移動案内手段としてのレール2を、ブラケット3を介して取り付け、このレール2に沿って走行可能なホイスト4を配置し、コンクリートガラなどの重量物Wを、ホイスト4で揚重して搬送するものである。このため、プロテクタ1と、工事用の重機dとの間のスペースが狭くても、重量物Wの搬送を容易に行うことができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設トンネルの拡幅工事を効率的に行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
物流の効率化に関して、ISOの背高海上コンテナに代表される車両の大型化に対応して、既設トンネルの拡幅工事が必要となることがある。図5及び図6は、従来の技術による既設トンネルの拡幅工事を示す説明図で、すなわち、このような拡幅工事においては、図5に示されるように、既設トンネルaの断面を広げるように掘削し、その掘削面に沿って覆工コンクリート打設用の型枠を取り付けて、コンクリートによる覆工cを行う。そして、従来の技術においては、拡幅後のトンネルbの中心が、拡幅前のトンネルaの中心とほぼ同心となるように施工することが多い。
【0003】
しかし、このような方法では、作業エリアが狭く、工事期間中にトンネル内の一般車両の通行が遮断されることのないように配慮することが困難である。
【0004】
そこで、図6に示されるように、既設トンネルaの片側を掘削して、片側拡幅とすれば、広い作業エリアを確保でき、自由断面掘削機dのような大型の重機を使用することによる作業効率の向上、ひいては工期の短縮を図ることができる。そしてこの場合、既設トンネルa内に、予めプロテクタと呼ばれる移動可能な保護設備eを設置し、このプロテクタeによって、一般車両f等の通行及びその安全性を確保することができる。
【0005】
しかし、図6に示されるような片側拡幅工事において、自由断面掘削機dなどの大型の重機を使用した場合、プロテクタeの外側の作業エリアは、この重機でほぼ塞がれてしまい、他の重機の通行が困難となる問題があった。
【0006】
具体的には、例えば掘削時において、地山の掘削によって生じるズリは、掘削機に搭載されているズリ出し用のギャザリング装置でかき集めて排出する。しかし、既設トンネルaの覆工コンクリートa’(図6に破線で示される部分)をブレーカーなどの破砕機で破砕することによって生じるコンクリートガラのように、ズリ出し用のギャザリング装置ではかき集めることができないような巨大な塊は、プロテクタeと掘削機dとの間のスペースを利用して切羽から搬出する必要があり、同様に、支保工を構築するための鋼材を坑口側から切羽へ搬入する場合も、プロテクタeと掘削機dとの間のスペースを利用して搬入する必要がある。ところが、自由断面掘削機dのような大型の掘削機を使用する場合、プロテクタeと自由断面掘削機dとの間のスペースが狭くなってしまうため、コンクリートガラや支保工などの重量物を、狭いスペースでも円滑に運搬可能とするための手段が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、既設トンネルの拡幅工事において、一般車両等の通行を確保するプロテクタと、工事用の重機との間のスペースを利用して、重量物を切羽側と坑口側との間で容易に運搬するための装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
従来の技術的課題は、本発明によって有効に解決することができる。すなわち請求項1の発明に係るトンネル拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備は、既設トンネルの拡幅工事においてトンネル内の交通を確保するためのプロテクタに、該プロテクタによる通路と平行な方向へ延びる移動案内手段と、この移動案内手段に沿って移動可能な揚重手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明に係る拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備は、請求項1に記載の移動案内手段がレールであり、請求項1に記載の揚重手段がレールに沿って走行するホイストであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明に係る拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備は、請求項1に記載の揚重手段がブームクレーンであり、請求項1に記載の移動案内手段が、前記ブームクレーンをプロテクタによる通路と平行な方向へ往復移動させる送り手段を備えることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、第一の実施の形態を示す斜視図、図2は、本形態によるプロテクタと一体の運搬設備を使用した既設トンネルの拡幅工事を示す説明図である。
【0012】
まず図1に示される形態において、プロテクタ1は、左右一対の下桁11と、各下桁11上に、その長手方向所定間隔で立設された多数の支柱12と、プロテクタ1の延長方向へ互いに隣接する支柱12,12,間にそれぞれX字型に連結された筋交い13と、左側の支柱12の上端と右側の支柱12の上端間に架設された多数の横梁14と、下桁11,11と平行であって左側の支柱12,12,…の上端間及び右側の支柱12,12,…の上端間をそれぞれ連結している左右一対の縦梁(不図示)と、横梁14,14,…上に敷設されたパネル状の屋根15とからなる。そしてこのプロテクタ1は、図2に示されるように、既設トンネルa内に設置可能であって、内側に大型貨物車や乗用車などの一般車両fが通行するのに十分な幅及び高さを有する通路10を形成するように構築されている。
【0013】
下桁11、支柱12、筋交い13、横梁14、縦梁及び屋根15等、主な構成材は、鉄骨や鋼材等で製作され、工事に伴って発生する落下物等に対する十分な強度が確保されている。また、左右の下桁11,11又は支柱12の下部には、車輪(不図示)を設けることによって、トンネル拡幅工事の進捗に伴うプロテクタ1の移動を容易にすることができる。
【0014】
プロテクタ1の一側(右側又は左側)の上部には、移動案内手段として、Iビームからなるレール2が、このプロテクタ1による通路10の延長方向と平行、すなわち略水平に配置されている。通路10の延長方向両端に位置する支柱12,12の上端には、それぞれボルト止め又は溶接等の手段によって、鉄骨等からなるブラケット3が水平に突設されており、Iビームからなるレール2の両端は、このブラケット3,3の端部に固定されている。
【0015】
レール2には、揚重手段としての自走式のホイスト4が配置されている。ホイスト4は、良く知られているように、電動機で駆動する複数の車輪によってレール2上を走行する走行機41と、この走行機41に一体に設けられワイヤ43を介してフック44を昇降させる巻上機42を備える。
【0016】
以上のように構成された第一の形態において、プロテクタ1は、図2に示されるように、既設トンネルa内に配置され、これによって、工事期間中もトンネル内の一般車両f等の通行を確保すると共に、掘削物の落下等から、一般車両fを保護する。なお、トンネル拡幅工事は、既設トンネルaの片側を掘削する片側拡幅による方法が採用される。図2における参照符号bは、拡幅後の新設トンネルを示すものである。このためプロテクタ1は、ホイスト4が走行するレール2が、拡幅工事エリア側を向くように、既設トンネルa内に配置される。
【0017】
既設トンネルaの片側拡幅工事には、大型の自由断面掘削機dや支保工組立装置、覆工コンクリート打設装置などが用いられる。そして、掘削に伴って切羽から発生するズリは、自由断面掘削機dに搭載されているズリ排出用のギャザリング装置によって連続的に坑口側へ排出される。しかし、既設トンネルaの覆工コンクリートa’を、ブレーカーなどの破砕機で破砕することによって落下するコンクリートガラなどは、このギャザリング装置による排出が不可能であるため、このような排出物は、ホイスト4のフック44に玉掛けされ、揚重されて、ホイスト4がレール2に沿って走行することにより、坑口側へ搬送される。また、掘削面の崩壊を防止するための支保工の組立に必要な資材なども、同様に、ホイスト4によって揚重し、坑口から切羽へ搬入することができる。
【0018】
ホイスト4は、土砂運搬車両等に比較して著しく小型であり、そのレール2がプロテクタ1に一体化されていることから、大型の自由断面掘削機d等の使用によって、プロテクタ1との間のスペースが比較的狭い場合であっても、切羽側と坑口側との間でのコンクリートガラや支保工など重量物Wの搬送を、容易に行うことができる。
【0019】
次に図3は、本発明に係る拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備の好ましい第二の実施の形態を示す斜視図、図4は、この形態において揚重手段として使用されるブームクレーンを示すもので、(A)はレールの長手方向から見た図、(B)は斜視図である。本形態において、先に説明した第一の形態と異なるところは、プロテクタ1による通路10と平行な方向へ走行可能な揚重手段として、ブームクレーン6を用いたことにあり、このブームクレーン6は、移動案内手段としての往復動テーブル5側に設けた送り手段によって、この往復動テーブル5に沿って移動するようになっている。
【0020】
詳しくは、プロテクタ1自体は、図3に示されるように、基本的には図1と同様に構成されており、その屋根15上には、トンネルの片側拡幅工事のための作業エリアとなる側の縁に沿って、往復動テーブル5が設けられている。往復動テーブル5は、両端がそれぞれ台座51を介して屋根15の上面から適宜浮上した位置に固定され互いに平行な一対のリニアスライド往復動テーブル52,52と、このリニアスライド往復動テーブル52,52間に配置され両端が前記台座51に軸受(不図示)を介して回転自在に支持されたボールスクリュシャフト53と、一方の台座51に固定されて前記ボールスクリュシャフト53をその軸心の周りに回転させる移送モータ54とで構成される。
【0021】
一方、ブームクレーン6は、図4に示されるように、往復動テーブル5におけるリニアスライド往復動テーブル52,52にその長手方向へ移動可能な状態で係合された一対のスライダ61,61と、往復動テーブル5におけるボールスクリュシャフト53に螺合されてこのボールスクリュシャフト53の回転力を直線運動に変換する螺合部62と、これらスライダ61,61及び推進部62に跨って一体に固定された架台63を備える、すなわち、移送モータ54でボールスクリュシャフト53が正逆回転されることにより、螺合部62に推進力が与えられ、スライダ61,61を介してリニアスライド往復動テーブル52,52に案内されながら、往復動テーブル5に沿ってプロテクタ1の両端間を往復走行することができる。
【0022】
架台63にはブーム64が取り付けられており、このブーム64は、旋回用モータ65によって、鉛直軸の周りに回転(旋回)可能であると共に、入れ子式の構造を有し、内部の駆動装置(例えば電動のボールスクリュシャフト等)によって伸縮可能となっている。前記ブーム64の先端には、チェーン又はワイヤ67を介してフック68を昇降させるチェーンブロック又は巻上機66が設けられている。
【0023】
以上のように構成された第二の形態において、プロテクタ1は、先に説明した図2と同様、往復動テーブル5が拡幅工事エリア側に偏在するように、既設トンネルa内に配置される。そして、既設トンネルaの覆工コンクリートa’を、ブレーカーなどの破砕機で破砕することによって落下するコンクリートガラなどは、ブームクレーン6のフック68に玉掛けされ、揚重される。そして、プロテクタ1の屋根15上の往復動テーブル5におけるボールスクリュシャフト53を移送モータ54で回転させることによって、ブームクレーン6が、この往復動テーブル5に沿って走行し、揚重したコンクリートガラ等を坑口側へ搬送する。また、掘削面の崩壊を防止するための支保工の組立に必要な資材なども、同様に、ブームクレーン6によって揚重し、坑口から切羽へ搬入することができる。
【0024】
ブームクレーン6は、搬送対象物の大きさや、プロテクタ1の外側の作業エリアに配置された掘削機等と、プロテクタ1との間のスペースの広さに応じて、ブーム64を伸縮することができるため、切羽側と坑口側との間でのコンクリートガラや支保工など重量物の搬送を、容易に行うことができる。しかも、ブーム64は旋回可能であるため、搬送対象物の吊上げ位置や、吊下ろし位置の自由度が大きく、したがって、一層効率良くコンクリートガラや支保工などの搬送を行うことができる。
【0025】
また、ブームクレーン6は、往復動テーブル5における互いに平行な一対のリニアスライド往復動テーブル52,52によって支持されているため、搬送対象物の荷重による捩りモーメントによって、円滑な移動が阻害されるのを防止することができる。
【0026】
なお、上述した各形態においては、プロテクタ1の片側で重量物を搬送するように構成したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、既設トンネルaの左右両側を掘削して拡幅する場合は、移動案内手段としてのレール2あるいは往復動テーブル5を、プロテクタ1における左右両側に設けることによって、ホイスト4又はブームクレーン6がプロテクタ1の左右両側でそれぞれ重量物を搬送できるようにしても良い。
【0027】
【発明の効果】
請求項1の発明に係るトンネル拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備によれば、既設トンネルの拡幅工事においてトンネル内の交通を確保するために設置されるプロテクタに、移動案内手段が一体に設けられ、この移動案内手段に沿って移動する揚重手段によって、切羽側と坑口側との間で重量物を搬送できるようにしたため、既設トンネルの拡幅工事に、大型の重機を用いることによって、搬送経路に利用可能なスペースが比較的狭くても、コンクリートガラ等の排出や、切羽側への資材の搬入等を容易に行うことができる。
【0028】
請求項2の発明に係る拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備によれば、移動案内手段に沿って移動する揚重手段を、レールに沿って走行するホイストで構成したため、設備が小型となり、かつ低コストで実施することができる。
【0029】
請求項3の発明に係る拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備によれば、移動案内手段に沿って移動する揚重手段を、送り手段によって移動案内手段上を往復移動するブームクレーンで構成したため、したがって、搬送経路に利用可能なスペースや搬送対象物の大きさ、搬送対象物の吊上げ位置や吊下ろし位置などの条件に応じて、効率良く搬送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備の好ましい第一の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1の形態によるプロテクタと一体の運搬設備を使用した既設トンネルの拡幅工事を示す説明図である。
【図3】本発明に係る拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備の好ましい第二の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】図3の形態において使用されるブームクレーンを示すもので、(A)はレールの長手方向から見た図、(B)は斜視図である。
【図5】従来の技術による既設トンネルの拡幅工事を示す説明図である。
【図6】従来の技術によるプロテクタを使用した既設トンネルの拡幅工事を示す説明図である。
【符号の説明】
1 プロテクタ
2 レール(移動案内手段)
3 ブラケット
4 ホイスト(揚重手段)
5 往復動テーブル(移動案内手段)
53 ボールスクリュシャフト(送り手段)
54 移送モータ(送り手段)
6 ブームクレーン(揚重手段)
10 通路
a 既設トンネル

Claims (3)

  1. 既設トンネルの拡幅工事においてトンネル内の交通を確保するためのプロテクタに、該プロテクタによる通路と平行な方向へ延びる移動案内手段と、この移動案内手段に沿って移動可能な揚重手段とを備えることを特徴とするトンネル拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備。
  2. 移動案内手段がレールであり、揚重手段がレールに沿って走行するホイストであることを特徴とする請求項1に記載の拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備。
  3. 揚重手段がブームクレーンであり、移動案内手段が、前記ブームクレーンをプロテクタによる通路と平行な方向へ往復移動させる送り手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の拡幅工事用プロテクタと一体の運搬設備。
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