JP2004082996A - 車両の発進補助機構 - Google Patents

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大滝  亮一
Ryohei Yamauchi
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Abstract

【課題】運転操作の省力化を図りつつ、意図しない車両の動作を回避できる車両の発進補助機構を提供する。
【解決手段】制御装置109は、クラッチ102が接続されたことに連動して、リニアアクチュエータ100を制御してパーキングブレーキ装置30の解除動作を行うので、かかる発進補助機構を搭載した車両が坂道で一旦停止したような場合、発進するために、運転者がフットブレーキからアクセルに踏み代えるまでの間、パーキングブレーキ装置30が車輪105に制動力を付与するので、運転者の意図に関わりなく車両が坂道を下り降りることが抑制され、又、クラッチ102が接続されたことに連動して、リニアアクチュエータ100を制御してパーキングブレーキ装置30を解除するので、円滑な発進が可能となる。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制御技術に関し、特に車両の発進を補助する発進補助機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
発進操作や変速操作を自動で行う、いわゆるオートマチックトランスミッションを備えた車両が知られている。現在、国内で市販されている乗用車の多くは、このオートマチックトランスミッションを備えている。中でも、トルクコンバータなどを備えたオートマチックトランスミッションは、内燃機関と車輪との間を流体を介して動力伝達可能に接続しているため、例えば車両が停止した状態でも、トルクコンバータを空転させることで内燃機関と車両との間で動力伝達を遮断することができるので、機械式クラッチが不要となるというメリットがある。又、内燃機関がアイドリング状態でも、トルクコンバータの引きずり現象であるクリープが発生することから、坂道発進などで、フットブレーキから足を離しても車両が後退しないという利点もある。
【0003】
一方、トルクコンバータを備えたオートマチックトランスミッションの場合、流体を媒体とすることに起因する動力伝達ロスは避けられないため、内燃機関の燃費については、一般的にはマニュアルトランスミッションに劣るという問題がある。かかる観点から、省力型マニュアルトランスミッション(AMT)システムが注目されている。省力型マニュアルトランスミッションシステムは、一般的なマニュアルトランスミッションに対し、ギヤを変速するためのアクチュエータと、機械式クラッチを動作させるためのアクチュエータと、これらアクチュエータを統合的に制御する制御装置とを有するものである。
【0004】
かかる省力型マニュアルトランスミッションシステムによれば、制御装置が、スロットル開度と、エンジン回転数と、車速とを検出することにより、アクチュエータを駆動して最適なギヤを選択し、且つ車速がゼロに近づけば、アクチュエータを動作して、機械式クラッチを切離させるため、運転者はオートマチックトランスミッションと同様に、変速操作やクラッチを踏む動作が不要でありながら、マニュアルトランスミッション搭載車と同等もしくはそれ以上に燃費の向上が期待できるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、省力型マニュアルトランスミッションシステムによれば、一つの問題がある。車両が坂道で一旦停止したような場合、運転者がフットブレーキを踏んでいる間は、車両に制動力が付与されるので、運転者の意図に反して坂道を下る恐れはない。ところが発進の際に、運転者がフットブレーキからアクセルに踏み代えるまでの間、車両には制動力も内燃機関からの動力も付与されないことから、自重に従い坂道を下ってしまう恐れがある。かかる問題は、マニュアルトランスミッション搭載車では当然に生じるものであるから、それと同様、坂道発進では手動でパーキングブレーキを併用させることも考えられるが、トルクコンバータを用いたオートマチックトランスミッション搭載車では、上述したクリープがあるため本来的に生じない問題であるから、運転の省力化という観点から、なんらかの対策が必要となる。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、運転操作の省力化を図りつつ、意図しない車両の動作を回避できる車両の発進補助機構を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両の発進補助機構は、
駆動手段により駆動されるクラッチを接続させることで、内燃機関からの動力を前記クラッチを介して車輪に伝達する車両に用いる発進補助機構において、
車輪に制動力を付与するブレーキ装置と、
前記ブレーキ装置を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記クラッチが接続されたことに連動して、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置の解除動作を行うことを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明の車両の発進補助機構によれば、駆動手段により駆動されるクラッチを接続させることで、内燃機関からの動力を前記クラッチを介して車輪に伝達する車両に用いる発進補助機構において、車輪に制動力を付与するブレーキ装置(例えばパーキングブレーキ)と、前記ブレーキ装置を駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記クラッチが接続されたことに連動して、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置の解除動作を行うので、かかる発進補助機構を搭載した車両が坂道で一旦停止したような場合、発進するために、運転者がフットブレーキからアクセルに踏み代えるまでの間、前記ブレーキ装置が車輪に制動力を付与するので、運転者の意図に関わりなく車両が坂道を下り降りることが抑制され、又、前記クラッチが接続されたことに連動して、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置を解除するので、円滑な発進が可能となる。尚、「連動する」とは、例えば前記クラッチの接続と前記ブレーキ装置の解除とが、所定のタイミング(同時である必要はない)で成されることを言うものとする。
【0009】
又、前記制御手段は、前記クラッチが接続された後、所定の動力の伝達が開始されたときに、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置の解除動作を行うと、より円滑な発進ができるので好ましい。
【0010】
更に、前記車両は、停止時に前記クラッチを切り離し、それに連動して前記制御手段は、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置の制動動作を行うようになっていると、運転者自ら前記ブレーキ装置(例えばパーキングブレーキ)を操作しなくて済み、省力化が図れる。但し、運転者の操作で、前記ブレーキ装置を動作させるようにしても良い。
【0011】
上述したアクチュエータは、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、前記電動モータの動力を前記被駆動部材に伝達する動力伝達機構とを備え、前記動力伝達機構は、外輪と、前記電動モータに動力伝達可能に連結された回転駆動部(例えば回転軸3)と、前記回転駆動部より回転力を受けて回転変位する回転被駆動部(例えば回転被駆動部材4)と、前記回転被駆動部の回転運動を前記被駆動部材に動力伝達可能に連結された移動部材の軸線方向運動に変換する変換機構(例えばボールスクリュー機構)と、前記外輪と前記回転被駆動部との間に配置されたロック部材(例えばころ6)と、によって構成されると共に、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動部を回転させようとするときは、前記ロック部材が前記外輪及び前記回転被駆動部に対して摩擦力が低くなる回転許容位置に案内されることで、前記回転駆動部から前記回転被駆動部への回転力の伝達を許容し、前記回転被駆動部に回転力が入力され前記回転駆動部を所定の方向に回転させようとするときは、前記ロック部材が前記外輪及び前記回転被駆動部に対して摩擦力が高くなる回転阻止位置に案内されることで、前記回転被駆動部から前記回転駆動部への回転を固定し(すなわち回転力の伝達を禁止し)、少なくとも前記被駆動部材が駆動された状態では、前記回転被駆動部が前記所定の方向に回転するように、前記被駆動部材から力を受ける構成となっているので、前記電動モータから前記被駆動部材(例えばパーキングブレーキ装置を駆動するワイヤー16)への動力伝達を許容しつつも、前記被駆動部材から前記電動モータへの動力伝達を阻止できることから、前記電動モータの容量を小さくでき、省電力も図れる。また、少なくとも前記被駆動部材が駆動された状態では、前記被駆動部材から力を受けることによって、前記ロック部材は、前記第2の位置に付勢されるようになっているので、その分だけ前記動力伝達機構の構成を簡素化でき、低コスト化を図れる。
【0012】
尚、「摩擦力が低くなる回転許容位置」及び「摩擦力が高くなる回転阻止位置」とは、前記ロック部材が変位したときに、前記回転許容位置よりも前記回転阻止位置の方が、前記ロック部材と前記外輪及び前記回転被駆動部との間の摩擦力が高くなるという相対的な関係を意味したものであり、例えば後述する実施の形態では、回転許容位置は、一方向に傾斜したカム面上における回転軸心寄りの位置であり、回転阻止位置は、かかるカム面上における回転軸心から離れた位置である。
【0013】
更に、前記動力伝達機構は、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動部を回転させるときに前記ロック部材を駆動する駆動体(例えば後述する爪部3b)と、前記駆動体が前記ロック部材を前記第1の位置から前記第2の位置に向かって駆動しようとするときは、前記駆動体の駆動を制限する制限部材(例えば後述するキー7)とを有すると、回転伝達を行うべきときに前記駆動体が前記ロック部材を前記第1の位置から前記第2の位置に向かって駆動することを前記制限部材が阻止し、それにより前記回転駆動部からの回転力が前記回転被駆動部にスムーズに伝達されるようになるので好ましい(図4(a)参照)。
【0014】
又、前記動力伝達機構は、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動部を回転させようとするときには、前記ロック部材を駆動する駆動体(例えば後述する爪部3b)と、前記回転被駆動部から半径方向に突出して設けられ、前記駆動体に当接することによって前記回転駆動部から前記回転被駆動部に回転力を伝達する凸部(例えば後述するキー7)とを有するので、前記凸部を介して前記回転駆動部からの回転力が前記回転被駆動部にスムーズに伝達されるようになるので好ましい(図4(b)参照)
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明を適用すると好適な省力型マニュアルトランスミッションシステムを示す概略構成図である。図2は、本実施の形態にかかる車両の発進補助機構を示す図である。
【0016】
図1において、内燃機関であるエンジン101の動力は、一般的には摩擦板とエンジン101のフライホイールに摩擦板を押しつける押し付け部材からなるクラッチ102を介してトランスミッション103に伝達される。かかる動力は、トランスミッション103内で適宜選択されたギヤ対を介して減速された後、ドライブトレーン104を介して車輪105に伝達されるようになっている。クラッチ102は、駆動手段である第1アクチュエータ106に駆動され、それにより摩擦板とフライホイールとの接続又は切離が成されるようになっている。多段式のトランスミッション103は、内部に組になったギヤ対(不図示)を有し、それらを選択的に係合させるシフトレバー103aを外部に延在させている。第2アクチュエータ107は、シフトレバー103aを図面垂直方向に駆動し、第3アクチュエータ108は、シフトレバー103aを図で上下に駆動し、それらの合成駆動によりシフトレバー103aを任意の位置に変位させることで、所定のギヤ列が選択されるようになっている。
【0017】
制御装置109は、エンジン回転数を検出するセンサ110からの信号と、車速を検出するセンサ111からの信号を受信し、更に不図示のスロットルの開度を検出することで、最適なギヤ列を決定し、アクチュエータ107,108を制御することで、決定されたギヤ列を介してエンジン101から車輪105へと動力伝達を行わせるようになっている。又、制御装置109は、車速を検出するセンサ111からの信号を受信し、車速がゼロに近づいた場合には、第1アクチュエータ106を制御することで、クラッチ102を切離させることで、エンジン101から車輪105への動力伝達を阻止し、エンジン101のアイドリングを許容するようになっている。
【0018】
更に、本実施の形態の制御装置109は、アイドリングストップ機構を有している。より具体的には、車速がゼロになったまま所定時間経過すると、エンジン101への燃料供給を停止させることで、アイドリング状態にあるエンジン101の運転を停止させ燃費向上を図るものである。尚、運転者がアクセルペダルを踏み込むなどの処置をとれば、制御装置109がそれを検出して、瞬時にエンジン101を再始動し、車両を発進できる状態にする。
【0019】
図2は、本実施の形態である車両の発進補助機構の構成図である。まず、リニアアクチュエータ100について説明する。図2において、ボルト1Cで連結された、それぞれ円筒状のモータハウジング1Aとクラッチハウジング1Bとで、ハウジング1を構成する。モータハウジング1Aの内周面には、円筒状のステータ2bが固定されており、ステータ2bは、ロータ2cを内包している。皿バネ25により予圧された軸受9Aと軸受9Bとにより、モータハウジング1Aに対して回転自在に支持された回転軸3の外周面に、ロータ2cが取り付けられ、一体的に回転するようになっている。ロータ2cに隣接して、回転軸3の外周にはコミュテータ2fが配置され、この外周面にブラシ2eが摺動自在に接触している。電動モータ2は、ステータ2b、ロータ2c、ブラシ2e、コミュテータ2f、回転軸3を有しており、制御装置109の制御下で電力供給がなされるようになっている。
【0020】
回転軸3は中空であり、図2の右端側において、モータハウジング1Aに対して軸受9Bにより回転自在に支持された大径部3aと、大径部3aより軸線方向に突出した複数の(本例では6つの)爪部3bとを形成している。尚、軸受9Bの外輪は、モータハウジング1Aの内周面とクラッチハウジング1Bの内周面の双方に嵌合しており、それによりクラッチハウジング1Bと電動モータ2の芯合わせを行っている。このように、軸受9Bの外輪を、モータハウジング1Aの内周面とクラッチハウジング1Bの内周面とに嵌合させることで、例えば組付時や検査時などにおいて、モータハウジング1Aからクラッチハウジング1Bを分離しても、2つの軸受9A、9Bによって回転軸3が支持されるので取り扱いに便利である。
【0021】
クラッチハウジング1Bは、大円筒部1aと小円筒部1bとを連結したごとき形状を有する。大円筒部1aの内周面には、固定部である外輪5が取り付けられている。外輪5の半径方向内方には、隣接する爪部3b間に、ロック部材である(本例では3つの)ころ6と、(本例では3つの)キー7とが交互に挟持されるようにして配置されている。外輪5は、図2で右端に半径方向内方に突出するフランジ部5gを有し、このフランジ部5gで、ころ6の軸線方向移動を防止している。
【0022】
ころ6は、クラッチハウジング1Bの大円筒部1aに対して、軸受8を介して回転自在に支持された円筒状の回転被駆動部材4の外周面を転動可能となっている。回転被駆動部材4の外周面の形状に関しては、図3を参照して後述する。回転被駆動部材4の内周面には、ナット10が、圧入嵌合或いはD字断面部同士の嵌合などにより相対回転不能に取り付けられている。ナット10内をネジ軸11が貫通している。ネジ軸11は、更に回転軸3の内部まで延在するようになっており、それにより軸線方向にコンパクトな構成を提供している。
【0023】
ネジ軸11の図2で左半部外周面には、ネジ溝11a(一部のみ図示)が形成されており、一方、ナット10の内周面には、ネジ溝11aに対向してネジ溝10a(一部のみ図示)が形成され、ネジ溝10a、11aによって形成される螺旋状の空間には、多数のボール12が転動自在に配置されている。尚、図示していないが、動作時に、ボール12を回転被駆動部材4の一端から他端へと戻す通路が設けられている。ナット10と、ネジ軸11と、ボール12とでボールスクリュー機構を構成する。
【0024】
ネジ軸11の図2で右半部は丸軸部11bとなっており、その先端に、円筒状の移動ケース13が取付配置されている。ネジ軸11の軸線方向位置に関わらず丸軸部11bを覆っている移動ケース13は、大筒13aと、大筒13aの図2で右端側に同軸に配置された短い小筒13bと、大筒13aと小筒13bを連結するフランジ部13cとを有する。小筒13bの内周面には、キー溝13dが設けられ、ここに配置されたキー14を介して、ネジ軸11の図2で右端に、小筒13bは回転不能に取り付けられ、更に止め輪15を介して、ネジ軸11からの抜け出しが阻止されるようになっている。フランジ部13cの端面には、一対のワイヤー16の一端が連結されており、ワイヤー16の他端は、パーキングブレーキ装置30の一対のレバー31に連結されている。
【0025】
ワイヤー16が、図2で左方に移動すると、レバー31が動作してキャリパ32が、車輪105(図1)に連結されたディスク33を挟持し、それにより車輪に対して制動力を付与するようになっている。尚、ワイヤー16は、レバー31を介して、バネ34により常に図2で右方向に付勢されている。
【0026】
移動ケース13は、大筒13aの内周面に、図2で左端側から延在する直線溝13eを形成している。クラッチハウジング1Bの小円筒部1bの図2で右端外周には、頭部17aを直線溝13eに係合させたピン17が埋設されている。従って、移動ケース13は、クラッチハウジング1Bに対して相対回転不能だが、軸線方向相対移動可能となっている。クラッチハウジング1Bの小円筒部1bの中央内周には、ネジ軸11の丸軸部11bをブッシュ1dを介して支持する隔壁1cが形成されており、それに隣接して(図2で右側に)パッキン18が配置され、丸軸部11bの外周面と小円筒部1bの内周面との間を密封し、異物の侵入を阻止するように機能する。
【0027】
動力伝達機構50は、回転駆動部である回転軸3と、回転被駆動部である回転被駆動部材4と、外輪5と、変換機構であるボールスクリュー機構(12,10、11)とから構成される。
【0028】
動力伝達機構50の詳細な構成を説明する。図3において、回転被駆動部材4は、その外周面に、本例では3つのキー溝4cと、本例は3つのカム面4dとを、それぞれ等間隔に且つ互い違いに形成している。カム面4dは、図3で時計回りに行くに従って、回転中心(軸)から遠ざかる一方向に傾いた斜面形状を有している。
【0029】
キー7と、その両側の爪部3bとの間隔をaとし、図3で点線に示すごとく、ころ6が外輪5と回転被駆動部材4との間に食い込んだ状態(第2の位置)における図3で左側の爪部3bとの間隔をb、同右側の爪部3bとの間隔をcとすると、b>a>cなる関係が成立するようになっている。
【0030】
車両の発進補助機構を含む省力式マニュアルトランスミッションシステムの動作について、更に動力伝達機構50の動作を示す図4と、制御装置109の動作を示すフローチャートである図5とを加え、これら図面に基づいて説明する。車速がゼロ以上であるときから、制御をスタートするものとする。
【0031】
制御装置109は、まず図5のステップS101で、発進補助機構の動作を実行することを選択するスイッチ(不図示)がオン操作されているか否か判断し、オン操作されている場合、以下の制御を実行する。制御装置109は、車速センサ111からの信号に基づき、車速がゼロに近づくと第1アクチュエータ106を動作させてクラッチ102を切離し、更にステップS102において、車速がゼロになったか否か及び既にクラッチ102が切離されているか否かを判断し、車速がゼロになり且つクラッチ102が切離されていると判断すれば、ステップS103で、リニアアクチュエータ100を動作させて、パーキングブレーキ装置30に制動力を発揮させる。それにより、車両はエンジン101がアイドリング状態を維持でき、且つ坂道でも自重による移動が生じないようになる。尚、ステップS102で、車速がゼロではない或いはクラッチ102が切離されていないと判断すれば、制御装置109は、ステップS103以降へ制御を進めない。
【0032】
より具体的に、リニアアクチュエータ100の動作を説明すると、図2において、制御装置109は、不図示の電源から電動モータ2に電力を供給する。それにより回転軸3が回転被駆動部材4に対して相対的に回転する。このとき、図4(a)において、爪部3bが矢印B方向に回転すると、ころ6に隣接した爪部3bの端面が、ころ6に当接しようとするが、爪部3bと、ころ6と、キー7との隙間の関係は、上述した通り(b>a>c)であるので、ころ6を第2の位置(図3の点線で示す位置)に移動させる前に、キー7に隣接する爪部3bの端面が、キー7を押圧し、それにより回転軸3と回転被駆動部材4とは一体的に回転するようになっている。回転被駆動部材4と共にナット10が回転すると、移動ケース13を介してクラッチハウジング1Bに対して回転不能に支持されたネジ軸11は、ネジ溝10a、11aによって形成される螺旋状の空間を転動するボール12によって低摩擦状態で軸線方向に押し出され、すなわち回転変位が軸線方向変位に変換される。ネジ軸11の軸線方向移動と共に、移動ケース13が移動するので、かかる動力がワイヤー16を介して、パーキングブレーキ装置30に伝達され、車輪105に制動力を付与するようになっている。
【0033】
更に図5において、制御装置109は、ステップS104で内蔵タイマーをスタートさせ、それに基づきステップS105で所定時間T(車両停止からエンジン停止までアイドリングし続ける所与の時間)が経過したか否かを判断する。所定時間Tが経過していないと判断すれば、制御装置109は、ステップS106でスロットル(アクセル)開度がゼロを超えているか否かを判断する。
【0034】
ここで、スロットル開度がゼロであり、且つ所定時間Tが経過した場合、制御装置109は、燃費向上のため、アイドリングストップを実行する。より具体的には、制御装置109は、ステップS110で、アクチュエータ107,108を制御して、シフトレバー103aをトランスミッション103のニュートラル位置へと移動させる。
【0035】
続くステップS111で、制御装置109はエンジン101を停止させ、ステップS112で内蔵タイマーをスタートさせる。更にステップS113で、制御装置109は運転者によりイグニッションキーがオフ位置に回されたか否か判断し、イグニッションキーがオフ位置に回されたと判断すれば、ステップS119で駐車モードを設定する。かかる場合、イグニッションキーがスタート位置に回されない限り、アクセルを踏んでもエンジン101はスタートしない。
【0036】
ここで、本実施の形態における車両の発進補助機構は、パーキングブレーキ装置30の制動力を発揮させた状態で、電動モータ2に電力を供給する必要がないため、上述のごときアイドリングストップ又は駐車モードを実行する車両に最適である。より具体的には、図2の電動アクチュエータにおいて、電動モータ2が静止した後に、ワイヤー16にはバネ34による常時付勢力(あるいはブレーキ反力でも良い)が作用しているから、それにより付勢された移動ケース13及びネジ軸11の軸線方向変位が、ナット10を介して回転被駆動部材4の回転変位に変換され、よって回転被駆動部材4が回転軸3に対して相対的に回転しようとする。かかる場合、図4(c)において、カム面4dが矢印C方向に回転しようとするから、ころ6は、静止している外輪5から力を受けて、カム面4dの上部すなわち回転軸に遠い側(回転阻止位置)に向かって押圧(付勢)される。それにより、ころ6は、外輪5とカム面4dとの間で突っ張って摩擦力を付与する。これをロック状態という。かかるロック状態では、回転被駆動部材4の回転が阻止されるため、たとえワイヤー16の付勢力が比較的大きなものであっても、パーキングブレーキ装置30の制動力を維持できるので、電動モータ2への電力供給は不要となる。
【0037】
更に図5のステップS113において、キーがオフ位置にないと判断し、且つステップS114で、スロットル開度がゼロであると判断する限り、制御装置109は、アイドリングストップを実行し続ける。しかし、ステップS114で、スロットル開度がゼロを超えたと判断すれば、制御装置109は、ステップS115でエンジン101を始動し、ステップS116でアクチュエータ107,108を制御してシフトレバー103aを移動させ、トランスミッション103をロー(第1ギヤ対)にセットする。その後、制御装置109は、ステップS117で、第1アクチュエータ106を動作させてクラッチ102を、いわゆる半クラ状態で接続させ、所定の動力伝達が成された後に(連動して)、ステップS118で、リニアアクチュエータ100を制御してパーキングブレーキ装置30を解除させ、車両を加速させることとなる。
【0038】
より具体的には、制御装置109は、不図示の電源から電動モータ2に電力を供給する。それにより回転軸3が回転被駆動部材4に対して相対的に回転する。このとき、図4(b)において、爪部3bが矢印方向Aに回転したとすると、キー7に隣接した爪部3bの端面が、キー7に当接し、回転被駆動部材4を同方向に回転させる。従って、ころ6に隣接する爪部3bの端面が、ころ6をカム面4dの下部すなわち回転軸に近い側(回転許容位置)に向かって押圧するため、ころ6の食い込みが生じることなく、回転軸3と回転被駆動部材4とは一体的に回転することとなる。
【0039】
一方、図5のステップS105,S106で、所定時間Tが経過する前に、スロットル(アクセル)開度がゼロを超えたと判断すれば、制御装置109は、アイドリングストップを実行しない。かかる場合、ステップS107でアクチュエータ107,108を制御してシフトレバー103aを移動させ、トランスミッション103をロー(第1ギヤ対)にセットする。その後、制御装置109は、ステップS108で、第1アクチュエータ106を動作させてクラッチ102を、いわゆる半クラ状態で接続させ、所定の動力伝達が成された後に、ステップS109で、リニアアクチュエータ100を制御してパーキングブレーキ装置30を解除させ、車両を加速させることとなる。
【0040】
尚、エンジン101の動力が伝達される車輪(駆動輪)と、パーキングブレーキ装置30が制動力を付与する車輪(制動輪)とを異ならせると、パーキングブレーキ30の解除前にも、駆動輪105のグリップがかり始めることで、解除と同時に円滑に発進できるという利点があるが、駆動輪にパーキングブレーキ装置30の制動力を付与しても良い。
【0041】
本実施の形態によれば、制御装置109が、クラッチ102が接続されたことに連動して、リニアアクチュエータ100を制御してパーキングブレーキ装置30の解除動作を行うので、かかる発進補助機構を搭載した車両が坂道で一旦停止したような場合(或いは平坦な路面上で停止した場合でも)、その後発進するために、運転者がフットブレーキからアクセルに踏み代えるまでの間、パーキングブレーキ装置30が車輪105に制動力を付与するので、運転者の意図に関わりなく車両が坂道を下り降りることが抑制され、又、クラッチ102が接続されたことに連動して、リニアアクチュエータ100を制御してパーキングブレーキ装置30を解除するので、円滑な発進が可能となる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、本発明の車両の発進補助機構は、制御装置109で、他のアクチュエータと共に統合的に制御できる観点から、上述した省力式マニュアルトランスミッションシステムに好適な構成であるといえるが、通常のマニュアルトランスミッションと併用しても良いことは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】
本発明の車両の発進補助機構によれば、駆動手段により駆動されるクラッチを接続させることで、内燃機関からの動力を前記クラッチを介して車輪に伝達する車両に用いる発進補助機構において、車輪に制動力を付与するブレーキ装置(例えばパーキングブレーキ)と、前記ブレーキ装置を駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記クラッチが接続されたことに連動して、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置の解除動作を行うので、かかる発進補助機構を搭載した車両が坂道で一旦停止したような場合、発進するために、運転者がフットブレーキからアクセルに踏み代えるまでの間、前記ブレーキ装置が車輪に制動力を付与するので、運転者の意図に関わりなく車両が坂道を下り降りることが抑制され、又、前記クラッチが接続されたことに連動して、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置を解除するので、円滑な発進が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用すると好適な省力型マニュアルトランスミッションシステムを示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態にかかる車両の発進補助機構を示す図である。
【図3】図2の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。
【図4】動力伝達機構の動作を示す図である。
【図5】制御装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1A モータハウジング
1B クラッチハウジング
2 電動モータ
3 回転軸
4 回転被駆動部材
5 外輪
6 ころ
10 ナット
11 ネジ軸
13 移動ケース
16 ワイヤー
30 パーキングブレーキ装置
100 リニアアクチュエータ
101 エンジン
102 クラッチ
103 トランスミッション
104 ドライブトレーン
105 車輪
106 第1のアクチュエータ
107 第2のアクチュエータ
108 第3のアクチュエータ
109 制御装置
110 エンジン回転数検出センサ
111 車速検出センサ

Claims (3)

  1. 駆動手段により駆動されるクラッチを接続させることで、内燃機関からの動力を前記クラッチを介して車輪に伝達する車両に用いる発進補助機構において、
    車輪に制動力を付与するブレーキ装置と、
    前記ブレーキ装置を駆動するアクチュエータと、
    前記アクチュエータを制御する制御手段とを有し、
    前記制御手段は、前記クラッチが接続されたことに連動して、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置の解除動作を行うことを特徴とする車両の発進補助機構。
  2. 前記制御手段は、前記クラッチが接続された後、所定の動力の伝達が開始されたときに、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置の解除動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両の発進補助機構。
  3. 前記車両は、停止時に前記クラッチを切り離し、それに連動して前記制御手段は、前記アクチュエータを制御して前記ブレーキ装置の制動動作を行うようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の発進補助機構。
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