JP2004074032A - 付着物除去方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭化水素及び金属化合物を含有する付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤にて洗浄し、次いで水にて洗浄することを特徴とする付着物除去方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、付着物除去方法に関し、特には、石炭・石油およびそれらを原料として生成する炭化水素を輸送および処理する装置において、重質炭化水素および金属化合物を含有する汚れが付着した機器の付着物除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コークスガスの分離精製プラント、石油精製プラント等では、運転に伴いボイラ、熱交換器等の伝熱面や蒸発面、水や蒸気が通る配管等の金属製材料に汚れが付着してくる。この汚れは一般に、重質炭化水素および酸化鉄やシアン化鉄等の金属化合物を含んでいる。この汚れが上記の金属製材料に付着すると、熱効率の低下、流量阻害、腐食等を起こすため、適当な時期に洗浄剤を用いて化学洗浄を行い、この汚れを除去する必要がある。
【0003】
特に、コークス炉ガス精製プラントにおいてガスを精製する工程において、ナフタリン吸収塔の汚れ付着物は大きな問題となっている。このナフタリン吸収塔内には、例えば吸収油とコークスガスとの接触を良くするための木格子等の充填物がありナフタリンの吸収効率を上げているが、ガス中の炭塵やタール分、無機物等と循環する吸収油から汚れが発生して充填物に付着堆積し、ガスの抵抗増大による操業上の問題が発生したり、抵抗増大に起因する吸収液の飛沫同伴が増加したりする。これにより後工程の熱交換器等の汚れによる熱効率の低下や抵抗増大を抑制するためにスチーミング実施等によるエネルギーロスが発生する。塔を開放して汚れを除去する事も可能ではあるが、臭気が強く、人が入って作業するには環境上好ましくない。また予備系列がない場合は簡単に止められないケースもある。
【0004】
このような汚れの洗浄方法としては、酸、アルカリ等の水系洗浄液や、界面活性剤を有効成分とする洗浄液を循環させて行う方法や、ウオータージェット等により物理的に剥離する方法が一般的である。しかしながら、酸、アルカリ等の水系洗浄液や界面活性剤を有効成分とする洗浄液では取り扱いに危険が伴うとともに、腐食性や廃水、廃液処理等の問題がある。また、ウオータージェット洗浄はジェット水が当たっても付着物がただ単に移動するだけで剥離できなかったり、作業そのものが危険であったりするため、必ずしも満足できるものではなかった。
【0005】
これらを解決するために、例えば特開平10−183191号公報では、溶解度パラメーターδs [cal1/2/cm3/2]が7.5〜13.0である有機溶剤から選ばれる少なくとも一種の有機溶剤を有効成分とする洗浄溶剤を用いて溶解剥離除去することを見い出している。
しかし、このパラメーターで示される有機溶剤での洗浄ではまだ洗浄効果は不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の付着物除去方法よりも簡便かつ除去効果の優れた付着物除去方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、親油性と親水性の両方を兼ね備えた有機化合物、すなわち比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物と水を組み合わせることにより優れた洗浄効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は下記(1)〜(11)に存する。
【0008】
(1)炭化水素及び金属化合物を含有する付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤にて洗浄し、次いで水にて洗浄することを特徴とする付着物除去方法。
(2)炭化水素及び金属化合物を含有する付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を50重量%以上含み、水を5重量%以上50重量%未満含有する有機洗浄溶剤にて洗浄することを特徴とする付着物除去方法。
【0009】
(3) 石炭・石油及びそれらを原料として生成する炭化水素を、輸送及び/又は処理する装置における付着物の除去である上記(1)又は(2)に記載の付着物除去方法。
(4) 石炭・石油及びそれらを原料として生成する炭化水素を、輸送及び/又は処理する装置における付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤にて洗浄し、次いで水にて洗浄することを特徴とする付着物除去方法。
【0010】
(5) 溶剤比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤による洗浄が、前記装置に洗浄剤をワンパスで供給し、循環供給又は前記装置を洗浄剤に浸漬することにより行われる上記(1)〜(4)のいずれかに記載の付着物除去方法。
(6) 有機化合物の比誘電率が30以上40以下であり、かつ双極子モーメントが3.5Debye以上4.5Debye以下である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の付着物除去方法。
【0011】
(7) 有機化合物の沸点が100℃〜400℃である上記(1)〜(6)に記載の付着物除去方法。
(8) 有機化合物が、γ―ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドである上記(1)〜(7)のいずれかに記載の付着物除去方法。
【0012】
(9) 装置が、コークス炉ガス精製工程にあるナフタレン吸収塔である上記(3)〜(8)のいずれかに記載の付着物除去方法。
(10) 炭化水素及び金属化合物を含有する付着物を除去する方法において、N−メチルピロリドンにて洗浄し、次いで水にて洗浄することを特徴とする付着物除去方法。
【0013】
(11) 付着物の除去が、金属材料又は木材からの付着物の除去である、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の付着物除去方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の付着物除去方法は、重質炭化水素及び金属化合物を含有する付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤にて洗浄し、次いで水にて洗浄することを特徴とする。
【0015】
更には、本発明の付着物除去方法は、石炭・石油及びそれらを原料として生成する炭化水素を、輸送及び/又は処理する装置における付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤にて洗浄し、次いで水にて洗浄することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の付着物除去方法は、炭化水素及び金属化合物を含有する付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を50重量%以上含み、水を5重量%以上50重量%未満含有する有機洗浄溶剤にて洗浄することを特徴とする。
上述の通り、本発明においては、上述の有機化合物を主成分とする洗浄剤にて付着物をまず洗浄し、次いで水にて洗浄することにより優れた付着物除去を可能としたものである。また、上述の有機化合物を50重量%以上と水を含む有機洗浄剤で洗浄することにより、後の水による洗浄がなくても優れた付着物除去を可能としたものである。
【0017】
本発明における重質炭化水素としては、重質油残渣、カーボンなどの炭素数20以上の炭化水素が挙げられる。具体的には、石炭・石油及びそれらを原料として生成する炭化水素であり、具体的にはコークスガスから生成する炭化水素成分、又はナフサを分解・分留等して得られる炭化水素であり、特にコークスガスから生成する炭化水素成分(例えば芳香族系炭化水素、アスファルテン成分などを含む炭化水素成分)である場合に本発明の効果が顕著である。
【0018】
本発明における金属化合物としては、酸化鉄、シアン化鉄、硫化鉄、塩化鉄が挙げられる。これら金属化合物は、炭化水素に含有されている物質に由来するものと考えられる。
本発明において「重質炭化水素及び金属化合物を含有する付着物」とは、上記の重質炭化水素と金属化合物とからなる付着物であり、主として重質炭化水素から成る。該付着物は、重質炭化水素及び金属化合物の複数種を含んでいて良く、またこれら以外の成分、例えばシアン化合物、イオウ化合物、窒素化合物、鉄以外の金属(Ni,Cr、Cuなど)等を含んでいても良い。なお、これら付着物の成分は、例えば、熱分解GC、溶剤により溶解後液クロマトグラフィー測定により分析することにより特定することができる。
【0019】
本発明における付着物の組成の一例を挙げると、例えば、後述するナフタレン塔の充填物における付着物の組成は、ナフタレンの吸収に使用している吸収油が60〜80%、残りはフェロシアン化鉄を主成分とし、塩化アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、炭塵、コークス粉等の無機物で構成される。この付着物は粘着力が強く、タール系吸収油で洗浄すれば多少は除去出来るが限界がある。本発明の付着物除去方法は、これらの付着物の除去処理に好適であり、対象となる工業装置としても、主として金属からなる工業装置に付着する汚れの除去処理に好適である。
【0020】
本発明における付着物としては、石炭・石油及びそれらを原料として生成する炭化水素を、輸送及び/又は処理する装置における付着物が挙げられる。具体的には、コークス炉から発生したコークスガスを原料とした炭化水素を輸送及び/又は処理する装置における付着物が挙げられ、更に具体的には、コークス炉ガス精製工程にあるナフタレン吸収塔内における付着物が挙げられる。
【0021】
本発明において、石炭・石油およびそれらを原料として生成する炭化水素を輸送および処理する装置としては、ボイラ及び石油精製、化学、電力、金属、機械、エレクトロニクス等の工業プラントにおける反応装置、各種熱交換器、冷却水、温水、熱水、蒸気、油等の各種配管を始めとして、酸化鉄等の金属酸化物、重質油残渣やカーボン等の付着物(スケール)が生成して定期的又は不定期にこれら付着物の除去を必要とする装置が挙げられる。
【0022】
これらの装置の材質は、通常、炭素鋼、ステンレス鋼、チタン鋼、アルミなどの金属材料、ガラス、テフロン(登録商標)、樹脂、木材等の非金属材料が挙げられ、好ましくは炭素鋼、ステンレス鋼、チタン鋼、アルミなどの金属材料および木材であり、より好ましくは炭素鋼、ステンレス鋼、チタン鋼、アルミなどの金属材料である。
【0023】
本発明にて用いる有機化合物は、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Dyby以上であることを必須とする。これらの有機洗浄溶剤は、ボイラや各種工業プラントにおける工業装置における付着物に対して高い溶解性、剥離性を有する。しかもこれらの溶剤は、腐食性や廃水処理の問題がなく、好適である。本発明における比誘電率、双極子モーメントの値は、共に室温(好ましくは20℃)における値である。
【0024】
本発明にける有機化合物は、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上であることを必須とする。有機化合物の比誘電率が低すぎると極性基を持つ炭化水素成分の溶解能力が低くなってしまい、高すぎると極性の低い炭化水素成分の溶解度が低くなってしまう。なお、有機化合物の非誘電率は、好ましくは30以上40以下である。
【0025】
また、本発明において、有機化合物の双極子モーメントの値が低すぎると極性基を持つ炭化水素成分の溶解能力が低くなってしまい、好ましくは3.5Debye以上である。有機化合物の双極子モーメントの値の上限は特にないが、高すぎると極性の低い炭化水素成分の溶解能力が低くなってしまい、好ましくは4.5Debye以下である。
【0026】
本発明の有機化合物は単一化合物である必要はなく、複数種の有機化合物の混合物であってもよい。
なお、有機化合物の比誘電率の求め方としては、例えば、電極セルによるインピーダンス測定(いわゆる集中定数回路測定法)、低周波ブリッジや変成器ブリッジを用いた二端子又は三端子電極セルによるインピーダンスを測定する方法(いわゆる集中定数回路測定法)、Qメーターなどを使った共振法(分布定数回路法と呼ばれる)等が挙げられる。
【0027】
また、有機化合物の双極子モーメントの求め方としては、上記で測定した誘電率からも計算できるが、屈折率法等でも求めることができる。
本発明において、「比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤」とは、「比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物」を50重量%以上含有する洗浄剤であり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上であり、100重量%であってもよい。該有機化合物の含有量が少なすぎると充分な洗浄効果が得られない。
【0028】
本発明における「比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤」の「比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物」以外の成分としては、有機化合物が挙げられ、「比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物と溶解して均一になる有機化合物が好ましい。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの鎖式飽和炭化水素等が挙げられる。
【0029】
本発明で用いる有機化合物としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−プロパンジオール、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ニトロエタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、γ−ピコリン、N,N,N‘,N’−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トリエタノールアミン、フルフラールおよびそれらを主成分とした混合物が特に効果的である。好ましくは、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、ニトロベンゼン、より好ましくはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン及びそれらの混合物であり、最も好ましくはN−メチルピロリドンである。
【0030】
本発明では、上述の洗浄剤にて洗浄した後、次いで水にて洗浄を行うが、該水は、若干は水以外の成分を含んでいてもよく、水道水、水道水から塩素を除去した脱塩水、工業用水、水を主成分とする洗浄剤等を使用することができる。
水を主成分とする洗浄剤とは、水の含有量が50重量%以上である洗浄剤であり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である洗浄剤である。水の含有量が少なすぎると充分な洗浄効果が得られない。
【0031】
水を主成分とする洗浄剤の水以外の成分としては、水と完全に溶解する有機化合物が挙げられ、例えばアセトン等のケトン、エタノール等のアルコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル等が挙げられるが、上述の比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機溶剤が好ましい。
【0032】
本発明の不純物除去方法の具体的な一例としては、例えば、まずボイラ、熱交換器等の伝熱面や蒸発面、水または蒸気が通る配管等の装置に付着した付着物に、前記の比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤をワンパスで、循環、噴射、浸漬、気化(ベーパー)等により直接接触させることにより効率よく洗浄することができる。空気又は窒素等の不活性ガスによるバブリングや超音波の照射は更に効果的である。又、従来のウオータージェット洗浄等を併用することもできる。
【0033】
本発明の有機化合物を主成分とする洗浄剤による洗浄方法における処理温度は、常温から使用する洗浄溶剤の沸点まで処理可能であり、加熱して洗浄するとより効果的である。しかし、引火の危険性を考慮すると、加熱は各々の洗浄溶剤の引火点程度までとすることが好ましい。
水溶液洗浄工程では溶解速度、溶解度の関係から高いほうが好ましいが、水の沸点以下が好ましい。
【0034】
最初の有機化合物を主成分とする洗浄剤により洗浄工程において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物が50重量%以上であり、水を5重量%以上50重量%未満含有する有機洗浄溶剤(以下「水含有有機洗浄溶剤」ということがある)を、前記機器、配管内に循環供給するかまたは機器をその有機洗浄溶剤に浸漬することによって、油分汚れを溶解除去するとともに水溶性の汚れ成分も除去できるため、有機溶剤洗浄工程の後水溶液洗浄を行うという2工程を行う必要が無くなり有利である。
【0035】
この水含有有機洗浄溶剤は、特に、比誘電率が30以上40以下であり、かつ双極子モーメントが3.5Debye以上4.5Debye以下である有機溶剤が主成分のものが有効である。
該水含有有機洗浄溶剤は、「比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物」を50重量%以上含有するが、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。該有機化合物の含有量が少なすぎると、充分な洗浄効果が得られない。
【0036】
また、この水含有有機洗浄溶剤は、特に水濃度40重量%以下、更に30重量%以下が有効である。水の含有量が多すぎると親油性の付着物の溶解作用が低下する。また、水の濃度は5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、最も好ましくは25重量%以上であることが有効である。水の含有量が少なすぎると水溶性の付着物の溶解作用が低下してしまう。
【0037】
該水含有有機洗浄溶剤は、上述の条件を満たす有機化合物と水以外の成分を含んでいてもよく、例えばアセトン等のケトン、エタノール等のアルコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル等が挙げられる。
本発明の洗浄用剤(有機化合物を主成分とする洗浄剤、水を主成分とする洗浄剤、水含有有機洗浄溶剤 )には、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等の界面活性剤や防錆剤等の添加物を必要に応じ併用することもできる。
【0038】
本発明は上述した通り、コークス炉ガス精製工程にあるナフタレン吸収塔の付着物除去へも適用も可能であり、その際、ナフタリン塔はガス吸引ブロワーの吸い込み側に位置する場合は、負圧で洗浄時に曝鳴対策としてCOGを若干漏れこます必要があり、この場合、洗浄剤の蒸気圧が高いと揮散ロスが多くなり洗浄効果が減少することになる。従って、洗浄温度30〜60℃において蒸気圧が低いことが望まれる。
【0039】
そこで、本発明に用いる有機化合物は、沸点が100℃〜400℃であるものが好ましく、110℃〜350℃であることがより好ましく、120℃〜300℃であることが更に好ましい。上記範囲の沸点のものを用いることにより、沸点100℃未満のものより引火性の危険性が大幅に低下し、更に、洗浄処理時の洗浄有効成分の組成変化が少なくなるため洗浄処理操作が良好となり、又、400℃を越えるものに比べて粘性が低いことから汚れの溶解速度が大きくなる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によってより具体的に説明する。
N−メチルピロリドンの性状
比誘電率:32、双極子モーメント:4.09Debye
キシレンの性状
比誘電率:2.3、双極子モーメント:0.5Debye)
実施例1
(N−メチルピロリドン、次いで水によるナフタリン塔木格子付着物除去テスト)
コークスガス中の炭塵やタール分、無機物と吸収油から生成したナフタレン塔木格子(コークスプラントのナフタレン分離塔内部の吸収効率を高めるためのもの、材質:木材)の汚れ付着物の除去テストを行った。200mlビーカーに有機洗浄溶剤(N−メチルピロリドン)を150ml入れ、金網籠(40メッシュ)に付着物を5g入れたものを洗浄溶剤の中に浸積し、ビーカー中に回転子を入れ、洗浄溶剤を30℃に加熱し、スターラーを用い約800rpmの強度で撹拌した。
【0041】
網籠を洗浄液より取り出し、5分間オイル切りした後、重量を図って付着物の減量した割合を除去量とした。
30時間で除去量はほぼ平衡になり、この時の付着物からの油分除去量は約50%であった。
さらにこの網籠上のNMPによる有機溶剤洗浄後の残さを水150mlを用いて有機溶剤洗浄と同条件で処理した。瞬時に籠上の残さは微粒子化して除去され、除去率は95%であった。
【0042】
実施例2
(N−メチルピロリドン、次いで水による粗ベンゼン加熱熱交換器の汚れ付着物除去テスト)
汚れ付着物を粗ベンゼン過熱熱交換器(コークスプラントから出てくるベンゼンを含む成分を分離するための芳香族製造プラントの熱交換器、材質:ステンレススチールSUS304)の汚れ付着物にしたことと、金網籠のメッシュを15に変えた以外上記実施例1と同じ実験装置にて除去テストを行った。コークスガスを分留して得られた粗ベンゼンを加熱する熱交換器に付着した汚れ(重質炭化水素および酸化鉄を主成分とする)2gと洗浄溶剤としてN−メチルピロリドン160gを混合し、室温で7時間撹拌した後、網籠を引き上げ、水150mlにて処理した。除去率は50%であった。
【0043】
比較例1
(キシレンによる粗ベンゼン加熱熱交換器の汚れ付着物除去テスト)
N−メチルピロリドンをキシレンに変更した以外は実施例2と全く同様な付着物除去テストを行った結果、除去率は20%であった。
実施例3
(20%の水を含むN−メチルピロリドン、次いで水によるナフタリン塔木格子付着物除去テスト)
200mlビーカーに20%の水を含むN−メチルピロリドンを150ml入れ、金網籠(40メッシュ)に実施例1のナフタリン塔木格子付着物を5g入れたものを洗浄溶剤の中に浸積し、ビーカー中に回転子を入れ、洗浄溶剤を30℃に加熱し、スターラーを用い約800rpmの強度で撹拌した。
【0044】
網籠を洗浄液より取り出し、5分間オイル切りした後、重量を図って付着物の減量した割合を除去量とした。
70時間後に70%除去できた。
実施例4
実施例3と全く同様な操作後、以下の操作を行った。
【0045】
更に水にて同様の洗浄操作をしたところ、瞬時に大部分が除去され、除去率は約95%であった。
比較例2
(N−メチルピロリドンによるナフタリン塔木格子付着物除去テスト)
コークスガス中の炭塵やタール分、無機物と吸収油から生成したナフタレン塔木格子の汚れ付着物の除去テストを行った。200mlビーカーに有機洗浄溶剤(N−メチルピロリドン)を150ml入れ、金網籠(40メッシュ) に付着物を5g入れたものを洗浄溶剤の中に浸積し、ビーカー中に回転子を入れ、洗浄溶剤を30℃に加熱し、スターラーを用い約800rpmの強度で撹拌した。
【0046】
網籠を洗浄液より取り出し、5分間オイル切りした後、重量を図って付着物の減量した割合を除去量とした。
30時間で除去量はほぼ平衡になり、この時の付着物からの油分除去量は約50%であった。
比較例3
洗浄溶剤として水を使用した以外、実施例2と全く同じ方法で溶解テストを行ったところ、付着物からの油分除去は全くできなかった。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、従来の付着物除去方法よりも簡便かつ除去効果の優れた付着物除去方法を提供することができる。
Claims (11)
- 炭化水素及び金属化合物を含有する付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤にて洗浄し、次いで水にて洗浄することを特徴とする付着物除去方法。
- 炭化水素及び金属化合物を含有する付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を50重量%以上含み、水を5重量%以上50重量%未満含有する有機洗浄溶剤にて洗浄することを特徴とする付着物除去方法。
- 石炭・石油及びそれらを原料として生成する炭化水素を、輸送及び/又は処理する装置における付着物の除去である請求項1又は2に記載の付着物除去方法。
- 石炭・石油及びそれらを原料として生成する炭化水素を、輸送及び/又は処理する装置における付着物を除去する方法において、比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤にて洗浄し、次いで水にて洗浄することを特徴とする付着物除去方法。
- 溶剤比誘電率が12以上50以下であり、かつ双極子モーメントが2.5Debye以上である有機化合物を主成分とする洗浄剤による洗浄が、前記装置に洗浄剤をワンパスで供給し、循環供給又は前記装置を洗浄剤に浸漬することにより行われる請求項1〜4のいずれかに記載の付着物除去方法。
- 有機化合物の比誘電率が30以上40以下であり、かつ双極子モーメントが3.5Debye以上4.5Debye以下である請求項1〜5のいずれかに記載の付着物除去方法。
- 有機化合物の沸点が100℃〜400℃である請求項1〜6に記載の付着物除去方法。
- 有機化合物が、γ―ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドである請求項1〜7のいずれかに記載の付着物除去方法。
- 装置が、コークス炉ガス精製工程にあるナフタレン吸収塔である請求項3〜8のいずれかに記載の付着物除去方法。
- 炭化水素及び金属化合物を含有する付着物を除去する方法において、N−メチルピロリドンにて洗浄し、次いで水にて洗浄することを特徴とする付着物除去方法。
- 付着物の除去が、金属材料又は木材からの付着物の除去である、請求項1〜10のいずれかに記載の付着物除去方法。
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