JP2004072707A - パワーアンプ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無信号時における貫通電流を低減させ、省電力化を実現したデジタルアンプの構成とされたパワーアンプ装置を提供する。
【解決手段】入力検出部20により入力信号が無いことが検出された場合に、PWM変調部11からのパルス変調信号PA、PBに基づいてドライブ回路13、14において形成されて、プッシュプル回路15、16に供給されるドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBの周波数が低くなるように、クロック生成部12によって制御する。これにより、無信号時において、プッシュプル回路15、16のスイッチング回数を減らし、プッシュプル回路に流れる貫通電流の発生回数を低減させて消費電力の省力化を実現する。
【選択図】 図1
【解決手段】入力検出部20により入力信号が無いことが検出された場合に、PWM変調部11からのパルス変調信号PA、PBに基づいてドライブ回路13、14において形成されて、プッシュプル回路15、16に供給されるドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBの周波数が低くなるように、クロック生成部12によって制御する。これにより、無信号時において、プッシュプル回路15、16のスイッチング回数を減らし、プッシュプル回路に流れる貫通電流の発生回数を低減させて消費電力の省力化を実現する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力増幅器(この明細書においては、パワーアンプ装置という。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ用のパワーアンプ装置として、いわゆるD級アンプと呼ばれるデジタルアンプがある。このD級アンプは、スイッチングにより電力増幅を行うものであるが、例えば図14に示すように構成される。
【0003】
すなわち、デジタルオーディオ信号Pinが、入力端子Tinを通じてPWM(Pulse Width Modulation)変調回路11に供給されると共に、クロック生成部12から所定の周波数のクロック信号がPWM変調回路11に供給され、デジタルオーディオ信号Pinは、1対のPWM信号PA、PBに変換される。
【0004】
この場合、図16に示すように、PWM信号PA、PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベル(信号PinをD/A変換したときの瞬時レベル。以下同様)に対応して変化するものであるが、一方のPWM信号のPAのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの大きさとされ、他方のPWM信号PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされる。
【0005】
なお、図16に示した例の場合には、PWM信号PA、PBは、その立ち上がり時点が、PWM信号PA、PBの1サイクル期間TCの開始時点に固定され、その立ち下がり時点がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応して変化するものとされる。
【0006】
さらに、PWM信号PA、PBのキャリア周波数fc(=1/TC)は、例えば図15Fに示すように、デジタルオーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsの例えば16倍とされ、fs=48kHzとすれば、
fc=16fs=16×48kHz=768kHz
とされる。
【0007】
そして、このPWM変調回路11からの一方のPWM信号PAがドライブ回路13に供給されて図15Aに示すように、信号PAと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PA、−PAが形成され、これらパルス電圧+PA、−PAが、1対のスイッチング素子、例えばnチャンネルのMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Type Field Effect Transistor)(Q11、Q12)のゲートにそれぞれ供給される。
【0008】
この場合、FET(Field Effect Transistor)(Q11、Q12)は、プッシュプル回路15を構成するものであり、FET(Q11)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q12)のドレインに接続され、このFET(Q12)のソースが接地に接続される。また、電源端子TPWRには、安定した直流電圧+VDDが電源電圧として供給される。なお、電圧+VDDは、例えば20V〜50Vである。
【0009】
そして、FET(Q11)のソースおよびFET(Q12)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続される。
【0010】
また、PWM変調回路11から他方のPWM信号PBに対しても、PWM信号PAに対してと同様に構成される。すなわち、PWM信号PBがドライブ回路14に供給されて図15Bに示すように、信号PBと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PB、−PBが形成され、これらパルス電圧+PB、−PBが、プッシュプル回路16を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q13、Q14)のゲートにそれぞれ供給される。
【0011】
そして、FET(Q13)のソースおよびFET(Q14)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ18を通じてスピーカ19の他端に接続される。
【0012】
したがって、+PA=“H”のときには、−PA=“L”であり、FET(Q11)がオンになるとともに、FET(Q12)がオフになるので、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VAは、図15Cに示すように、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PA=“L”のときには、−PA=“H”であり、FET(Q11)がオフになると共に、FET(Q12)がオンになるので、VA=0となる。
【0013】
同様に、+PB=“H”のときには、−PB=“L”であり、FET(Q13)がオンになるとともに、FET(Q14)がオフになるので、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBは、図15Dに示すように、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PB=“L”のときには、−PB=“H”であり、FET(Q13)がオフになるとともに、FET(14)がオンになるので、VB=0となる。
【0014】
そして、VA=+VDD、かつ、VB=0の期間には、図14および図15Eに示すように、FET(Q11、Q12)の接続点から、ローパスフィルタ17→スピーカ19→ローパスフィルタ18のラインを通じて、FET(Q13、Q14)の接続点へと、電流iが流れる。
【0015】
また、VA=0、かつ、VB=+VDDの期間には、FET(Q13、Q14)の接続点から、ローパスフィルタ18→スピーカ19→ローパスフィルタ17のラインを通じて、FET(Q11、Q12)の接続点へと、逆向きに電流iが流れる。さらに、VA=VB=+VDDの期間、およびVA=VB=0の期間には、電流iは流れない。つまり、プッシュプル回路15、16がBTL(Bridge
Tied Load)回路を構成している。
【0016】
そして、電流iの流れる期間は、もとのPWM信号PA、PBが立ち上がっている期間に対応して変化するとともに、電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0017】
こうして、図14の回路は、パワーアンプとして動作するが、このとき、FET(Q11〜Q14)は、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに対応して電源電圧+VDDをスイッチングして、電力増幅をするので、効率が高く、また、大出力を得ることができる。
【0018】
なお、例えば、図14に示したように構成されるいわゆるD級アンプの場合、入力信号レベルが0(ゼロ)の場合においても、これに対応したパルス幅のPWM信号が形成される。例えば、入力信号レベルが0であるとき、1サイクル期間においてデューティ比が50%であるPWM信号となる。このため、入力信号レベルが0の場合であっても、D級アンプのスイッチング素子は切り換えられることになり、無駄に電力を消費してしまう原因になっている。
【0019】
この問題を解決する方式の一つとして、例えば、以下に示す特許文献1に記載されているように、入力信号レベルが0の場合には、PWM変調部において、パルス幅が0となるPWM信号を形成することにより、スイッチング素子の切り換え動作を抑制し、無入力信号時の無駄な電力消費を無くすようにする方式が提案されている。
【0020】
【特許文献1】
特開平10−303657号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、いわゆるD級アンプにおける消費電力の問題について検討を加える。例えば図14に示したように構成されるいわゆるD級アンプの場合、再生停止や再生一時停止などによりデジタルオーディオ信号が入力されなくなった場合や、入力されるデジタルオーディオ信号がヌルストリームである場合においても、上述したように、入力信号レベルが0(ゼロ)の場合に対応するPWM信号がPWM変調部11において形成され、これがドライブ回路13、14に供給されるので、ドライブ回路13、14からのドライブパルスによって、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)は切り換えられる。
【0022】
つまり、当該D級アンプに電源が供給されている間においては、入力信号が無い状態にあるときにも、プッシュプル回路15、16は切り換えられる。各プッシュプル回路は、PWM信号の立ち上がり時点および立下り時点における過渡状態が存在し、所謂立ち上がり時間、立下り時間と称される時間を要してスイッチングする。このため、この極わずかな時間でも、頻繁に、FET(Q11、Q12)を介して電源端子TPWRと接地間にいわゆる貫通電流が流れ、無駄に電力が消費されてしまうことが考えられる。
【0023】
シミュレーションによると、入力信号が無い無信号時における貫通電流は、実際の回路構成などにもよるが、平均すると数十ミリアンペア程度であることが確認された。このような無駄な電力の消費はできれば無いほうが望ましい。特に、携帯型のオーディオ機器など、電池を駆動電源として用いている電子機器の場合には、電池の寿命を短くし、駆動時間の長時間化を阻害する原因となることが考えられる。
【0024】
このため、上述の特許文献1において示されている方式、つまり、無入力信号時においては、PWM変調部において形成するPWM信号のパルス幅を0にする方式を用いることによって、D級アンプにおける消費電力の低減を図ることが可能である。
【0025】
しかしながら、PWM変調部の構成については変更することなく、できるだけ簡単に、かつ、確実に消費電力の低減を実現したいとする要求がある。さらに、無入力信号時、すなわち、入力信号レベルが0である場合はもちろん、入力信号レベルが0でない場合においても消費電力の低減を推し進め、より電力の省力化を実現するようにすることが求められている。
【0026】
以上のことにかんがみ、この発明は、貫通電流を低減させ、省電力化を実現したデジタルアンプの構成のパワーアンプ装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記入力信号の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段により、前記入力信号が無いことが検出された場合に、前記スイッチング手段の前段において、前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数を低くするようにする周波数制限手段と
を備えることを特徴とする。
【0028】
この請求項1に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、検出手段により入力信号が無いことが検出された場合に、周波数制限手段によって、パルス変調手段からのパルス変調信号に基づいてドライブ手段において形成されてスイッチング手段に供給されるドライブパルスの周波数が低くなるように制限される。
【0029】
これにより、入力信号が無い無信号時において、スイッチング手段の1対のスイッチング素子が頻繁にスイッチングされることが防止される。したがって、無信号時におけるスイッチング手段のスイッチングの回数が減少し、結果としてスイッチング手段に流れる貫通電流が低減することなり、消費電力の省力化が実現される。
【0030】
また、請求項5に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記増幅手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記入力信号の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段により、前記入力信号が無いことが検出された場合に、前記1対のスイッチ素子への前記ドライブパルスの供給を停止させるようにする供給制限手段と
を備えることを特徴とする。
【0031】
この請求項5に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、検出手段により入力信号が無いことが検出された場合に、供給制限手段によって、パルス変調手段からのパルス変調信号に基づいてドライブ手段において形成されてスイッチング手段に供給されるドライブパルスの供給が停止するように制限される。
【0032】
これにより、入力信号が無い無信号時において、スイッチング手段の1対のスイッチング素子がスイッチングされないようにされる。つまり、無信号時において、スイッチング手段のスイッチング動作を停止させて、スイッチング手段に流れる貫通電流を低減させ、消費電力の省力化が実現される。
【0033】
請求項9に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記入力信号の平均的なレベルを検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段の検出結果に応じて、前記スイッチング手段の前段において、前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数を制御する周波数制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0034】
この請求項9に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、レベル検出手段により入力信号の平均的なレベルが検出され、このレベル検出手段における結果に応じて、周波数制御手段によりドライブパルスの周波数が制御するようにされる。
【0035】
これにより、例えば、いわゆるBGM(Back Ground Music)のように、会話や思考の邪魔にならない程度の低音量レベルの入力信号である場合には、ドライブパルスの周波数を低くすることにより、BGM再生としては十分な音質を確保しつつ、スイッチング手段の1対のスイッチング素子が頻繁にスイッチングされることが防止され、入力信号レベルが0でない場合においても、消費電力の低減を実現することができるようにされる。
【0036】
もちろん、音楽を鑑賞する場合など、入力信号レベルが所定値以上である場合などのおいては、ドライブパルスの周波数を低くするようにする制御は行われないようにされ、高品位の音声再生が行うようにされる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、この発明によるパワーアンプ装置の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態のパワーアンプ装置は、いずれもいわゆるD級アンプと呼ばれるデジタルアンプ装置を用いて構成するようにしたものである。
【0038】
[第1の実施の形態]
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図1は、この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態を説明するための図である。図1において、10番台の参照符号(参照符号11〜19まで)が付された部分がデジタルオーディオ信号を増幅するパワーアンプ部分であり、クロック生成部12を除く各部分は、図14を用いて前述したいわゆるD級アンプと同様に構成したものである。
【0039】
クロック生成部12は、発振回路121とクロック生成回路122とからなり、後述する入力検出部20からの制御に応じて、種々の周波数のクロック信号CLKが生成可能なものである。
【0040】
この第1の実施の形態において、発振回路121は、例えば、水晶発振子を備え、所定の周波数の基準クロック信号Refを生成して、これをクロック生成回路122に供給するものである。クロック生成回路122は、いわゆるPLL回路の構成とされたものであり、発振回路121からの基準クロック信号Refと、後述する入力検出部20からの制御信号CCTの供給を受けて、制御信号CCTにより指示された周波数のクロック信号CLKを生成するものである。
【0041】
図2は、クロック生成回路122の構成例を説明するためのブロック図である。図2に示すように、クロック生成回路122は、位相比較器221と、ループフィルタ222と、VCO(Voltage Controlled Oscillator)223と、分周器224とを備えるものである。
【0042】
そして、上述の発振回路121からの基準クロック信号Refが、クロック生成回路122の位相比較回路221に供給される。位相比較回路221には、図2に示すように、VCO223からの出力信号も供給される。
【0043】
位相比較回路221は、これに供給された2つの信号の位相を比較し、その差分に応じて、VCO223からの発振信号の位相が、基準クロック信号Refと一致するように制御するための信号(制御電圧)を形成する。位相比較回路221からの出力信号は、ループフィルタ222を通じてVCO223に供給される。
【0044】
VCO223は、ループフィルタ222を通じて供給される制御電圧に応じて、周波数が調整するようにされた信号を発振する。VCO223において発振された信号は、上述したように、位相比較回路221に供給されるとともに、分周器224にも供給される。
【0045】
分周器224は、後述する入力検出部20からの周波数制御信号CCTである分周比データの供給を受け、VCO223からの信号を分周して、入力検出部20から指示するようにされた周波数のクロック信号CLKを形成し、これをPWM変調回路11に供給する。PWM変調回路11では、クロック生成回路122からのクロック信号CLKに応じて、デジタルオーディオ信号PinをPWM変調することなる。
【0046】
そして、この第1の実施の形態において、入力検出部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータであり、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号を監視し、デジタルオーディオ信号が有る期間である有信号期間と、デジタルオーディオ信号が無い、あるいは、ヌルストリームである期間である無信号期間とを検出する。
【0047】
具体的には、入力端子Tinを通じて供給される入力信号Pinのレベルが、予め決められる閾値以下となる期間が、連続して所定時間(例えば、数十秒から数分程度の時間)経過した場合に、処理すべきデジタルオーディオ信号が無い無信号期間であることを検出する。逆に、入力端子Tinを通じて供給される信号のレベルが、予め決められる閾値より大きい場合には、処理すべきデジタルオーディオ信号が有る有信号期間であることを検出する。
【0048】
そして、入力検出部20は、デジタルオーディオ信号が有ることを検出した場合には、PWM変調部11においてデジタルオーディオ信号をPWM変調する際に用いられる予め決められた周波数のクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0049】
この第1の実施の形態においては、PWM変調部11においてデジタルオーディオ信号をPWM変調する際に用いるクロック信号CLKの通常の周波数は、デジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fsの例えば16倍のキャリア周波数とするようにしている。
【0050】
したがって、所定レベル以上のデジタルオーディオ信号が供給されており、通常通りデジタルオーディオ信号をPWM変調する場合には、供給されているデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fsを例えば48kHzとすると、キャリア周波数fc=16×48kHz=768kHzとなり、この768kHzの周波数のクロック信号CLKを生成するようにするための分周比データが、クロック生成回路122の分周器224に供給されることになる。
【0051】
これにより、クロック生成回路122からPWM変調回路11にキャリア周波数fcのクロック信号CLKが供給され、このクロック信号CLKに応じてデジタルオーディオ信号のPWM変調処理が行われ、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinに応じた電流をスピーカに流して、入力信号Pinに応じて音声をスピーカから放音することができるようにされる。
【0052】
また、入力検出部20は、デジタルオーディオ信号が無い無信号期間を検出した場合には、上述のように予め決められる通常のキャリア周波数fcよりも周波数の低いクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0053】
この第1の実施の形態において、デジタルオーディオ信号が無い無信号期間を検出した場合にクロック生成回路122の分周器224に供給するクロック信号CLKの周波数は、例えば、キャリア周波数fcと同じ、あるいは、キャリア周波数fcの数分の1から数十分の1程度、あるいは、それ以下となるようにされる。例えば、キャリア周波数fcが768kHzである場合、クロック信号CLKの周波数としては、768kHz、384kHz、192kHz、96kHz、…などの周波数が用いられるようにされる。
【0054】
これにより、処理すべきデジタルオーディオ信号の供給が無い無信号期間においては、キャリア周波数fcよりも低い周波数のクロック信号CLKがPWM変調回路11に供給されて、通常よりも長い間隔を空けたタイミングで、信号レベルがゼロに対応したパルス幅のPWM信号(デューティ比50%のパルス幅のPWM信号)が形成されることになる。
【0055】
この通常よりも長い間隔を空けたタイミングで形成するようにされた信号レベルがゼロに対応したパルス幅のPWM信号に応じたドライブパルスがドライブ回路13、14において形成され、これがプッシュプル回路15の1対のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16の1対のFET(Q13、Q14)に供給される。
【0056】
この場合、ドライブ回路13、14から出力されるドライブパルスは、その周期が通常よりも長くなるようにされているので、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のスイッチング回数を減少させ、単位時間当たりの貫通電流の発生回数を大幅に削減することを可能にしている。
【0057】
また、以下に説明するように、この第1の実施の形態においては、例えば、PWM変調時の誤動作によるノイズを発生させないようにするため、クロック信号CLKの周波数を急激に変化させるのではなく、PLL回路を用いることによって、徐々に(段階的に)変化させるようにしたものである。
【0058】
[第1の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について]
上述のように、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を可変に制御することが可能なこの第1の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について詳細に説明する。なお、ここでは、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinと、クロック信号CLKと、PWM信号PA、PBと、電流iとの関係を示す波形図である図3をも参照しながら説明する。
【0059】
この第1の実施の形態のパワーアンプ装置に電源が投入されると、各部に電源が供給され動作を開始する。まず、入力検出部20は、クロック生成回路122の分周器224に予め決められた分周比データを周波数制御信号CCTとして供給するとともに、入力端子Tinを通じて入力される信号を監視し、入力信号の有無の検出を開始する。
【0060】
ここで、入力検出部20からクロック生成回路122の分周器224に供給される分周比データは、デジタルオーディオ信号の入力があるとした場合において、PWM変調に用いられる通常のキャリア周波数fcのクロック信号CLKを形成するためのものである。前述した例に従えば、キャリア周波数fc=768kHzのクロック信号CLKを形成するためのものである。
【0061】
クロック生成部12は、入力検出部20からの周波数制御信号CCTに基づいて、予め決められたキャリア周波数fcのクロック信号CLK(図3(B))を形成し、これをPWM変調部11に供給する。なお、図3(A)は、入力信号Pinの有信号期間と無信号期間の説明を簡単にするため、入力信号Pinのレベルを模式的にアナログ波形を用いて表した例を示している。
【0062】
PWM変調部11は、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pin(図3(A))と、クロック生成部12からのクロック信号CLK(図3(B))との供給を受け、デジタルオーディオ信号Pinを1対のPWM信号PA、PB(図3(C)、(E))に変換する。
【0063】
図3において有信号期間に示すように、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinが供給されている期間においては、PWM信号PA、PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応して変化するものであるが、一方のPWM信号のPAのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの大きさとされ、他方のPWM信号PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされる。
【0064】
そして、このPWM変調回路11からの一方のPWM信号PAがドライブ回路13に供給されて、信号PAと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PA(図3(C))、−PA(図3(D))が形成され、これらパルス電圧+PA、−PAが、プッシュプル回路を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q11、Q12)のゲートにそれぞれ供給される。
【0065】
そして、図1に示したように、FET(Q11)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q12)のドレインに接続され、このFET(Q12)のソースが接地に接続されている。そして、FET(Q11)のソースおよびFET(Q12)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されている。
【0066】
また、PWM変調回路11から他方のPWM信号PBに対しても、PWM信号PAに対してと同様に構成される。すなわち、PWM信号PBがドライブ回路14に供給されて、信号PBと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PB(図3(E))、−PB(図3(F))が形成され、これらパルス電圧+PB、−PBが、プッシュプル回路16を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q13、Q14)のゲートにそれぞれ供給される。
【0067】
そして、図1に示したように、FET(Q13)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q14)のドレインに接続され、このFET(Q14)のソースが接地に接続されている。そして、FET(Q13)のソースおよびFET(Q14)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ18を通じてスピーカ19の他端に接続されている。
【0068】
図1に示したように、プッシュプル回路15、16の電源端子TPWRには、安定した直流電圧+VDDが電源電圧として供給される。直流電圧+VDDは、例えば20V〜50Vである。
【0069】
したがって、+PA=“H”のときには、−PA=“L”であり、FET(Q11)がオンになるとともに、FET(Q12)がオフになるので、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VAは、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PA=“L”のときには、−PA=“H”であり、FET(Q11)がオフになると共に、FET(Q12)がオンになるので、VA=0となる。
【0070】
同様に、+PB=“H”のときには、−PB=“L”であり、FET(Q13)がオンになるとともに、FET(Q14)がオフになるので、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBは、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PB=“L”のときには、−PB=“H”であり、FET(Q13)がオフになるとともに、FET(14)がオンになるので、VB=0となる。
【0071】
そして、VA=+VDD、かつ、VB=0の期間には、FET(Q11、Q12)の接続点から、ローパスフィルタ17→スピーカ19→ローパスフィルタ18のラインを通じて、FET(Q13、Q14)の接続点へと、電流iが流れる。
【0072】
また、VA=0、かつ、VB=+VDDの期間には、FET(Q13、Q14)の接続点から、ローパスフィルタ18→スピーカ19→ローパスフィルタ17のラインを通じて、FET(Q11、Q12)の接続点へと、逆向きに電流iが流れる。さらに、VA=VB=+VDDの期間、およびVA=VB=0の期間には、電流iは流れない。つまり、プッシュプル回路15、16がBTL回路を構成している。
【0073】
そして、図3(G)に示すように、電流iの流れる期間は、もとのPWM信号PA、PBが立ち上がっている期間に対応して変化するとともに、電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0074】
このようにして、処理すべきデジタルオーディオ信号Pinが、入力端子Tinを通じて供給されているときには、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに応じた音声をスピーカ19から放音することができるようにされる。
【0075】
そして、図3に示した例の場合には、時点t1以降においては、再生停止、あるいは、再生一時停止の機能が用いられるなどしたために、処理すべきデジタルオーディオ信号である入力信号Pinの入力がなくなっている場合を示している。前述もしたように、音声信号の有無は、入力検出部20において検出される。
【0076】
つまり、入力検出部20は、図3において、無信号検出期間NSが示すように、入力信号のレベルが予め決められた閾値以下の期間が、予め決められた時間(例えば、数十秒から数分程度)継続した場合に、処理すべき入力信号がなく、無信号期間に入ったことを検出する。
【0077】
入力検出部20は、上述のように、入力信号が無く、無信号期間に入ったことを検出すると、クロック信号CLKの周波数を低くするようにするための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、クロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0078】
これにより、図3(B)に示すように、無信号検出期間NS終了した時点t2以降においては、クロック信号CLKの周波数は、通常の周波数fcよりも低い周波数となるように制御される。
【0079】
つまり、所定レベル以上のデジタルオーディオ信号Pinが存在しない期間が、所定時間以上継続した後の無信号期間においては、クロック信号の周波数は、通常の周波数よりも低くなるように制御され、例えば、サンプリング周波数fsと同じか、サンプリング周波数fsの数分の1から数十分の1程度となるようにされる。この周波数が低く制御される期間が、図3に示したクロック低減期間DWである。
【0080】
そして、この第1の実施の形態においては、図2を用いて上述したように、クロック生成回路122は、PLL回路の構成とされたものであるので、クロック信号CLKの周波数は、徐々に(段階的に)低くなるようにされる。このようにクロック信号CLKの周波数を徐々に低くする構成とすることにより、周波数変化の各回路部分への影響を抑制し、クロック信号CLKの周波数の急激な変化が生じた場合に発生する可能性のあるノイズや異音の発生などの誤動作を防止することができるようにしている。
【0081】
このように、クロック低減期間DWにおいては、クロック信号CLKの周波数が低くなるように制御され、そのクロック信号CLKの周期に応じた、信号レベルがゼロである場合のパルス幅を持つPWM信号PA、PBが形成される。これにより、プッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16のFET(Q13、Q14)のスイッチング回数が減少し、貫通電流の発生回数が抑制されて、消費電力の低減が実現できる。
【0082】
そして、再生開始や再生一時停止解除などの操作がされることにより、デジタルオーディオ信号の供給が開始されると、所定の信号レベル以上の入力信号が供給されるので、入力検出部20はこれを検出し、クロック信号CLKの周波数を元の周波数(例えば768kHz)のクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、クロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0083】
これにより、クロック生成部12からPWM変調部11に供給されるクロック信号CLKの周波数が、元の通常時の周波数に戻すようにされ、前述したように、入力信号Pinは、PWM変調され、スピーカ19の駆動に用いるようにされる。
【0084】
このように、図1に示した第1の実施の形態のパワーアンプ装置は、有信号期間に比べて、無信号検出期間を除く無信号期間(周波数低減期間DW)においては、クロック信号の周波数を低くするようにしているので、貫通電流の発生回数を低減させ、消費電力の省力化を実現することができる。
【0085】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図1に示したパワーアンプ装置において、パワーアンプ部分は、プッシュプル回路15、16によりBTL回路を構成し、いわゆるフルブリッジの構成となるように形成した。しかし、パワーアンプ部分は、フルブリッジの構成に限るものではなく、その出力段をいわゆるハーフブリッジの構成とすることもできる。
【0086】
図4は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ装置を説明するための図である。なお、図4において、図1に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0087】
図4に示すように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、パルス幅がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。
【0088】
この図4に示したパワーアンプ装置において、PWM変調部11は、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pinと、クロック生成部12からのクロック信号CLKの供給を受けて、デジタルオーディオ信号PinをPWM信号PAに変換する。
【0089】
PWM変調部11において形成されたPWM信号PAは、ドライブ回路13に供給され、ここで1対のドライブパルス+PA、−PAが形成され、これらドライブパルス+PA、−PAがプッシュプル回路15に供給される。
【0090】
このプッシュプル回路15の出力端が、コンデンサ31を通じ、さらにローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されるとともに、その他端は接地される。したがって、この図4に示すパワーアンプ装置においても、スピーカ19にはデジタルオーディオ信号Pinに対応した極性および大きさの電流iが流れ、電力増幅が行われる。
【0091】
そして、この図4に示したパワーアンプ装置においても、入力検出部20は、入力端子Tinを通じて供給される入力信号を監視し、入力信号の有無を検出する。そして、入力信号が有る期間においては、デジタルオーディオ信号PinをPWM変調するために用いる通常の周波数(例えば、768kHz)のクロック信号を形成するための分周比データを周波数制御信号CCTとして、PLL回路の構成とされたクロック生成回路122の分周器に供給する。
【0092】
これにより、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pinは、上述したように、PWM変調されるとともに、ドライブパルスに変換され、プッシュプル回路15に供給されて増幅された後、スピーカ19に供給されることにより、入力されたデジタルオーディオ信号に応じた音声が、スピーカ19から放音するようにされる。
【0093】
また、入力端子Tinを通じて入力信号Pinが所定時間ないと判断した場合には、入力検出部20は、クロック信号CLKの周波数を低くするようにするための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、クロック生成回路122の分周器に供給する。
【0094】
これにより、PMW変調部11に供給するクロック信号の周波数が低くなるように制御され、図1〜図3を用いて説明したフルブリッジの構成のパワーアンプ装置の場合と同様に、信号レベルがゼロの場合のパルス幅のPWM信号が形成される周期が長くなり、プッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)のスイッチング回数を減少させて、結果として、消費電力を低減させることができる。
【0095】
このように、この第1の実施の形態のパワーアンプ装置は、フルブリッジの構成と、ハーフブリッジの両方の構成とのいずれの構成をとることも可能なものである。
【0096】
なお、この第1の実施の形態において、クロック生成部12の発振回路121は、水晶発振子を用いたものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、LC発振回路、RC発振回路、セラミック発振回路など、各種の発振回路を用いることが可能である。
【0097】
また、クロック生成部12のクロック生成回路122は、PLL回路の構成を有するものとして説明したが、クロック生成回路122は、デジタル回路、アナログ回路のいずれのものであってもよいし、また、PLL回路の構成を有するものに限らず、単に分周器としての機能を有するものであってもよい。
【0098】
なお、この第1の実施の形態、および後述される実施の形態において、入力検出部20は入力信号Pinのレベルを監視して信号の有無を検出しているが、本発明はこれに限らず、図1に示されるように、入力端子Tstを通じて供給されるステータス信号STによりクロック信号CLKの周波数を制御するようにしてもよい。このステータス信号STは、このパワーアンプ装置に接続される例えばCD再生装置がポーズ(一時停止)状態、または停止状態であるときに、そのCD再生装置から出力される信号であって、このステータス信号STが供給される場合にはこのパワーアンプ装置に供給されるオーディオ信号は無い状態であると判別される。
【0099】
[第2の実施の形態]
以下に説明するこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置は、上述した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、無信号時における貫通電流の発生回数を低減するために、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数を低くするのではなく、クロック信号の供給を停止させることによって、プッシュプル回路のスイッチチング動作を停止させるようにしたものである。
【0100】
これは、同じように構成するいわゆるD級アンプであっても、用いる回路素子の違いなどにより、クロック信号CLKの周波数の変化がノイズの原因にならないものや、逆にクロック信号CLKの周波数の僅かな変化でもノイズの原因になるものを構成することが可能であり、このようなD級アンプを用いた場合には、できるだけ素早くクロック信号CLKの周波数の変更を完了させることが望ましいという点を考慮したものである。
【0101】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図5は、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置を説明するための図である。図5に示すこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置において、図1に示した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に構成される部分には同じ参照符号を付している。
【0102】
すなわち、図5に示すこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部11、ドライブ回路13、14、プッシュプル回路15、16、ローパスフィルタ17、18からなるパワーアンプ部分は、図1に示した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に構成された部分であり、プッシュプル回路15、16がBTL回路を構成するいわゆるフルブリッジのパワーアンプ装置である。
【0103】
そして、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置において、クロック生成部12もまた、第1の実施の形態のパワーアンプ装置のクロック生成部12と同様に構成されたものである。しかし、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置の場合には、クロック生成部12において生成するクロック信号CLKの周波数を変えることはない。
【0104】
このため、クロック生成部12は、PLL回路の構成に限るものではない。クロック生成部12は、所定の周波数のクロック信号CLKを発振させる水晶発振回路、LC発振回路、RC発振回路、セラミック発振回路などの各種の発振回路のみによって構成することも可能である。
【0105】
また、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置において入力検出部40もまた、第1の実施の形態のパワーアンプ装置の入力検出部20と同様に、CPU、ROM、RAMなどを備えたマイクロコンピュータであり、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号を監視し、デジタルオーディオ信号が有る有信号期間と、デジタルオーディオ信号が無い、あるいは、ヌルストリームである期間である無信号期間とを検出する。
【0106】
この第2の実施の形態においても、入力検出部40は、入力端子Tinを通じて供給される信号のレベルが、予め決められる閾値以下となる期間が、連続して所定時間継続した場合に、処理すべきデジタルオーディオ信号が無い無信号期間であることを検出する。また、入力端子Tinを通じて供給される信号のレベルが、予め決められる閾値より大きい場合には、処理すべきデジタルオーディオ信号が有る有信号期間であることを検出する。
【0107】
そして、この第2の実施の形態において、入力検出部40は、有信号期間を検出している場合には、“H”(ハイレベル)となり、無信号期間を検出している場合には、“L”(ローレベル)となる制御信号CTLを形成し、これを出力することができるようにしたものである。
【0108】
この入力検出部40からの制御信号CTLと、クロック生成部12からのクロック信号CTLとがAND(論理積)回路50に供給され、このAND回路50からの出力をクロック信号としてPWM変調部11に供給するようにしている。
【0109】
すなわち、AND回路50は、一種のスイッチ回路として機能し、入力検出部40からの制御信号CTLが“H”である期間においてのみ、クロック生成部12からのクロック信号CLKをPWM変調部11に供給し、入力検出部40からの制御信号CTLが“L”である期間においては、クロック生成部12からのクロック信号CLKのPWM変調部11への供給を停止するようにしている。
【0110】
これにより、有信号期間においては、クロック生成部12からの通常の周波数のクロック信号CLKをPWM変調部11に供給してPWM変調を行って、入力されたデジタルオーディオ信号に応じた音声をスピーカ19から放音するようにする。
【0111】
そして、無信号期間においては、クロック信号CLKをPWM変調部11に供給しないことにより、結果としてPWM信号の生成を停止させ、ドライブパルスをプッシュプル回路15に供給しないようにすることにより、プッシュプル回路15において貫通電流を流れないようにして、無信号期間における消費電力の低減を図っている。
【0112】
[第2の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について]
上述のように、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給を制御することが可能なこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について詳細に説明する。なお、ここでは、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinと、制御信号CTLと、クロック信号CLKと、PWM信号PA、PBと、電流iとの関係を示す波形図である図6をも参照しながら説明する。
【0113】
この第2の実施の形態のパワーアンプ装置に電源が投入されると、各部に電源が供給され動作を開始する。クロック生成部12は、例えば、上述した第1の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、入力されるデジタルオーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsの16倍のキャリア周波数fcであるクロック信号CLKを形成し、これをAND回路50に供給する。
【0114】
また、入力検出部40は、まず、“H”となる制御信号CTLを形成し、これをAND回路50に供給するとともに、入力端子Tinを通じて入力される信号を監視し、入力信号の有無の検出を開始する。
【0115】
そして、図6において、有信号期間に示すように、所定レベル以上のデジタルオーディオ信号Pin(図6(A))が供給されている期間においては、入力検出部40からの制御信号CTL(図6(B))は“H”の状態が維持されるので、クロック生成部12からのクロック信号CLK(図6(C))がそのままAND回路50を通じてPWM変調部11に供給される。
【0116】
したがって、PWM変調部11において、PWM信号PA、PBが形成され、これらPWM信号PA、PBがドライブ回路13、14に供給される。なお、図6(C)においては、簡単のため、前述の図3(A)と同様に、入力信号Pinのレベルを模式的に表した例を示している。
【0117】
ドライブ回路13は、供給されたPWM信号PAから、ドライブパルス+PA(図6(D))、−PA(図6(E))を形成し、これらをプッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)のゲートに供給する。また、ドライブ回路14は、供給されたPWM信号PBから、ドライブパルス+PB(図6(F))、−PB(図6(G))を形成し、これらをプッシュプル回路16のFET(Q13、Q14)のゲートに供給する。
【0118】
これにより、プッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16のFET(Q13、Q14)がスイッチングされ、プッシュプル回路15、16の出力段には電圧VA、VBが発生し、スピーカ19に電流i(図6(H))が流れるようにされる。
【0119】
電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0120】
このようにして、処理すべきデジタルオーディオ信号Pinが、入力端子Tinを通じて供給されているときには、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに応じた音声をスピーカ19から放音することができるようにされる。
【0121】
そして、図6に示した例の場合にも、時点t1以降においては、再生停止、あるいは、再生一時停止の機能が用いられるなどしたために、処理すべきオーディオ信号の入力がなくなっている。上述もしたように、音声信号の入力の有無は、入力検出部40において検出される。
【0122】
入力検出部40は、図6において、無信号検出期間NSが示すように、入力信号のレベルが予め決められた閾値以下の期間が、予め決められた時間(例えば、数十秒から数分程度)以上継続した場合に、入力信号の供給がなく、無信号期間に入ったことを検出する。
【0123】
入力検出部40は、無信号期間を検出すると、制御信号CTLを“L”にする。具体的には、図6(B)に示すように、入力検出部40は、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinが、無信号あるいはヌルストリームの期間が所定時間経過した後の時点t2以降においては、“L”の制御信号CTLを形成し、これをAND回路50に供給する。
【0124】
これにより、図6において時点t2以降に示すように、制御信号CTLが“L”となった場合には、AND回路50からは、クロック信号CLKは出力されないので、PWM信号PA、PBの形成が停止され、ドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBは生成されなくなる。
【0125】
したがって、プッシュプル回路15、16のゲートには、ドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBが供給されなくなるので、プッシュプル回路15、16におけるスイッチング動作が停止するようにされ、プッシュプル回路15、16において貫通電流が流れないようにされる。
【0126】
このように、図6に示した例の場合には、クロック停止期間SPにおいては、プッシュプル回路15、16のスイッチング自体が停止されるので、このクロック信号停止期間SPにおいては貫通電流が流れないようにされ、無信号期間における消費電力を低減させることができる。
【0127】
そして、再生開始や再生一時停止解除などの操作がされることにより、デジタルオーディオ信号の供給が開始されると、所定の信号レベル以上の入力信号が供給されるので、入力検出部40はこれを検出し、“H”となる制御信号CTLを形成し、これをAND回路50に供給する。
【0128】
これにより、クロック生成部12からのクロック信号CLKは、AND回路50を通じてPWM変調部11に供給され、前述したように、入力されたデジタルオーディオ信号がPWM変調されて、スピーカ19の駆動に用いるようにされる。
【0129】
なお、この第2の実施の形態の場合には、PWM変調部11へのクロック信号の供給と停止とを制御するようにしているので、急峻にクロック信号の周波数を変化させるようにすることができるので、クロック信号の周波数が変化することにより各回路部分に与える影響を抑えることができるようにされる。
【0130】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図5に示したパワーアンプ装置は、上述もしたようにいわゆるフルブリッジの構成としたものである。しかし、これに限るものではなく、出力段をいわゆるハーフブリッジの構成とすることもできる。
【0131】
図7は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたこの例のパワーアンプ装置を説明するための図である。なお、図7において、図4に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0132】
図7に示すように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、パルス幅がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。
【0133】
この図7に示したパワーアンプ装置において、PWM変調部11は、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pinと、クロック生成部12からのクロック信号CLKの供給を受けて、デジタルオーディオ信号PinをPWM信号PAに変換する。
【0134】
PWM変調部11において形成されたPWM信号PAは、ドライブ回路13に供給され、ここで1対のドライブパルス+PA、−PAが形成され、これらドライブパルス+PA、−PAがプッシュプル回路15に供給される。
【0135】
このプッシュプル回路15の出力端が、コンデンサ31を通じ、さらにローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されるとともに、その他端は設置される。したがって、この図4に示すパワーアンプ装置においても、スピーカ19にはデジタルオーディオ信号Pinに対応した極性および大きさの電流iが流れ、電力増幅が行われる。
【0136】
そして、この図7に示したパワーアンプ装置においても、入力検出部40は、入力端子Tinを通じて供給される入力信号を監視し、入力信号の有無を検出する。そして、入力信号が有る有信号期間においては、制御信号CTLを“H”にし、デジタルオーディオ信号PinをPWM変調するために用いる通常の周波数(例えば、768kHz)のクロック信号をAND回路50を通じてPWM変調部11に供給する。
【0137】
これにより、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pinは、上述したように、PWM変調されるとともに、ドライブパルスに変換され、プッシュプル回路15に供給されて増幅された後、スピーカ19に供給されることにより、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに応じた音声が、スピーカ19から放音するようにされる。
【0138】
また、入力端子Tinを通じて入力信号の入力を所定時間継続して受けておらず、無信号期間であると判断した場合には、入力検出部40は、制御信号CTLを“L”にし、クロック信号CLKをPWM変調部11に供給しないようにする。
【0139】
これにより、PMW変調部11にクロック信号CLKが供給されなくなり、PWM変調されなくなるので、プッシュプル回路15のスイッチング動作が停止され、プッシュプル回路において貫通電流が流れないようにされ、結果として、消費電力を低減することができる。
【0140】
このように、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置もまた、フルブリッジの構成と、ハーフブリッジの構成とのいずれの構成をとることも可能なものである。
【0141】
なお、この第2の実施の形態において、クロック停止期間SPでは、図6(D)〜(G)に示すようにドライブ信号+PA、+PBが“H”、−PA、−PBが“L”の状態で保持されることが望ましい。これらのドライブ信号が反転した状態でもスピーカ19には電流iが流れないが、特に図5に示すフルブリッジ構成では、スピーカ接続端に電源電圧+VDDが現れるので上述のような状態で保持することが好ましい。
【0142】
[第2の実施の形態の変形例]
図5、図7に示した第2の実施の形態のパワーアンプ装置の場合には、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給をAND回路50を用いて制御するようにした。しかし、これに限るものではない。AND回路50に換えて、各種のスイッチング素子を用いるようにすることもできる。
【0143】
図8、図9は、上述した第2の実施の形態のパワーアンプ装置の変形例を説明するための図である。図8は、図5に示したいわゆるフルブリッジ構成のパワーアンプ装置に対応するものである。また、図9は、図7に示したいわゆるハーフブリッジ構成のパワーアンプ装置に対応するものである。
【0144】
そして、図8、図9に示すように、この例のパワーアンプ装置は、AND回路50に代えて、スイッチング素子70を用いるようにしたものである。なお、説明を簡単にするため、図8においては、プッシュプル回路15、16の後段の回路部分を、また、図9においては、プッシュプル回路15の後段の回路部分を省略しているが、いずれの場合にも、省略した部分は、図5、図7に示したパワーアンプ装置の対応部分と同様に構成される。
【0145】
図8、図9に示すこの例のパワーアンプ装置の場合には、PWM変調部11と、クロック生成部12との間にスイッチング素子70を設け、クロック生成部12からのクロック信号CLKをスイッチング素子70を通じて供給するようにしている。
【0146】
そして、スイッチング素子のオン/オフ制御を入力検出部60が行うようにしている。入力検出部60は、図5、図6に示した入力検出部40と同様の機能を有するものであり、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号Pinを監視し、処理すべきデジタルオーディオ信号が有る有信号期間と、処理すべきデジタルオーディオ信号の無い無信号期間とを検出する。
【0147】
そして、図6に示した制御信号CTLの場合と同様に、有信号期間および無信号検出期間NSでは、“H”となり、無信号検出期間NSを除く無信号期間であるクロック停止期間SPにおいては、“L”となる切り換え信号を形成し、これをスイッチング素子70の切り換え制御信号として用いるようにしている。
【0148】
したがって、図8、図9に示したパワーアンプ装置の場合、有信号期間、無信号検出期間NSにおいては、入力検出部60からの切り換え制御信号は“H”となり、スイッチング素子70がオンとなるように制御されて、クロック生成部12からのクロック信号CLKがスイッチング素子70を通じてPWM変換部11に供給される。この場合には、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinは、PWM変調され、入力信号Pinに応じた音声がスピーカから放音するようにされる。
【0149】
また、無信号検出期間NSを除く無信号期間は、クロック停止期間SPにおいては、入力検出部60からの切り換え信号は“L”となり、スイッチング素子70がオフとなるように制御されて、クロック生成部12からのクロック信号がPWM変換部11に供給されないようにされる。
【0150】
この場合には、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinは、PWM変調されることは無く、後段のプッシュプル回路15、16にドライブパルスが供給されなくなり、プッシュプル回路15、16において貫通電流が流れないようにされ、消費電力を低減させることができる。
【0151】
すなわち、図8、図9に示したこの例のパワーアンプ装置は、図5、図6、図7を用いて説明したこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に動作し、貫通電流が流れないようにさせて、消費電力の省力化を実現することができるものである。
【0152】
[第3の実施の形態]
以下に説明するこの第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、図1〜図4を用いて上述した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、この第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、上述の第1の実施の形態のパワーアンプ装置のように、貫通電流を低減するために、PWM変調部に供給するクロック信号の周波数を低くするものではない。
【0153】
以下に説明する第3の実施の形態のパワーアンプ装置においては、PWM変調部の後段において、プッシュプル回路に供給するドライブパルスの周波数を低くするようにして、無信号時におけるプッシュプル回路の貫通電流を低減させるようにしたものである。
【0154】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図10は、この第3の実施の形態のパワーアンプ装置を説明するための図である。図10に示すこの第3の実施の形態のパワーアンプ装置において、図1に示した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
【0155】
図10に示すように、この第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器81、信号切り換え回路83を設けるとともに、PWM変調部11とドライブ回路14との間に分周器82、信号切り換え回路84を設けるようにしたものである。そして、クロック生成部12は、上述の第1の実施の形態のクロック生成部12と同様に構成されたものである。
【0156】
しかし、この第3の実施の形態において、パワーアンプ装置に電源が供給され、動作するようにされているときには、PWM変調部11に供給されるクロック信号は、常に一定の周波数となるようにしている。例えば、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fsが48kHzの場合は、その16倍の768kHzのキャリア周波数fcのクロック信号がPWM変調部11に供給される。
【0157】
そして、PWM変調部11の後段に設けた分周器81、82において、有信号期間および無信号検出期間と、無信号検出期間を除く無信号期間とでドライブ回路13、14に供給するPWM信号PA、PBの周波数を変更するようにしている。この第3の実施の形態において、入力検出部80は、上述した第1の実施の形態の入力検出部20と同様にして、有信号期間と、無信号検出期間以外の無信号期間を検出する。
【0158】
そして、入力検出部80は、PWM変調部11に常に周波数が一定のクロック信号を供給するようにクロック生成部12を制御するとともに、分周器81、82および信号切り換え回路83、84を制御する。分周器81、82および信号切り換え回路83、84の制御は、有信号期間および無信号検出期間と、無信号検出期間を除く無信号期間とでは異なるようにする。
【0159】
この第3の実施の形態においては、有信号期間とその後に続く無信号検出期間においては、信号切り換え回路83、84を図10の接続状態として、PWM変調部11からのPWM信号をそのままドライブ回路13、14に供給するようにする。しかし、無信号検出期間以外の無信号期間においては、信号切り換え回路83、84を図10の接続状態とは逆の接続状態とするとともに、分周器81、82において、PWM変調部11からのPWM信号の周波数を、通常の周波数よりも低くなるように分周して出力する。この場合、分周器81、82は、例えば、通常の周波数の数十分の1程度、あるいはそれ以下に分周する。
【0160】
これにより、無信号検出期間を除く無信号期間においては、通常よりも低い周波数のPWM信号PAがドライブ回路13に供給され、通常よりも低い周波数のPWM信号PBがドライブ回路14に供給されるので、そのそれぞれにおいて、通常よりも低い周波数のドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBが形成される。
【0161】
そして、通常時よりも低い周波数のドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBが、後段のプッシュプル回路15、16のFETのゲートに供給された場合には、上述の第1の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、プッシュプル回路15、16のスイッチング動作は減少し、貫通電流の発生回数が低減するので、結果として無信号期間における消費電力を低減させることができる。
【0162】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図10は、パワーアンプ部分をフルブリッジの構成としたものであるが、図11に示すようにハーフブリッジの構成とすることももちろんできる。
【0163】
図11は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ装置を説明するための図である。なお、図11において、図10に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0164】
図11に示すように、この例のパワーアンプ装置は、パルス幅がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。つまり、図11に示したように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器81および信号切り換え回路83を設けたものである。
【0165】
そして、この図11に示したハーフブリッジのパワーアンプ装置の場合にも、図10に示したフルブリッジのパワーアンプ装置の場合と同様に、有信号期間および無信号検出期間より、無信号検出期間を除く無信号期間におけるPWM信号PAの周波数が低くなるように入力検出部80が分周器81および信号切り換え回路83を制御することにより、無信号検出期間を除く無信号期間におけるプッシュプル回路15のスイッチング動作を少なくし、貫通電流の発生回数を低減させ、消費電力の省力化を実現することができるようにしている。
【0166】
このように、図10、図11に示した、この第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部とドライブ回路との間に設ける分周器によりPWM信号の周波数を制御することによって、図3を用いて説明した第1の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、無信号検出期間を除く無信号期間である周波数低減期間DWにおけるプッシュプル回路15、16のスイッチング動作を少なくし、貫通電流の発生回数を低減させるようにしたものである。
【0167】
そして、分周器および信号切り換え回路を制御して、ドライブ回路に供給するPWM信号の周波数を低くするようにした後に、入力端子Tinを通じて、所定のレベル以上の処理すべきデジタルオーディオ信号Pinが供給されたことが検出された場合には、入力検出部80は、少なくとも信号切り換え回路を制御し、これに供給されるPWM信号をそのまま出力するようにする。このとき、分周器の分周比を元の値に戻すようにしてもよい。
【0168】
これによって、PWM信号の周波数が低く制限された後に、通常通りデジタルオーディオ信号Pinの供給が再開された場合には、クロック信号に基づいたPWM信号がそのままドライブ回路に供給され、適正にデジタルオーディオ信号の処理を行うことができるようにされる。
【0169】
なお、この第3の実施の形態において、図11に示したフルブリッジの場合には、分周器81、82により、また、図11に示したハーフブリッジの場合には、分周器81により、PWM信号PA、PBの周波数を制御するようにしているので、PWM信号の周波数を徐々に(段階的に)変えるようにすることができる。
【0170】
したがって、周波数を変えることにより、各回路部分に与える影響を低減させ、周波数を急激に変化させた場合に発生することとなるノイズや異音の発生を防止することができる。
【0171】
また、この第3の実施の形態の場合にも、図10、図11に示したように、パワーアンプ装置は、フルブリッジの構成と、ハーフブリッジの両方の構成とのいずれの構成をとることも可能なものである。
【0172】
[第4の実施の形態]
以下に説明するこの第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、図5〜図7を用いて上述した第2の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、この第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、上述の第2の実施の形態のパワーアンプ装置のように、貫通電流が流れないようにするために、PWM変調部へのクロック信号の供給を制御するのではない。
【0173】
以下に説明する第4の実施の形態のパワーアンプ装置においては、PWM変調部の後段において、プッシュプル回路へのドライブパルスの供給を制御することによって、プッシュプル回路のスイッチング動作を制御し、貫通電流が流れないようにしたものである。
【0174】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図12は、この第4の実施の形態のパワーアンプ装置を説明するための図である。図12に示すこの第4の実施の形態のパワーアンプ装置において、図4に示した第2の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
【0175】
図12に示すように、この第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部11とドライブ回路13との間にスイッチング素子111を設けるとともに、PWM変調部11とドライブ回路14との間にスイッチング素子112を設けるようにしたものである。そして、クロック生成部12は、上述の第2の実施の形態のクロック生成部12と同様に構成されたものである。
【0176】
しかし、この第4の実施の形態において、パワーアンプ装置に電源が供給され、動作するようにされているときには、PWM変調部11に供給されるクロック信号は、常に一定の周波数となるようにしている。例えば、上述した第2の実施の形態の場合と同様に、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fsが48kHzの場合には、その16倍の768kHzのキャリア周波数fcのクロック信号がPWM変調部11に供給される。
【0177】
そして、PWM変調部11の後段に設けたスイッチング素子111、112により、有信号期間および無信号検出期間においては、PWM信号PA、PBを後段のドライブ回路13、14に供給するが、信号検出期間を除く無信号期間においては、PWM信号PA、PBを後段のドライブ回路13、14に供給しないようにする。
【0178】
つまり、この第3の実施の形態において、入力検出部100は、上述した第2の実施の形態の入力検出部40と同様にして、有信号期間と、無信号検出期間以外の無信号期間を検出する。
【0179】
そして、入力検出部100は、PWM変調部11に常に周波数が一定のクロック信号を供給するようにクロック生成部12を制御するとともに、スイッチング素子111、112を切り換え制御する。スイッチング素子111、112の切り換え制御は、有信号期間および無信号検出期間と、無信号検出期間を除く無信号期間とで異なる。
【0180】
つまり、有信号期間とその後に続く無信号検出期間においては、スイッチング素子111、112をオンにし、これに供給されたPWM信号をそのまま出力するようにする。無信号検出期間以外の無信号期間においては、スイッチング素子111、112をオフにし、これに供給されたPWM信号を出力しないようにする。
【0181】
これにより、無信号検出期間を除く無信号期間においては、ドライブ回路13、14にはPWM信号PA、PBが供給されなくなり、ドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBは形成されないので、その期間、すなわち、無信号検出期間を除く無信号期間においては、プッシュプル回路15、16のスイッチング動作を停止させることができる。これにより、貫通電流が流れなくなるので、結果として消費電力を低減させることができる。
【0182】
なお、スイッチング素子111、112をオフとしたときに、入力検出部100はドライブ回路13、14を制御して、その出力+PA、+PBを“H”、−PA、−PBを“L”とするようにしてもよい。
【0183】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図12は、パワーアンプ部分をフルブリッジの構成としたものであるが、図13に示すようにハーフブリッジの構成とすることももちろんできる。
【0184】
図13は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ装置を説明するための図である。なお、図13において、図12に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0185】
図13に示すように、この例のパワーアンプ装置は、パルス幅がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。つまり、図13に示したように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、PWM変調部11とドライブ回路13との間にスイッチング素子111を設けたものである。
【0186】
そして、スイッチング素子111は、入力検出部100により切り換え制御され、有信号期間および無信号検出期間においては、オンにされて、PWM変調部11からのPWM信号PAがそのままドライブ回路13に供給される。しかし、スイッチング素子111は、入力検出部100により切り換え制御され、無信号検出期間を除く無信号期間においては、オフにされて、PWM変調部11からのPWM信号PAはドライブ回路13に供給しないようにされる。
【0187】
これにより、無信号検出期間を除く無信号期間においては、プッシュプル回路15にはドライブパルス+PA、−PAは供給されないので、プッシュプル回路のスイッチング動作を停止させ、プッシュプル回路において貫通電流が流れなくなるようにすることにより、消費電力を低減させることができるのである。
【0188】
なお、スイッチング素子111をオフとしたときに、入力検出部100はドライブ回路13を制御して、その出力+PAを“H”、−PAを“L”とするようにしてもよい。
【0189】
このように、図12、図13に示した、この第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部とドライブ回路との間に設けるスイッチング素子をオン/オフ制御することによって、図6を用いて説明した第2の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、無信号期間におけるプッシュプル回路のスイッチング動作を停止させ、貫通電流が流れないようにしたものである。
【0190】
そして、PWM変調部とドライブ回路との間に設けるスイッチング素子をオフにするように制御して、ドライブ回路にPWM信号を供給しないようにした後に、入力端子Tinを通じて、所定のレベル以上の処理すべきデジタルオーディオ信号Pinが供給されたことが検出された場合には、入力検出部100は、PWM変調部とドライブ回路との間に設けるスイッチング素子をオンにするように制御し、これに供給されるPWM信号をそのまま出力するようにする。
【0191】
これによって、PWM信号のドライブ回路への供給を停止させた後に、通常通りデジタルオーディオ信号Pinの供給が再開された場合には、PWM変調部とドライブ回路との間に設けるスイッチング素子を迅速に切り換えることにより、PWM信号のドライブ回路への供給を再開し、適正にデジタルオーディオ信号の処理を行うことができるようにされる。
【0192】
なお、この第4の実施の形態の場合には、図12のフルブリッジの場合には、スイッチング素子111、112を用い、図13のハーフブリッジの場合には、スイッチング素子111を用いているので、PWM信号のドライブ回路への供給/供給停止を素早く切り換えることができ、前述した第2の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、ノイズの発生しにくいパワーアンプ装置や、少しの周波数変化であってもその変化時間が長い場合に大きな影響を受けてしまうようなパワーアンプ装置に適用して好適である。
【0193】
また、この第4の実施の形態の場合にも、図12、図13に示したように、パワーアンプ装置は、フルブリッジの構成と、ハーフブリッジの構成とのいずれの構成をとることも可能なものである。
【0194】
そして、上述した第3、第4の実施の形態のパワーアンプ装置の場合には、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数は、不変であるので、プッシュプル回路15、16に供給するドライブパルスの周波数を元に戻す場合にも、迅速に戻すようにすることができる。
【0195】
また、上述の第3、第4の実施の形態においては、分周器、あるいは、スイッチング素子をPWM変調部11とドライブ回路13、14との間に設けるようにしたが、これに限るものではない。分周器やスイッチング素子をドライブ回路とプッシュプル回路との間に設けるようにすることもできる。また、分周器の機能やスイッチング素子の機能をPWM変調機11や、ドライブ回路13、14に持たせるようにすることもできる。
【0196】
なお、上述した実施の形態のパワーアンプ装置において、信号無しと判断する場合において、低信号レベルの期間が所定時間以上連続した後に信号無しであると判断するようにしているのは、例えば、1つの楽曲のデジタルオーディオ信号と、これに続く他の楽曲のデジタルオーディオ信号との間の期間など、入力信号の供給が停止された後において、入力信号の供給が再開される可能性が高い期間を無信号期間として検出しないようにするためである。
【0197】
しかし、信号有りと判断する場合には、信号レベルが所定の閾値より大きくなった期間が所定時間継続したことを確認する必要性は乏しく、むしろ、所定レベル以上のデジタルオーディオ信号の供給が再開された場合には、できるだけ迅速に通常の周波数のクロック信号CLKを用いた処理に戻れるようにすることが望ましい。
【0198】
そこで、所定レベル以上の入力信号Pinを検出した場合には、即座にPWM変調部に供給するクロック信号CLKの周波数を元に戻すようにする。この場合、上述した第1の実施の形態、および、第3の実施の形態においては、PLL回路の構成とされたクロック生成回路122や分周器81、82を備えているので、周波数を変化させることにより各回路部分への影響を考慮し、徐々に周波数を上げるようにすることができる。
【0199】
また、入力信号Pinの信号レベルを監視するのではなく、入力機器から入力信号とともに供給される制御信号や情報信号に基づいて入力信号の有無を判断するようにしてもよい。例えば、再生音源機器に対して再生動作をさせるように指示する制御信号を本発明のパワーアンプ装置が受信し、以降の期間を有信号期間と判断し、停止あるいは一時停止させる制御信号を受信した場合は、以降の期間を無信号期間と判断する。制御信号はリモートコマンダから送信されてもよい。
【0200】
また、このパワーアンプ装置が再生音源部を含んでいる場合には、ユーザが操作するリモートコマンダあるいは操作するようにされた操作キーに関する情報を入力検出部であるマイコンに供給するようにし、再生キーを操作したことが通知されたときには、以降の期間を有信号期間とし、また、停止キーや一時停止キーを操作したことが通知されたときには、以降の期間を無信号期間とし、前述の無信号検出期間NSに想到する所定期間以降を、図3に示した周波数低減期間DW、あるいは、図6に示したクロック停止期間SPとするようにしてもよい。
【0201】
さらに、入力信号のレベル表示を行う表示データが供給されるような場合には、この表示用データの有無あるいは表示レベルに応じて、入力信号の有無を判断することもできる。また、DVDプレーやBSデジタルチューナーなどのAV機器からは、オーディオ信号とビデオ信号とは対になって供給されるので、ビデオ信号の無い期間においては、オーディオ信号も供給されていないとみなして、その期間を無信号期間と判断するようにすることもできる。
【0202】
[第5の実施の形態]
前述した第1から第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、入力信号が無い場合、すなわち無信号時においてはプッシュプル回路15、16に供給するドライブパルス信号の周波数を低くするようにしたり、また、ドライブパルス信号のプッシュプル回路15、16への供給を停止させたりして、プッシュプル回路15、16に流れる貫通電流を低減するようにした。
【0203】
しかし、ドライブパルス信号の周波数を低減させる期間は、無信号時に限るものではない。例えば、再生音声をいわゆるBGMとして用いる場合には、再生音声が会話や思考の邪魔になることが無いように、音量レベルは比較的に低く抑えられる。このように、音量レベルが低く抑えられている場合においては、高品位な音声再生処理が要求されない場合が多い。
【0204】
そこで、この第5の実施の形態のパワーアンプ装置においては、入力信号であるデジタルオーディオ信号のいわば平均的な信号レベルを検出するようにし、その検出した信号レベルに応じて、PWM変調部において変調のために用いるクロック信号の周波数を変えることにより、消費電力の低減を図ろうとするものである。
【0205】
この第5の実施の形態のパワーアンプ装置は、図1、図4に示した第1の実施の形態のいわゆるD級アンプの構成とされたパワーアンプ装置と同様に構成されるものである。このため、この第5の実施の形態のパワーンプ装置は、図1、図4に示す構成を有するものとして、図1、図5を参照しながら説明する。
【0206】
そして、この第5の実施の形態のパワーアンプ装置の場合、入力検出部20は、第1の実施の形態の場合のように、有信号期間と無信号期間とを検出するものではない。この第5の実施の形態のパワーアンプ装置における入力検出部20は、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号の信号レベルを監視する。
【0207】
入力検出部20は、入力されたデジタルオーディオ信号の入力信号レベルに応じて、PWM変調部11においてデジタルオーディオ信号をPWM変調する際に用いられる予め決められた周波数のクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0208】
入力検出部20は、入力信号レベルの変化に対応して、クロック生成回路122の分周器に供給する分周比データを変化させる。これによって、クロック生成回路122において生成されて、PWM変調部11に供給されPWM変調に用いられるクロック信号CLKの周波数を変化させる。
【0209】
そして、この場合、入力信号レベルが低くなるにしたがって、クロック生成回路122において生成され、PWM変調部11に供給されるクロック信号CLKの周波数は低くなるようにされる。換言すれば、入力信号レベルが低くなるにしたがって、図3、あるいは、図15、図16に示したPWM信号の1サイクル期間TCが長くなるようにされ、入力信号レベルの低下に対応して、PWM信号の周期が長くなるようにされる。
【0210】
これにより、結果として、プッシュプル回路15、16に供給されるドライバ信号の周波数(スイッチング周波数)が低くなるようにされ、図1、図4に示した構成のパワーアンプ装置における消費電力の省力化が図られることになる。
【0211】
なお、この第5の実施の形態のパワーアンプ装置においては、入力信号の各サンプリング時点における信号レベルのそれぞれに応じて、クロック信号CLKを頻繁に変化させるのではなく、入力信号のいわば平均的なレベルに応じてクロック信号CLKの周波数を変化させるようにしている。
【0212】
したがって、入力検出部20において入力信号レベルは、所定範囲内にあるか否かが判断され、入力信号レベルが例えばAレベル範囲にあるときには、クロック生成回路122に供給する分周比は「a」、入力信号レベルが例えばBレベル範囲にあるときには、クロック生成回路122に供給する分周比は「b」というように決められ、入力信号レベルに応じて、クロック信号CLKの周波数を線形的に変化させることができる。
【0213】
これにより、入力信号であるデジタルオーディオ信号の入力信号レベルが低い場合には、PWM変調部11において用いられるクロック信号CLKが低くなるようにされ、PWM信号の1サイクル期間TCが長くなり、上述もしたように、プッシュプル回路15、16のスイッチング回数を減少させ、貫通電流の発生回数を大幅に削減することができるようにしている。
【0214】
また、入力信号レベルが低い状態から高くなるようにされた場合には、クロック信号生成回路122からPWM変調部11に供給されるクロック信号CLKの周波数も高くなるように戻され、デジタルオーディオ信号の高品位再生ができるようにされる。したがって、BGMとして聞いていた音楽が気に入り、ちゃんと聞きたい場合には、音量を上げるという簡単な操作で、デジタルオーディオ信号を高品位に再生して、その高品位再生音声を聴取するようにすることができる。
【0215】
なお、最新に供給されたデジタルオーディオ信号から過去に所定期間分のデジタルオーディオ信号のレベルの平均値を求めるようにし、この求めたレベルの平均値が予め設けられる1つ以上の閾値以下か否かに応じて、入力検出部20からクロック生成回路122に供給する分周比を変えるようにしてもよい。この場合、デジタルオーディオ信号のレベルの平均値は、入力検出部20において求めるようにすればよい。
【0216】
[第5の実施の形態の変形例]
なお、図1、図4に示したように構成されるこの第5の実施の形態のパワーアンプ装置の場合には、入力信号レベルに応じて、PWM変調処理に用いられるクロック信号CLKを線形的に変化させることができるが、入力信号レベルに応じてPWM変調処理に用いるクロック信号CLKをステップ的に変化させるようにすることもできる。
【0217】
例えば、図10、図11に示した第3の実施の形態のD級アンプの構成とされたパワーアンプ装置とほぼ同様に構成することにより、入力信号レベルに応じてPWM変調処理に用いるクロック信号CLKをステップ的に変化させるパワーアンプ装置を構成することができる。
【0218】
しかし、この場合、図10、図11に示した分周器81、82は単なる分周器ではなく、1サイクル期間TCを単位として、PWM変調部11からのPWM信号の信号成分のみを必要な分だけ間引くようにする信号間引き回路としての機能を有するように構成する。このため、ここでは、図10、図11において分周器として示した回路81、82を、信号間引き回路81、82ということにする。
【0219】
そして、PWM変調部11においては、常時一定の周波数のクロック信号CLKを用いてPWM変調を行うようにする。一方、入力検出部80は、入力信号レベルを監視し、入力信号レベルに応じて、1サイクル期間単位にオン/オフが制御するようにされた間引き信号を信号間引き回路81、82に供給するようにする。
【0220】
例えば、通常のPWM信号の2分の1のPWM信号しか用いないようにPWM信号を間引きたい場合には、例えば入力検出部80は、1サイクル期間TC毎にオン状態とオフ状態とが切り換わる間引き信号を形成するようにし、これを信号間引き回路81、82に供給する。
【0221】
そして、信号間引き回路81、82においては、PWM変調部11からのPWM信号と、例えば、入力検出部80からの1サイクル期間TC毎にオン状態とオフ状態が切り換わる間引き信号とのAND演算を行うことにより、間引き信号がオン状態にある1サイクル期間のPWM信号が後段の回路に出力するようにされ、間引き信号がオフ状態にある1サイクル期間においては、その期間はそのまま残るが、PWM信号自体は0レベルとされるので、PWM信号の2分の1間引きが行われることになる。
【0222】
また、通常のPWM信号の3分の1のPWM信号しか用いないようにPWM信号を間引きたい場合には、例えば入力検出部80は、1サイクル期間TCがオン状態になったら、次に2サイクル期間2TCはオフ状態となるというように、連続する3サイクル期間3TCの内の最初の1サイクル期間TCだけオン状態、次の2サイクル期間2TCはオフ状態となる間引き信号を形成し、これとPWM信号とのAND演算を行うことにより、PWM信号の通常のPWM信号の3分の1に間引くことができる。
【0223】
このようにすることにより、入力信号のレベルが低くなるにしたがって、プッシュプル回路15、16に供給されることになるドライブ信号の周波数をステップ的に低くするようにして、パワーアンプ装置の消費電力を低減させることができる。もちろん、入力信号のレベルが高くなってきたときには、これに応じて、間引きの割合を減らして行くことにより、プッシュプル回路15、16に供給するドライバ信号の周波数を高くしていき、高品位の音声再生を行うように戻すことができることはいうまでも無い。
【0224】
このように、入力信号レベルが低く、高品位再生を行う必要の無い期間においては、プッシュプル回路15、16に要求するドライブ信号の周波数を低くすることにより、パワーアンプの消費電力を効率よく低減させることができる。しかも、デジタルオーディオ信号の再生は、高品位度は低下するものの続行され、BGMとして利用されるなど、その利用ができなくなるなどの不都合を生じさせることもない。
【0225】
また、この他にも、入力信号レベルに応じて、プッシュプル回路15、16に供給するドライブ信号の周波数を調整する種々の対応のパワーアンプ装置を構成することも可能である。
【0226】
さらに、この実施の形態においても、前述のように入力端子Tstを通じて供給されるステータス信号STによりクロック信号CLKの周波数や信号間引き回路の間引き周期を制御するようにしてもよい。このステータス信号STとして、入力信号レベルを間接的に表すものとして複数段階の音質モードに対応させるようにしてもよい。例えば、高音質モードではクロック信号CLKの周波数を768kHzといった通常使用時の周波数とし、低音質モードではクロック信号CLKの周波数を十分に低くすることが考えられる。
【0227】
また、上記の実施の形態では、信号間引き回路によりPWM信号の1サイクル期間を実質的に長くするようにしたが、これに限らず、連続する複数のサイクル期間にわたってPWM変調部11で形成されたPWM信号のオン状態のパルス幅を累積して、この複数サイクル期間に1度累積された時間幅のオン区間を生成するようにしてもよい。
【0228】
なお、上述した各実施の形態において、フルブリッジの構成のパワーアンプ装置は、例えば、家庭などの屋内において用いられるオーディオ機器やAV機器などのいわゆる据え置き型のパワーアンプ装置、あるいは、据え置き型の電子機器に内蔵されるパワーアンプ装置であって、高性能が要求されるパワーアンプ装置に用いて好適なものである。
【0229】
また、ハーフブリッジの構成のパワーアンプ装置の場合には、構成が簡単であるので、低価格のオーディオ機器やAV機器、あるいは、携帯用のオーディオ機器などに用いて好適なものである。
【0230】
なお、左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号を処理する場合には、上述した各パワーアンプ装置が、左右2チャンネル分必要になる。しかし、左右のチャンネルでその構成が変わることはない。
【0231】
また、上述の実施の形態において用いたデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数やサンプリング周波数に基づくキャリア周波数の値は一例であり、各種の値に対応することができる。
【0232】
例えば、家庭内において用いられるAV機器のパワーアンプ装置の場合、これに供給されるオーディオ信号は、CD(Compact Disc)プレーヤ、MD(Mini Disc)プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disc)、ハードディスク装置、DAT(Digital Audio Tape)プレーヤ、半導体メモリプレーヤなど種々のものから供給されることが考えられ、供給元によって、そのオーディオ信号のサンプリング周波数も異なる場合もある。
【0233】
そこで、上述した各実施の形態のパワーアンプ装置において、例えば、使用者により選択された入力元の電子機器の種別の情報を得て、入力されるデジタルオーディオ信号に応じたサンプリング周波数を選択して用いるようにしてもよい。
【0234】
また、上述の実施の形態においては、いずれの場合にも、電源電圧は、いわゆる片側電源であるものとしたが、これに限るものではなく、正負電源を用いるようにしてもよい。
【0235】
また、上述の実施の形態においては、デジタルオーディオ信号である入力信号をPWM変調する場合を例に説明したが、これに限るものではない。入力信号をPNM(Pulse Number Modulation)変調するパワーアンプ装置にもこの発明を適用することが可能である。
【0236】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、入力信号が無い、あるいは、入力信号がヌルストリームである場合に、プッシュプル回路に流れるいわゆる貫通電流の発生回数を低減させ、消費電力の省力化を実現したデジタルアンプであるパワーアンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態を説明するための図である。
【図2】図1に示したパワーアンプ装置のクロック生成回路の一例を説明するためのブロック図である。
【図3】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【図4】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の構成例を説明するための図である。
【図5】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態を説明するための図である。
【図6】図5に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【図7】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態の他の構成例を説明するための図である。
【図8】図5に示したパワーアンプ装置の変形例を説明するための図である。
【図9】図7に示したパワーアンプ装置の変形例を説明するための図である。
【図10】この発明によるパワーアンプ装置の第3の実施の形態を説明するための図である。
【図11】この発明によるパワーアンプ装置の第3の実施の形態の他の構成例を説明するための図である。
【図12】この発明によるパワーアンプ装置の第4の実施の形態を説明するための図である。
【図13】この発明によるパワーアンプ装置の第4の実施の形態の他の構成例を説明するための図である。
【図14】いわゆるD級アンプと呼ばれる従来のパワーアンプ装置の構成例を説明するための図である。
【図15】図14に示した従来のパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【図16】図14に示した従来のパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
11…PWM変調部、12…クロック生成部、13、14…DRV(ドライブ回路)、15、16…プッシュプル回路、17、18…ローパスフィルタ、19…スピーカ、20…入力検出部(マイコン)、121…発振回路、122…クロック生成回路、Tin…入力端子、TPWR…電源端子、31…コンデンサ、40…入力検出部(マイコン)、50…AND回路、60…入力検出部、70…スイッチ素子、80…入力検出部…80、81、82…分周器、100…入力検出部(マイコン)、111、112…スイッチ素子、Q11、Q12…FET(電界効果トランジスタ)、Q13、Q14…FET(電界効果トランジスタ)
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力増幅器(この明細書においては、パワーアンプ装置という。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ用のパワーアンプ装置として、いわゆるD級アンプと呼ばれるデジタルアンプがある。このD級アンプは、スイッチングにより電力増幅を行うものであるが、例えば図14に示すように構成される。
【0003】
すなわち、デジタルオーディオ信号Pinが、入力端子Tinを通じてPWM(Pulse Width Modulation)変調回路11に供給されると共に、クロック生成部12から所定の周波数のクロック信号がPWM変調回路11に供給され、デジタルオーディオ信号Pinは、1対のPWM信号PA、PBに変換される。
【0004】
この場合、図16に示すように、PWM信号PA、PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベル(信号PinをD/A変換したときの瞬時レベル。以下同様)に対応して変化するものであるが、一方のPWM信号のPAのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの大きさとされ、他方のPWM信号PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされる。
【0005】
なお、図16に示した例の場合には、PWM信号PA、PBは、その立ち上がり時点が、PWM信号PA、PBの1サイクル期間TCの開始時点に固定され、その立ち下がり時点がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応して変化するものとされる。
【0006】
さらに、PWM信号PA、PBのキャリア周波数fc(=1/TC)は、例えば図15Fに示すように、デジタルオーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsの例えば16倍とされ、fs=48kHzとすれば、
fc=16fs=16×48kHz=768kHz
とされる。
【0007】
そして、このPWM変調回路11からの一方のPWM信号PAがドライブ回路13に供給されて図15Aに示すように、信号PAと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PA、−PAが形成され、これらパルス電圧+PA、−PAが、1対のスイッチング素子、例えばnチャンネルのMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Type Field Effect Transistor)(Q11、Q12)のゲートにそれぞれ供給される。
【0008】
この場合、FET(Field Effect Transistor)(Q11、Q12)は、プッシュプル回路15を構成するものであり、FET(Q11)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q12)のドレインに接続され、このFET(Q12)のソースが接地に接続される。また、電源端子TPWRには、安定した直流電圧+VDDが電源電圧として供給される。なお、電圧+VDDは、例えば20V〜50Vである。
【0009】
そして、FET(Q11)のソースおよびFET(Q12)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続される。
【0010】
また、PWM変調回路11から他方のPWM信号PBに対しても、PWM信号PAに対してと同様に構成される。すなわち、PWM信号PBがドライブ回路14に供給されて図15Bに示すように、信号PBと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PB、−PBが形成され、これらパルス電圧+PB、−PBが、プッシュプル回路16を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q13、Q14)のゲートにそれぞれ供給される。
【0011】
そして、FET(Q13)のソースおよびFET(Q14)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ18を通じてスピーカ19の他端に接続される。
【0012】
したがって、+PA=“H”のときには、−PA=“L”であり、FET(Q11)がオンになるとともに、FET(Q12)がオフになるので、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VAは、図15Cに示すように、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PA=“L”のときには、−PA=“H”であり、FET(Q11)がオフになると共に、FET(Q12)がオンになるので、VA=0となる。
【0013】
同様に、+PB=“H”のときには、−PB=“L”であり、FET(Q13)がオンになるとともに、FET(Q14)がオフになるので、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBは、図15Dに示すように、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PB=“L”のときには、−PB=“H”であり、FET(Q13)がオフになるとともに、FET(14)がオンになるので、VB=0となる。
【0014】
そして、VA=+VDD、かつ、VB=0の期間には、図14および図15Eに示すように、FET(Q11、Q12)の接続点から、ローパスフィルタ17→スピーカ19→ローパスフィルタ18のラインを通じて、FET(Q13、Q14)の接続点へと、電流iが流れる。
【0015】
また、VA=0、かつ、VB=+VDDの期間には、FET(Q13、Q14)の接続点から、ローパスフィルタ18→スピーカ19→ローパスフィルタ17のラインを通じて、FET(Q11、Q12)の接続点へと、逆向きに電流iが流れる。さらに、VA=VB=+VDDの期間、およびVA=VB=0の期間には、電流iは流れない。つまり、プッシュプル回路15、16がBTL(Bridge
Tied Load)回路を構成している。
【0016】
そして、電流iの流れる期間は、もとのPWM信号PA、PBが立ち上がっている期間に対応して変化するとともに、電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0017】
こうして、図14の回路は、パワーアンプとして動作するが、このとき、FET(Q11〜Q14)は、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに対応して電源電圧+VDDをスイッチングして、電力増幅をするので、効率が高く、また、大出力を得ることができる。
【0018】
なお、例えば、図14に示したように構成されるいわゆるD級アンプの場合、入力信号レベルが0(ゼロ)の場合においても、これに対応したパルス幅のPWM信号が形成される。例えば、入力信号レベルが0であるとき、1サイクル期間においてデューティ比が50%であるPWM信号となる。このため、入力信号レベルが0の場合であっても、D級アンプのスイッチング素子は切り換えられることになり、無駄に電力を消費してしまう原因になっている。
【0019】
この問題を解決する方式の一つとして、例えば、以下に示す特許文献1に記載されているように、入力信号レベルが0の場合には、PWM変調部において、パルス幅が0となるPWM信号を形成することにより、スイッチング素子の切り換え動作を抑制し、無入力信号時の無駄な電力消費を無くすようにする方式が提案されている。
【0020】
【特許文献1】
特開平10−303657号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、いわゆるD級アンプにおける消費電力の問題について検討を加える。例えば図14に示したように構成されるいわゆるD級アンプの場合、再生停止や再生一時停止などによりデジタルオーディオ信号が入力されなくなった場合や、入力されるデジタルオーディオ信号がヌルストリームである場合においても、上述したように、入力信号レベルが0(ゼロ)の場合に対応するPWM信号がPWM変調部11において形成され、これがドライブ回路13、14に供給されるので、ドライブ回路13、14からのドライブパルスによって、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)は切り換えられる。
【0022】
つまり、当該D級アンプに電源が供給されている間においては、入力信号が無い状態にあるときにも、プッシュプル回路15、16は切り換えられる。各プッシュプル回路は、PWM信号の立ち上がり時点および立下り時点における過渡状態が存在し、所謂立ち上がり時間、立下り時間と称される時間を要してスイッチングする。このため、この極わずかな時間でも、頻繁に、FET(Q11、Q12)を介して電源端子TPWRと接地間にいわゆる貫通電流が流れ、無駄に電力が消費されてしまうことが考えられる。
【0023】
シミュレーションによると、入力信号が無い無信号時における貫通電流は、実際の回路構成などにもよるが、平均すると数十ミリアンペア程度であることが確認された。このような無駄な電力の消費はできれば無いほうが望ましい。特に、携帯型のオーディオ機器など、電池を駆動電源として用いている電子機器の場合には、電池の寿命を短くし、駆動時間の長時間化を阻害する原因となることが考えられる。
【0024】
このため、上述の特許文献1において示されている方式、つまり、無入力信号時においては、PWM変調部において形成するPWM信号のパルス幅を0にする方式を用いることによって、D級アンプにおける消費電力の低減を図ることが可能である。
【0025】
しかしながら、PWM変調部の構成については変更することなく、できるだけ簡単に、かつ、確実に消費電力の低減を実現したいとする要求がある。さらに、無入力信号時、すなわち、入力信号レベルが0である場合はもちろん、入力信号レベルが0でない場合においても消費電力の低減を推し進め、より電力の省力化を実現するようにすることが求められている。
【0026】
以上のことにかんがみ、この発明は、貫通電流を低減させ、省電力化を実現したデジタルアンプの構成のパワーアンプ装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記入力信号の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段により、前記入力信号が無いことが検出された場合に、前記スイッチング手段の前段において、前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数を低くするようにする周波数制限手段と
を備えることを特徴とする。
【0028】
この請求項1に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、検出手段により入力信号が無いことが検出された場合に、周波数制限手段によって、パルス変調手段からのパルス変調信号に基づいてドライブ手段において形成されてスイッチング手段に供給されるドライブパルスの周波数が低くなるように制限される。
【0029】
これにより、入力信号が無い無信号時において、スイッチング手段の1対のスイッチング素子が頻繁にスイッチングされることが防止される。したがって、無信号時におけるスイッチング手段のスイッチングの回数が減少し、結果としてスイッチング手段に流れる貫通電流が低減することなり、消費電力の省力化が実現される。
【0030】
また、請求項5に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記増幅手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記入力信号の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段により、前記入力信号が無いことが検出された場合に、前記1対のスイッチ素子への前記ドライブパルスの供給を停止させるようにする供給制限手段と
を備えることを特徴とする。
【0031】
この請求項5に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、検出手段により入力信号が無いことが検出された場合に、供給制限手段によって、パルス変調手段からのパルス変調信号に基づいてドライブ手段において形成されてスイッチング手段に供給されるドライブパルスの供給が停止するように制限される。
【0032】
これにより、入力信号が無い無信号時において、スイッチング手段の1対のスイッチング素子がスイッチングされないようにされる。つまり、無信号時において、スイッチング手段のスイッチング動作を停止させて、スイッチング手段に流れる貫通電流を低減させ、消費電力の省力化が実現される。
【0033】
請求項9に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記入力信号の平均的なレベルを検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段の検出結果に応じて、前記スイッチング手段の前段において、前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数を制御する周波数制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0034】
この請求項9に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、レベル検出手段により入力信号の平均的なレベルが検出され、このレベル検出手段における結果に応じて、周波数制御手段によりドライブパルスの周波数が制御するようにされる。
【0035】
これにより、例えば、いわゆるBGM(Back Ground Music)のように、会話や思考の邪魔にならない程度の低音量レベルの入力信号である場合には、ドライブパルスの周波数を低くすることにより、BGM再生としては十分な音質を確保しつつ、スイッチング手段の1対のスイッチング素子が頻繁にスイッチングされることが防止され、入力信号レベルが0でない場合においても、消費電力の低減を実現することができるようにされる。
【0036】
もちろん、音楽を鑑賞する場合など、入力信号レベルが所定値以上である場合などのおいては、ドライブパルスの周波数を低くするようにする制御は行われないようにされ、高品位の音声再生が行うようにされる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、この発明によるパワーアンプ装置の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態のパワーアンプ装置は、いずれもいわゆるD級アンプと呼ばれるデジタルアンプ装置を用いて構成するようにしたものである。
【0038】
[第1の実施の形態]
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図1は、この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態を説明するための図である。図1において、10番台の参照符号(参照符号11〜19まで)が付された部分がデジタルオーディオ信号を増幅するパワーアンプ部分であり、クロック生成部12を除く各部分は、図14を用いて前述したいわゆるD級アンプと同様に構成したものである。
【0039】
クロック生成部12は、発振回路121とクロック生成回路122とからなり、後述する入力検出部20からの制御に応じて、種々の周波数のクロック信号CLKが生成可能なものである。
【0040】
この第1の実施の形態において、発振回路121は、例えば、水晶発振子を備え、所定の周波数の基準クロック信号Refを生成して、これをクロック生成回路122に供給するものである。クロック生成回路122は、いわゆるPLL回路の構成とされたものであり、発振回路121からの基準クロック信号Refと、後述する入力検出部20からの制御信号CCTの供給を受けて、制御信号CCTにより指示された周波数のクロック信号CLKを生成するものである。
【0041】
図2は、クロック生成回路122の構成例を説明するためのブロック図である。図2に示すように、クロック生成回路122は、位相比較器221と、ループフィルタ222と、VCO(Voltage Controlled Oscillator)223と、分周器224とを備えるものである。
【0042】
そして、上述の発振回路121からの基準クロック信号Refが、クロック生成回路122の位相比較回路221に供給される。位相比較回路221には、図2に示すように、VCO223からの出力信号も供給される。
【0043】
位相比較回路221は、これに供給された2つの信号の位相を比較し、その差分に応じて、VCO223からの発振信号の位相が、基準クロック信号Refと一致するように制御するための信号(制御電圧)を形成する。位相比較回路221からの出力信号は、ループフィルタ222を通じてVCO223に供給される。
【0044】
VCO223は、ループフィルタ222を通じて供給される制御電圧に応じて、周波数が調整するようにされた信号を発振する。VCO223において発振された信号は、上述したように、位相比較回路221に供給されるとともに、分周器224にも供給される。
【0045】
分周器224は、後述する入力検出部20からの周波数制御信号CCTである分周比データの供給を受け、VCO223からの信号を分周して、入力検出部20から指示するようにされた周波数のクロック信号CLKを形成し、これをPWM変調回路11に供給する。PWM変調回路11では、クロック生成回路122からのクロック信号CLKに応じて、デジタルオーディオ信号PinをPWM変調することなる。
【0046】
そして、この第1の実施の形態において、入力検出部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータであり、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号を監視し、デジタルオーディオ信号が有る期間である有信号期間と、デジタルオーディオ信号が無い、あるいは、ヌルストリームである期間である無信号期間とを検出する。
【0047】
具体的には、入力端子Tinを通じて供給される入力信号Pinのレベルが、予め決められる閾値以下となる期間が、連続して所定時間(例えば、数十秒から数分程度の時間)経過した場合に、処理すべきデジタルオーディオ信号が無い無信号期間であることを検出する。逆に、入力端子Tinを通じて供給される信号のレベルが、予め決められる閾値より大きい場合には、処理すべきデジタルオーディオ信号が有る有信号期間であることを検出する。
【0048】
そして、入力検出部20は、デジタルオーディオ信号が有ることを検出した場合には、PWM変調部11においてデジタルオーディオ信号をPWM変調する際に用いられる予め決められた周波数のクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0049】
この第1の実施の形態においては、PWM変調部11においてデジタルオーディオ信号をPWM変調する際に用いるクロック信号CLKの通常の周波数は、デジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fsの例えば16倍のキャリア周波数とするようにしている。
【0050】
したがって、所定レベル以上のデジタルオーディオ信号が供給されており、通常通りデジタルオーディオ信号をPWM変調する場合には、供給されているデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fsを例えば48kHzとすると、キャリア周波数fc=16×48kHz=768kHzとなり、この768kHzの周波数のクロック信号CLKを生成するようにするための分周比データが、クロック生成回路122の分周器224に供給されることになる。
【0051】
これにより、クロック生成回路122からPWM変調回路11にキャリア周波数fcのクロック信号CLKが供給され、このクロック信号CLKに応じてデジタルオーディオ信号のPWM変調処理が行われ、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinに応じた電流をスピーカに流して、入力信号Pinに応じて音声をスピーカから放音することができるようにされる。
【0052】
また、入力検出部20は、デジタルオーディオ信号が無い無信号期間を検出した場合には、上述のように予め決められる通常のキャリア周波数fcよりも周波数の低いクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0053】
この第1の実施の形態において、デジタルオーディオ信号が無い無信号期間を検出した場合にクロック生成回路122の分周器224に供給するクロック信号CLKの周波数は、例えば、キャリア周波数fcと同じ、あるいは、キャリア周波数fcの数分の1から数十分の1程度、あるいは、それ以下となるようにされる。例えば、キャリア周波数fcが768kHzである場合、クロック信号CLKの周波数としては、768kHz、384kHz、192kHz、96kHz、…などの周波数が用いられるようにされる。
【0054】
これにより、処理すべきデジタルオーディオ信号の供給が無い無信号期間においては、キャリア周波数fcよりも低い周波数のクロック信号CLKがPWM変調回路11に供給されて、通常よりも長い間隔を空けたタイミングで、信号レベルがゼロに対応したパルス幅のPWM信号(デューティ比50%のパルス幅のPWM信号)が形成されることになる。
【0055】
この通常よりも長い間隔を空けたタイミングで形成するようにされた信号レベルがゼロに対応したパルス幅のPWM信号に応じたドライブパルスがドライブ回路13、14において形成され、これがプッシュプル回路15の1対のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16の1対のFET(Q13、Q14)に供給される。
【0056】
この場合、ドライブ回路13、14から出力されるドライブパルスは、その周期が通常よりも長くなるようにされているので、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のスイッチング回数を減少させ、単位時間当たりの貫通電流の発生回数を大幅に削減することを可能にしている。
【0057】
また、以下に説明するように、この第1の実施の形態においては、例えば、PWM変調時の誤動作によるノイズを発生させないようにするため、クロック信号CLKの周波数を急激に変化させるのではなく、PLL回路を用いることによって、徐々に(段階的に)変化させるようにしたものである。
【0058】
[第1の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について]
上述のように、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を可変に制御することが可能なこの第1の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について詳細に説明する。なお、ここでは、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinと、クロック信号CLKと、PWM信号PA、PBと、電流iとの関係を示す波形図である図3をも参照しながら説明する。
【0059】
この第1の実施の形態のパワーアンプ装置に電源が投入されると、各部に電源が供給され動作を開始する。まず、入力検出部20は、クロック生成回路122の分周器224に予め決められた分周比データを周波数制御信号CCTとして供給するとともに、入力端子Tinを通じて入力される信号を監視し、入力信号の有無の検出を開始する。
【0060】
ここで、入力検出部20からクロック生成回路122の分周器224に供給される分周比データは、デジタルオーディオ信号の入力があるとした場合において、PWM変調に用いられる通常のキャリア周波数fcのクロック信号CLKを形成するためのものである。前述した例に従えば、キャリア周波数fc=768kHzのクロック信号CLKを形成するためのものである。
【0061】
クロック生成部12は、入力検出部20からの周波数制御信号CCTに基づいて、予め決められたキャリア周波数fcのクロック信号CLK(図3(B))を形成し、これをPWM変調部11に供給する。なお、図3(A)は、入力信号Pinの有信号期間と無信号期間の説明を簡単にするため、入力信号Pinのレベルを模式的にアナログ波形を用いて表した例を示している。
【0062】
PWM変調部11は、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pin(図3(A))と、クロック生成部12からのクロック信号CLK(図3(B))との供給を受け、デジタルオーディオ信号Pinを1対のPWM信号PA、PB(図3(C)、(E))に変換する。
【0063】
図3において有信号期間に示すように、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinが供給されている期間においては、PWM信号PA、PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応して変化するものであるが、一方のPWM信号のPAのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの大きさとされ、他方のPWM信号PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされる。
【0064】
そして、このPWM変調回路11からの一方のPWM信号PAがドライブ回路13に供給されて、信号PAと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PA(図3(C))、−PA(図3(D))が形成され、これらパルス電圧+PA、−PAが、プッシュプル回路を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q11、Q12)のゲートにそれぞれ供給される。
【0065】
そして、図1に示したように、FET(Q11)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q12)のドレインに接続され、このFET(Q12)のソースが接地に接続されている。そして、FET(Q11)のソースおよびFET(Q12)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されている。
【0066】
また、PWM変調回路11から他方のPWM信号PBに対しても、PWM信号PAに対してと同様に構成される。すなわち、PWM信号PBがドライブ回路14に供給されて、信号PBと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PB(図3(E))、−PB(図3(F))が形成され、これらパルス電圧+PB、−PBが、プッシュプル回路16を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q13、Q14)のゲートにそれぞれ供給される。
【0067】
そして、図1に示したように、FET(Q13)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q14)のドレインに接続され、このFET(Q14)のソースが接地に接続されている。そして、FET(Q13)のソースおよびFET(Q14)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ18を通じてスピーカ19の他端に接続されている。
【0068】
図1に示したように、プッシュプル回路15、16の電源端子TPWRには、安定した直流電圧+VDDが電源電圧として供給される。直流電圧+VDDは、例えば20V〜50Vである。
【0069】
したがって、+PA=“H”のときには、−PA=“L”であり、FET(Q11)がオンになるとともに、FET(Q12)がオフになるので、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VAは、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PA=“L”のときには、−PA=“H”であり、FET(Q11)がオフになると共に、FET(Q12)がオンになるので、VA=0となる。
【0070】
同様に、+PB=“H”のときには、−PB=“L”であり、FET(Q13)がオンになるとともに、FET(Q14)がオフになるので、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBは、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PB=“L”のときには、−PB=“H”であり、FET(Q13)がオフになるとともに、FET(14)がオンになるので、VB=0となる。
【0071】
そして、VA=+VDD、かつ、VB=0の期間には、FET(Q11、Q12)の接続点から、ローパスフィルタ17→スピーカ19→ローパスフィルタ18のラインを通じて、FET(Q13、Q14)の接続点へと、電流iが流れる。
【0072】
また、VA=0、かつ、VB=+VDDの期間には、FET(Q13、Q14)の接続点から、ローパスフィルタ18→スピーカ19→ローパスフィルタ17のラインを通じて、FET(Q11、Q12)の接続点へと、逆向きに電流iが流れる。さらに、VA=VB=+VDDの期間、およびVA=VB=0の期間には、電流iは流れない。つまり、プッシュプル回路15、16がBTL回路を構成している。
【0073】
そして、図3(G)に示すように、電流iの流れる期間は、もとのPWM信号PA、PBが立ち上がっている期間に対応して変化するとともに、電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0074】
このようにして、処理すべきデジタルオーディオ信号Pinが、入力端子Tinを通じて供給されているときには、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに応じた音声をスピーカ19から放音することができるようにされる。
【0075】
そして、図3に示した例の場合には、時点t1以降においては、再生停止、あるいは、再生一時停止の機能が用いられるなどしたために、処理すべきデジタルオーディオ信号である入力信号Pinの入力がなくなっている場合を示している。前述もしたように、音声信号の有無は、入力検出部20において検出される。
【0076】
つまり、入力検出部20は、図3において、無信号検出期間NSが示すように、入力信号のレベルが予め決められた閾値以下の期間が、予め決められた時間(例えば、数十秒から数分程度)継続した場合に、処理すべき入力信号がなく、無信号期間に入ったことを検出する。
【0077】
入力検出部20は、上述のように、入力信号が無く、無信号期間に入ったことを検出すると、クロック信号CLKの周波数を低くするようにするための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、クロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0078】
これにより、図3(B)に示すように、無信号検出期間NS終了した時点t2以降においては、クロック信号CLKの周波数は、通常の周波数fcよりも低い周波数となるように制御される。
【0079】
つまり、所定レベル以上のデジタルオーディオ信号Pinが存在しない期間が、所定時間以上継続した後の無信号期間においては、クロック信号の周波数は、通常の周波数よりも低くなるように制御され、例えば、サンプリング周波数fsと同じか、サンプリング周波数fsの数分の1から数十分の1程度となるようにされる。この周波数が低く制御される期間が、図3に示したクロック低減期間DWである。
【0080】
そして、この第1の実施の形態においては、図2を用いて上述したように、クロック生成回路122は、PLL回路の構成とされたものであるので、クロック信号CLKの周波数は、徐々に(段階的に)低くなるようにされる。このようにクロック信号CLKの周波数を徐々に低くする構成とすることにより、周波数変化の各回路部分への影響を抑制し、クロック信号CLKの周波数の急激な変化が生じた場合に発生する可能性のあるノイズや異音の発生などの誤動作を防止することができるようにしている。
【0081】
このように、クロック低減期間DWにおいては、クロック信号CLKの周波数が低くなるように制御され、そのクロック信号CLKの周期に応じた、信号レベルがゼロである場合のパルス幅を持つPWM信号PA、PBが形成される。これにより、プッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16のFET(Q13、Q14)のスイッチング回数が減少し、貫通電流の発生回数が抑制されて、消費電力の低減が実現できる。
【0082】
そして、再生開始や再生一時停止解除などの操作がされることにより、デジタルオーディオ信号の供給が開始されると、所定の信号レベル以上の入力信号が供給されるので、入力検出部20はこれを検出し、クロック信号CLKの周波数を元の周波数(例えば768kHz)のクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、クロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0083】
これにより、クロック生成部12からPWM変調部11に供給されるクロック信号CLKの周波数が、元の通常時の周波数に戻すようにされ、前述したように、入力信号Pinは、PWM変調され、スピーカ19の駆動に用いるようにされる。
【0084】
このように、図1に示した第1の実施の形態のパワーアンプ装置は、有信号期間に比べて、無信号検出期間を除く無信号期間(周波数低減期間DW)においては、クロック信号の周波数を低くするようにしているので、貫通電流の発生回数を低減させ、消費電力の省力化を実現することができる。
【0085】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図1に示したパワーアンプ装置において、パワーアンプ部分は、プッシュプル回路15、16によりBTL回路を構成し、いわゆるフルブリッジの構成となるように形成した。しかし、パワーアンプ部分は、フルブリッジの構成に限るものではなく、その出力段をいわゆるハーフブリッジの構成とすることもできる。
【0086】
図4は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ装置を説明するための図である。なお、図4において、図1に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0087】
図4に示すように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、パルス幅がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。
【0088】
この図4に示したパワーアンプ装置において、PWM変調部11は、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pinと、クロック生成部12からのクロック信号CLKの供給を受けて、デジタルオーディオ信号PinをPWM信号PAに変換する。
【0089】
PWM変調部11において形成されたPWM信号PAは、ドライブ回路13に供給され、ここで1対のドライブパルス+PA、−PAが形成され、これらドライブパルス+PA、−PAがプッシュプル回路15に供給される。
【0090】
このプッシュプル回路15の出力端が、コンデンサ31を通じ、さらにローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されるとともに、その他端は接地される。したがって、この図4に示すパワーアンプ装置においても、スピーカ19にはデジタルオーディオ信号Pinに対応した極性および大きさの電流iが流れ、電力増幅が行われる。
【0091】
そして、この図4に示したパワーアンプ装置においても、入力検出部20は、入力端子Tinを通じて供給される入力信号を監視し、入力信号の有無を検出する。そして、入力信号が有る期間においては、デジタルオーディオ信号PinをPWM変調するために用いる通常の周波数(例えば、768kHz)のクロック信号を形成するための分周比データを周波数制御信号CCTとして、PLL回路の構成とされたクロック生成回路122の分周器に供給する。
【0092】
これにより、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pinは、上述したように、PWM変調されるとともに、ドライブパルスに変換され、プッシュプル回路15に供給されて増幅された後、スピーカ19に供給されることにより、入力されたデジタルオーディオ信号に応じた音声が、スピーカ19から放音するようにされる。
【0093】
また、入力端子Tinを通じて入力信号Pinが所定時間ないと判断した場合には、入力検出部20は、クロック信号CLKの周波数を低くするようにするための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、クロック生成回路122の分周器に供給する。
【0094】
これにより、PMW変調部11に供給するクロック信号の周波数が低くなるように制御され、図1〜図3を用いて説明したフルブリッジの構成のパワーアンプ装置の場合と同様に、信号レベルがゼロの場合のパルス幅のPWM信号が形成される周期が長くなり、プッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)のスイッチング回数を減少させて、結果として、消費電力を低減させることができる。
【0095】
このように、この第1の実施の形態のパワーアンプ装置は、フルブリッジの構成と、ハーフブリッジの両方の構成とのいずれの構成をとることも可能なものである。
【0096】
なお、この第1の実施の形態において、クロック生成部12の発振回路121は、水晶発振子を用いたものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、LC発振回路、RC発振回路、セラミック発振回路など、各種の発振回路を用いることが可能である。
【0097】
また、クロック生成部12のクロック生成回路122は、PLL回路の構成を有するものとして説明したが、クロック生成回路122は、デジタル回路、アナログ回路のいずれのものであってもよいし、また、PLL回路の構成を有するものに限らず、単に分周器としての機能を有するものであってもよい。
【0098】
なお、この第1の実施の形態、および後述される実施の形態において、入力検出部20は入力信号Pinのレベルを監視して信号の有無を検出しているが、本発明はこれに限らず、図1に示されるように、入力端子Tstを通じて供給されるステータス信号STによりクロック信号CLKの周波数を制御するようにしてもよい。このステータス信号STは、このパワーアンプ装置に接続される例えばCD再生装置がポーズ(一時停止)状態、または停止状態であるときに、そのCD再生装置から出力される信号であって、このステータス信号STが供給される場合にはこのパワーアンプ装置に供給されるオーディオ信号は無い状態であると判別される。
【0099】
[第2の実施の形態]
以下に説明するこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置は、上述した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、無信号時における貫通電流の発生回数を低減するために、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数を低くするのではなく、クロック信号の供給を停止させることによって、プッシュプル回路のスイッチチング動作を停止させるようにしたものである。
【0100】
これは、同じように構成するいわゆるD級アンプであっても、用いる回路素子の違いなどにより、クロック信号CLKの周波数の変化がノイズの原因にならないものや、逆にクロック信号CLKの周波数の僅かな変化でもノイズの原因になるものを構成することが可能であり、このようなD級アンプを用いた場合には、できるだけ素早くクロック信号CLKの周波数の変更を完了させることが望ましいという点を考慮したものである。
【0101】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図5は、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置を説明するための図である。図5に示すこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置において、図1に示した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に構成される部分には同じ参照符号を付している。
【0102】
すなわち、図5に示すこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部11、ドライブ回路13、14、プッシュプル回路15、16、ローパスフィルタ17、18からなるパワーアンプ部分は、図1に示した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に構成された部分であり、プッシュプル回路15、16がBTL回路を構成するいわゆるフルブリッジのパワーアンプ装置である。
【0103】
そして、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置において、クロック生成部12もまた、第1の実施の形態のパワーアンプ装置のクロック生成部12と同様に構成されたものである。しかし、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置の場合には、クロック生成部12において生成するクロック信号CLKの周波数を変えることはない。
【0104】
このため、クロック生成部12は、PLL回路の構成に限るものではない。クロック生成部12は、所定の周波数のクロック信号CLKを発振させる水晶発振回路、LC発振回路、RC発振回路、セラミック発振回路などの各種の発振回路のみによって構成することも可能である。
【0105】
また、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置において入力検出部40もまた、第1の実施の形態のパワーアンプ装置の入力検出部20と同様に、CPU、ROM、RAMなどを備えたマイクロコンピュータであり、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号を監視し、デジタルオーディオ信号が有る有信号期間と、デジタルオーディオ信号が無い、あるいは、ヌルストリームである期間である無信号期間とを検出する。
【0106】
この第2の実施の形態においても、入力検出部40は、入力端子Tinを通じて供給される信号のレベルが、予め決められる閾値以下となる期間が、連続して所定時間継続した場合に、処理すべきデジタルオーディオ信号が無い無信号期間であることを検出する。また、入力端子Tinを通じて供給される信号のレベルが、予め決められる閾値より大きい場合には、処理すべきデジタルオーディオ信号が有る有信号期間であることを検出する。
【0107】
そして、この第2の実施の形態において、入力検出部40は、有信号期間を検出している場合には、“H”(ハイレベル)となり、無信号期間を検出している場合には、“L”(ローレベル)となる制御信号CTLを形成し、これを出力することができるようにしたものである。
【0108】
この入力検出部40からの制御信号CTLと、クロック生成部12からのクロック信号CTLとがAND(論理積)回路50に供給され、このAND回路50からの出力をクロック信号としてPWM変調部11に供給するようにしている。
【0109】
すなわち、AND回路50は、一種のスイッチ回路として機能し、入力検出部40からの制御信号CTLが“H”である期間においてのみ、クロック生成部12からのクロック信号CLKをPWM変調部11に供給し、入力検出部40からの制御信号CTLが“L”である期間においては、クロック生成部12からのクロック信号CLKのPWM変調部11への供給を停止するようにしている。
【0110】
これにより、有信号期間においては、クロック生成部12からの通常の周波数のクロック信号CLKをPWM変調部11に供給してPWM変調を行って、入力されたデジタルオーディオ信号に応じた音声をスピーカ19から放音するようにする。
【0111】
そして、無信号期間においては、クロック信号CLKをPWM変調部11に供給しないことにより、結果としてPWM信号の生成を停止させ、ドライブパルスをプッシュプル回路15に供給しないようにすることにより、プッシュプル回路15において貫通電流を流れないようにして、無信号期間における消費電力の低減を図っている。
【0112】
[第2の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について]
上述のように、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給を制御することが可能なこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について詳細に説明する。なお、ここでは、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinと、制御信号CTLと、クロック信号CLKと、PWM信号PA、PBと、電流iとの関係を示す波形図である図6をも参照しながら説明する。
【0113】
この第2の実施の形態のパワーアンプ装置に電源が投入されると、各部に電源が供給され動作を開始する。クロック生成部12は、例えば、上述した第1の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、入力されるデジタルオーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsの16倍のキャリア周波数fcであるクロック信号CLKを形成し、これをAND回路50に供給する。
【0114】
また、入力検出部40は、まず、“H”となる制御信号CTLを形成し、これをAND回路50に供給するとともに、入力端子Tinを通じて入力される信号を監視し、入力信号の有無の検出を開始する。
【0115】
そして、図6において、有信号期間に示すように、所定レベル以上のデジタルオーディオ信号Pin(図6(A))が供給されている期間においては、入力検出部40からの制御信号CTL(図6(B))は“H”の状態が維持されるので、クロック生成部12からのクロック信号CLK(図6(C))がそのままAND回路50を通じてPWM変調部11に供給される。
【0116】
したがって、PWM変調部11において、PWM信号PA、PBが形成され、これらPWM信号PA、PBがドライブ回路13、14に供給される。なお、図6(C)においては、簡単のため、前述の図3(A)と同様に、入力信号Pinのレベルを模式的に表した例を示している。
【0117】
ドライブ回路13は、供給されたPWM信号PAから、ドライブパルス+PA(図6(D))、−PA(図6(E))を形成し、これらをプッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)のゲートに供給する。また、ドライブ回路14は、供給されたPWM信号PBから、ドライブパルス+PB(図6(F))、−PB(図6(G))を形成し、これらをプッシュプル回路16のFET(Q13、Q14)のゲートに供給する。
【0118】
これにより、プッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16のFET(Q13、Q14)がスイッチングされ、プッシュプル回路15、16の出力段には電圧VA、VBが発生し、スピーカ19に電流i(図6(H))が流れるようにされる。
【0119】
電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0120】
このようにして、処理すべきデジタルオーディオ信号Pinが、入力端子Tinを通じて供給されているときには、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに応じた音声をスピーカ19から放音することができるようにされる。
【0121】
そして、図6に示した例の場合にも、時点t1以降においては、再生停止、あるいは、再生一時停止の機能が用いられるなどしたために、処理すべきオーディオ信号の入力がなくなっている。上述もしたように、音声信号の入力の有無は、入力検出部40において検出される。
【0122】
入力検出部40は、図6において、無信号検出期間NSが示すように、入力信号のレベルが予め決められた閾値以下の期間が、予め決められた時間(例えば、数十秒から数分程度)以上継続した場合に、入力信号の供給がなく、無信号期間に入ったことを検出する。
【0123】
入力検出部40は、無信号期間を検出すると、制御信号CTLを“L”にする。具体的には、図6(B)に示すように、入力検出部40は、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinが、無信号あるいはヌルストリームの期間が所定時間経過した後の時点t2以降においては、“L”の制御信号CTLを形成し、これをAND回路50に供給する。
【0124】
これにより、図6において時点t2以降に示すように、制御信号CTLが“L”となった場合には、AND回路50からは、クロック信号CLKは出力されないので、PWM信号PA、PBの形成が停止され、ドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBは生成されなくなる。
【0125】
したがって、プッシュプル回路15、16のゲートには、ドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBが供給されなくなるので、プッシュプル回路15、16におけるスイッチング動作が停止するようにされ、プッシュプル回路15、16において貫通電流が流れないようにされる。
【0126】
このように、図6に示した例の場合には、クロック停止期間SPにおいては、プッシュプル回路15、16のスイッチング自体が停止されるので、このクロック信号停止期間SPにおいては貫通電流が流れないようにされ、無信号期間における消費電力を低減させることができる。
【0127】
そして、再生開始や再生一時停止解除などの操作がされることにより、デジタルオーディオ信号の供給が開始されると、所定の信号レベル以上の入力信号が供給されるので、入力検出部40はこれを検出し、“H”となる制御信号CTLを形成し、これをAND回路50に供給する。
【0128】
これにより、クロック生成部12からのクロック信号CLKは、AND回路50を通じてPWM変調部11に供給され、前述したように、入力されたデジタルオーディオ信号がPWM変調されて、スピーカ19の駆動に用いるようにされる。
【0129】
なお、この第2の実施の形態の場合には、PWM変調部11へのクロック信号の供給と停止とを制御するようにしているので、急峻にクロック信号の周波数を変化させるようにすることができるので、クロック信号の周波数が変化することにより各回路部分に与える影響を抑えることができるようにされる。
【0130】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図5に示したパワーアンプ装置は、上述もしたようにいわゆるフルブリッジの構成としたものである。しかし、これに限るものではなく、出力段をいわゆるハーフブリッジの構成とすることもできる。
【0131】
図7は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたこの例のパワーアンプ装置を説明するための図である。なお、図7において、図4に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0132】
図7に示すように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、パルス幅がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。
【0133】
この図7に示したパワーアンプ装置において、PWM変調部11は、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pinと、クロック生成部12からのクロック信号CLKの供給を受けて、デジタルオーディオ信号PinをPWM信号PAに変換する。
【0134】
PWM変調部11において形成されたPWM信号PAは、ドライブ回路13に供給され、ここで1対のドライブパルス+PA、−PAが形成され、これらドライブパルス+PA、−PAがプッシュプル回路15に供給される。
【0135】
このプッシュプル回路15の出力端が、コンデンサ31を通じ、さらにローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されるとともに、その他端は設置される。したがって、この図4に示すパワーアンプ装置においても、スピーカ19にはデジタルオーディオ信号Pinに対応した極性および大きさの電流iが流れ、電力増幅が行われる。
【0136】
そして、この図7に示したパワーアンプ装置においても、入力検出部40は、入力端子Tinを通じて供給される入力信号を監視し、入力信号の有無を検出する。そして、入力信号が有る有信号期間においては、制御信号CTLを“H”にし、デジタルオーディオ信号PinをPWM変調するために用いる通常の周波数(例えば、768kHz)のクロック信号をAND回路50を通じてPWM変調部11に供給する。
【0137】
これにより、入力端子Tinを通じて入力されたデジタルオーディオ信号Pinは、上述したように、PWM変調されるとともに、ドライブパルスに変換され、プッシュプル回路15に供給されて増幅された後、スピーカ19に供給されることにより、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに応じた音声が、スピーカ19から放音するようにされる。
【0138】
また、入力端子Tinを通じて入力信号の入力を所定時間継続して受けておらず、無信号期間であると判断した場合には、入力検出部40は、制御信号CTLを“L”にし、クロック信号CLKをPWM変調部11に供給しないようにする。
【0139】
これにより、PMW変調部11にクロック信号CLKが供給されなくなり、PWM変調されなくなるので、プッシュプル回路15のスイッチング動作が停止され、プッシュプル回路において貫通電流が流れないようにされ、結果として、消費電力を低減することができる。
【0140】
このように、この第2の実施の形態のパワーアンプ装置もまた、フルブリッジの構成と、ハーフブリッジの構成とのいずれの構成をとることも可能なものである。
【0141】
なお、この第2の実施の形態において、クロック停止期間SPでは、図6(D)〜(G)に示すようにドライブ信号+PA、+PBが“H”、−PA、−PBが“L”の状態で保持されることが望ましい。これらのドライブ信号が反転した状態でもスピーカ19には電流iが流れないが、特に図5に示すフルブリッジ構成では、スピーカ接続端に電源電圧+VDDが現れるので上述のような状態で保持することが好ましい。
【0142】
[第2の実施の形態の変形例]
図5、図7に示した第2の実施の形態のパワーアンプ装置の場合には、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給をAND回路50を用いて制御するようにした。しかし、これに限るものではない。AND回路50に換えて、各種のスイッチング素子を用いるようにすることもできる。
【0143】
図8、図9は、上述した第2の実施の形態のパワーアンプ装置の変形例を説明するための図である。図8は、図5に示したいわゆるフルブリッジ構成のパワーアンプ装置に対応するものである。また、図9は、図7に示したいわゆるハーフブリッジ構成のパワーアンプ装置に対応するものである。
【0144】
そして、図8、図9に示すように、この例のパワーアンプ装置は、AND回路50に代えて、スイッチング素子70を用いるようにしたものである。なお、説明を簡単にするため、図8においては、プッシュプル回路15、16の後段の回路部分を、また、図9においては、プッシュプル回路15の後段の回路部分を省略しているが、いずれの場合にも、省略した部分は、図5、図7に示したパワーアンプ装置の対応部分と同様に構成される。
【0145】
図8、図9に示すこの例のパワーアンプ装置の場合には、PWM変調部11と、クロック生成部12との間にスイッチング素子70を設け、クロック生成部12からのクロック信号CLKをスイッチング素子70を通じて供給するようにしている。
【0146】
そして、スイッチング素子のオン/オフ制御を入力検出部60が行うようにしている。入力検出部60は、図5、図6に示した入力検出部40と同様の機能を有するものであり、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号Pinを監視し、処理すべきデジタルオーディオ信号が有る有信号期間と、処理すべきデジタルオーディオ信号の無い無信号期間とを検出する。
【0147】
そして、図6に示した制御信号CTLの場合と同様に、有信号期間および無信号検出期間NSでは、“H”となり、無信号検出期間NSを除く無信号期間であるクロック停止期間SPにおいては、“L”となる切り換え信号を形成し、これをスイッチング素子70の切り換え制御信号として用いるようにしている。
【0148】
したがって、図8、図9に示したパワーアンプ装置の場合、有信号期間、無信号検出期間NSにおいては、入力検出部60からの切り換え制御信号は“H”となり、スイッチング素子70がオンとなるように制御されて、クロック生成部12からのクロック信号CLKがスイッチング素子70を通じてPWM変換部11に供給される。この場合には、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinは、PWM変調され、入力信号Pinに応じた音声がスピーカから放音するようにされる。
【0149】
また、無信号検出期間NSを除く無信号期間は、クロック停止期間SPにおいては、入力検出部60からの切り換え信号は“L”となり、スイッチング素子70がオフとなるように制御されて、クロック生成部12からのクロック信号がPWM変換部11に供給されないようにされる。
【0150】
この場合には、デジタルオーディオ信号である入力信号Pinは、PWM変調されることは無く、後段のプッシュプル回路15、16にドライブパルスが供給されなくなり、プッシュプル回路15、16において貫通電流が流れないようにされ、消費電力を低減させることができる。
【0151】
すなわち、図8、図9に示したこの例のパワーアンプ装置は、図5、図6、図7を用いて説明したこの第2の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に動作し、貫通電流が流れないようにさせて、消費電力の省力化を実現することができるものである。
【0152】
[第3の実施の形態]
以下に説明するこの第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、図1〜図4を用いて上述した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、この第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、上述の第1の実施の形態のパワーアンプ装置のように、貫通電流を低減するために、PWM変調部に供給するクロック信号の周波数を低くするものではない。
【0153】
以下に説明する第3の実施の形態のパワーアンプ装置においては、PWM変調部の後段において、プッシュプル回路に供給するドライブパルスの周波数を低くするようにして、無信号時におけるプッシュプル回路の貫通電流を低減させるようにしたものである。
【0154】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図10は、この第3の実施の形態のパワーアンプ装置を説明するための図である。図10に示すこの第3の実施の形態のパワーアンプ装置において、図1に示した第1の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
【0155】
図10に示すように、この第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器81、信号切り換え回路83を設けるとともに、PWM変調部11とドライブ回路14との間に分周器82、信号切り換え回路84を設けるようにしたものである。そして、クロック生成部12は、上述の第1の実施の形態のクロック生成部12と同様に構成されたものである。
【0156】
しかし、この第3の実施の形態において、パワーアンプ装置に電源が供給され、動作するようにされているときには、PWM変調部11に供給されるクロック信号は、常に一定の周波数となるようにしている。例えば、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fsが48kHzの場合は、その16倍の768kHzのキャリア周波数fcのクロック信号がPWM変調部11に供給される。
【0157】
そして、PWM変調部11の後段に設けた分周器81、82において、有信号期間および無信号検出期間と、無信号検出期間を除く無信号期間とでドライブ回路13、14に供給するPWM信号PA、PBの周波数を変更するようにしている。この第3の実施の形態において、入力検出部80は、上述した第1の実施の形態の入力検出部20と同様にして、有信号期間と、無信号検出期間以外の無信号期間を検出する。
【0158】
そして、入力検出部80は、PWM変調部11に常に周波数が一定のクロック信号を供給するようにクロック生成部12を制御するとともに、分周器81、82および信号切り換え回路83、84を制御する。分周器81、82および信号切り換え回路83、84の制御は、有信号期間および無信号検出期間と、無信号検出期間を除く無信号期間とでは異なるようにする。
【0159】
この第3の実施の形態においては、有信号期間とその後に続く無信号検出期間においては、信号切り換え回路83、84を図10の接続状態として、PWM変調部11からのPWM信号をそのままドライブ回路13、14に供給するようにする。しかし、無信号検出期間以外の無信号期間においては、信号切り換え回路83、84を図10の接続状態とは逆の接続状態とするとともに、分周器81、82において、PWM変調部11からのPWM信号の周波数を、通常の周波数よりも低くなるように分周して出力する。この場合、分周器81、82は、例えば、通常の周波数の数十分の1程度、あるいはそれ以下に分周する。
【0160】
これにより、無信号検出期間を除く無信号期間においては、通常よりも低い周波数のPWM信号PAがドライブ回路13に供給され、通常よりも低い周波数のPWM信号PBがドライブ回路14に供給されるので、そのそれぞれにおいて、通常よりも低い周波数のドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBが形成される。
【0161】
そして、通常時よりも低い周波数のドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBが、後段のプッシュプル回路15、16のFETのゲートに供給された場合には、上述の第1の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、プッシュプル回路15、16のスイッチング動作は減少し、貫通電流の発生回数が低減するので、結果として無信号期間における消費電力を低減させることができる。
【0162】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図10は、パワーアンプ部分をフルブリッジの構成としたものであるが、図11に示すようにハーフブリッジの構成とすることももちろんできる。
【0163】
図11は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ装置を説明するための図である。なお、図11において、図10に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0164】
図11に示すように、この例のパワーアンプ装置は、パルス幅がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。つまり、図11に示したように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器81および信号切り換え回路83を設けたものである。
【0165】
そして、この図11に示したハーフブリッジのパワーアンプ装置の場合にも、図10に示したフルブリッジのパワーアンプ装置の場合と同様に、有信号期間および無信号検出期間より、無信号検出期間を除く無信号期間におけるPWM信号PAの周波数が低くなるように入力検出部80が分周器81および信号切り換え回路83を制御することにより、無信号検出期間を除く無信号期間におけるプッシュプル回路15のスイッチング動作を少なくし、貫通電流の発生回数を低減させ、消費電力の省力化を実現することができるようにしている。
【0166】
このように、図10、図11に示した、この第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部とドライブ回路との間に設ける分周器によりPWM信号の周波数を制御することによって、図3を用いて説明した第1の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、無信号検出期間を除く無信号期間である周波数低減期間DWにおけるプッシュプル回路15、16のスイッチング動作を少なくし、貫通電流の発生回数を低減させるようにしたものである。
【0167】
そして、分周器および信号切り換え回路を制御して、ドライブ回路に供給するPWM信号の周波数を低くするようにした後に、入力端子Tinを通じて、所定のレベル以上の処理すべきデジタルオーディオ信号Pinが供給されたことが検出された場合には、入力検出部80は、少なくとも信号切り換え回路を制御し、これに供給されるPWM信号をそのまま出力するようにする。このとき、分周器の分周比を元の値に戻すようにしてもよい。
【0168】
これによって、PWM信号の周波数が低く制限された後に、通常通りデジタルオーディオ信号Pinの供給が再開された場合には、クロック信号に基づいたPWM信号がそのままドライブ回路に供給され、適正にデジタルオーディオ信号の処理を行うことができるようにされる。
【0169】
なお、この第3の実施の形態において、図11に示したフルブリッジの場合には、分周器81、82により、また、図11に示したハーフブリッジの場合には、分周器81により、PWM信号PA、PBの周波数を制御するようにしているので、PWM信号の周波数を徐々に(段階的に)変えるようにすることができる。
【0170】
したがって、周波数を変えることにより、各回路部分に与える影響を低減させ、周波数を急激に変化させた場合に発生することとなるノイズや異音の発生を防止することができる。
【0171】
また、この第3の実施の形態の場合にも、図10、図11に示したように、パワーアンプ装置は、フルブリッジの構成と、ハーフブリッジの両方の構成とのいずれの構成をとることも可能なものである。
【0172】
[第4の実施の形態]
以下に説明するこの第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、図5〜図7を用いて上述した第2の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、この第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、上述の第2の実施の形態のパワーアンプ装置のように、貫通電流が流れないようにするために、PWM変調部へのクロック信号の供給を制御するのではない。
【0173】
以下に説明する第4の実施の形態のパワーアンプ装置においては、PWM変調部の後段において、プッシュプル回路へのドライブパルスの供給を制御することによって、プッシュプル回路のスイッチング動作を制御し、貫通電流が流れないようにしたものである。
【0174】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図12は、この第4の実施の形態のパワーアンプ装置を説明するための図である。図12に示すこの第4の実施の形態のパワーアンプ装置において、図4に示した第2の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
【0175】
図12に示すように、この第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部11とドライブ回路13との間にスイッチング素子111を設けるとともに、PWM変調部11とドライブ回路14との間にスイッチング素子112を設けるようにしたものである。そして、クロック生成部12は、上述の第2の実施の形態のクロック生成部12と同様に構成されたものである。
【0176】
しかし、この第4の実施の形態において、パワーアンプ装置に電源が供給され、動作するようにされているときには、PWM変調部11に供給されるクロック信号は、常に一定の周波数となるようにしている。例えば、上述した第2の実施の形態の場合と同様に、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数fsが48kHzの場合には、その16倍の768kHzのキャリア周波数fcのクロック信号がPWM変調部11に供給される。
【0177】
そして、PWM変調部11の後段に設けたスイッチング素子111、112により、有信号期間および無信号検出期間においては、PWM信号PA、PBを後段のドライブ回路13、14に供給するが、信号検出期間を除く無信号期間においては、PWM信号PA、PBを後段のドライブ回路13、14に供給しないようにする。
【0178】
つまり、この第3の実施の形態において、入力検出部100は、上述した第2の実施の形態の入力検出部40と同様にして、有信号期間と、無信号検出期間以外の無信号期間を検出する。
【0179】
そして、入力検出部100は、PWM変調部11に常に周波数が一定のクロック信号を供給するようにクロック生成部12を制御するとともに、スイッチング素子111、112を切り換え制御する。スイッチング素子111、112の切り換え制御は、有信号期間および無信号検出期間と、無信号検出期間を除く無信号期間とで異なる。
【0180】
つまり、有信号期間とその後に続く無信号検出期間においては、スイッチング素子111、112をオンにし、これに供給されたPWM信号をそのまま出力するようにする。無信号検出期間以外の無信号期間においては、スイッチング素子111、112をオフにし、これに供給されたPWM信号を出力しないようにする。
【0181】
これにより、無信号検出期間を除く無信号期間においては、ドライブ回路13、14にはPWM信号PA、PBが供給されなくなり、ドライブパルス+PA、−PA、+PB、−PBは形成されないので、その期間、すなわち、無信号検出期間を除く無信号期間においては、プッシュプル回路15、16のスイッチング動作を停止させることができる。これにより、貫通電流が流れなくなるので、結果として消費電力を低減させることができる。
【0182】
なお、スイッチング素子111、112をオフとしたときに、入力検出部100はドライブ回路13、14を制御して、その出力+PA、+PBを“H”、−PA、−PBを“L”とするようにしてもよい。
【0183】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図12は、パワーアンプ部分をフルブリッジの構成としたものであるが、図13に示すようにハーフブリッジの構成とすることももちろんできる。
【0184】
図13は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ装置を説明するための図である。なお、図13において、図12に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0185】
図13に示すように、この例のパワーアンプ装置は、パルス幅がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。つまり、図13に示したように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、PWM変調部11とドライブ回路13との間にスイッチング素子111を設けたものである。
【0186】
そして、スイッチング素子111は、入力検出部100により切り換え制御され、有信号期間および無信号検出期間においては、オンにされて、PWM変調部11からのPWM信号PAがそのままドライブ回路13に供給される。しかし、スイッチング素子111は、入力検出部100により切り換え制御され、無信号検出期間を除く無信号期間においては、オフにされて、PWM変調部11からのPWM信号PAはドライブ回路13に供給しないようにされる。
【0187】
これにより、無信号検出期間を除く無信号期間においては、プッシュプル回路15にはドライブパルス+PA、−PAは供給されないので、プッシュプル回路のスイッチング動作を停止させ、プッシュプル回路において貫通電流が流れなくなるようにすることにより、消費電力を低減させることができるのである。
【0188】
なお、スイッチング素子111をオフとしたときに、入力検出部100はドライブ回路13を制御して、その出力+PAを“H”、−PAを“L”とするようにしてもよい。
【0189】
このように、図12、図13に示した、この第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、PWM変調部とドライブ回路との間に設けるスイッチング素子をオン/オフ制御することによって、図6を用いて説明した第2の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、無信号期間におけるプッシュプル回路のスイッチング動作を停止させ、貫通電流が流れないようにしたものである。
【0190】
そして、PWM変調部とドライブ回路との間に設けるスイッチング素子をオフにするように制御して、ドライブ回路にPWM信号を供給しないようにした後に、入力端子Tinを通じて、所定のレベル以上の処理すべきデジタルオーディオ信号Pinが供給されたことが検出された場合には、入力検出部100は、PWM変調部とドライブ回路との間に設けるスイッチング素子をオンにするように制御し、これに供給されるPWM信号をそのまま出力するようにする。
【0191】
これによって、PWM信号のドライブ回路への供給を停止させた後に、通常通りデジタルオーディオ信号Pinの供給が再開された場合には、PWM変調部とドライブ回路との間に設けるスイッチング素子を迅速に切り換えることにより、PWM信号のドライブ回路への供給を再開し、適正にデジタルオーディオ信号の処理を行うことができるようにされる。
【0192】
なお、この第4の実施の形態の場合には、図12のフルブリッジの場合には、スイッチング素子111、112を用い、図13のハーフブリッジの場合には、スイッチング素子111を用いているので、PWM信号のドライブ回路への供給/供給停止を素早く切り換えることができ、前述した第2の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、ノイズの発生しにくいパワーアンプ装置や、少しの周波数変化であってもその変化時間が長い場合に大きな影響を受けてしまうようなパワーアンプ装置に適用して好適である。
【0193】
また、この第4の実施の形態の場合にも、図12、図13に示したように、パワーアンプ装置は、フルブリッジの構成と、ハーフブリッジの構成とのいずれの構成をとることも可能なものである。
【0194】
そして、上述した第3、第4の実施の形態のパワーアンプ装置の場合には、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数は、不変であるので、プッシュプル回路15、16に供給するドライブパルスの周波数を元に戻す場合にも、迅速に戻すようにすることができる。
【0195】
また、上述の第3、第4の実施の形態においては、分周器、あるいは、スイッチング素子をPWM変調部11とドライブ回路13、14との間に設けるようにしたが、これに限るものではない。分周器やスイッチング素子をドライブ回路とプッシュプル回路との間に設けるようにすることもできる。また、分周器の機能やスイッチング素子の機能をPWM変調機11や、ドライブ回路13、14に持たせるようにすることもできる。
【0196】
なお、上述した実施の形態のパワーアンプ装置において、信号無しと判断する場合において、低信号レベルの期間が所定時間以上連続した後に信号無しであると判断するようにしているのは、例えば、1つの楽曲のデジタルオーディオ信号と、これに続く他の楽曲のデジタルオーディオ信号との間の期間など、入力信号の供給が停止された後において、入力信号の供給が再開される可能性が高い期間を無信号期間として検出しないようにするためである。
【0197】
しかし、信号有りと判断する場合には、信号レベルが所定の閾値より大きくなった期間が所定時間継続したことを確認する必要性は乏しく、むしろ、所定レベル以上のデジタルオーディオ信号の供給が再開された場合には、できるだけ迅速に通常の周波数のクロック信号CLKを用いた処理に戻れるようにすることが望ましい。
【0198】
そこで、所定レベル以上の入力信号Pinを検出した場合には、即座にPWM変調部に供給するクロック信号CLKの周波数を元に戻すようにする。この場合、上述した第1の実施の形態、および、第3の実施の形態においては、PLL回路の構成とされたクロック生成回路122や分周器81、82を備えているので、周波数を変化させることにより各回路部分への影響を考慮し、徐々に周波数を上げるようにすることができる。
【0199】
また、入力信号Pinの信号レベルを監視するのではなく、入力機器から入力信号とともに供給される制御信号や情報信号に基づいて入力信号の有無を判断するようにしてもよい。例えば、再生音源機器に対して再生動作をさせるように指示する制御信号を本発明のパワーアンプ装置が受信し、以降の期間を有信号期間と判断し、停止あるいは一時停止させる制御信号を受信した場合は、以降の期間を無信号期間と判断する。制御信号はリモートコマンダから送信されてもよい。
【0200】
また、このパワーアンプ装置が再生音源部を含んでいる場合には、ユーザが操作するリモートコマンダあるいは操作するようにされた操作キーに関する情報を入力検出部であるマイコンに供給するようにし、再生キーを操作したことが通知されたときには、以降の期間を有信号期間とし、また、停止キーや一時停止キーを操作したことが通知されたときには、以降の期間を無信号期間とし、前述の無信号検出期間NSに想到する所定期間以降を、図3に示した周波数低減期間DW、あるいは、図6に示したクロック停止期間SPとするようにしてもよい。
【0201】
さらに、入力信号のレベル表示を行う表示データが供給されるような場合には、この表示用データの有無あるいは表示レベルに応じて、入力信号の有無を判断することもできる。また、DVDプレーやBSデジタルチューナーなどのAV機器からは、オーディオ信号とビデオ信号とは対になって供給されるので、ビデオ信号の無い期間においては、オーディオ信号も供給されていないとみなして、その期間を無信号期間と判断するようにすることもできる。
【0202】
[第5の実施の形態]
前述した第1から第4の実施の形態のパワーアンプ装置は、入力信号が無い場合、すなわち無信号時においてはプッシュプル回路15、16に供給するドライブパルス信号の周波数を低くするようにしたり、また、ドライブパルス信号のプッシュプル回路15、16への供給を停止させたりして、プッシュプル回路15、16に流れる貫通電流を低減するようにした。
【0203】
しかし、ドライブパルス信号の周波数を低減させる期間は、無信号時に限るものではない。例えば、再生音声をいわゆるBGMとして用いる場合には、再生音声が会話や思考の邪魔になることが無いように、音量レベルは比較的に低く抑えられる。このように、音量レベルが低く抑えられている場合においては、高品位な音声再生処理が要求されない場合が多い。
【0204】
そこで、この第5の実施の形態のパワーアンプ装置においては、入力信号であるデジタルオーディオ信号のいわば平均的な信号レベルを検出するようにし、その検出した信号レベルに応じて、PWM変調部において変調のために用いるクロック信号の周波数を変えることにより、消費電力の低減を図ろうとするものである。
【0205】
この第5の実施の形態のパワーアンプ装置は、図1、図4に示した第1の実施の形態のいわゆるD級アンプの構成とされたパワーアンプ装置と同様に構成されるものである。このため、この第5の実施の形態のパワーンプ装置は、図1、図4に示す構成を有するものとして、図1、図5を参照しながら説明する。
【0206】
そして、この第5の実施の形態のパワーアンプ装置の場合、入力検出部20は、第1の実施の形態の場合のように、有信号期間と無信号期間とを検出するものではない。この第5の実施の形態のパワーアンプ装置における入力検出部20は、入力端子Tinを通じて入力されるデジタルオーディオ信号の信号レベルを監視する。
【0207】
入力検出部20は、入力されたデジタルオーディオ信号の入力信号レベルに応じて、PWM変調部11においてデジタルオーディオ信号をPWM変調する際に用いられる予め決められた周波数のクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成回路122の分周器224に供給する。
【0208】
入力検出部20は、入力信号レベルの変化に対応して、クロック生成回路122の分周器に供給する分周比データを変化させる。これによって、クロック生成回路122において生成されて、PWM変調部11に供給されPWM変調に用いられるクロック信号CLKの周波数を変化させる。
【0209】
そして、この場合、入力信号レベルが低くなるにしたがって、クロック生成回路122において生成され、PWM変調部11に供給されるクロック信号CLKの周波数は低くなるようにされる。換言すれば、入力信号レベルが低くなるにしたがって、図3、あるいは、図15、図16に示したPWM信号の1サイクル期間TCが長くなるようにされ、入力信号レベルの低下に対応して、PWM信号の周期が長くなるようにされる。
【0210】
これにより、結果として、プッシュプル回路15、16に供給されるドライバ信号の周波数(スイッチング周波数)が低くなるようにされ、図1、図4に示した構成のパワーアンプ装置における消費電力の省力化が図られることになる。
【0211】
なお、この第5の実施の形態のパワーアンプ装置においては、入力信号の各サンプリング時点における信号レベルのそれぞれに応じて、クロック信号CLKを頻繁に変化させるのではなく、入力信号のいわば平均的なレベルに応じてクロック信号CLKの周波数を変化させるようにしている。
【0212】
したがって、入力検出部20において入力信号レベルは、所定範囲内にあるか否かが判断され、入力信号レベルが例えばAレベル範囲にあるときには、クロック生成回路122に供給する分周比は「a」、入力信号レベルが例えばBレベル範囲にあるときには、クロック生成回路122に供給する分周比は「b」というように決められ、入力信号レベルに応じて、クロック信号CLKの周波数を線形的に変化させることができる。
【0213】
これにより、入力信号であるデジタルオーディオ信号の入力信号レベルが低い場合には、PWM変調部11において用いられるクロック信号CLKが低くなるようにされ、PWM信号の1サイクル期間TCが長くなり、上述もしたように、プッシュプル回路15、16のスイッチング回数を減少させ、貫通電流の発生回数を大幅に削減することができるようにしている。
【0214】
また、入力信号レベルが低い状態から高くなるようにされた場合には、クロック信号生成回路122からPWM変調部11に供給されるクロック信号CLKの周波数も高くなるように戻され、デジタルオーディオ信号の高品位再生ができるようにされる。したがって、BGMとして聞いていた音楽が気に入り、ちゃんと聞きたい場合には、音量を上げるという簡単な操作で、デジタルオーディオ信号を高品位に再生して、その高品位再生音声を聴取するようにすることができる。
【0215】
なお、最新に供給されたデジタルオーディオ信号から過去に所定期間分のデジタルオーディオ信号のレベルの平均値を求めるようにし、この求めたレベルの平均値が予め設けられる1つ以上の閾値以下か否かに応じて、入力検出部20からクロック生成回路122に供給する分周比を変えるようにしてもよい。この場合、デジタルオーディオ信号のレベルの平均値は、入力検出部20において求めるようにすればよい。
【0216】
[第5の実施の形態の変形例]
なお、図1、図4に示したように構成されるこの第5の実施の形態のパワーアンプ装置の場合には、入力信号レベルに応じて、PWM変調処理に用いられるクロック信号CLKを線形的に変化させることができるが、入力信号レベルに応じてPWM変調処理に用いるクロック信号CLKをステップ的に変化させるようにすることもできる。
【0217】
例えば、図10、図11に示した第3の実施の形態のD級アンプの構成とされたパワーアンプ装置とほぼ同様に構成することにより、入力信号レベルに応じてPWM変調処理に用いるクロック信号CLKをステップ的に変化させるパワーアンプ装置を構成することができる。
【0218】
しかし、この場合、図10、図11に示した分周器81、82は単なる分周器ではなく、1サイクル期間TCを単位として、PWM変調部11からのPWM信号の信号成分のみを必要な分だけ間引くようにする信号間引き回路としての機能を有するように構成する。このため、ここでは、図10、図11において分周器として示した回路81、82を、信号間引き回路81、82ということにする。
【0219】
そして、PWM変調部11においては、常時一定の周波数のクロック信号CLKを用いてPWM変調を行うようにする。一方、入力検出部80は、入力信号レベルを監視し、入力信号レベルに応じて、1サイクル期間単位にオン/オフが制御するようにされた間引き信号を信号間引き回路81、82に供給するようにする。
【0220】
例えば、通常のPWM信号の2分の1のPWM信号しか用いないようにPWM信号を間引きたい場合には、例えば入力検出部80は、1サイクル期間TC毎にオン状態とオフ状態とが切り換わる間引き信号を形成するようにし、これを信号間引き回路81、82に供給する。
【0221】
そして、信号間引き回路81、82においては、PWM変調部11からのPWM信号と、例えば、入力検出部80からの1サイクル期間TC毎にオン状態とオフ状態が切り換わる間引き信号とのAND演算を行うことにより、間引き信号がオン状態にある1サイクル期間のPWM信号が後段の回路に出力するようにされ、間引き信号がオフ状態にある1サイクル期間においては、その期間はそのまま残るが、PWM信号自体は0レベルとされるので、PWM信号の2分の1間引きが行われることになる。
【0222】
また、通常のPWM信号の3分の1のPWM信号しか用いないようにPWM信号を間引きたい場合には、例えば入力検出部80は、1サイクル期間TCがオン状態になったら、次に2サイクル期間2TCはオフ状態となるというように、連続する3サイクル期間3TCの内の最初の1サイクル期間TCだけオン状態、次の2サイクル期間2TCはオフ状態となる間引き信号を形成し、これとPWM信号とのAND演算を行うことにより、PWM信号の通常のPWM信号の3分の1に間引くことができる。
【0223】
このようにすることにより、入力信号のレベルが低くなるにしたがって、プッシュプル回路15、16に供給されることになるドライブ信号の周波数をステップ的に低くするようにして、パワーアンプ装置の消費電力を低減させることができる。もちろん、入力信号のレベルが高くなってきたときには、これに応じて、間引きの割合を減らして行くことにより、プッシュプル回路15、16に供給するドライバ信号の周波数を高くしていき、高品位の音声再生を行うように戻すことができることはいうまでも無い。
【0224】
このように、入力信号レベルが低く、高品位再生を行う必要の無い期間においては、プッシュプル回路15、16に要求するドライブ信号の周波数を低くすることにより、パワーアンプの消費電力を効率よく低減させることができる。しかも、デジタルオーディオ信号の再生は、高品位度は低下するものの続行され、BGMとして利用されるなど、その利用ができなくなるなどの不都合を生じさせることもない。
【0225】
また、この他にも、入力信号レベルに応じて、プッシュプル回路15、16に供給するドライブ信号の周波数を調整する種々の対応のパワーアンプ装置を構成することも可能である。
【0226】
さらに、この実施の形態においても、前述のように入力端子Tstを通じて供給されるステータス信号STによりクロック信号CLKの周波数や信号間引き回路の間引き周期を制御するようにしてもよい。このステータス信号STとして、入力信号レベルを間接的に表すものとして複数段階の音質モードに対応させるようにしてもよい。例えば、高音質モードではクロック信号CLKの周波数を768kHzといった通常使用時の周波数とし、低音質モードではクロック信号CLKの周波数を十分に低くすることが考えられる。
【0227】
また、上記の実施の形態では、信号間引き回路によりPWM信号の1サイクル期間を実質的に長くするようにしたが、これに限らず、連続する複数のサイクル期間にわたってPWM変調部11で形成されたPWM信号のオン状態のパルス幅を累積して、この複数サイクル期間に1度累積された時間幅のオン区間を生成するようにしてもよい。
【0228】
なお、上述した各実施の形態において、フルブリッジの構成のパワーアンプ装置は、例えば、家庭などの屋内において用いられるオーディオ機器やAV機器などのいわゆる据え置き型のパワーアンプ装置、あるいは、据え置き型の電子機器に内蔵されるパワーアンプ装置であって、高性能が要求されるパワーアンプ装置に用いて好適なものである。
【0229】
また、ハーフブリッジの構成のパワーアンプ装置の場合には、構成が簡単であるので、低価格のオーディオ機器やAV機器、あるいは、携帯用のオーディオ機器などに用いて好適なものである。
【0230】
なお、左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号を処理する場合には、上述した各パワーアンプ装置が、左右2チャンネル分必要になる。しかし、左右のチャンネルでその構成が変わることはない。
【0231】
また、上述の実施の形態において用いたデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数やサンプリング周波数に基づくキャリア周波数の値は一例であり、各種の値に対応することができる。
【0232】
例えば、家庭内において用いられるAV機器のパワーアンプ装置の場合、これに供給されるオーディオ信号は、CD(Compact Disc)プレーヤ、MD(Mini Disc)プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disc)、ハードディスク装置、DAT(Digital Audio Tape)プレーヤ、半導体メモリプレーヤなど種々のものから供給されることが考えられ、供給元によって、そのオーディオ信号のサンプリング周波数も異なる場合もある。
【0233】
そこで、上述した各実施の形態のパワーアンプ装置において、例えば、使用者により選択された入力元の電子機器の種別の情報を得て、入力されるデジタルオーディオ信号に応じたサンプリング周波数を選択して用いるようにしてもよい。
【0234】
また、上述の実施の形態においては、いずれの場合にも、電源電圧は、いわゆる片側電源であるものとしたが、これに限るものではなく、正負電源を用いるようにしてもよい。
【0235】
また、上述の実施の形態においては、デジタルオーディオ信号である入力信号をPWM変調する場合を例に説明したが、これに限るものではない。入力信号をPNM(Pulse Number Modulation)変調するパワーアンプ装置にもこの発明を適用することが可能である。
【0236】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、入力信号が無い、あるいは、入力信号がヌルストリームである場合に、プッシュプル回路に流れるいわゆる貫通電流の発生回数を低減させ、消費電力の省力化を実現したデジタルアンプであるパワーアンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態を説明するための図である。
【図2】図1に示したパワーアンプ装置のクロック生成回路の一例を説明するためのブロック図である。
【図3】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【図4】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の構成例を説明するための図である。
【図5】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態を説明するための図である。
【図6】図5に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【図7】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態の他の構成例を説明するための図である。
【図8】図5に示したパワーアンプ装置の変形例を説明するための図である。
【図9】図7に示したパワーアンプ装置の変形例を説明するための図である。
【図10】この発明によるパワーアンプ装置の第3の実施の形態を説明するための図である。
【図11】この発明によるパワーアンプ装置の第3の実施の形態の他の構成例を説明するための図である。
【図12】この発明によるパワーアンプ装置の第4の実施の形態を説明するための図である。
【図13】この発明によるパワーアンプ装置の第4の実施の形態の他の構成例を説明するための図である。
【図14】いわゆるD級アンプと呼ばれる従来のパワーアンプ装置の構成例を説明するための図である。
【図15】図14に示した従来のパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【図16】図14に示した従来のパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
11…PWM変調部、12…クロック生成部、13、14…DRV(ドライブ回路)、15、16…プッシュプル回路、17、18…ローパスフィルタ、19…スピーカ、20…入力検出部(マイコン)、121…発振回路、122…クロック生成回路、Tin…入力端子、TPWR…電源端子、31…コンデンサ、40…入力検出部(マイコン)、50…AND回路、60…入力検出部、70…スイッチ素子、80…入力検出部…80、81、82…分周器、100…入力検出部(マイコン)、111、112…スイッチ素子、Q11、Q12…FET(電界効果トランジスタ)、Q13、Q14…FET(電界効果トランジスタ)
Claims (12)
- 入力信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記入力信号の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段により、前記入力信号が無いことが検出された場合に、前記スイッチング手段の前段において、前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数を低くするようにする周波数制限手段と
を備えることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記周波数制限手段は、前記パルス変調手段に供給するクロック信号を形成するものであって、前記クロック信号の周波数の可変制御が可能なクロック信号生成手段であることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記周波数制限手段は、前記スイッチング手段の前段の所定の位置に設けられ、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数を低くするようにする信号分周手段であることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記検出手段は、少なくとも前記入力信号が無いことを示す信号の供給を受け、当該信号に基づいて、前記入力信号の有無を検出することを特徴とするパワーアンプ装置。 - 入力信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記増幅手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記入力信号の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段により、前記入力信号が無いことが検出された場合に、前記1対のスイッチ素子への前記ドライブパルスの供給を停止させるようにする供給制限手段と
を備えることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項5に記載のパワーアンプ装置であって、
前記供給制限手段は、前記パルス変調手段へのクロック信号の供給/停止を制御するクロック信号供給制御手段であることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項5に記載のパワーアンプ装置であって、
前記供給制限手段は、前記スイッチング手段の前段の所定の位置に設けられ、前記スイッチング手段への前記ドライブパルスの供給/停止を制御するドライブパルス供給制御手段であることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項5に記載のパワーアンプ装置であって、
前記検出手段は、少なくとも前記入力信号が無いことを示す信号の供給を受け、当該信号に基づいて、前記入力信号の有無を検出することを特徴とするパワーアンプ装置。 - 入力信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記入力信号の平均的なレベルを検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段の検出結果に応じて、前記スイッチング手段の前段において、前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数を制御する周波数制御手段と
を備えることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項9に記載のパワーアンプ装置であって、
前記周波数制御手段は、前記パルス変調手段に供給するクロック信号を形成するものであって、前記クロック信号の周波数の可変制御が可能なクロック信号生成手段であることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項9に記載のパワーアンプ装置であって、
前記周波数制限手段は、前記スイッチング手段の前段の所定の位置に設けられ、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの信号成分を間引くようにする信号間引き手段であることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項9に記載のパワーアンプ装置であって、
前記レベル検出手段は、前記入力信号のレベル状態を示す信号の供給を受けて、前記入力信号のレベルを検出することを特徴とするパワーアンプ装置。
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