JP2004060632A - ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ケース7の底部に配置した円形のダイヤフラム5は、外周緑がケース7に固定支持されている。ダイヤフラムの底面には、ダイヤフラム5を動かすための圧電素子6が配置されている。ダイヤフラム6とケース7の上壁との間の空間がポンプ室3であり、このポンプ室へ向けて流体抵抗要素である逆止弁4を設けた入口流路1と、ポンプ動作中でも常にポンプ室と運通した出口流路2とが開口している。このポンプは、周期制御手段により、ポンプ吐出流体体積、吐出圧力を増加させたダイヤフラムの周期となるように、圧電素子を駆動制御している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ピストンあるいはダイヤフラム等により、ポンプ室内の容積を変更して流体の移動を行う容積形ポンプに関連し、特に、信頼性が高くかつ流量が多いポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のポンプとしては、入口流路及び出口流路と容積が変更可能なポンプ室との間に、逆止弁が取り付けられている構成のものが一般的である。(例えば特許文献1参照)
また、流体の粘性抵抗を利用して一方向への流れを生じさせるポンプ構成として、出口流路に弁を備え、その弁の開弁時には入口流路が出口流路よりも大きい流体抵抗を有するようにした構成のものがある。(例えば特許文献2参照)
【0003】
さらに、弁部に可動部品を使わず、ポンプの信頼性を向上させるポンプ構成として、入口流路、出口流路ともに圧力降下が流れの方向によって異なる流路形状をした圧縮構成要素を備えた構成のものがある。(例えば特許文献3及び非特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開平10−220357号公報
【特許文献2】特開平08−312537号公報
【特許文献3】特表平08−506874号公報
【非特許文献1】Anders Olsson, An improved valve‐less pump fabricate using deep reactive ion etching,1996 IEEE 9th Internationa1 Workshop on Micro E1ectro Mechanical Systems,p.479−484
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の構成では、入口流路及び出口流路ともに逆止弁が必要であり、流体が2個所の逆止弁を通過すると圧力損失が大きいという問題がある。また、逆止弁は繰り返し開閉するために疲労損傷する危険があり、逆止弁の数が多いほど信頼性が低くなるという問題もある。
【0006】
特許文献2の構成では、ポンプ吐出行程時に入口流路に生じる逆流を少なくするために、入口側流路の流体抵抗を大きくする必要がある。すると、ポンプ吸入行程では、その流体抵抗に逆らって流体をポンプ室内へ導入するために、吐出行程に比べ吸入行程がかなり長くなる。従って、ポンプの吐出吸入サイクルの周波数はかなり低くなってしまう。
【0007】
ピストンあるいはダイヤフラムを上下動させるポンプは、ピストンあるいはダイヤフラムの面積が等しい場合、一般的に上下動させる周波数が高いほど流量が多くなり出力が高くなる。しかし、特許文献2の構成では前述したように低い周波数でしか駆動できないため、小型で高出力なポンプを実現できない問題がある。
【0008】
特許文献3の構成は、ポンプ室体積の増減に従い圧縮構成要素を通過する流体の、流れの方向による圧力降下の違いにより正味流量を一方向に流す構成のため、ポンプ出口側の外部圧力(負荷圧力)が高くなるにつれて逆流量が増えてしまい、高負荷圧力ではポンプ動作をしなくなる問題がある。非特許文献1によると、最大負荷圧力は0.760気圧程度である。
【0009】
そこで本発明は、機械的開閉弁の個数を減らして、圧力損失を減らすとともに信頼性を高め、高負荷圧力に対応し、高周波駆動に対応し、ポンプ吐出流体体積も増加させ、さらに駆動効率の良いポンプの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1請求項に記載の発明は、ピストンあるいはダイヤフラム等の可動壁を変位させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動制御する駆動手段と、前記可動壁の変位により容積が変更可能なポンプ室と、前記ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路とを備えたポンプにおいて、前記出口流路は、ポンプ動作時に前記ポンプ室と連通し、前記入口流路の合成イナータンス値は前記出口流路の合成イナータンス値よりも小さく、前記入口流路は、ポンプ室に動作流体が流入する場合の流体抵抗が流出する場合の流体抵抗よりも小さくなる流体抵抗要素を備え、前記駆動手段は、前記可動壁の運動周期を変更する周期制御手段を備えている。
【0011】
ここで、イナータンス値Lとは、流路の断面積をS、流路の長さをl、動作流体の密度をρとした場合に、L=ρ×l/Sで与えられる。流路の差圧をΔP、流路を流れる流量をQとした場合に、イナータンス値Lを用いて流路内流体の運動方程式を変形することで、ΔP=L×dQ/dtという関係が導き出される。つまり、イナータンス値Lとは、単位圧力が流量の時間変化に与える影響度合を示しており、イナータンス値Lが大きいほど流量の時間変化が小さく、イナータンス値Lが小さいほど流量の時間変化が大きくなる。
【0012】
また、複数の流路の並列接続や、複数の形状が異なる流路の直列接続に関する合成イナータンス値は、個々の流路のイナータンス値を、電気回路におけるインダクタンスの並列接続、直列接続と同様に合成して算出すれば良い。
また、ここで言う入口流路とは、入口接続管の流体流入側端面までの流路のことを言う。ただし、管路の途中に脈動吸収手段が接続されている場合は、ポンプ室内から脈動吸収手段との接続部までの流路のことを言う。さらに、複数のポンプの入口流路が合流している場合は、ポンプ室内から合流部までの流路のことを言う。出口流路についても同様である。
【0013】
この請求項1のポンプによると、入口流路の合成イナータンス値を出口流路の合成イナータンス値よりも小さくしてあるので、入口流路の流体は、大きな流体速度の変化率で流入し、吸入流体体積(=吐出流体体積)を増加させることができる。
また、周期制御手段を備えることで、排除流体体積の無駄な消費を防止し、ポンプ吐出流体体積、吐出圧力が増加するので、駆動効率の良いポンプを提供することができる。
【0014】
また、請求項2に記載されているように、周期制御手段は、前記出口流路より下流側の負荷圧力に応じて前記可動壁の運動周期を変更することが好ましい。
また、請求項3に記載されているように、前記周期制御手段は、前記可動壁のポンプ室容積圧縮行程での変位時間、変位量、または、変位速度に応じて前記可動壁の運動周期を変更することが好ましい。
【0015】
また、請求項4に記載されているように、周期制御手段は、前記ポンプ室の圧力を検出するポンプ圧力検出手段の検出情報に基づいて前記可動壁の運動周期を変更することが好ましい。
また、請求項5に記載されているように、周期制御手段は、前回の可動壁の運動が終了した後、前記ポンプ圧力検出手段が圧力上昇を検出したときに、次回の可動壁の運動を開始させる制御を行うことが好ましい。
【0016】
また、請求項6に記載されているように、周期制御手段は、所定の値と前記ポンプ圧力検出手段の検出値とを用いた演算値に基づいて、前記可動壁の運動周期を変更することが好ましい。
また、請求項7に記載されているように、前記所定の値は、前記アクチュエータを駆動する前に、前記ポンプ圧力検出手段が測定した前記ポンプ室の圧力であることが好ましい。
【0017】
また、請求項8に記載されているように、前記所定の値は、前回の駆動波形を印可して所定の時間が経過した後に、前記ポンプ圧力検出手段が測定した前記ポンプ室の圧力であることが好ましい。
また、請求項9に記載されているように、前記所定の値は、予め入力された、前記出口流路より下流側の負荷圧力に略相当する値であることが好ましい。
【0018】
また、請求項10に記載されているように、前記出口流路より下流側の負荷圧力を検出する負荷圧力検出手段を備え、前記所定の値は、前記負荷圧力検出手段の測定値であることが好ましい。
また、請求項11に記載されているように、前記演算値は、前記ポンプ圧力検出手段で検出した検出値が前記所定の値以上となる期間について、前記検出値と前記所定の値との差を時間積分した演算値であることが好ましい。
【0019】
さらに、請求項12に記載されているように、前記入口流路に受動型の弁を備え、前記周期制御手段は、前記弁の変位を検出し、その検出値に基づいて前記可動壁の運動周期を変更することが好ましい。
また、請求項13に記載されているように、前記周期制御手段は、前記出口流路を含んだ下流側の流速を検出する流速測定手段の検出情報に基づき、前記可動壁の運動周期を変更することが好ましい。
【0020】
また、請求項14に記載されているように、周期制御手段は、前回の可動壁の運動が終了した後、前記流速測定手段が流速増加を検出したとき以降に、次回の可動壁の運動を開始させる制御を行うことが好ましい。
また、請求項15に記載されているように、周期制御手段は、前記流速測定手段が測定した流速の最大値と最小値との差により、前記可動壁の運動周期を変更することが好ましい。
【0021】
また、請求項16に記載されているように、前記周期制御手段は、前記入口流路の吸入体積、又は前記出口流路の吐出体積を検出する移動流体体積測定手段の検出情報に基づき、前記可動壁の運動周期を変更することが好ましい。
さらに、請求項17に記載されているとうに、前記アクチュエータは、圧電素子であることが好ましい。
【0022】
さらにまた、請求項18に記載されているように、前記アクチュエータは、超磁歪素子であることが好ましい。
【0023】
また、請求項19記載の発明は、ピストンあるいはダイヤフラム等の可動壁を変位させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動制御する駆動手段と、前記可動壁の変位により容積が変更可能なポンプ室と、前記ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路とを備えたポンプにおいて、
前記入口流路は、ポンプ室に動作流体が流入する場合の流体抵抗が流出する場合の流体抵抗よりも小さくなる流体抵抗要素を備え、前記駆動手段は、ポンプ内圧力変動が1周期生じる間に、前記アクチュエータを複数回駆動する。
この請求項19記載の発明によると、吐出流体体積を増やせるとともに、逆止弁の耐久性が向上する。
【0024】
また、請求項20記載の発明は、ピストンあるいはダイヤフラム等の可動壁を変位させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動制御する駆動手段と、前記可動壁の変位により容積が変更可能なポンプ室と、前記ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路とを備えたポンプにおいて、
前記入口流路は、ポンプ室に動作流体が流入する場合の流体抵抗が流出する場合の流体抵抗よりも小さくなる流体抵抗要素を備え、前記ポンプ室の容積変化量が最大となる周波数と、ポンプ内流体共振周波数とをほぼ等しくした。
この請求項20記載の発明によると、ポンプからの吐出流体体積を減らすことなくアクチュエータ単体の変位量をより少なく駆動することが可能とり、アクチュエータの内部損失が減るため効率よくポンプを駆動する効果がある。
【0025】
また、請求項21に記載されているように、請求項19乃至20記載の発明において前記入口流路の合成イナータンス値は前記出口流路の合成イナータンス値よりも小さくすることが、吸入流量を増やし吐出流体体積を増加させる点で好ましい。
さらに、請求項22に記載されているように、請求項19乃至21記載の発明において、前記出口流路は、ポンプ動作時に前記ポンプ室と連通していることが好ましい。
【0026】
また、請求項23に記載されているように、請求項19乃至22記載の発明において、前記アクチュエータは、圧電素子であることが好ましい。
また、請求項24に記載されているように、請求項19乃至22記載の発明において、前記アクチュエータは、超磁歪素子であることが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
先ず、本発明の各実施形態に係わるポンプの構造について図1で説明する。図1は、本発明のポンプの縦断面を示している。円筒形状のケース7の底部に円形のダイヤフラム5を配置している。ダイヤフラム5は、外周緑がケース7に固定支持されて弾性変形自在となっている。ダイヤフラム5の底面には、ダイヤフラム5を動かすためのアクチュエータとして、図面の上下方向に伸縮する圧電素子6が配置されている。
【0028】
ダイヤフラム5とケース7の上壁との間の狭い空間がポンプ室3であり、このポンプ室3へ向けて流体抵抗要素である逆止弁4を設けた入口流路1と、ポンプ動作中でも常にポンプ室と運通した細い穴のあいた管路である出口流路2とが開口している。そして、入口流路1を構成する部品の外周の一部は、ポンプに図示していない外部要素を接続するための入口接続管8となっている。また、出口流路2を構成する部品の外周の一部は、ポンプに図示していない外部要素を接続するための出口接続管9となっている。また、入口流路、出口流路ともに、動作流体の入口側を丸めた丸め部分15a,15bがある。
【0029】
ここで、イナータンス値Lの定義を行なう。流路の断面積をS、流路の長さをl、動作流体の密度をρとした場合に、L=ρ×l/Sで与えられる。流路の差圧をΔP、流路を流れる流量をQとした場合に、イナータンス値Lを用いて流路内流体の運動方程式を変形することで、ΔP=L×dQ/dtという関係が導き出される。
【0030】
つまりイナータンス値Lとは、単位圧力が流量の時間変化に与える影響度合を示しており、イナータンス値Lが大きいほど流量の時間変化が小さく、イナータンス値Lが小さいほど流量の時間変化が大きくなる。
また、複数の流路の並列接続や、複数の形状が異なる流路の直列接続に関する合成イナータンス値は、個々の流路のイナータンス値を、電気回路におけるインダクタンスの並列接続、直列接続と同様に合成して算出すれば良い。
【0031】
また、ここで言う入口流路とは、入口接続管8の流体流入側端面までの流路のことを言う。ただし、管路の途中に脈動吸収手段が接続されている場合は、ポンプ室3内から脈動吸収手段との接続部までの流路のことを言う。さらに、複数のポンプの入口流路1が合流している場合は、ポンプ室3内から合流部までの流路のことを言う。出口流路についても同様である。
【0032】
図1に基づいて、入口流路1、出口流路2の流路長さ、面積の記号関係を説明する。入口流路1において、逆止弁4近傍の縮径管路部の長さをL1、面積をS1とし、残りの拡大された管路部の長さをL2、面積をS2とする。また、出口流路2において、出口流路2の管路の長さをL3、面積をS3とする。
以上の記号と、動作流体の密度ρを用いて、入口流路1、出口流路2のイナータンス関係を説明する。
【0033】
入口流路1のイナータンスは、ρ×L1/S1+ρ×L2/S2として算出される。一方、出口流路2のイナータンスは、ρ×L3/S3として算出される。そして、これら流路は、ρ×L1/S1+ρ×L2/S2<ρ×L3/S3を満たす寸法関係となっている。
以上の構成において、ダイヤフラム5の形状は円形に限定するものではない。また、例えばポンプ停止時に万一加えられる過大な負荷圧力からポンプ構成部品を守るために、出口流路2に弁要素が配置されても、少なくともポンプ動作時にポンプ室と連通していれば構わない。また、逆止弁4は、流体の圧力差によって開閉するものだけではなく、流体の圧力差以外の力で開閉を制御することができるタイプのものを使用しても構わない。
【0034】
さらに、ダイヤフラム5を動かすアクチュエータ6には伸縮するものであれば何を使用しても良いが、本発明のポンプ構造は、アクチュエータとダイヤフラム5とが変位拡大機構を介さずに接続され、ダイヤフラムを高い周波数で運転可能なため、本実施形態のように応答周波数が高い圧電素子6を使用することで、高周波駆動による流量増加ができ、小型高出力なポンプが実現できる。同様に高い周波数特性を有する超磁歪素子を使用しても良い。
【0035】
また、機械的開閉弁は吸入側のみに配置すれば良いため、弁による流量減少を減らすとともに信頼性も高くなる。
なお、本実施形態から第8実施形態までの全てにおいて、ポンプ内に導かれる動作流体は水を使用している。ただし、アルコール系、油系、何らかの添加剤を加えたもの等、他の流体を使用しても良い。
【0036】
次に、図1で示した構造のポンプにおけるダイヤフラムの運動周期について図2、図3、図4及び図5を用いて説明する。
図2には、ポンプを運転したときの、ダイヤフラム5の変位の波形W1、ポンプ室3の内圧の波形W2、出口流路2を通過する流体の体積速度(出口管路の断面積×流体の流速であり、この場合は流量と等しい量。)の波形W3、逆止弁4を通過する流体の体積速度W4の波形を示している。また、図2に示している負荷圧力Pfuは、出口流量2より下流側位置の流体圧力であり、吸入側圧力Pkyは、入口流路1より上流側の流体圧力である。
【0037】
ダイヤフラム5の変位の波形W1に示すように、波形の傾きが正の領域が、圧電素子6が延びてポンプ室3の容積が減少している過程である。また、波形の傾きが負の領域は、圧電素子6が縮んでポンプ室3の容積が増大している過程である。
そして、約4.5μm変位した平坦な波形区間が、ダイヤフラム5の最大変位量、即ち、ポンプ室3の容積が最小となるダイヤフラム5の変位位置である。
【0038】
ポンプ室3の内圧変化の波形W2に示すように、ポンプ室3の容積を減少する過程が始まると、ポンプ室3の内圧上昇が開始する。そして、ポンプ室3の容積を減少する過程が終了する前に、ポンプ室3の内圧最大値を迎えて減少し始めている。この内圧最大の地点は、ダイヤフラム5による排除流体の体積速度と、波形W3で示した出口流路2の流体の体積速度とが等しくなる点である。
【0039】
この理由は、この時刻より前では、
排除流体の体積速度 − 出口流路2を通過する流体の体積速度 > 0
の関係を有しているので、その分ポンプ室3内の流体が圧縮され、ポンプ室3内の圧力が上昇し、この時刻より後では、
排除流体の体積速度 − 出口流路2を通過する流体の体積速度 < 0
の関係を有しているので、その分ポンプ室3内の流体の圧縮量が減少し、ポンプ室3内の圧力は降下するからである。
【0040】
ポンプ室3内の圧力は、各時刻によるポンプ室3内の流体の体積変化をΔVとすると、
ΔV = ダイヤフラムによる排除流体体積 + 吸入流体体積 − 吐出流体体積
と流体の圧縮率との関係に従って変化する。したがって、ポンプ室3の容積が減少している過程であっても、負荷圧力Pfuよりもポンプ室3内の圧力が低下する場合もある。
【0041】
さらに、図2の場合では、ポンプ室3内圧力が吸入側圧力Pkyよりも低下し、絶対0気圧に近づいたところで、動作流体中に溶けていた成分がガス化して気泡となるエアレーションやキャビテーンヨンが起こり、絶対0気圧付近で飽和している。ただし、ポンプを含んだ流路系全体が加圧され吸入側圧力Pkyも十分に高い場合は、エアレーションやキャビテーションは発生しない場合もある。
【0042】
また、出口流路2の流体の体積速度の波形W3に示すように、出口流路2内では、ポンプ室3内圧力が負荷圧力Pfuよりも大きい期間が、ほぼ流体の体積速度の増加期間となっている。そして、ポンプ室3内圧力が負荷圧力Pfuより低下すると、出口流路2内の流体の体積速度も減少し始める。
ポンプ室3内圧力と負荷圧力Pfuとの差圧をΔPout、出口流路2での流体抵抗をRout、イナータンスをLout、流体の体積速度をQoutとおくと、出口流路2内の流体には、
【0043】
【数1】
【0044】
という関係が成り立つため、これら流体の体積速度の変化率は、ΔPoutとRout×Qoutとの差をイナータンス値Loutで割ったものと等しい。そして、1周期分の波形W3で示されている流体の体積速度を積分した値が、1周期当たりの吐出流体体積となる。
また、逆止弁4を通過する流体の体積速度変化の波形W4に示すように、入口流路1では、ポンプ室3の圧力が吸入側圧力Pkyよりも減少すると、その圧力差によって逆止弁4が開き、流体の体積速度が増加し始める。また、ポンプ室3の圧力が上昇し、吸入側圧力Pkyよりも増加すると、流体の体積速度が減少し始める。そして、逆止弁4の逆止効果によって逆流は防がれている。
【0045】
ポンプ室3の圧力と吸入側圧力Pkyとの差圧をΔPin、出口流路2での流体抵抗をRin、イナータンスをLin、流体の体積速度をQinとおくと、入口流路1内の流体でも、
【0046】
【数2】
【0047】
という関係が成り立つため、これら流体体積速度の変化率も、ΔPinとR in×Qinとの差を入口流路1のイナータンス値Linで割ったものと等しい。
そして、1周期分の波形W4で示されている流体の体積速度を積分した値が、1周期当たりの吸入流体体積である。そして、この吸入流体体積は、波形W3で算出した吐出流体体積と等しい。
【0048】
ここで、イナータンスの定義式を時間積分すると、
【0049】
【数3】
【0050】
となる。イナータンス値は一定なので、ある管路において、その両端の差圧の積分値が大きいほどその期間での管路内流体の流体体積速度Qの変化量が大きくなる。出口流路2で考えると、ポンプ室3の内圧と負荷圧力Pfuとの差圧の積分値が大きいほど、出口流路2内部の流体には吐出方向へ向う速い流れ(=大きな運動量も持った流れ)が生じ、吐出流体体積が増加する。その運動量が減少するまでには、入口流路1側から多くの流体をポンプ室3内に導入することができ、それと共に吐出流体体積と吸入流体体積とが等しくなるまでの時間も長くなる。つまり、出口流路2において(3)式の左辺の値の大きさによって、1サイクル当りのポンプの吐出流量(=吸入流量)や、吐出流体体積と吸入流体体積とが等しくなるまでの時間が変化する。そして、ダイヤフラムのポンプ室容積減少行程における変位速度を速くすると、この(3)式の左辺の値は増加する傾向にある。
【0051】
次に、圧電素子6に対する前回の駆動電圧印可後、次の駆動電圧を印可するタイミングについて説明する。
先に説明したように、ポンプ室3内の圧力は、各時刻によるポンプ室3内の流体の体積変化をΔVで示すと、
ΔV =ダイヤフラム5による排除流体体積 + 吸入流体体積 − 吐出流体体積
と流体の圧縮率との関係に従って変化する。そして、本構造のポンプは出口流路2とポンプ室3とが連通しているため、ΔV=0となる時には、ポンプ室3内の圧力は負荷圧力Pfuと等しくなる。従って、ΔV<0の範囲では、ポンプ室3の圧力は負荷圧力Pfuよりも低くなっている。そのため、ΔV<0の範囲で圧電素子6に対して次回の駆動電圧を印可すると、ΔV=0となるまでの排除体積が、ポンプ室3の圧力を負荷圧力Pfuと等しくするためにポンプ室3の流体を圧縮することに使われ無駄となる。
【0052】
このような排除体積の無駄な消費を防ぐことにより、ポンプの吐出流体体積を増加させることが可能となる。そのためには、ポンピング1回分の駆動が終了した後(ダイヤフラム5による排除流体体積の正味量が零となった後)、吐出流体体積と吸入流体体積が等しくなった時刻以降に、次回の圧電素子6に対する駆動電圧を印可するのがよい。
【0053】
ところが、ポンプ室3の流体の圧力波は様々な要因で変化する。ダイヤフラム5をSIN波形で運動させた時には、駆動周期に対して吐出流体体積は図3のように変化する。図3には2つの吐出流体体積のピークがあるが、それぞれのピークに対応する駆動周期でのポンプ室3内圧力とダイヤフラム変位について図4、図5に示してある。図4は、ダイヤフラム変位の周期とポンプ室圧力の周期が等しい1倍波モードと呼んでいる駆動状態であり、図5は、ダイヤフラム変位の周期に比べてポンプ室圧力の周期が2倍になっている2倍波モードと呼んでいる駆動状態である。図4と図5とでは、ポンプ室の圧力波形が異なっており、先に説明した(3)式の左辺の値も異なっている。具体的には、図5の2倍波モードの方が、図4の1倍波モードよりも圧力波形のピークが大きく、(3)式の左辺の値も大きい。そのため、先に説明したように、吐出流体体積と吸入流体体積が等しくなる時刻も変化する。(2倍波モードを示す図5は、1倍波モードを示す図4と比較して吐出流体体積と吸入流体体積が等しくなるまでの時間が長くなる)。その吐出流体体積と吸入流体体積が等しくなった時刻と、ダイヤフラムがポンプ室容積圧縮方向へ運動する期間とがうまく同調した駆動周波数において、図3に示した吐出流体体積のピークが存在する。この2つのモードでポンプ室の圧力波形が異なる理由は、ダイヤフラムの変位量は等しいいものの、図5の方が図4と比べて、駆動周期が短くダイヤフラムのポンプ室容積減少行程における変位速度が速いためである。
【0054】
このように、ポンプ室3の圧力は、特に、圧電素子6を駆動してダイヤフラム5がポンプ室3の容積を減少する方向への変位時間、最大変位量、変位速度、負荷圧力の変化により大きな影響を受け、それに伴い吐出流体体積と吸入流体体積が等しくなる時刻も変化し、圧電素子6に対する前回の駆動電圧印可後、次の駆動電圧を印可する最適なタイミングも変化する。
【0055】
再び図3に基づいて説明を加える。
図3において、1倍波より2倍波が発生した方が吐出流体体積が増えている。また、2倍波モードで駆動すると逆止弁の開閉回数は駆動周波数の1/2となり、図3から分かるように、2倍波モードで駆動した逆止弁の開閉回数は1倍波モードで駆動したときの逆止弁の開閉回数よりも少なくなる。一般的に疲労破壊は荷重の繰り返し回数に関係している。そのため、2倍波モードで駆動したほうが逆止弁の耐久性が向上する。図3ではダイヤフラムの駆動波形をSIN波形とした場合を示したが、それ以外でもSIN波形に近い波形や、ダイヤフラムの変位速度が駆動周期の関数となる駆動波形で駆動した場合も同様のことが生じる。
【0056】
また、前述したように、図3における吐出流体体積ピーク周波数は、吐出流体体積と吸入流体体積が等しくなった時刻(=ポンプ室内圧が負荷圧力と等しくなった時刻)とダイヤフラムがポンプ室容積圧縮方向へ運動する期間とが毎回うまく同調した駆動周波数である。ここで、この周波数のことをポンプ内流体共振周波数と呼ぶこととする。
アクチュエータやダイヤフラム、更には、ポンプ室を構成する他の壁部品といったポンプ室を構成する機械部品の共振周波数(この周波数においてはポンプ室3の容積変化が最大となる)と、ポンプ内流体共振周波数とをほぼ等しくすることで、ポンプからの吐出流体体積を減らさずにアクチュエータ単体の変位量をより少なく駆動することが可能となる。これはアクチュエータの内部損失が減るため効率よくポンプを駆動する効果がある。
【0057】
次に、図6及び図7は、本発明に係る第1実施形態を示すものである。
図6は、本実施形態の圧電素子6の駆動制御を行う駆動手段20のブロック図であり、周期制御回路(周期制御手段)22と、電圧波形発生回路24とで構成されている。
電圧波形発生回路24は、後述するトリガー信号を受ける度に、トリガー信号を受ける前までに設定された電圧波形を1回発生させる波形発生回路24aと、駆動に必要な所定の電力に増幅し圧電素子6に供給する増幅アンプ回路24bとを備えている。
【0058】
周期制御回路22は、ポンプ室3の容積を減少させる方向へダイヤフラム5を変位させる時間(変位時間)、最大変位、負荷圧力の信号が入力されるI/Oポート22aと、各入力値の組み合わせに対する最適な運動周期をあらかじめ実験的に求めておき、図7に示すマップを記録しているROM22bと、I/Oポート22aへの入力値でROM22bを参照し、対応する周期でトリガー信号を発生するCPU22cとを備えている。
【0059】
本実施形態によると、周期制御回路22が、変位時間、最大変位、負荷圧力の変化に対して最適な周期を選択し、圧電素子6を制御することで、吐出流量体積及び吸入流量体積が等しいか、吸入流量体積が多い状態でダイヤフラム5が変位するため、排除流体体積の無駄な消費を防止し、ポンプの吐出流体体積を増大させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、ポンプ室3の内部にセンサを設ける必要がないので、ポンプ室3が狭い空間である場合に好適である。
次に、図8及び図9は、本発明に係る第2実施形態を示すものである。
図8に示す本実施形態の駆動手段20は、周期制御回路(周期制御手段)22と、電圧波形発生回路24とを備えている。
【0061】
電圧波形発生回路24は、図6で示したブロック図と同一構成になっており、後述するトリガー信号を受ける度に、トリガー信号を受ける前までに設定された電圧波形を1回発生させる。
周期制御回路22は、ポンプ内に配置した圧力センサ(ポンプ圧力検出手段)28の検出値に基づいてトリガー信号を発生する圧力−周期変換回路22dを備えている。
【0062】
図9に、圧力−周期変換回路22dの処理手順をフローチャートで示す。
先ず、ステップS4において、圧力の閾値Pshを設定する。この閾値Pshは、圧力センサ28に吸入側圧力Pkyが加わった時の出力値以上の値を使用している。このようにすると、低圧時の微妙な圧力上昇による誤検出がない。
次いで、ステップS6に移行し、トリガー信号を波形発生回路24へ出力する。
【0063】
次いで、ステップS8に移行し、波形発生回路24が1回分の電圧波形の出力が終了したかを確認し、終了した場合にはステップS10に移行する。
ステップS10では、圧力センサ28により第1回目のポンプ室3の圧力Pin1を計測する。
次いで、ステップS12に移行し、圧力センサ28により第2回目のポンプ室3の圧力Pin2を計測する。
【0064】
次いで、ステップS14に移行し、閾値Pshと、第1回目のポンプ室3の圧力Pin1と、第2回目のポンプ室3の圧力Pin2の関係が、Pin1<Psh<Pin2の関係になっているか否かを確認する。Pin1<Psh<Pin2の関係になっている場合には、ステップS16に移行し、Pin1<Psh<Pin2の関係になっていない場合には、ステップS18に移行する。
【0065】
ステップS18では、第2回目のポンプ室3の圧力Pin2の値を、第1回目のポンプ室3の圧力Pin1としてステップS12に戻る。
また、ステップS16では、圧電素子6の制御を続行するか、停止するかを確認し、圧電素子6の制御を停止する場合には処理を停止し、圧電素子6の制御を続行する場合にはステップS6に戻る。
【0066】
以上、本実施形態によると、周期制御回路22が、負荷圧力の変化に対してポンプ室3の圧力が、予め設定した閾値Pshを超えて増える時点で、次の圧電素子6に対する駆動電圧を印可することができる。
そして、圧力センサ28に負荷圧力Pfuが加わった時の出力値以上の値を用いれば、吐出流体体積と吸入流体体積とが等しいか、吸入流体体積のほうが多い点でダイヤフラム5が変位し始めるので、排除流体体積の無駄な消費が防げられ、ポンプの吐出流体体積が増加していく。
【0067】
なお、ポンプ圧力検出手段としては、圧力センサ28以外にも、ダイヤフラムの歪量を歪ゲージや変位センサで測定して、ポンプ室3の圧力を算出してもよい。また、ポンプ躯体の変形を歪ゲージで測定して、ポンプ室3の圧力を算出してもよい。また、入口流路1側に受動弁を備え、その弁が閉じている状態でのポンプ室3の圧力による変形を、歪ゲージや変位センサで測定して、ポンプ室3の圧力を算出してもよい。また、圧電素子6の変位を測定するために、圧電素子6に歪ゲージが取り付けられていて、圧電素子6への印可電圧、若しくは印可電荷(目標変位量)と歪ゲージによって測定値(実変位量)と圧電素子6のヤング率から、ポンプ室3の圧力を算出するようにしてもよい。これらの方法は、ポンプ室3の内部に設けなくて済むので、ポンプの小型化を促進することができる。また、歪ゲージとしては、歪量を抵抗変化、静電容量変化、または、電圧変化で検出するもの等、どのタイプを使用しても構わない。
【0068】
また、圧力センサはポンプ室と出口流を含むポンプ内に配置してあれば良いが、ポンプ室内に配置するのがポンプ内部の圧力を正確に測定でき好適である。
次に、図10は、本発明に係る第3実施形態を示すものである。
この図も、図8で示した圧力−周期変換回路22dの処理手順を示すフローチャートであり、図8で示した構成と同一構成なので、駆動手段20のブロック図は省略する。
【0069】
先ず、ステップS30において、ダイヤフラム5の複数の周期Ti(i=1、2、3…)のうち周期T1を選ぶ。なお、次回以降は、他の周期Tiを変更して選択する。
次いで、ステップS32に移行し、全ての周期Tiに対して後述する演算値Fiの算出が終了したかを確認し、終了していない場合にはステップS38に移行し、終了した場合にはステップS36に移行する。
【0070】
ステップS38では、トリガー信号Siを出力する。
次いで、ステップS44に移行し、圧力センサ28によりポンプ室3の圧力Pinを計測する。
次いで、ステップS46に移行し、基準値(所定の値)Paとポンプ室3の圧力Pinとの関係が、Pa≦Pinの関係になっているか否かを確認する。ここで、基準値Paは、圧電素子6が駆動する前のポンプ室3の圧力値である。このステップにおいてPa≦Pinの関係になっている場合には、ステップS50に移行し、Pa≦Pinの関係になっていない場合には、ステップS44に戻る。
【0071】
次いで、ステップS50に移行し、ポンプ室3の圧力Pinを記憶圧力値Pmj(j=1、2、3…と、このステップを処理するたびにjの値はインクリメントする。)に記憶してからステップS52に移行し、その計測時の時刻を、経過時間TMmj(j=1、2、3…)に記憶してからステップS54に移行する。
ステップS54では、ポンプ室の圧力を測定し、その測定値Pinと基準値Paとの関係が、Pa>Pinの関係になっているか否かを確認する。Pa>Pinの関係になっている場合には、ステップS56に移行し、Pa>Pinの関係になっていない場合には、ステップS50に戻る。
【0072】
そして、ステップS56において、記憶圧力値Pmj、基準値Pa、経過時間TMmjを使用し、記憶圧力値Pmjと基準値Paとの差を時間積分して演算値Fiを算出してからステップS30に戻る。
そして、ステップS32においてダイヤフラム5の全ての周期Tiに対する演算値Fiの演算が終了した場合に移行する先であるステップS36では、これまで記憶した演算値F1、F2、F3…の中の最大値を算出する。
【0073】
次いで、ステップS58に移行し、最大値となった所定の演算値Fiに対応するダイヤフラム5の周期Tiを選択した後、処理を終了する。
そして、選択した周期Tiでダイヤフラム5が変位するように、駆動手段20が圧電素子6の駆動制御を行う。
以上、図10で示した圧力−周期変換回路22dの処理を行うと、(3)式の左辺に相当する演算値Fiが最大となる周期を選択することができる。一方、吐出流体体積と吸入流体体積とが等しいか、吸入流体体積のほうが多い点でダイヤフラム5が変位し始める最適な周期で駆動すると、先に説明したように、ポンプ室容積圧縮過程において排除流体体積の無駄な消費がないため、最適でない周期で駆動する場合と比較して、ポンプ室内圧はより上昇し、ポンプの吐出流体体積もより増加し、そして、(3)式の左辺に相当する値もより増大する。したがって、本実施形態のようにダイヤフラムの運動周期を制御すると、最適な運動周期で駆動することができ、排除流体体積の無駄な消費が防げられ、ポンプの吐出流体体積が増加する。
【0074】
なお、圧力値Pmjと基準値Paとの差を時間積分すると高精度に圧電素子6の制御を行えるが、例えばポンプ室3の圧力Pinのピーク値と基準値Paとの差と、基準値Pa≦圧力Pinとなっている時間とを積算したものを使用することもできる。
ところで、本発明に係るポンプは、出口流路2に接続した出口管路(出口流路2より下流側)とポンプ室3とが連通しているので、駆動する前のポンプ室3の圧力は負荷圧力Pfuと等しい。そこで、駆動する前のポンプ室3の圧力を測定することで負荷圧力Pfuがわかるのである。
【0075】
そこで、圧電素子6を駆動する前のポンプ室の圧力を基準値Paとせずに、他の方法で負荷圧力Pfuを求めて図10で示した第3実施形態の処理を行うこともできる。
他の方法としては、負荷圧力Pfuが事前にわかっている場合はその値を使用するのが簡便で望ましい。また、負荷圧力Pfuを測定する手段を設け、その測定値を使用することも、事前に想定できない様々な負荷圧力Pfuに対応できる点で望ましい。また、ポンプ駆動時に一時的に数波形分駆動を停止すると(例えば、2kHzで駆動しているときに、2000波形駆動すると10波形停止し、また、2000波形駆動する)、停止している間にポンプ室3の圧力振動が停止するので、そのときのポンプ室3の圧力は負荷圧力Pfuと等しい。そこで、ポンプ圧力検出手段である圧力センサ28のそのときの値を負荷圧力Pfuを使用するのが、様々な負荷圧力Pfuに対応でき、更に負荷圧力を測定する新たな手段を備えなくても済む点で好ましい。
【0076】
また、ある運動周期の際の演算値Fiと、それを理想的な最大演算値Fmaxにするためにその運動周期に加える補正量とを、予め実験等により求め、それを変位制御手段のROM内にマップ化して保有しておき、演算値Fiを算出すると、そのマップを参照し、ダイヤフラム5の運動周期を補正する手段を設けると、同様の効果を得ながら、より高速に変位速度を制御することができる。
【0077】
次に、図11及び図12は、本発明に係る第4実施形態を示すものである。
図11に示すように、本実施形態の周期制御回路22は、I/Oポート22aと、ROM22bと、CPU22cとを備えており、I/Oポート22aには、ポンプ内に配置した圧力センサ(ポンプ圧力検出手段)28からポンプ室3の圧力情報が入力されている。また、ROM22bには、予め実験で求めた、ある基準運動周期T0の際の圧力センサ28の内圧ピーク値と、それを最適な周期とするための補正量とが、図12に示すように負荷圧力別にマップとして記録されている。
【0078】
本実施形態の波形発生回路24が1回目の駆動電圧を出力し、周期制御回路22が基準運動周期T0でトリガー信号を発生し、波形発生回路24が2回目の駆動電圧の出力を開始すると、圧力センサ28による測定を開始し、その測定値からピーク値を算出した後、ROM22bを参照して対応する補正量を見つけ、次回からは基準運動周期にその補正量を加えた周期でトリガー信号を出力するようになっている。なお、負荷圧力の求め方は、第3実施形態で説明した全ての方法を、同様に使用できる。
【0079】
本実施形態も、最適な周期を選択し、圧電素子6に対して駆動電圧波形を送ることで、吐出流量体積及び吸入流量体積が等しいか、吸入流量体積が多い状態でダイヤフラム5が変位するため、排除流体体積の無駄な消費を防止し、ポンプの吐出流体体積を増大させることができる。
次に、図13及び図14は、本発明に係る第5実施形態を示すものである。
【0080】
図13に示す本実施形態の駆動手段20は、周期制御回路(周期制御手段)22と、電圧波形発生回路24とを備えている。周期制御回路22は、ポンプ内の入口流路1に設けた圧力差によって開閉する逆止弁4の開閉の変位状態を検出する変位センサ30の検出値に基づいてトリガー信号を発生する変位−周期変換回路22eを備えている。
【0081】
図14に、変位−周期変換回路22eの処理手順をフローチャートで示す。
先ず、ステップS60において、入口流路1を閉鎖する逆止弁1がほぼ閉鎖した時の変位量に相当する閾値X0を設定する。
次いで、ステップS62に移行し、トリガー信号を出力する。
次いで、ステップS64に移行し、1回分の電圧波形の出力が終了したかを確認し、終了した場合にはステップS66に移行する。
【0082】
ステップS66では、変位センサ30により逆止弁1の変位量Xを計測する。
次いで、ステップS68に移行し、入口流路1を閉鎖する逆止弁1の変位量(閾値)X0と、計測した変位量Xとの関係が、X≦X0の関係になっているか否かを確認する。X≦X0の関係になっている場合には、ステップS70に移行し、X≦X0の関係になっていない場合には、ステップS66に戻る。
【0083】
ステップS70では、圧電素子6の制御を続行するか、停止するかを確認し、圧電素子6の制御を停止する場合には処理を停止し、圧電素子6の制御を続行する場合にはステップS62に戻る。
本実施形態は、1周期の駆動電圧の印可が終了した後に、次第に吸入流体体積の増加量が吐出流体体積の増加量よりも多くなっていき、吐出流体体積と吸入流体体積とがほぼ等しくなるあたりで吸入弁が閉鎖することを利用している。したがって、変位−周期変換回路22eが、逆止弁1が入口流路1を閉鎖する状態となった時点で、次回の圧電素子6に対する駆動電圧を印可するよう処理することで、吐出流体体積と吸入流体体積とがほぼ等しい時点でダイヤフラム5が変位し始めるので、排除流体体積の無駄な消費が防げられ、ポンプの吐出流体体積を増加させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、逆止弁1が閉じてから圧電素子6が駆動するので、ダイヤフラム5による排除流体体積が入口流路1より逆流して損失するのを防止することもできる。
次に、図15及び図16は、本発明に係る第6実施形態を示すものである。
図15に示す本実施形態の駆動手段20は、周期制御回路(周期制御手段)22と、電圧波形発生回路24とを備えており、周期制御回路22は、ポンプ内の出口流路2に配置した流速センサ(流速測定手段)30の検出値に基づいてトリガー信号を発生する流速−周期変換回路22fを備えている。
【0085】
図16に、流速−周期変換回路22fの処理手順をフローチャートで示す。
先ず、ステップS72において、ダイヤフラム5の複数の周期Ti(i=1、2、3…)のうち周期T1を選ぶ。なお、次回以降は、他の周期Tiを変更して選択する。
次いで、ステップS74に移行し、全ての周期Tiに対して後述する流速差ΔViの算出が終了したかを確認し、終了していない場合にはステップS80に移行し、終了した場合にはステップS78に移行する。
【0086】
ステップS80では、トリガー信号Siを出力する。
次いで、ステップS84に移行し、出口流路2の最大流速Vmaxを算出する。
次いで、ステップS86に移行し、出口流路2の最小流速Vminを算出する。
次いで、ステップS90に移行し、最大流速Vmaxと最小流速Vminとの流速差ΔVを算出する。
【0087】
次いで、ステップS92に移行し、流速差ΔVを記憶流速値ΔVi(i=1、2、3…)に記憶してからステップS72に戻る。
そして、全ての周期Tiに対する流速差ΔViの算出が終了した場合には、ステップS78に移行し、これまで記憶した速度差ΔV1、ΔV2、ΔV3…の中の最大値を算出する。
【0088】
次いで、ステップS94に移行し、最大値となった所定の速度差ΔViに対応する周期Tiを選択した後、処理を終了する。
そして、選択した周期Tiでダイヤフラム5が変位するように、駆動手段20が圧電素子6の駆動制御を行う。
以上、本実施形態では、(3)式で示したように、積分期間での流体体積速度の差とポンプ室3の圧力と負荷圧力との差圧の時間積分値は1対1に対応していること、また、ダイヤフラムが良い運動周期で駆動されているほど、この時間積分値が大きくなることを利用している。したがって、図16で示した流速−周期変換回路22fの処理を行うと、ダイヤフラムを最適な運動周期で駆動することができ、排除流体体積の無駄な消費が防げられ、ポンプの吐出流体体積が増加し、駆動効率の良いポンプを提供することができる。
【0089】
次に、図17は、第7実施形態としての流速−周期変換回路22fの処理手順を示すフローチャートである。
先ず、ステップS100において、出口流路2の流速の閾値Vshを設定する。
次いで、ステップS102に移行し、トリガー信号を出力する。
次いで、ステップS104に移行し、一回分の電圧波形の出力が終了したかを確認し、終了した場合にはステップS106に移行する。
【0090】
ステップS106では、流速センサ32により第1回目の出口流路2の流速Vin1を計測する。
次いで、ステップS108に移行し、流速センサ32により第2回目の出口流路2の流速Vin2を計測する。
次いで、ステップS110に移行し、閾値Vshと、第1回目の出口流路2の流速Vin1と、第2回目の出口流路2の流速Vin2の関係が、Vin1<Vsh<Vin2の関係になっているか否かを確認する。Vin1<Vsh<Vin2の関係になっている場合には、ステップS112に移行し、Vin1<Vsh<Vin2の関係になっていない場合には、ステップS114に移行する。
【0091】
ステップS114では、第2回目の出口流路2の流速Vin2の値を、第1回目の出口流路2の流速Vin1としてステップS108に戻る。
また、ステップS112では、圧電素子6の制御を続行するか、停止するかを確認し、圧電素子6の制御を停止する場合には処理を停止し、圧電素子6の制御を続行する場合にはステップS102に戻る。
【0092】
以上、本実施例では、図2に示したように出口流路2内の流体は、1回分の駆動電圧の印加が終了した後、ポンプ内圧が負荷圧力よりも低下している期間では流速が減少するが、吐出流体体積と吸入流体体積とが等しいか、吸入流体体積のほうが多くなると、ポンプ内圧が負荷圧力よりも高くなり、出口流路2内の流速は増加し始めることを利用している。そこで、本実施形態の流速−周期変換回路22fのように、出口流路2の流速が増加する時点で、次の圧電素子6に対する駆動電圧を印可する制御を行えば、吐出流体体積と吸入流体体積とが等しいか、吸入流体体積のほうが多い点でダイヤフラム5が変位し始めるので、排除流体体積の無駄な消費が防げられ、ポンプの吐出流体体積が増加していく。
【0093】
また、図示しないが、ある基準周期T0でダイヤフラムを運動させた際の流速ピーク値と、それを最大流速ピーク値とするさいに基準周期に加える補正量とを、ダイヤフラムの変位速度別、かつ、負荷圧力別に予め実験で求め周期制御回路22を構成するROM等に、マップとして記録しておく方法もある。その場合、事前にわかっているダイヤフラム変位速度、負荷圧力の条件のもと、ある基準周期T0でダイヤフラムを運動させている時に、流速センサ32による測定を開始し、その測定値からピーク値を算出した後、ROMのマップを参照して対応する補正量を見つけ、次回からは基準周期T0にその補正量を加えた周期でトリガー信号を出力する。このようにしても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0094】
なお、流速センサ32としては、超音波式、流速を圧力に変換して測定する方式、或いは、熱線式の流速センサなどが利用可能である。また、流速センサ32を設置する位置は出口流路を含んで下流側であればよい。
さらに、図18は、本発明に係る第8実施形態を示すものである。
本実施形態は、ポンプの出口流路2に、流体を溜めることができるチャンバ40が接続している。このチャンバ40と、その内部に備えられた液面センサ42とで移動流体体積測定手段が構成されており、液面センサ42から液面高さの検出情報が駆動手段20に入力するようになっている。
【0095】
チャンバ40は、最初は空にしてある。そして、ポンプの出口流路2から流体が吐出されると、駆動手段20は吐出時間と液面高さを計測し、ダイヤフラム5の単位時間当たりの吐出体積を算出する。そして、その吐出体積が最大となるように、ダイヤフラム5の運動周期を適宜設定する。その結果、単位時間当たりの吐出流体体積が最大となる最適な運動周期でダイヤフラムを運動させることができ、駆動効率の良いポンプを提供することができる。
【0096】
また、このようなチャンバ40と、その内部に備えられた液面センサ42とで移動流体体積測定手段ではなく、図示しないが、入口流路1、或いは出口流路2に脈動吸収用のバッファを設け、そのバッファの膜の変位量を測定して駆動手段20に出力する移動流体体積測定手段を設け、バッファの膜の変位量が最大になるようにダイヤフラム5の運動周期を設定してもよい。というのは、バッファ膜は、ポンピング1周期当たりの吐出流体体積(=吸入流体体積)が多いほど大振幅で振動するため、バッファ膜の変位量が最大となっているときには、ポンピング1周期当たりの吐出流体体積(=吸入流体体積)も最大となっているからである。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポンプは、弁を入口流路だけに配置すればよく、弁等の流体抵抗要素を入口流路だけに配置すればいいので、流体抵抗要素での圧力損失を減らすとともに、ポンプの信頼性を高めることができる。
また、ピストン或いはダイヤフラムと、それを駆動するアクチュエータとの間には変位拡大機構が配置されておらず、弁に粘性抵抗を利用していないので高周波駆動に対応することができる。したがって、アクチュエータの性能を十分に生かした小型軽量で高出力のポンプを実現できる。
【0098】
また、周期制御手段を設けたことで、排除流体体積の無駄な消費を防止し、その分のポンプ吐出流体体積、吐出圧力が増加するので、駆動効率の良いポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態のポンプの縦断面を示す図である。
【図2】第1実施形態のポンプの動作を示すグラフである。
【図3】周波数が異なると吐出流体体積が変化する状態を示すグラフである。
【図4】所定の周波数の波形モードを示すグラフである。
【図5】図4と異なる周波数の波形モードを示すグラフである。
【図6】本発明に係る第1実施形態の周期制御手段のブロック図を示すものである。
【図7】第1実施形態の周期制御手段で記憶しているマップを示す図である。
【図8】本発明に係る第2実施形態の周期制御手段のブロック図を示すものである。
【図9】本発明に係る第2実施形態の周期制御手段が処理を行う手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る第3実施形態の圧力―周期変換回路が処理を行う手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る第4実施形態の周期制御手段のブロック図を示すものである。
【図12】第4実施形態の周期制御手段で記憶しているマップを示す図である。
【図13】本発明に係る第5実施形態の周期制御手段のブロック図を示すものである。
【図14】本発明に係る第5実施形態の変位―周期変換回路が処理を行う手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る第6実施形態の周期制御手段のブロック図を示すものである。
【図16】本発明に係る第6実施形態の流速―周期変換回路が処理を行う手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明に係る第7実施形態の流速―周期変換回路が処理を行う手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明に係る第8実施形態のポンプを示す図である。
【符号の説明】
1:入口流路
2:出口流路
3:ポンプ室
4:逆止弁
5:ダイヤフラム(可動壁)
6:圧電素子(アクチュエータ)
20:駆動手段
22:周期制御回路(周期制御手段)
22d:圧力−周期変換回路
22e:変位−周期変換回路
24:波形発生回路
28:圧力センサ(ポンプ圧力検出手段)
30:変位センサ
32:流速センサ(流速測定手段)
40:チャンバ(移動流体体積測定手段)
42:液面センサ(移動流体体積測定手段)
Claims (24)
- ピストンあるいはダイヤフラム等の可動壁を変位させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動制御する駆動手段と、前記可動壁の変位により容積が変更可能なポンプ室と、前記ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路とを備えたポンプにおいて、
前記出口流路は、ポンプ動作時に前記ポンプ室と連通し、前記入口流路の合成イナータンス値は前記出口流路の合成イナータンス値よりも小さく、前記入口流路は、ポンプ室に動作流体が流入する場合の流体抵抗が流出する場合の流体抵抗よりも小さくなる流体抵抗要素を備え、
前記駆動手段は、前記可動壁の運動周期を変更する周期制御手段を備えていることを特徴とするポンプ。 - 前記周期制御手段は、前記出口流路より下流側の負荷圧力に応じて前記可動壁の運動周期を変更することを特徴とする請求項1記載のポンプ。
- 前記周期制御手段は、前記可動壁のポンプ室容積圧縮行程での変位時間、変位量、または、変位速度に応じて前記可動壁の運動周期を変更することを特徴とする請求項1又は2記載のポンプ。
- 前記周期制御手段は、前記ポンプ内部の圧力を検出するポンプ圧力検出手段の検出情報に基づいて前記可動壁の運動周期を変更することを特徴とする請求項1記載のポンプ。
- 前記周期制御手段は、前回の可動壁の運動が終了した後、前記ポンプ圧力検出手段が圧力上昇を検出したときに、次回の可動壁の運動を開始させる制御を行うことを特徴とする請求項4記載のポンプ。
- 前記周期制御手段は、所定の値と前記ポンプ圧力検出手段の検出値とを用いた演算値に基づいて、前記可動壁の運動周期を変更することを特徴とする請求項4記載のポンプ。
- 前記所定の値は、前記アクチュエータを駆動する前に、前記ポンプ圧力検出手段が測定した前記ポンプ室の圧力であることを特徴とする請求項6記載のポンプ。
- 前記所定の値は、前回の駆動波形を印加して所定の時間が経過した後に、前記ポンプ圧力検出手段が測定した前記ポンプ室の圧力であることを特徴とする請求項6記載のポンプ。
- 前記所定の値は、予め入力された、前記出口流路より下流側の負荷圧力に略相当する値であることを特徴とする請求項6記載のポンプ。
- 前記出口流路より下流側の負荷圧力を検出する負荷圧力検出手段を備え、前記所定の値は、前記負荷圧力検出手段の測定値であることを特徴とする請求項6記載のポンプ。
- 前記演算値は、前記ポンプ圧力検出手段で検出した検出値が前記所定の値以上となる期間について、前記検出値と前記所定の値との差を時間積分した演算値であることを特徴とする請求項6乃至10の何れかに記載のポンプ。
- 前記入口流路に受動型の弁を備え、前記周期制御手段は、前記弁の変位を検出し、その検出値に基づいて前記可動壁の運動周期を変更することを特徴とする請求項1記載のポンプ。
- 前記周期制御手段は、前記出口流路を含んだ下流側の流速を検出する流速測定手段の検出情報に基づき、前記可動壁の運動周期を変更することを特徴とする請求項1記載のポンプ。
- 前記周期制御手段は、前回の可動壁の運動が終了した後、前記流速測定手段が流速増加を検出したとき以降に、次回の可動壁の運動を開始させる制御を行うことを特徴とする請求項13記載のポンプ。
- 前記周期制御手段は、前記流速測定手段が測定した流速の最大値と最小値との差により、前記可動壁の運動周期を変更することを特徴とする請求項13記載のポンプ。
- 前記周期制御手段は、前記入口流路の吸入体積、又は前記出口流路の吐出体積を検出する移動流体体積測定手段の検出情報に基づき、前記可動壁の運動周期を変更することを特徴とする請求項1記載のポンプ。
- 前記アクチュエータは、圧電素子であることを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載のポンプ。
- 前記アクチュエータは、超磁歪素子であることを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載のポンプ。
- ピストンあるいはダイヤフラム等の可動壁を変位させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動制御する駆動手段と、前記可動壁の変位により容積が変更可能なポンプ室と、前記ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路とを備えたポンプにおいて、
前記入口流路は、ポンプ室に動作流体が流入する場合の流体抵抗が流出する場合の流体抵抗よりも小さくなる流体抵抗要素を備え、前記駆動手段は、ポンプ内圧力変動が1周期生じる間に、前記アクチュエータを複数回駆動することを特徴とするポンプ。 - ピストンあるいはダイヤフラム等の可動壁を変位させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動制御する駆動手段と、前記可動壁の変位により容積が変更可能なポンプ室と、前記ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路とを備えたポンプにおいて、
前記入口流路は、ポンプ室に動作流体が流入する場合の流体抵抗が流出する場合の流体抵抗よりも小さくなる流体抵抗要素を備え、前記ポンプ室の容積変化量が最大となる周波数と、ポンプ内流体共振周波数とをほぼ等しくしたことを特徴とするポンプ。 - 前記入口流路の合成イナータンス値は前記出口流路の合成イナータンス値よりも小さいことを特徴とする請求項19又は20に記載のポンプ。
- 前記出口流路は、ポンプ動作時に前記ポンプ室と連通していることを特徴とする請求項19乃至21の何れかに記載のポンプ。
- 前記アクチュエータは、圧電素子であることを特徴とする請求項19乃至22の何れかに記載のポンプ。
- 前記アクチュエータは、超磁歪素子であることを特徴とする請求項19乃至22の何れかに記載のポンプ。
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