JP2004055295A - 燃料電池システムの制御装置 - Google Patents

燃料電池システムの制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004055295A
JP2004055295A JP2002209943A JP2002209943A JP2004055295A JP 2004055295 A JP2004055295 A JP 2004055295A JP 2002209943 A JP2002209943 A JP 2002209943A JP 2002209943 A JP2002209943 A JP 2002209943A JP 2004055295 A JP2004055295 A JP 2004055295A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen
load current
fuel cell
load
circulating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002209943A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaru Okamoto
岡本 勝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2002209943A priority Critical patent/JP2004055295A/ja
Publication of JP2004055295A publication Critical patent/JP2004055295A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】燃料電池から取り出す負荷電流の応答性を改善する。
【解決手段】必要水素量算出手段21は、要求負荷目標値から必要水素量を算出し、必要水素量補正手段22は、この必要水素量に循環水素目標値を加算して必要水素量を補正する。増加可能負荷電流算出手段23は、循環水素流量センサ9が検出した循環水素流量を発電に使用し場合に燃料電池本体2から取り出せる負荷電流増加可能分を算出する。負荷電流取出時定数変更手段は、負荷電流判定手段24が前記負荷電流増加可能分まで負荷電流が増加していないと判断した場合には、直ちに負荷電流を取り出し、負荷電流が負荷電流増加可能分に達したと判断した場合には、水素供給装置3から供給される水素が増加変化する時定数に合わせて負荷電流を取り出すように制御する。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池システムに係り、特に負荷応答特性を改善した燃料電池システムの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素極に水素ガスを、空気極に空気を供給して、空気極に供給する空気中の酸素と水素極の水素とを電気化学的に反応させて発電する発電装置である。燃料電池は、化学エネルギーから機械エネルギに変換することなく直接電気エネルギーに変換するので、他の発電装置のようなエネルギー変換損失がなく、発電効率を高めることができる。
【0003】
車両用燃料電池として、固体高分子電解質タイプのものが知られている。水素極と空気極の間に膜状の固体高分子電解質があり、これは水素イオン伝導体として機能する。
【0004】
この種の燃料電池は、水素極で水素ガスを水素イオンと電子に電離する反応が起き、空気極で酸素ガスと水素イオンと電子から水を生成する反応が行われる。このとき水素イオンは複数の水分子を伴って固体高分子膜を水素極から空気極に向かって移動する。固体高分子膜を水素イオンが移動するためには、固体高分子膜が水分を含んでいる必要がある。このため固体高分子を加湿して湿らせておく必要があり、燃料電池へ供給する水素ガスを加湿装置で加湿して水素極に供給するようにする方法が知られている。
【0005】
また加湿に有効な方法として、燃料電池本体で未使用の水素ガスを燃料電池本体へ再循環して再利用する水素循環形式が用いられる。燃料電池本体外部に接続した負荷で消費する電力に要する水素量より幾分多めの水素を水素極へ供給し、未使用の水素を水素極出口から排出し、この水素(循環水素と記す)を再度、水素極入り口へ戻して再利用する。
【0006】
循環水素は水蒸気を多く含んでいるため、水蒸気を多く含んだ循環水素と水素タンクから供給される乾燥水素とを混合することにより、水素極へ供給する水素を加湿している。このような形態は、例えば、特開平9−213353号公報、特開平10−223244号公報に示されている。これらの例では、循環水素流量、水素タンクから供給する水素流量、水素極入口圧力を制御するようにして、水素極へ供給する水素量を制御している。
【0007】
燃料電池を運転する場合、燃料電池本体で発電可能な量を超えて燃料電池から負荷(電流)を取り出してはいけないことが知られている。燃料電池本体で発電可能な量を超えて燃料電池から負荷(電流)を取り出すと、電極、及び高分子膜を劣化させてしまう。このため、燃料電池から取り出す負荷を増加する場合は、水素および空気が増加する応答に合わせて取り出すようにしている。
【0008】
一般的に水素は水素タンクから供給され、気体で軽いので応答は空気に比べて速い。空気はコンプレッサから供給されるため、コンプレッサ応答に制約されて遅くなる。このような場合は、応答の遅い空気の応答に合わせて負荷電流を燃料電池本体から、取り出すようにする方法が知られている。このような負荷増加時の燃料電池の応答遅れに対処する方法として、たとえば、特開平9−147893号公報がある。
【0009】
この例では、燃料電池から取り出す負荷電流増加時には、最初所定の期間だけ、水素、空気を多めに供給するようにしている。最初所定の期間だけ、水素、空気を多めに供給するようにして、燃料電池から取り出す負荷電流と燃料電池本体で発電可能な発電量との格差をなくすようにしている。水素タンクから燃料電池本体に供給する水素流量が増加する時定数がほぼ一定である時、変化幅が大きいほど、初期の傾きは急になるので、負荷電流取り出し応答を改善できる。このため上記例では、負荷電流増加時に、最初所定の期間だけ水素、空気を多めに供給するようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しいかしながら、上記3つの従来技術を組み合わせるだけでは、負荷電流取り出し応答は、水素及び空気をそれぞれ水素極及び空気極に供給する反応ガス供給応答に依存するため改善されないという問題点があった。
【0011】
なぜなら、水素及び空気の量を増加させて、実際に電極部で水素及び空気が増加するまでの時間遅れの期間、負荷電流取り出し応答は改善できないからである。
【0012】
また燃料電池出力をバックアップする2次電池を備えた燃料電池車両のようなシステムでも、2次電池の容量が小さい場合には、車両の要求する負荷応答(ドライバの加速要求)に対応できない場合を生じる可能性がある。例えば、ドライバの加速要求に応えるために燃料電池の発電出力を増加する。しかし、燃料電池の発電増加応答が遅いので、その期間は2次電池から駆動モータに電力を供給する。この時、2次電池で電力を賄えない場合には、加速を継続できないことになる。この現象は、2次電池の容量が小さい場合、蓄電残量が少ない場合に顕著となる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、水素を供給する水素供給装置と、空気を供給する空気供給装置と、前記水素供給装置から供給する水素と前記空気供給装置から供給する空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電する燃料電池本体と、該燃料電池本体の水素極から排出される水素ガスを再循環させる循環水素ポンプと、前記燃料電池本体の水素極から排出される排水素を再循環させて、前記水素供給装置から供給する水素と混合して燃料電池本体入口の水素極に供給する水素循環経路と、該水素循環経路を流れる水素流量を検出する循環水素流量検出手段と、前記燃料電池本体から外部負荷へ流れる負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、を備えた燃料電池システムにおいて、要求負荷目標値に基づいて必要水素量を算出する必要水素量算出手段と、前記循環水素流量検出手段が検出した循環水素流量を発電に使用し場合に前記燃料電池本体から取り出せる負荷電流増加可能分を算出する増加可能負荷電流算出手段と、前記必要水素量算出手段が算出した必要水素量に循環水素目標値を加算して必要水素量を補正する必要水素量補正手段と、前記負荷電流検出手段が検出した負荷電流が、前記増加可能負荷電流算出手段が算出した負荷電流増加可能分まで増加したか否かを判断する負荷電流判定手段と、該負荷電流判定手段により負荷電流が負荷電流増加可能分に達していないと判定されれば、直ちに負荷電流を取り出し、該負荷電流判定手段により負荷電流が負荷電流増加可能分に達したと判断された場合には、前記水素供給装置から供給される水素が増加変化する時定数に合わせて負荷電流を取り出すように制御する負荷電流取出時定数変更手段と、を備えたことを要旨とする。
【0014】
【発明の効果】
上記構成の本発明によれば、循環水素流量を発電に使用した場合に負荷電流として取り出せる電流値を計算し、この電流値までは直ちに負荷電流を増加するようにしたので、負荷電流取り出し応答初期の立ち上がり部分の応答を速くできるという効果がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池システムの制御装置が適用される燃料電池システムの例を示す構成図である。同図において、燃料電池システムは、空気を供給する空気供給装置1と、原料水素を供給する水素供給装置3とを備え、原料水素と空気中の酸素とを反応して発電し、発電した電力は燃料電池本体2に接続した負荷6をもつ構成について説明する。
【0016】
本実施形態では空気供給装置1はコンプレッサである。本実施形態では、図示しないが、水素供給装置3は流量制御弁をもち、目標流量になるように弁開度を調整する装置を装備している。
【0017】
また水素循環経路17を備え、燃料電池本体2の水素極出口から排出される排水素を水素極入口へ循環させる構成である。燃料電池本体2に供給した水素のうち一部を発電に使用しないで燃料電池本体2の水素極出口から排出する。この排出水素(以下、循環水素と記す)を燃料電池本体2の水素極入り口に戻して再利用する。燃料電池本体2の水素極には、水素供給装置3から供給される水素と循環水素の混合水素が供給される。循環水素は水蒸気を多く含んでおり、水素タンクの乾燥した水素と混合して、燃料電池水素極に供給する水素を加湿するようにしている。
【0018】
本実施形態では、水素加湿を効果的にするために水素供給装置3の後に加湿器4を別途設置するようにしている。燃料電池水素極には、水素供給装置3を出て加湿器4を通過した水素と循環水素の混合水素が供給され、十分に高分子膜を加湿できるようにしている。また、循環水素を循させるために循環水素ポンプ5を使っている。本発明の実施形態では、図示しないが、循環水素ポンプ5は、目標流量となるようにポンプ回転数を調整する装置を装備している。
【0019】
燃料電池本体2には、発電した電力を消費する負荷6を接続している。燃料電池システムを車両に適用した場合には、負荷として、DC/ACインバータを接続し、DC/ACインバータで変換した交流電力を車両駆動モータへ供給すればよい。
【0020】
本実施形態では負荷6に発電量を設定して燃料電池本体2から出力電流を取り出すようにしている。
【0021】
圧力センサ7は、燃料電池本体2の空気極入口圧力を計測し、圧力センサ8は、燃料電池本体2の水素極入口圧力を計測する。流量センサ9は、循環水素流量を計測するである。
【0022】
電流センサ10は、燃料電池本体2から外部の負荷6へ流れる負荷電流を検出する負荷電流検出手段である。電圧センサ16は、燃料電池本体のセル電圧を測定する電圧センサであり、燃料電池本体の各セル毎の電圧、または直列接続された複数のセルからなるセル群毎に電圧を測定するセル電圧測定手段である。
【0023】
冷媒循環装置12は燃料電池を冷却するための冷媒を循環するポンプ等であり、冷媒冷却装置13は冷媒の熱を外部へ放出するラジエータ等であり、冷媒循環装置12と冷媒冷却装置13とで燃料電池本体2を冷媒によって冷却する冷却手段を構成している。本実施形態では特に限定されないが冷媒として純水を使用している。
【0024】
さらに、燃料電池本体2の水素ガス入口付近には、水素ガス入口付近の冷媒温度を検出する入口温度センサ14、同水素ガス出口付近には、水素ガス出口付近の冷媒温度を検出する出口温度センサ15がそれぞれ設けられている。
【0025】
制御装置11は、本発明に係る燃料電池システムの制御装置であり、燃料電池システム全体を制御すると共に、負荷電流増加時の過渡的な負荷電流の取り出しを制御する。これらの制御のために、制御装置11は、例えばCPUとメモリと周辺インターフェースを有するマイクロコンピュータで実現されている。
【0026】
〔第1実施形態〕
図2(a)は、第1実施形態の燃料電池システムの制御装置が適用される燃料電池システムの要部構成図、同図(b)は、第1実施形態の燃料電池システムの制御装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
図2(a)において、燃料電池本体2の空気極入口、水素極入口には、それぞれ空気供給装置1から空気が、水素供給装置3から水素が供給される。水素極の出口と水素極の入口とは、水素循環経路17により接続されている。水素循環経路17上には、循環水素ポンプ5が設けられ、水素極出口から排出された未使用水素を水素極入口側へ循環させている。この循環される水素を循環水素と呼ぶ。
【0028】
これにより、水素供給装置3から供給される水素と循環水素とが混合されて水素極へ供給される。循環水素ポンプ5と燃料電池本体2の水素極入口とは、循環水素の流量を検出する循環水素流量センサ9が設けられている。
【0029】
また燃料電池本体2には、燃料電池が発電した電力を消費する負荷6が接続され、負荷6と燃料電池本体2との間には、負荷電流を検出する負荷電流センサ10が設けられている。
【0030】
図2(b)に示す制御装置11には、循環水素流量センサ9と、負荷電流センサ10とが接続されている。制御装置11は、例えば、CPUと周辺インターフェースを有するマイクロコンピュータで構成され、その制御内容をプログラム制御により実行することができるようになっている。
【0031】
制御装置11は、要求負荷目標値に基づいて必要水素量を算出する必要水素量算出手段21と、循環水素流量検出手段である循環水素流量センサ9が検出した循環水素流量を発電に使用し場合に燃料電池本体2から取り出せる負荷電流増加可能分を算出する増加可能負荷電流算出手段23と、必要水素量算出手段21が算出した必要水素量に循環水素目標値を加算して必要水素量を補正する必要水素量補正手段22と、負荷電流検出手段である負荷電流センサ10が検出した負荷電流が、増加可能負荷電流算出手段23が算出した負荷電流増加可能分まで増加したか否かを判断する負荷電流判定手段24と、負荷電流判定手段24により負荷電流が負荷電流増加可能分に達していないと判定されれば、直ちに負荷電流を取り出し、負荷電流判定手段24により負荷電流が負荷電流増加可能分に達したと判断された場合には、水素供給装置3から供給される水素が増加変化する時定数に合わせて負荷電流を取り出すように制御する負荷電流取出時定数変更手段25と、を備えたことを特徴としている。
【0032】
必要水素量算出手段21は、燃料電池に対する要求負荷目標値に基づいて、予め記憶した負荷電流−水素流量変換テーブルや変換式等を参照して、水素供給装置3が供給すべき必要水素量を算出するものである。
【0033】
負荷電流−水素流量変換式の例として、次の式(1)を示す。
【0034】
【数1】
燃料電池の発電に必要な水素流量[Nl/min]=係数×セル数×負荷電流[A] …(1)
ここで、係数は、燃料電池の構成によって決まる定数であり、本実施形態では7.0とする。セル数は燃料電池本体(セル・スタック)2を構成するセル数であり、本実施形態では420とする。
【0035】
増加可能負荷電流算出手段23は、要求負荷目標値が増加した場合、その時の循環水素流量に相当する発電電流が即座に増加可能な負荷電流であるという考えに基づいて、増加可能な負荷電流を計算する。この計算にも式(1)の水素流量と負荷電流との関係を利用できる。
【0036】
必要水素量補正手段22は、必要水素量算出手段21が算出した必要水素量に循環水素目標値を加算して必要水素量を補正し、この必要水素量が水素供給手段3から供給されるように、図示しない水素供給手段3の流量制御バルブ等に対して制御信号を送出する。
【0037】
負荷電流判定手段24は、負荷電流センサ10が検出した負荷電流が、増加可能負荷電流算出手段23が算出した負荷電流増加可能分まで増加したか否かを判断し、負荷電流増加可能分まで増加していなければ、直ちに負荷電流を取り出すことができることを負荷6に指示する一方、負荷電流増加可能分まで増加していれば、負荷電流取出時定数変更手段25から、負荷6へ負荷電流を増加させることができる時定数を指示させるものである。
【0038】
負荷電流取出時定数変更手段25は、負荷電流判定手段24からの指示により、水素供給装置3から供給される水素が増加変化する時定数に合わせて負荷電流を取り出すように負荷6を制御する。
【0039】
上記構成の本実施形態によれば、循環水素流量を発電に使用した場合に負荷電流として取り出せる電流値を計算し、この電流値までは直ちに負荷電流を増加するようにしたので、負荷電流取り出し応答初期の立ち上がり部分の応答を速くできるという効果がある。
【0040】
また、実際に取り出した負荷電流増加分が循環水素流量で取り出し可能な負荷電流量に達した場合には、水素供給装置から供給される水素が増加変化する時定数に合わせて燃料電池から取り出す負荷電流増加の時定数を変更するようにしたので、循環水素流量で取り出し可能な負荷電流以上の負荷電流を燃料電池から取り出して燃料電池を劣化させることを防止できるという効果がある。
【0041】
本実施形態によれば、循環水素流量で発電して取り出せる負荷電流を計算して、その負荷電流分を直ちに取り出しても燃料電池を劣化させることはない。なぜなら、循環水素は燃料電池水素極ガス通路上に既に存在する水素なので、すぐに発電に利用できるからである。
【0042】
循環水素流量分の水素を発電に使いきったあとは、燃料電池本体2の水素極上で燃料となる水素は水素供給装置3から供給される水素のみとなる。循環水素流量分の水素を発電に使っている間は、直ちに負荷電流を増加して取り出しても問題ないが、循環水素流量分の水素を発電に使いきった後もこのままの負荷電流を取り出し続けると燃料電池の発電が追いつかなくなり、発電能力以上の負荷電流を取り出してしまうことになる。水素供給装置3から供給される水素が燃料電池本体2に到達して増加変化する時定数は遅いため、負荷電流をこの時定数より速い時定数で取り出すと発電能力以上の負荷電流を取り出すことになるためである。
【0043】
水素供給装置から供給される水素量目標値は、要求負荷値(定常時の負荷電流要求量)から換算した必要水素流量+循環水素流量に必要な水素量に基づいて求めるようにしており、このようにして水素供給装置に要求した水素流量が目標値に向かって増加していく時定数に合わせて負荷電流を取り出す。
【0044】
従って、燃料電池から取り出す負荷電流と燃料電池へ供給する水素は、量と時定数が両方ともマッチして、発電能力以上の負荷電流を取り出してしまうことがない。また循環水素流量分を余計に水素供給装置へ要求しているので、負荷電流が目標負荷電流に到達した後、直ちに循環水素流量を目標値に復帰させるようにできる。
【0045】
また、負荷電流取出応答初期の立ち上がり部分の応答を速くできる効果は、負荷電流が目標値に落ち着くまでの時間を短縮するように作用するので、負荷電流が目標値に落ち着くまでの時間を短縮することができ、負荷電流取出応答を改善することができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
図3は、第2実施形態の燃料電池システムの制御装置の構成を示すブロック図である。この制御装置の制御対象である燃料電池システムの構成は、図2(a)に示した第1実施形態の構成と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0047】
図3において、本実施形態の燃料電池システムの制御装置11には、循環水素流量センサ9と、負荷電流センサ10とが接続されている。制御装置11は、例えば、CPUとメモリと周辺インターフェースを有するマイクロコンピュータで構成され、その制御内容をプログラム制御により実行することができるようになっている。
【0048】
本実施形態の制御装置11は、第1実施形態で説明した、必要水素量算出手段21、必要水素量補正手段22、増加可能負荷電流算出手段23、負荷電流判定手段24、負荷電流取出時定数変更手段25に加えて、目標負荷応答軌道作成手段31と、負荷変化目標値到達時間設定手段32と、目標負荷応答軌道修正手段33と、循環水素流量目標値算出手段34と、を備えていることに特徴がある。
【0049】
目標負荷応答軌道作成手段31は、燃料電池本体2内部で水素と酸素が反応する発電反応の時定数をもつ第1の関数で目標負荷応答軌道の立ち上がり部を形成するとともに、水素供給装置3から供給する水素流量が増加変化する時定数をもつ第2の関数で、目標負荷応答軌道の立ち上がり部以後の部分を形成するものである。
【0050】
ここで第1の関数の時定数は、既に燃料電池の水素循環経路17に供給された水素が電気化学的に反応する時間に対応する。第2の関数の時定数は、水素供給装置3に供給水素量の増加を指示してから燃料電池本体2の水素極の水素流量が増加するまでの時間に対応した時定数であり、例えば、水素供給装置3の図示しない流量調整弁の機械的応答速度に関する時定数と、水素供給装置3から燃料電池本体2までの管路の流体抵抗と同管路の容積との積に関する時定数との和によって近似される。
【0051】
従って、第1の関数の時定数は、第2の関数の時定数より十分に小さいものとなり、負荷電流増加要求時の取り出し負荷電流の立ち上がり時間を十分に短縮することができる。
【0052】
負荷変化目標値到達時間設定手段32は、設定手段燃料電池本体2から取り出す負荷電流を増加して負荷電流が目標値に到達するまでの目標時間を設定する。
【0053】
目標負荷応答軌道修正手段33は、目標負荷応答軌道が定常値に落ち着く時間が負荷変化目標値到達時間設定手段32が設定した目標時間となるように、目標負荷応答軌道の中で第1の関数で構成する範囲を変更して目標負荷応答軌道を修正する。
【0054】
循環水素流量目標値算出手段34は、目標負荷応答軌道の第1の関数の関数値に基づいて、循環水素流量目標値を算出し、この目標値を循環水素ポンプ5へ与えて循環水素流量が目標値となるように制御するとともに、この循環水素流量目標値を必要水素量補正手段22に与える。
【0055】
必要水素量補正手段22は、必要水素量算出手段21が算出した必要水素量に循環水素流量目標値算出手段34が算出した循環水素流量目標値を加算して必要水素量を補正する。その他の動作は、第1実施形態と同様である。
【0056】
第2実施形態によれば、目標負荷応答軌道の立ち上がり部を変更して定常値に落ち着くまでの時間が目標時間となるように目標負荷応答軌道を形成することができる。
【0057】
また、形成した目標軌道の第1の関数の関数値に基づいて循環水素流量を算出するようにしたので、目標負荷応答を達成するために必要な循環水素流量目標値を算出することができる。ここで算出した循環水素流量目標値となるように循環水素流量を流してスタンバイしておくようにすれば、循環水素を過剰に流してスタンバイしておくような状況を防止でき、動力の無駄使いを防止でき、かつ、目標負荷応答を達成することができる。
【0058】
〔第3実施形態〕
図4(a)は、第3実施形態の燃料電池システムの制御装置が適用される燃料電池システムの要部構成図、同図(b)は、第3実施形態の燃料電池システムの制御装置の構成を示すブロック図である。
【0059】
図4(a)において、燃料電池本体2の空気極入口、水素極入口には、それぞれ空気供給装置1から空気が、水素供給装置3から水素が供給される。水素極の出口と水素極の入口とは、水素循環経路17により接続されている。水素循環経路17上には、循環水素ポンプ5が設けられ、水素極出口から排出された未使用水素を水素極入口側へ循環させている。この循環される水素を循環水素と呼ぶ。
【0060】
これにより、水素供給装置3から供給される水素と循環水素とが混合されて水素極へ供給される。循環水素ポンプ5と燃料電池本体2の水素極入口とは、循環水素の流量を検出する循環水素流量センサ9が設けられている。
【0061】
また燃料電池本体2には、燃料電池が発電した電力を消費する負荷6が接続され、負荷6と燃料電池本体2との間には、負荷電流を検出する負荷電流センサ10が設けられている。さらに、燃料電池本体2には、電圧センサ16が設けられている。電圧センサ16は、燃料電池本体のセル電圧を測定するセンサであり、燃料電池本体の各セル毎の電圧、または直列接続された複数のセルからなるセル群毎に電圧を測定するセル電圧測定手段である。
【0062】
図4(b)に示す制御装置11は、循環水素流量センサ9と、負荷電流センサ10と、セル電圧センサ16とが接続されている。制御装置11は、例えば、CPUと周辺インターフェースを有するマイクロコンピュータで構成され、その制御内容をプログラム制御により実行することができるようになっている。
【0063】
制御装置11は、第1実施形態で説明した、必要水素量算出手段21、必要水素量補正手段22、増加可能負荷電流算出手段23、負荷電流判定手段24、負荷電流取出時定数変更手段25に加えて、燃料電池から取り出す負荷電流を増加している過渡状態に、セル電圧測定手段であるセル電圧センサ16が測定した電圧値が所定値を下回った場合には、燃料電池から取り出す負荷電流を減少する負荷電流減少手段26を備えたことを特徴としている。
【0064】
負荷電流減少手段26は、セル電圧センサ16が検出した各セル毎の電圧、または複数セルからなる各セル群毎の電圧のいずれかが所定値を下回った場合、固体高分子電解質膜の加湿不足や水素極又は空気極の水詰まり等が発生していると判定して、負荷電流を減少させる。実際には、負荷電流減少手段26から負荷電流の減算分を負の数として加算器27へ指示し、加算器27は、負荷電流取り出し時定数変更手段25または負荷電流判定手段24の負荷電流指示値から負荷電流減少分を減じて負荷6へ負荷電流を指示することになる。
【0065】
こうして負荷電流を減少することにより、水素極における水素消費量を減少させて、循環水素量を増加させることができ、循環水素による加湿量の増加や水分吹き飛ばし効果により、発電性能の回復が期待できる。
【0066】
第3実施形態によれば、負荷を増加変化して燃料電池から取り出す負荷電流を増加している過渡状態に、燃料電池のセル電圧値が所定値を下回った場合に燃料電池から取り出す負荷電流を減少するようにしたので、循環水素流量を消費して負荷電流を取り出している場合に、循環水素流量が少ない状態が長く続いて、固体高分子膜の加湿が不足して発電効率の著しい低下もしくは、発電継続不能状態になることを防止できる。
【0067】
循環水素は燃料電池本体を通過した排水素を循環させているので、水蒸気を多く含んでおり、この水蒸気を置多く含む水素を循環することが高分子膜を加湿する作用をになっている。循環水素が少ない状態を継続すると、高分子膜の加湿が不十分になり、高分子膜が水素イオン伝導体として機能しなくなる場合が考えられる。
【0068】
第3実施形態では、燃料電池のセル電圧値が所定値を下回った場合に高分子膜の加湿不足を判断し、燃料電池から取り出す負荷電流を減少して、循環水素を増やすように作用させて、高分子膜の加湿を正常にするようにして、固体高分子膜の加湿が不足して発電効率の著しい低下もしくは、発電継続不能状態になることを防止できる。
【0069】
〔第4実施形態〕
図5(a)は、第4実施形態の燃料電池システムの制御装置が適用される燃料電池システムの要部構成図、同図(b)は、第4実施形態の燃料電池システムの制御装置の構成を示すブロック図である。
【0070】
図5(a)において、燃料電池本体2の空気極入口、水素極入口には、それぞれ空気供給装置1から空気が、水素供給装置3から水素が供給される。水素極の出口と水素極の入口とは、水素循環経路17により接続されている。水素循環経路17上には、循環水素ポンプ5が設けられ、水素極出口から排出された未使用水素を水素極入口側へ循環させている。この循環される水素を循環水素と呼ぶ。
【0071】
これにより、水素供給装置3から供給される水素と循環水素とが混合されて水素極へ供給される。循環水素ポンプ5と燃料電池本体2の水素極入口とは、循環水素の流量を検出する循環水素流量センサ9が設けられている。
【0072】
また燃料電池本体2には、燃料電池が発電した電力を消費する負荷6が接続され、負荷6と燃料電池本体2との間には、負荷電流を検出する負荷電流センサ10が設けられている。
【0073】
冷媒循環装置12は燃料電池を冷却するための冷媒を循環するポンプ等であり、冷媒冷却装置13は冷媒の熱を外部へ放出するラジエータ等であり、冷媒循環装置12と冷媒冷却装置13とで燃料電池本体2を冷媒によって冷却する冷却手段を構成している。本実施形態では特に限定されないが冷媒として純水を使用している。
【0074】
さらに、燃料電池本体2の水素ガス入口付近には、水素ガス入口付近の冷媒温度を検出する入口温度センサ14、同水素ガス出口付近には、水素ガス出口付近の冷媒温度を検出する出口温度センサ15がそれぞれ設けられている。
【0075】
尚、温度センサ14,15は、冷媒温度を検出するもの以外に、それぞれ水素ガス入口付近、または水素ガス出口付近の燃料電池本体2の温度を検出するものでもよい。
【0076】
図5(b)に示す制御装置11は、循環水素流量センサ9と、負荷電流センサ10と、入口温度センサ14と、出口温度センサ15とが接続されている。制御装置11は、例えば、CPUと周辺インターフェースを有するマイクロコンピュータで構成され、その制御内容をプログラム制御により実行することができるようになっている。
【0077】
制御装置11は、第1実施形態で説明した、必要水素量算出手段21、必要水素量補正手段22、増加可能負荷電流算出手段23、負荷電流判定手段24、負荷電流取出時定数変更手段25に加えて、燃料電池から取り出す負荷電流が増加している過渡状態に、入口温度センサ14が検出した温度から出口温度センサ15が検出した温度を引いた差分が所定値を超えた場合に、負荷電流取り出し量を減少する負荷電流減少手段26を備えたことを特徴としている。
【0078】
負荷電流減少手段26は、入口温度センサ14が検出した水素ガス入口付近の冷媒温度と、出口温度センサ15が検出した水素ガス出口付近の冷媒温度との差が所定値を超えた場合に、燃料電池の各セルへの水素ガス分配にむらが生じたと判断し、燃料電池から取り出す負荷電流を減少して、循環水素量を増やすように作用させる。
【0079】
実際には、負荷電流減少手段26から負荷電流の減算分を負の数として加算器27へ指示し、加算器27は、負荷電流取り出し時定数変更手段25または負荷電流判定手段24の負荷電流指示値から負荷電流減少分を減じて負荷6へ負荷電流を指示することになる。
【0080】
第4実施形態によれば、循環水素流量を消費して負荷電流を取り出している場合に、循環水素流量が少ない状態が長く続いて、燃料電池の各セルの供給される水素量にむらを生じて発電効率の著しい低下を引き起こすことを防止できる。
【0081】
循環水素は燃料電池本体を通過した排水素を循環させたもので、燃料電池本体を通過する水素ガス量は循環水素流量分だけ増えるため、水素極入口の圧力が高くなり、燃料電池の各セルに水素ガスがむらなく供給できるようにする作用をもつ。
【0082】
循環水素が少ない状態を継続すると、水素極入口の圧力が低くなり、燃料電池の各セルに水素ガスがむらなく供給できなくなる場合が考えられる。特に低負荷状態の場合には、燃料電池を通過する水素ガス量が少ないので顕著である。
【0083】
通常燃料電池は、燃料となる水素が入ってくる入口のほうが水素を排出する出口側よりも発電が活発になる傾向がある。このため燃料電池入口側のほうが出口側より温度が高くなる傾向となる。燃料電池の各セル供給する水素ガスにむらを生じるとこの傾向は顕著となり、入口出口の温度差は拡大する。
【0084】
第4実施形態では、燃料電池の水素ガス入口側温度から水素ガス出口側温度を引いた温度差が所定値を上回った場合に燃料電池の各セルに水素ガスがむらなく供給できなくなったと判断し、燃料電池から取り出す負荷電流を減少して、循環水素を増やすように作用させて、水素極入口の圧力を高めるようにして、燃料電池の各セルに水素ガスがむらなく供給できなくなる不具合を防止することができる。
【0085】
〔第5実施形態〕
次に、図6のフローチャートを参照して、本発明に係る燃料電池システムの制御装置の第5実施形態を説明する。本実施形態の制御装置が対象とする燃料電池システムは、図1に示した構成である。第5実施形態は、第1実施形態と第3実施形態と第4実施形態とを合わせた実施形態である。
【0086】
まず、ステップ(以下、ステップをSと略す)10では、負荷増加要求があるかどうかを判定する。本実施形態では、負荷増加要求は、図示しない別の制御手段で設定されるようにしている。たとえば、燃料電池システムを車両に適用した場合には、ドライバのアクセル操作量と関連つけて負荷増加要求値を決定するようにしてもよい。
【0087】
S20は負荷増加要求値から必要な水素増加量を計算する。負荷電流と水素量の関係式は、先に説明した式(1)である。
【0088】
負荷増加要求値は負荷電流に変換して式(1)に代入する。尚、負荷Aの単位が[kW]である場合には、燃料電池の出力電圧B[V] を計測しておけば、次の式(2)の関係により電流Z[A] に直して要求することができる。
【0089】
【数2】
A[kW]=B[V]×Z[A]/1000       …(2)
S30では、現在の循環水素流量で取り出せる負荷電流増加分を計算する。S30で計算したの負荷電流増加分は、S20で求めた負荷増加要求値のうち循環水素流量で賄える分である。
【0090】
負荷電流と水素量の関係式は、式(1)の係数とセル数とを用いて、式(3)で表わされる。
【0091】
【数3】
負荷電流増加分[A]=循環水素流量[Nl/min]/(係数×セル数)  …(3)
循環水素流量センサ9が検出した循環水素流量を使って、増加負荷電流分ΔLを計算する。
【0092】
S40では、S20の負荷電流増加分に相当する必要水素量を水素供給装置3へ要求する。
【0093】
水素供給装置3には、図示しないが、水素供給装置3出口に流量制御弁があり、要求された流量となるようにバルブ開度を制御するようにする装置を備えている。
【0094】
S50では、循環水素流量センサの検出値が目標流量かどうかを判定する。目標流量どおりの場合には、次のステップS70へジャンプする。目標流量より少ない場合には、S60で、循環水素目標値分だけの水素量をS10の必要水素量に加算した水素量を水素供給装置3へ要求する。
【0095】
本実施形態では、負荷電流が増加している過渡時には、循環水素流量をほとんど負荷電流増加のために使うようにしている。このため過渡時には循環水素流量が少なくなる。この場合は、循環水素流量分を上乗せした水素量を水素供給装置3へ要求するようにする。
【0096】
しばらくして負荷電流が目標値に到達すると、負荷電流取り出し量は増加しないので一定値になり、水素供給装置3から供給する水素は循環水素流量分だけ余分となる。この余分な水素が循環水素流量として循環するようになり、循環水素流量が次第に復帰し始めるようになる。
【0097】
循環水素流量が目標流量に達した後は、上乗せした循環水素流量分の水素を水素供給装置3に要求しないようにする。
【0098】
もし、負荷電流が目標値に到達して、循環水素流量も目標値に到達したあとも、循環水素流量目標値分とS10で計算した負荷増加に必要水素を加算した水素を水素供給装置3へ要求し続けると、循環水素流量だけが延々余分な状態が続き、循環水素流量だけが増加し続けて、水素極入り口圧力が上昇して、燃料電池に劣化を与える可能性がある。このS50、S60では、このようなことにならないようにしている。
【0099】
S70では、循環水素流量を使用して負荷電流を取り出し実行中かどうかを判定する。このため変数 CARRY_OUTが1かどうかを判断する。この変数の値がゼロの場合、実行中でない場合なので、S80へ進んで実行中変数に1を書き込む。次にS90へ進んで、S30で計算した現在の循環水素流量で取り出せる負荷電流増加分だけの負荷電流を直ちに取り出して、メインルーチンへリターンする。
【0100】
S70の判定で、循環水素流量を使用して負荷電流を取り出し実行中である場合、すなわち変数 CARRY_OUTが1場合は、S100へ進む。
【0101】
S100では、負荷電流を検出する負荷電流センサ10の検出値がS30で計算した現在の循環水素流量で取り出せる負荷電流増加分だけ増加したかどうかを判断する。現在の循環水素流量で取り出せる負荷電流増加分だけ増加した場合には、次のS110へ進む。現在の循環水素流量で取り出せる負荷電流増加分まで増加していない場合には、S130へ進む。
【0102】
S110では、循環水素流量を使用して負荷電流を取り出す方法を終了するため、変数CARRY_OUTにゼロを書き込む。
【0103】
S120では、水素供給装置3から供給する水素流量が増加変化する時定数にあわせて取り出すように、負荷電流取り出し時定数を設定して、これにあわせて負荷6に負荷電流を要求するようにする。これにより、燃料電池水素極入口に到達する水素流量の時定数と、取り出す負荷電流の時定数がマッチするので、燃料電池水素極入口に到達する水素流量と取り出す負荷電流とが一致し、過剰な負荷電流を取り出すことなく、速やかに取り出し負荷電流を増加させることができる。
【0104】
S130では、燃料電池のセル電圧を検出するセル電圧センサ16の検出値が所定値を下回ったか否かを判断する。本実施形態の燃料電池システムでは、循環水素流量が少ない状況が生じる。このため高分子電解質膜の加湿が不十分になって発電効率が低下する場合がある。そのような状況になっているかどうかをセル電圧のより判断する。本実施形態ではセル電圧が所定値を下回った場合には、循環水素流量が少ない状況ができて、発電効率が低下していると判断するようにしている。幾つかのセル(たとえば3つ毎)毎のセル電圧を測定するようにしても良い。セル電圧が所定値を下回った場合にはS150へ進む。そうでない場合には、次のS140へ進む。
【0105】
S140では、燃料電池本体2の水素ガス入口付近の温度と水素ガス出口付近の温度との温度差が所定値を上回るか否かを判断する。
【0106】
また本実施形態の燃料電池システムでは、循環水素流量が減少し、燃料電池の各セルに供給する水素にむらを生じて、発電効率が低下する場合がある。そのような状況になっているか否かを判断するために、燃料電池入り口温度から出口温度を引いた温度差を判断している。温度差が所定値を超えた場合には、各セルに供給する水素にむらを生じて発電効率が低下していると判断してS150へ進む。そうでない場合には、メインルーチンへリターンする。
【0107】
S150では、循環水素流量を多くするように負荷電流を減らすようにする。本実施形態では、循環水素流量の目標値をΔFだけ増やして再設定し、その目標値になるまで負荷電流を減らすようにしている。ΔFは予め実験等から決めておく値としている。循環水素流量が目標値になった後は、減らしていた負荷電流を元に戻す。このように制御することで、目標値に負荷電流が増加して落ちつくまでの時間も遅くなるが、燃料電池に劣化を与えないようにできる。
【0108】
以上説明した第5実施形態によれば、第1、第3、第4の各実施形態で説明した効果がある。
【0109】
〔第6実施形態〕
次に、図7、図8を参照して、本発明の第6実施形態を説明する。第6実施形態は、第2実施形態と第3実施形態と第4実施形態とを合わせた実施形態である。
【0110】
本実施形態は、負荷電流を目標とする応答で取り出せるように、循環水素流量を予め設定した流量にしてスタンバイしておく場合の例である。本実施形態では循環水素流量の目標値を算出する循環水素流量目標値算出手段を備えている。
【0111】
図7は第6実施形態のフローを説明する図である。図6に示した第5実施形態と異なる部分のみを説明する。尚、第5実施形態と同一のステップには、同一のステップ番号を付与して、重複する説明を省略する。
【0112】
まず、S310では、第5実施形態で示した循環水素量を使用した負荷電流取り出しを実行中かどうかを判断するため、変数FLAG_Aが1か否かを判断する。
【0113】
変数FLAG_Aが”1”の場合は、第5実施形態で示した循環水素量を使用した負荷電流取り出しを実行中であるので、循環水素流量の目標値設定手段(S320、S330)を実行しないで、S10へ進む。
【0114】
S310で変数FLAG_Aが”0”の場合は、S320へ移り、循環水素流量の目標値設定を行う(循環水素流量の目標値設定手段)。次いで、S330で変数FLAG_Aに”1”を代入してS10へ進む。
【0115】
次に第5実施形態のS120の後に、次のS340を追加する。S340では、変数FLAG_Aに”0”を書き込む。S120を実行した後は、循環水素流量を消費して負荷電流を増加している期間の終了であるので、この後は、循環水素流量の目標値を変更できるように変数FLAG_Aに”0”を書き込む。
【0116】
次に、S320の循環水素流量の目標値設定を詳細に説明する。図8(a)はS320の循環水素流量の目標値設定を詳細に説明する詳細フローチャートである。
【0117】
S410では、図8(b)に示すように、負荷増加要求があった場合に現状値から目標値まで負荷変化するまでの目標時間を設定する。この目標時間は予め設定している値である。もしくは、ドライバの運転履歴、ナビゲーション情報(登り、下りなど)に基づいて設定するようにしても良い。
【0118】
S420では、図8(c)に示すように、目標負荷応答軌道を設定する。燃料電池の発電反応の時定数をもつ第1の関数で、目標負荷応答軌道の立ち上がり部を形成し、その後は、水素供給装置3から供給される水素が増加変化する時定数をもつ第2の関数で形成するようにする。第1の関数の時定数は第2の関数の時定数より格段に速い。
【0119】
S430では、図8(d)に示すように、S420の目標負荷応答が定常に落ち着くまでの時間がS410で設定した目標時間になるように、S420の目標負荷応答軌道のうち第1の関数で形成する範囲を変更する。
【0120】
このようにすることで、目標負荷応答軌道の立ち上がり部を変更して目標負荷応答が定常に落ち着くまでの時間が目標時間になるようにすることができる。
【0121】
S440では、S430で形成した目標負荷応答軌道のうち第1の関数の関数値に基づいて循環水素流量目標値を算出する。
【0122】
目標応答形成のために使用した第1の関数と第2の関数のと実際の水素流量(本実施形態の場合はNl/min)の間の関係を変換する。たとえば、第1の関数と第2の関数は正規化した値を使ったもので、最大値を1、最小値を0にしたものであるならば、実際の水素流量の最大値と最小値と対応させて変換する必要がある。一般には正規化した関数を使うことが多い。途中の計算処理で単位を気にする必要がなくなくからである。本実施形態も正規化した関数を使うようにしているので、正規化した値から実際の水素流量の単位に変換する。これは、次の式(4)を使えばよい。
【0123】
【数4】
循環水素流量目標値[Nl/min]= 正規化した関数の値×( 循環水素流量最大値[Nl/min] − 循環水素流量最小値[Nl/min] )+循環水素流量最小値[Nl/min]…(4)
循環水素流量最大値[Nl/min] 及び循環水素流量最小値[Nl/min]は、ポンプの能力などから予め決めておく値である。
【0124】
このようにして得た、第1の関数の関数値を循環水素流量目標値として循環水素ポンプ5へ出力する。上式の正規化した関数の値に、第1の関数の関数値の最大値を代入して計算する。
【0125】
以上説明した第6実施形態によれば、第2、第3、第4の各実施形態で説明した効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの制御装置が適用される燃料電池システムを示すシステム構成図である。
【図2】(a)第1実施形態における燃料電池システムの要部構成を示す構成図、(b)第1実施形態における燃料電池システムの制御装置を説明するブロック図である。
【図3】第2実施形態における燃料電池システムの制御装置を説明するブロック図である。
【図4】(a)第3実施形態における燃料電池システムの要部構成を示す構成図、(b)第3実施形態における燃料電池システムの制御装置を説明するブロック図である。
【図5】(a)第4実施形態における燃料電池システムの要部構成を示す構成図、(b)第4実施形態における燃料電池システムの制御装置を説明するブロック図である。
【図6】第5実施形態における燃料電池システムの制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】第6実施形態における燃料電池システムの制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】(a)第6実施形態における燃料電池システムの制御装置の動作を説明するフローチャート、(b)負荷変化を説明する図、(c)負荷応答軌道を説明する図、(d)目標負荷応答軌道を説明する図である。
【符号の説明】
1 空気供給装置
2 燃料電池本体
3 水素供給装置
4 加湿器
5 循環水素ポンプ
6 負荷
7 空気極入口圧力センサ
8 水素極入口圧力センサ
9 循環水素ポンプ
10 負荷電流センサ
11 制御装置
12 冷媒循環装置
13 冷媒冷却装置
14 入口温度センサ
15 出口温度センサ
16 セル電圧センサ
17 水素循環経路
21 必要水素量算出手段
22 必要水素量補正手段
23 増加可能負荷電流算出手段
24 負荷電流判定手段
25 負荷電流取出時定数変更手段

Claims (4)

  1. 水素を供給する水素供給装置と、空気を供給する空気供給装置と、前記水素供給装置から供給する水素と前記空気供給装置から供給する空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電する燃料電池本体と、
    該燃料電池本体の水素極から排出される水素ガスを再循環させる循環水素ポンプと、
    前記燃料電池本体の水素極から排出される排水素を再循環させて、前記水素供給装置から供給する水素と混合して燃料電池本体入口の水素極に供給する水素循環経路と、
    該水素循環経路を流れる水素流量を検出する循環水素流量検出手段と、
    前記燃料電池本体から外部負荷へ流れる負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、を備えた燃料電池システムにおいて、
    要求負荷目標値に基づいて必要水素量を算出する必要水素量算出手段と、
    前記循環水素流量検出手段が検出した循環水素流量を発電に使用し場合に前記燃料電池本体から取り出せる負荷電流増加可能分を算出する増加可能負荷電流算出手段と、
    前記必要水素量算出手段が算出した必要水素量に循環水素目標値を加算して必要水素量を補正する必要水素量補正手段と、
    前記負荷電流検出手段が検出した負荷電流が、前記増加可能負荷電流算出手段が算出した負荷電流増加可能分まで増加したか否かを判断する負荷電流判定手段と、
    該負荷電流判定手段により負荷電流が負荷電流増加可能分に達していないと判定されれば、直ちに負荷電流を取り出し、該負荷電流判定手段により負荷電流が負荷電流増加可能分に達したと判断された場合には、前記水素供給装置から供給される水素が増加変化する時定数に合わせて負荷電流を取り出すように制御する負荷電流取出時定数変更手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システムの制御装置。
  2. 前記燃料電池本体内部で水素と酸素が反応する発電反応の時定数をもつ第1の関数で目標負荷応答軌道の立ち上がり部を形成するとともに、前記水素供給装置から供給する水素流量が増加変化する時定数をもつ第2の関数で、前記目標負荷応答軌道の立ち上がり部以後の部分を形成する目標負荷応答軌道作成手段と、
    前記燃料電池本体から取り出す負荷電流を増加して負荷電流が目標値に到達するまでの目標時間を設定する負荷変化目標値到達時間設定手段と、
    前記目標負荷応答軌道が定常値に落ち着く時間が前記負荷変化目標値到達時間設定手段が設定した目標時間となるように、前記目標負荷応答軌道の中で前記第1の関数で構成する範囲を変更して前記目標負荷応答軌道を修正する目標負荷応答軌道修正手段と、
    前記目標負荷応答軌道の第1の関数の関数値に基づいて、循環水素流量目標値を算出する循環水素流量目標値算出手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの制御装置。
  3. 前記燃料電池システムに、燃料電池本体の各セルの電圧又は直列接続された複数セルであるセル群の電圧を測定するセル電圧測定手段を備え、
    前記制御装置は、燃料電池から取り出す負荷電流を増加している過渡状態に、前記セル電圧測定手段が測定した電圧値が所定値を下回った場合には、燃料電池から取り出す負荷電流を減少する負荷電流減少手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの制御装置。
  4. 前記燃料電池システムに、前記燃料電池本体を冷媒によって冷却する冷却手段と、水素ガス入口側における燃料電池本体温度又は冷媒温度を検出する入口温度検出手段と、水素ガス出口側における燃料電池本体温度又は冷媒温度を検出する出口温度検出手段と、を備え、
    前記制御装置は、燃料電池から取り出す負荷電流を増加している過渡状態に、前記入口温度検出手段が検出した温度から前記出口温度検出手段が検出した温度を引いた差分が所定値を超えた場合に、負荷電流取り出し量を減少する負荷電流減少手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの制御装置。
JP2002209943A 2002-07-18 2002-07-18 燃料電池システムの制御装置 Pending JP2004055295A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002209943A JP2004055295A (ja) 2002-07-18 2002-07-18 燃料電池システムの制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002209943A JP2004055295A (ja) 2002-07-18 2002-07-18 燃料電池システムの制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004055295A true JP2004055295A (ja) 2004-02-19

Family

ID=31933634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002209943A Pending JP2004055295A (ja) 2002-07-18 2002-07-18 燃料電池システムの制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004055295A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005088755A1 (ja) * 2004-03-17 2005-09-22 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 燃料電池システム
JP2006066390A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Toyo Technol Inc 燃料電池のための表面電解質sefc
JP2006269281A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池システム
JP2009277456A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Honda Motor Co Ltd 燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005088755A1 (ja) * 2004-03-17 2005-09-22 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 燃料電池システム
CN100449840C (zh) * 2004-03-17 2009-01-07 丰田自动车株式会社 燃料电池系统
US7981559B2 (en) 2004-03-17 2011-07-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Fuel cell system supply having a measuring device and a control device
JP2006066390A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Toyo Technol Inc 燃料電池のための表面電解質sefc
JP2006269281A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池システム
JP2009277456A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Honda Motor Co Ltd 燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10122030B2 (en) Fuel cell system and method of controlling operation of fuel cell
US8679690B2 (en) Device and method for controlling fuel cell system having oxygen concentration transient reduction
JP2004127915A (ja) 燃料電池システム
WO2017098783A1 (ja) 燃料電池システムの制御方法及び燃料電池システム
JP2004165058A (ja) 燃料電池システムの制御装置
JP2013239351A (ja) 燃料電池システム及びその運転方法
JP2006228630A (ja) 燃料電池システムの冷却制御装置
JP2005129252A (ja) 燃料電池システム
JP2009231225A (ja) 燃料電池システム
US20210146798A1 (en) Driving control system and control method of fuel cell vehicle
JP2009037762A (ja) 燃料電池システムの制御装置
JP4085805B2 (ja) 燃料電池システム
JP2004071307A (ja) 燃料電池システム
JP4432400B2 (ja) 燃料電池システムの制御装置
JP2004273162A (ja) 燃料電池制御システム
JP2004207030A (ja) 燃料電池システム
JP2007027047A (ja) 燃料電池システム
JP2004296374A (ja) 燃料電池システム
JP2004055295A (ja) 燃料電池システムの制御装置
JP2013239350A (ja) 燃料電池システム及びその運転方法
CA2942629C (en) Fuel cell system with wetness control
JP2008021448A (ja) 燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法
JP2019079757A (ja) 燃料電池システム
JP2010146750A (ja) 燃料電池システム
JP6136185B2 (ja) 燃料電池システム