JP2004054233A - 表示媒体 - Google Patents
表示媒体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004054233A JP2004054233A JP2003133353A JP2003133353A JP2004054233A JP 2004054233 A JP2004054233 A JP 2004054233A JP 2003133353 A JP2003133353 A JP 2003133353A JP 2003133353 A JP2003133353 A JP 2003133353A JP 2004054233 A JP2004054233 A JP 2004054233A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- display medium
- sheet
- information
- dynamic display
- dynamic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
- Electroluminescent Light Sources (AREA)
- Illuminated Signs And Luminous Advertising (AREA)
- Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
Abstract
【課題】静的表示媒体(例えば印刷物)と動的表示媒体(電子表示素子)との両方の利点を備えた表示媒体を提供する。
【解決手段】表示媒体100は、互いに対向する第1主面12aおよび第2主面12bとを有するシート12を備え、情報を静的に表示する第1領域R1と、情報を動的に表示する第2領域R2とを有する。
【選択図】 図2
【解決手段】表示媒体100は、互いに対向する第1主面12aおよび第2主面12bとを有するシート12を備え、情報を静的に表示する第1領域R1と、情報を動的に表示する第2領域R2とを有する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の印刷物などに代表される情報を静的に表示する機能を少なくとも有する表示媒体(情報表示媒体)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙にインクを用いて情報が静的に表示された印刷物(新聞、雑誌や書籍など、ハードコピーと言われることもある。)に代替可能な表示素子が開発されつつある。この表示素子は、「電子ペーパー」と呼ばれることもある(例えば、非特許文献1)に、種々の方式の電子ペーパーが記載されている。電子ペーパーは、紙の代替する媒体として捕られるため、薄型であるという特徴以外に、可撓性(フレキシビリティ)や表示のメモリ性を有するものと定義されることがある。
【0003】
本明細書においては、紙に代表される媒体を、情報を静的に表示する媒体(静的表示媒体)と呼び、電子ペーパーに代表される情報表示素子を動的表示媒体と呼ぶことにする。動的表示媒体は、表示する情報を書き換えることが可能である点において動的であり、動画を表示するものに限定されない。また、上述の狭義の電子ペーパーのように、可撓性や表示のメモリ性を有することを必ずしも要しない。ここで言う動的表示媒体は、表示素子の内の薄型(例えば厚さが5mm以下)のものと捕らえることもできる。動的表示媒体としては、例えば、液晶表示素子、EL表示素子、電気泳動型表示素子(In plane式、ツイストボール式、電気泳動型マイクロカプセルインク式などを含む)を例示することができる。
【0004】
動的表示媒体の利点としては、情報の書き換えが可能であり省資源化に寄与する点(ソフトコピーとしての利用形態)や、情報ネットワークを介して必要な時に必要な情報を表示することができる点(携帯情報端末の表示部としての利用形態)が挙げられる。さらに、動的表示媒体の表示方式によっては、動画表示することができる点も大きな利点の1つである。
【0005】
現在開発が進められているこれらの動的表示媒体は、比較的小型(典型的には表示面積がA5サイズ以下)のものが多い。これは主に動的表示媒体に携帯性を付与するためである。その結果、例えば電子新聞として利用する際には、一度に表示できる情報量が少ないため、画面をスクロールするなどの操作が必要となっている。
【0006】
一方、静的表示媒体は、新聞紙に代表されるように、比較的大きな表示面を有し、多くの情報を1つの表示面で表示できるという利点を有している。従って、読者(利用者)は、ある特定に視野内に多くの情報を観察することができ、視点を移動させることによって瞬時に必要な情報を詳細に取得することができる(この特徴を「一覧性」と呼ぶことがある。)。例えば、記事の見出し部分のみを全体に見て、興味のある記事のみ細部に眼を通すといった読み方ができる。
【0007】
なお、本明細書において、「情報」とは、利用者が求めるコンテンツを備えるものを指し、例えば、PDAなどの動的表示媒体を備えた電子機器の入力キーを識別するための文字や記号、絵などは含まない。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−184141号公報
【非特許文献1】
「電子ペーパーは紙に代わるか」、日経サイエンス2002年2月号(2001年12月25日発売)第42〜51頁(原著:「The Electronic Paper Chase」、Scientific American、November 2001、Steve Ditlea)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
現在、表示素子に可撓性を付与するなどして、紙に代替可能な動的表示媒体の開発が進められているが、新聞紙に代替可能な動的表示媒体の開発には至っていない。例えば、表示品位(見易さ)の向上、表示面積の拡大、携帯性の向上などが求められている。
【0010】
また、たとえ、新聞紙と代替可能な動的表示媒体が開発されたとしても、コストや、手触りなど紙が有する他の付加的な特徴が故に、紙を用いた静的表示媒体が淘汰されることはないと考えられる。
【0011】
本発明は上記諸点に鑑みてなされてものであり、その目的は、静的表示媒体と動的表示媒体との両方の利点を備えた表示媒体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の表示媒体は、互いに対向する第1主面および第2主面とを有するシートを備え、情報を静的に表示する第1領域と、情報を動的に表示する第2領域とを有し、そのことによって上記目的が達成される。
【0013】
ある実施形態において、前記第1主面の前記第1領域に情報が静的に表示されており、且つ、前記第1主面の前記第2領域に動的表示媒体が設けられている。
【0014】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は、前記シート、および/または前記シートの第1領域に情報を表示するために用いられた材料と同じ材料を用いて形成された部材をその構成要素として含む。
【0015】
前記動的表示媒体は、反射型表示媒体であって、前記シートを反射層として利用する構成とすることができる。
【0016】
前記第1領域には、少なくとも1種類のインクを用いて情報が表示されており、前記動的表示媒体は、複数の画素を有し、前記複数の画素の間を遮光する遮光層が前記少なくとも1種類のインクに含まれるインクを用いて形成されてもよい。
【0017】
ある実施形態において、前記少なくとも1種類のインクは、消色性を有している。
【0018】
前記第1領域には、複数の異なる色のインクを含む複数種類のインクを用いて情報が表示されており、前記動的表示媒体は、複数の画素と、前記複数の画素に対応して設けられたカラーフィルタとを有し、前記カラーフィルタは、前記複数の異なる色のインクを用いて形成されてもよい。
【0019】
前記第1領域には、導電性インクを含む少なくとも1種類のインクを用いて情報が表示されており、前記動的表示媒体は複数の導電部材を有し、前記複数の導電部材の少なくとも一部が前記導電性インクを用いて形成されてもよい。
【0020】
前記シートの前記第1領域以外の領域に電源回路、駆動回路および記憶回路の内の少なくとも1つの回路を有し、前記少なくとも1つの回路と、前記動的表示媒体が有する前記複数の導電部材の一部は、前記導電性インクを用いて形成された配線によって電気的に接続されてもよい。
【0021】
前記シートは可撓性を有することが好ましい。
【0022】
前記シートは、基材と、前記基材の前記第1主面側の少なくとも前記第2領域に形成された保護層とを有してもよい。
【0023】
ある実施形態において、前記シートは繊維構造を有する基材を有する。
【0024】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は前記シートに対して着脱可能である。
【0025】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は、反射型表示媒体であって、前記シートを反射層として利用する。
【0026】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は、電源回路、駆動回路および記憶回路の内の少なくとも1つの回路を有する。
【0027】
ある実施形態において、前記シートの前記第1領域以外の領域に電源回路および駆動回路の少なくとも1つの回路を有し、前記少なくとも1つの回路と、前記動的表示媒体とが、前記シートに形成された配線によって電気的に接続されている。
【0028】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は、アクティブマトリクス型表示素子である。
【0029】
前記アクティブマトリクス型表示素子は可撓性を有することが好ましい。
【0030】
ある実施形態において、前記アクティブマトリクス型表示素子は、転写されたアクティブ素子を有する。
【0031】
ある実施形態において、前記静的表示媒体および前記動的表示媒体によって表示された情報が前記第1主面側から観察される。
【0032】
ある実施形態において、前記静的表示媒体および前記動的表示媒体のいずれか一方に表示された情報が前記シートを介して前記第2主面側から観察される。
【0033】
ある実施形態において、前記第2主面の前記第1領域に情報が静的に表示されており、且つ、前記第1主面の前記第2領域に動的表示媒体が設けられており、前記静的表示媒体および前記動的表示媒体によって表示された情報が前記第2主面側から観察される。
【0034】
ある実施形態において、それぞれに情報が静的に表示された複数のシートを前記第1領域にさらに有する。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の表示媒体を図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1に模式的に示すように、本発明の実施形態の表示媒体100は、静的表示媒体10と、動的表示媒体20とを備えている。静的表示媒体10を構成するシート(例えば紙)12の第1主面12aのある領域(第1領域とする)R1には情報が静的に表示されており、第1主面12aの他の領域(第2領域とする)R2には動的表示媒体20を備えている。すなわち、シート12の第1領域R1を含む部分が静的表示媒体10である。第1主面12aの第1領域R1には、インク(染料、顔料、トナーなど従来の紙やプラスチックフィルム上に情報を表示(あるいは記録)するために用いられる材料を包含するものとする。)を用いて情報が表示されている。静的表示媒体10は公知の方法で、公知のシート12およびインク(不図示)を用いて製造される。動的表示媒体20としては、公知の表示素子(例えば、液晶表示素子、EL表示素子、電気泳動型表示素子(例えば、電気泳動型マイクロカプセルインク式)、ツイストボール式表示素子、電子トナー表示素子を好適に利用することができる。
【0037】
シート12は、典型的には紙であり、プラスチックシートなどを用いることができる。シート12およびその第1主面12aに情報を表示するために用いられるインクは、現在、印刷物を始めとするハードコピーに使われている材料を広く用いることができる。また、従来技術の説明では、静的表示媒体として新聞紙を例示したが、本発明によって、動的表示媒体による利点が付与される静的表示媒体は、新聞紙に限られない。図1には、一枚のシート12に動的表示媒体20が設けられた表示媒体100を示しているが、複数の表示媒体100を製本することもできる。また、書籍として利用する場合には、シート12の第1主面12aだけでなく、シート12の裏面(第2主面)12bに静的に情報を表示しても良いし、さらに、裏面にも動的表示媒体を設けてもよい。さらに、本を構成する複数のシート12の一部は、静的表示媒体だけで構成されても良い。
【0038】
なお、シート12として紙などの繊維構造を有するシートを用いる場合など、動的表示媒体20をシート12の第1主面12aに直接形成する際にバリア性などの特性が不足することがある。また、動的表示媒体20を着脱可能とする際には表面の耐久性などの特性が不足する場合がある。シート12のこれらの特性を補うために、動的表示媒体20を設ける領域(R2)の表面に保護層を設けることが好ましい。もちろん、必要に応じて静的表示媒体10とする領域にも保護層を形成してもよい。このとき静的表示媒体の印刷面を保護するように形成することが好ましい。保護層を設けた構成を採用すると、シート12の材料の選択肢が広がり、例えば、拡散反射性に優れる紙などをシート12として好適に利用することができる。
【0039】
新聞紙などの大きな表示面積を有するシート12に動的表示媒体20を設ける場合には、その携帯性を損なわないように、例えば、四つ折りにする際に邪魔にならない位置に動的表示媒体20を設けることが好ましい。
【0040】
このように、静的表示媒体10と動的表示媒体20とを備える表示媒体100は、以下のような利点を有する。
【0041】
例えば静的表示媒体10が新聞紙である場合、現在、写真や図面を掲載している箇所に、動的表示媒体20を設ける。動的表示媒体20を用いると、限られたスペースで複数の写真や図面を順次表示したり、あるいは、動画を表示することができる。従って、限られたスペースで利用者に多くの情報を提供したり、あるいは、静的表示媒体では提供することが不可能である動画情報を提供することができる。このように、本発明によると臨場感あふれる表示媒体を提供することが可能になる。動的表示媒体20で表示する情報の入力方法については後述する。
【0042】
なお、特許文献1には、印刷物に記載されたURIを読み取って、インターネットから該当するコンテンツを取得して表示する携帯型情報端末装置が開示されている。しかしながら、このような利用方法では、当然のことながら携帯型情報端末装置を利用者が保持する必要があり、さらに、携帯端末情報装置の表示面が印刷物の表示面と同一面内に位置するように携帯端末情報装置を保持することは困難である。従って、携帯端末情報装置の表示を観察するために、利用者は視線を印刷物の表示面から大きく移動する必要があり、印刷物が有する一覧性という特徴を阻害する。その結果、利用者は、携帯端末情報装置に視線を移して例えば動画表示を見ることに不便を感じるので、この機能を利用する頻度が低下する。
【0043】
これに対し、本発明の実施形態の表示媒体100は、動的表示媒体20が静的表示媒体10の表示面(ここでは第1主面12a)に固定されているので、利用者は動的表示媒体20だけを直接的に保持する必要がなく、動的表示媒体20の表示面は静的表示媒体10の表示面とほぼ同一面内にあるので、静的表示媒体10の一覧性を損なうことがない。従って、利用者は不便を感じることなく、例えば動画情報を見ることができる。動的表示媒体20で提供される情報は動画情報が典型的ではあるが、複数の静止画(例えば連続写真や図面)や文字情報であってもよい。
【0044】
動的表示媒体20は、静的表示媒体10を構成するシート12に一体に形成されていてもよいし(例えば図2参照)、シート12の第2領域R2に着脱可能に装着されてもよい(例えば図16参照)。表示媒体100は、動的表示媒体20を動作させるための駆動回路および電源回路、動的表示媒体20に表示すべき情報を記憶・転送する記憶回路および/または表示すべき情報を受信・転送する通信回路を有する(いずれも不図示)。これらの回路は、動的表示媒体20に設けられても良いし、シート12に設けられ、配線等によって動的表示媒体20と電気的に接続してもよい。
【0045】
駆動回路は、動的表示媒体20を構成する基板に一体に形成されることが好ましい。例えば、アクティブマトリクス型の表示素子を動的表示媒体20として用いる場合、動的表示媒体20を構成するアクティブマトリクス基板に駆動回路を一体に形成することが好ましい。アクティブクマトリクス基板として、例えば、プラスチックフィルムとその上に形成されて有機トランジスタを有するフレキシブル基板を用いると、表示媒体100全体のフレキシビリティ(可撓性)を損なうことがないので好ましい。また、動的表示媒体の質量や厚さの低減およびコストの低下のためにも有効である。
【0046】
電源回路には種々の電池を用いることができる。例えば、種々の1次電池や2次電池、あるいは、太陽電池や燃料電池を用いることができる。また、シート状バッテリを用いることが好ましく、表示媒体100が長期間に亘って保存して用いられる場合には、表示媒体100を構成するシート12の全部または一部をシート状バッテリとしてもよい。表示媒体100に電池を設けないで、外部電源(例えば電池)と接続するための電源用端子、あるいは、電磁誘導等によって非接触で外部から電力を受け取る素子を設けても良い。電源回路またはその一部(例えば電池)は、必要に応じて、表示媒体100から着脱可能とされ得る。
【0047】
記憶回路は、例えば、メモリカードなどの着脱可能な記憶媒体が有する記憶回路を用いることができる。表示媒体100が新聞のように流通することを想定すると、表示媒体100を販売する際に利用者の要求に応じてメモリカードを提供すればよい。
【0048】
また、表示媒体100が通信回路を備える場合には、表示媒体100の静的表示媒体10の一部に、例えば必要な表示情報を取得できるサイトのURIを記載しておいて、利用者が必要に応じて情報を取得するようにすることができる。なお、利用者が情報を取得する際に料金を課金しても良いし、表示媒体100を提供する際に一緒に徴収してもよい。また、一部の情報については表示媒体100とともに提供し、追加の情報を利用者の要求に応じて提供するようにしてもよい。表示媒体100が通信回路を備える場合には、上述した特許文献1に記載されている種々の方法を用いて情報を提供することができる。
【0049】
さらに、動的表示媒体20を着脱可能とする場合には、表示媒体100が有する複数の第2領域R2に対して1つの動的表示媒体20を共通に用いることができる。このとき、動的表示媒体20が装着されて第2領域R2ごとに所定の情報を表示できるように、例えば第2領域R2ごとに割り振ったアドレス情報を表示媒体100に記載しておき、必要に応じて利用者がこのアドレス情報を入力することによって、情報を提供してもよい。また、動的表示媒体20に検出回路を設けておき、動的表示媒体20が装着された第2領域R2に応じたアドレス情報を読み取り、所定の情報を記憶回路あるいは所定のサイトから取得するようにしてもよい。
【0050】
また、着脱可能な動的表示媒体20は、新聞などの定期刊行物については、繰り返し利用できる。例えば、静的表示媒体10を含むシート12だけを必要なときに購入し、動的表示媒体20で表示すべき対応する情報だけをその都度取得するようにすることができる。情報の提供方法は、上述したように、メモリカードなどの記録回路を備える記録媒体を利用しても良いし、通信回路を利用しても良い。
【0051】
書籍のように利用される情報を表示媒体100は、動的表示媒体20を着脱式にするメリットは少なく、静的表示媒体10と同様にシート12上に形成しておけばよい。この場合、記憶回路も着脱式にする必要は特に無く、より安価な記憶素子を用いればよい。
【0052】
動的表示媒体20として、例えば、液晶表示媒体(PDLC、FLC、AFLCなど)や電気泳動型表示媒体などのメモリ性を有する表示媒体を用いることが好ましい。動的表示媒体20がメモリ性を有すると、例えば、従来、静止画(例えば写真)が表示されていた第2領域R2に動的表示媒体20を設ける場合に、静止画を予め表示させた状態で、表示媒体100を利用者に提供することができる。利用者は動的表示媒体20に表示されている静止画を見て、さらなる情報の必要性を判断した上で、動的表示媒体20を動作させることができるので、利便性が高く、且つ、省電力効果も高い。
【0053】
動的表示媒体20を着脱式にするか固定式にするかは提供する情報に依存して適宜選択され、動的表示媒体20で表示する情報の提供の仕方も表示媒体100の用途(すなわち表示する情報の種類)に応じて適宜選択される。いずれの場合においても、動的表示媒体20として反射モードの表示媒体を用いることが好ましい。なぜならば、表示媒体100は静的表示媒体10と同一平面において情報を表示するものであり、静的表示媒体10は周囲光を利用した表示(すなわち反射モード表示)であるので、動的表示媒体20は、静的表示媒体10による表示が良好に観察される状況下で良好な表示を行うことが好ましい。また、反射型表示媒体は光源を必要としないので消費電力が小さいという利点もある。さらに、反射型表示媒体が、典型的な反射型液晶表示媒体のように拡散反射層(「散乱層」と呼ばれることもある)を利用する場合には、シート12を拡散反射層として利用することができる。これは、反射型表示媒体をシート12の第1主面12aに固定して用いる場合でも着脱可能とする場合でもよい。
【0054】
また、動的表示媒体20として、有機EL表示媒体などの自発光型の表示媒体を用いることもできる。自発光型表示媒体を用いる場合には、上述したように、シート12の第1主面12aの第1領域R1に静的に情報を表示し、第1主面12aの第2領域に動的表示媒体20を設けて、第1主面側から観察するように構成しても良いし(図12参照)、シート12の第2主面側から観察されるように構成してもよい(図13Aおよび図13B参照)。
【0055】
以下、動的表示媒体20をシート12に一体に形成した固定式の表示媒体(実施形態1)と、動的表示媒体20がシート12から取り外しできる着脱可能式の表示媒体(実施形態2)のさらに具体的な例を説明する。
【0056】
(実施形態1)
図2は、実施形態1の表示媒体110の断面構造を模式的に示している。表示媒体110は、シート12の同一主面(第1主面)12a上に、静的表示媒体10によって静止画情報が表示される第1領域R1と、動的表示媒体20によって動画情報を表示する第2領域R2とを備えている(図1参照)。表示媒体110が有する動的表示媒体20は例えば反射型液晶表示素子20である。
【0057】
シート12の第1領域R1には印刷文字や図などのパターン14が形成されており、シート12の第2領域R2には反射型液晶表示素子20の共通電極22が形成されている。共通電極22は、その上に形成された表示媒体層(例えば液晶層)25を駆動するために必要な電気部材として設けられている。第2領域R2に形成された共通電極22上には液晶層25が設けられ、さらにその上にはアクティブマトリクス側基板(フィルムも含む)21が設けられている。アクティブマトリクス側基板21の液晶層25側には、薄膜トランジスタ(TFT)24や画素電極23が備えられており、画素電極23と共通電極22の間に液晶層25が設けられている。反射型液晶表示素子20は公知の構造を有し、TFTなどの3端子素子に限られず、MIM素子などの2端子素子を用いても良い。
【0058】
表示媒体110は、静的表示媒体と動的表示媒体20とを同一面上に備えるので、従来の印刷物、特に文章記事とそれに関連する写真や絵が記載されている印刷物(例えば新聞紙)に対し、写真や絵が静止画ではなく動画表示(映像表示)を提供できるので、臨場感のある表示を提供できる。
【0059】
また、シート12が、第1領域R1の静的表示媒体10のシート12と、第2領域R2の動的表示媒体20のシート12を兼用していることから、構成が単純化でき、部材の共通化によるコストダウンが可能となる。
【0060】
さらに、シート12を紙などの繊維構造を有するシートで構成すると、良好な拡散反射性を得ることができるので、共通電極22を透明導電材料(例えばITO)で形成することによって、シート12を拡散反射層として利用することができ動的表示媒体20の構造および製造プロセスを簡略化することができる。また、後述するように、静的表示媒体10を構成するパターン14を形成する材料(以下、単に「インク」と称する。)と動的表示媒体20を構成する部材を形成する材料を共通化することによって、あるいは共通のプロセスで形成することによって、更なる低コスト化が可能になる。
【0061】
なお、図2では、理解しやすいように厚さ方向を拡大して記載しているが、シート12の第1主面12a上にシート状の動的表示媒体20(例えば厚さが5mm以下)が形成されたものである。動的表示媒体20のアクティブマトリクス側基板21としてフレキシブルな基板(例えばプラスチックフィルム)を用いることによって、表示媒体110全体をフレキシブルなものとできる。
【0062】
次に、表示媒体110の各部材の具体例および表示媒体110の変形例を説明する。
【0063】
(シート)
シート12は、シート形状のものであれば特に限定されないが、プラスチックシート、金属シート、セラミックシート(ガラスシートも範囲に含む)、紙などの繊維構造体などの材料を用いることができる。本発明による表示媒体は、比較的大面積(例えばA4以上、特にB4以上)の特にその利便性が発揮され、新聞紙や印刷物の代替品として好適に利用できるためには、フレキシブルな材料が特にに好ましく、プラスチックシート、紙などの繊維構造体、薄い金属シートが特に好ましい。
【0064】
また、図3に示すように、シート12の表面に耐水性、耐薬液性、耐環境性、防塵性、表面の平坦化性、絶縁性などの機能を付与するために、保護層(例えば樹脂膜)16を設けていても良い。特に、紙などの繊維構造体のシートの場合は、防塵性や平坦性、耐薬品性を得るために、第2領域R2に電気部材を形成する前に、樹脂膜からなる保護層16を設けておくことが好ましい。例えば、図3に示すように、静的表示媒体10のパターン14や動的表示媒体20を形成する前に、シート12の第1主面12aのほぼ全領域に保護層16を形成する。
【0065】
あるいは、図4に示すように、シート12の第1主面12a上にパターン(例えば印刷文字)14を形成した後、パターン14を覆うように保護層16を形成してもよい。このようにすれば、第2領域R2に動的表示媒体20を形成するプロセスの間、パターン(例えば印刷文字)14を保護することができ、パターン14を形成するインクの材料選択の範囲を広げることができる。従って、従来から普及している種々の公知の印刷用インクを利用することが容易となる。
【0066】
あるいは、図5に示すように、シート12の第2領域R2、即ち動的表示媒体20を形成する領域に選択的に保護層16を形成した例である。シート12の第2領域の表面は、例えば、電極を形成するための平坦性や耐水生が要求されるために保護層16を設けるとことが好ましいが、第1領域R1には、保護層16を形成することを省略することも可能である。シート12として紙を用いた場合、紙の表面に直接印刷インクが配置され、かつ、印刷インクの上には何も形成されないので、第1領域R1では、紙の上に印刷された印刷物そのものの優れた視認性を維持することができる。第1領域R1の保護層16の除去は、第2領域R2の動的表示媒体20形成時の耐プロセス性を考慮した場合、動的表示媒体20を形成した後に除去することが望ましい。
【0067】
図6は、シート12として金属シート12Aを使用し、シート12Aの第2領域R2の表面12bを共通電極(図2の共通電極22参照)を兼用した構造である。これにより、図2における共通電極22を別途形成する工程を省略することができる。また、第1領域R1の保護層16として、白色の絶縁材料(白色顔料を含有する樹脂シートや拡散反射性を備えた樹脂シート)を用いることで、その保護層16表面に印刷された文字の視認性を向上させることができる。また、第2領域R2においては、金属からなるシート12の表面12bが共通電極として機能するので、例えば、表示媒体層25に液晶層25を用いる場合には、シート12を反射電極として用いることで、単純な構造で反射型ディスプレイを実現することができる。
【0068】
(アクティブ素子)
第2領域R2に設ける動的表示媒体20を駆動方式としては、単純マトリクス方式による駆動でも可能であるが、表示品位の観点からは、アクティブマトリクス駆動を用いる方が好ましい。
【0069】
アクティブマトリクス駆動を行うためには、画素毎にアクティブ素子を形成する必要がある。アクティブ素子としては、アモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜、連続粒界シリコン膜、あるいは有機半導体膜を用いて形成された薄膜トランジスタ(TFT)、MIM素子、バックツーバックダイオード素子、強誘電性非線形素子などを用いることができる。この中でも、駆動電圧が低くスイッチング特性が優れているTFTを用いることが特に好ましい。
【0070】
TFTは、TFTをシート12や基板21の上に周知のプロセスを用いて製造することができる。なお、第1領域R1に設ける静的表示媒体の形成には印刷技術が多用されることから、アクティブ素子の形成も印刷技術(例えばインクジェット技術、オフセット印刷など)を適用する方が、プロセスを簡略化できる利点が大きい。例えば、TFTの金属電極は、金属イオンや金属超微粒子を含む導電性インクや、導電性高分子材料をインクジェットで塗布形成し焼成することで得ることができる。また、絶縁膜や導電性酸化膜は、金属イオンを含むゾルゲル塗布液や金属錯体を含む溶液をインクジェット塗布形成し焼成する方法や、ポリイミドなどの有機絶縁材料をインクジェット塗布形成し焼成する方法で得ることができる。また、半導体膜は、有機半導体含有溶液をインクジェットで塗布形成し焼成することで得ることができる。例えば、”Inkjet Printed Polymer Thin Film Transistors for Active−Matrix Display Applications”、 SID Digest 2002、 pp.1193−1195 (2002)などに記載されているTFT形成方法を用いることができる。
【0071】
なお、シート12や基板21の耐熱性や耐薬品性が弱く、シート12や基板21に直接TFTが形成できない場合には、一旦別の基板(耐熱性、耐薬品性の優れたガラス、シリコンウエハ、石英基板など)上に周知のプロセスでTFTを形成し、その後、シート12や基板21上にTFTを転写することによって、TFTを形成することも可能である。これにより、シート12や基板21の材質の選択支を大幅に広げることが可能となり、かつ、TFTの製造プロセスを最適化することが容易になるので高性能なTFTを形成することが可能になる。なお、TFTの転写プロセスとしては、例えば、”Low Temperature Poly−Si TFTs on Plastic Substrate Using Surface Free Technology by Laser Ablation/Annealing”、 SID Digest 2000、 pp.916−919 (2000) や、”Low−Temperature Polycrystalline−Silicon TFT ColorLCD Panel Made of Plastic Substrates”、 SID Digest 2002、 pp.1196−1199 (2002) などに記載されている方法を用いることができる。
【0072】
(動的表示媒体)
第2領域R2に設ける動的表示媒体20としては、液晶表示素子、EL表示素子、電気泳動型表示素子、黒色粒子(トナーなど)の移動を利用した電子トナー型表示素子、球体の回転を利用したボールツイスト表示素子など、上記日経サイエンス2002年2月号(2001年12月25日発売)第42〜51頁などに記載されている公知の薄型表示素子を採用することができる。これらの中でも、特に薄型(例えば厚さ5mm以下)で、シート12としてフレキシブルなものを用いた構造が好ましい。
【0073】
上記の図2から図6においては、表示媒体層25として液晶層を用いた構造を示している。図2〜図6の表示媒体では、動的表示媒体20を構成する基板21として、例えば、フレキシブルで透明なプラスチックシート(フィルム)が用いられる。
【0074】
シート12に液晶層25を介して対向するように配置された基板21の液晶層25側の表面には、アクティブ素子(例えば、アモルファスシリコン膜や連続粒界シリコン膜、あるいは有機半導体膜を用いて形成された薄膜トランジスタ:TFT)24と透明導電材料(例えばITO)を用いて形成された画素電極23がマトリクス状に多数形成されている。もちろん、各画素電極23毎にデータ信号を伝送する信号線や、線順次にアクティブ素子を駆動するための走査線なども、基板21上に設けられてているが、図では省略している。この基板21と前述のシート12は、互いに画素電極23と共通電極22とが液晶層25を介して対応するように配置されている。液晶層25は、基板21の周辺を囲むように設けられた封止材(シール部)26で封入され、外部に漏れないようになっている。このようにして、シート12の第2領域R2に動的表示媒体20が形成された、液晶層25は、画素電極23と共通電極22との間に印加される電圧で駆動される。なお、液晶層25以外の表示媒体層を用いる場合は、液晶層の代わりに各々の表示媒体層を置き換えた構造にすればよい。また、共通電極22をAl、Agなどの金属を用いて反射電極としてもよい。あるいは、上述したように、共通電極22をITOや有機導電材料などの透明導電材料を用いて形成することによって、シート12、あるいは、シート12上に設けられた保護層16の反射特性を利用して、反射型表示素子を構成してもよい。
【0075】
図2〜図6に示した例とは逆に、例えば図7に示すように、共通電極22をシート12上に形成し、アクティブ素子24や画素電極23を基板21上に形成してもよい。なお、アクティブ素子24を画素毎に形成するプロセスは、薄膜の微細加工技術が要求されるため、面積が小さく、かつ静的表示媒体が存在しない基板21側にアクティブ素子24などを形成する構成の方が、作製しやすくプロセスの最適化も容易であるので好ましい。
【0076】
(製造方法)
次に、静的表示媒体10を構成するパターン14を形成するインクと、動的表示媒体20を構成する部材を形成する材料を共通化することによって、あるいは共通のプロセスで形成する製造方法の例を説明する。
【0077】
例えば、第1領域R1のパターン14と、第2領域R2の電気部材とを共通の導電性材料で形成する。ここで用いられる導電材料としては、導電性インク(例えば、黒色導電性樹脂)や金属薄膜などが考えられる。導電性インクを用いる場合には、公知の種々の印刷法を利用することができる。
【0078】
金属薄膜を用いる場合、無電解湿式めっき法で、静的表示媒体10のパターン14としての金属膜(第1領域R1)と、動的表示媒体20の電気部材としての金属膜(第2領域R2)の両者を、シート12の全面に形成し、その後エッチング処理によりパターニングを行なうことで、同時に形成することができる。例えば、ヒドラジンを還元剤に用いた無電解Niメッキ法(表面技術、Vol.53、No.1、pp.31−33、2002に開示されている方法)を用いると、基材上に黒色のNi膜を形成することができるため、その黒色Ni膜を静止画像・文字などのパターン14とし、動的表示媒体20の配線/電極材料との両方に使用することができる。但し、シート12として、紙などを私用する場合は、耐プロセス性の観点から、図3に示したような保護層16をシート12(好ましくは表裏両面に)形成することが好ましい。
【0079】
また、導電性インクに代えて、液体の金属前駆体溶液(有機金属材料など)、導電性樹脂、CuやAuなどの金属超微粒子などを、ジェッティング法によってパターン形成することも可能性である。さらに、従来の転写法や印刷法によって、金属膜パターンや導電性樹脂パターンを形成することも可能である。
【0080】
また、図8および図9Aに示すように、動的表示媒体20がブラックマトリクス27を有する場合、第1領域R1のパターン(例えば印刷文字)14と同じ材料およびプロセスで、第2領域R2のブラックマトリクス27を形成することで、プロセスの増加を防ぐことが可能になる。図8および図9Aに示した構造は、共通電極22の下側にブラックマトリクス27を設けているので、共通電極22が透明な材料(例えばITO、有機導電材料など)である場合に有効である。なお、図8および図9Aに示したように、パターン14およびブラックマトリクス27は、シート12の表面に直接形成しても良いし、シート12の表面に保護層16を形成し、保護層16上に形成しても良い。
【0081】
ブラックマトリクス27は、動的表示媒体20において、通常、画素の区画を形成する目的や、アクティブ素子に外光が入射するのを防ぐ(例えば、図8および図9Aに示した構造の場合は、外光がシート12に反射されて、アクティブ素子24に入射するのを防ぐ)目的で、マトリクス状に形成されることが多い。
【0082】
また、図7に示したように、シート12側にアクティブ素子24を形成する場合にも適用できる。例えば、図9Bに示すように、シート12の表面にアクティブ素子24や画素電極23を形成した後、第1領域R1のパターン(例えば印字文字)14と同じ材料およびプロセスを用いて第2領域R2のブラックマトリクス27を形成してもよい。
【0083】
さらに、図10および図11Aに示すように、動的表示媒体20がブラックマトリクス27およびカラーフィルタ28を有する場合、第1領域R1のパターン(例えば印刷文字)14と同じ材料およびプロセスで、第2領域R2のブラックマトリクス27およびカラーフィルタ28を形成することによって、プロセスの増加を防ぐことが可能になる。なお、この構造は、共通電極22の下側にブラックマトリクス27を設けているので、共通電極22が透明な導電材料(例えばITO、有機導電材料など)である場合に有効である。
【0084】
また、図7に示したように、シート12側にアクティブ素子24を形成する場合にも適用できる。例えば、図11Bに示すように、シート12の表面にアクティブ素子24や画素電極23を形成した後、第1領域R1のパターン(例えば印字文字)14と同じ材料およびプロセスを用いて第2領域R2のブラックマトリクス27やカラーフィルタ28を形成してもよい。
【0085】
上述の説明では、表示媒体20として液晶表示媒体を用いた実施形態を主に説明したが、表示媒体20として有機EL表示媒体を用いた実施形態を図12、図13Aおよび13Bを参照しながら説明する。
【0086】
図12に示す表示媒体120は、上述した実施形態の表示媒体と同様にシート12の第1主面12aの第1領域R1にインクを用いて情報が表示されているとともに、第1主面12aの第2領域R2に動的表示媒体(有機EL表示媒体)20が設けられている。この有機EL表示媒体20は、トップエミッションタイプの自発光型の表示媒体であり、図中の白抜き矢印で示す方向に表示光を出射する。従って、利用者は、シート12の第1主面12a側から表示された情報を観察する。
【0087】
有機EL表示媒体20には、公知の有機EL表示素子を適用することができる。例えば、シート12側から、反射電極51、有機EL層53、および透明電極52がこの順に積層されている。反射電極51の材料には、例えばAl系合金を用い、透明電極52の材料にはITOやIZO(インジウム亜鉛酸化物)などを用いることが好ましい。有機EL層53としては、既知の高分子材料や低分子材料からなる発光材料を用いることができる。有機EL層53は単層で形成しても良いし、必要に応じて、発光層と独立に電子輸送層や正孔輸送層などを形成してもよい。また、有機EL表示媒体20は表示品位の観点からアクティブマトリクス型であることが好ましく、画素毎に例えばTFT54を設けることが好ましい。また、反射電極51、透明電極52、有機EL層53、およびTFT54を含む素子部を外部の酸素や水分から遮断するためバリア層(保護層)55を設けることが好ましい。
【0088】
表示媒体120のように、動的表示媒体20として有機EL表示媒体を使用すると、シート12上に全ての素子を形成することができ、液晶表示媒体における対向基板21(例えば図2参照)が不要になるために、より薄い表示媒体を実現することができる。また、高分子材料を用いて有機EL層53を形成すると、第1領域R1にパターン(印刷文字)14を形成するために典型的に用いられる印刷法で有機EL層53を形成することが可能となり、プロセスを簡略化できる利点が大きい。印刷法の中でもインクジェット法が特に好ましい。
【0089】
動的表示媒体20としてボトムエミッションタイプの有機EL表示媒体を用いると、図13Aおよび図13Bに模式的に示すような表示媒体120を構成することができる。図13Aおよび図13Bに示した有機EL表示媒体20では、シート12側から、透明電極52、有機EL層53、および反射電極51がこの順に積層されている。TFT54を含む素子部は、バリア層55によって覆われている。これらの図に示した表示媒体120において、有機EL表示媒体20は、図中の白抜き矢印で示す方向に表示光を出射する。従って、利用者は、シート12の第2主面12b側から表示された情報を観察する。
【0090】
このような構成を採用すると、上記の利点に加えて、表示媒体120の利用者側の表面の平坦均一性が向上するという利点が得られる。但し、この場合は、シート12を透明な材質(透明プラスチックなど)で構成する必要がある。なお、図13Bに示して動的表示媒体120においては、静的に情報を表示するパターン14はシート12の第2主面12b側に形成されているので、シート12の静的表示媒体10に対応する領域(R1)は透明であることを要しない。図13Bの表示媒体120は、図13Aの構成に比べて、静的表示媒体10のパターン14をシート12を介して観察する必要がなくなり、パターン14の視認性が向上する。
【0091】
(記憶回路、電源回路、駆動回路の配設)
第2領域R2における動的表示媒体20を駆動するためには、動的表示媒体20が表示する画像データが格納された記憶回路、動的表示媒体20を動作させるための電源回路および駆動回路(以下まとめて機能回路と呼ぶ)30を設ける必要がある。
【0092】
図14は、シート12側にこれらの機能回路30を配設した構成を模式的に示す図である。ここでは、シート12に設けられた機能回路30で形成された画像信号をシート12側のアクティブ素子(TFT)に入力するために、シート12と基板21との電気的接続を可能とする電極転移(「トランスファ」と呼ばれることもある。)32を備えている。電極転移32は、例えば、異方導電性接着剤(ACPやACF)を用いて形成され、配線18と電気的に接続されている。この構造は、記憶回路や駆動回路をLSIチップで形成し、シート12に上に実装する場合に適している。配線18も例えば導電性インクを用いてパターン14と同じ工程で形成され得る。
【0093】
また、図15は、動的表示媒体20の基板21上に機能回路30を設けた構造を模式的に示す図である。この構成を採用すると、図14に示した場合のように、電極転移32を必要としない。さらに、記憶回路や駆動回路を、アクティブ素子24を形成するプロセスを用いて、シート12上にモノリシックに形成することで、記憶回路や駆動回路の実装プロセスを簡略化することができる。これら機能回路をモノリシックに形成するためには、ポリシリコンTFT技術を用いることが望ましい。なお、必要に応じて、記憶回路、駆動回路、電源回路のいずれか1つか2つをシート12側に形成し、残りを基板21側に形成しても良い。また、上述したように、記憶回路の代わりに、あるいは、記憶回路とともに通信回路をさらに設けてもよい。
【0094】
(実施形態2)
上述の実施形態1の情報報表示媒体110がシート12上に動的表示媒体20を直接形成する(固定式)タイプであるのに対し、実施形態2の表示媒体130は、動的表示媒体20をシート12上に着脱可能に保持するタイプである。
【0095】
図16は、図2〜図15と同様に図1の断面図に対応し、理解しやすいように厚さ方向を拡大して記載している。
【0096】
図16に示した表示媒体130は、シート12上に粘着層40を用いて動的表示媒体20が着脱可能に保持されている。実施形態1と異なり、パターン14を形成するインクを用いて動的表示媒体20の構成部材の一部を形成することはできないが、動的表示媒体20を繰り返し利用できるという利点が得られる。なお、動的表示媒体20を反射型表示素子で構成する場合には、シート12を拡散反射層として利用することはできる。
【0097】
シート12の第2領域R2に動的表示媒体20を保持する手段としては、種々考えられるが、複数回の着脱(保持⇔取り外し)が可能な保持手段が望ましい。なぜならば、静的表示媒体10を備えたシート12と異なり、動的表示媒体20は情報を書き換えることができるので、動的表示媒体20のみを再利用することが望ましいからである。これによって、本発明の表示媒体130の利用者は、静的表示媒体10を備えたシート12のみを買い換えて、そのたびに動的表示媒体20を貼り付けて、上述した方法で情報を得ることができるようになる。
【0098】
このとき、買い換えたシート12に表示されている静的表示媒体情報の内容に併せて、動画表示媒体の表示内容も更新する必要があるが、このためには、新しい静的表示媒体情報に併せて無線/有線で関連の表示データをダウンロードするか、あるいはシート12を買い換える際に関連する動画表示データが格納されたメモリカードを同時に購入できるようにしておけばよい。
【0099】
ここで、複数回の着脱が可能な固定手段としては、例示した粘着層40を用いる方法や、マグネットシートを利用して磁力で保持する方法、面ファスナー(マジックテープ(登録商標))の原理を利用して保持する方法などを採用することができる。
【0100】
第2領域R2に設ける動的表示媒体20としては、実施形態1の表示媒体110と同様に、液晶表示素子、EL表示素子、電気泳動型表示素子、電子トナー型表示素子やボールツイスト表示素子などを利用することができる。
【0101】
また、動的表示媒体20を動作させるために必要な機能回路(記憶回路、電源回路および駆動回路)30の配設については、実施形態1と同様に、シート12側や動的表示媒体20側のいずれに設けても良い。特に、動的表示媒体20側に、機能回路30を配設する場合には、記憶回路や駆動回路を、アクティブ素子24を形成するプロセスを用いて、シート12上にモノリシックに形成することで、記憶回路や駆動回路の実装プロセスを簡略化することが好ましい。もちろん、実施形態1と同様に、記憶回路の代わりに、あるいは、記憶回路とともに通信回路をさらに設けてもよい。
【0102】
(実施形態3)
実施形態1に記載の表示媒体110は、実施形態2の表示媒体120と異なり、静的表示媒体10と動的表示媒体20が一体に形成(例えば構成部材の一部を共有している)ために、動的表示媒体20のみを再利用することができない。しかしながら、実施形態1の表示媒体110についても、それ自身が動的表示媒体20を備えた高付加価値デバイスであることから、再利用できることが好ましい。そこで、本実施形態3においては、実施形態1で示した表示媒体110の再利用方法について説明する。
【0103】
表示媒体110を再利用するためには、表示媒体110に表示されている情報を更新する必要がある。動的表示媒体20で表示する情報についていは、例えば新たな情報を電気的に供給することによって簡単に更新することが可能である。一方、静的表示媒体10は典型的には印刷物であるが、例えば、消色性を有するインクを用いることによって、その情報を更新することができる。ここで、「消色性」とは、化学的な変化によって発色状態から消色状態に変化する性質を指し、この化学的な変化は、例えば、加熱や光照射などによるエネルギー付与、または溶媒の付与によって生じる。
【0104】
例えば、表示媒体110のパターン(例えば印刷文字)14の形成に、消色性を有するインクを用いれば、表示媒体110を使用した後インクを消させて、この後、新たな情報に対応するパターン14を形成することによって、静的表示媒体10の情報を更新できる。動的表示媒体20の情報の更新は、例えば、この後で電気的に実行できるし、動画表示媒体20がメモリ媒体を受容可能な構成を有する場合は、メモリ媒体を交換すればよい。すなわち、動画表示媒体20のハードは再利用し、情報(ソフト)だけを更新する。
【0105】
消色性を有するインクとしては、例えば、色素、発色剤および消色剤を含むインクを用いることが好ましい。このインクは、印刷した後は、通常、発色状態となる所定のパターン14を形成することによって、情報を静的に表示することができる。表示媒体110使用が終わった後、エネルギー付与や溶媒付与によって、色素と発色剤の結合が切断されて、消色状態となる。さらに、遊離した発色剤と消色剤が結合し、消色状態を安定化させる。消色剤は省略することもできる。このような消色性を有するインクとしては、例えば、特開2000−19770号公報に記載されているものを用いることができる。もちろん、これに限られず、化学的および/または物理的な処理によって消色可能なインク(トナーを含む)を適宜用いることができる。また、および/または物理的な処理によって消色できないインクを用いた場合であっても、パターン14上に白色インク(シート12と同色のインク)を上塗りした後、再利用しても良い。
【0106】
上述した実施形態2や実施形態3で説明した表示媒体を用いることによって、表示媒体の再利用が可能になるため、例えば、動画表示挿絵を備えたリサイクル新聞、リサイクル本、リサイクルカタログ、リサイクル広告、リサイクルカレンダーなどを実現することが可能になる。
【0107】
(実施形態4)
上述した実施形態1〜3では、第1領域R1に静的表示媒体を有し、第2領域R2に動的表示媒体を有する一枚のシート12から構成された表示媒体を例示したが、勿論、複数のシート12を用いて表示媒体を構成しても良い。本実施形態では、動的表示媒体は1個で、静的表示媒体が複数のシートで構成されている表示媒体の例を説明する。
【0108】
図17Aおよび図17Bに示した表示媒体140は、シート12の第1領域R1に複数のシート132で構成された静的表示媒体10を有している。複数のシート132は、典型的には紙であり、シート12と同じ材料であってもよし、異なっても良い。複数のシート132は冊子状に固定されていることが好ましく、それぞれのシート132の両面132aおよび132bに情報が静的に表示されている。図17Bに示した表示媒体140は、シート132に開口部132cを有し、開口部132cを通して、動的表示媒体20に表示される情報を観察できるように構成されている。
【0109】
これらの表示媒体140では、例えば、動的表示媒体20の1画面(1個)に対して、静的表示媒体10の複数ページ(シート132)が対応することになる。この場合、動的表示媒体20は、静的表示媒体10のページ(シート132の面132aおよび/または132b)に対応する表示を行う。
【0110】
このとき、閲覧している静的表示媒体10のページを自動的に認識し、そのページに表示されている情報の内容に対応した情報が、自動的に動的表示媒体20に表示されるシステムを有することが好ましい。このようなシステムは、例えば、以下のように構成できる。
【0111】
静的表示媒体10の各シート132(ページ)の上部にシート132ごとに異なる位置に切り欠き(不図示)を設けておき、最終ページのシート12に、複数のシート132の切か欠き部に対応した位置に光センサ(不図示)を設けておく。シート132をめくるごとに外光を受光する光センサの組合せが異なるので、その組み合わせを特定することによって、現在開いているシート132(ページ)を自動的に認識することができる。
【0112】
あるいは、静的表示媒体10の閲覧しているシート132(ページ)を自動的に認識するシステムを有しない場合であっても、動画表示媒体20の近傍に表示切替ボタン(不図示)を設けておき、利用者が任意にボタンを押すことで、動的表示媒体20に表示される情報を切り替えるように構成してもよい。
【0113】
本実施形態の表示媒体140によると、比較的に製造コストが高く付加価値の高い動的表示媒体20の個数を少なくして、比較的多くの情報を提供できるので、コストパフォーマンスの優れた、例えば、動画表示挿絵を備えたリサイクル新聞、リサイクル本、リサイクルカタログ、リサイクル広告、リサイクルカレンダーなどを実現することが可能になる。
【0114】
【発明の効果】
本発明によると、静的表示媒体と動的表示媒体との両方の利点を備えた表示媒体が提供される。本発明の表示媒体は、動的表示媒体を備えるので、限られたスペースで複数の写真や図面を順次表示したり、あるいは、動画を表示することができる。従って、限られたスペースで利用者に多くの情報を提供したり、あるいは、静的表示媒体では提供することが不可能である動画情報を提供することができる。また、表示媒体全体としては静的表示媒体が有する一覧性に優れるという特徴を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の表示媒体100の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明による実施形態1の表示媒体110の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明による実施形態1の他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図8】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図9A】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図9B】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図10】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図11A】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図11B】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図12】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図13A】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図13B】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図14】本発明による実施形態1の表示媒体における機能回路30の配置例を模式的に示す図である。
【図15】本発明による実施形態1の表示媒体における機能回路30の他の配置例を模式的に示す図である。
【図16】本発明による実施形態2の表示媒体130の構成を模式的に示す図である。
【図17A】本発明による実施形態4の表示媒体140の構成を模式的に示す図である。
【図17B】本発明による実施形態4の表示媒体140の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 静的表示媒体
12 シート
12a シートの第1主面
12b シートの第2主面
14 パターン(印刷文字など)
20 動的表示媒体
21 基板
22 共通電極
23 画素電極
24 アクティブ素子(TFT)
25 表示媒体層(液晶層)
26 封止材(シール部)
30 機能回路
100、110、120、130、140 表示媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の印刷物などに代表される情報を静的に表示する機能を少なくとも有する表示媒体(情報表示媒体)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙にインクを用いて情報が静的に表示された印刷物(新聞、雑誌や書籍など、ハードコピーと言われることもある。)に代替可能な表示素子が開発されつつある。この表示素子は、「電子ペーパー」と呼ばれることもある(例えば、非特許文献1)に、種々の方式の電子ペーパーが記載されている。電子ペーパーは、紙の代替する媒体として捕られるため、薄型であるという特徴以外に、可撓性(フレキシビリティ)や表示のメモリ性を有するものと定義されることがある。
【0003】
本明細書においては、紙に代表される媒体を、情報を静的に表示する媒体(静的表示媒体)と呼び、電子ペーパーに代表される情報表示素子を動的表示媒体と呼ぶことにする。動的表示媒体は、表示する情報を書き換えることが可能である点において動的であり、動画を表示するものに限定されない。また、上述の狭義の電子ペーパーのように、可撓性や表示のメモリ性を有することを必ずしも要しない。ここで言う動的表示媒体は、表示素子の内の薄型(例えば厚さが5mm以下)のものと捕らえることもできる。動的表示媒体としては、例えば、液晶表示素子、EL表示素子、電気泳動型表示素子(In plane式、ツイストボール式、電気泳動型マイクロカプセルインク式などを含む)を例示することができる。
【0004】
動的表示媒体の利点としては、情報の書き換えが可能であり省資源化に寄与する点(ソフトコピーとしての利用形態)や、情報ネットワークを介して必要な時に必要な情報を表示することができる点(携帯情報端末の表示部としての利用形態)が挙げられる。さらに、動的表示媒体の表示方式によっては、動画表示することができる点も大きな利点の1つである。
【0005】
現在開発が進められているこれらの動的表示媒体は、比較的小型(典型的には表示面積がA5サイズ以下)のものが多い。これは主に動的表示媒体に携帯性を付与するためである。その結果、例えば電子新聞として利用する際には、一度に表示できる情報量が少ないため、画面をスクロールするなどの操作が必要となっている。
【0006】
一方、静的表示媒体は、新聞紙に代表されるように、比較的大きな表示面を有し、多くの情報を1つの表示面で表示できるという利点を有している。従って、読者(利用者)は、ある特定に視野内に多くの情報を観察することができ、視点を移動させることによって瞬時に必要な情報を詳細に取得することができる(この特徴を「一覧性」と呼ぶことがある。)。例えば、記事の見出し部分のみを全体に見て、興味のある記事のみ細部に眼を通すといった読み方ができる。
【0007】
なお、本明細書において、「情報」とは、利用者が求めるコンテンツを備えるものを指し、例えば、PDAなどの動的表示媒体を備えた電子機器の入力キーを識別するための文字や記号、絵などは含まない。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−184141号公報
【非特許文献1】
「電子ペーパーは紙に代わるか」、日経サイエンス2002年2月号(2001年12月25日発売)第42〜51頁(原著:「The Electronic Paper Chase」、Scientific American、November 2001、Steve Ditlea)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
現在、表示素子に可撓性を付与するなどして、紙に代替可能な動的表示媒体の開発が進められているが、新聞紙に代替可能な動的表示媒体の開発には至っていない。例えば、表示品位(見易さ)の向上、表示面積の拡大、携帯性の向上などが求められている。
【0010】
また、たとえ、新聞紙と代替可能な動的表示媒体が開発されたとしても、コストや、手触りなど紙が有する他の付加的な特徴が故に、紙を用いた静的表示媒体が淘汰されることはないと考えられる。
【0011】
本発明は上記諸点に鑑みてなされてものであり、その目的は、静的表示媒体と動的表示媒体との両方の利点を備えた表示媒体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の表示媒体は、互いに対向する第1主面および第2主面とを有するシートを備え、情報を静的に表示する第1領域と、情報を動的に表示する第2領域とを有し、そのことによって上記目的が達成される。
【0013】
ある実施形態において、前記第1主面の前記第1領域に情報が静的に表示されており、且つ、前記第1主面の前記第2領域に動的表示媒体が設けられている。
【0014】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は、前記シート、および/または前記シートの第1領域に情報を表示するために用いられた材料と同じ材料を用いて形成された部材をその構成要素として含む。
【0015】
前記動的表示媒体は、反射型表示媒体であって、前記シートを反射層として利用する構成とすることができる。
【0016】
前記第1領域には、少なくとも1種類のインクを用いて情報が表示されており、前記動的表示媒体は、複数の画素を有し、前記複数の画素の間を遮光する遮光層が前記少なくとも1種類のインクに含まれるインクを用いて形成されてもよい。
【0017】
ある実施形態において、前記少なくとも1種類のインクは、消色性を有している。
【0018】
前記第1領域には、複数の異なる色のインクを含む複数種類のインクを用いて情報が表示されており、前記動的表示媒体は、複数の画素と、前記複数の画素に対応して設けられたカラーフィルタとを有し、前記カラーフィルタは、前記複数の異なる色のインクを用いて形成されてもよい。
【0019】
前記第1領域には、導電性インクを含む少なくとも1種類のインクを用いて情報が表示されており、前記動的表示媒体は複数の導電部材を有し、前記複数の導電部材の少なくとも一部が前記導電性インクを用いて形成されてもよい。
【0020】
前記シートの前記第1領域以外の領域に電源回路、駆動回路および記憶回路の内の少なくとも1つの回路を有し、前記少なくとも1つの回路と、前記動的表示媒体が有する前記複数の導電部材の一部は、前記導電性インクを用いて形成された配線によって電気的に接続されてもよい。
【0021】
前記シートは可撓性を有することが好ましい。
【0022】
前記シートは、基材と、前記基材の前記第1主面側の少なくとも前記第2領域に形成された保護層とを有してもよい。
【0023】
ある実施形態において、前記シートは繊維構造を有する基材を有する。
【0024】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は前記シートに対して着脱可能である。
【0025】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は、反射型表示媒体であって、前記シートを反射層として利用する。
【0026】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は、電源回路、駆動回路および記憶回路の内の少なくとも1つの回路を有する。
【0027】
ある実施形態において、前記シートの前記第1領域以外の領域に電源回路および駆動回路の少なくとも1つの回路を有し、前記少なくとも1つの回路と、前記動的表示媒体とが、前記シートに形成された配線によって電気的に接続されている。
【0028】
ある実施形態において、前記動的表示媒体は、アクティブマトリクス型表示素子である。
【0029】
前記アクティブマトリクス型表示素子は可撓性を有することが好ましい。
【0030】
ある実施形態において、前記アクティブマトリクス型表示素子は、転写されたアクティブ素子を有する。
【0031】
ある実施形態において、前記静的表示媒体および前記動的表示媒体によって表示された情報が前記第1主面側から観察される。
【0032】
ある実施形態において、前記静的表示媒体および前記動的表示媒体のいずれか一方に表示された情報が前記シートを介して前記第2主面側から観察される。
【0033】
ある実施形態において、前記第2主面の前記第1領域に情報が静的に表示されており、且つ、前記第1主面の前記第2領域に動的表示媒体が設けられており、前記静的表示媒体および前記動的表示媒体によって表示された情報が前記第2主面側から観察される。
【0034】
ある実施形態において、それぞれに情報が静的に表示された複数のシートを前記第1領域にさらに有する。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の表示媒体を図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1に模式的に示すように、本発明の実施形態の表示媒体100は、静的表示媒体10と、動的表示媒体20とを備えている。静的表示媒体10を構成するシート(例えば紙)12の第1主面12aのある領域(第1領域とする)R1には情報が静的に表示されており、第1主面12aの他の領域(第2領域とする)R2には動的表示媒体20を備えている。すなわち、シート12の第1領域R1を含む部分が静的表示媒体10である。第1主面12aの第1領域R1には、インク(染料、顔料、トナーなど従来の紙やプラスチックフィルム上に情報を表示(あるいは記録)するために用いられる材料を包含するものとする。)を用いて情報が表示されている。静的表示媒体10は公知の方法で、公知のシート12およびインク(不図示)を用いて製造される。動的表示媒体20としては、公知の表示素子(例えば、液晶表示素子、EL表示素子、電気泳動型表示素子(例えば、電気泳動型マイクロカプセルインク式)、ツイストボール式表示素子、電子トナー表示素子を好適に利用することができる。
【0037】
シート12は、典型的には紙であり、プラスチックシートなどを用いることができる。シート12およびその第1主面12aに情報を表示するために用いられるインクは、現在、印刷物を始めとするハードコピーに使われている材料を広く用いることができる。また、従来技術の説明では、静的表示媒体として新聞紙を例示したが、本発明によって、動的表示媒体による利点が付与される静的表示媒体は、新聞紙に限られない。図1には、一枚のシート12に動的表示媒体20が設けられた表示媒体100を示しているが、複数の表示媒体100を製本することもできる。また、書籍として利用する場合には、シート12の第1主面12aだけでなく、シート12の裏面(第2主面)12bに静的に情報を表示しても良いし、さらに、裏面にも動的表示媒体を設けてもよい。さらに、本を構成する複数のシート12の一部は、静的表示媒体だけで構成されても良い。
【0038】
なお、シート12として紙などの繊維構造を有するシートを用いる場合など、動的表示媒体20をシート12の第1主面12aに直接形成する際にバリア性などの特性が不足することがある。また、動的表示媒体20を着脱可能とする際には表面の耐久性などの特性が不足する場合がある。シート12のこれらの特性を補うために、動的表示媒体20を設ける領域(R2)の表面に保護層を設けることが好ましい。もちろん、必要に応じて静的表示媒体10とする領域にも保護層を形成してもよい。このとき静的表示媒体の印刷面を保護するように形成することが好ましい。保護層を設けた構成を採用すると、シート12の材料の選択肢が広がり、例えば、拡散反射性に優れる紙などをシート12として好適に利用することができる。
【0039】
新聞紙などの大きな表示面積を有するシート12に動的表示媒体20を設ける場合には、その携帯性を損なわないように、例えば、四つ折りにする際に邪魔にならない位置に動的表示媒体20を設けることが好ましい。
【0040】
このように、静的表示媒体10と動的表示媒体20とを備える表示媒体100は、以下のような利点を有する。
【0041】
例えば静的表示媒体10が新聞紙である場合、現在、写真や図面を掲載している箇所に、動的表示媒体20を設ける。動的表示媒体20を用いると、限られたスペースで複数の写真や図面を順次表示したり、あるいは、動画を表示することができる。従って、限られたスペースで利用者に多くの情報を提供したり、あるいは、静的表示媒体では提供することが不可能である動画情報を提供することができる。このように、本発明によると臨場感あふれる表示媒体を提供することが可能になる。動的表示媒体20で表示する情報の入力方法については後述する。
【0042】
なお、特許文献1には、印刷物に記載されたURIを読み取って、インターネットから該当するコンテンツを取得して表示する携帯型情報端末装置が開示されている。しかしながら、このような利用方法では、当然のことながら携帯型情報端末装置を利用者が保持する必要があり、さらに、携帯端末情報装置の表示面が印刷物の表示面と同一面内に位置するように携帯端末情報装置を保持することは困難である。従って、携帯端末情報装置の表示を観察するために、利用者は視線を印刷物の表示面から大きく移動する必要があり、印刷物が有する一覧性という特徴を阻害する。その結果、利用者は、携帯端末情報装置に視線を移して例えば動画表示を見ることに不便を感じるので、この機能を利用する頻度が低下する。
【0043】
これに対し、本発明の実施形態の表示媒体100は、動的表示媒体20が静的表示媒体10の表示面(ここでは第1主面12a)に固定されているので、利用者は動的表示媒体20だけを直接的に保持する必要がなく、動的表示媒体20の表示面は静的表示媒体10の表示面とほぼ同一面内にあるので、静的表示媒体10の一覧性を損なうことがない。従って、利用者は不便を感じることなく、例えば動画情報を見ることができる。動的表示媒体20で提供される情報は動画情報が典型的ではあるが、複数の静止画(例えば連続写真や図面)や文字情報であってもよい。
【0044】
動的表示媒体20は、静的表示媒体10を構成するシート12に一体に形成されていてもよいし(例えば図2参照)、シート12の第2領域R2に着脱可能に装着されてもよい(例えば図16参照)。表示媒体100は、動的表示媒体20を動作させるための駆動回路および電源回路、動的表示媒体20に表示すべき情報を記憶・転送する記憶回路および/または表示すべき情報を受信・転送する通信回路を有する(いずれも不図示)。これらの回路は、動的表示媒体20に設けられても良いし、シート12に設けられ、配線等によって動的表示媒体20と電気的に接続してもよい。
【0045】
駆動回路は、動的表示媒体20を構成する基板に一体に形成されることが好ましい。例えば、アクティブマトリクス型の表示素子を動的表示媒体20として用いる場合、動的表示媒体20を構成するアクティブマトリクス基板に駆動回路を一体に形成することが好ましい。アクティブクマトリクス基板として、例えば、プラスチックフィルムとその上に形成されて有機トランジスタを有するフレキシブル基板を用いると、表示媒体100全体のフレキシビリティ(可撓性)を損なうことがないので好ましい。また、動的表示媒体の質量や厚さの低減およびコストの低下のためにも有効である。
【0046】
電源回路には種々の電池を用いることができる。例えば、種々の1次電池や2次電池、あるいは、太陽電池や燃料電池を用いることができる。また、シート状バッテリを用いることが好ましく、表示媒体100が長期間に亘って保存して用いられる場合には、表示媒体100を構成するシート12の全部または一部をシート状バッテリとしてもよい。表示媒体100に電池を設けないで、外部電源(例えば電池)と接続するための電源用端子、あるいは、電磁誘導等によって非接触で外部から電力を受け取る素子を設けても良い。電源回路またはその一部(例えば電池)は、必要に応じて、表示媒体100から着脱可能とされ得る。
【0047】
記憶回路は、例えば、メモリカードなどの着脱可能な記憶媒体が有する記憶回路を用いることができる。表示媒体100が新聞のように流通することを想定すると、表示媒体100を販売する際に利用者の要求に応じてメモリカードを提供すればよい。
【0048】
また、表示媒体100が通信回路を備える場合には、表示媒体100の静的表示媒体10の一部に、例えば必要な表示情報を取得できるサイトのURIを記載しておいて、利用者が必要に応じて情報を取得するようにすることができる。なお、利用者が情報を取得する際に料金を課金しても良いし、表示媒体100を提供する際に一緒に徴収してもよい。また、一部の情報については表示媒体100とともに提供し、追加の情報を利用者の要求に応じて提供するようにしてもよい。表示媒体100が通信回路を備える場合には、上述した特許文献1に記載されている種々の方法を用いて情報を提供することができる。
【0049】
さらに、動的表示媒体20を着脱可能とする場合には、表示媒体100が有する複数の第2領域R2に対して1つの動的表示媒体20を共通に用いることができる。このとき、動的表示媒体20が装着されて第2領域R2ごとに所定の情報を表示できるように、例えば第2領域R2ごとに割り振ったアドレス情報を表示媒体100に記載しておき、必要に応じて利用者がこのアドレス情報を入力することによって、情報を提供してもよい。また、動的表示媒体20に検出回路を設けておき、動的表示媒体20が装着された第2領域R2に応じたアドレス情報を読み取り、所定の情報を記憶回路あるいは所定のサイトから取得するようにしてもよい。
【0050】
また、着脱可能な動的表示媒体20は、新聞などの定期刊行物については、繰り返し利用できる。例えば、静的表示媒体10を含むシート12だけを必要なときに購入し、動的表示媒体20で表示すべき対応する情報だけをその都度取得するようにすることができる。情報の提供方法は、上述したように、メモリカードなどの記録回路を備える記録媒体を利用しても良いし、通信回路を利用しても良い。
【0051】
書籍のように利用される情報を表示媒体100は、動的表示媒体20を着脱式にするメリットは少なく、静的表示媒体10と同様にシート12上に形成しておけばよい。この場合、記憶回路も着脱式にする必要は特に無く、より安価な記憶素子を用いればよい。
【0052】
動的表示媒体20として、例えば、液晶表示媒体(PDLC、FLC、AFLCなど)や電気泳動型表示媒体などのメモリ性を有する表示媒体を用いることが好ましい。動的表示媒体20がメモリ性を有すると、例えば、従来、静止画(例えば写真)が表示されていた第2領域R2に動的表示媒体20を設ける場合に、静止画を予め表示させた状態で、表示媒体100を利用者に提供することができる。利用者は動的表示媒体20に表示されている静止画を見て、さらなる情報の必要性を判断した上で、動的表示媒体20を動作させることができるので、利便性が高く、且つ、省電力効果も高い。
【0053】
動的表示媒体20を着脱式にするか固定式にするかは提供する情報に依存して適宜選択され、動的表示媒体20で表示する情報の提供の仕方も表示媒体100の用途(すなわち表示する情報の種類)に応じて適宜選択される。いずれの場合においても、動的表示媒体20として反射モードの表示媒体を用いることが好ましい。なぜならば、表示媒体100は静的表示媒体10と同一平面において情報を表示するものであり、静的表示媒体10は周囲光を利用した表示(すなわち反射モード表示)であるので、動的表示媒体20は、静的表示媒体10による表示が良好に観察される状況下で良好な表示を行うことが好ましい。また、反射型表示媒体は光源を必要としないので消費電力が小さいという利点もある。さらに、反射型表示媒体が、典型的な反射型液晶表示媒体のように拡散反射層(「散乱層」と呼ばれることもある)を利用する場合には、シート12を拡散反射層として利用することができる。これは、反射型表示媒体をシート12の第1主面12aに固定して用いる場合でも着脱可能とする場合でもよい。
【0054】
また、動的表示媒体20として、有機EL表示媒体などの自発光型の表示媒体を用いることもできる。自発光型表示媒体を用いる場合には、上述したように、シート12の第1主面12aの第1領域R1に静的に情報を表示し、第1主面12aの第2領域に動的表示媒体20を設けて、第1主面側から観察するように構成しても良いし(図12参照)、シート12の第2主面側から観察されるように構成してもよい(図13Aおよび図13B参照)。
【0055】
以下、動的表示媒体20をシート12に一体に形成した固定式の表示媒体(実施形態1)と、動的表示媒体20がシート12から取り外しできる着脱可能式の表示媒体(実施形態2)のさらに具体的な例を説明する。
【0056】
(実施形態1)
図2は、実施形態1の表示媒体110の断面構造を模式的に示している。表示媒体110は、シート12の同一主面(第1主面)12a上に、静的表示媒体10によって静止画情報が表示される第1領域R1と、動的表示媒体20によって動画情報を表示する第2領域R2とを備えている(図1参照)。表示媒体110が有する動的表示媒体20は例えば反射型液晶表示素子20である。
【0057】
シート12の第1領域R1には印刷文字や図などのパターン14が形成されており、シート12の第2領域R2には反射型液晶表示素子20の共通電極22が形成されている。共通電極22は、その上に形成された表示媒体層(例えば液晶層)25を駆動するために必要な電気部材として設けられている。第2領域R2に形成された共通電極22上には液晶層25が設けられ、さらにその上にはアクティブマトリクス側基板(フィルムも含む)21が設けられている。アクティブマトリクス側基板21の液晶層25側には、薄膜トランジスタ(TFT)24や画素電極23が備えられており、画素電極23と共通電極22の間に液晶層25が設けられている。反射型液晶表示素子20は公知の構造を有し、TFTなどの3端子素子に限られず、MIM素子などの2端子素子を用いても良い。
【0058】
表示媒体110は、静的表示媒体と動的表示媒体20とを同一面上に備えるので、従来の印刷物、特に文章記事とそれに関連する写真や絵が記載されている印刷物(例えば新聞紙)に対し、写真や絵が静止画ではなく動画表示(映像表示)を提供できるので、臨場感のある表示を提供できる。
【0059】
また、シート12が、第1領域R1の静的表示媒体10のシート12と、第2領域R2の動的表示媒体20のシート12を兼用していることから、構成が単純化でき、部材の共通化によるコストダウンが可能となる。
【0060】
さらに、シート12を紙などの繊維構造を有するシートで構成すると、良好な拡散反射性を得ることができるので、共通電極22を透明導電材料(例えばITO)で形成することによって、シート12を拡散反射層として利用することができ動的表示媒体20の構造および製造プロセスを簡略化することができる。また、後述するように、静的表示媒体10を構成するパターン14を形成する材料(以下、単に「インク」と称する。)と動的表示媒体20を構成する部材を形成する材料を共通化することによって、あるいは共通のプロセスで形成することによって、更なる低コスト化が可能になる。
【0061】
なお、図2では、理解しやすいように厚さ方向を拡大して記載しているが、シート12の第1主面12a上にシート状の動的表示媒体20(例えば厚さが5mm以下)が形成されたものである。動的表示媒体20のアクティブマトリクス側基板21としてフレキシブルな基板(例えばプラスチックフィルム)を用いることによって、表示媒体110全体をフレキシブルなものとできる。
【0062】
次に、表示媒体110の各部材の具体例および表示媒体110の変形例を説明する。
【0063】
(シート)
シート12は、シート形状のものであれば特に限定されないが、プラスチックシート、金属シート、セラミックシート(ガラスシートも範囲に含む)、紙などの繊維構造体などの材料を用いることができる。本発明による表示媒体は、比較的大面積(例えばA4以上、特にB4以上)の特にその利便性が発揮され、新聞紙や印刷物の代替品として好適に利用できるためには、フレキシブルな材料が特にに好ましく、プラスチックシート、紙などの繊維構造体、薄い金属シートが特に好ましい。
【0064】
また、図3に示すように、シート12の表面に耐水性、耐薬液性、耐環境性、防塵性、表面の平坦化性、絶縁性などの機能を付与するために、保護層(例えば樹脂膜)16を設けていても良い。特に、紙などの繊維構造体のシートの場合は、防塵性や平坦性、耐薬品性を得るために、第2領域R2に電気部材を形成する前に、樹脂膜からなる保護層16を設けておくことが好ましい。例えば、図3に示すように、静的表示媒体10のパターン14や動的表示媒体20を形成する前に、シート12の第1主面12aのほぼ全領域に保護層16を形成する。
【0065】
あるいは、図4に示すように、シート12の第1主面12a上にパターン(例えば印刷文字)14を形成した後、パターン14を覆うように保護層16を形成してもよい。このようにすれば、第2領域R2に動的表示媒体20を形成するプロセスの間、パターン(例えば印刷文字)14を保護することができ、パターン14を形成するインクの材料選択の範囲を広げることができる。従って、従来から普及している種々の公知の印刷用インクを利用することが容易となる。
【0066】
あるいは、図5に示すように、シート12の第2領域R2、即ち動的表示媒体20を形成する領域に選択的に保護層16を形成した例である。シート12の第2領域の表面は、例えば、電極を形成するための平坦性や耐水生が要求されるために保護層16を設けるとことが好ましいが、第1領域R1には、保護層16を形成することを省略することも可能である。シート12として紙を用いた場合、紙の表面に直接印刷インクが配置され、かつ、印刷インクの上には何も形成されないので、第1領域R1では、紙の上に印刷された印刷物そのものの優れた視認性を維持することができる。第1領域R1の保護層16の除去は、第2領域R2の動的表示媒体20形成時の耐プロセス性を考慮した場合、動的表示媒体20を形成した後に除去することが望ましい。
【0067】
図6は、シート12として金属シート12Aを使用し、シート12Aの第2領域R2の表面12bを共通電極(図2の共通電極22参照)を兼用した構造である。これにより、図2における共通電極22を別途形成する工程を省略することができる。また、第1領域R1の保護層16として、白色の絶縁材料(白色顔料を含有する樹脂シートや拡散反射性を備えた樹脂シート)を用いることで、その保護層16表面に印刷された文字の視認性を向上させることができる。また、第2領域R2においては、金属からなるシート12の表面12bが共通電極として機能するので、例えば、表示媒体層25に液晶層25を用いる場合には、シート12を反射電極として用いることで、単純な構造で反射型ディスプレイを実現することができる。
【0068】
(アクティブ素子)
第2領域R2に設ける動的表示媒体20を駆動方式としては、単純マトリクス方式による駆動でも可能であるが、表示品位の観点からは、アクティブマトリクス駆動を用いる方が好ましい。
【0069】
アクティブマトリクス駆動を行うためには、画素毎にアクティブ素子を形成する必要がある。アクティブ素子としては、アモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜、連続粒界シリコン膜、あるいは有機半導体膜を用いて形成された薄膜トランジスタ(TFT)、MIM素子、バックツーバックダイオード素子、強誘電性非線形素子などを用いることができる。この中でも、駆動電圧が低くスイッチング特性が優れているTFTを用いることが特に好ましい。
【0070】
TFTは、TFTをシート12や基板21の上に周知のプロセスを用いて製造することができる。なお、第1領域R1に設ける静的表示媒体の形成には印刷技術が多用されることから、アクティブ素子の形成も印刷技術(例えばインクジェット技術、オフセット印刷など)を適用する方が、プロセスを簡略化できる利点が大きい。例えば、TFTの金属電極は、金属イオンや金属超微粒子を含む導電性インクや、導電性高分子材料をインクジェットで塗布形成し焼成することで得ることができる。また、絶縁膜や導電性酸化膜は、金属イオンを含むゾルゲル塗布液や金属錯体を含む溶液をインクジェット塗布形成し焼成する方法や、ポリイミドなどの有機絶縁材料をインクジェット塗布形成し焼成する方法で得ることができる。また、半導体膜は、有機半導体含有溶液をインクジェットで塗布形成し焼成することで得ることができる。例えば、”Inkjet Printed Polymer Thin Film Transistors for Active−Matrix Display Applications”、 SID Digest 2002、 pp.1193−1195 (2002)などに記載されているTFT形成方法を用いることができる。
【0071】
なお、シート12や基板21の耐熱性や耐薬品性が弱く、シート12や基板21に直接TFTが形成できない場合には、一旦別の基板(耐熱性、耐薬品性の優れたガラス、シリコンウエハ、石英基板など)上に周知のプロセスでTFTを形成し、その後、シート12や基板21上にTFTを転写することによって、TFTを形成することも可能である。これにより、シート12や基板21の材質の選択支を大幅に広げることが可能となり、かつ、TFTの製造プロセスを最適化することが容易になるので高性能なTFTを形成することが可能になる。なお、TFTの転写プロセスとしては、例えば、”Low Temperature Poly−Si TFTs on Plastic Substrate Using Surface Free Technology by Laser Ablation/Annealing”、 SID Digest 2000、 pp.916−919 (2000) や、”Low−Temperature Polycrystalline−Silicon TFT ColorLCD Panel Made of Plastic Substrates”、 SID Digest 2002、 pp.1196−1199 (2002) などに記載されている方法を用いることができる。
【0072】
(動的表示媒体)
第2領域R2に設ける動的表示媒体20としては、液晶表示素子、EL表示素子、電気泳動型表示素子、黒色粒子(トナーなど)の移動を利用した電子トナー型表示素子、球体の回転を利用したボールツイスト表示素子など、上記日経サイエンス2002年2月号(2001年12月25日発売)第42〜51頁などに記載されている公知の薄型表示素子を採用することができる。これらの中でも、特に薄型(例えば厚さ5mm以下)で、シート12としてフレキシブルなものを用いた構造が好ましい。
【0073】
上記の図2から図6においては、表示媒体層25として液晶層を用いた構造を示している。図2〜図6の表示媒体では、動的表示媒体20を構成する基板21として、例えば、フレキシブルで透明なプラスチックシート(フィルム)が用いられる。
【0074】
シート12に液晶層25を介して対向するように配置された基板21の液晶層25側の表面には、アクティブ素子(例えば、アモルファスシリコン膜や連続粒界シリコン膜、あるいは有機半導体膜を用いて形成された薄膜トランジスタ:TFT)24と透明導電材料(例えばITO)を用いて形成された画素電極23がマトリクス状に多数形成されている。もちろん、各画素電極23毎にデータ信号を伝送する信号線や、線順次にアクティブ素子を駆動するための走査線なども、基板21上に設けられてているが、図では省略している。この基板21と前述のシート12は、互いに画素電極23と共通電極22とが液晶層25を介して対応するように配置されている。液晶層25は、基板21の周辺を囲むように設けられた封止材(シール部)26で封入され、外部に漏れないようになっている。このようにして、シート12の第2領域R2に動的表示媒体20が形成された、液晶層25は、画素電極23と共通電極22との間に印加される電圧で駆動される。なお、液晶層25以外の表示媒体層を用いる場合は、液晶層の代わりに各々の表示媒体層を置き換えた構造にすればよい。また、共通電極22をAl、Agなどの金属を用いて反射電極としてもよい。あるいは、上述したように、共通電極22をITOや有機導電材料などの透明導電材料を用いて形成することによって、シート12、あるいは、シート12上に設けられた保護層16の反射特性を利用して、反射型表示素子を構成してもよい。
【0075】
図2〜図6に示した例とは逆に、例えば図7に示すように、共通電極22をシート12上に形成し、アクティブ素子24や画素電極23を基板21上に形成してもよい。なお、アクティブ素子24を画素毎に形成するプロセスは、薄膜の微細加工技術が要求されるため、面積が小さく、かつ静的表示媒体が存在しない基板21側にアクティブ素子24などを形成する構成の方が、作製しやすくプロセスの最適化も容易であるので好ましい。
【0076】
(製造方法)
次に、静的表示媒体10を構成するパターン14を形成するインクと、動的表示媒体20を構成する部材を形成する材料を共通化することによって、あるいは共通のプロセスで形成する製造方法の例を説明する。
【0077】
例えば、第1領域R1のパターン14と、第2領域R2の電気部材とを共通の導電性材料で形成する。ここで用いられる導電材料としては、導電性インク(例えば、黒色導電性樹脂)や金属薄膜などが考えられる。導電性インクを用いる場合には、公知の種々の印刷法を利用することができる。
【0078】
金属薄膜を用いる場合、無電解湿式めっき法で、静的表示媒体10のパターン14としての金属膜(第1領域R1)と、動的表示媒体20の電気部材としての金属膜(第2領域R2)の両者を、シート12の全面に形成し、その後エッチング処理によりパターニングを行なうことで、同時に形成することができる。例えば、ヒドラジンを還元剤に用いた無電解Niメッキ法(表面技術、Vol.53、No.1、pp.31−33、2002に開示されている方法)を用いると、基材上に黒色のNi膜を形成することができるため、その黒色Ni膜を静止画像・文字などのパターン14とし、動的表示媒体20の配線/電極材料との両方に使用することができる。但し、シート12として、紙などを私用する場合は、耐プロセス性の観点から、図3に示したような保護層16をシート12(好ましくは表裏両面に)形成することが好ましい。
【0079】
また、導電性インクに代えて、液体の金属前駆体溶液(有機金属材料など)、導電性樹脂、CuやAuなどの金属超微粒子などを、ジェッティング法によってパターン形成することも可能性である。さらに、従来の転写法や印刷法によって、金属膜パターンや導電性樹脂パターンを形成することも可能である。
【0080】
また、図8および図9Aに示すように、動的表示媒体20がブラックマトリクス27を有する場合、第1領域R1のパターン(例えば印刷文字)14と同じ材料およびプロセスで、第2領域R2のブラックマトリクス27を形成することで、プロセスの増加を防ぐことが可能になる。図8および図9Aに示した構造は、共通電極22の下側にブラックマトリクス27を設けているので、共通電極22が透明な材料(例えばITO、有機導電材料など)である場合に有効である。なお、図8および図9Aに示したように、パターン14およびブラックマトリクス27は、シート12の表面に直接形成しても良いし、シート12の表面に保護層16を形成し、保護層16上に形成しても良い。
【0081】
ブラックマトリクス27は、動的表示媒体20において、通常、画素の区画を形成する目的や、アクティブ素子に外光が入射するのを防ぐ(例えば、図8および図9Aに示した構造の場合は、外光がシート12に反射されて、アクティブ素子24に入射するのを防ぐ)目的で、マトリクス状に形成されることが多い。
【0082】
また、図7に示したように、シート12側にアクティブ素子24を形成する場合にも適用できる。例えば、図9Bに示すように、シート12の表面にアクティブ素子24や画素電極23を形成した後、第1領域R1のパターン(例えば印字文字)14と同じ材料およびプロセスを用いて第2領域R2のブラックマトリクス27を形成してもよい。
【0083】
さらに、図10および図11Aに示すように、動的表示媒体20がブラックマトリクス27およびカラーフィルタ28を有する場合、第1領域R1のパターン(例えば印刷文字)14と同じ材料およびプロセスで、第2領域R2のブラックマトリクス27およびカラーフィルタ28を形成することによって、プロセスの増加を防ぐことが可能になる。なお、この構造は、共通電極22の下側にブラックマトリクス27を設けているので、共通電極22が透明な導電材料(例えばITO、有機導電材料など)である場合に有効である。
【0084】
また、図7に示したように、シート12側にアクティブ素子24を形成する場合にも適用できる。例えば、図11Bに示すように、シート12の表面にアクティブ素子24や画素電極23を形成した後、第1領域R1のパターン(例えば印字文字)14と同じ材料およびプロセスを用いて第2領域R2のブラックマトリクス27やカラーフィルタ28を形成してもよい。
【0085】
上述の説明では、表示媒体20として液晶表示媒体を用いた実施形態を主に説明したが、表示媒体20として有機EL表示媒体を用いた実施形態を図12、図13Aおよび13Bを参照しながら説明する。
【0086】
図12に示す表示媒体120は、上述した実施形態の表示媒体と同様にシート12の第1主面12aの第1領域R1にインクを用いて情報が表示されているとともに、第1主面12aの第2領域R2に動的表示媒体(有機EL表示媒体)20が設けられている。この有機EL表示媒体20は、トップエミッションタイプの自発光型の表示媒体であり、図中の白抜き矢印で示す方向に表示光を出射する。従って、利用者は、シート12の第1主面12a側から表示された情報を観察する。
【0087】
有機EL表示媒体20には、公知の有機EL表示素子を適用することができる。例えば、シート12側から、反射電極51、有機EL層53、および透明電極52がこの順に積層されている。反射電極51の材料には、例えばAl系合金を用い、透明電極52の材料にはITOやIZO(インジウム亜鉛酸化物)などを用いることが好ましい。有機EL層53としては、既知の高分子材料や低分子材料からなる発光材料を用いることができる。有機EL層53は単層で形成しても良いし、必要に応じて、発光層と独立に電子輸送層や正孔輸送層などを形成してもよい。また、有機EL表示媒体20は表示品位の観点からアクティブマトリクス型であることが好ましく、画素毎に例えばTFT54を設けることが好ましい。また、反射電極51、透明電極52、有機EL層53、およびTFT54を含む素子部を外部の酸素や水分から遮断するためバリア層(保護層)55を設けることが好ましい。
【0088】
表示媒体120のように、動的表示媒体20として有機EL表示媒体を使用すると、シート12上に全ての素子を形成することができ、液晶表示媒体における対向基板21(例えば図2参照)が不要になるために、より薄い表示媒体を実現することができる。また、高分子材料を用いて有機EL層53を形成すると、第1領域R1にパターン(印刷文字)14を形成するために典型的に用いられる印刷法で有機EL層53を形成することが可能となり、プロセスを簡略化できる利点が大きい。印刷法の中でもインクジェット法が特に好ましい。
【0089】
動的表示媒体20としてボトムエミッションタイプの有機EL表示媒体を用いると、図13Aおよび図13Bに模式的に示すような表示媒体120を構成することができる。図13Aおよび図13Bに示した有機EL表示媒体20では、シート12側から、透明電極52、有機EL層53、および反射電極51がこの順に積層されている。TFT54を含む素子部は、バリア層55によって覆われている。これらの図に示した表示媒体120において、有機EL表示媒体20は、図中の白抜き矢印で示す方向に表示光を出射する。従って、利用者は、シート12の第2主面12b側から表示された情報を観察する。
【0090】
このような構成を採用すると、上記の利点に加えて、表示媒体120の利用者側の表面の平坦均一性が向上するという利点が得られる。但し、この場合は、シート12を透明な材質(透明プラスチックなど)で構成する必要がある。なお、図13Bに示して動的表示媒体120においては、静的に情報を表示するパターン14はシート12の第2主面12b側に形成されているので、シート12の静的表示媒体10に対応する領域(R1)は透明であることを要しない。図13Bの表示媒体120は、図13Aの構成に比べて、静的表示媒体10のパターン14をシート12を介して観察する必要がなくなり、パターン14の視認性が向上する。
【0091】
(記憶回路、電源回路、駆動回路の配設)
第2領域R2における動的表示媒体20を駆動するためには、動的表示媒体20が表示する画像データが格納された記憶回路、動的表示媒体20を動作させるための電源回路および駆動回路(以下まとめて機能回路と呼ぶ)30を設ける必要がある。
【0092】
図14は、シート12側にこれらの機能回路30を配設した構成を模式的に示す図である。ここでは、シート12に設けられた機能回路30で形成された画像信号をシート12側のアクティブ素子(TFT)に入力するために、シート12と基板21との電気的接続を可能とする電極転移(「トランスファ」と呼ばれることもある。)32を備えている。電極転移32は、例えば、異方導電性接着剤(ACPやACF)を用いて形成され、配線18と電気的に接続されている。この構造は、記憶回路や駆動回路をLSIチップで形成し、シート12に上に実装する場合に適している。配線18も例えば導電性インクを用いてパターン14と同じ工程で形成され得る。
【0093】
また、図15は、動的表示媒体20の基板21上に機能回路30を設けた構造を模式的に示す図である。この構成を採用すると、図14に示した場合のように、電極転移32を必要としない。さらに、記憶回路や駆動回路を、アクティブ素子24を形成するプロセスを用いて、シート12上にモノリシックに形成することで、記憶回路や駆動回路の実装プロセスを簡略化することができる。これら機能回路をモノリシックに形成するためには、ポリシリコンTFT技術を用いることが望ましい。なお、必要に応じて、記憶回路、駆動回路、電源回路のいずれか1つか2つをシート12側に形成し、残りを基板21側に形成しても良い。また、上述したように、記憶回路の代わりに、あるいは、記憶回路とともに通信回路をさらに設けてもよい。
【0094】
(実施形態2)
上述の実施形態1の情報報表示媒体110がシート12上に動的表示媒体20を直接形成する(固定式)タイプであるのに対し、実施形態2の表示媒体130は、動的表示媒体20をシート12上に着脱可能に保持するタイプである。
【0095】
図16は、図2〜図15と同様に図1の断面図に対応し、理解しやすいように厚さ方向を拡大して記載している。
【0096】
図16に示した表示媒体130は、シート12上に粘着層40を用いて動的表示媒体20が着脱可能に保持されている。実施形態1と異なり、パターン14を形成するインクを用いて動的表示媒体20の構成部材の一部を形成することはできないが、動的表示媒体20を繰り返し利用できるという利点が得られる。なお、動的表示媒体20を反射型表示素子で構成する場合には、シート12を拡散反射層として利用することはできる。
【0097】
シート12の第2領域R2に動的表示媒体20を保持する手段としては、種々考えられるが、複数回の着脱(保持⇔取り外し)が可能な保持手段が望ましい。なぜならば、静的表示媒体10を備えたシート12と異なり、動的表示媒体20は情報を書き換えることができるので、動的表示媒体20のみを再利用することが望ましいからである。これによって、本発明の表示媒体130の利用者は、静的表示媒体10を備えたシート12のみを買い換えて、そのたびに動的表示媒体20を貼り付けて、上述した方法で情報を得ることができるようになる。
【0098】
このとき、買い換えたシート12に表示されている静的表示媒体情報の内容に併せて、動画表示媒体の表示内容も更新する必要があるが、このためには、新しい静的表示媒体情報に併せて無線/有線で関連の表示データをダウンロードするか、あるいはシート12を買い換える際に関連する動画表示データが格納されたメモリカードを同時に購入できるようにしておけばよい。
【0099】
ここで、複数回の着脱が可能な固定手段としては、例示した粘着層40を用いる方法や、マグネットシートを利用して磁力で保持する方法、面ファスナー(マジックテープ(登録商標))の原理を利用して保持する方法などを採用することができる。
【0100】
第2領域R2に設ける動的表示媒体20としては、実施形態1の表示媒体110と同様に、液晶表示素子、EL表示素子、電気泳動型表示素子、電子トナー型表示素子やボールツイスト表示素子などを利用することができる。
【0101】
また、動的表示媒体20を動作させるために必要な機能回路(記憶回路、電源回路および駆動回路)30の配設については、実施形態1と同様に、シート12側や動的表示媒体20側のいずれに設けても良い。特に、動的表示媒体20側に、機能回路30を配設する場合には、記憶回路や駆動回路を、アクティブ素子24を形成するプロセスを用いて、シート12上にモノリシックに形成することで、記憶回路や駆動回路の実装プロセスを簡略化することが好ましい。もちろん、実施形態1と同様に、記憶回路の代わりに、あるいは、記憶回路とともに通信回路をさらに設けてもよい。
【0102】
(実施形態3)
実施形態1に記載の表示媒体110は、実施形態2の表示媒体120と異なり、静的表示媒体10と動的表示媒体20が一体に形成(例えば構成部材の一部を共有している)ために、動的表示媒体20のみを再利用することができない。しかしながら、実施形態1の表示媒体110についても、それ自身が動的表示媒体20を備えた高付加価値デバイスであることから、再利用できることが好ましい。そこで、本実施形態3においては、実施形態1で示した表示媒体110の再利用方法について説明する。
【0103】
表示媒体110を再利用するためには、表示媒体110に表示されている情報を更新する必要がある。動的表示媒体20で表示する情報についていは、例えば新たな情報を電気的に供給することによって簡単に更新することが可能である。一方、静的表示媒体10は典型的には印刷物であるが、例えば、消色性を有するインクを用いることによって、その情報を更新することができる。ここで、「消色性」とは、化学的な変化によって発色状態から消色状態に変化する性質を指し、この化学的な変化は、例えば、加熱や光照射などによるエネルギー付与、または溶媒の付与によって生じる。
【0104】
例えば、表示媒体110のパターン(例えば印刷文字)14の形成に、消色性を有するインクを用いれば、表示媒体110を使用した後インクを消させて、この後、新たな情報に対応するパターン14を形成することによって、静的表示媒体10の情報を更新できる。動的表示媒体20の情報の更新は、例えば、この後で電気的に実行できるし、動画表示媒体20がメモリ媒体を受容可能な構成を有する場合は、メモリ媒体を交換すればよい。すなわち、動画表示媒体20のハードは再利用し、情報(ソフト)だけを更新する。
【0105】
消色性を有するインクとしては、例えば、色素、発色剤および消色剤を含むインクを用いることが好ましい。このインクは、印刷した後は、通常、発色状態となる所定のパターン14を形成することによって、情報を静的に表示することができる。表示媒体110使用が終わった後、エネルギー付与や溶媒付与によって、色素と発色剤の結合が切断されて、消色状態となる。さらに、遊離した発色剤と消色剤が結合し、消色状態を安定化させる。消色剤は省略することもできる。このような消色性を有するインクとしては、例えば、特開2000−19770号公報に記載されているものを用いることができる。もちろん、これに限られず、化学的および/または物理的な処理によって消色可能なインク(トナーを含む)を適宜用いることができる。また、および/または物理的な処理によって消色できないインクを用いた場合であっても、パターン14上に白色インク(シート12と同色のインク)を上塗りした後、再利用しても良い。
【0106】
上述した実施形態2や実施形態3で説明した表示媒体を用いることによって、表示媒体の再利用が可能になるため、例えば、動画表示挿絵を備えたリサイクル新聞、リサイクル本、リサイクルカタログ、リサイクル広告、リサイクルカレンダーなどを実現することが可能になる。
【0107】
(実施形態4)
上述した実施形態1〜3では、第1領域R1に静的表示媒体を有し、第2領域R2に動的表示媒体を有する一枚のシート12から構成された表示媒体を例示したが、勿論、複数のシート12を用いて表示媒体を構成しても良い。本実施形態では、動的表示媒体は1個で、静的表示媒体が複数のシートで構成されている表示媒体の例を説明する。
【0108】
図17Aおよび図17Bに示した表示媒体140は、シート12の第1領域R1に複数のシート132で構成された静的表示媒体10を有している。複数のシート132は、典型的には紙であり、シート12と同じ材料であってもよし、異なっても良い。複数のシート132は冊子状に固定されていることが好ましく、それぞれのシート132の両面132aおよび132bに情報が静的に表示されている。図17Bに示した表示媒体140は、シート132に開口部132cを有し、開口部132cを通して、動的表示媒体20に表示される情報を観察できるように構成されている。
【0109】
これらの表示媒体140では、例えば、動的表示媒体20の1画面(1個)に対して、静的表示媒体10の複数ページ(シート132)が対応することになる。この場合、動的表示媒体20は、静的表示媒体10のページ(シート132の面132aおよび/または132b)に対応する表示を行う。
【0110】
このとき、閲覧している静的表示媒体10のページを自動的に認識し、そのページに表示されている情報の内容に対応した情報が、自動的に動的表示媒体20に表示されるシステムを有することが好ましい。このようなシステムは、例えば、以下のように構成できる。
【0111】
静的表示媒体10の各シート132(ページ)の上部にシート132ごとに異なる位置に切り欠き(不図示)を設けておき、最終ページのシート12に、複数のシート132の切か欠き部に対応した位置に光センサ(不図示)を設けておく。シート132をめくるごとに外光を受光する光センサの組合せが異なるので、その組み合わせを特定することによって、現在開いているシート132(ページ)を自動的に認識することができる。
【0112】
あるいは、静的表示媒体10の閲覧しているシート132(ページ)を自動的に認識するシステムを有しない場合であっても、動画表示媒体20の近傍に表示切替ボタン(不図示)を設けておき、利用者が任意にボタンを押すことで、動的表示媒体20に表示される情報を切り替えるように構成してもよい。
【0113】
本実施形態の表示媒体140によると、比較的に製造コストが高く付加価値の高い動的表示媒体20の個数を少なくして、比較的多くの情報を提供できるので、コストパフォーマンスの優れた、例えば、動画表示挿絵を備えたリサイクル新聞、リサイクル本、リサイクルカタログ、リサイクル広告、リサイクルカレンダーなどを実現することが可能になる。
【0114】
【発明の効果】
本発明によると、静的表示媒体と動的表示媒体との両方の利点を備えた表示媒体が提供される。本発明の表示媒体は、動的表示媒体を備えるので、限られたスペースで複数の写真や図面を順次表示したり、あるいは、動画を表示することができる。従って、限られたスペースで利用者に多くの情報を提供したり、あるいは、静的表示媒体では提供することが不可能である動画情報を提供することができる。また、表示媒体全体としては静的表示媒体が有する一覧性に優れるという特徴を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の表示媒体100の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明による実施形態1の表示媒体110の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明による実施形態1の他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図8】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図9A】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図9B】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図10】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図11A】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図11B】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図12】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図13A】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図13B】本発明による実施形態1のさらに他の表示媒体の構成を模式的に示す図である。
【図14】本発明による実施形態1の表示媒体における機能回路30の配置例を模式的に示す図である。
【図15】本発明による実施形態1の表示媒体における機能回路30の他の配置例を模式的に示す図である。
【図16】本発明による実施形態2の表示媒体130の構成を模式的に示す図である。
【図17A】本発明による実施形態4の表示媒体140の構成を模式的に示す図である。
【図17B】本発明による実施形態4の表示媒体140の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 静的表示媒体
12 シート
12a シートの第1主面
12b シートの第2主面
14 パターン(印刷文字など)
20 動的表示媒体
21 基板
22 共通電極
23 画素電極
24 アクティブ素子(TFT)
25 表示媒体層(液晶層)
26 封止材(シール部)
30 機能回路
100、110、120、130、140 表示媒体
Claims (23)
- 互いに対向する第1主面および第2主面とを有するシートを備え、情報を静的に表示する第1領域と、情報を動的に表示する第2領域とを有する、表示媒体。
- 前記第1主面の前記第1領域に情報が静的に表示されており、且つ、前記第1主面の前記第2領域に動的表示媒体が設けられている、請求項1に記載の表示媒体。
- 前記動的表示媒体は、前記シート、および/または前記シートの第1領域に情報を表示するために用いられた材料と同じ材料を用いて形成された部材をその構成要素として含む、請求項1または2に記載の表示媒体。
- 前記動的表示媒体は、反射型表示媒体であって、前記シートを反射層として利用する、請求項3に記載の表示媒体。
- 前記第1領域には、少なくとも1種類のインクを用いて情報が表示されており、
前記動的表示媒体は、複数の画素を有し、前記複数の画素の間を遮光する遮光層が前記少なくとも1種類のインクに含まれるインクを用いて形成されている、請求項3または4に記載の表示媒体。 - 前記少なくとも1種類のインクは、消色性を有している、請求項5に記載の表示媒体。
- 前記第1領域には、複数の異なる色のインクを含む複数種類のインクを用いて情報が表示されており、
前記動的表示媒体は、複数の画素と、前記複数の画素に対応して設けられたカラーフィルタとを有し、前記カラーフィルタは、前記複数の異なる色のインクを用いて形成されている、請求項3から6のいずれかに記載の表示媒体。 - 前記第1領域には、導電性インクを含む少なくとも1種類のインクを用いて情報が表示されており、
前記動的表示媒体は複数の導電部材を有し、前記複数の導電部材の少なくとも一部が前記導電性インクを用いて形成されている、請求項3から7のいずれかに記載の表示媒体。 - 前記シートの前記第1領域以外の領域に電源回路、駆動回路および記憶回路の内の少なくとも1つの回路を有し、前記少なくとも1つの回路と、前記動的表示媒体が有する前記複数の導電部材の一部は、前記導電性インクを用いて形成された配線によって電気的に接続されている、請求項8に記載の表示媒体。
- 前記シートは可撓性を有する請求項1から9のいずれかに記載の表示装置。
- 前記シートは、基材と、前記基材の前記第1主面側の少なくとも前記第2領域に形成された保護層とを有する、請求項1から10のいずれかに記載の表示媒体。
- 前記シートは繊維構造を有する基材を有する、請求項1から11のいずれかに記載の表示媒体。
- 前記動的表示媒体は前記シートに対して着脱可能である、請求項1から12のいずれかに記載の表示媒体。
- 前記動的表示媒体は、反射型表示媒体であって、前記シートを反射層として利用する、請求項13に記載の表示媒体。
- 前記動的表示媒体は、電源回路、駆動回路および記憶回路の内の少なくとも1つの回路を有する、請求項13または14に記載の表示媒体。
- 前記シートの前記第1領域以外の領域に電源回路および駆動回路の少なくとも1つの回路を有し、前記少なくとも1つの回路と、前記動的表示媒体とが、前記シートに形成された配線によって電気的に接続されている、請求項15に記載の表示媒体。
- 前記動的表示媒体は、アクティブマトリクス型表示素子である、請求項1から16のいずれかに記載の表示媒体。
- 前記アクティブマトリクス型表示素子は可撓性を有する、請求項17に記載の表示媒体。
- 前記アクティブマトリクス型表示素子は、転写されたアクティブ素子を有する、請求項17または18に記載の表示媒体。
- 前記静的表示媒体および前記動的表示媒体によって表示された情報が前記第1主面側から観察される、請求項1から19のいずれかに記載の表示媒体。
- 前記静的表示媒体および前記動的表示媒体のいずれか一方に表示された情報が前記シートを介して前記第2主面側から観察される、請求項2に記載の表示媒体。
- 前記第2主面の前記第1領域に情報が静的に表示されており、且つ、前記第1主面の前記第2領域に動的表示媒体が設けられており、前記静的表示媒体および前記動的表示媒体によって表示された情報が前記第2主面側から観察される、請求項1に記載の表示媒体。
- それぞれに情報が静的に表示された複数のシートを前記第1領域にさらに有する、請求項1から22のいずれかに記載の表示媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003133353A JP2004054233A (ja) | 2002-05-17 | 2003-05-12 | 表示媒体 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002143159 | 2002-05-17 | ||
JP2003133353A JP2004054233A (ja) | 2002-05-17 | 2003-05-12 | 表示媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004054233A true JP2004054233A (ja) | 2004-02-19 |
Family
ID=31948906
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003133353A Pending JP2004054233A (ja) | 2002-05-17 | 2003-05-12 | 表示媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004054233A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006018982A1 (ja) * | 2004-08-19 | 2006-02-23 | Bridgestone Corporation | 情報表示装置 |
JP2009122134A (ja) * | 2007-11-09 | 2009-06-04 | Toppan Printing Co Ltd | 表示装置 |
JP2010231230A (ja) * | 2005-12-28 | 2010-10-14 | Seiko Epson Corp | 電気泳動表示装置及び電子機器 |
CN102222421A (zh) * | 2011-07-01 | 2011-10-19 | 北京印刷学院 | 无墨印刷有源多载体报纸册 |
CN102298876A (zh) * | 2011-07-04 | 2011-12-28 | 北京印刷学院 | 三色重叠无墨印刷纸 |
JP2013117625A (ja) * | 2011-12-02 | 2013-06-13 | Dainippon Printing Co Ltd | 表示システム |
JP2017519238A (ja) * | 2014-04-22 | 2017-07-13 | 深▲ちぇん▼市国華光電科技有限公司 | 紙質効果を有する表示構造及びその製造方法 |
JP2017525984A (ja) * | 2014-04-22 | 2017-09-07 | 深▲ちぇん▼市国華光電科技有限公司 | 高輝度拡散反射体を備える表示構造及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-05-12 JP JP2003133353A patent/JP2004054233A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006018982A1 (ja) * | 2004-08-19 | 2006-02-23 | Bridgestone Corporation | 情報表示装置 |
JP2010231230A (ja) * | 2005-12-28 | 2010-10-14 | Seiko Epson Corp | 電気泳動表示装置及び電子機器 |
JP2009122134A (ja) * | 2007-11-09 | 2009-06-04 | Toppan Printing Co Ltd | 表示装置 |
CN102222421A (zh) * | 2011-07-01 | 2011-10-19 | 北京印刷学院 | 无墨印刷有源多载体报纸册 |
CN102298876A (zh) * | 2011-07-04 | 2011-12-28 | 北京印刷学院 | 三色重叠无墨印刷纸 |
JP2013117625A (ja) * | 2011-12-02 | 2013-06-13 | Dainippon Printing Co Ltd | 表示システム |
JP2017519238A (ja) * | 2014-04-22 | 2017-07-13 | 深▲ちぇん▼市国華光電科技有限公司 | 紙質効果を有する表示構造及びその製造方法 |
JP2017525984A (ja) * | 2014-04-22 | 2017-09-07 | 深▲ちぇん▼市国華光電科技有限公司 | 高輝度拡散反射体を備える表示構造及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20030214475A1 (en) | Display medium | |
US8749476B2 (en) | Electrophoretic display device | |
US20070146307A1 (en) | Portable display device using electrophoretic display | |
JP2006227053A (ja) | 電気光学装置、電子機器 | |
JP2004054233A (ja) | 表示媒体 | |
US20090015546A1 (en) | Electro-optic display device | |
JP2024037725A (ja) | 表示装置 | |
WO2004095121A1 (en) | Electrophoretic display device | |
JP2003315764A (ja) | 液晶表示装置 | |
US8730151B2 (en) | Apparatus for writing image on electronic paper | |
JP6511533B2 (ja) | カラーモーションブラー補償構造を有する液晶ディスプレイ | |
US20170017133A1 (en) | Electronic paper display device | |
US6888607B2 (en) | Rewritable sign system | |
JP2008152107A (ja) | フレキシブル回路基板およびそれを用いたフレキシブルディスプレイモジュール | |
JP4301046B2 (ja) | 関連ドキュメント閲覧システム | |
JP2006041801A (ja) | コンテンツ配信システム | |
JP4848620B2 (ja) | 直視型反射型表示装置 | |
US8139008B2 (en) | Bi-stable display systems and driving methods thereof | |
JP2004317648A (ja) | 表示データ消去書き込み装置及びそれを用いた画像表示方法 | |
JP2009216807A (ja) | 表示システム及び駆動装置 | |
JP2004317550A (ja) | 表示データ書き込み装置及びそれを用いた画像表示方法 | |
JPH09105903A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2010276706A (ja) | 電気光学装置及び電子機器 | |
JP2004061744A (ja) | 光転写型画像書き込み媒体 | |
JP2004309619A (ja) | 表示媒体、表示データ書き込み装置及びそれらを用いた画像表示方法 |