JP2004050450A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録システムおよびインクジェット記録装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクジェット記録装置の不吐出を検出する不吐検出部を設け、該不吐検出部は、検出した不吐出ノズルの状態に応じてエラーランクおよびエラータイプを決定し制御部へ通達する。このエラーランクおよびエラータイプに応じて制御部は回復処理を実行させるとともに、このエラーが発生した箇所を記憶し、記録終了後にオペレータにエラー発生箇所およびエラーランク、エラータイプを表示する。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録システムおよびインクジェット記録装置の制御方法に関し、詳しくは、記録媒体として布を用い、布上に画像を形成するインクジェット記録装置およびインクジェット記録システムおよびインクジェット記録装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラープリンタ等のインクジェット記録装置は、ホストコンピュータ等の画像供給装置から画像情報を受け取り、その画像情報に基づいて紙等の記録媒体にインクを吐出して画像を形成する。
【0003】
従来、このようなインクジェット記録装置は、記録中、あるいは画像情報受信中になんらかの障害が発生すると、次のような処理を行っていた。
【0004】
例えば、記録を行っている途中でインクジェット記録装置に紙詰まりなどの障害が発生すると、インクジェット記録装置はいったん作業を中断し、エラー等の表示をするとともに、ホストコンピュータ等の画像供給装置へエラー状態であることを伝達する。そして、オペレータのエラー処理を待つ。オペレータによってエラー解除処理が行われると、インクジェット記録装置は作業を中断した地点から作業を継続したり、ページ単位で復旧作業を行ったりする。
【0005】
また、複数の画像供給装置から画像情報を受け取るプリントサーバやFAXでは、形式等が不適正な画像情報が送られてきた場合、この不適正な画像情報を無視する機能を有しているものもある。
【0006】
また、画像を形成する上でのトラブル(エラー)は、前述のような紙詰まりや画像情報エラーの他に、インクの不吐出や着弾ずれなどにより、形成された画像に部分的に不良が発生する場合がある。このような画像の部分的不良は、オペレータが記録されたものを見て初めて気づくことが多い。しかしながら、最近では、形成された画像にレーザー光を発光するなどして特定の物理量を計測し、ある値までの範囲を正常とし、その範囲を外れるか否かで画像の不良を検出するものも提供されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のエラー処理では、次のような問題があった。
【0008】
記録途中でトラブルが発生するとオペレータがエラー復帰処理を行うという形態では、度重なるトラブル毎にオペレータがエラー状態を見たり処理したりしなければならず、手間がかかってしまう。加えて、記録媒体が長尺の場合、1枚の記録が終了するまでに長い時間を要するので、記録途中にトラブルが発生する可能性も高くなり、オペレータのエラー処理の負担も増大しがちである。例えば、布に記録を行う捺染システムでは、布の長さが数十メートルで記録に要する時間が数時間に及ぶことが多く、オペレータのエラー処理の回数も多くなり、負担もかなりのものとなってしまう。
【0009】
一方、インクジェット記録装置自体が不吐出や着弾ずれなどの記録不良を検出し、予備吐出や回復処理などの復旧処理を自動的に行うものもあるが、どこでトラブルが発生したのか、またそのトラブルはどの程度のものなのかということをインクジェット記録装置がデータとして残していないため、記録後にオペレータがどの地点でどのようなトラブルがあり、記録不良はどの程度のものなのかを目視で検査し、場所を特定する必要がある。さらに上述の布に記録を行う場合では、記録後、数十メートルにも及ぶ布を検査していくので非常に手間がかかってしまうこともある。
【0010】
本発明は上記従来の問題を解決するべくなされたものであり、記録中に発生する種々のエラーを検出し、そのエラーの度合いに応じた対処を自動的に行うとともに、そのエラーが発生した地点を記憶することを特徴とするインクジェット記録装置およびインクジェット記録システムおよびインクジェット記録装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドの吐出口からインク滴を吐出することにより記録を行うインクジェット記録装置において、前記インクジェット記録装置の不具合を検出する不具合検出手段と、前記不具合検出手段が検出した不具合を、不具合の度合いに応じてレベル付けして不具合レベルを決定する不具合レベル付け手段と、前記不具合検出手段が検出した不具合に対して前記不具合レベル付け手段が決定した前記不具合レベルに対応する不具合処理を実行する不具合処理手段とを具えることを特徴とする。
【0012】
本発明のインクジェット記録システムは、複数の吐出口を有する記録ヘッドを具えたインクジェット記録装置と、該インクジェット記録装置へ画像データを送信する画像供給装置とを具えるインクジェット記録システムにおいて、前記インクジェット記録装置の不具合を検出する不具合検出手段と、前記不具合検出手段が検出した不具合を、不具合の度合いに応じてレベル付けして不具合レベルを決定する不具合レベル付け手段と、前記不具合検出手段が検出した不具合に対して前記不具合レベル付け手段が決定した前記不具合レベルに対応する不具合処理を実行する不具合処理手段とを具えることを特徴とする。
【0013】
本発明のインクジェット記録装置の制御方法は、記録ヘッドの複数の吐出口それぞれからインク滴を吐出することにより記録を行うインクジェット記録装置の制御方法において、前記インクジェット記録装置の不具合を検出する不具合検出工程と、前記不具合検出工程にて検出された不具合を、不具合の度合いに応じてレベル付けして不具合レベルを決定する不具合レベル付け工程と、前記不具合検出工程にて検出された不具合に対して前記不具合レベル付け工程にて決定された前記不具合レベルに対応する不具合処理を実行する不具合処理工程とからなることを特徴とする。
【0014】
以上の構成によれば、印字中に不吐出などによる印字エラーが発生しても、自動的に回復処理などを行うため、印字を途中で中断したり、オペレータが監視してエラー復帰処理を行う必要がないので、オペレータのエラー処理の負担が軽減される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。
【0016】
(実施形態1)
本実施形態では、記録媒体に布を用いる捺染システムに本発明を適用した形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明のインクジェット記録システムの構成図である。
【0018】
1はホストコンピュータ等の画像供給装置で、インクジェット記録装置2に画像データや記録指令等の各種データ/コマンド等を出力する。また、画像供給装置1は、オペレータが画像データや各種データ/コマンドを入力する入力部、インクジェット装置2の状態等を表示する表示部、アプリケーションソフト等で構成されている。
【0019】
なお、本発明の実施形態において説明する「オペレータ」とは、装置を操作する者を示し、装置を購入して使用するユーザに限らず、装置を製造する工場において出荷に先立ってチェックのために操作するオペレータ、装置の設計開発時に操作するオペレータをも含むものである。
【0020】
インクジェット記録システムは、この画像供給装置(以下「ホストコンピュータ」ともいう)1と以下に説明するインクジェット記録装置2とを具えている。
【0021】
インクジェット記録装置2は、画像供給装置1とのデータ及びコマンド等の送受信を行うインターフェース部5(以下I/F部と称する)と、I/F部5が受けたデータ/コマンド等の解析を行い、インクジェット記録装置2全体の動作制御を行う制御部3と、オペレータとのインターフェースを行う表示/操作部6と、画像供給装置1からの画像データをインクジェット記録装置の駆動信号に変換する画像処理部8と、記録媒体へ記録を行う記録部と、記録媒体を所定量ずつ搬送する搬送部と、記録部の記録ヘッドに不吐出などがないかを検出する不吐出検出部7とを具えている。
【0022】
これら各部は制御部3と制御バス4を介して接続されており、制御部3は、制御バスを通じて、各部へ制御指令を送り、また各部からのデータを受け取る。
【0023】
制御部3は、CPUと各種駆動部の駆動プログラムを格納したROMと、各種作業中に発生するデータを一時的に格納するワーク領域用RAMとを具えている。
【0024】
表示/操作部6は、LCDなどの表示部分とキースイッチなどの操作部分とを具えている。
【0025】
記録部は、記録用のインクを吐出する記録ヘッド16,17と、この記録ヘッド16,17を駆動するヘッド駆動部14,15を具え、これらがキャリッジユニット13に搭載されている。キャリッジユニット13は、キャリッジモータ10の駆動によって記録媒体上を走査し、その走査時に各記録ヘッド16,17よりインクが吐出されて記録が行われる。キャリッジモータ10はキャリッジモータ駆動部9からの駆動指令に基づき駆動する。
【0026】
搬送部は、搬送モータ駆動部11の駆動指令に基づき、搬送モータ12が駆動し、記録媒体を一定量ずつ搬送する。
【0027】
次に、記録部、搬送部の構成を説明する。
【0028】
図2は、インクジェット記録装置の記録部、搬送部を示す模式図である。
【0029】
搬送部は、ロール状になった記録媒体30を送り出す巻き出しローラ31と、送り出された記録媒体30を押える押えローラ32、33と、記録媒体30が記録ヘッド16,17と対峙するように支持する支持ローラ34と、記録媒体30を所定量ずつ搬送する駆動ローラ35と、記録媒体30を巻き取る巻き取りローラ36とを具えている。さらに支持ローラ34と駆動ローラ35とは搬送ベルト37でつながれている。
【0030】
一方、記録部は、記録ヘッド16,17を具えたキャリッジユニット13が、搬送ベルト37と対峙するように設けられている。キャリッジユニット13は、支柱41,42の上に載せられており、記録時はこの支柱41,42に沿って走査する。また、記録ヘッドが記録を行う際、記録媒体30の水平を保つように、搬送ベルト47を挟んで記録ヘッドと対峙する位置にプウラテン43,44が設けられている。
【0031】
記録時は、搬送モータ12を駆動源とする駆動ローラ35が回転し、この回転によって搬送ベルト37が回転する。搬送ベルト37の表面は粘着性があるため、記録媒体30を確実に記録部へと送り出すことができる。そして、キャリッジユニット13が支柱41,42に沿って移動する際に記録ヘッド16,17からインクが吐出され記録が行われる。不図示のエンコーダ部は、キャリッジユニット13の移動方向に配置されたリニアエンコーダと検出回路を有し、キャリッジユニット13とリニアエンコーダの稼動部とが連結されている。
【0032】
次にキャリッジユニット13の走査と記録位置の関係を詳しく説明する。
【0033】
図3は、記録ヘッドと記録媒体の位置関係を示す図である。
【0034】
キャリッジユニット13が走査する方向(以下「主走査方向」という)を矢印Xとし、記録媒体30が搬送部により移動する方向(以下「副走査方向」という)を矢印Yとする。
【0035】
手前側、奥側の記録ヘッド部とも主走査方向に配列されたインクの異なる各記録ヘッド間にはヘッドギャップdだけ隙間が設けられている。さらに、副走査方向においても手前側の記録ヘッド部と奥側の記録ヘッド部とがギャップDだけ離れて設置されている。
【0036】
記録ヘッドの有効吐出口数に相当する長さをHとすると、ギャップDは、
D=(2n+1)×H/2 (nは整数)
となる。
【0037】
なお、本実施形態ではギャップD=2.5×Hとする。
【0038】
各記録ヘッドから吐出されたインクが重なり合うことにより多種多様な画像を形成することができるので、同一画素にそれぞれのインク滴が正確に着弾しなければならない。そこで、このヘッドギャップdおよびギャップDを考慮した走査が必要となる。特に、本発明のインクジェット記録装置はマルチスキャンで印字している。つまり、印字する画像データを2分割し、手前側の記録ヘッド部で画像データの50%分だけ印字し、奥側の記録ヘッド部で残りの50%を印字して画像が完成するようになっている。したがって、奥側の記録ヘッド部は手前側の記録ヘッド部よりもギャップDに相当する時間分だけ遅れて印字を開始することになる。
【0039】
さらに、図3で示すように、記録ヘッド部16,17は印字を開始するべく主走査方向へ移動する際、予備吐領域と不吐検出領域とを通過後に記録媒体上へ到達する。つまり、X方向へスキャンする際には、予備吐出と不吐検出とを行ってから印字動作を行うことになる。
【0040】
本実施例の動作について説明する。
【0041】
まず、インクジェット記録装置2の電源が投入されると、制御部3は、内部のRAMとI/O部や、表示/操作部6、I/F部5、不吐検出部7、画像処理部部8、等の各種ハードウェアの初期チェック及び初期化を行い、メカイニシャルを行う。
【0042】
具体的には、メカイニシャルとして、キャリッジモータ10や回復系ユニット(不図示)を動かすことで、キャリッジユニット13を所定のHP(ホームポジション)に移動させ、さらに回復系ユニット(記録ヘッド部16,17の目詰まりを防止する等の記録ヘッド回りの機構)を駆動させて、インクの強制吐出及び吸引、拭き取り処理等を行う。次に、制御部3は、I/F部5に対してホストコンピュータ1とのインターフェースを有効(イネーブル)にし、表示/操作部6に“READY”等のメッセージを表示して、記録の準備ができたことを知らせる。この状態では、I/F部5は、ホストコンピュータ1からの入力を待っている状態である。さらに制御部3は表示/操作部6からの入力待ち状態であり、各種のエラーが発生していないか監視中でもある。この状態でエラーがあればエラー処理を行う。
【0043】
ホストコンピュータ1からのコマンドがI/F部5に入力されると、制御部3は、入力されたコマンドが転送コマンド、記録コマンド、あるいはその他のコマンドであるか判定し、それぞれのコマンドに対応した設定や動作等の処理を行う。
【0044】
表示/操作部6からのコマンド入力は、制御部3が直接受け同様の処理を行う。画像転送コマンドならば、制御部3は入力可能であることを確認し、画像処理部8を入力モードに設定した後、画像処理部8内に画像データと配色情報(「パレットテーブル」とも言う)を格納する。なお、画像処理部8での処理の詳細は後述する。
【0045】
印字コマンドならば、制御部3はインクジェット記録装置2の内部が印字可であることを確認した後、画像処理部8等の各部を設定し、印字開始を指示し、入力画像の印字動作を行う。ここでの設定とは、印字モードや画像印字サイズ(幅や長さ)等の画像処理部8内のパラメータの設定等がある。
【0046】
印字コマンドを入力した時の具体的な全体印字動作は、次のように行われる。制御部3は、キャリッジモータ10をキャリッジモータ駆動部9を介して正方向に回転させる。このキャリッジモータ10の回転に従い、キャリッジユニット13はX方向に移動しながら、記録ヘッドの幅(バンド幅と称する)Hで1スキャンの印字を行う。搬送モータ12を搬送モータ駆動部11を介して駆動させることで記録媒体42をバンド幅H分だけ所定方向に搬送する。これを1バンドの印字動作と称する。この間、画像処理部8内の画像メモリ部から読み出された1バンド分の画像データは、画像処理部8内で変換処理されて、ヘッド駆動部14,15を介して記録ヘッド部16,17を駆動しインクを吐出し、記録媒体42に画像を形成する。
【0047】
その他のコマンドならば、制御部3は、コマンドに応じて各種処理を行う。例えば、印字動作中の場合、制御部3は印字が全て終了しているか否かを判定し、全て終了していれば入力待ちへ戻り、印字途中であれば次のバンドの印字を行う。
【0048】
次に画像処理部の詳細を説明する。
【0049】
図4は画像処理部の構成図である。
【0050】
画像処理部8は、ホストコンピュータ1からの画像データPを格納し、順次読み出しを行う画像メモリ部50と、多値データである画像データPを2値化する多値/2値変換部51と、多値/2値変換部51が出力した2値データC1〜Cαを前側の記録ヘッド部16及び後ろ側の記録ヘッド部17に画像データとして分配する(以下、この処理を「SMS処理」と称する)SMS処理部52と、SMS処理された画像データFL1〜FLα、RL1〜RLαを一時格納し、リードタイミングなどを調節するレジ調節部53と、レジ調節されたデータFC1〜FCα、RC1〜RCαを記録ヘッド用のデータFH1〜FHα、RH1〜RHαに変換する出力制御部54とを具えている。
【0051】
画像メモリ部50は、各々1画素8ビットで画像データPを格納し、さらに格納した基本サイズの画像データを拡大する機能や、読み出す際にX,Y方向に繰り返しを行う機能などを有している。ここでの画像データPは、インク配色をコード化したコードデータである。読み出し方向は、画像の左上を原点としてX方向(ラスタ方向)に画素ごとに順次読み出す。
【0052】
多値/2値変換部51は、インク色ごとのデータに変換するパレット変換部とγ変換を行う出力γ変換部と、ヘッド濃度補正部(以下「HS部」と称する)と、2値変換部とを具えている。画像メモリ部50から送られてきたコードデータである画像データPは、パレット変換部のルックアップテーブル(LUT)に格納されている配色情報すなわちパレットテーブルに基づいてインク色データP1〜Pαに変換される。そして、γ変換、ヘッド濃度補正を経て、2値データC1〜Cαに変換される。
【0053】
SMS処理部52での処理は公知のものとする。
【0054】
レジ調整部53は、前述した前側の記録ヘッド部16と奥側の記録ヘッド17とのユニット間ギャップDを補償するつなぎメモリ部と、つなぎ用メモリ部へのリード・ライトを制御するメモリ制御部とを具えている。つなぎ用メモリ部へのリード・ライトは独立に行うことができるため、同時アクセスが可能である。
【0055】
レジ調整は、メモリ制御部がリードタイミングを調整することで行う。特に奥側の記録ヘッド17用の画像データの読み出しは、前述のギャップD分だけ読み出しアドレスを前側へシフトすることで制御する。また、つなぎ用メモリ部へのライトは、左上を原点としてX方向、すなわちラスタ方向での走査で順次書き込まれる。リードは、記録ヘッドのノズル配列方向であるY方向、すなわちBJラスタ方向に順次読み出される。リードの原点は往復記録に対応し、往路は左上、復路は右上とする。
【0056】
出力制御部54は、レジ調整されたデータFC1〜FCα、RC1〜RCαに対してY方向のレジ調整を行いかつ、不要な画像データのマスク処理をする。具体的には、記録ヘッド部16,17...の有効ノズル幅H以外のノズルの画像データを記録しないように0にし、複数ある記録ヘッド部16,17...のうち記録しない色の記録ヘッド部の出力を禁止する。出力制御部54は、上記のマスク処理した画像データに予備吐用データと不吐検出パターン用データをオーバーレイして画像データFH1〜FHα、RH1〜RHαとして出力する。予備吐用データは、出力制御部54内に内包されている予備吐パターン生成部で発生され、全記録ヘッド部16,17の全ノズルに対して吐出するようなパターンである。不吐検出パターン用データは、出力制御部54内に内包されている不吐検出パターン生成部で形成され、不吐検出部7とタイミング制御し、画像データFH1〜FHα、RH1〜RHαにオーバーレイする。
【0057】
図5は、不吐検出部7の主要構成部を示すブロック図である。
【0058】
図5において、不吐検出部7内の各部の制御を行う不吐検出制御部20と、不吐検出部7内の各部のタイミング制御を行うタイミング制御部21と、記録ヘッド部16,17から吐出されたインク滴にレーザー光を発光する発光部27と、前記発光部27からのレーザー光を受光し光電変換する受光部26と、受光部26からの電気信号にフィルタ及び増幅処理をするフィルタ/アンプ部25と、フィルタ/アンプ部25の出力のピークを検出し保存するピークホールド部24と、ピークホールド部24のアナログ出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換部23と、A/D変換部23からのデジタル信号をある設定値と比較し不吐出か否かを判定する不吐判定部(比較器等で構成される)22とを具えている。
【0059】
不吐検出の原理は、発光部27から受光部26へ送られるレーザー光を記録ヘッド部16,17から吐出されたインク滴が遮光することによる受光部26の光量変化を検出することで行われる。正常吐出の場合、レーザー光はインク滴により遮光されるが、不吐出の場合、レーザー光は遮光されず受光部26まで到達する。また、吐出がよれる、つまり吐出方向がずれる場合は、遮光が中途半端となったり、あるいは遮光されないので、受光部26までレーザー光の一部が到達する。また、ショボつまり吐出量が極端に少ない場合も遮光が中途半端となる。このように吐出の状態によって受光部26まで到達する光量は大きく変化する。したがって、受光部26の光量を検出し、その結果に応じて吐出状態を正常と不吐(極端なヨレやショボも含まれる)と異常(ヨレ、ショボ)の3段階に各吐出口を判別する。
【0060】
図6で不吐検出部7に関係する信号を説明する。
【0061】
ここでは説明を簡単にするため、1つの記録ヘッド部16の不吐検出で説明する。
【0062】
画像処理部8は、不吐検出用画像データと同期信号BVE*(図中▲1▼)、VE*(図中▲2▼)が各記録ヘッド部16用としてヘッド駆動部14に対して出力され、またタイミング制御部21に同様に同期信号BVE*、VE*とレーザー駆動トリガ信号(図中▲4▼)を出力する。ここで、BVE*がLOWかつ画像データがHIGHの時のみ、記録ヘッド部16の対応するノズルからインクを吐出する。VE*のLOW幅が記録ヘッド部16のノズル数に対応する。
【0063】
図7に不吐検出の画像パターンを示す。ここでは説明を簡単にするために、記録ヘッド部16のノズル数を4つとし、またレーザー光の光軸はスキャン方向Xと45度の角度をなしている。図6の不吐検出用画像データと同期信号BVE*、VE*では、VEサイクルで第1ノズルから順次第2,3,4ノズルが吐出し、正常に吐出すれば全てのノズルからインク滴が順次VEサイクルでレーザー光を遮光する。キャリッジユニット13のスキャン方向Xの移動速度Vmm/secと、X方向の解像度Rxmm/画素とすると、VEサイクルは、Rx/Vとなる。ノズル数が増えると全ノズルの検出時間が長くなり、検出領域も広くなるため、光軸のスキャン方向Xに対する傾き45度をなるべく90度に近くすることが考えられるが、これはVEサイクルを早くすることや吐出を間引いて分割して不吐検出をすることで達成できる。
【0064】
タイミング制御部21はレーザー駆動トリガ信号からレーザー駆動信号(図6中▲5▼)を生成し、発光部27を吐出開始前に点灯させる。不吐検出用画像データに従い、記録ヘッド部16がインクを吐出する。この吐出されたインク滴によって遮られる光量を受光部26が検出し、アナログの電気信号(図中▲6▼)で出力する。なお、光量が少ない程、この値が大きくなる。フィルタ/アンプ部25は、この受光部26からのアナログ信号にフィルタをかけてノイズを除去し、さらにアンプで増幅して、フィルタ/アンプ部のアナログ信号(図中▲7▼)として出力する。ピークホールド部24は、このフィルタ/アンプ部のアナログ信号のピークを所定時間保持したアナログ信号(図中▲8▼)を出力する。A/D変換部23はアナログ信号を図6中▲9▼に示すデジタル信号に変換する。不吐判定部22はタイミング制御部21からのラッチ信号に従い、前記デジタル信号を光量としてラッチする。そして、不吐判定部22は、閾値S1(ここでは80h)、S2(ここでは10h)と光量とを比較し、光量>S1ならば吐出は正常、S1≧光量>S2ならば吐出は異常、S2≧光量ならば不吐と判定する。ここでのデータでは、第1ノズル、第2ノズルは正常、第3ノズルは不吐、第4ノズルは異常と判定される。この判定結果は、逐次不吐検出制御部20に送付され、不吐検出制御部20は各記録ヘッド部16,17毎に正常でない場合(不吐及び異常)は、不吐有りフラグを立てかつ各ノズルの判定結果を記憶し、後に説明するエラー検出等の処理に用いる。尚、ピークホールド部24はタイミング制御部21からのクリア信号がHIGHで0にクリアされる。
【0065】
この不吐検出部7は、前側の記録ヘッド部16、奥側の記録ヘッド部17に対してそれぞれ設けられており、それらはお互い独立に不吐判定部22から発光部27までの処理を行う。前側にある複数の記録ヘッド部16は、時分割に不吐判定部22から発光部27までの処理を行い、奥側にある複数記録ヘッド部17も同様に時分割に同様の処理を行う。不吐判定部22は、記録ヘッド部16,17毎の各ノズルの吐出状態を判定し、不吐検出制御部20に記憶する。
【0066】
上記の不吐検出は、図3に示すように予備吐領域で予備吐した後に不吐検出領域で行われる。そして不吐検出が行われた後、記録領域で記録媒体42上に画像が形成される。これらの予備吐、不吐検出、記録という一連の動作は、X方向のキャリッジユニット13の移動する往路記録の際に行われ、復路記録では、記録動作のみである。これは、予備吐領域と不吐検出領域が記録領域の左側のみにあるためで、両側に予備吐領域と不吐検出領域を設ければ、復路でも同様の処理は可能である。
【0067】
[エラー検出処理]
不吐検出部7において不吐及び異常が検出された場合、不吐及び異常の状態に応じてエラーランクやエラータイプが付けられ、このエラーランクに応じた処理が行われる。不吐検出部7内の不吐検出制御部20は、内部のCPU等のプログラムで不吐有無判定及びエラー判定を行い、その結果を制御部3に通達し、制御部3はその結果に応じてシーケンスの制御を行う。
【0068】
図8は、エラー検出処理の概要を示すフローチャートである。
【0069】
図9は、不吐ノズルの分布の一例である。
【0070】
ここでは説明を簡単にするために、記録ヘッド部16,17の1ヘッドを対象に、1ヘッドのノズル数を16個で説明する。
【0071】
また、エラーランクとしては、エラーランク0は不吐(異常を含む)無し状態、エラーランク1以上は不吐(異常を含む)有り状態とし、エラーランク2以上は回復処理が必要な状態とする。さらにエラーランク3はエラーランク2のものが回復処理を行った後エラーランク1以下に回復した場合とし、エラーランク4は回復処理を行ってもエラーランク1以下に回復しなかった場合とする。また、エラータイプとしては、エラータイプ0を不吐(異常を含む)無し状態のもの、エラータイプ1をエラー判定方法1で異常状態(1つの記録ヘッド部内に不吐及び異常ノズルの数がmより多い状態)となるもの、エラータイプ2をエラー判定方法2で異常状態(1つ記録ヘッド部内にある数以上連続する不吐及び異常ノズルが存在する状態)となるもの、エラータイプ3をエラー判定方法3で異常状態(1つ記録ヘッド部内にある狭い領域Rノズルに存在する不吐及び異常ノズルの数がJより多い状態)となるものとする。
【0072】
なお、m,C,R,Jは、オペレータが自由に設定できる変数とし、ここでは、m=3,C=3,R=4、J=2で説明する。
【0073】
ここでのエラー判定方法2,3は、不吐(異常を含む)ノズルの分布に注目している。なお、本発明は、エラー判定方法が1,2,3に限定されることなく、プログラムの変更等で他の数値でも容易に対応できる。
【0074】
エラー検出処理は、不吐検出制御部20と制御部3で役割分担して行われる。不吐検出制御部20は、不吐(異常を含む)ノズルの有無判定と回復処理が必要な程の不吐(異常を含む)ノズルがあるかを判定し、エラーランクとエラータイプを制御部3へ通達する。制御部3は、その通達をもとに記録制御と回復処理、記録動作終了等を制御する。
【0075】
不吐検出制御部20のエラー検出処理を説明する。
【0076】
まず、不吐検出部7内の各部を初期化し、特にエラーランクとエラータイプを0にクリアする(ステップ1)。
【0077】
そして、各記録ヘッド部16,17に対して、上記の不吐検出を行い、不吐の有無及び各ノズルの状態(正常、不吐、異常)を不吐検出制御部20に記憶する(ステップ2)。
【0078】
次に、不吐検出制御部20が不吐(異常を含む)の有無を判定し、図9例1のように不吐ノズルが無い場合は、エラーランク0、エラータイプ0と記憶し(ステップ11)、さらにこの内容を制御部3ヘ通達する(ステップ12)。
【0079】
一方、例2〜7のように不吐ノズルが有る場合は、エラーランク1と決定し(ステップ4)、制御部3ヘエラーランク1を通達する(ステップ5)。
【0080】
そして、不吐検出制御部20が、各記録ヘッド16,17毎に不吐(異常を含む)ノズルの数と分布を調べる。なお、ここでの不吐(異常を含む)ノズルの分布は、ノズルの並び方向の空間的な分布であり、ある設定数C以上連続する不吐(異常を含む)ノズルが有るか否かや、ある狭い領域「Rノズル範囲」に在る不吐(異常を含む)ノズルの数が設定数Jより多いか否か等を調査する(ステップ6)。
【0081】
次に、エラー判定方法1を実施し、不吐(異常を含む)ノズルの数がある設定値m以下か否かを判断し(ステップ7)、例3のようにm(=3)より多い場合は、エラータイプ1とする(ステップ13)。さらにエラーランクは2となり、エラータイプ1、エラーランク2が記憶される(ステップ16)。そして、これらの情報が制御部3へ通達される(ステップ17)。
【0082】
一方、例2,6,7のようにm(=3)以下の場合はステップ8へ進む。そして、エラー判定方法2を実施し、ある設定数C以上連続する不吐(異常を含む)ノズルがないか否かを判断し(ステップ8)、例6のように有る場合は、エラータイプ2とする(ステップ14)。そして、ステップ16へ進み、エラータイプとエラーランクが記憶されるとともに、ステップ17にて制御部3へこの情報が通達される。
【0083】
一方、例2,7のようにエラー判定方法2でYESの場合、ステップ9へ進む。そして、エラー判定方法3を実施し、ある狭い領域「Rノズル範囲」に在る不吐(異常を含む)ノズルの数が所定の設定数Jより少ないか否かを判断し(ステップ9)、例7のように多い場合はNOになり、エラータイプ3とする(ステップ15)。そして、ステップ16へ進み、エラータイプとエラーランクが記憶されるとともに、ステップ17にて制御部3へこの情報が通達される。
【0084】
一方、例2のようにエラー判定方法3でYESの場合、エラーランク1、エラータイプ0と記憶され(ステップ10)この情報が制御部3へ通達される(ステップ11)。
【0085】
次に、制御部3のエラー検出処理を説明する。
【0086】
図10は、制御部のエラー検出処理を示すフローチャートである。
【0087】
まず、記録開始要求に基づいてインクジェット記録装置2内の各部に対して、印字開始の初期化を行い、特に記録した記録長(Y方向の記録位置)を管理するバンドカウンタを0に初期化する(ステップ20)。
【0088】
次に、記録終了要求等がないか、また指定した記録長に到達したか否かで印字終了を判定し(ステップ21)、印字終了であれば、ホストコンピュータへ各種情報(記録終了、エラー情報等)を通達し(ステップ32)、記録終了とする。
なお、ここで通達するエラー情報は後述する。
【0089】
一方、記録終了でなければ、キャリッジを1往復スキャンさせ、一連の予備吐、不吐検出、記録の動作を行う(ステップ22)。記録ヘッド部16、17は、各インク色毎に存在する場合、予備吐と不吐検出は全記録ヘッドに対して行われるが、記録は画像データで使用するインク色を指定しているため、記録に使われない記録ヘッドもある。
【0090】
1スキャンの記録が終了すると、ステップ22の不吐検出の結果が不吐検出部7から制御部3へ送られ、この結果でエラーランクが0であるか否かを判断し(ステップ23)、エラーランクが0の場合、すなわち不吐ノズルがない場合は、次のバンドの記録をするためのバンド更新(画像処理部8のメモリ等のアドレス設定や各部の設定)を行い、ステップ21に戻る(ステップ33)。ここでは特に、バンドカウンタのインクリメントを行う。往復記録では2だけインクリメントし、片方向記録では1だけインクリメントする。
【0091】
一方、エラーランクが0でない場合(エラーランク≧1:不吐ノズルがある場合)は、ステップ24に進む。なお、このエラーランク判定では、記録に使用しない記録ヘッドは判定の対象にしない方が生産性は上がる。この指定もオペレータからできるようにするのは容易である。
【0092】
エラーランク判定する複数の記録ヘッド部16,17のうち1つでもエラーランク≧1であれば次のステップに進む。以下のエラーランクの判別でも同様である。
【0093】
エラーランク≧1が発生した場合、エラー発生箇所を計算し記憶する(ステップ24)。ここでいう発生箇所とは、記録開始から布送り方向(Y方向)の発生した位置までの距離であり、この距離は、バンドカウンタと記録ヘッド部の1バンド幅Hの積となる。
【0094】
次にエラーランク1か否かを判定し、エラーランクが1である場合はエラーランク1をエラーの発生箇所の記憶と関係付けて記憶し(ステップ34)、ステップ33の処理を行う。
【0095】
一方、エラーランクが1でなかった場合、つまりエラーランクが2の場合、以下に説明する回復処理を行う。
【0096】
まず回復回数を初期化し(ステップ26)、回復回数≧nであるかを判定し、回復回数≧nの場合は、エラーランク4(回復不能)と記憶し、エラータイプをステップ24の発生箇所と関係付けて記憶し(ステップ35)、記録終了を要求する(ステップ36)。そしてステップ21へ戻り、ステップ32へ進み記録終了する。
【0097】
一方、回復回数<nの場合、回復処理を行う(ステップ28)。回復処理は、キャリッジユニット10を所定のHP(ホームポジション)に移動させ、回復系ユニットによりインクを強制的に吐出及び吸引し、拭き取り処理等を行う。
【0098】
そして、1往復のスキャン中に予備吐と不吐検出を行う(ステップ29)。このときのスキャン幅は、印字幅W+αで有る必要はなく、不吐検出領域を通過すればよい。これにより時間短縮をすることができる。
【0099】
さらにステップ29での不吐検出の結果に対してエラーランク≦1(回復して継続印字可能になった)か否かを判定し(ステップ30)、全記録ヘッド部16,17に対してエラーランク≦1の場合は、エラーランク3(エラーランク2が回復した)を記憶する(ステップ37)そして、ステップ33に進み同様の処理をする。
【0100】
一方、エラーランク≦1でない記録ヘッド部がある場合は、回復回数を1回加算してステップ27に戻り同様の処理を行う。
このときの、回復処理の回数nもオペレータから設定できる。
【0101】
[ユーザーインタフェース]
上記不吐検出部がエラーを検出する際の各種条件のオペレータによる設定および検出されたエラーのオペレータへの通知の方法を以下に説明する。
【0102】
図11は、ホストコンピュータのCRT等の表示部に表示されるユーザーインタフェースの例である。
【0103】
これは、エラー状態やエラー判定方法やエラー処理等をどのようにするかオペレータが定義する際に使用する。ここで定義した内容をもとに不吐検出部は実際の記録ヘッドのエラー状態を決定していく。
【0104】
図12は、ホストコンピュータのCRT等の表示部に表示されるユーザインタフェースの例である。
【0105】
これは、不吐検出部により検出されたエラー記録が表示されたものであり、このエラー記録に従い、オペレータが実際に記録媒体のエラー部分をチェックしていく。図10,図11ともに基本的には、表形式で入力設定ができるようになっている。
まず、図10にてエラーの状態定義を説明する。
エラーの状態定義には、不吐検出の不吐状態を定義する表と、回復処理に関する定義をする表と、エラーの判定方法を定義する表とがある。
【0106】
不吐検出という表は、エラーランクNO.(エラーランクを表す番号)とエラータイプNO.(不吐の有無や分布状態をグル−プ化する番号)、判定方法NO.(エラー判定方法を表す番号)、エラー処理等の欄がある。ここでは、エラーランク0のエラー処理は継続印字のみとし、エラーランク1のエラー処理は継続印字かつエラー記録とし、エラーランク2のエラー処理は回復処理かつエラー記録としている。エラーランクNO.とエラー処理は、本システム側で規定しておく方が制御を簡単にできるが、エラーランクNOとエラー処理の組合せを自由にして、よりエラー状態を多様化することも制御ソフトの工夫で可能である。
【0107】
エラータイプNO.は、エラー判定方法による判定結果がわかるように番号付けしたものであり、ここではエラー判定として0から3の判定方法を用いているが、判定方法を更に増やすことはエラー判定方法の定義(後述する)をすれば可能である。
【0108】
ここではエラーランク0は判定方法0を満たす場合のみで、エラータイプは0とし、エラーランク1は、判定方法0を満たさないかつ判定方法1から3を満たす場合のみでエラータイプ0とし、エラーランク2は、エラータイプを3通り設定し、エラータイプ1は判定方法0も判定方法1も満たさない場合とし、エラータイプ2は判定方法0も判定方法2も満たさない場合とし、エラータイプ3は判定方法0も判定方法3も満たさない場合としている。
【0109】
回復処理という表では、回復回数nを設定するようになっている。ここではn=1と設定する。さらに各エラーランクに応じた回復状態とエラー処理も設定するようになっている。
【0110】
エラーランク3は、回復処理をn回すると不吐の状態から回復しエラーランク0またはエラーランク1になる状態とし、この場合のエラー処理は継続印字かつエラー記録とする。エラーランク4は、回復処理をn回しても不吐の状態から回復せず、エラーランク2つまり回復が必要なエラーランクのままの状態とし、このときのエラー処理は印字中断かつエラー記録とする。なおこのエラーランクは4までだけでなくさらに増やしてもよい。例えば、エラーランク5はエラー処理に回復処理かつエラー記録と設定すれば、再度回復処理をするエラーランクを設けることもできる。
【0111】
エラー判定方法という表は、判定方法NO.と定義式とパラメータ等の欄がある。
【0112】
判定方法0は、定義式で不吐の数=0、パラメータは無しと定義する。判定方法1は、定義式で不吐の数≦m、パラメータm=3と定義する。判定方法2は、定義式で連続ノズル(不吐ノズルが隣接しているノズルを意味する)数≦C、パラメータC=3と定義する。判定方法3は、定義式で不吐の数≦J at 領域=R(領域Rノズル内にて不吐ノズルの数が≦Jを意味する)、パラメータJ=2,R=4と定義する。
【0113】
上記の3つの表(不吐検出、回復処理、エラー判定方法)の内容は、行を増減し欄を記入することで、種類を増減することができる。また、そこで使用される用語(例として継続印字、エラー記録、不吐の数、連続ノズル領域等)や論理式(*:かつ ≠:否定 ,:または at:にて 等)は予めホストコンピュータ1側で定義し、オペレータに選択させて組合せで使用させる方法や、あるプログラム言語(例としてC言語)で記述することも可能である。
【0114】
次に、図12でエラー記録のユーザーへの提示の仕方を説明する。
【0115】
図12は、JOBの履歴を提示する表と、エラーの記録を表示する表と、不吐の状態を提示する表とである。
【0116】
JOBとは、印字開始から印字終了(または停止)までの1連の印字作業のことで、JOBの履歴を提示する表は、JOBを管理する項目がJOB番号、エラーの有無、タイトル(オペレータが管理している名称:例としてメーカ名やシリーズ名等)、記録の開始日時、生産量、記録媒体(布種等)、画像名(実際のファイル名)、作業の担当者名等がある。これらの表は、表形式のファイルを基に表示をされているので、項目の追加等は容易である。
【0117】
上記項目のうち、JOB番号、エラーの有無、開始日時、生産量はホストコンピュータ1で自動生成される。また、タイトル、媒体、画像名、担当者名は、印字作業を開始する際にオペレータから入力され設定されるものである。これら項目と内容は基本的に書き換え禁止であるが、項目のうち書き換え可能な項目(例:備考欄等)を用意することも可能である。
【0118】
あるJOBのエラーの記録をオペレータが見たい場合は、上記JOBの履歴を提示する表のJOB番号をクリックすると、JOB番号21に相当する印字作業でのエラーの記録を提示する表が表示される。エラーの記録を提示する表は、エラー発生箇所に対応する管理番号・エラー発生箇所(印字開始からの布送り方向での位置:単位m)、エラー発生日時、ヘッド毎のエラーランクとエラーレベル等が表示される。
【0119】
本JOBのある時点での各ヘッドの不吐状態を知りたい場合は、ここでは、ヘッド1の管理番号3とヘッド2の管理番号7の欄をクリックすると、不吐の状態を提示する表が表示される。不吐の状態を提示する表は、ノズル番号と不吐状態を表記している。
【0120】
ここでは、JOB(一連の生産)群からあるJOBの時系列表示、ある時間のあるヘッドの不吐状態と大きい枠から詳細な枠へとたどることでエラーの情報をユーザーに開示しているがこの限りではない。
【0121】
例えば、ヘッド1の99年1月中の不吐の数変化をユーザーが知りたい場合、ホストコンピュータ1が管理されているエラー情報から希望する情報を引き出すためのユーザーインターフェースと、表示したい形式(例:グラフ)等を指定するユーザーインターフェースを用意することで対応することは可能である。
また、ホストコンピュータ1が管理されているエラー情報の形式をユーザーに公開することで、ユーザーが自由には汎用の表計算等のソフトウエアを使用することで、所望の情報を所望の形式で表示することも可能になる。
【0122】
(実施形態2)
上記のユーザーインターフェースでは、エラーが発生した箇所をコンピュータ上で印字開始からのメートル(m)数で確認し、検反機(不図)等で記録媒体42のm数を測りながら、エラー発生箇所の画像の状況を確認することになる。
【0123】
本実施形態では、この作業(記録媒体42上のエラー箇所の画像の状況を確認すること)を容易に行うために、記録媒体42にマークを入れる手段を設ける。なお、インクジェット記録装置の主たる構成は実施形態1と同様とする。
【0124】
図13にマークの例を3つ示して説明する。
【0125】
まず、例1では、最も簡単なマークの付け方である。
【0126】
不吐が発生した近傍の複数のヘッドで、記録媒体42の画像領域の右端に横線を印字することである。横線の印字位置は不吐が発生したバントに相当するようにすれば、マークの左横を観察すれば画像の状況を確認できる。
【0127】
この場合の具体的な処理は、不吐検出部20で検出されたエラー情報(不吐ヘッドとノズル)を制御部3に送信し、制御部3は、上記エラー情報(不吐ヘッドとノズル)から加工した情報を画像制御部8内の出力制御部54にてセットすることで出力制御部54は横線のパターンを付加し、記録ヘッド部14〜16を介して記録媒体42に印字される。
【0128】
不吐検出領域が左にあるため、スキャン方向Xにキャリッジユニット3が移動する場合、つまり往路印字の場合、マークの領域に到達するまでに、上記パターン生成を行うように構成すると、不吐が発生したバンドの右端にマークをいれることができる。しかしながら、マークのパターン生成に時間がかかる場合(特に記録媒体42の幅が狭い場合)は、不吐の発生バンドの右端に間に合わないことが考えられる。この問題は数バンド後にマークを入れると予め規定すれば、解消できる。
【0129】
同様に、スキャン方向Xと逆にキャリッジユニットが移動する場合、つまり復路印字の場合でかつ不吐検出領域が左しか無い場合は、右端のマークは不吐発生バンドに印字することはできないので同様に数バンド後にマークを入れる処理にするか、あるいは左端に印字する方法もある。しかしながら、左端に印字する方法だと右端左端両方にマーク領域があることになり、画像領域が狭くなる。
【0130】
複数のヘッドまたはノズルで同時に不吐を発生しても同様に処理をすれば問題はない。
【0131】
次に、例2では、例1と同じような位置にマークを入れるが、マークのパターンに図12のエラー記録での管理番号を付加している。このとき枠と文字の色を不吐が発生した記録ヘッドで印字する。
ここでは、ホストコンピュータ1で管理番号を確認しエラー情報を詳細に知ることができるし、画像の状況を確認してそのレベルをホストコンピュータ1に再入力することも可能である。具体的には、エラー記録の表に画像状況の欄を追加し記載することである。マークの生成は、例1と同様に、不吐検出制御部20で検出されたエラー情報(不吐ヘッドとノズル)を制御部3に送信し、制御部3は、上記エラー情報(不吐ヘッドとノズル)から加工した情報と生成した管理番号を画像制御部8内の出力制御部54にてセットすることで出力制御部54は横線のパターンを付加し、記録ヘッド部14〜16を介して記録媒体42に印字される。
【0132】
管理番号の数字のパターンを生成するパターン生成部(不図示)は出力制御部54に持つことも制御部3に持ち出力制御部54へ書き込むことも可能である。
【0133】
上記例1,2では、記録媒体42の右端が無駄になるが、記録している最中に不吐の発生を知ることができ、画像の状況も印字しながら確認することもできる。
【0134】
次に例3では、記録媒体42の右端が無駄にならないように、たとえ右端までが印字領域であっても、記録ヘッドによる印字のマークではなく、タグを付けてマークにする。タグを外せばタグの付いていた領域も利用できる。
【0135】
タグとしては、テープ等を糸等で縫い付ける方法がある。タグには自動的に別の印字手段で、管理番号や記録ヘッドを特定できる色や数字といった情報を印字する。タグを取り付ける装置(不図)の配置は、図2の巻取りローラ36とローラ35の間にし、ホストコンピュータ1からエラー情報(不吐ヘッドとノズル)と管理番号を受け取り、タグに管理番号等を印字した後に、記録媒体30に縫い付ける。
この場合は、印字しながらも不吐の有無と状況を確認できるし、巻取りローラ36に巻取った後にもタグを見ることで不吐の発生箇所が大まかに把握できる。またこのタグを後処理(発色、洗濯等)でも変化しない材質にすると、後処理後の検反でも不吐と画質状況は確認できる。
【0136】
(その他)
なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0137】
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0138】
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0139】
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0140】
【発明の効果】
本発明を用いることで、印字中に不吐出などによる印字エラーが発生しても、自動的に回復処理などを行うため、印字を途中で中断したり、オペレータが監視してエラー復帰処理を行う必要がないので、オペレータのエラー処理の負担が軽減される。特に、記録媒体が長尺で記録時間が長い場合は有効であり、記録動作が途中で中断されないので、生産性が向上する。
【0141】
また、あらかじめ、オペレータがエラーの状態とそれに応じた回復処理を自由に設定することができるので、適切な画質の記録結果を得ることができるとともに、生産性を維持することができる。
【0142】
また、記録結果のエラー箇所を知らせるマーキング機能を設けることで、エラーの前後で記録された画像に乱れがないかを記録後に簡単に調べることができる。さらに、エラー記録を保存しておくことで、記録後にエラー記録を参照し、次回のエラー状態と回復処理の設定に反映することができ、より良い生産性と画質のバランスを追求することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録システムの構成図である。
【図2】インクジェット記録装置の記録部、搬送部を示す模式図である。
【図3】記録ヘッド部と記録媒体との位置関係を示す図である。
【図4】画像処理部の構成図である。
【図5】不吐検出部の主要構成部を示すブロック図である。
【図6】不吐検出部の各部から出力される信号のタイムチャートである。
【図7】記録ヘッドの不吐を検出する機構を示す模式図である。
【図8】不吐検出部のエラー検出処理を示すフローチャートである。
【図9】不吐ノズルのパターン例を示す模式図である。
【図10】制御部のエラー検出処理を示すフローチャートである。
【図11】ホストコンピュータのCRTに表示されるエラー設定画面の一例を示す図である。
【図12】ホストコンピュータのCRTに表示されるエラー記録画面の一例を示す図である。
【図13】エラー記録のマーク方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ホストコンピュータ
2 インクジェット記録装置
3 制御部
4 制御バス
5 I/F部
6 表示/操作部
7 不吐検出部
8 画像処理部
9 キャリッジモータ駆動部
10 キャリッジモータ
11 駆動モータ駆動部
12 搬送モータ
13 キャリッジユニット
14 ヘッド駆動部(前側)
15 ヘッド駆動部(後ろ側)
16 記録ヘッド(前側)
17 記録ヘッド(後ろ側)
Claims (21)
- 記録ヘッドの吐出口からインク滴を吐出することにより記録を行うインクジェット記録装置において、
前記インクジェット記録装置の不具合を検出する不具合検出手段と、
前記不具合検出手段が検出した不具合を、不具合の度合いに応じてレベル付けして不具合レベルを決定する不具合レベル付け手段と、
前記不具合検出手段が検出した不具合に対して前記不具合レベル付け手段が決定した前記不具合レベルに対応する不具合処理を実行する不具合処理手段と、
を具えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - さらに、
前記不具合検出手段が検出した不具合の発生箇所を前記不具合レベルに対応させて記憶する不具合発生箇所記憶手段と、
前記不具合発生箇所記憶手段が記憶した不具合発生箇所を前記不具合レベルに対応させてオペレータに表示する不具合表示手段と
を具えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記不具合レベル付け手段が前記不具合レベルを決定する条件は、オペレータが設定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記不具合検出手段は、前記記録ヘッドの不吐出箇所を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記不具合レベル付け手段は、レベルを前記記録ヘッドの不吐出箇所の数および不吐出箇所の分布の少なくとも一方に応じて決定することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
- 前記不具合処理手段は、前記不具合レベルに応じて前記記録ヘッドの回復処理を実行することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記不具合処理手段によって実行する不具合処理は、前記不具合レベルのレベルに対応してオペレータが設定変更可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記不具合表示手段は、記録媒体上の不具合箇所付近に目印を付けることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記不具合レベル付け手段は、前記不具合検出手段が検出した不具合に対応する不具合レベルを決定するとともに、所定の不具合レベルにおいて継続性のある不具合と復帰可能な不具合とをさらに識別することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記継続性のある不具合と前記復帰可能な不具合を、オペレータによって設定変更可能であることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
- 複数の吐出口を有する記録ヘッドを具えたインクジェット記録装置と、該インクジェット記録装置へ画像データを送信する画像供給装置とを具えるインクジェット記録システムにおいて、
前記インクジェット記録装置の不具合を検出する不具合検出手段と、
前記不具合検出手段が検出した不具合を、不具合の度合いに応じてレベル付けして不具合レベルを決定する不具合レベル付け手段と、
前記不具合検出手段が検出した不具合に対して前記不具合レベル付け手段が決定した前記不具合レベルに対応する不具合処理を実行する不具合処理手段と、
を具えることを特徴とするインクジェット記録システム。 - さらに、
前記不具合検出手段が検出した不具合の発生箇所を前記不具合レベルに対応させて記憶する不具合発生箇所記憶手段と、
前記不具合発生箇所記憶手段が記憶する不具合発生箇所および対応する前記不具合レベルを前記画像供給装置へ伝達する伝達手段と、
前記伝達手段が伝達した不具合発生箇所を前記不具合レベルに対応させてオペレータに表示する不具合表示手段と、
を具えることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録システム。 - 前記不具合レベル付け手段が前記不具合レベルを決定する条件は、オペレータが設定可能であることを特徴とする請求項11または12に記載のインクジェット記録システム。
- 前記不具合検出手段は、前記記録ヘッドの不吐出箇所を検出することを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のインクジェット記録システム。
- 前記不具合レベル付け手段は、レベルを前記記録ヘッドの不吐出箇所の数および不吐出箇所の分布の少なくとも一方に応じて決定することを特徴とする請求項14に記載のインクジェット記録システム。
- 前記不具合処理手段は、前記不具合レベルに応じて前記記録ヘッドの回復処理を実行することを特徴とする請求項11乃至15のいずれかに記載のインクジェット記録システム。
- 前記不具合処理手段によって実行する不具合処理は、前記不具合レベルのレベルに対応してオペレータが設定変更可能であることを特徴とする請求項11乃至16のいずれかに記載のインクジェット記録システム。
- 前記不具合表示手段は、記録媒体上の不具合箇所付近に目印を付けることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録システム。
- 前記不具合レベル付け手段は、前記不具合検出手段が検出した不具合に対応する不具合レベルを決定するとともに、所定の不具合レベルにおいて継続性のある不具合と復帰可能な不具合とをさらに識別することを特徴とする請求項11乃至18のいずれかに記載のインクジェット記録システム。
- 記録ヘッドの複数の吐出口それぞれからインク滴を吐出することにより記録を行うインクジェット記録装置の制御方法において、
前記インクジェット記録装置の不具合を検出する不具合検出工程と、
前記不具合検出工程にて検出された不具合を、不具合の度合いに応じてレベル付けして不具合レベルを決定する不具合レベル付け工程と、
前記不具合検出工程にて検出された不具合に対して前記不具合レベル付け工程にて決定された前記不具合レベルに対応する不具合処理を実行する不具合処理工程と、
からなることを特徴とする制御方法。 - さらに、
前記不具合検出工程にて検出された不具合の発生箇所を不具合レベルに対応させて記憶する不具合発生箇所記憶工程と、
前記不具合発生箇所記憶工程にて記憶された不具合発生箇所を不具合レベルに対応させてオペレータに表示する不具合表示工程と
からなることを特徴とする請求項20に記載の制御方法。
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