JP2004048719A - 二つ折り式携帯電話、携帯電話 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の二つ折り式携帯電話は、薄型化によって性能が低下するという問題があった。
【解決手段】第1筐体110と第2筐体120とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続された二つ折り式携帯電話において、前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板115を含む面の内面とのなす開き角が165°よりも大きい状態で保持され、前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面122および情報を表示する表示画面121を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話。
【選択図】 図1
【解決手段】第1筐体110と第2筐体120とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続された二つ折り式携帯電話において、前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板115を含む面の内面とのなす開き角が165°よりも大きい状態で保持され、前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面122および情報を表示する表示画面121を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二つ折り式携帯電話等の携帯電話に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話の普及は著しく、電話としての通話機能のみならず、ウェブサイトへのアクセスや電子メールの利用といった、インターネットに対応した情報通信機能を備えた情報端末として、広く用いられている。
【0003】
このような、情報端末として利用可能な携帯電話は、情報を画像として表示する表示画面を必要とする。大きな表示画面を確保し、かつ携帯性を維持するために、現在の携帯電話は、表示画面と入力を行うキーとを、折り畳み可能に結合した二つの筐体に別々に設けるようにした、二つ折り式が主流となっている。
【0004】
図12(a)〜(c)および13(a)(b)に従来の二つ折り式携帯電話を示す(例えば、特許文献1を参照)。図に示すように、携帯電話1300は、その内側主面にテンキー他の入力部1311が設けられた第1筐体1310と、その内側主面に表示画面1321が設けられた第2筐体1320とを備えている。
【0005】
第1筐体1310の内側主面には、入力部1311の他に、音声を入力するためのマイクが配置された音声入力面1312が設けられており、さらに内側主面上には、入力部1311をはさんで音声入力面1312と相対する位置に、第2筐体と回転可能に接続するためのヒンジブラケット1313aおよび1313bが設けられている。また、第1筐体1310の外側主面寄りには、伸縮可能なヘリカルアンテナ1314が設けられており、さらに第1筐体1310には、携帯電話の内部回路の各部を接地するためのアース地板1315が内蔵されている。アース地板1315の内蔵位置は、第1筐体1310の厚みの実質半分となる位置である。
【0006】
また、第2筐体1320の内側主面には、表示画面1321の他に、音声を出力するためのスピーカが配置された音声出力面1322が設けられており、さらに第2筐体の端部であって、表示画面1321をはさんで音声出力面1322と相対する端部の位置には、第2筐体1320を第1筐体1310と回転可能に接続するためのヒンジアーム1323が設けられている。
【0007】
各図に示すように、第1筐体1310および第2筐体1320は、ヒンジブラケット1313aおよび1313bの間にヒンジアーム1323が嵌合することにより結合され、図中矢印の方向に回転可動する。このとき、ヒンジアームが設けられた第1筐体1310の回転は、所定角まで回転すると、回転第1筐体1310の端部に設けたストッパ1316によって停止される。
【0008】
以上のような二つ折り式携帯電話1300は、図13(a)(b)に示すように、使用しないときは、両筐体の内側主面が向かい合うように折り畳むことができ、携帯性を高めるとともに、大きな表示画面を確保することが可能となっている。
【0009】
なお、図示していないが、ヒンジブラケット1313a、1313bおよびヒンジアーム1323内にはバネ等を利用した付勢力により、第1筐体1310と第2筐体1320との開き角を、特定の角にて保持する保持手段が設けられており、特定の角は、図13(a)に示す折り畳み状態、図12(a)に示す使用状態等があげられる。
【0010】
このような二つ折り式携帯電話は、さらなる携帯性の向上を目指して、薄型化、小型化が進んでいる。
【0011】
【特許文献1】
特許第2821333号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような二つ折り式携帯電話においては、以下のような課題があった。
【0013】
携帯電話の使用時、利用者は音声出力面を耳側に、音声入力面を口側にくるよう、携帯電話を頭部に近づけて通話を行う。ここで図14(a)は、二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
【0014】
図14(a)に示すように、二つ折り式携帯電話1300を頭部1400に近づけると、第1筐体1310および第2筐体1320に設けられた各部もまた、頭部1400に接近する。各部の内、アース地板1315およびヘリカルアンテナ1314の先端と頭部1400との位置は、二つ折り式携帯電話の利得に大きな影響を与える。
【0015】
図14(a)において、距離Aはヘリカルアンテナ1314の先端から頭部1400の表面までの距離を、距離Bは第1筐体内のアース地板1315から頭部1400の表面までの距離を、距離Cは第2筐体の平均的厚みを、距離Dは第1筐体の平均的厚みを、それぞれ示す。なお、第1筐体1310と第2筐体とのなす開き角は、従来例1、従来例2ともに165°となっており、したがって、図中に示される、第1筐体1310の第2筐体1320に対する俯角aは15°となる。また、音声出力面1322から伸びる矢印は、音声出力面1322から出力される音声信号の指向性の、もっとも強い方向を示す。
【0016】
次に、図14(b)に、二つ折り式携帯電話の筐体の厚みと、アース地板1315およびヘリカルアンテナ1314をもっとも短くしたときの位相中心Cpと頭部1400との距離と、利得損失との関係を表として示す。
【0017】
従来例2は従来例1に対して第1筐体1310、第2筐体1320のいずれとも、厚みがより小さくなっており、ヘリカルアンテナ1314の先端から頭部1400の表面までの距離Aも、アース地板1315から頭部1400の表面までの距離Bも、従来例2のほうが従来例1より短くなっている。すなわち、従来例より薄い筐体を有する従来例2のほうが、筐体に内蔵されたアース地板およびアンテナの先端が、頭部とより接近している。
【0018】
このとき、携帯電話においてはアンテナが、人体に近づくと送受信時の利得損失が大きくなってしまうという問題があった。
【0019】
図14(b)に示す例では、従来例2は、従来例1を基準とした場合、ヘリカルアンテナ1314に起因する利得損失αと、アース地板1315に起因する利得損失βとを併せて、合計約−2.0dBの利得損失を生じていることとなる。すなわち、筐体の薄型化が、受信利得の低下を引き起こすことになっていた。
【0020】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、筐体を小型化、薄型化しても受信時の利得の減衰を軽減することが可能な二つ折り式携帯電話を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、アンテナと、内蔵されたアース地板と、その内側主面に設けられたヒンジブラケットとを有する第1筐体と、少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面とを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板を含む面の内面とのなす開き角が実質上165°よりも大きい状態で保持され、
前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面および情報を表示する表示画面を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話である。
【0022】
また、第2の本発明は、前記固定機構は、前記第1筐体および/または前記第2筐体に設けられたストッパと、弾性力により前記開き角が一定となるよう保持する弾性保持手段とを備え、
前記弾性保持手段は、前記開き角が、所定の第1の角度に向かう付勢力を与え、
前記ストッパは、前記開き角が、前記第1の角度より小さい第2の角度となるように設けられており、
前記第2の角度は、前記弾性保持手段の付勢力による保持に伴う遊びが許容できなくなる第1の限界角度以下の角度である第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0023】
また、第3の本発明は、前記固定機構は、弾性力により前記開き角が一定となるよう保持する弾性保持手段を備え、
前記開き角は、前記弾性保持手段による保持が可能な第2の限界角度以下である第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0024】
また、第4の本発明は、前記一時固定により保たれる前記開き角は、実質上166°以上、172°以下である第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0025】
また、第5の本発明は、前記第1筐体の前記内側主面と前記第2筐体の前記内側主面とのなす角が実質上180°となるよう開いたとき、前記第1筐体の前記内側主面と、前記第2筐体の前記内側主面とは段差を有しており、
前記第1筐体の前記内側主面は、前記第2筐体の前記内側主面より筐体の内側方向へ後退している第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0026】
また、第6の本発明は、前記第1筐体の前記内側主面と、その内側主面と対向する外側主面との間の平均距離は実質上7mmであって、前記第2筐体の前記内側主面と、その内側主面と対向する外側主面との間の平均距離は実質上9.8mmである第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0027】
また、第7の本発明は、アンテナと、内蔵されたアース地板と、その内側主面に設けられたヒンジブラケットとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面とを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面は、前記表示画面を含む面に対して傾斜しており、
前記傾斜の方向は、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と、前記表示画面とが鈍角をなすような方向である二つ折り式携帯電話である。
【0028】
また、第8の本発明は、アンテナと、内蔵されたアース地板と、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、スピーカの音声出力面とを有する筐体とを備え、
前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面は、前記表示画面を含む面に対して傾斜しており、
前記傾斜の方向は、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と、前記表示画面とが鈍角をなすような方向である携帯電話である。
【0029】
また、第9の本発明は、前記仮想面は、前記第1筐体の前記内側主面における前記音声出力面として設けられている第7の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0030】
また、第10の本発明は、内蔵されたアース地板と、その内側主面に設けられたヒンジブラケットとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面と、アンテナとを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板を含む面の内面とのなす開き角が実質上165°よりも大きい状態で保持され、
前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面および情報を表示する表示画面を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話である。
【0031】
また、第11の本発明は、その内側主面に設けられたヒンジブラケットと、アンテナとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面と、内蔵されたアース地板とを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板を含む面の内面とのなす開き角が実質上165°よりも大きい状態で保持され、
前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面および情報を表示する表示画面を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話である。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0033】
(実施の形態1)
図1(a)〜(c)および2(a)(b)は、本発明の実施の形態1による二つ折り式携帯電話の構成図である。図に示すように、二つ折り式携帯電話100の構成は、基本的には図12,13に示す従来例と同様であって、その内側主面にテンキー他の入力部111が設けられた第1筐体110と、その内側主面に表示画面121が設けられた第2筐体120とを備えている。
【0034】
第1筐体110の内側主面は、入力部111の他に、音声を入力するためのマイクが配置された音声入力面112が設けられており、さらに内側主面上には、入力部111をはさんで音声入力面112と相対する位置に、第2筐体と回転可能に接続するためのヒンジブラケット113aおよび113bが設けられている。また、第1筐体の外側主面寄りには、伸縮可能なヘリカルアンテナ114が設けられており、さらに第1筐体には、携帯電話の内部回路の各部を接地するためのアース地板115が内蔵されている。アース地板115の内蔵位置は、第1筐体の厚みの実質半分となる位置である。
【0035】
また、第2筐体120の内側主面は、表示画面121の他に、音声を出力するためのスピーカが配置された音声出力面122が設けられており、さらに第2筐体の端部であって、表示画面121をはさんで音声出力面122と相対する端部の位置には、第1筐体と回転可能に接続するためのヒンジアーム123が設けられている。
【0036】
各図に示すように、第1筐体110および第2筐体120は、ヒンジブラケット113aおよび113bの間にヒンジアーム123が嵌合することにより結合され、図中矢印の方向に回転可動する。なお、ヒンジブラケット113aおよび113bは、ヒンジアーム123の両端に設けるようにしたが、ヒンジアーム123を二分またはそれ以上に分割して、それら分割されたヒンジアームの間に設けるようにしてもよい。ただし、開き角を保持するためのヒンジの強度という点からは、図示するような構造としたほうが望ましい。
【0037】
このとき、ヒンジアームが設けられた第1筐体110の回転は、所定角まで回転すると、第1筐体110の端部に設けたストッパ116によって停止される。また、図2(c)に示すように、ストッパ116を省略したものと仮定して、第1筐体110と第2筐体とのなす開き角を180°とした場合、第1筐体110の内側主面と第2筐体120の内側主面とは、段差dを持つようにし、この段差dだけ、第1筐体の内側主面のほうが、第2筐体120の内側主面より筐体の内側方向へ後退しているような構成を有する。
【0038】
二つ折り式携帯電話100は、図2(a)(b)に示すように、使用しないときは、両筐体の内側主面が向かい合うように折り畳むことができ、携帯性を高めるとともに、第2筐体の内側主面の大半を利用した大きな表示画面を確保することが可能となっている。
【0039】
以上のような構成を有する本実施の形態の二つ折り式携帯電話は、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、従来例よりも大きくとるようにしたという特徴を有する。以下、その効果について説明を行う。
【0040】
図3(a)は、二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図であって、距離や寸法を表す各記号の対応は図14(a)に示す従来例と同様なので、詳細な説明は省略する。ただし、図3(a)に示す、第1筐体110と第2筐体とのなす開き角は、本実施の形態は実質上168°となっており、したがって、図中に示される、第1筐体110の、第2筐体120に対する俯角aは実質上12°となる。
【0041】
次に、図3(b)に、二つ折り式携帯電話の筐体の厚みと、アース地板115および、もっとも長さを短くした場合のヘリカルアンテナ114の先端と頭部300とのそれぞれの距離と、利得損失との関係を、本実施の形態と、図14(b)の従来例2との比較表として示す。
【0042】
表に示すとおり、実施の形態1と従来例2は同一寸法の筐体を有するので、距離C、距離Dは同一となるが、第1筐体110と第2筐体120との開き角は、本実施の形態のほうが実質上3°大きいため、距離Aは従来例2よりも小さくなるが、距離Bは従来例2よりも大きくなる。
【0043】
したがって、表に示すように、ヘリカルアンテナ114の先端から頭部300の表面までの距離Aに起因する利得損失αはわずかに増大することになるが、アース地板115から頭部300の表面までの距離Bに起因する利得損失βの低減が大きくなり、利得損失βの増大分を十分に補償するため、全体として利得損失を低減することができる。
【0044】
一方、第1筐体110と第2筐体との開き角をさらに大きくすると、距離Aがさらに小さくなり、距離Aに起因する利得損失αはさらに増大するのに対し、距離Bの増大に伴う利得損失αの低減量は飽和に近づくため、全体として利得損失は逆に増大してしまう。したがって、距離Aと距離Bとの関係が、最適となるような開き角にすることが望ましい。
【0045】
ここで、図15に、第1筐体110と第2筐体120との開き角と、ヘリカルアンテナ114およびアース地板115のそれぞれとの受信利得への影響との関係をグラフを用いて詳細に示す。図15の折れ線Aに示すように、第1筐体110と第2筐体120との開き角が大きくなると、アンテナ単体は頭部300に接近する方向にのみ移動するため、アンテナの利得は減少する。その減少の傾きは、実質上168°より小さい開きでは1°あたり−0.3dB、実質上168°〜170°では1°あたり−0.5dB、実質上170°〜172°では1°あたり−0.7dB、実質上172°より大きな開き角では1°あたり−1.0dBと、開き角が大きくなるにつれ、その減少の傾きも大きくなる。
【0046】
一方、折れ線Bに示すように、アース地板115は、開き角が従来例と同様165°前後にある場合、そこからは角度が大きくなるにつれて、アンテナの利得は大きくなり、開き角が実質上168°になるまで単調増加の傾き(1°あたり+1.0dB)を与える。さらに168°〜170°までは増加傾向を維持するがその傾きは緩やかになり(1°あたり+0.5dB)、実質上170°〜172°ではさらに緩やかな傾き(1°あたり+0.2dB)でアンテナ利得を増加させ、実質上172°以上の開き角になるとで飽和状態(傾きは0)になる。
【0047】
以上のことを綜合すると、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、従来から知られる実質上165°より大きくしていくと、アンテナが頭部300に接近することに起因する利得の減衰が、アース地板115が頭部300から離れることに起因する利得の増加により補われるため、実質上開き角168°までは全体の利得を単調増加させることがわかる。さらに少なくとも実質上170°まではピークを保つことができる。
【0048】
したがって、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、従来例より大きくとり、理想的には168°〜170°、実質的には少なくとも166°〜172°の範囲を最適角とすることにより、アンテナ利得を十分に挙げられることがでいる。
【0049】
次に、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、従来例より大きく保つための仕組みについて説明を行う。
【0050】
本実施の形態においても、従来例と同様、ヒンジブラケット113aおよび113bおよびヒンジアーム123内にはバネ等を利用した付勢力により、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、折り畳み状態、使用状態などの特定の角にて保持する弾性保持手段が設けられている。
【0051】
ここで図4(a)に、弾性保持手段の構成の一例を模式的に示す。弾性保持手段は、ヒンジブラケット113aまたは113b内に固定されたバネ部と、ヒンジアーム123内に固定された支柱部とから構成される。バネ部は所定長を有する中空のつるまきバネ401、およびつるまきバネ401の両端に接続された、中空の摺動部材402aおよび402bを有し、その中空部分に支柱部の支柱本体411を内蔵している。なお、図においては、説明をわかりやすくするため、模式的に支柱本体411を一部切断して示した。
【0052】
支柱部は、バネ部がはまりこんだ支柱本体411と、支柱本体411の両端に設けられた端部部材412aおよび412bとを有する。つるまきバネ401はその長さが大きくなる方向に弾性力が働くため、摺動部材402aおよび402bは互いに離れる方向(図4(a)中の各矢印)に付勢力が与えられ、端部部材412aは摺動部材402aと、端部部材412bは摺動部材402bとそれぞれ当接する。したがって、二つ折り式携帯電話100の第1筐体110と第2筐体120との開閉動作を行うと、第1筐体110に固定されたバネ部は、支柱本体411の軸周りを回転する。
【0053】
また、摺動部材402aおよび端部部材412aは、対向する面に、互いに対応する所定の凹凸形状がそれぞれ形成されている。図4(a)に摺動部材402aの形状を、図4(b)に端部部材412aの形状をそれぞれ示す。摺動部材402aはその主面に凸部403を、端部部材412aはその主面に、凸部403に対応した凹部413をそれぞれ有する。
【0054】
図4(c)に示すように、第1筐体110と第2筐体との開閉動作が行われている間、摺動部材402aは、凸部403が端部部材412aの主面と接しながら、主軸本体411周りを回転することになる。端部部材412aがある程度まで回転すると、凸部403と凹部413とが対向することになり、図4(d)に示すように、つるまきバネ401の付勢力によって、凹部413に凸部403が嵌りこみ、バネ部と支柱部とは互いに固定される。この固定位置近傍が、第1筐体110と第2筐体120との開き角(本発明の所定の第1の角度に相当する)となる。ただし、凸部403および凹部413の精度は厳密ではなく、いわゆる遊びを持たせるようにしており、凸部403と凹部423が嵌った状態でも、開き角には裕度が生じる。
【0055】
これは、弾性保持手段のみの保持力では、第1筐体110と第2筐体120との開き角を一時固定することはできないことを意味する。そこで、第1筐体110のストッパ116を用いて、弾性保持手段の付勢力とストッパ116からの抗力とで、開き角を一時固定するようにする。
【0056】
ここで図5は、二つ折り式携帯電話100の第1筐体110と第2筐体120との開き角を一時固定するための条件を説明するための図である。
【0057】
図に示すように、第1筐体110と第2筐体120とを広げると、バネ部の摺動部材402aの凸部403は、凹部413に嵌り込む方向に、端部部材412aの主面上を移動し、つるまきバネ401からの付勢力により、凹部413のより奥へ嵌り込む方向に力が与えられる。したがって、凹部413上の斜面であるエリアaに凸部403があるときは、凸部403には、第1筐体110と第2筐体120との開き角θが大きくなる方向に力が与えられる。また、凹部413の底部であるエリアbに凸部403があるときは、凹部413に固定される方向に力が与えられる。さらに凹部413上の斜面であるエリアcに凸部403があるときは、第1筐体110と第2筐体120との開き角θが小さくなる方向に力が与えられる。
【0058】
このとき、図6(a)に示すように、凸部403がエリアaにあるときの第1筐体110と第2筐体120との開き角を第1の限界角度、すなわち、弾性保持手段の付勢力による保持に伴う遊びが許容できなくなる角度として、これに対応するようにストッパ116を設けることによって、第1筐体は、バネ部の付勢力と、ストッパ116からうける、付勢力の反作用としての抗力によって安定して固定されることになる。
【0059】
再び図5に示すように、付勢力が第1筐体110と第2筐体120との開き角θが大きくなる方向に作用するエリアaは、所定の幅を有するが、従来例は、人間工学的な理由から、図中(ア)に示すようにθ=実質上165°となるようにストッパ116を設けていた。
【0060】
これに対し、本実施の形態は、第1筐体110に内蔵されるアース地板115を利用者の頭部から遠ざけて、図15に示すアンテナとアース地板との最適条件を得るために、第1の限界角度に定めたθがより大きくなるような位置にストッパ116を設けるようにし、一例として図中(イ)に示すようにθ=168°に定め、図3に示すような結果を得ている。
【0061】
なお、開き角θは、機械的には凸部403の位置が図5のエリアa内にある限り大きくすることができるが、弾性保持手段による保持が可能な第2の限界角度を越えることはできない。そこで、上記第2の限界角度としては、最適なアンテナ利得を与える限界の開き角となる実質上170°、もしくは裕度を考慮して実質上172°程度の角をθに設定することが最も望ましい。
【0062】
また、ヘリカルアンテナ114の位相中心Cpがヒンジの回転中心より上に来るほどθを大きくとりすぎると、位相中心Cpが表示画面121に接近するようになり、アンテナからの輻射が画面表示に悪影響を与えるおそれがある。
【0063】
また、特にθが実質上180°を越えると、二つ折り式携帯電話は全体として反り返る格好となり、扱いにくい等の不具合があるため、そのような角にすることは望ましくない。
【0064】
なお、上記の説明において、開き角θは、本発明のスピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、アース地板を含む面の内面とのなす開き角に相当する。
【0065】
また、本実施の形態は図10(a)〜(c)に示す構成としてもよい。
【0066】
図10(a)〜(c)は、本発明の実施の形態1による二つ折り式携帯電話の他の例の構成図である。図に示すように、二つ折り式携帯電話1000の構成において、図1と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。また、第1筐体110の内側主面の、アース地板115に対して反対側に位置する外側主面上に、ヘリカルアンテナ114の一部が、ある程度盛り上がってなる盛り上がり部1010を有している。この盛り上がり部1010は、ヘリカルアンテナ114を従来例より外側主面よりに設けたことにより形成されたものである。
【0067】
このような構成を有する二つ折り式携帯電話は、第1筐体110と第2筐体120との開き角は、図1に示す構成と同一であるが、盛り上がり部1010の分だけヘリカルアンテナ114が外側主面よりに設けられたという点において異なる。
【0068】
図11(a)は、本実施の形態の二つ折り式携帯電話の他の構成の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図であって、距離や寸法を表す各記号の対応は図14(a)に示す従来例と同様なので、詳細な説明は省略する。また、第1筐体110と第2筐体とのなす開き角は実質上168°であって、図中に示される、第1筐体110の、第2筐体120に対する俯角aは実質上12°となる。
【0069】
次に、図11(b)に、二つ折り式携帯電話の筐体の厚みと、アース地板115およびヘリカルアンテナ114の先端と頭部300との距離と、利得損失との関係を、図1の構成と、図14(b)の従来例2との比較表として示す。
【0070】
表に示すとおり、本実施の形態と従来例2は実質的に同一寸法の筐体を有するので、距離C、距離Dは同一となるが、第1筐体110と第2筐体とのなす開き角は、実施の形態1と同様168°であり、かつ図11(a)に示すように、ヘリカルアンテナ114の先端と頭部300との距離Aが、盛り上がり部1010の形成により従来例2および実施の形態1よりも大きくなる。なお、表においては、距離Aを、実施の形態1より実質上0.4mm大きくなるようにとった例を示した。
【0071】
したがって、実施の形態1に比してヘリカルアンテナ114から頭部300の表面までの距離Aに起因する利得損失αをさらに低減することができ、全体として利得損失を低減することができる。
【0072】
なお、従来例においても、例えばアンテナを含む筐体において、アンテナをその筐体の表面から大きく盛り上がるように配置することにより、アンテナと利用者の人体との間の距離を少しでも大きくとることは知られていた。
【0073】
しかしながら、筐体の薄型化に伴う利得損失を軽減するために、筐体の表面からアンテナが大きく盛り上がるような配置を行った場合は、例えば筐体を地面や机上に載置した場合、筐体はその一部とアンテナとによって、不安定な状態で載置されてしまったり、利用者が手で握ったときに不快感を与える恐れがある。
【0074】
そこで、これに対し、盛り上がり部1010の外側主面からの高さは、できる限り小さく取ったほうが、収納時の出し入れの邪魔になったり、利用者に不快感を与えることがない。
【0075】
以上のように、本実施の形態によれば、従来より筐体同士の開き角を大きくとるようにしたことにより、アンテナを人体に近づける一方でアース地板を頭部から遠ざけて、携帯電話の薄型化に伴うアンテナ利得損失の軽減化の最適条件を得ることができる。
【0076】
なお、アンテナ114の設置場所は、図1に示す場所に限定されず、第2筐体上であって、第1筐体110と第2筐体120との開き角を大きくしたときに、人体から遠ざかる場所であれば任意の位置でよい。
【0077】
(実施の形態2)
図7(a)〜(c)は、本発明の実施の形態2による二つ折り式携帯電話の構成図である。図に示すように、二つ折り式携帯電話700の構成において、図1と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。また、第2筐体120の内側主面において、音声出力面122を含む一部の面は、表示画面121が設けられた面に対し所定の傾斜φで傾斜した傾斜面701を形成している。
【0078】
このような構成を有する本実施の形態の二つ折り式携帯電話は、第1筐体110と第2筐体120との開き角は、従来例と同一であるが、傾斜面701が設けられたという点において異なる。以下、その効果について説明を行う。
【0079】
図8は、二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図であって、距離や寸法を表す各記号の対応は図14(a)に示す従来例と同様なので、詳細な説明は省略する。また、第1筐体110と第2筐体120とのなす開き角は、従来例と同様実質上165°であって、図中に示される、第1筐体110の、第2筐体120に対する俯角aは実質上15°となる。
【0080】
さらに、本実施の形態においては、二つ折り式携帯電話700は、頭部300の耳の位置と第2筐体120の傾斜面701とが、実質平行に対向した状態で保持されることになる。従来例においては、第2筐体120は表示画面121および音声出力面122は一様な内側主面に設けられているため、頭部300の耳の位置と第2筐体120の内側主面全体とが実質平行に対向した状態で保持されていたが(図14(a)を参照)、これらの保持状態は、音声出力面122を含む仮想面と頭部300の耳の位置との位置関係が実質平行に保たれているという点で共通している。
【0081】
これは以下の理由による。すなわち、利用者は、耳に二つ折り式携帯電話の音声出力面122を当てるとき、音声出力面122から出力される音声信号の指向性がもっとも強くなる方向に、耳を合わせようとする。この動作は、音声出力面122から出力される音声信号を聞き取りやすくするため、無意識に行われる。耳を含む仮想面と音声信号の指向性の方向とは直交し、音声出力面122を含む仮想面と音声信号の指向性の方向ともまた直交するため、耳の位置と音声出力面122を含む仮想面との位置関係は実質平行に保たれることになる。
【0082】
したがって、第2筐体120において音声出力面122を含む仮想面をどのように設けるかによって、二つ折り式携帯電話と頭部との位置関係を調整することができる。図7(c)および図8に示すように、表示画面121を含む面と音声出力面122が配された傾斜面701とは角度φにて傾斜しているため、図8において、二つ折り式携帯電話全体は、傾斜面701が設けられた第2筐体120の端部を中心に、従来例に比して、図中X方向に角度φだけ大きく開くことになる。これにより、第1筐体110に設けられたヘリカルアンテナ114およびアース地板115は、利用者の頭部300から遠ざけることができる。なお、角度φの方向は、音声信号の指向性のもっとも強くなる方向と表示画面121とがなす角ψが鈍角になるようにする。
【0083】
図に示すとおり、実施の形態2と従来例2は実質的に同一寸法の筐体を有するので、距離C、距離Dは同一となるが、図8の図中矢印Xに示すように、第2筐体の端部からの開き角が、本実施の形態のほうが角度φだけ大きいため、距離A、距離Bは従来例2よりも大きくなる。なお、表において、角度φ=実質上2.6°とした。
【0084】
したがって、アース地板115から頭部300の表面までの距離Bに起因する利得損失β、およびヘリカルアンテナ114の先端から頭部300の表面までの距離Aに起因する利得損失αを低減することができ、全体として利得損失を低減することができる。
【0085】
なお、上記の説明においては、第2筐体120の内側主面の、音声出力面122を含む一部の面のみを傾斜面として、音声出力面122から出力される音声信号の指向性がもっとも強くなる方向と直交する仮想面と一致させるようにしたが、この仮想面は、図9(a)〜(c)に示すように、第2筐体120の内側主面全面と一致させるようにしてもよい。
【0086】
なお、上記の実施の形態においては、二つ折り携帯電話を例に説明したが、傾斜面701の構成は、図16に示す携帯電話1600のように、二つ折り式でないストレート型携帯電話との組み合わせで実施しても良い。なお、図16において、図1と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0087】
また、本実施の形態の傾斜面701の構成は、実施の形態1の構成と組み合わせて実施してもよい。
【0088】
さらに、実施の形態1、2の構成をすべて組み合わせた構成としてもよい。
【0089】
また、各実施の形態において本発明のアンテナは伸縮自在のヘリカルアンテナとしたが、他の形式のアンテナとしてもよい。一例として、図17に示す、第1筐体110の上部に設けられたループアンテナ170を挙げる。
【0090】
また、実施の形態1において、第1筐体110にアンテナ114およびアース地板115とを備えた構成を示したが、本発明は、図18に示すように、アース地板115を第1筐体に、アンテナ114を第2筐体120側にそれぞれ備えた構成としてもよい。
【0091】
この構成の場合でも、第1筐体110と第2筐体120との開き角を従来例の165度より大きくすると、アンテナ114は人体に近づくため利得は低下するが、アース地板115は人体から遠ざかる分利得が増加するため、全体として利得は向上する。
【0092】
さらに、図19に示すように、アンテナ114を第1筐体110側に、アース地板115を第2筐体120側にそれぞれ備えた構成としてもよい。ただし、アンテナ114はヒンジブラケット113a側ではなく、音声入力面112に近い方に設けられている点が実施の形態1と異なる。
【0093】
この構成の場合では、第1筐体110と第2筐体120との開き角を従来例の165度より大きくすると、アンテナ114は人体から遠ざかるため利得は向上し、アース地板115は人体に近づいているために、これもまた利得は増加するため、全体の利得が向上する。このとき、アンテナ114の設置場所は、第2筐体上であって、第1筐体110と第2筐体120との開き角を大きくしたときに、人体から遠ざかる場所であれば任意の位置でよい。
【0094】
なお、図15に示したアンテナとアース地板との最適条件は、アンテナ114およびアース地板115の両方が第1筐体に設けられている場合のものであって、図18および図19に示す各構成の条件を拘束するものではない。
【0095】
また、実施の形態1において、弾性保持手段の構成は図4に示すようなものとしたが、弾性力に基づく付勢力によって開き角を所定の角度に向かわせることができるものであれば、他の構成であってもよい。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本実施の形態によれば、携帯電話の小型化、薄型化に伴う利得損失を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(c)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図2】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(c)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図3】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話と従来例との利得損失の比較表を示す図である。
【図4】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の構成を模式的に示す図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の構成を模式的に示す図である。
(c)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の構成を模式的に示す図である。
(d)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の動作を説明するための図である。
【図6】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の筐体の開き角を示す図である。
(b)従来例における二つ折り式携帯電話の筐体の開き角を示す図である。
【図7】(a)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(c)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図8】本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
【図9】(a)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
(b)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
(c)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
【図10】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
(c)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
【図11】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の他の構成例の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話と従来例との利得損失の比較表を示す図である。
【図12】(a)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
(c)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図13】(a)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図14】(a)従来の技術による二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
(b)従来の技術による二つ折り式携帯電話における利得損失の比較表を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における第1筐体と第2筐体との開き角と、アンテナ利得との関係を表すグラフを示す図である。
【図16】本発明の実施の形態2の他の構成の携帯電話の構成図である。
【図17】本発明の実施の形態におけるループアンテナの構成を示す図である。
【図18】本発明の他の構成を示す図である。
【図19】本発明の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
100 二つ折り式携帯電話
110 第1筐体
111 入力部
112 音声入力面
113a、113b ヒンジブラケット
114 ヘリカルアンテナ
115 アース地板
116 ストッパ
120 第2筐体
121 表示画面
122 音声出力面
【発明の属する技術分野】
本発明は、二つ折り式携帯電話等の携帯電話に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話の普及は著しく、電話としての通話機能のみならず、ウェブサイトへのアクセスや電子メールの利用といった、インターネットに対応した情報通信機能を備えた情報端末として、広く用いられている。
【0003】
このような、情報端末として利用可能な携帯電話は、情報を画像として表示する表示画面を必要とする。大きな表示画面を確保し、かつ携帯性を維持するために、現在の携帯電話は、表示画面と入力を行うキーとを、折り畳み可能に結合した二つの筐体に別々に設けるようにした、二つ折り式が主流となっている。
【0004】
図12(a)〜(c)および13(a)(b)に従来の二つ折り式携帯電話を示す(例えば、特許文献1を参照)。図に示すように、携帯電話1300は、その内側主面にテンキー他の入力部1311が設けられた第1筐体1310と、その内側主面に表示画面1321が設けられた第2筐体1320とを備えている。
【0005】
第1筐体1310の内側主面には、入力部1311の他に、音声を入力するためのマイクが配置された音声入力面1312が設けられており、さらに内側主面上には、入力部1311をはさんで音声入力面1312と相対する位置に、第2筐体と回転可能に接続するためのヒンジブラケット1313aおよび1313bが設けられている。また、第1筐体1310の外側主面寄りには、伸縮可能なヘリカルアンテナ1314が設けられており、さらに第1筐体1310には、携帯電話の内部回路の各部を接地するためのアース地板1315が内蔵されている。アース地板1315の内蔵位置は、第1筐体1310の厚みの実質半分となる位置である。
【0006】
また、第2筐体1320の内側主面には、表示画面1321の他に、音声を出力するためのスピーカが配置された音声出力面1322が設けられており、さらに第2筐体の端部であって、表示画面1321をはさんで音声出力面1322と相対する端部の位置には、第2筐体1320を第1筐体1310と回転可能に接続するためのヒンジアーム1323が設けられている。
【0007】
各図に示すように、第1筐体1310および第2筐体1320は、ヒンジブラケット1313aおよび1313bの間にヒンジアーム1323が嵌合することにより結合され、図中矢印の方向に回転可動する。このとき、ヒンジアームが設けられた第1筐体1310の回転は、所定角まで回転すると、回転第1筐体1310の端部に設けたストッパ1316によって停止される。
【0008】
以上のような二つ折り式携帯電話1300は、図13(a)(b)に示すように、使用しないときは、両筐体の内側主面が向かい合うように折り畳むことができ、携帯性を高めるとともに、大きな表示画面を確保することが可能となっている。
【0009】
なお、図示していないが、ヒンジブラケット1313a、1313bおよびヒンジアーム1323内にはバネ等を利用した付勢力により、第1筐体1310と第2筐体1320との開き角を、特定の角にて保持する保持手段が設けられており、特定の角は、図13(a)に示す折り畳み状態、図12(a)に示す使用状態等があげられる。
【0010】
このような二つ折り式携帯電話は、さらなる携帯性の向上を目指して、薄型化、小型化が進んでいる。
【0011】
【特許文献1】
特許第2821333号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような二つ折り式携帯電話においては、以下のような課題があった。
【0013】
携帯電話の使用時、利用者は音声出力面を耳側に、音声入力面を口側にくるよう、携帯電話を頭部に近づけて通話を行う。ここで図14(a)は、二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
【0014】
図14(a)に示すように、二つ折り式携帯電話1300を頭部1400に近づけると、第1筐体1310および第2筐体1320に設けられた各部もまた、頭部1400に接近する。各部の内、アース地板1315およびヘリカルアンテナ1314の先端と頭部1400との位置は、二つ折り式携帯電話の利得に大きな影響を与える。
【0015】
図14(a)において、距離Aはヘリカルアンテナ1314の先端から頭部1400の表面までの距離を、距離Bは第1筐体内のアース地板1315から頭部1400の表面までの距離を、距離Cは第2筐体の平均的厚みを、距離Dは第1筐体の平均的厚みを、それぞれ示す。なお、第1筐体1310と第2筐体とのなす開き角は、従来例1、従来例2ともに165°となっており、したがって、図中に示される、第1筐体1310の第2筐体1320に対する俯角aは15°となる。また、音声出力面1322から伸びる矢印は、音声出力面1322から出力される音声信号の指向性の、もっとも強い方向を示す。
【0016】
次に、図14(b)に、二つ折り式携帯電話の筐体の厚みと、アース地板1315およびヘリカルアンテナ1314をもっとも短くしたときの位相中心Cpと頭部1400との距離と、利得損失との関係を表として示す。
【0017】
従来例2は従来例1に対して第1筐体1310、第2筐体1320のいずれとも、厚みがより小さくなっており、ヘリカルアンテナ1314の先端から頭部1400の表面までの距離Aも、アース地板1315から頭部1400の表面までの距離Bも、従来例2のほうが従来例1より短くなっている。すなわち、従来例より薄い筐体を有する従来例2のほうが、筐体に内蔵されたアース地板およびアンテナの先端が、頭部とより接近している。
【0018】
このとき、携帯電話においてはアンテナが、人体に近づくと送受信時の利得損失が大きくなってしまうという問題があった。
【0019】
図14(b)に示す例では、従来例2は、従来例1を基準とした場合、ヘリカルアンテナ1314に起因する利得損失αと、アース地板1315に起因する利得損失βとを併せて、合計約−2.0dBの利得損失を生じていることとなる。すなわち、筐体の薄型化が、受信利得の低下を引き起こすことになっていた。
【0020】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、筐体を小型化、薄型化しても受信時の利得の減衰を軽減することが可能な二つ折り式携帯電話を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、アンテナと、内蔵されたアース地板と、その内側主面に設けられたヒンジブラケットとを有する第1筐体と、少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面とを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板を含む面の内面とのなす開き角が実質上165°よりも大きい状態で保持され、
前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面および情報を表示する表示画面を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話である。
【0022】
また、第2の本発明は、前記固定機構は、前記第1筐体および/または前記第2筐体に設けられたストッパと、弾性力により前記開き角が一定となるよう保持する弾性保持手段とを備え、
前記弾性保持手段は、前記開き角が、所定の第1の角度に向かう付勢力を与え、
前記ストッパは、前記開き角が、前記第1の角度より小さい第2の角度となるように設けられており、
前記第2の角度は、前記弾性保持手段の付勢力による保持に伴う遊びが許容できなくなる第1の限界角度以下の角度である第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0023】
また、第3の本発明は、前記固定機構は、弾性力により前記開き角が一定となるよう保持する弾性保持手段を備え、
前記開き角は、前記弾性保持手段による保持が可能な第2の限界角度以下である第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0024】
また、第4の本発明は、前記一時固定により保たれる前記開き角は、実質上166°以上、172°以下である第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0025】
また、第5の本発明は、前記第1筐体の前記内側主面と前記第2筐体の前記内側主面とのなす角が実質上180°となるよう開いたとき、前記第1筐体の前記内側主面と、前記第2筐体の前記内側主面とは段差を有しており、
前記第1筐体の前記内側主面は、前記第2筐体の前記内側主面より筐体の内側方向へ後退している第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0026】
また、第6の本発明は、前記第1筐体の前記内側主面と、その内側主面と対向する外側主面との間の平均距離は実質上7mmであって、前記第2筐体の前記内側主面と、その内側主面と対向する外側主面との間の平均距離は実質上9.8mmである第1の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0027】
また、第7の本発明は、アンテナと、内蔵されたアース地板と、その内側主面に設けられたヒンジブラケットとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面とを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面は、前記表示画面を含む面に対して傾斜しており、
前記傾斜の方向は、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と、前記表示画面とが鈍角をなすような方向である二つ折り式携帯電話である。
【0028】
また、第8の本発明は、アンテナと、内蔵されたアース地板と、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、スピーカの音声出力面とを有する筐体とを備え、
前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面は、前記表示画面を含む面に対して傾斜しており、
前記傾斜の方向は、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と、前記表示画面とが鈍角をなすような方向である携帯電話である。
【0029】
また、第9の本発明は、前記仮想面は、前記第1筐体の前記内側主面における前記音声出力面として設けられている第7の本発明の二つ折り式携帯電話である。
【0030】
また、第10の本発明は、内蔵されたアース地板と、その内側主面に設けられたヒンジブラケットとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面と、アンテナとを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板を含む面の内面とのなす開き角が実質上165°よりも大きい状態で保持され、
前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面および情報を表示する表示画面を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話である。
【0031】
また、第11の本発明は、その内側主面に設けられたヒンジブラケットと、アンテナとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面と、内蔵されたアース地板とを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板を含む面の内面とのなす開き角が実質上165°よりも大きい状態で保持され、
前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面および情報を表示する表示画面を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話である。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0033】
(実施の形態1)
図1(a)〜(c)および2(a)(b)は、本発明の実施の形態1による二つ折り式携帯電話の構成図である。図に示すように、二つ折り式携帯電話100の構成は、基本的には図12,13に示す従来例と同様であって、その内側主面にテンキー他の入力部111が設けられた第1筐体110と、その内側主面に表示画面121が設けられた第2筐体120とを備えている。
【0034】
第1筐体110の内側主面は、入力部111の他に、音声を入力するためのマイクが配置された音声入力面112が設けられており、さらに内側主面上には、入力部111をはさんで音声入力面112と相対する位置に、第2筐体と回転可能に接続するためのヒンジブラケット113aおよび113bが設けられている。また、第1筐体の外側主面寄りには、伸縮可能なヘリカルアンテナ114が設けられており、さらに第1筐体には、携帯電話の内部回路の各部を接地するためのアース地板115が内蔵されている。アース地板115の内蔵位置は、第1筐体の厚みの実質半分となる位置である。
【0035】
また、第2筐体120の内側主面は、表示画面121の他に、音声を出力するためのスピーカが配置された音声出力面122が設けられており、さらに第2筐体の端部であって、表示画面121をはさんで音声出力面122と相対する端部の位置には、第1筐体と回転可能に接続するためのヒンジアーム123が設けられている。
【0036】
各図に示すように、第1筐体110および第2筐体120は、ヒンジブラケット113aおよび113bの間にヒンジアーム123が嵌合することにより結合され、図中矢印の方向に回転可動する。なお、ヒンジブラケット113aおよび113bは、ヒンジアーム123の両端に設けるようにしたが、ヒンジアーム123を二分またはそれ以上に分割して、それら分割されたヒンジアームの間に設けるようにしてもよい。ただし、開き角を保持するためのヒンジの強度という点からは、図示するような構造としたほうが望ましい。
【0037】
このとき、ヒンジアームが設けられた第1筐体110の回転は、所定角まで回転すると、第1筐体110の端部に設けたストッパ116によって停止される。また、図2(c)に示すように、ストッパ116を省略したものと仮定して、第1筐体110と第2筐体とのなす開き角を180°とした場合、第1筐体110の内側主面と第2筐体120の内側主面とは、段差dを持つようにし、この段差dだけ、第1筐体の内側主面のほうが、第2筐体120の内側主面より筐体の内側方向へ後退しているような構成を有する。
【0038】
二つ折り式携帯電話100は、図2(a)(b)に示すように、使用しないときは、両筐体の内側主面が向かい合うように折り畳むことができ、携帯性を高めるとともに、第2筐体の内側主面の大半を利用した大きな表示画面を確保することが可能となっている。
【0039】
以上のような構成を有する本実施の形態の二つ折り式携帯電話は、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、従来例よりも大きくとるようにしたという特徴を有する。以下、その効果について説明を行う。
【0040】
図3(a)は、二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図であって、距離や寸法を表す各記号の対応は図14(a)に示す従来例と同様なので、詳細な説明は省略する。ただし、図3(a)に示す、第1筐体110と第2筐体とのなす開き角は、本実施の形態は実質上168°となっており、したがって、図中に示される、第1筐体110の、第2筐体120に対する俯角aは実質上12°となる。
【0041】
次に、図3(b)に、二つ折り式携帯電話の筐体の厚みと、アース地板115および、もっとも長さを短くした場合のヘリカルアンテナ114の先端と頭部300とのそれぞれの距離と、利得損失との関係を、本実施の形態と、図14(b)の従来例2との比較表として示す。
【0042】
表に示すとおり、実施の形態1と従来例2は同一寸法の筐体を有するので、距離C、距離Dは同一となるが、第1筐体110と第2筐体120との開き角は、本実施の形態のほうが実質上3°大きいため、距離Aは従来例2よりも小さくなるが、距離Bは従来例2よりも大きくなる。
【0043】
したがって、表に示すように、ヘリカルアンテナ114の先端から頭部300の表面までの距離Aに起因する利得損失αはわずかに増大することになるが、アース地板115から頭部300の表面までの距離Bに起因する利得損失βの低減が大きくなり、利得損失βの増大分を十分に補償するため、全体として利得損失を低減することができる。
【0044】
一方、第1筐体110と第2筐体との開き角をさらに大きくすると、距離Aがさらに小さくなり、距離Aに起因する利得損失αはさらに増大するのに対し、距離Bの増大に伴う利得損失αの低減量は飽和に近づくため、全体として利得損失は逆に増大してしまう。したがって、距離Aと距離Bとの関係が、最適となるような開き角にすることが望ましい。
【0045】
ここで、図15に、第1筐体110と第2筐体120との開き角と、ヘリカルアンテナ114およびアース地板115のそれぞれとの受信利得への影響との関係をグラフを用いて詳細に示す。図15の折れ線Aに示すように、第1筐体110と第2筐体120との開き角が大きくなると、アンテナ単体は頭部300に接近する方向にのみ移動するため、アンテナの利得は減少する。その減少の傾きは、実質上168°より小さい開きでは1°あたり−0.3dB、実質上168°〜170°では1°あたり−0.5dB、実質上170°〜172°では1°あたり−0.7dB、実質上172°より大きな開き角では1°あたり−1.0dBと、開き角が大きくなるにつれ、その減少の傾きも大きくなる。
【0046】
一方、折れ線Bに示すように、アース地板115は、開き角が従来例と同様165°前後にある場合、そこからは角度が大きくなるにつれて、アンテナの利得は大きくなり、開き角が実質上168°になるまで単調増加の傾き(1°あたり+1.0dB)を与える。さらに168°〜170°までは増加傾向を維持するがその傾きは緩やかになり(1°あたり+0.5dB)、実質上170°〜172°ではさらに緩やかな傾き(1°あたり+0.2dB)でアンテナ利得を増加させ、実質上172°以上の開き角になるとで飽和状態(傾きは0)になる。
【0047】
以上のことを綜合すると、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、従来から知られる実質上165°より大きくしていくと、アンテナが頭部300に接近することに起因する利得の減衰が、アース地板115が頭部300から離れることに起因する利得の増加により補われるため、実質上開き角168°までは全体の利得を単調増加させることがわかる。さらに少なくとも実質上170°まではピークを保つことができる。
【0048】
したがって、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、従来例より大きくとり、理想的には168°〜170°、実質的には少なくとも166°〜172°の範囲を最適角とすることにより、アンテナ利得を十分に挙げられることがでいる。
【0049】
次に、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、従来例より大きく保つための仕組みについて説明を行う。
【0050】
本実施の形態においても、従来例と同様、ヒンジブラケット113aおよび113bおよびヒンジアーム123内にはバネ等を利用した付勢力により、第1筐体110と第2筐体120との開き角を、折り畳み状態、使用状態などの特定の角にて保持する弾性保持手段が設けられている。
【0051】
ここで図4(a)に、弾性保持手段の構成の一例を模式的に示す。弾性保持手段は、ヒンジブラケット113aまたは113b内に固定されたバネ部と、ヒンジアーム123内に固定された支柱部とから構成される。バネ部は所定長を有する中空のつるまきバネ401、およびつるまきバネ401の両端に接続された、中空の摺動部材402aおよび402bを有し、その中空部分に支柱部の支柱本体411を内蔵している。なお、図においては、説明をわかりやすくするため、模式的に支柱本体411を一部切断して示した。
【0052】
支柱部は、バネ部がはまりこんだ支柱本体411と、支柱本体411の両端に設けられた端部部材412aおよび412bとを有する。つるまきバネ401はその長さが大きくなる方向に弾性力が働くため、摺動部材402aおよび402bは互いに離れる方向(図4(a)中の各矢印)に付勢力が与えられ、端部部材412aは摺動部材402aと、端部部材412bは摺動部材402bとそれぞれ当接する。したがって、二つ折り式携帯電話100の第1筐体110と第2筐体120との開閉動作を行うと、第1筐体110に固定されたバネ部は、支柱本体411の軸周りを回転する。
【0053】
また、摺動部材402aおよび端部部材412aは、対向する面に、互いに対応する所定の凹凸形状がそれぞれ形成されている。図4(a)に摺動部材402aの形状を、図4(b)に端部部材412aの形状をそれぞれ示す。摺動部材402aはその主面に凸部403を、端部部材412aはその主面に、凸部403に対応した凹部413をそれぞれ有する。
【0054】
図4(c)に示すように、第1筐体110と第2筐体との開閉動作が行われている間、摺動部材402aは、凸部403が端部部材412aの主面と接しながら、主軸本体411周りを回転することになる。端部部材412aがある程度まで回転すると、凸部403と凹部413とが対向することになり、図4(d)に示すように、つるまきバネ401の付勢力によって、凹部413に凸部403が嵌りこみ、バネ部と支柱部とは互いに固定される。この固定位置近傍が、第1筐体110と第2筐体120との開き角(本発明の所定の第1の角度に相当する)となる。ただし、凸部403および凹部413の精度は厳密ではなく、いわゆる遊びを持たせるようにしており、凸部403と凹部423が嵌った状態でも、開き角には裕度が生じる。
【0055】
これは、弾性保持手段のみの保持力では、第1筐体110と第2筐体120との開き角を一時固定することはできないことを意味する。そこで、第1筐体110のストッパ116を用いて、弾性保持手段の付勢力とストッパ116からの抗力とで、開き角を一時固定するようにする。
【0056】
ここで図5は、二つ折り式携帯電話100の第1筐体110と第2筐体120との開き角を一時固定するための条件を説明するための図である。
【0057】
図に示すように、第1筐体110と第2筐体120とを広げると、バネ部の摺動部材402aの凸部403は、凹部413に嵌り込む方向に、端部部材412aの主面上を移動し、つるまきバネ401からの付勢力により、凹部413のより奥へ嵌り込む方向に力が与えられる。したがって、凹部413上の斜面であるエリアaに凸部403があるときは、凸部403には、第1筐体110と第2筐体120との開き角θが大きくなる方向に力が与えられる。また、凹部413の底部であるエリアbに凸部403があるときは、凹部413に固定される方向に力が与えられる。さらに凹部413上の斜面であるエリアcに凸部403があるときは、第1筐体110と第2筐体120との開き角θが小さくなる方向に力が与えられる。
【0058】
このとき、図6(a)に示すように、凸部403がエリアaにあるときの第1筐体110と第2筐体120との開き角を第1の限界角度、すなわち、弾性保持手段の付勢力による保持に伴う遊びが許容できなくなる角度として、これに対応するようにストッパ116を設けることによって、第1筐体は、バネ部の付勢力と、ストッパ116からうける、付勢力の反作用としての抗力によって安定して固定されることになる。
【0059】
再び図5に示すように、付勢力が第1筐体110と第2筐体120との開き角θが大きくなる方向に作用するエリアaは、所定の幅を有するが、従来例は、人間工学的な理由から、図中(ア)に示すようにθ=実質上165°となるようにストッパ116を設けていた。
【0060】
これに対し、本実施の形態は、第1筐体110に内蔵されるアース地板115を利用者の頭部から遠ざけて、図15に示すアンテナとアース地板との最適条件を得るために、第1の限界角度に定めたθがより大きくなるような位置にストッパ116を設けるようにし、一例として図中(イ)に示すようにθ=168°に定め、図3に示すような結果を得ている。
【0061】
なお、開き角θは、機械的には凸部403の位置が図5のエリアa内にある限り大きくすることができるが、弾性保持手段による保持が可能な第2の限界角度を越えることはできない。そこで、上記第2の限界角度としては、最適なアンテナ利得を与える限界の開き角となる実質上170°、もしくは裕度を考慮して実質上172°程度の角をθに設定することが最も望ましい。
【0062】
また、ヘリカルアンテナ114の位相中心Cpがヒンジの回転中心より上に来るほどθを大きくとりすぎると、位相中心Cpが表示画面121に接近するようになり、アンテナからの輻射が画面表示に悪影響を与えるおそれがある。
【0063】
また、特にθが実質上180°を越えると、二つ折り式携帯電話は全体として反り返る格好となり、扱いにくい等の不具合があるため、そのような角にすることは望ましくない。
【0064】
なお、上記の説明において、開き角θは、本発明のスピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、アース地板を含む面の内面とのなす開き角に相当する。
【0065】
また、本実施の形態は図10(a)〜(c)に示す構成としてもよい。
【0066】
図10(a)〜(c)は、本発明の実施の形態1による二つ折り式携帯電話の他の例の構成図である。図に示すように、二つ折り式携帯電話1000の構成において、図1と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。また、第1筐体110の内側主面の、アース地板115に対して反対側に位置する外側主面上に、ヘリカルアンテナ114の一部が、ある程度盛り上がってなる盛り上がり部1010を有している。この盛り上がり部1010は、ヘリカルアンテナ114を従来例より外側主面よりに設けたことにより形成されたものである。
【0067】
このような構成を有する二つ折り式携帯電話は、第1筐体110と第2筐体120との開き角は、図1に示す構成と同一であるが、盛り上がり部1010の分だけヘリカルアンテナ114が外側主面よりに設けられたという点において異なる。
【0068】
図11(a)は、本実施の形態の二つ折り式携帯電話の他の構成の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図であって、距離や寸法を表す各記号の対応は図14(a)に示す従来例と同様なので、詳細な説明は省略する。また、第1筐体110と第2筐体とのなす開き角は実質上168°であって、図中に示される、第1筐体110の、第2筐体120に対する俯角aは実質上12°となる。
【0069】
次に、図11(b)に、二つ折り式携帯電話の筐体の厚みと、アース地板115およびヘリカルアンテナ114の先端と頭部300との距離と、利得損失との関係を、図1の構成と、図14(b)の従来例2との比較表として示す。
【0070】
表に示すとおり、本実施の形態と従来例2は実質的に同一寸法の筐体を有するので、距離C、距離Dは同一となるが、第1筐体110と第2筐体とのなす開き角は、実施の形態1と同様168°であり、かつ図11(a)に示すように、ヘリカルアンテナ114の先端と頭部300との距離Aが、盛り上がり部1010の形成により従来例2および実施の形態1よりも大きくなる。なお、表においては、距離Aを、実施の形態1より実質上0.4mm大きくなるようにとった例を示した。
【0071】
したがって、実施の形態1に比してヘリカルアンテナ114から頭部300の表面までの距離Aに起因する利得損失αをさらに低減することができ、全体として利得損失を低減することができる。
【0072】
なお、従来例においても、例えばアンテナを含む筐体において、アンテナをその筐体の表面から大きく盛り上がるように配置することにより、アンテナと利用者の人体との間の距離を少しでも大きくとることは知られていた。
【0073】
しかしながら、筐体の薄型化に伴う利得損失を軽減するために、筐体の表面からアンテナが大きく盛り上がるような配置を行った場合は、例えば筐体を地面や机上に載置した場合、筐体はその一部とアンテナとによって、不安定な状態で載置されてしまったり、利用者が手で握ったときに不快感を与える恐れがある。
【0074】
そこで、これに対し、盛り上がり部1010の外側主面からの高さは、できる限り小さく取ったほうが、収納時の出し入れの邪魔になったり、利用者に不快感を与えることがない。
【0075】
以上のように、本実施の形態によれば、従来より筐体同士の開き角を大きくとるようにしたことにより、アンテナを人体に近づける一方でアース地板を頭部から遠ざけて、携帯電話の薄型化に伴うアンテナ利得損失の軽減化の最適条件を得ることができる。
【0076】
なお、アンテナ114の設置場所は、図1に示す場所に限定されず、第2筐体上であって、第1筐体110と第2筐体120との開き角を大きくしたときに、人体から遠ざかる場所であれば任意の位置でよい。
【0077】
(実施の形態2)
図7(a)〜(c)は、本発明の実施の形態2による二つ折り式携帯電話の構成図である。図に示すように、二つ折り式携帯電話700の構成において、図1と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。また、第2筐体120の内側主面において、音声出力面122を含む一部の面は、表示画面121が設けられた面に対し所定の傾斜φで傾斜した傾斜面701を形成している。
【0078】
このような構成を有する本実施の形態の二つ折り式携帯電話は、第1筐体110と第2筐体120との開き角は、従来例と同一であるが、傾斜面701が設けられたという点において異なる。以下、その効果について説明を行う。
【0079】
図8は、二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図であって、距離や寸法を表す各記号の対応は図14(a)に示す従来例と同様なので、詳細な説明は省略する。また、第1筐体110と第2筐体120とのなす開き角は、従来例と同様実質上165°であって、図中に示される、第1筐体110の、第2筐体120に対する俯角aは実質上15°となる。
【0080】
さらに、本実施の形態においては、二つ折り式携帯電話700は、頭部300の耳の位置と第2筐体120の傾斜面701とが、実質平行に対向した状態で保持されることになる。従来例においては、第2筐体120は表示画面121および音声出力面122は一様な内側主面に設けられているため、頭部300の耳の位置と第2筐体120の内側主面全体とが実質平行に対向した状態で保持されていたが(図14(a)を参照)、これらの保持状態は、音声出力面122を含む仮想面と頭部300の耳の位置との位置関係が実質平行に保たれているという点で共通している。
【0081】
これは以下の理由による。すなわち、利用者は、耳に二つ折り式携帯電話の音声出力面122を当てるとき、音声出力面122から出力される音声信号の指向性がもっとも強くなる方向に、耳を合わせようとする。この動作は、音声出力面122から出力される音声信号を聞き取りやすくするため、無意識に行われる。耳を含む仮想面と音声信号の指向性の方向とは直交し、音声出力面122を含む仮想面と音声信号の指向性の方向ともまた直交するため、耳の位置と音声出力面122を含む仮想面との位置関係は実質平行に保たれることになる。
【0082】
したがって、第2筐体120において音声出力面122を含む仮想面をどのように設けるかによって、二つ折り式携帯電話と頭部との位置関係を調整することができる。図7(c)および図8に示すように、表示画面121を含む面と音声出力面122が配された傾斜面701とは角度φにて傾斜しているため、図8において、二つ折り式携帯電話全体は、傾斜面701が設けられた第2筐体120の端部を中心に、従来例に比して、図中X方向に角度φだけ大きく開くことになる。これにより、第1筐体110に設けられたヘリカルアンテナ114およびアース地板115は、利用者の頭部300から遠ざけることができる。なお、角度φの方向は、音声信号の指向性のもっとも強くなる方向と表示画面121とがなす角ψが鈍角になるようにする。
【0083】
図に示すとおり、実施の形態2と従来例2は実質的に同一寸法の筐体を有するので、距離C、距離Dは同一となるが、図8の図中矢印Xに示すように、第2筐体の端部からの開き角が、本実施の形態のほうが角度φだけ大きいため、距離A、距離Bは従来例2よりも大きくなる。なお、表において、角度φ=実質上2.6°とした。
【0084】
したがって、アース地板115から頭部300の表面までの距離Bに起因する利得損失β、およびヘリカルアンテナ114の先端から頭部300の表面までの距離Aに起因する利得損失αを低減することができ、全体として利得損失を低減することができる。
【0085】
なお、上記の説明においては、第2筐体120の内側主面の、音声出力面122を含む一部の面のみを傾斜面として、音声出力面122から出力される音声信号の指向性がもっとも強くなる方向と直交する仮想面と一致させるようにしたが、この仮想面は、図9(a)〜(c)に示すように、第2筐体120の内側主面全面と一致させるようにしてもよい。
【0086】
なお、上記の実施の形態においては、二つ折り携帯電話を例に説明したが、傾斜面701の構成は、図16に示す携帯電話1600のように、二つ折り式でないストレート型携帯電話との組み合わせで実施しても良い。なお、図16において、図1と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0087】
また、本実施の形態の傾斜面701の構成は、実施の形態1の構成と組み合わせて実施してもよい。
【0088】
さらに、実施の形態1、2の構成をすべて組み合わせた構成としてもよい。
【0089】
また、各実施の形態において本発明のアンテナは伸縮自在のヘリカルアンテナとしたが、他の形式のアンテナとしてもよい。一例として、図17に示す、第1筐体110の上部に設けられたループアンテナ170を挙げる。
【0090】
また、実施の形態1において、第1筐体110にアンテナ114およびアース地板115とを備えた構成を示したが、本発明は、図18に示すように、アース地板115を第1筐体に、アンテナ114を第2筐体120側にそれぞれ備えた構成としてもよい。
【0091】
この構成の場合でも、第1筐体110と第2筐体120との開き角を従来例の165度より大きくすると、アンテナ114は人体に近づくため利得は低下するが、アース地板115は人体から遠ざかる分利得が増加するため、全体として利得は向上する。
【0092】
さらに、図19に示すように、アンテナ114を第1筐体110側に、アース地板115を第2筐体120側にそれぞれ備えた構成としてもよい。ただし、アンテナ114はヒンジブラケット113a側ではなく、音声入力面112に近い方に設けられている点が実施の形態1と異なる。
【0093】
この構成の場合では、第1筐体110と第2筐体120との開き角を従来例の165度より大きくすると、アンテナ114は人体から遠ざかるため利得は向上し、アース地板115は人体に近づいているために、これもまた利得は増加するため、全体の利得が向上する。このとき、アンテナ114の設置場所は、第2筐体上であって、第1筐体110と第2筐体120との開き角を大きくしたときに、人体から遠ざかる場所であれば任意の位置でよい。
【0094】
なお、図15に示したアンテナとアース地板との最適条件は、アンテナ114およびアース地板115の両方が第1筐体に設けられている場合のものであって、図18および図19に示す各構成の条件を拘束するものではない。
【0095】
また、実施の形態1において、弾性保持手段の構成は図4に示すようなものとしたが、弾性力に基づく付勢力によって開き角を所定の角度に向かわせることができるものであれば、他の構成であってもよい。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本実施の形態によれば、携帯電話の小型化、薄型化に伴う利得損失を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(c)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図2】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(c)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図3】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話と従来例との利得損失の比較表を示す図である。
【図4】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の構成を模式的に示す図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の構成を模式的に示す図である。
(c)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の構成を模式的に示す図である。
(d)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における弾性保持手段の動作を説明するための図である。
【図6】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の筐体の開き角を示す図である。
(b)従来例における二つ折り式携帯電話の筐体の開き角を示す図である。
【図7】(a)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の構成図である。
(c)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図8】本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
【図9】(a)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
(b)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
(c)本発明の実施の形態2における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
【図10】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
(c)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の他の構成例を示す図である。
【図11】(a)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話の他の構成例の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
(b)本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話と従来例との利得損失の比較表を示す図である。
【図12】(a)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
(c)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図13】(a)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
(b)従来の技術による二つ折り式携帯電話の構成図である。
【図14】(a)従来の技術による二つ折り式携帯電話の使用時における各部と利用者の頭部との位置関係を模式的に示す図である。
(b)従来の技術による二つ折り式携帯電話における利得損失の比較表を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態1における二つ折り式携帯電話における第1筐体と第2筐体との開き角と、アンテナ利得との関係を表すグラフを示す図である。
【図16】本発明の実施の形態2の他の構成の携帯電話の構成図である。
【図17】本発明の実施の形態におけるループアンテナの構成を示す図である。
【図18】本発明の他の構成を示す図である。
【図19】本発明の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
100 二つ折り式携帯電話
110 第1筐体
111 入力部
112 音声入力面
113a、113b ヒンジブラケット
114 ヘリカルアンテナ
115 アース地板
116 ストッパ
120 第2筐体
121 表示画面
122 音声出力面
Claims (11)
- アンテナと、内蔵されたアース地板と、その内側主面に設けられたヒンジブラケットとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面とを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板を含む面の内面とのなす開き角が実質上165°よりも大きい状態で保持され、
前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面および情報を表示する表示画面を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話。 - 前記固定機構は、前記第1筐体および/または前記第2筐体に設けられたストッパと、弾性力により前記開き角が一定となるよう保持する弾性保持手段とを備え、
前記弾性保持手段は、前記開き角が、所定の第1の角度に向かう付勢力を与え、
前記ストッパは、前記開き角が、前記第1の角度より小さい第2の角度となるように設けられており、
前記第2の角度は、前記弾性保持手段の付勢力による保持に伴う遊びが許容できなくなる第1の限界角度以下の角度である請求項1に記載の二つ折り式携帯電話。 - 前記固定機構は、弾性力により前記開き角が一定となるよう保持する弾性保持手段を備え、
前記開き角は、前記弾性保持手段による保持が可能な第2の限界角度以下である請求項1に記載の二つ折り式携帯電話。 - 前記一時固定により保たれる前記開き角は、実質上166°以上、172°以下である請求項1に記載の二つ折り式携帯電話。
- 前記第1筐体の前記内側主面と前記第2筐体の前記内側主面とのなす角が実質上180°となるよう開いたとき、前記第1筐体の前記内側主面と、前記第2筐体の前記内側主面とは段差を有しており、
前記第1筐体の前記内側主面は、前記第2筐体の前記内側主面より筐体の内側方向へ後退している請求項1に記載の二つ折り式携帯電話。 - 前記第1筐体の前記内側主面と、その内側主面と対向する外側主面との間の平均距離は実質上7mmであって、前記第2筐体の前記内側主面と、その内側主面と対向する外側主面との間の平均距離は実質上9.8mmである請求項1に記載の二つ折り式携帯電話。
- アンテナと、内蔵されたアース地板と、その内側主面に設けられたヒンジブラケットとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面とを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面は、前記表示画面を含む面に対して傾斜しており、
前記傾斜の方向は、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と、前記表示画面とが鈍角をなすような方向である二つ折り式携帯電話。 - アンテナと、内蔵されたアース地板と、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、スピーカの音声出力面とを有する筐体とを備え、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面は、前記表示画面を含む面に対して傾斜しており、
前記傾斜の方向は、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と、前記表示画面とが鈍角をなすような方向である携帯電話。 - 前記仮想面は、前記第1筐体の前記内側主面における前記音声出力面として設けられている請求項7に記載の二つ折り式携帯電話。
- 内蔵されたアース地板と、その内側主面に設けられたヒンジブラケットとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面と、アンテナとを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板を含む面の内面とのなす開き角が実質上165°よりも大きい状態で保持され、
前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面および情報を表示する表示画面を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話。 - その内側主面に設けられたヒンジブラケットと、アンテナとを有する第1筐体と、
少なくともその端部に渡って設けられた、前記ヒンジブラケットに対応するヒンジアームと、内側主面に設けられた、情報を表示する表示画面と、前記表示画面を挟んで前記ヒンジアームと相対するスピーカの音声出力面と、内蔵されたアース地板とを有する第2筐体と、
前記ヒンジブラケットおよび前記ヒンジアームを一時固定する固定機構とを備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、それぞれの前記内側主面が向かい合って閉じられるように接続され、
前記固定機構の一時固定によって、前記スピーカの音声信号の指向性のもっとも強い方向と直交する仮想面の内面と、前記アース地板を含む面の内面とのなす開き角が実質上165°よりも大きい状態で保持され、
前記仮想面は、前記スピーカの音声出力面および情報を表示する表示画面を含む面と実質同一または平行である二つ折り式携帯電話。
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Cited By (3)
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-
2003
- 2003-05-21 JP JP2003143944A patent/JP2004048719A/ja active Pending
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