JP2004028021A - 蓄熱装置の異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、内燃機関を含む循環回路内の熱媒体の一部を蓄熱状態で貯蔵可能な蓄熱容器を備えた蓄熱装置において、循環回路から蓄熱容器へ熱媒体が貯蔵される際に蓄熱容器に貯蔵される熱媒体の温度を予め検出しておき、蓄熱容器から循環回路に対する熱媒体の供給制御が行われている時の循環回路内の熱媒体温度の上昇率が前記した貯蔵時の熱媒体温度に対応した上昇率を上回っているときに蓄熱装置が異常であると判定することを特徴とする。
【選択図】 図9
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱装置を備えた内燃機関に関し、特に蓄熱装置の異常を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車などに搭載される内燃機関では、冷間時の始動性、燃焼安定性、排気エミッション、或いは室内暖房性能などの向上を目的として、蓄熱装置を備えた内燃機関の開発が進められている。
【0003】
蓄熱装置を備えた内燃機関では、蓄熱装置が正常であるか否かにより、冷間時の始動性、燃焼安定性、排気エミッション、或いは室内暖房性能が少なからず影響を受けるため、蓄熱装置の異常を検出することも重要である。
【0004】
このような要求に対し、従来では、特開平11−182307号公報に記載されているような「内燃機関用熱制御システムの故障診断装置」が提案されている。この内燃機関用熱制御システムの故障診断装置は、蓄熱器に蓄えられた高温の蓄熱水を内燃機関へ循環させた際の内燃機関内の冷却水温の上昇率が予め設定された所定値を下回っているか否か、内燃機関の運転停止から始動までの経過時間と運転停止時の蓄熱温水と始動時の蓄熱温水とから定まる蓄熱水温の下降率が所定値を上回っているか否か、或いは、蓄熱器から内燃機関へ蓄熱水を供給している際の蓄熱器内の水温の下降率が所定値を下回っているか否かを判別することにより、蓄熱水循環経路を含む蓄熱器の故障、蓄熱器自体の故障、或いは蓄熱水循環経路自体の故障を診断しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来の技術では、蓄熱器内に貯蔵される冷却水の温度が十分に高いことが前提となるため、蓄熱器内に貯蔵される冷却水の温度が低い場合には故障診断を行うことができない。
【0006】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、冷却水に代表される熱媒体を蓄熱状態で貯蔵可能な蓄熱容器を備えた蓄熱装置において、蓄熱容器に貯蔵されている熱媒体の温度が低い場合であっても蓄熱装置の異常を検出することが可能な技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明に係る蓄熱装置の異常検出装置は、
内燃機関を経由して熱媒体が循環する循環回路と、
前記循環回路内の熱媒体の一部を蓄熱状態で貯蔵する蓄熱容器、及び前記蓄熱容器から前記循環回路へ熱媒体を供給する供給機構を具備する蓄熱装置と、
前記蓄熱容器に熱媒体が貯蔵される時に前記蓄熱容器に貯蔵される熱媒体の温度を検出する温度検出手段と、
前記供給機構を作動させるべく制御が行われている時の前記循環回路内の熱媒体の温度上昇率を計測する温度上昇率計測手段と、
前記温度上昇率計測手段により計測された温度上昇率が前記温度検出手段により検出された熱媒体温度に対応する温度上昇率より低い場合に前記蓄熱装置が異常であると判定する判定手段と、
を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明は、内燃機関を含む循環回路内の熱媒体の一部を蓄熱状態で貯蔵可能な蓄熱容器を備えた蓄熱装置において、循環回路から蓄熱容器へ熱媒体が貯蔵される際に蓄熱容器に貯蔵される熱媒体の温度を予め検出しておき、蓄熱容器から循環回路に対する熱媒体の供給制御が行われている時の循環回路内の熱媒体温度の上昇率が前記した貯蔵時の熱媒体温度に対応した上昇率であるか否かに応じて、蓄熱装置が異常であるか否かを判別することを最大の特徴としている。
【0009】
かかる蓄熱装置の異常検出装置では、温度検出手段は、蓄熱容器へ熱媒体が貯蔵される際に、蓄熱容器へ貯蔵される熱媒体の温度(以下、貯蔵時熱媒体温度と称する)を検出する。
【0010】
続いて、温度上昇率計測手段は、蓄熱容器から循環回路へ熱媒体を供給すべく供給機構が制御されている時に、循環回路内を循環する熱媒体の温度上昇率を計測する(以下、温度上昇率計測値と称する)。尚、ここでいう温度上昇率は、単位時間当たりの熱媒体温度の上昇量を示すが、一定期間内に熱媒体温度が上昇した量で代用することも可能である。
【0011】
このようにして貯蔵時熱媒体温度と温度上昇率計測値とが求められると、判定手段は、温度上昇率計測値が貯蔵時熱媒体温度に対応した上昇率(以下、基準温度上昇率と称する)であるか否かを判別する。
【0012】
ここで、基準温度上昇率は、例えば、蓄熱容器から循環回路へ熱媒体を供給する時の蓄熱容器内の熱媒体温度が貯蔵時熱媒体温度と略一致しており、且つ、蓄熱容器から循環回路へ正常に熱媒体が供給される条件下で、温度上昇率計測手段が計測した温度上昇率に相当する値である。この場合、貯蔵時熱媒体温度が高くなるほど基準温度上昇率が高くなるとともに、貯蔵時熱媒体温度が低くなるほど基準温度上昇率が低くなる。
【0013】
従って、判定手段は、温度上昇率計測値が基準温度上昇率以上であれば蓄熱装置が正常であると判定することができ、温度上昇率計測値が基準温度上昇率を下回っていれば蓄熱装置が異常であると判定することができる。
【0014】
尚、蓄熱容器から循環回路へ熱媒体を供給する時の蓄熱容器内の熱媒体温度が貯蔵時熱媒体温度と略一致しており、且つ、蓄熱容器から循環回路へ正常に熱媒体が供給される条件下において、貯蔵時熱媒体温度と温度上昇率計測値との関係を予め実験的に求めておくとともに、それらの関係を二次元マップ化しておくようにしてもよい。この場合には、蓄熱装置の異常判定が行われる際に、貯蔵時熱媒体温度に対応した温度上昇率計測値を前記二次元マップより求め、その温度上昇率計測値を基準温度上昇率として用いるようにしてもよい。
【0015】
ところで、蓄熱装置に異常が発生する場合としては、蓄熱容器から循環回路へ熱媒体を供給する時の蓄熱容器内の熱媒体温度が貯蔵時熱媒体温度より低下している場合と、蓄熱容器から循環回路に対して熱媒体が正常に供給されない場合とが考えられる。
【0016】
蓄熱容器から循環回路へ熱媒体を供給する時の蓄熱容器内の熱媒体温度が貯蔵時熱媒体温度より低下する要因としては、蓄熱容器の保温性能の低下や、蓄熱容器の長期放置(蓄熱容器に熱媒体が貯蔵された時点から蓄熱容器内の熱媒体を循環回路へ供給すべく制御が行われる時点までの経過時間が過剰に長い)等が考えられる。
【0017】
蓄熱容器から循環回路に対して熱媒体が正常に供給されない要因としては、供給機構の異常や、蓄熱容器から循環回路へ至る経路(以下、蓄熱用熱媒体通路と称する)の詰まり等が考えられる。
【0018】
蓄熱装置の異常要因が蓄熱容器の保温性低下に因るものか或いは蓄熱容器の長期放置に因るものかを判別する方法としては、蓄熱容器に熱媒体が回収された時点から所定時間内における蓄熱容器内の熱媒体の温度低下率を計測し、計測された温度低下率が許容範囲内であれば蓄熱装置の異常要因が蓄熱容器の長期放置に因るものであると判定し、計測された温度低下率が許容範囲を超えていれば蓄熱装置の異常要因が蓄熱容器の保温性能の低下に因るものであると判定する方法を例示することができる。尚、ここでいう温度低下率は、単位時間当たりの熱媒体温度の低下量を示すが、一定期間内に熱媒体温度が低下した量で代用することも可能である。
【0019】
そこで、本発明に係る蓄熱装置の異常検出装置は、蓄熱装置が異常であると判定された場合に、蓄熱容器に熱媒体が回収された時点から所定時間内における蓄熱容器内の熱媒体の温度低下率を計測する温度低下率計測手段を更に備え、判定手段は、温度低下率計測手段により計測された温度低下率が許容範囲を超えていれば蓄熱容器が異常である(例えば、蓄熱容器の保温性能が低下している)と判定するようにしてもよい。
【0020】
次に、蓄熱装置の異常要因が供給機構の異常に因るものであるか或いは蓄熱容器から循環回路へ至る経路の詰まりに因るものであるかを判別する方法としては、先ず供給機構が異常であるか否かを判別し、供給機構が正常であれば蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生しているか否かを判別する方法を例示することができる。
【0021】
供給機構が異常であるか否かを判別する方法としては、供給機構による熱媒体の流れに対向する熱媒体の流れを循環回路内に発生させるポンプ機構と前記した供給機構とを同時に作動させるべく制御を行い、その際に循環回路又は蓄熱装置において熱媒体温度の変化が発生したか否かに応じて供給機構が異常であるか否かを判別する方法を例示することができる。
【0022】
ここで、供給機構が正常である場合にポンプ機構と供給機構とを同時に作動させるべく制御が行われると、ポンプ機構による熱媒体の流れと供給機構による熱媒体の流れとが互いの流れを打ち消し合うため、循環回路及び蓄熱装置において熱媒体の流れが停止すると同時に循環回路及び蓄熱容器の間で熱媒体が行き来しなくなり、以て循環回路内及び蓄熱容器内において熱媒体の温度変化が発生しないこととなる。
【0023】
一方、供給機構が異常である場合にポンプ機構と供給機構とを同時に作動させるべく制御が行われると、供給機構がポンプ機構による熱媒体の流れを打ち消すことができなくなるため、循環回路及び蓄熱容器の間で熱媒体が行き来することになり、以て循環回路及び蓄熱容器内において熱媒体の温度変化が発生することになる。
【0024】
従って、供給機構とポンプ機構とを同時に作動させるべく制御が行われた際に循環回路又は蓄熱装置において熱媒体の温度変化が発生しなければ供給機構が正常であると判定し、循環回路又は蓄熱装置において熱媒体の温度変化が発生すれば供給機構が異常であると判定することができる。
【0025】
そこで、本発明に係る蓄熱装置の異常検出装置は、供給機構による熱媒体の流れと対向する熱媒体の流れを前記循環回路内に発生させるポンプ機構と、循環回路又は蓄熱装置における熱媒体の温度変化を検出する温度変化検出手段と、を更に備え、判定手段は、蓄熱装置が異常であると判定した場合に、供給機構及びポンプ機構を同時に作動させるべく制御するとともに、その際に前記温度変化検出手段が熱媒体の温度変化を検出したか否かに応じて供給機構が異常であるか否かを判別するようにしてもよい。
【0026】
次に、蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生しているか否かを判別する方法としては、供給機構及びポンプ機構を同時に作動させるべく制御を行っている状態から供給機構の作動のみを停止させるべく制御するとともに、その際に循環回路又は蓄熱装置において熱媒体の温度変化が発生したか否かに応じて蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生しているか否かを判別する方法を例示することができる。
【0027】
ここで、蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生していない状況下でポンプ機構のみが作動すると、循環回路においてポンプ機構による熱媒体の流れが発生し、その流れが蓄熱用熱媒体通路を介して蓄熱容器へ及ぶことになる。つまり、循環回路及び蓄熱装置においてポンプ機構による熱媒体の流れが発生することになる。
【0028】
この場合、循環回路と蓄熱容器との間で蓄熱用熱媒体通路を介した熱媒体の行き来が許容され、循環回路内及び蓄熱装置において熱媒体の温度変化が発生する。
【0029】
一方、蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生している状況下でポンプ機構のみが作動すると、循環回路においてポンプ機構による熱媒体の流れが発生するが、その流れが蓄熱用熱媒体通路を介して蓄熱容器へ及ぶことはない。つまり、循環回路においてのみポンプ機構による熱媒体の流れが発生することになる。
【0030】
この場合、循環回路と蓄熱容器との間の蓄熱用熱媒体通路を介した熱媒体の行き来が規制されるため、循環回路及び蓄熱装置において熱媒体の温度変化が発生しないことになる。
【0031】
従って、供給機構とポンプ機構とを同時に作動させるべく制御が行われている状態から供給機構のみの作動を停止すべく制御が行われた場合に、循環回路又は蓄熱装置において熱媒体の温度変化が発生すれば蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生していないと判定し、循環回路又は蓄熱装置において熱媒体の温度変化が発生しなければ蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生していると判定することができる。
【0032】
そこで、本発明に係る蓄熱装置の異常検出装置において、判定手段は、供給機構及びポンプ機構を同時に作動させるべく制御が行われている状態から供給機構の作動のみを停止させるべく制御し、その際に温度変化検出手段が熱媒体の温度変化を検出したか否かに応じて蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生しているか否かを判別するようにしてもよい。
【0033】
尚、本発明に係る蓄熱装置の異常検出装置において、判定手段は、循環回路内の熱媒体の温度と蓄熱装置内の熱媒体の温度とが異なっていることを前提条件として、供給機構が異常であるか否かの判別、およびまたは、蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生しているか否かの判別を行うことが好ましい。
【0034】
また、本発明に係る蓄熱装置の異常検出装置において、供給機構としては、電動式のポンプ機構を例示することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る蓄熱装置の異常検出装置の具体的な実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0036】
図1は、本発明を適用する内燃機関の冷却水循環系を示す図である。
【0037】
内燃機関1は、軽油を燃料とする圧縮着火式の内燃機関(ディーゼル機関)又はガソリンを燃料とする火花点火式の内燃機関(ガソリン機関)であり、自動車に搭載される機関である。
【0038】
前記内燃機関1は、シリンダヘッド1aとシリンダブロック1bを備えている。シリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bの各々には、本発明に係る熱媒体としての冷却水を流通させるためのヘッド側冷却水路2aとブロック側冷却水路2bとが形成され、それらヘッド側冷却水路2aとブロック側冷却水路2bとが相互に連通している。
【0039】
前記ヘッド側冷却水路2aには、第1冷却水路4が接続され、この第1冷却水路4は、ラジエター5の冷却水流入口に接続されている。前記ラジエター5の冷却水流出口は、第2冷却水路6を介してサーモスタットバルブ7に接続されている。
【0040】
前記サーモスタットバルブ7には、前記第2冷却水路6に加えて、第3冷却水路8とバイパス水路9とが接続されている。前記第3冷却水路8は、内燃機関1の機関出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源とする機械式ウォーターポンプ10の吸込口に接続され、前記バイパス水路9は、ヘッド側冷却水路2aに接続されている。
【0041】
前記した機械式ウォーターポンプ10は、本発明に係るポンプ機構に相当するものであり、該機械式ウォーターポンプ10の吐出口には、前記ブロック側冷却水路2bが接続されている。
【0042】
前記したサーモスタットバルブ7は、冷却水の温度に応じて、第2冷却水路6とバイパス水路9との何れか一方を遮断する流路切換バルブである。具体的には、サーモスタットバルブ7は、該サーモスタットバルブ7を流れる冷却水の温度が所定の開弁温度:Temp1(例えば、80℃〜90℃)未満であるときは、第2冷却水路6を遮断すると同時にバイパス水路9を開放して、第3冷却水路8とバイパス水路9とを導通させる。また、前記サーモスタットバルブ7は、該サーモスタットバルブ7を流れる冷却水の温度が前記開弁温度:Temp1以上であるときは、第2冷却水路6を開放すると同時にバイパス水路9を遮断して、第3冷却水路8と第2冷却水路6とを導通させる。
【0043】
前記した第1冷却水路4の途中にはヒータホース11が接続され、このヒータホース11は前記した第3冷却水路8の途中に接続されている。前記ヒータホース11の途中には、冷却水と室内暖房用空気との間で熱交換を行うヒータコア12が配置されている。
【0044】
次に、前記した冷却水循環系に併設される蓄熱装置について述べる。
【0045】
先ず、前記ヒータコア12と前記第3冷却水路8との間に位置するヒータホース11の途中には、第1バイパス通路13aが接続されている。この第1バイパス通路13aは、電動ウォーターポンプ14の冷却水吸込口に接続されている。
【0046】
前記電動ウォーターポンプ14は、前記した冷却水吸込口から吸い込んだ冷却水を冷却水吐出口から吐出するものであり、バッテリ43の出力電圧を駆動源として作動するよう構成されている。この電動ウォーターポンプ14は、本発明に係る供給機構に相当するものである。
【0047】
前記電動ウォーターポンプ14の冷却水吐出口には、第2バイパス通路13bが接続され、この第2バイパス通路13bは、蓄熱容器15の冷却水入口15aに接続されている。
【0048】
前記蓄熱容器15は、冷却水が持つ熱を蓄熱しつつ冷却水を貯蔵する容器であり、冷却水入口15aから新規の冷却水が流入すると、それと入れ代わりに該蓄熱容器15内に貯蔵されていた冷却水を冷却水出口15bから排出するよう構成されている。
【0049】
前記した蓄熱容器15の冷却水出口15bには、第3バイパス通路13cが接続され、この第3バイパス通路13cは、ヒータコア12と第1冷却水路4との間に位置するヒータホース11に接続されている。
【0050】
尚、ヒータコア12と第1冷却水路4との間に位置するヒータホース11において、第3バイパス通路13cの接続部位を基準にして第1冷却水路4側の部位を第1ヒータホース11aと称するとともに、ヒータコア12側の部位を第2ヒータホース11bと称するものとする。更に、ヒータコア12と第3冷却水路8との間に位置するヒータホース11において、第1バイパス通路13aの接続部位を基準にしてヒータコア12側の部位を第3ヒータホース11cと称するとともに、第3冷却水路8側の部位を第4ヒータホース11dと称するものとする。
【0051】
前記した第1ヒータホース11aと第2ヒータホース11bと第3バイパス通路13cとの接続部には、流路切換弁16が設けられている。この流路切換弁16は、前記3つの通路の何れか1つの通路を選択的に遮断するよう構成されており、ステップモータ等からなるアクチュエータによって駆動されるようになっている。
【0052】
また、第3バイパス通路13cにおける蓄熱容器15の冷却水出口15bの近傍の部位には、該第3バイパス通路13c内の冷却水の温度、すなわち蓄熱容器15から流出した冷却水の温度(以下、容器出口水温と称する)に対応した電気信号を出力する第1水温センサ17が取り付けられている。前記第1冷却水路4におけるヘッド側冷却水路2aとの接続部位の近傍には、該第1冷却水路4内の冷却水の温度(以下、機関側水温と称する)に対応した電気信号を出力する第2水温センサ18が取り付けられている。
【0053】
このように構成された冷却水循環系には、当該冷却水循環系の作動状態を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)39が併設されている。このECU39は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、入力ポート、出力ポート、A/Dコンバータ等から構成される算術論理演算回路である。このECU39は、内燃機関1の運転状態を制御するためのECUとは独立して設けられるようにしてもよく、或いは兼用されるにしてもよい。
【0054】
ECU39には、前述した第1水温センサ17、第2水温センサ18、及びバッテリ43に加えて、車室内に設けられたイグニッションスイッチ40、スタータスイッチ41、及び室内暖房装置のスイッチ(ヒータスイッチ)42が電気的に接続され、それら各種センサの出力信号がECU39へ入力されるようになっている。
【0055】
更に、ECU39は、前述した電動ウォーターポンプ14及び流路切換弁16と電気的に接続され、それら電動ウォーターポンプ14及び流路切換弁16を制御することが可能となっている。
【0056】
具体的には、ECU39は、ROMに記憶されているアプリケーションプログラムに従って動作し、前記冷却水循環系における冷却水の流れを切り換えるための冷却水流れ切換制御や本発明の要旨となる異常検出制御を実行する。
【0057】
例えば、冷却水流れ切換制御では、ECU39は以下のような制御を行う。
【0058】
先ず、内燃機関1が運転状態にあるときは、機械式ウォーターポンプ10がクランクシャフトの回転トルクを受けて作動する。これに対し、ECU39は、第2ヒータホース11bを遮断させるべく流路切換弁16を制御するとともに、電動ウォーターポンプ14を停止状態とすべくバッテリ43から電動ウォーターポンプ14への電圧供給を禁止する。
【0059】
この場合、電動ウォーターポンプ14が作動せずに機械式ウォーターポンプ10のみが作動することになり、その際の冷却水の温度がサーモスタットバルブ7の開弁温度:Temp1未満であれば該サーモスタットバルブ7が第2冷却水路6を遮断すると同時にバイパス水路9を開放することになる。
【0060】
従って、内燃機関1が運転状態にあり、且つ冷却水の温度がサーモスタットバルブ7の開弁温度:Temp1未満であるときは、図2に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→バイパス水路9→サーモスタットバルブ7→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順に冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0061】
図2に示すような循環回路が成立した場合は、内燃機関1から流出した比較的低温の冷却水がラジエター5を迂回して流れることになるため、冷却水がラジエター5によって不要に冷却されないことになる。この結果、内燃機関1の暖機が妨げられることがない。
【0062】
その後、内燃機関1の暖機が進行して、冷却水の温度がサーモスタットバルブ7の開弁温度:Temp1以上になると、サーモスタットバルブ7が第2冷却水路6を開放すると同時にバイパス水路9を遮断することになる。
【0063】
この場合、図3に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→第1冷却水路4→ラジエター5→第2冷却水路6→サーモスタットバルブ7→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順に冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0064】
図3に示すような循環回路が成立した場合は、内燃機関1から流出した比較的高温の冷却水がラジエター5を流通することになるため、冷却水の熱がラジエター5において大気中へ放出され、冷却水の温度が低下する。この結果、ラジエター5を通過した後の比較的低温の冷却水が内燃機関1のヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bへ流入することになるため、内燃機関1の熱が冷却水へ伝達され、以て内燃機関1の過熱が防止される。
【0065】
また、内燃機関1が運転状態にあり且つ冷却水の温度がサーモスタットバルブ7の開弁温度:Temp1以上であるときに、ヒータスイッチ42がオンにされると、ECU39は、バッテリ43から電動ウォーターポンプ14への電圧供給を禁止しつつ、第3バイパス通路13cを遮断し且つ第1ヒータホース11aと第2ヒータホース11bを導通させるべく流路切換弁16を制御する。
【0066】
この場合、図4に示すように、前述した図3の説明で述べた循環回路と同一の循環回路が成立すると同時に、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→第1冷却水路4→第1ヒータホース11a→流路切換弁16→第2ヒータホース11b→ヒータコア12→第3ヒータホース11c→第4ヒータホース11d→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順に冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0067】
図4に示すような循環回路が成立した場合には、内燃機関1から流出した比較的高温の冷却水がヒータコア12へ流入することになるため、ヒータコア12において冷却水の熱が室内暖房用空気へ伝達されることになる。この結果、室内暖房用空気の温度が高められ、以て車室内の温度を高めることが可能となる。
【0068】
ここで、前述した図2〜図4の説明で述べた循環回路は、本発明に係る循環回路に相当するものである。
【0069】
次に、ECU39は、内燃機関1の始動直前(内燃機関1のクランキングが開始される前)に、蓄熱装置を利用して内燃機関1を暖める予熱処理を行う。
【0070】
予熱処理では、ECU39は、第2ヒータホース11bを遮断すべく流路切換弁16を制御するとともに電動ウォーターポンプ14を作動させるべくバッテリ43から電動ウォーターポンプ14への電圧供給を許容する。
【0071】
この場合、第1ヒータホース11aと第3バイパス通路13cとが導通するとともに、機械式ウォーターポンプ10が作動せずに電動ウォーターポンプ14のみが作動することになるため、図5に示すように、電動ウォーターポンプ14→第2バイパス通路13b→蓄熱容器15→第3バイパス通路13c→流路切換弁16→第1ヒータホース11a→第1冷却水路4→ヘッド側冷却水路2a→ブロック側冷却水路2b→機械式ウォーターポンプ10→第3冷却水路8→第4ヒータホース11d→第1バイパス通路13a→電動ウォーターポンプ14の順に冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0072】
図5に示すような循環回路が成立すると、電動ウォーターポンプ14から吐出された冷却水が第2バイパス通路13bを介して蓄熱容器15内へ流入し、それと入れ代わりに蓄熱容器15内に貯えられていた高温な冷却水(以下、蓄熱温水と称する)が冷却水出口15bから排出される。
【0073】
蓄熱容器15の冷却水出口15bから排出された蓄熱温水は、第3バイパス通路13c、流路切換弁16、第1ヒータホース11a、及び第1冷却水路4を介して内燃機関1のヘッド側冷却水路2aへ流入し、次いでヘッド側冷却水路2aからブロック側冷却水路2bへ流入することになる。
【0074】
このように蓄熱容器15に貯蔵されていた蓄熱温水がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bへ流入すると、それと入れ代わりにヘッド側冷却水路2a内及びブロック側冷却水路2b内に元々滞留していた低温の冷却水がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bから排出される。
【0075】
その際、ECU39は、内燃機関1のヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2b内に元々滞留していた低温の冷却水が蓄熱温水と入れ代わった時点で電動ウォーターポンプ14の作動を停止し、蓄熱温水がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2b内に滞留するようにすることが好ましい。
【0076】
ヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2b内に蓄熱温水が滞留すると、蓄熱温水が持つ熱の略全てがシリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bへ効率的に伝達され、シリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bが速やかに昇温する。
【0077】
上記したようにシリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bが蓄熱温水によって暖められると、吸気ポート壁面や燃焼室壁面の温度が上昇し、それに応じて吸気ポート及び燃焼室における雰囲気温度が上昇するため、図示しない燃料噴射弁から噴射される燃料が気化し易くなる。
【0078】
この場合、燃料噴射弁から噴射された燃料が吸気ポート壁面や燃焼室壁面に付着し難くなり、燃焼室内に可燃性の高い混合気が形成され易くなる。更に、吸気ポート及び燃焼室における雰囲気温度が上昇すると、気筒が圧縮上死点近傍にあるときの燃焼室内の温度(所謂、圧縮端温度)も高くなるため、燃料が着火及び燃焼し難くなる。
【0079】
従って、内燃機関1の始動直前に予熱処理が行われると、内燃機関1において、燃料の着火性の向上、燃料の燃焼安定性の向上、壁面付着燃料量の減少等が図られることとなり、以て内燃機関1の始動性の向上、暖機運転時間の短縮、排気エミッションの向上などを図ることが可能となる。
【0080】
上記したような蓄熱温水による内燃機関1の加熱を効果的に行うためには、蓄熱容器15内に高温の冷却水を貯蔵しておく必要がある。このため、ECU39は、内燃機関1の運転時において、第2水温センサ18の出力信号値(機関側水温)が所望の目標回収温度以上になると、ヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bを流通している高温な冷却水を蓄熱容器15へ回収すべく温水回収処理を実行する。
【0081】
温水回収処理では、ECU39は、バッテリ43から電動ウォーターポンプ14に対する電圧供給を禁止しつつ、第2ヒータホース11bを遮断すべく流路切換弁16を制御する。
【0082】
この場合、第1ヒータホース11aと第3バイパス通路13cとが導通するとともに、電動ウォーターポンプ14が作動せずに機械式ウォーターポンプ10のみが作動することになるため、図6に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→第1冷却水路4→第1ヒータホース11a→流路切換弁16→第3バイパス通路13c→蓄熱容器15→第2バイパス通路13b→電動ウォーターポンプ14→第1バイパス通路13a→第4ヒータホース11d→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順に冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0083】
図6に示すような循環回路が成立すると、機械式ウォーターポンプ10から吐出された冷却水がブロック側冷却水路2b及びヘッド側冷却水路2aへ流入し、それと入れ代わりにヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2b内の高温な冷却水がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bから排出される。
【0084】
ヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bから排出された高温な冷却水は、第1冷却水路4、第1ヒータホース11a、流路切換弁16、及び第3バイパス通路13cを経て冷却水出口15bへ到達し、冷却水出口15bから蓄熱容器15内へ逆流する。
【0085】
このようにしてヘッド側冷却水路2a及びヘッド側冷却水路2a内の高温な冷却水が冷却水出口15bから蓄熱容器15内へ逆流すると、蓄熱容器15内に元々滞留していた冷却水が冷却水入口15aを介して第2バイパス通路13bへ排出され、その結果、蓄熱容器15内に高温な冷却水が貯蔵されることになる。
【0086】
ところで、第1バイパス通路13a、第2バイパス通路13b、第3バイパス通路13c、電動ウォーターポンプ14、蓄熱容器15、及び流路切換弁16からなる蓄熱装置に異常が発生した場合、具体的には、第1バイパス通路13aと第2バイパス通路13bと第3バイパス通路13cと蓄熱容器15と流路切換弁16とからなる経路(以下、蓄熱用熱媒体通路と称する)に詰まりが発生した場合、蓄熱容器15の保温性能が低下した場合、或いは、電動ウォーターポンプ14の作動不良が発生した場合には、蓄熱容器15への高温な冷却水の回収、又は、蓄熱容器15から内燃機関1に対する高温な冷却水の供給を適切に行うことが困難となるため、内燃機関1の始動性の向上、暖機運転時間の短縮、排気エミッションの向上などを図ることが不可能となる虞がある。
【0087】
そこで、本実施の形態では、ECU39が以下のような手順により異常検出制御を実行するようにした。
【0088】
先ず、ECU39は、温水回収処理が行われるときに蓄熱容器15内へ貯蔵される冷却水の温度(以下、貯蔵時冷却水温度と称する)を予め検出しておく。具体的には、ECU39は、温水回収処理が行われている時の第1水温センサ17の出力信号値(容器出口水温):THWexitを貯蔵時冷却水温度:THWstoreとして該ECU39のバックアップRAMなどに記憶しておく。
【0089】
続いて、ECU39は、次回の予熱処理において、第2水温センサ18の出力信号値(機関側水温):THWengineを監視し、機関側水温:THWengineの実際の上昇率(以下、実機関側水温上昇率と称する):Tupを計測する。
【0090】
実機関側水温上昇率:Tupの計測方法としては、(イ)予熱処理開始時における第2水温センサ18の出力信号値(第1の機関側水温):THWengine1と予熱処理完了時における第2水温センサ18の出力信号値(第2の機関側水温):THWengine2との差分(=THWengine2−THWengine1)を予熱処理開始時から予熱処理完了時までの所要時間で除算することにより求める方法、(ロ)予熱処理開始時におおける第2水温センサ18の出力信号値(第1の機関側水温):THWengine1と予熱処理開始時から所定時間経過後における第2水温センサ18の出力信号値(第3の機関側水温):THWengine3との差分(=THWengine3−THWengine1)を前記所定時間で除算することにより求める方法、或いは(ハ)予熱処理開始時における第2水温センサ18の出力信号値(第1の機関側水温):THWengine1と予熱処理実行期間内に第2水温センサ18が検出した機関側水温の最高値(最高機関側水温):THWenginemaxとの差分(=THWenginemax−THWengine1)を予熱開始時から最高機関側水温:THWenginemaxが検出された時点までの所要時間で除算することにより求める方法などを例示することができる。
【0091】
実機関側水温上昇率:Tupが計測されると、ECU39は、バックアップRAMから貯蔵時冷却水温度:THWstoreを読み出し、その貯蔵時冷却水温度:THWstoreに対応した冷却水温度の上昇率(以下、基準水温上昇率):Tupbaseを算出する。
【0092】
前記した基準水温上昇率:Tupbaseは、予熱処理が行われる際の蓄熱容器15内の蓄熱温水温度が貯蔵時冷却水温度:THWstoreと略一致し且つ蓄熱容器15からヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bへ正常に熱媒体が供給される条件下において、予熱処理が行われた場合の実機関側水温上昇率に相当する値である。この場合、基準水温上昇率:Tupbaseは、図7に示すように、貯蔵時冷却水温度:THWstoreが高くなるほど高くなるとともに、貯蔵時冷却水温度:THWstoreが低くなるほど低くなる。
【0093】
尚、本実施の形態では、貯蔵時冷却水温度:THWstoreと基準水温上昇率:Tupbaseとの関係を予め実験的に求めておき、それらの関係を二次元マップ化してECU39のROMに記憶しておくものとする。
【0094】
このようにして基準水温上昇率:Tupbase及び実機関側水温上昇率:Tupが求められると、ECU39は、実機関側水温上昇率:Tupが基準水温上昇率:Tupbase以上であるか否かを判別する。
【0095】
ECU39は、実機関側水温上昇率:Tupが基準水温上昇率:Tupbase以上であれば蓄熱装置が正常であると判定し、実機関側水温上昇率:Tupが基準水温上昇率:Tupbase未満であれば蓄熱装置が異常であると判定する。
【0096】
ところで、蓄熱装置に異常が発生する場合としては、予熱処理を行う際の蓄熱容器15内の蓄熱温水温度が貯蔵時冷却水温度:THWstoreに比して大幅に低い場合と、蓄熱容器15からヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bに対して蓄熱温水が正常に供給されない場合とが考えられる。
【0097】
予熱処理を行う際の蓄熱容器15内の蓄熱温水温度が貯蔵時冷却水温度:THWstoreに比して大幅に低くなる要因としては、蓄熱容器15の保温性能の低下と、蓄熱容器15の長期放置(温水回収処理から予熱処理までの期間が過剰に長い)とが考えられる。
【0098】
蓄熱容器15からヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bに対して蓄熱温水が正常に供給されない要因としては、蓄熱用熱媒体通路の詰まり等が考えられる。
【0099】
蓄熱装置の異常要因が蓄熱容器15の保温性低下に因るものか或いは蓄熱容器15の長期放置に因るものかを判別する方法としては、温水回収処理の実行完了時から所定時間内における蓄熱容器15内の熱媒体の温度低下率を計測し、計測された温度低下率が許容範囲内であれば蓄熱装置の異常要因が蓄熱容器15の長期放置に因るものであると判定し、計測された温度低下率が許容範囲を超えていれば蓄熱装置の異常要因が蓄熱容器15の保温性能の低下に因るものであると判定する方法を例示することができる。
【0100】
そこで、本実施の形態における以上検出制御では、ECU39は、蓄熱装置が異常であると判定された場合に、温水回収処理の実行時に貯蔵時冷却水温度:THWstoreを検出しておくとともに、温水回収処理の実行完了時から所定時間:tが経過した時点で電動ウォーターポンプ14を短時間作動させて第1水温センサ17の出力信号値(容器出口水温):THWexitを検出する。
【0101】
次いで、ECU39は、貯蔵時冷却水温度:THWstoreと容器出口水温:THWexitとの差分(=THWstore−THWexit)を前記所定時間:tで除算して温度低下率(以下、容器内温度低下率と称する):Tdown(=(THWstore−THWexit)/t)を算出する。
【0102】
更に、ECU39は、容器内温度低下率:Tdownと貯蔵時冷却水温度:THWstoreに対応した容器内温度低下率(以下、基準温度低下率と称する):Tdownbaseとを比較する。前記した基準温度低下率:Tdownbaseは、蓄熱容器15が正常であるときの容器内温度低下率:Tdownに相当するものである。
【0103】
ここで、蓄熱容器15内の冷却水温度が単位時間当たりに低下する量は、図8に示すように、蓄熱容器15の保温性能が正常である場合に比して蓄熱容器15の保温性能が低下している場合の方が多くなる。
【0104】
従って、ECU39は、容器内温度低下率:Tdownが基準温度低下率:Tdownbase以下である場合には蓄熱装置の異常要因が蓄熱容器15の長期放置に因るものであると判定し、容器内温度低下率:Tdownが基準温度低下率:Tdownbaseを上回っている場合には蓄熱装置の異常要因が蓄熱容器15の保温性能低下に因るものであると判定するようにすればよい。
【0105】
尚、貯蔵時冷却水温度:THWstoreと基準温度低下率:Tdownbaseとの関係は、蓄熱容器15の保温性能が正常である条件下で予め実験的に求めておき、それらの関係をマップ化してECU39のROMなどに記憶しておくことが好ましい。
【0106】
次に、蓄熱装置の異常要因が電動ウォーターポンプ14の故障に因るものであるか或いは蓄熱用熱媒体通路の詰まりに因るものであるかを判別する方法としては、先ず電動ウォーターポンプ14が故障しているか否かを判別し、電動ウォーターポンプ14が故障していなければ蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生しているか否かを判別する方法を例示することができる。
【0107】
電動ウォーターポンプ14が故障しているか否かを判別する方法としては、内燃機関1が運転状態にあり(機械式ウォーターポンプ10が作動状態にあり)、且つ、第2水温センサ18の出力信号値(機関側水温)と第1水温センサ17の出力信号値(容器出口水温)とが異なる時に、バッテリ43から電動ウォーターポンプ14に対する駆動電圧の供給を許容するとともに第2ヒータホース11bを遮断すべく流路切換弁16を制御し、その際に機関側水温又は容器出口水温が変化したか否かに応じて電動ウォーターポンプ14が故障しているか否かを判別する方法を例示することができる。
【0108】
尚、バッテリ43から電動ウォーターポンプ14へ供給される電圧は、電動ウォーターポンプ14の吐出圧力が機械式ウォーターポンプ10の吐出圧力と同等になる電圧とする。尚、機械式ウォーターポンプ10の吐出圧力は、機関回転数に応じて変化するため、前記した電圧も機関回転数に応じて変更される可変値とされることが好ましい。例えば、機械式ウォーターポンプ10の吐出圧力は機関回転数が高くなるほど高くなるとともに機関回転数が低くなるほど低くなるため、前記した電圧も機関回転数が高くなるほど高くされるとともに機関回転数が低くなるほど低くされることが好ましい。
【0109】
ここで、電動ウォーターポンプ14が正常である場合に、機械式ウォーターポンプ10の吐出圧力と同等の吐出圧力で電動ウォーターポンプ14を作動させるべく制御が行われるとともに第2ヒータホース11bを遮断すべく流路切換弁16が制御されると、機械式ウォーターポンプ10による冷却水の流れと電動ウォーターポンプ14による冷却水の流れとが互いの流れを打ち消し合うため、冷却水の流れが停止することになる。
【0110】
この場合、蓄熱容器15と内燃機関1との間で冷却水が行き来しなくなり、以て機関側水温及び容器出口水温が変化しないことになる。
【0111】
一方、電動ウォーターポンプ14が故障している場合に、機械式ウォーターポンプ10の吐出圧力と同等の吐出圧力で電動ウォーターポンプ14を作動させるべく制御が行われるとともに第2ヒータホース11bを遮断すべく流路切換弁16が制御されると、電動ウォーターポンプ14が作動せず、或いは電動ウォーターポンプ14の吐出圧力が機械式ウォーターポンプ10の吐出圧力と同等にならないため、電動ウォーターポンプ14が機械式ウォーターポンプ10による冷却水の流れを打ち消すことが不可能となる。
【0112】
この場合、蓄熱容器15と内燃機関1との間で冷却水が行き来することとなり、以て機関側水温及び容器出口水温が変化することになる。
【0113】
従って、内燃機関1が運転状態にあり(機械式ウォーターポンプ10が作動状態にあり)、且つ、第2水温センサ18の出力信号値(機関側水温)と第1水温センサ17の出力信号値(容器出口水温)とが異なる時に、バッテリ43から電動ウォーターポンプ14に対する駆動電圧の供給を許容するとともに第2ヒータホース11bを遮断すべく流路切換弁16を制御し、その際に機関側水温又は容器出口水温が変化しなければ電動ウォーターポンプ14が正常であると判定し、機関側水温又は容器出口水温が変化すれば電動ウォーターポンプ14が故障していると判定することができる。
【0114】
そこで、本実施の形態における異常検出制御では、ECU39は、内燃機関1が運転状態にあるときに、第2水温センサ18の出力信号値(機関側水温)と第1水温センサ17の出力信号値(容器出口水温)とを入力し、それら機関側水温と容器出口水温とが異なるか否かを判別する。
【0115】
前記機関側水温と前記容器出口水温とが異なっている場合には、ECU39は、前記した機関側水温又は容器出口水温を制御前水温:THWbeforeとしてRAMに記憶させる。続いて、ECU39は、機械式ウォーターポンプ10の吐出圧力と同等の吐出圧力で電動ウォーターポンプ14を作動させるべくバッテリ43から電動ウォーターポンプ14へ電圧を供給するとともに第2ヒータホース11bを遮断すべく流路切換弁16を制御する。
【0116】
ECU39は、上記した電動ウォーターポンプ14及び流路切換弁16の制御を開始した時点から所定時間経過後に、第1水温センサ17又は第2水温センサ18の出力信号値(以下、第1の制御後水温と称する):THWafter1を入力し、その第1の制御後水温:THWafter1と前記した制御前水温:THWbeforeとを比較する。
【0117】
ECU39は、制御前水温:THWbeforeと第1の制御後水温:THWafter1との偏差が所定温度未満であれば電動ウォーターポンプ14が正常であると判定し、制御前水温:THWbeforeと第1の制御後水温:THWafter1との偏差が所定温度以上であれば電動ウォーターポンプ14が故障していると判定する。
【0118】
次に、蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生しているか否かを判別する方法としては、上記したような電動ウォーターポンプ14の異常判定処理において制御前水温:THWbeforeと第1の制御後水温:THWafter1との偏差が所定温度未満であると判定された場合に、電動ウォーターポンプ14の作動のみを停止させるべく制御を行い、その際に機関側水温又は容器出口水温が変化したか否かに応じて蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生しているか否かを判別する方法を例示することができる。
【0119】
ここで、蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生していない状況下で流路切換弁16が第2ヒータホース11bを遮断し且つ機械式ウォーターポンプ10のみが作動すると、機械式ウォーターポンプ10による冷却水の流れが蓄熱用熱媒体通路内にも及ぶこととなる。
【0120】
この場合、内燃機関1と蓄熱容器15との間で冷却水が行き来することになるため、機関側水温又は容器出口水温が変化することになる。
【0121】
一方、熱用熱媒体通路に詰まりが発生している状況下で流路切換弁16が第2ヒータホース11bを遮断し且つ機械式ウォーターポンプ10のみが作動すると、機械式ウォーターポンプ10による冷却水の流れが蓄熱用熱媒体通路内に及ばないこととなる。
【0122】
この場合、内燃機関1と蓄熱容器15との間で冷却水が行き来しないことになるため、機関側水温又は容器出口水温が変化しないことになる。
【0123】
従って、電動ウォーターポンプ14の異常判定において制御前水温:THWbeforeと第1の制御後水温:THWafter1との偏差が所定温度未満であると判定された時に電動ウォーターポンプ14の作動のみを停止させるべく制御を行い、その際に機関側水温又は容器出口水温が変化すれば蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生していないと判定し、機関側水温又は容器出口水温が変化しなければ蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生していると判定することができる。
【0124】
そこで、本実施の形態における異常検出制御では、ECU39は、電動ウォーターポンプ14の異常判定処理において制御前水温:THWbeforeと第1の制御後水温:THWafter1との変化が所定温度未満であると判定すると、電動ウォーターポンプ14の作動のみを停止させるべくバッテリ43から電動ウォーターポンプ14に対する電圧供給を停止する。
【0125】
ECU39は、バッテリ43から電動ウォーターポンプ14に対する電圧供給を停止した時点から所定時間経過後に、第1水温センサ17又は第2水温センサ18の出力信号値(以下、第2の制御後水温と称する):THWafter2を入力し、その第2の制御後水温:THWafter2と前記した制御前水温:THWbeforeとを比較する。
【0126】
ECU39は、制御前水温:THWbeforeと第2の制御後水温:THWafter2との偏差が所定温度以上であれば蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生していないと判定し、制御前水温:THWbeforeと第2の制御後水温:THWafter2との偏差が所定温度未満であれば蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生していると判定する。
【0127】
以下、本実施の形態における異常検出制御について図9〜図11に沿って説明する。
【0128】
図9は、本実施の形態における異常検出制御ルーチンを示すフローチャート図である。この異常検出制御ルーチンは、予熱処理の実行条件が成立したことをトリガとしてECU39が実行するルーチンであり、予めECU39のROMに記憶されている。
【0129】
異常検出制御ルーチンでは、ECU39は、先ずS901において予熱処理の実行が開始されたか否かを判別する。
【0130】
前記S901において予熱処理の実行が開始されていないと判定された場合は、ECU39は、予熱処理の実行が開始されるまで前記したS901の処理を繰り返し実行する。
【0131】
前記S901において予熱処理の実行が開始されたと判定された場合は、ECU39は、S902へ進み、第2水温センサ18の出力信号値(予熱処理実行開始時の機関側水温):THWengine1を入力する。
【0132】
S903では、ECU39は、予熱処理の実行が完了したか否かを判別する。
【0133】
前記S903において予熱処理の実行が完了していないと判定された場合は、ECU39は、予熱処理の実行が完了するまで前記したS903の処理を繰り返し実行する。
【0134】
前記S903において予熱処理の実行が完了したと判定された場合は、ECU39は、S904へ進み、第2水温センサ18の出力信号値(予熱処理実行完了時の機関側水温):THWengine2を入力する。
【0135】
S905では、ECU39は、前記S904で入力された機関側水温:THWengine2から前記S902で入力された機関側水温:THWengine1を減算して得られた値(=THWengine2−THWengine1)を予熱処理の実行時間で除算することにより、実機関側水温上昇率:Tupを算出する。
【0136】
S906では、ECU39は、前回の温水回収処理時に検出された貯蔵時冷却水温度:THWstoreをバックアップRAMから読み出す。
【0137】
S907では、ECU39は、前記S906で読み出された貯蔵時冷却水温度:THWstoreとROMのマップとから基準水温上昇率:Tupbaseを算出する。
【0138】
S908では、ECU39は、前記S905で算出された実機関側水温上昇率:Tupが前記S907で算出された基準水温上昇率:Tupbase未満であるか否かを判別する。
【0139】
前記S908において実機関側水温上昇率:Tupが基準水温上昇率:Tupbase以上であると判定された場合には、ECU39は、S913へ進み、蓄熱装置が正常であると判定する。そして、ECU39は、S914においてRAMの所定領域に設定されている容器異常判定実行フラグをリセットし、次いでS915においてRAMの所定領域に設定されている異常判定フラグをリセットして本ルーチンの実行を終了する。
【0140】
ここで、前記した容器異常判定実行フラグは、蓄熱容器15が異常であるか否かを判別するための容器異常判定処理のトリガとなるフラグであり、前記したS908において実機関側水温上昇率:Tupが基準水温上昇率:Tupbase未満であるときにセットされる。前記異常判定フラグは、蓄熱容器15の異常、電動ウォーターポンプ14の異常、又は蓄熱用熱媒体通路の異常が検出されたときにセットされるフラグである。
【0141】
また、前記S908において実機関側水温上昇率:Tupが基準水温上昇率:Tupbase未満であると判定された場合には、ECU39は、蓄熱容器15、電動ウォーターポンプ14、若しくは蓄熱用熱媒体通路に異常が発生している可能性があり、蓄熱容器15が異常であるか否か、電動ウォーターポンプ14が異常であるか否か、及び蓄熱用熱媒体通路が異常であるか否かを判別する必要があると見なす。
【0142】
この場合、ECU39は、先ずS909において容器異常判定実行フラグをセットし、次いでS910において電動ウォーターポンプ14およびまたは蓄熱用熱媒体通路が異常であるか否かを判別するためのポンプ/通路異常判定処理を実行する。
【0143】
ポンプ/通路異常判定処理では、ECU39は、図10に示すようなサブルーチンを実行することになる。このサブルーチンでは、ECU39は、先ずS1001において第1水温センサ17の出力信号値(第1の容器出口水温):THWexit1と第2水温センサ18の出力信号値(機関側水温):THWengineを入力する。
【0144】
S1002では、ECU39は、前記機関側水温:THWengineと第1の容器出口水温:THWexit1との温度差の絶対値(=|THWengine−THWexit1|)が所定値:A以上であるか否かを判別する。
【0145】
前記S1002において前記機関側水温:THWengineと第1の容器出口水温:THWexit1との温度差の絶対値(=|THWengine−THWexit1|)が所定値:A未満であると判定された場合は、ECU39は、S1003へ進み、第3バイパス通路13cを遮断させるべく流路切換弁16を制御する。この場合、内燃機関1と蓄熱用熱媒体通路との間で冷却水が行き来しなくなり、そのような状態が一定期間維持されると内燃機関1を循環する冷却水の温度と蓄熱用熱媒体通路内の冷却水の温度との差が増加するようになる。
【0146】
ECU39は、上記したS1003の処理を実行し終えると、前述したS1001とS1002の処理を再度実行する。
【0147】
その際、S1002において機関側水温:THWengineと第1の容器出口水温:THWexit1との温度差の絶対値(=|THWengine−THWexit1|)が所定値:A以上であると判定されれば、ECU39は、S1004へ進むことになる。
【0148】
S1004では、ECU39は、前記S1001で入力された第1の機関側水温:THWengine1を制御前水温:THWbeforeとしてRAMに記憶させる。
【0149】
S1005では、ECU39は、電動ウォーターポンプ14を作動させるべくバッテリ43から電動ウォーターポンプ14に対する電圧供給を許容する。その際、ECU39は、バッテリ43から電動ウォーターポンプ14へ供給される電圧を、電動ウォーターポンプ14の吐出圧力が機械式ウォーターポンプ10の吐出圧力と同等になる電圧とする。
【0150】
S1006では、ECU39は、第2ヒータホース11bを遮断させるべく流路切換弁16を制御する。すなわち、ECU39は、第1ヒータホース11aと第3バイパス通路13cとを導通させる。
【0151】
S1007では、ECU39は、第1水温センサ17の出力信号値(第2の容器出口水温):THWexit2を入力する。
【0152】
S1008では、ECU39は、前記S1007で入力された第2の容器出口水温:THWexit2を第1の制御後水温:THWafter1としてRAMに記憶させる。
【0153】
S1009では、ECU39は、RAMから制御前水温:THWbeforeと第1の制御後水温:THWafter1とを読み出し、それらの温度差の絶対値(=|THWafter1−THWbefore|)が所定値:B以上であるか否かを判別する。
【0154】
前記S1009において制御前水温:THWbeforeと第1の制御後水温:THWafter1との温度差の絶対値(=|THWafter1−THWbefore|)が所定値:B以上であると判定された場合は、ECU39は、S1010において電動ウォーターポンプ14が異常であると判定し、本ルーチンの実行を終了する。
【0155】
一方、前記S1009において制御前水温:THWbeforeと第1の制御後水温:THWafter1との温度差の絶対値(=|THWafter1−THWbefore|)が所定値:B未満であると判定された場合は、ECU39は、電動ウォーターポンプ14が正常であり、且つ、蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生している可能性があるとみなし、S1011〜S1016において蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生しているか否かを判別する。
【0156】
具体的には、ECU39は、S1011において、流路切換弁16が第3バイパス通路13cを遮断した状態を維持しつつ、電動ウォーターポンプ14の作動を停止させるべくバッテリ43から電動ウォーターポンプ14に対する電圧供給を遮断する。
【0157】
S1012では、ECU39は、第1水温センサ17の出力信号値(第3の容器出口水温):THWexit3を入力する。
【0158】
S1013では、ECU39は、前記S1012で入力された第3の容器出口水温:THWexit3を第2の制御後水温:THWafter2としてRAMに記憶させる。
【0159】
S1014では、ECU39は、RAMから制御前水温:THWbeforeと第2の制御後水温:THWafter2とを読み出し、それらの温度差の絶対値(=|THWafter2−THWbefore|)が所定値:C未満であるか否かを判別する。
【0160】
前記S1014において制御前水温:THWbeforeと第2の制御後水温:THWafter2との温度差の絶対値(=|THWafter2−THWbefore|)が所定値:C未満であると判定された場合には、内燃機関1と蓄熱容器15との間で冷却水が行き来可能な状態に制御されているにも関わらず内燃機関1を流通する冷却水が第3バイパス通路13cまで到達していないことになるため、ECU39は、S1015において蓄熱用熱媒体通路に詰まりが発生していると判定し、本ルーチンの実行を終了する。
【0161】
一方、前記S1014において制御前水温:THWbeforeと第2の制御後水温:THWafter2との温度差の絶対値(=|THWafter2−THWbefore|)が所定値:C以上であると判定された場合には、内燃機関1と蓄熱容器15との間で冷却水が正常に行き来していることになるため、ECU39は、S1016において電動ウォーターポンプ14及び蓄熱用熱媒体通路が正常であると判定し、本ルーチンの実行を終了する。
【0162】
ここで図9の異常検出制御ルーチンに戻り、ECU39は、S911において、前記したS910のポンプ/通路異常判定処理により電動ウォーターポンプ14又は蓄熱用熱媒体通路が異常であると判定されたか否かを判別する。
【0163】
前記S911において電動ウォーターポンプ14又は蓄熱用熱媒体通路が異常であると判定された場合には、ECU39は、S912において異常判定フラグをセットして、本ルーチンの実行を終了する。その際、車両の室内に予め警告灯が設けられていれば、ECU39は、前記警告灯を点灯させ、以て蓄熱装置の異常を車両の乗員に通知するようにしてもよい。
【0164】
一方、前記S911において電動ウォーターポンプ14又は蓄熱用熱媒体通路が異常ではないと判定された場合には、ECU39は、前記したS912の処理をスキップして本ルーチンの実行を終了する。
【0165】
次に、ECU39は、蓄熱容器15に対する温水回収処理の実行条件が成立したことをトリガとして、図11に示すような容器異常判定制御ルーチンを実行する。
【0166】
容器異常判定制御ルーチンでは、ECU39は、先ずS1101において温水回収処理が実行中であるか否かを判別する。
【0167】
前記S1101において温水回収処理が実行中であると判定された場合には、ECU39は、S1102へ進み、第1水温センサ17の出力信号値(容器出口水温):THWexitを入力する。
【0168】
S1103では、ECU39は、前記S1102で入力された容器出口水温:THWexitを貯蔵時冷却水温度:THWstoreとしてRAMに記憶させる。
【0169】
S1104では、ECU39は、RAMの所定領域に容器異常判定実行フラグがセットされているか否かを判別する。
【0170】
前記S1104においてRAMの所定領域に容器異常判定実行フラグがセットされていると判定された場合は、ECU39は、蓄熱容器15の異常判定処理を実行する必要があるとみなし、S1105へ進む。
【0171】
S1105では、ECU39は、蓄熱容器15に対する温水回収処理の実行が完了したか否かを判別する。
【0172】
前記S1105において蓄熱容器15に対する温水回収処理の実行が完了していないと判定された場合は、ECU39は、蓄熱容器15に対する温水回収処理の実行が完了するまで前記したS1105の処理を繰り返し実行する。
【0173】
前記S1105において蓄熱容器15に対する温水回収処理の実行が完了したと判定された場合は、ECU39は、S1106へ進み、温水回収処理の実行完了時からの経過時間を計測するカウンタ:Countを起動させる。
【0174】
S1107では、ECU39は、前記カウンタ:Countの計測時間が所定時間:t以上であるか否かを判別する。
【0175】
前記S1107において前記カウンタ:Countの計測時間が所定時間:t未満であると判定された場合には、ECU39は、前記カウンタ:Countの計測時間が所定時間:t以上となるまで前記S1107の処理を繰り返し実行する。
【0176】
前記S1107において前記カウンタ:Countの計測時間が所定時間:t以上であると判定されると、ECU39は、S1108へ進み、内燃機関1が運転停止状態にあるか否かを判別する。
【0177】
前記S1108において内燃機関1が運転停止状態にないと判定された場合には、ECU39は、S1116においてカウンタ:Countの作動を停止させるとともに該カウンタ:Countの計測時間をリセットして、本ルーチンの実行を終了する。
【0178】
一方、前記S1108において内燃機関1が運転停止状態にあると判定された場合には、ECU39は、S1109へ進み、電動ウォーターポンプ14を一定時間作動させる。その際の一定時間は、予熱処理の実行時間に対して非常に短く設定される時間であり、より具体的には蓄熱容器15内に貯蔵されている蓄熱温水の一部が第1水温センサ17の位置に到達するまでに要する時間であればよい。
【0179】
S1110では、ECU39は、第1水温センサ17の出力信号値(容器出口水温):THWexitを入力する。
【0180】
S1111では、ECU39は、RAMから貯蔵時冷却水温度:THWstoreを読み出し、その貯蔵時冷却水温度:THWstoreと前記S1110で入力された容器出口水温:THWexitとの差分(=THWstore−THWexit)を所定時間:tで除算して容器内温度低下率:Tdown(=(THWstore1−THWexit)/t)を算出する。
【0181】
S1112では、ECU39は、前記貯蔵時冷却水温度:THWstoreとROMのマップとから基準温度低下率:Tdownbaseを算出する。
【0182】
S1113では、ECU39は、前記容器内温度低下率:Tdownと前記基準温度低下率:Tdownbaseとの差分(=Tdown−Tdownbase)が所定値:Dを上回っているか否かを判別する。
【0183】
前記S1113において前記容器内温度低下率:Tdownと前記基準温度低下率:Tdownbaseとの差分(=Tdown−Tdownbase)が所定値:Dを上回っていれば、ECU39は、S1114において蓄熱容器15の保温性能が異常であると判定する。
【0184】
一方、前記S1113において前記容器内温度低下率:Tdownと前記基準温度低下率:Tdownbaseとの差分(=Tdown−Tdownbase)が所定値:D以下であれば、ECU39は、S1115において蓄熱容器15の保温性能が正常であり、前述した異常検出制御ルーチンにおいて蓄熱装置が異常であると判定された原因は、蓄熱容器15の長期放置に因るものであると判定する。
【0185】
前記S1114又は前記S1115の処理を実行し終えたECU39は、S1116においてカウンタ:Countの作動を停止させるとともに該カウンタ:Countの計測時間をリセットして本ルーチンの実行を終了する。
【0186】
また、前記S1101において温水回収処理が実行中ではないと判定された場合、又は、前記S1104においてRAMの所定領域に容器異常判定実行フラグがセットされていないと判定された場合は、ECU39は、蓄熱容器15の異常判定処理を実行する必要がないとみなし、S1116においてカウンタ:Countの計測時間をリセットして本ルーチンの実行を終了する。
【0187】
このようにECU39が前述した図9〜図11の説明で述べたようなルーチンを実行することにより、本発明に係る判定手段が実現されることになる。
【0188】
従って、本実施の形態に係る蓄熱装置の異常検出装置によれば、蓄熱装置を備えた内燃機関において、蓄熱装置の異常を検出することが可能になるとともに、その異常要因が蓄熱容器の保温性能低下に因るものであるか、電動ウォーターポンプの故障に因るものであるか、或いは蓄熱用熱媒体通路の詰まりに因るものであるかを特定することが可能となる。
【0189】
その際、本実施の形態に係る蓄熱装置の異常検出装置では、予熱処理の実行時における機関側水温の上昇率と、前回の温水回収処理時に蓄熱容器へ貯蔵された冷却水の温度に対応した上昇率とをパラメータとして蓄熱装置の異常を検出するため、予熱処理の実行時において蓄熱容器内に高温の冷却水が貯蔵されていなくとも蓄熱装置の異常を検出することが可能となる。
【0190】
【発明の効果】
本発明に係る蓄熱装置の異常検出装置は、内燃機関を含む循環回路内の熱媒体の一部を蓄熱状態で貯蔵可能な蓄熱容器を備えた蓄熱装置において、循環回路から蓄熱容器へ熱媒体が貯蔵される際に蓄熱容器に貯蔵される熱媒体の温度を予め検出しておき、蓄熱容器から循環回路に対する熱媒体の供給制御が行われている時の循環回路内の熱媒体温度の上昇率が貯蔵時熱媒体温度に対応した上昇率であるか否かに応じて蓄熱装置が異常であるか否かを判別するため、蓄熱容器内の熱媒体温度が十分に高くない状況下でも蓄熱装置の異常を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する内燃機関の冷却水循環系の概略構成を示す図
【図2】内燃機関が冷間状態で運転されているときの冷却水の流れを示す図
【図3】内燃機関の暖機完了後における冷却水の流れを示す図
【図4】内燃機関の暖機完了後においてヒータスイッチがオン状態にあるときの冷却水の流れを示す図
【図5】予熱処理の実行時における冷却水の流れを示す図
【図6】温水回収処理の実行時における冷却水の流れを示す図
【図7】貯蔵時冷却水温度と基準水温上昇率との関係を示す図
【図8】蓄熱容器内の冷却水温度と放置時間との関係を示す図
【図9】異常検出制御ルーチンを示すフローチャート図
【図10】異常検出制御ルーチンのサブルーチンを示すフローチャート図
【図11】容器異常検出制御ルーチンを示すフローチャート図
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
1a・・・シリンダヘッド
1b・・・シリンダブロック
2a・・・ヘッド側冷却水路
2b・・・ブロック側冷却水路
10・・・機械式ウォータポンプ
13a・・第1バイパス通路
13b・・第2バイパス通路
13c・・第3バイパス通路
14・・・電動ウォーターポンプ
15・・・蓄熱容器
16・・・流路切換弁
17・・・第1水温センサ
18・・・第2水温センサ
39・・・ECU
43・・・バッテリ
Claims (6)
- 内燃機関を経由して熱媒体が循環する循環回路と、
前記循環回路内の熱媒体の一部を蓄熱状態で貯蔵する蓄熱容器、及び前記蓄熱容器から前記循環回路へ熱媒体を供給する供給機構を具備する蓄熱装置と、
前記蓄熱容器に熱媒体が貯蔵される時に前記蓄熱容器に貯蔵される熱媒体の温度を検出する温度検出手段と、
前記供給機構を作動させるべく制御が行われている時の前記循環回路内の熱媒体の温度上昇率を計測する温度上昇率計測手段と、
前記温度上昇率計測手段により計測された温度上昇率が前記温度検出手段により検出された熱媒体温度に対応する温度上昇率より低い場合に前記蓄熱装置が異常であると判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする蓄熱装置の異常検出装置。 - 前記蓄熱装置が異常であると判定された場合に、前記蓄熱容器に熱媒体が回収された時点から所定時間内における前記蓄熱容器内の熱媒体の温度低下率を計測する温度低下率計測手段を更に備え、
前記判定手段は、前記温度低下率計測手段により計測された温度低下率が許容範囲を超えていれば、前記蓄熱容器が異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置の異常検出装置。 - 前記供給機構による熱媒体の流れと対向する熱媒体の流れを前記循環回路内に発生させるポンプ機構と、
前記循環回路又は前記蓄熱装置における熱媒体の温度変化を検出する温度変化検出手段と、を更に備え、
前記判定手段は、前記蓄熱装置が異常であると判定した場合に、前記供給機構及び前記ポンプ機構を同時に作動させるべく制御するとともに、その際に前記温度変化検出手段が熱媒体の温度変化を検出したか否かに応じて前記供給機構が異常であるか否かを判別することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置の異常検出装置。 - 前記判定手段は、前記供給機構及び前記ポンプ機構を同時に作動させるべく制御を行っている時に前記温度変化検出手段が熱媒体の温度変化を検出すれば、前記供給機構が異常であると判定することを特徴とする請求項3に記載の蓄熱装置の異常検出装置。
- 前記判定手段は、前記供給機構及び前記ポンプ機構を同時に作動させるべく制御を行っている時に前記温度変化検出手段が熱媒体の温度変化を検出しなければ、前記供給機構の作動のみを停止させるべく制御し、その際に前記温度変化検出手段が熱媒体の温度変化を検出しなければ、前記蓄熱容器から前記循環回路へ至る経路に詰まりが発生していると判定することを特徴とする請求項3に記載の蓄熱装置の異常検出装置。
- 前記判定手段は、前記循環回路内の熱媒体の温度と前記蓄熱装置内の熱媒体の温度とが異なっている場合に、前記供給機構が異常であるか否かの判別を行うことを特徴とする請求項3に記載の蓄熱装置の異常検出装置。
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