JP2004027764A - 構造面の補強工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造面の補強作業が完了するまでの期間が短く安価な施工コストで、構造面の補強工事を行うことができる構造面の補強工法を提供する。
【解決手段】施工すべき構造面3に下地処理するステップと、下地処理された構造面3に、接着剤4Sを吹き付けて接着剤層4を形成するステップと、接着剤層4の表面に、補強線材として横線材21および縦線材22が網状に形成され網目23を有する補強ネット10を貼付設置するステップと、補強ネット10に向けて、接着保護剤5Sを吹き付けて、接着保護層5を形成するステップとを順に実行する。
【選択図】 図1
【解決手段】施工すべき構造面3に下地処理するステップと、下地処理された構造面3に、接着剤4Sを吹き付けて接着剤層4を形成するステップと、接着剤層4の表面に、補強線材として横線材21および縦線材22が網状に形成され網目23を有する補強ネット10を貼付設置するステップと、補強ネット10に向けて、接着保護剤5Sを吹き付けて、接着保護層5を形成するステップとを順に実行する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造面の補強工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の構造面の補強工法の手順を示すフローチャートである。同図に示すように、従来の構造面の補強工法は以下のステップを順に実行するものである。
(I)施工すべき構造面3に、清掃、サンダー処理、ブラスト処理、プライマー処理等の下地処理を行う。
(II)下地処理された構造面3の上面に、人手により刷手やローラでエポキシ樹脂を接着剤として塗布し、エポキシ樹脂層104 を形成する。
(III)ガラス繊維製のシート状の補強シート110 を、前記エポキシ樹脂層104 の上面に貼付け、エポキシ樹脂を補強シート110 に含浸させる。
(VI)構造面3と補強シート110 との間に空気溜まりが発生しないように、脱泡のためローラ処理を人手により入念に行う。
(V)補強シート110 の上面に、人手により刷手やローラでエポキシ樹脂を接着保護剤として塗布し、エポキシ樹脂層105 を形成する。
上記(I)〜(V)のステップを順に実行することにより、エポキシ樹脂層104 ,105 のエポキシ樹脂と補強シート110 のガラス繊維が硬化一体化して繊維強化樹脂(FRP )となり構造面の補強工事を施工することができる。施工後の構造面によれば、補強シート110 およびエポキシ樹脂層104、105 によって、構造面3を補強することができるので、構造物の耐力を増加できるとともに、クラックや崩落を防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来の構造面の補強工法には以下の(i)〜(iii)の問題がある。
(i)エポキシ樹脂は粘性が高いため、刷手やローラにより塗布している。このため、構造面3の補強作業が完了するまでの期間が長く、施工工数が多く必要なので、施工コストが高い。
(ii)前記補強シート110 は面状であるから、エポキシ樹脂を補強シート110 に確実に含浸させるには、上記(IV)のごとく、構造面3に補強シート110 を張付けた後、空気溜まりが発生しないように、脱泡のためローラ処理を人手により入念に行っている。このため、構造面3の補強作業が完了するまでの期間が長く、施工工数が多く必要なので、施工コストが高い。
(iii)補強シート110 が通電素材である場合、電蝕の心配がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑み、構造面の補強作業が完了するまでの期間が短く安価な施工コストで、構造面の補強工事を行うことができる構造面の補強工法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の構造面の補強工法は、施工すべき構造面に、下地処理するステップと、下地処理された構造面に、接着剤を吹き付けて接着剤層を形成するステップと、前記接着剤層の表面に、補強線材が網状に形成され網目を有する補強ネットを貼付設置するステップと、前記補強ネットに向けて、接着保護剤を吹き付けて、接着保護層を形成するステップとを順に実行することを特徴とする。
請求項2の構造面の補強工法は、施工すべき構造面に、下地処理するステップと、下地処理された構造面に沿って、補強線材が網状に形成され網目を有する補強ネットを支持固定するステップと、前記補強ネットに向けて、接着保護剤を吹き付けて、接着保護層を形成するステップとを順に実行することを特徴とする。
請求項3の構造面の補強工法は、請求項1または2記載の発明において、前記補強線材の素材が、アラミド繊維であることを特徴とする
【0006】
請求項1の発明によれば、下地処理された構造面に、接着剤を吹付けて接着剤層を形成し、この接着剤層に補強ネットを貼付設置することにより、補強ネットの網目から空気が抜けるので空気溜りを防止でき、構造面に補強ネットを簡単に接着することができる。しかも、補強ネットに向けて接着保護剤を吹き付けることにより、接着保護剤は、補強ネットの補強線材に付着するとともに、補強ネットの網目を通して構造面に付着するから、構造面上に接着剤層、補強ネットおよび接着保護層が一体化した補強層を簡単に形成することができる。よって、手間をかけずに簡単に構造面を、確実かつ頑強に補強することができる。
請求項2の発明によれば、下地処理された構造面に沿って、補強ネットを支持固定しておき、補強ネットに接着保護剤を吹き付けることにより、接着保護剤は、補強ネットの補強線材に付着するとともに、補強ネットの網目を通して構造面に付着するから、構造面上に補強ネットおよび接着保護層が一体化した補強層を簡単に形成することができる。よって、手間をかけず簡単に構造面を、確実かつ頑強に補強することができる。しかも、接着剤が必要ないから、施工コストが安い。
請求項3の発明によれば、アラミド繊維は、可撓性に優れているので、素材がアラミド繊維の補強線材で構成された補強ネットは、複雑な面への追随性が良く、しかも電気を通さないので電蝕の問題がない。
【0007】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の構造面の補強工法における施工説明図である。同図において、符号3は本発明の構造面の補強工法を適用しうる構造面を示している。この構造面3としては、トンネルの内壁面や床板の表面、コンクリート構造面、モルタル面、岩石面など、種々の構造面に適用することができる。
【0008】
図2は、本発明の構造面の補強工法のフローチャートである。図1および図2(I)に示すように、第1ステップとして、前記構造面3に、清掃、サンダー処理、ブラスト処理、プライマー処理等の下地処理を行う。この下地処理により、次ステップで構造面3に吹き付けられた接着剤4Sの構造面3に対する接着力を向上させることができる。
なお、下地処理として具体的に何を行うかは、構造面3の状態に応じて決めればよい。
【0009】
図1および図2(II)に示すように、第2ステップとして、下地処理された構造面3の表面に、接着剤4Sを吹き付けて、接着剤層4を形成する。
接着剤4Sは、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコン樹脂系、フッ素樹脂系、アルギド樹脂系、架橋型アクリル樹脂系、ポリウレア樹脂系、ビニル樹脂系、ポリイミド樹脂系など、吹き付け可能な樹脂であればよい。エポキシ樹脂であっても、吹き付けができるものであれば、接着剤4Sとして使用できる。
接着剤4Sの吹き付けには、エアレススプレーやエアースプレー等の吹付装置によって、吹付けノズル30により全面吹付けすればよい。
【0010】
図1および図2(III)に示すように、第3ステップとして、接着剤層4の上面に、補強ネット10を貼付設置する。
【0011】
この補強ネット10を説明する。
補強ネット10は、補強線材として複数の横紐21と複数の縦紐22が網目状に配設され、横紐21と縦紐22とはその交差点において互いに織り込まれたものである。隣接する横紐21,21と隣接する縦紐22,22とで囲まれた空間が網目23である。
なお、横紐21と縦紐22とが、その交差点において織り込まれたものだけでなく、横紐21と縦紐22とが単に重ね合わされたものであってもよい。
【0012】
横紐21および縦紐22は、いずれもアラミド繊維や炭素繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等の合成繊維の糸が束ねられたものである。このため、補強ネット10は、引張力に対して非常に強く、しかも可撓性が高いので、凸凹の多い粗面な構造面3であっても、その上面に密接に設置することができる。
【0013】
とくに、横紐21および縦紐22は、素材がアラミド繊維のものが好適である。アラミド繊維は、可撓性に優れているので、素材がアラミド繊維の横線材21および縦線材22で構成された補強ネット10は、複雑な面への追随性が良く、しかも電気を通さないので電蝕の問題がない。
【0014】
このため、前記接着剤層4に補強ネット10を貼付設置することにより、補強ネット10の網目23から空気が抜けるので空気溜りを防止でき、構造面3に補強ネット10を簡単に接着することができる。
【0015】
図3は接着保護層5の形成ステップを示す説明図である。図2(IV)および図3に示すように、第4ステップとして、補強ネット10の上から接着保護剤5Sを吹き付けて、接着保護層5を形成する。この接着保護層5により、補強ネット10の網目23を通して、接着剤層4に補強ネット10を確実に接着することができる。
接着保護剤5Sとしては、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコン樹脂系、フッ素樹脂系、アルギド樹脂系、架橋型アクリル樹脂系、ポリウレア樹脂系、ビニル樹脂系、ポリイミド樹脂系など、吹き付け可能な樹脂であればよい。エポキシ樹脂であっても、吹き付けができるものであれば、接着保護剤5Sとして使用できる。
接着保護剤5Sの吹き付けには、エアレススプレーやエアースプレー等の吹き付け装置によって、吹付けノズル40により全面吹付けすればよい。
【0016】
上記第1ステップ〜第4ステップを順に実行することによって、接着剤層4、補強ネット10および接着保護層5が一体となった補強層2を簡単に形成することができ、この補強層2によって構造面3を補強することができる。
とくに、構造面3が岩石面の場合、補強層2によって軟岩や浮石が落石するのを防止することができるので好適である。
【0017】
なお、前記補強層2の接着保護層5の上面に、新たな補強ネット10を貼付設置し、この補強ネット10の上から接着保護材5Sを吹き付けて新たな接着保護層5を形成してもよい。この場合、構造面3をより頑強に補強することができるので好適である。
さらになお、前記補強ネット10の貼付設置ステップと接着保護層5の形成ステップを、複数回繰り返し実行してもよく、構造面3の状況に応じて補強すればよい。
【0018】
つぎに、本発明の構造面の補強工法による作用・効果を説明する。
本発明の構造面の補強工法によれば、下地処理された構造面3に、接着剤4Sを吹付けて接着剤層4を形成し、この接着剤層4に補強ネット10を貼付設置することにより、補強ネット10の網目23から空気が抜けるので空気溜りを防止でき、構造面3に補強ネット10を簡単に接着することができる。しかも、補強ネット10に向けて接着保護剤5Sを吹き付けることにより、接着保護剤5Sは、補強ネット10の補強線材21,22に付着するとともに、補強ネット10の網目23を通して接着剤層4に付着するから、構造面3の上に接着層4、補強ネット10および接着保護層5が一体化した補強層2を簡単に形成することができる。よって、手間をかけずに簡単に構造面3を、確実かつ頑強に補強することができる。
【0019】
本発明の構造面の補強工法において、前記第2ステップは必ずしも実行しなくてもよい。つまり、図4に示すように、第1ステップとして構造面3の下地処理を実行した後に、構造面3の上面に接着剤を吹き付けるステップを実行せず、構造面3に沿って補強ネット10を支持固定しておき、補強ネット10の上から接着保護剤5Sを吹付けて接着保護層5を形成してもよい。補強ネット10を支持固定するには、テープや接着剤で補強ネット10を構造面3に仮止めしたり、固定用フックや固定用ピンを補強ネット10とともに構造面3に打ち込んで固定すればよい。
この場合、接着保護剤5Sは、補強ネット10の補強線材21,22に付着するとともに、補強ネット10の網目23を通して構造面3に付着するから、構造面3の上に補強ネット10および接着保護層5が一体化した補強層2を簡単に形成することができる。よって、手間をかけず簡単に、構造面3を、確実かつ頑強に補強することができる。しかも、接着剤が必要ないから、施工コストが安い。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、下地処理された構造面に、接着剤を吹付けて接着剤層を形成し、この接着剤層に補強ネットを貼付設置することにより、補強ネットの網目から空気が抜けるので空気溜りを防止でき、構造面に補強ネットを簡単に接着することができる。しかも、補強ネットに向けて接着保護剤を吹き付けることにより、接着保護剤は、補強ネットの補強線材に付着するとともに、補強ネットの網目を通して構造面に付着するから、構造面上に接着剤層、補強ネットおよび接着保護層が一体化した補強層を簡単に形成することができる。よって、手間をかけずに簡単に構造面を、確実かつ頑強に補強することができる。
請求項2の発明によれば、下地処理された構造面に沿って、補強ネットを支持固定しておき、補強ネットに接着保護剤を吹き付けることにより、接着保護剤は、補強ネットの補強線材に付着するとともに、補強ネットの網目を通して構造面に付着するから、構造面上に補強ネットおよび接着保護層が一体化した補強層を簡単に形成することができる。よって、手間をかけず簡単に構造面を、確実かつ頑強に補強することができる。しかも、接着剤が必要ないから、施工コストが安い。
請求項3の発明によれば、アラミド繊維は、可撓性に優れているので、素材がアラミド繊維の補強線材で構成された補強ネットは、複雑な面への追随性が良く、しかも電気を通さないので電蝕の問題がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構造面の補強工法における施工説明図である。
【図2】本発明の構造面の補強工法の手順を示すフローチャートである。
【図3】接着保護剤5Sの吹き付けステップを示す説明図である。
【図4】他の発明の構造面の補強工法の手順を示すフローチャートである。
【図5】従来の構造面の補強工法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3 構造面
4 接着剤層
4S 接着剤
5 接着保護層
5S 接着保護剤
10 補強ネット
21 横線材
22 縦線材
23 網目
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造面の補強工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の構造面の補強工法の手順を示すフローチャートである。同図に示すように、従来の構造面の補強工法は以下のステップを順に実行するものである。
(I)施工すべき構造面3に、清掃、サンダー処理、ブラスト処理、プライマー処理等の下地処理を行う。
(II)下地処理された構造面3の上面に、人手により刷手やローラでエポキシ樹脂を接着剤として塗布し、エポキシ樹脂層104 を形成する。
(III)ガラス繊維製のシート状の補強シート110 を、前記エポキシ樹脂層104 の上面に貼付け、エポキシ樹脂を補強シート110 に含浸させる。
(VI)構造面3と補強シート110 との間に空気溜まりが発生しないように、脱泡のためローラ処理を人手により入念に行う。
(V)補強シート110 の上面に、人手により刷手やローラでエポキシ樹脂を接着保護剤として塗布し、エポキシ樹脂層105 を形成する。
上記(I)〜(V)のステップを順に実行することにより、エポキシ樹脂層104 ,105 のエポキシ樹脂と補強シート110 のガラス繊維が硬化一体化して繊維強化樹脂(FRP )となり構造面の補強工事を施工することができる。施工後の構造面によれば、補強シート110 およびエポキシ樹脂層104、105 によって、構造面3を補強することができるので、構造物の耐力を増加できるとともに、クラックや崩落を防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来の構造面の補強工法には以下の(i)〜(iii)の問題がある。
(i)エポキシ樹脂は粘性が高いため、刷手やローラにより塗布している。このため、構造面3の補強作業が完了するまでの期間が長く、施工工数が多く必要なので、施工コストが高い。
(ii)前記補強シート110 は面状であるから、エポキシ樹脂を補強シート110 に確実に含浸させるには、上記(IV)のごとく、構造面3に補強シート110 を張付けた後、空気溜まりが発生しないように、脱泡のためローラ処理を人手により入念に行っている。このため、構造面3の補強作業が完了するまでの期間が長く、施工工数が多く必要なので、施工コストが高い。
(iii)補強シート110 が通電素材である場合、電蝕の心配がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑み、構造面の補強作業が完了するまでの期間が短く安価な施工コストで、構造面の補強工事を行うことができる構造面の補強工法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の構造面の補強工法は、施工すべき構造面に、下地処理するステップと、下地処理された構造面に、接着剤を吹き付けて接着剤層を形成するステップと、前記接着剤層の表面に、補強線材が網状に形成され網目を有する補強ネットを貼付設置するステップと、前記補強ネットに向けて、接着保護剤を吹き付けて、接着保護層を形成するステップとを順に実行することを特徴とする。
請求項2の構造面の補強工法は、施工すべき構造面に、下地処理するステップと、下地処理された構造面に沿って、補強線材が網状に形成され網目を有する補強ネットを支持固定するステップと、前記補強ネットに向けて、接着保護剤を吹き付けて、接着保護層を形成するステップとを順に実行することを特徴とする。
請求項3の構造面の補強工法は、請求項1または2記載の発明において、前記補強線材の素材が、アラミド繊維であることを特徴とする
【0006】
請求項1の発明によれば、下地処理された構造面に、接着剤を吹付けて接着剤層を形成し、この接着剤層に補強ネットを貼付設置することにより、補強ネットの網目から空気が抜けるので空気溜りを防止でき、構造面に補強ネットを簡単に接着することができる。しかも、補強ネットに向けて接着保護剤を吹き付けることにより、接着保護剤は、補強ネットの補強線材に付着するとともに、補強ネットの網目を通して構造面に付着するから、構造面上に接着剤層、補強ネットおよび接着保護層が一体化した補強層を簡単に形成することができる。よって、手間をかけずに簡単に構造面を、確実かつ頑強に補強することができる。
請求項2の発明によれば、下地処理された構造面に沿って、補強ネットを支持固定しておき、補強ネットに接着保護剤を吹き付けることにより、接着保護剤は、補強ネットの補強線材に付着するとともに、補強ネットの網目を通して構造面に付着するから、構造面上に補強ネットおよび接着保護層が一体化した補強層を簡単に形成することができる。よって、手間をかけず簡単に構造面を、確実かつ頑強に補強することができる。しかも、接着剤が必要ないから、施工コストが安い。
請求項3の発明によれば、アラミド繊維は、可撓性に優れているので、素材がアラミド繊維の補強線材で構成された補強ネットは、複雑な面への追随性が良く、しかも電気を通さないので電蝕の問題がない。
【0007】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の構造面の補強工法における施工説明図である。同図において、符号3は本発明の構造面の補強工法を適用しうる構造面を示している。この構造面3としては、トンネルの内壁面や床板の表面、コンクリート構造面、モルタル面、岩石面など、種々の構造面に適用することができる。
【0008】
図2は、本発明の構造面の補強工法のフローチャートである。図1および図2(I)に示すように、第1ステップとして、前記構造面3に、清掃、サンダー処理、ブラスト処理、プライマー処理等の下地処理を行う。この下地処理により、次ステップで構造面3に吹き付けられた接着剤4Sの構造面3に対する接着力を向上させることができる。
なお、下地処理として具体的に何を行うかは、構造面3の状態に応じて決めればよい。
【0009】
図1および図2(II)に示すように、第2ステップとして、下地処理された構造面3の表面に、接着剤4Sを吹き付けて、接着剤層4を形成する。
接着剤4Sは、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコン樹脂系、フッ素樹脂系、アルギド樹脂系、架橋型アクリル樹脂系、ポリウレア樹脂系、ビニル樹脂系、ポリイミド樹脂系など、吹き付け可能な樹脂であればよい。エポキシ樹脂であっても、吹き付けができるものであれば、接着剤4Sとして使用できる。
接着剤4Sの吹き付けには、エアレススプレーやエアースプレー等の吹付装置によって、吹付けノズル30により全面吹付けすればよい。
【0010】
図1および図2(III)に示すように、第3ステップとして、接着剤層4の上面に、補強ネット10を貼付設置する。
【0011】
この補強ネット10を説明する。
補強ネット10は、補強線材として複数の横紐21と複数の縦紐22が網目状に配設され、横紐21と縦紐22とはその交差点において互いに織り込まれたものである。隣接する横紐21,21と隣接する縦紐22,22とで囲まれた空間が網目23である。
なお、横紐21と縦紐22とが、その交差点において織り込まれたものだけでなく、横紐21と縦紐22とが単に重ね合わされたものであってもよい。
【0012】
横紐21および縦紐22は、いずれもアラミド繊維や炭素繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等の合成繊維の糸が束ねられたものである。このため、補強ネット10は、引張力に対して非常に強く、しかも可撓性が高いので、凸凹の多い粗面な構造面3であっても、その上面に密接に設置することができる。
【0013】
とくに、横紐21および縦紐22は、素材がアラミド繊維のものが好適である。アラミド繊維は、可撓性に優れているので、素材がアラミド繊維の横線材21および縦線材22で構成された補強ネット10は、複雑な面への追随性が良く、しかも電気を通さないので電蝕の問題がない。
【0014】
このため、前記接着剤層4に補強ネット10を貼付設置することにより、補強ネット10の網目23から空気が抜けるので空気溜りを防止でき、構造面3に補強ネット10を簡単に接着することができる。
【0015】
図3は接着保護層5の形成ステップを示す説明図である。図2(IV)および図3に示すように、第4ステップとして、補強ネット10の上から接着保護剤5Sを吹き付けて、接着保護層5を形成する。この接着保護層5により、補強ネット10の網目23を通して、接着剤層4に補強ネット10を確実に接着することができる。
接着保護剤5Sとしては、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコン樹脂系、フッ素樹脂系、アルギド樹脂系、架橋型アクリル樹脂系、ポリウレア樹脂系、ビニル樹脂系、ポリイミド樹脂系など、吹き付け可能な樹脂であればよい。エポキシ樹脂であっても、吹き付けができるものであれば、接着保護剤5Sとして使用できる。
接着保護剤5Sの吹き付けには、エアレススプレーやエアースプレー等の吹き付け装置によって、吹付けノズル40により全面吹付けすればよい。
【0016】
上記第1ステップ〜第4ステップを順に実行することによって、接着剤層4、補強ネット10および接着保護層5が一体となった補強層2を簡単に形成することができ、この補強層2によって構造面3を補強することができる。
とくに、構造面3が岩石面の場合、補強層2によって軟岩や浮石が落石するのを防止することができるので好適である。
【0017】
なお、前記補強層2の接着保護層5の上面に、新たな補強ネット10を貼付設置し、この補強ネット10の上から接着保護材5Sを吹き付けて新たな接着保護層5を形成してもよい。この場合、構造面3をより頑強に補強することができるので好適である。
さらになお、前記補強ネット10の貼付設置ステップと接着保護層5の形成ステップを、複数回繰り返し実行してもよく、構造面3の状況に応じて補強すればよい。
【0018】
つぎに、本発明の構造面の補強工法による作用・効果を説明する。
本発明の構造面の補強工法によれば、下地処理された構造面3に、接着剤4Sを吹付けて接着剤層4を形成し、この接着剤層4に補強ネット10を貼付設置することにより、補強ネット10の網目23から空気が抜けるので空気溜りを防止でき、構造面3に補強ネット10を簡単に接着することができる。しかも、補強ネット10に向けて接着保護剤5Sを吹き付けることにより、接着保護剤5Sは、補強ネット10の補強線材21,22に付着するとともに、補強ネット10の網目23を通して接着剤層4に付着するから、構造面3の上に接着層4、補強ネット10および接着保護層5が一体化した補強層2を簡単に形成することができる。よって、手間をかけずに簡単に構造面3を、確実かつ頑強に補強することができる。
【0019】
本発明の構造面の補強工法において、前記第2ステップは必ずしも実行しなくてもよい。つまり、図4に示すように、第1ステップとして構造面3の下地処理を実行した後に、構造面3の上面に接着剤を吹き付けるステップを実行せず、構造面3に沿って補強ネット10を支持固定しておき、補強ネット10の上から接着保護剤5Sを吹付けて接着保護層5を形成してもよい。補強ネット10を支持固定するには、テープや接着剤で補強ネット10を構造面3に仮止めしたり、固定用フックや固定用ピンを補強ネット10とともに構造面3に打ち込んで固定すればよい。
この場合、接着保護剤5Sは、補強ネット10の補強線材21,22に付着するとともに、補強ネット10の網目23を通して構造面3に付着するから、構造面3の上に補強ネット10および接着保護層5が一体化した補強層2を簡単に形成することができる。よって、手間をかけず簡単に、構造面3を、確実かつ頑強に補強することができる。しかも、接着剤が必要ないから、施工コストが安い。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、下地処理された構造面に、接着剤を吹付けて接着剤層を形成し、この接着剤層に補強ネットを貼付設置することにより、補強ネットの網目から空気が抜けるので空気溜りを防止でき、構造面に補強ネットを簡単に接着することができる。しかも、補強ネットに向けて接着保護剤を吹き付けることにより、接着保護剤は、補強ネットの補強線材に付着するとともに、補強ネットの網目を通して構造面に付着するから、構造面上に接着剤層、補強ネットおよび接着保護層が一体化した補強層を簡単に形成することができる。よって、手間をかけずに簡単に構造面を、確実かつ頑強に補強することができる。
請求項2の発明によれば、下地処理された構造面に沿って、補強ネットを支持固定しておき、補強ネットに接着保護剤を吹き付けることにより、接着保護剤は、補強ネットの補強線材に付着するとともに、補強ネットの網目を通して構造面に付着するから、構造面上に補強ネットおよび接着保護層が一体化した補強層を簡単に形成することができる。よって、手間をかけず簡単に構造面を、確実かつ頑強に補強することができる。しかも、接着剤が必要ないから、施工コストが安い。
請求項3の発明によれば、アラミド繊維は、可撓性に優れているので、素材がアラミド繊維の補強線材で構成された補強ネットは、複雑な面への追随性が良く、しかも電気を通さないので電蝕の問題がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構造面の補強工法における施工説明図である。
【図2】本発明の構造面の補強工法の手順を示すフローチャートである。
【図3】接着保護剤5Sの吹き付けステップを示す説明図である。
【図4】他の発明の構造面の補強工法の手順を示すフローチャートである。
【図5】従来の構造面の補強工法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3 構造面
4 接着剤層
4S 接着剤
5 接着保護層
5S 接着保護剤
10 補強ネット
21 横線材
22 縦線材
23 網目
Claims (3)
- 施工すべき構造面に、下地処理するステップと、
下地処理された構造面に、接着剤を吹き付けて接着剤層を形成するステップと、前記接着剤層の表面に、補強線材が網状に形成され網目を有する補強ネットを貼付設置するステップと、
前記補強ネットに向けて、接着保護剤を吹き付けて、接着保護層を形成するステップとを順に実行する
ことを特徴とする構造面の補強工法。 - 施工すべき構造面に、下地処理するステップと、
下地処理された構造面に沿って、補強線材が網状に形成され網目を有する補強ネットを支持固定するステップと、
前記補強ネットに向けて、接着保護剤を吹き付けて、接着保護層を形成するステップとを順に実行する
ことを特徴とする構造面の補強工法。 - 前記補強線材の素材が、
アラミド繊維である
ことを特徴とする請求項1または2記載の構造面の補強工法。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007278043A (ja) * | 2006-04-12 | 2007-10-25 | Ohbayashi Corp | 鉄筋コンクリート構造部材の補強方法及び補強構造 |
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JP2018089884A (ja) * | 2016-12-06 | 2018-06-14 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 被覆部材及び被覆方法 |
CN115162221A (zh) * | 2016-10-14 | 2022-10-11 | 杜邦公司 | 用于隧道中拦截落石的防护网 |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002189412A patent/JP2004027764A/ja active Pending
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