JP2004022606A - 金属基板の加工処理方法及びその方法により加工された金属基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属基板1の周辺領域を、金属基板1を支持するブリッジ部Bを支持部2に残してプレス抜き(穿設工程)し、その後、切断面Cにおいてブリッジ部Bを切断(切断工程)し、切断した金属基板1の戻し(プッシュバック工程)を行い、元の位置よりも金属基板の回路パターン面が高さhだけ突出さす。穿設工程は、回路パターン形成面の反対側から行い、切断工程は回路パターン面から行う。金属基板側の切断線の両端延長上の領域に凹所a,bを設け、外形パンチの位置ずれ対策とする。ブリッジ部Bは、金属基板の外形線に斜め方向θから接するものとし、ブリッジ部Bの幅dは適度な弾性力を生じる幅とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放熱用の金属板ベースの上に回路パターンが形成処理された金属回路基板材から所望の複数の金属基板をプレス打抜きにより形成する加工処理方法及びその方法により加工された金属基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器に用いられるプリント基板の放熱性を高めるため金属板をベースにしてその上に絶縁体を介して回路を形成した金属基板があり、金属回路基板材から分離してこれらの個々の金属基板を得る方法として、Vカット法やルータによる方法が従来から知られている。これらの方法は、電子機器の製造において、製造効率を上げ、省力化を図るために、複数の金属基板を集合金属基板として一括して扱い、金属基板への部品の搭載が終わった段階で個々に切り離す方法として用いられるものであり、各金属基板は、全外周を完全に切断されてはおらず、集合金属基板上で物理的に一体のものである。例えば、Vカット法では、図9に示されるように、複数の金属基板1とその周辺の支持部2からなる集合金属基板3において、金属基板1の外周に沿って金属基板の両面から破断用のV型の溝Vが切削加工により構成される。金属基板1への部品搭載が終わった段階において、溝Vを曲げ等により破断して個々の電子部品が得られるものである。この溝Vは、金属基板への部品搭載工程において金属基板1を集合金属基板3に保持する強度を持たせると共に、その後の工程における個々の金属基板1への分離(個片化)をできるだけ容易にしようとするものであり、溝Vの底部に薄肉部分を残して構成される。また、ルータによる方法では、金属基板保持用の数カ所を残して、ルータを用いた切削加工により金属基板の外周を取り除くものであり、Vカット法がほぼ直線加工しかできないのと異なり、ルータを用いた方法では自由な形状の外形加工が可能である。上記の2例とは別に、プレス加工により打ち抜いた製品を元の位置に戻して製品の集合体を形成するプッシュバック法が知られている。このプッシュバック法では、各製品の全外周が完全に切断されており、各製品は、製品の集合体上で摩擦により機械的に保持されているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したVカット法やルータによる方法では、それぞれ次のような問題がある。Vカット法においては、後工程において曲げによる破断を行うことへの対応のため、V溝としてほぼ直線のものしか利用できなく、金属基板の外形に丸みを持たせることができない。また、V溝に残した薄肉部を折り曲げにより破断して金属基板を個片化するため、金属基板の側面破断面にばりが生じる。ルータによる方法では、自在に曲線加工が可能であり、丸みを帯びた外形の金属基板を得ることができるが、多くの加工時間が必要である。また、この方法による集合金属基板からの金属基板の個片化は、ルータ加工せずに残した金属基板保持用の数カ所を、金属基板への部品搭載等の工程の後に、別途、プレス機等を用いて機械加工による切断をする必要があり、また、プレス機によらずに折り曲げにより破断するとばりが発生するという問題がある。また、上述した従来のプッシュバック法では、単純に原材料から製品の外形切断を行った後、そのまま元の位置に戻すことや、製品外周の狭い領域を取り除いただけで外形切断した製品をもとの位置にもどすことが行われている。このため、個々の製品は、製品の外形の大部分の領域で原材料と接触して製品の集合体として強固に保持されているため、その後の工程における個々の製品へ分離する個片化が容易でないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記の課題を解消するものであって、金属基板の加工処理が迅速に行え、一括取扱のための集合金属基板として必要な、部品搭載等の後工程における十分な保持強度を有すると共に、はんだペースト印刷処理に適した金属基板の回路パターン面の突出した構造を有し、金属基板への部品搭載等の工程の後の個片化が容易であり、かつ個片化した金属基板にばりの発生がない外形形状と加工品質に優れた金属基板が得られる金属基板の加工処理方法及びその方法により加工された金属基板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、請求項1の発明は、回路パターンが形成処理された金属回路基板材から所望の複数の金属基板をプレス打抜きにより形成すると共に、当該金属基板の抜き戻し(プッシュバック)を行い、はんだペースト印刷処理工程に供する、集合金属基板を形成する金属基板の加工処理方法において、前記金属回路基板材における金属基板部分の外形線に沿う周辺領域を、金属基板の外形線に対し斜め方向から接して金属基板を支持するブリッジ部を支持部に残して、金属回路基板材の板厚方向に関し当該回路パターン形成面でない面の方向から当該回路パターン形成面の方向に向けて、第1の金型によりプレス打抜きを行い、除去する穿設工程と、前記ブリッジ部を残して外周に沿う領域を除去した金属基板の外形線に沿って第2の金型により、金属回路基板材の板厚方向に関し回路パターン形成面の側から当該回路パターン形成面ではない面の側に向けて、金属基板を打抜き、前記ブリッジ部を切断する切断工程と、前記打抜きにより切断された金属基板を、戻し金型により切断前の位置に戻し、かつ、該金属基板の回路パターン形成面が金属回路基板材の支持部表面よりも僅かに突出する位置に戻すプッシュバック工程と、からなるものである。
【0006】
上記の金属基板の加工処理方法においては、金属基板を保持するブリッジ部を支持部から金属基板の外形線に対し斜め方向に接するようにしたので、ブリッジ部の弾性による弾性力を利用して、集合基板として金属基板を保持する強度と、最終段階で金属基板を個片化する容易性を適度に備えた集合基板を構成することができる。また、上記の金属基板の加工処理方法においては、金属基板部分の外形線に沿う周辺領域を、金属基板を支持するブリッジ部を支持部に残して、除去し、その後、金属基板の外形に沿ってブリッジ部を切断し、切断した金属基板のプッシュバックを行い元の位置よりも金属基板の回路パターン面が突出するようにしたので、後処理においてパターン面に対して行うはんだペーストの塗布に適した集合金属基板が得られる。また、穿設工程は、回路パターン形成面の反対側から行い、切断工程は回路パターン面から行うこととしたので、回路パターンの周辺部分にプレス加工による「だれ」の発生がないため、回路パターンの剥離が発生しなく、また、回路パターン裏面の金属面エッジには「だれ」の発生により適度に丸みを持たせることができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の金属基板の加工処理方法において、金属基板からブリッジ部を切断する金属基板側の切断線が該金属基板の外形線の略延長線上にあると共に、その切断線の両端延長上の領域が金属基板外形線に対して凹所となるものである。
【0008】
上記の金属基板の加工処理方法においては、金属基板からブリッジ部を切断する金属基板側の切断線の両端延長上の領域が金属基板外形線に対して凹所としているので、外形パンチによるブリッジ部の切断において、パンチの位置ずれによるばりの発生を回避した切断が可能となる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の方法により加工された金属基板である。この金属基板においては、プレス機による打抜き加工により迅速に集合金属基板としての金属基板が得られ、金属基板の後処理において一括処理が可能であり、取り扱いの利便性が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る金属基板の加工処理方法の概要とその方法により加工された金属基板について、図1乃至図3を参照して説明する。図面中の共通する部材には同一符号を付して重複説明を省略する。まず、金属基板の構造について説明する。図1(a)に示されるように、金属回路基板1は、放熱及び基板ベースとしての厚さ約2mmのアルミ板の表面に絶縁物を介して回路パターンが形成されたものであり、おもて面が回路パターン形成面Pであり、裏面がアルミ金属面Aである。金属基板1の回路パターン形成面Pには回路パターン11があり、ここには例えば大容量の発光ダイオードなどがはんだ付けにより搭載され、この金属基板1は、4隅の基板孔12を介して照明器具に取り付けられる。この金属基板1は、金属基板1を囲む支持部2から伸びるブリッジ部Bによりブリッジ部切断面Cの4点で摩擦力により支持されて、支持部2と共に集合金属基板3を構成している。金属基板1が10個集合した集合金属基板3が図1(b)に示されている。基準孔21は、集合金属基板3上に金属基板1を形成する時に位置決め用に使われる孔である。このような集合金属基板3は、この集合金属基板の状態で、後工程に向けて梱包出荷され、後工程においても、この状態ではんだペースト塗布、部品搭載が行われる。最終段階である照明器具への取付段階において初めて、各金属基板が個片化される。
【0011】
金属基板1と支持部2とブリッジ部Bの詳細について、図2を参照して説明する。金属基板1を支えるブリッジ部Bは、図2(a)に示されるように、支持部2の1辺から約2.5mmの間隙Gをもって対向する金属基板1の辺に向かって角度θ(例えばθ=45゜)の傾きをもって伸びている。そのブリッジ部の幅dは、約0.7mmである。また、ブリッジ部Bが金属基板1に接する切断面Cでは、ブリッジ部Bが金属基板1の外形線に対し斜め方向から接するため、斜めに伸びたブリッジ部Bの弾性力により摩擦力が発生して、ブリッジ部Bにより金属基板1が支えられている。また、ブリッジ部Bの幅d、ブリッジ部の角度θ、及び金属基板材料の材料特性等を考慮してブリッジ部Bを構成することにより、この摩擦力を適正に発生さすことができ、集合金属基板3の一括処理時における保持強度と、最終段階における金属基板1の個片化の容易性とを兼ね備えた集合金属基板を得ることができる。また、金属基板1とブリッジ部Bを切断する切断面Cは、金属基板側の切断線が金属基板の外形線の略延長線上に設けられ、金属基板1の外形の一部を構成している。この切断面Cを形成する際、金型の位置合わせ精度を緩和するため、その切断面Cの両端延長上の領域には金属基板外形線に対して凹所となる凹所a、及び凹所bが形成されている。上記の間隙Gと切断面Cは、後述するパンチ加工により形成されるものである。
【0012】
金属基板1と支持部2の厚み方向における位置関係は、図2(b)のK−K断面に示されるように、切断面Cを境にして、金属基板1が支持部より高さh(例えば0.2mm)だけ金属基板1の回路パターン11のあるおもて面側に突出した位置関係になっている。この位置関係は、集合金属基板3上の複数の金属基板に対して、はんだペーストを一括してスクリーン印刷するときに印刷版の「版離れ性」の確保などの印刷条件にとって特に好都合な構造になっている。
【0013】
また、上記の集合金属基板3の断面構造の形成は、図3に示されるように、プレス加工における3段階の工程により行われる。まず、第1の工程(穿設工程)において、図3(a)に示されるように、回路パターンが形成された金属回路基板材30の裏面であるアルミ金属面A側から回路パターン11の施されている回路パターン形成面Pに向けて、第1の金型により、金属基板1の周辺領域が打抜片Xとして打抜かれて取り除かれる。この時、金属基板1を支持するブリッジ部は、金属基板1の図示されていない90゜回転方向の他の2辺に切断されずに残されている。次に、第2の工程(切断工程)において、図3(b)に示されるように(同図は、前図における金属回路基板材30を上下逆にし、かつ、90゜回転した状態の図)、ブリッジ部Bを残して金属基板1の外形線に沿って第2の金型により、回路パターン形成面Pの側からアルミ面A側に向けて、金属基板1を基板厚みの途中まで打抜かれる。最後に、第3の工程(プッシュバック工程)において、図3(c)に示されるように、前記打抜きにより切断された金属基板1を、戻し金型により、切断前の位置から、さらに、金属基板の回路パターン形成面Pが金属回路基板材30の支持部表面よりも僅かに突出する位置まで戻される。
【0014】
上記の3段階のプレス加工における、打抜きの方向は、回路パターンを保護する効果、及び金属基板の金属部分の仕上げ面の形成を意図したものである。図3において、プレス金型により打ち抜かれる際に、金属回路基板材30の各部分は、抜く側と抜かれる側が相対的な移動を行うが、移動方向前面にあるエッジ部は、切断の際に材料が引き込まれ、丸みを帯びて「だれR」が形成され、他方、移動方向背面にあるエッジ部は、金型に接していることにより、シャープな状態となる。回路パターン11に対しては、回路パターン11の近傍に「だれ」が発生すると、回路パターンの剥離や欠けが発生することになり、製品品質及び信頼性の観点から都合が悪く、回路パターン形成面側における「だれ」の発生は避けなければならない。また、金属基板の裏面となるアルミ面Aは、部品搭載もされずそのまま外形面となり、取り扱い時も、人の手などの他との接触が行われるところであり、「ばり」やシャープなエッジがない方が好ましい。そこで、上記図3に示したような打ち抜きの方向を採用することにより、金属基板1の回路パターン形成面P側のエッジ部に「だれ」が形成されないため、回路パターンを損なうことが無く、アルミ面A側のエッジ部にはシャープなところがなく丸みを帯びた仕上げ面として好都合の形状とすることができる。
【0015】
次に、本発明の一実施形態に係る金属基板の加工処理方法の詳細について、プレス金型とその動きに基づいて図4乃至図8を参照して説明する。第1の金型(ダイ)4は、図4に示されるように、金属回路基板材30の略横方向に間隙を形成するパンチの逃げである横方向パンチ逃げ41と、同様に、基板孔パンチ逃げ42、及び縦方向パンチ逃げ43とを有している。また、金属回路基板材30を第1の金型(ダイ)4の上に載置するとき、予め金属回路基板材30に設けられている基準穴に挿入して位置決めするための基準ピン44が、第1の金型(ダイ)4に設けられている。また、第1の金型(パンチ)5は、図5に示されるように、上記のダイに対応した横方向パンチ51、基準孔パンチ52、そして縦方向パンチ53を有している。上述した第1の工程における穿設処理は、図4に示される第1の金型(ダイ)4を下方に設け、図5に示される第1の金型(パンチ)5を上方に設けて、両者の間に金属回路基盤材Mを挿入し、金属回路基板材30を順送方向Mの方向に順送しながらパンチ加工処理が行われる。
【0016】
上記の金属回路基板材30を順送しながら行う穿設処理は、図6に示されるように、通常、金属回路基板材30上の4個の金属基板を対象として行われる。順送方向Mに沿って金属回路基板材30を送るステップは、2つ横に並んだ1列の金属基板間隔毎に行われるため、最初の順送ステップでは、2個の金属基板を対象として横方向パンチだけが行われ、最後のステップでは、やはり2個の金属基板を対象として縦方向パンチと基板孔パンチだけが行われる。この穿設処理が終了した金属回路基板材30は、集合金属基板における支持部と金属基板がブリッジ部Bにより接合されたまま一体となっている平板状の状態である。
【0017】
次に、金属基板の切断とプッシュバックを行う第2の金型について説明する。第2の金型は、図7に示されるように、中央に並んだ2つの外形パンチ64を用いて、金属回路基板材30上に2個づつ並んだ1列の金属基板について切断処理、乃至プッシュバック処理を行う。図7(a)に示される平面図は、図7(b)に示される断面図におけるE−E矢視線の方向から外形パンチ64及びパンチ取付けプレート62等を見上げた状態を示している。また、図7(b)に示される断面図は、図7(a)に示される平面図におけるD−D矢視線における金型の断面を示している。第2の金型(上部)6について説明する。第2の金型(上部)6は、最上部の補助プレート61に固定ボルト63により固定されたパンチ取付プレート62と、ストリッパボルト68とばね69を介してパンチ取付プレート62下部に取り付けられたストリッパプレート(可動ストリッパ)67からなる。パンチ取付プレート62には、パンチ取付ガイドピン65により位置決めされ、パンチ取付ボルト66により固定された外形パンチ64を2個備えている。外形パンチ64は、ストリッパプレート67に設けられた貫通孔に摺動自在に密着して挿通されており、ストリッパプレート67は、この外形パンチ64に対して上下移動可能である。第2の金型(上部)6が上方にあるとき、ストリッパプレート67は、ばね69により下方に付勢されており、ストリッパプレート67の下面は、外形パンチ64の下面よりも、下方に位置している。
【0018】
第2の金型(下部)7について説明する。第2の金型(下部)7は、上部のダイプレート71と一体になった下部の誘いプレート75、及び誘いプレート75に取付ボルト77により取り付けられた戻し機構78からなる。ダイプレート71には、中央部に設けられた貫通孔に摺動自在に密着挿通された2個の戻し金型72が設けられている。この戻し金型72は、前記貫通孔内で上下に移動可能である。戻し金型72の下部と戻し機構78の可動板781とは、戻しピン76により接続されている。戻し機構78の固定板787は、誘いプレート75に対して固定されており、可動板781は、ウレタンゴム782の付勢力により上方に持ち上げられている。第2の金型(下部)7が稼働していないとき、戻し金型72の上面は、ウレタンゴム782により付勢力されて、ダイプレート71の上面よりも所定の高さ(図2(b)における高さhに対応する高さ)だけ突出している。この突出高さは、戻しピン76の長さ寸法の調整により行われる。また、ダイプレート71には、戻し金型72の両側には2つの基準ピン73が突出して設けられ、対応するストリッパプレート67の位置には、基準ピン逃げ孔73aが設けられている。さらに、ダイプレート71には、ストリッパプレート67との相互の位置決めを行うためのガイドポスト74が設けられている。
【0019】
以上に述べた第2の金型を用いた金属基板の切断とプッシュバックについて、金型の動きと共に説明する。図8(a)に示されるように、外形パンチ64とストリッパプレート67が上昇している状態で、前記穿設処理が行われた金属回路基板材30が上下金型間に搬入され、図8(b)に示されるように、下金型の戻し金型72上に載置される。この時、図示していない基準ピンを用いて金属回路基板材の位置決めが行われる。次に、図8(c)に示されるように、上金型全体が下降すると、まずストリッパープレート67が金属回路基板材30に接触し、これを押圧すると共に、この押圧力により、戻し金型72が、戻し機構のウレタンゴム782(不図示)の付勢力に抗して下降する。さらに、上金型全体が下降すると、図8(d)に示されるように、ばね69(不図示)に抗して外形パンチ64が所定の位置まで下降して、金属回路基板材30における金属基板1と支持部2を接続しているブリッジ部が切断される。
【0020】
次に、図8(e)に示されるように、上金型全体が上昇すると、ストリッパプレート67は、ばね69(不図示)の付勢力により、なお金属回路基板材30の支持部2を押圧状態にあり、外形パンチ64が上昇する。このとき、金属基板1の下部にある戻し金型72が、ウレタンゴム782(不図示)の付勢力により外形パンチ64と共に上昇し、所定の高さ(高さh)で上昇が停止する。この、戻し金型72の上昇動作により金属基板1のプッシュバック工程が完了する。次に、なおも上金型全体が上昇し続けると、図8(f)に示されるように、ストリッパプレート67が金属回路基板材30の支持部から離脱する。この後、図8(g)に示されるように、下金型から金属回路基板材30がとり外され、図8(h)に示されるように、上下金型間から搬出される。金属回路基板材30上の全ての金属基板について切断処理とプッシュバック処理が行われると、集合金属基板が完成する。
【0021】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。金属基板を金属回路基板材上に多数配列した集合金属基板を形成する場合は、上下金型間において、各金属基板の配列のピッチに従い順送して、外形パンチによる切断処理とプッシュバック処理が行われる。この場合は、金属回路基板材から上方に突出した金属基板とストリッパプレートが干渉しないようにストリッパプレート下面に逃げのための凹所が設けられる。また、順送処理を行わずに、多数の金属基板に対して、多数のパンチを備えた金型により一括して処理を行うことも可能である。また、戻し機構に用いられるウレタンゴムは、スプリングなど他の弾性体でもかまわない。上記構成では、アルミ基材を用いた金属基板について説明したが、アルミ基材に限らず、銅基材などの金属基材であっても同様に本発明は適用可能である。また、金属基板を支持するブリッジ部の形状、個数、配置等は、金属基板の材質、金属基板のサイズや形状又は重量、金属基板を集合金属基板として処理するプロセス内容等により各条件に応じて最適のものとすることができる。ブリッジ部の形状は、その形状により弾力が生じる形状とするものであれば良く、例えば、幅広のブリッジ部に透かし孔を設けてブリッジ部に、局所的に小断面積の細線部を設けたものでも良い。また、適用する金属基板は、片面にのみ回路パターンがある回路基板に限らず、両面板あるいは多層板からなる金属基板でも適用可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、金属基板を保持するブリッジ部を支持部から金属基板の外形線に対し斜め方向に接するようにしたので、ブリッジ部に弾性を持たせることが可能となり、この弾性による弾性力を利用して、集合基板として金属基板を保持する強度と、最終段階で金属基板を個片化する容易性とを備えた集合金属基板を構成することができる。集合金属基板における各金属基板は、Vカット法やルータを用いた方法によるのと異なり、既に外形を切断したものであり、また、従来のプッシュバックによる方法と異なり、金属基板を保持するのに必要な保持力のみを発生するブリッジ部により保持されているので、その個片化は、ばりの発生もなく容易に行うことができる。また、切断した金属基板のプッシュバックにおいて、元の位置よりも金属基板の回路パターン面が突出するようにして、ブリッジ部により保持するようにしたので、後処理におけるはんだペーストの塗布に適した集合金属基板が得られる。また、穿設工程は、回路パターン形成面の反対側から行い、切断工程は回路パターン面から行うこととしたので、回路パターンの周辺部分にプレス加工による「だれ」の発生がなく、回路パターン裏面の金属面エッジには「だれ」の発生があり、従って、回路パターンの周辺部分の品質を損なうことがなく、さらに、回路パターン裏面の金属面エッジには適度に丸みを持たせることができる。以上のように、プレス処理による高速加工性と加工品質を生かし、後処理の容易性を備えた集合金属基板を得ることができる。
【0023】
また、請求項2の発明によれば、金属基板からブリッジ部を切断する金属基板側の切断線の両端延長上の領域を金属基板外形線に対して凹所としているので、外形パンチによるブリッジ部の切断において、パンチの位置ずれによるばりの発生を回避した切断が可能となる。
【0024】
また、請求項3の発明によれば、プレス機による打抜き加工により迅速に集合金属基板としての金属基板が得られるため安価な製造コストとなり、金属基板の後処理において一括処理が可能であり、取り扱いの利便性が得られる。集合金属基板からの個片化においても特段の道具も不要であるため、製造コストの低減が図られ、また、外形仕上がり品質の良い金属基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態による金属基板についての斜視図、(b)は同金属基板が複数集合した集合金属基板の斜視図。
【図2】(a)は同金属基板が支持部から伸びるブリッジ部により支持されている部分の詳細平面図、(b)はその断面図。
【図3】(a)は同金属基板を形成する第1の工程(穿設工程)を説明する断面図、(b)は同第2の工程(切断工程)を説明する断面図、(c)は同第3の工程(プッシュバック工程)を説明する断面図。
【図4】同上穿設工程に用いられる第1の金型(ダイ)の平面図。
【図5】同上穿設工程に用いられる第1の金型(パンチ)の斜視図。
【図6】同上穿設工程における加工状況を説明する斜視図。
【図7】(a)は同上切断工程及びプッシュバック工程に用いられる第2の金型(パンチ)の平面図、(b)は同切断工程及びプッシュバック工程に用いられる第2の金型の断面図。
【図8】同上切断工程及びプッシュバック工程の各工程における金型の動きを説明する金型断面図。
【図9】従来例のVカット法を用いた集合金属基板の斜視図。
【符号の説明】
1 金属基板
2 支持部
3 集合金属基板
4 第1の金型(ダイ)
5 第1の金型(パンチ)
6 第2の金型(上部)
7 第2の金型(下部)
30 金属回路基板材
64 外形パンチ
72 戻し金型
11 回路パターン
B ブリッジ部
C 切断面
P 回路パターン形成面
Claims (3)
- 回路パターンが形成処理された金属回路基板材から所望の複数の金属基板をプレス打抜きにより形成すると共に、当該金属基板の抜き戻し(プッシュバック)を行い、はんだペースト印刷処理工程に供する、集合金属基板を形成する金属基板の加工処理方法において、
前記金属回路基板材における金属基板部分の外形線に沿う周辺領域を、金属基板の外形線に対し斜め方向から接して金属基板を支持するブリッジ部を支持部に残して、金属回路基板材の板厚方向に関し当該回路パターン形成面でない面の方向から当該回路パターン形成面の方向に向けて、第1の金型によりプレス打抜きを行い、除去する穿設工程と、
前記ブリッジ部を残して外周に沿う領域を除去した金属基板の外形線に沿って第2の金型により、金属回路基板材の板厚方向に関し回路パターン形成面の側から当該回路パターン形成面ではない面の側に向けて、金属基板を打抜き、前記ブリッジ部を切断する切断工程と、
前記打抜きにより切断された金属基板を、戻し金型により切断前の位置に戻し、かつ、該金属基板の回路パターン形成面が金属回路基板材の支持部表面よりも僅かに突出する位置に戻すプッシュバック工程と、からなることを特徴とする金属基板の加工処理方法。 - 金属基板からブリッジ部を切断する金属基板側の切断線が該金属基板の外形線の略延長線上にあると共に、その切断線の両端延長上の領域が金属基板外形線に対して凹所となることを特徴とする請求項1記載の金属基板の加工処理方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の方法により加工された金属基板。
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JP2002171931A JP3709176B2 (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 金属基板の加工処理方法及びその方法により加工された金属基板 |
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