JP2004020176A - 超音波加熱法 - Google Patents

Abstract

【目的】超音波照射により高温を得る。
【構成】ジオール又はトリオール、もしくはそれらの混合液に超音波照射により温度上昇が見られる。ポリアルキレングリコール及びグリセロールは特に高温が得られる。

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、超音波を利用した加熱方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
加熱には、電熱加熱、電磁加熱、マイクロ波照射加熱、赤外線照射加熱などがある。超音波によりプラスチックや金属などの固体を溶接する場合、摩擦により熱が発生して融解することが知られているが、液体を超音波で加熱することについての研究は行われていない。これは、超音波を液体に照射しても温度はそれほど上昇しないためであると考えられる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
超音波照射により温度が上昇する液体を見い出す。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
発明者は、ジオール及びトリオールなどの液体の多くは、超音波照射により著しく温度が上昇することを見い出した。ここで、超音波とは１０ｋＨｚ以上の振動をいう。ジオールには、低分子ジオールと高分子ジオールがあり、前者には、グリコール類すなわちエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのアルキレングリコールの他、モノアシルグリセロールがあり、アルコール性水酸基を２個有する脂肪族化合物である。高分子ジオールにはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレン化合物がある。トリオールとはアルコール性水酸基を３個以上有する脂肪族化合物をいい、グリセロール、トリメチロールプロパンなどがある。
【０００５】
４５ｋＨｚ、入力電子７０Ｗの超音波照射装置の水槽に、一価アルコール２５ｍｌを入れて実験を行った結果、温度上昇はわずかであった。しかし、そこに、ポリエチレングリコールを２５ｍｌ入れた場合、大きな温度上昇がみられ、５分加熱で最高温度として７０℃が得られた。温度上昇の大きい順位を示すと（室温は２５℃）ポリエチレングリコール＝ポリプロピレングリコール（約７０℃）＞グリセロール（５８℃）＞水（４８℃）＞ジエチレングリコール（３５℃）となった。この温度上昇については、水槽の形状によっても変わるし、装置への熱伝導による損失もある。又圧電素子を直接液に接触させればより高い温度が得られるはずである。もし、これらのことを考慮して至適条件で行えばポリエチレングリコールで１００℃を超えることに疑問はない。この実験における入力電力は液に加えられた電力ではなく、圧電振動子への入力電力であり、それはわずか７０Ｗにすぎない。よってさらに大きな電力を入力すれば１分以内に１００℃を超えると考えられる。
【０００６】
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びグリセリンの温度上昇が驚くほど大きかったので超音波によって加熱した液体によって別の目的物を加温することが可能である。これは電熱加熱よりもはるかにエネルギー効率が良く、かつ火災などが生じにくいので安全性が極めて高い。また、電熱加熱では、ある温度を達成するのにニクロム線の周囲は高温となるが、超音波加熱ではそのようなことがない。超音波照射によって暖めた液によって、対象物を加熱する用途としては、家屋やマンションの床暖房、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフのカラムの加温、パネルヒーターなどがある。
【０００７】
【実施例１】
ジーエルサイエンス製超音波洗浄装置ＵＳ−１００（入力電力７０Ｗ，４５ｋＨｚ）の洗浄槽において、振動子の直接上に直径４ｃｍのスチロール製円柱容器を接着剤で固定させ、その中に、ポリエチレングリコール（分子量２００）、ポリプロピレングリコール（分子量３００）、ジエチレングリコールをそれぞれ２５ｍｌ入れ、５分間超音波照射を行い、液面の温度をサーミスター温度計で測定した。その結果、ポリエチレングリコールは７３℃、ポリプロピレングリコールは６９℃、ジエチレングリコールは３６℃となった。

Claims (5)

1. ジオール又はトリオール、もしくはそれらの混合液に超音波を照射して液を加熱する超音波加熱法。
2. 前記ジオールがグリコール類である請求項１記載の超音波加熱法。
3. 前記グリコール類がポリアルキレングリコールである請求項２記載の超音波加熱法。
4. 前記トリオールがグリセリンである請求項１記載の超音波加熱法。
5. 請求項１ないし４記載の超音波加熱法によって加温した液体でもって対象物を加熱する超音波加熱法。