JP2004014624A - 基板の研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化珪素膜をストッパとした酸化珪素膜の研磨であって、セリウムの酸化物粒子及び窒化珪素膜選択吸着性を有する水溶性界面活性剤及び純水を必須成分として含むCMP研磨液を用いて、酸化珪素膜の研磨速度が毎分450nm以下、かつ窒化珪素膜の研磨速度が毎分20nm以下となるような条件で研磨する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子製造工程のうち、層間絶縁膜の平坦化工程またはシャロー・トレンチ分離の形成工程等において使用されるCMP(Chemical Mechanical Polishing)研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超大規模集積回路の分野において実装密度を高めるために種々の微細加工技術が研究、開発されており、既に、デザインルールは、サブハーフミクロンのオーダーになっている。このような厳しい微細化要求を満足するための技術の一つにCMP技術がある。この技術は、半導体デバイスウエハの製造工程において、露光を施す層を完全に平坦化し、露光技術の負担を軽減し、歩留まりを安定させることができるため、例えば、層間絶縁膜の平坦化やシャロー・トレンチ分離等を行う際に必須となる技術である。
【0003】
従来、半導体装置の製造工程において、プラズマ−CVD(ChemicalVapor Deposition、化学的蒸着法)、低圧−CVD等の方法で形成される酸化珪素膜等を平坦化するためのCMP研磨液として、コロイダルシリカやフュームドシリカを研磨粒子とする研磨液が多用されている。しかしながらこの研磨液は、Blanketウエハ、すなわち平坦なベタ膜は均一に削れるものの、表面凹凸が存在する実際のデバイスウエハは平坦性良く削れない、すなわち凹状部分の酸化膜が削れ過ぎてディッシングを発生するという問題がある。このため、あらかじめ凸状部分上のみエッチングする等の余分な工程を追加しなければならず、しかも、この工程を追加してもやはりCMP研磨条件および研磨時間のウインドウが狭く、歩留まり改善のための新たな研磨方法が求められている。
【0004】
CMP研磨液は、シャロー・トレンチ分離すなわち凸部アクティブ部分間の凹部に酸化珪素膜を形成する工程においても使用されている。デザインルール0.5μm以上の世代では、集積回路内の素子分離にLOCOS(シリコン局所酸化)法が用いられてきたが、素子分離幅をより狭くするため、シャロー・トレンチ分離法が用いられている。すなわち、シャロー・トレンチ分離法では、凸部アクティブ部分上に成膜した余分の酸化珪素膜を除いて平坦化させるためにCMPが使用され、凸部アクティブ部分上の酸化珪素膜が削られた段階で研磨を停止させるために、酸化珪素膜の下に窒化珪素膜がストッパとして形成されるのが一般的である。したがって、酸化珪素膜の研磨速度は窒化珪素膜研磨速度より大きいことが望ましいが、従来のシリカ粒子を用いたCMP研磨液は、酸化珪素膜と窒化珪素膜の研磨速度比が小さく、シャロー・トレンチ分離用としては実用的ではない。
【0005】
一方、逆に、酸化珪素膜と窒化珪素膜の研磨速度比が大き過ぎても、特に隣り合う凸状部分間の距離が長いデバイス、または、そのようなパターン部分を含むデバイスでは、凸状部分間、すなわち凹状部分に大きなへこみ、すなわちディッシングが発生してしまい、不良品となる。したがって、窒化珪素膜の研磨速度が小さいだけではなく、凹状部分の酸化珪素膜研磨速度も小さい、すなわち凸部/凹部選択研磨性を有するCMP研磨液およびCMP研磨方法の提供が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、あらかじめ凸状部分上の酸化珪素膜をエッチングすることなく、チップ内およびウエハ面内均一性を向上させることが可能である基板の研磨方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セリウムの酸化物粒子および窒化珪素膜選択吸着性を有する水溶性界面活性剤および純水を必須成分として含んで成るCMP研磨液を用い、Blanketウエハの酸化珪素膜の研磨速度が毎分450nm以下、かつ、Blanketウエハの窒化珪素膜の研磨速度が毎分20nm以下となるようなCMP研磨条件で、窒化珪素膜がその上に形成された凸状部分上の酸化珪素膜高さが凹状部分上の酸化珪素膜高さの1.2倍以下であり、かつ、凹状部分上の酸化珪素膜厚さが、初期段差すなわち酸化珪素膜形成前の凹上部分深さより10nm以上150nm以下厚いパターンウエハを研磨することを特徴とする基板の研磨方法に関する。
【0008】
また、本発明は、Blanketウエハにおいては、酸化珪素膜研磨速度は研磨時間に依存しないか、または、研磨時間が長くなると遅くなるのに対し、パターンウエハにおいては、酸化珪素膜研磨速度は研磨初期で最も遅くなるようなCMP研磨液およびCMP研磨条件で研磨することを特徴とする基板の研磨方法に関する。
また、本発明は、パターンウエハにおいて、凹状部分上の酸化珪素膜の平均研磨速度が毎分100nm以下と遅く、凸上部分上の酸化珪素膜の研磨速度が最大で毎分200nm以上となるようなCMP研磨液およびCMP研磨条件で研磨することを特徴とするCMP研磨液およびCMP研磨条件で研磨することを特徴とする基板の研磨方法に関する。
【0009】
また、本発明は、パターンウエハの全ての凹状部分上の酸化珪素膜の厚さが初期段差より0〜10nm厚い状態に至る研磨時間と、窒化珪素膜がその上に形成された凸状部分上の酸化珪素膜全てが完全に除去される研磨時間との差が20秒以内となるようなCMP研磨液およびCMP研磨条件で研磨することを特徴とする基板の研磨方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明におけるCMP研磨液中の研磨粒子は、例えば、炭酸セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、しゅう酸セリウム等のセリウムの塩を焼成または過酸化水素等によって酸化することで作製されるセリウムの酸化物粒子を、例えばジェットミル等による乾式粉砕や遊星ビーズミル等による湿式粉砕を行って、平均粒径が0.4μm以下になるように純水中に分散させたものが好ましい。
本発明におけるCMP研磨液は、窒化珪素膜の研磨速度を小さくするために、セリウムの酸化物粒子以外に、窒化珪素膜選択吸着性を有する水溶性界面活性剤を含む必要がある。
そのような水溶性界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を使用しうる。具体的には、アルフォオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、メチルタウリン酸塩、アラニネート塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸、エーテルカルボン酸塩、アミノ酸塩、ポリカルボン酸型ポリマー、合成アルコール、天然アルコール、ポリオキシアルキレングリコール、脂肪酸エステル、アルキルアミン、アルキルアミド、アルキルアミンオキサイド、アミノ酸、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0011】
なお、上記の水溶性界面活性剤は、セリアの酸化物粒子の分散剤としても使用でき、また、複数を組み合せて使用しても良い。さらに、上記以外の水溶性化学物質の使用を制限するものではなく、例えば酸やアルカリ等のpH調整剤や増粘剤等の粘度調整剤を加えても良い。
酸化珪素膜上に溝が形成された実デバイス用のパターンウエハをCMP研磨し、チップ内およびウエハ面内均一性が良好なデバイスウエハを得るためには、Blanketウエハの酸化珪素膜の研磨速度が毎分450nm(4500Å)以下である必要があり、400nm以下が好ましく、350nm以下がより好ましい。Blanketウエハの酸化膜研磨速度が毎分450nmを超える条件で凹凸のあるパターンを研磨すると、パターンウエハの凹状部分上の酸化珪素膜が削れ過ぎるため、ディッシングを発生してしまう。また、Blanketウエハの窒化珪素膜の研磨速度が毎分20nmを超える条件では、パターンウエハの凸状部分上の窒化珪素膜が削れ過ぎてアクティブ部分まで削ってしまい、デバイス不良となる。
【0012】
CMP研磨は、パッド上に研磨液を流し、ウエハの研磨面をこれに押し付け、パッドおよびウエハを回転させることによって行われるものであるが、パッドを回転させずに一方向に移動させて研磨する方式もあり、このように各種のCMP研磨装置が市販されているが、本発明では、研磨装置については何らの制限も加えない。
本発明で制御すべき主なCMP研磨条件としては、ウエハのパッドへの押し付け圧力、ウエハおよびパッドの回転数またはパッドの移動速度があるが、パッドの種類、研磨する酸化珪素膜の種類すなわち成膜法や不純物量の違い、または、パターンの形状や酸化珪素膜の厚さによって適切な条件は異なってくる。本発明では、パッドの種類およびパターンの形状や酸化珪素膜の種類については何らの制限も加えない。
【0013】
本発明に基づき、チップ内およびウエハ面内均一性良くパターンウエハをCMP研磨するためには、窒化珪素膜がその上に形成された凸状部分上の酸化珪素膜高さが凹状部分上の酸化珪素膜高さの1.2倍以下であり、かつ、凹状部分上の酸化珪素膜厚さが、初期段差すなわち酸化珪素膜形成前の凹上部分深さより10nm以上150nm以下厚い必要がある。
例えばCVD法で酸化珪素膜をパターンウエハ上に成膜する場合、ウエハ全面で膜厚を
全く同じにすること、および、凸状部分上の膜厚と凹上部分上の膜厚を全く同じにすることは困難であり、成膜条件によっては、凸状部分の特に中心部分のみが厚く、凹状部分の中心部の厚さの2倍以上に達する場合もある。このように凸上部分上の酸化珪素膜膜厚が、凹上部分上の酸化珪素膜膜厚の1.2倍を超えるほど厚いパターンウエハ、または、そのような部分を含むパターンウエハを研磨した場合、凸状部分上の酸化珪素膜が厚く残った状態でウエハ面全体が平坦になるため、その後凸状部分上の酸化珪素膜を除去するのに時間がかかり、効率が悪くなる。
【0014】
また、凹状部分上の酸化珪素膜厚さが、初期段差すなわち酸化珪素膜形成前の凹上部分深さより150nmを超えて厚い場合にも、所要研磨時間が長くなって効率が悪くなる。逆に、凹状部分上の酸化珪素膜厚さが、初期段差すなわち酸化珪素膜形成前の凹上部分深さより10nm以上厚くなければ、ディッシングが発生する。したがって、凹状部分上の酸化珪素膜厚さは、初期段差すなわち酸化珪素膜形成前の凹上部分深さより10nm以上150nm以下厚い必要があり、20nm以上100nm以下厚いことが好ましく、30nm以上80nm以下厚いことがさらに好ましい。
本発明で使用するセリウムの酸化物粒子を研磨粒子とするCMP研磨液においては、従来のシリカ粒子を研磨粒子とするCMP研磨液と異なり、セリウムの酸化物粒子が水中に存在する酸化珪素膜と直接化学反応するため、同じ研磨粒子で繰り返し研磨した場合には、酸化珪素膜との化学反応性が弱くなり、研磨速度が低下する場合がある。したがって、例えば、研磨液の供給速度が小さいか、または、回転数が小さい場合、ウエハに接するスラリが新鮮なものに置き換わるのに時間がかかるため、研磨時間が長くなるにしたがって、Blanket膜の酸化珪素膜研磨速度は遅くなる傾向がある。
【0015】
酸化セリウム粒子濃度は、研磨液中2重量%以下とするのが好ましく、この粒子濃度は、シリカ粒子を研磨粒子とする従来のCMP研磨液におけるシリカ粒子の一般的体積濃度の1/5以下の量に相当し、酸化セリウム粒子はシリカ粒子より研磨効率が良い。一方、本発明で用いる研磨液は、研磨粒子数が従来の研磨液と比べて少ないために、凹凸のあるデバイスウエハの研磨初期において、凹部に研磨粒子が充填されるまでほとんど研磨されないという時間が存在する。しかし、その後、特に凸部が高い研磨速度で選択的に削れるので、この初期に削れない時間が存在することは問題ではなく、逆に、ほとんど研磨されない時間が存在することにより、凸部間の距離が長い部分と短い部分が混載されたデバイスウエハをより均一に研磨することが可能となる。すなわち、凸部間の距離が長い部分は凹部の酸化珪素膜が削れ過ぎてディッシングを発生し易いが、凸部間の距離が比較的長いことは、凹部の体積が比較的大きいことを意味するので、この部分では、研磨粒子が充填されるまでの時間が比較的長くなり、その結果、凸部間の距離が比較的長い部分の平均研磨速度を比較的小さくすることができる。
【0016】
上記のようなCMP研磨液および酸化珪素膜の膜厚を限定したパターンウエハを用いてCMP研磨することにより、酸化珪素膜研磨速度は研磨初期で最も遅くなり、その結果、チップ内およびウエハ面内均一性をさらに向上させることが可能となる。なお、CMP研磨条件については実施例で例示するが、用いる研磨機の種類、パッドの種類、および、研磨対象のパターン形状や酸化珪素膜の種類によって異なるため、特に限定するものではない。また、パターンウエハの研磨にあたり、常に一定の研磨条件で研磨することを限定するものでもなく、研磨途中で研磨条件を変更しても良い。
ただし、パターンウエハの凹状部分上の酸化珪素膜研磨速度が毎分100nmを超えるような極端なCMP研磨条件、例えば高荷重条件での研磨は、ディッシングが発生し易くなるので好ましくない。一方、特に凸状部分間の距離が凸状部分の幅の3倍以内と比較的短い領域での凸部上の酸化珪素膜の研磨速度が毎分200nm未満と小さくなるような条件での研磨も、研磨時間が長くなり過ぎるので好ましくない。
【0017】
パターンウエハの全ての凹状部分上の酸化珪素膜の厚さが初期段差より0〜10nm厚い状態に至る研磨時間と、窒化珪素膜がその上に形成された凸状部分上の酸化珪素膜全てが完全に除去される研磨時間との差が20秒以内となるようにCMP研磨条件をさらに調整すれば、特に隣り合う凸状部分間の距離が長い領域と隣り合う凸状部分間の距離が短い領域が混載されたパターンウエハのチップ内およびウエハ面内均一性をさらに向上させることが可能となる。
窒化珪素膜がその上に形成された凸状部分上の酸化珪素膜全てが完全に除去される時、特に隣り合う凸状部分間の距離が長い領域の凹状部分上の酸化珪素膜の厚さが初期段差より薄い場合は、それ以上さらに研磨するとディッシングが発生し易くなるため、研磨時間のウインドウが狭くなる。また、特に隣り合う凸状部分間の距離が短い領域の凹状部分上の酸化珪素膜が10nmを超えて厚く残っている場合は、所要研磨時間が長くなって効率が悪くなる。
【0018】
さらに、パターンウエハの全ての凹状部分上の酸化珪素膜の厚さが初期段差より0〜10nm厚い状態に至る研磨時間と、窒化珪素膜がその上に形成された凸状部分上の絶縁膜全てが完全に除去される研磨時間との差が20秒を超える条件で研磨すると、特に隣り合う凸状部分間の距離が長い領域の凹部でディッシングが発生し易くなる。
本発明に基づく研磨方法においては、ウエハ回転軸のトルクまたは被研磨面からのレーザー反射光の解析、いずれの方法によっても研磨終点時間をモニターすることが可能であり、いずれの方法においても、被研磨面が最も平坦化された時に最大ピークを示す。したがって、この最大ピークが出現する時間と、窒化珪素膜がその上に形成された凸状部分上の絶縁膜全てが完全に除去される研磨時間との差を、研磨液および研磨条件の調整によって、できるだけ短くすることが好ましい。
【0019】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
炭酸セリウム水和物2kgを白金製容器に入れ、850℃で2時間空気中で焼成することにより酸化セリウムを得た。酸化セリウム粉末が水に対して6重量%になるように脱イオン水を加え、アクリル酸とアクリル酸メチルを1:1で共重合した重量平均分子量10,000のポリアクリル酸アンモニウム塩が酸化セリウム粉末に対して0.8重量%となるように分散剤として混合し、横型湿式超微粒分散粉砕機を用いて1400rpmで120分間粉砕処理をして液Aを得た。得られた液Aに脱イオン水および重量平均分子量4000のポリアクリル酸アンモニウム塩を窒化珪素膜選択吸着性界面活性剤として、酸化セリウム粒子が1重量%、ポリアクリル酸アンモニウム塩が3重量%となるように加え、液Bを得た。
液Bを毎分200ml研磨パッド上に供給して酸化珪素膜Blanketウエハ、窒化珪素膜Blanketウエハもしくは窒化珪素膜上に酸化珪素膜を成膜しさらに酸化珪素膜上に溝形成して得られたパターンウエハを用い研磨した。研磨条件、ウエハ膜厚等の詳細は下記の通りとした。
【0020】
(研磨条件)
研磨装置:EPO−111(荏原製作所(株)製)
研磨パッド:IC1000−SUBA400(ロデール社製)
研磨圧力:30kPa
プラテン回転数:50rpm
(酸化珪素膜Blanketウエハ)
初期膜厚:500nm
(窒化珪素膜Blanketウエハ)
初期膜厚:500nm
(パターンウエハ)
酸化珪素膜凸部初期膜厚:610nm
酸化珪素膜凹部初期膜厚: 95nm
酸化珪素膜上の溝の幅:30μm及び200μm
【0021】
Blanketウエハを研磨した場合の平均残膜厚と研磨時間の関係を図1に、パターンウエハを研磨した場合の平均残膜厚と研磨時間の関係を図2に示す。また、研磨結果をまとめて表1に示す。なお、図2においては、凹部残膜厚=(初期酸化珪素膜厚―凹部深さ)とし、膜高さで示した。
【表1】
Blanketウエハの酸化珪素膜の研磨速度が毎分300nm、窒化珪素膜の研磨速度が毎分7nmとなる条件で、凸部上の酸化珪素膜厚が凹部上の酸化珪素膜厚の1.03倍、かつ、凸部上の酸化珪素膜厚が凹部深さより95nm厚いパターンウエハを研磨した結果、凹部上の酸化珪素膜の研磨速度は毎分高々35nm、凸部上の酸化珪素膜の研磨速度は最大毎分400nm、凹部上の酸化珪素膜膜厚が凹部深さと同じになる時間と凸部上の酸化珪素膜が除去される時間の差は高々15秒となり、研磨後凸部高さと凹部高さの差、すなわち段差は、高々35nmと平坦性に優れたウエハを得ることができた。
【0022】
(実施例2)
研磨荷重を20kPa、回転数を75rpmとした以外は、実施例1と同様にしてCMP研磨を行った。Blanketウエハを研磨した場合の平均残膜厚と研磨時間の関係を図3に、パターンウエハを研磨した場合の平均残膜厚と研磨時間の関係を図4に示す。また、研磨結果をまとめて表2に示す。
【表2】
Blanketウエハの酸化珪素膜の研磨速度が毎分280nm、窒化珪素膜の研磨速度が毎分10nmとなる条件で、凸部上の酸化珪素膜厚が凹部上の酸化珪素膜厚の1.03倍、かつ、凸部上の酸化珪素膜厚が凹部深さより95nm厚いパターンウエハを研磨した結果、凹部上の酸化珪素膜の研磨速度は毎分高々70nm、凸部上の酸化珪素膜の研磨速度は最大毎分230nm、凹部上の酸化珪素膜膜厚が凹部深さと同じになる時間と凸部上の酸化珪素膜が除去される時間の差は高々10秒となり、研磨後凸部高さと凹部高さの差、すなわち段差は、高々5nmと極めて平坦性に優れたウエハを得ることができた。
【0023】
(比較例1)
実施例1記載の酸化セリウム粒子分散液Aに、脱イオン水のみを、酸化セリウム粒子が1重量%となるように加え、液Cを得た。これを用いる以外は、実施例1と同様にしてCMP研磨を行った。Blanketウエハを研磨した場合の平均残膜厚と研磨時間の関係を図5に、パターンウエハを研磨した場合の平均残膜厚と研磨時間の関係を図6に示す。また、研磨結果をまとめて表3に示す。
【表3】
Blanketウエハの酸化珪素膜の研磨速度が毎分490nm、窒化珪素膜の研磨速度が毎分90nmとなる条件で、凸部上の酸化珪素膜厚が凹部上の酸化珪素膜厚の1.03倍、かつ、凸部上の酸化珪素膜厚が凹部深さより95nm厚いパターンウエハを研磨した結果、凸部上の酸化珪素膜の研磨速度は最大毎分220nmであるが、凹部上の酸化珪素膜の研磨速度は毎分185nmと大きくなり、さらに凹部上の酸化珪素膜膜厚が凹部深さと同じになる時間と凸部上の酸化珪素膜が除去される時間の差は高々95秒となり、研磨後凸部高さと凹部高さの差、すなわち段差は120nmと、平坦性に優れたウエハを得ることができなかった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の基板の研磨方法は、窒化珪素膜で研磨がストップするだけではなく、酸化珪素膜の凸部を選択的に研磨することができるため、あらかじめ凸状部分上の酸化珪素膜をエッチングすることなく、チップ内およびウエハ面内均一性を向上させることが可能であるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1によるBlanketウエハの研磨結果
【図2】実施例1によるパターンウエハの研磨結果
【図3】実施例2によるBlanketウエハの研磨結果
【図4】実施例2によるパターンウエハの研磨結果
【図5】比較例1によるBlanketウエハの研磨結果
【図6】比較例1によるパターンウエハの研磨結果
Claims (4)
- セリウムの酸化物粒子および窒化珪素膜選択吸着性を有する水溶性界面活性剤および純水を必須成分として含んで成るCMP研磨液を用い、Blanketウエハの酸化珪素膜の研磨速度が毎分450nm以下、かつ、Blanketウエハの窒化珪素膜の研磨速度が毎分20nm以下となるようなCMP研磨条件で、窒化珪素膜がその上に形成された凸状部分上の酸化珪素膜高さが凹状部分上の酸化珪素膜高さの1.2倍以下であり、かつ、凹状部分上の酸化珪素膜厚さが、初期段差すなわち酸化珪素膜形成前の凹上部分深さより10nm以上150nm以下厚いパターンウエハを研磨することを特徴とする基板の研磨方法。
- Blanketウエハにおいては、酸化珪素膜研磨速度は研磨時間に依存しないか、または、研磨時間が長くなると遅くなるのに対し、パターンウエハにおいては、酸化珪素膜研磨速度は研磨初期で最も遅くなるようなCMP研磨液およびCMP研磨条件で研磨することを特徴とする請求項1記載の基板の研磨方法。
- パターンウエハにおいて、凹状部分上の酸化珪素膜の平均研磨速度が毎分100nm以下と遅く、凸上部分上の酸化珪素膜の研磨速度は最大で毎分200nm以上となるようなCMP研磨液およびCMP研磨条件で研磨することを特徴とする請求項1または2記載の基板の研磨方法。
- パターンウエハの凹状部分上における酸化珪素膜厚さ全てが初期段差より0〜10nm厚い状態に至るのに要する研磨時間と、窒化珪素膜がその上に形成された凸状部分上の酸化珪素膜全てが完全に除去される研磨時間との差が20秒以内となるようなCMP研磨液およびCMP研磨条件で研磨することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板の研磨方法。
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