JP2004014522A - リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたサイクル特性を示すとともに、高容量で長寿命化が図られたリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】化学量論組成のマンガン酸リチウムLiMn2O4におけるMnの一部を2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)で置換した、一般式が、Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4(式中、X1〜Xnは置換量を示し、元素(M1、M2、・・、Mm)はFe、Mn、Ni、Al、Co、Si、Ti、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo及びWからなる群から選ばれる2種類以上の元素であり、X1〜Xnの総和は1である。)で表わされるとともに、Li/Mn比が0.5を超え、かつ大気圧下の空気(大気)雰囲気で昇温速度が5℃/minの条件で測定した示差熱分析における950℃近傍に現れる第一吸熱ピーク(P1)と1100℃近傍に現れる第二吸熱ピーク(P2)との強度比(P2/P1)が1未満である、立方晶スピネル構造を有するマンガン酸リチウムを正極活物質に用いる。
【選択図】なし
【解決手段】化学量論組成のマンガン酸リチウムLiMn2O4におけるMnの一部を2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)で置換した、一般式が、Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4(式中、X1〜Xnは置換量を示し、元素(M1、M2、・・、Mm)はFe、Mn、Ni、Al、Co、Si、Ti、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo及びWからなる群から選ばれる2種類以上の元素であり、X1〜Xnの総和は1である。)で表わされるとともに、Li/Mn比が0.5を超え、かつ大気圧下の空気(大気)雰囲気で昇温速度が5℃/minの条件で測定した示差熱分析における950℃近傍に現れる第一吸熱ピーク(P1)と1100℃近傍に現れる第二吸熱ピーク(P2)との強度比(P2/P1)が1未満である、立方晶スピネル構造を有するマンガン酸リチウムを正極活物質に用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、マンガン酸リチウムを正極活物質として用いた、充放電サイクル特性に優れるリチウム二次電池に関する。
近年、携帯電話やVTR、ノート型パソコン等の携帯型電子機器の小型軽量化が加速度的に進行しており、その電源用電池として、正極活物質にリチウム遷移元素複合酸化物を、負極活物質に炭素質材料を、電解液にLiイオン電解質を有機溶媒に溶解した有機電解液を用いた二次電池が用いられるようになってきている。
このような電池は、一般的にリチウム二次電池、又はリチウムイオン電池と称せられており、エネルギー密度が大きく、また単電池電圧も約4V程度と高い特徴を有することから、前記携帯型電子機器のみならず、最近の環境問題を背景に、低公害車として積極的な一般への普及が図られている電気自動車(以下、「EV」という。)或いはハイブリッド電気自動車(以下、「HEV」という。)のモータ駆動電源としても注目を集めている。
このようなリチウム二次電池においては、その電池容量や充放電サイクル特性(以下、「サイクル特性」という。)は、使用する正極活物質の材料特性に依存するところが大きい。ここで、正極活物質として用いられるリチウム遷移元素複合酸化物としては、具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4等)等が挙げられる。このようなリチウム遷移元素複合酸化物としては、例えば、置換、比面、格子定数、結晶子径などを規定したものが提案されているが、充放電サイクル特性等の面で、必ずしも十分に満足し得るものではなかった(下記特許文献参照)。
上述のリチウム遷移元素複合酸化物の中で、マンガン酸リチウムスピネル(化学量論組成:LiMn2O4)は、原料が安価であり、また、出力密度が大きく、電位が高いという特徴がある一方で、充放電サイクルの繰り返しに伴って徐々に放電容量が減少し、良好なサイクル特性が得られ難いことが問題となっている。
充放電によって、Liイオンは正極活物質から脱離し、或いは正極活物質中に挿入されるが、このときに正極活物質の結晶構造変化が次第に不可逆的となり、充放電サイクルの累積に伴って、一部のLiイオンが電池反応に寄与しなくなることが、この放電容量の減少の大きな原因と考えられている。
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、優れたサイクル特性を示すとともに、高容量で長寿命化が図られたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、マンガン酸リチウムスピネルの結晶構造の安定化を図ることを目指して、種々、検討を行った結果、所定の構造及び熱的特性を有するマンガン酸リチウムスピネルを正極活物質として用いた場合に、サイクル特性が向上することを見い出し、本発明を完成させた。即ち、本発明によれば、化学量論組成のマンガン酸リチウムLiMn2O4におけるMnの一部を2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)で置換した、一般式が、Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4(式中、X1〜Xnは置換量を示し、元素(M1、M2、・・、Mm)はFe、Mn、Ni、Al、Co、Si、Ti、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo及びWからなる群から選ばれる2種類以上の元素であり、X1〜Xnの総和は1である。)で表わされるとともに、Li/Mn比が0.5を超え、かつ大気圧下の空気(大気)雰囲気で昇温速度が5℃/minの条件で測定した示差熱分析における950℃近傍に現れる第一吸熱ピーク(P1)と1100℃近傍に現れる第二吸熱ピーク(P2)との強度比(P2/P1)が1未満である、立方晶スピネル構造を有するマンガン酸リチウムを正極活物質に用いてなることを特徴とするリチウム二次電池、が提供される。
ここで、前記強度比は0.5以下であることが好ましく、また、前記一般式(Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4)中における、Mnの一部を置換した2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)が少なくともTiを含んでいることが好ましく、前記一般式(Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4)中における、Mnの一部を置換した2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)が少なくともNiを含んでいることが好ましく、前記一般式(Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4)中における、Mnの一部を置換した2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)が少なくともTi及びNiを含んでいることが好ましく、また、前記マンガン酸リチウムのMnの一部を、Li、Mg及びZnからなる群から選ばれる一種類以上の元素でさらに置換してなることがさらに好ましい。このようなマンガン酸リチウムは、所定比に調整された各元素の塩及び/又は酸化物の混合物を、酸化雰囲気、650℃〜1000℃の範囲で、5時間〜50時間かけて焼成することによって、得ることが可能である。なお、このような製造方法においては、焼成は2回以上行うことがさらに好ましく、焼成回数を重ねる毎に、焼成温度を逐次高くすることが特に好ましい。
上述の通り、従来のマンガン酸リチウムスピネルに比べて熱的特性の異なった安定な結晶構造を有するマンガン酸リチウムスピネルを正極活物質として用いることによって、本発明のリチウム二次電池は、優れたサイクル特性を示す。即ち、本発明のリチウム二次電池は、高容量で長寿命化が図られるという顕著な効果を奏する。
次に本発明を実施するための最良の形態を具体的に説明する。本発明のリチウム二次電池においては、正極活物質として、化学量論組成のマンガン酸リチウムLiMn2O4におけるMnの一部を2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)で置換した、一般式が、Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4(式中、X1〜Xnは置換量を示し、元素(M1、M2、・・、Mm)はFe、Mn、Ni、Al、Co、Si、Ti、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo及びWからなる群から選ばれる2種類以上の元素であり、X1〜Xnの総和は1である。)で表わされる立方晶スピネル構造を有するマンガン酸リチウム(以下、単に「マンガン酸リチウム」という。)が用いられる。
この場合、Li/Mn比は0.5超となる。本発明においては、このように2種類以上の元素(置換元素)(M1、M2、・・、Mm)でMnを置換する。
元素(置換元素)(M1、M2、・・、Mm)にあっては、理論上、Liは+1価、Fe、Mn、Ni、Mg、Znは+2価、B、Al、Co、Crは+3価、Si、Ti、Snは+4価、P、V、Sb、Nb、Taは+5価、Mo、Wは+6価のイオンとなり、LiMn2O4中に固溶する元素であるが、Co、Snについては+2価の場合、Fe、Sb及びTiについては+3価の場合、Mnについては+3価、+4価の場合、Crについては+4価、+6価の場合もあり得る。
従って、各種の元素(置換元素)(M1、M2、・・、Mm)は混合原子価を有する状態で存在する場合があり、また、酸素の量については、必ずしも理論化学組成で表されるように4であることを必要とせず、結晶構造を維持するための範囲内で欠損して、或いは過剰に存在していても構わない。
さて、本発明においては、上述した種々の組成を有するマンガン酸リチウムであって、大気圧下の空気(大気)雰囲気で昇温速度が5℃/minの条件で測定した示差熱分析における950℃近傍に現れる第一吸熱ピーク(P1)と1100℃近傍に現れる第二吸熱ピーク(P2)との強度比(P2/P1)が1未満であるという特性を示すものを、正極活物質として用いる。これらの吸熱ピークP1、P2は、マンガン酸リチウムの相変化を示すものと考えられるものである。
示差熱分析は、昇温によって試料に生ずる熱の移動を伴う化学変化等を、吸熱ピーク、発熱ピークの発現により検出するものであり、通常は、熱天秤を用いて熱重量分析と同時に測定が行われる。
この示差熱分析は、試料に所定のガスを流しながら、或いは装置自体をグローブボックス内に載置することにより、種々のガス雰囲気で行うことが可能であるが、本発明における示差熱分析の測定条件は、大気圧下の空気(大気)雰囲気で行われるものであることを前提とする。
例えば、マンガン酸リチウムについて、「J. Electrochem. Soc., Vol. 142, No.7, July 1995, p2149-2156, Synthesis and Structural Aspects of LiMn2O4±δ as a Cathode for Rechargeable Lithium Batteries, AtsuoYamadaら」に記載されているように、測定雰囲気における酸素濃度を種々に変えた場合には、その示差熱分析曲線の形が変化し、また、同じ化学変化を示すと考えられる吸熱ピークの位置がシフトし、或いは消滅することが報告されている。
つまり、測定ガス雰囲気を一定としなければ、第一吸熱ピークと第二吸熱ピークを定義することができなくなるため、本発明においては、空気雰囲気での測定を原則としたものである。なお、本発明の第一吸熱ピークと第二吸熱ピークの発現は、少なくとも示差熱分析における昇温過程において観察されるものである。
また、一般的に、ある所定の昇温速度の場合に、950℃に吸熱ピークの頂点が現れる試料について、昇温速度をその所定の昇温速度よりも遅くして測定した場合には、吸熱ピークは高温側にシフトし、逆に、昇温速度をその所定の昇温速度よりも速くして測定した場合には、吸熱ピークは低温側にシフトすることが認められる。即ち、示差熱分析においては、昇温速度によって吸熱ピークの現れる位置がシフトすることから、示差熱分析の結果から第一吸熱ピークと第二吸熱ピークの位置を定義するためには、試料の昇温速度もまた定めなければならない。
そこで、本発明においては、昇温速度を5℃/minとした場合において、950℃近傍に現れる吸熱ピークを第一吸熱ピークと定め、1100℃近傍に現れる吸熱ピークを第二吸熱ピークと定めるものとする。なお、「近傍」という表現を用いたのは、上述した昇温速度によるピーク位置のシフトを考慮した記載とするためである。また、昇温速度を5℃/minとした場合に現れる2つの吸熱ピーク間に適用される本発明のピーク強度比の条件は、昇温速度を変更した結果、吸熱ピーク位置がシフトした場合であっても適用できることはいうまでもない。
上述した所定の条件の下で測定される第一吸熱ピーク(P1)と第二吸熱ピーク(P2)との強度比、即ち、P2強度をP1強度で除した比の値である強度比(P2/P1)が1未満である場合に、後述する実施例に示すように、良好なサイクル特性が得られる。なお、ここでのピーク強度は、ピーク面積ではなく、ベースラインからピーク頂点までの距離、より詳しくは、吸熱ピークの立ち上がり地点と、下がり終わりの地点とを直線で結び、吸熱ピークの頂点からこの直線に向けて垂線を下ろしたときの、その垂線の長さを指す。
先に引用した「J. Electrochem. Soc.」に記載されているマンガン酸リチウムにおける酸素濃度20%の示差熱分析曲線は、後述する比較例2が示した示差熱分析曲線と酷似しており、P2強度とP1強度は、ほぼ同等である。このようなピーク強度を示す従来のマンガン酸リチウムと、本発明のピーク強度比の条件を満足するマンガン酸リチウムとでは、P1強度については殆ど差がないものの、P2強度に大きな違いがあることわかる。後述する実施例及び比較例の比較から、P2強度の小さいマンガン酸リチウムほど、結晶構造が安定に保持され、良好なサイクル特性を示すものと考えられる。
次に、上述した熱的特性を有するマンガン酸リチウムの合成方法について説明する。合成原料としては、各元素(置換元素(M1、M2、・・、Mm)を含む)の塩及び/又は酸化物が用いられる。各元素の塩は特に限定されるものではないが、原料として純度が高くしかも安価なものを使用することが好ましいことはいうまでもない。また、昇温時や焼成時に有害な分解ガスが発生しない炭酸塩、水酸化物、有機酸塩を用いることが好ましい。但し、硝酸塩や塩酸塩、硫酸塩等を用いることもできる。なお、Li原料については、通常、酸化物であるLi2Oは吸湿性が強いために取り扱い難く、従って、化学的に安定な炭酸塩が好適に用いられる。
このような原料を所定比に混合したものを、先ず酸化雰囲気、650℃〜1000℃の範囲で、5時間〜50時間かけて焼成する。ここで、酸化雰囲気とは、一般に炉内試料が酸化反応を起こす酸素分圧を有する雰囲気を指し、具体的には、大気雰囲気、酸素雰囲気等が該当する。
この第1回目の焼成後においては、組成の均一性が必ずしも良好ではないが、Li/Mn比>0.5を満足する場合、即ち、化学量論組成に対してMnの元素置換を行った場合、特にLiやTi、Mg等によりMnの一部を置換してなるLi過剰の組成においては、1回の焼成によっても所定の熱的特性を示すものが得られ易くなることが実験的に確認された。この理由は明らかではないが、置換元素(M1、M2、・・、Mm)の添加によって結晶構造の安定化が図られているものと推測される。
このように、一部の組成では、1回の焼成によっても、所定の熱的特性を示すマンガン酸リチウムを合成することが可能ではあるが、より組成に左右されないの合成条件を確立するために、焼成は、複数回に分けて行うことが好ましい。
焼成回数は、大きくは焼成温度と焼成時間に依存し、焼成温度が低い場合及び/又は焼成時間が短い場合には、多くの焼成回数を必要とする。また、置換元素(M1、M2、・・、Mm)の種類によっては、組成の均一化の観点から、焼成回数を多くすることが好ましい場合もある。この場合は置換元素(M1、M2、・・、Mm)の添加によって、結晶成長に適する相雰囲気が形成され難いと考えられる場合である。
但し、焼成回数を多くすることは、それだけ生産工程が長くなることを意味するため、焼成回数は必要最小限に止めることが好ましい。このような複数回の焼成を行って得られた試料は、1回の焼成を行って得られた試料よりも、XRDチャート上でのピーク形状が鋭く突出しており、このことから、結晶性の向上が図られていることを確認することができる。
なお、焼成温度が600℃未満と低い場合には、焼成物のXRDチャートに原料の残留を示すピーク、例えばリチウム源として炭酸リチウム(Li2CO3)を用いた場合にはLi2CO3のピークが観察され、単相生成物が得られない。一方、焼成温度が1000℃より高い場合には、目的とする結晶系の化合物以外に、高温相が生成し、単相生成物が得られなくなる。
上述した本発明に係るマンガン酸リチウムにおいては、結晶構造の安定化が図られているために、リチウム二次電池の正極活物質として用いた場合に、サイクル特性の改善が図られる。このようなサイクル特性の向上は、特に大量の電極活物質を用いる大容量電池において特に顕著に現れ、従って、その用途としては、例えばEVやHEVのモータ駆動用電源を挙げることができる。但し、本発明は、コイン電池等の小容量電池にも、当然に用いることができる。
さて、本発明のマンガン酸リチウムを正極活物質に用いたリチウム二次電池において用いられる他の部材(材料)には、従来公知の種々の材料を用いることができる。例えば、負極活物質としては、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモルファス系炭素質材料や、人造黒鉛或いは天然黒鉛といった高黒鉛化炭素材料を用いることができる。中でも、リチウム容量の大きい高黒鉛化炭素材料を用いることが好ましい。
また、有機電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)といった炭酸エステル系のもの、プロピレンカーボネート(PC)やγ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の有機溶媒の単独溶媒又は混合溶媒に、電解質としてのLiPF6やLiBF4等のリチウム錯体フッ素化合物、或いはLiClO4といったリチウムハロゲン化物等を1種類又は2種類以上を溶解したものを用いることができる。
電池構造は、板状に成形された正極活物質と負極活物質の間にセパレータを配して電解液を充填させたコイン型の電池や、金属箔の表面に正極活物質を塗工してなる正極板と、同様に金属箔の表面に負極活物質を塗工してなる負極板とを、セパレータを介して捲回或いは積層してなる電極体を用いた円筒型や箱型といった各種電池を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(マンガン酸リチウムの合成)
出発原料として、市販のLi2CO3、MnO2、TiO2、MgO、NiO粉末を用い、表1に示す実施例1〜2及び比較例1〜2の組成となるように秤量、混合し、大気雰囲気で、同じく表1記載の条件にて焼成した。実施例1及び比較例1〜2の試料については、1回目の焼成の後に平均粒径が10μm以下となるように粉砕処理を行い、その後に表1記載の2回目焼成条件にて焼成を行い、試料を得た。
出発原料として、市販のLi2CO3、MnO2、TiO2、MgO、NiO粉末を用い、表1に示す実施例1〜2及び比較例1〜2の組成となるように秤量、混合し、大気雰囲気で、同じく表1記載の条件にて焼成した。実施例1及び比較例1〜2の試料については、1回目の焼成の後に平均粒径が10μm以下となるように粉砕処理を行い、その後に表1記載の2回目焼成条件にて焼成を行い、試料を得た。
(示差熱分析)
得られた各種マンガン酸リチウムの示差熱分析は、理学電機製の示差熱天秤TG−DTAサーモフレックス(高温型)を用いて、表2に示した条件にて行った。実験手順は当業者が用いる通常の手法と変わるところはない。
得られた各種マンガン酸リチウムの示差熱分析は、理学電機製の示差熱天秤TG−DTAサーモフレックス(高温型)を用いて、表2に示した条件にて行った。実験手順は当業者が用いる通常の手法と変わるところはない。
(電池の作製)
作製した各種のマンガン酸リチウムに、導電補助材であるアセチレンブラック粉末と、結着材であるポリフッ化ビニリデンを、重量比で50:2:3の比で混合し、正極材料を作製した。その正極材料0.02gを300kg/cm2の圧力で直径20mmφの円板状にプレス成形し、正極とした。この正極と、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートが等体積比で混合された有機溶媒に電解質としてのLiPF6を1mol/Lの濃度となるように溶解して作製した電解液、カーボンからなる負極、及び正極と負極を隔てるセパレータとを用いてコインセルを作製した。
作製した各種のマンガン酸リチウムに、導電補助材であるアセチレンブラック粉末と、結着材であるポリフッ化ビニリデンを、重量比で50:2:3の比で混合し、正極材料を作製した。その正極材料0.02gを300kg/cm2の圧力で直径20mmφの円板状にプレス成形し、正極とした。この正極と、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートが等体積比で混合された有機溶媒に電解質としてのLiPF6を1mol/Lの濃度となるように溶解して作製した電解液、カーボンからなる負極、及び正極と負極を隔てるセパレータとを用いてコインセルを作製した。
(サイクル特性の評価)
作製したコインセルを、正極活物質の容量に応じて、1Cレートの定電流−定電圧で4.1Vまで充電し、同じく1Cレートの定電流で2.5Vまで放電させる充放電を1サイクルとして、100サイクルまで行った。この100サイクル目の放電容量を、初回の放電容量で除して求めた割合をもって、サイクル特性を評価することとした。
作製したコインセルを、正極活物質の容量に応じて、1Cレートの定電流−定電圧で4.1Vまで充電し、同じく1Cレートの定電流で2.5Vまで放電させる充放電を1サイクルとして、100サイクルまで行った。この100サイクル目の放電容量を、初回の放電容量で除して求めた割合をもって、サイクル特性を評価することとした。
(試験結果)
実施例1及び比較例2についての示差熱分析結果を図1(a)、図1(b)にそれぞれ示す。また、各試料について、第一吸熱ピーク(P1)と第二吸熱ピーク(P2)の強度比(P2/P1)、並びに初回放電容量に対する100サイクル後の容量割合を表3に示す。ここで、強度比(P2/P1)は、各吸熱ピークについて、その立ち上がりの地点と下がり終わりの地点とを直線で結び、吸熱ピークの頂点から、その直線に垂線を下ろしたときの垂線の長さを求め、この長さをもって吸熱ピークの強度とした後、得られたP1強度でP2強度を除して算出した。
実施例1及び比較例2についての示差熱分析結果を図1(a)、図1(b)にそれぞれ示す。また、各試料について、第一吸熱ピーク(P1)と第二吸熱ピーク(P2)の強度比(P2/P1)、並びに初回放電容量に対する100サイクル後の容量割合を表3に示す。ここで、強度比(P2/P1)は、各吸熱ピークについて、その立ち上がりの地点と下がり終わりの地点とを直線で結び、吸熱ピークの頂点から、その直線に垂線を下ろしたときの垂線の長さを求め、この長さをもって吸熱ピークの強度とした後、得られたP1強度でP2強度を除して算出した。
表3に示されるように、比較例2では強度比(P2/P1)が1であり、100サイクル後の放電量割合が53%と極めて小さくなっていて、サイクル特性に問題があることがわかる。一方、実施例1〜2及び比較例1の結果に示されるように、強度比(P2/P1)が1より小さく、しかもその値が小さくなるにつれて、100サイクル後の放電量割合も増加し、サイクル特性の向上が図られていることが確認された。
このような吸熱ピークの現れ方の違い、特には、第二吸熱ピークの極小化は、酸素やLiの熱による脱離が抑制されるように、結晶構造が安定化されたことを示しているものと考えられ、サイクル特性の向上は、この結晶構造の安定化によって、充放電に伴うLiイオンの移動によって不可逆的に変化する結晶構造部分が少なくなったことに起因するものと考えられる。
なお、実施例1〜2と比較例1とを比較すると、Mnの一部を1種類の他の元素で置換するよりも、2種類で置換した方が、サイクル特性の向上が顕著に現れ、特に、強度比(P2/P1)が0.5以下の場合に、良好なサイクル特性が得られていることがわかる。また、実施例1と実施例2とを比較すると、同組成であっても、焼成回数が多い場合に良好なサイクル特性が得られていることがわかる。これは、焼成回数を多くしたことによって、組成の均一化、結晶性の向上が図られたことに起因するものと考えられる。
本発明のリチウム二次電池は、携帯電話やVTR、ノート型パソコン等の携帯型電子機器の電源用電池として、また、前記携帯型電子機器のみならず、最近の環境問題を背景に、低公害車として積極的な一般への普及が図られている電気自動車(以下、「EV」という。)或いはハイブリッド電気自動車(以下、「HEV」という。)のモータ駆動電源として好適に用いられる。
Claims (9)
- 化学量論組成のマンガン酸リチウムLiMn2O4におけるMnの一部を2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)で置換した、一般式が、Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4(式中、X1〜Xnは置換量を示し、元素(M1、M2、・・、Mm)はFe、Mn、Ni、Al、Co、Si、Ti、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo及びWからなる群から選ばれる2種類以上の元素であり、X1〜Xnの総和は1である。)で表わされるとともに、Li/Mn比が0.5を超え、かつ大気圧下の空気(大気)雰囲気で昇温速度が5℃/minの条件で測定した示差熱分析における950℃近傍に現れる第一吸熱ピーク(P1)と1100℃近傍に現れる第二吸熱ピーク(P2)との強度比(P2/P1)が1未満である、立方晶スピネル構造を有するマンガン酸リチウムを正極活物質に用いてなることを特徴とするリチウム二次電池。
- 前記強度比(P2/P1)が,0.5以下であることを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池。
- 前記一般式(Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4)中における、Mnの一部を置換した2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)が少なくともTiを含んでいることを特徴とする請求項1又は2記載のリチウム二次電池。
- 前記一般式(Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4)中における、Mnの一部を置換した2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)が少なくともNiを含んでいることを特徴とする請求項1又は2記載のリチウム二次電池。
- 前記一般式(Li(M1(X1)、M2(X2)、・・・、Mm(Xn))XMn2-XO4)中における、Mnの一部を置換した2種類以上の元素(M1、M2、・・、Mm)が少なくともTi及びNiを含んでいることを特徴とする請求項1又は2記載のリチウム二次電池。
- 前記マンガン酸リチウムのMnの一部を、Li、Mg及びZnからなる群から選ばれる1種類以上の元素でさらに置換してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
- 前記マンガン酸リチウムが、所定比に調整された各元素の塩及び/又は酸化物の混合物を、酸化雰囲気、650℃〜1000℃の範囲で、5時間〜50時間かけて焼成して得られたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
- 前記マンガン酸リチウムが、前記焼成を少なくとも2回以上行って得られたものであることを特徴とする請求項7記載のリチウム二次電池。
- 前記マンガン酸リチウムが、焼成回数を重ねる毎に、焼成温度を逐次高くして得られたものであることを特徴とする請求項8記載のリチウム二次電池。
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