JP2004011494A - 誘導性負荷駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】直流電源に並列接続された少なくとも4つ以上の誘導性負荷へ予め設定した順序で通電を行う誘導性負荷駆動装置において、当該装置を構成する素子数を低減することにより装置全体の小型化・低コスト化を図る。
【解決手段】各ソレノイドL1〜L4は、その通電経路の上流側において、ソレノイドL1,L2からなるグループとソレノイドL3,L4からなるグループとの2つの正極側グループにグループ分けされる一方、下流側では、上記各正極側グループのソレノイドが一つずつ組み合わさってなる負極側グループが2つ構成され(L1,L4からなるグループと、L2,L3からなるグループ)、グループ毎にそれぞれスイッチング素子(トランジスタT11〜T14)が設けられている。このように各ソレノイドに対しグループ単位でスイッチング素子を設けることで、素子数を抑制し、装置全体の小型化・低コスト化を可能としている。
【選択図】 図1
【解決手段】各ソレノイドL1〜L4は、その通電経路の上流側において、ソレノイドL1,L2からなるグループとソレノイドL3,L4からなるグループとの2つの正極側グループにグループ分けされる一方、下流側では、上記各正極側グループのソレノイドが一つずつ組み合わさってなる負極側グループが2つ構成され(L1,L4からなるグループと、L2,L3からなるグループ)、グループ毎にそれぞれスイッチング素子(トランジスタT11〜T14)が設けられている。このように各ソレノイドに対しグループ単位でスイッチング素子を設けることで、素子数を抑制し、装置全体の小型化・低コスト化を可能としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電源に並列接続された少なくとも4つ以上の誘導性負荷へ予め設定した順序で通電を行う誘導性負荷駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば車両の内燃機関の各気筒にそれぞれ燃料を噴射供給する燃料噴射弁には、通常、電磁ソレノイド(以下単に「ソレノイド」という)への通電により開弁される電磁弁が使用されている。
【0003】
図11に、従来の燃料噴射制御装置の一例として、4気筒ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置の概略を示す。図11に示す如く、従来の燃料噴射制御装置100は、内燃機関各気筒にそれぞれ設けられた燃料噴射弁(インジェクタ)のソレノイドL1〜L4の通電を制御するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略す)110と、マイコン110からの噴射指令に従って各スイッチング回路121,122が各トランジスタ(MOSFET)T91〜T96をオン・オフすることにより所望のソレノイドへの通電を行う駆動回路(EDU:Electric Driver Unit)120とから構成される。
【0004】
即ち、各ソレノイドL1〜L4はいずれも、その通電経路の上流側(駆動電源正極側)及び下流側(駆動電源負極側)にそれぞれスイッチング素子としてのトランジスタが設けられ、対応する上流側及び下流側のトランジスタを共にオンすることにより通電が行われる。例えばソレノイドL1への通電を行って対応する燃料噴射弁を開弁させようとするときは、通電経路上流側のトランジスタT92及び下流側のトランジスタT93を共にオンするのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に例示したような従来の燃料噴射制御装置100では、各ソレノイドL1〜L4への通電を個々に制御(つまり各気筒への燃料噴射を個々に制御)するために、各ソレノイド毎に個々に下流側のトランジスタ(T93〜T96)を設けていた。
【0006】
また、各トランジスタT91〜T96のゲートへ駆動信号を出力する各スイッチング回路121,122についても、各トランジスタ毎に駆動信号を出力できるよう構成する必要があった。しかも、ディーゼルエンジンの燃料噴射では通常、燃料噴射弁を速やかに開弁させるために通電初期に大電流(例えば8〜10A程度)を流すようにしているため、各トランジスタT91〜T96自体も大型化する傾向にあった。
【0007】
そのため、EDU120を構成する素子数が増加すると共に素子からの発熱量も増加して、EDU120全体の大型化を引き起こし、コストアップの要因にもなっていた。そして、例えばマイコン110とEDU120とを一体化して一つのECU(電子制御装置)を構成することが困難であるなど、燃料噴射制御装置100の高機能化・高密度実装が困難であった。この問題は、特に、内燃機関の気筒数が多いほど顕著である。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、直流電源に並列接続された少なくとも4つ以上の誘導性負荷へ予め設定した順序で通電を行う誘導性負荷駆動装置において、当該装置を構成する素子数を低減することにより装置全体の小型化・低コスト化を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の誘導性負荷駆動装置は、直流電源に並列接続された少なくとも4つ以上の誘導性負荷へ予め設定した順序で通電を行うものであり、各誘導性負荷を複数の正極側グループにグループ分けして、各正極側グループ毎に、直流電源の正極側から各正極側グループの誘導性負荷への通電経路を導通・遮断するための正極側スイッチング素子を設けると共に、各誘導性負荷を、複数のグループであって該グループを構成する誘導性負荷と前記正極側グループを構成する誘導性負荷とが2つ以上一致しないような複数の負極側グループにグループ分けして、各負極側グループ毎に、各負極側グループの誘導性負荷から直流電源の負極側への通電経路を導通・遮断するための負極側スイッチング素子を設ける。
【0010】
そして、通電制御手段が、誘導性負荷が属する正極側グループ及び負極側グループにそれぞれ対応した正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子のオン・オフを制御することにより、各誘導性負荷への通電を予め設定した順序にて行う。
【0011】
つまり、従来(図11参照)のように各誘導性負荷毎に個々にスイッチング素子を設けるのではなく、誘導性負荷の上流側(直流電源正極側)及び下流側(直流電源負極側)のいずれにも、グループ単位でスイッチング素子を設ける。そして、上記順序に従っていずれかの誘導性負荷を通電する際は、その誘導性負荷が属する正極側グループの正極側スイッチング素子及び負極側グループの負極側スイッチング素子を共にオンすることにより、通電を行うのである。
【0012】
尚、正極側グループを構成する誘導性負荷と負極側グループを構成する誘導性負荷とが2つ以上一致しないようにグループ分けする必要があるのは、仮にある2つの誘導性負荷がいずれも同じ正極側グループに属すると共に同じ負極側グループに属している場合、これら各正極側・負極側グループに対応した正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子をオンすると、当然ながら2つの誘導性負荷が共に通電されてしまうからである。
【0013】
このように、ある一つの誘導性負荷のみを通電させようとして対応する各スイッチング素子をオンしたときに、他の通電すべきでない誘導性負荷まで通電されてしまうといった事態が生じることのないよう、正極側グループを構成する誘導性負荷と負極側グループを構成する誘導性負荷とが2つ以上一致しないようにグループ分けする必要があるのである。
【0014】
従って、本発明の誘導性負荷駆動装置によれば、誘導性負荷の上流側及び下流側に設けるスイッチング素子(正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子)の総数を低減することができ、装置全体の小型化・低コスト化が可能となる。
【0015】
尚、上記のグループ分けにおいて、全ての正極側グループがいずれも複数の誘導性負荷にて構成される必要は必ずしも無く、誘導性負荷がただ一つのみの正極側グループがあってもよく、全体として正極側グループの総数が誘導性負荷の総数より少なくなるようグループ分けすればよい。即ち、図11を例に挙げると、例えばソレノイドL1〜L3を一つの正極側グループとし、ソレノイドL4を単独でもう一つの正極側グループとしてもよい。負極側グループのグループ分けについても全く同様である。
【0016】
ここで、正極側グループ及び負極側グループをそれぞれどのようにグループ分けするかは任意に決めることができるが、各グループの総数をできるだけ少なくして各スイッチング素子の総数を低減するためには、例えば請求項2に記載したように、正極側グループ及び負極側グループの少なくとも一方を2つのグループにグループ分けするとよい。
【0017】
更にこの場合、2つのグループを構成する誘導性負荷の数は適宜決めることができ、例えば誘導性負荷の総数が8である場合、一方のグループを3にして他方を5にしたり、或いは一方のグループを2にして他方を6にするなど、任意の組み合わせが可能であるが、各スイッチング素子の総数をより少なくするためには、好ましくは、上記2つのグループを構成する誘導性負荷の総数が同一又は該総数の差が1となるようにするとよい。
【0018】
具体的には、上記例(誘導性負荷の総数が8である場合)では2つのグループをそれぞれ4つの誘導性負荷で構成すればよいし、また例えば、誘導性負荷の総数が5である場合は、2つのグループの一方を3つの誘導性負荷で、他方を2つの誘導性負荷でそれぞれ構成すればいい。尚、誘導性負荷の総数が奇数である場合は、必然的に2つのグループの誘導性負荷数の差が1となる。
【0019】
ところで、上記のように、正極側グループ又は負極側グループのいずれか一方を2つにグループ分けした場合に、その2つにグループ分けされたグループとは異なる別のグループをどのようにグループ分けするかについては、請求項1にて記載したグループ分けの際の条件(正極側グループを構成する誘導性負荷と負極側グループを構成する誘導性負荷とが2つ以上一致しないようにグループ分けする必要あり)を満たす限り任意にグループ分けできる。
【0020】
そのうち特に、誘導性負荷の総数が偶数の場合であって、上記各グループ(正極側グループ又は負極側グループ)のいずれかを誘導性負荷の総数が同一である2つのグループにグループ分けした場合、それとは別のグループ(正極側グループ又は負極側グループ)は、より好ましくは、例えば請求項4に記載のように、該別のグループの各々がいずれも、上記2グループ化されたグループのうち一方のグループに属する誘導性負荷のいずれか一つと、他方のグループに属する誘導性負荷のいずれか一つとの2つの誘導性負荷の組み合わせで構成されることにより、グループ数が誘導性負荷の総数の1/2となるようグループ分けするとよい。
【0021】
例えば誘導性負荷の総数が8のときであって、各誘導性負荷の上流側を2つの正極側グループ(ここではそれぞれ第1正極グループ、第2正極グループと称し、いずれも4つの誘導性負荷で構成)にグループ分けした場合、各誘導性負荷の下流側は、第1正極グループを構成する誘導性負荷の一つと第2正極グループを構成する誘導性負荷の一つとを組み合わせて一つの負極側グループを構成すればよく、これにより負極側グループの総数が誘導性負荷の総数の1/2となる。
【0022】
そして、上記のようにグループ分けした場合の正極側グループ及び負極側グループの総数(誘導性負荷総数/2+2)は、誘導性負荷総数が偶数である場合のグループ総数の最小値であり、言い換えれば、上記のようにグループ分けすることで、各スイッチング素子の総数を最小にすることが可能となる。
【0023】
尚、誘導性負荷の総数が奇数である場合も、基本的には上記請求項4に記載した要領でグループ分けすることでグループ総数を最小(延いてはスイッチング素子総数を最小)にすることができる。具体的には、例えば誘導性負荷の総数が7である場合、例えば正極側グループとして2つのグループ(4つの誘導性負荷からなる第1正極グループと3つの誘導性負荷からなる第2正極グループ)に分け、負極側グループは4グループ化する。このうち3つの負極側グループはいずれも、第1正極グループの誘導性負荷の一つと第2正極グループの誘導性負荷の一つとの、計2つの誘導性負荷にて構成し、残る一つの誘導性負荷(第1正極グループの誘導性負荷)はそのまま単独で一つの負極側グループを構成することになる。
【0024】
ところで、複数の誘導性負荷を予め設定した順序にて順次通電する場合に、通電順序が連続する2つの誘導性負荷の通電・非通電の切り換えは、例えば通電中の誘導性負荷の通電を停止(つまり対応する各スイッチング素子の少なくともいずれかをオフ)した後に次の誘導性負荷への通電を開始するというごく一般的なパターン以外に、先に通電中の誘導性負荷の通電状態を維持しつつ次の誘導性負荷の通電を開始するというパターンも考えられる。
【0025】
このように、通電順序が連続する2つの誘導性負荷がその通電切り替わり時に共に通電されるいわゆるオーバーラップ通電が行われる例は、例えば従来技術の欄で説明した燃料噴射制御装置においても適宜採用されている。
このオーバーラップ通電時には、通電される2つの誘導性負荷にそれぞれ対応した正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子を全てオンすることになるが、そのような場合であってもやはり、通電対象である2つの誘導性負荷以外の他の誘導性負荷に通電されることがあってはならない。
【0026】
そこで、請求項4記載の誘導性負荷駆動装置のように、誘導性負荷の総数が偶数であって、正極側グループ又は負極側グループのいずれかを一方を同一負荷数の2つのグループにグループ分けすると共に、他方をその2つのグループのそれぞれに属する誘導性負荷が一つずつ組み合わさったグループにグループ分けした場合(グループ総数が誘導性負荷総数の1/2となる)において、その他方のグループを構成する2つの誘導性負荷の組み合わせは、例えば請求項5に記載のように、前記順序にて通電が行われる際の通電順番の和が、誘導性負荷の総数に1を加えた数となるようにするとよい。
【0027】
具体的には、例えば誘導性負荷の総数がn個である場合、通電順番が1番目の誘導性負荷はn番目の誘導性負荷と組み合わせて一つのグループを構成し、以下同様に、2番目とn−1番目、3番目とn−2番目、・・・、n/2番目とn/2+1番目、という組み合わせにてそれぞれグループを構成するのであり、いずれのグループも2つの誘導性負荷の通電順番の和がn+1となる。尚この場合、他方のグループ(2グループにグループ分けされる方)は必然的に、1番目〜n/2番目に通電される全ての誘導性負荷にて一つのグループが構成されると共に残る全ての負荷(n/2+1番目〜n番目に通電)にてもう一つのグループが構成されることになる。
【0028】
上記構成(請求項5)の誘導性負荷駆動装置によれば、各スイッチング素子の総数を最小に抑えることができるのに加え、通電順番が連続する2つの誘導性負荷間でオーバーラップ通電させる場合であっても、通電対象である2つの誘導性負荷以外の他の誘導性負荷に通電されることがなく通電対象の誘導性負荷のみに確実に通電させることが可能となる。
【0029】
ここで、正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子の具体例としては、例えばMOSFET等の半導体からなるスイッチング素子が考えられるが、MOSFETを採用する場合、誘導性負荷の上流側に正極側スイッチング素子として設けるMOSFETはpチャネルとし、下流側に負極側スイッチング素子として設けるMOSFETはnチャネルとする場合が一般的である。
【0030】
また一般に、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETとを比較した場合、同程度の電流を流そうとすると、チャネルの違い(キャリアの違い)等により通常はpチャネルMOSFETの方が高価かつ大型になる。仮に、正極側スイッチング素子としてnチャネルMOSFETを採用しようとすると、ゲートに十分な高電圧を印加して確実にオンするための手段(例えばチャージポンプ回路)が別途必要となり、結局はコストアップ・大型化につながる。
【0031】
そこで、上記説明した本発明(請求項2〜5)のように、複数の正極側グループ又は複数の負極側グループのうち少なくとも一方を2つのグループにグループ分けする場合、より好ましくは、例えば請求項6に記載のように、正極側グループを2グループ化するとよい。
【0032】
このように、正極側グループのグループ数を最小数の2とすることにより、正極側スイッチング素子の総数を最小の2つに抑えることができ、装置全体をより小型化・低コスト化することが可能となる。
また、既述の通り、正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子としては例えばMOSFET等が考えられるが、これに限らず、例えば請求項7に記載のようにリレーを用いてもよい。この場合、リレーのコイルを励磁するための直流電源から該コイルへの通電経路上には半導体からなるリレー用スイッチング素子を設け、通電制御手段は、そのリレー用スイッチング素子のオン・オフを制御することにより、各誘導性負荷への通電を前記順序にて行う。
【0033】
リレーは一般に、半導体スイッチング素子よりも比較的大電流を流すことが可能であるため、半導体スイッチング素子ではスイッチングが困難な大電流をスイッチングする必要がある場合に有効である。しかもこの場合、リレー用スイッチング素子には負荷電流が直接流れることはなく、リレーのコイルを励磁できる程度の微少電流をスイッチングできれば十分であるため、リレー用スイッチング素子は小型且つ低コストのもので足りる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。本実施形態の燃料噴射制御装置1は、図11に示した従来の燃料噴射制御装置100と同様、4気筒ディーゼルエンジンやガソリン直噴エンジンに備えられ、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4に燃料を噴射供給する4個の電磁ソレノイド式ユニットインジェクタ(以下単に「インジェクタ」という)のソレノイドL1,L2,L3,L4への通電時間及び通電タイミングを制御することにより、ディーゼルエンジン各気筒♯1〜♯4への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するものである。
【0035】
そして、本実施形態の燃料噴射制御装置1は、図1に示す如く、予め設定された制御プログラムに従い燃料噴射のための各種制御処理を実行して各ソレノイドL1〜L4への通電を制御する、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイコン10と、マイコン10からの噴射指令S11〜S14に従って動作し、ソレノイドL1〜L4を各々通電して各気筒♯1〜♯4のインジェクタを駆動する駆動回路(EDU)20と、図示しないバッテリからのバッテリ電圧VBをそのまま或いは適宜電圧変換して各ソレノイドL1〜L4へ供給する電源回路3とを備えている。
【0036】
尚、図1の燃料噴射制御装置1における各ソレノイドL1〜L4は、より詳しくは、ソレノイドL1が気筒♯1に、ソレノイドL2が気筒♯3に、ソレノイドL3が気筒♯4に、ソレノイドL4が気筒♯2に、それぞれ対応する。そして、各気筒のインジェクタの噴射順序は、本実施形態では気筒♯1→♯3→♯4→♯2の順である。従って、各ソレノイドL1〜L4に対しては、ソレノイドL1→L2→L3→L4の通電順序で通電されるよう予め設定されている。
【0037】
EDU20は、マイコン10からの噴射指令S11,S12に従ってトランジスタT11,T12(いずれも本実施形態ではpチャネルMOSFET)をオン・オフするための通電パルスP11,P12を生成・出力するスイッチング回路21と、マイコン10からの噴射指令S13,S14に従ってトランジスタT13,T14(いずれも本実施形態ではnチャネルMOSFET)をオン・オフするための通電パルスP13,P14を生成・出力するスイッチング回路22とを備え、各スイッチング回路21,22からの各通電パルスP11〜P14によって各トランジスタT11〜T14をオン・オフ制御することにより、各ソレノイドL1〜L4を上記順序で通電する。
【0038】
そして、本実施形態では、EDU20により通電が行われる各ソレノイドL1〜L4がそれぞれ複数のグループにグループ分けされ、各グループ毎にトランジスタT11〜T14が接続されている。
即ち、まず各ソレノイドL1〜L4の通電経路の上流側(電源回路3側)に着目すると、ソレノイドL1,L2からなる正極側グループと、ソレノイドL3,L4からなる正極側グループとの2つの正極側グループにグループ分けされており、各正極側グループ毎にそれぞれトランジスタT12,T11(いずれも本発明の正極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0039】
一方、各ソレノイドL1〜L4の通電経路の下流側(接地側)に着目すると、ソレノイドL1,L4からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L3からなる負極側グループとの2つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれトランジスタT13,T14(いずれも本発明の負極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0040】
尚、負極側グループをどのソレノイドで構成するかについては、図1のような組み合わせに限らず、例えば、ソレノイドL1,L3にて一つの負極側グループを構成すると共に、ソレノイドL2,L4にてもう一つの負極側グループを構成するという方法も採れる。
【0041】
しかし、そのように負極側グループをグループ分けすると、各ソレノイドL1〜L4がそれぞれ単独で上記通電順序に従って通電される場合は問題ないのだが、通電順序が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電させた場合、通電すべき2つのソレノイド以外の他のソレノイドまで通電されてしまうことがある。具体的には、例えば通電順序が連続するソレノイドL2とソレノイドL3をオーバーラップ通電させようとした場合、全てのトランジスタをオンする必要があるのだが、そうすると、他の通電すべきでないソレノイドL1,L4まで通電されてしまうのである。
【0042】
このように、オーバーラップ通電を行わずに各ソレノイドL1〜L4がいずれも単独でのみ通電されるのであれば、負極側グループを図1以外のグループ分けにしてもいいのだが、本実施形態では、オーバーラップ通電ができるよう(つまり噴射順序が連続する2つの気筒に同時に燃料噴射できるよう)、負極側グループを図1のように構成しているのである。
【0043】
つまり、本実施形態の正極側グループ及び負極側グループのそれぞれのグループ分けは、まず各ソレノイドL1〜L4を2つのグループであって両グループのソレノイド数が同数(ここでは2つ)となるような正極側グループにグループ分けする一方、各ソレノイドL1〜L4を、上記2つの正極側グループを構成するソレノイドが一つずつ組み合わさって計2つのソレノイドからなる負極側グループにグループ分けしている。このようにすることで、グループ総数を最小に抑え、延いては通電経路に設けられるトランジスタの総数を最小(本実施形態では図示の通り4つ)に抑えている。
【0044】
また本実施形態では、負極側グループを構成する2つのソレノイドの組み合わせを、各ソレノイドの通電順番の和がソレノイド総数+1(つまり5)となるように組み合わせている。具体的には、通電順番が1番目のソレノイドL1と4番目のソレノイドL4とで一つの負極側グループを構成し、通電順番が2番目のソレノイドL2と3番目のソレノイドL3とで一つの負極側グループを構成しており、いずれの負極側グループも、構成する2つのソレノイドの通電順番の和が5となっている。このようにすることで、オーバーラップ通電を可能としているのである。
【0045】
このように構成された燃料噴射制御装置1では、マイコン10からの噴射指令S11〜S14に従ってEDU20が動作し、各トランジスタT11〜T14がそれぞれオン・オフされるわけだが、その動作の一例を図2に示す。図2は、本実施形態の燃料噴射制御装置1の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0046】
図2に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT13,T12が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。時刻t2になるとトランジスタT13がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、時刻t3でトランジスタT14がオンすることによりソレノイドL2への通電が開始される。この間、上流側のトランジスタT12はオン継続中である。
【0047】
時刻t3以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT13,T14のいずれか一方と、上流側のトランジスタT11,T12のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。
【0048】
次に、通電順序が連続する2つのソレノイドが共に通電されるオーバーラップ通電が行われる場合の動作例について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電が行われる場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0049】
図3に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT13,T12が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。そして、時刻t2になるとトランジスタT14もオンするため、ソレノイドL1への通電が継続されたままソレノイドL2への通電が開始される。時刻t3になると、トランジスタT13がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、ソレノイドL2のみの通電となる。つまり、時刻t2〜t3の間にソレノイドL1,L2によるオーバーラップ通電が行われるのである。
【0050】
時刻t3以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT13,T14のいずれか一方と、上流側のトランジスタT11,T12のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。そして、時刻t4〜t5の間にソレノイドL2,L3によるオーバーラップ通電が行われ、t6〜t7の間にソレノイドL3,L4によるオーバーラップ通電が行われ、t8〜t9の間にソレノイドL4,L1によるオーバーラップ通電が行われて、以後も同様に、各ソレノイドL1〜L4への通電(オーバーラップ通電を含む)が順次行われる。
【0051】
以上詳述したように、本実施形態の燃料噴射制御装置1では、4つのソレノイドL1〜L4を、その上流側及び下流側にてそれぞれ2つの正極側グループ及び2つの負極側グループにグループ分けして、各グループ毎にスイッチング素子としてのトランジスタを設けている。しかもこのグループ分けは、4つのソレノイドをグループ分けする場合の、グループ総数が最も少なくなる分け方である。
【0052】
そのため、図11で説明した従来の燃料噴射制御装置100のように各ソレノイド毎に個々にトランジスタ(T93〜T96)を設けるのに比べ、EDU20を構成する素子(特にトランジスタ)の総数を低減することができ、装置全体の小型化・低コスト化が可能となる。具体的には、従来は図11の通りソレノイドの上流側・下流側あわせて6個のトランジスタが必要であったが、本実施形態では4個のトランジスタによる構成が可能となる。またその結果、マイコン10とEDU20とを一体化して一つのユニットにすることが容易になる。
【0053】
しかも、通電順序が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電させたときに、他の2つのソレノイド(通電すべきでないソレノイド)に通電されることのないよう、負極側グループのグループ分けがなされているため、オーバーラップ通電も確実に行うことができる。
【0054】
尚、本実施形態において、電源回路3は本発明の直流電源に相当し、マイコン10は本発明の通電制御手段に相当する。
[第2実施形態]
図4は、本実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。本実施形態の燃料噴射制御装置30は、図1に示した第1実施形態の燃料噴射制御装置1と同様、ディーゼルエンジンやガソリン直噴エンジンに備えられ、各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するものであるが、本実施形態のディーゼルエンジンは6気筒である点で上記第1実施形態と異なる。
【0055】
即ち、本実施形態の燃料噴射制御装置30では、6気筒ディーゼルエンジンの各気筒♯1〜♯6に燃料を噴射供給する6個のソレノイドL1〜L6への通電時間及び通電タイミングが制御される。尚、各ソレノイドL1〜L6への通電順序は、L1→L2→L3→L4→L5→L6の順である。通電制御手段としてのマイコン35は、この順序で通電が行われるよう噴射指令S21〜S25を出力し、この噴射指令に従って、スイッチング回路41が通電パルスP21,P22を、スイッチング回路42が通電パルスP23〜P25を、それぞれ生成・出力して、各トランジスタT21〜T25をオン・オフ制御する。
【0056】
次に、本実施形態における6個のソレノイドL1〜L6のグループ分けについて説明する。まず各ソレノイドL1〜L6の通電経路の上流側に着目すると、ソレノイドL1〜L3からなる正極側グループと、ソレノイドL4〜L6からなる正極側グループとの2つの正極側グループにグループ分けされており、各正極側グループ毎にそれぞれトランジスタT22,T21(いずれもpチャネルMOSFETであり、本発明の正極側スイッチング素子に相当)が接続されている。つまり、上流側については第1実施形態と同様、2グループ化されている。
【0057】
一方、各ソレノイドL1〜L6の通電経路の下流側に着目すると、ソレノイドL1,L6からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L5からなる負極側グループと、ソレノイドL3,L4からなる負極側グループとの3つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれトランジスタT23,T24,T25(いずれもnチャネルMOSFETであり、本発明の負極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0058】
即ち、本実施形態の正極側グループ及び負極側グループのそれぞれのグループ分けは、まず各ソレノイドL1〜L6を2つのグループであって両グループのソレノイド数が同数(ここでは3つ)となるような正極側グループにグループ分けする一方、各ソレノイドL1〜L6を、上記2つの正極側グループを構成するソレノイドが一つずつ組み合わさって計2つのソレノイドからなる負極側グループ(グループ数は負荷総数の1/2である3グループ)にグループ分けしている。このようにすることで、グループ総数を最小に抑え、延いては通電経路に設けられるトランジスタの総数を最小(本実施形態では図示の通り5つ)に抑えている。
【0059】
また本実施形態でも、第1実施形態と同様、通電順番が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電できるよう、負極側グループを構成する2つのソレノイドの組み合わせを、各ソレノイドの通電順番の和がソレノイド総数+1(つまり7)となるように組み合わせている。
【0060】
具体的には、通電順番が1番目のソレノイドL1と6番目のソレノイドL6とで一つの負極側グループを構成し、通電順番が2番目のソレノイドL2と5番目のソレノイドL5とで一つの負極側グループを構成し、通電順番が3番目のソレノイドL3と4番目のソレノイドL4とで一つの負極側グループを構成しており、いずれの負極側グループも、構成する2つのソレノイドの通電順番の和が7となっている。
【0061】
このように構成された燃料噴射制御装置30では、マイコン35からの噴射指令S21〜S25に従ってEDU40が動作し、各トランジスタT21〜T25がそれぞれオン・オフされるわけだが、その動作の一例を図5に示す。図5は、本実施形態の燃料噴射制御装置30の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0062】
図5に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT23,T22が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。時刻t2になるとトランジスタT23がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、時刻t3でトランジスタT24がオンすることによりソレノイドL2への通電が開始される。この間、上流側のトランジスタT22はオン継続中である。
【0063】
時刻t4になるとトランジスタT24がオフするためソレノイドL2への通電が終了し、時刻t5でトランジスタT25がオンすることによりソレノイドL3への通電が開始される。この間も上流側のトランジスタT22はオン継続中であるが、時刻t6になるとこのトランジスタT22がオフして、ソレノイドL3への通電が終了し、時刻t7になると上流側でトランジスタT21がオンする。このとき(時刻t7)、下流側のトランジスタT25は時刻t5からの通電が継続中であるため、ソレノイドL4への通電が開始される。
【0064】
時刻t7以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT23〜T25のいずれか一方と、上流側のトランジスタT21,T22のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。
【0065】
次に、通電順序が連続する2つのソレノイドが共に通電されるオーバーラップ通電が行われる場合の動作例について、図6に基づいて説明する。図6は、本実施形態の燃料噴射制御装置30の動作(オーバーラップ通電が行われる場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0066】
図6に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT23,T22が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。そして、時刻t2になるとトランジスタT24もオンするため、ソレノイドL1への通電が継続されたままソレノイドL2への通電が開始される。時刻t3になると、トランジスタT23がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、ソレノイドL2のみの通電となる。つまり、時刻t2〜t3の間にソレノイドL1,L2によるオーバーラップ通電が行われるのである。
【0067】
時刻t3以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT23〜T25のいずれか一方と、上流側のトランジスタT21,T22のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。そして、時刻t4〜t5の間にソレノイドL2,L3によるオーバーラップ通電が行われ、t6〜t7の間にソレノイドL3,L4によるオーバーラップ通電が行われ、t8〜t9の間にソレノイドL4,L5によるオーバーラップ通電が行われ、t10〜t11の間にソレノイドL5,L6によるオーバーラップ通電が行われ、t12〜t13の間にソレノイドL6,L1によるオーバーラップ通電が行われて、以後も同様に、各ソレノイドL1〜L6への通電(オーバーラップ通電を含む)が順次行われる。
【0068】
以上詳述したように、本実施形態の燃料噴射制御装置30では、6つのソレノイドL1〜L6を、その上流側及び下流側にてそれぞれ2つの正極側グループ及び3つの負極側グループにグループ分けして、各グループ毎にスイッチング素子としてのトランジスタを設けている。しかもこのグループ分けは、6つのソレノイドをグループ分けする場合の、グループ総数が最も少なくなる分け方である。
【0069】
そのため、図1で説明した第1実施形態の燃料噴射制御装置1と同様、EDU40を構成する素子(特にトランジスタ)の総数を低減することができ、装置全体の小型化・低コスト化が可能となる。具体的には、従来のように例えば下流側のトランジスタを各ソレノイド毎に個々に設けると、上流側・下流側あわせて8個のトランジスタが必要であったのに対し、本実施形態では5個のトランジスタによる構成が可能となる。またその結果、マイコン35とEDU40とを一体化して一つのユニットにすることが容易になる。
【0070】
しかも、通電順序が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電させたときに、他の4つのソレノイド(通電すべきでないソレノイド)に通電されることのないよう、負極側グループのグループ分けがなされているため、オーバーラップ通電も確実に行うことができる。
【0071】
[第3実施形態]
図7は、本実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。本実施形態の燃料噴射制御装置50は、図1に示した第1実施形態の燃料噴射制御装置1や図4に示した第2実施形態の燃料噴射制御装置30と同様、ディーゼルエンジンやガソリン直噴エンジンに備えられ、各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するものであるが、本実施形態のディーゼルエンジンは8気筒である点で上記第1又は第2実施形態と異なる。
【0072】
即ち、本実施形態の燃料噴射制御装置50では、8気筒ディーゼルエンジンの各気筒♯1〜♯8に燃料を噴射供給する8個のソレノイドL1〜L8への通電時間及び通電タイミングが制御される。尚、各ソレノイドL1〜L8への通電順序は、L1→L2→L3→L4→L5→L6→L7→L8の順である。通電制御手段としてのマイコン55は、この順序で通電が行われるよう噴射指令S31〜S36を出力し、この噴射指令に従って、スイッチング回路61が通電パルスP31,P32を、スイッチング回路62が通電パルスP33〜P36を、それぞれ生成・出力して、各トランジスタT31〜T36をオン・オフ制御する。
【0073】
次に、本実施形態における8個のソレノイドL1〜L8のグループ分けについて説明する。まず各ソレノイドL1〜L8の通電経路の上流側に着目すると、ソレノイドL1〜L4からなる正極側グループと、ソレノイドL5〜L8からなる正極側グループとの2つの正極側グループにグループ分けされており、各正極側グループ毎にそれぞれトランジスタT32,T31(いずれもpチャネルMOSFETであり、本発明の正極側スイッチング素子に相当)が接続されている。つまり、上流側については第1実施形態又は第2実施形態と同様、2グループ化されている。
【0074】
一方、各ソレノイドL1〜L8の通電経路の下流側に着目すると、ソレノイドL1,L8からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L7からなる負極側グループと、ソレノイドL3,L6からなる負極側グループと、ソレノイドL4,L5からなる負極側グループとの4つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれトランジスタT33,T34,T35,T36(いずれもnチャネルMOSFETであり、本発明の負極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0075】
即ち、本実施形態の正極側グループ及び負極側グループのそれぞれのグループ分けは、まず各ソレノイドL1〜L8を2つのグループであって両グループのソレノイド数が同数(ここでは4つ)となるような正極側グループにグループ分けする一方、各ソレノイドL1〜L8を、上記2つの正極側グループを構成するソレノイドが一つずつ組み合わさって計2つのソレノイドからなる負極側グループ(グループ数は負荷総数の1/2である4グループ)にグループ分けしている。このようにすることで、グループ総数を最小に抑え、延いては通電経路に設けられるトランジスタの総数を最小(本実施形態では図示の通り6つ)に抑えている。
【0076】
また本実施形態でも、第1又は第2実施形態と同様、通電順番が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電できるよう、負極側グループを構成する2つのソレノイドの組み合わせを、各ソレノイドの通電順番の和がソレノイド総数+1(つまり9)となるように組み合わせている。
【0077】
このように構成された燃料噴射制御装置50では、マイコン55からの噴射指令S31〜S36に従ってEDU60が動作し、各トランジスタT31〜T36がそれぞれオン・オフされるわけだが、その動作の一例を図8に示す。図8は、本実施形態の燃料噴射制御装置50の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0078】
図8に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT33,T32が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。時刻t2になるとトランジスタT33がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、時刻t3でトランジスタT34がオンすることによりソレノイドL2への通電が開始される。この間、上流側のトランジスタT32はオン継続中である。
【0079】
時刻t3以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT33〜T36のいずれか一方と、上流側のトランジスタT31,T32のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。つまり、第1実施形態の図2や第2実施形態の図5と同様の要領で通電が行われる。尚、図示は省略したものの、本実施形態においても、第1実施形態の図3や第2実施形態の図6と同様、オーバーラップ通電が可能であることはいうまでもない。
【0080】
以上詳述したように、本実施形態の燃料噴射制御装置50では、8つのソレノイドL1〜L8を、その上流側及び下流側にてそれぞれ2つの正極側グループ及び4つの負極側グループにグループ分けして、各グループ毎にスイッチング素子としてのトランジスタを設けている。しかもこのグループ分けは、8つのソレノイドをグループ分けする場合の、グループ総数が最も少なくなる分け方である。
【0081】
そのため、図1の燃料噴射制御装置1や図4の燃料噴射制御装置30と同様、EDU60を構成する素子(特にトランジスタ)の総数を低減することができ、装置全体の小型化・低コスト化が可能となる。具体的には、従来のように例えば下流側のトランジスタを各ソレノイド毎に個々に設けると、上流側・下流側あわせて10個のトランジスタが必要であったのに対し、本実施形態では6個のトランジスタによる構成が可能となる。またその結果、マイコン55とEDU60とを一体化して一つのユニットにすることが容易になる。
【0082】
しかも、通電順序が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電させたときに、他の6つのソレノイド(通電すべきでないソレノイド)に通電されることのないよう、負極側グループのグループ分けがなされているため、オーバーラップ通電も確実に行うことができる。
【0083】
[第4実施形態]
図9は、本実施形態の誘導性負荷駆動装置の概略構成を示す説明図である。本実施形態の誘導性負荷駆動装置70は、図1に示した燃料噴射制御装置1と同様、4つのソレノイドL1,L2,L3,L4への通電時間及び通電タイミングを制御するものであるが、本実施形態では、直流電源73から各ソレノイドL1〜L4の通電経路を導通・遮断するための正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子として、トランジスタではなく、リレーRy1〜Ry4を設けている。
【0084】
そして、本実施形態においても、各ソレノイドL1〜L4がその上流側及び下流側でそれぞれグループ分けされ、各グループ毎にリレーが設けられている。本実施形態のグループ分けは、図1で説明した第1実施形態の燃料噴射制御装置1におけるソレノイドL1〜L4のグループ分けと全く同様である。
【0085】
即ち、まず各ソレノイドL1〜L4の通電経路の上流側に着目すると、ソレノイドL1,L2からなる正極側グループと、ソレノイドL3,L4からなる正極側グループとの2つの正極側グループにグループ分けされており、各正極側グループ毎にそれぞれリレーRy1,Ry2(いずれも本発明の正極側スイッチング素子に相当)が接続(詳細には各リレーの接点が接続)されている。
【0086】
一方、各ソレノイドL1〜L4の通電経路の下流側に着目すると、ソレノイドL1,L4からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L3からなる負極側グループとの2つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれリレーRy3,Ry4(いずれも本発明の負極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0087】
そして、各リレーRy1〜Ry4のオン・オフは、これら各リレーのコイルに接続されたトランジスタをオン・オフすることにより行われる。即ち、駆動回路72には、直流電源73から各リレーRy1〜Ry4のコイルへの通電経路を導通・遮断するための各トランジスタT71〜T74(いずれも本発明のリレー用スイッチング素子に相当)がそれぞれ設けられており、図示しないマイコンからの制御指令に応じてスイッチング回路76が各トランジスタT71,T72を、スイッチング回路77が各トランジスタT73,T74を、それぞれオン・オフ制御することによりリレーのコイルへの通電を制御し、延いては各ソレノイドL1〜L4の通電を制御する。
【0088】
具体的には、トランジスタT71及びトランジスタT73をオンすると、ソレノイドL1上流側のリレーRy1のコイルが励磁(通電)されると共に下流側のリレーRy3のコイルも励磁される。そのため、リレーRy1,Ry3は共にオンし、ソレノイドL1への通電が行われる。
【0089】
同様に、他のソレノイドL2〜L4への通電についても、通電しようとするソレノイドの下流側及び上流側の各リレーにそれぞれ対応したリレー用スイッチング素子(トランジスタT71〜T74のいずれか2つ)を共にオンすることにより、所望のソレノイドへの通電が行われる。
【0090】
以上詳述したように、本実施形態のように、誘導性負荷(ソレノイド)の通電経路をトランジスタにて直接オン・オフするのではなくリレーによりオン・オフするよう構成すると共に、そのリレーを別途リレー用トランジスタにてオン・オフするよう構成された誘導性負荷駆動装置においても、本発明を適用して複数の誘導性負荷(本例では4つのソレノイドL1〜L4)をグループ分けし、各グループ単位でリレー及びリレー用トランジスタを設けることで、これら各素子の総数を低減でき、装置全体の小型化が可能となる。
【0091】
尚、本実施形態のように誘導性負荷の通電経路にリレーを設ける方法は、例えば、半導体スイッチング素子だとスイッチングが困難な大電流をスイッチングする必要がある場合などに有効である。
但し、リレーの場合は、オン又はオフの瞬間にチャタリングが生じるなど、リレー特有の問題もある。そのため、正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子としてトランジスタ等の半導体スイッチング素子を用いるか、それともリレーを用いるかは、誘導性負荷を流れる電流の大きさやスイッチング動作に要求される精度など、種々の条件を考慮して決めればよい。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について、第1〜第4実施形態の4つの例を挙げて説明したが、本発明の実施の形態は上記各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0093】
例えば、上記第各実施形態では、誘導性負荷(ソレノイド)の上流側を2つの正極側グループにグループ分けし、下流側を誘導性負荷総数の1/2のグループ数の負極側グループにグループ分け(各負極側グループを構成する負荷は2つ)したが、このようなグループ分けに限定されるわけではない。具体的には、例えば上流側・下流側のグループ分け方法を上記各実施形態とは全く逆にして、負荷の下流側を2グループ化し、上流側を負荷総数の1/2のグループ数にグループ分けするようにしてもよい。
【0094】
但し、このようにすると、正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子としてのトランジスタの総数は上記各実施形態と同じであるため従来に比べれば装置全体の小型化が可能となるものの、負荷総数が4つの場合を除いて上流側スイッチング素子の数が下流側スイッチング素子の数より多くなる。そのため、装置全体の小型化・低コスト化のためには、より好ましくは、上記各実施形態のように正極側グループを2グループ化するのが好ましい。
【0095】
また例えば、第2実施形態で示した6つのソレノイドL1〜L6に対するグループ分けは、図4のグループ分けに限らず、図10に示したようにグループ分けしてもよい。
即ち、図10の燃料噴射制御装置80は、各ソレノイドL1〜L6の上流側では、ソレノイドL1,L2からなる正極側グループと、ソレノイドL3,L4からなる正極側グループと、ソレノイドL5,L6からなる正極側グループとの3つの正極側グループにグループ分けされ、各正極側グループ毎にそれぞれトランジスタT81〜T83(いずれもpチャネルMOSFET)が接続されている。
【0096】
一方、各ソレノイドL1〜L6の通電経路の下流側では、ソレノイドL1,L6からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L3からなる負極側グループと、ソレノイドL4,L5からなる負極側グループとの3つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれトランジスタT84,T86,T85(いずれもnチャネルMOSFET)が接続されている。
【0097】
このように、正極側グループ及び負極側グループをそれぞれ3つのグループに分けても、各ソレノイドL1〜L6を所定の通電順序で順次通電することができ、オーバーラップ通電も可能である。また、オーバーラップ通電することと考慮する必要がない場合は、図10とはまた異なったグループ分けをすることも可能である。
【0098】
誘導性負荷の総数が6つ以外の場合(但し4つ以上)についても同様であり、負荷の上流側及び下流側を共にグループ化して各グループ毎にスイッチング素子を設け、これらスイッチング素子をオン・オフ制御することにより所定の通電順序にて通電できる限り、あらゆるグループ化が可能である。
【0099】
但し、グループの総数を最小に抑えてスイッチング素子を可能な限り低減させつつオーバーラップ通電も可能にするためには、上記各実施形態のように、上流側を2つの正極側グループに分けると共に、各正極側グループに属する誘導性負荷をそれぞれ一つずつ組み合わせて一つの下流側グループを構成する(下流側グループ総数は負荷総数の1/2)とするのがより好ましい。
【0100】
また、本発明の適用は、上記第1〜第3実施形態で説明したような燃料噴射制御装置への適用に何ら限定されず、例えばステップモータを駆動する駆動回路にも適用できるなど、誘導性負荷をその上流側及び下流側のスイッチング素子のオン・オフにて通電制御し、且つ少なくとも4つ以上の複数の誘導性負荷を順次通電していくものであれば適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】第1実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図3】第1実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電が行われる場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図4】第2実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図6】第2実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電が行われる場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図7】第3実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図8】第3実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図9】第4実施形態の燃料噴射制御装置の他の例を示す説明図である。
【図10】第2実施形態の燃料噴射制御装置の他の例を示す説明図である。
【図11】従来の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1,30,50,80,100…燃料噴射制御装置、3…電源回路、10,35,55,110…マイコン、20,40,60,72,82,120…駆動回路、21,22,41,42,61,62,76,77,86,87…スイッチング回路、70…誘導性負荷駆動装置、73…直流電源、L1〜L8…ソレノイド、Ry1〜Ry4…リレー、T11〜T96…トランジスタ(MOSFET)
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電源に並列接続された少なくとも4つ以上の誘導性負荷へ予め設定した順序で通電を行う誘導性負荷駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば車両の内燃機関の各気筒にそれぞれ燃料を噴射供給する燃料噴射弁には、通常、電磁ソレノイド(以下単に「ソレノイド」という)への通電により開弁される電磁弁が使用されている。
【0003】
図11に、従来の燃料噴射制御装置の一例として、4気筒ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置の概略を示す。図11に示す如く、従来の燃料噴射制御装置100は、内燃機関各気筒にそれぞれ設けられた燃料噴射弁(インジェクタ)のソレノイドL1〜L4の通電を制御するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略す)110と、マイコン110からの噴射指令に従って各スイッチング回路121,122が各トランジスタ(MOSFET)T91〜T96をオン・オフすることにより所望のソレノイドへの通電を行う駆動回路(EDU:Electric Driver Unit)120とから構成される。
【0004】
即ち、各ソレノイドL1〜L4はいずれも、その通電経路の上流側(駆動電源正極側)及び下流側(駆動電源負極側)にそれぞれスイッチング素子としてのトランジスタが設けられ、対応する上流側及び下流側のトランジスタを共にオンすることにより通電が行われる。例えばソレノイドL1への通電を行って対応する燃料噴射弁を開弁させようとするときは、通電経路上流側のトランジスタT92及び下流側のトランジスタT93を共にオンするのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に例示したような従来の燃料噴射制御装置100では、各ソレノイドL1〜L4への通電を個々に制御(つまり各気筒への燃料噴射を個々に制御)するために、各ソレノイド毎に個々に下流側のトランジスタ(T93〜T96)を設けていた。
【0006】
また、各トランジスタT91〜T96のゲートへ駆動信号を出力する各スイッチング回路121,122についても、各トランジスタ毎に駆動信号を出力できるよう構成する必要があった。しかも、ディーゼルエンジンの燃料噴射では通常、燃料噴射弁を速やかに開弁させるために通電初期に大電流(例えば8〜10A程度)を流すようにしているため、各トランジスタT91〜T96自体も大型化する傾向にあった。
【0007】
そのため、EDU120を構成する素子数が増加すると共に素子からの発熱量も増加して、EDU120全体の大型化を引き起こし、コストアップの要因にもなっていた。そして、例えばマイコン110とEDU120とを一体化して一つのECU(電子制御装置)を構成することが困難であるなど、燃料噴射制御装置100の高機能化・高密度実装が困難であった。この問題は、特に、内燃機関の気筒数が多いほど顕著である。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、直流電源に並列接続された少なくとも4つ以上の誘導性負荷へ予め設定した順序で通電を行う誘導性負荷駆動装置において、当該装置を構成する素子数を低減することにより装置全体の小型化・低コスト化を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の誘導性負荷駆動装置は、直流電源に並列接続された少なくとも4つ以上の誘導性負荷へ予め設定した順序で通電を行うものであり、各誘導性負荷を複数の正極側グループにグループ分けして、各正極側グループ毎に、直流電源の正極側から各正極側グループの誘導性負荷への通電経路を導通・遮断するための正極側スイッチング素子を設けると共に、各誘導性負荷を、複数のグループであって該グループを構成する誘導性負荷と前記正極側グループを構成する誘導性負荷とが2つ以上一致しないような複数の負極側グループにグループ分けして、各負極側グループ毎に、各負極側グループの誘導性負荷から直流電源の負極側への通電経路を導通・遮断するための負極側スイッチング素子を設ける。
【0010】
そして、通電制御手段が、誘導性負荷が属する正極側グループ及び負極側グループにそれぞれ対応した正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子のオン・オフを制御することにより、各誘導性負荷への通電を予め設定した順序にて行う。
【0011】
つまり、従来(図11参照)のように各誘導性負荷毎に個々にスイッチング素子を設けるのではなく、誘導性負荷の上流側(直流電源正極側)及び下流側(直流電源負極側)のいずれにも、グループ単位でスイッチング素子を設ける。そして、上記順序に従っていずれかの誘導性負荷を通電する際は、その誘導性負荷が属する正極側グループの正極側スイッチング素子及び負極側グループの負極側スイッチング素子を共にオンすることにより、通電を行うのである。
【0012】
尚、正極側グループを構成する誘導性負荷と負極側グループを構成する誘導性負荷とが2つ以上一致しないようにグループ分けする必要があるのは、仮にある2つの誘導性負荷がいずれも同じ正極側グループに属すると共に同じ負極側グループに属している場合、これら各正極側・負極側グループに対応した正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子をオンすると、当然ながら2つの誘導性負荷が共に通電されてしまうからである。
【0013】
このように、ある一つの誘導性負荷のみを通電させようとして対応する各スイッチング素子をオンしたときに、他の通電すべきでない誘導性負荷まで通電されてしまうといった事態が生じることのないよう、正極側グループを構成する誘導性負荷と負極側グループを構成する誘導性負荷とが2つ以上一致しないようにグループ分けする必要があるのである。
【0014】
従って、本発明の誘導性負荷駆動装置によれば、誘導性負荷の上流側及び下流側に設けるスイッチング素子(正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子)の総数を低減することができ、装置全体の小型化・低コスト化が可能となる。
【0015】
尚、上記のグループ分けにおいて、全ての正極側グループがいずれも複数の誘導性負荷にて構成される必要は必ずしも無く、誘導性負荷がただ一つのみの正極側グループがあってもよく、全体として正極側グループの総数が誘導性負荷の総数より少なくなるようグループ分けすればよい。即ち、図11を例に挙げると、例えばソレノイドL1〜L3を一つの正極側グループとし、ソレノイドL4を単独でもう一つの正極側グループとしてもよい。負極側グループのグループ分けについても全く同様である。
【0016】
ここで、正極側グループ及び負極側グループをそれぞれどのようにグループ分けするかは任意に決めることができるが、各グループの総数をできるだけ少なくして各スイッチング素子の総数を低減するためには、例えば請求項2に記載したように、正極側グループ及び負極側グループの少なくとも一方を2つのグループにグループ分けするとよい。
【0017】
更にこの場合、2つのグループを構成する誘導性負荷の数は適宜決めることができ、例えば誘導性負荷の総数が8である場合、一方のグループを3にして他方を5にしたり、或いは一方のグループを2にして他方を6にするなど、任意の組み合わせが可能であるが、各スイッチング素子の総数をより少なくするためには、好ましくは、上記2つのグループを構成する誘導性負荷の総数が同一又は該総数の差が1となるようにするとよい。
【0018】
具体的には、上記例(誘導性負荷の総数が8である場合)では2つのグループをそれぞれ4つの誘導性負荷で構成すればよいし、また例えば、誘導性負荷の総数が5である場合は、2つのグループの一方を3つの誘導性負荷で、他方を2つの誘導性負荷でそれぞれ構成すればいい。尚、誘導性負荷の総数が奇数である場合は、必然的に2つのグループの誘導性負荷数の差が1となる。
【0019】
ところで、上記のように、正極側グループ又は負極側グループのいずれか一方を2つにグループ分けした場合に、その2つにグループ分けされたグループとは異なる別のグループをどのようにグループ分けするかについては、請求項1にて記載したグループ分けの際の条件(正極側グループを構成する誘導性負荷と負極側グループを構成する誘導性負荷とが2つ以上一致しないようにグループ分けする必要あり)を満たす限り任意にグループ分けできる。
【0020】
そのうち特に、誘導性負荷の総数が偶数の場合であって、上記各グループ(正極側グループ又は負極側グループ)のいずれかを誘導性負荷の総数が同一である2つのグループにグループ分けした場合、それとは別のグループ(正極側グループ又は負極側グループ)は、より好ましくは、例えば請求項4に記載のように、該別のグループの各々がいずれも、上記2グループ化されたグループのうち一方のグループに属する誘導性負荷のいずれか一つと、他方のグループに属する誘導性負荷のいずれか一つとの2つの誘導性負荷の組み合わせで構成されることにより、グループ数が誘導性負荷の総数の1/2となるようグループ分けするとよい。
【0021】
例えば誘導性負荷の総数が8のときであって、各誘導性負荷の上流側を2つの正極側グループ(ここではそれぞれ第1正極グループ、第2正極グループと称し、いずれも4つの誘導性負荷で構成)にグループ分けした場合、各誘導性負荷の下流側は、第1正極グループを構成する誘導性負荷の一つと第2正極グループを構成する誘導性負荷の一つとを組み合わせて一つの負極側グループを構成すればよく、これにより負極側グループの総数が誘導性負荷の総数の1/2となる。
【0022】
そして、上記のようにグループ分けした場合の正極側グループ及び負極側グループの総数(誘導性負荷総数/2+2)は、誘導性負荷総数が偶数である場合のグループ総数の最小値であり、言い換えれば、上記のようにグループ分けすることで、各スイッチング素子の総数を最小にすることが可能となる。
【0023】
尚、誘導性負荷の総数が奇数である場合も、基本的には上記請求項4に記載した要領でグループ分けすることでグループ総数を最小(延いてはスイッチング素子総数を最小)にすることができる。具体的には、例えば誘導性負荷の総数が7である場合、例えば正極側グループとして2つのグループ(4つの誘導性負荷からなる第1正極グループと3つの誘導性負荷からなる第2正極グループ)に分け、負極側グループは4グループ化する。このうち3つの負極側グループはいずれも、第1正極グループの誘導性負荷の一つと第2正極グループの誘導性負荷の一つとの、計2つの誘導性負荷にて構成し、残る一つの誘導性負荷(第1正極グループの誘導性負荷)はそのまま単独で一つの負極側グループを構成することになる。
【0024】
ところで、複数の誘導性負荷を予め設定した順序にて順次通電する場合に、通電順序が連続する2つの誘導性負荷の通電・非通電の切り換えは、例えば通電中の誘導性負荷の通電を停止(つまり対応する各スイッチング素子の少なくともいずれかをオフ)した後に次の誘導性負荷への通電を開始するというごく一般的なパターン以外に、先に通電中の誘導性負荷の通電状態を維持しつつ次の誘導性負荷の通電を開始するというパターンも考えられる。
【0025】
このように、通電順序が連続する2つの誘導性負荷がその通電切り替わり時に共に通電されるいわゆるオーバーラップ通電が行われる例は、例えば従来技術の欄で説明した燃料噴射制御装置においても適宜採用されている。
このオーバーラップ通電時には、通電される2つの誘導性負荷にそれぞれ対応した正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子を全てオンすることになるが、そのような場合であってもやはり、通電対象である2つの誘導性負荷以外の他の誘導性負荷に通電されることがあってはならない。
【0026】
そこで、請求項4記載の誘導性負荷駆動装置のように、誘導性負荷の総数が偶数であって、正極側グループ又は負極側グループのいずれかを一方を同一負荷数の2つのグループにグループ分けすると共に、他方をその2つのグループのそれぞれに属する誘導性負荷が一つずつ組み合わさったグループにグループ分けした場合(グループ総数が誘導性負荷総数の1/2となる)において、その他方のグループを構成する2つの誘導性負荷の組み合わせは、例えば請求項5に記載のように、前記順序にて通電が行われる際の通電順番の和が、誘導性負荷の総数に1を加えた数となるようにするとよい。
【0027】
具体的には、例えば誘導性負荷の総数がn個である場合、通電順番が1番目の誘導性負荷はn番目の誘導性負荷と組み合わせて一つのグループを構成し、以下同様に、2番目とn−1番目、3番目とn−2番目、・・・、n/2番目とn/2+1番目、という組み合わせにてそれぞれグループを構成するのであり、いずれのグループも2つの誘導性負荷の通電順番の和がn+1となる。尚この場合、他方のグループ(2グループにグループ分けされる方)は必然的に、1番目〜n/2番目に通電される全ての誘導性負荷にて一つのグループが構成されると共に残る全ての負荷(n/2+1番目〜n番目に通電)にてもう一つのグループが構成されることになる。
【0028】
上記構成(請求項5)の誘導性負荷駆動装置によれば、各スイッチング素子の総数を最小に抑えることができるのに加え、通電順番が連続する2つの誘導性負荷間でオーバーラップ通電させる場合であっても、通電対象である2つの誘導性負荷以外の他の誘導性負荷に通電されることがなく通電対象の誘導性負荷のみに確実に通電させることが可能となる。
【0029】
ここで、正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子の具体例としては、例えばMOSFET等の半導体からなるスイッチング素子が考えられるが、MOSFETを採用する場合、誘導性負荷の上流側に正極側スイッチング素子として設けるMOSFETはpチャネルとし、下流側に負極側スイッチング素子として設けるMOSFETはnチャネルとする場合が一般的である。
【0030】
また一般に、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETとを比較した場合、同程度の電流を流そうとすると、チャネルの違い(キャリアの違い)等により通常はpチャネルMOSFETの方が高価かつ大型になる。仮に、正極側スイッチング素子としてnチャネルMOSFETを採用しようとすると、ゲートに十分な高電圧を印加して確実にオンするための手段(例えばチャージポンプ回路)が別途必要となり、結局はコストアップ・大型化につながる。
【0031】
そこで、上記説明した本発明(請求項2〜5)のように、複数の正極側グループ又は複数の負極側グループのうち少なくとも一方を2つのグループにグループ分けする場合、より好ましくは、例えば請求項6に記載のように、正極側グループを2グループ化するとよい。
【0032】
このように、正極側グループのグループ数を最小数の2とすることにより、正極側スイッチング素子の総数を最小の2つに抑えることができ、装置全体をより小型化・低コスト化することが可能となる。
また、既述の通り、正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子としては例えばMOSFET等が考えられるが、これに限らず、例えば請求項7に記載のようにリレーを用いてもよい。この場合、リレーのコイルを励磁するための直流電源から該コイルへの通電経路上には半導体からなるリレー用スイッチング素子を設け、通電制御手段は、そのリレー用スイッチング素子のオン・オフを制御することにより、各誘導性負荷への通電を前記順序にて行う。
【0033】
リレーは一般に、半導体スイッチング素子よりも比較的大電流を流すことが可能であるため、半導体スイッチング素子ではスイッチングが困難な大電流をスイッチングする必要がある場合に有効である。しかもこの場合、リレー用スイッチング素子には負荷電流が直接流れることはなく、リレーのコイルを励磁できる程度の微少電流をスイッチングできれば十分であるため、リレー用スイッチング素子は小型且つ低コストのもので足りる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。本実施形態の燃料噴射制御装置1は、図11に示した従来の燃料噴射制御装置100と同様、4気筒ディーゼルエンジンやガソリン直噴エンジンに備えられ、各気筒♯1,♯2,♯3,♯4に燃料を噴射供給する4個の電磁ソレノイド式ユニットインジェクタ(以下単に「インジェクタ」という)のソレノイドL1,L2,L3,L4への通電時間及び通電タイミングを制御することにより、ディーゼルエンジン各気筒♯1〜♯4への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するものである。
【0035】
そして、本実施形態の燃料噴射制御装置1は、図1に示す如く、予め設定された制御プログラムに従い燃料噴射のための各種制御処理を実行して各ソレノイドL1〜L4への通電を制御する、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイコン10と、マイコン10からの噴射指令S11〜S14に従って動作し、ソレノイドL1〜L4を各々通電して各気筒♯1〜♯4のインジェクタを駆動する駆動回路(EDU)20と、図示しないバッテリからのバッテリ電圧VBをそのまま或いは適宜電圧変換して各ソレノイドL1〜L4へ供給する電源回路3とを備えている。
【0036】
尚、図1の燃料噴射制御装置1における各ソレノイドL1〜L4は、より詳しくは、ソレノイドL1が気筒♯1に、ソレノイドL2が気筒♯3に、ソレノイドL3が気筒♯4に、ソレノイドL4が気筒♯2に、それぞれ対応する。そして、各気筒のインジェクタの噴射順序は、本実施形態では気筒♯1→♯3→♯4→♯2の順である。従って、各ソレノイドL1〜L4に対しては、ソレノイドL1→L2→L3→L4の通電順序で通電されるよう予め設定されている。
【0037】
EDU20は、マイコン10からの噴射指令S11,S12に従ってトランジスタT11,T12(いずれも本実施形態ではpチャネルMOSFET)をオン・オフするための通電パルスP11,P12を生成・出力するスイッチング回路21と、マイコン10からの噴射指令S13,S14に従ってトランジスタT13,T14(いずれも本実施形態ではnチャネルMOSFET)をオン・オフするための通電パルスP13,P14を生成・出力するスイッチング回路22とを備え、各スイッチング回路21,22からの各通電パルスP11〜P14によって各トランジスタT11〜T14をオン・オフ制御することにより、各ソレノイドL1〜L4を上記順序で通電する。
【0038】
そして、本実施形態では、EDU20により通電が行われる各ソレノイドL1〜L4がそれぞれ複数のグループにグループ分けされ、各グループ毎にトランジスタT11〜T14が接続されている。
即ち、まず各ソレノイドL1〜L4の通電経路の上流側(電源回路3側)に着目すると、ソレノイドL1,L2からなる正極側グループと、ソレノイドL3,L4からなる正極側グループとの2つの正極側グループにグループ分けされており、各正極側グループ毎にそれぞれトランジスタT12,T11(いずれも本発明の正極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0039】
一方、各ソレノイドL1〜L4の通電経路の下流側(接地側)に着目すると、ソレノイドL1,L4からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L3からなる負極側グループとの2つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれトランジスタT13,T14(いずれも本発明の負極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0040】
尚、負極側グループをどのソレノイドで構成するかについては、図1のような組み合わせに限らず、例えば、ソレノイドL1,L3にて一つの負極側グループを構成すると共に、ソレノイドL2,L4にてもう一つの負極側グループを構成するという方法も採れる。
【0041】
しかし、そのように負極側グループをグループ分けすると、各ソレノイドL1〜L4がそれぞれ単独で上記通電順序に従って通電される場合は問題ないのだが、通電順序が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電させた場合、通電すべき2つのソレノイド以外の他のソレノイドまで通電されてしまうことがある。具体的には、例えば通電順序が連続するソレノイドL2とソレノイドL3をオーバーラップ通電させようとした場合、全てのトランジスタをオンする必要があるのだが、そうすると、他の通電すべきでないソレノイドL1,L4まで通電されてしまうのである。
【0042】
このように、オーバーラップ通電を行わずに各ソレノイドL1〜L4がいずれも単独でのみ通電されるのであれば、負極側グループを図1以外のグループ分けにしてもいいのだが、本実施形態では、オーバーラップ通電ができるよう(つまり噴射順序が連続する2つの気筒に同時に燃料噴射できるよう)、負極側グループを図1のように構成しているのである。
【0043】
つまり、本実施形態の正極側グループ及び負極側グループのそれぞれのグループ分けは、まず各ソレノイドL1〜L4を2つのグループであって両グループのソレノイド数が同数(ここでは2つ)となるような正極側グループにグループ分けする一方、各ソレノイドL1〜L4を、上記2つの正極側グループを構成するソレノイドが一つずつ組み合わさって計2つのソレノイドからなる負極側グループにグループ分けしている。このようにすることで、グループ総数を最小に抑え、延いては通電経路に設けられるトランジスタの総数を最小(本実施形態では図示の通り4つ)に抑えている。
【0044】
また本実施形態では、負極側グループを構成する2つのソレノイドの組み合わせを、各ソレノイドの通電順番の和がソレノイド総数+1(つまり5)となるように組み合わせている。具体的には、通電順番が1番目のソレノイドL1と4番目のソレノイドL4とで一つの負極側グループを構成し、通電順番が2番目のソレノイドL2と3番目のソレノイドL3とで一つの負極側グループを構成しており、いずれの負極側グループも、構成する2つのソレノイドの通電順番の和が5となっている。このようにすることで、オーバーラップ通電を可能としているのである。
【0045】
このように構成された燃料噴射制御装置1では、マイコン10からの噴射指令S11〜S14に従ってEDU20が動作し、各トランジスタT11〜T14がそれぞれオン・オフされるわけだが、その動作の一例を図2に示す。図2は、本実施形態の燃料噴射制御装置1の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0046】
図2に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT13,T12が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。時刻t2になるとトランジスタT13がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、時刻t3でトランジスタT14がオンすることによりソレノイドL2への通電が開始される。この間、上流側のトランジスタT12はオン継続中である。
【0047】
時刻t3以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT13,T14のいずれか一方と、上流側のトランジスタT11,T12のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。
【0048】
次に、通電順序が連続する2つのソレノイドが共に通電されるオーバーラップ通電が行われる場合の動作例について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電が行われる場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0049】
図3に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT13,T12が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。そして、時刻t2になるとトランジスタT14もオンするため、ソレノイドL1への通電が継続されたままソレノイドL2への通電が開始される。時刻t3になると、トランジスタT13がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、ソレノイドL2のみの通電となる。つまり、時刻t2〜t3の間にソレノイドL1,L2によるオーバーラップ通電が行われるのである。
【0050】
時刻t3以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT13,T14のいずれか一方と、上流側のトランジスタT11,T12のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。そして、時刻t4〜t5の間にソレノイドL2,L3によるオーバーラップ通電が行われ、t6〜t7の間にソレノイドL3,L4によるオーバーラップ通電が行われ、t8〜t9の間にソレノイドL4,L1によるオーバーラップ通電が行われて、以後も同様に、各ソレノイドL1〜L4への通電(オーバーラップ通電を含む)が順次行われる。
【0051】
以上詳述したように、本実施形態の燃料噴射制御装置1では、4つのソレノイドL1〜L4を、その上流側及び下流側にてそれぞれ2つの正極側グループ及び2つの負極側グループにグループ分けして、各グループ毎にスイッチング素子としてのトランジスタを設けている。しかもこのグループ分けは、4つのソレノイドをグループ分けする場合の、グループ総数が最も少なくなる分け方である。
【0052】
そのため、図11で説明した従来の燃料噴射制御装置100のように各ソレノイド毎に個々にトランジスタ(T93〜T96)を設けるのに比べ、EDU20を構成する素子(特にトランジスタ)の総数を低減することができ、装置全体の小型化・低コスト化が可能となる。具体的には、従来は図11の通りソレノイドの上流側・下流側あわせて6個のトランジスタが必要であったが、本実施形態では4個のトランジスタによる構成が可能となる。またその結果、マイコン10とEDU20とを一体化して一つのユニットにすることが容易になる。
【0053】
しかも、通電順序が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電させたときに、他の2つのソレノイド(通電すべきでないソレノイド)に通電されることのないよう、負極側グループのグループ分けがなされているため、オーバーラップ通電も確実に行うことができる。
【0054】
尚、本実施形態において、電源回路3は本発明の直流電源に相当し、マイコン10は本発明の通電制御手段に相当する。
[第2実施形態]
図4は、本実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。本実施形態の燃料噴射制御装置30は、図1に示した第1実施形態の燃料噴射制御装置1と同様、ディーゼルエンジンやガソリン直噴エンジンに備えられ、各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するものであるが、本実施形態のディーゼルエンジンは6気筒である点で上記第1実施形態と異なる。
【0055】
即ち、本実施形態の燃料噴射制御装置30では、6気筒ディーゼルエンジンの各気筒♯1〜♯6に燃料を噴射供給する6個のソレノイドL1〜L6への通電時間及び通電タイミングが制御される。尚、各ソレノイドL1〜L6への通電順序は、L1→L2→L3→L4→L5→L6の順である。通電制御手段としてのマイコン35は、この順序で通電が行われるよう噴射指令S21〜S25を出力し、この噴射指令に従って、スイッチング回路41が通電パルスP21,P22を、スイッチング回路42が通電パルスP23〜P25を、それぞれ生成・出力して、各トランジスタT21〜T25をオン・オフ制御する。
【0056】
次に、本実施形態における6個のソレノイドL1〜L6のグループ分けについて説明する。まず各ソレノイドL1〜L6の通電経路の上流側に着目すると、ソレノイドL1〜L3からなる正極側グループと、ソレノイドL4〜L6からなる正極側グループとの2つの正極側グループにグループ分けされており、各正極側グループ毎にそれぞれトランジスタT22,T21(いずれもpチャネルMOSFETであり、本発明の正極側スイッチング素子に相当)が接続されている。つまり、上流側については第1実施形態と同様、2グループ化されている。
【0057】
一方、各ソレノイドL1〜L6の通電経路の下流側に着目すると、ソレノイドL1,L6からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L5からなる負極側グループと、ソレノイドL3,L4からなる負極側グループとの3つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれトランジスタT23,T24,T25(いずれもnチャネルMOSFETであり、本発明の負極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0058】
即ち、本実施形態の正極側グループ及び負極側グループのそれぞれのグループ分けは、まず各ソレノイドL1〜L6を2つのグループであって両グループのソレノイド数が同数(ここでは3つ)となるような正極側グループにグループ分けする一方、各ソレノイドL1〜L6を、上記2つの正極側グループを構成するソレノイドが一つずつ組み合わさって計2つのソレノイドからなる負極側グループ(グループ数は負荷総数の1/2である3グループ)にグループ分けしている。このようにすることで、グループ総数を最小に抑え、延いては通電経路に設けられるトランジスタの総数を最小(本実施形態では図示の通り5つ)に抑えている。
【0059】
また本実施形態でも、第1実施形態と同様、通電順番が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電できるよう、負極側グループを構成する2つのソレノイドの組み合わせを、各ソレノイドの通電順番の和がソレノイド総数+1(つまり7)となるように組み合わせている。
【0060】
具体的には、通電順番が1番目のソレノイドL1と6番目のソレノイドL6とで一つの負極側グループを構成し、通電順番が2番目のソレノイドL2と5番目のソレノイドL5とで一つの負極側グループを構成し、通電順番が3番目のソレノイドL3と4番目のソレノイドL4とで一つの負極側グループを構成しており、いずれの負極側グループも、構成する2つのソレノイドの通電順番の和が7となっている。
【0061】
このように構成された燃料噴射制御装置30では、マイコン35からの噴射指令S21〜S25に従ってEDU40が動作し、各トランジスタT21〜T25がそれぞれオン・オフされるわけだが、その動作の一例を図5に示す。図5は、本実施形態の燃料噴射制御装置30の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0062】
図5に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT23,T22が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。時刻t2になるとトランジスタT23がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、時刻t3でトランジスタT24がオンすることによりソレノイドL2への通電が開始される。この間、上流側のトランジスタT22はオン継続中である。
【0063】
時刻t4になるとトランジスタT24がオフするためソレノイドL2への通電が終了し、時刻t5でトランジスタT25がオンすることによりソレノイドL3への通電が開始される。この間も上流側のトランジスタT22はオン継続中であるが、時刻t6になるとこのトランジスタT22がオフして、ソレノイドL3への通電が終了し、時刻t7になると上流側でトランジスタT21がオンする。このとき(時刻t7)、下流側のトランジスタT25は時刻t5からの通電が継続中であるため、ソレノイドL4への通電が開始される。
【0064】
時刻t7以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT23〜T25のいずれか一方と、上流側のトランジスタT21,T22のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。
【0065】
次に、通電順序が連続する2つのソレノイドが共に通電されるオーバーラップ通電が行われる場合の動作例について、図6に基づいて説明する。図6は、本実施形態の燃料噴射制御装置30の動作(オーバーラップ通電が行われる場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0066】
図6に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT23,T22が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。そして、時刻t2になるとトランジスタT24もオンするため、ソレノイドL1への通電が継続されたままソレノイドL2への通電が開始される。時刻t3になると、トランジスタT23がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、ソレノイドL2のみの通電となる。つまり、時刻t2〜t3の間にソレノイドL1,L2によるオーバーラップ通電が行われるのである。
【0067】
時刻t3以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT23〜T25のいずれか一方と、上流側のトランジスタT21,T22のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。そして、時刻t4〜t5の間にソレノイドL2,L3によるオーバーラップ通電が行われ、t6〜t7の間にソレノイドL3,L4によるオーバーラップ通電が行われ、t8〜t9の間にソレノイドL4,L5によるオーバーラップ通電が行われ、t10〜t11の間にソレノイドL5,L6によるオーバーラップ通電が行われ、t12〜t13の間にソレノイドL6,L1によるオーバーラップ通電が行われて、以後も同様に、各ソレノイドL1〜L6への通電(オーバーラップ通電を含む)が順次行われる。
【0068】
以上詳述したように、本実施形態の燃料噴射制御装置30では、6つのソレノイドL1〜L6を、その上流側及び下流側にてそれぞれ2つの正極側グループ及び3つの負極側グループにグループ分けして、各グループ毎にスイッチング素子としてのトランジスタを設けている。しかもこのグループ分けは、6つのソレノイドをグループ分けする場合の、グループ総数が最も少なくなる分け方である。
【0069】
そのため、図1で説明した第1実施形態の燃料噴射制御装置1と同様、EDU40を構成する素子(特にトランジスタ)の総数を低減することができ、装置全体の小型化・低コスト化が可能となる。具体的には、従来のように例えば下流側のトランジスタを各ソレノイド毎に個々に設けると、上流側・下流側あわせて8個のトランジスタが必要であったのに対し、本実施形態では5個のトランジスタによる構成が可能となる。またその結果、マイコン35とEDU40とを一体化して一つのユニットにすることが容易になる。
【0070】
しかも、通電順序が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電させたときに、他の4つのソレノイド(通電すべきでないソレノイド)に通電されることのないよう、負極側グループのグループ分けがなされているため、オーバーラップ通電も確実に行うことができる。
【0071】
[第3実施形態]
図7は、本実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。本実施形態の燃料噴射制御装置50は、図1に示した第1実施形態の燃料噴射制御装置1や図4に示した第2実施形態の燃料噴射制御装置30と同様、ディーゼルエンジンやガソリン直噴エンジンに備えられ、各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するものであるが、本実施形態のディーゼルエンジンは8気筒である点で上記第1又は第2実施形態と異なる。
【0072】
即ち、本実施形態の燃料噴射制御装置50では、8気筒ディーゼルエンジンの各気筒♯1〜♯8に燃料を噴射供給する8個のソレノイドL1〜L8への通電時間及び通電タイミングが制御される。尚、各ソレノイドL1〜L8への通電順序は、L1→L2→L3→L4→L5→L6→L7→L8の順である。通電制御手段としてのマイコン55は、この順序で通電が行われるよう噴射指令S31〜S36を出力し、この噴射指令に従って、スイッチング回路61が通電パルスP31,P32を、スイッチング回路62が通電パルスP33〜P36を、それぞれ生成・出力して、各トランジスタT31〜T36をオン・オフ制御する。
【0073】
次に、本実施形態における8個のソレノイドL1〜L8のグループ分けについて説明する。まず各ソレノイドL1〜L8の通電経路の上流側に着目すると、ソレノイドL1〜L4からなる正極側グループと、ソレノイドL5〜L8からなる正極側グループとの2つの正極側グループにグループ分けされており、各正極側グループ毎にそれぞれトランジスタT32,T31(いずれもpチャネルMOSFETであり、本発明の正極側スイッチング素子に相当)が接続されている。つまり、上流側については第1実施形態又は第2実施形態と同様、2グループ化されている。
【0074】
一方、各ソレノイドL1〜L8の通電経路の下流側に着目すると、ソレノイドL1,L8からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L7からなる負極側グループと、ソレノイドL3,L6からなる負極側グループと、ソレノイドL4,L5からなる負極側グループとの4つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれトランジスタT33,T34,T35,T36(いずれもnチャネルMOSFETであり、本発明の負極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0075】
即ち、本実施形態の正極側グループ及び負極側グループのそれぞれのグループ分けは、まず各ソレノイドL1〜L8を2つのグループであって両グループのソレノイド数が同数(ここでは4つ)となるような正極側グループにグループ分けする一方、各ソレノイドL1〜L8を、上記2つの正極側グループを構成するソレノイドが一つずつ組み合わさって計2つのソレノイドからなる負極側グループ(グループ数は負荷総数の1/2である4グループ)にグループ分けしている。このようにすることで、グループ総数を最小に抑え、延いては通電経路に設けられるトランジスタの総数を最小(本実施形態では図示の通り6つ)に抑えている。
【0076】
また本実施形態でも、第1又は第2実施形態と同様、通電順番が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電できるよう、負極側グループを構成する2つのソレノイドの組み合わせを、各ソレノイドの通電順番の和がソレノイド総数+1(つまり9)となるように組み合わせている。
【0077】
このように構成された燃料噴射制御装置50では、マイコン55からの噴射指令S31〜S36に従ってEDU60が動作し、各トランジスタT31〜T36がそれぞれオン・オフされるわけだが、その動作の一例を図8に示す。図8は、本実施形態の燃料噴射制御装置50の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【0078】
図8に示す如く、まず、時刻t1にてトランジスタT33,T32が共にオンすることにより、ソレノイドL1への通電が開始される。時刻t2になるとトランジスタT33がオフするためソレノイドL1への通電が終了し、時刻t3でトランジスタT34がオンすることによりソレノイドL2への通電が開始される。この間、上流側のトランジスタT32はオン継続中である。
【0079】
時刻t3以後については詳細説明を省略するが、図示の如く、下流側のトランジスタT33〜T36のいずれか一方と、上流側のトランジスタT31,T32のいずれか一方とをオンすることにより所望のソレノイドを通電し、結果として上記噴射順序(通電順序)にて順次通電が行われる。つまり、第1実施形態の図2や第2実施形態の図5と同様の要領で通電が行われる。尚、図示は省略したものの、本実施形態においても、第1実施形態の図3や第2実施形態の図6と同様、オーバーラップ通電が可能であることはいうまでもない。
【0080】
以上詳述したように、本実施形態の燃料噴射制御装置50では、8つのソレノイドL1〜L8を、その上流側及び下流側にてそれぞれ2つの正極側グループ及び4つの負極側グループにグループ分けして、各グループ毎にスイッチング素子としてのトランジスタを設けている。しかもこのグループ分けは、8つのソレノイドをグループ分けする場合の、グループ総数が最も少なくなる分け方である。
【0081】
そのため、図1の燃料噴射制御装置1や図4の燃料噴射制御装置30と同様、EDU60を構成する素子(特にトランジスタ)の総数を低減することができ、装置全体の小型化・低コスト化が可能となる。具体的には、従来のように例えば下流側のトランジスタを各ソレノイド毎に個々に設けると、上流側・下流側あわせて10個のトランジスタが必要であったのに対し、本実施形態では6個のトランジスタによる構成が可能となる。またその結果、マイコン55とEDU60とを一体化して一つのユニットにすることが容易になる。
【0082】
しかも、通電順序が連続する2つのソレノイドをオーバーラップ通電させたときに、他の6つのソレノイド(通電すべきでないソレノイド)に通電されることのないよう、負極側グループのグループ分けがなされているため、オーバーラップ通電も確実に行うことができる。
【0083】
[第4実施形態]
図9は、本実施形態の誘導性負荷駆動装置の概略構成を示す説明図である。本実施形態の誘導性負荷駆動装置70は、図1に示した燃料噴射制御装置1と同様、4つのソレノイドL1,L2,L3,L4への通電時間及び通電タイミングを制御するものであるが、本実施形態では、直流電源73から各ソレノイドL1〜L4の通電経路を導通・遮断するための正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子として、トランジスタではなく、リレーRy1〜Ry4を設けている。
【0084】
そして、本実施形態においても、各ソレノイドL1〜L4がその上流側及び下流側でそれぞれグループ分けされ、各グループ毎にリレーが設けられている。本実施形態のグループ分けは、図1で説明した第1実施形態の燃料噴射制御装置1におけるソレノイドL1〜L4のグループ分けと全く同様である。
【0085】
即ち、まず各ソレノイドL1〜L4の通電経路の上流側に着目すると、ソレノイドL1,L2からなる正極側グループと、ソレノイドL3,L4からなる正極側グループとの2つの正極側グループにグループ分けされており、各正極側グループ毎にそれぞれリレーRy1,Ry2(いずれも本発明の正極側スイッチング素子に相当)が接続(詳細には各リレーの接点が接続)されている。
【0086】
一方、各ソレノイドL1〜L4の通電経路の下流側に着目すると、ソレノイドL1,L4からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L3からなる負極側グループとの2つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれリレーRy3,Ry4(いずれも本発明の負極側スイッチング素子に相当)が接続されている。
【0087】
そして、各リレーRy1〜Ry4のオン・オフは、これら各リレーのコイルに接続されたトランジスタをオン・オフすることにより行われる。即ち、駆動回路72には、直流電源73から各リレーRy1〜Ry4のコイルへの通電経路を導通・遮断するための各トランジスタT71〜T74(いずれも本発明のリレー用スイッチング素子に相当)がそれぞれ設けられており、図示しないマイコンからの制御指令に応じてスイッチング回路76が各トランジスタT71,T72を、スイッチング回路77が各トランジスタT73,T74を、それぞれオン・オフ制御することによりリレーのコイルへの通電を制御し、延いては各ソレノイドL1〜L4の通電を制御する。
【0088】
具体的には、トランジスタT71及びトランジスタT73をオンすると、ソレノイドL1上流側のリレーRy1のコイルが励磁(通電)されると共に下流側のリレーRy3のコイルも励磁される。そのため、リレーRy1,Ry3は共にオンし、ソレノイドL1への通電が行われる。
【0089】
同様に、他のソレノイドL2〜L4への通電についても、通電しようとするソレノイドの下流側及び上流側の各リレーにそれぞれ対応したリレー用スイッチング素子(トランジスタT71〜T74のいずれか2つ)を共にオンすることにより、所望のソレノイドへの通電が行われる。
【0090】
以上詳述したように、本実施形態のように、誘導性負荷(ソレノイド)の通電経路をトランジスタにて直接オン・オフするのではなくリレーによりオン・オフするよう構成すると共に、そのリレーを別途リレー用トランジスタにてオン・オフするよう構成された誘導性負荷駆動装置においても、本発明を適用して複数の誘導性負荷(本例では4つのソレノイドL1〜L4)をグループ分けし、各グループ単位でリレー及びリレー用トランジスタを設けることで、これら各素子の総数を低減でき、装置全体の小型化が可能となる。
【0091】
尚、本実施形態のように誘導性負荷の通電経路にリレーを設ける方法は、例えば、半導体スイッチング素子だとスイッチングが困難な大電流をスイッチングする必要がある場合などに有効である。
但し、リレーの場合は、オン又はオフの瞬間にチャタリングが生じるなど、リレー特有の問題もある。そのため、正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子としてトランジスタ等の半導体スイッチング素子を用いるか、それともリレーを用いるかは、誘導性負荷を流れる電流の大きさやスイッチング動作に要求される精度など、種々の条件を考慮して決めればよい。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について、第1〜第4実施形態の4つの例を挙げて説明したが、本発明の実施の形態は上記各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0093】
例えば、上記第各実施形態では、誘導性負荷(ソレノイド)の上流側を2つの正極側グループにグループ分けし、下流側を誘導性負荷総数の1/2のグループ数の負極側グループにグループ分け(各負極側グループを構成する負荷は2つ)したが、このようなグループ分けに限定されるわけではない。具体的には、例えば上流側・下流側のグループ分け方法を上記各実施形態とは全く逆にして、負荷の下流側を2グループ化し、上流側を負荷総数の1/2のグループ数にグループ分けするようにしてもよい。
【0094】
但し、このようにすると、正極側スイッチング素子及び負極側スイッチング素子としてのトランジスタの総数は上記各実施形態と同じであるため従来に比べれば装置全体の小型化が可能となるものの、負荷総数が4つの場合を除いて上流側スイッチング素子の数が下流側スイッチング素子の数より多くなる。そのため、装置全体の小型化・低コスト化のためには、より好ましくは、上記各実施形態のように正極側グループを2グループ化するのが好ましい。
【0095】
また例えば、第2実施形態で示した6つのソレノイドL1〜L6に対するグループ分けは、図4のグループ分けに限らず、図10に示したようにグループ分けしてもよい。
即ち、図10の燃料噴射制御装置80は、各ソレノイドL1〜L6の上流側では、ソレノイドL1,L2からなる正極側グループと、ソレノイドL3,L4からなる正極側グループと、ソレノイドL5,L6からなる正極側グループとの3つの正極側グループにグループ分けされ、各正極側グループ毎にそれぞれトランジスタT81〜T83(いずれもpチャネルMOSFET)が接続されている。
【0096】
一方、各ソレノイドL1〜L6の通電経路の下流側では、ソレノイドL1,L6からなる負極側グループと、ソレノイドL2,L3からなる負極側グループと、ソレノイドL4,L5からなる負極側グループとの3つの負極側グループにグループ分けされており、各負極側グループ毎にそれぞれトランジスタT84,T86,T85(いずれもnチャネルMOSFET)が接続されている。
【0097】
このように、正極側グループ及び負極側グループをそれぞれ3つのグループに分けても、各ソレノイドL1〜L6を所定の通電順序で順次通電することができ、オーバーラップ通電も可能である。また、オーバーラップ通電することと考慮する必要がない場合は、図10とはまた異なったグループ分けをすることも可能である。
【0098】
誘導性負荷の総数が6つ以外の場合(但し4つ以上)についても同様であり、負荷の上流側及び下流側を共にグループ化して各グループ毎にスイッチング素子を設け、これらスイッチング素子をオン・オフ制御することにより所定の通電順序にて通電できる限り、あらゆるグループ化が可能である。
【0099】
但し、グループの総数を最小に抑えてスイッチング素子を可能な限り低減させつつオーバーラップ通電も可能にするためには、上記各実施形態のように、上流側を2つの正極側グループに分けると共に、各正極側グループに属する誘導性負荷をそれぞれ一つずつ組み合わせて一つの下流側グループを構成する(下流側グループ総数は負荷総数の1/2)とするのがより好ましい。
【0100】
また、本発明の適用は、上記第1〜第3実施形態で説明したような燃料噴射制御装置への適用に何ら限定されず、例えばステップモータを駆動する駆動回路にも適用できるなど、誘導性負荷をその上流側及び下流側のスイッチング素子のオン・オフにて通電制御し、且つ少なくとも4つ以上の複数の誘導性負荷を順次通電していくものであれば適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】第1実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図3】第1実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電が行われる場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図4】第2実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図6】第2実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電が行われる場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図7】第3実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図8】第3実施形態の燃料噴射制御装置の動作(オーバーラップ通電のない場合)を説明するためのタイムチャートである。
【図9】第4実施形態の燃料噴射制御装置の他の例を示す説明図である。
【図10】第2実施形態の燃料噴射制御装置の他の例を示す説明図である。
【図11】従来の燃料噴射制御装置の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1,30,50,80,100…燃料噴射制御装置、3…電源回路、10,35,55,110…マイコン、20,40,60,72,82,120…駆動回路、21,22,41,42,61,62,76,77,86,87…スイッチング回路、70…誘導性負荷駆動装置、73…直流電源、L1〜L8…ソレノイド、Ry1〜Ry4…リレー、T11〜T96…トランジスタ(MOSFET)
Claims (7)
- 直流電源に並列接続された少なくとも4つ以上の誘導性負荷へ予め設定した順序で通電を行う誘導性負荷駆動装置であって、
前記各誘導性負荷を、複数の正極側グループにグループ分けし、該各正極側グループ毎に、前記直流電源の正極側から各正極側グループの誘導性負荷への通電経路を導通・遮断するための正極側スイッチング素子を設けると共に、
前記各誘導性負荷を、複数のグループであって該グループを構成する誘導性負荷と前記正極側グループを構成する誘導性負荷とが2つ以上一致しないような複数の負極側グループにグループ分けし、該各負極側グループ毎に、各負極側グループの誘導性負荷から前記直流電源の負極側への通電経路を導通・遮断するための負極側スイッチング素子を設け、
前記誘導性負荷が属する前記正極側グループ及び前記負極側グループにそれぞれ対応した前記正極側スイッチング素子及び前記負極側スイッチング素子のオン・オフを制御することにより、前記各誘導性負荷への通電を前記順序にて行う通電制御手段を備えた
ことを特徴とする誘導性負荷駆動装置。 - 前記複数の正極側グループ又は前記複数の負極側グループのうち少なくとも一方は、2つのグループにグループ分けされている
ことを特徴とする請求項1記載の誘導性負荷駆動装置。 - 前記2つのグループのグループ分けは、該各グループを構成する前記誘導性負荷の総数が同一又は該総数の差が1となるようにされている
ことを特徴とする請求項2記載の誘導性負荷駆動装置。 - 前記誘導性負荷の総数は偶数であって、前記2つのグループのグループ分けは、該各グループを構成する前記誘導性負荷の総数が同一となるようにされており、
前記正極側グループ又は前記負極側グループのうち、前記2つのグループにグループ分けされたグループとは異なる別のグループは、前記2つのグループのうち一方のグループに属する誘導性負荷のいずれか一つと他方のグループに属する誘導性負荷のいずれか一つとの2つの誘導性負荷の組み合わせで構成されることにより、グループ数が前記誘導性負荷の総数の1/2となるようグループ分けされている
ことを特徴とする請求項3記載の誘導性負荷駆動装置。 - 前記別のグループを構成する前記2つの誘導性負荷の組み合わせは、前記順序にて通電が行われる際の該2つの誘導性負荷の通電順番の和が、前記誘導性負荷の総数に1を加えた数となるようにされている
ことを特徴とする請求項4記載の誘導性負荷駆動装置。 - 前記2つのグループにグループ分けされているのは、前記正極側グループである
ことを特徴とする請求項2〜5いずれかに記載の誘導性負荷駆動装置。 - 前記正極側スイッチング素子及び前記負極側スイッチング素子はいずれもリレーであって、
該リレーのコイルを励磁するための直流電源から該コイルへの通電経路上には、半導体からなるリレー用スイッチング素子が設けられ、
前記通電制御手段は、前記リレー用スイッチング素子のオン・オフを制御することにより、前記各誘導性負荷への通電を前記順序にて行う
ことを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の誘導性負荷駆動装置。
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