JP2004010715A - ラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

ラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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正脇 敬三
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Abstract

【課題】本発明は、水中および含水状態あるいは湿潤状態の塗布面において硬化可能なラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】有機コバルト塩を金属分として600ppm〜3000ppm、およびケトンパーオキサイドを有効酸素量で500ppm〜5000ppm含有し、水分を1重量%〜70重量%含有することを特徴とするラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物に係る。
【選択図】  なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中および含水状態あるいは湿潤状態の塗布面において硬化可能なラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば不飽和ポリエステル樹脂やエポキシアクリレート樹脂のようなラジカル重合型熱硬化性樹脂を、水中において、または塗布面が含水状態あるいは湿潤状態である場合に硬化させるには、芳香族アミンとベンゾイルパーオキサイド類(以下、「BPO」と記す)との組み合わせで硬化させる以外に良い硬化方法はないと考えられていた。
【0003】
一般にBPO系硬化剤は、可塑剤に分散させた粉末またはペースト状で市販されているが、所望の添加量を計量するためには重量による計量が必要になり、成形現場での正確な計量は困難であった。また、メスピペット等での容量による計量可能な液状BPOとしては、特殊な例としてトルエンやキシレンに溶解させた液状のBPO系硬化剤も市販されているが、安定性が悪く10℃以下の温度で保存をしなければならず、成形現場での使用に安全性の面から問題点もあった。
【0004】
また、芳香族アミンとBPOとの組み合わせによる硬化系では、通常使用される量の硬化剤量、硬化促進剤量で実用的なゲル化時間が得られるが、表面の硬化性が悪く、内部は硬化しても表面は長期間にわたってべたづくという問題点も有していた。
【0005】
以上のような理由により、不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂を、水中および含水状態あるいは湿潤状態の塗布面に塗布して硬化させる場合、特別に必要な場合以外ラジカル重合型熱硬化性樹脂が使用されることはなく、潜在的には多くの用途が存在するにもかかわらず、不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂が使用されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑み、成形現場等の作業実施現場で正確に秤量することが可能で、且つ、安全性の高い液状硬化剤を使用して、水分の存在下において硬化が可能な硬化系を開発し、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の使用範囲を広げ潜在的な需要に対応できるラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、種々の観点から検討を重ねた結果、ラジカル重合型熱硬化性樹脂を一般的に使用されている液状硬化剤系である、コバルト−ケトンパーオキサイドの系で硬化させる場合、水が多量に存在する系では硬化しないのではなく、水が樹脂中に1重量%以上含有すると、水の含量に応じ極端にゲル化時間が長くなるということを見い出した。
【0008】
そこで、本発明者は、コバルト−ケトンパーオキサイド硬化系におけるゲル化時間の短縮化について検討し、その結果、一般的に使用されていて入手が容易で、安全性が高く、且つ、正確な計量が容易な液状のケトンパーオキサイドを硬化剤として使用して、水分の存在下でもラジカル重合型熱硬化性樹脂を実用的ゲル化時間で硬化させることが可能で、表面の硬化性も良好であることを見い出した。さらに、水分の存在下においてコバルト−ケトンパーオキサイド硬化系において、コバルト塩の添加量がゲル化時間に大きく影響しており、コバルト塩の添加量を増やすことによって大幅にゲル化時間が短縮されること、また、重合禁止剤の添加量を減らすことにより、一定量以上のコバルト塩が添加されていれば、コバルト塩の添加量を減らしても実用上使用可能なゲル化時間で硬化可能であることも認められた。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)有機酸のコバルト塩を金属分として600ppm〜3000ppm、およびケトンパーオキサイドを有効酸素量で500ppm〜5000ppm含有し、水分を1重量%〜70重量%含有することを特徴とするラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0010】
(2)芳香族アミンを100ppm〜5000ppm含有することを特徴とする上記(1)記載のラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、コバルト−ケトンパーオキサイド硬化系による硬化性樹脂組成物からなり、有機コバルト塩を金属分として600ppm〜3000ppmおよびケトンパーオキサイドを有効酸素量で500ppm〜5000ppm含有し、水分を1重量%〜70重量%含有するラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物である。
【0012】
通常、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシアクリレートのようなラジカル重合型熱硬化性樹脂をコバルト−ケトンパーオキサイド系で硬化させる場合、コバルト塩の添加量は金属分として300ppm程度が標準的である。この使用量は、一般的に使用されているコバルト金属分含量が6%である6%ナフテン酸コバルト(以下、「6%Co−Naph」と記す)に換算すると、樹脂100重量部に対し0.5重量部に相当する。(以下、コバルトの添加量は6%Co−Naphの樹脂100重量部に対する部数で表示する。6%Co−Naph 0.5重量部は、コバルト金属分で300ppmに相当する。)
【0013】
本発明は、ラジカル重合型熱硬化性樹脂を、水中あるいは含水状態で、または湿潤状態の塗布面に塗布し硬化させるに際して、コバルト塩の添加量を金属分として、通常の標準的な量である300ppm(6%Co−Naph換算0.5重量部)の2倍〜10倍を使用することにより、標準的使用量のケトンパーオキサイドの量で、実用的な時間で硬化可能としたものである。
【0014】
すなわち、本発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物は、有機コバルト塩をコバルト金属分として600ppm〜3000ppm(6%Co−Naph換算1.0重量部〜5.0重量部に相当)、好ましくはコバルト金属分として900ppm〜1800ppm(6%Co−Naph換算で1.5重量部〜3.0重量部)含有する。
【0015】
ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化において、硬化剤であるパーオキサイドの使用量は少ない方が、硬化物の物理的、化学的、熱的性能等が良好であり、ゲル化時間が実用的である範囲で、より少ない量の硬化剤で硬化させることが好ましい。本発明においては、ケトンパーオキサイドは樹脂に対し有効酸素量で500ppm〜5000ppm、好ましくは有効酸素量で700ppm〜2000ppmの範囲が使用される。この量は一般的に使用されている、有効酸素量が10%である55%メチルエチルケトンパーオキサイド(以下、単に55%MEKPOと言う)に換算すると、樹脂100重量部に対し0.5重量部〜5.0重量部、好ましくは0.7重量部〜2.0重量部に相当する。(以下硬化剤の添加量は55%MEKPOとして、樹脂100重量部に対する部数で表示する。「55%MEKPO 1重量部は、有効酸素量1000ppmに相当する。」)
【0016】
ゲル化時間の大幅な短縮を目的として、大量のパーオキサイドの使用は硬化物の物性に好ましくない結果をもたらす虞がある。一方、コバルト塩は比較的多量に使用してもパーオキサイドにみられるような大量使用に伴うような物性低下は殆ど認められない。しかしながら、コストや硬化物の色相等の点から、コバルト塩の使用量も少ない方が好ましい。ゲル化時間を長くすることなくコバルト塩の添加量を減らす方法として、重合禁止剤の量を減らすことにより効果がある。
本発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物には、重合禁止剤は、一般的には1ppm〜500ppmが含有されるが、コバルト塩の使用量を減じ硬化物の色相やコストの点を考慮すると重合禁止剤の量は1ppm〜300ppmの範囲とすることが望ましい。
【0017】
また、コバルト−ケトンパーオキサイド硬化系において、ゲル化時間を短くする添加剤、所謂、硬化促進助剤として、芳香族アミン類やジケトン類が知られている。本発明においても硬化促進助剤を使用することができるが、水分の存在下においてゲル化時間の短縮化の効果は、芳香族アミン類が優れていることが認められた。本発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物において、硬化促進助剤としての芳香族アミンの添加量は、通常100ppm〜5000ppmであり、200ppm〜2000ppmが好ましい。なお、促進作用効果は芳香族アミン類ほど顕著ではないがアセチルアセトンの様なジケトン類や、アセト酢酸エチルの様なジケトンと類似構造を有する化合物、あるいは、カリウム、カルシウムの有機酸塩も効果があることが認められ、本発明においても使用することができる。
【0018】
水の存在下または含水状態あるいは湿潤状態の塗布面でラジカル重合型熱硬化性樹脂を硬化させる手段として、コバルト塩を一般的な使用よりも多量に添加することにより、コバルト−ケトンパーオキサイド系において実用的な硬化時間で硬化させることができるが、湿潤面塗布用として使用する場合には、例えば塗布量が多く厚く塗布した場合、湿潤面とは反対側すなわち空気と接触している面では硬化が非常に速くなり硬化時間のバランスがとり難いことのほか、硬化剤添加後、塗布作業までのポットライフが短くなる。すなわち湿潤面に対する好ましいゲル化時間に調節すると、硬化剤添加から作業終了までのゲル化時間、所謂ポットライフが非常に短くなり作業性が悪くなる。また、逆に必要な長さのポットライフに調節すると、湿潤面でのゲル化時間が非常に長くなり実用性に欠けるものとなる。
【0019】
したがって、コバルト塩量、重合禁止剤量、硬化促進助剤量等を調節することのみでは含水系、非含水系の両方の系に対し共に好ましいゲル化時間に調節することは現実的には非常に困難である。本発明の硬化系においては、水の存在がゲル化時間に大きく影響することに鑑み、含水状態あるいは湿潤状態の塗布面で硬化し得るには、樹脂にあらかじめ適量の水分を存在させることにより、ポットライフと、含水状態あるいは湿潤状態の塗布面におけるゲル化時間の双方のゲル化時間の調節が可能となることが分った。すなわち湿潤面塗布用として使用する場合には、樹脂の種類、所望のゲル化時間、必要とするポットライフ、湿潤状態、すなわち塗布面の水分量等により、水の添加量は調節する必要があるが、樹脂中に少なくとも1重量%の水を分散存在させることにより湿潤面におけるゲル化時間とポットライフの双方で好ましいゲル化時間を有する樹脂を調整することができる。尚、水を安定的に分散させておくために界面活性剤を使用することが好ましい。
【0020】
本発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物において、水分含有量は、一般的には1重量%〜70重量%である。水分含有量が1重量%未満では、所期の目的を十分に達成することが困難で、特に十分なポットライフが得られない。70重量%を超える場合には水の分散安定性が悪くなる等の虞があり実用的でなく好ましくない。
【0021】
ラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物が、湿潤面ライニング用である場合には、湿潤面におけるゲル化時間とポットライフの双方で好ましいゲル化時間とするには水の含有量は1重量%〜20重量%であることが好ましい。
【0022】
また、ラジカル重合型熱硬化性樹脂を樹脂と水とを均一に分散させた水性分散体、所謂エマルジョンタイプとして使用する場合使用目的によりエマルジョンの水分含有量は幾らか異なっている。例えば、主として濾過膜形成用のO/W型エマルジョンでは含水量は通常20重量%〜30重量%であり、人工木材用のW/O型エマルジョンでは含水量は通常30重量%〜70重量%である。また微粉末の製造用のO/W型エマルジョンは40重量%以上の含水量で使用されている。このような多量の水分を含有するラジカル重合型熱硬化性樹脂エマルジョンも上記のラジカル重合型熱硬化性樹脂におけるコバルト−ケトンパーオキサイド硬化系と同様の範囲の金属コバルト量、パーオキサイドの有効酸素量を含有させることにより硬化し目的とする硬化物を得ることができる。
【0023】
本発明において使用されるラジカル重合型熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂あるいはウレタン(メタ)アクリレート樹脂が例示される。
【0024】
不飽和ポリエステル樹脂は、グリコール類を主成分とする多価アルコール類とα,β−不飽和二塩基酸および/またはその無水物、さらに必要に応じて飽和二塩基酸および/またはその無水物とを重縮合させて得られる不飽和ポリエステルをスチレン等のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性単量体に溶解した液状樹脂である。
【0025】
上記のグリコール類は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリットジアリエーテルのようなペンタエリスリトール誘導体、アリルグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA誘導体、等が例示される。
【0026】
また上記のα,β−不飽和二塩基酸および/またはその無水物としては、例えば、マレイン酸またはその無水物、フマル酸、イタコン酸などが例示される。これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
飽和二塩基酸および/またはその無水物としては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラブロム無水フタル酸、ヘット酸、ヘキサハイドロ無水フタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸等が例示される。これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
また、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のビニルモノマー、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート等のアリルモノマー、フェノキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等が例示される。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。またこれらのうちスチレン、ビニルトルエンなどのビニル系モノマーが通常一般的に使用される。
【0029】
なお、上記の不飽和ポリエステル樹脂のほか、回収PET、すなわち高分子量ポリエチレンテレフタレート製品の廃棄物。例えば、使用済みペットボトル、シート、フィルム等の廃棄物、成形屑、切断屑等を、原料の一部に使用して製造された不飽和ポリエステルを、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性単量体に溶解した不飽和ポリエステル樹脂も使用することができる。
【0030】
またエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、1分子中に2個以上のグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂に、アクリル酸またはメタクリル酸を付加反応させて得られる、分子末端に(メタ)アクロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートを、エチレン性α,β−不飽和二重結合を有する重合性単量体に溶解した樹脂である。上記1分子中に2個以上のグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等、あるいはこれらの誘導体からのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールおよびその誘導体からのビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノールおよびその誘導体からのビフェノール型エポキシ樹脂、あるいはナフタレンおよびその誘導体からのナフタレン型エポキシ樹脂、さらにはノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。エチレン性α,β−不飽和二重結合を有する重合性単量体は、上記した不飽和ポリエステル樹脂に使用されると同様の重合性単量体を使用することができる。
【0031】
また、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ポリアルコールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとジイソシアネートとを反応させて分子末端をイソシアネート化し、これにアルコール性水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートを反応させるか、または先ずアルコール性水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートとイソシアネートとをイソシアネート基を残して反応させた後、ポリアルコールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとを反応させて得られる分子末端にアクリレートまたはメタクリレートの二重結合を有するウレタンアクリレート、またはウレタンメタクリレートを、例えばスチレン、ジエチレングリコールジメタクリレートなどの液状の重合性単量体に溶解した樹脂である。これらは単独で、または2種以上の混合物で使用することができる。
【0032】
本発明に使用されるラジカル重合型熱硬化性樹脂水性分散体(単に「水性分散体」という)は、液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂(単に「液状樹脂」という)と水とを物理的混合手段に容易に製造することができる。具体的には、ナフテン酸コバルトおよび必要に応じて芳香族アミンのような硬化促進助剤、水の分散安定性のための界面活性剤を添加した液状樹脂に、所定量の水を加え、例えば、ディゾルバー(高速回転ミキサー)、ホモミキサー等の物理的混合手段、あるいは超音波照射により混合することにより安定した水性分散体を得ることができる。使用水は、イオン交換水、蒸留水および水道水のいずれでも差し支えなく使用でき特に限定されない。
【0033】
本発明に使用されるケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド等を可塑剤で稀釈した一般的によく使用されている。例えば、商品名「パーメックN」(55%メチルエチルケトンパーオキサイド 日本油脂(株)製)、商品名「カヤメックA」(55%メチルイチルケトンパーオキサイド 化薬アクゾ(株)製)等が例示される。
【0034】
本発明で使用される硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルトで代表される有機コバルト塩が一般的に使用されている。例えば6%ナフテン酸コバルトや、12%オクテン酸コバルト等が例示される。
【0035】
本発明で、硬化促進助剤として使用される芳香族アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、フェニルジエタノールアミン、N,N−ジメチル・パラトルイジン等が例示される
【0036】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例1
不飽和ポリエステル樹脂、商品名「ユピカ6502」(日本ユピカ(株)製)200g(重合禁止剤150ppm含有)を秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph,3.0g(Co金属として900ppmに相当)、硬化促進助剤としてN,N−ジメチルアニリン0.4g、硬化調整剤として水20g、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「ノニオンO−2」(ポリオキエチレンエステル型、日本油脂(株)製)2gを加え羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数2000rpmで1分間高速撹拌して水を分散させた樹脂(A−1)を得た。樹脂A−1に硬化剤として「パーメックN」(55%メチルエチルケトンパーオキサイド)を樹脂100重量部に対して1PHR(1000ppmに相当)添加した樹脂組成物について特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0038】
実施例2
不飽和ポリエステル樹脂、商品名「ユピカ6510」(日本ユピカ(株)製)200g(重合禁止剤150ppm含有)を秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph,4.0g(Co金属として1200ppmに相当)、硬化調整剤として水10g、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「ノニオンO−2」2gを加え羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数1000rpmで1分間高速撹拌して水を分散させた樹脂(A−2)を得た。樹脂A−2に実施例1と同様の硬化剤を同量添加した樹脂組成物の特性の評価結果を表1に示す。
【0039】
実施例3
エポキシアクリレート樹脂、商品名「ネオポール8250L」(日本ユピカ(株)製)100g(重合禁止剤300ppm含有)を秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph,2.0g(Co金属として1200ppmに相当)、硬化促進助剤としてN,N−ジメチルアニリン0.1g、硬化調整剤として水5g、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「ノニオンO−2」2gを加え羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数2000rpmで1分間高速撹拌して水を分散させた樹脂(A−3)を得た。樹脂A−3に硬化剤として「カヤメックA」(55%メチルエチルケトンパーオキサイド)を使用した以外は実施例1と同様に行なった。特性の評価結果を表1に示す。
【0040】
実施例4
ウレタンアクリレート樹脂、商品名「ユピカ8930」(日本ユピカ(株)製)100g(重合禁止剤250ppm含有)を秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph,2.0g(Co金属として、1200ppmに相当)、硬化促進助剤としてN,N−ジメチルアニリン0.2g、硬化調整剤として水10g、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「ノニオンO−2」1gを加え羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数2000rpmで1分間高速撹拌して水を分散させた樹脂(A−4)を得た。樹脂A−4に実施例1と同様の硬化剤を同量添加した樹脂組成物の特性の評価結果を表1に示す。
【0041】
実施例5
攪拌機,温度計,還流冷却管,窒素導入管を付けた、5リットルのガラス製5つ口フラスコにイソフタル酸2200g、プロピレングリコール2220gを入れ200℃で10時間脱水縮合反応させ酸価8mgKOH/gのアルキッドを得た。120℃まで冷却後、無水マレイン酸1300gを加え、210℃で9時間を要して酸価9mgKOH/g、水酸基価22mgKOH/gの不飽和ポリエステルを得た。得られた不飽和ポリエステルは、あらかじめハイドロキノン0.2g(22ppmに相当)を溶解させた4100gのスチレンに、溶解して9100gの不飽和ポリエステル樹脂を得た。
得られた不飽和ポリエステル樹脂を100g秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph,2.0g(Co金属として1200ppmに相当)、硬化調整剤として水20g、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「ノニオンO−2」2gを加え羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数2000rpmで1分間高速撹拌して水を分散させた樹脂(A−5)を得た。樹脂A−4に実施例1と同様の硬化剤を同量添加した樹脂組成物の特性の評価結果を表1に示す。
【0042】
比較例1
不飽和ポリエステル樹脂として、商品名「ユピカ6510」(日本ユピカ(株)製)100g(重合禁止剤150ppm含有)を秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph,0.5g(Co金属として300ppmに相当)、硬化促進助剤としてN,N−ジメチルアニリン0.2g、硬化調整剤として水10g、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「ノニオンO−2」1gを加え羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数2000rpmで1分間高速撹拌して水を分散させた樹脂(B−1)を得た。樹脂B−1に実施例1と同様の硬化剤を同量添加した樹脂組成物の特性の評価結果を表1に示す。
【0043】
比較例2
比較例1に使用したと同様の不飽和ポリエステル樹脂100gを秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph,1.5g(Co金属として、900ppmに相当)、硬化促進助剤としてN,N−ジメチルアニリン0.1gを添加し、水を添加していない樹脂(B−2)を得た。樹脂B−2に実施例1と同様の硬化剤を同量添加した樹脂組成物の特性の評価結果を表1に示す。
【0044】
比較例3
比較例1に使用したと同様の飽和ポリエステル樹脂100gを秤量し、これに硬化促進剤としてN,N−ジメチルアニリン0.2g、硬化調整剤として水10g、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「ノニオンO−2」1gを加え羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数2000rpmで1分間高速撹拌して水を分散させた樹脂(B−3)を得た。樹脂B−3に硬化剤として「ナイパーFF」(50%ベンゾイルパーオキサイド)を2PHR使用した以外は実施例1と同様に行なった。特性の評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 2004010715
【0046】
硬化剤:
P−N:パーメックN、 K−A:カヤメックA、 N−F:ナイパーFF
【0047】
(1)ポットライフ:
樹脂50gを秤量し、25℃の水層に30分間以上浸漬して調温する。硬化剤を添加して30秒間良く撹拌する。その後1分に1度撹拌して流動性がなくなるまでの時間を測定し、ポットライフとした。
【0048】
(2)表面乾燥性:
25℃に調温された部屋で、水を入れた水槽にモルタル試験板(50mm×300mm×300mm)を浸漬して、水面から10mm上部にモルタル試験板がでるように水の量を調節する。1時間以上浸漬し、モルタル表面が十分濡れた状態を確認した後、ポットライフ測定と同様配合で硬化剤を添加溶解させる。刷毛を使用してモルタル湿潤面に塗布し、16時間放置後の表面状態を観察した。
【0049】
(3)接着強度:
上記(2)の表面状態の評価に使用した試験片に、30mm角の鉄製治具をエポキシ接着剤を使用して塗布面に接着する。接着後25℃の部屋で1日間放置した後、建研式接着力試験器(山本扛重機(株)製)を使用しプルオフ法により、接着強度を測定した。
【0050】
実施例6
不飽和ポリエステル樹脂、商品名「ユピカ6510」(日本ユピカ(株)製)600g(重合禁止剤150ppm含有)を秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph,9.0g(Co金属として900ppmに相当)、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「イオネットT−20C」12gを加え、水200gを入れた高さ15cm直径15cmの金属容器に、羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数4000rpmで高速撹拌しながら上記の樹脂を5分間かけて滴下、分散させて水性分散体(C−1)を得た。水性分散体C−1に硬化剤として「パーメックN」(55%メチルエチルケトンパーオキサイド)を水性分散体100重量部に対して1PHR(1000ppmに相当)添加し、25℃におけるゲル化時間を測定した結果。30分後に流動性を失いゲル化した。
【0051】
実施例7
不飽和ポリエステル樹脂、商品名「ユピカ6502」(日本ユピカ(株)製)300g(重合禁止剤150ppm含有)を秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph、6.0g(Co金属として1200ppmに相当)、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「プロノン204B」6gを加え、高さ20cm直径20cmの金属容器に入れ、羽根の外径が6cmのディゾルバーを使用して回転数4000rpmで高速撹拌しながら水700gを10分間かけて滴下、分散させて水性分散体(C−2)を得た。水性分散体C−2に硬化剤として「パーメックN」(55%メチルエチルケトンパーオキサイド)を水性分散体100重量部に対して1PHR(1000ppmに相当)添加し、25℃におけるゲル化時間を測定した結果。21分後に流動性を失いゲル化した。
【0052】
実施例8
実施例5で得た不飽和ポリエステル樹脂300g(重合禁止剤22ppm含有)を秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph、3.0g(Co金属として600ppmに相当)、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「プロノン102」6gを加え、高さ15cm、直径15cmの金属容器に、羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数4000rpmで高速撹拌しながら水300gを7分間かけて滴下、分散させて水性分散体(C−3)を得た。水性分散体C−3に硬化剤として「パーメックN」(55%メチルエチルケトンパーオキサイド)を水性分散体100重量部に対して1PHR(1000ppmに相当)添加し、25℃におけるゲル化時間を測定した結果。16分後に流動性を失いゲル化した。
【0053】
比較例4
不飽和ポリエステル樹脂、商品名「ユピカ6510」(日本ユピカ(株)製)600g(重合禁止剤150ppm含有)を秤量し、これに硬化促進剤として市販の6%Co−Naph、3.0g(Co金属として300ppmに相当)、硬化促進助剤としてN,N−ジメチルアニリン0.2g、含水安定剤として、界面活性剤、商品名「イオネットT−20C」12gを加え、水200gを入れた高さ15cm直径15cmの金属容器に、羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して回転数4000rpmで高速撹拌しながら上記の樹脂を5分間かけて滴下、分散させて水性分散体(D−1)を得た。水性分散体D−1に硬化剤として「パーメックN」(55%メチルエチルケトンパーオキサイド)を水性分散体100重量部に対して1PHR(1000ppmに相当)添加し、25℃におけるゲル化時間を測定した結果。24時間経過後でも流動性が有りゲル化しないことを確認した。
【0054】
【発明の効果】
本発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物は、一般的に多く使用されている液状硬化剤の使用を可能とし、これまでラジカル重合型熱硬化性樹脂は使用できないとされてきた、水中および含水状態あるいは湿潤面への塗布用として、容易に硬化可能なラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物であり、含水樹脂、所謂エマルジョンの硬化方法としては勿論、トンネル内や梅雨時のコンクリート補強、ライニング工事等の工事において、湿潤状態での施工が可能になるため工事施工期間の短縮を図ることができると共に、さらに、より適正な工法の開発も可能になる。したがって、従来の用途に加えて潜在的な多くの用途への使用が可能となり、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の使用範囲を拡大することができる。

Claims (2)

  1. 有機コバルト塩を金属分として600ppm〜3000ppm、およびケトンパーオキサイドを有効酸素量で500ppm〜5000ppm含有し、水分を1重量%〜70重量%含有することを特徴とするラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物。
  2. 芳香族アミンを100ppm〜5000ppm含有することを特徴とする請求項1記載のラジカル重合型熱硬化性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006034981A1 (en) * 2004-09-28 2006-04-06 Akzo Nobel N.V. Curing of water-containing unsaturated polyester resins involving a cobalt accelerator and a complexing compound

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