JP2004000118A - 軟質ナチュラルチーズ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ショーケースなどにおける光照射による風味劣化や組織劣化が抑制され、長期間賞味に適した品質を維持している軟質ナチュラルチーズ及びその製造方法、ならびに該軟質ナチュラルチーズを用いたプロセスチーズ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】β−ラクトグロブリンの含有量が全窒素あたり80mg/g窒素以下のとなるように軟質ナチュラルチーズを製造する。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、β−ラクトグロブリン含有量が一定値以下である軟質ナチュラルチーズに関する。また、本発明は、前記β−ラクトグロブリン含有量が一定値以下である軟質ナチュラルチーズを密封容器に充填した状態で加熱殺菌処理して得られた密封容器入り殺菌済みナチュラルチーズに関する。本発明の軟質ナチュラルチーズは、量販店やコンビニエンスストアにおけるショーケースでの光照射による風味劣化や組織劣化が抑制され、長期間賞味に適した品質を維持しているものである。また、本発明にかかる密封容器に充填された状態で加熱殺菌された軟質ナチュラルチーズは、醗酵が停止しており保存中の醗酵の進行による風味変化がなく、常に製造時の新鮮さを保持できる。
【0002】
【従来の技術】
カッテージチーズ(Cottage cheese)、モツァレラチーズ(Mozzarella cheese)、カマンベールチーズ(Camenbert cheese)、クワルクチーズ(Quark cheese)、クリームチーズ(Cream cheese)、マスカルポーネ(Mascarpone)等の軟質ナチュラルチーズは、全乳又は脱脂乳を原料として製造されている世界的に生産されている伝統的な乳製品である。
【0003】
一般にチーズ等の乳製品は、量販店やコンビニエンスストアで販売される際、冷蔵温度に保ったショーケース等に陳列されるが、ショーケースの蛍光灯の光照射の影響を受け、チーズ中の脂質が光酸化や自動酸化して風味劣化が生じたり、光照射によりタンパク質が加水分解されて凝集し、チーズの組織が劣化するといった問題がある。そこで、チーズを遮光性の高い容器に充填したり、遮光性の高い包装材料で包装することにより、光劣化を抑制することもできるが、遮光性の高い容器はコストが高く、又包材廃棄物低減化の流れの中で、乳製品自体の光劣化安定性の向上が求められている。
【0004】
脂質の自動酸化を促進する要因の一つに、遷移金属が挙げられる。乳製品は脂質の酸化を触媒するCu、Fe、Moなどの金属のイオンを含有している。また、Cu2+やFe2+が触媒するリノール酸の過酸化物の分解は、チオール化合物の添加によって著しく促進されることが知られている(非特許文献1)。
【0005】
【非特許文献1】
「ミルクのサイエンス」、上野川修一、菅野長右エ門、細野明編集、全国農協乳業プラント協会より、菅野長右ェ門、IV牛乳の成分、2脂質、(4)乳脂質の酸化、224−251
頁、1994年
【0006】
牛乳中のタンパク質は、一般にカゼインと乳清(ホエー)タンパク質に分類される。乳清タンパク質のβ−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、血清アルブミンは、カゼイン類に比較してチオール基を有するシスティンを多く含有するため、これらの乳清タンパク質は、Cu+2やFe2+が触媒するリノール酸の過酸化物の分解を促進する作用を有する。乳清タンパク質濃縮物と銅との結合物がリノール酸の酸化を促進することも知られている(非特許文献2)。
【0007】
【非特許文献2】
八尋政利、村上雄二、西川勲、阿彦健吉、「乳清タンパク質濃縮物またはその酵素分解物と銅または亜鉛との結合物の調製、および結合物の脂肪酸化促進効果」、雪印乳業研究所報告、第79号、35−43、1984
硬質ナチュラルチーズに比較して、軟質ナチュラルチーズは水分を多く含有し、更に、チーズ製造中のホエーの排出量が少ないので、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、血清アルブミン等の乳清タンパク質を多く含有する。そのため、保存中の脂肪酸化による風味の劣化が著しい。
【0008】
また、チーズの組織劣化と関連する原料乳の品質変化については、リボフラビンの存在下で牛乳が光照射されると乳清タンパク質であるα−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリンが凝集し易くなり、そのペプチド結合が加水分解され易いことが確認されている。また、遮光されていてもβ−ラクトグロブリンやα−ラクトアルブミンは、チーズ原料乳の殺菌工程中に一度加熱変性を受けると保存中に徐々に会合を起こすという性質を有していることが知られている。これらの乳清タンパク質の加水分解や会合は、軟質ナチュラルチーズの組織が保存中に脆くなったりするといった保存中の組織劣化の一つの原因となっている。
【0009】
さらに、通常はこれらの軟質ナチュラルチーズは加熱殺菌されていない、いわゆるフレッシュチーズである。このために、たとえ低温下で保存しても、レンネットによってタンパク質の分解が進行する。さらに、乳酸菌が生存しているために、これらの乳酸菌の生産する酵素によるタンパク質の分解や産生される有機酸によって次第に風味が変化し、製造直後のフレッシュ感を維持することが困難である場合が多い。フレッシュチーズを容器に充填し加熱殺菌した製品は存在するがチーズの製造工程に殺菌工程を挿入することは工程の複雑さからあまり行われていないのが現実である。
なお、本明細書の実施例においては以下の従来技術が引用されている。
【0010】
【非特許文献3】
F. V. Kosikowski, Cheese and Fermented milk foods, Second Edition, p127−129, 1982, F. V. Kosikowski and Associates, New York)
【非特許文献4】
Ferric thiocyanate method, R.A. Chapman and K. Mackay, 1949, J. of theAmerican Oil Chemists’ Society, July, p360−363
【非特許文献5】
F. V. Kosikowski , Cheese and Fermented milk foods, Second Edition, p195−196, 1982, F. V. Kosikowski and Associates, New York
【非特許文献6】
F. V. Kosikowski , Cheese and Fermented milk foods, Second Edition, p165−166, 1982, F. V. Kosikowski and Associates, New York
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおり、チーズの中でも軟質ナチュラルチーズは硬質ナチュラルチーズに比べて、ホエータンパク質の含有量が多いため、光照射による風味劣化や組織劣化が生じやすい。そこで、量販店やコンビニエンスストアにおけるショーケースでの光照射による風味劣化や組織劣化が抑制され、長期間賞味に適した品質を維持している軟質ナチュラルチーズが求められている。また、殺菌された軟質ナチュラルチーズであればより長期間の保存が可能となり、より好ましい。さらにまた、軟質ナチュラルチーズを利用してプロセスチーズを製造した場合、得られたプロセスチーズにおいても光照射による風味や組織の光劣化がないことが好ましい。
【0012】
本発明は、ショーケースなどにおける光照射による風味劣化や組織劣化が抑制され、長期間賞味に適した品質を維持している軟質ナチュラルチーズ及びその製造方法、ならびに該軟質ナチュラルチーズを用いたプロセスチーズ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した課題に鑑み鋭意研究を進めた結果、軟質ナチュラルチーズに含有されるホエータンパク質のうちの一つであるβ−ラクトグロブリン量を一定値以下に低減することにより、光照射による風味劣化と組織劣化を抑制し、長期間賞味に適した品質を維持している軟質ナチュラルチーズが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。さらに、本発明者らは、この軟質ナチュラルチーズを用いてプロセスチーズを製造することもでき、このプロセスチーズも光照射による風味劣化と組織劣化が抑制されていることも見出した。
【0014】
本発明にかかる軟質ナチュラルチーズの一態様は、β−ラクトグロブリンの含有量が、全窒素1g当たり80mg以下であることを特徴とするものである。また、本発明にかかる他の態様は、β−ラクトグロブリンの含有量が、全窒素1g当たり80mg以下であって、加熱殺菌処理がなされていることを特徴とするものである。この加熱殺菌処理は、容器中に原料を密封して醗酵によりチーズとした状態でそのまま加熱殺菌処理する方法が特に好ましい。
【0015】
本発明にかかる軟質ナチュラルチーズの製造方法は、軟質ナチュラルチーズの製造方法であって、原料乳を精密濾過処理して、該原料乳中のβ−ラクトグロブリンの含有量を、該原料乳から得られる軟質ナチュラルチーズ中のβ−ラクトグロブリンの含有量が全窒素1g当たり80mg以下となるように低減させる工程と、該精密濾過処理された原料乳を用いてβ−ラクトグロブリンの含有量が全窒素1g当たり80mg以下である軟質ナチュラルチーズを得る工程と、を有することを特徴とするものである。
【0016】
本発明にかかるプロセスチーズは1種以上のナチュラルチーズを用いて調製されたプロセスチーズであって、このナチュラルチーズに少なくとも上記のナチュラルチーズが含まれていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明にかかるプロセスチーズの製造方法は1種以上のナチュラルチーズを用いたプロセスチーズの製造方法であって、ナチュラルチーズに少なくとも上記の製造方法により製造されたナチュラルチーズが含まれていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明における軟質ナチュラルチーズには、当業者において半軟質または軟質ナチュラルチーズと分類されているチーズが含まれ、例えば、脂肪以外の質量中の水分含量が61質量%以上のものが含まれる。なお、この水分含量は、以下の式により算出されるものである(FAO/WHO国際食品規格のチーズ 一般国際規格、1972)。
脂肪以外の質量中の水分含量(質量%)=[(チーズ中の水分重量)/(チーズの全重量−チーズの脂肪重量)]×100
具体例としては、カッテージチーズ、モツァレラチーズ、カマンベールチーズ、クワルクチーズ、クリームチーズ、マスカルポーネ等を挙げることができる。
【0019】
本発明において風味劣化とは、軟質ナチュラルチーズがショーケース等に保存されている際に光が当たることにより、脂肪が光酸化して風味が劣化することをいい、チーズの過酸化物価をその指標とすることができる。また、軟質ナチュラルチーズが保存中にレンネットや乳酸菌によってタンパク質の分解や酸度上昇が進み風味が劣化することをいう。
【0020】
本発明において組織劣化とは、軟質ナチュラルチーズがショーケース等に保存されている際に光が当たることによりホエータンパク質が凝集、加水分解を起こし組織がボロボロになったり離水が生じたりすることをいう。
【0021】
本発明によれば、ショーケースなどにおける光照射下に陳列、保存した際にも風味や組織の劣化の進行が効果的に制御され、さらに冷蔵保存中の長期間にわたって製造直後の風味が維持された軟質ナチュラルチーズを提供することができる。この軟質ナチュラルチーズはプロセスチーズの原料としても利用することができる。
【0022】
本発明にかかる軟質ナチュラルチーズは、照度1500〜3000ルクス、波長190〜800nmの照明及び温度5〜15℃の冷蔵保存によるショーケースにおける保存展示に特に適している。
【0023】
【発明の実施の形態】
(原料乳)
本発明の軟質ナチュラルチーズ製造用の原料乳は、これを用いて軟質ナチュラルチーズを製造した際にチーズ中に含有されるβ−ラクトグロブリンの量が全窒素を基準として80mg/g窒素以下となるように主にホエータンパク質の組成を変化させているものである。
【0024】
このようにβ−ラクトグロブリンの含有量が低減された原料乳は、原料乳をMF(Micro Filtration:マイクロフィルトレーション)膜(精密濾過膜ともいう)により処理し、ホエータンパク質の大部分を除去する方法によって得ることができる。精密濾過処理する原料乳としては脱脂乳が特に好ましい。なお、限外濾過操作(UF操作)では、β−ラクトグロブリンを低減させることができないため、好ましくない。
【0025】
こうして得られたβ−ラクトグロブリンの含有量が低減された原料乳を軟質ナチュラルチーズの製造に用いることができる。また、この原料乳が粉末化が可能なものであれば、粉末化して保存、搬送し、原料乳に還元してチーズの製造に用いることができる。
【0026】
(原料乳中のβ−ラクトグロブリン量の低減方法)
脱脂乳を利用する場合のMF膜としては、孔径0.1〜0.2μmのものが好ましい。脱脂乳からβ−ラクトグロブリンを除去するには、脱脂乳をMF膜を用いて濃縮、または加水しながら膜処理し、β−ラクトグロブリン濃度を低減する方法が好適に利用できる。例えば、MF膜を用い、2倍濃縮を行い、等量の水を加えて、同様に濃縮し、さらにこの濃縮、加水を繰り返し、β−ラクトグロブリン量を調整することが好ましい。最終的な膜処理の程度は、最終的に原料乳中のβ−ラクトグロブリン量(質量)が全窒素あたり1/4〜1/16程度であることが好ましく、特に、少なくとも1/8以下であることが好ましい。通常は、膜濃縮、加水を2〜3回以上繰り返すことでβ−ラクトグロブリンを低減することができる。なお、必要に応じて膜処理後の濃縮された原料乳は、加水により希釈して、例えば膜処理前のタンパク質濃度などを所望とする濃度に調整してチーズの製造に利用することができる。
【0027】
(チーズの製造)
上記の原料乳を用いて各種の軟質ナチュラルチーズを製造することができる。具体的な製造工程は、所望とするチーズの種類に応じた公知の方法に従って行うことができる。なお、原料乳に、所望とするチーズの種類に応じて、脂肪分としてクリーム、バターなどの少なくとも1種を、最終的に得られるチーズ中のβ−ラクトグロブリンの含有量が所定の値(80mg/g全窒素以下)を維持し得る範囲内で補充することもできる。例えば、脂肪分が4〜40質量%となるように添加することでクリームチーズ製造用の原料乳を得ることができる。
原料乳からの軟質ナチュラルチーズの製造方法の特に好ましい態様としては、以下の工程▲1▼〜▲4▼を有する方法を挙げることができる。
▲1▼前記精密濾過膜(MF膜)を用いて原料脱脂乳を必要であれば濃縮と加水を繰り返して最終的に1.5倍から6倍に濃縮する。
▲2▼ついで、濃縮乳にクリームと必要に応じて安定剤を混合し均質処理後、95℃以上の温度で加熱殺菌を行う。加熱殺菌後の乳は、その後に添加する乳酸菌とレンネットが失活しないように45℃以下に冷却する。
▲3▼ついでこのチーズ原料乳に乳酸菌、レンネットを混合する。その後に液体の状態(45℃以下の温度で、粘度100mPa・S以下である状態)でチーズ用の調製乳を容器に充填し、密封する。
▲4▼添加した乳酸菌により目的とするチーズのpH域(pH6.0からpH3.8)までチーズ原料乳の酸性化を行う。なお、脂肪率が10%以下の場合は、pH5.0〜5.3の範囲でざらついた組織となるため、なめらかな食感を得るためにpHは5.0より低くするか、もしくは5.3より高くすることが好ましい。その後、容器ごと加熱殺菌を行う。この加熱殺菌によって混入したかも知れない雑菌の殺菌、添加した乳酸菌の殺菌、およびレンネットを失活することができる。これらの工程により、保存性が良好で、離水がなく、なめらかな食感を有する殺菌軟質ナチュラルチーズを製造することができる。
このように、β−ラクトグロブリンの含有量が低減された原料乳を用いて、定法に従って最終製品のβ−ラクトグロブリンの含有量が80mg/g全窒素以下となるように、カッテージチーズ、モツァレラチーズ、カマンベールチーズ、クワルクチーズ、クリームチーズ、マスカルポーネなどの軟質ナチュラルチーズを製造すればよい。これらのチーズの製造においても、所望によりチーズが形成された後に容器ごと上記の工程▲4▼に示す殺菌工程を行うことができる。
【0028】
この殺菌工程は、添加したレンネットの失活と乳酸菌の死滅が達成できれば良い。好ましくはレトルト殺菌の指標であるF値を3〜9に、さらに好ましくはF値を4〜7にするような加熱条件を設定することができる。このようなF値を選択すると、レトルト殺菌とほぼ同様の保存能を付与することができる。
【0029】
なお、モツァレラチーズなどの加熱調理用としても利用されるチーズでは、通常、加熱調理後に冷えた場合に硬くなり、食感が低下する。これに対し、本発明の製造方法に従ってβ−ラクトグロブリンの含有量が低減されたモツァレラチーズなどの加熱調理用のナチュラルチーズでは冷えた状態でも硬化しにくくなっており、軟らかい食感を維持することができる。
【0030】
(チーズ中のβ−ラクトグロブリンの定量方法)
尿素入りサンプルバッファー(4.5M尿素、1質量%メルカプトエタノール、0.14Mトリス−塩酸バッファー、22質量%グリセロール、4.4質量%SDS、0.006質量%ブロモフェノールブルー)にサンプルチーズを加えて10mlとした。なお、サンプルチーズの量は、その全窒素定量値を基にしてサンプル溶液中の全窒素濃度が2mg/mlとなる量とした。
【0031】
次に、このサンプル溶液に約30分間超音波をかけてチーズを分散、溶解させる。この溶液を一晩5℃で静置し、スロットに8μL注入し電気泳動を行う。電気泳動ゲルは14%のポリアクリルアミド、4.5M尿素のゲル(SDS−PAGE mini, 1mm,10 well ,TEFCO Co. Japan社)を用いる。泳動後のゲルはクマシーブリリアントブルーR−250で染色する。β−ラクトグロブリン及びα−ラクトアルブミンの標準品として、上記のサンプルバッファーに、β−ラクトグロブリン(シグマ社)を溶解する。それぞれ、50〜200μg/mlの濃度で溶解し、8μLを泳動ゲルのスロットに注入して、サンプルと一緒に電気泳動を行う。それぞれのレーンのバンドはクロマトスキャナーにてバンドのピーク面積をもとめ、標準品より得られた標準曲線をもとに、チーズサンプル中のβ−ラクトグロブリンを算出する。
【0032】
なお、カマンベールチーズ等のカビ系チーズは、カビの部分から5mm以上、好ましくは10mm以上離れた部分からサンプリングする。
【0033】
(チーズ窒素量の定量方法)
チーズ窒素量は、ケルダール法を用いて定量する。
【0034】
(プロセスチーズの製造方法)
本発明にかかる軟質ナチュラルチーズを用いて各種のプロセスチーズを製造することができる。例えば、本発明の製造方法により製造したクワルクチーズと硬質ナチュラルチーズであるチェダーチーズを用い、必要に応じて溶融塩、バターなどを添加して、常法によりスプレッド状のプロセスチーズを得ることができる。このプロセスチーズは、本発明にかかる軟質ナチュラルチーズの少なくとも1種を用いて、あるいはこれに他のナチュラルチーズの少なくとも1種を配合して製造することができる。原料として複数のナチュラルチーズを用いる場合の組合せは、目的とする最終製品に応じて選択できる。製造方法としては、例えば、原料チーズを適宜の大きさ(3〜5mm)に粉砕し、原料チーズに対して、溶融塩を0.1〜3質量%添加し、更に必要に応じて各種添加剤を添加し、乳化釜にて80〜90℃で乳化を行い、適当な容器に充填、冷却する方法などを用いることができる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を詳しく説明する。なお、以下の実施例における「質量%」は質量基準である。
【0036】
実施例1(カッテージチーズ)
(光照射が原因となる脂質酸化の抑制)
カッテージチーズの製造方法は、常法に準じた(非特許文献3:F. V. Kosikowski , Cheese and Fermented milk foods, Second Edition, p127−129, 1982,F. V. Kosikowski and Associates, New York)。
【0037】
MF膜処理乳は脱脂乳を孔径0.1〜0.2μmの精密濾過膜で、加水しながら膜処理した。2倍濃縮した時点で、濃縮乳と等量の水を加えた。この濃縮と加水を3回繰り返した。
【0038】
上記の膜処理した脱脂乳を76℃、18秒間加熱殺菌した後、32.2℃まで冷却した。この原料乳500kgに、Lactococcus lactis subsp. cremoris及びLactococcus lactis subsp. lactisの2菌種からなる市販の乳酸菌スターター(O−Culture R−703,クリスチャンハンセン社製)を200ユニット(クリスチャンハンセン社が用いているスターター活性の単位)接種し30分間静置した。レンネット(Chr. Hansen’s Standard Rennet 180、クリスチャンハンセン社製)1mlを10mlの水で希釈して乳に添加して、31.1℃で約5時間保持し、pHが4.6に達した時点でカードを切断し、その後、15分間静置した。次に、46.1℃の温湯をチーズバット内に注ぎ、チーズバットのジャケット内の湯の温度を徐々に上げ、100分間でチーズカードの最終温度が51.7℃になるよう加熱した。そして、その状態でカードを攪拌し、ホエーを排除した後、カードを水洗いしてカッテージチーズカードを製造した。
【0039】
一方、脂肪分18.0質量%の均質化したクリームを79.4℃、20秒加熱殺菌した後、4質量%濃度となるように食塩を添加してカッテージチーズ用ドレッシングクリームを製造した。
【0040】
上記のカッテージチーズカードに、カッテージチーズカードに対して33.5質量%のカッテージチーズ用ドレッシングクリームを添加し、混合した後、容器に充填してカッテージチーズ(本発明品1)を製造した。
【0041】
脱脂乳を孔径0.1〜0.2μmの精密濾過膜で2倍濃縮した後、濃縮乳と等量の水を加え、濃縮と加水を2回繰り返した。この膜処理乳を用いて上記と同様にしてカッテージチーズ(本発明品2)を製造した。
【0042】
脱脂乳を孔径0.1〜0.2μmの精密濾過膜で2倍濃縮した後、濃縮乳と等量の水を加え、濃縮と加水を3回繰り返した。得られた膜処理乳の低分子成分を無処理脱脂乳と同様にするため、脱乳糖パーミエイト粉末(牛乳の限外濾過膜透過成分、PROMILK102 イングレディア社、スイス)3.7質量%、乳糖3.6質量%を添加してから、上記と同様にしてカッテージチーズ(本発明品3)を製造した。
【0043】
また、対照として膜処理を行わない脱脂乳より上記と同様にしてカッテージチーズ(対照品1)を製造した。
【0044】
(過酸化物価の測定)
鉄チオシアネート法(非特許文献4:Ferric thiocyanate method, R.A. Chapman and K. Mackay, 1949, J. of the American Oil Chemists’ Society, July,
p360−363)を用いた。
【0045】
本発明品及び対照品の、カッテージチーズ中のβ―ラクトグロブリン量を表1に示す。これらのカッテージチーズを10℃、光照射1600ルクスの条件で4週間保存し脂質酸化の指標として過酸化物価を測定した(表2)。また、同条件での保存中に経時的に官能評価も実施した。その結果を表3に示す。
【0046】
【表1】
Figure 2004000118
【0047】
【表2】
Figure 2004000118
【0048】
【表3】
Figure 2004000118
【0049】
表3における風味及び組織の評価は以下の基準に従って行った。
風味評価
nor(normal):正常
ol(oily):油脂酸化臭あり
ra(rancid):油脂変敗臭あり
組織評価
nor(normal);正常
cr(crumbly):粘性に乏しくぼろぼろする状態
fm(free moisture):水滴分離
【0050】
本発明品1〜3は、対照品1に比べ、脂質の過酸化物価の値が低いことが判った。また、官能評価の結果、本発明品1〜3は対照品1に比べて脂質酸化臭、組織劣化、離水が抑制され、長期間良好な風味、組織を維持していたことから、これらの効果が乳中の低分子画分の影響ではなく、β−ラクトグロブリンの低減効果であることが判った。
【0051】
実施例2(モツァレラチーズ)
モツァレラチーズの製造方法は、常法に準じた(非特許文献5:F. V. Kosikowski , Cheese and Fermented milk foods, Second Edition, p195−196, 1982, F. V. Kosikowski and Associates, New York)。脱脂乳を実施例1の本発明品1と同様に膜処理を行い、50質量%の脂肪率のクリームを混合し、脂肪率3重量%に調製した原料乳を72℃、16秒間加熱殺菌し、均質化した後、32.2℃まで冷却した。この原料乳600kgに市販の乳酸菌スターター3種類(Streptococcus thermophilus ST−116, Lactobacillus bulgaricus Lb−12, Lactobacillus helveticusLh−B 02,いずれもDirect Vat Setタイプ、クリスチャンハンセン社製)を各8ユニット(計24ユニット)接種して、レンネット(Chr. Hansen’s Standard Rennet 180、クリスチャンハンセン社製)60mlを600mlの水で希釈して乳に添加して30分間静置してカードを切断した。15分間、カードを穏やかに攪拌した後、ホエーを排除してチーズカードを調製した。その後、専用カッターでカードを裁断し冷水で水洗いした。このカードをpH5.3となるまで静置し、82.2℃の温湯に数分間浸漬した後、混練機を用いてカードを混練して、モツァレラチーズ(本発明品4)を製造した。
【0052】
脱脂乳に膜処理を行わない以外は上記と同様にしてモツァレラチーズ(対照品2)を製造した。
【0053】
本発明品4及び対照品2のモツァレラチーズ中のβ−ラクトグロブリン量を表4に示す。
【0054】
また、これらのモツァレラチーズをそれぞれ個々にピザクラストの上にのせてオーブン(190℃)で10分間加熱調理し、25℃に冷却してチーズ部分を官能評価したときの結果を表5に示す。
【0055】
これらのモツァレラチーズを10℃、光照射1600ルクスの条件で4週間保存し脂質酸化の指標として過酸化物価を測定した(表6)。また、同条件での保存での上記の加熱調理による官能評価も経時的に実施した。その結果を表7に示す。
【0056】
【表4】
Figure 2004000118
【0057】
【表5】
Figure 2004000118
【0058】
【表6】
Figure 2004000118
【0059】
【表7】
Figure 2004000118
【0060】
表7における風味及び組織の評価は以下の基準に従って行った。
風味評価
nor(normal):正常
ol(oily):油脂酸化臭あり
ra(rancid):油脂変敗臭あり
組織評価
nor(normal):正常
cr(crumbly):粘性に乏しくぼろぼろする状態
so(soft):軟らかいもの
【0061】
本発明品4は、対照品2と比較して脂質の過酸化物価の値が低いことが判った。また、官能評価の結果、本発明品4は対照品2と比較して、加熱調理後に冷却しても軟らかく、脂質酸化臭、組織劣化、離水が抑制され、長期間良好な風味、組織を維持していることが判った。
【0062】
また、軟質ナチュラルチーズのうちモツァレラチーズは、グラタン、ビザ等に用いられ加熱調理して食されることも多いが、加調理後冷めると硬くなる。このモツァレラチーズの冷却時の硬化にもホエータンパク質が関係しているため、本発明のように、ホエータンパク質の大部分を除去した脱脂乳を用いて調製されるモツァレラチーズは、冷めても硬くなりづらい性質を有している。
【0063】
実施例3(クワルクチーズ)
脱脂乳を実施例1と同様に孔径0.1〜0.2μmの精密濾過膜(MF膜)で2倍濃縮と加水を4回ずつ繰り返して最終濃縮倍率を1.5倍とした。この濃縮乳に50%の乳脂肪を含有したクリームを混合し、乳の脂肪率を8.6%とした(配合比は表8に示す)。この乳を60℃に加温し、TKホモミキサー(8000rpm、5分間)で攪拌して予備乳化した後、高圧ホモジナイザー(9.8MPa(=100kg/cm)の均質圧)で脂肪を均質化し150℃、3〜4秒間加熱殺菌した後、25℃まで冷却した。この原料乳500kgに、Lactococcus lactis subsp. cremoris及びLactococcus lactis subsp. lactisの2菌種からなる市販の乳酸菌スターター(XT−112,クリスチャンハンセン社製)を0.01%接種し、レンネット(Naturen、クリスチャンハンセン社製)を0.000001%乳に添加して、耐熱性のデザート容器に各80g充填して密閉し、25℃で約16時間保持した。その後、80℃の湯浴中で約30分間、中心温度が72℃に達するまで加熱し、その後16秒間72℃以上に温度を保持し、ついで密封状態を維持しつつ水道水で容器外部から冷却した。
上記方法で得られた本発明品5としてのクワルクチーズを、5℃で90日間保存して品質評価を行った。品質評価はpH、離水率、硬さ、組織状態、風味について行った。
チーズの硬さは、破断強度試験を行って測定した。すなわち、直径5mmの円柱型のプランジャーを用い、1mm/秒の速度でチーズサンプルに貫入させ10mm貫入した時点の荷重(gf)をチーズの硬さとした。
チーズの離水は、チーズを容器ごと直角に傾けて15秒間静置し、出てきた液体を容器にうけ、その重量を測定した。出てきた液体の重量を、容器に充填したときのチーズの重量で除し、100を乗じた値を離水率(%)とした。
又、本発明品5のβ−ラクトグロブリン量を測定した。
【0064】
【表8】
Figure 2004000118
【0065】
【表9】
Figure 2004000118
風味評価:nor: normal、正常
組織評価:nor: normal、正常
【0066】
本発明品5は長期間良好な風味、組織を維持していることが判った。また、本発明品5の製造直後のβ−ラクトグロブリン量は74mg/g窒素であった。離水率、硬さも製造直後と殆どかわらなかった。
【0067】
実施例4(裏ごしタイプのカッテージチーズ)
脱脂乳を実施例1と同様に孔径0.1〜0.2μmの精密濾過膜(MF膜)で2.5倍濃縮と加水を4回ずつ繰り返して最終濃縮倍率を2.5倍とした。脂肪分は4.5%とした。この濃縮乳に50%の乳脂肪を含有したクリームを混合し乳の脂肪率を4.5%とした(配合比は表10に示す)。この乳を60℃に加温し、TKホモミキサー(8000rpm、5分間)で攪拌して予備乳化した後、高圧ホモジナイザー(9.8MPa(=100kg/cm)の均質圧)で脂肪を均質化し150℃、3〜4秒間加熱殺菌した後、25℃まで冷却した。この原料乳500kgに、Lactococcus lactis subsp. cremoris及びLactococcus lactis subsp. lactisの2菌種からなる市販の乳酸菌スターター(XT−112,クリスチャンハンセン社製)を0.01%接種し、レンネット(Naturen、クリスチャンハンセン社製)を0.000001%乳に添加して、耐熱性のデザート容器に各80g充填して密閉し、25℃で約16時間保持した。その後、80℃の湯浴中で約30分間、中心温度が72℃に達するまで加熱し、その後16秒間72℃以上の温度に保持した後、ただちに密封状態を維持しつつ水道水で容器外部から冷却した。
【0068】
上記方法で得られた本発明品6としての裏ごしタイプのカッテージチーズを、5℃で90日間保存して品質評価を行った。品質評価は実施例3と同様にpH、離水率、硬さ、組織状態、風味について行った。又、本発明品6のβ−ラクトグロブリン量を測定した。
【0069】
【表10】
Figure 2004000118
【表11】
Figure 2004000118
風味評価:nor: normal、正常
組織評価:nor: normal、正常
本発明品6は長期間良好な風味、組織を維持していた。また本発明品6の製造直後のβ−ラクトグロブリン量は60mg/g窒素であった。離水率、硬さも製造直後と殆どかわらなかった。
【0070】
実施例5
(クワルクチーズを原料としたフレッシュチーズ風味を持ったスプレット状のプロセスチーズ)
実施例1の本発明品1と同様に膜処理した脱脂乳をチーズ原料として用いた。
【0071】
プロセスチーズの原料となるクワルクチーズの調製は常法に従い以下のように行った(非特許文献6:F. V. Kosikowski , Cheese and Fermented milk foods, Second Edition, p165−166, 1982, F. V. Kosikowski and Associates, New York)。
【0072】
実施例1と同様の膜処理を行った脱脂乳を73.8℃、16秒間加熱殺菌した後、31.1℃まで冷却した。この原料乳500kgにLactococcus lactis subsp. cremoris及びLactococcus lactis subsp. lactisの2菌種からなる市販の乳酸菌スターター(O−Culture R−703,クリスチャンハンセン社製)を200ユニット接種し、レンネット(Chr. Hansen’s Standard Rennet 180、クリスチャンハンセン社製)を3mlを30mlの水で希釈して乳に添加して31.1℃で約5時間醗酵させ、pHが4.5に達した時点でカードを砕き、遠心分離器(FDA18−02−177、ウエストファリア社製)で回転数5500rpmによりホエーを排除してクワルクカードを調製した。一方、脂肪分40.0質量%の均質化したクリームを79.4℃、20秒加熱殺菌した後、上記のクワルクチーズカードに対して10質量%のクリームを添加し、混合した後、容器に充填してクワルクチーズ(本発明品7)を製造した。また、対照として、膜処理を行っていない脱脂乳を原料としてクワルクチーズ(対照品3)を調製した。
【0073】
チェダーチーズ10kg、クワルクチーズ82kg及びバター8kgに、溶融塩(Joha S9、BK Giulini  Chemie社)1.8kg及び水6.60kgを混合し、ステファン釜にて加温・攪拌を行った。乳化時間は8〜10分間とし、仕上げ温度は90℃とした。得られたチーズを容器に充填し、冷却した。膜処理乳からできたクワルクチーズを原料としたプロセスチーズ(本発明品8)と膜処理を行っていない脱脂乳からできたクワルクチーズを原料としたプロセスチーズ(対照品4)を同様に製造した。
本発明品8及び対照品4の原料として用いた、2種のクワルクチーズ中のβ―ラクトグロブリン量を表12に示す。これらのプロセスチーズを10℃、光照射1600ルクスの条件で4週間保存し官能評価も実施した。その結果を表13に示す。
【0074】
【表12】
Figure 2004000118
【0075】
【表13】
Figure 2004000118
【0076】
表13における風味及び組織の評価は以下の基準に従って行った。
風味評価
nor(normal):正常
ol(oily):油脂酸化臭あり
ra(rancid):油脂変敗臭あり
組織評価
nor(normal):正常
ml(mealy):粉っぽい舌感
cr(crumbly):粘性に乏しくぼろぼろする状態
fm(free moisture):水滴分離
官能評価の結果、本発明品8は対照品4と比較して、脂質酸化臭、組織劣化、離水が抑制され、長期間良好な風味、組織を維持していることが判った。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、量販店やコンビニエンスストアにおけるショーケースでの光照射による、風味劣化や組織劣化が抑制され、長期間賞味に適した品質を維持することのできる軟質ナチュラルチーズを提供することができる。また本発明による殺菌軟質ナチュラルチーズは冷蔵保存中の品質劣化が抑制され90日以上の長期間フレッシュな風味を維持することができる。

Claims (7)

  1. 軟質ナチュラルチーズであって、β−ラクトグロブリンの含有量が、全窒素1g当たり80mg以下であることを特徴とする軟質ナチュラルチーズ。
  2. 軟質ナチュラルチーズが容器に密封充填されて加熱殺菌処理された状態にある請求項1に記載の軟質ナチュラルチーズ。
  3. 軟質ナチュラルチーズを製造するための原料乳が、孔径0.1〜0.2μmの精密濾過膜で処理した脱脂乳、又は前記脱脂乳にクリームを添加して脂肪分を調整した原料乳を用いて調製されたものである請求項1又は2記載の軟質ナチュラルチーズ。
  4. 軟質ナチュラルチーズの製造方法であって、
    原料乳を精密濾過処理して、該原料乳中のβ−ラクトグロブリンの含有量を、該原料乳から得られる軟質ナチュラルチーズ中のβ−ラクトグロブリンの含有量が全窒素1g当たり80mg以下となるように低減させる工程と、
    該精密濾過処理された原料乳を用いてβ−ラクトグロブリンの含有量が全窒素1g当たり80mg以下である軟質ナチュラルチーズを得る工程と、
    を有することを特徴とする軟質ナチュラルチーズの製造方法。
  5. 前記精密濾過処理が、前記原料乳としての脱脂乳を孔径が0.1〜0.2μmの精密濾過膜で処理することにより行われる請求項4に記載の製造方法。
  6. 1種以上のナチュラルチーズを用いて調製されたプロセスチーズにおいて、該ナチュラルチーズに少なくとも請求項1〜3のいずれかに記載のナチュラルチーズが含まれていることを特徴とするプロセスチーズ。
  7. 1種以上のナチュラルチーズを用いたプロセスチーズの製造方法において、該ナチュラルチーズに少なくとも請求項4または5に記載の製造方法により製造されたナチュラルチーズが含まれていることを特徴とするプロセスチーズの製造方法。
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