JP2003509380A - 1つ以上のインテグリンアンタゴニストを使用する慢性腎不全の治療 - Google Patents

1つ以上のインテグリンアンタゴニストを使用する慢性腎不全の治療

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、慢性腎不全の哺乳動物、または慢性腎不全の危険がある哺乳動物、または腎臓代償療法を必要とする危険のある哺乳動物の処置のための方法、およびその処置において使用するための処方物を提供する。この方法は、特定のインテグリンアンタゴニストを投与する工程を包含する。好ましい実施形態においては、このインテグリンアンタゴニストは、α4サブユニット含有インテグリンとその同種のリガンドまたはレセプターとの間の相互作用を拮抗するポリペプチドを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、一般に、腎臓病に対する処置方法に関する。特に、本発明は、哺乳
動物(ヒトを含む)を慢性腎不全にする状態、または慢性腎不全の危険のある状
態に対する処置方法に関する。この方法は、特定のインテグリンアンタゴニスト
を投与する工程を包含する。
【0002】 (発明の背景) 多くの生理学的プロセスは、細胞が他の細胞および/または細胞外マトリック
スと密に接触することを必要とする。このような接着事象は、細胞の活性化、移
動(例えば、白血球移動)、増殖および分化のために、必要であり得る。細胞間
相互作用および細胞−マトリックス相互作用は、いくつかのファミリーの細胞接
着分子を介して媒介され、このファミリーの1つとしては、インテグリンが挙げ
られる。
【0003】 細胞接着分子は、正常なプロセスと病態生理学的プロセスとの両方において、
必須の役割を果たす。従って、特定の疾患状態における、正常な細胞機能の妨害
なしでの、特定かつ関連する分子の標的化は、細胞間相互作用および細胞−マト
リックス相互作用を阻害する、効果的かつ安全な治療剤のために必須である。
【0004】 例えば、糸球内への白血球の移動は、ヒト糸球体腎炎(GN)の代表的な特徴
であり、そして白血球は、腎臓損傷の主要な媒介物である。類似の白血球移動は
、GNの動物モデルにおいて見られる。Allenら、Journal of
Immunology,162:5519−5527(1999)およびそこに
引用される参考文献を参照のこと。本発明者らは、以前に、インテグリンVLA
−4のブロッキングが、この疾患のラットモデルにおいて、急性腎細胞毒素腎炎
を阻害することを実証した(Allenら、前出;Tam,F.W.K.ら、N
ephrol.Dial.Transplant.14:1658−1666(
1999))。
【0005】 急性腎臓病におけるインテグリンの役割に関するいくらかの情報が存在するが
、それにもかかわらず、慢性腎疾患における細胞接着分子の重要性を分類する、
利用可能な現在の情報は、存在しない。急性腎疾患における細胞接着分子の重要
性が、このような分子が慢性腎疾患において重要であることを必然的に意味する
ことを、演繹的に仮定し得ない(実施例を参照のこと)。
【0006】 慢性腎不全(CRF)は、有意かつ連続的なネフロンの損失に起因する、進行
性の、永続的かつ重大な、糸球体濾過率(GFR)の減少として、定義され得る
。慢性腎不全は、代表的に、ネフロン単位の有意な損失を引き起こした腎組織の
いくらかの傷害から生じた、慢性腎不全の点(すなわち、少なくとも50〜60
%の腎機能の永続的な減少)から開始する。この最初の傷害は、急性腎不全のエ
ピソードに関連していても関連していなくてもよく、またはこの傷害は、多数の
腎障害と関連し得る。この腎障害としては、末期腎臓病、慢性糖尿病性腎症、糖
尿病性糸球体症、糖尿病性腎肥大、高血圧性腎硬化症、高血圧性糸球体硬化症、
慢性糸球体腎炎、遺伝性腎炎、腎臓形成異常症および腎臓同種移植拒絶に続く慢
性的拒絶が挙げられるが、これらに限定されない。最初の傷害の性質にかかわら
ず、慢性腎不全は、ネフロンが次第に損失され、そしてGFRが次第に減衰する
につれて、兆候および症状の「最終共通経路」を明らかにする。腎機能のこの進
行性の悪化はゆっくりであり、代表的に、ヒト患者において数年または数十年に
わたるが、不可避であるようである。
【0007】 ヒトにおいて、慢性腎不全が進行し、そしてGFRが減衰し続けて正常値の1
0%未満(例えば、5〜10ml/分)となるにつれて、被験体は、末期腎臓病
(ESRD)に入る。この段階の間に、残りのネフロンが老廃物を血液から十分
に除去し、一方で有用な産物を保持し、かつ流体と電解質とのバランスを維持す
ることができないないことにより、多くの器官系および特に心臓血管系が急速に
衰え始め得る衰弱がもたらされる。この時点において、腎不全は、被験体が腎臓
代償療法(すなわち、慢性血液透析、連続的腹膜透析、または腎臓移植)を受け
ない限り、迅速に進行して死に到る。
【0008】 百万人あたり約600の患者が、1人の患者1年あたり60,000〜80,
000ドルに近付く平均費用において、合衆国において毎年慢性的透析を受けて
いる。毎年の末期腎臓病の新たな症例のうちの、約28〜33%が、糖尿病性腎
症(または糖尿病性糸球体症または糖尿病性腎肥大)に起因し、24〜29%が
、高血圧性腎硬化症(または高血圧性糸球体硬化症)に起因し、そして15〜2
2%が、糸球体腎炎に起因する。全ての慢性透析の患者に対する5年の生存率は
、約40%であるが、65歳を超える患者については、この率は、約20%に低
下する。従って、合衆国のみにおいてほぼ20万の患者を慢性的透析に依存させ
、そして毎年何十万もの早期の死を生じる腎機能の進行性の損失を予防する処置
に対する必要性が存在する。
【0009】 (発明の要旨) 本発明者らは、インテグリンのような細胞接着分子が、急性腎障害の病因学に
おいて重要であるのみでなく、CRFの病因学においても重要であることを、見
出した。本発明は、慢性腎不全の哺乳動物患者、または慢性腎不全の危険のある
哺乳動物患者、または腎臓代償療法を必要とする危険のある哺乳動物患者の処置
の方法、ならびにその処置において使用するための薬学的組成物に関する。この
ような被験体としては、既に慢性腎不全を罹患している患者、または既に腎臓代
償療法を受けた患者、ならびに機能的ネフロン単位の進行的な損失に関連する腎
機能の進行的な損失を患うと合理的に予測される任意の患者が挙げられる。
【0010】 本発明の方法および組成物は、本明細書中においてインテグリンアンタゴニス
トと定義される、腎臓治療剤である特定の薬剤(抗VLA−4抗体および抗VL
A−1抗体が挙げられる)が、慢性腎不全の危険のある被験体(本明細書中にお
いて定義されるような)、または腎臓代償療法を必要とする被験体の処置におい
て使用され得るという発見を、部分的には利用する。
【0011】 本発明の腎臓治療剤は、選択された薬剤に適合性の任意の経路投与によって投
与され得、そして投与経路に適した任意の薬学的に受容可能なキャリアとともに
処方され得る。好ましい投与経路は、非経口であり、特に、皮下、筋内、静脈内
、腹腔内、および腎臓胞内である。腎臓治療剤の毎日の投薬量は、約0.1〜5
0mg/kg体重、そしてより好ましくは、約1〜3mg/kg体重であると予
測されるが、正確な投薬量は、使用される特定の腎臓治療剤、ならびに特定の患
者の医学的状態および病歴に依存して、変動する。投薬量は、1週間に1回また
は数回、1週間、2週間または4週間の間隔で、与えられ得る。本発明の処置は
、機能的ネフロン単位の進行的損失、およびその結果である腎機能の進行的損失
(これは、慢性腎不全の代表である)を予防、阻害、または遅延する際に有用で
ある。それ自体として、これらは、慢性腎不全を患う患者における慢性透析また
は腎臓代償療法の必要性を予防または遅延する際に、あるいは末期腎障害を患う
被験体における慢性腎臓透析の必要な頻度を減少させる際に、非常に価値がある
【0012】 (発明の詳細な説明) (1.定義) 特許請求された本発明の内容をより明らかにかつ簡潔に示すために、以下に記
載の詳細な説明および添付の特許請求の範囲において使用される特定の用語につ
いて、以下の定義を提供する。
【0013】 インテグリン最後期(very late)抗原(VLA)スーパーファミリ
ーは、近隣の全ての哺乳動物細胞型上に種々の組み合わせで見い出される、(α
およびβ)ヘテロダイマー性の膜貫通レセプター分子からなる、構造的および機
能的に関連する糖タンパク質から構成される。インテグリンスーパーファミリー
は、近隣の全ての哺乳動物細胞型上に種々の組み合わせで見い出される、αおよ
びβヘテロダイマー性の膜貫通レセプター分子からなる、構造的および機能的に
関連する糖タンパク質から構成される。概説については、以下:E.C.But
cher,Cell,67,1033(1991);D.Coxら、「The
Pharmacology of the Integrins」Medici
nal Research Rev.第195巻(1994)およびV.W.E
nglemanら、「Cell Adhesion Integrins as
Pharmaceutical Targets」Ann.Rev.Medi
cinal Chemistry、第31巻、J.A.Bristol編;Ac
ad.Press,NY,1996、191頁を参照のこと。VLAファミリー
のインテグリンとしては、VLA−1、VLA−2、VLA−3、VLA−4、
VLA−5、VLA−6が挙げられ、ここで、各々の分子は、それぞれ、α鎖(
α1、α2、α3、α4、α5、α6)に非共有結合的に結合されたβ1鎖を含
む。
【0014】 特に、α1−β1インテグリンは、コラーゲンI、コラーゲンIV、ラミニン
および可能な他のリガンド(後者の用語は、個々にかつ集合的に「αインテグリ
ンリガンド」または「VLA−1リガンド」と称する)に対する細胞表面レセプ
ターである。用語「コラーゲン」は、全てのこのようなα1インテグリンリガン
ドを含むように全体に渡って使用されるが、α1インテグリンに対する他のリガ
ンドが存在しそして従来の方法を使用して分析され得ることが、当業者に理解さ
れる。インテグリンα1β1は、コラーゲン依存性の接着および遊走を支持する
だけでなく、損傷後のECM再形成に関与し得る、間葉細胞(mesenchy
mally−derived cell)上の重要なコラーゲンレセプターであ
るようである(Gotwalsら、J.Clin.Invest.97:246
9−2477(1996))。細胞がコラーゲンマトリックスを収縮および組織
化する能力は、任意の創傷治癒応答の重要な要素である。本明細書中の用語「a
1b1インテグリン」(あるいは、交換可能に使用される、「VLA−1」また
は「a1b1」または「a1b1インテグリン」)は、細胞外マトリックスタン
パク質のメンバー(例えば、ラミニンまたはコラーゲン、あるいはこのような細
胞外マトリックスタンパク質のホモログまたはフラグメント)に結合し得る、ポ
リペプチドあるいはそのホモログまたはフラグメントをいう。
【0015】 α4β1インテグリンは、VCAM−1、フィブロネクチンおよび可能なリガ
ンド(個々にかつ集合的に「α4リガンド」と称するこれらのリガンド)に対す
る細胞表面レセプターである。従って、本明細書中の用語「a4b1インテグリ
ン」(あるいは、交換可能に使用される、「VLA−4」または「a4b1」ま
たは「a4b1インテグリン」)は、VCAM−1および細胞外マトリックスタ
ンパク質のメンバー(最も特には、フィブロネクチン、あるいはこのような細胞
外マトリックスタンパク質のホモログまたはフラグメント)に結合し得る、ポリ
ペプチドあるいはそのホモログまたはフラグメントをいうが、VLA−4に対す
る他のリガンドが存在し得そして従来の方法を使用して分析され得ることが、当
業者に理解される。にもかかわらず、α4サブユニットは、β1に加え、他のβ
サブユニットと会合することが公知であり、その結果、本発明者らは、用語「α
4インテグリン」を、そのα4サブユニットが1つまたは別のβサブユニットと
会合するインテグリンと定義し得る。「α4」インテグリンの例は、α4β7で
ある(R.LobbおよびM.Hemler,J.Clin.Invest.,
94:1722−1728(1994))。本明細書中で使用される場合、用語
「インテグリン」は、VLA−1および/またはVLA−4、ならびにβ1、β
7または任意のβサブユニットを含むインテグリンを意味する。
【0016】 インテグリン「アンタゴニスト」としては、インテグリンがインテグリンのリ
ガンドおよび/またはレセプターと結合するのを阻害する任意の化合物が挙げら
れる。抗インテグリン抗体または抗体ホモログ含有タンパク質(以下に議論する
)、ならびにインテグリンに対するリガンドタンパク質の可溶性形態のような他
の分子が、有用である。インテグリンに対するリガンドタンパク質の可溶性形態
としては、可溶性VCAM−1またはコラーゲンペプチド、VCAM−1融合タ
ンパク質、あるいは二官能性VCAM−1Ig融合タンパク質が挙げられる。例
えば、インテグリンリガンドまたはそのフラグメントの可溶性形態は投与されて
、インテグリンに結合し得、そして好ましくは細胞のインテグリン結合部位につ
いて競合し得、これによって、抗インテグリン(例えば、VLA−1Iおよび/
またはVLA−4)抗体のようなアンタゴニストの投与と類似の効果を誘導する
。特に、リガンドを結合するがインテグリン依存性シグナル伝達を誘発しない可
溶性インテグリン変異体は、本発明の範囲に含まれる。このようなインテグリン
変異体は、野生型インテグリンタンパク質の競合的インヒビターとして作用し得
、「アンタゴニスト」とみなされる。本発明の方法において使用される他のアン
タゴニストは、以下に定義するような「低分子」である。1より多いインテグリ
ンの作用を拮抗する分子(例えば、α4インテグリン(例えば、VLA−4)お
よびVLA−1の両方またはインテグリンの他の組み合わせを拮抗する、低分子
または抗体ホモログ)を使用する方法もまた、本発明に含まれる。分子の組み合
わせを使用して、その結果、その組み合わせが、1より多いインテグリンの作用
を拮抗する、方法(例えば、組み合わせにおいて、α4インテグリン(例えば、
VLA−4)およびVLA−1の両方または他のインテグリンの組み合わせを拮
抗するいくつかの低分子または抗体ホモログを使用する方法)もまた、本発明に
含まれる。
【0017】 本明細書中で議論されるように、特定のインテグリンアンタゴニストは、例え
ば、免疫グロブリンまたはそのフラグメントのような抗体ホモログに融合され得
るか、さもなければ結合体化され得、そしてこれらは、インテグリンまたはリガ
ンドあるいは他の分子の特定の型または構造に限定されない。従って、本発明の
目的のために、融合タンパク質(以下に定義するような)を形成し得かつインテ
グリンリガンドに結合し得、そしてVLA−1および/またはα4(例えば、V
LA−4)インテグリンを効果的にブロックまたはコートする任意の因子が、本
明細書中の実施例において使用されるアンタゴニストの等価物であるとみなされ
る。
【0018】 「抗体ホモログ」としては、ジスルフィド結合を介して連結される免疫グロブ
リン軽鎖および重鎖からなるインタクトな抗体が挙げられる。用語「抗体ホモロ
グ」はまた、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、および1以上の抗原(
すなわち、インテグリンまたはインテグリンリガンド)に結合可能なそれらの抗
原結合フラグメントから選択される、1以上のポリペプチドを含むタンパク質を
包含することが意図される。1より多いポリペプチドから構成される抗体ホモロ
グの成分ポリペプチドは、必要に応じてジスルフィド結合され得るか、さもなけ
れば共有結合的に架橋され得る。従って、「抗体ホモログ」は、IgA、IgG
、IgE、IgD、IgM型(ならびにそれらのサブタイプ)のインタクトな免
疫グロブリンを含み、ここで、免疫グロブリンの軽鎖は、κ型またはλ型の軽鎖
である。「抗体ホモログ」はまた、抗原結合特異性を保持するインタクトな抗体
の部分(例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2
フラグメント、F(v)フラグメント、重鎖および軽鎖のモノマーまたはダイマ
ーあるいはそれらの混合物)を含む。
【0019】 「ヒト化抗体ホモログ」は、組換えDNA技術によって産生される抗体ホモロ
グであり、ここで、抗原結合に必要とされるヒト免疫グロブリンの軽鎖または重
鎖のアミノ酸のいくつかまたは全てが、非ヒト哺乳動物免疫グロブリン軽鎖また
は重鎖由来の対応するアミノ酸で置換されている。
【0020】 本明細書中で使用される場合、「ヒト抗体ホモログ」は、組換えDNA技術に
よって産生された抗体ホモログであり、ここで、免疫グロブリン軽鎖または重鎖
のアミノ酸の全てが、(このようなアミノ酸が抗原結合に必要か否かに関わらず
)ヒト供給源に由来する。
【0021】 インテグリン「アゴニスト」は、インテグリンリガンドを活性化する任意の化
合物を含む。
【0022】 「アミノ酸」は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のモノマー単位で
ある。天然に存在するペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質には、20のア
ミノ酸が見い出され、これらは全て、L−異性体である。この用語はまた、これ
らのアミノ酸のアナログならびにこれらのタンパク質アミノ酸のD−異性体およ
びそれらのアナログを含む。
【0023】 用語「アンタゴニスト生物学的活性」とは、本発明のアンタゴニストあるいは
それらの機能的等価物または改変体が、慢性腎不全の標準的な動物モデルにおけ
る腎機能の進行的損失を有意に予防、阻害、遅延または軽減し得るか、または慢
性腎不全であるかまたはその危険性のある哺乳動物に投与された場合に腎機能の
標準マーカーにおける臨床的に有意な改善を生じ得ることを意味する。
【0024】 「ブロードキャスト」とは、遠位の曲尿細管または集合尿細管の管腔のモール
ドまたはキャストを代表的に表す凝集した材料の筒状の塊である尿中に存在し得
る形成されたエレメントをいう。しかし、CRF被験体において、細管の肥大は
、正常キャストの直径の2〜6倍大きく、そしてしばしば均一な蝋状の概観を有
する「ブロードキャスト」または「腎不全キャスト」の存在を生じ得る。形成さ
れたエレメントの存在についての尿沈渣の顕微鏡検査は、尿検査における標準的
な手順である。
【0025】 「バイオアベイラビリティー」とは、投与後に身体によって吸収される化合物
の能力をいう。例えば、もし第一の化合物および第二の化合物の両者が等量で投
与され、第一の化合物が第二の化合物よりも大きな程度に血液中に吸収される場
合は、第一の化合物は、第2の化合物より大きいバイオアベイラビリティーを有
する。
【0026】 「慢性」とは、少なくとも3ヶ月、そしてより好ましくは、少なくとも6ヶ月
の期間、持続することを意味する。したがって、例えば、慢性的に、予期される
GFRの50%を下回る測定されたGFRを有する被験体は、GFRが測定され
、そして少なくとも3ヶ月、そしてより好ましくは、少なくとも6ヶ月隔たった
少なくとも2回の測定において予期されるGFRの50%を下回ることが見出さ
れた被験体であり、そしてその患者についてGFRが、介在する期間の間におい
て実質的により高い(例えば、10%)と考えられる医学的に納得できる理由が
存在しない患者である。当業者は、動物モデルに関して、用語「慢性」は、動物
モデルのタイプに依存する種々の異なる期間を意味することを理解する。
【0027】 「共有結合」とは、本発明の特定された部分(例えば、免疫グロブリンフラグ
メント/インテグリンアンタゴニスト)は、直接互いに共有結合するか、または
間接的に介在する部分(単数または複数)(例えば、架橋、スペーサー、または
連結部分(単数または複数))を介して互いに共有結合により結び付けられてい
るかのいずれかであることを意味する。介在する部分(単数または複数)は、「
結合基」と呼ばれる。用語「結合体化」は、「共有結合した」と互換的に使用さ
れる。
【0028】 「発現制御配列」は、その遺伝子に作動可能に結合された場合に、遺伝子の発
現を制御および調節するポリヌクレオチドの配列である。
【0029】 「発現ベクター」は、発現ベクターが、宿主細胞中に導入された場合、少なく
とも1つの遺伝子の発現を可能にするDNAプラスミドまたはファージ(一般的
な例のなかでもとりわけ)のようなポリヌクレオチドである。そのベクターは、
細胞において複製することが可能かもしれないし、可能でないかもしれない。
【0030】 句「細胞外シグナリングタンパク質」は、細胞から分泌されたか、細胞膜に結
合したかのいずれかであり、そして標的細胞上のそのタンパク質に対するレセプ
ターへの結合の際に、標的細胞における応答を誘発する任意のタンパク質を意味
する。
【0031】 本発明の薬剤の「有効量」は、処置されている特定の条件に対する影響を生じ
るかまたは発揮する量である。
【0032】 アミノ酸残基の「機能的等価物」は、(i)機能的等価物によって置換された
アミノ酸残基と類似の反応性特性を有するアミノ酸;(ii)本発明のアンタゴ
ニストのアミノ酸であって、機能的等価物によって置換されたアミノ酸残基と類
似の特性を有するアミノ酸;(iii)機能的等価物によって置換されるアミノ
酸残基と類似の特性を有する非アミノ酸分子である。本発明のタンパク質性のア
ンタゴニストをコードする第一のポリヌクレオチドは、それが少なくとも1つの
以下の条件を満たす場合、アンタゴニストタンパク質をコードする第二のポリヌ
クレオチドと比較して、「機能的等価物」である:1.「機能的等価物」は、標
準的なハイブリダイゼーション条件下で第二のポリヌクレオチドにハイブリダイ
ズし、および/または第一のポリヌクレオチド配列に対して縮重である第一のポ
リヌクレオチドである。最も好ましくは、それは、インテグリンアンタゴニスト
タンパク質の活性を有する変異体タンパク質をコードする;2.その「機能的等
価物」は、第二のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列の発現を
コードする第一のポリヌクレオチドである。
【0033】 本発明において使用されるインテグリンアンタゴニストには、本明細書に列挙
される薬剤ならびにそれらの機能的等価物が含まれるが、これらに限定されない
。本明細書において使用される場合、したがって、用語「機能的等価物」は、イ
ンテグリンアンタゴニスト、またはレシピエントに対して、機能的等価物である
と推定されるインテグリンアンタゴニストと同じかもしくは改善された有益な効
果を有するインテグリンアンタゴニストをコードするポリヌクレオチドをいう。
当業者により理解されるように、機能的に等価なタンパク質は、例えば、「機能
的に等価なDNA」を発現することによるような、組換え技術によって産生され
得る。したがって、本発明は、天然に存在するDNAによってコードされる、な
らびに天然に存在しないDNA(天然に存在するDNAによってコードされるタ
ンパク質と同一のものをコードする)によってコードされるインテグリンタンパ
ク質を包含する。ヌクレオチドコード配列の縮重に起因して、他のポリヌクレオ
チドは、インテグリンタンパク質をコードするために使用され得る。これらには
、その配列内で同じアミノ酸残基をコードし、したがって、サイレント変異を生
成する異なるコドンの置換によって変更された上記の配列の全てかまたは一部が
含まれる。このような変更された配列は、これらの配列に等価であると考えられ
る。例えば、Phe(F)は、2つのコドン、TTCまたはTTTによってコー
ドされ、Tyr(Y)は、TACまたはTATによってコードされ、そしてHi
s(H)は、CACまたはCATによってコードされる。他方、Trp(W)は
、単一のコドンTGGによってコードされる。したがって、特定のインテグリン
をコードする所定のDNA配列について、それをコードする多くのDNA縮重配
列が存在することが理解される。これらの縮重DNA配列は、本発明の範囲内に
あると考えられる。
【0034】 用語「融合」または「融合タンパク質」は、2つ以上のタンパク質またはその
フラグメントの、それらの個々のペプチド骨格を介しての、最も好ましくは、こ
れらのタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子の遺伝子発現を介しての同
一直線上の共有結合をいう。タンパク質またはそのフラグメントは、異なる供給
源に由来し、それによりこのタイプの融合タンパク質が、「キメラ」分子と呼ば
れることが好ましい。したがって、好ましい融合タンパク質は、インテグリンア
ンタゴニストではない第二の部分に共有結合したインテグリンアンタゴニストま
たはフラグメントを含むキメラタンパク質である。本発明の好ましい融合タンパ
ク質には、抗原結合特異性を保持するインタクトな抗体の部分、例えば、Fab
フラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(v)
フラグメント、重鎖モノマーもしくはダイマー、軽鎖モノマーもしくはダイマー
、1つの重鎖および1つの軽鎖からなるダイマーなどが含まれ得る。
【0035】 最も好ましい融合タンパク質は、キメラであり、融合されたか、またはそうで
なければ、免疫グロブリン軽鎖、重鎖、もしくはその両方のヒンジまたは定常領
域の全部または一部に結合したインテグリンアンタゴニスト部分を含む。したが
って、本発明は、以下を含む分子を特徴とする:(1)インテグリンアンタゴニ
スト部分、(2)第二のペプチド(例えば、インテグリンアンタゴニスト部分の
可溶性またはインビボでの寿命を増大するもの、例えば、免疫グロブリンスーパ
ーファミリーのメンバーまたはそのフラグメントもしくは部分、例えば、IgG
の部分またはフラグメント、例えば、ヒトIgG重鎖定常領域、例えば、CH2
、CH3、およびヒンジ領域)。具体的には、「インテグリンアンタゴニスト/
Ig融合」は、免疫グロブリン鎖のN−末端に結合した本発明の生物学的に活性
なインテグリンアンタゴニスト分子(例えば、可溶性VLA−4リガンド、また
はその生物学的に活性なフラグメント)を含むタンパク質である。ここで、その
免疫グロブリンのそのN末端の一部は、インテグリンアンタゴニストと置換され
る。インテグリンアンタゴニスト/Ig融合の種は、免疫グロブリンの定常ドメ
インの少なくとも1部に連結した本発明のインテグリンアンタゴニストを含むタ
ンパク質である「インテグリン/Fc融合」である。好ましいFc融合は、重鎖
免疫グロブリン鎖のC末端ドメインを含有する抗体のフラグメントに結合した本
発明のインテグリンアンタゴニストを含む。
【0036】 用語「融合タンパク質」はまた、インテグリンアンタゴニスト(「キメラ」分
子を生じる)ではなく、そして以下に記載のように精製されたタンパク質から新
規に作製された第二の部分に、モノまたはヘテロの機能的分子を介して化学的に
連結したインテグリンアンタゴニストを意味する。したがって、融合タンパク質
である化学的に結合した(組換え的に結合したものに対比して)キメラ分子の1
つの例は、以下を含み得る:(1)VLA−4保有細胞の表面上のα4インテグ
リンサブユニット標的化部分(例えば、VLA−4に結合し得るVCAM−1部
分);(2)標的化部分の可溶性およびインビボ寿命を増大する第二の分子(例
えば、ポリエチレングリコール(PEG)のようなポリアルキレングリコールポ
リマー))。α4標的化部分は、任意の天然に存在するα4リガンドまたはその
フラグメント(例えば、VCAM−1ペプチドまたは類似の保存的に置換された
アミノ酸配列)であり得る。
【0037】 「異種プロモーター」とは、本明細書で使用される場合、遺伝子もしくは精製
された核酸とは天然には結合しないプロモーターである。
【0038】 「相同性」とは、本明細書で使用される場合、用語「同一性」と同義であり、
そして2つのポリペプチド、分子間、または2つの核酸間の配列類似性をいう。
2つの比較された配列の両方における位置が、同じ塩基またはアミノ酸モノマー
サブユニットによって占有されている場合(例えば、2つのDNA分子のおのお
のにおける位置がアデニンによって占有されている場合、または2つのポリペプ
チドのおのおのにおける位置が、リジンによって占有されている場合)、それぞ
れの分子は、その位置で相同である。2つの配列間のパーセント相同性は、2つ
の配列によって共有される整合するかまたは相同な位置の数を、比較される位置
の数によって除算し、100を掛けたものの関数である。例えば、2つの配列に
おける10の位置のうちの6が整合するか、または相同である場合、2つの配列
は、60%相同である。例示として、DNA配列CTGACTおよびCAGGT
Tは、50%の相同性を共有する(6の総位置のうちの3が整合する)。一般的
に、2つの配列が、最大の相同性を生じるようにアラインされた場合に比較がな
される。このようなアラインメントは、例えば、以下により詳述に記載するKa
rlinおよびAltschulの方法を使用して提供され得る。
【0039】 相同な配列は、類似の残基が、アラインされた参照配列における対応するアミ
ノ酸残基の保存的置換であるか、または「許容された点変異」である場合、同一
または類似のアミノ酸残基を共有する。この点において、参照配列中の残基の「
保存された置換」は、例えば、類似のサイズ、形状、電荷、化学的特性(共有結
合または水素結合などを形成する能力を含む)を有する対応する参照残基に物理
的にかまたは機能的に類似の置換である。特に好ましい保存的置換は、Dayh
offら、5:Atlas of Protein Sequence and
Structure,5:Suppl.3,chapter 22:354−
352,Nat.Biomed.Res.Foundation,Washin
gton,D.C.(1978)における「受容される点変異」について規定さ
れる基準を満たすものである。「相同性」および「同一性」は、本明細書におい
て互換的であり、そして各々は、2つのポリペプチド配列間の配列類似性のこと
をいう。相同性および同一性は、比較の目的でアラインされ得る各配列における
位置を比較することによって決定され得る。比較される配列における位置が同じ
アミノ酸残基によって占有される場合、そのポリペプチドは、その位置で同一で
あると言われ得る;その等価な部位が同じアミノ酸(例えば、同一)か、または
類似のアミノ酸(例えば、立体および/または電気的性質において類似)によっ
て占有される場合、その分子は、その位置で相同であると言われ得る。配列間の
相同性または同一性のパーセントは、配列によって共有される整合するかまたは
相同な位置の数の関数である。「関連しない」または「非相同な」配列は、本発
明の配列と、40パーセント未満の同一性を共有し、好ましくは、25パーセン
ト未満の同一性を共有する。
【0040】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の「パーセント相同性」は、Kar
linおよびAltschul(Proc.Nat.Acad.Sci.,US
A 90:5873(1993))で改変されたKarlinおよびAltsc
hul(Proc.Nat.Acad.Sci.,USA 87:2264(1
990))のアラインメントアルゴリズムを使用して決定される。このようなア
ルゴリズムは、Altschulら(J.Mol.Biol.215:403(
1990))のNBLASTまたはXBLASTプログラムに組み込まれている
。本発明の核酸と相同なヌクレオチド配列を入手するためには、BLAST検索
は、NBLASTプログラム(スコア=100、ワード長=12)を用いて実行
される。参照ポリペプチドと相同なアミノ酸配列を入手するためには、BLAS
Tタンパク質検索は、XBLASTプログラム(スコア=50、ワード長=3)
を用いて実行される。比較のためにギャップを有するアラインメントを得るため
には、Altschulら(Nucleic Acids Res.,25:3
389(1997))に記載されるギャップド(gapped)BLASTが使
用される。BLASTおよびギャップドBLASTを使用する場合、それぞれの
プログラム(XBLASTおよびNBLAST)の初期値パラメータが使用され
る(http://www/ncbi.nlm.nih.govを参照)。
【0041】 「単離された」(「実質的に純粋な」と互換的に使用される)は、核酸(すな
わち、インテグリンアンタゴニストをコードするポリヌクレオチド配列)に適用
される場合、その起源または操作により、(i)天然では結合しているポリヌク
レオチド(例えば、発現ベクターまたはその部分として宿主細胞中に存在する)
と全く結合していないか、または(ii)天然では連結している核酸または他の
化学的部分以外の核酸または他の化学部分に連結しているか、または(iii)
天然では生じない、RNAまたはDNAポリヌクレオチド、ゲノムポリヌクレオ
チドの部分、cDNAまたは合成ポリヌクレオチドを意味する。「単離された」
はさらに、(i)例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、インビトロで
増幅されたか、(ii)化学的に合成されたか、(iii)クローニングにより
組換え産生されたか、または(iv)(例えば切断およびゲル分離により)精製
された、ポリヌクレオチド配列を意味する。
【0042】 「単離された」(「実質的に純粋な」と互換的に使用される)は、ポリペプチ
ドに適用される場合、その起源または操作により、(i)発現ベクターの部分の
発現産物として宿主細胞中に存在するか、または(ii)天然では連結している
タンパク質または他の化学的部分以外のタンパク質または他の化学的部分に連結
しているか、または(iii)天然で生じない(例えば、少なくとも1つの疎水
性部分を追加または付加することにより化学的に操作され、その結果、天然で見
出されない形態で存在するタンパク質)、ポリペプチドまたはその部分を意味す
る。「単離された」はさらに、(i)化学的に合成されたか、または(ii)宿
主細胞において発現され、そして結合タンパク質および混入タンパク質から精製
された、タンパク質を意味する。この用語は一般に、天然では共に生じる他のタ
ンパク質および核酸から分離されたポリペプチドを意味する。好ましくは、ポリ
ペプチドはまた、そのポリペプチドを精製するために使用される、抗体またはゲ
ルマトリクス(ポリアクリルアミド)のような物質から分離されている。
【0043】 「多価タンパク質複合体」は、複数のインテグリンアンタゴニスト(すなわち
、1またはそれ以上)をいう。例えば、抗インテグリン抗体ホモログまたはフラ
グメントが、別の抗体ホモログまたはフラグメントに架橋または結合されていて
もよい。それぞれのタンパク質は同じであっても異なってもよく、それぞれの抗
体ホモログまたはフラグメントは同じであっても異なってもよい。
【0044】 「変異体」は生物の遺伝物質の任意の変化、特に、野生型ポリヌクレオチド配
列における任意の変化(すなわち、欠失、置換、付加、または変更)または野生
型タンパク質における任意の変化である。用語「ムテイン」は「変異体」と互換
的に使用される。
【0045】 「作動可能に連結された」−発現制御配列が、ポリヌクレオチド配列(DNA
、RNA)の転写および翻訳を制御および調節する場合、そのポリヌクレオチド
配列は、その発現制御配列に作動可能に連結されている。用語「作動可能に連結
された」は、発現されるべきポリヌクレオチド配列の前に適切な開始シグナル(
例えば、ATG)を有し、そして正確なリーディングフレームを維持して発現制
御配列の制御下でのそのポリヌクレオチド配列の発現およびそのポリヌクレオチ
ド配列によってコードされる所望のポリペプチドの産生を可能にすることを包含
する。
【0046】 「タンパク質」は、20アミノ酸の任意のものから本質的になる任意のポリマ
ーである。「ポリペプチド」はしばしば比較的大きなポリペプチドをいうときに
使用され、そして「ペプチド」は小さなポリペプチドをいうときにしばしば使用
されるが、当該分野におけるこれらの用語の用法は重複しており、そして変化す
る。用語「タンパク質」は、本明細書中で使用される場合、そうでないと明記さ
れない限り、ペプチド、タンパク質およびポリペプチドをいう。用語「ペプチド
」、「タンパク質」および「ポリペプチド」は本明細書中で互換的に使用される
【0047】 用語「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」もまた本明細書に
おいて互換的に使用される。
【0048】 「組換え体」は、本明細書中で使用される場合、タンパク質が組換え発現系か
ら誘導されたことを意味する。インテグリンはグリコシル化もされず、ジスルフ
ィド結合も含まないので、ほとんどの原核生物および真核生物の発現系において
発現され得る。
【0049】 「小分子」はIIA2節と同様な定義を有する。
【0050】 「スペーサー」配列は、抗体ホモログまたはフラグメントで改変されるアミノ
酸と、そのタンパク質の残りの部分との間に挿入され得る部分をいう。スペーサ
ーは、その改変とタンパク質の残りの部分との間の分離を提供し、その結果、そ
の改変がタンパク質機能を妨げるのを防ぎ、そして/またはその改変が抗体ホモ
ログ部分または他の任意の部分と連結されるのを容易にするように設計される。
【0051】 「実質的に純粋な核酸」は、その核酸が由来する生物の天然に存在するゲノム
においてその核酸と通常連続しているコード配列の一方または両方と直接連続し
ていない核酸である。実質的に純粋なDNAはまた、さらなるインテグリン配列
をコードするハイブリッド遺伝子の部分である組換えDNAを含む。
【0052】 句「表面アミノ酸」は、タンパク質がネイティブな形態に折り畳まれたとき、
溶媒に曝される任意のアミノ酸を意味する。
【0053】 「ハイブリダイゼーション条件」は一般に、ハイブリダイゼーションおよび洗
浄の両方について、0.5×SSC〜ほぼ5×SSCで65℃に実質的に等価な
塩および温度の条件を意味する。したがって、用語「標準的なハイブリダイゼー
ション条件」は、本明細書中で使用される場合、操作上の定義であり、ある範囲
のハイブリダイゼーション条件を包含する。にもかかわらず、「高ストリンジェ
ンシー」条件はプラークスクリーン緩衝液(0.2%ポリビニルピロリドン、0
.2%Ficoll 400;0.2%ウシ血清アルブミン、50mM Tri
s−HCl(pH7.5);1M NaCl;0.1%ピロリン酸ナトリウム;
1%SDS);10%デキストラン硫酸、および100μg/mlの超音波処理
した変性サケ精子DNAとの65℃にて12〜20時間のハイブリダイゼーショ
ン、および75mM NaCl/7.5mMクエン酸ナトリウム(0.5×SS
C)/1%SDSでの65℃にての洗浄を含む。「低ストリンジェンシー」条件
は、プラークスクリーン緩衝液、10%デキストラン硫酸および110μg/m
lの超音波処理した変性サケ精子DNAとの55℃にて12〜20時間のハイブ
リダイゼーション、および300mM NaCl/30mMクエン酸ナトリウム
(2.0×SSC)/1%SDSでの55℃にての洗浄を含む(Current
Protocols in Molecular Biology,John
Wiley & Sons,Inc.New York,6.3.1節〜6.
3.6節(1989)もまた参照)。
【0054】 「慢性腎不全の被験体またはその危険のある被検体」はまた、その被検体がヒ
ト患者であり、そして機能するネフロン単位の進行性喪失に関連する腎機能の進
行性喪失を患っていると合理的に予想される場合、腎臓代償療法(すなわち、慢
性血液透析、連続腹膜透析、または腎臓移植)を必要とする危険にあり得る。特
定の動物モデルまたは臨床試験の特定の被検体が、慢性腎不全であるかまたはそ
の危険にあるかどうかは、関連する医学または獣医学の分野における当業者によ
って慣用的に行われ得る決定である。慢性腎不全であるかまたはその危険にある
(または腎臓代償療法を必要とする危険にある)被検体には、以下が含まれるが
それらに限定されない:慢性腎不全、末期腎臓疾患、慢性糖尿病性腎症、高血圧
性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、遺伝性腎炎、および/または腎形成異常に冒され
たとみなされ得る被検体;糸球体肥大、尿細管肥大、慢性糸球体硬化症および/
または慢性尿細管間質性硬化症を示すバイオプシーを有する被検体;腎線維症ま
たは正常な腎臓より小さな腎臓を示す超音波、MRI、CATスキャン、または
他の非侵襲的検査を有する被検体。CRFであるかまたはその危険にある被検体
のさらなる指標は、当業者に周知である。例えば、以下の全てが、被検体がCR
Fであるかその危険にあるかどうかを決定するための基準であり得る:尿沈渣中
に存在する異常な数の幅の広い円柱を有する被検体;その被検体について予想さ
れるGFRの慢性的に約50%未満(より特別には、約40%、30%、または
20%未満)であるGFRを有する被検体;少なくとも約50kgの体重であり
、そして慢性的に約50ml/分未満(より特別には、約40ml/分、30m
l/分または20ml/分未満)であるGFRを有するヒト男性被検体;少なく
とも約40kgの体重であり、そして慢性的に約40ml/分未満(より特別に
は、約30ml/分、20ml/分または10ml/分未満)であるGFRを有
するヒト女性被検体;健常であるがその他は同様な被検体が有する機能的ネフロ
ン単位の数の約50%未満(より特別には、約40%、30%、または20%未
満)である数の機能的なネフロン単位を有する被検体;腎臓を1だけ有する被検
体;および腎臓移植のレシピエントである被検体。
【0055】 「治療組成物」は、本明細書中で使用される場合、本発明のタンパク質および
他の生物学的に適合性の成分を含むと定義される。治療組成物は、水、ミネラル
、およびキャリア(例えば、タンパク質)のような賦形剤を含み得る。
【0056】 ある量の本発明のアンタゴニストの投与が、慢性腎不全であるかまたはその危
険にある被検体(例えば、動物モデルまたはヒト患者)に投与されるとき、腎機
能の標準的なマーカーの臨床的に有意な改善を引き起こすに十分である場合、そ
のアンタゴニストは「治療効力」を有すると呼ばれ、その量は「治療的に有効」
であると呼ばれる。腎機能のこのようなマーカーは医学文献において周知であり
、そしてBUNレベルの増加率、血清クレアチニンの増加率、BUNの静的測定
値、血清クレアチニンの静的測定値、糸球体濾過速度(GFR)、BUN/クレ
アチニン比、ナトリウム(Na+)の血清濃度、クレアチニンの尿/血漿比、尿
素の尿/血漿比、尿の重量オスモル濃度、日々の尿量などを含むがこれらに限定
されない(例えば、Harrison’s Principles of In
ternal Medicine,第13版、Isselbacherら編、M
cGraw Hill Text,New York中のBrennerおよび
Lazarus(1994);Internal Medicine,第4版、
J.H.Stein編、Mosby−Year Book,Inc.St.Lo
uis中のLukeおよびStrom(1994)を参照)。
【0057】 糸球体濾過速度(GFR):「糸球体濾過速度」または「GFR」は、血清タ
ンパク質に結合されておらず、糸球体を横切って自由に濾過され、そして腎細管
によって分泌も再吸収もされない血漿保持物質の尿中へのクリアランス速度に比
例する。したがって、本明細書中で使用される場合、GFRは好ましくは以下の
等式によって定義される: Uconc×V GFR=−−−−−− Pconc ここで、はマーカーの尿中濃度であり、Pconcはそのマーカーの血漿濃度であり
、そしてVは尿の流速(ml/分)である。必要であれば、GFRは体表面積に
ついて較正される。したがって、本明細書中で使用されるGFR値はml/分/
1.73m2の単位であるとみなされ得る。
【0058】 GFRの好ましい尺度はイヌリンクリアランスであるが、この物質の濃度を測
定することは困難であるので、クレアチニンクリアランスが臨床設定では代表的
に使用される。例えば、平均サイズの健常ヒト男性(70kg、20〜40才)
については、クレアチニンクリアランスにより測定される代表的なGFRは、お
よそ125ml/分(クレアチニンの血漿濃度0.7〜1.5mg/dL)であ
ると予想される。比較できる平均サイズの女性については、クレアチニンクリア
ランスにより測定される代表的なGFRは、およそ115ml/分(クレアチニ
ンレベル0.5〜1.3mg/dL)であると予想される。良好な健康状態の間
、ヒトGFR値は約40才まで比較的安定であり、代表的には約40才からGF
Rは年齢とともに低下し始める。85才または90才まで生存している被検体に
ついては、GFRは40才の値の50%まで減少し得る。
【0059】 (予想された糸球体濾過率(GFRexp)) 「予想されたGFR」または「GFRexp」の予測は、被験体の年齢、体重
、性別、体表面積、および筋肉系の程度、ならびに血液検査により判定されるい
くつかのマーカー化合物の血漿濃度(例えば、クレアチニン)の考慮に基づき提
供され得る。したがって、例として、予想されるGFRまたはGFRexpは、
以下のとおり見積もられ得る: (140−年齢)×体重(kg) GFRexp≒−−−−−−−−−−−−−−− 72xPconc(mg/dl) この見積もりは、表面積、筋肉系の程度または体脂肪率のような因子を考慮し
ていない。しかし、血漿クレアチニンレベルをマーカーとして使用することによ
って、この公式は、GFRを見積もる安価な手段としてヒト雄性について使用さ
れてきた。クレアチニンは、黄紋筋によって生成されることから、ヒト雌性被験
体の予想されるGFRまたはGFRexpは、筋肉質量における予想される相違
について考慮する0.85を乗じて同じ等式により見積もられる (Leman
n,et al.(1990)Am.J.Kidney Dis.16(3):
236−243を参照のこと)。
【0060】 「野生型」とは、それがインビボで正常に存在するときの、それぞれ、タンパ
ク質、タンパク質の部分、またはタンパク質配列、またはその部分のエキソンの
天然に存在するポリヌクレオチド配列である。
【0061】 本発明の実施は、そうではないと指示しない限り、細胞生物学、細胞培養、分
子生物学、微生物学、組換えDNA、タンパク質化学、および免疫学の従来の技
術を使用する。これらは、当該分野の技術範囲内にある。そのような技術は、文
献に記載されている。そうではないと説明しない限り、発明の詳細な説明におい
て引用されたすべての参考文献は、本明細書において参考として援用される。
【0062】 (好ましい実施形態の説明) (概説) 本発明は、部分的に、急性腎不全であるかまたはその危険にある被験体に対す
る特定のインテグリンアンタゴニストの効力が慢性腎不全における効力を予測さ
せないという発見に一部基づく。本発明者らは、これらの知見を実施例において
まとめる。さらに、本発明者らは、特定のインテグリンアンタゴニストが、死亡
率および/または罹患率を減少させ得、そして/あるいは慢性腎不全を特徴付け
る腎臓機能の進行性の喪失を予防、妨害、遅延または緩和し得ることを見出した
。手短には、本発明者らは、2相(10日間続く免疫媒介性腎臓炎症(急性半月
形糸球体腎炎)の第一相、続いて約40日目のCRFから死亡まで続く、進行性
糸球体硬化症が伴う二次細管腸管腎炎相)を有する腎臓疾患の動物モデルを開発
した。本発明者らは、TGFβ(これは、CRFにおいて線維症の公知のメディ
エーターであり、そしてこのモデルでは11日目以降に発現される)。は、急性
相の間はこの動物も出るにおいて効力がなかったが、慢性相においては有効であ
った。本発明者らは、抗VLA−1抗体を用いて、急性相と慢性相との間に類似
の非共役を見出した。従って、両方の相において効力を有するα4インテグリン
に対するアンタゴニストを見出すことは予測されない。
【0063】 (A.インテグリンアンタゴニスト) 本発明の目的のために、インテグリンアンタゴニストは、インテグリンとその
同族リガンドもしくはレセプターとの間の任意の相互作用のアンタゴニストであ
り得る。インテグリンアンタゴニストの1つの好ましい実施形態は、α4インテ
グリンとそのリガンドとの相互作用のアンタゴニストである(例えば、VCAM
−1/VLA−4の相互作用またはMadCAM/α4β7の相互作用(Lob
b and Hemler,前出を参照のこと)。これは、VCAM−1および
/またはVLA−4に媒介される結合を阻害もしくは媒介し得るか、または他の
方法でVCAM−1および/またはVLA−4機能を調節し得(例えば、VLA
−4リガンドに媒介されるVLA−4シグナル伝達またはVCAM−1リガンド
媒介されるVCAM1シグナル伝達を阻害もしくはブロックすることによる)、
そして慢性腎不全の処置において(好ましくは、抗VLA−4抗体と同じ様式で
)有効である因子(例えば、ポリペプチドまたは他の分子)である。同様に、こ
れは、MadCAMおよび/もしくはα4β7媒介される結合を阻害もしくはブ
ロックし得るか、または他の方法でMadCAMおよび/もしくはα4β7機能
を調節し得(例えば、α4β7リガンド媒介されるα4β7シグナル伝達または
MadCAMリガンドを阻害もしくはブロックすることによる)、そして慢性腎
不全の処置において有効である因子(例えば、ポリペプチドまたは他の分子)で
ある。
【0064】 例えば、VCAM−1/VLA−4の相互作用のアンタゴニストは、以下の特
性の1つ以上を有する因子である:(1)それは、VLA−4を有する細胞(す
なわち、リンパ球)の表面上のVLA−4を、VLA−4リガンド/VLA−4
の相互作用(例えば、VCAM−1/VLA−4相互作用)に対して十分な特異
性をもってコーティングするかまたはそれに結合する;(2)それは、VLA−
4を有する細胞(すなわち、リンパ球)の表面上のVLA−4を、VLA−4に
媒介されるシグナルの伝達(例えば、VCAM−1/VLA−4に媒介されるシ
グナル伝達)を改変(好ましくは、阻害する)に十分な特異性をもってコーティ
ングするかまたはそれに結合する;(3)それは、VLA−4/VCAM−1の
相互作用を阻害するに十分な特異性をもって、内皮細胞におけるVLA−4リガ
ンド(例えば、VCAM−1)をコーティングするかまたはそれに結合する;(
4)それは、VLA−4リガンド媒介されたVLA−4シグナル伝達の伝達(例
えば、VCAM−1媒介されたVLA−4シグナル伝達)を改変(好ましくは、
阻害)するに十分な特異性を伴ってVLA−4リガンド(例えば、VCAM−1
)をコーティングするか、またはそれに結合する。好ましい実施形態において、
そのアンタゴニストは、特定1および2の一方または両方を有する。他の好まし
い実施形態において、そのアンタゴニストは、特性3および4の一方または両方
を有する。さらに、1を超えるアンタゴニストは、患者に投与され得る(例えば
、VLA−4に結合する因子は、VCAM−1に結合する因子と組合され得る)
【0065】 本明細書において考察されるように、本発明の方法において使用されるアンタ
ゴニストは、特定の型または構造の分子に限定されることはなく、その結果、本
発明の目的について、細胞の表面上のα4インテグリンに、またはα4リガンド
保有細胞の表面上のVCAM−1またはMadCAMのようなアルファ4リガン
ドに結合し得、そしてα4インテグリン(例えば、VLA−4またはα4β7)
もしくはα4リガンド(例えば、それぞれVCAM−1もしくはMadCAM)
を有効にブロックまたはコーティングする任意の因子(それぞれ、「α4インテ
グリン結合因子」および「α4インテグリンリガンド結合因子」)は、本明細書
中の実施例において使用されるアンタゴニストの等価物であるとみなされる。
【0066】 例えば、抗体または抗体ホモログ(上記に考察される)、ならびにVLA−4
およびVCAM−1についての可溶性形態の天然の結合タンパク質が有用である
。VLA−4についての可溶性形態の天然の結合タンパク質は、可溶性VCAM
−1ペプチド、VCAM−1融合タンパク質、二機能性VCAM−1/Ig融合
タンパク質(例えば、「キメラ」分子、上記に考察される)、フィブロネクチン
、代替的スプライスされる非III型結合セグメントを有するフィブロネクチン
、およびアミノ酸配列EILDVまたは類似の保存的置換されたアミノ酸配列を
含むフィブロネクチンを包含する。VCAM−1についての可溶性形態の天然の
タンパク質は、可溶性VLA−4ペプチド、VLA−4融合タンパク質、二機能
性VLA−4/Ig融合タンパク質などを含む。本明細書において使用されるよ
うに、「可溶性VLA−4ペプチド」または「可溶性VCAM−1ペプチド」と
は、VLA−4またはVCAM−1ポリペプチドであって、膜中ではそれ自体を
固定することができないものをいう。そのような可溶性ポリペプチドとしては、
例えば、VLA−4およびVCAMポリペプチドであって、そのポリペプチドを
固定するに十分な部分のその膜貫通ドメインを欠如するか、またはその膜貫通ド
メインが非機能性になるように改変されたものが包含される。これらの結合因子
は、VLA−4についての細胞表面結合タンパク質と競合すること、または他の
方法でVLA−4機能を変更することによって作用し得る。例えば、可溶性形態
のVCAM−1(例えば、以下を参照のこと:Osbom et al.198
9,Cell,59:1203−1211)またはそのフラグメントが投与され
て、VLA−4に結合し得、そして好ましくは、VCAM−1を有する細胞にお
けるVLA−4結合部位について競合し得、それにより、低分子または抗体のよ
うなアンタゴニストの投与に類似する効果をもたらし得る。
【0067】 本発明の目的について、「コラーゲン/VLA−1の相互作用のアンタゴニス
ト」とは、コラーゲンおよび/またはVLA−1に媒介される結合を阻害もしく
はブロックし得るか、または他の方法でコラーゲンおよび/またはVLA−1機
能を調節し得(VLA−1に媒介されるVLA−1シグナル伝達またはコラーゲ
ンに媒介されるコラーゲンシグナル伝達を阻害またはブロックすることによる)
、そして慢性腎不全の処置において(好ましくは抗VLA−1抗体と同様の様式
で)有効である因子(例えば、ポリペプチドまたは他の分子)をいう。VLA−
1リガンド(例えば、コラーゲン)/VLA−1の相互作用のアンタゴニストは
、以下の特性の1つ以上を有する因子である:(1)それは、VLA−1を有す
る細胞の表面上のVLA−1を、コラーゲン/VLA−1相互作用に対して十分
な特異性をもってコーティングするかまたはそれに結合する;(2)それは、V
LA−1を有する細胞の表面上のVLA−1を、VLA−1に媒介されるシグナ
ルの伝達(例えば、VLA−1/コラーゲンに媒介されるシグナル伝達)を改変
(好ましくは、阻害する)に十分な特異性をもってコーティングするかまたはそ
れに結合する;(3)それは、コラーゲン/VLA−1の相互作用を阻害するに
十分な特異性をもって、VLA−1リガンド(例えば、コラーゲン)をコーティ
ングするかまたはそれに結合する;(4)それは、VLA−1リガンド媒介され
たVLA−1シグナル伝達の伝達(例えば、コラーゲン媒介されたVLA−1シ
グナル伝達)を改変(好ましくは、阻害)するに十分な特異性を伴ってコラーゲ
ンをコーティングするか、またはそれに結合する。好ましい実施形態において、
そのアンタゴニストは、特定1および2の一方または両方を有する。他の好まし
い実施形態において、そのアンタゴニストは、特性3および4の一方または両方
を有する。さらに、1を超えるアンタゴニストは、患者に投与され得る(例えば
、VLA−1に結合する因子は、コラーゲンに結合する因子と組合され得る)。
本明細書において考察されるように、本発明の方法において使用されるVLA−
1アンタゴニストは、特定の型または構造の分子に限定されない。その結果、本
発明の目的について、VLA−1保有細胞上のVLA−1に(またはコラーゲン
に対して)結合し得る任意の因子であって、VLA−1またはそのリガンドを有
効にブロックまたはコーティングするものは、本明細書における実施例において
使用されるVLA−1の等価物であるとみなされる。例えば、抗体または抗体ホ
モログ(以下に考察される)、ならびにVLA−1およびそのそれぞれのリガン
ドについての可溶性形態の天然の結合タンパク質が有用である。VLA−1につ
いての可溶性形態の天然の結合タンパク質は、可溶性コラーゲンペプチド、コラ
ーゲン融合タンパク質、二機能性コラーゲン/Ig融合タンパク質、または類似
の保存的置換されたアミノ酸配列を包含する。コラーゲンについての可溶性形態
の天然のタンパク質は、可溶性VLA−1ペプチド、VLA−1融合タンパク質
、二機能性VLA−1/Ig融合タンパク質などを含む。本明細書において使用
されるように、「可溶性VLA−1ペプチド」または「可溶性コラーゲンペプチ
ド」とは、VLA−1またはコラーゲンのポリペプチドであって、膜中ではそれ
自体を固定することができないものをいう。そのような可溶性ポリペプチドとし
ては、例えば、VLA−1およびコラーゲンポリペプチドであって、そのポリペ
プチドを固定するに十分な部分のその膜貫通ドメインを欠如するか、またはその
膜貫通ドメインが非機能性になるように改変されたものが包含される。これらの
結合因子は、VLA−1についての細胞表面結合タンパク質と競合すること、ま
たは他の方法でVLA−1機能を変更することによって作用し得る。
【0068】 別の実施例において、コラーゲンまたはそのフラグメントであって、VLA−
1保有細胞の表面上のVLA−1に結合し得るものは、VLA−1アンタゴニス
トキメラ分子を形成する第二の部分に連結または他の方法で融合され得る。その
第二の部分は、ペプチド、可溶性ペプチドのフラグメント、好ましくは人ペプチ
ド、より好ましくは血漿タンパク質、または免疫グロブリンスーパーファミリー
のメンバーであり得る。特に好ましい実施形態において、その第二のペプチドは
、IgGまたはその部分もしくはフラグメント(例えば、ヒトIgG1重鎖定常
領域)であり、そして少なくともヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3
ドメインを含む。
【0069】 1.抗インテグリン抗体ホモログ 他の好ましい実施形態において本発明の方法において、細胞表面α4インテグ
リン(例えば、VLA−4)および/またはα4インテグリンに対する細胞表面
リガンド(例えば、VCAM−1)に結合(ブロックまたはコーティングを含む
)するために用いられるアンタゴニストは、以前に定義されるように、抗VLA
−4および/または抗VCAM−1のモノクローナル抗体または抗体ホモログで
ある。処置特にヒトの処置について、好ましい抗体およびホモログは、ヒト抗体
ホモログ、ヒト化抗体ホモログ、キメラ抗体ホモログ、Fab、Fab’、F(
ab’)2およびF(v)の抗体フラグメント、ならびに抗体重鎖または軽鎖あ
るいはそれらの混合物のモノマーまたはダイマーを包含する。VLA−4および
/またはVLA−1に対するモノクローナル抗体は、本発明の方法において好ま
しい結合因子である。
【0070】 (2.低分子インテグリンアンタゴニスト) 用語「低分子」インテグリンアンタゴニストは、例えば、細胞表面上のVLA
−4レセプターを結合することによってVLA−4を阻害するかまたは細胞表面
上のVCAM−1レセプターを結合することによってVCAM−1を阻害するこ
とによって、インテグリン/インテグリンリガンド相互作用を乱し得るペプチド
(すなわち、ペプチド結合を含み得るかまたは含み得ない有機分子)の作用を模
倣する因子をいう。VLA−4およびVCAM−1(またはVLA−1およびコ
ラーゲン)低分子は、それ自身がペプチド、セミペプチド化合物または非ペプチ
ド化合物(VCAM−1/VLA−4および/またはコラーゲン/VLA−1相
互作用のアンタゴニストである低有機分子など)である。本明細書中で定義され
るように、「低分子」は、抗体または抗体ホモログを含むことを意図しない。例
示的な低分子の分子量は、一般的に約2000未満であるが、分子が機能的定義
を満たす条件で、任意の特定のサイズに制限されることを意図しない。
【0071】 例えば、VLA−4リガンドの結合ドメインを模倣し、そして、VLA−4の
レセプタードメインに適合するオリゴ多糖などの低分子が使用され得る(例えば
、J.J.Devlinら、1990,Science 249:400−40
6(1990),J.K.ScottおよびG.P.Smith,1990,S
cience 249:386−390、ならびに米国特許第4,833,09
2号(Geysen)(これら全てが、本明細書中に参考として援用される))
。逆に、VCAM−1リガンドの結合ドメインを模倣し、そして、VCAM−1
のレセプタードメインに適合する低分子はおそらく使用される。
【0072】 本発明において有用である他の低分子の例は、Komoriyaら(「The
Minimal Essential Sequence for a Ma
jor Cell Type−Specific Adhesion Site
(CS1)Within the Alternatively Splic
ed TypeIII Connecting Segment Domain
of Fibronectin Is Leucin−Aspartic A
cid−Valin」,J.Bio.Chem.,266(23),15075
−79頁(1991))に見出され得る。これらは、VLA−4に結合するため
に必要な最小の活性アミノ酸配列を同定し、そして、特定の種のフィブロネクチ
ンのCS−1領域(VLA−4結合ドメイン)のアミノ酸配列に基づいた種々の
重複ペプチドを合成した。これらは、フィブロネクチン依存細胞付着に対する抑
制的な活性を保有する、8アミノ酸ペプチド、Glu−Ile−Leu−Asp
−Val−Pro−Ser−Thr、ならびに、2つのより小さい重複ペンタペ
プチド、Glu−Ile−Leu−Asp−ValおよびLeu−Asp−Va
l−Pro−Serを同定した。LDV配列を含む特定のより大きいペプチドは
、インビボで活性であることが続いて示された(T.A.Fergusonら、
「Two Integrin Binding Peptides Abrog
ate T−cell Mediated Immune Responses
In Vivo」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88、
8072−76頁(1991);ならびにS.M.Wahlら、「Synthe
tic Fibronectin Peptides Suppress Ar
thritis in Rats by Interrupting Leuk
ocyte Adhesion and Recruitment」,J.Cl
in.Invest.,94,655−62頁(1994))。環状ペンタペプ
チド;Arg−Cys−Asp−TPro−Cys(ここで、TProは、4−
チオプロリンを示す)(これは、フィブロネクチンに対するVLA−4およびV
LA−5付着の両方を阻害し得る)がまた記載されている(例えば、D.M.N
owlinら、「A Novel Cyclic Pentapeptide
Inhibits Alpha4Betal Integrin−mediat
ed Cell Adhesion」,J.Biol.Chem.,268(2
7)、20352−59頁(1993);およびPCT公開PCT/US91/
04862)。このペンタペプチドは、いくつかの細胞外マトリックスタンパク
質の認識部位における共通部分として公知であるフィブロネクチン由来のトリペ
プチド配列Arg−Gly−Aspに基づいている。他のVLA−4インヒビタ
ーの例が、例えば、Adamsら、「Cell Adhesion Inhib
itors」、PCT US97/13013において報告されており、細胞付
着阻害活性を有するβアミノ酸を含む直鎖ペプチジル化合物を記載する。国際特
許出願WO94/15958およびWO92/00995は、細胞付着阻害活性
を有する環状ペプチドおよびペプチド模倣化合物を記載する。国際特許公開WO
93/08823およびWO92/08464は、グアニジル、ウレアおよびチ
オウレア含有細胞付着阻害化合物を記載する。米国特許第5,260,277号
は、グアニジル細胞付着調節化合物を記載する。VLA−4の他のペプチジルア
ンタゴニストは、D.Y.Jacksonら、「Potent a4betal
peptide antagonists as potential an
ti−inflammatory agents」,J.Med.Chem.,
40,3359(1997);H.Shroffら、「Small Pepti
de Inhibitors of alpha4beta7 mediate
d MadCAM−1 adhesion to lymphocytes」,
Bio.Med,Chem.Lett.,1:2495(1996);米国特許
第5,510,332号、PCT公開WO98/53814、WO97/030
94、WO97/02289、WO96/40781、WO96/22966、
WO96/20216、WO96/01644、WO96/106108、およ
びWO95/15973に記載される。
【0073】 このような低分子因子は、多数のペプチド(例えば、520アミノ酸長)、セ
ミペプチド化合物または非ペプチド、有機化合物を合成することによって生成さ
れ得、次いで、VLA−4/VCAM相互作用を阻害するそれらの能力について
これらの化合物をスクリーニングする。例えば、一般的に、米国特許第4,83
3,092号、ScottおよびSmith、「Searching for
Peptide Ligands with an Epitope Libr
ary」,Science,249、386−90頁(1990)ならびにDe
vlinら、「Random Peptide Libraries:A So
urce of Specific Protein Binding Mol
ecules」、Science,249、40407頁(1990)を参照の
こと。
【0074】 (抗インテグリン抗体ホモログの作製の方法) モノクローナル抗体(例えば、抗インテグリンモノクローナル抗体を含む)を
産生するための技術は周知である。例えば、Mendrickら、1995、L
ab.Invest.72:367−375(マウス抗−α1β1および抗α2
β1に対するmAbs);Sonnenbergら、1987 J.Biol.
Chem.262:10376−10383(マウス抗α6β1に対するmAb
s);Yaoら、1996、J Cell Sci 109:3139−50(
マウス抗α7β1に対するmAbs);Hemlerら、1984、J Imm
unol 132:3011−8(ヒトα1β1に対するmAbs);Pisc
helら、1987 J Immunol 138:226−33(ヒトα2β
1に対するmAbs);Waynerら、1988、J Cell Biol
107:1881−91(ヒトα3β1に対するmAbs);Hemlerら、
1987 J Biol Chem 262:11478−85(ヒトα4β1
に対するmAbs);Waynerら、1988 J Cell Biol 1
07:1881−91(ヒトα5β1に対するmAbs);Sonnenber
gら、1987、J.Biol.Chem.262:10376−10383(
ヒトα6β1に対するmAbs);A Wangら、1996 Am.J.Re
spir.Cell Mol.Biol.15:664−672(ヒトα9β1
に対するmAbs);Dviesら、1989 J Cell Biol 10
9:1817−26(ヒトαVβ1に対するmAbs);Sanchez−Ma
dridら、1982、Proc Natl Acad Sci USA 79
:7489−93(ヒトαLβ2に対するmAbs);Diamondら、19
93、J Cell Biol 120:1031−43(ヒトαMβ2に対す
るmAbs);Stackerら、1991 J Immunol 146:6
48−55(ヒトαXβ2に対するmAbs);Van der Vieren
ら、1995 Immunity 3:683−90(ヒトαDβ2に対するm
Abs);Bennettら、1983 Proc Natl Acad Sc
i USA 80:2417−21(ヒトαIIbβ3に対するmAbs);H
essleら、1984、Differentiation 26:49−54
(ヒトα6β4に対するmAbs);Weinackerら、1994 J B
iol Chem 269:6940−8(ヒトαVβ5に対するmAbs);
Weinackerら、1994 J Biol Chem 269:6940
−8(ヒトαVβ6に対するmAbs);Cerf−Bensussanら、1
992 Eur J Immunol 22:273−7(ヒトαEβ7に対す
るmAbs);Nishimuraら、1994 J Biol Chem 2
69:28708−15(ヒトαVβ8に対するmAbs);Bossyら、1
991 EMBO J 10:2375−85(ヒトα8β1に対するポリクロ
ーナル抗血清);Camperら、1998 J.Biol.Chem.273
:20383−20389(ヒトα10β1に対するポリクローナル抗血清)を
参照のこと。
【0075】 本明細書中で意図される好ましいインテグリンアンタゴニストは、原核生物ま
たは真核生物宿主細胞において、インタクトもしくは短縮されたゲノムまたはc
DNAからかまたは合成DNAから発現され得る。このダイマータンパク質は、
培養培地から単離され得、そして/または再び折り畳まれ、そして、インビトロ
でダイマー化して生物学的に活性な組成物を形成する。ヘテロダイマーは、別々
の別個のポリペプチド鎖を組み合わせることによって、インビトロで形成され得
る。あるいは、ヘテロダイマーは、別々の別個のポリペプチド鎖をコードする核
酸を同時発現することによって、単一細胞において形成され得る。例えば、いく
つかの例示的な組換えヘテロダイマータンパク質産生プロトコールについては、
WO93/09229または米国特許第5,411,941号を参照のこと。現
在好ましい宿主細胞としては、制限することなく、E.coliを含む原核生物
、または酵母、Saccharomyces、昆虫細胞を含む真核生物、または
CHO、COSもしくはBSC細胞などの哺乳動物細胞が挙げられる。当業者は
、他の宿主細胞が有利に使用され得ることを理解する。本発明の実施において有
用なタンパク質の詳細な説明(軟骨形成活性についてそれらを作製、使用および
試験する方法を含む)は、米国特許第5,266,683号および同第5,01
1,691号を含む(これらの開示は本明細書中に参考として援用される)多数
の刊行物において開示される。
【0076】 モノクローナル抗体ホモログを産生する技術は周知である。手短には、不死細
胞株(代表的には骨髄腫細胞)が、所定の抗原(例えば、VLA−4)を発現す
る全細胞で免疫化した哺乳動物由来のリンパ球(代表的には脾細胞)へと融合さ
れ、そして、得られたハイブリドーマ細胞の培養物上清は、抗原に対する抗体に
ついてスクリーニングされる。例えば、一般的に、Kohlerら、1975、
Nature,265:295−297を参照のこと。免疫化は、標準的手順を
使用して達成され得る。ユニット用量および免疫化レジメンは、免疫化される哺
乳動物の種、その免疫状態、哺乳動物の体重などに依存する。代表的には、免疫
化哺乳動物は出血させ、そして、それぞれの血液サンプル由来の血清は、適切な
スクリーニングアッセイを使用することによって、特定の抗体についてアッセイ
される。例えば、抗VLA−4抗体は、VLA−4発現細胞由来の125I標識
の細胞溶解物の免疫沈降によって同定され得る(例えば、Sanchez−Ma
dridら、1986、Eur.J.Immunol.,16:1343−13
49およびHemlerら、1987、J.Biol.Chem.,262,1
1478−11485を参照のこと)。抗VLA−4抗体はまた、フローサイト
メトリーによって(例えば、VLA−4を認識すると考えられている抗体でイン
キュベートしたRamos細胞の蛍光染色を測定することによって)同定され得
る(例えば、Elicesら、1990、Cell、60:577−584を参
照のこと)。ハイブリドーマ細胞の産生において使用されるリンパ球は、代表的
には、このようなスクリーニングアッセイを使用して、その血清が抗VLA−4
抗体の存在について陽性であるとすでに試験された免疫化された哺乳動物から単
離される。
【0077】 代表的には、不死細胞株(例えば骨髄腫細胞株)は、リンパ球などの同一の哺
乳動物種に由来する。好ましい不死細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプテリン
およびチミジンを含む培養培地(「HAT培地」)に対して感受性であるマウス
骨髄腫細胞株である。代表的には、HAT感受性マウス骨髄腫細胞は、1500
分子量ポリエチレングリコール(「PEG 1500」)を使用してマウス脾細
胞へと融合させる。次いで、融合から得られたハイブリドーマ細胞は、HAT培
地を使用して選択され、この培地は、融合されていないおよび非産生的に融合さ
れた骨髄腫細胞を殺す(融合されていない脾細胞は、形質転換されていないので
、数日後に死ぬ)。所望の抗体を産生するハイブリドーマは、ハイブリドーマ培
養物上清をスクリーニングすることによって検出される。例えば、抗VLA−4
抗体を産生するように調製されたハイブリドーマは、組換えα4サブユニット発
現細胞株に結合する能力を有する分泌された抗体について、ハイブリドーマ培養
物上清を試験することによって、スクリーニングされ得る(Elicesら、前
出を参照のこと)。
【0078】 インタクトな免疫グロブリンである抗VLA−4またはVLA−1抗体ホモロ
グを産生するために、このようなスクリーニングアッセイにおいて陽性であると
試験されたハイブリドーマ細胞を、ハイブリドーマ細胞が、培養培地にモノクロ
ーナル抗体を分泌するのを可能にするのに十分な条件下および時間で、栄養培地
で培養した。組織培養技術およびハイブリドーマ細胞に適した培養培地は、周知
である。調製されたハイブリドーマ培養物上清は収集され得、そして、抗VLA
−4またはVLA−1抗体は必要に応じて周知の方法によって、さらに精製され
る。
【0079】 あるいは、所望の抗体は、ハイブリドーマ細胞を非免疫化マウスの腹腔に注射
することによって産生され得る。このハイブリドーマ細胞は、腹腔において増殖
し、腹水として蓄積する抗体を分泌する。この抗体は、シリンジを使用して、腹
腔から腹水を取り出すことによって収集され得る。
【0080】 いくつかのマウス抗VLA−4モノクローナル抗体が以前に記載されている。
例えば、Sanchez−Madridら、1986、前出;Hemlerら、
1987、前出;Pulidoら、1991、J.Biol.Chem.,26
6(16)、10241−10245を参照のこと。VLA−4のβ鎖を認識可
能な、これらの抗VLA−4モノクローナル抗体(HP 1/2など)および他
の抗VLA−4抗体(例えば、HP2/1、HP2/4、L25、P4C2、P
4G9)は、本発明に従う処置の方法において、有用である。VCAM−1およ
びフィブロネクチンリガンドへの結合に関連するCLA−4α4鎖エピトープを
認識する抗VLA−4抗体(すなわち、リガンド認識ならびにVCAM−1およ
びフィブロネクチン結合の阻害に関与する部位でVLA−4に結合し得る抗体)
が好ましい。このような抗体は本発明に従って、Bエピトープ特異的抗体(B1
またはB2)(Pulidoら、1991、前出)および抗VLA−4抗体とし
ても定義される。抗VLA1抗体である、本発明の市販されている抗体ホモログ
は、米国特許第5,855,888号に記載されている。
【0081】 VLA−4および/またはVLA−1に対する完全なヒトモノクローナル抗体
ホモログは、本発明の方法においてVLA−4および/またはVLA−1リガン
ドをブロックまたはコーティングし得る別の好ましい結合因子である。それらの
インタクトな形態においてこれらは、Boemerら、1991、J.Immu
nol.147,86−95によって記載されるように、インビトロでプライム
された(prinied)ヒト脾細胞を使用して調製され得る。あるいは、これ
らは、Perssonら,1991,Proc.Nat.Acad Sci.U
SA,88:2432−2436またはHuangおよびStollar,19
91,J.Immunol.Methods 141,227−236によって
記載されるようにレパートリークローニングによって調製され得る。
【0082】 米国特許第5,798,230号(1998年8月25日、「Process for the preparation of human monocl
onal antibodies and their use」)は、ヒトB
細胞からのヒトモノクローナル抗体の調製を記載する。このプロセスに従って、
ヒト抗体産生B細胞を、エプスタイン−バーウイルス、またはそれらの誘導体(
エプスタイン−バーウイルス核抗原2(EBNA2)を発現する)に感染させる
ことによって不死化する。EBNA2機能(不死化に必要とされる)は、続いて
遮断され、抗体産生の増加を生じる。
【0083】 完全なヒト抗体を産生するためのなお別の方法において、米国特許第5,78
9,650号(1998年8月4日、「Transgenic non−hum
an animals for producing Heterologou
s antibodies」)は、異種抗体を産生し得るトランスジェニック非
ヒト動物および不活化された内因性免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェ
ニック非ヒト動物を記載する。内因性免疫グロブリン遺伝子は、内因性免疫グロ
ブリンを指向するアンチセンスポリヌクレオチドおよび/または抗血清によって
抑制される。異種抗体は、その種の非ヒト動物のゲノムには通常見出されない免
疫グロブリン遺伝子によってコードされる。再配列されていない異種ヒト免疫グ
ロブリン重鎖の配列を含む1つ以上の導入遺伝子は、非ヒト動物に導入され、そ
れによってトランスジェニック免疫グロブリン配列を機能的に再配列し得、そし
てヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされる種々のアイソタイプの抗体の
レパートリーを産生し得るトランスジェニック動物を形成する。このような異種
ヒト抗体は、B細胞中で産生され、これは、その後、例えば、黒色腫のような不
死化細胞株と融合することによって、またはモノクローナル異種完全ヒト抗体ホ
モログを産生し得る細胞株を永続化させるための他の技術によってこのようなB
細胞を操作することによって不死化される。
【0084】 大きな非免疫化ヒトファージディスプレイライブラリーもまた使用して、標準
的なファージ技術を使用してヒト治療法として開発され得る高親和性抗体を単離
し得る。
【0085】 本発明の方法においてインテグリンリガンドをブロックまたはコーティングし
得るなお別の好ましい結合因子は、抗インテグリン特異性を有するヒト化組換え
抗体ホモログである。真の「キメラ抗体」(全定常領域および全可変領域が異な
る供給源に由来する)を調製するための初期の方法に続いて、新たなアプローチ
が、EP0239400(Winterら)に記載され、これによって、抗体は
、別の種での、ある種についての相補性決定領域(CDR)の(所定の可変領域
内での)置換によって改変される。このプロセスは、例えば、ヒト重鎖および軽
鎖Ig可変領域ドメインをマウス可変領域ドメイン由来の代替のCDRで置換す
るために使用され得る。これらの改変されたIg可変領域は、続いて、ヒトIg
定常領域と組み合せられて、置換されたマウスCDRを除いて組成において全て
ヒトである抗体を作製し得る。このようなCDR置換抗体は、CDR置換抗体が
かなり少ない非ヒト成分を含むので、真のキメラ抗体と比べてヒトにおいて免疫
応答を惹起しそうにないと予期される。CDR「移植」によってモノクローナル
抗体をヒト化するためのプロセスは、「リシェイピング」と呼ばれている(Ri
echmannら,1988,Nature 332,323−327;Ver
hoeyenら,1988,Science 239,1534−1536)。
【0086】 代表的には、マウス抗体の相補性決定領域(CDR)は、ヒト抗体の対応する
領域に移植される。なぜなら、これは、特定の抗原に結合するマウス抗体の領域
であるCDR(抗体重鎖に3つ、軽鎖に3つ)であるからである。CDRの移植
は、遺伝子操作によって達成され、これによってCDR DNA配列は、マウス
重鎖および軽鎖可変(V)領域遺伝子セグメントのクローニングによって決定さ
れ、次いで、部位特異的変異原性によって対応するヒトV領域に移入される。こ
のプロセスの最後の段階において、所望のアイソタイプ(通常、CHに対してγ
IおよびCLに対してκ)のヒト定常領域遺伝子セグメントが加えられ、ヒト化
重鎖および軽鎖遺伝子が、哺乳動物細胞において同時発現されて可溶性ヒト化抗
体を産生する。
【0087】 これらのCDRのヒト抗体への移入は、この抗体に、元のマウス抗体の抗原結
合性質を与える。マウス抗体の6つのCDRは、構造的にV領域「フレームワー
ク」領域にのっている。CDR移植が成功する理由は、マウス抗体とヒト抗体の
間のフレームワーク領域が、CDRについて類似した結合点を有する非常に類似
した3次元構造を有し得、その結果、CDRが交換され得るからである。このよ
うなヒト化抗体ホモログは、以下に例示されるように調製され得る:Jones
ら,1986,Nature 321,522−525;Riechmann,
1988,Nature 332,323−327;Queenら,1989,
Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86,10029;およびOr
landiら,1989,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86
,3833。
【0088】 それにもかかわらず、フレームワーク領域内の特定のアミノ酸は、CDRと相
互作用し、そして全体の抗原結合親和性に影響すると考えられる。ヒトV領域フ
レームワークについて任意の改変なしに組換えヒト化抗体を産生するためのマウ
ス抗体からのCDRの直接的な移入は、しばしば、結合親和性の部分的または完
全な損失を生じる。多くの場合において、結合活性を得るためにアクセプター抗
体のフレームワーク領域の残基を改変することが重要であるようである。
【0089】 Queenら、1989(前出)およびWO90/07861(Protei
n Design Labs)は、マウスMAb(抗Tac)のCDRをヒト免
疫グロブリンフレームワークおよび定常領域と組み合わせることによってアクセ
プター抗体のフレームワーク領域に改変残基を含むヒト化抗体の調製を記載した
。これらは、ヒトV領域フレームワーク残基の任意の改変なしでの直接的CDR
移入からしばしば生じる結合親和性の損失の問題に対する一つの解決を示した;
それらの解決は、2つの鍵となる工程を含む。第1に、ヒトVフレームワーク領
域は、元のマウス抗体のV領域フレームワーク(この場合、抗Tac−Mab)
に対する最適なタンパク質配列相同性についてコンピュータ分析によって選択す
る。第2の工程において、マウスV領域の3次構造をコンピュータによってモデ
ル化してマウスCDRと相互作用しそうであるフレームワークアミノ酸残基を視
覚化し、次いでこれらのマウスアミノ酸残基を相同なヒトフレームワークに重ね
る。Protein Design Labs 米国特許第5,693,762
号もまた参照のこと。
【0090】 異なるアプローチ(Tempestら,1991,Biotechnolog
y 9,266−271)を使用し得、標準として、マウス残基の根本的な(r
adical)導入なしで、CDR移植のためにNEWMおよびREIの重鎖お
よび軽鎖のそれぞれから誘導されるV領域フレームワークを利用し得る。NEW
MおよびREIに基づくヒト化抗体を構築するためのTempestらのアプロ
ーチを使用する利点は、NEWMおよびREIの可変領域の3次元構造が、X線
結晶から公知であり、従って、CDRとV領域フレームワーク残基との間の特定
の相互作用がモデル化され得ることである。
【0091】 行われるアプローチに関わらず、現在までに調製された最初のヒト化抗体ホモ
ログの例は、直線的なプロセスでないことが示されている。しかし、このような
フレームワークの変化が必要であり得ると認知してさえ、たとえあったにしても
、どのフレームワーク残基が所望の特異性の機能的ヒト化組換え抗体を得るため
に改変される必要があるかを利用可能な先行技術に基づいて予測することはでき
ない。これまでの結果は、特異性および/または親和性を保存するのに必要な変
化が、大部分について所定の抗体に対して独特であり、そして異なる抗体のヒト
化に基づいて予測可能でないことを示す。
【0092】 本発明に有用な好ましいVLA−4アンタゴニストには、同時係属の1994
年1月7日に出願されたPCT US94/00266、1993年1月12日
に出願された米国出願シリアル番号08/004,798号において調製され、
記載されたBエピトープ特異性を有するキメラおよびヒト化組換え抗体ホモログ
(すなわち、インタクトな免疫グロブリンおよびそれらの部分)が挙げられる。
キメラ(マウス可変−ヒト定常)およびヒト化抗インテグリン抗体ホモログの調
製のための開始物質は、先に記載されたマウスモノクローナル抗インテグリン抗
体、市販のモノクローナル抗インテグリン抗体(例えば、HP2/1、Amae International,Inc.,Westbrook,Maine)
、または本明細書中の技術に従って調製されたモノクローナル抗インテグリン抗
体であり得る。例えば、抗VLA−4抗体HP1/2の重鎖および軽鎖の可変領
域は、クローン化され、配列決定され、そしてヒト免疫グロブリン重鎖および軽
鎖の定常領域と組み合わせて発現された。このようなHP1/2抗体は、マウス
HP1/2抗体に対する特異性および効力において類似しており、本発明に従っ
た処置の方法において有用であり得る。
【0093】 他の好ましいヒト化抗VLA4抗体ホモログは、PCT/US95/0121
9(1995年7月27日)および米国特許第5,840,299号のAthe
na Neurosciences,Inc(参考として援用される)によって
記載される。これらのヒト化抗VLA−4抗体は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖
を含む。ヒト化軽鎖は、マウス21−6免疫グロブリン軽鎖の対応する相補性決
定領域からのアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2
およびCRD3)、ならびにマウス21.6免疫グロブリン軽鎖可変領域フレー
ムワークの等価な位置に存在する同じアミノ酸によって少なくとも1つの位置に
おいてアミノ酸位置が占められることを除いて、ヒトκ軽鎖可変領域フレームワ
ーク配列からの可変領域フレームワークを含む。ヒト化重鎖は、マウス21−6
免疫グロブリン重鎖の対応する相補性決定領域からのアミノ酸配列を有する3つ
の相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCRD3)、ならびにマウス21
−6免疫グロブリン重鎖可変領域フレームワークの等価な位置に存在する同じア
ミノ酸によって少なくとも1つの位置においてアミノ酸位置が占められることを
除いて、ヒト重鎖可変領域フレームワーク配列からの可変領域フレームワークを
含む。ヒトα4インテグリンに対するヒト化抗体(AN100226)を記載す
るLeger,O.J.ら、Hum.Antibodies 8:3−16(1
997)も参照のこと。
【0094】 本発明の方法は、インテグリンを含むα4サブユニットを指向する抗体をコー
ドする核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする任意の核酸配
列によってコードされるアンタゴニストを利用し得る。例えば、本発明のアンタ
ゴニストは、米国特許第5,840,299号の表6に見出される核酸配列の1
つ以上またはこのような1つ以上の配列の相補体に対してストリンジェントな条
件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるタンパク質であり得る
。アンタゴニストはまた、米国特許第5,932,214号に見られる配列番号
2または配列番号4をコードする核酸に対して高いストリンジェンシーの条件下
でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるタンパク質であり得る。さ
らに、アンタゴニストはまた、細胞株ATCC CRL11175によって産生
される抗体の可変ドメインをコードする核酸に対して高いストリンジェンシーの
条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるタンパク質であり得
る。
【0095】 あるいは、本発明のアンタゴニストは、米国特許第5,840,299号の表
6に見出される核酸配列の1つ以上またはこのような1つ以上の配列の相補体に
対して低いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする核酸配列によって
コードされるタンパク質であり得る。アンタゴニストはまた、米国特許第5,9
32,214号に見られる配列番号2または配列番号4をコードする核酸に対し
て低いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコー
ドされるタンパク質であり得る。さらに、アンタゴニストはまた、細胞株ATC
C CRL11175によって産生される抗体の可変ドメインをコードする核酸
に対して低いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする核酸配列によっ
てコードされるタンパク質であり得る。
【0096】 (治療適用) 単一投薬形態を生成するためにキャリア材料と合わされ得る活性成分の量は、
処置される宿主、および特定の投与形態に依存して変化する。しかし、任意の特
定の患者に対する特定の投薬量および処置レジメンが、使用される特定化合物の
活性、年齢、体重、通常の健康、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物の組み
合わせ、ならびに処置する医師の判断および処置される特定の疾患の重篤度を含
む種々の因子に依存することが理解されるべきである。活性成分の量はまた、治
療剤または予防剤に依存し得、存在する場合、この成分はこれらと同時投与され
る。
【0097】 細胞接着を予防、抑制または阻害するのに効果的な本発明の化合物の投薬量お
よび投与速度は、インヒビターの性質、患者の大きさ、処置の目的、処置される
病因の性質、使用される特定の薬学的組成物、および処置する医師の判断のよう
な種々の因子に依存する。1日あたり約0.001mg/kg体重と約100m
g/kg体重との間の投薬量レベル、好ましくは約0.1mg/kg体重と約5
0mg/kg体重との間の活性成分の化合物が有用である。最も好ましくは、α
4インテグリン結合因子(抗体または抗体誘導体の場合)が、約0.1mg/k
g体重と約20mg/kg体重との間の範囲、好ましくは約1mg/kg体重と
約3mg/kg体重との間の範囲の用量で、毎1〜14日の間隔で投与される。
非抗体または低分子結合因子に関して、用量範囲は、好ましくは抗体の量と等価
なモル濃度の量の間であるべきである。好ましくは、抗体組成物は、有効量で投
与されて、少なくとも1mg/mlの血漿抗体レベルを与える。投薬量の最適化
は、結合剤の投与、続く、所定の用量のインビボでの投与後時間が経ってからの
、この薬剤によるインテグリン陽性細胞のコーティングの評価によって決定され
得る。
【0098】 投与された薬剤の存在は、個々の細胞のそれ自身(例えば、蛍光色素によって
)標識された同じ薬剤への結合する能力の、不能または減少によって、インビト
ロ(またはエキソビボ)で検出され得る。好ましい投薬量は、検出可能なコーテ
ィングの広範な大多数のインテグリン陽性細胞を生成するはずである。好ましく
は、コーティングは、抗体ホモログの場合、1〜14日の期間維持される。
【0099】 (処置の被験体) 一般的な事項として、本発明の方法は、慢性腎不全であるかまたは慢性腎不全
の危険性のある任意の哺乳動物被験体、あるいは腎臓代償療法(すなわち、慢性
透析または腎臓移植)が必要な危険性のある哺乳動物被験体に対して使用され得
る。本発明の方法に従って処置され得る哺乳動物被験体としては、ヒト被験体ま
たはヒト患者が挙げられるがこれらに限定されない。しかし、さらに、本発明は
、ヒトコンパニオンとして維持される家庭の哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウ
マ)の処置に使用され得、これらの動物らは、重要な商業的価値を有するか(例
えば、乳牛、肉牛、競技用動物)、重要な科学的価値を有するか(例えば、捕ら
われたかまたは自由な絶滅危機種の検体)、または他の価値を有する。さらに、
一般的な事項として、本発明の方法を用いて処置するための被験体は、慢性腎不
全の危険性と関連する徴候以外は、本発明の腎臓治療剤を用いて処置するための
指標を提示する必要はない。すなわち、処置のための被験体は、本発明の薬剤を
用いた処置に関する指標を含まない他のものに対して予期される。しかし、いく
つかの場合において、被験体は、本発明の薬剤を用いた処置が示される他の徴候
(例えば、骨形成異常)で示され得る。そのような場合、処置は、過剰投薬を回
避するように従って調節されなければならない。医学分野または獣医分野の当業
者は、養成されて、実質的に慢性腎不全の危険性があり得るかまたは実質的に腎
臓代償療法が必要な危険性があり得る被験体を認識する。特に、本明細書中に開
示される処置方法および他の処置方法に関連する臨床試験および非臨床試験、な
らびに累積した経験は、所定の被験体が腎不全であるかもしくは腎不全の危険性
があるか、または腎臓代償療法が必要な危険性があるか否か、および任意の特定
の処置(本発明に従う処置を含む)が被験体が必要とするものに最も適したもの
であるか否かを決定する際に熟練した実施者に情報を提供することが予想される
【0100】 一般的な事項として、哺乳動物被験体は、この被験体が既に機能的ネフロン単
位の進行性損失と関連する腎機能の進行性損失を代表的に導く状態に冒されてい
ると診断されるか、またはこの状態に冒されているとみなされる場合、慢性腎不
全であるかもしくは慢性腎不全の危険性があるか、または腎臓代償療法を必要と
する危険性があるとしてみなされ得る。このような状態としては、末期腎疾患、
慢性糖尿病性腎症、糖尿病性糸球体症、糖尿病性腎肥大、高血圧性腎硬化症、高
血圧性糸球体硬化症、慢性糸球体腎炎、遺伝性腎炎、腎形成異常症および腎同種
移植片移植後の慢性拒絶などが挙げられるが、これらに限定されない。これらな
らびに当該分野で公知の他の疾患および状態は、代表的に、機能的ネフロンの進
行性損失および慢性腎不全の発症を導く。
【0101】 しばしば、医学分野および獣医学分野の当業者は、腎生検サンプルの試験に対
して予後決定、診断決定または処置決定の基礎を置き得る。このような生検は、
腎障害を診断する際に有用な豊富な情報を提供するが、手順の侵入性、およびお
そらく健康でない腎臓に対するさらなる外傷に起因して、全ての被験体に対して
適切ではないようである。それにもかかわらず、慢性腎不全であるかもしくは慢
性腎不全の危険性があるか、または腎臓代償療法を必要とする危険性がある被験
体は、糸球体肥大、尿細管肥大、糸球体硬化症、尿細管間質性腎炎などを含むが
これらに限定されない腎生検からの組織学的識別によって認識され得る。
【0102】 腎形態を評価するためのほとんど侵襲性ではない技術としては、MRI、CA
Tおよび超音波スキャンが挙げられる。走査技術がまた利用可能であり、これは
、造影剤または画像剤(例えば、放射性色素)を用いるが、これらのいくつかは
腎組織および腎構造に対して特に毒性であり、ゆえに、これらの使用は、慢性腎
不全である被験体もしくは慢性腎不全の危険性がある被験体において賢明でない
かもしれないことに注意すべきである。このような非侵襲性走査技術は、慢性腎
不全であるかもしくは慢性腎不全の危険性があるか、または腎臓代償療法を必要
とする危険性がある被験体に位置する、腎線維症または腎硬化症、病巣腎壊死、
腎嚢胞、および腎肉眼的肥大などの状態を検出するために使用され得る。
【0103】 しばしば、予後決定、診断決定および/または処置決定は、腎機能の臨床指標
に依存する。1つのそのような指標は、尿沈渣中の異常な数の「広範」または「
腎不全」の円柱の存在であり、これは、尿細管肥大を示し、そして慢性腎不全を
典型的に表す代償性の腎肥大を示唆する。腎機能の良好な指標は、糸球体流速(
GFR)であり、これは、特定マーカーのクリアランスの速度を定量することに
よって直接測定され得るか、または間接的な測定から推測され得る。
【0104】 本発明の処置方法は、GFRの任意の特定の測定または腎機能の任意の他の特
定マーカーを用いて示される被験体に限定される必要はない。実際、被験体のG
FRまたは腎機能の任意の他の特定マーカーが本発明の処置を実施する前に必ず
しも決定される必要はない。それにもかかわらず、GFRの測定は、腎機能を評
価する好ましい手段であるとみなされる。
【0105】 当該分野で周知のように、GFRは、血漿から尿への参照化合物またはマーカ
ー化合物のクリアランス速度を反映する。考慮されるマーカー化合物は、代表的
に、糸球体によって大量に濾過されるが、尿細管によって活発に分泌または再吸
収されず、そして循環しているタンパク質にによってほとんど結合されないもの
である。このクリアランス速度は、代表的に、上記に示される式によって規定さ
れ、これは、24時間以内に産生された尿の容積、ならびに尿および血症中の相
対的なマーカー濃度に関連する。より正確に言うと、GFRはまた、体の表面積
に対して補正されるべきである。その濾過特性および血清結合の欠失に起因して
、「第1(gold)の標準」参照化合物は、イヌリンである。しかし、この化
合物の濃度は、血液または尿中で定量することが困難である。従って、クレアチ
ニンを含む他の化合物のクリアランス速度が、しばしば、イヌリンの変わりに使
用される。さらに、実際のマーカーの尿濃度、実際の生成される毎日の尿容積、
または実際の体の表面積を考慮することを除外することによって、実際のGFR
の概算を単純化することを模索する種々の式がしばしば使用される。これらの値
は、他の因子に基づく概算、同じ被験体に関して確立されたベースラインの値、
または類似した被験体に関する標準値によって置換され得る。しかし、これらの
概算は注意して使用されるべきである。なぜなら、これらは、正常または健康な
被験体の腎機能に基づく不適切な仮定を必要とし得るからである。さらに、p−
アミノ馬尿酸塩(PAH)のクリアランスが、腎クリアランス速度を概算するた
めに使用される。
【0106】 特定の特徴を有する健康な被験体に関する予想GFR値を記載する、種々の方
法および式が当該分野で開発されている。特に、血漿クレアチニンレベル、年齢
、体重および性別に基づく予想GFR値を提供する式が利用可能である。当然、
他の式が使用され得、そして標準値の錠剤が、被験体の所定の年齢、体重、性別
、および/または血漿クレアチニン濃度に対して生成され得る。GFRを測定ま
たは概算するより新規な方法(例えば、NMR技術またはMRI技術を使用する
)がまた当該分野で現在可能であり、そして本発明に従って使用され得る(例え
ば、米国特許第5,100,646号、および同第5,335,660号を参照
のこと)。
【0107】 一般的な事項として、GFRが測定または概算される様式に関係なく、被験体
がその被験体の予想GFRの約50%よりも短く慢性的であるGFRを有する場
合、この被験体は、慢性腎不全であるかもしくは慢性腎不全の危険性があるか、
または腎臓代償療法を必要とする危険性があるとみなされ得る。この危険性は、
GFRがより下へ低下するにつれ大きくなるとみなされる。従って、被験体がそ
の予想GFRの約40%、30%または20%よりも短く慢性的であるGFRを
有する場合、この被験体はますます危険性があるとみなされる。少なくとも約5
0kgの体重であるヒト男性被験体は、この被験体が約50ml/分よりも短く
慢性的であるGFRを有する場合、慢性腎不全であるかもしくは慢性腎不全の危
険性があるか、または腎臓代償療法を必要とする危険性があるとみなされ得る。
この危険性は、GFRがより下へ低下するにつれ大きくなるとみなされる。従っ
て、被験体が約40ml/分、約30ml/分または約20ml/分よりも短く
慢性的であるGFRを有する場合、この被験体はますます危険性があるとみなさ
れる。少なくとも約40kgの体重であるヒト女性被験体は、この被験体が約4
0ml/分よりも短く慢性的であるGFRを有する場合、慢性腎不全であるかも
しくは慢性腎不全の危険性があるか、または腎臓代償療法を必要とする危険性が
あるとみなされ得る。この危険性は、GFRがより下へ低下するにつれ大きくな
るとみなされる。従って、被験体が約30ml/分、約20ml/分または約1
0ml/分よりも短く慢性的であるGFRを有する場合、この被験体はますます
危険性があるとみなされる。一般的な事項として、被験体が健康な(しかし他の
類似の)被験体の機能的ネフロン単位の数の約50%よりも小さい機能的ネフロ
ン単位の数を保有する場合、この被験体は、慢性腎不全であるかもしくは慢性腎
不全の危険性があるか、または腎臓代償療法を必要とする危険性があるとみなさ
れ得る。上記のように、この危険性は、機能的ネフロン数がさらに減少するにつ
れ、より大きくなくとみなされる。従って、被験体が類似するが健康な被験体に
関する数の約40%、30%または20%よりも少ない機能的ネフロン数を有す
る場合、この被験体は、ますます危険であるとみなされる。
【0108】 最後に、単一の腎臓を保有する被験体が、他方の腎臓の損失様式(例えば、物
理的外傷、外科的除去、出生時欠損)に関わらず、一応、慢性腎不全の危険性が
あるか、または腎臓代償療法を必要とする危険性があるとみなされ得ることに注
意すべきである。これは、1つの腎臓が残りの腎臓を冒し得る疾患または状態に
起因して損失された被験体に関して、特にあてはまる。同様に、既に腎臓移植の
レシピエントである被験体、または既に慢性透析(例えば、慢性血液透析または
連続した外来の腹膜透析)を受けている被験体は、慢性腎不全の危険性があるか
、またはさらなる腎臓代償療法を必要とする危険性があるとみなされ得る。
【0109】 (処方および処置方法) 本発明のインテグリンアンタゴニスト薬剤は、使用される特定の腎臓治療剤に
適合し得る任意の経路によって投与され得る。従って、適切なものとして、投与
は、経口投与または非経口(静脈および腹腔内を含む)投与、および腎臓の嚢内
(renal intracapsular)の経路の投与であり得る。さらに
、投与は、本明細書中に記載の薬剤のボーラス(bolus)の周期的な注射に
より得るか、または外側(例えば、静脈バック)または内側(例えば、生腐食可
能な(bioerodable)移植物または移植されたポンプ)であるリザバ
からの静脈または腹腔内投与によって、より連続的になされ得る。本発明に従う
方法において、インテグリンアンタゴニストは、好ましくは、非経口で投与され
る。本明細書中で使用される場合、用語「非経口」とは、エアロゾル、皮下、静
脈、筋肉内、関節腔内、滑液包内、胸骨下、肝臓内、病巣内、および頭蓋内注射
または輸血流技術を含む。
【0110】 本発明の薬剤は、任意の手法によって、好ましくは、直接的に(例えば、注射
または組織位置への局部的投与として、局所的に)、あるいは全身的(例えば、
非経口または経口で)、個体に提供され得る。薬剤が、例えば、静脈、皮下、ま
たは筋肉内投与のような非経口で提供されるべき場合、薬剤は、好ましくは、水
溶液の部分を含む。この溶液は、生理学的に受容可能であり、その結果、さもな
くば、被験体への所望の薬剤の送達に加えて、溶液は、被験体の電解質および/
または容量バランスに悪影響を及ぼさない。従って、薬剤のための水溶液媒体は
、一般の生理的食塩水(例えば、0.9%NaCl、0.15M、pH7−7.
4)を含み得る。
【0111】 インテグリンアンタゴニストは、好ましくは、薬学的に受容可能なキャリアを
含む無菌の薬学的組成物として投与され、このキャリアは、多くの周知のキャリ
アのいずれか(例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、ブドウ糖、
グリセロール、エタノールなど)、またはそれらの組み合わせであり得る。本発
明の化合物は、無機または有機の酸および塩基から誘導された薬学的に受容可能
な塩の形態で使用され得る。このような酸性塩の間には、以下が含まれる:酢酸
塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンス
ルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスル
ホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、
エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルセロリン酸塩、ヘ
ミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸
塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホ
ン酸塩、2ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペ
クチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩
、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、タートルズルテ(
tartrzlte)、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩(
utidecanoate)。塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金
属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば
、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基を有する塩(例えば、ジシク
ロヘキシルアミンの塩、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシルメ
チル)メチルアミン)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)を
有する塩が挙げられる。また、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物
(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、および塩化ブチル、臭化メ
チル、臭化エチル、臭化プロピル、および臭化ブチル、ならびにヨウ化メチル、
ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、およびヨウ化ブチル);ジアルキルスルフェー
ト(例えば、ジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、ジブチルスルフェ
ート、およびジアミルスルフェート)、長鎖のハロゲン化物(例えば、塩化デシ
ル、塩化ラチリル(ラチリル(latiryl))、塩化ミリスチル、および塩
化ステアリル、臭化デシル、臭化ラチリル(latiryl)、臭化ミリスチル
、および臭化ステアリル、ならびにヨウ化デシル、ヨウ化ラチリル(latir
yl)、ヨウ化ミリスチル、およびヨウ化ステアリル)、ハロゲン化アラルキル
(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような薬剤で四級化(q
uatemize)され得る。それによって、水または油に可溶な、あるいは分
散する生成物が得られる。
【0112】 本発明の薬学的組成物は、任意の薬学的に受容可能なキャリアと共に、任意の
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体を含む。本明細書中
で使用される場合、用語「キャリア」は、受容可能なアジュバントおよびビヒク
ルを含む。本発明の薬学的組成物において使用され得る、薬学的に受容可能なキ
ャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イオン交換体、
アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような
血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン
酸カルシウム、飽和植物性脂肪酸、水、塩または電解質の部分的なグリセリド混
合物(例えば、プロラミンスルフェート)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水
素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、ケイ酸マグネシウム
、ポリビニルピロリドン、セルロース−ベースの物質、ポリエチレングリコール
、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ろう、ポリエチ
レン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよ
び羊毛脂。
【0113】 本発明に従うと、薬学的組成物は、無菌の注射用の調製形態(例えば、無菌の
注射用の水性または油性の懸濁液)であり得る。この懸濁液は、適切な分散剤ま
たは界面活性剤および懸濁剤を使用して、当該分野において公知の技術に従って
処方され得る。無菌の注射用の調製はまた、無毒の非経口的に受容可能な希釈液
または溶媒中の無菌の注射用溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオー
ル中の溶液として)であり得る。利用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒に
は、水、リンガー溶液、および塩化ナトリウム等張液がある。さらに、無菌の不
揮発性油が、必要に応じて、溶媒または懸濁媒体として利用される。この目的の
ために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意のブランドの不
揮発性油が利用され得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪
酸は、注射液の調製において有用であり、天然に存在する薬学的に受容可能な油
(例えば、オリーブ油またはヒマシ油)も、特にポリオキシエチル化バージョン
では、同様である。これらの油の溶液または懸濁液はまた、長鎖のアルコール希
釈剤または分散剤を含む。
【0114】 本発明の薬学的に受容可能な組成物、特に、低分子のインテグリンアンタゴニ
ストは、非経口または経口で与えられ得る。経口で与えられると、これらは、任
意の経口的に受容可能な用量の、カプセル、錠剤、水性懸濁液または水溶液を含
む形態(しかし、これらに限定されない)で投与され得る。経口使用のための錠
剤の場合、通常使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチ
が挙げられる。ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤がまた、典型的に添加
される。カプセル形態での経口投与のために、有用な希釈剤としては、ラクトー
スおよび乾燥したコーンスターチが挙げられる。経口使用のために水性懸濁液が
必要とされる場合は、活性成分が乳化剤および懸濁剤と合わせられる。所望なら
ば、特定の甘味料、矯味矯臭剤、または着色剤がまた添加され得る。部分的な経
皮パッチもまた使用され得る。
【0115】 本発明の薬学的組成物はまた、ネブライザー、ドライパウダー吸入器または測
定量吸入器の使用によって、経鼻のエアロゾルまたは吸入によって投与され得る
。このような組成物は、薬学的処方の分野において周知の技術に従って調製され
、そして、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を増強
するための吸収プロモーター、フルオロカーボン、および/または他の従来の可
溶化剤または分散剤を利用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。別の
実施形態に従うと、本発明の化合物を含む組成物はまた、コルチコステロイド、
抗炎症剤、免疫抑制剤、代謝拮抗剤、および免疫モジュレーターからなる群から
選択される添加剤を含み得る。これらのクラスの各々に含まれる化合物は、「総
合医薬品化学(Comprehensive Medicinal Chemi
stry)」、Pergamon Press、Oxford、England
、pp.970−986(1990)(この開示は、本明細書中で参考として援
用される)における、適切な群の見出しのもとにリストされる任意の化合物から
選択され得る。特定の化合物は、テオフィリン、スルファサラジン、およびアミ
ノサリチレート(抗炎症剤);シクロスポリン、FK−560、およびラパマイ
シン(免疫抑制剤);シクロホスファミドおよびメトトレキサート(代謝拮抗剤
);ステロイド(吸入される、経口的、または部分的)およびインターフェロン
(免疫モジュレーター)である。
【0116】 非経口投与のための有用な溶液は、例えば、レミングトンの薬学(Remin
gton’s Pharmaceutical Siences)(Genna
ro、A.版)、Mack Pub.、1990に記載される、薬学的分野で周
知の任意の方法によって調製され得る。当業者によって考えられるように、処方
された化合物は、治療的有効量の腎臓治療剤を含む。つまり、この化合物は、適
切な濃度の薬剤を、持続的または進行性の腎機能の喪失を防止するか、阻害する
か、遅れさせるか、または緩和するか、さもなくば治療的効果を提供するのに十
分な時間、腎組織に提供する量で含む。当業者によって考えられるように、本発
明の治療的組成物に記載される化合物の濃度は、選択された薬剤の生物学的効果
、利用される化合物の化学的性質(例えば、疎水性)、化合物賦形剤の処方、投
与経路、および、考えられる処置(活性成分が腎臓または腎皮膜に直接投与され
るか否か、またはそれが全身的に投与されるか否か、が挙げられる)を含む、多
数の因子に依存して変化する。投与されるべき好ましい投薬はまた、腎組織の状
態、腎機能喪失の程度、および特定の被験体の全体的な健康状態のような変数に
依存すると考えられる。投薬は、連続的に、または毎日行われ得るが、現在は、
(例えば、適切な医学マーカーおよび/または生活の質の指標による、腎機能の
安定性および/または改善によって測定される場合、)十分な応答が続く限り、
週に1度、2度、または3度、投薬を行うことが好ましい。より頻度の低い投薬
(例えば、月に一度の投薬)もまた利用され得る。連続的な、週2回、または週
3回の血液透析期間をさもなくば必要とする被験体にとって、連続的な、週2回
、または週3回静脈または腹腔内の輸血は、過度に都合が悪いと考えられない。
さらに、頻繁な輸血を簡易にするために、半永久的なステントの(例えば、静脈
内、腹腔内、または嚢内の)移植が賢明であり得る。
【0117】 本発明の腎臓治療剤は、もちろん、単独、または、本明細書中に記載される症
状の処置において有益であると公知の他の分子と組み合わせて投与され得る。従
って、他の薬剤と組み合わせて使用される場合、本発明の腎臓治療剤の用量を変
えることは、賢明であり得る。
【0118】 (動物モデル) 本発明の薬剤はまた、慢性的な腎不全の動物モデルにおいて試験され得る。哺
乳動物のモデルの慢性的な腎不全(例えば、マウス、ラット、モルモット、ネコ
、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、および非ヒト霊長類における)が、
動物の腎組織に対して、適切な直接的または間接的な損傷、あるいは傷害を引き
起こすことによって作られ得る。例えば、動物モデルの慢性的な腎不全は、部分
的な(例えば、5/6の)腎摘除術を行うことによって作られ得、この腎摘除術
は、機能するネフロン単位の数を、代償性の腎臓肥大、さらにネフロン喪失、そ
して腎機能における進行性の減少(これは、慢性的な腎不全によって特徴付けら
れる)を惹起するレベルに減少させる。最終的に、本発明の薬剤は、慢性的な腎
不全にある、またはその危険性がある哺乳動物の被験体(例えば、ヒト被験体)
に投与される場合、腎機能の標準的マーカーにおいて臨床的に有意な改善を引き
起こすことにおける、その薬剤の治療効果について評価され得る。このような腎
機能のマーカーは、医学文献で周知であり、そしてBUNレベルにおける増加率
、血清クレアチンにおける増加率、BUNの静的測定、血清クレアチンの静的測
定、糸球体濾過率(GFR)、BUN/クレアチンの割合、ナトリウム(Na+
)の血清濃度、クレアチンに対する尿/血漿の割合、尿素に対する尿/血漿の割
合、尿の重量オスモル濃度、毎日の尿量などが挙げられるが、これらに限定され
ない(例えば、ハリソンの内科学の原則(Harrison’s Princi
ples of Internal Medicine)、第13版のBren
nerおよびLzarus(1994)を参照のこと。) (等価物) 本発明は、その精神または本質的な特徴を逸脱することなく、他の特定の形態
で具体化され得る。従って、前述の実施形態は、全ての点において、本明細書中
に記載される発明に対する限定ではなく、例示として考慮されるべきである。本
発明の実施は、さらなる好ましい局面およびその実施形態を含み、以下の実施例
(これらは、本明細書中で例示のためのみに記載され、そしていかなる点におい
ても本発明を制限すると解釈されるべきではない)からなおより完全に理解され
る。
【0119】 (実施例) (実施例1:腎機能不全動物モデル) 高力価の抗ラット糸球体基底膜(GBM)血清(NTS)のWKYラットへの
静脈注射によって、ラットGBM上へのウサギIgGの沈着が生じ、これは、移
植された抗原として働き、そして、プロ炎症性(proinflammator
y)サイトカインおよびアドヘシン分子(例えば、ともに糸球体への白血球の漸
増を伴うICAM−1およびVCAM−1)のアップレギュレートによって特徴
付けられる活発な炎症性応答を開始する。細胞流入はおもに単球であり、CD8
+細胞もまた存在するが、これらは古典的T細胞ではない。いくつかの細胞は、
CD8+およびラット単球/マクロファージマーカーED1(CD68等価物)
を同時発現し、これらがマクロファージサブセットに存在することを示唆する。
【0120】 細胞流入は、この腎毒性腎炎モデル(NYN)の1日目までに進行し、そして
、糸球体白血球は、3〜4日目にピークとなる。腎傷害は、4日目までに蛋白尿
の形態で現れ、そしてフィブリノイド壊死および半月形成は、7日目までに糸球
体内で生じる。
【0121】 炎症性間質性浸潤物は、炎症性プロセスが糸球体から溢れ出る場合、11日目
までに形成する。この「2次的」尿細管間質性腎炎はまた、初期糸球体腎炎を伴
うヒトに見られ、そしてしばしばほとんど徴候を示さない。クレアチニンクリア
ランス(CNC)が低下し始め、血清クレアチニンは、NTNの3週間目に上昇
する。CRFから40日付近で死を生じるまで、糸球体内の線維症および間質性
区画は、進行性に悪化する。
【0122】 簡単には、6週齢と8週齢との間の雄Wistar−Kyoto(WKY)ラ
ット(200〜250g体重)を、Charles River Labora
toriesから購入し、そして標準のラットの餌および水(ad libit
um)を与える。異種性腎毒素血清(NTS)を、標準法によって調製する。例
えば、ラット糸球体を単離し、超音波処理しそして凍結乾燥して、5%未満の腎
細管(tubular)夾雑物を有するラット糸球体基底膜(GBM)調製物を
提供する。アルビノNew Zealand WhiteウサギをCFA中でラ
ットGBMで免疫して、ついで、試験血液に高力価の抗GBM抗血清を得るまで
GBMで1カ月おきにブーストする。次いで、総量0.1mlのNTSをWKY
ラットに静脈注射し、上記のような腎毒素腎炎の発達を導く。このモデルの詳細
は、F.W.K.ら、Nephrology Dialysis Transp
lantation 14:1658−1666(1999)に見出され得る。
【0123】 (腎疾患の評価) (機能的パラメーター:) アルブミン尿/蛋白尿:これは、糸球体漏出、および軽度ではあるが、濾過さ
れたタンパク質の腎細管(tubular)代謝の機能不全を反映する。このよ
うなデータの解釈は困難であり得る。なぜなら、これは、2つの独立する変数の
積であるからである;増加したGBM透過性は、高度の蛋白尿を導くが、低減し
た糸球体濾過率は、糸球体蛋白尿を減少する。
【0124】 尿を、摘出24時間前に代謝ケージ内で回収した。尿アルブミン濃度を、ロケ
ット免疫電気泳動によって決定した。尿タンパク質濃度を、スルホサリチル酸沈
殿によって決定した。
【0125】 血清クレアチニンおよびクレアチニンクリアランス(CrCl):Olymp
us試薬およびOlympus AU600分析機(Olympus,East
leigh,U.K.)を使用する血清クレアチニン濃度の決定のために、摘出
時に末梢血を採取した。尿クレアチニン濃度はまた、クレアチニンクリアランス
の計算を可能にするために測定した(Bayer RA−XT,Newbury
、U.K.)。
【0126】 生存:これらの研究の終了点は、突然死かまたは苦痛から救済するための屠殺
かのいずれかである。観察者に依存しない盲検によって動物を毎日観察し、そし
て第三者によって必要と思われる場合は瀕死の動物を屠殺する。特に、生存研究
における生存する動物の約半分は、「殺害」終了点に達した。
【0127】 (組織学的パラメーター:) ヘマトキシリン染色およびエオジン染色の切片によって、任意の計測スケール
(scoring scale)を使用する糸球体の瘢痕、腎細管(tubul
ar)の脱落、間質性炎症性浸潤物および間質性線維症を天然のままで評価し得
る。
【0128】 糸球体線維症:本発明者らは、Masson−Trichrome組織化学(
腎臓内に「ロードされた」コラーゲンを評価する方法を提供する)によって緑色
に染色された腎皮質領域の%をコンピューターによって評価した。個々の糸球体
をまた、目的の領域として選択して特定の糸球体線維症を計算し得る。糸球体内
の間質性線維症を定量するために、標準のトリクロム法(Mattius Ye
llow,Brilliant Crystal ScarletおよびAni
line Blue)を使用して、パラフィン包埋した腎臓切片を染色した。糸
球体フィブリンの脱落(例えば、フィブリノイド壊死)を定量するために、パラ
フィン包埋した腎臓切片を、フィブリンを赤/オレンジ色に染色するMatti
us Yellowを使用して染色した。切片を、Photonicデジタルカ
メラ(Photonic Science,East Sussex,U.K.
)をマウントしたOlympus BX40顕微鏡(Olympus Opti
cal,London,U.K.)を使用して、X200倍率下で試験した。画
像を捕捉し、そしてImage−Pro PlusTMソフトウェア(Media
Cybernetics,Silver Spring,MD)を使用して分
析した。
【0129】 フィブロネクチンのED(A)ドメインについて腎臓切片を免疫ペルオキシダ
ーゼ染色した後に褐色に染色された腎臓皮質領域の%の定量は、CRFの異なる
機能的な重症度の間を区別するようである。同様に、コラーゲンIII型の免疫
組織化学によって、染色された腎臓皮質領域の%を計算し得る。
【0130】 糸球体α平滑筋アクチン(SMA)発現を、免疫蛍光によって測定した。この
タンパク質は、糸球体内の「筋線維芽細胞性」の細胞の集団を規定する。このこ
とは、糸球体線維症における重要な因子であることを教示する。αSMAについ
ての免疫蛍光染色の定量は、糸球体Masson−トリクロム線維症計測と良く
相関する。
【0131】 (実施例2:急性段階v.慢性段階におけるTGFβアンタゴニスト効果) TGFβは、腎機能不全の病原性においてよく確立された役割を有する。本発
明者らは、インビボでTGFβアンタゴニストとして働くように、ヒトFc幹(
stem)(Smith,P.D.ら、Circ.Res.84:1212−1
222(1999)を参照のこと)上の可溶性ダイマーウサギTGFβレセプタ
ーII型を使用した。Fc融合物として可溶性TGFβレセプターを、5mg/
kgで1日目に開始して3日毎に腹腔内注射によって与えた。コントロールとし
て使用したPBSでの実験を持続する間、投与を続けた。NTNを上記のように
0日目の12匹のラットに誘導し、そしてこれらのラットの半分を9日目に屠殺
し、残りを21日目に屠殺した。アルブミン尿またはクレアチニンクリアランス
に顕著な効果は見られなかったが、研究した時間点の全てにおいて糸球体でのフ
ィブリノイド壊死は減少する傾向があった。群の間で半月の数において差異は見
られなかった。免疫組織化学は、TGFβアンタゴニストが以下に顕著な効果を
有さなかったことを示した:1)糸球体細胞性浸潤物(EDl+マクロファージ
またはCD8+細胞);2)糸球体マクロファージ活性(誘導性一酸化窒素合成
酵素発現);または3)糸球体細胞増殖(Ki67発現)(データは本明細書に
は示さず)。
【0132】 慢性の腎機能障害の研究において、12匹のラットにNTNを誘導し、そして
ヒトFc幹上の可溶性ダイマーウサギTGFβレセプターII型を、14日目〜
35日目(ラットを屠殺した日)まで一日おきに1mg/kg用量の腹腔内注射
によって与えた。NTSで誘導した12匹のラットのうち6匹を、匹敵する量の
ヒトIgGを受けたコントロールとして供給した。可溶性TGFβアンタゴニス
トを28日目および35日目に受けたラットにおいて、血清クレアチニンは、顕
著に低かった(図1を参照のこと)。糸球体半月が存在するか否かの計測は、群
の間に差異を示さなかったが、このことは、この実験での処置の開始における遅
延がほとんど全ての糸球体がいくつかの異常を有することを意味するからである
。図2に示されるのは、線維化した糸球体領域の平均%(50の連続する糸球体
について評価する)およびフィブリンによって占められる糸球体の四分円の数で
ある。
【0133】 (実施例3:急性段階v.慢性段階に対する抗VLA−1抗体ホモログ効果) VLA−1に対する抗体を、10日目までの短期間の研究において評価した。
ラットα1インテグリンVLA−1に対するハムスター抗体(Ha3 1/8)
を、1日目、次いで、1、3、6および8日目に投与した。コントロール抗体(
HA4/8)をまた、投与した。腹腔内への2.5mg/kg用量において、ア
ンタゴニストとコントロールとの間に蛋白尿に対する顕著な効果はなかった。本
発明者らはまた、いずれかの抗体のいずれの用量においても糸球体フィブリノイ
ド壊死または半月形成に対して効果がないことを観察した。
【0134】 抗体を14〜28日目に与えること以外、慢性の研究は、上記の可溶性TGF
βレセプター研究と同様のプロトコールに従った。24匹のラットを0日目にN
TSで誘導し、14〜28日目に10匹のラットが抗VLA−1(Ha3 1/
8)を受け、同一の期間に10匹のラットがコントロール抗体(Ha4/8)を
受けた。4匹のラットを、基準線の形態学のために14日目に屠殺した。10匹
のラットを、形態学のために35日目に屠殺した(5匹の処置ラットおよび5匹
のコントロールラット)。10匹のラットは、生存する腕が残存し、そして死ん
だかまたは人道的理由で屠殺されたかのいずれかである。抗VLA−1mAb群
のラット中の1匹は、麻酔剤で死んだ。
【0135】 この実験における疾患の速度は、以前に観察されたものよりも遅く、その結果
、死ぬのは通常より遅い。生存曲線(図3)は、コントロールラットの全てが約
75日目までに死亡し、そして抗VLA−1mAb群中の4匹のラット全てが1
25日目以降さえ健康に見え続けるように、発散した。
【0136】 (実施例4:急性段階v.慢性段階に対する抗α4抗体ホモログ効果) このモデルの急性期において、本発明者らは、α4インテグリンアンタゴニス
トが腎傷害(アルブミン尿、糸球体フィブリノイド壊死および半月形成)を顕著
に低減することを以前に示した。Allen,A.R.ら、J.Immunol
ogy 162:5519−5527(1999)を参照のこと。
【0137】 このモデルにおける慢性で進行性の腎傷害の媒介におけるα4インテグリンア
ンタゴニストの役割を探るために、本発明者らは、可溶性TGFβIIについて
実施例2に示されたプロトコールと同様のものを使用した。本発明者らは、VL
A−4/α4β7媒介白血球接着をブロックするマウス抗体TA−2(Phar
Mingen(San Diego)から供給されるマウスIgG1抗ラットα
4インテグリン)を使用した。使用した用量は、急性の研究において効果的であ
ることが見出された2.5mg/kgであり、そして一日おきに腹腔内に与えら
れた。この研究において、5日目と13日目との間に24匹のラットがNTSを
受け、そして12匹にTA−2コントロールmAbを与えた。他の12匹が、1
3日目と21日目との間にTA−2またはコントロールmAbを受けた。全ての
ラットを30日目に屠殺した。驚くことに、TA−2投与の期間中、アルブミン
尿を顕著に減少したが、抗体処理の休止後に群は収束した。形態学的な傷害計測
は、13〜21日目におけるTA−2処置ラットの、コントロールに対して低い
糸球体瘢痕を示唆した(p=0.06)。TA−2被験体において、血清クレア
チニンが低くそしてCrClが高い傾向がある。
【0138】 本発明者らは、生存および後期の形態学を試験することを目的として、このC
RF研究を長く続けた。なぜなら、CrCl曲線が30日目に収束するようであ
るからである。実施例2についてのように、24匹のラットを静脈内投与のNT
Sで誘導し、そして4匹を基準線形態学を提供するために14日目に屠殺した。
抗α4抗体TA−2を、14日目と24日目との間の10匹のラットに与え、そ
して10匹のラットは、アイソタイプの一致するコントロール抗体(Bioge
n,Inc.から得た1E6抗ヒトLFA3 IgG1抗体)を受けた。各群か
らの5匹のラットを、形態学のために35日目に屠殺し、そして残りを以前に記
載したような生存の研究に用いた。
【0139】 生存は、コントロールよりTA−2を受けたラットにおいて顕著に良化した(
半分生存68日対49日、ログ等級(log−rank)p=0.01)(図4
)。TA−2被験体における蛋白尿は、35日目以降に増大し(おそらく、より
良く持続された糸球体濾過率のマーカー)、そしてCrClは、コントロールよ
りこれらのラットにおいてより持続された(35日目にp<0.05)。間質性
瘢痕計測は、抗α4mAbを受けたラットにおいて、コントロールに比べて顕著
に低減し(p<0.05)、そして、適切に染色された切片をコンピューター画
像分析ソフトウェアで計測した場合、糸球体瘢痕および糸球体α平滑筋アクチン
発現におけるわずかな差異が観察された。同様の技術を使用して、皮質ED(A
)フィブロネクチン沈着の存在はまた、抗α4mAb被験体において低減したが
、これらの2群の間で皮質M型コラーゲン沈着において差異は見られなかった。
糸球体白血球数は、抗α4被験体において顕著に増大し、おそらくは、コントロ
ールラットにおいて悪化する瘢痕を反映する(本明細書でデータは示さず)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、陰性コントロールを受容するラットに対する、可溶性TGFβアンタ
ゴニストを受容するラット(黒四角)に関する動物モデルの、慢性腎不全段階の
間の血清クレアチニンの測定を示す。
【図2】 図2は、陰性コントロールを受容するラットに対する可溶性TGFβアンタゴ
ニストを受容するラット(黒四角)に関する動物モデルの慢性腎不全段階の間に
、線維組織形成された糸球体領域の平均の%(50の継続性糸球体に対して推定
した)およびフィブリンによって占められる糸球体四分円の数を示すグラフであ
る。
【図3】 図3は、陰性コントロールを受容するラットおよび抗VLA−1抗体を受容す
るラットに対する、動物モデルの慢性腎不全段階における生存曲線を示す。
【図4】 図4は、抗VLA−4抗体を受容するラット(黒丸)および陰性コントロール
を受容するラット(白丸)に対する、動物モデルの慢性腎不全段階における生存
曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/12 A61P 13/12 13/12 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 アレン, アンドリュー イギリス国 エスジー7 5エヌピー ア ッシュウェル ハーツ, ハイ ストリー ト 57 (72)発明者 パシィー, チャールズ イギリス国 ダブリュー13 9ジェイエス ロンドン, イーリング, ラブデイ ロード 14 (72)発明者 ロブ, ロイ アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02090, ウエストウッド, キャントン ストリート 569 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA13 AA14 AA17 BA02 BA08 BA23 BA35 BA44 CA17 CA53 CA56 CA59 DC50 NA14 ZA422 ZA812 ZC352 4C085 AA13 AA34 BB11 BB31 CC03 CC21 CC22 EE01

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 慢性腎不全の哺乳動物または慢性腎不全の危険のある哺乳動
    物に対する処置方法であって、該哺乳動物に、治療有効量のインテグリンアンタ
    ゴニストを投与する工程を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記インテグリンアンタゴニストが、α4サブユニット含有
    インテグリンとその同種のリガンドまたはレセプターとの間の相互作用を拮抗す
    るポリペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記インテグリンアンタゴニストが、抗VLA−4抗体ホモ
    ログを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記インテグリンアンタゴニストが、α1サブユニット含有
    インテグリンとその同種のリガンドまたはレセプターとの間の相互作用を拮抗す
    るポリペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記インテグリンアンタゴニストが、抗VLA−1抗体ホモ
    ログを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記インテグリンアンタゴニストが、インテグリンの、α4
    インテグリンサブユニット以外の少なくとも1つのさらなるα含有サブユニット
    との間の相互作用を拮抗し得る、請求項2に記載の方法。
  7. 【請求項7】 慢性腎不全の哺乳動物または慢性腎不全の危険のある哺乳動
    物に対する処置方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の2つ以上のインテグ
    リンアンタゴニストを投与する工程を包含し、ここで、該アンタゴニストのうち
    の少なくとも2つが、第1のインテグリンアンタゴニストおよび第2のインテグ
    リンアンタゴニストを含み、該第1のインテグリンアンタゴニストは、α4含有
    サブユニットとその同種のリガンドまたはレセプターとの間の相互作用を拮抗し
    、そして該第2のインテグリンアンタゴニストは、α4ではない別のα含有サブ
    ユニットとの間の相互作用を拮抗する、方法。
  8. 【請求項8】 前記アンタゴニストが低分子である、請求項1または6に記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 前記哺乳動物が、慢性腎不全、末期腎臓病、慢性糖尿病性腎
    症、糖尿病性糸球体症、糖尿病性腎肥大、高血圧性腎硬化症、高血圧性糸球体硬
    化症、慢性糸球体腎炎、遺伝性腎炎、および腎臓形成異常症からなる群より選択
    される状態に罹患している、請求項1または7に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記抗体ホモログが、核酸配列によってその一部がコード
    されたヒト化抗体であり、該核酸配列は、高ストリンジェンシーな条件下で、米
    国特許第5,840,299号の表6の配列の群より選択される核酸配列または
    該核酸配列の相補体とハイブリダイズする核酸を含む、請求項2に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記抗体ホモログが、核酸配列によってその一部がコード
    されたヒト化抗体であり、該核酸配列が、低ストリンジェンシーな条件下で、米
    国特許第5,840,299号の表6の核酸配列の群より選択される核酸配列ま
    たは該核酸配列の相補体とハイブリダイズする核酸を含む、請求項2に記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 前記抗体ホモログが、核酸配列によってその一部がコード
    されたヒト化抗体であり、該核酸配列が、低ストリンジェンシーな条件下で、 a)米国特許第5,932,214号に見出される配列番号2; b)米国特許第5,932,214号に見出される配列番号4;および c)細胞株ATCC CRL 11175により産生される抗体の可変ドメイ
    ン、 からなる群より選択されるポリペプチド配列をコードする核酸配列とハイブリダ
    イズする核酸を含む、請求項2に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記抗体ホモログが、核酸配列によってその一部がコード
    されたヒト化抗体であり、該核酸配列が、高ストリンジェンシーな条件下で、 a)米国特許第5,932,214号に見出される配列番号2; b)米国特許第5,932,214号に見出される配列番号4;および c)細胞株ATCC CRL 11175により産生される抗体の可変ドメイ
    ン、 からなる群より選択されるポリペプチド配列をコードする核酸配列とハイブリダ
    イズする核酸を含む、請求項2に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記第1のインテグリンアンタゴニストが、核酸配列によ
    ってその一部がコードされたヒト化抗体であり、該核酸配列は、高ストリンジェ
    ンシーな条件下で、米国特許第5,840,299号の表6の配列の群より選択
    される核酸配列または該核酸配列の相補体とハイブリダイズする核酸を含む、請
    求項7に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記第1のインテグリンアンタゴニストが、核酸配列によ
    ってその一部がコードされたヒト化抗体であり、該核酸配列が、低ストリンジェ
    ンシーな条件下で、米国特許第5,840,299号の表6の核酸配列の群より
    選択される核酸配列または該核酸配列の相補体とハイブリダイズする核酸を含む
    、請求項7に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記第1のインテグリンアンタゴニストが、核酸配列によ
    ってその一部がコードされたヒト化抗体であり、該核酸配列が、低ストリンジェ
    ンシーな条件下で、 a)米国特許第5,932,214号に見出される配列番号2; b)米国特許第5,932,214号に見出される配列番号4;および c)細胞株ATCC CRL 11175により産生される抗体の可変ドメイ
    ン、 からなる群より選択されるポリペプチド配列をコードする核酸配列とハイブリダ
    イズする核酸を含む、請求項7に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記第1のインテグリンアンタゴニストが、核酸配列によ
    ってその一部がコードされたヒト化抗体であり、該核酸配列が、高ストリンジェ
    ンシーな条件下で、 a)米国特許第5,932,214号に見出される配列番号2; b)米国特許第5,932,214号に見出される配列番号4;および c)細胞株ATCC CRL 11175により産生される抗体の可変ドメイ
    ン、 からなる群より選択されるポリペプチド配列をコードする核酸配列とハイブリダ
    イズする核酸を含む、請求項7に記載の方法。
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