JP2003333928A - 植物栽培用の植え込み材とその製造方法 - Google Patents
植物栽培用の植え込み材とその製造方法Info
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Abstract
生産する。使用できる期間を長くしてランニングコスト
を著しく低減する。 【解決手段】 植物栽培用の植え込み材は、織布の廃棄
屑を開繊してなる繊維屑を立体的に集合すると共に、集
合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスし
て、プレス状態で繊維の交点をバインダーで結合してな
る繊維マットを、所定の大きさであって一定の定まった
形状ではない不特定なランダム形状の繊維粒に破砕して
いる。植え込み材の製造方法は、織布の廃棄屑を開繊し
てなる繊維屑に加工する工程と、繊維屑を立体的に集合
すると共に、集合された繊維間に無数の空隙が存在する
状態にプレスして、プレス状態で繊維の交点をバインダ
ーで結合してなる繊維マットとする工程と、繊維マット
を所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不
特定なランダム形状の繊維粒に破砕する工程とからな
る。
Description
わって使用される植物栽培用の植え込み材に関し、特
に、洋ランや観葉植物、花卉、果菜類等の培地として、
鉢やプランターなどの容器に入れて栽培する鉢物栽培に
最適な植え込み材に関する。
用の植え込み材として好んで使用されている。水苔が、
植物の植え込み材として極めて優れた物性を有するから
である。にもかかわらず、近年、水苔に代わって、軽石
やピートモス等の植え込み材が使用される割合が増加し
ている。それは、水苔の採集に手間がかかるために、そ
のコストが著しく高騰していることが原因である。た
だ、水苔は、水分を多量に保持する保水性に優れてお
り、しかも多くの隙間があって優れた通気性もあり、他
の植え込み材では実現できない極めて優れた特性がある
ので、植え込み材として水苔に代わって軽石やピートモ
スなどを使用すると、植物の根にとって必要量の酸素や
水を含む培地の環境を保持することが水苔に比べ非常に
困難となり、最適な水管理を行うのに手間がかかること
になる。水管理を誤ると、過湿害による根腐れや水不足
によって葉先が枯れるなどの症状を引き起こし収量が減
少する。いくら最適とされる水管理を行ったとしても植
え込み材の物性が悪いと、植物の根や葉にとって充分な
生育環境を保持できない。例えば、植え込み材の通気性
や排水性が悪いと、水管理では対処できずに、根が酸素
欠乏状態になり過湿害などを引き起こすことになる。こ
のことにより、水苔は洋ラン等の植物以外の植物、例え
ば観葉植物や花卉等の栽培の培地として好ましい植え込
み材である。ところが、他の培地に比較して高価である
ので使用されない。
に、種々の植物の生育環境を良くすることからすれば、
極めて優れた特性を示す。ただ、植え込み材として全て
の条件を満足するのではなく、欠点もある。それは、水
苔は酸性が強く、しかも酸性が経時的に次第に強くなる
傾向があるのと腐食が速いために、1〜2年に一度の割
合で新しい水苔に植え替えする必要があるからである。
高価な水苔を短い期間で植え替えすることは、栽培に手
間がかかるばかりでなく、植え込み材のランニングコス
トをさらに高騰させる。
した状態で水やりすると吸水性が悪い。一度乾燥した水
苔は、もう一度時間をかけて吸水できる湿潤な状態にす
る必要がある。この状態でさらに散水して充分に吸水さ
せる必要がある。このため、散水に時間がかかり、短時
間の散水では、吸水できない欠点がある。
あるから、酸性が強くなることがなく、また散水すると
速やかに吸水する。しかしながら、軽石は前述したよう
に、植え込み材として最も大切な、保水性等の物性が水
苔に劣る欠点がある。
ような欠点を解決することを目的に開発されたものであ
る。本発明の重要な目的は、水苔に勝るとも劣らない優
れた物性を有するにもかかわらず、安価に多量生産で
き、しかも安定供給が可能である植物栽培用の植え込み
材とその製造方法を提供することにある。さらに、本発
明の他の大切な目的は、水やりを簡単にできると共に、
植物の生産性にも優れ、さらに使用できる期間を長くし
て、ランニングコストを著しく低減できる植物栽培用の
植え込み材とその製造方法を提供することにある。
え込み材は、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布
の廃棄屑を開繊してなる繊維屑を立体的に集合すると共
に、集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプ
レスして、プレス状態で繊維の交点をバインダーで結合
してなる繊維マットを、所定の大きさであって一定の定
まった形状ではない不特定なランダム形状の繊維粒に破
砕している。
しくは5〜20mmとすることができる。バインダー
は、低融点の合成繊維とすることができる。さらに、繊
維屑をポリエステル系合成繊維として、バインダーを低
融点のポリエステル系繊維とすることができる。繊維屑
は、80重量%以上のポリエステル系合成繊維を含むこ
とができる。
植え込み材の製造方法は、合成繊維を含む繊維で編み組
みされた織布の廃棄屑を開繊してなる繊維屑に加工する
工程と、繊維屑を立体的に集合すると共に、集合された
繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスして、プレ
ス状態で繊維の交点をバインダーで結合してなる繊維マ
ットとする工程と、繊維マットを所定の大きさであって
一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状の繊
維粒に破砕する工程とからなる。
の植え込み材は、繊維屑を無数の空隙ができる状態で立
体的に集合すると共に、紐状に連結する状態として繊維
紐としている。この繊維紐は、加圧しない状態での平均
的な太さを2〜30mmとしている。
できる。捨て耳は、織物を製造する工程でできる廃棄物
であるので、これを有効に再利用して製造コストを著し
く低減できる特長がある。さらに、繊維紐は、織物の捨
て耳を撚糸したものとすることができる。撚糸した捨て
耳は、繊維の集合が密になるので、吸水性と保水性とを
向上できる。
づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明
の技術思想を具体化するための植物栽培用の植え込み材
とその製造方法を例示するものであって、本発明は植え
込み材とその製造方法を下記のものに特定しない。
ンや観葉植物、あるいは花卉、果菜類を栽培するための
培地として極めて優れた物性を示す。ただ、本発明の植
え込み材は、これ等以外の植物の栽培にも使用できるの
で、栽培する植物を特定しない。
に多量生産し、安定供給を可能とすると共に、廃棄物を
有効に再利用するために、織布の廃棄屑を原料に使用す
る。ただし、本発明の植え込み材は、織布の廃棄屑に、
繊維屑でない新しい繊維を混合することもできるのは言
うまでもない。とくに、植え込み材の物性をより向上
し、また繊維屑を結合するためのバインダーとして、新
しい繊維が添加される。ただ、新しい繊維の添加量が多
くなると、植え込み材の原料コストが高くなる。このた
め、新しい繊維の添加量はできるかぎり少なく、たとえ
ば50重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらに
好ましくは30重量%以下とする。
屑で製作される。合成繊維は腐食しないので耐久性に優
れ、天然繊維は腐食して自然に消失する。このため、合
成繊維の混合率の高い植え込み材は、耐久性があって使
用期間を長くできる。反対に、天然繊維の混合率の高い
植え込み材は、自然に消失できる特長がある。したがっ
て、耐久性が要求される植え込み材は合成繊維の混合率
を高くし、自然に消失させる植え込み材は天然繊維の割
合を多くする。一般的に使用する場合においては、合成
繊維の混合率を高くし、優れた耐久性の植え込み材が便
利に使用できる。したがって、植え込み材は、合成繊維
の混合率を好ましくは50重量%以上とし、さらに好ま
しくは60重量%以上とし、最適には70重量%以上と
する。とくに、合成繊維を100%とする植え込み材
は、極めて優れた耐久性があって、長い年月にわたって
優れた特性を失わない。植え込み材の合成繊維として、
ポリエステル系合成繊維がとくに優れている。ポリエス
テル系合成繊維は、強靭で耐久性に富み、しかも耐薬品
性に優れているので、極めて長い期間、安定して使用す
ることができる。ただし、合成繊維には、ポリアミド系
合成繊維やポリアクリル系合成繊維等の繊維も使用でき
る。
み材は、以下の工程で製造される。 (1) 廃棄屑の開繊工程 膨大な量の織布の廃棄屑が縫製工場等で発生している。
織布の廃棄屑は、合成繊維と天然繊維を含むものである
が、ほとんどの廃棄屑は合成繊維の混合率が高い。合成
繊維の混合率の高い廃棄屑は、耐久性のある植え込み材
の原料として適している。織布の廃棄屑は、開繊して繊
維状の繊維屑に加工できる。開繊は、例えば、織布の廃
棄屑を表面から無数の針で引っかいて繊維状に加工す
る。ただ、本発明は、廃棄屑の開繊方法をこの方法には
特定しない。廃棄屑は、他の種々の方法で開繊できるか
らである。織布の廃棄屑を繊維屑に加工する方法は、現
在使用され、あるいはこれから開発される全ての方法を
利用できる。
維は、繊維の間に無数の空隙が存在する状態にプレスさ
れる。そして、プレス状態で繊維の交点がバインダーで
結合されて繊維マットに加工される。繊維屑は、立体的
に集合されるとき、繊維の方向が揃わないように方向性
なく集合される。繊維は、移動しているベルトの上に落
下されて所定の厚さに集合される。集合された繊維屑
は、ニードルパンチやウォータージェット等の方法で、
繊維を絡ませることができる。この状態で集合された繊
維は、繊維間の空隙が多すぎる。植え込み材は、毛細管
現象で繊維の微細な空隙に吸水する。繊維の空隙を小さ
くするために、集合された繊維屑はプレスされる。プレ
ス圧が高すぎると、繊維屑の間の空隙がなくなるので、
集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレス
される。繊維屑がプレスされる状態で、繊維はその交点
を結合してプレス状態に硬化させる。
維屑にバインダーが添加される。バインダーとして、低
融点で溶融するバインダー繊維が使用できる。バインダ
ーにバインダー繊維を使用すると、繊維屑に均一に混合
できる。このため、バインダーを繊維屑の内部に均一に
分散して、繊維を交点でしっかりと連結できる。バイン
ダー繊維は、低融点のポリエステル系繊維が使用でき
る。繊維屑にポリエステル系合成繊維を使用し、バイン
ダー繊維に低融点のポリエステル系繊維を使用すると、
全体をポリエステル系合成繊維とする植え込み材が製作
される。この植え込み材は、繊維屑とバインダー繊維と
の相性が良く、耐久性があって優れた特性にできる。た
だし、バインダー繊維には、ポリエステル系繊維以外の
合成繊維であって、低融点で溶融する全ての繊維、たと
えば、ポリプロピレン繊維等も使用できる。
圧する状態で加熱されると、溶融して繊維屑を結合す
る。加圧状態においては、バインダー繊維を溶融し、繊
維屑を溶融させない温度に加熱して、繊維屑を結合す
る。バインダー繊維を加熱するために、加圧状態で、繊
維の間に加熱された空気を強制的に送風し、あるいは加
圧する前に繊維に加熱空気を送風する。加圧する前に加
熱する方法は、コールドプレスで加圧して、バインダー
繊維で繊維を結合できる。ただし、ホットプレスの熱板
で加熱して加圧するここともできる。この場合、一定の
時間は加圧状態に保持して、内部まで充分に加熱する。
5〜30重量%とすることができる。バインダー繊維の
添加量が少ないと、繊維を十分に結合させることができ
なくなるおそれがあり、バインダー繊維の添加量が多す
ぎると、繊維の間の空隙率が低下するおそれがある。所
定の厚さに集合した繊維をプレスして薄くする割合は、
用途によって最適値に設定されるが、例えば、集合した
状態の厚さに対して10〜50%、好適には約20%と
する。集合した繊維を10%以下に圧縮すると、空隙率
が低下して、排水性と通気性と保水率が低下する。反対
に50%よりも厚く圧縮すると、空隙が大きくなって吸
水率が低下する。したがって、繊維の集合体をプレスす
る度合いは、保水性と排水性と吸水性を考慮して、栽培
する植物に最適な値とすることが望ましい。圧縮して繊
維を結合してなる繊維マットの厚さは、例えば、0.2
〜5cm、好ましくは0.5〜3cmである。
って、未硬化の状態では液状又はペースト状であるバイ
ンダーも使用できる。この場合、例えば、繊維マットを
構成する繊維を集合させる際に、その繊維に対し液状又
はペースト状のバインダーを噴霧し、その後、繊維の集
合体をプレスしてバインダーを硬化させることにより繊
維を結合させて繊維マットを得ることができる。
保持材を添加することができる。この繊維マットは、繊
維の集合体中に、粒状又は粉状の肥料や保持材を分散さ
せた状態で、それを所定の圧力でプレスし、繊維の間に
無数の空隙ができる状態で繊維の交点をバインダーで結
合させることにより得ることができる。この繊維マット
は、植物を生育させる際の肥料及び保持材を予め備えて
いる。保持材は、水に溶出した肥料の一部を一旦保持し
た後、徐々にその肥料を放出するものである。このよう
な保持材としては、パーライト、セラミック、ゼオライ
ト(塩基置換容量の多いもの)等であって、肥料を保持
し得ると共に保持した肥料を徐々に放出するものを用い
ることができる。パーライトには、例えば、黒曜石パー
ライト、真珠岩パーライト等が使用できる。セラミック
やゼオライトは、粒状又は粉状に粉砕したものを使用す
る。このような保持材を用いることにより、肥料が栽培
植物に対し相当期間にわたり供給されることになる。肥
料を保持した保持材は、繊維の隙間から移動しない大き
さの粒とすることが望ましい。
形状ではない不特定なランダム形状の繊維粒に破砕して
植え込み材とする。繊維マットは、マット全体を破砕し
て繊維粒とすることもできるが、繊維マットを他の用途
に使用する場合は、繊維マットを裁断するときに発生す
る耳屑を破砕して繊維粒とすることもできる。繊維マッ
トは、たとえば、所定の形状に裁断して植物の栽培マッ
ト等として使用できる。繊維マットを所定の形状に裁断
するとき、繊維マットの端部が裁断されて耳屑となる。
この裁断屑である耳屑を集めて繊維粒に破砕して植え込
み材とすることができる。このように、裁断屑である耳
屑を破砕して繊維粒とする方法は、裁断屑を無駄にする
ことなく繊維マット全体を有効に利用して廃棄屑を皆無
にできる。繊維粒である植え込み材は、平均粒径を例え
ば3〜30、好ましくは5〜20mmとする。さらに、
好ましくは、大きな繊維粒と小さい繊維粒を混在したも
のとする。
粒に破砕した後、肥料や保持材を混入することもでき
る。この植え込み材は、破砕工程でランダム形状に破砕
された繊維粒に、粒状又は粉状の肥料や保持材を混入し
てブレンドする。繊維粒に混入される保持材には、前述
のパーライト、セラミック、ゼオライト等が使用でき
る。これらの保持材は、水に溶出した肥料の一部を一旦
保持した後、徐々に放出するので、栽培植物に対して肥
料を長期間にわたって供給できる。これらの保持材及び
肥料は、単独で使用することも、これらを複合した複合
材として混入することもできる。このように、植物を生
育させる際の肥料及び保持材がブレンドされた植え込み
材は、植物をより理想的な状態で栽培できる特長があ
る。
植物の栽培容器2に入れられて植物3を栽培する。栽培
容器2に充填された植え込み材1は、繊維マットを粒状
に破砕しているので、隣接する植え込み材1との間に隙
間ができる。この隙間は、空気をスムーズに通過させ
る。このため、本発明の植え込み材は、各々の粒子が優
れた保水性を保持しながら、植え込み材1の間にできる
隙間によって、優れた通気性と排水性とを実現する。さ
らに、粒状に破砕された植え込み材1は、種々の形状と
大きさの栽培容器2に、簡単かつ容易に、しかも速やか
に充填して植物3を植え付けできる。
密度、いいかえると栽培容器に詰める具合いを調整し
て、保水性と排水性と通気性を調整できる。植え込み材
は、繊維屑を粒状に破砕しているので、弾性的に変形す
る。このため、密に詰めることも、また粗に詰めること
もできる。植え込み材を密に詰めると、排水性と通気性
を制限しながら保水性を向上できる。このため、水やり
回数を軽減できる。この充填状態は、水分を多量に要求
する植物の栽培に適している。反対に、植え込み材を栽
培容器に粗に充填すると、保水性を制限しながら排水性
と通気性とを向上できる。この充填状態は、洋ラン等の
ように、過湿に弱く耐乾性に強い植物の栽培に適してい
る。
無数の空隙ができる状態で立体的に集合して、これを紐
状に連結してなる繊維紐とすることができる。この繊維
紐は、水苔と同じように使用できるように、加圧しない
状態での平均的な太さを2〜30mmとする。この植え
込み材1は、図2に示すように、植物3の根の部分に巻
き付けながら、栽培容器2に充填できる。ただ、必ずし
も根に巻き付けることなく栽培容器に充填することもで
きる。
に、加工することなく、あるいは撚糸して使用できる。
捨て耳は、織物の製造工程で多量に発生する廃棄物であ
る。平行に張設された縦糸の間に、横糸を移動させるの
に、旧来のシャットルに代わって、ウォータージェット
やエアージェットを使用する編組方法は、編組された織
物の両側に不揃いな部分ができる。この両側部分を切断
してできる廃棄物が、織物の捨て耳である。捨て耳は、
連続する紐状であって、引っ張っても切れない程度の強
度がある。さらに、この捨て耳は、無数の繊維が集合し
て互いに絡まるように連結されているので、繊維の間に
無数の微細な空隙がある。このため、捨て耳である植え
込み材は、それ自体で植物栽培に適した吸水性と保水性
がある。さらに、捨て耳は、これを撚糸することによ
り、繊維の集合を密にして、吸水性と保水性とを向上で
きる。捨て耳は、織物を製造する工程でできる廃棄物で
ある。したがって、これを植え込み材として使用する
と、廃棄物を有効に再利用できると共に、そのコストを
著しく低減できる特長がある。
え込み材と同じように、栽培容器に充填する密度を調整
して、保水性と排水性と通気性とを調整できる。すなわ
ち、捨て耳である植え込み材を、根に巻き付ける密度、
あるいは栽培容器に密に充填する密度を調整して、保水
性と排水性と通気性を調整できる。捨て耳である植え込
み材も、繊維屑を紐状に集合しているので、表面を弾性
的に変形できる。このため、根に密に巻き付けること
も、また栽培容器に密に詰めることも、あるいは根に粗
に巻き付けたり、栽培容器に粗に詰めることができる。
植え込み材を密に巻き付けたり、あるいは栽培容器に密
に詰めると、排水性と通気性を制限しながら保水性を向
上できる。このため、水やり回数を軽減できる。この充
填状態は、水分を多量に要求する植物の栽培に適してい
る。反対に、植え込み材を根に粗に巻き付け、あるいは
栽培容器に粗に充填すると、保水性を制限しながら排水
性と通気性とを向上できる。この充填状態は、洋ラン等
のように、過湿に弱く耐乾性に強い植物の栽培に適して
いる。
破砕する植え込み材よりもさらに安価にできる。それ
は、加工コストと原料コストの両方を、著しく安価にで
きるからである。とくに、廃棄物である捨て耳をそのま
ま使用する植え込み材は、廃棄物をそのまま有効に再利
用するので、そのコストを著しく低減できる。さらに、
この植え込み材は、前述の繊維マットを破砕して製作す
る植え込み材のように、バインダーで繊維屑を結合する
必要もないので、新しい繊維をバインダーとして添加す
る必要がなく、また、繊維を結合するバインダーも使用
する必要がなく、100%繊維屑で製作できる。
ら、織物の繊維と同じ繊維で構成される。織物は、合成
繊維と天然繊維が混在するもの、あるいは合成繊維のみ
のもの、あるいはまた天然繊維のみのものがある。合成
繊維は腐食しないので耐久性に優れ、天然繊維は腐食し
て自然に消失する。このため、合成繊維の混合率の高い
捨て耳と、天然繊維が混在しない捨て耳からなる植え込
み材は、耐久性があって使用期間を長くできる。反対
に、天然繊維の混合率の高い捨て耳である植え込み材
は、自然に消失できる特長がある。したがって、耐久性
が要求される植え込み材は、合成繊維の混合率の高い捨
て耳を使用し、自然に消失させる植え込み材は天然繊維
の割合の多い捨て耳を使用する。一般的に使用する場合
においては、合成繊維の混合率を高くし、優れた耐久性
の植え込み材が便利に使用できるので、捨て耳には合成
繊維の混合率が好ましくは50重量%以上、好ましくは
60重量%以上、最適には70重量%以上の捨て耳を使
用する。とくに、合成繊維を100%とする捨て耳の植
え込み材は、極めて優れた耐久性があって、長い年月に
わたって優れた特性を失わない。とくに、ポリエステル
系合成繊維の捨て耳は、ポリエステル系合成繊維が、強
靭で耐久性に富み、しかも耐薬品性に優れているので、
極めて長い期間、安定して使用できる。ただし、捨て耳
は、合成繊維として、ポリアミド系合成繊維やポリアク
リル系合成繊維等の繊維を含むものも使用できる。
製造方法は、水苔に勝るとも劣らない優れた物性を有す
るにもかかわらず、安価に多量生産できる特長がある。
それは、本発明の植物栽培用の植え込み材とその製造方
法が、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄
屑を開繊してなる繊維屑を立体的に集合すると共に、集
合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスし
て繊維の交点をバインダーで結合した繊維マットを、所
定の大きさであって不特定なランダム形状の繊維粒に破
砕しているからである。この構造の植え込み材は、開繊
した繊維屑を立体的に無数の空隙が存在する状態に結合
しているので、植物栽培に適した吸水性と保水性と通気
性とを実現できる。とくに、栽培する植物に応じて保水
性や通気性等を調整することもでき、水やりを極めて簡
単にできる。しかも、この植え込み材は、水苔のように
経時的に酸性が強くなったり腐食しないので、頻繁に植
え替えする必要がなく、使用できる期間を長くしてラン
ニングコストを著しく低減できる。さらに、この植え込
み材は、廃棄物である織布の廃棄屑を有効に再利用でき
るので、原料コストを低減して安価に多量生産できると
共に、水苔のように生産量や生産期間に制約を受けるこ
となく安定供給できる特長もある。以上のように、本発
明は、植物栽培に適した物性を有する植え込み材として
極めて理想的な特長を実現できる。
の植え込み材は、繊維屑を無数の空隙ができる状態で立
体的に集合すると共に、紐状に連結する状態として繊維
紐としている。このため、廃棄物である廃棄屑を有効に
再利用して安価に多量生産できると共に、植物栽培に適
した吸水性と保水性と通気性とを実現して水やりを簡単
にしながら、使用できる期間を長くしてランニングコス
トを低減できることに加えて、繊維紐としている植え込
み材を、植物の根等に巻き付ける状態で使用できる特長
がある。
を示す断面図
例を示す一部断面斜視図
Claims (14)
- 【請求項1】 合成繊維を含む繊維で編み組みされた織
布の廃棄屑を開繊してなる繊維屑を立体的に集合すると
共に、集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態に
プレスして、プレス状態で繊維の交点をバインダーで結
合してなる繊維マットを、所定の大きさであって一定の
定まった形状ではない不特定なランダム形状の繊維粒に
破砕してなる植物栽培用の植え込み材。 - 【請求項2】 繊維粒の平均粒径が3〜30mmである
請求項1に記載される植物栽培用の植え込み材。 - 【請求項3】 繊維粒の平均粒径が5〜20mmである
請求項1に記載される植物栽培用の植え込み材。 - 【請求項4】 バインダーが低融点の合成繊維である請
求項1に記載される植物栽培用の植え込み材。 - 【請求項5】 繊維屑がポリエステル系合成繊維で、バ
インダーが低融点のポリエステル系繊維である請求項4
に記載される植物栽培用の植え込み材。 - 【請求項6】 繊維屑が80重量%以上のポリエステル
系合成繊維を含む請求項5に記載される植物栽培用の植
え込み材。 - 【請求項7】 合成繊維を含む繊維で編み組みされた織
布の廃棄屑を開繊してなる繊維屑に加工する工程と、繊
維屑を立体的に集合すると共に、集合された繊維間に無
数の空隙が存在する状態にプレスして、プレス状態で繊
維の交点をバインダーで結合してなる繊維マットとする
工程と、繊維マットを所定の大きさであって一定の定ま
った形状ではない不特定なランダム形状の繊維粒に破砕
する工程とからなる植物栽培用の植え込み材の製造方
法。 - 【請求項8】 繊維マットを、平均粒径が3〜30mm
である繊維粒に破砕する請求項7に記載される植物栽培
用の植え込み材の製造方法。 - 【請求項9】 繊維マットを、平均粒径が5〜20mm
である繊維粒に破砕する請求項7に記載される植物栽培
用の植え込み材の製造方法。 - 【請求項10】 繊維屑を、低融点の合成繊維をバイン
ダーとして結合する請求項7に記載される植物栽培用の
植え込み材の製造方法。 - 【請求項11】 繊維屑をポリエステル系合成繊維と
し、バインダーを低融点のポリエステル系繊維とする請
求項10に記載される植物栽培用の植え込み材の製造方
法。 - 【請求項12】 繊維屑を無数の空隙ができる状態で立
体的に集合すると共に、紐状に連結する状態として繊維
紐としており、この繊維紐は加圧しない状態での平均的
な太さを2〜30mmとしている植物栽培用の植え込み
材。 - 【請求項13】 繊維紐が織物の捨て耳である請求項1
2に記載される植物栽培用の植え込み材。 - 【請求項14】 繊維紐が織物の捨て耳を撚糸したもの
である請求項12に記載される植物栽培用の植え込み
材。
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