JP2003326407A - 内面加工装置 - Google Patents

内面加工装置

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JP2003326407A
JP2003326407A JP2002130748A JP2002130748A JP2003326407A JP 2003326407 A JP2003326407 A JP 2003326407A JP 2002130748 A JP2002130748 A JP 2002130748A JP 2002130748 A JP2002130748 A JP 2002130748A JP 2003326407 A JP2003326407 A JP 2003326407A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度の加工が可能な内面加工装置を提供す
る。 【解決手段】 スピンドル15,45によってカッタ部
材87を挟圧保持し、駆動スピンドル15の回転駆動に
よってカッタ部材87を回転させ、カッタ部材87をス
ピンドル15,45とともに軸線方向へ移動してワーク
Wの内面を加工する内面加工装置において、ワークWを
保持し、両スライドユニット1,3の間で軸線方向と直
交する方向に移動可能なワーク保持ユニット5と、ワー
ク保持ユニット5を挟む位置に配置され、軸線方向に往
復動可能な一対の位置決め部材39,49とを備え、ワ
ーク保持ユニット5を所定の位置に配置した後、位置決
め部材39,49をワークW内面に開口するように形成
されたシャフト挿入孔W5に挿入することにより、ワー
クWの位置決めを行うように構成されていることを特徴
とする内面加工装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばデファレン
シャルギアケース(以下、「デフケース」という)等の
ワークの内面を加工する内面加工装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の内面加工装置は、例えば次のよ
うに構成されている。すなわち、同一軸線上で対向して
配置され往復動可能に構成された一対のスピンドルと、
これらスピンドルの軸線回りに回転自在に支持されたカ
ッタとを備えている。そして、例えばデフケースの内面
加工を行う際には、ケース内にカッタを配置した後、各
スピンドルをケース内面に開口する孔から挿入し、これ
らスピンドルによってケース内でカッタを挟圧保持す
る。続いて、一方のスピンドルを回転駆動させ、これに
伴ってカッタを回転させる。この状態で、両スピンドル
とともにカッタを挟圧保持した状態で軸線方向に移動さ
せ、デフケース内面の球面座或いは平面座を切削加工す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なデフケースには、トランスミッションの出力軸に噛合
するリングギアを取り付けるためのフランジが形成され
ている。そして、デフケースを加工する際には、例えば
特開2001−47333号公報に記載されているよう
に、フランジに形成されたボルト取付用の穴を用いて位
置決めが行われていた。すなわち、フランジに形成され
たボルト穴にピンを嵌合し、これにより球面座或いは平
面座加工のための位置決めが行われていた。しかしなが
ら、フランジは、実際に加工が行われるデフケースの内
面から離れた位置に設けられているため、このようにフ
ランジの穴を基準に位置決めをすると、加工誤差が大き
くなるという問題があった。
【0004】また、次のような問題も指摘されている。
上記した2つのスピンドルは独立した駆動装置により往
復動され、カッタを挟圧保持したまま一体となって移動
する。このとき、例えば特開平10−277825号公
報又は特開平11−165211号公報に記載されてい
るように、一方のスピンドルが切削のために前進する
と、他方のスピンドルはカッタを一定の圧力で押圧した
状態で後退するように制御される。このように、両スピ
ンドルはカッタを挟圧保持しつつ同期して往復動しなけ
ればならないため、その制御は容易ではなかった。特
に、加工に適した挟持圧力をバランスよく保たなければ
ならないため、例えば、加工時の負荷の変動によりこの
バランスが狂うと、芯がずれた状態で加工されることが
あり、必ずしも精度の高い加工が行えるとは言えなかっ
た。
【0005】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、内面加工の際に精度の高いワークの位
置決めを容易に行うことができ、高精度の加工を行うこ
とができる内面加工装置を提供することを第1の目的と
する。また、加工の際のスピンドルの制御を容易に行う
ことができ、精度の高い加工を可能とする内面加工装置
を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記第1の目
的を達成するため、スピンドル軸線回りに回転駆動可能
な駆動スピンドルと、該駆動スピンドルを支持し前記ス
ピンドル軸線方向に往復動自在な第1スライドユニット
と、前記スピンドル軸線上で前記駆動スピンドルと対向
配置された従動スピンドルと、該従動スピンドルを前記
スピンドル軸線回りに回転自在に支持し該スピンドル軸
線方向に往復動自在な第2スライドユニットと、前記両
スライドユニットの間に配置されワークを保持可能な保
持部と、ワークの開口部から該ワーク内に挿入され、該
ワーク内で前記駆動スピンドル及び従動スピンドルによ
り挟圧保持される工具とを備え、該工具は、前記駆動ス
ピンドルの回転駆動に伴って回転し、挟圧保持された状
態で前記両スピンドルとともに前記スピンドル軸線方向
に移動することでワークの内面を加工するように構成さ
れた内面加工装置において、前記保持部を挟む位置の少
なくとも一方に配置され、前記スピンドル軸線に平行な
軸線に沿って往復動可能な少なくとも一つの位置決め部
材を備え、前記保持部は、前記両スライドユニットの間
で前記スピンドル軸線を横切る方向に移動可能となって
おり、前記保持部上のワークを前記位置決め部材の軸線
上に配置した後、前記位置決め部材をワークに形成され
た基準孔に挿入することにより、ワークの位置決めを行
い、位置決めされたワークを前記保持部により移動さ
せ、前記スピンドル軸線上に位置させるように構成され
ていることを特徴とする内面加工装置を提供するもので
ある。
【0007】前記位置決め部材は、前記工具によるワー
クの加工の際に、前記工具の回転中心軸線上でワークの
内面に開口する基準孔に挿入されるものとすることがで
きる。
【0008】また、前記位置決め部材は、前記第1及び
第2スライドユニットの少なくとも一方に配設されてい
るものとすることができる。
【0009】また、本発明は、上記第2の目的を達成す
るため、スピンドル軸線回りに回転駆動可能な駆動スピ
ンドルと、該駆動スピンドルを支持し前記スピンドル軸
線方向に往復動自在な第1スライドユニットと、前記ス
ピンドル軸線上で前記駆動スピンドルと対向配置された
従動スピンドルと、該従動スピンドルを前記スピンドル
軸線回りに回転自在に支持し該スピンドル軸線方向に往
復動自在な第2スライドユニットと、前記両スライドユ
ニットの間に配置されワークを保持可能な保持部と、ワ
ークの開口部から該ワーク内に挿入され、該ワーク内で
前記駆動スピンドル及び従動スピンドルにより挟圧保持
される工具とを備え、該工具は、前記駆動スピンドルの
回転駆動に伴って回転し、挟圧保持された状態で前記両
スピンドルとともに前記スピンドル軸線方向に移動する
ことでワークの内面を加工するように構成された内面加
工装置において、前記両スライドユニットを連結し、こ
れらを相互間の接近位置及び離反位置に保持し得る第1
駆動手段と、前記両スライドユニットのいずれか一方に
接続され、該スライドユニットを前記スピンドル軸線方
向に往復動させる第2駆動手段とを備えたことを特徴と
する内面加工装置を提供するものである。
【0010】前記保持部は、前記両スライドユニットの
間で前記スピンドル軸線を横切る方向に移動可能となっ
ており、前記第1スライドユニットは、前記保持部の移
動方向に並ぶ複数の前記駆動スピンドルを備えるととも
に、前記第2スライドユニットは、前記複数の駆動スピ
ンドルそれぞれと対応する複数の前記従動スピンドルを
備えており、前記保持部は、前記スピンドル軸線方向及
び前記保持部の移動方向に対して直交する軸回りに回転
割り出し可能に構成されているものとすることができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る内面加工装置
の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1
は本実施形態に係る内面加工装置の平面図、図2は図1
の正面図、図3は図2のA−A線断面図である。本実施
形態では、この内面加工装置を用いてデフケースを内面
加工する場合について説明する。
【0012】図1及び図2に示すように、この内面加工
装置は、同図中のX方向に対向して配置される第1及び
第2スライドユニット1,3と、これらスライドユニッ
ト1,3の間に配置され、処理対象となるワークを保持
するワーク保持ユニット(保持部)5と、ワークを加工
する2つのカッタユニット7,9(図2では手前のもの
のみ表示)とを備えている。
【0013】図4は加工対象となるデフケースの断面図
である。同図に示すように、このデフケースWは、本体
部W1と、この本体部W1の両端に設けられた筒状のジ
ャーナル部W2,W3とからなり、本体部W1には、ジ
ャーナル部W2,W3と連通するとともにデファレンシ
ャルギアが配置される開口部W4が形成されている。開
口部W4の内壁面において、ジャーナル部W2,W3の
軸線が通過する一対の面C1には、以下に説明する加工
により平面座が形成される。一方、平面座と直交する開
口部の内壁面C2には、球面座が形成される。なお、球
面座が形成される内壁面C2には、その曲率中心上に軸
線を位置させるようにしてシャフトが挿入されるシャフ
ト挿入孔W5が形成されている。
【0014】図1に戻って内面加工装置の説明を続け
る。図1の左側に位置する第1スライドユニット1は、
X方向に延びる一対の第1レール11上にレールブラケ
ット13を介して往復動自在に支持されている。このス
ライドユニット1上には、X方向に延びる一対の第1及
び第2駆動スピンドル15,17がY方向に並んで設け
られており、これら駆動スピンドル15,17はスライ
ドユニット1に取り付けられたスピンドルハウジング1
6,18に収納され、X軸(スピンドル軸線)回りに回
転自在に支持されている。各駆動スピンドルの先端部1
5a,17aは、後述するカッタ部材と係合可能なスプ
ライン又は角部が形成されている。また、これら先端部
15a,17aは、デフケースWのジャーナル部W2,
W3の内径、或いは球面座に形成されたシャフト挿入孔
W5に挿入可能な径に形成されている。
【0015】図2に示すように、第1スライドユニット
1における駆動スピンドル15,17の上方には、第1
モータ19が取り付けられ、このモータ19により両駆
動スピンドル15,17が回転駆動される。より詳細に
は、図3に示すように、各駆動スピンドル15,17の
後端部に取り付けられたプーリ21,23、及び第1モ
ータ19の回転軸に取り付けられたプーリ25にベルト
27が巻回され、このベルト27に一対のテンションロ
ーラ29a,29bが回転自在に当接している。したが
って、第1モータ19の駆動により両駆動スピンドル1
5,17が同時に回転する。
【0016】図1に示すように、第1スライドユニット
1の下方には、X方向に延びるボールネジ31が配設さ
れている。このボールネジ31は、第1スライドユニッ
ト1の下面に回転自在に取り付けられたナット33に螺
合するとともに、一端部が第2モータ35に接続されて
いる。これらは、NC制御されており、第2モータ35
の駆動によって第1スライドユニット1がX方向に往復
動するようになっている。ここで、上記ボールネジ3
1、ナット33及び第2モータ35が本発明の第2駆動
手段に相当する。
【0017】また、このスライドユニット1の一側部
(図1の上側)には、ブラケット37を介して第1位置
決め部材39が取り付けられている。第1位置決め部材
39は、X方向に延びる棒状部材39aと、その後端部
を収納するケース39bとを備えている。棒状部材39
aは、先端部がデフケースW内のシャフト挿入孔W5に
挿入可能な径、より詳細には、後述する位置決めの際の
許容誤差内の径の相違になるように僅かに小さい径に形
成されている。また、ケース39b内には、棒状部材3
9aを第2スライドユニット3側へ付勢するバネ(図示
省略)が設けられており、例えば棒状部材39aの先端
が異物に接触してデフケースに挿入できなかった場合に
は、バネが撓んで棒状部材39aがケース39b内に後
退するように構成されている。
【0018】一方、第1スライドユニット1と対向する
位置に配設された第2スライドユニット3は、第1スラ
イドユニット1と同様に、一対の第2レール41上にレ
ールブラケット43を介して支持されており、その上部
には、スピンドルハウジング44,46に収納された第
1及び第2従動スピンドル45,47が設けられてい
る。これら従動スピンドル45,47は、上記した第1
及び第2駆動スピンドル15,17それぞれと対向する
位置で同一軸線上に延びるように配置されており、スピ
ンドルハウジング44,46内でX軸回りに回転自在に
支持されている。各従動スピンドルの先端部45a,4
7aには、後述するカッタ部材と係合可能なテーパが形
成されている。また、このスライドユニット3には、第
1位置決め部材39と同一構成の第2位置決め部材49
がブラケット51を介して設けられている。この第2位
置決め部材49の棒状部材49aは、第1位置決め部材
39の棒状部材39aと対向する位置に、同一軸線上に
延びるように配置されている。
【0019】また、第2スライドユニット3の下面に
は、X方向に延び、スライドを規制するためのロッド5
0が取り付けられており、このロッド50の端部がスト
ッパ52に当接することにより、第1及び第2スライド
ユニット1,3の離間距離が規制されるようになってい
る。
【0020】図1に示すように、第1及び第2スライド
ユニット1,3は、油圧シリンダ装置53によって連結
されている。この油圧シリンダ装置53は、X方向に延
び各スライドユニット1,3の位置決め部材39,49
とは反対側の側部(同図の下側)に取り付けられてい
る。より詳細には、油圧シリンダ装置53のシリンダ部
53aがブラケット55を介して第1スライドユニット
1に取り付けられるとともに、プランジャ部53bの先
端がブラケット57を介して第2スライドユニット3に
取り付けられている。そして、この油圧シリンダ装置5
3を伸縮させることで、両スライドユニット1,3を近
接離間することができる。この油圧シリンダ装置53が
本発明の第1駆動手段に相当する。
【0021】図5及び図6は、ワーク保持ユニットを示
す図であり、図5(a)はワーク保持ユニットの平面
図、図5(b)はデフケースを載置した状態での図5
(a)のC−C線断面図、図6は図5(a)のD−D線
断面図である。ワーク保持ユニット5は、両スライドユ
ニット1,3の間をY方向に往復動するように構成され
ており、Y方向に延びる第3レール59に支持されたベ
ース部61と、このベース部61上で回転可能に支持さ
れデフケースWを保持するワーク取付治具63とを備え
ている(図2参照)。図5(a)に示すように、ワーク
取付治具63は、円形の回転割り出しテーブル62を有
しており、ベース部61に設けられたギアボックス(図
示省略)及び第3モータ64(図7参照)によりZ軸を
回転軸として回転し、デフケースWの向きを90°変え
ることができる。
【0022】図5(b)に示すように、ワーク取付治具
63は、初期状態においてデフケースWの両ジャーナル
部W2,W3がX方向に延びるようにデフケースWを保
持する。そして、3つの押圧用の部材によりデフケース
Wを押圧して固定するように構成されている。すなわ
ち、デフケースWは、ジャーナル部W2,W3を上方か
ら押圧するクランプ部材67、本体部W1の外壁をX方
向に押圧する側面押圧部材69、及びデフケースWのX
軸回りの回転を防止するために本体部W1の下部を下方
から押圧するロック部材71によりワーク取付治具63
に固定される。
【0023】図5及び図6に示すように、側面押圧部材
69は、一対の支持部材73の上端部の間にX方向に揺
動自在に支持されている。この支持部材73は、下端部
が基台65に対して揺動自在に支持されるとともに、プ
ッシュピン75により下端部を図中のS方向へ押圧さ
れ、これにより支持部材73の上端部は図中のR方向へ
付勢されている。また、支持部材73のR方向を向く面
には傾斜面73aが形成され、この傾斜面73aにくさ
び形の摺接部材77が摺接している。摺接部材77は、
油圧シリンダ79に接続されたロッド81によりバネ8
2を介して上下方向に往復動するようになっている。そ
して、デフケースWを固定するには、図6(b)に示す
ように、ロッド81により摺接部材77を上方に押し上
げる。これにより摺接部材77と摺接する支持部材73
が押圧され矢印の方向に揺動する。支持部材73が揺動
すると、これに支持された側面押圧部材69がデフケー
スWの本体部W1側面を押圧する。このように、デフケ
ースWは、油圧シリンダ79の作動力が直接及ぶことな
く面でその位置が保持されるため、加工面の壁が薄い場
合にも、その加工面が歪むことなく、精度よく仕上げる
ことができる。
【0024】図7は図2のB−B線断面図である。図7
に示すように、本実施形態の内面加工装置は、2つのカ
ッタユニット、つまりデフケースWの平面座を加工する
第1カッタユニット7(同図の左側)と、球面座を加工
する第2カッタ保持ユニット9とを有している。これら
カッタユニット7,9は、ワーク取付治具63の上方か
らデフケースWの開口部W4にカッタを挿入し、X方向
に往復動することでデフケースWを加工するように構成
されている。そして、第1カッタユニット7は第1駆動
スピンドル15及び従動スピンドル17に対応し、第2
カッタユニット9は第2駆動スピンドル45及び従動ス
ピンドル47に対応して設けられている。但し、これら
カッタユニット7,9は、取り付けられているカッタが
相違し、その他の点はほぼ同一構成であるため、以下で
は、第1カッタユニット7について説明する。
【0025】図2に示すように、第1カッタユニット7
は、同図中のZ方向に往復動可能なベース部83と、こ
のベース部83の下部でX方向に往復動自在に吊持され
たカッタ保持部85とを備えている。カッタ保持部85
は、その下端に円形状のカッタ部材87をX軸回りに回
転自在に保持している。カッタ部材87は、第1スライ
ドユニット1側を向く端面の中心に第1駆動スピンドル
の先端部15aが係合可能な第1凹部87aを備え、反
対側の端面に第1従動スピンドルの先端部45aが係合
可能な第2凹部87bを備えている。また、各端面に
は、平面座を切削するための複数の切削刃(図示省略)
が各凹部87a,87bを中心として放射状に取り付け
られている。なお、第2カッタユニット9のカッタ部材
87には、球面座を加工するための切削刃が取り付けら
れている。
【0026】次に、上記のように構成された内面加工装
置によるデフケースの加工について図8及び図9を参照
しつつ説明する。図8(a)に示すように、初期状態で
は、ワーク保持ユニット5は、第1駆動及び従動スピン
ドル15,45に対応する位置に配置されおり、この位
置でデフケースWをワーク取付治具に取り付ける。デフ
ケースWはジャーナル部W2,W3がX方向を向くよう
に配置され、クランプ部材67によって挟み付けられる
が、この時点では、デフケースWは完全に固定されてお
らず、単に設置されているだけである。つまりクランプ
部材67はデフケースWのジャーナル部W2,W3に嵌
っているが完全に押圧はしていない。
【0027】デフケースWを取り付けた後、オペレータ
により加工指令が与えられると、図8(b)に示すよう
に、ワーク保持ユニット5は、90°回転割り出しして
向きを変えつつY方向へ移動し、位置決め部材39,4
9に対応する位置に配置される。このときデフケースW
は、ジャーナル部W2,W3がY方向に延びるように、
つまり球面座のシャフト挿入孔W5が位置決め部材3
9,49と対向するように配置される。この状態から図
8(c)に示すように、両位置決め部材39,49は、
スライドユニット1,3とともにX方向へ移動してデフ
ケースWに近接し、シャフト挿入孔W5に挿入される。
このとき、位置決め部材39,49が円滑に挿入孔W5
に挿入されれば、位置決めが完了したこととなり、これ
に続いてクランプ部材67、側面押圧部材69、ロック
部材71がこの順に作動してデフケースWを押圧し、取
付治具63にデフケースWを完全に固定する。
【0028】上記のような位置決め部材39,49の近
接動作は、両スライドユニット1,3を連結する油圧シ
リンダ装置53及びボールネジ31の作動によって行わ
れる。すなわち、油圧シリンダ装置53が収縮して両ス
ライドユニット1,3を近接させる動作と、ボールネジ
31により第1スライドユニット1がワーク保持ユニッ
ト5側へ移動する動作とが同時に行われる。初期状態
で、両スライドユニット1,3はデフケースWからほぼ
等しい距離だけ離れているが、油圧シリンダ装置53の
収縮距離をボールネジ31による移動距離の約2倍にす
ることで、両位置決め部材39,49が略均一なタイミ
ングでデフケースWに到達するようになる。なお、以下
の加工時においても上記と同様にスライドユニット1,
3を動作させる。
【0029】図9(a)に示すように、位置決めが完了
すると、各位置決め部材39,49が初期位置に戻った
後、ワーク保持ユニット5は、向きを変えずにY方向へ
移動し、第2駆動スピンドル17及び従動スピンドル4
7に対応する位置に配置される。この位置で、図9
(b)に示すように球面座の加工が行われる。すなわ
ち、まず第2カッタユニット9が作動して、カッタ部材
87が上方から降ろされてデフケースWの開口部W4内
に配置される(図2参照)。続いて、第2駆動スピンド
ル17及び従動スピンドル47が近接してシャフト挿入
孔W5に挿入され、カッタ部材87の第1及び第2凹部
87a,87bにそれぞれ係合される。このときカッタ
部材87は、油圧シリンダ装置53によって両スピンド
ル17,47に所定の圧力で挟圧保持された状態とな
る。
【0030】そして、第1モータ19により駆動スピン
ドル17を回転駆動すると、これに伴ってカッタ部材8
7も回転する。続いて、第2モータ35を駆動してボー
ルネジ31を作動させると、第1スライドユニット1が
第2スライドユニット3とともにX方向に移動する。つ
まり、第1及び第2スライドユニット1,3は、油圧シ
リンダ装置53によりカッタ部材87を挟圧保持してい
る間隔を保持したまま一体となって移動する。したがっ
て、カッタ部材87は、両スピンドル17、47に挟圧
保持された状態で、これらとともにX方向に移動し、球
面座の加工が行われる。一方の面の球面座の加工が終了
すると、ボールネジ31を逆回転させて反対側の球面座
の加工を行う。加工終了後は、カッタ部材87をX方向
の初期位置に戻した後、両スピンドル17,47を離間
し、カッタ部材87を上方へ移動させデフケースWから
退出させる。
【0031】次に、図9(c)に示すように、デフケー
スWを90°回転させるながら、ワーク保持ユニット5
を第1駆動及び従動スピンドル15,45と対応する位
置に移動させる。この状態で、デフケースWは、ジャー
ナル部W2,W3が各スピンドル15,45と対向する
ように配置されている。そして、図9(d)に示すよう
に、上記球面座の加工と同様に、第1カッタユニット7
のカッタ部材87をデフケースW内に挿入した後、両ス
ピンドル15,45をジャーナル部W2,W3を介して
近接させてカッタ部材87に係合させる。この状態で、
ボールネジ31を作動させて平面座の加工を行う。
【0032】平面座の加工が終了すると、カッタ部材8
7をデフケースWから退出させた後、ワーク保持ユニッ
ト5の各押圧用部材67,69,71の作動を停止し、
デフケースWを治具63から取り外す。
【0033】以上のように、本実施形態によれば、位置
決め部材39,49を、X方向に沿ってデフケースWの
シャフト挿入孔W5に挿入することにより、デフケース
Wの位置決めを行っているため、精度の高い位置決めが
可能となる。すなわち、従来は、実際の加工位置とは離
れたデフケース端部のフランジの穴を基準として位置決
めをしていたため、精度の高い加工が困難であった。こ
れに対し、本実施形態では、実際に加工を行う球面座の
シャフト挿入孔W5を基準として位置決めをしているた
め、高精度の位置決めが可能となる。その結果、加工精
度を大きく向上することができる。また、本実施形態で
示したようなフランジが形成されていないデフケースW
であっても、ケースWの開口部W4内に開口する挿入孔
W5等を利用して位置決めを行うことができるため、汎
用性の高いものとすることができる。
【0034】また、本実施形態では、油圧シリンダ装置
53によってカッタ部材87を挟圧保持した後、第2モ
ータ35によりカッタ部材87をX方向に移動して内面
加工を行っている。そのため、次の利点がある。従来
は、2つのスピンドルでカッタ部材を挟圧した状態を保
ちつつ同期して移動させなければならなかったため、両
スピンドルの制御が難しく、これに起因して高精度の加
工が困難であった。これに対して、本実施形態では、一
旦油圧シリンダ装置53により両スピンドルでカッタ部
材を挟圧保持し、両スピンドルの間隔を保持すると、そ
の後は第2モータ35の駆動のみでカッタ部材85を移
動することができる。したがって、従来のような複雑な
制御を行う必要がなく、簡単な制御で内面加工を行うこ
とができる。その結果、動作ミスを低減することがで
き、高精度な加工が可能となる。
【0035】以上、本発明の一実施形態について説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣
旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、位置決め部材39,49を
スライドユニット1,3上に設けてX方向に移動させて
いるが、別の駆動装置により独立して移動させるように
することもできる。また、位置決め部材39,49は、
上記のように両側各一本ずつではなく、複数個ずつ設け
ることもできる。また、加工部分が片側のみの場合に
は、位置決め部材を片側のみに設けることもできる。
【0036】また、位置決めは、上記のような球面座の
シャフト挿入孔W5を利用する以外にも、ワークWに形
成された穴であって、例えば加工対象となるワーク内面
に開口した穴、特に工具の回転中心軸線上に形成された
穴であれば、いずれも利用することができる。
【0037】上記実施形態では、第1スライドユニット
1にボールネジ35等の第2駆動手段を設けているが、
第2スライドユニット側に設けることもできる。
【0038】また、上記実施形態では、第1駆動手段を
油圧シリンダ装置で構成するとともに、第2駆動手段を
NC制御のモータ等を用いて構成しているが、これらを
反対にしたり、NC制御のみ或いは油圧回路のみで構成
することもできる。或いは他の駆動手段、例えばエアシ
リンダ等を用いることもできる。
【0039】また、上記実施形態では、球面座及び平面
座の2つの加工を行えるようにしているが、3つ以上の
加工を行えるように構成することもできる。すなわち、
複数の駆動及び従動スピンドルと、各加工に対応したカ
ッタユニットとを設けて複数の加工を行うこともでき
る。
【0040】上記実施形態では、デフケースを加工する
場合について説明したが、これに限定されるものではな
く、内部に空間を有し、この空間の内壁面を加工するよ
うなワークであれば本発明の内面加工装置によって加工
することができる。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、位置決
め部材を、各スピンドルの移動方向に沿ってワークの基
準孔に挿入することにより、ワークの位置決めを行って
いるため、精度の高い位置決めが可能となる。例えば、
従来のデフケースの加工では、実際の加工位置とは離れ
たフランジのボルト穴を基準として位置決めをしてお
り、これに起因して精度の高い加工が困難であった。こ
れに対して、本発明は、ワークに形成された穴であれ
ば、どこでも位置決め用として使用できるため、実際の
加工部分近傍に形成された穴であって、例えば、加工対
象となるワーク内面へ開口した穴、特に工具の回転中心
軸線上に形成された穴を使用して位置決めを行うことが
できる。その結果、高精度の位置決めが可能となり、加
工精度を大きく向上することができる。また、フランジ
が形成されていないワークであっても、ワークの内部へ
開口する挿入孔等を利用して位置決めを行うことができ
るため、汎用性の高いものとすることができる。
【0042】このとき、位置決め部材をスライドユニッ
トに配設すると、位置決め部材用の独立した駆動装置が
不要となり、コストを低減することができる。
【0043】また、本発明では、第1駆動手段の作動に
よって両スライドユニット間の距離を保持して両スピン
ドルで工具を挟圧保持した後、第2駆動手段によりスピ
ンドルとともに工具を移動して内面加工を行っている。
そのため、次の利点がある。従来は、2つのスピンドル
で工具を挟圧した状態を保ちつつ同期して移動させなけ
ればならなかったため、両スピンドルの制御が難しく、
これに起因して高精度の加工が困難であった。これに対
して、本発明では、一旦第1駆動手段により両スピンド
ルで工具を挟圧保持し両スピンドル間の距離を保持する
と、その後は第2駆動手段の駆動のみで工具を移動する
ことができる。したがって、従来のような複雑な制御を
行う必要がなく、簡単な制御で内面加工を行うことがで
きる。その結果、動作ミスを低減することができ高精度
な加工が可能となる。
【0044】また、複数の駆動スピンドルを第1スライ
ドユニット上の保持部の移動方向に設けるとともに、こ
れらに対応する複数の従動スピンドルを設け、さらに保
持部を移動平面に垂直な軸線回りに回転可能に構成する
と、複数の加工が可能となる。すなわち、ワークが保持
された保持部を、各スピンドル及び工具に対応した位置
に移動させるとともに、必要に応じて回転させると、各
位置で異なる加工、例えば、デフケースにおいては球面
座及び平面座の加工等を連続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内面加工装置の一実施形態を示す
平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1の内面加工装置の加工対象となるデフケー
スの断面図である。
【図5】図5(a)は図1のワーク保持ユニットの平面
図、図5(b)は図5(a)のC−C線断面図である。
【図6】図5(a)のD−D線断面図である。
【図7】図1のB−B線断面図である。
【図8】図1に係る内面加工装置の加工動作を説明する
図である。
【図9】図1に係る内面加工装置の加工動作を説明する
図である。
【符号の説明】
1 第1スライドユニット 3 第2スライドユニット 5 ワーク保持ユニット(保持部) 15,17 駆動スピンドル 31 ボールネジ(第2駆動手段) 33 ナット(第2駆動手段) 35 第2モータ(第2駆動手段) 39,49 位置決め部材 45,47 従動スピンドル 53 油圧シリンダ装置(第1駆動手段) 87 カッタ部材(工具) W デフケース(ワーク)
フロントページの続き (72)発明者 山本 英樹 兵庫県尼崎市猪名寺2丁目18番1号 株式 会社神崎高級工機製作所内 Fターム(参考) 3C036 AA00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピンドル軸線回りに回転駆動可能な駆
    動スピンドルと、該駆動スピンドルを支持し前記スピン
    ドル軸線方向に往復動自在な第1スライドユニットと、
    前記スピンドル軸線上で前記駆動スピンドルと対向配置
    された従動スピンドルと、該従動スピンドルを前記スピ
    ンドル軸線回りに回転自在に支持し該スピンドル軸線方
    向に往復動自在な第2スライドユニットと、前記両スラ
    イドユニットの間に配置されワークを保持可能な保持部
    と、ワークの開口部から該ワーク内に挿入され、該ワー
    ク内で前記駆動スピンドル及び従動スピンドルにより挟
    圧保持される工具とを備え、該工具は、前記駆動スピン
    ドルの回転駆動に伴って回転し、挟圧保持された状態で
    前記両スピンドルとともに前記スピンドル軸線方向に移
    動することでワークの内面を加工するように構成された
    内面加工装置において、 前記保持部を挟む位置の少なくとも一方に配置され、前
    記スピンドル軸線に平行な軸線に沿って往復動可能な少
    なくとも一つの位置決め部材を備え、 前記保持部は、前記両スライドユニットの間で前記スピ
    ンドル軸線を横切る方向に移動可能となっており、 前記保持部上のワークを前記位置決め部材の軸線上に配
    置した後、前記位置決め部材をワークに形成された基準
    孔に挿入することにより、ワークの位置決めを行い、位
    置決めされたワークを前記保持部により移動させ、前記
    スピンドル軸線上に位置させるように構成されているこ
    とを特徴とする内面加工装置。
  2. 【請求項2】 前記位置決め部材は、前記工具によるワ
    ークの加工の際に、前記工具の回転中心軸線上でワーク
    の内面に開口する基準孔に挿入されることを特徴とする
    請求項1に記載の内面加工装置。
  3. 【請求項3】 前記位置決め部材は、前記第1及び第2
    スライドユニットの少なくとも一方に配設されているこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の内面加工装
    置。
  4. 【請求項4】 スピンドル軸線回りに回転駆動可能な駆
    動スピンドルと、該駆動スピンドルを支持し前記スピン
    ドル軸線方向に往復動自在な第1スライドユニットと、
    前記スピンドル軸線上で前記駆動スピンドルと対向配置
    された従動スピンドルと、該従動スピンドルを前記スピ
    ンドル軸線回りに回転自在に支持し該スピンドル軸線方
    向に往復動自在な第2スライドユニットと、前記両スラ
    イドユニットの間に配置されワークを保持可能な保持部
    と、ワークの開口部から該ワーク内に挿入され、該ワー
    ク内で前記駆動スピンドル及び従動スピンドルにより挟
    圧保持される工具とを備え、該工具は、前記駆動スピン
    ドルの回転駆動に伴って回転し、挟圧保持された状態で
    前記両スピンドルとともに前記スピンドル軸線方向に移
    動することでワークの内面を加工するように構成された
    内面加工装置において、 前記両スライドユニットを連結し、これらを相互間の接
    近位置及び離反位置に保持し得る第1駆動手段と、 前記両スライドユニットのいずれか一方に接続され、該
    スライドユニットを前記スピンドル軸線方向に往復動さ
    せる第2駆動手段とを備えたことを特徴とする内面加工
    装置。
  5. 【請求項5】 前記保持部は、前記両スライドユニット
    の間で前記スピンドル軸線を横切る方向に移動可能とな
    っており、 前記第1スライドユニットは、前記保持部の移動方向に
    並ぶ複数の前記駆動スピンドルを備えるとともに、前記
    第2スライドユニットは、前記複数の駆動スピンドルそ
    れぞれと対応する複数の前記従動スピンドルを備えてお
    り、 前記保持部は、前記スピンドル軸線方向及び前記保持部
    の移動方向に対して直交する軸回りに回転割り出し可能
    に構成されていることを特徴とする請求項1から4のい
    ずれかに記載の内面加工装置。
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