JP2003313459A - 被覆粒子 - Google Patents

被覆粒子

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JP2003313459A JP2002119612A JP2002119612A JP2003313459A JP 2003313459 A JP2003313459 A JP 2003313459A JP 2002119612 A JP2002119612 A JP 2002119612A JP 2002119612 A JP2002119612 A JP 2002119612A JP 2003313459 A JP2003313459 A JP 2003313459A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材粒子表面に被覆層を形成することにより
種々の機能が付与され、しかも被覆層と基材粒子との結
合力が優れ、厚み精度に優れた被覆粒子を提供する。 【解決手段】 基材粒子表面の少なくとも一部が、メタ
セシス重合性単量体からなる有機ポリマーにより被覆さ
れてなる被覆粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基材粒子表面に被覆
層を有する被覆粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、粒子表面の少なくとも一部を
有機化合物により被覆することで、粒子に新しい性能を
付与することが知られている。粒子に新しい性能を付与
する目的としては例えば、耐熱性、耐磨耗性、耐衝撃
性、耐溶剤性等の向上;弾性、絶縁性、導電性、撥水
性、吸湿性、保形性、接着性、分散安定性等の付与;光
沢、平滑性等の塗膜性能の向上;着色などが挙げられ
る。
【0003】粒子表面を被覆することによって絶縁性を
付与する例としては、例えば、金属メッキ粒子を、ハイ
ブリダイゼーション装置に導入し、表面を絶縁性の有機
化合物で被覆する方法が、特開昭62−40183号公
報に開示されている。しかしながら、この方法では、被
覆に用いた樹脂が金属めっき粒子上に物理的に付着して
いるのみであるため金属との結合力が弱く、被覆処理後
凝集した粒子を単粒子化工程で被覆樹脂が剥がれること
により、被覆樹脂の厚みが薄くなったり、金属めっき粒
子が露出することがあった。
【0004】また、従来の液晶表示素子用スペーサー
は、セルの作製直後や高電圧印加後に、液晶のスペーサ
の周りで液晶の異常配向が発生するという問題があり、
これを改善する方法として、例えば、表面に還元性基を
有するスペーサに酸化剤を反応させてスペーサ表面にラ
ジカルを発生させた後、アルキル基を含有する重合性単
量体を反応させてグラフト重合層を形成する方法が特開
2001−147436号公報に開示されている。しか
しながら、この方法は、耐溶剤性に優れるオレフィン類
の重合が困難であり、(メタ)アクリル酸エステル等を
主体とした極性モノマーが使用されるため、液晶分子と
の相互作用が強く、充分な改善効果が得られていない。
【0005】上記したように粒子表面を樹脂で被覆する
方法として、物理的吸着法、界面乳化重合が知られてい
るが、厚み制御が困難である問題点があった。一方、膜
厚を制御しやすい重合方法として、リビング重合が知ら
れているが、リビング重合は、重合可能なモノマー種が
(メタ)アクリル酸エステルやスチレン誘導体といった
耐溶剤性や耐アルカリ性に劣ったものに限定され、耐溶
剤性に優れるオレフィン類の重合は困難であった。ま
た、ハロゲン等のリビング制御基が分子末端に残るとい
う問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するためになされたものであり、その目的とする
ところは、基材粒子表面に被覆層を形成することにより
種々の機能が付与され、しかも被覆層と基材粒子との結
合力が優れ、厚み精度に優れた被覆粒子を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の本発明は、基材粒子表面の少なくと
も一部が、メタセシス重合性単量体からなる有機ポリマ
ーにより被覆されてなる被覆粒子を提供する。また、請
求項2記載の本発明は、メタセシス重合性単量体からな
る有機ポリマーが、基材粒子表面に形成された金属カル
ベン錯体を反応開始点とするグラフト重合体である請求
項1記載の被覆粒子を提供する。また、請求項3記載の
本発明は、金属カルベン錯体が、フィッシャー型カルベ
ン錯体である請求項1又は2記載の被覆粒子を提供す
る。また、請求項4記載の本発明は、金属カルベン錯体
の中心金属が、ルテニウムである請求項1〜3のいずれ
か1項に記載の被覆粒子を提供する。また、請求項5記
載の本発明は、基材粒子が金属からなる表面を有する請
求項1〜4のいずれか1項に記載の被覆粒子を提供す
る。また、請求項6記載の本発明は、有機ポリマーが絶
縁性化合物である請求項5記載の被覆粒子を提供する。
【0008】以下に本発明を詳述する。本発明において
基材粒子を構成する材料は、特に限定されず、従来公知
の有機材料及び/又は無機材料を用いることが可能であ
る。上記基材粒子として用いる有機材料としては、特に
限定されず、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、
メチルペンテン等のオレフィン類及びその誘導体;スチ
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−
クロロスチレン、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチ
レン等のスチレン誘導体;フッ化ビニル;塩化ビニル;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル
類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチル
ヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレング
リコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル
(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;フタル酸等
のジカルボン酸類;ジアミン類;ジアリルフタレート;
ベンゾグアナミン;トリアリルイソシアネート等の重合
性単量体用いた重合体、ポリアミド、(不)飽和ポリエ
ステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォ
ン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリ
イミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などが挙
げられる。上記重合性単量体は単独で用いてもよく、2
種以上を併用しても良い。
【0009】上記基材粒子として用いる無機材料として
は、特に限定されず、金属、金属酸化物、シリカ等が例
示される。また、上記基材粒子としては、上記有機材料
と無機材料の複合構造を有していても良い。
【0010】本発明の被覆粒子が異方導電材料として用
いられる場合は、基材粒子は金属からなる表面を有する
粒子が好ましい。本発明で用いられる、上記金属からな
る表面を有する粒子(以下、「金属表面粒子」とも言
う)とは、最表層が金属からなるものあれば特に限定さ
れず、金属のみからなる粒子であってもよく、有機材料
又は無機材料からなるコア粒子の表面に、蒸着、メッ
キ、塗布等により金属層が形成された粒子や、金属の微
細粒子がコア粒子の表面に導入された粒子であってもよ
い。
【0011】上記金属としては、導電性を有しているも
のであれば、特に限定されず、例えば、金、白金、銀、
銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、クロム等の金属や、
ITO、ハンダ等の金属化合物が挙げられる。これらの
中でも、抵抗値が低い金を最外層に有するものが好適に
用いられる。
【0012】本発明の被覆粒子は、基材粒子表面の少な
くとも一部が、メタセシス重合性単量体からなる有機ポ
リマーにより被覆されているものである。メタセシス重
合は、従来、耐溶剤性に優れるオレフィン類で困難であ
った重合鎖長の制御が可能であり、上記メタセシス重合
性単量体としては、例えば、シクロブテン、シクロペン
テン、シクロオクテン、シクロオクタジエン等の単環状
オレフィン及びその誘導体;ノルボルネン、ノルボルナ
ジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエ
ン等の多環状オレフィン及びその誘導体;2,3−ジヒ
ドロフラン、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,
6−テトラヒドロ無水フタル酸、9−オキサビシクロ
[6.1.0]ノン−4−エン、exo−N−メチル−
7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−
2,3−ジカルボキシイミド、1,4−ジヒドロ−1,
4−エポキシナフタレン等のヘテロ原子含有シクロオレ
フィンなどが好適に用いられる。これらの単量体は単独
で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0013】上記有機ポリマーは基材粒子表面に形成さ
れた金属カルベン錯体を反応開始点とするグラフト重合
体であることが好ましい。上記メタセシス重合性単量体
からグラフト重合体を生成する方法としては、メタセシ
ス重合の中でも開環メタセシス重合が好適に用いられ
る。開環メタセシス重合は通常のラジカル重合と異な
り、比較的容易に重合鎖長の制御が可能であり、かつ、
触媒金属を容易に除去可能であり、リビング重合のよう
にハロゲン等のリビング制御基が分子末端に残らない等
の利点を有する。
【0014】本発明における金属カルベン錯体として
は、中心金属としてTi、V、Cr、Zr、Nb、M
o、Ru、Hf、Ta、W、Re、Os又はIrから選
ばれるいずれか1種の金属を有する塩化物;アルキリデ
ン錯体、ビニリデン錯体、アレニリデン等のカルベン錯
体;カルビン錯体等のメタセシス反応性錯体が挙げられ
る。これらの中でも、中心金属がルテニウム(Ru)で
あるものが好ましい。(ヒドロキシル基、ホルミル基、
カルボキシル基などの官能基に対して安定で、水やアル
コール等のプロトン溶媒でも反応を行うことができる点
で、ルテニウムが好適に用いられる)
【0015】上記メタセシス反応性錯体としては、例え
ば、TiCl4 、VOCl3 、MoCl5 、ReC
5 、IrCl3 、ZrCl4 、NbCl5 、WC
5 、RuCl3 、VCl4 、TaCl5 、WOC
4 、OsCl3 等の金属塩化物;トリドデシルアンモ
ニウムモリブデート、ビス(トリシクロヘキシルホスフ
ィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロライド等が
挙げられる。
【0016】上記金属カルベン錯体としては、フィッシ
ャー型カルベン錯体を有するものが好適に用いられる。
フィッシャー型カルベン錯体とは、カルベン炭素上の置
換基が酸素又は窒素又は硫黄等のπ−供与性ヘテロ元素
官能基によって置換された構造である。本フィッシャー
型カルベン錯体を有する金属カルベン錯体は、アルキリ
デン錯体に比べてはるかに安定であり、開環メタセシス
重合に活性を示す。また、カルベン炭素上の置換基が酸
素<硫黄<セレン<テルル<ポロニウムの順に、メタセ
シス活性が向上するため、カルコゲン元素の周期がポロ
ニウムの方向へ下がるにつれて触媒として好適に用いら
れる。
【0017】上記フィッシャー型カルベン錯体として
は、例えば、RuCl2(=CHOPh)(PCy3)2:Dichlorobis(tric
yclohexylphosphine)(phenyloxyethenylidene)rutheniu
m 、RuCl2(=CHSPh)(PCy3)2:Dichlorobis(tricyclohexy
lphosphine)(phenylthioethenylidene)ruthenium、RuCl
2(=CHSePh)(PCy3)2:Dichlorobis(tricyclohexylphosphi
ne)(phenylselenoethenylidene)ruthenium、RuCl2(=CHT
ePh)(PCy3)2:Dichlorobis(tricyclohexylphosphine)(ph
enyltelluroethenylidene)ruthenium等が挙げられる。
【0018】上記基材粒子の表面に金属カルベン錯体を
形成する方法としては、特に限定されず、例えば、 (イ)金属カルベン錯体を含有する化合物に、基材粒子
に対して結合性を有する官能基(A)を含有させて基材
粒子表面に導入する方法; (ロ)基材粒子に対して結合性を有する官能基(A)と
反応性官能基(B)とを含有する化合物を基材粒子表面
に反応させた後、一段又は多段階で反応性官能基(B)
を金属カルベン錯体に置換する方法; (ハ)基材粒子に対して結合性を有する官能基(A)を
含有する化合物を基材粒子に反応させた後、表面をプラ
ズマ処理等で反応性官能基(B)に改質し、更に、一段
又は多段階で反応性官能基(B)を金属カルベン錯体に
置換する方法等が挙げられる。これらの中で、(ロ)の
方法が好ましく用いられる。
【0019】上記(イ)の金属カルベン錯体を含有する
化合物としては、特に限定されず、ビス(トリシクロヘ
キシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジク
ロライド等が挙げられる。
【0020】上記(イ)の基材粒子に対して結合性を有
する官能基(A)としては、基材粒子とイオン結合、共
有結合又は配位結合が可能な官能基であれば特に限定さ
れず、例えば、シラン基、シラノール基、カルボキシル
基、アミノ基、アミジノ基、アンモニウム基、ニトロ
基、水酸基、カルボニル基、チオール基、スルホン基、
スルホニウム基、ホウ酸基、オキサゾリン基、ピロリド
ン基、燐酸基、ニトリル基等が挙げられる。基材粒子が
金属からなる表面の有する粒子である場合は、金属との
結合は配位結合が好適に用いられるため、S、Nまたは
P原子を有する基が好適に用いられる。例えば、金属が
金の場合には、金と配位結合を形成するS原子を有する
官能基、特にチオール基が好ましい。
【0021】上記(ロ)の基材粒子の表面に金属カルベ
ン錯体を形成する方法は、特に限定されず、例えば、ヒ
ドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ
基、シリル基、シラノール基、イソシアネート基等の反
応性の官能基(B)と基材粒子に対して結合性を有する
官能基(A)とを有する化合物を基材粒子表面に導入
し、次いで、上記反応性の官能基(B)に、該官能基
(B)と共有結合可能な官能基と金属カルベン錯体また
は金属カルベン錯体形成可能な配位基とを有する化合物
を反応させることにより金属カルベン錯体を形成する方
法等が挙げられる。
【0022】具体的には、シリカ粒子表面に、2−ノル
ボルネン−6−メチルジクロロシランを用いたシランカ
ップリングを行ってノルボルネン基に変換し、更に、ビ
ス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテ
ニウム(IV)ジクロライドを配位させ、金属カルベン錯
体に変換する方法;金属表面粒子表面に、p−ベンゼン
チオールビニルスルフィドを用いてビニルスルフィド基
を導入し、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベン
ジリデンルテニウム(IV)ジクロライドを配位させ、金
属カルベン錯体に変換する方法等が挙げられる。
【0023】上記(ハ)の基材粒子の表面に金属カルベ
ン錯体を形成する方法は、特に限定されず、例えば、基
材粒子に対して結合性を有する官能基(A)を有する化
合物を基材粒子に導入し、その後プラズマ処理、酸化処
理等により、反応性の官能基(B)に改質した後、上記
(ロ)に示した方法等により金属カルベン錯体を形成す
る方法が挙げられる。
【0024】上記グラフト重合体を生成する際に、必要
に応じて、助触媒等を用いても良い。助触媒としては、
トリエチルアルミニウム等の有機アルミニウム;ブチル
リチウム等のアルキルリチウム;ジメチル錫等の有機錫
化合物;フェニルジアゾメタン、ジアゾ酢酸メチルなど
が好適に用いられる。
【0025】本発明の被覆粒子を異方導電性粒子として
用いる場合には、上記メタセシス重合性単量体からなる
有機ポリマーとして絶縁性化合物を選択することが好ま
しい。
【0026】本発明の被覆粒子は、被覆させる有機ポリ
マーの分子量、構造、被覆厚さ等によって異なるため、
特に限定されないが、一般的に基材粒子表面積の10〜
100%が有機ポリマーにより被覆されていることが好
ましい。10%未満であると、被覆による効果が期待出
来ない。より好ましくは20〜100%である。
【0027】また、本発明の被覆粒子を異方導電材料と
して用いる場合、被覆密度は10〜90%であることが
好ましい。この範囲内であると本発明の被覆粒子を異方
導電性粒子として用いる場合に、隣接する導電性粒子間
での絶縁性が確保され、かつ、本発明の被覆粒子を電極
間で圧着する際に導通が発現される。より好ましくは2
0〜80%である。
【0028】さらに、本発明の被覆粒子は、基材粒子表
面を該粒子に対して結合性を有する官能基(A)を介し
て、有機ポリマーにより被覆されているため、被覆した
有機ポリマー層と基材粒子との結合力が強く、有機ポリ
マー層が剥がれたりすることが少ない。従って、本発明
の被覆粒子を異方導電性粒子として用いる場合には、隣
接粒子間の絶縁性を保ちながら、高接続信頼性を確保す
ることができる。
【0029】有機ポリマーによって被覆される厚みは、
基材粒子の粒径、被覆面積、被覆有機材料の形状、物
性、用いるバインダー樹脂、用途等によっても変動し特
に限定されないが、1〜2000nmが好ましい。厚み
が1nm未満であると、被覆により期待される性能が発
揮できず、2000nmを超えると、基材粒子本来の性
能が期待できなくなる。
【0030】本発明の被覆粒子を異方導電材料として用
いる場合は、被覆厚みは5nm〜1000nmが好まし
い。この範囲であると隣接する導電性粒子間での絶縁性
が確保され、かつ、本発明の被覆粒子を電極間で圧着す
る際に導通が発現される。さらに、被覆厚みが5nm未
満であると、隣接粒子間の距離が電子のホッピング距離
より小さくなり、リークが起こりやすくなる。被覆厚み
が1000nmより大きいと、圧着する際に必要な圧力
や熱が大きくなりすぎる。さらに好ましくは10〜50
0nmである。
【0031】上記被覆粒子を液晶表示用スペーサーとし
て使用する際は、有機ポリマー層の厚みは、1〜200
nmであることが好ましく、より好ましくは5〜150
nmである。上記有機ポリマー層の厚みが1nm未満で
あると、液晶表示素子を作製した後、強い衝撃を与える
と光抜けを十分に阻止することができず、200nmを
超えると、ガラス基板間のギャップが大きくなりすぎる
ため好ましくない。
【0032】(作用)本発明の被覆粒子は、メタセシス
重合を採用することにより、比較的容易に重合鎖長の制
御が可能であり、かつ金属触媒を容易に除去可能であ
り、オレフィン類を用いるために耐溶剤性が高く、分散
性に優れ、熱可塑性であるため、非常に取り扱い易いと
いう利点がある。しかしながら、これまで、メタセシス
重合を、粒子に応用しグラフトした例はなく、これらを
生かした均一被覆に最適な方法は見出されていなかっ
た。
【0033】また、本発明のごとく有機ポリマーをメタ
セシス重合により基材粒子の表面に被覆する場合には、
被覆する面積及び厚さの制御が容易となるため、被覆粒
子の使用条件に適した被覆が可能となる。更に、メタセ
シス重合により有機化合物を基材粒子の表面に被覆する
場合は、用いる単量体の種類を選定可能となり、層構造
の制御、凝集回避性、耐熱性、耐摩耗性、衝撃強度、耐
溶剤性の向上、弾性、絶縁性、導電性、撥水性、吸湿
性、保形性、接着性、分散安定性の付与、光沢、平滑性
等の塗膜性能の向上、着色等の機能付与が容易になると
いう効果がある。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本説明を詳
しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0035】・ビニルスルフィドチオール化合物(1)
の調製 容積500mL(ミリリットル)の4つ口フラスコに、
p−ブロモチオフェノール0.26mmolを脱水ジメ
チルスルホキシド150mLに溶解させ、室温で0.5
時間撹拌した後、90℃で8時間撹拌した。反応終了
後、溶液を氷水に入れて3時間撹拌した。濾過により得
られた生成物を熱エタノールに溶解し、濾過し、生成物
(a)を得た。
【0036】生成物(a)40mmolを容積1000
mLの4つ口フラスコに入れ、脱水ジクロロメタン35
0mLに溶解し、エチレンガス雰囲気にした後、臭素4
4mmolを脱水ジクロロメタン50mLに溶解させた
ものを滴下した。その後、エチレンガスを注入し、反応
液が透明になったことを確認した後、ジアザビシクロウ
ンデセン84mmolを加え、50℃で48時間反応さ
せた。反応終了後、1N−アンモニア水300mLを加
え、有機層を分離した。得られた有機層を硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧留去し、生成物(b)
を得た。
【0037】容積1000mLの4つ口フラスコに、マ
グネシウム28mmolを秤取し、脱水テトラヒドロフ
ラン50mLに溶解させた反応液を0℃で撹拌した。生
成物(b)25mmolを秤取し、脱水テトラヒドロフ
ラン100mLに溶解させたものを、反応液に滴下し
た。滴下後、80℃で3時間反応させた。反応終了後、
反応容器を冷却しながら、硫黄27mmolを加え、室
温で12時間反応させた。さらに、80℃に加熱して3
時間反応させた後1N塩酸水により反応を停止した。エ
ーテル抽出した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し
た。濾過後、溶媒を減圧留去し、ビニルスルフィドチオ
ール化合物(1)を得た。
【0038】・ビニルスルフィドーチオール化合物
(2)の調製 容積500mLの4つ口フラスコに、メルカプトフェノ
ール594mmolを脱水ジメチルスルホキシド300
mLに溶解させて反応液とし、室温で30分撹拌した。
その後、90℃で8時間撹拌した。反応終了後、溶液を
エーテル抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾
燥した。濾過後、得られた生成物をエタノール中で再結
晶させた後、濾過により結晶(c)を得た。
【0039】容積1000mLの4つ口フラスコに、窒
素雰囲気下、結晶(c)75mmol及び1−ブロモ−
6−クロロヘキサン250mmolを脱水アセトン45
0mLに溶解させ、炭酸カリウム330mmolを加
え、60で16時間反応させた。反応終了後、飽和炭酸
水素ナトリウム水溶液、エーテルを添加し、有機層を分
離した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾
過後、溶媒を除去した。得られた溶液から減圧蒸留によ
り過剰の1−ブロモ−6−クロロヘキサンを除き、生成
物(d)を得た。
【0040】容積1000mLの4つ口フラスコに、生
成物(d)40mmolを脱水ジクロロメタン3500
mLに溶解させ、エチレンガス雰囲気にした後、臭素4
4mmolを脱水ジクロロメタン50mLに溶解させた
ものを滴下した。エチレンガスを注入し、反応液が透明
になったことを確認した後、ジアザビシクロウンデセン
84mmolを加え、50℃で48時間反応させた。反
応終了後、1Nアンモニア水を300mL加え、有機層
を分離した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥
し、濾過後、溶媒を減圧留去し、生成物(e)を得た。
【0041】次に、容積200mLの4つ口フラスコ
に、生成物(e)0.04mmolを秤取し、脱水テト
ラヒドロフラン80mLに溶解させ反応液とし、−10
℃で撹拌した。この溶液に、さらにヘキサメチルジシリ
ルシラチアン約0.048mmol、テトラブチルアン
モニウムフルオライド44mLを加えた。添加後、室温
で1時間撹拌した。撹拌終了後、エーテル200mL及
び塩化アンモニウム水溶液(4.0M水溶液を調製)5
00mLを加えて有機層を分離した。得られた有機層を
硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、エバポレータによ
り、溶媒を除去し、ビニルスルフィドーチオール化合物
(2)を得た。
【0042】・ビニルエーテル−エトキシシラン化合物
(3)の調製 容積500mLの4つ口フラスコに、エチレングリコー
ルモノビニルエーテル200mmolを秤取し、脱水ジ
クロロメタン200mLに溶解させ反応溶液として撹拌
する。この溶液にトリエトキシクロロシラン220mm
ol及びトリエチルアミン500mmolを加えた後、
70℃で12時間撹拌した。撹拌終了後、沈殿物を濾過
し、減圧蒸留によって生成物を精製し、ビニルエーテル
−エトキシシラン化合物(3)を得た。
【0043】・基材粒子(A)の調製 ケン化度87.9%ポリビニルアルコール(日本合成化
学工業社製「GH―20」)の3%水溶液800重量部
に、ジビニルベンゼン100重量部及び過酸化ベンゾイ
ル2重量部の混合溶液を加えてホモジナイザーにて攪拌
して粒度調整を行った。その後撹拌しながら窒素気流下
にて80℃まで昇温し、15時間反応を行った。得られ
た微粒子を熱イオン交換水及びメタノールにて洗浄後、
分級操作を行った。得られた粒子は平均粒径6.010
μm、CV値3.0であり、この微粒子を基材粒子(A)
とした。
【0044】(実施例1)4ツ口セパラブルカバー、撹
拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付け
た容量500mLのセパラブルフラスコ中で、金属表面
粒子に対する結合性基としてチオール基を有するビニル
スルフィドチオール化合物(2)2000μmolを2
−ブタノン250mLに溶解させた。この溶液に、粒径
約5μmの表面を金メッキした粒子(積水化学工業社製
「ミクロパールAU205」)6gを窒素雰囲気下で分
散させ、室温で12時間撹拌した。濾過により未反応の
ビニルスルフィドーチオール生成物を除去し、2−ブタ
ノンで洗浄後乾燥し、精製したトルエン200mLに分
散させた。
【0045】この分散液にメタセシス重合性触媒として
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンル
テニウム(IV)ジクロライド400μmolを添加し、室
温で0.5時間撹拌し、ビニルスルフィド基をルテニウ
ム−フィッシャーカルベン基に変換した。濾過により未
反応のビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリ
デンルテニウム(IV)ジクロライドを除去し、トルエンで
洗浄後、再度、精製トルエン250mLに窒素雰囲気下
で分散した。この分散液中にグラフト重合を行う単量体
として、精製トルエン50mLに溶解したノルボルネン
2000μmolを窒素雰囲気下で添加し、45℃で1
時間グラフト重合を行った。n−ヘキサン洗浄濾過した
後、乾燥し、表面を絶縁性の有機ポリマーで被覆した被
覆粒子を得た。
【0046】(実施例2)4ツ口セパラブルカバー、撹
拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付け
た容量500mLのセパラブルフラスコ中で、金属表面
粒子に対する結合性基としてチオール基を有するビニル
スルフィドーチオール化合物(3)2000μmolを
2−ブタノン250mLに溶解させた。この溶液に、粒
径約5μmの表面を金メッキ粒子(積水化学工業社製
「ミクロパールAU205」)6gを窒素雰囲気下で分
散させ、室温で12時間攪拌した。濾過により未反応の
ビニルスルフィドーチオール生成物を除去し、2−ブタ
ノンで洗浄後乾燥し、精製したトルエン200mLに分
散させた。
【0047】この分散液にメタセシス重合性触媒として
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンル
テニウム(IV)ジクロライド400μmolを添加し、室
温で0.5時間撹拌し、ビニルスルフィド基をルテニウ
ム−フィッシャーカルベン基に変換した。濾過により未
反応のビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリ
デンルテニウム(IV)ジクロライドを除去し、トルエンで
洗浄後、再度、精製トルエン250mLに窒素雰囲気下
で分散した。この分散液中にグラフト重合を行う単量体
として、精製トルエン50mLに溶解したノルボルネン
2000μmolを窒素雰囲気下で添加し、45℃で1
時間グラフト重合を行った。n−ヘキサン洗浄濾過した
後、乾燥し、表面を絶縁性の有機ポリマーで被覆した被
覆粒子を得た。
【0048】(実施例3)4ツ口セパラブルカバー、撹
拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付け
た容量500mLのセパラブルフラスコ中で、金属表面
粒子に対する結合性基としてチオール基を有するビニル
スルフィドーチオール化合物(3)600μmol及び
ヘキサンチオール1400μmolを2−ブタノン25
0mLに溶解させた。この溶液に、粒径約5μmの表面
を金メッキした粒子(積水化学工業社製「ミクロパール
AU205」)6gを窒素雰囲気下で分散させ、室温で
12時間撹拌した。濾過により未反応のビニルスルフィ
ドーチオール生成物を除去し、2−ブタノンで洗浄後乾
燥し、精製したトルエン200mLに分散させた。この
分散液にメタセシス重合性触媒としてビス(トリシクロ
ヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジク
ロライド400μmolを添加し、室温で0.5時間撹
拌し、ビニルスルフィド基をルテニウム−フィッシャー
カルベン基に変換した。
【0049】濾過により未反応のビス(トリシクロヘキ
シルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロラ
イドを除去し、トルエンで洗浄後、再度、精製トルエン
250mLに窒素雰囲気下で分散した。この分散液中に
グラフと重合を行う単量体として、精製トルエン50m
Lに溶解したノルボルネン2000μmolを窒素雰囲
気下で添加し、45℃で1時間グラフト重合を行った。
n−ヘキサン洗浄濾過した後、乾燥し、表面を絶縁性の
有機ポリマーで被覆した被覆粒子を得た。
【0050】(比較例1)粒径約5μmの表面を金メッ
キした粒子(積水化学工業社製「ミクロパールAU20
5」)10g及びフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学社
製)5gをハイブリダイゼーション装置(奈良機械社
製)に導入し、90℃で3分間処理し、表面を絶縁性の
有機化合物で被覆した被覆粒子を得た。
【0051】(比較例2)4ツ口セパラブルカバー、撹
拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付け
た容量500mLのセパラブルフラスコ中で、金属表面
粒子に対する結合性基としてチオール基を有するメルカ
プトフェノール2.5mmolを蒸留精製したテトラヒ
ドロフラン200mLに溶解させた。この溶液に、粒径
約5μmの表面を金メッキした粒子(積水化学工業社製
「ミクロパールAU205」)6gを窒素雰囲気下で分
散させ、40℃で12時間撹拌した。濾過により未反応
のメルカプトフェノールを除去し、テトラヒドロフラン
で洗浄後、乾燥し、精製したトルエン200mLに分散
させた。この分散液に2−(4−クロロスルフォニル)
エチルトリクロロシラン2.5mmolを添加し、40
℃で6時間撹拌した。濾過により未反応の2−(4−ク
ロロスルフォニル)エチルトリクロロシランを除去し、
トルエンで洗浄後、精製したトルエン200mLに窒素
雰囲気下で分散させた。この分散液に、臭化銅5mmo
l、4,4' −ジ−n−ヘプチル−2,2’−ビピリジ
ン10mmol、オクチルメタクリレート2.5mmo
l及びp−トルエンスルホニルクロライド1.2mmo
lを窒素雰囲気下で添加し、90℃で12時間撹拌し
た。室温に冷却し、n−ヘキサン100gを添加した
後、濾過し、さらにn−ヘキサンで洗浄後乾燥し、表面
を有機ポリマーで被覆した被覆粒子を得た。
【0052】上記実施例1〜3及び比較例1,2で得ら
れた被覆粒子を用い、各被覆粒子をジェットミル(日清
エンジニアリング社製「カレントジェットCJ−2.
5」)を用いて、50kPaの力で単粒子化処理した
後、以下の測定を行い、結果を表1に示した。 (1)被覆樹脂厚の測定 被覆粒子0.01gをエポキシ樹脂(EPON812)
10gに分散した後、酸化ルテニウム又は臭素中に24
時間放置した。ミクロトームにより膜厚70nmに切片
を作製した後、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)によ
り観察し、被覆粒子と基材粒子表面の厚み差を算出し
た。
【0053】(2)被覆密度の測定 走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。被覆粒子
を反射電子で観察し、基材粒子表面積と樹脂により被覆
された被覆面積の割合を算出し、一粒子中の表面を構成
する重合体の割合を算出した。
【0054】(3)凝集率試験 上記実施例1〜3及び比較例1,2で得られた被覆粒子
1g、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製「エピコ
ート828」)100g、硬化剤(油化シェルエポキシ
社製「ノバキュア3941HPS」)100g及び酢酸
エチル100gを、遊星式撹拌機を用い、十分に分散混
合させた後、厚さ1mmのガラス板上に一定の厚みで塗
布し、75℃、30分の熱風乾燥により、エポキシ樹脂
を硬化させた。塗布後の膜厚は40μmであった。 硬
化したサンプルを光学顕微鏡で観察し、1cm2 あたり
の膜中の粒子の凝集率を測定した。
【0055】
【表1】
【0056】尚、表中、1cm2 あたりにおける凝集率
(%)は、式:(5個以上凝集している粒子/全粒子
数)×100より算出した。
【0057】表1に示したように、比較例1で得られた
被覆粒子では、単粒子化の際に被覆密度が著しく低下し
たのに対して、実施例1〜3及び比較例2で得られた被
覆粒子では、殆ど被覆密度の低下は認められなかった。
また、比較例2の被覆粒子は、凝集率45%であり、分
散性が低いことを示した。実施例1〜3及び比較例1で
得られた被覆粒子は凝集率が20%以下であり、良好な
分散性を示した。
【0058】(実施例4)4ツ口セパラブルカバー、撹
拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付け
た容量500mLのセパラブルフラスコ中で、基材粒子
(A)に対する結合性基としてエトキシ基を有するビニル
エーテル−エトキシシラン化合物(1)2000μmo
lをエタノール250mLに溶解させた。この溶液に、
基材粒子(A)6gを窒素雰囲気下で分散させ、室温で1
2時間撹拌した。
【0059】濾過により未反応のビニルエーテル−エト
キシシラン化合物(3)を除去し、エタノールで洗浄後
乾燥し、精製したトルエン200mLに分散させた。こ
の分散液にメタセシス重合性触媒としてビス(トリシク
ロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジ
クロライド400umolを添加し、室温で0.5時間
撹拌し、ビニルスルフィド基をルテニウム−フィッシャ
ーカルベン基に変換した。
【0060】濾過により未反応のビス(トリシクロヘキ
シルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロラ
イドを除去し、トルエンで洗浄後、再度、精製トルエン
250mLに窒素雰囲気下で分散した。この分散液中に
グラフト重合を行う単量体として、精製トルエン50m
Lに溶解したノルボルネン2000μmolを窒素雰囲
気下で添加し、45℃で1時間グラフト重合を行った。
n−ヘキサン洗浄濾過した後、乾燥し、表面を有機ポリ
マーで被覆した被覆粒子を得た。
【0061】(比較例3)セパラブルフラスコにジメチ
ルスルホキシド400mL、オクチルメタクリレート2
0g及び基材粒子(A)を5g部加えて、ソニケーターに
より十分分散させた後均一に撹拌を行った。次いで、こ
の系に窒素ガスを導入し、30℃にて3時間撹拌を続け
た。これに1Nの硝酸水溶液で調整した0.1mol/
Lの硝酸第二セリウムアンモニウム溶液350mLを添
加し、5時間反応した。重合終了後反応液を取り出し、
3μmのメンブランフィルターにて微粒子と反応液を濾
別した。この微粒子をエタノール及びアセトンにて十分
洗浄し、真空乾燥機にて減圧乾燥を行い、表面を有機ポ
リマーで被覆した被覆粒子を得た。
【0062】上記実施例4及び比較例3で得られた被覆
粒子を用いて、以下の測定を行い、その結果を表2に示
した。 (4)被覆樹脂厚の測定 粒径測定装置(日機装社製「Microtrac(UP
A)」)により、被覆粒子の粒径を測定した。被覆粒子
の平均粒径と基材粒子との平均粒径差を算出し、その差
を被覆樹脂厚とした。
【0063】(5)被覆密度の測定 飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIM
S)により分析した。被覆粒子の0.2im角の面積部
を厚さ方向の0.01im程度の極表面だけを分析し、
検出される質量スペクトルのカウント数から各組成の表
面を構成する重合体における割合を算出した。
【0064】(6)配向状態の評価 上記実施例4及び比較例3で得られた被覆粒子を散布し
て、基板サイズ50×50mm、セルギャップ6.0i
mのSTN型液晶表示装置を作製し、液晶の配向状態を
以下の様にして評価した。液晶表示装置の初期状態(セ
ル作製後、装置にAC3V印加した状態)と電圧印加状
態(装置に400Hz、AC50Vの電圧を5秒間印加
し、その後AC3V印加した状態)と、印加後に粒子周
辺で光抜けが起きた場合に異常配向発生と評価した。
【0065】
【表2】
【0066】実施例4、比較例3ともに、基材粒子のジ
ビニルベンゼンに起因する質量スペクトルの値が検出さ
れなかったため、被覆密度を100%とした。表2に示
したように、比較例2で得られた被覆粒子を液晶表示装
置に用いた場合、異常配向が発生したのに対して、実施
例4で得られた被覆粒子では、異常配向発生は認められ
なかった。
【0067】
【発明の効果】本発明の被覆粒子は、上述の通りであ
り、基材粒子表面に結合力が強く、厚み精度に優れた被
覆層が形成されており、このような被覆層によって、基
材粒子に耐溶剤性、分散性、絶縁性等様々の機能を付与
することができる。
フロントページの続き (72)発明者 脇屋 武司 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4J037 AA04 AA05 CC12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材粒子表面の少なくとも一部が、メタ
    セシス重合性単量体からなる有機ポリマーにより被覆さ
    れてなることを特徴とする被覆粒子。
  2. 【請求項2】 メタセシス重合性単量体からなる有機ポ
    リマーが、基材粒子表面に形成された金属カルベン錯体
    を反応開始点とするグラフト重合体であることを特徴と
    する請求項1記載の被覆粒子。
  3. 【請求項3】 金属カルベン錯体が、フィッシャー型カ
    ルベン錯体であることを特徴とする請求項1又は2記載
    の被覆粒子。
  4. 【請求項4】 金属カルベン錯体の中心金属が、ルテニ
    ウムであること特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の被覆粒子。
  5. 【請求項5】 基材粒子が金属からなる表面を有するこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の被
    覆粒子。
  6. 【請求項6】 有機ポリマーが絶縁性化合物であること
    を特徴とする請求項5記載の被覆粒子。
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