JP2003308811A - 電池パックの製造方法 - Google Patents
電池パックの製造方法Info
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Abstract
パック用紫外線硬化性樹脂4を用いることにより、少な
い紫外線の積算照射量で十分な接着強度を発揮する電池
パックケースを作製することができる電池パックの製造
方法を提供する。 【解決手段】 非水電解質二次電池1を収納した浅い箱
型容器状のケース容器2の蓋板嵌込部2aにアクリル系
樹脂からなる長波長硬化型の電池パック用紫外線硬化性
樹脂4を塗布してケース蓋3を嵌め込み、この蓋板嵌込
部2aに長波長の紫外線を照射することにより電池パッ
ク用紫外線硬化性樹脂4を硬化させて電池パックケース
を作製する構成とする。
Description
機器等の電源として使用される電池パックの製造方法に
関する。
の電池パックケースで覆ったものであり、携帯電話機等
の小型の携帯用電子機器やその他の機器の電源として広
く利用されている。この電池パックの電池は、金属製等
の電池外装体の内部に電解液等の電解質と共に発電要素
を収納したものであり、一般に充電が可能な二次電池が
用いられる。即ち、この電池には、鉛蓄電池やニッケル
−カドミウム電池、ニッケル−水素電池等の他に、最近
ではエネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池等の
非水電解質二次電池も多く用いられるようになって来て
いる。電池パックは、このような電池の正負の端子を開
口部から露出させたり、この電池の端子と電池パックケ
ースに設けた正負の電池パック端子との間を配線材で配
線して電池パックケースで覆っている。また、可燃性の
電解質を用いる非水電解質二次電池の場合には、安全の
ために、この電池の端子と電池パック端子との間に保護
回路や保護素子を接続することも多い。
のケース部品に電池を収納し、開口部に蓋板状のケース
部品を被せるようにしたものや、浅い箱型容器状の2個
のケース部品を重ねた間に電池を収納するようにしたも
の等がある。そして、これらのケース部品を接合して電
池パックケースを作製する方法としては、プラスチック
ケース材料を溶解する溶剤を用いる方法や、超音波溶接
による熱溶着による方法等があるが、本願出願人は、特
許願2001−338141号において、紫外線硬化性
樹脂を用いる方法を提案している。
性樹脂は、硬化させるために高温にすることが必要な場
合があり、また、ケース部品に紫外線を照射すると高温
になる場合がある。しかしながら、電池は、電解質等が
高温になると、変質したり分解してガスを発生すること
があるので、電池パックの製造過程においてこの電池が
高温に晒されるのは好ましくないという問題があった。
しかも、ケース部品を紫外線硬化性樹脂で接合した電池
パックケースは、必ずしも接合部が強度的に十分ではな
い場合があるという問題もあった。
されたものであり、アクリル系樹脂からなる長波長硬化
型の紫外線硬化性樹脂を用いることにより、少ない紫外
線の積算照射量で十分な接着強度を発揮する電池パック
ケースを作製することができる電池パックの製造方法を
提供することを目的としている。
製造方法は、境界部にアクリル系樹脂からなる長波長硬
化型の紫外線硬化性樹脂を介在させて、2個以上のケー
ス部品を組み合わせることにより電池を覆い、これらの
ケース部品に紫外線を照射することにより紫外線硬化性
樹脂を硬化させて電池パックケースを作製することを特
徴とする。
からなる紫外線硬化性樹脂を用いるので、エポキシ系樹
脂からなる紫外線硬化性樹脂のように高温にして硬化さ
せる必要がなくなる。また、長波長硬化型の紫外線硬化
性樹脂を用いるので、短波長硬化型のものに比べて十分
に大きな接着強度を得ることができる。しかも、紫外線
の積算照射量も少なくて済むので、この紫外線に晒され
てケース部品が高温になるようなこともなくなる。
紫外線硬化性樹脂への紫外線の積算照射量が100mJ
/cm2 以上、1700mJ/cm2 以下であることを
特徴とする。
射量が100mJ/cm2 以上となるので、紫外線硬化
性樹脂を確実に硬化させて十分な接着強度を得ることが
できるようになる。また、この紫外線の積算照射量が1
700mJ/cm2 以下となるので、ケース部品が高温
になるようなこともなくなる。
図面を参照して説明する。
のであって、図1は透過照射タイプの製造方法を示す電
池パックの縦断面図、図2は直接照射タイプの製造方法
を示す電池パックの縦断面図である。
に、薄い小型角型の非水電解質二次電池1をケース容器
2とケース蓋3とからなる電池パックケースで覆った電
池パックの製造方法について説明する。非水電解質二次
電池1は、薄い小型角型の金属缶に発電要素を収納して
非水電解液を充填し金属蓋板で封口した単電池であり、
正負の端子が金属蓋板と金属缶の底面に設けられてい
る。ケース容器2は、顔料入りの着色ポリカーボネート
樹脂を上面が開口した浅い箱型容器状に成形したもので
あり、側壁部の開口上端部には、内側に段状に下がった
蓋板嵌込部2aが形成されている。また、このケース容
器2には、電池パックを装着する機器の電源回路と接続
するために、図示しない側壁部に正負の電池パック端子
が設けられている。
ものであり、図2は、直接透過タイプの製造方法を示す
ものである。そして、ケース蓋3は、図1に示す透過照
射タイプの場合には、紫外線が透過可能な透明なポリカ
ーボネート樹脂の板材を用い、図2に示す直接照射タイ
プの場合には、紫外線を透過させる必要がないので、ケ
ース容器2と同様の着色ポリカーボネート樹脂の板材を
用いる。このケース蓋3は、ケース容器2の蓋板嵌込部
2aに嵌まり込むような形状の板材に加工されている。
また、図1に示す透過照射タイプの製造方法の場合に
は、嵌め込んだケース蓋3の側面と蓋板嵌込部2aの垂
直面との間にできるだけ隙間がない方が体裁上好ましい
が、図2に示す直接照射タイプの製造方法の場合には、
このケース蓋3の側面と蓋板嵌込部2aの垂直面との間
に0.05mm以上の間隙が生じるようにすることが好
ましい。
化性樹脂4によってケース容器2の蓋板嵌込部2aに接
合される。紫外線硬化性樹脂は、ラジカル重合によって
硬化が進行するアクリル系樹脂からなるものと、カチオ
ン重合によって硬化が進行するエポキシ系樹脂からなる
ものとがある。アクリル系樹脂の紫外線硬化性樹脂は、
紫外線が照射されてラジカルが生成されると常温で重合
反応が進行するが、エポキシ系樹脂の紫外線硬化性樹脂
は、重合反応を進行させるために80°C程度の高温に
加熱する必要がある。しかし、電池は、高温に晒される
と、電解質が変質したり熱分解してガスを発生するおそ
れがあり、特に可燃性の非水系電解質を用いる非水電解
質二次電池1では、このような高温は避けるべきである
ため、本発明では、電池パック用紫外線硬化性樹脂4と
してアクリル系樹脂を用いる。
4は、長波長硬化型の紫外線硬化性樹脂を用いる。紫外
線は、10nm以上、400nm未満の波長の光をい
い、長波長硬化型とは、この波長が350nm以上の長
波長領域の紫外線を用いても硬化可能な紫外線硬化性樹
脂をいう。なお、この長波長硬化型の紫外線硬化性樹脂
は、一般には、350nm未満の波長の短い領域の紫外
線でも硬化可能となる。このような長波長硬化型の紫外
線硬化性樹脂は、例えば280nm付近以下の短波長の
紫外線でのみ硬化する短波長硬化型の紫外線硬化性樹脂
に比べて、接着強度が格段に優れているという特徴を有
する。この理由は、不明であるが、短波長であるほど樹
脂に対する透過度が低いことに起因して、投入したエネ
ルギーが十分な深度に到達していないことが考えられ
る。
ごとに説明する。
電解質二次電池1を挿入する。この際、非水電解質二次
電池1は、正負の端子が保護回路を実装した図示しない
保護回路基板や保護素子を介してケース容器2の正負の
電池パック端子に配線材により接続される。
は、電池パック用紫外線硬化性樹脂4が塗布される。図
1に示す透過照射タイプの製造方法の場合には、主に蓋
板嵌込部2aにおける水平面上に塗布され、垂直面側も
次工程で嵌め込むケース蓋3との隙間を埋める程度に塗
布される。また、図2に示す直接照射タイプの場合に
は、主に蓋板嵌込部2aにおける垂直面上に塗布され、
水平面上には、全く塗布しないか、わずかに塗布され
る。なお、この電池パック用紫外線硬化性樹脂4の塗布
は、作業の邪魔にならない限り、ケース容器2に非水電
解質二次電池1を挿入する前に行うこともできる。
ク用紫外線硬化性樹脂4が塗布されると、この蓋板嵌込
部2aにケース蓋3を嵌め込み、このケース蓋3の下面
周縁部や側面と蓋板嵌込部2aとの間に電池パック用紫
外線硬化性樹脂4が充填された状態とする。この際、図
1に示す透過照射タイプの製造方法の場合には、ケース
蓋3の下面周縁部と蓋板嵌込部2aの水平面との間に確
実に電池パック用紫外線硬化性樹脂4の層が形成される
ようにする。また、図2に示す直接照射タイプの製造方
法の場合には、ケース蓋3の側面と蓋板嵌込部2aの垂
直面との間に確実に電池パック用紫外線硬化性樹脂4の
層が形成されるようにする。直接照射タイプの場合に
は、このような電池パック用紫外線硬化性樹脂4の層が
ある程度の厚さに形成されるようにするために、上述の
ように、このケース蓋3の側面と蓋板嵌込部2aの垂直
面との間に間隙を設けるようにする。なお、上記工程
で、ケース容器2の蓋板嵌込部2aに電池パック用紫外
線硬化性樹脂4を塗布する代わりに、この工程で嵌め込
むケース蓋3の下面周縁部や側面に予め塗布しておくこ
ともでき、蓋板嵌込部2aとケース蓋3の双方に塗布し
ておくようにしてもよい。また、ケース蓋3を蓋板嵌込
部2aに嵌め込んだ後に、これらの隙間に電池パック用
紫外線硬化性樹脂4を充填することも可能である。ただ
し、この場合には、未硬化の粘度が十分に低い電池パッ
ク用紫外線硬化性樹脂4を使用する必要がある。
aに嵌め込まれると、このケース容器2とケース蓋3に
紫外線が照射される。そして、この紫外線の照射によ
り、電池パック用紫外線硬化性樹脂4が硬化し、ケース
容器2とケース蓋3とが接合されて電池パックケースが
作製される。
紫外線がほぼ平行光線として均一にケース容器2とケー
ス蓋3に上方から照射されるようにする。ただし、実際
に照射が必要となるのは、電池パック用紫外線硬化性樹
脂4が塗布された蓋板嵌込部2aだけである。紫外線が
このように照射されると、図1に示す透過照射タイプの
製造方法の場合には、この紫外線が透明なケース蓋3を
透過して、蓋板嵌込部2aの水平面上の電池パック用紫
外線硬化性樹脂4の層に照射される。また、ケース蓋3
の側面と蓋板嵌込部2aの垂直面との間の電池パック用
紫外線硬化性樹脂4の層については、紫外線がこれらの
間隙に直接照射されると共に、ケース蓋3を斜めに透過
した紫外線が照射されることになる。ただし、ケース容
器2の上端縁部のポリカーボネート樹脂も透明にしてお
けば、この上端縁部を斜めに透過した紫外線も照射され
るようになる。ケース容器2の上端縁部を透明にするに
は、ケース容器2の全体を透明ポリカーボネート樹脂で
形成する他、例えば着色ポリカーボネート樹脂を箱型容
器状に成形したものの上端面に透明ポリカーボネート樹
脂製の枠体を接着して蓋板嵌込部2aを形成するように
してもよい。また、ケース蓋3についても、周縁部のみ
で紫外線が透過すればよいので、この周縁部のみが透明
なものを用いることもできる。図2に示す直接照射タイ
プの製造方法の場合には、ケース蓋3の側面と蓋板嵌込
部2aの垂直面との間の電池パック用紫外線硬化性樹脂
4の層に紫外線が直接照射されることになる。そして、
この紫外線を確実に照射させるために、上述のように、
ケース蓋3の側面と蓋板嵌込部2aの垂直面との間に間
隙を設けておく。ただし、この場合にも、ケース蓋3や
ケース容器2の全部や一部を透明にして、これらを斜め
に透過した紫外線が電池パック用紫外線硬化性樹脂4に
照射されるようにしてもよい。
365nm付近の波長を主体とするものが用いられる。
この紫外線の照射によって電池パック用紫外線硬化性樹
脂4を十分に硬化させるには、紫外線照射量は100m
J/cm2 以上の積算照射量となる照射を行うことが好
ましい。また、1700mJ/cm2 を超える積算照射
量の照射を行っても、それ以上硬化することはなく、無
駄にケース容器2やケース蓋3を発熱させるだけとな
る。ここで、積算照射量とは、電池パック用紫外線硬化
性樹脂4に実際に照射される紫外線の積算量であり、U
V照射炉の単位面積当たりのランプ強度×時間からなる
ものであって、一般的には、積算照度計で計測すること
ができる。例えば、コンベア方式の場合は、UV照射炉
の中を積算照度計を通過させることで計測することがで
きる。
硬化性樹脂4を硬化させるためには、短波長領域の紫外
線を照射してもよい。ただし、図1に示す透過照射タイ
プの製造方法の場合に、短波長領域の紫外線がケース蓋
3を透過すると、波長が短いほど、透明なポリカーボネ
ート樹脂の紫外線の透過率が急速に低下する特性があ
る。そして、この透過率が低下すると、紫外線を十分に
照射しても、電池パック用紫外線硬化性樹脂4への積算
照射量は不足することがあるので、ケース容器2やケー
ス蓋3だけが発熱して高温となり、電池パック用紫外線
硬化性樹脂4は十分に硬化しないようになるおそれがあ
る。これに対して、本実施形態のように長波長領域を主
体とする紫外線を使用すれば、ケース蓋3の透明なポリ
カーボネート樹脂の透過率が低下するのを抑制すること
ができ、このケース蓋3の発熱を減少させることができ
るようになる。また、透過照射タイプや直接照射タイプ
にかかわりなく、ケース容器2やケース蓋3のポリカー
ボネート樹脂が紫外線照射により劣化するのを抑制する
こともできる。さらに、このような長波長領域を主体と
する紫外線は、オゾンの発生も少なく、人体への悪影響
も少なくなるので、作業環境の安全性向上にも貢献する
ことができる。
の製造方法によれば、電池パック用紫外線硬化性樹脂4
にアクリル系樹脂からなる紫外線硬化性樹脂を用いるの
で、常温での硬化が可能となり、ケース容器2とケース
蓋3の内部に収納した非水電解質二次電池1を高温に晒
す必要がなくなる。また、この電池パック用紫外線硬化
性樹脂4に長波長硬化型の紫外線硬化性樹脂を用いるの
で、ケース容器2とケース蓋3を強固に接着することが
できるようになる。しかも、この長波長硬化型の紫外線
硬化性樹脂は、少ない積算照射量の紫外線でも十分な強
度を発揮することができるので、ケース容器2やケース
蓋3への紫外線の照射量が多くなりすぎて、これらのポ
リカーボネート樹脂が劣化したり発熱して高温になるよ
うなこともなくなる。
のケース容器2と蓋板状のケース蓋3とを組み合わせて
電池パックケースを構成する場合について示したが、こ
の電池パックケースの構成は任意であり、例えば浅い箱
型容器状の2個のケース部品を凹部同士が向かい合うよ
うに重ねて、この間に電池を収納するようにしたもの等
でもよく、3個以上のケース部品を組み合わせたもので
あってもよい。電池パック用紫外線硬化性樹脂4は、こ
れらのケース部品の境界部に塗布や注入等により充填さ
れる。境界部とは、これらのケース部品同士が当接する
部分や接近して配置される部分をいう。
ト樹脂製の電池パックケースを用いる場合について示し
たが、この電池パックケースの材質については限定され
ず、ABS樹脂等を用いることも可能である。さらに、
非水電解質二次電池1の端子と電池パックケースの電池
パック端子との間には、必ずしも保護回路や保護素子を
接続する必要はなく、この非水電解質二次電池1の端子
が電池パックケースに設けられた開口部を介して直接外
部に露出するようになっていてもよい。
スに非水電解質二次電池1を収納した電池パックについ
て説明したが、この電池パックケースに収納する電池の
種類は限定されない。また、この電池は、単電池に限ら
ず、電池外装体の内部に直列接続された複数の発電要素
を収納したようなものであってもよい。
る長波長硬化型の紫外線硬化性樹脂を実施例1に用いる
と共に、短波長硬化型の紫外線硬化性樹脂を比較例とし
て用いて、透過照射タイプと直接照射タイプにより試験
片を接合させた場合の引っ張り強度を比較した結果を図
3に示す。ここでは、長波長硬化型樹脂としてはロック
タイト3106(ヘンケルジャパン製)を、また、短波
長硬化型樹脂としてはロックタイト322(ヘンケルジ
ャパン製)を用いた。透過照射タイプに用いた試験片
は、長さ30mm、幅10mm、厚さ1mmの透明ポリ
カーボネート樹脂板であり、これらの端部に紫外線硬化
性樹脂を塗布して端部同士を長さ方向に10mmずつ重
ね合わせた。一方、直接照射タイプの試験片は、透過照
射タイプにおける試験片の透明ポリカーボネート樹脂板
を顔料で着色したポリカーボネート樹脂板に変更したも
のである。また、透過照射タイプのものは、一方の試験
片を通して紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化さ
せ、直接照射タイプのものは、2枚の試験片の側方から
これらの間の紫外線硬化性樹脂に直接紫外線を照射して
硬化させた。さらに、この紫外線硬化性樹脂に対する紫
外線の積算照射量を50〜2400mJ/cm2 の範囲
で変化させて、それぞれの試験片を接合した。そして、
これらの試験片を互いに接合した部分とは逆方向に10
cm/分の速度で引っ張り、そのときの最大荷重を調べ
た。なお、紫外線照射ランプとしては、短波長から長波
長までを発生する一般的なものを用いた。また、積算照
射量は積算照度計を使用して計測し、その量を調整し
た。
を示す。図から、比較例の短波長硬化型の紫外線硬化性
樹脂を用いた試験片に比較して、実施例1の長波長硬化
型を使用した試験片の引っ張り強度は明らかに高いこと
が分かる。また、実施例1の試験片は、積算照射量が約
100mJ/cm2 以上の範囲で十分な強度を有してい
ることが分かる。特に400mJ/cm2 以上の範囲で
は、透過照射タイプと直接照射タイプの双方とも、破壊
が接合部ではなく試験片(組織破壊)で生じており、接
着強度として極めて高いことが分かった。
的なUVランプを使用し、紫外線を透明のポリカーボネ
ート試験片に照射したときのこの試験片の表面温度と紫
外線透過率を調べた。図4に示すように、試験片の表面
温度は、積算照射量が増加するほど高温になり、最大の
積算照射量である2400mJ/cm2 の場合に約13
0°Cに達した。使用する樹脂によって異なるが、電池
パックケースとして一般的に用いられるポリカーボネー
ト樹脂の場合、短時間とは言えども表面温度を約100
℃以下に抑える必要があるため、積算照射量は1700
mJ/cm2 以下であることが望ましい。また、紫外線
透過率は、積算照射量が増加するほど低下していること
が分かる。従って、特に透過照射タイプの場合には、積
算照射量が増加するほど紫外線の照射効率が低下するの
で、必要最小限の積算照射量で紫外線硬化性樹脂を迅速
に硬化させる必要がある。
から長波長までの紫外線を発生する一般的なUVランプ
を用いたが、実施例1で使用した長波長硬化型紫外線硬
化樹脂を用いる場合には、UVランプとして、約365
nm付近の長波長帯の紫外線を主として発生するものを
使用することも可能である。さらに、被照射物の温度上
昇を抑えることを目的として、UVランプの照射器具と
してはコールドミラー方式を採用することが望ましい。
明した。次いで、本発明を用いた電池パックの特性につ
いて説明する。
説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでは
なく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施す
ることが可能である。
面構造は図1に示したものと同様である。筐体であるケ
ース容器2の中に非水電解質二次電池1が配線材や保護
回路と共に収納されており、ケース容器2の蓋板嵌込部
2aにロックタイト3106(アクリル系、長波長硬化
型、紫外線硬化性樹脂/ヘンケルジャパン株式会社製)
からなる電池パック用紫外線硬化性樹脂4を塗布した後
に、ケース蓋3を嵌合させ、次いで積算照射量が500
mJ/cm2 の条件で紫外線を照射して接合したもので
ある。
長波長帯の紫外線を主体として発生するものを用いた。
ケース容器2は、側面部の厚みが0.7mm、底面部の
厚みが0.3mmであり、顔料による着色ポリカーボネ
ート樹脂である。ケース蓋3は、透明ポリカーボネート
樹脂であり、厚みは0.3mmである。ケース蓋3に透
明樹脂を使用することで、紫外線がこれを透過して紫外
線硬化性樹脂に到達可能である。これを電池パックAと
した。この電池パックAは、外形寸法が5.5×40×
48.5mm、容量は720mAh、電圧は3.6Vで
あった。
面構造は図2に示したものと同様である。筐体であるケ
ース容器2の中に非水電解質二次電池1が配線材や保護
回路と共に収納されており、ケース容器2の蓋板嵌込部
2aに電池パック用紫外線硬化性樹脂4として上記ロッ
クタイト3106を塗布した後に、ケース蓋3を嵌合さ
せ、次いで積算照射量が500mJ/cm2 の条件で紫
外線を照射して接合したものである。
る着色ポリカーボネート樹脂であり、紫外線が電池パッ
ク用紫外線硬化性樹脂4に直接照射されるために、ケー
ス蓋3とケース容器2との嵌合部には0.1mmの隙間
を設けてある。これを電池パックBとした。また、電池
パックBは、実施例2の電池パックAと同じく、外形寸
法が5.5×40×48.5mm、容量は720mA
h、電圧は3.6Vであった。
溶着で接合した電池パックCを用いた。この電池パック
Cの外形寸法は5.5×40×48.5mm、容量は7
20mAh、電圧は3.6Vであった。
電池パックA〜Cの機械的強度特性を評価した。
B、Cの各電池パック10個を任意の方向に1.5mの
高さから落下させ、ケースの接合部が何回落下させた時
に剥れるかを調査した。落下の上限回数は100回とし
た。なお、表1の接合部剥れが生じた落下回数は各電池
パック10個づつの平均値を示したものである。
4を用いた電池パックA、Bそれぞれの接合部の強度
は、従来の超音波溶着で接合した電池パックCの接合強
度に比較して同等以上であった。
の電池パックの製造方法によれば、アクリル系樹脂から
なる紫外線硬化性樹脂を用いるので常温で硬化させるこ
とができる。しかも、長波長硬化型の紫外線硬化性樹脂
を用いるので、十分に大きな接着強度を得ることがで
き、紫外線の積算照射量も少なくて済む。従って、紫外
線硬化性樹脂を硬化させるために高温にする必要がな
く、紫外線の照射によってケース部品が高温になること
もないので、内部の電池に損傷を与えるおそれがなくな
り、電池パックケースの強度も高めることができるよう
になる。
照射タイプの製造方法を示す電池パックの縦断面図であ
る。
照射タイプの製造方法を示す電池パックの縦断面図であ
る。
化型と短波長硬化型の紫外線硬化性樹脂の引っ張り強度
を比較した結果を示す図である。
照射によるポリカーボネート樹脂の試験片の表面温度と
紫外線透過率の変化を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 境界部にアクリル系樹脂からなる長波長
硬化型の紫外線硬化性樹脂を介在させて、2個以上のケ
ース部品を組み合わせることにより電池を覆い、 これらのケース部品に紫外線を照射することにより紫外
線硬化性樹脂を硬化させて電池パックケースを作製する
ことを特徴とする電池パックの製造方法。 - 【請求項2】 前記紫外線硬化性樹脂への紫外線の積算
照射量が100mJ/cm2 以上、1700mJ/cm
2 以下であることを特徴とする請求項1に記載の電池パ
ックの製造方法。
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JP2016162481A (ja) * | 2015-02-26 | 2016-09-05 | 協立化学産業株式会社 | 電池モジュールの製造方法及び電池モジュール製造用硬化性樹脂組成物 |
JP2023072920A (ja) * | 2021-11-15 | 2023-05-25 | プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 | 電池パック |
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